(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20230911BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B66F9/24 Z
(21)【出願番号】P 2019231956
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 正知
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-002330(JP,A)
【文献】特開平09-216705(JP,A)
【文献】特開平06-239410(JP,A)
【文献】特開2019-024150(JP,A)
【文献】特開2019-131327(JP,A)
【文献】特開2017-088317(JP,A)
【文献】特開2015-124023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持した状態で移動可能に構成された運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた画像と、当該運搬装置による運搬の対象となる前記物品に関する物品情報と、を取得する取得手段と、
前記画像と前記物品情報とに基づき、前記運搬の対象となる前記物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別を識別する識別手段と、
前記運搬の対象となる前記物品に関する前記作業場所の種別の識別結果に基づき、当該物品の前記運搬に係る状態を管理する管理手段と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記管理手段は、前記物品情報と、前記作業場所の種別の識別結果と、に基づき、前記物品の運搬に係る状態を管理する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記管理手段は、前記物品の運搬に係る状態に応じて、当該物品に関連する作業の作業工程を管理する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記管理手段は、前記物品の運搬に係る状態の少なくとも一部として、当該物品の運搬に係る動線を管理する、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記運搬装置が前記物品を保持していない状態における前記画像を取得する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記物品の積み込み前、または前記物品の積み下ろし後に撮像された前記画像を取得する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記運搬装置は、フォークリフトであり、
前記取得手段は、前記フォークリフトのフォークにより前記物品が保持されていない状態における前記画像を取得する、
請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記識別手段は、前記画像から被写体の特徴を抽出し、当該特徴に基づき前記作業場所の種別を識別する、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記識別手段は、前記特徴に基づき前記被写体を認識し、当該被写体の認識結果に基づき、前記作業場所の種別を識別する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記画像は、前記運搬装置が備える撮像部により撮像された画像である、請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記識別手段は、前記作業場所ごとの画像と、前記物品ごとの前記物品情報と、を教師データとした機械学習に基づき構築された識別器に対して、前記運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた前記画像と、当該運搬装置による運搬の対象となる前記物品に関する前記物品情報と、を入力し、当該識別器の出力に基づき前記作業場所の種別を識別する、請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
物品を保持した状態で移動可能に構成された運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた画像と、当該運搬装置による運搬の対象となる前記物品に関する物品情報と、を取得する取得ステップと、
前記画像と前記物品情報とに基づき、前記運搬の対象となる前記物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別を識別する識別ステップと、
前記運搬の対象となる前記物品に関する前記作業場所の種別の識別結果に基づき、当該物品の前記運搬に係る状態を管理する管理ステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
物品を保持した状態で移動可能に構成された運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた画像と、当該運搬装置による運搬の対象となる前記物品に関する物品情報と、を取得する取得ステップと、
前記画像と前記物品情報とに基づき、前記運搬の対象となる前記物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別を識別する識別ステップと、
前記運搬の対象となる前記物品に関する前記作業場所の種別の識別結果に基づき、当該物品の前記運搬に係る状態を管理する管理ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の運搬装置(荷役作業機械)を利用した荷役作業の管理に係る技術が各種提案されている。例えば、特許文献1には、棚等のような物品(荷物)の載置場所に付されたマーカや、運搬対象の物品に付されたマーカ等を読み取り、読み取りの結果に応じて取得される情報を荷役作業の管理に利用する技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、必ずしも物品の載置場所や運搬対象の物品等に付されたマーカを読み取ることが可能な状況にあるとは限らない。具体的な一例として、汚れ等によりマーカの少なくとも一部の読み取りが困難な場合が想定され得る。また、他の一例として、種々の制約により、物品の載置場所や物品自体にマーカを付すことが困難な場合もある。
また、マーカの読取結果を荷役作業の管理に利用する場合には、所望の契機でマーカの読み取りが可能な位置に運搬装置を移動させることとなるため、非効率的となる場合もある。
【0005】
