(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】パネル補助脚
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
E04F15/024 603D
E04F15/024 601B
E04F15/024 606E
(21)【出願番号】P 2019188302
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】508321823
【氏名又は名称】株式会社イノアック住環境
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 迅人
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-040481(JP,U)
【文献】特開平04-085451(JP,A)
【文献】実開平05-087133(JP,U)
【文献】特開2000-240264(JP,A)
【文献】特開2018-062843(JP,A)
【文献】米国特許第04901490(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、
前記係合部は、パネル補助脚の壁面から突出しており、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なるパネル補助脚。
【請求項2】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なり、
少なくとも1つの前記係合部の反対側に配置され、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記複数の係合部が択一的に係合される積上用被係合部を有す
るパネル補助脚。
【請求項3】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なり、
六面体の筐体構造をなして、その六面体の異なる二面に分けて配置される第1係合部と第2係合部とから前記複数の係合部が構成され
、
前記筐体構造のうち前記第1係合部が配置される面の反対面が開放して、その開放口寄りの内部に前記開放口を内側から閉塞する内部補強壁が備えられ、
前記内部補強壁には、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記第1係合部又は第2係合部が択一的に係合される積上用被係合部が設けられているパネル補助脚。
【請求項4】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なり、
六面体の筐体構造をなして、その六面体の異なる二面に分けて配置される第1係合部と第2係合部とから前記複数の係合部が構成され、
前記筐体構造のうち前記第1係合部及び前記第2係合部の一方の係合部が前記下面リブに係合したときに水平方向で対向しかつ前記第1係合部及び前記第2係合部の他方の係合部を有しない1対の対向壁は、前記一方の係合部から離れるに従って互いに離れるように傾斜しているパネル補助脚。
【請求項5】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なり、
前記係合部は、筒壁を縦割り分割してなる複数の縦割突片を有し、それら縦割突片同士の間の溝部に前記下面リブが受容されて係合し、
少なくとも1つの前記係合部の反対側に配置され、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記複数の係合部が択一的に係合される積上用被係合部が設けられ、
前記積上用被係合部には、前記複数の縦割突片の内側に嵌合する内側嵌合部と、
前記複数の縦割突片の外側に嵌合する外側嵌合部と、
前記溝部に嵌合する嵌合リブと、が備えられているパネル補助脚。
【請求項6】
フロアパネルの下面リブに係合して、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記下面リブに係合される係合部と、
前記係合部の反対側に配置され、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記係合部が係合される積上用被係合部とを有し、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応可能なパネル補助脚。
