(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】システム及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2020001620
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】高島 真彦
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大作
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-038593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/40- 1/409
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の装置と通信を行う送受信装置に接続された画像処理装置と、表示装置に接続された端末装置とを含むシステムであって、
前記画像処理装置は、
画像データを2種類以上の出力モードでそれぞれ出力するときにおける出力画像データの評価値を、前記出力モード毎に算出する評価値算出部と、
前記出力モード毎の前記評価値に基づく情報を含む評価情報を、前記送受信装置を介して前記端末装置に送信する評価情報送信部と、
を備え、
前記端末装置は、
前記評価情報を受信した場合、前記出力モード毎に、当該出力モードに対応する前記評価値に基づく情報を前記表示装置に表示する制御を行う表示制御部
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記評価情報には、前記出力モード毎に、対応する出力画像データの再取得を行うための情報が含まれ、
前記端末装置は、前記出力画像データの再取得を行うための情報に基づき、前記出力画像データの再取得の要求を前記画像処理装置に送信する再取得要求送信部を更に備え、
前記画像処理装置は、前記要求を受信した場合、当該受信した要求に対応する出力画像データを、前記要求を送信した端末装置に送信する出力画像データ送信部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記評価情報には、前記出力モード毎の出力画像データのサムネイル画像を含み、
前記表示制御部は、前記出力モード毎に、当該出力モードに対応する前記サムネイル画像を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記出力モード毎に、当該出力モードで出力することの妥当性を示す情報を表示することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、
前記評価値に基づき、前記2種類以上の出力モードのうち前記画像データの出力モードとして妥当性が最も高い出力モードを判定する出力モード判定部と、
前記妥当性が最も高い出力モードの前記出力画像データを、利用者によって指定された装置に送信する出力画像データ送信部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から
4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記評価情報送信部は、前記端末装置から評価情報を送信する要求を受信した場合に前記評価情報を送信することを特徴とする請求項1から
5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像処理装置は、原稿を読み取り、画像データとして入力する入力装置と接続されていることを特徴とする請求項1から
6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
外部の装置と通信を行う送受信装置に接続された画像処理装置であって、
画像データを2種類以上の出力モードでそれぞれ出力するときにおける出力画像データの評価値を、前記出力モード毎に算出する評価値算出部と、
前記出力モード毎の前記評価値に基づく情報を含む評価情報を、前記送受信装置を介して他の装置に送信する評価情報送信部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記評価情報には、前記出力モード毎に、対応する出力画像データの再取得を行うための情報が含まれ、
前記評価情報を送信した前記他の装置から前記出力画像データの再取得を行うための情報に基づく要求を受信した場合、当該受信した要求に対応する出力画像データを、当該他の装置に送信する出力画像データ送信部を更に備えることを特徴とする請求項
8に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像処理システムが目覚ましい発達を遂げ、デジタル画像処理技術の構築が進んでいる。例えば、電子写真方式又はインクジェット方式を用いた複写機、複合機(MFP:Multi-Function Printer)等の分野では、文書の原稿がスキャナで読み取られて電子データである文書ファイルとして保存され、また、保存された文書ファイルが管理されている。更には、文書ファイルを圧縮してe-mailで送信することがなされている。
【0003】
昨今では、自動シートフィーダ(ADF:Auto Document Feeder)が搭載されたMFPが普及している。利用者は、読み取らせたい原稿をADFにセットすることで、MFPが備えるスキャナに、原稿を自動で順次搬送して一面ずつ画像を読み取らせることができる。このようなMFPにより、利用者に対して、原稿をスキャンするたびに、利用者がMFPに読み取らせたい面を原稿台にセットさせ直すといった負担を軽減させることができる。
【0004】
一方で、異なる属性の原稿が混在しているにも関わらず、利用者が、複数の原稿をADFにセットして同一の設定でMFPに読み取らせたときは、一部の原稿において品質の低い、もしくは過剰に品質の高い読み取り結果が得られるケースもある。例えば、フルカラーでプリントされた原稿と白黒2値でプリントされた原稿とが混在するとき、全ての原稿を白黒2値もしくはグレースケールの画像として読み取られると、フルカラーの原稿において、色の情報が失われ、文字や写真などが不鮮明になる場合がある。また、白い下地の用紙上に黒い色材で印字された文字のみからなる原稿がフルカラーの画像として読み取られると、本来必要のない色の情報が付加され、ファイルサイズが膨大になる場合がある。
【0005】
上記のような状況を鑑みて、例えば、MFPが、読み取った画像から色の有無などを検出して、その検出結果に応じて処理を切り替えるオートカラーセレクション(ACS:Auto Color Selection)の技術が開示されている。また、MFPが、読み取った画像が有彩色を含まず無彩色のみで構成されたモノクロ画像であると判断した場合に、更に白黒2値や8ビットグレースケール(256階調)などの出力方式(出力モード)のうち、いずれの出力モードで出力すべきかを判定する技術も開示されている。
【0006】
例えば、MFPが読み取った画像のうちモノクロ画像としてファイル化すべき画像について、多値画像データに対応した第1の符号化処理と、2値画像データに対応した第2の符号化処理とのいずれを用いて符号化するかを利用者に選択させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。開示された技術によれば、モノクロ画像としてファイル化すべき画像を一覧形式で表示部に表示し、利用者が入力部を通じて指定した画像ごとに、白黒2値で出力するか、グレースケールで出力するかを利用者が選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、MFPが読み取った画像を出力したときに失われる情報を情報損失と定義する。許容できる情報損失の程度や基準は利用者によって異なり、画像形成装置によって判定された出力モードが、利用者にとっては適切な出力モードではない場合がある。利用者が適切な出力モードで画像データが出力されたと判断しなかったとき、利用者は、他の出力モードで出力したときの画像データを確認するために、再度読み取り操作を行う必要がある。特許文献1に記載の技術は、画像形成装置によって判定された出力モードにより画像データを出力しているに過ぎず、他の出力モードで出力した場合における画像データの状態を把握することができない。
【0009】
また、特許文献1には、画像データを出力した場合のプレビュー画像を画像形成装置の表示部に表示する技術が記載されているが、1の画像データを複数の出力モードでそれぞれ出力した場合を容易に比較することはできない。また、原稿の数が多い場合、それぞれの原稿のプレビュー画像を確認するために、長時間画像形成装置を占有してしまうという問題がある。
【0010】
上述した課題に鑑み、本発明は、2種類以上の出力モードでそれぞれ画像データを出力するときの評価情報を端末装置に表示することが可能なシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための第1の実施態様は、外部の装置と通信を行う送受信装置に接続された画像処理装置と、表示装置に接続された端末装置とを含むシステムであって、
前記画像処理装置は、
画像データを2種類以上の出力モードでそれぞれ出力するときにおける出力画像データの評価値を、前記出力モード毎に算出する評価値算出部(例えば、
図2の制御部70、
図7のステップS104)と、
前記出力モード毎の前記評価値に基づく情報含む評価情報を、前記送受信装置を介して前記端末装置に送信する評価情報送信部(例えば、
図2の制御部70、
図7のステップS114)と、
を備え、
前記端末装置は、
前記評価情報を受信した場合、前記出力モード毎に、当該出力モードに対応する前記評価値に基づく情報を前記表示装置に表示する制御を行う表示制御部(例えば、
図6の制御部300、
図10のステップS154)
を備えたシステムである。
【0012】
第2の実施態様は、前記評価情報には、前記出力モード毎に、対応する出力画像データの再取得を行うための情報が含まれ、
前記端末装置は、前記出力画像データの再取得を行うための情報に基づき、前記出力画像データの再取得の要求を前記画像処理装置に送信する再取得要求送信部(例えば、
図6の制御部300、
図10のステップS164)を更に備え、
前記画像処理装置は、前記要求を受信した場合、前記要求を送信した端末装置に、当該受信した要求に対応する出力画像データを送信する要求出力画像データ送信部(例えば、
図2の制御部70、
図9のステップS142~ステップS148)を更に備えた第1の実施態様のシステムである。
【0013】
第3の実施態様は、前記評価情報には、前記出力モード毎の出力画像データのサムネイル画像を含み、
前記表示制御部は、前記出力モード毎に、当該出力モードに対応する前記サムネイル画像を表示する(例えば、
図6の制御部300、
図10のステップS160)第1又は第2の実施態様のシステムである。
【0014】
第4の実施態様は、前記表示制御部は、前記出力モード毎に、当該出力モードで出力することの妥当性を示す情報を表示する(例えば、
図6の制御部300、
図10のステップS156)第1から第3の何れかの実施態様のシステムである。
【0015】
第5の実施態様は、前記画像処理装置は、前記出力モード毎に、前記画像データの画素又は複数画素からなるブロックのうち、情報損失の程度が大きいブロックを特定する特定部(例えば、
図2の制御部70、
図15のステップS204)を更に備え、
前記評価情報には、前記情報損失の程度が大きいブロックを示す情報を含み、
前記表示制御部は、前記出力モード毎に、前記情報損失の程度が大きいブロックを表示する(例えば、
図6の制御部300、
図16のステップS252)第1から第4の何れかの実施態様のシステムである。
【0016】
第6の実施態様は、前記画像処理装置は、