本発明は上記の問題を鑑み、マーカの有無に依存せずに、より好適な態様で荷役作業の管理を実現可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、物品を保持した状態で移動可能に構成された運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた画像と、当該運搬装置による運搬の対象となる前記物品に関する物品情報と、を取得する取得手段と、前記画像と前記物品情報とに基づき、前記運搬の対象となる前記物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別を識別する識別手段と、前記運搬の対象となる前記物品に関する前記作業場所の種別の識別結果に基づき、当該物品の前記運搬に係る状態を管理する管理手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マーカの有無に依存せずに、より好適な態様で荷役作業の管理を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、管理システムの概要について説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、情報収集ユニットの構成について説明するための説明図である。
【
図3】
図3は、作業場所の種別の認識について説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図5】
図5は、管理システムの機能構成の一例を示したブロック図である。
【
図6】
図6は、管理システムの処理の一例を示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、管理システムの実施例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<概要>
図1を参照して、本実施形態に係る管理システム1の概要について説明する。本実施形態に係る管理システム1は、倉庫等の所定の空間において、荷物を運搬する運搬装置の作業状態を管理するシステムである。管理システム1は、情報処理装置100と、運搬装置190とを含む。なお、本実施形態では、便宜上、運搬装置190としてフォークリフトが適用されるものとする。また、運搬装置190は、情報収集ユニット193を備える。情報処理装置100と情報収集ユニット193とは所定のネットワークを介して情報を送受信可能に構成されている。例えば、
図1に示す例では、情報処理装置100と情報収集ユニット193とは無線のネットワークを介して接続される。
【0011】
なお、
図1では、管理システム1の特徴をよりわかりやすくするために、運搬装置190が1台の場合について示しているが、複数台の運搬装置190が運用されてもよい。この場合には、各運搬装置190が情報収集ユニット193を備え、情報処理装置100と、各運搬装置190が備える情報収集ユニット193それぞれと、が無線のネットワークを介して接続されればよい。
また、運搬装置190による荷物等の物品の運搬に係る動作が阻害されなければ、情報処理装置100と情報収集ユニット193とを接続するネットワークの種別は特に限定されない。具体的な一例として、情報処理装置100と情報収集ユニット193とが複数種類のネットワークを介して接続されていてもよく、一部に有線のネットワークが含まれていてもよい。また、情報処理装置100と情報収集ユニット193との間の通信が他の通信装置により中継されてもよい。すなわち、情報処理装置100と情報収集ユニット193との間で論理的なネットワークを介した通信が確立されていればよく、物理的なネットワークの実現方法は特に限定されない。
【0012】
情報収集ユニット193は、運搬装置190に関連する各種状態に関する情報を収集し、収集した当該情報を、ネットワークを介して情報処理装置100に送信する。
具体的には、本実施形態に係る情報収集ユニット193は、運搬装置190の周囲の状態に応じた情報を収集可能に構成されている。
【0013】
ここで、
図2を参照して、情報収集ユニット193の構成の一例についてより詳しく説明する。運搬装置190は、フォーク等ように荷物等の物品を保持する保持部191と、当該保持部191を支持する支持部192とを含む。支持部192は、所定の範囲内で移動可能に支持されている。すなわち、支持部192の移動に伴い、当該支持部192に支持された保持部191が、当該支持部192と一体的に移動する。このような構成により、例えば、保持部191に荷物が載置された状態で、支持部192を上方向に向けて移動させることで、当該荷物を持ち上げることが可能となる。
【0014】
情報収集ユニット193は、撮像部194を備え、当該撮像部194により運搬装置190の周囲の環境、特に、保持部191による物品の積み込みまたは積み下ろしが行われる作業場所の風景を撮像し、撮像結果に応じた画像を情報処理装置100に送信する。この際に、情報収集ユニット193は、例えば、保持部191による物品の積み込みまたは積み下ろしに係る動作に応じて、撮像部194に運搬装置190の周囲の環境を撮像させてもよい。これにより、上記作業場所の風景が撮像された画像を取得することが可能となる。
情報処理装置100は、情報収集ユニット193から送信される上記画像から被写体の特徴を抽出し、当該特徴の抽出結果に基づき、当該画像に撮像された作業場所の種別を識別する。特に、運搬対象となる物品(荷物等)の種別に応じて、当該物品の積み込みや積み下ろしが行われる作業場所は限定され、当該作業場所の風景の画像に撮像される被写体の種別も異なる場合がある。情報処理装置100は、このような特性を利用して、作業場所に付されたマーカの読み取り結果等のように、作業場所を厳密に特定するための情報の利用が困難な場合においても、当該作業場所の種別を識別する。
【0015】
具体的な一例として、
図2に示す例では、床面に対して物品が載置される載置領域の範囲を示す枠301が設定されている。このような状況下で、撮像部194により運搬装置190の周囲の環境(すなわち、作業場所)が撮像されることで、撮像結果に応じた画像には、被写体として枠301が撮像されることとなる。この場合には、情報処理装置100は、画像中に撮像された枠301の特徴を当該画像から抽出し、当該特徴に基づき枠301を認識したうえで、枠301の認識結果を利用して作業場所の種別を識別する。
【0016】
また、
図3は、情報処理装置100が、撮像部194による撮像結果に応じた運搬装置190の周囲の環境の画像に基づき、作業場所の種別を認識する場合の他の一例について示している。
図3に示す例は、棚310に対して運搬装置190により運搬された物品が載置される状況を模式的に示している。このような状況下で、撮像部194により運搬装置190の周囲の環境(すなわち、作業場所)が撮像されることで、撮像結果に応じた画像には、被写体として棚310が撮像されることとなる。この場合には、情報処理装置100は、画像中に撮像された棚310の特徴を当該画像から抽出し、当該特徴に基づき棚310を認識したうえで、棚310の認識結果を利用して作業場所の種別を識別してもよい。
