(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】集積回路においてインダクタおよびパターングランドシールドを実装するための回路および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20230911BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230911BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230911BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
H01L27/04 L
H01F17/00 B
H01F41/04 C
(21)【出願番号】P 2019536149
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 US2017064022
(87)【国際公開番号】W WO2018128733
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-10-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-04
(32)【優先日】2017-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウパディアヤ,パラグ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ジン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】市川 武宜
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-514745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H01F 17/00
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路デバイスであって、
基板と、
複数の金属配線相互接続層と、
前記複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層において形成されたインダクタと、
前記複数の金属配線相互接続層と前記基板との間の下部金属層を備え、
パターングランドシールドは、前記下部金属層に形成され、
前記複数の金属配線相互接続層は、一方向金属層を備え、前記下部金属層は一方向金属層であり、前記下部金属層は交互金属トレースを有し、前記下部金属層における各交互金属トレースは一方向のみに延在
し、かつ、上方からの平面視において交互配置されたビアに接続される、集積回路デバイス。
【請求項2】
前記パターングランドシールドは、前記下部金属層と前記基板との間のコンタクト要素を用いて前記基板に結合される、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項3】
前記コンタクト要素は、前記基板上に形成された拡散コンタクト要素を備える、請求項2に記載の集積回路デバイス。
【請求項4】
前記パターングランドシールドの上方に延在し、前記インダクタを取り囲む分離壁をさらに備え、前記分離壁は第1の金属トレースおよび第2の金属トレースを含み、前記交互金属トレースの各々は、ビアによって、前記第1の金属トレースおよび前記第2の金属トレースのうちの対応する1つにそれぞれ結合される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の集積回路デバイス。
【請求項5】
前記パターングランドシールドは、M0層またはM1層のいずれかにおいて形成される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の集積回路デバイス。
【請求項6】
前記分離壁は、前記インダクタのための電流帰路を備える、請求項4に記載の集積回路デバイス。
【請求項7】
前記インダクタは
二方向金属層を備える複数の金属層において形成される、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の集積回路デバイス。
【請求項8】
集積回路デバイスであって、
基板と、
複数の金属配線相互接続層と、
前記複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層において形成されたインダクタと、
パターングランドシールドの上方に延在し、前記インダクタを取り囲む分離壁とを備え、前記分離壁は、第1の金属トレースおよび第2の金属トレースを含み、第1の金属トレースおよび第2の金属トレースの各々は、前記複数の金属配線相互接続層のうちの下部層の上にあり隣接する、前記複数の金属配線相互接続層のうちの金属配線相互接続層にあり、