前記評価値に基づき、前記2種類以上の出力モードのうち前記画像データの出力モードとして妥当性が最も高い出力モードを判定する出力モード判定部(例えば、
図2の制御部70、
図19のステップS302)と、
前記妥当性が最も高い出力モードの前記出力画像データを、利用者によって指定された装置に送信する出力画像データ送信部(例えば、
図2の制御部70、
図19のステップS304)と、
を更に備えた第1から第5の何れかの実施態様のシステムである。
【0017】
第7の実施態様は、前記評価情報送信部は、前記端末装置から評価情報を送信する要求を受信した場合に前記評価情報を送信する(例えば、
図2の制御部70、
図14のステップS188、ステップS114)第1から第6の何れかの実施態様のシステムである。
【0018】
第8の実施態様は、前記画像処理装置は、原稿を読み取り、画像データとして入力する入力装置(例えば、
図2の画像入力装置10)と接続されている、第1から第7の何れかの実施態様のシステムである。
【0019】
第9の実施態様は、外部の装置と通信を行う送受信装置に接続された画像処理装置であって、
画像データを2種類以上の出力モードでそれぞれ出力するときにおける出力画像データの評価値を、前記出力モード毎に算出する評価値算出部(例えば、
図2の制御部70、
図7のステップS104)と、
前記出力モード毎の前記評価値に基づく情報を含む評価情報を、前記送受信装置を介して他の装置に送信する評価情報送信部(例えば、
図2の制御部70、
図7のステップS114)と、
を備えた画像処理装置である。
【0020】
第10の実施態様は、前記評価情報には、前記出力モード毎に、対応する出力画像データの再取得を行うための情報が含まれ、
前記評価情報を送信した前記他の装置から前記出力画像データの再取得を行うための情報に基づく要求を受信した場合、当該受信した要求に対応する出力画像データを、当該他の装置に送信する出力画像データ送信部(例えば、
図2の制御部70、
図9のステップS142~ステップS148)を更に備えた第9の実施態様の画像処理装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、2種類以上の出力モードでそれぞれ画像データを出力するときの評価情報を端末装置に表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態におけるシステムの全体構成を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態における画像形成装置の機能構成を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態における第1画像処理部及び第2画像処理部の機能構成を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態における評価値情報のデータ構成を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態におけるレポート情報のデータ構成を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態における端末装置の機能構成を説明するための図である。
【
図7】第1実施形態における画像形成装置のメイン処理の流れを示すフロー図である。
【
図8】第1実施形態におけるレポート情報記憶処理の流れを示すフロー図である。
【
図9】第1実施形態における再取得処理の流れを示すフロー図である。
【
図10】第1実施形態における端末装置のメイン処理の流れを示すフロー図である。
【
図11】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図12】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図13】第1実施形態における動作例を示す図である。
【
図14】第1実施形態の実施例1における画像形成装置のメイン処理の流れを示すフロー図である。
【
図15】第2実施形態における画像形成装置のメイン処理の流れを示すフロー図である。
【
図16】第2実施形態における端末装置のメイン処理の流れを示すフロー図である。
【
図17】第2実施形態における動作例を示す図である。
【
図18】第2実施形態における動作例を示す図である。
【
図19】第3実施形態における画像形成装置のメイン処理の流れを示すフロー図である。
【
図20】第3実施形態における動作例を示す図である。
【
図21】第4実施形態における動作例を示す図である。
【
図22】第5実施形態における画像読取装置の機能構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、一例として、本発明を適用したシステムについて説明する。
【0024】
[1.第1実施形態]
[1.1 全体構成]
本実施形態におけるシステム1の全体構成を、
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、システム1は、画像形成装置2と、端末装置3とがネットワークNWを介して接続されて構成される。ネットワークNWとしては、LAN(Local Area Network)が想定されるが、例えば、インターネットであってもよい。
【0025】
画像形成装置2は外部から入力される画像データを記録シート(例えば、記録用紙等)に画像を形成したりすることで、画像を出力する装置であり、カラーコピー機能およびカラースキャナ機能等を有するデジタル複合機である。端末装置3は、例えばPC(Personal Computer)や、タブレットやスマートフォンといった装置であり、画像形成装置2の利用者によって使用される装置である。
【0026】
[1.2 機能構成]
[1.2.1 画像形成装置]
図2を参照して、第1実施形態に係る画像形成装置2の機能構成を説明する。
図2に示すように、画像形成装置2は、画像入力装置10、画像処理装置20、送受信装置30、画像出力装置40、操作パネル50、記憶部60、制御部70を備えて構成される。
【0027】
画像形成装置2で実行される各種処理は、制御部70が画像入力装置10、画像処理装置20、送受信装置30、画像出力装置40、操作パネル50、記憶部60を制御して実行される。制御部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成される。また、制御部70は、ネットワークカードおよびLANケーブルを介して、ネットワークに接続されたコンピュータおよび他のデジタル複合機等とデータ通信を行う。
【0028】
[1.2.1.1 画像入力装置]
画像入力装置10は、原稿から画像を光学的に読み取る装置である。また、画像入力装置10は、読み取った画像の画像データに処理を施し、処理が施された画像データを出力する。画像入力装置10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を有するカラースキャナからなり、原稿からの反射光像を、CCDを用いてRGB(R:赤,G:緑,B:青)のアナログ信号として読み取る。
【0029】
また、画像入力装置10は、画像処理装置20が接続されている。画像入力装置10は、画像データを画像処理装置20へ出力する。
【0030】
[1.2.1.2 画像処理装置]
画像処理装置20は、画像入力装置10から出力された画像データから圧縮ファイルを生成したり、記録シート等に形成(出力)する画像の画像データを生成したりする。
【0031】
画像処理装置20は、画像入力装置10から入力されたRGBのアナログ信号に対して、A/D変換部202、シェーディング補正部204、原稿種別判定部206、入力階調補正部208、領域分離処理部210、出力モード判定部212にて画像処理を実行することによって、RGBのデジタル信号(以下、RGB信号という)からなる画像データを生成する。
【0032】
A/D変換部202は、画像入力装置10から画像処理装置20へ入力されたRGBのアナログ信号を受け付け、RGBのアナログ信号をRGBのデジタル信号(即ちRGB信号)へ変換する処理を行う。また、A/D変換部202は、変換したRGB信号をシェーディング補正部204へ出力する。
【0033】
シェーディング補正部204は、A/D変換部202から入力されたRGB信号に対して、シェーディング補正の処理を行う。シェーディング補正部204は、シェーディング補正として、例えば、RGB信号に対して、画像入力装置10の照明系、結像系および撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を行う。次いで、シェーディング補正部204は、歪みを取り除いたRGB信号を原稿種別判定部206へ出力する。
【0034】
原稿種別判定部206は、シェーディング補正部204から入力されたRGB信号を用いて、文字、写真、又は印画紙等の原稿のモードを判別する原稿種別判別処理を行う。また、原稿種別判定部206は、入力されたRGB信号を入力階調補正部208に出力する。原稿種別判別処理の処理結果は、後段の処理部における画像処理に反映される。
【0035】
入力階調補正部208は、入力されたRGB信号に対して、階調を補正する処理を行う。入力階調補正部208は、階調の補正処理として、例えば、カラーバランスの調整、下地濃度の除去、およびコントラストの調整等の処理を行う。入力階調補正部208は、次に、処理を行ったRGB信号を領域分離処理部210へ出力する。
【0036】
領域分離処理部210は、入力階調補正部208から入力されたRGB信号が表す画像中の各画素を、文字領域、網点領域、又は写真領域のいずれかに分離する処理を行う。また、領域分離処理部210は、分離結果に基づき、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号を、第1画像処理部216の空間フィルタ処理部2004および階調再現処理部2010へ出力する。又は、領域分離処理部210は、領域識別信号を、第2画像処理部218の黒生成下地除去部2104、空間フィルタ処理部2106および階調再現処理部2110へ出力する。更に、領域分離処理部210は、入力階調補正部208から入力されたRGB信号を、出力モード判定部212に出力する。
【0037】
出力モード判定部212では、領域分離処理部210から入力されたRGB信号に基づく画像に対して、以下の処理を行う。
【0038】
(1)ACS判定処理
領域分離処理部210から入力されたRGB信号から、プッシュ画像を、有彩色を含むカラー画像として出力するか、もしくは有彩色を含まないモノクロ画像として出力するかを判定する処理を行う。なお、本実施形態において、プッシュ画像とは、画像入力装置10を介して画像処理装置20に対して入力された画像をいう。また、前記判定処理は、公知の方法を利用することができる。
【0039】
(2)評価値算出処理
ACS判定処理において、画像データをモノクロ画像として出力することを判定した場合、利用者が選択可能な複数の出力モードについて、それぞれの出力モードで画像を出力した場合の評価値を算出する。出力モードとは、画像データを出力するときに用いられる色の種類や階調値の設定といった出力方法を対応づけたものである。プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合、利用者が選択可能な出力モードとしては、例えば、以下の出力モードが考えられる。
【0040】
(a)Nビットグレースケール
1つの画素の色を、Kチャンネルに対して2ビット以上(例えば、8ビット)の情報量で色を表現するモードである。なお、本実施形態では、Nビットグレースケールを、多値ともいう。
(b)白黒2値
1つの画素の色を、Kチャンネルに対して1ビット(2階調)の情報量で色を表現するモードである。
【0041】