【0017】
なお、
図2及び
図3を比較するとわかるように、作業場所に応じて画像中に撮像される被写体の種別が異なる場合がある。このように画像中に撮像される被写体の種別は、例えば、その作業場所で行われる作業に応じて異なる場合もある。このような特性を踏まえ、例えば、
図2に示す作業場所と、
図3に示す作業場所と、が異なる種別の作業場所として識別されてもよい。
また、
図2及び
図3に示す例は一例であり、画像中に撮像される被写体の種別に基づき作業場所の種別を識別することが可能であれば、対象となる作業場所は
図2及び
図3に示す例には限定されない。具体的な一例として、床に載置された台の上に物品が載置されるような作業場所を、作業場所の種別の識別対象とすることも可能である。この場合には、例えば、画像中に被写体として撮像される台の特徴を当該画像から抽出することで当該台を認識し、当該台の認識結果を利用して作業場所の種別を特定することが可能である。
【0018】
また、上述した作業場所の種別の識別に係る処理の特性を鑑みて、撮像部194として使用されるデバイスの特性や、当該撮像部194を備えた情報収集ユニット193が支持される位置が決定されるとよい。具体的には、撮像部194と、保持部191の所定の一部(例えば、フォーク中心)と、が所定の位置関係となるように(例えば、距離が一定となるように)、情報収集ユニット193が支持される位置が決定されるとよい。
また、撮像部194の撮像範囲197に、保持部191による物品(荷物等)の積み込みまたは積み下ろしが行われる方向の風景が含まれるように、撮像部194が支持される向き(換言すると、情報収集ユニット193が支持される向き)が決定されるとよい。また、撮像部194として、撮像範囲197のより広いデバイス(換言すると、画角のより広いデバイス)が適用されるとより望ましい。
【0019】
なお、
図2及び
図3に示す例はあくまで一例であり、上述した条件を満たせば、本実施形態に係る管理システム1における情報収集ユニット193の設置位置は必ずしも限定されない。
また、
図2及び
図3に示す例では、本実施形態に係る管理システム1の特徴をよりわかりやすくするために、1台の運搬装置190に対して1つの情報収集ユニット193(換言すると、撮像部194)が支持される場合について示している。しかしながら、
図2及び
図3に示す例は、必ずしも本実施形態に係る管理システム1の構成を限定するものではない。具体的な一例として、1台の運搬装置190に対して複数の撮像部194が支持されてもよい。これにより、撮像部194が1つの場合に比べて、より広い範囲を撮像の対象とすることも可能となる。また、この場合には、1台の運搬装置190に対して、それぞれが撮像部194を備えた複数の情報収集ユニット193が支持されてもよい。また、他の一例として、情報収集ユニット193が複数の撮像部194を備えてもよい。
【0020】
また、保持部191と撮像部194との間の位置関係に応じて、撮像部194による運搬装置190の周囲の環境(作業場所)の撮像に係るタイミングが制御されてもよい。具体的な一例として、保持部191が物品を保持している場合に、当該物品により撮像部194の撮像範囲197の少なくとも一部が遮蔽される場合がある。
このような場合には、保持部191が物品を保持していない状態で、撮像部194により運搬装置190の周囲の環境が撮像されるように、当該撮像部194の撮像に係るタイミングが制御されてもよい。具体的には、物品の積み込みが行われる前(例えば、積み込みの直前)、または積み下ろしが行われた後(例えば、積み下ろし直後)のタイミングで、撮像部194が運搬装置190の周囲の環境の画像を撮像するように、撮像に係るタイミングが制御されてもよい。
また、他の一例として、撮像部194に撮像された一連の画像のうち、保持部191が物品を保持していない状態で撮像された画像が情報処理装置100に送信されるように、送信対象となる画像が制御されてもよい。
【0021】
また、情報処理装置100は、上述した構成の基で、情報収集ユニット193から送信される画像に基づく作業場所の種別の識別結果を利用して、運搬装置190による物品の運搬に係る状態を管理してもよい。具体的な一例として、情報処理装置100は、運搬装置190による物品の積み込みまたは積み下ろしが行われた作業場所の種別の識別結果を時系列に沿って管理することで、当該物品の運搬に係る動線を管理することも可能となる。なお、上述した荷役管理の具体的な一例については、実施例として詳細を別途後述する。
【0022】
以上のような構成により、本実施形態に係る管理システム1は、作業場所にマーカを付すことが困難な状況下においても、作業場所の風景の撮像結果に応じた画像に基づき当該作業場所の種別を識別し、当該識別の結果を荷役管理に利用することが可能となる。特に、荷役管理の対象となる現場の中には、作業場所の特性上、マーカを付すことが困難な場合もある。このような場合においても、本実施形態に係る管理システム1に依れば、マーカの有無に依存せずに、作業場所の種別を識別することが可能である。また、マーカを利用せずに作業場所の種別を特定可能であるため、例えば、マーカの読み取りが可能な位置に運搬装置を移動させるといった煩雑な作業が不要となり、作業効率を向上させる効果を期待することが可能となる。
【0023】
以上、本実施形態に係る管理システム1の概要について説明した。なお、以降では、本実施形態に係る管理システム1についてより詳しく説明する。
【0024】
<ハードウェア構成>
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)210と、ROM(Read Only Memory)220と、RAM(Random Access Memory)230とを含む。また、情報処理装置100は、補助記憶装置240と、出力装置250と、入力装置260と、ネットワークI/F270とを含む。CPU210と、ROM220と、RAM230と、補助記憶装置240と、出力装置250と、入力装置260と、ネットワークI/F270とは、バス280を介して相互に接続されている。
【0025】
CPU210は、情報処理装置100の各種動作を制御する中央演算装置である。例えば、CPU210は、情報処理装置100全体の動作を制御してもよい。ROM220は、CPU210で実行可能な制御プログラムやブートプログラムなどを記憶する。RAM230は、CPU210の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。
【0026】
補助記憶装置240は、各種データや各種プログラムを記憶する。補助記憶装置240は、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)に代表される不揮発性メモリ等のような、各種データを一時的または持続的に記憶可能な記憶デバイスにより実現される。