前記パターングランドシールドは、前記複数の金属配線相互接続層のうちの前記下部層において形成され、前記下部層は一方向金属層であり、前記パターングランドシールドは、前記複数の金属配線相互接続層のうちの前記下部層において下部金属トレースを備え、前記第1の金属トレースおよび前記第2の金属トレースは、それぞれのビアによって前記下部金属トレースの交互のものに接続される、集積回路デバイス。
【請求項9】
前記パターングランドシールドは、コンタクト要素を用いて前記基板に結合される、請求項8に記載の集積回路デバイス。
【請求項10】
前記分離壁は、前記基板へと延在する、請求項9に記載の集積回路デバイス。
【請求項11】
前記インダクタは、前記複数の金属配線相互接続層のうちの上部金属層において形成される、請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の集積回路デバイス。
【請求項12】
集積回路デバイスの実装方法であって、
複数の金属配線相互接続層を提供することと、
前記複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層においてインダクタを形成することと、
前記複数の金属配線相互接続層と基板との間の下部金属層でパターングランドシールドを形成することとを備え、前記パターングランドシールドを形成することは、異なるマスク
を用いて前記下部金属層において交互金属トレースを形成することを備える、方法。
【請求項13】
前記パターングランドシールドを前記基板に前記下部金属層と前記基板との間のコンタクト要素を用いて結合することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターングランドシールドの上方に延在し、前記インダクタを取り囲む分離壁を提供することと、前記分離壁を用いて前記インダクタのための電流帰路を提供することとをさらに備える、請求項12または請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般に集積回路デバイスに関し、特に、集積回路においてインダクタおよびパターングランドシールドを実装するための回路および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
インダクタは、多くの電子デバイスの重要な要素である。インダクタはまた、集積回路の発振器内等、集積回路において実装され得る。しかし、集積回路の密度が増加し続けるにつれて、ノイズは、集積回路の特定の回路に影響し得る。インダクタは、ノイズによって影響され得る集積回路の1つの要素であり得、集積回路の品質ファクタ、またはQファクタを改善するためにシールディングを要し得る。
【0003】
一般に、らせん状インダクタと関連付けられたパターングランドシールド(PGS)金属は、基板ノイズのシールディングおよびピックアップを可能とし、並びにらせん状インダクタのQファクタを高めることを可能とする。理論的に、PGSが、らせん状インダクタのH場に対して透過とされることができ、任意の伝導電流を導くことなくらせん状インダクタのE場を電気的に損失の多い基板に侵入するのを阻止することができる場合、らせん状インダクタのQファクタは、改善されることができる。集積回路産業が7ナノメートル(nm)以下のトランジスタチャネル長さ寸法に移行するにつれて、一方向金属および金属マスク着色が必要とされ得、このことは、集積回路デバイスにおいてPGSの実装を複雑にする。
【0004】
従って、集積回路においてインダクタを実装するための回路および方法が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
集積回路デバイスが説明される。集積回路デバイスは、基板と、複数の金属配線相互接続層と、複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層において形成されたインダクタと、複数の金属配線相互接続層と基板との間の下部金属層とを含む。パターングランドシールドは、下部金属層に形成される。
【0006】
任意に、パターングランドシールドは、下部金属層と基板との間のコンタクト要素を用いて基板に結合され得る。
【0007】
任意に、コンタクト要素は、基板上に形成された拡散コンタクト要素を含み得る。
任意に、集積回路デバイスは、パターングランドシールドの上方に延在し、インダクタを取り囲む分離壁をさらに含み得る。
【0008】
任意に、パターングランドシールドは、M0層またはM1層のいずれかにおいて形成され得る。
【0009】
任意に、分離壁は、インダクタのための電流帰路を含み得る。
任意に、複数の金属配線相互接続層は、一方向金属層を含み得る。
【0010】
任意に、下部金属層は、一方向金属層を含み得る。
任意に、インダクタは、二方向金属層を含む複数の金属層において形成され得る。
【0011】