【請求項7】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なり、
前記複数の係合部は、前記下面リブが受容される溝部を有し、
前記複数の係合部の前記溝部は、共通の面に形成されて互いに深さが異なるパネル補助脚。
【請求項8】
フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、
前記支持脚の高さが異なる種類以上のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なり、高さが異なる3種類以上のフロアパネルに対応可能であるパネル補助脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フロアパネルの下面に取り付けられるパネル補助脚に関する。
【背景技術】
【0002】
フリーアクセスフロア(OAフロアとも呼ばれる)を構成するフロアパネルは、部屋の形状に応じ切断されることがある。そのような切断されたフロアパネルの下面に取り付けられて、フロアパネルの支持脚と協働してフロアパネルを支持するパネル補助脚が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平05-87133号(段落[0016]及び
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のパネル補助脚の構造では、高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応しようとすると、パネル補助脚もフロアパネルと同じ種類を揃えておく必要があり、製造及び在庫管理のコストが高くなる。このような事情に鑑み、本開示は、従来より低いコストで高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応可能なパネル補助脚の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、フロアパネルの下面リブに係合し、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応するために、択一的に前記下面リブに係合される複数の係合部を備えて、何れの前記係合部が前記下面リブに係合されるかにより高さが異なるパネル補助脚である。
【0006】
第2の発明は、少なくとも1つの前記係合部の反対側に配置され、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記複数の係合部が択一的に係合される積上用被係合部を有する第1の発明に記載のパネル補助脚である。
【0007】
第3の発明は、六面体の筐体構造をなして、その六面体の異なる二面に分けて配置される第1係合部と第2係合部とから前記複数の係合部が構成されている第1又は第2の発明に記載のパネル補助脚である。
【0008】
第4の発明は、前記筐体構造のうち前記第1係合部が配置される面の反対面が開放して、その開放口寄りの内部に前記開放口を内側から閉塞する内部補強壁が備えられ、前記内部補強壁には、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記第1係合部又は第2係合部が択一的に係合される積上用被係合部が設けられている第3の発明に記載のパネル補助脚である。
【0009】
第5の発明は、前記筐体構造のうち前記第2係合部が配置される面の反対面は、前記内部補強壁と前記第1係合部が配置される面との間が解放し、前記内部補強壁と前記第1係合部が配置される面の反対側の面との間が閉塞されている第4の発明に記載のパネル補助脚である。
【0010】
第6の発明は、前記筐体構造のうち前記第1係合部及び前記第2係合部の一方の係合部が前記下面リブに係合したときに水平方向で対向しかつ前記第1係合部及び前記第2係合部の他方の係合部を有しない1対の対向壁は、前記一方の係合部から離れるに従って互いに離れるように傾斜している第3から第5の発明の何れか1に記載のパネル補助脚である。
【0011】
第7の発明は、前記係合部は、筒壁を縦割り分割してなる複数の縦割突片を有し、それら縦割突片同士の間の溝部に前記下面リブが受容されて係合する第1から第6の発明の何れか1に記載のパネル補助脚である。
【0012】