一般的に、画像データに含まれる画素を表現する情報量が小さくなれば、表現力が低下する。例えば、8ビットグレースケールの画像データを白黒2値の画像データとして出力すると、256階調で表現された画像データは白黒の2階調の画像データとして出力され、中間調の画素は白か黒かのいずれかの画素となる。この結果、文字の像の輪郭形状が変化して文字が判読できなくなったり(文字つぶれ)、中間調で表現された文字や模様が白い画素となり見えなくなったり(白飛び)してしまう場合がある。このように、画像データを表現する階調数が少なくなると、もともと判読できた情報が判読できなくなってしまい、情報損失が発生する。
【0042】
ここで、本実施形態において画像形成装置2は、プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合に利用者が選択可能なモードの種類は2種類以上であるとする。例えば、出力モードは、8ビットグレースケールと白黒2値との2種類であってもよいし、8ビットグレースケールと3ビットグレースケールと白黒2値との3種類であってもよい。プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合に利用者が選択可能なモードの種類や数は、仕様や、管理者等の設定等により、予め定められていることとする。
【0043】
なお、画像形成装置2は、プッシュ画像をカラー画像として出力する場合の出力モードとしては、フルカラーを選択可能とする。フルカラーとは、1つの画素の色を、R、G、Bの各チャンネルに対して、例えば、8ビット(256階調)の情報量で表現する出力モードである。
【0044】
(3)出力モード判定処理
プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合、評価値算出処理によって算出した評価値に基づき、利用者が選択可能な出力モードから1のモードを選択する処理である。
【0045】
なお、本実施形態では、プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合の出力モードは、利用者によって選択されることとする。したがって、本実施形態では、出力モード判定部212は、ACS判定処理と、評価値算出処理とを実行し、出力モード判定処理は実行しない。
【0046】
また、出力モード判定部212は、評価値算出処理において算出した評価値を、レポート情報生成部214に出力したり、評価値情報として評価値情報記憶領域64に記憶したりする。更に、出力モード判定部212は、領域分離処理部210から入力されたRGB信号を、第1画像処理部216又は第2画像処理部218に出力する。
【0047】
レポート情報生成部214は、出力モード判定部212から出力された評価値又は評価値情報記憶領域64から読み出した評価値情報に基づき、端末装置3に送信するレポートに必要な情報(レポート情報)を生成する。本実施形態におけるレポートとは、利用者に対して、利用者が選択可能な出力モードでそれぞれ画像データを出力した場合を比較するために必要な、出力モード毎の評価値に基づく情報を含んだ評価情報である。なお、レポートに含める情報は、例えば、予め決められていてもよいし、システム1の管理者等や、利用者によって設定可能であってもよい。
【0048】
また、レポートには、利用者が選択可能な出力モードでそれぞれ画像データを出力した場合を比較しやすくするために、それぞれの出力モードで画像データを出力した場合の画像データのサムネイル画像を含めてもよい。この場合、例えば、レポート情報生成部214は、後述する第1画像処理部216によって生成される画像データを取得し、所定のサイズ(例えば、縦又は横の画素数が200画素以内に収まるサイズ)に変更することでサムネイル画像を生成する。レポート情報生成部214は、利用者が選択可能な出力モードでそれぞれ画像データに対応するサムネイル画像をレポートに含めることができる。
【0049】
第1画像処理部216は、出力モード判定部212が出力したRGB信号に基づき、圧縮ファイル(圧縮された画像データ)を生成し、送受信装置30に出力する。なお、画像処理装置20は、圧縮ファイルを送受信装置30に出力する前に、圧縮ファイルを記憶部60に記憶してもよい。
【0050】
第2画像処理部218は、出力モード判定部212が出力したRGB信号に基づき、CMYK(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)のデジタル信号からなる画像データを生成して、ストリームとして画像出力装置40へ出力する。なお、画像処理装置20は、生成した画像データを画像出力装置40へ出力する前に、生成した画像データを記憶部60に記憶してもよい。
【0051】
第1画像処理部216及び第2画像処理部218について、
図3を参照して説明する。はじめに、第1画像処理部216について説明する。
図3に示すように、第1画像処理部216は色補正部2002、空間フィルタ処理部2004、解像度変換処理部2006、出力階調補正部2008、階調再現処理部2010、圧縮処理部2012を含む。
【0052】
色補正部2002は、出力モード判定部212から入力されたRGB信号を色補正されたRGB信号又はグレー信号へ変換し、空間フィルタ処理部2004へ出力する。
【0053】
空間フィルタ処理部2004は、色補正部2002から入力されたRGB信号またはグレー信号に対して、領域分離処理部210から入力された領域識別信号に基づいてデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正する。このようにすることで、画像のぼやけ又は粒状性劣化が改善される。次いで、空間フィルタ処理部2004は、処理後のRGB信号又はグレー信号を解像度変換処理部2006へ出力する。
【0054】
解像度変換処理部2006は、操作パネル50で設定された解像度の画像データになるように解像度変換処理を行う。例えば、スキャナの入力解像度が600DPI×300DPIで、操作パネル50を介して利用者によって選択された解像度が300DPI×300DPIであった場合、解像度変換処理部2006は、主走査方向の2画素毎に平均値を求め、それを出力値とする。このようにすることで、600DPI×300DPIから300DPI×300DPIへの解像度変換が実行される。解像度変換処理部2006は、処理後のRGB信号又はグレー信号を出力階調補正部2008へ出力する。
【0055】
出力階調補正部2008は、解像度変換処理部2006から入力されたRGB信号又はグレー画像に対して、必要に応じてかぶりやハイライトの下地が消える又は薄くなるように出力階調補正を行う。そして、出力階調補正部2008は、出力階調補正処理後のRGB信号又はグレー信号を階調再現処理部2010へ出力する。
【0056】
階調再現処理部2010は、出力モードが白黒2値である場合、出力階調補正部2008から入力されたRGB信号又はグレー信号に対して2値化処理を行い、処理後のRGB信号又はグレー信号を圧縮処理部2012に出力する。出力モードが白黒2値ではない場合は、出力階調補正部2008から入力されたRGB信号又はグレー信号を、そのまま圧縮処理部2012に出力する。
【0057】
圧縮処理部2012は、階調再現処理部2010から入力されたRGB信号やグレー信号、白黒2値信号からなる画像データに対して、操作パネル50のファイルフォーマットの設定に従い、必要に応じてJPEG(Joint Photographic Experts Group)やMMR(Modified Modified Read)などの圧縮処理を行う。また、圧縮処理部2012は、圧縮処理を行うことで、圧縮データを生成して画像ファイル(圧縮ファイル)を生成し、送受信装置30に出力する。
【0058】
つづいて、第2画像処理部218について説明する。
図3に示すように、第2画像処理部218は、色補正部2102、黒生成下地除去部2104、空間フィルタ処理部2106、出力階調補正部2108、階調再現処理部2110を含む。
【0059】
色補正部2102は、出力モード判定部212から入力されたRGB信号をCMYのデジタル信号(以下、CMY信号という)へ変換する。また、色補正部2102は、変換前のRGB信号で表現された色を、変換後のCMY信号で再現させる処理として、色再現の忠実化を図る処理を行う。例えば、色補正部2102は、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りをCMY信号から取り除く処理を行う。次いで、色補正部2102は、色補正後のCMY信号を黒生成下地除去部2104へ出力する。
【0060】
黒生成下地除去部2104は、色補正部2102から入力されたCMY信号に基づき、CMY信号から黒色(K)信号を生成する黒色生成処理と、CMY信号から黒色生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理とを行う。この結果、CMY3色のデジタル信号は、CMYK4色のデジタル信号(以下、CMYK信号という)に変換される。次いで、黒生成下地除去部2104は、CMY信号を変換したCMYK信号を空間フィルタ処理部2106へ出力する。
【0061】
黒色生成処理には、一般に、スケルトン・ブラックによる黒色生成を行う方法が用いられる。この方法は、入力されるデータであるC,M,Yから、出力するデータであるC’,M’,Y’,K’を求める方法である。ここで、スケルトン・カーブの入出力特性をy=f(x)、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、黒色生成下色除去処理では、下記の式(1)~式(4)で表わされる式を用いて、CMY信号をCMYK信号に変換する。
K’=f(min(C,M,Y)) …(1)
C’=C-αK’ …(2)
M’=M-αK’ …(3)
Y’=Y-αK’ …(4)
【0062】
ここで、UCR率α(0<α<1)とは、CMYが重なっている部分をKに置き換えてCMYをどの程度削減するかを示すものである。式(1)は、CMYの各信号強度の内の最も小さい信号強度に応じてK信号が生成されることを示している。
【0063】
空間フィルタ処理部2106は、黒生成下地除去部2104から入力されたCMYK信号の画像データに対して、画像のぼやけ又は粒状性劣化を改善する処理を行う。具体的には、空間フィルタ処理部2106は、領域分離処理部210から入力された領域識別信号に基づいてデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正する。例えば、領域分離処理部210にて文字に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部2106は、文字の再現性を高めるために、高周波成分の強調量が大きいフィルタを用いて空間フィルタ処理を行う。また、領域分離処理部210にて網点に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部2106は、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を行う。次いで、空間フィルタ処理部2106は、処理後のCMYK信号を出力階調補正部2108へ出力する。
【0064】
出力階調補正部2108は、空間フィルタ処理部2106から入力されたCMYK信号に対して、画像出力装置40の特性である網点面積率に基づき、出力階調補正処理を行い、出力階調補正処理後のCMYK信号を階調再現処理部2110へ出力する。
【0065】
階調再現処理部2110は、領域分離処理部210から入力された領域識別信号に基づいて、領域に応じた中間調処理を行う。例えば、領域分離処理部210にて文字に分離された領域に対しては、階調再現処理部2110は、高域周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンによる2値化又は多値化の処理を行う。また、領域分離処理部210にて網点に分離された領域に対しては、階調再現処理部2110は、階調再現性を重視したスクリーンでの2値化又は多値化の処理を行う。次いで、階調再現処理部2110は、処理後のCMYK信号に基づく画像データを画像出力装置40へ出力する。