任意に、集積回路デバイスのトランジスタは、10ナノメートル以下のゲート幅を有し得、下部金属層は、約20ナノメートルのトレース幅を有する金属トレースを有し得る。
【0012】
別の集積回路デバイスは、基板と、複数の金属配線相互接続層と、複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層において形成されたインダクタと、パターングランドシールドの上方に延在し、インダクタを取り囲む分離壁とを備え、パターングランドシールドは、複数の金属配線相互接続層のうちの下部層において形成され、下部層は、一方向金属層であり、下部層の上方の複数の金属配線相互接続層のうちの層のトレースを使用して分離壁に接続される。
【0013】
任意に、パターングランドシールドは、複数の金属配線相互接続層のうちの層のトレースを用いて基板に結合され得る。
【0014】
任意に、分離壁は、基板へと延在し得る。
任意に、集積回路デバイスのトランジスタは、10ナノメートル以下のゲート幅を有し得、下部金属層は、約20ナノメートルのトレース幅を有する金属トレースを有し得る。
【0015】
任意に、インダクタは、複数の金属配線層のうちの上部金属層において形成され得る。
集積回路デバイスの実装方法もまた説明される。方法は、複数の金属配線相互接続層を提供することと、複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層においてインダクタを形成することと、複数の金属配線相互接続層と基板との間の下部金属層においてパターングランドシールドを形成することとを備える。
【0016】
任意に、方法は、パターングランドシールドを下部金属層と基板との間のコンタクト要素を用いて基板に結合することをさらに含み得る。
【0017】
任意に、方法は、パターングランドシールドの上方に延在し、インダクタを取り囲む分離壁を提供することと、分離壁を用いてインダクタのための電流帰路を提供することをさらに含み得る。
【0018】
任意に、パターングランドシールドを形成することは、M0層またはM1層のいずれかにおいてパターングランドシールドを形成することを含み得る。
【0019】
任意に、集積回路デバイスのトランジスタは、10ナノメートル以下のゲート幅を有し得、下部金属層は、約20ナノメートルのトレース幅を有する金属トレースを有し得る。
【0020】
他の特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲の考察から認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】インダクタを使用して発振器を実装するための回路のブロック図である。
【
図2】金属相互接続配線層と基板との間の下部金属層を示す集積回路デバイスの金属層の断面図である。
【
図3】パターングランドシールドおよび分離壁の上面図である。
【
図4】下部金属層の上方に実装されたインダクタの第1の金属層を示す平面図である。
【
図5】下部金属層の上方において実装されたインダクタの第2の金属層を示す平面図である。
【
図6】下部金属層の上方において実装されたインダクタの第3の金属層を示す平面図である。
【
図7】7-7線に沿う金属層を示す第1の断面図である。
【
図8】8-8線に沿う金属層を示す第2の断面図である。
【
図9】9-9線に沿う金属層を示す第3の断面図である。
【
図10】金属相互接続配線層においてパターン化されたグランドシールドの実装を示す断面図である。
【
図11】分離壁308の形成を可能とするためのM0層上の接続ビアを示す上面図である。
【
図12】分離壁308の金属層M1のトレースを示す上面図である。
【
図13】両方のマスク層と関連付けられたトレースを電気的に接続する頂部金属層のトレースを示す上面図である。
【
図14】下部金属層においてパターン化されたグランドシールドの実装の改善された動作を示す図である。
【
図15】集積回路においてインダクタを実装する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本明細書は、新規と考えられる本発明の1つまたは複数の実装形態の特徴を規定する請求項を含むが、回路および方法は、図面と併せた説明の考察からよりよく理解されると考えられる。様々な回路および方法が開示されるが、これらの回路および方法は、様々な形態で具体化することができる本発明の構成の単なる例示であることを理解されたい。したがって、本明細書内に開示される特定の構造上および機能上の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に請求項の根拠としておよび当業者に本発明の構成を事実上任意の適切な詳細な構造において様々に用いることを教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および語句は、限定することを意図するものではなく、むしろ回路および方法の理解可能な説明を提供することを意図している。