第8の発明は、少なくとも1つの前記係合部の反対側に配置され、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記複数の係合部が択一的に係合される積上用被係合部が設けられ、前記積上用被係合部には、前記複数の縦割突片の内側に嵌合する内側嵌合部と、前記複数の縦割突片の外側に嵌合する外側嵌合部と、前記溝部に嵌合する嵌合リブと、が備えられている第7の発明に記載のパネル補助脚である。
【0013】
第9の発明は、前記積上用被係合部を受容する凹部を備える第8の発明に記載のパネル補助脚である。
【0014】
第10の発明は、フロアパネルの下面リブに係合して、前記フロアパネルの支持脚と協働して前記フロアパネルを支持するパネル補助脚であって、前記下面リブに係合される係合部と、前記係合部の反対側に配置され、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚の下部に位置して、下側のパネル補助脚の前記係合部が係合される積上用被係合部とを有し、前記支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応可能なパネル補助脚である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明のパネル補助脚は、択一的にフロアパネルの下面リブに係合される複数の係合部を備え、何れの係合部が下面リブに係合されるかにより高さが異なるので、支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応することができる。つまり、本開示のパネル補助脚によれば、従来より低いコストで高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応することができる。
【0016】
第2及び第8の発明のパネル補助脚は、少なくとも1つの係合部の反対側に積上用被係合部を備え、その積上用被係合部に他のパネル補助脚の何れかの係合部を係合することで、パネル補助脚同士を積み上げた状態に保持することができる。これにより、パネル補助脚が対応可能なフロアパネルの種類が拡がる。
【0017】
第3~第6の発明の構成では、パネル補助脚が筐体構造をなしているので、中実構造とした場合より材料費が抑えられると共に軽くなる。
【0018】
第7の発明のパネル補助脚では、係合部を、筒壁を縦割り分割してなる複数の縦割突片を有した簡素な構造としたので、容易に製造することができる。
【0019】
第9の発明の構成では、積上用被係合部が凹部に受容されているので、積上用被係合部の変形・破損が防がれる。
【0020】
第10の発明のパネル補助脚は、フロアパネルの下面リブに係合される係合部と、係合部の反対側に配置される積上用被係合部とを備え、パネル補助脚同士を積み上げたときに上側のパネル補助脚に、下側のパネル補助脚の係合部を係合して積み上げることができるので、支持脚の高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応することができる。つまり、本開示のパネル補助脚によれば、従来より低いコストで高さが異なる複数種類のフロアパネルに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】第1実施形態の高単独態様のパネル補助脚の斜視図
【
図5】第1実施形態の高単独態様のパネル補助脚の斜視図
【
図6】第1実施形態の低単独態様のパネル補助脚の斜視図
【
図7】第1実施形態の高複合態様のパネル補助脚の斜視図
【
図8】第1実施形態の低複合態様のパネル補助脚の斜視図
【
図9】第1実施形態の高単独仕様のパネル補助脚とフロアパネルの側断面図
【
図11】第2実施形態の第2係合態様のパネル補助脚とフロアパネルの側断面図
【
図12】第2実施形態の第1係合態様のパネル補助脚とフロアパネルの側断面図
【
図13】第2実施形態の第1複合態様のパネル補助脚の側断面図
【
図14】第2実施形態の第2複合態様のパネル補助脚の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図9を参照して、本開示の一実施形態について説明する。
図1及び
図2には、高さが異なるフロアパネル50A,50Bが切断された状態の一例が示されている。これらフロアパネル50A,50Bは、樹脂の成形品であって、切断される前は、正方形の天板51の下面に支持脚52を3行3列に並べて備える(
図3参照)。そして、フロアパネル50A,50Bは、支持脚52の高さのみが異なり、