【0066】
なお、画像処理装置20における各処理部の処理は、制御部70によって各処理部を制御することで実行されることとして説明したが、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータが各処理部を制御することにより実行されてもよい。
【0067】
[1.2.1.3 送信装置]
画像処理装置20には、画像処理装置20が生成した圧縮ファイルを外部へ送信する送受信装置30が接続されている。送受信装置30は、公衆回線網、LAN又はインターネット等の通信ネットワークに接続可能であり、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により、通信ネットワークを介して外部へ圧縮ファイルを送信する。例えば、利用者によって操作パネル50においてScan to e-mailモードが選択されている場合、圧縮ファイルは、ネットワークカード、モデム等を用いてなる送受信装置30によってe-mailに添付され、設定された送信先へ送信される。
【0068】
なお、ファクシミリの送信を行う場合は、制御部70が、モデムを用いてなる送受信装置30にて、相手先との通信手続きを行う。そして、制御部70は、送信可能な状態が確保されたときに、圧縮ファイルに対して圧縮形式の変更等の必要な処理を施してから、相手先に通信回線を介して順次送信する処理を行う。
【0069】
また、送受信装置30は、ファクシミリ等の通信方法により、他の装置から圧縮ファイルを受信してもよい。例えば、ファクシミリを受信する場合、制御部70は、送受信装置30にて通信手続きを行いながら、相手先から送信される圧縮ファイルを受信して、画像処理装置20に入力する。画像処理装置20は、受信した圧縮ファイルに対し伸張処理を施したり、伸張処理により得られた画像の画像データに対して、必要に応じて回転処理および/又は解像度変換処理等を施したりする。また、画像処理装置20は、画像データに対して、第2画像処理部218において、画像データに各種画像処理を施し、画像出力装置40へ出力する。画像出力装置40は、出力された画像データに基づき、記録シート上に出力画像を形成する。
【0070】
[1.2.1.4 画像出力装置]
画像処理装置20には、生成した画像データに基づく画像を出力する画像出力装置40が接続されている。画像出力装置40は、画像処理装置20から入力された画像データに基づいて、熱転写、電子写真、又はインクジェット等の方式により、記録シート上に画像を形成して出力する。
【0071】
[1.2.1.5 操作パネル]
制御部70は、操作パネル50と接続されている。操作パネル50は、利用者が画像形成装置2の動作モード等を設定するための設定ボタンおよびテンキー等のハードキーによって構成される操作部52と、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の装置で構成される表示部54とを備える。なお、操作パネル50は、操作部52と表示部54とが一体に形成されるタッチパネルであってもよい。この場合において、タッチパネルの入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。
【0072】
[1.2.1.6 記憶部]
画像処理装置20には、記憶部60が接続されている。記憶部60は、画像データ等の各種データや各種プログラムを記憶する機能部であり、例えば、不揮発性の記憶装置(例えば、HDD(Hard Disk Drive))や、半導体メモリの記憶装置(例えば、SSD(Solid State Drive))等により構成される。
【0073】
本実施形態では、記憶部60には、画像データ記憶領域62と、評価値情報記憶領域64と、レポート情報記憶領域66とが確保される。
【0074】
画像データ記憶領域62は、画像入力装置10によって読み取られた画像の画像データや、画像処理装置20によって生成された画像データや、送受信装置30によって受信された圧縮ファイルを伸張することによって得られた画像の画像データを記憶する。なお、本実施形態では、画像データ記憶領域62に記憶された画像データは、画像データIDによって識別されることとして説明する。
【0075】
評価値情報記憶領域64は、評価値情報を記憶する。本実施形態における評価値情報は、
図4に示すように、ジョブID(例えば、「J0001」)と、画像の読み取りを開始した日時を示す読取日時(例えば、「2019年9月2日 09:30:00」)と、画像データ記憶領域62に記憶されたプッシュ画像のデータ(プッシュ画像データ)を特定するプッシュ画像データID(例えば、「J0001-0001」)と、出力モード別評価値とが含まれる。出力モード別評価値には、出力モード毎に、出力モード(例えば、「白黒2値」)と、プッシュ画像を当該出力モードで出力した際の評価値(例えば、「情報損失の程度:90、ファイルサイズ:30KB」)とが含まれる。
【0076】
ここで、ジョブとは、利用者から見た場合おける、画像処理装置20が実行する処理の単位をいう。本実施形態では、利用者によって複数の原稿をADFにセットして読み取りの処理が実行されたとき、ADFにセットされた原稿を全て読み取る処理を1つのジョブとする。
【0077】
レポート情報記憶領域66は、レポート情報を記憶する。本実施形態における評価値情報は、
図5に示すように、ジョブID(例えば、「J0001」)と、プッシュ画像の再取得が可能な有効期限(例えば、「2019年9月9日 09:30:00」)と、プッシュ画像の再取得を行う利用者を認証するためのパスワード(例えば、「abc123」)と、プッシュ画像データID(例えば、「J0001-0001」)と、表示用出力モード別評価値及び出力モード毎の取得先が含まれる。なお、説明の都合上、パスワードを英数字で表記しているが、勿論、セキュリティを考慮して暗号化により秘匿性の高い方法により管理することができる。
【0078】
ここで、本実施形態では、レポート情報として、出力モード毎の評価値に基づく情報である表示用出力モード別評価値に加えて、出力モード毎のプッシュ画像の再取得に関する情報(
図5の例では、パスワード、有効期限、取得先)を含む。再取得とは、画像形成装置2によって端末装置3にレポートが送信された後、利用者がプッシュ画像を取得することをいう。また、再取得に関する情報には、取得先といった、利用者によって取得されるプッシュ画像を特定するための情報や、パスワードや有効期限といった、セキュリティや画像形成装置2の記憶部60の運用に関する情報等の、再取得に対する制約に関する情報が含まれる。例えば、利用者が出力された画像データに満足しない場合、プッシュ画像が再度取得されることが考えられる。このような場合であっても、利用者はレポートを参照し、表示用出力モード別評価値に基づいて何れの出力モードで再取得したいかを決定した後、再取得に関する情報に従って、端末装置3から画像形成装置2に対して再取得の要求を送信できる。また、画像形成装置2は、再取得の要求に基づき、プッシュ画像を出力する。このようにすることで、例えば、利用者は、自身が選択した出力モードによってプッシュ画像を出力させた後、レポートを参照して、再度、別の出力モードによってプッシュ画像を出力させることができる。
【0079】
表示用出力モード別評価値は、端末装置3に表示する評価値の情報であり、利用者によって確認される評価値の情報である。本実施形態では、表示用出力モード別評価値には、出力モード(例えば、「白黒2値」)と、プッシュ画像を当該出力モードで出力した際の評価値(例えば、「情報損失の程度:大、ファイルサイズ:30KB」)と、当該出力モードで出力することの妥当性の情報(例えば、「低」)とが含まれる。
【0080】
取得先は、プッシュ画像を所定の出力モードで出力した場合の画像データ(出力画像データ)が記憶された場所(ダウンロード先)を示す。取得先には、例えば、利用者が選択可能な出力モードでプッシュ画像を出力したときの画像のファイルが記憶された場所を特定することが可能なファイルパスやURL(Uniform Resource Locator)が記憶される。
【0081】
[1.2.2 端末装置]
図6を参照して、第1実施形態に係る端末装置3の機能構成を説明する。
図6に示すように端末装置3は、制御部300、通信部310、表示部320、操作入力部330、記憶部340を備えて構成される。
【0082】
制御部300は、端末装置3を制御するための機能部であり、例えば、1又は複数の演算装置(CPU)等により構成される。
【0083】
通信部310は、端末装置3が外部の装置である画像処理装置20と通信を行うための機能部であり、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC(Network Interface Card)等により構成される。
【0084】
表示部320は、利用者に各種情報を表示するための機能部であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(electro-luminescence)パネル等により構成される。
【0085】
操作入力部330は、利用者が各種操作を行うための機能部であり、例えば、キーボードやマウスにより構成される。
【0086】
記憶部340は、端末装置3の動作に必要な各種プログラムや各種データを記憶する機能部であり、例えば、半導体メモリであるSSDや、HDD等により構成される。
【0087】
[1.3 処理の流れ]
[1.3.1 画像形成装置]
図を参照して、制御部70が、記憶部60に記憶されたプログラムを読み出し、画像入力装置10、画像処理装置20、送受信装置30を制御して実行する画像形成装置2の処理について説明する。本実施形態では、制御部70は、メイン処理と再取得処理とを実行する。
【0088】
なお、処理の流れの説明においては、画像形成装置2は、プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合に、利用者が選択可能な出力モードの種類は2種類以上あるものとして説明する。また、端末装置3は、画像形成装置2に対して画像の読み取りを実行させた利用者が用いる端末装置であるとして説明する。
【0089】
[1.3.1.1 メイン処理]
はじめに
図7を参照して、メイン処理について説明する。メイン処理とは、プッシュ画像を取得し、取得したプッシュ画像に基づくレポートを端末装置3に送信する処理である。はじめに、制御部70は、1又は複数のプッシュ画像を取得する(ステップS102)。例えば、制御部70は、画像入力装置10から画像データを、プッシュ画像として取得する。
【0090】
プッシュ画像を取得したら、制御部70は、画像入力装置10から画像データが出力される1又は複数のプッシュ画像を読み取り、A/D変換部202、シェーディング補正部204、原稿種別判定部206、入力階調補正部208、領域分離処理部210を制御して各処理を実行する。また、制御部70は、処理後の画像データを画像データ記憶領域62に記憶する。
【0091】
また、制御部70は、1又は複数のプッシュ画像に対して処理を行い、処理後の画像データを画像データ記憶領域62に記憶する処理を、1の読み取りジョブとして扱う。このとき、制御部70は、ジョブIDを設定する。
【0092】
プッシュ画像を取得した場合、制御部70は、出力モード判定部212を制御し、ACS判定処理を実行し、プッシュ画像がモノクロ画像として出力すると判定した場合は、利用者が選択可能な出力モード毎の評価値を算出する(ステップS102;Yes→ステップS104)。
【0093】
評価値としては、例えば、以下のものを算出する。
(1)情報損失の程度の大きさ
出力モード判定部212は、利用者が選択可能な出力モードから1の出力モードを選択し、選択した出力モードで出力する場合の情報損失の程度を定量評価する。
【0094】