【0027】
出力装置250は、各種情報を出力する装置であり、ユーザに対する各種情報の提示に利用される。本実施形態では、出力装置250は、ディスプレイ等の表示デバイスにより実現される。出力装置250は、各種表示情報を表示させることで、ユーザに対して情報を提示する。ただし、他の例として、出力装置250は、音声や電子音等の音を出力する音響出力デバイスにより実現されてもよい。この場合には、出力装置250は、音声や電信等の音を出力することで、ユーザに対して情報を提示する。また、出力装置250として適用されるデバイスは、ユーザに対して情報を提示するために利用する媒体に応じて適宜変更されてもよい。なお、出力装置250が、各種情報の提示に利用される「出力部」の一例に相当する。
【0028】
入力装置260は、ユーザからの各種指示の受け付けに利用される。本実施形態では、入力装置260は、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを含む。ただし、他の例として、入力装置260は、マイクロフォン等の集音デバイスを含み、ユーザが発話した音声を集音してもよい。この場合には、集音された音声に対して音響解析や自然言語処理等の各種解析処理が施されることで、この音声が示す内容がユーザからの指示として認識される。また、入力装置260として適用されるデバイスは、ユーザからの指示を認識する方法に応じて適宜変更されてもよい。また、入力装置260として複数種類のデバイスが適用されてもよい。
【0029】
ネットワークI/F270は、外部の装置とのネットワークを介した通信に利用される。なお、ネットワークI/F270として適用されるデバイスは、通信経路の種別や適用される通信方式に応じて適宜変更されてもよい。
【0030】
CPU210は、ROM220又は補助記憶装置240に記憶されたプログラムをRAM230に展開し、このプログラムを実行することで、
図5に示す管理システム1の機能構成や、
図6に示すフローチャートで示された処理が実現される。
【0031】
<機能構成>
図5を参照して、本実施形態に係る管理システム1の機能構成の一例について、特に、情報処理装置100及び情報収集ユニット193の機能構成に着目して説明する。
【0032】
まず、情報収集ユニット193の機能構成について説明する。
図1及び
図2を参照して説明したように、情報収集ユニット193は、運搬装置190の保持部191と所定の位置関係となるように、当該運搬装置190に支持される。例えば、
図2に示す例では、情報収集ユニット193は、撮像部194と保持部191の所定の一部(例えば、フォーク中心)とが所定の位置関係となるように支持されている。
【0033】
情報収集ユニット193は、撮像部194と、通信部196とを含む。撮像部194は、
図1及び
図2に示す撮像部194に相当する。
【0034】
通信部196は、情報収集ユニット193の各構成が、所定のネットワークを介して外部の装置(例えば、情報処理装置100)との間で情報やデータを送受信するための構成である。なお、通信部196を実現するためのデバイスは、情報やデータの送受信に利用されるネットワークの種別に応じて適宜変更されてもよい。具体的な一例として、情報収集ユニット193が他の装置と無線のネットワークを介して情報やデータの送受信が行う場合には、通信部196は、使用する無線信号の周波数帯に応じたアンテナや変調器等を含んでもよい。なお、以降では、情報収集ユニット193の各構成が他の装置と情報やデータの送受信を行う場合には、特に説明が無い限りは、通信部196を介して情報やデータの送受信が行われるものとする。
【0035】
次いで、情報処理装置100の機能構成について説明する。情報処理装置100は、通信部101と、認識部102と、管理部103と、記憶部104とを含む。また、情報処理装置100は、出力部105を含んでもよい。
【0036】
通信部101は、情報処理装置100の各構成が、所定のネットワークを介して外部の装置(例えば、情報収集ユニット193)との間で情報やデータを送受信するための構成である。なお、情報収集ユニット193における通信部196と同様に、通信部101を実現するためのデバイスについては、情報やデータの送受信に利用されるネットワークの種別に応じて適宜変更されてもよい。また、以降では、情報処理装置100の各構成が他の装置と情報やデータの送受信を行う場合には、特に説明が無い限りは、通信部101を介して情報やデータの送受信が行われるものとする。
【0037】
記憶部104は、情報処理装置100内の各部が処理を実行するためのデータやプログラムを記憶する記憶領域である。また、記憶部104は、情報処理装置100内の各部が生成した情報やデータを記憶してもよい。
なお、記憶部104は、例えば、情報処理装置100に内蔵された記憶装置により実現されてもよい。また、他の一例として、記憶部104は、情報処理装置100とは異なる外部の記憶装置により実現されてもよい。具体的には、記憶部104は、情報処理装置100に対して外付けされた記憶装置により実現されてもよいし、情報処理装置100とネットワークを介して接続された記憶装置により実現されてもよい。
【0038】
認識部102は、撮像部194による撮像結果に応じた画像を情報収集ユニット193から取得し、取得した当該画像に基づき、撮像された作業場所の種別を識別する。例えば、認識部102は、取得した画像に対して画像解析を施し、当該画像解析の結果に基づき、当該画像に撮像された作業場所の種別を識別してもよい。
【0039】
より具体的には、認識部102は、取得した撮像画像に対して画像解析を施すことで、当該撮像画像に撮像された被写体の特徴に応じた特徴量を抽出し、当該特徴量に基づき、作業場所の種別を識別してもよい。この場合には、認識部102は、例えば、被写体の形状や色等の視覚的な特徴に応じた特徴量を抽出し、抽出した特徴量を、従前に作業場所(例えば、載置領域)の規定に係る指標等について抽出された特徴量と比較する。そして、認識部102は、当該比較の結果に基づき、撮像画像に被写体として撮像された作業場所の種別を識別してもよい。
また、この際に、認識部102は、作業場所の特徴(形状や色等)に応じた特徴量に限らず、例えば、当該作業場所に付されたマーカやタグ等の特徴に応じた特徴量を利用して、当該作業場所の認識を行ってもよい。
なお、この場合には、比較対象となる特徴量に関する情報については、例えば、認識部102が読み出し可能な記憶領域(例えば、記憶部104)に記憶させておくとよい。
【0040】
また、認識部102は、運搬の対象となる物品に関する物品情報(例えば、製造元、物品の種別、サイズ、重量に関する情報等)を取得し、当該物品情報を、作業場所の種別の識別に利用してもよい。