図1及び
図3に示されたフロアパネル50Aの支持脚52より
図2に示されたフロアパネル50Bの支持脚52が高くなっている。
【0023】
フロアパネル50A,50Bの天板51の下面全体には、下面リブ53を張り巡らされている。
図3に示すように下面リブ53には、第1下面リブ53Aと第2下面リブ53Bとが含まれ、第2下面リブ53Bは、第1下面リブ53Aに比べて天板51からの垂下量が大きくなっていると共に、第1下面リブ53Aに比べて厚くなっている(
図9参照)。
【0024】
図4には、本実施形態のパネル補助脚10が示されている。このパネル補助脚10は、上記した2種類のフロアパネル50A,50Bを含んだ高さが異なる4種類のフロアパネルに使用することができる。以下、4種類のフロアパネルを区別しない場合には、「フロアパネル50」ということとする。
【0025】
なお、フロアパネル50A,50Bは、支持脚52の高さ以外は同じ構造をなしているが、パネル補助脚10の使用対象となる複数のフロアパネル50は、下面リブ52を備えていれば、支持脚52の高さ以外に、天板51及び支持脚52の大きさ及び形状が異なっていてもよい。また、フロアパネル50A,50Bの下面リブ53は、前述の如く複数種類のリブ(第1と第2の下面リブ53A,53B)を含んでいなくてもよく、1種類のリブから構成されていてもよい。
【0026】
図4~
図6に示されるように、本実施形態のパネル補助脚10は、ベース部10Bに第1係合部21と第2係合部22と積上用被係合部30とを備えてなる。ベース部10Bは、一方向(以下、「第1方向H1」という)に長い直方体状の筐体構造をなしている。そのベース部10Bの筐体構造のうち対向する1対の長側壁13は、第1方向H1に対して左右対称に傾斜している。また、ベース部10Bのうち1対の第1長側壁13の互いに接近した短辺の外縁部間は、第1方向H1と直交する第1短側壁11で閉塞される一方、1対の第1長側壁13の互いに離間した短辺間の外縁部間は開放し、それら外縁部寄りの位置が、第1短側壁11と平行な内部補強壁14によって閉塞されている。
【0027】
また、
図4に示すように、1対の第1長側壁13の一方の長辺の外縁部間は、第2長側壁12にて閉塞されている一方、
図5に示すように、1対の第1長側壁13の他方の長辺の外縁部間は、第1短側壁11と内部補強壁14との間が全体的に開放し、残りが外部補強壁14Gにて閉塞されている。そして、
図6に示すように、ベース部10Bの第1方向H1における一端部に、外部補強壁14Gと1対の第1長側壁13と第2長側壁12とに四方を囲まれた凹部15が形成されている。
【0028】
ベース部10Bの第1方向H1の両端面は、第1方向H1と直交しかつ互いに平行になっている。また、1対の第1長側壁13の対向方向と第1方向H1との両方向に直交する方向を第2方向H2とすると、ベース部10Bの第2方向H2の両端面も、第2方向H2と直交しかつ互いに平行になっている。そして、パネル補助脚10は、
図4に示すように、第1方向H1を上下方向に向けて、第1短側壁11を上側に配置した高姿勢と、
図6に示すように、第2方向H2を上下方向に向け、第2長側壁12を上側に配置した低姿勢との何れかの姿勢で使用される。
【0029】
図4に示すように、第1係合部21は、第1短側壁11の外面から第1方向H1に突出する円筒壁を十文字状に縦割り分割してなる複数の縦割突片21Aを備え、隣合う縦割突片21Aの間に、略一定の幅で第1方向H1に延びるスリット状の溝部21Bを有する。また、第2係合部22も第1係合部21と同様の構造をなして第2短側壁12の外面から第2方向H2に突出する複数の縦割突片22Aと、縦割突片22A同士の間に位置する複数の溝部22Bとを有する。
【0030】
詳細には、第1係合部21及び第2係合部22(以下、適宜、「第1及び第2の係合部21,22」等という)の溝部21B,22Bの溝幅は、共にフロアパネル50の第2下面リブ53Bと略同一になっている。
【0031】
また、第1係合部21の複数の縦割突片21Aで構成される円筒部21Dの軸長は、第2係合部22の複数の縦割突片22Aで構成される円筒部22Dの軸長の1.5~2倍になっている。また、短い側の第2係合部22の円筒部22Dの軸長は、ベース部10Bの凹部15の深さより長い。一方、長い側の第1係合部21の円筒部22Dの軸長は、フロアパネル50の第2下面リブ53Bの突出量より僅かに短い。さらには、円筒部21Dの外面には各縦割突片21A毎に三角リブ21Cが備えられ、円筒部21Dのうち三角リブ21Cより先端側の軸長が凹部15の深さより長い。