情報損失の程度の定量評価の具体的な方法として、例えば、情報損失の程度の定量評価を行う出力モードを対象モード(ここでは白黒2値出力)とし、比較対象となる出力モードを参照モード(ここではグレースケール出力)として説明する。なお、参照モードは、情報損失の発生しにくい出力モードであることが望ましく、例えば、参照モードは、予めグレースケール出力であると設定されている。
【0095】
初めに、出力モード判定部212は、対象モードに対応する評価用画像に対して画素毎に空間的なエッジ量を算出し、対象エッジ画像を生成する。同じように、出力モード判定部212は、参照モードに対応する評価用画像に対しても画素毎に空間的なエッジ量を持つ参照エッジ画像を生成する。空間的なエッジ量は、例えば、ソーベルフィルタなどのハイパスフィルタを画素毎に適用して算出する方法が挙げられる。
【0096】
なお、評価用画像は、第1画像処理部の処理を実行することで生成される出力画像データであることが望ましいが、処理時間が長くなったり、ハードウェアを共用するなどの設計上の問題が発生したりすることが考えられる。そこで、評価用画像は、簡易な画像処理を実行する等の処理により、その出力モードでプッシュ画像を出力した場合の画像をシミュレーションした画像であってもよい。例えば、本画像処理に含まれる複数の処理のうち一部を省略しても良いし、空間フィルタ処理部2004で適用するフィルタのサイズを小さくするなどの処理の簡略化を行ってもよい。また、プッシュ画像を予め縮小するなどして、表示用画像を生成するための処理量を削減してもよい。
【0097】
次に、出力モード判定部212は、対象モードで出力することで失われるエッジ量である損失エッジ量を画素毎に算出する。損失エッジ量は、例えば、参照エッジ画像から対象エッジ画像を画素毎に減算し、負の数をゼロに変更するなどの方法をとることで、対象エッジ画像では消失してしまったエッジ量のみを考慮することができる。
【0098】
そして、出力モード判定部212は、損失エッジ量を用いて、情報損失の程度が大きくなるほど大きな値を取る評価値を算出する。例えば、評価値として、プッシュ画像の一部又は全部の領域における損失エッジ量の総和を、情報損失の程度の定量評価を行う出力モードの評価値とすることができる。なお、制御部70は、画素毎に、損失エッジ量を所定の閾値と比較して、閾値以上となるエッジ量をとる画素の数をカウントしたものを評価値としても良い。
【0099】
(2)ファイルサイズ
出力モード判定部212は、出力モード毎に、評価用画像を生成して、ファイルサイズを計測する。なお、ファイルサイズを計測した後は評価用画像を消去してしまってもよいので、記憶部60を長時間圧迫せずに済む。
【0100】
なお、出力モード判定部212は、プッシュ画像が複数ある場合は、プッシュ画像毎に評価値の算出を行う。また、出力モード判定部212は、算出した評価値を含む評価値情報を評価値情報記憶領域64に記憶する。このとき、出力モード判定部212は、出力モード毎に算出した評価値を出力モード別評価値情報とし、評価値を算出する対象となったプッシュ画像データを識別するプッシュ画像データIDを含む評価値情報を生成する。さらに、出力モード判定部212は、評価値情報に、ステップS102で設定したジョブIDと、読み取りジョブを開始した日時(読取日時)とを含める。
【0101】
つづいて、制御部70は、第1画像処理部216を制御して、出力モード判定部212から出力された画像データに基づき、第1画像処理部216を介して、利用者が選択可能な出力モード毎に、出力画像データを生成する(ステップS106)。そして、制御部70は、第1画像処理部216によって生成された出力画像データを画像データ記憶領域62に記憶する。このとき、制御部70は、生成した出力画像データを、端末装置3など外部の装置から取得する際には、パスワード等による認証を必要とする領域に記憶する。なお、ステップS104において、評価用画像が第1画像処理部の処理を実行されることで生成されている場合は、制御部70は、評価用画像をそのまま画像データ記憶領域62に記憶してもよい。また、出力画像データは、NAS(Network Attached Storage)等の外部の装置内(例えば、共有フォルダ等)に記憶されてもよい。
【0102】
つづいて、制御部70は、レポート情報生成部214を制御してレポート情報記憶処理を実行する(ステップS108)。レポート情報記憶処理は、
図8を参照して説明する。
【0103】
はじめに、レポート情報生成部214は、サムネイル画像を生成する(ステップS122)。レポート情報生成部214は、サムネイル画像として、例えば、以下のサムネイル画像を生成する。
(1)プッシュ画像のサムネイル画像
(2)出力画像データのサムネイル画像
【0104】
レポート情報生成部214は、端末装置3に送信するレポートの用途やレポートに表示させる内容に基づいて、サムネイル画像を生成する。例えば、レポートは、プッシュ画像のサムネイル画像と出力画像データのサムネイル画像とが表示されるレポートであってもよいし、出力画像データのサムネイル画像だけを表示させるレポートであってもよい。また、利用者が選択可能な出力モードが多い場合や、端末装置3に送信するレポートのデータサイズを抑える場合、レポートは、プッシュ画像のサムネイル画像のみを表示させるレポートであってもよい。この場合、利用者は、プッシュ画像のサムネイル画像を見ることで、利用者が読み取らせた複数ページにわたる画像データのうち、どのページに関する出力モード毎の評価値に基づく情報を見ているかを確認することができる。その上で、利用者は、各出力モードにおいてプッシュ画像を出力した場合の状態を、評価値に基づく情報から推測することができる。このように、レポート情報生成部214は、レポートの用途等に応じてサムネイル画像を生成する。なお、レポートにサムネイル画像を表示させない場合は、ステップS122は省略してもよい。
【0105】
レポート情報生成部214は、サムネイル画像を、例えば、ステップS102において取得され記憶された画像データ及びステップS106において生成され記憶された画像データを画像データ記憶領域62から読み出して、読み出した画像データに基づく画像を縮小することで生成する。なお、レポート情報生成部214は、プッシュ画像の画像データ及び出力画像データを第1画像処理部216から取得して、取得した画像データに基づく画像を縮小することでサムネイル画像を生成してもよい。また、レポート情報生成部214は、生成したサムネイル画像を画像データ記憶領域62に記憶する。
【0106】
つづいて、レポート情報生成部214は、利用者によって出力画像データの再取得を行う際に、利用者を認証するために必要となるパスワードと、出力画像データの再取得が可能な有効期限を設定する(ステップS124)。
【0107】
つづいて、レポート情報生成部214は、レポート情報を生成し、レポート情報記憶領域66に記憶する(ステップS126)。レポート情報には、ジョブID、有効期限、パスワード、画像データID、表示用出力モード別評価値、取得先を含む。
【0108】
レポート情報生成部214は、表示用出力モード別評価値として、評価値情報に記憶される出力モード別評価値と同じ情報を記憶してもよいし、評価値を数段階のレベルでスコア化・クラス分けした情報を記憶してもよい。例えば、情報損失の程度を示す評価値を、情報損失の程度を示すクラス(例えば、大・中・小のいずれか)で示す。このように、レポート情報生成部214が評価値に基づくスコアやクラスの情報をレポート情報に記憶することで、利用者が評価値に基づき具体的な出力画像データの状態が想定することが困難である場合であっても、出力画像データの状態をある程度想定可能にさせることができる。
【0109】
また、レポート情報生成部214は、表示用出力モード別評価値に記憶する妥当性の情報を、評価値情報に記憶された出力モード別評価値に基づき判定し記憶する。妥当性の判定としては、例えば、レポート情報生成部214は、1又は複数の評価値に基づくスコアを算出し、算出したスコアが複数の閾値で区切られた複数のクラス(値域)のうち、どの範囲に含まれるによって判定する。
【0110】
複数の評価値に基づき妥当性を判定する場合、レポート情報生成部214は、それぞれの評価値のスコアに重み付けをして加算することで、スコアを算出してもよい。個々の評価値に対する重み付けの値(比率)は、利用者によって設定されてもよいし、予め設定されていてもよい。
【0111】
また、妥当性のクラスは、例えば、高・中・低といったクラスとする。なお、妥当性は、評価値やスコアに基づき、妥当性が高い順に「1、2、……」等と、順位付けして表してもよい。
【0112】
また、取得先は、例えば、ステップS106において生成された出力画像データが記憶された場所を特定することが可能な情報を記憶する。
【0113】
図7に戻り、つづいて、制御部70は、利用者によって選択された出力モードの出力画像データを、送受信装置30を制御して送信する(ステップS110)。出力画像データの送信先は利用者によって指定される。また、制御部70は、利用者によって指定された送信先に基づいて特定される装置に出力画像データを送信する。
【0114】
例えば、利用者によって、送信先としてe-mailのアドレスが指定された場合は、制御部70は、出力画像データを添付したe-mailを生成し、送受信装置30を制御して電子メールサーバに送信する(いわゆる、Scan to e-mail機能)。利用者によって、送信先として端末装置3が指定された場合は、送受信装置30を制御して、端末装置3に出力画像データを送信する。また、利用者により、出力画像データをNAS等の外部装置に送信することを指示した場合は、制御部70は、送受信装置30を制御して、指定された外部装置に出力画像データを送信する。
【0115】
つづいて、制御部70は、レポート情報記憶領域66からレポート情報を読み出し、レポート情報に基づきレポートを生成する(ステップS112)。例えば、制御部70は、レポート情報を読み出し、読み出したレポート情報を本文としたe-mailを生成したり、読み出したレポート情報を記述したファイル(例えば、PDF(Portable Document Format))を添付したe-mailを生成したりする。このような処理により、制御部70は、評価用出力モード別評価値や、再取得に関する情報(例えば、パスワード、有効期限、取得先)を含んだレポートを生成する。なお、レポートには、ジョブIDや、画像データIDを含めてもよい。また、制御部70は、ジョブIDによって特定される評価値情報を評価値情報記憶領域64から読み出して、読み出した評価値情報に記憶された読取日時をレポートに含めてもよい。
【0116】
つづいて、制御部70は、ステップS112で生成したレポートを端末装置3に送信する(ステップS114)。なお、制御部70は、e-mailに、プッシュ画像のサムネイル画像や、出力モード毎の出力画像データのサムネイル画像を添付してもよい。
【0117】
[1.3.1.2 再取得処理]
図9を参照して、再取得処理について説明する。再取得処理は、利用者から、端末装置3を介して再取得が要求された場合に、要求に基づくプッシュ画像(指定された出力モードでプッシュ画像を出力したときの出力画像データ)を所定の送信先に送信する処理である。画像形成装置2は、メイン処理とは別に(並行して)、再取得処理を実行する。
【0118】
はじめに、制御部70は、送受信装置30を介して、端末装置3から再取得要求を受信したか否かを判定する(ステップS142)。再取得要求を受信した場合とは、利用者により、利用者によって指定された出力モードでプッシュ画像を出力したときの出力画像データの取得(送信)の要求が示されたことをいう。具体的には、取得先に対するアクセスがされた場合や、出力画像データを特定するための情報を含む情報を受信した場合である。なお、出力画像データを特定するための情報とは、例えば、画像データIDと出力モードとの組み合わせ、取得先の情報、ジョブIDとページ番号と出力モードとの組み合わせ等である。再取得要求を受信しない場合は(ステップS142;No)、制御部70は、再取得要求を受信するまでステップS142を実行し続け、端末装置3から再取得要求を受信するまで待機する。