【0023】
PGSの実装は、有線および無線通信の両方におけるLCタンクのために望ましい。以下に述べるシステムおよび方法は、より高い自己共振周波数(SRF)を可能とするMEOL(ミドルエンドオブライン)層を使用するPGSを説明する。回路および方法は、高速通信を可能とし、スケール化されたプロセスの一方向メタライゼーションを用いて機能することができる。すなわち、7nmゲート幅へのトランジスタスケーリングはまた、以下に説明するように金属層M0~M4といった相互接続金属のスケーリングをもたらす。リソグラフィ制約のために、必要なスケール化された金属ピッチを実現するため、自己整合二重パターニング(SADP)またはさらに自己整合四重パターニング(SAQP)が必要とされ得る。パターニング問題のために、設計は、禁じられたピッチまたは非常に限定されたピッチの組を有する好ましい配向または一方向設計にさらされ得る。SADPを用いて実装された7nmトランジスタを有するデバイスでは、一方向金属は、製造中に必要とされ得、このことは、インダクタのためのPGSの設計を複雑化する。回路および方法は、一方向Mx金属層を利用する7nmおよびサブ7nmトランジスタ技術の要件を満たすことができる。
【0024】
7nmトランジスタ技術と関連付けられた一方向金属の金属トレースの実装は、らせん状インダクタのQファクタを改善するために使用されるパターングランドシールドの設計を難しくする。回路および方法は、PGSを実現するために一方向金属およびマスク着色を使用してらせん状インダクタのQファクタを改善する。PGSは、より高いレベルの導電性金属層に接続されるPGSのエッジにおけるP+拡散を利用し得る。 Hi-Kプロセスにおいて従来使用されてきたM1層よりも低いM0層は、より高い自己共振周波数(SRF)および高いQファクタのらせん状インダクタを達成するために、インダクタに対する低い寄生キャパシタンスを保証するために利用される。PGS構造は、分離壁におけるノイズピックアップおよび電気的ノイズシールディングの機能性を維持するだけでなく、電気的に損失の多い基板へのらせん状インダクタのE場の侵入を減らし、伝導電流がPGS金属上を流れるのを阻止し、このことはまた、らせん状インダクタのQファクタを改善するのに役立つ。らせん状インダクタのためのPGSは、P+拡散につながれたらせん状インダクタの下のグランドM0スタブと、M1およびより高いレベルの金属を使用した所定の電流帰路として使用される分離壁とを利用する。
【0025】
まず
図1を参照して、インダクタを使用して発振器100を実装するための回路のブロック図が示される。発振器は、第1のノード112と第2のノード114との間の第1のキャパシタ110と並列に結合された第1のインダクタ108を備える。第1のキャパシタ110は、電圧制御されたキャパシタといった可変キャパシタであり、このことは、キャパシタと関連付けられたキャパシタンスを選択するためにキャパシタのプログラム可能な制御を可能とする。インダクタ108の第1のノード116は、ノード112に結合され、インダクタの第2のノード118は、ノード114に結合され、同時にインダクタの中心タップ120は、ここに例としてVCCと示される基準電圧に結合される。キャパシタの第1のノード122は、ノード112に結合され、同時にキャパシタの第2のノード124は、ノード114に結合される。以下により詳細に説明するように、第1のノード112および第2のノード114間で生成された発振信号は、出力として生成されることができる。
【0026】
第1のトランジスタ126および第2のトランジスタ128を含む交差結合された第1のトランジスタの対はまた、第1のノード112および第2のノード114とノード129との間に結合される。特に、第1のトランジスタ126のドレイン130は、ノード112に結合され、同時にゲート132は、ノード114に結合される。第1のトランジスタのソース134は、ノード129に結合される。第2のトランジスタのドレイン136は、ノード114に結合され、ゲート138は、ノード112に結合される。ソース140は、ノード129に結合される。電流源146はまた、ノード129に結合される。
図1の回路が例として示されているが、発振器を実装するために他の回路が使用されることができるということ、そして以下により詳細に説明するインダクタが発振器以外の回路に実装されることができるということが理解されるべきである。トランジスタ126およびトランジスタ128、並びに発振器100を有する集積回路デバイスのその他のトランジスタは、10ナノメートル(nm)以下のゲート幅、たとえば7nmのゲート幅等を有するトランジスタを用いて形成されることができるということが留意されるべきである。
【0027】
今度は