【0032】
なお、第1係合部21の前記円筒壁の中心軸は、第1短側壁11の外面の図心を貫通するように配置され、第2係合部22の前記円筒壁の中心軸は、第2長側壁12の外面の図心を貫通するように配置されている。また、第1係合部21の複数の溝部21Bは、第2方向H2とそれに直交する第3方向H3とに並ぶように配置され、第2係合部22の複数の溝部22Bは、第1方向H1と第3方向H3とに並ぶように配置されている。
【0033】
図6に示すように、前述の積上用被係合部30は、前述の如くベース部10Bの凹部15内に配置されている。具体的には、積上用被係合部30は、凹部15内に位置する内部補強壁14の外面から突出する円筒状の内側嵌合部31と、その内側嵌合部31から第2方向H2と第3方向H3とに張り出す嵌合リブ32と、凹部15内の四隅で内部補強壁14の外面から第1方向H1に突出する円柱状の外側嵌合部33とを有する。また、
図9に示すように、内側嵌合部31及び嵌合リブ32の端面は、凹部15の開口面と面一で、外側嵌合部33の端面は、凹部15の開口面より奥側に位置している。
【0034】
パネル補助脚10同士は、積上用被係合部30と第1及び第2の係合部21,22とを係合させて連結することができる。具体的には、第1及び第2の係合部21,22の円筒部21D,22Dの内側に積上用被係合部30の内側嵌合部31を嵌合し、溝部21B,22Bに嵌合リブ32を嵌合して、円筒部21D,22Dの先端を内部補強壁14に当接させればよい。これにより、パネル補助脚10同士が心だしされた状態でその中心軸方向で互いに位置決めされかつ回り止めもされる。また、円筒部21D,22Dを構成する縦割突片21A,22Aが内側嵌合部31と外側嵌合部33とに挟まれることで、それらの座屈変形が防がれる。そして、各嵌合部分の摩擦係止によりパネル補助脚10同士が連結した状態に保持される。
【0035】
本実施形態のパネル補助脚10及びその使用対象となるフロアパネル50の構成に関する説明は以上である。次に、パネル補助脚10の作用効果について説明する。
【0036】
パネル補助脚10は、
図4に示すように高姿勢のパネル補助脚10単独の高単独態様と、
図6に示すように低姿勢のパネル補助脚10単独の低単独態様と、
図7に示すように高姿勢のパネル補助脚10の上に高姿勢のパネル補助脚10を連結した高複合態様と、
図8に示すように低姿勢のパネル補助脚10の上に高姿勢のパネル補助脚10を連結した低複合態様と、からなる4つの態様で使用することができ、これにより高さがことなる4種類のフロアパネル50に対応することができる。
【0037】
パネル補助脚10をフロアパネル50に取り付けるには、フロアパネル50の上下を反転させておき、フロアパネル50の高さに応じた態様のパネル補助脚10も上下を反転させる。そして、フロアパネル50の補強を必要とする箇所の第2下面リブ53Bにパネル補助脚10の第1又は第2の係合部21,22を係合させる。具体的には、第1又は第2の係合部21,22の溝部21B,22Bに第2下面リブ53Bを押し込んでベース部10Bに当接させればよい。これにより、パネル補助脚10がフロアパネル50に対して上下方向で位置決めされ、フロアパネル50の支持脚52の下面とパネル補助脚10の下面とが面一に配置されると共に、第2下面リブ53Bと溝部21B,22Bの内面との摩擦係止によりパネル補助脚10がフロアパネル50に取り付けられた状態に保持される。そして、フロアパネル50の上下を元に戻し、建物の基礎面の任意の位置に配置すればよい。これにより、フリーアクセスフロアの施工作業時に、フロアパネル50を切断した場合でも容易にそのフロアパネル50を補強することができる。なお、フロアパネル50を切断しない場合であっても、高い耐荷重性が求められるときには、パネル補助脚10をフロアパネル50の補強に使用してもよい。
【0038】