【0119】
再取得要求を受信した場合は、制御部70は、再取得要求を送信した端末装置3に対して、出力画像データの再取得を行うためのパスワードを要求し、出力画像データの再取得が可能な利用者によって再取得要求が送信されたか否かの認証を行う(ステップS142;Yes→ステップS144)。本実施形態では、制御部70は端末装置3に対してパスワードの入力を要求し、端末装置3から送信されたパスワードがレポート情報のいずれかに記憶されたパスワードと一致した場合、認証が成功したと判定する。
【0120】
認証が成功した場合は、制御部70は、現在の日時が、出力画像データの再取得が可能な有効期限内であるか否かを判定する(ステップS144;Yes→ステップS146)。そして、有効期限以内であれば、再取得要求に基づき、利用者によって要求された出力画像データを画像データ記憶領域62から読み出し、送受信装置30を介して、再取得要求を送信した端末装置3に送信する(ステップS146;Yes→ステップS148)。
【0121】
なお、出力画像データの送信方法はダウンロード形式ではなく、出力画像データの再送信の要求を受け付ける形式(再送信リクエスト形式)であってもよい。出力画像データの再送信とは、出力画像データを、Scan to e-mail機能により、e-mailで送信したり、NAS等の外部の装置に送信したりすることをいう。この場合、再取得要求には、出力画像データの送信先を示す情報も含まれる。
【0122】
この場合、制御部70は、出力画像データを特定するための情報を含む再取得要求を受信したときに、再取得要求に含まれる情報に対応する出力画像データを、送信先に送信するためのジョブを実行する。この場合は、再取得要求に含まれる情報に対応する出力画像データは、再取得要求を送信した端末装置3ではなく、電子メールサーバやNAS等に送信される。
【0123】
[1.3.2 端末装置]
図10を参照して、端末装置3のメイン処理について説明する。端末装置3のメイン処理は、制御部300が、記憶部340に記憶されたプログラムを読み出すことで、実行される。
【0124】
はじめに、制御部300は、画像形成装置2からレポートを受信したか否かを判定する(ステップS152)。レポートを受信した場合、制御部300は、受信したレポートに基づき、レポートの内容を表示する。具体的には、制御部300は、レポートに含まれる表示用出力モード別評価値に基づき、出力モード毎に評価値に基づく情報を表示部320に表示し(ステップS154)、出力モード毎に出力することの妥当性を表示部320に表示する(ステップS156)。また、制御部300は、出力モード毎のプッシュ画像の再取得に関する情報に基づき、再取得要求手段を表示部320に表示する(ステップS158)。再取得要求手段は、利用者によって選択等の操作がされることで、画像形成装置2に対して再取得要求を送信するものであり、例えば、制御部300は、ボタンや取得先のリンクを設定した文字を表示部320に表示する。また、制御部300は、再取得要求手段の表示とともに、再取得に関する情報のうち、再取得を行う利用者を認証するために必要なパスワードや、有効期限を、表示部320に表示する。このとき、制御部300は、既に有効期限を過ぎている場合は、再取得要求手段を非表示にしたり、非アクティブの状態で表示部320に表示したりしてもよいし、パスワードを非表示にしてもよい。
【0125】
また、レポートにサムネイル画像が含まれる場合は、制御部300は、サムネイル画像を表示部320に表示する(ステップS160)。なお、ステップS114において、画像形成装置2が、レポートをe-mailによって送信した場合は、制御部300は、利用者によってレポートを内容としたe-mailを表示する操作がされた場合に、レポートを表示する。
【0126】
つづいて、制御部300は、利用者により、出力画像データの再取得が要求された場合は、通信部310を介して、画像形成装置2に再取得要求を送信する(ステップS162;Yes→ステップS164)。再取得の要求がされた場合とは、例えば、ステップS158で表示部320に表示された再取得要求手段が操作された場合である。また、再取得要求には、再取得が要求された出力画像データを特定するための情報(例えば、取得先の情報や、画像データIDと出力モードとを組み合わせた情報)や、送信先の情報が含まれる。また、制御部300は、再取得要求を送信した後、画像形成装置2からパスワードの入力が求められる。このとき、利用者からパスワードの入力を受け付け、入力されたパスワードを画像形成装置2に送信する。画像形成装置2による認証が成功した場合は、再取得要求に基づき、出力画像データが端末装置3や再取得要求に含んだ送信先に送信される。
【0127】
[1.4 動作例]
図を参照して、本実施形態の動作例を説明する。
図11及び
図12は、画像入力装置10によって原稿が読み取られる処理が行われる前に、画像形成装置2の表示部54に表示される表示画面の例を示す図である。
【0128】
図11は、読み取りジョブを実行する前に、画像形成装置2の表示部54に表示される表示画面W100の例である。表示画面W100には、プッシュ画像の出力モードを指定する領域E100及びE102が含まれる。領域E100ではACS判定処理を行うか否かが指定され、領域E102では、ACS判定処理によりプッシュ画像がモノクロ画像として出力すると判定した場合の出力モードが指定される。
図11の例では、ACS判定処理を行い、ACS判定処理によりプッシュ画像がモノクロ画像として出力すると判定された場合には、出力モードを白黒2値とすることを指定されていることを示す。また、表示画面W100には、レポートの送信の有無を指定する領域E104が含まれる。レポートの送信が指定された場合は、画像形成装置2は、端末装置3にレポートを送信する。
【0129】
図12は、送信するレポートに関する設定を行う場合に、画像形成装置2の表示部54に表示される表示画面W110の例である。表示画面W110には、妥当性を算出する際に重視する評価値を指定するための領域E110が含まれる。
【0130】
図12に示すように、領域E110では、「画質優先」「ファイルサイズ優先」「画質とファイルサイズを両立」の何れか1つを選択可能としている。画像形成装置2は、利用者による妥当性を算出する際に重視する評価値の指定に基づき、情報損失由来の評価値と、ファイルサイズ由来の評価値とを所定のバランスで混合した総合的な評価値(スコア)を求め、妥当性を判定する。例えば、「画質優先」が選択された場合、画像形成装置2は、情報損失の程度の大きさから得られた評価値の重み(比率)を大きくする。一方で、「ファイルサイズ優先」が選択された場合、画像形成装置2は、ファイルサイズの計測値(予測値)から得られた評価値の重みを大きくする。「画質とファイルサイズを両立」が選択された場合は、画像形成装置2は、上記2つの中間的な重みとなるようにそれぞれの評価値の重みを設定する。
【0131】
なお、
図12では、重みの設定を3種類の中から選択可能とする表示例を示したが、例えば、評価値の種類毎に、細かい刻みで重みを指定可能にしてもよい。また、情報損失由来の評価値のみ、もしくはファイルサイズ由来の評価値のみ、のように、一方の評価値から妥当性を判定することが選択可能であってもよい。
【0132】
なお、送信するレポートに関する設定の画面においては、
図12の領域E112のように、サムネイル画像の送信の有無を指定する領域等、レポートに含める内容等の設定が含まれてもよい。
【0133】
つづいて、
図13は、端末装置3の表示部320に表示されるレポートの表示画面W120の例を示す図である。レポートには、プッシュ画像の読取日時、再取得が可能な日時を示す画像再取得期限(有効期限)、パスワードが含まれる。また、出力モード毎の出力画像データのサムネイル画像、妥当性、評価値が含まれる。利用者は、端末装置3の表示部320に表示されたレポートを見ることで、1のプッシュ画像に対する2種類以上の出力モードそれぞれの評価値や妥当性、サムネイル画像を確認することができる。
【0134】
また、レポートには、1の読み取りジョブにおいて複数のプッシュ画像が取得された場合に、1のプッシュ画像を選択するための前のページボタンB120及び次のページボタンB122が含まれる。すなわち、端末装置3は、複数のプッシュ画像を複数のページの画像として扱う。また、利用者によって前のページボタンB120及び次のページボタンB122を選択された場合、端末装置3は、指定されたページに該当するプッシュ画像の出力モード毎の出力画像データのサムネイル画像、妥当性、評価値を表示する。
【0135】
さらに、出力モード毎に、再取得の要求を行うための再取得ボタンB124が含まれる。例えば、再取得ボタンB124は、1ページ目のプッシュ画像を白黒2値という出力モードで出力した場合の出力画像データを取得するためのボタンである。利用者が、再取得ボタンB124を選択した場合、再取得要求が端末装置3から画像形成装置2へ送信され、画像形成装置2から、端末装置3に、出力画像データが送信される。なお、再取得要求は1ページ単位でなく、複数ページの再取得要求をまとめて送信し、単一の送信ジョブとして所定の送信先に複数ページ分の出力画像データを送信させるようにしても良い。また、再取得ボタンB124が選択された後、再取得する出力画像データの送信先を問い合わせる画面を表示してもよい。この場合は、出力画像データは、利用者によって指定された送信先に送信される。
【0136】
なお、本実施形態の画像形成装置2のメイン処理では、出力画像データを生成した上でレポートを生成し、出力画像データの送信とレポートの送信とを同じタイミングで行うこととして説明したが、上述した処理でなくてもよい。また、レポートはe-mailで送信する方式でなくてもよい。以下に、本実施形態における別の実施例を説明する。
【0137】
(1)実施例1:出力画像データを送信した後にレポートを送信する例
画像形成装置2は、利用者の操作に基づき出力画像データを送信した後、レポートの送信が可能となったときに、利用者に対してレポートの送信を要求するか否かを問い合わせた上で端末装置3に対してレポートを送信してもよい。この場合の画像形成装置2のメイン処理を、
図14に示す。制御部70は、プッシュ画像を取得したら、利用者によって選択された出力モードの出力画像データを生成し、当該利用者によって選択された出力モードの出力画像データを送信する(ステップS102→ステップS182→ステップS110)。出力画像データの送信後、制御部70は、出力モード毎の評価値を算出する(ステップS104)。また、制御部70は、利用者によって選択されなかった出力画像データの生成を行う(ステップS184)。制御部70は、生成した出力画像データを、画像データ記憶領域62に記憶する。また、制御部70は、ステップS108のレポート情報記憶処理、ステップS112のレポートを生成する処理の実行後、レポートの要求手段を端末装置3に通知する(ステップS186)。制御部70は、端末装置3に通知したレポートの要求手段に基づくレポートの要求を端末装置3から受信した場合は、レポートを、当該レポートの要求を送信した端末装置3に送信する(ステップS188;Yes→ステップS114)。このような順番で処理をすることにより、レポートに含まれる情報が生成される前に出力画像データ(出力画像の画像ファイル)が送信されるため、利用者の待ち時間を少なくすることができる。
【0138】
すなわち、制御部70は、利用者からレポートを送信する指示がされたときに、レポートを送信する。この場合、制御部70は、ステップS182において利用者によって選択された出力モードの出力画像データを生成し、その後、ステップS110において出力画像データを送信する。また、制御部70は、ステップS186において、レポートを送信するための指示を送る手段を記述したミニレポートを端末装置3に送信して、当該手段が実行された場合に、レポートを端末装置3に送信してもよい。なお、ミニレポートは、簡易的に「評価を要求する」「評価を要求しない」といった選択肢を提示したe-mailであってもよい。この場合、制御部70は、端末装置3から、利用者からの回答結果を含むe-mailを受信した場合、回答結果に応じてレポートを送信するか否かを判定してもよい。
