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特許7346319語音聴力検査システム、音声出力制御装置及び回答入力装置
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  • 特許-語音聴力検査システム、音声出力制御装置及び回答入力装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】語音聴力検査システム、音声出力制御装置及び回答入力装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/12 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A61B5/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020015001
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121300
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115636
【氏名又は名称】リオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 香織
(72)【発明者】
【氏名】野中 隆司
(72)【発明者】
【氏名】中市 健志
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-319497(JP,A)
【文献】特開昭51-019396(JP,A)
【文献】特開平05-176933(JP,A)
【文献】特開昭63-255041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0135730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
語音表に従い検査音の出力を制御する音声出力制御装置と、
前記検査音に応じた回答の入力を受け付ける回答入力装置と
を有する語音聴力検査システムであって、
前記回答入力装置は、
前記音声出力制御装置と双方向通信をする通信部と、
前記通信部を介して、前記音声出力制御装置に検査用に設定された語音表の識別情報を取得する取得部と、
前記識別情報に対応付けられている語音表を設定する語音表設定部と、
前記音声出力制御装置による前記検査音の出力に対応して被検者が聞き取った語音を示す回答語音の入力を受け付ける受付部と、
前記語音表設定部により設定された語音表に基づいて、前記受付部が受け付けた前記回答語音の正誤判定を行う正誤判定部と
を備える、語音聴力検査システム。
【請求項2】
前記正誤判定部は、前記受付部が受け付けた前記回答語音と、前記回答語音に対応した正解語音と、を対応付けて記憶部に書き込む、請求項1に記載の語音聴力検査システム。
【請求項3】
前記回答入力装置は、前記検査用の語音表における語音順に従い、検査に用いる対象語音を設定する語音設定部をさらに備え、
前記対象語音が次の語音に変更された場合に、前記通信部は、前記検査音の出力指示を前記音声出力制御装置に送信し、
前記正誤判定部は、当該語音を正解語音として、前記出力指示に応じた前記検査音に対応して前記受付部が受け付けた前記回答語音の正誤判定を行う、請求項1又は2に記載の語音聴力検査システム。
【請求項4】
前記語音設定部は、前記受付部が前記回答語音の入力を受け付けた場合に、前記対象語音を前記語音順における次の語音に変更する、請求項3に記載の語音聴力検査システム。
【請求項5】
前記正誤判定部は、前記受付部が前記回答語音の入力を受け付ける度に、逐次前記回答語音の正誤判定を行う、請求項3乃至4の何れか1項に記載の語音聴力検査システム。
【請求項6】
前記正誤判定部は、正誤判定結果に応じて、前記検査用の語音表による検査を終了するか、前記検査用の語音表に含まれる語音の検査を継続するかを判定する、請求項5に記載の語音聴力検査システム。
【請求項7】
前記通信部は、前記音声出力制御装置による前記検査音の出力タイミングにおいて出力通知を受信し、
前記出力通知の受信に応じて、前記検査用の語音表における語音順に従い、検査に用いられる対象語音を設定する語音設定部をさらに備え、
前記正誤判定部は、前記対象語音を正解語音として、前記出力通知の受信後に前記受付部が受け付けた前記回答語音の正誤判定を行う、請求項1又は2に記載の語音聴力検査システム。
【請求項8】
語音聴力検査の検査音の出力を制御する音声出力制御装置であって、
語音聴力検査の回答の入力を受け付ける回答入力装置と双方向通信をする通信部と、
前記検査音を出力部に出力させる音声出力制御部と
語音表の識別情報と、語音表と、を対応付けて記憶する記憶部と
を備え、
前記通信部は、検査対象として設定された語音表の識別情報を、前記回答入力装置へ送信し、
前記音声出力制御部は、前記検査対象の語音表における語音順に、前記検査音を出力させる、音声出力制御装置。
【請求項9】
前記通信部は、前記回答入力装置から、前記検査音の出力指示を受信し、
前記音声出力制御部は、前記通信部が前記出力指示を受信した場合に、前記検査音を出力させる、請求項8に記載の音声出力制御装置。
【請求項10】
前記音声出力制御部は、前記検査音の出力から一定時間経過する前に、前記回答入力装置から回答を受信した場合、前記語音表における次の検査音を出力させる、請求項8に記載の音声出力制御装置。
【請求項11】
音声出力制御装置の制御に応じて出力された検査音に応じた回答の入力を受け付ける回答入力装置であって、
前記音声出力制御装置と双方向通信をする通信部と、
前記通信部を介して、前記音声出力制御装置に検査用に設定された語音表の識別情報を取得する取得部と、
前記識別情報に対応付けられている語音表を設定する語音表設定部と、
前記音声出力制御装置による前記検査音の出力に対応して被検者が聞き取った語音を示す回答語音の入力を受け付ける受付部と、
前記語音表設定部により設定された語音表に基づいて、前記受付部が受け付けた前記回答語音の正誤判定を行う正誤判定部と
を備える、回答入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、語音聴力検査システム、音声出力制御装置及び回答入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、語音聴力検査においては、提示された単音節等の検査音に対し、被検者の手書き又は口頭で行われた回答を検査者が採点する方法が採られている。この採点には、時間と手間を要していた。特許文献1には、語音聴力検査の回答の入力を受け付け、自動採点する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5991923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、語音聴力検査における検査者の負担をより軽いものにしたいという要求があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、語音聴力検査における検査者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、語音表に従い検査音の出力を制御する音声出力制御装置と、前記検査音に応じた回答の入力を受け付ける回答入力装置とを有する語音聴力検査システムであって、前記回答入力装置は、前記音声出力制御装置と双方向通信をする通信部と、前記通信部を介して、前記音声出力制御装置に検査用に設定された語音表の識別情報を取得する取得部と、前記識別情報に対応付けられている語音表を設定する語音表設定部と、前記音声出力制御装置による前記検査音の出力に対応して被検者が聞き取った語音を示す回答語音の入力を受け付ける受付部と、前記語音表設定部により設定された語音表に基づいて、前記受付部が受け付けた前記回答語音の正誤判定を行う正誤判定部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