図2を参照して、金属相互接続配線層とシリコン基板との間の下部金属層を示す集積回路デバイスの金属層の断面図が示される。より具体的に、たとえばシリコン基板であり得る基板202は、さまざまなミドルエンドオブライン(MEOL)およびバックエンドオブライン(BEOL)金属層を提供され、これらを受ける。金属層M0 204(MEOL層と考えられる)層として指定される第1の金属層は、ここで金属層M1 206、金属層M2 208、金属層M3 210、および金属層M4 212として示される複数の金属配線相互接続層の下方に提供される。BEOL層である金属層M1~M4は、金属配線相互接続層を備え、集積回路デバイス内の信号を経路指定するためのトレースを提供し、短いまたは長いトレースを使用して任意の距離において集積回路デバイス内の経路指定を可能とする。対照的に、金属層M0は、ビア216およびコンタクト要素220を用いる等、基板に対して垂直な接続を可能とするトレース214を含む。しかし、M0層におけるトレースは、一般に高抵抗トレースであり、長い距離に及ぶ配線経路を提供するするのに一般に適さない。金属層M0は、金属配線相互接続層M1~M4とは異なる材料で作られ得、またはこれらよりも薄くあり得、大きい抵抗がもたらされる。たとえばP+拡散接点であり得る接点220は、M0層のトレース214およびビア216の下方のシリコン基板のために提供され得、シリコン基板に結合され得る。
【0028】
M0層はまた、トランジスタの要素を可能とし得る。 たとえば、金属層M0のトレース222は、ビア224によってポリシリコン層226およびゲート228に結合され得る。 以下により詳細に説明するように、PGSは、金属層M0において提供される。下部金属層上方の4つの金属層が例として示されるが、多くの集積回路デバイスにおいて17個の金属層といったより多くの金属層が実装され得るということが理解されるべきである。金属配線相互接続層のトレースは、異なる寸法を有し得、金属層M1~M4といったより低い金属層は、より小さい寸法を有し得、したがって一方向金属層として実装され得るということにも留意されるべきである。一方向金属層は、実装可能なパターンに関連付けられた制約を有し得る。たとえば、トレースが一方向金属層において1つの方向のみに延在することが可能であるので、一方向金属層において90度の角度を有するトレースを形成することは可能ではなく、このことは、「L」または「T」形状の形成を阻止する。90度の角度を有することを可能とするトレース金属層は、二方向金属層と考えられることができる。例として、M0トレース幅およびピッチ(すなわちトレース間の間隔)は、M2およびM3層のためのトレース幅およびピッチと同様であり得る。M1トレース幅は、金属層M2およびM3よりも幅広であり得、そのピッチは、わずかに大きくあり得る。M4トレース幅およびそのピッチは、M1トレースよりもさらに幅広であり得る。M0,M2,M3のトレースのための最小の幅およびピッチは、約20nmであり得、同時にM1トレースは、約23nmのトレース幅および34nmのピッチを有し得る。M4トレースは、約38nmの幅および約38nmのピッチを有し得る。
【0029】
今度は
図3を参照して、パターングランドシールド302の上面図が示される。特に、パターングランドシールド302は、インダクタのコイル部分の形状と一致するように、ここでは八角形にされるように示される。パターングランドシールドは、別個のマスク層を使用して形成され、ここでは別個のトレース304およびトレース306を形成するように示される。 異なるマスクによって形成される金属トレースの実装は、破線の箱11によって指定されるパターングランドシールドの拡大部分を示す
図11~
図13を参照してより詳細に説明される。分離壁308のトレースを示す
図7~
図10において示されかつ以下で詳細に説明されるように、分離壁308は、グランドパターンシールド302から上側に延在する。
図4~
図6において示されかつ以下で詳細に説明されるように、分離壁の第2の部分310は、変圧器脚部の両側上におよびこれらに隣接して分離壁312を備える。
【0030】
今度は
図4~
図6を参照すると、デュアルモード発振器の実装を可能とするインダクタを有する異なる金属層の平面図が示される。変圧器は、外側インダクタL1および内側インダクタL0を含む。内側インダクタL0は、領域を減らすために外側インダクタの内側に配置される。インダクタL0は、直列の複数の金属の層を備え、これによりそれは、その大きさがより小さくてもL1と同じインダクタンスを有する。反対方向に延在して大きさを大きくする従来の変圧器脚部とは異なり、または一般に対称的ではない同じ側の脚部に対して、従来のLC VCO設計のためにより適したレイアウトを作るために、L1およびL0の脚部は、同じ側で終端し、発振器の中心の左右それぞれに対称的に延在するように設計される。
【0031】
特に、インダクタL0に関連付けられた変圧器脚部402および変圧器脚部404と、接点部分のインダクタL1に関連付けられた変圧器脚部406および変圧器脚部408とは、