【0139】
なお、ステップS186及びステップS188をスキップして、レポートが送信可能となった段階でレポートを送ってもよい。この場合、利用者は、ミニレポート等が送信されず、出力画像データが送信された後に、レポートが送信されることとなる。
【0140】
(2)実施例2:必要に応じて出力画像データの生成を行う実施例
制御部70は、ステップS106においては利用者によって選択された出力モードの出力画像データのみを生成し、利用者からの再取得要求を受信したときに、再取得要求に対応する出力画像データをプッシュ画像から生成する。この実施例は、記憶部60に充分な記憶容量が確保できない場合に有効である。なお、この場合、レポート情報生成部214は、レポート情報記憶処理のステップS126において、取得先として、再取得要求を受信したときに生成される出力画像データの記憶先を予め記憶してもよいし、取得先を記憶しなくてもよい。
【0141】
(3)実施例3:レポートをWebブラウザで閲覧する実施例
制御部70は、レポートを表示するために必要なデータを記憶部60に記憶し、端末装置3からレポートへのアクセスがあった場合、記憶部60からレポートを読み出して、端末装置3に送信してもよい。この場合、制御部70は、レポートをHTML(HyperText Markup Language)等のマークアップ言語で記述したファイルを生成し、記憶部60に記憶する。そして、制御部70は、ステップS114において、ステップS112で生成したファイルのリンクを、端末装置3に送信する。また、端末装置3は、受信したファイルのリンク先にWebブラウザを介して接続することで、画像形成装置2の記憶部60にアクセスし、記憶部60に記憶されたデータをWebブラウザに表示する。
【0142】
また、画像形成装置2は、レポート情報を端末装置3から取得可能にし、端末装置3がレポート情報を取得した際に、取得した情報に基づき動的に表示内容を書き換える事が可能なWebアプリを提供してもよい。この場合、端末装置3はWebアプリをWebブラウザで表示する。また、端末装置3は、Webアプリを実行することで、Webアプリがレポート情報を取得し、取得したレポート情報をJavaScript(登録商標)等を用いてWebアプリに描画する。
【0143】
Webアプリやマークアップ言語による処理により、端末装置3は、表示部320に表示したWebブラウザ上で、画像の縮小やクロップを行いながら描画するようにすることができる。画像形成装置2は、サムネイル画像の生成の処理を省略できたり、記憶部60に記憶しておくべき情報を減らしたりすることができる。
【0144】
(4)実施例4:利用者に紐づく認証を行う実施例
上述した実施形態の説明では、制御部70が出力画像データをパスワード等による認証を必要とする領域に記憶することで、出力画像データとパスワード等の認証情報とを紐付けていたが、出力画像データと利用者とを紐付けて利用者の認証を行ってもよい。この場合、画像形成装置2は、利用者が利用する前にパスワード認証や生体認証等による認証を行い、ジョブを実行した利用者を記憶する。この場合、制御部70は、再取得要求を受信した場合、再取得の対象となった出力画像データのプッシュ画像を読み取ったジョブを実行した利用者と、再取得を要求した利用者が一致した場合、認証が成功したとして、出力画像データを送信する。
【0145】
なお、画像形成装置2が端末装置3にレポートを送信し、端末装置3から再取得要求を受信し、再取得要求に基づき画像データを送信することが可能であれば、矛盾のない範囲において、ステップの順番を変更したり、一部のステップを省略したりしても構わない。
【0146】
例えば、
図10に示した端末装置3のメイン処理におけるS154~S160に示した処理について、端末装置3の制御部300は、実行するステップの順番を変更してもよいし、いくつかの処理を並行して実行してもよい。
【0147】
また、例えば、実施例3のWebブラウザで閲覧する実施例を実現する場合、Webブラウザに表示されるサムネイル画像を予め生成しておくのではなく、第1画像処理部216によって変換された画像を使用して表示するようにしてもよい。この場合、レポート情報記憶処理のステップS122を省略することができる。また、矛盾のない範囲において、所定の処理を実行する機能部を、本実施形態に記載した機能部から変更してもよい。例えば、本実施形態では、ステップS112及びステップS114において、制御部70がレポートの作成及び端末装置3への送信の処理を実行すると説明したが、レポートの作成及び端末装置3への送信は、レポート情報生成部214が実行してもよい。また、レポート情報記憶処理のステップS126において、画像形成装置2のレポート情報生成部214が出力することの妥当性を判定することとして記憶したが、この判定を端末装置3がレポートを表示するときに行い、妥当性を表示してもよい。
【0148】
本実施形態によれば、画像形成装置は、端末装置に対して、利用者が選択可能な出力モードで出力した場合の評価値や妥当性の情報を含むレポートを送信する。また、端末装置は、受信したレポートに基づき、利用者が選択可能な出力モードで出力した場合の評価値や妥当性の情報を表示する。これにより、利用者は、選択した出力モードで出力された画像ファイルに対して不満がある場合に、利用者自身が画像形成装置を操作して再読み取りする手間を省くことができ、また、他の出力モードで出力した場合に発生する他のリスクを事前に把握できる。したがって、利用者は、画像データの再取得を、何度も繰り返して実行する必要がなくなる。また、レポートには、再取得に関する情報が含まれ、端末装置によって再取得要求手段が表示されるため、利用者は、再取得が必要な場合であっても、再取得要求手段を選択するという簡易な操作により、再取得を行うことができる。
【0149】
また、利用者は、画像形成装置の表示部を見ながらその場で出力モードを選択するのではなく、利用者が用いる端末装置に表示されたレポートを見ながら出力モードを選択することができる。したがって、利用者は、プッシュ画像が多い場合においても、長時間画像形成装置を占有してしまうといったことを避け、端末装置の表示部を見ながら、時間を掛けて出力モードを検討することが可能となる。また、レポートには、出力モードごとの評価値やサムネイル画像が表示されるため、利用者は、出力モードでそれぞれ出力した場合を容易に比較することができる。
【0150】
[2.第2実施形態]
つづいて第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態における画像処理装置のメイン処理において、出力モード毎の出力画像データに対して、ブロック毎の情報損失の程度を算出する処理を更に行う実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の
図7を
図15に、
図10を
図16にそれぞれ置き換えたものである。なお、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0151】
図15を参照して、本実施形態における画像形成装置2のメイン処理を説明する。本実施形態では、制御部70は、プッシュ画像を取得した後、出力モード毎に、プッシュ画像の出力画像データに対して、複数の画素からなる領域(画素ブロック)単位に分け、それぞれの画素ブロックにおける統計値を算出する(ステップS202)。例えば、制御部70は、出力画像データの画像を構成する複数の画素からなる画素ブロック単位で、損失エッジ量の分散やエントロピー値に基づく損失エッジ量の統計量を算出する。
【0152】
一般に、情報損失が大きい場合、全体として、対象モードで出力した画像と参照モードで出力した画像との間で算出される差分画像データの階調値である差分値または差分値の絶対値として表された情報損失評価値が大きくなる傾向がある。そのため、統計量として階調値の総合的な大きさを反映した統計値を用いることができる。具体的には、差分画像データ全体の各画素の階調値の総和(合計値)、平均値、中央値などを用いることができる。また、情報損失が大きい場合、全体として階調値である差分値または差分値のばらつきとして表された情報損失評価値が大きくなる傾向がある。このため、統計量として階調値のばらつきの大きさを反映した統計値を用いることができる。具体的には、差分画像データ全体の各画素の階調値の分散値、標準偏差値、エントロピー値などを用いることができる。
【0153】
つづいて、制御部70は、画素ブロックにおける損失エッジ量の統計量に基づき、情報損失の程度が大きい画素ブロックを特定する(ステップS204)。すなわち、情報損失の程度が大きい画素ブロックとは、情報損失が起こり易い箇所を示す。
【0154】
例えば、制御部70は、画素ブロックごとに統計値と予め定められた閾値とを比較し、統計量が閾値を上回る領域同士で隣り合って1つのかたまりとなっている領域を1つのオブジェクトとして抽出する。制御部70は、オブジェクトを構成する領域の数などを情報損失の起こり易い箇所か否かを判定するためのスコアとし、スコアが閾値を上回る場合に情報損失が起こり易い箇所として特定する。なお、統計量やスコアと比較する閾値は、予め定められていてもよいし、利用者によって設定可能であってもよい。
【0155】
また、本実施形態では、レポート情報記憶処理のステップS126において、情報損失の程度が大きいブロックを示す情報をレポート情報に含めて記憶する。なお、レポート情報記憶処理のステップS122において、出力モード毎のサムネイル画像を生成するとともに、レポート情報生成部214は、出力モード毎の情報損失が起こりやすい箇所を示す画像(ヒートマップ)を生成してもよい。この場合、制御部70は、ステップS114において、ヒートマップをレポートに含めて端末装置3に送信する。また、端末装置3では、サムネイル画像とヒートマップとを切り替えて表示したり、重ねて表示したりすることで、利用者に対して情報損失が起こりやすい箇所を視認できるようにしてもよい。
【0156】
また、レポート情報記憶処理のステップS122において、レポート情報生成部214は、出力モード毎に、情報損失が起こりやすいと判定された領域の部分画像と、当該領域に対応するプッシュ画像の部分画像との、2種類の部分画像を生成してもよい。なお、情報損失が起こりやすいと判定された領域が複数ある場合は、その複数の領域毎に、2種類の部分画像を生成する。また、制御部70は、ステップS114において、レポート情報生成部214が生成した部分画像を送信する。このようにすることで、利用者は、情報損失が起こりやすいと判定された領域の部分画像と、プッシュ画像のうち当該領域に対応する部分画像とを比較して、情報損失の程度を確認することができる。
【0157】
また、レポート情報記憶処理のステップS126において、レポート情報生成部214は、画素ブロック毎の統計値の分布に応じて妥当性を決定してもよい。
【0158】
つづいて、
図16を参照して、端末装置3のメイン処理について説明する。本実施形態では、端末装置3の制御部300は、レポートを受信したと判定した場合、第1実施形態と同様に、レポートに基づき出力モード毎の評価値や出力することの妥当性、再取得要求手段、サムネイル画像を表示部320に表示する。その上で、制御部300は、情報損失の程度が大きいブロックを表示部320に表示する(ステップS252)。例えば、制御部300は、情報損失の程度が大きいブロックの位置を文字によって表示したり、サムネイル画像や部分画像に情報損失の程度が大きいブロックの位置を示す表示を重ねて表示したりする。また、制御部300は、レポートにヒートマップが含まれる場合は、サムネイル画像とヒートマップとを切り替えて表示したり、重ねて表示したりしてもよい。レポートに情報損失が起こりやすいと判定された領域の部分画像と、当該領域に対応するプッシュ画像の部分画像との、2種類の部分画像が含まれる場合は、制御部300は、当該2種類の部分画像を並べて表示してもよい。