以上のように本実施形態のパネル補助脚10は、択一的にフロアパネル50の下面リブ53(詳細には、第2下面リブ53B)に係合される第1と第2の係合部21,22を備え、それらの何れが下面リブ53に係合されるかにより高さが異なるという第1の特徴を有する。この第1の特徴により、支持脚52の高さが異なる2種類のフロアパネル50A,50Bに対応することができる。また、本実施形態のパネル補助脚10は、第1係合部21の反対側に積上用被係合部30を備え、その積上用被係合部30に他のパネル補助脚10の第1又は第2の係合部21,22を係合することで、パネル補助脚10同士が積み上げられた状態に保持されるという第2の特徴と有する。これにより、パネル補助脚10が対応可能なフロアパネル50の種類が4種類に拡がる。このように、本実施形態のパネル補助脚10は、従来のようにフロアパネル50に応じた種類を揃える必要が無くなり、1つで複数種類のフロアパネル50に対応可能になるので、従来より管理コスト・製造コスト等を抑えることができる。また、本実施形態のパネル補助脚10は筐体構造をなしているので、中実構造とした場合より材料費が抑えられると共に軽くなる。しかも、第1及び第2の係合部21,22は、円筒壁21D,22Dを縦割り分割した簡素な構造であるので、容易に製造することができる。また、積上用被係合部30が凹部15に受容されているので、積上用被係合部30の変形・破損が防がれる。
【0039】
なお、本実施形態のパネル補助脚10において、1対の第1長側壁13のうちの一方に第3係合部を備えた構成としてもよい。その際、第3方向H3を上下方向に向けて、第3短側壁13を上側に配置した姿勢の高さを上述した低姿勢及び高姿勢の高さと異ならせることで、パネル補助脚10単独での態様が広がる。
【0040】
また、本実施形態のパネル補助脚10は、積上用被係合部30が外側嵌合部32及び嵌合リブ33を有する構成であったが、外側嵌合部32及び嵌合リブ33の何れか一方又は両方を排除した構成であってもよい。
【0041】
[第2実施形態]
図10~
図14を参照して本実施形態のパネル補助脚60を説明する。
図10に示すように、本実施形態のパネル補助脚60は、円錐台状のベース部61を備え、ベース部61の小径側を上にした姿勢でのみ使用される。そこで、以下の説明では、ベース部61の小径側を上側等といい、ベース部61の大径側を下側等ということとする。
【0042】
ベース部61は、上端に天井壁62を有する一方、下端全体を開放する下面開口61Kを下端に備える。また、ベース部61には、上面から略2/3の高さ位置までを縦割りに2等分割して第1溝81が形成されている。さらに、ベース部61のうち第1溝81の1対の側面開口を90度回転させた2位置には、1対の第2溝82が形成されている。第2溝82は、ベース部61の上面から第1溝81の下端より上側位置に亘って延びる側面開口と、ベース部61の上面の外縁部の範囲に開口する上端開口とを有する。また、これら第1溝81及び第2溝82の開口幅は、前記第1実施形態で説明したフロアパネル50の第2下面リブ53B(
図9参照)の厚さと略同一になっている。
【0043】
また、天井壁62の上面のうち、第1溝81と1対の第2溝82とによって4つに区分された領域からはそれぞれ支柱63が起立している。各支柱63は円錐台形状をなし、ベース部61の外側面の延長面内に支柱63全体が収まるようにするために、各支柱63の外側面のうちベース部61の外側面側の一部にカット面63Aが形成されている。
【0044】
また、各支柱63の外側面のうち第1溝81に臨む部分の下端部は、第1溝81の内側面の延長面と接するように配置され、第2溝82に臨んだ部分の下端部は、第2溝82の内側面の延長面と接するように配置されている。
【0045】
さらに、各支柱63には、上端部を縦割りに2分割するように第3溝83が形成されている。第3溝83は、斜め向かいの位置関係になる1対ずつの支柱63の第3溝83同士が一直線上に並ぶように配置されている。また、第3溝83の開口幅は、第1溝81及び第2溝82の開口幅と同様に、前記第1実施形態のフロアパネル50の第2下面リブ53Bの厚さと略同一になっている。
【0046】
図11に示すように、ベース部61の内部には、第1溝81の真下位置に梁部材64が差し渡され、その梁部材64の上面とベース部61における第1溝81の下面とが面一になっている。また、
図12に示すように天井壁62のうち1対の第2溝82と第1溝81とに挟まれた部分の下面からは1対のL形リブ65が垂下され、それらの「L」の横辺部分がベース部61の内側面に接続されている。また、各L形リブ65の横辺部分の上面とベース部61における第2溝82の下面とが面一になっている。さらに、1対のL形リブ65の対向面は、第1溝81の内側面と面一に配置されると共に、それら対向面の下端部は梁部材64に接続されている。
【0047】