図4に示されるように、コイル部分に結合される。変圧器脚部402は、インダクタL0の第1の端子を備え、変圧器脚部404は、インダクタL0の第2の端子を備える。同様に、変圧器脚部406は、インダクタL1の第1の端子を備え、変圧器脚部408は、インダクタL1の第2の端子を備える。以下により詳細に説明するように、変圧器脚部は、集積回路の金属層においてトレースを備え、隣接する金属層間を延在するビアによって複数の金属層において共に結合される。したがって、変圧器脚部は、3つの金属層を通して連続的な構造を形成する。変圧器脚部402は、第1のコイル部分410に延在し、端412に続く。 第2のコイル部分416は、第1のコイル部分410の内側にあり、第1の端418から第2の端422に延在する。第1のコイルの部分424は、端426から変圧器脚部404に延在する。
【0032】
変圧器脚部と同様に、インダクタンスを増加させるためにより大きなコイルを提供するために、異なる金属層において重畳するコイルの部分は、ビアによってコイルの部分の長さに沿って接続される。以下により詳細に説明されるように、
図4~
図6のコイル構造を作成するために、開口は、異なるコイルの部分間の接続を可能とするために提供される。ビア部分の位置は、破線において示され、その他の金属層における「交差」が開口を形成することを可能にする位置を示す。たとえば、
図4の下部金属の上方のビアは、
図5の金属層のトレースへの接続を可能とし、ここで領域428および領域430に対応するビアの部分は、コイル部分410を超えて通過することを可能とする。開口および交差は、
図7~
図9を参照してより詳細に説明される。
【0033】
外側コイル部分はまた、いくつかのコイル部分を備え、ここでコイル部分の上方のビアの領域は、インダクタのその他の要素を超えて通過することを可能とする。特に、インダクタL1の外側リングと関連付けられたコイル部分440は、端442から端446に延在し、ここで領域448は、
図4におけるインダクタの別の要素と交差することを可能とするために、
図5の交差要素に結合される。 インダクタL1の外側コイルと関連付けられたコイル部分450は、端454から端456に延在する。外側リングと関連付けられたコイル部分460はまた、第1の端462から第2の端466に延在し、同時にコイル部分470は、端472から端476に延在し、ここで領域478におけるビアは、
図4の金属層の要素を超えて交差することを可能とするために使用される。
【0034】
タップ部分480は、インダクタL1の中心タップに結合され、同時にタップ部分482は、インダクタL0の中心タップに結合される。タップ部分482は、第1の端484(
図5の金属層の要素の下を交差することを可能とするためにビアが使用される領域486を有する)から第2の端487(
図5の金属層の要素の下を交差することを可能とするためにビアが使用される領域488を有する)に延在する。すなわち、領域448および領域474における
図4の金属層の上方のビアは、タップ部分482上を交差するために
図5の金属層において交差要素を可能とする。
【0035】
図5に示されるインダクタの中間層はまた、インダクタL0およびインダクタL1の両方の要素を含む。特に、変圧器脚部502は、別の要素を超えて交差すること可能とするために
図5の金属層の上方のビア層においてビアが使用される領域516を有する端514に至る第1のコイル部分510に延在する。第2のコイル部分518は、第1のコイル部分510の内側にあり、第1の端520(別の要素を超えて交差すること可能とするために
図5の金属層の上方のビア層においてビアが使用される領域522を有する)から第2の端524に延在する。インダクタL0のコイル部分530は、端531から変圧器脚部504に延在する。変圧器脚部506および変圧器脚部508も提供される。領域532は、
図5の要素を超えて交差すること可能とするためのビアを含む。
【0036】
外側コイル部分はまた、端542(
図5においてインダクタの別の要素を超えて交差すること可能とするために交差要素に結合された領域544を有する)から端546(
図5においてインダクタの別の要素を超えて交差すること可能とするために交差要素に結合された領域548を有する)に延在するインダクタL1の外側リングと関連付けられたコイル部分540を含むいくつかのコイル部分を備える。インダクタL1の外側コイルと関連付けられたコイル部分550は、端552(
図5においてインダクタの別の要素を超えて交差すること可能とするために交差要素に結合された領域554を有する)から端556(
図5においてインダクタの別の要素を超えて交差すること可能とするために交差要素に結合された領域558を有する)に延在する。外側リングと関連付けられたコイル部分560はまた、第1の端562(
図5においてインダクタの別の要素を超えて交差すること可能とするために交差要素に結合された領域564を有する)から第2の端566(
図5においてインダクタの別の要素を超えて交差すること可能とするために交差要素に結合された領域568を有する)に延在する。領域572を有するタップ部分570は、タップL1と関連付けられ、同時にタップ部分574(