【0159】
さらに、制御部300は、情報損失が起こりやすいと判定されたことを示す識別表示(例えば、注意を喚起することを示すアイコン)を表示部320に表示する(ステップS254)。例えば、制御部300は、ステップS252においてヒートマップや部分画像を表示した場合は、情報損失の程度が大きいブロックの位置の周辺に識別表示を表示したり、情報損失が起こりやすいと判定された出力モードの名称の付近に識別表示を表示したりする。
【0160】
図17及び
図18を参照して、レポートに部分画像が含まれる場合について説明する。レポートに部分画像が含まれる場合は、例えば、
図17に示すように、端末装置3は、利用者が選択可能な出力モード毎の情報損失が起こりやすいと判定された領域の部分画像と、プッシュ画像の部分画像やサムネイル画像とを並べて表示する。このようにすることで、利用者にとって情報損失が起こりやすい箇所を比較しやすい形で表示することができる。もしくは、利用者が選択可能な出力モードが多い場合等は、
図18に示すように、端末装置3は、情報損失が起こりやすいと判定された領域の部分画像を、利用者が選択可能な出力モード毎に、利用者の操作によって切り替えて表示できるようにしてもよい。
【0161】
また、情報損失が起こりやすいと判定された領域がある場合、識別表示を表示する。例えば、
図17に示すように端末装置3は、レポートとして出力モード毎のサムネイル画像を並べて表示し、情報損失が起こり易い箇所(画素ブロック)を含む出力モードの部分画像の近辺に、アイコンE200を表示する。このようにすることで、利用者は出力モード毎の部分画像を比較するときに、併せて、その出力モードが情報損失が起こりやすい出力モードであるか否かを確認することができる。また、
図18のように、端末装置3は、情報損失が起こり得ると判定された出力モードには対応する部分の近辺にアイコンE201を表示することで、その出力モードでは情報損失が起こる可能性がある旨を視認させるようにする一方、利用者によって出力モードを切り替えられるようにして、利用者によって選択した出力モードのサムネイル画像を表示し、情報損失が起こり易い箇所の近辺にアイコンE202を表示してもよい。このようにすることで、利用者が選択可能な出力モードが多い場合であっても、利用者は、簡易な操作で情報損失の程度を確認することができる。
【0162】
本実施形態によれば、利用者は、情報損失が発生する可能性のある領域を確認しながら、出力モードを比較することが可能となる。
【0163】
[3.第3実施形態]
つづいて第3実施形態について説明する。第3実施形態は、利用者によって選択された出力モードではなく、画像形成装置2が、評価値に基づき画像データを出力するモードとして妥当性が最も高い出力モードで画像データを出力する実施形態である。
【0164】
本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態に適用することが可能であるが、ここでは、第1実施形態に適用した場合について、第1実施形態の
図7を
図19に置き換えた図を参照して説明する。なお、同一の機能部及び処理には同一の符号を付し、説明については省略する。また、本実施形態では、出力モード判定部212は、ACS判定処理、評価値算出処理、出力モード判定処理を行う。
【0165】
図19を参照して、本実施形態における画像形成装置2のメイン処理を説明する。本実施形態では、利用者によって選択された出力モードの出力画像データを送信する処理であるステップS110を実行しない。その代わりに、制御部70は、利用者が選択可能な出力モード毎に算出された評価値に基づき、妥当性が最も高い出力モードを判定する(ステップS302)。
【0166】
例えば、制御部70は、ACS判定処理を実行し、プッシュ画像をモノクロ画像として出力することを判定した場合、制御部70は、出力モード毎の評価値をスコア化する。なお、スコアは、情報損失の程度やファイルサイズといった評価値を考慮して算出される。そして、制御部70は、スコアが最もよいと判断した出力モードを、妥当性が最も高い出力モードとして判定する。
【0167】
または、制御部70は、利用者の設定等により情報損失の程度の量の上限を示す閾値を設け、情報損失の程度が閾値を超えない出力モードのうち、最も情報損失の程度が大きい出力モードを、妥当性が最も高い出力モードとして判定してもよい。
【0168】
そして、制御部70は、妥当性が最も高い出力モードの出力画像データを、送受信装置30を制御して送信する(ステップS304)。ここで、出力画像データの送信先は利用者によって指定され、制御部70は、利用者によって指定された送信先に基づいて特定される装置に出力画像データを送信する。例えば、制御部70は、出力画像データを、端末装置3、電子メールサーバ、NAS等の装置に送信する。
【0169】
図20は、読み取りジョブを実行する前に、画像形成装置2の表示部54に表示される表示画面W300の例である。表示画面W300には、ACS判定処理によりプッシュ画像がモノクロ画像として出力すると判定した場合の出力モードを指定する領域E300を含む。
図20の例では、ACS判定処理を行い、ACS判定処理によりプッシュ画像がモノクロ画像として出力すると判定された場合には、出力モードを自動判定することが指定されていることを示す。
【0170】
なお、本実施形態を第2実施形態に適用する場合も、制御部70は、画像形成装置2のメイン処理において、ステップS110を実行する代わりに、ステップS302及びステップS304を実行することで実現できる。
【0171】
また、第2実施形態では画素ブロック毎の統計値を算出しているため、制御部70は、ステップS302において、画素ブロック毎の統計値に基づき、妥当性が最も高い出力モードを判定してもよい。例えば、出力モード毎に、画素ブロック単位で損失エッジ量の統計量を算出して閾値と比較し、条件を満たす画素ブロックの数の値や、条件を満たす画素ブロックの連続数に応じた値を算出する。すなわち、算出した値が大きいほど、その出力モードでプッシュ画像を出力した場合において、情報損失の程度の大きい画素ブロックが多かったり広かったりすることを示す。制御部70は、算出した値と、利用者の設定等による閾値とを比較し、閾値を超えない出力モードのうち、最も算出した値が大きい出力モードを、妥当性が最も高い出力モードとして判定してもよい。
【0172】
本実施形態によれば、利用者は、プッシュ画像をモノクロ画像として出力する場合において、自動的に適切な出力モードを画像形成装置に判定させた上で、出力画像データを取得することができる。また、利用者は、自動的に判定された出力モードで出力された画像データに不満がある場合は、レポートを参照して、出力モードを指定した上で、出力画像データの再取得を行うことが可能となる。
【0173】
[4.第4実施形態]
つづいて第4実施形態について説明する。第4実施形態は、画像形成装置は、プッシュ画像を取得したときに、端末装置にレポートを送信するが、特定の出力モードに対応する出力画像データの送信を行わない実施形態である。
【0174】
本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態のいずれの実施形態にも適用することが可能であり、具体的には、画像形成装置2のメイン処理においてステップS110をスキップすることで実現する。
【0175】
図21は、読み取りジョブを実行する前に、画像形成装置2の表示部54に表示される表示画面W400の例である。表示画面W400には、画像形成装置2に読み取りジョブを実行したときにはレポートのみを送信させ、レポートの受信後に出力画像データを選択することを指定する領域E400が含まれる。レポートを送信した後に出力画像データを選択することが指定された場合、画像形成装置2は、特定の出力モードに対応する出力画像データの送信を行わず、レポートの送信だけを行う。利用者は、レポートに含まれる再取得ボタンを選択することにより、選択した出力モードに対応する出力画像データの送信を画像形成装置2に指示することができる。
【0176】
本実施形態によれば、利用者は、画像形成装置に対してレポートの送信を実行させ、レポートを確認しながら、取得する出力画像データを選択することが可能となる。
【0177】
[5.第5実施形態]
つづいて第5実施形態について説明する。第5実施形態は、画像形成装置2の代わりに、画像読取装置を用いる実施形態である。第1実施形態から第4実施形態では、本発明に係る画像処理装置を画像形成装置2が有する画像処理装置に適用した構成について説明したが、これに限るものではない。そこで、本実施形態では、本発明に係る画像処理装置をフラットベッドスキャナ等の画像読取装置が有する画像処理装置に適用した例について説明する。
【0178】
図22を参照して、本実施形態における画像読取装置4の機能構成を説明する。
図22に示すように、画像読取装置4は、画像入力装置10、画像処理装置20、送受信装置30、操作パネル50、記憶部60、制御部70を備えて構成される。一方で、画像読取装置4は、画像形成装置2と異なり、第1画像処理部216及び画像出力装置40を備えていない。したがって、画像読取装置4は、送受信装置30を介して、外部の装置に出力画像データを送信する処理のみを実行する。
【0179】
画像読取装置4で実行される各種処理は、画像読取装置に備えられる制御部70(CPUあるいはDSP等のプロセッサを含むコンピュータ)により制御され、第1実施形態にて説明したものと同様の処理が実行される。
【0180】
なお、画像読取装置4は、スキャナに限定されることはなく、例えば、デジタルスチルカメラ、書画カメラ、あるいは、カメラを搭載した電子機器類(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等)であってもよい。
【0181】
[6.第6実施形態]
前述した画像処理装置は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0182】
後者の場合、画像処理装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムおよび各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等を備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本実施形態は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現されてもよい。
【0183】
[7.変形例]
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0184】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0185】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0186】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD(Blu-ray Disc)(登録商標)等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0187】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0188】
1 システム
2 画像形成装置
10 画像入力装置
20 画像処理装置
202 A/D変換部
204 シェーディング補正部
206 原稿種別判定部
208 入力階調補正部
210 領域分離処理部
212 出力モード判定部
214 レポート情報生成部
216 第1画像処理部
218 第2画像処理部
30 送受信装置
40 画像出力装置
50 操作パネル
60 記憶部
70 制御部
3 端末装置
300 制御部
310 通信部
320 表示部
330 操作入力部
340 記憶部
4 画像読取装置