ベース部61の内側面のうち梁部材64より下側には、周方向で4等分する位置に4つの縦リブ66が備えられている。縦リブ66は、フロアパネル50の第2下面リブ53Bと同じ厚さをなして上下方向に延びている。そして、4つの縦リブ66の下端面が、ベース部61の下端面より僅か上方位置で、互いに面一かつ水平に配置されている。また、1対の縦リブ66の上端部は、梁部材64の上端部に接続され(
図11参照)、残りの1対の縦リブ66の上端部は、1対のL形リブ65に接続されている(
図12参照)。
【0048】
本実施形態のパネル補助脚60には、上述した部位の組み合わせにより、第1~第3の係合部71~73が形成されると共に、積上用被係合部74が形成されている。具体的には、複数の縦リブ66の下端部で積上用被係合部74が構成されている。また、第1係合部71は、第1溝81と梁部材64と4つの支柱63とを含んでなり、第2係合部72は、天井壁62のうち1対の第2溝82に挟まれた部分と4つの支柱63とを含んでなり、第3係合部73は、4つの支柱63の上部で構成されている。
【0049】
そして、パネル補助脚60は、
図12に示すように第1係合部71に第2下面リブ53Bを係合させる第1係合態様と、
図11に示すように第2係合部72に第2下面リブ53Bを係合させる第2係合態様と、図示しないが第3係合部73に第2下面リブ53Bを係合させる第3係合態様と、からなる3つの態様でフロアパネル50に係合させることができ、これにより高さが異なる3種類のフロアパネル50に対応することができる。具体的には、
図12に示すように、第1係合態様では、第1溝81の下面にフロアパネル50の第2下面リブ53Bが当接し、複数の支柱63にて第2下面リブ53Bが挟まれる。また、
図11に示すように、第2係合態様では、第2溝82の真上に第2下面リブ53Bが配置されて天井壁62の上面に当接し、複数の支柱63にて第2下面リブ53Bが挟まれる。さらに、第3係合態様では、図示しないが、斜向かいの位置関係となる1対の支柱63の第3溝83に第2下面リブ53Bの下端部が受容される。
【0050】
また、パネル補助脚60は、単独での使用と複合での使用とを選択することができ、複合の態様には、
図13に示すように上側のパネル補助脚60の下面開口61Kに、下側のパネル補助脚60の上端部を挿入し、下側のパネル補助脚60の第2溝82の下面に上側のパネル補助脚60の縦リブ66の下面を当接せた第1複合態様と、
図14に示すように上側のパネル補助脚60の縦リブ66を、下側のパネル補助脚60の第3係合部73に受容させた第2複合態様と、からなる2つの複合態様がある。よって、単独か第1複合態様か第2複合態様かの3つから選択することができ、それらと前述の3種類の係合態様とを任意に組み合わせ高さが異なる複数種類のフロアパネル50に対応することができる。即ち、本実施形態のパネル補助脚60によっても第1実施形態のパネル補助脚10と同様の作用効果を奏する。
【0051】
なお、本実施形態のパネル補助脚60は、第1~第3の3つの係合部71~73を備えていたが、第3溝83を排除して第1と第2の係合部71,72のみを備えた構成としてもよい。
【0052】
[他の実施形態]
(1)第1及び第2の実施形態のパネル補助脚10,60は、共に積上用被係合部30,74を備えてパネル補助脚10,60同士を結合するか否かを選択して複数種類のフロアパネル50に対応可能であったが、積上用被係合部30,74を備えず、パネル補助脚10,60同士が結合不能である一方、前述の複数の係合部21,22,71~73のように複数の係合部を有して、それらの選択のみで複数種類のフロアパネル50に対応可能な構成としてもよい。
【0053】
(2)また、第1及び第2の実施形態のパネル補助脚10,60は、複数の係合部21,22,71~73を有し、それらから何れか1つの係合部を選択して複数種類のフロアパネル50に対応可能であったが、パネル補助脚は、以下の構成であってもよい。即ち、パネル補助脚は、係合部を1つのみ備えるか、複数備えても係合部の選択では複数種類のフロアパネルに対応不能とすると共に、積上用被係合部30,74に相当する積上用被係合部を係合部の反対側に備えた構成であってもよい。この構成とすることで、パネル補助脚同士を結合するか否か、又は、パネル補助脚をいくつ結合するかの、結合に係る選択のみで複数種類のフロアパネル50に対応可能となる。
【符号の説明】
【0054】
10,60 パネル補助脚
14 内部補強壁
15 凹部
21,22,71~73 係合部
30,74 積上用被係合部
50,50A,50B フロアパネル
51 天板
52 支持脚
53B 第2下面リブ