図6の交差部分を可能とするビアの領域576を有する)およびタップ部分578(
図6の交差部分を可能とするビアの領域579を有する)は、インダクタL0のためのタップと関連付けられる。
【0037】
最後に、頂部層が
図6に示され、インダクタL0と関連付けられた変圧器脚部602および変圧器脚部604と変圧器脚部606および変圧器脚部608とは、ビアによって層5の対応する変圧器脚部502および変圧器脚部504と層4の対応する変圧器脚部402および変圧器脚部404とに結合される。内側コイルL0と関連付けられた中心コイル部分610は、第1の端612(領域524に対応する領域613を有する)から第2の端614(領域615を有し、この下方において内側コイルL0の部分に結合するためにビアが使用される)に延在する。中心タップ領域616(領域617を有し、この下方において内側コイルL0のためのタップ部分578に結合するためにビア579が使用される)は、中心コイル部分610の中心において示される。外側コイルL1は、端622から中心タップ領域626(領域628を有し、この下方において外側コイルL1のためのタップ570に結合するためにビアが使用される)を通って変圧器脚部606へと延在する部分620を含む。外側コイルL1はまた、端632から変圧器脚部608に延在する部分630を含む。
図6のタップ要素640は、内側コイルL0のためのその他のタップに結合され、ここで領域644の下方の端642におけるビアは、内側コイルL0のためのその他のタップ要素に結合される。インダクタL0およびL1の各々は、複数の周を有して示されているが、それらは、単一の周を有することができるということが理解されるべきである。さらに、インダクタのコイルは、八角形の形状を有して示されているが、それらは、四角形、六角形、円形等のその他の形状を有することができる。
【0038】
今度は
図7~
図10を参照して、断面図は、分離壁308の構成と、異なる金属層において特定の位置にある要素が、ビアに接続されず、したがって要素の上下の金属層における金属要素の上下のくぼみをそれぞれ通過する方法を示す。基板202は、金属層M0のパターングランドシールド302に、たとえば拡散コンタクト要素であり得るコンタクト要素704によって結合される。壁308は、M0金属層である金属層702において実装されたパターングランドシールド302から、ビア708に結合された金属層M1 706およびインダクタ108を形成するために使用される金属層間のその他の金属層を含む、交互のビアと金属層とを使用して上側に延在する。例として、
図7の集積回路デバイスにおいて17個の金属層が使用され、金属層M15~M17は、インダクタ108および壁308を形成するために使用される。
図7に示されるように、壁308は、ビア層714のビアによって金属層712に結合された金属層710を使用して形成される。金属層716はまた、バイアル層718のビアによって金属層712に結合される。
【0039】
7-7線に沿う
図7の断面図はまた、3つの金属層(
図4~6における連続的な金属層に対応する金属層710,712,716を含む)において要素が、要素の上下のビアに接続されず、したがって開口を通過する方法を示す。 たとえば、ビアは、タップ部分482を通過することを可能とするために金属層710の部分に結合されない。さらに、次の金属層712において、コイル部分530およびコイル部分550の部分は、コイル部分が通過できるくぼみを作成するためにビアに接続されない。たとえば、コイル部分550の部分は、ビアに接続されず、したがってコイル部分620の部分の下を通過可能である。最後に、コイル部分620の部分は、中心タップ領域616をタップ要素640に接続する
図6の金属層716の上方の金属層におけるトレースの下を通過する。
【0040】
くぼみを通って延在する内側コイルの要素は、8-8線に沿う
図8において例として示される。たとえば、コイル部分410の部分は、ビアに接続されず、コイル部分530の部分の下方に延在する。同様に、コイル部分530の部分は、中心コイル部分610の下方に延在する。
図7および
図8の断面は、例として提供され、コイルの部分が電気的接点を作成することなく別のコイルを通って延在することを可能とするためにくぼみおよび交差要素が作成される方法を示す。
図9に示されるように、第3の断面図は、側壁の壁308を含む変圧器脚部を通る9-9線に沿う金属層を示す。
【0041】
今度は
図10を参照して、断面図は、M0金属層よりもむしろ金属相互接続配線層におけるパターングランドシールドの実装を示す。
図10に示されるように、金属層M0においてパターングランドシールドを実装するよりもむしろ、パターングランドシールドは、金属層M1において実装される。7nm以下の寸法を有するトレースを有する集積回路デバイスにおいて一方向金属トレースが実装されるときに、「T」または「L」パターンを形成するために直角トレースによる接続といったすべての必要な接続を作ることは可能ではない。金属層M1が金属層M0の上方の一方向金属層であるので、パターングランドシールドは、