具体的には、物品のサイズや重量に応じて、積み込みや積み下ろしが行える作業場所が制限される場合がある。また、同じ作業場所であったとしても、当該作業場所において対象となる物品に対して実行可能な作業が異なる場合がある。また、対象となる物品の種別に応じて、当該物品の運搬に係る動線上の各作業場所において、当該物品に対して実行される作業が異なるような場合もある。このような場合には、同じ作業場所であったとしても、作業場所の種別が物品ごとに異なるものとして識別される方がより望ましい場合がある。
そのため、認識部102は、例えば、取得した物品情報と、撮像画像の解析結果と、の組み合わせに基づき、当該解析結果が、対象となる物品の運搬に係る状態の管理上において、どの作業場所の種別に該当するかを識別してもよい。
例えば、従前に作業場所の規定に係る指標等について抽出された特徴量のうち、取得した物品情報に基づき特定された特徴量と、撮像画像から抽出した特徴量との比較結果に基づき、作業場所の種別を識別してもよい。
【0041】
なお、認識部102が、運搬に係る状態の管理の対象となる物品を識別することが可能であれば、その方法は特に限定されない。
具体的な一例として、認識部102は、運搬装置190に対する作業指示(物品の運搬に係る指示)に関する情報に基づき、当該運搬装置190が運搬の対象とする物品を識別してもよい。この場合には、認識部102は、運搬装置190から当該作業指示に関する情報を取得してもよいし、当該運搬装置190に作業指示を行う管理サーバから当該作業指示に関する情報を取得してもよい。
また、他の一例として、認識部102は、撮像部194等による物品の撮像結果に応じた画像に基づく、当該物品の認識結果を利用して、当該物品を識別してもよい。
もちろん、認識部102は、対象となる物品に付されたマーカの読み取り結果に応じて、当該物品を識別してもよい。
また、他の一例として、認識部102は、物品の運搬を行う運搬装置190に応じて、当該物品を識別してもよい。具体的には、運搬対象となる物品によっては、運搬を行うことが可能な運搬装置190が限られる場合がある。また、特定の運搬装置190に対して、運搬対象となる物品に関する特定の工程があらかじめ割り当てられる場合もある。このような場合には、対象となる物品の運搬を行う運搬装置190を特定することで、当該物品を識別することが可能である。
【0042】
また、認識部102として、所謂機械学習に基づき構築された識別器を適用することも可能である。
具体的な一例として、認識部102は、作業場所の規定に係る指標を事前の機械学習に基づき個別に識別し、当該識別の結果に基づき、当該作業場所の種別を識別してもよい。この場合には、作業場所の規定に係る指標の認識に関する教師データ(例えば、当該指標の撮像画像)を利用した教師あり学習に基づき、上記識別器が構築されてもよい。
また、他の一例として、認識部102は、作業場所自体を事前の機械学習に基づき識別してもよい。この場合には、作業場所の種別ごとの教師データを利用した教師あり学習に基づき、上記識別器が構築されてもよい。
【0043】
以上のようにして、認識部102は、情報収集ユニット193から取得した撮像画像に基づき作業場所の種別を識別し、識別結果に応じた情報を管理部103に出力する。なお、上述の通り、認識部102から出力される、作業場所の種別の識別結果に応じた情報は、撮像部194による撮像結果に応じた画像に基づいている。すなわち、認識部102から出力される当該情報が、「運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた情報」の一例に相当する。
【0044】
管理部103は、運搬の対象となる1以上の物品それぞれについて、作業場所の種別の識別結果に応じた情報を認識部102から取得し、当該情報に基づき当該1以上の物品それぞれの運搬に係る状態の管理(換言すると、荷役管理)を行う。
【0045】
例えば、管理部103は、運搬装置190による物品の積み込みまたは積み下ろしが行われるタイミングで取得された撮像画像に基づく作業場所の種別の識別結果に応じた情報を、画像の撮像が行われた時系列に沿って記録してもよい。管理部103は、以上のようにして記録した情報を利用することで、対象となる物品が、どの作業場所で積み込みが行われ、どの作業場所で積み下ろしが行われたかや、途中に一時的に積み下ろし及び積み込みが行われたか等を認識することが可能である。これにより、管理部103は、対象となる物品の運搬に係る動線を管理することが可能となる。
【0046】
また、管理部103は、運搬の対象となる物品に関する物品情報(例えば、製造元、物品の種別、サイズ、重量に関する情報等)を取得し、当該物品情報を、当該物品の運搬に係る状態の管理に利用してもよい。具体的な一例として、管理部103は、対象となる物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別の識別結果に応じた情報と、当該物品の物品情報と、を関連付けて、相互に関連付けられたこれらの情報に基づき、当該物品の運搬に係る状態の管理を行ってもよい。また、この際に、管理部103は、上述した例のように、当該相互に関連付けられたこれらの情報を、画像の撮像が行われた時系列に沿って記録することで、対象となる物品の運搬に係る動線を管理してもよい。
【0047】
なお、上記はあくまで一例であり、管理部103が、認識部102による作業場所の種別の識別結果を利用して管理することが可能であれば、管理の対象となる物品の運搬に係る状態の種別は、上述した例には限定されない。
また、管理部103が、認識部102による作業場所の種別の識別結果を利用して、管理の対象となる物品の運搬に係る状態を管理する方法についても、上述して例には限定されない。例えば、管理部103は、物品の積み込みまたは積み下ろしが行われたタイミングや運搬中における運搬装置190の位置情報を取得し、当該位置情報を当該物品の運搬に係る状態の管理に利用してもよい。これにより、作業場所の種別の識別結果に対応する、実際の作業場所の候補が複数存在するような場合においても、位置情報と組み合わせることで、対象となる作業場所の候補を絞る(ひいては、対象となる作業場所を特定する)ことが可能となる。なお、運搬装置190の位置情報については、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)や屋内測位に用いられるビーコン等の技術に基づき取得することが可能である。
【0048】
管理部103は、物品の運搬に係る状態の管理に関するデータを、所定の記憶領域(例えば、記憶部104)に記憶させてもよい。これにより、管理部103は、例えば、物品の運搬に係る状態の管理結果を時系列に沿ってデータとして記録しておくことも可能となる。
【0049】
また、管理部103は、物品の運搬に係る状態の管理結果に応じた情報やデータを所定の出力先に出力してもよい。
具体的な一例として、管理部103は、物品の運搬に係る状態の管理結果に応じた情報を出力部105に出力させることで、当該情報をユーザに提示してもよい。これにより、例えば、物品の運搬に係る一連の工程のうちのどの工程まで終了したか(例えば、どこまでも運搬が完了したか)をユーザに報知することも可能となる。
また、他の一例として、管理部103は、物品の運搬に係る状態の管理結果に応じたデータを、ネットワークを介して他の装置に送信してもよい。これにより、当該他の装置は、当該データに基づき物品の運搬に係る状態を認識することが可能となり、ひいては、当該状態の認識結果を他の処理の実行に利用することも可能となる。
【0050】
出力部105は、各種情報を出力することで、当該情報をユーザに提示する。
例えば、出力部105は、ディスプレイ等のようの表示デバイスを含んでもよい。この場合には、出力部105は、提示対象となる情報に応じた表示情報を表示させることで、当該情報をユーザに提示してもよい。
また、出力部105は、所謂スピーカ等のような音響出力デバイスを含んでもよい。この場合には、出力部105は、提示対象となる情報に応じた音声や電子音等の音響を出力することで、当該情報をユーザに提示してもよい。
もちろん上記はあくまで一例であり、情報の提示方法に応じて、出力部105の構成が適宜変更されてもよい。
【0051】
なお、上記機能構成はあくまで一例であり、上述した各部の処理を実現することが可能であれば、必ずしも本実施形態に係る管理システム1の機能構成を限定するものではない。例えば、情報処理装置100の少なくとも一部の機能が、複数の装置が協働すること実現されてもよい。具体的な一例として、情報処理装置100の一部の機能が、情報処理装置100とは異なる他の装置により実現されてもよい。より具体的な一例として、認識部102と管理部103とのそれぞれに相当する機能構成が、互いに異なる他の装置に設けられていてもよい。このように、本実施形態に係る管理システム1の技術思想を逸脱しない範囲であれば、管理システム1の一部の構成や処理が適宜変更されてもよい。
【0052】
また、上記では、運搬装置190が1台の場合に着目して説明したが、複数の運搬装置190が管理の対象となってもよい。この場合には、情報処理装置100が、各運搬装置190に支持された情報収集ユニット193から情報やデータを取得した際に、当該情報や当該データの送信元を特定できるとよい。具体的な一例として、情報収集ユニット193は、送信対象となる情報やデータに対して自身の識別情報を関連付けたうえで、当該情報や当該データを情報処理装置100に送信すればよい。これにより、情報処理装置100は、受信した情報やデータに関連付けられた識別情報に基づき、当該情報や当該データの送信元を識別することが可能となる。また、情報処理装置100は、どの情報収集ユニット193がどの運搬装置190に支持されているかを示す情報をあらかじめ保持しておくことで、送信元の情報収集ユニット193の特定結果に基づき、対応する運搬装置190を特定することも可能となる。これにより、情報処理装置100は、各運搬装置190の識別結果に基づき、当該運搬装置190が運搬対象とする物品(荷物等)を特定することも可能となる。
【0053】
<処理>
図6を参照して、本実施形態に係る管理システム1の処理の一例について、特に、情報処理装置100の処理に着目して説明する。
【0054】
S101において、情報処理装置100(認識部102)は、運搬装置190による物品の積み込みまたは積み下ろしに係る動作に応じた、撮像部194による当該運搬装置190の周囲の環境の撮像結果に応じた画像を取得する。以上のようにして、情報処理装置100は、運搬装置190により物品の積み込みまたは積み下ろしが行われた作業場所の風景が撮像された撮像画像を取得する。
また、情報処理装置100は、積み込みまたは積み下ろしが行われた物品(換言すると、運搬対象となる物品)に関する物品情報を取得してもよい。なお、前述したように、物品情報の取得方法については特に限定されない。
また、S101の処理が、運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた画像や、当該運搬装置による運搬の対象となる物品に関する物品情報の取得に係る取得処理の一例に相当する。
【0055】
S102において、情報処理装置100(認識部102)は、取得した撮像画像に対して画像解析を施し、当該画像解析の結果に基づき、当該撮像画像に撮像された作業場所の種別を識別する。この際に、情報処理装置100は、運搬対象となる物品に関する物品情報を、作業場所の種別の識別に利用してもよい。
なお、S102の処理が、作業場所の種別を識別する識別処理の一例に相当する。
【0056】
S103において、情報処理装置100(管理部103)は、運搬の対象となる1以上の物品それぞれについての、積み込みまたは積み下ろしが行われた作業場所の種別の識別結果に基づき、当該1以上の物品それぞれの運搬に係る状態の管理を行う。
例えば、情報処理装置100は、運搬装置190による物品の積み込みまたは積み下ろしが行われるタイミングで取得された撮像画像に基づく作業場所の種別の識別結果に応じた情報を、画像の撮像が行われた時系列に沿って記録してもよい。情報処理装置100は、以上のようにして記録した情報を利用することで、対象となる物品の運搬に係る動線を管理してもよい。
これにより、例えば、情報処理装置100は、物品の運搬に係る状態の管理結果に応じた情報を所定の出力部(例えば、出力部105)に出力させることで、当該情報をユーザに提示することも可能となる。
なお、S103の処理が、物品の運搬に係る状態を管理する管理処理の一例に相当する。
【0057】
<実施例>
続いて、
図7を参照して、本実施形態に係る管理システム1の実施例として、情報処理装置100による物品の運搬に係る状態の管理の一例について説明する。
図7は、情報処理装置100による物品の運搬に係る状態の管理の一例として、特に、対象となる物品の運搬に係る動線の管理の概要について示している。
【0058】
図7に示す例では、運搬装置190により物品(荷物)の積み込みまたは積み下ろしが行われる作業場所の一例として、互いに種別の異なる作業場所321、322、及び323が示されている。作業場所321は、運搬装置190により運搬対象となる物品の積み込みが行われる作業場所を示している。また、作業場所323は、運搬装置190により運搬された物品の積み下ろしが行われる作業場所を示している。すなわち、
図7に示す例は、運搬装置190により運搬対象となる物品が、作業場所321から作業場所323まで運搬される状況を模式的に示している。また、作業場所322は、運搬対象となる物品の調整や修繕が必要な場合に、一時的に当該物品の積み下ろしが行われ、物品の調整や修繕が行われた後に再度当該物品の積み込みが行われる作業場所を示している。
【0059】