図10に示されるような金属層M2 1004といった別の金属層を使用して壁308に結合される。より具体的に、パターングランドシールド1008は、ビア1010およびビア1012を用いて金属層M2の対応するトレース1014およびトレース1016に結合され、その各々は、分離壁308に結合される。ビア層1002は、示されるようにトレース1014およびトレース1016と壁308との基板702への結合を可能とする。
【0042】
今度は
図11~
図13を参照して、上面図は、分離壁308を形成すること可能とするために異なる金属層と関連付けられたトレースおよびビアを示す。
図11に示されるように、異なるマスク層1104およびマスク層1106によって形成される金属層M0の金属トレース上のビア1102は、トレースを金属層M1へと結合することを可能とする。トレースの狭い寸法のせいで、白またはハッシュされた影で示される交互トレースを生成するために2つの別個のマスク層が使用されなければならない。
図12に示されるように、トレース1202およびトレース1204は、各々のマスク層に対して、マスク層のトレースの結合を可能とする。上記の例において金属層M17である頂部金属層は、
図13に示されるようにトレース1302およびトレース1304を使用して2つのマスク層の金属層を一緒に結合することを可能とする。
【0043】
今度は
図14を参照して、図面は、下部金属層においてパターン化されたグランドシールドを実装することを含む改善された動作を示す。実線によって示されるように金属層M0においてPGSを実装することによって、インダクタによって提供されるインダクタンスは、典型的な周波数の使用範囲においてより線形であり、より広い周波数の使用範囲を提供する。インダクタコイルがより高い金属において実装されるので、コイルからM0への距離は、最大である。それゆえ、インダクタは、より低い寄生キャパシタンスを有し、より大きな動作範囲を可能とする。M1またはより高いものがPSGのために使用される場合、寄生はより高く、したがってSRFを減らす。より高いSRFは、ラインレートの増加をサポートするために重要であり、このことは、回路がより高い周波数で動作することを要することを意味し、オンチップインダクタの寄生キャパシタンスによって限定されることができる。M0層においてPGSを有するインダクタ構成のためのSRFは、7nmトランジスタを有するデバイスに対しM1層においてPGSを有するインダクタよりも8~10%より高い。例として、インダクタのためのSRFが従来のデバイスのインダクタ構成に対し36ギガヘルツ(GHz)であったとした場合、それは、M0層においてPGSを有するインダクタ構成に対して約39.6GHzである。
【0044】
今度は
図15を参照して、フローチャートは、集積回路においてインダクタを実装する方法を示す。特に、複数の金属配線相互接続層は、ブロック1502において提供される。 金属配線層は、金属層M0の上方の金属層のうちの任意のものであることができる。複数の金属配線相互接続層のうちの少なくとも1つの金属層におけるインダクタは、ブロック1504において形成される。上述のように
図4~
図6を参照してインダクタまたはいくつかのその他の適したインダクタは、実装されることができる。複数の金属配線相互接続層と基板との間の下部金属層におけるパターングランドシールドは、ブロック1506において形成される。グランドパターンシールドは、たとえばM0金属層において形成されることができる。パターングランドシールドは、ブロック1508において下部金属層と基板との間のコンタクト要素を用いて基板に結合される。
【0045】
パターングランドシールドの上方に延在し、インダクタを取り囲み、インダクタのための変圧器脚部に沿って延在する分離壁は、ブロック1510において提供される。分離壁の1つまたは複数の開口を通って延在するインダクタのための変圧器脚部は、ブロック1512において提供される。インダクタのための電流帰路は、ブロック1514において分離壁を用いて提供される。
図15の方法のさまざまな要素は、上述のように
図1~
図14の回路の任意の要素を使用して、またはいくつかのその他の適した回路を使用して実装され得る。
【0046】
方法の特定の要素が説明されるが、方法の追加の要素、または要素に関連する追加の詳細は、
図1~
図14の開示にしたがって実装され得ることが理解されるべきである。
【0047】
したがって、デュアルエッジクロッキングを実装する集積回路においてデュアルモード発振器を実施するための新しい回路および方法が説明されたことを理解することができる。当業者は、開示された発明を組み込んだ多数の代替物および均等物が存在すると理解されることを理解するであろう。結果として、本発明は、前述の実施形態によって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。