以上のような前提のもとで、例えば、運搬対象となる物品の調整や修繕が行われない場合には、当該物品は、作業場所321において運搬装置190により積み込みが行われ、その後、作業場所323において積み下ろしが行われる。この場合には、情報処理装置100は、作業場所321の種別の認識結果と、作業場所323の種別の認識結果と、のそれぞれに応じた情報を、この順序で時系列に沿って記録することとなる。すなわち、当該情報を利用することで、対象となる物品の運搬に係る動線として、当該物品が、調整場である作業場所322を経由せずに、作業場所321から作業場所323に運搬されたことを認識することが可能となる。例えば、
図7に示す経路1は、運搬対象となる物品の調整や修繕が行われない場合における、当該物品の運搬に係る動線を模式的に示している。
【0060】
これに対して、運搬対象となる物品の調整や修繕が行われる場合には、当該物品は、作業場所321において運搬装置190により積み込みが行われ、作業場所322で一時的に積み下ろし及び積み込みが行われた後に、作業場所323において積み下ろしが行われる。この場合には、情報処理装置100は、作業場所321の種別の認識結果と、作業場所322の種別の認識結果と、作業場所323の種別の認識結果と、のそれぞれに応じた情報を、この順序で時系列に沿って記録することとなる。すなわち、当該情報を利用することで、対象となる物品の運搬に係る動線として、当該物品が、調整場である作業場所322を経由して、作業場所321から作業場所323に運搬されたことを認識することが可能となる。例えば、
図7に示す経路2は、運搬対象となる物品の調整や修繕が行われない場合における、当該物品の運搬に係る動線を模式的に示している。
【0061】
また、情報処理装置100は、上述した物品ごとの運搬に係る動線の認識結果を、当該物品に関する物品情報(例えば、製造元、物品の種別、サイズ、重量に関する情報等)と関連付けて管理してもよい。以上のようにして運搬対象となる物品ごとに情報が管理されることで、例えば、当該情報に基づき、どのような製品が調整や修繕の対象となっているかを分析することも可能となる。
具体的な一例として、ある特定の物品に関して、一部の製造元で製造された物品を対象として頻繁に調整や修繕が発生している場合には、このことを、物品ごとの運搬に係る動線の認識結果に関連付けられた物品情報に基づき特定することが可能である。すなわち、この場合には、例えば、一部の製造元での物品の製造工程に問題がある可能性があることを推測することが可能である。
また、他の一例として、ある特定の物品に関して、製造元に限らず、頻繁に調整や修繕が発生している場合についても、このことを、上記と同様の方法に基づき特定することが可能である。すなわち、この場合には、製造元以外の要因により調整や修繕が発生していることを推測することが可能である。また、この場合には、調整や修繕が発生している物品(すなわち、作業場所322を経由して運搬される物品)の物品情報を分析することで、調整や修繕が発生する要因を推測できる場合がある。
また、他の一例として、物品ごとの運搬に係る動線の認識結果が、通常時の動線(例えば、あらかじめ規定した動線)と異なるか否かを判別することも可能である。この場合には、例えば、通常時の動線のパターンをあらかじめ記録しておき、時系列に沿って記録された、作業場所の種別の認識結果に応じた情報を当該パターンと照合することで、対象となる物品の運搬に係る動線の認識結果が通常時の動線と異なるか否かを判別すればよい。
【0062】
また、物品に対して複数の工程に分けて作業が行われ、かつ一部の工程において他の工程とは異なる作業場所で作業が行われる状況下では、互いに異なる工程間において、前工程に対応する作業場所から、後工程に対応する作業場所に物品が運搬される場合がある。このような状況下では、例えば、情報処理装置100は、作業場所の種別の識別結果に応じた物品の運搬に係る状態に基づき、運搬対象となる物品に関連する作業の作業工程の管理を行ってもよい。この場合には、例えば、情報処理装置100は、作業場所の種別の識別結果に基づき、当該作業場所で運搬対象となる物品に行われる作業が、一連の工程のうちのどの工程に対応するかを特定することで、当該物品に関連する作業の作業工程の管理を行ってもよい。また、他の一例として、情報処理装置100は、各工程に対して作業場所の種別をあらかじめ対応付けておくことで、作業場所の種別の識別結果に基づき、対応する工程を逆算することで、物品に関連する作業の作業工程の管理を行ってもよい。
【0063】
以上、本実施形態に係る管理システム1の実施例として、情報処理装置100による物品の運搬に係る状態の管理の一例について、特に、対象となる物品の運搬に係る動線の管理に着目して説明した。
【0064】
<変形例>
続いて、本実施形態に係る管理システム1の変形例として、運搬の対象となる物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別の識別に、所謂機械学習に基づき構築された識別器を適用する場合の一例について説明する。なお、本変形例では、特徴をよりわかりやすくするために、運搬装置190が「フォークリフト」であり、撮像部194による撮像結果に応じた撮像画像に基づき作業場所の種類の識別が行われる場合の一例について説明する。
【0065】
(学習フェーズ)
まず、機械学習に基づき識別器を構築する学習フェーズについて説明する。識別器の構築には、例えば、教師あり学習を適用するとよい。具体的には、教師データとして、運搬の対象となる物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所(例えば、「調整場」等)の風景が撮像された画像を利用する。また、この際に、運搬対象となる物品ごとに、当該物品に対応する作業場所の画像が教師データとして利用されてもよい。加えて、運搬対象となる物品の物品情報が教師データとして利用されてもよい。以上のような教師データを識別器に入力することで、当該識別器に、どのような画像がどのような作業場所に相当するかを学習させる。
なお、撮像画像に基づき作業場所の種類を識別機に学習させることが可能であれば、そのための機械学習のアルゴリズムは限定されない。
【0066】
また、教師データとして使用される作業場所の風景が撮像された画像については、実際に識別が行われる状況下と類似した状態の作業場所の風景の画像が使用されることがより望ましい。具体的な一例として、物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の画像の場合には、物品が配置されていない作業場所の風景の画像よりも、実際に物品が配置されている作業場所の風景の画像の方が、教師データとしてはより望ましい。なお、配置される物品(荷物等)の種別や、物品が配置される位置について、多様なパターンが存在する場合がる。このような場合には、作業場所の種別ごとに実態にあわせて多様なパターンの画像が教師データとして使用されるとより望ましい。
【0067】
(識別フェーズ)
上述した機械学習に基づき構築された識別器は、
図5に示す認識部102として適用される。具体的には、撮像部194による撮像結果に応じた撮像画像が識別器(認識部102)に入力されると、当該識別器により、当該撮像画像が、運搬の対象となる物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別のいずれに該当するが識別され、当該識別の結果が出力される。
【0068】
具体的な一例として、フォークリフトが積み込み場所に到着すると、フォーク上にパレットや荷物が載せられる前に、撮像部194によりフォークリフトの周囲の環境が撮像され、撮像画像が情報収集ユニット193から情報処理装置100に送信される。情報処理装置100は、情報収集ユニット193から送信された当該撮像画像を識別器(認識部102)に入力し、当該識別器からの出力として、作業場所の種類の識別結果を取得する。これにより、情報処理装置100は、対象となる物品の積み込みが、どの種別の作業場所で行われたかを認識することが可能となる。
【0069】
次いで、フォークリフトが積み込み場所で物品の積み込みを行った後に、積み降ろし場所に移動し、運搬した当該物品の積み下ろしを行ったものとする。荷物の積み下ろしが行われると、その後に撮像部194によりフォークリフトの周囲の環境が撮像され、撮像画像が情報収集ユニット193から情報処理装置100に送信される。情報処理装置100は、情報収集ユニット193から送信された当該撮像画像を識別器に入力し、当該識別器からの出力として、作業場所の種類の識別結果を取得する。これにより、情報処理装置100は、対象となる物品の積み下ろしが、どの種別の作業場所で行われたかを認識することが可能となる。
【0070】
なお、情報収集ユニット193(撮像部194)が、フォークリフトによる物品の積み込みまたは積み下ろしのタイミングを認識する方法は特に限定されない。
具体的な一例として、情報収集ユニット193は、フォークや当該フォークに保持された物品の撮像結果に応じた画像を利用して当該フォークによる物品の保持状態を認識することで、物品の積み込みまたは積み下ろしのタイミングを認識してもよい。この場合には、例えば、情報収集ユニット193は、フォークに物品が保持されていない状態から、フォークに物品が保持された状態に遷移したタイミングを、物品の積み込みが行われたタイミングとして認識してもよい。これに対して、情報収集ユニット193は、フォークに物品が保持された状態から、フォークに物品が保持されていない状態に遷移したタイミングを、物品の積み下ろしが行われたタイミングとして認識してもよい。
また、他の一例として、情報収集ユニット193は、フォーク操作に係るボタン等の操作デバイスがユーザからの操作を受け付けた場合に出力されるシグナルを利用して、物品の積み込みまたは積み下ろしのタイミングを認識してもよい。
また、他の一例として、情報収集ユニット193は、センサ等の検知部よるフォークの状態の検知結果を利用して、物品の積み込みまたは積み下ろしのタイミングを認識してもよい。
【0071】
以上、本実施形態に係る管理システム1の変形例として、運搬の対象となる物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別の識別に、所謂機械学習に基づき構築された識別器を適用する場合の一例について説明した。
【0072】
<補足>
実施形態として上述した例はあくまで一例であり、必ずしも管理システム1を実現するための構成や、当該管理システム1の処理を限定するものではない。すなわち、上述した技術思想を逸脱しない範囲で、管理システム1の構成や処理の一部が適宜変更されてもよい。
【0073】
具体的な一例として、情報処理装置100の各機能構成のうち少なくとも一部の構成が、情報収集ユニット193側に設けられていてもよい。具体的な一例として、認識部102に相当する構成が、情報収集ユニット193側に設けられていてもよい。
また、他の一例として、情報収集ユニット193と情報処理装置100とが一体的に構成されていてもよい。この場合には、情報処理装置100側の機能構成に相当する部分(例えば、認識部102や管理部103)が、情報収集ユニット193側の機能構成(例えば、撮像部194)から撮像画像を取得する処理が、撮像結果に応じた画像を取得する取得処理の一例に相当する。
【0074】
また、上記では運搬装置190としてフォークリフトが適用される場合の一例について説明したが、必ずしも本実施形態に係る管理システム1の適用先を限定するものではない。すなわち、荷物等の物品を何らかの方法で保持する保持部を備え、当該保持部により物品を保持した状態で当該物品を運搬する装置の状態(特に、物品の運搬に係る状態)を管理するような場合には、本実施形態に係る管理システム1を適用することが可能である。
具体的な一例として、運搬装置190としてクレーンを適用することも可能である。この場合には、例えば、クレーンのフックに相当する部分が保持部191の一例に相当する。
また、他の一例として、ショベルカーやブルドーザー等の工作機械を本実施形態に係る管理システム1における運搬装置190と見立てて、当該工作機械の状態の管理を行うことも可能である。この場合には、例えば、ショベルカーやブルドーザーのバケットに相当する部分が、保持部191の一例に相当する。
【0075】
<むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム1において、情報処理装置100は、取得手段と、識別手段と、管理手段とを備える。取得手段は、物品を保持した状態で移動可能に構成された運搬装置の周囲の環境の撮像結果に応じた画像と、当該運搬装置による運搬の対象となる前記物品に関する物品情報と、を取得する。識別手段は、上記画像と上記物品情報とに基づき、運搬の対象となる上記物品の積み込みまたは積み下ろしに係る作業場所の種別を識別する。管理手段は、運搬の対象となる上記物品に関する上記作業場所の種別の識別結果に基づき、当該物品の運搬に係る状態を管理する。
以上のような構成により、本実施形態に係る管理システム1に依れば、作業場所にマーカを付すことが困難な状況下においても、作業場所の風景の撮像結果に応じた画像に基づき当該作業場所の種別を識別し、当該識別の結果を荷役管理に利用することが可能となる。すなわち、本実施形態に係る管理システム1に依れば、マーカの有無に依存せずに、より好適な態様で荷役作業の管理を実現することが可能となる。また、マーカを利用せずに作業場所の種別を特定可能であるため、例えば、マーカの読み取りが可能な位置に運搬装置を移動させるといった煩雑な作業が不要となり、作業効率を向上させる効果を期待することも可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 管理システム
100 情報処理装置
101 通信部
102 認識部
103 管理部
104 記憶部
105 出力部
190 運搬装置
191 保持部
192 支持部
193 情報収集ユニット
194 撮像部
196 通信部