語音聴力検査における検査者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】語音聴力検査システムの全体構成図である。
図2】語音聴力検査システムのブロック図である。
図3】表示装置の表示画面例を示す図である。
図4】語音聴力検査処理を示すフローチャートである。
図5】タブレットの表示画面例を示す図である。
図6】表示装置の表示画面例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る語音聴力検査処理を示すフローチャートである。
図8】変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る語音聴力検査システム10の全体構成図である。語音聴力検査システム10は、オージオメータ100と、タブレット200と、表示装置300と、スピーカ310と、ヘッドフォン320とを備えている。語音聴力検査システム10は、語音聴力検査を行う。本実施形態に係る語音聴力検査の検査者は医師に限定されるものではない。
【0010】
語音聴力検査は、以下の文献に指針がまとめられている。

Audiology Japan 46, 2003[online]、[令和2年1月17日検索]、インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology1968/46/6/46_6_621/_pdf/-char/ja>

語音了解閾値検査は、語音を用いた最小可聴閾値を測定する検査である。語音了解閾値検査においては、語音聴力検査システム10は、提示レベルを順に低くしながら、語音の聞き取り検査の正答率から、スピーチオージオグラムを作成する。そして、語音聴力検査システム10は、スピーチオージオグラムの曲線が50%明瞭度線と交差する提示レベルを語音了解閾値(SRT:Speech Reception Threshold)として求める。
【0011】
語音明瞭度検査は、言葉を正しく聞き分けることのできる能力を求める検査である。語音明瞭度検査においては、語音聴力検査システム10は、提示レベルを順に低くしながら、語音の聞き取り検査の正答率からスピーチオージオグラムを作成する。そして、語音聴力検査システム10は、スピーチオージオグラムの曲線の最も高い値を最高明瞭度として求める。
【0012】
オージオメータ100とタブレット200は、無線通信を行う。オージオメータ100は、語音聴力検査において、検査音の出力を制御する音声出力制御装置の一例である。タブレット200は、語音聴力検査において、検査音の出力に対し、被検者が聞き取った語音を示す回答語音を入力する回答入力装置の一例である。オージオメータ100は、表示装置300、スピーカ310及びヘッドフォン320と通信可能に有線接続されている。なお、オージオメータ100と、表示装置300、スピーカ310及びヘッドフォン320の間の通信も無線によるものとしてもよい。オージオメータ100と表示装置300は一体でもよい。
【0013】
オージオメータ100は、検査者Aにより操作され、スピーカ310やヘッドフォン320等の出力部からの検査音の出力を制御する。オージオメータ100はまた、検査結果から得られるオージオグラム等の各種情報を表示装置300に表示するよう制御する。スピーカ310は、語音聴力検査が行われる検査室20に配置される。ヘッドフォン320は、検査室において被検者Bにより装着される。スピーカ310及びヘッドフォン320からは、オージオメータ100により設定された語音が、オージオメータ100により設定された提示レベルで出力される。なお、本実施形態においては、ヘッドフォン320を用いた語音聴力検査を例に説明する。タブレット200は、検査室20において、被検者Bが検査音の出力に対し聞こえた音を回答語音として入力するために利用される。本実施形態においては、タブレット200は、回答の正誤判定も行う。
【0014】
図2は、オージオメータ100及びタブレット200の構成を示すブロック図である。オージオメータ100は、CPU、RAM、ROMなどを備える制御部110と、記録媒体120と、ユーザI/F130と、通信部140と、を備えている。制御部110は、記録媒体120やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部110は、このプログラムの1つとして音声出力制御プログラム111を実行することができる。制御部110は、音声出力制御プログラム111の処理により、語音聴力検査における検査音の出力を制御する。なお、オージオメータ100の制御による音声出力は、スピーカ310及びヘッドフォン320のいずれも可能であるものとする。
【0015】
記録媒体120は、語音表テーブル121を記憶している。語音表テーブル121は、語音表IDと語音表とを対応付けた情報である。語音表IDは、語音表の識別情報である。語音表は、語音聴力検査に用いられる20語又は50語の語音とその出力順を示す情報である。語音表テーブル121には、複数の語音表が記憶されている。また、記録媒体120に設けられた設定領域122には、語音聴力検査の設定内容が記憶される。
【0016】
ユーザI/F130は、検査者の指示を入力し、また、検査者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないディスプレイやボタン等を備えている。通信部140は、外部の装置と双方向通信を行うための装置である。制御部110は、通信部140を介してタブレット200、表示装置300、スピーカ310及びヘッドフォン320等と通信することができる。
【0017】
オージオメータ100の制御部110が実行する音声出力制御プログラム111は、受付部112と、通信処理部113と、検査管理部114と、音声出力制御部115と、オージオグラム生成部116と、表示制御部117と、を有している。以下、各機能による制御部110の処理の概要について説明する。なお、各処理の詳細については、後述する。
【0018】
受付部112は、ユーザI/F130に対して検査者から入力された情報を受け付ける機能を制御部110に実行させるプログラムモジュールである。通信処理部113は、通信部140を介して各種情報の送受信を行う機能を制御部110に実行させるプログラムモジュールである。検査管理部114は、検査の進行に係る処理を行う機能を制御部110に実行させるプログラムモジュールである。
【0019】
音声出力制御部115は、語音表の各語音に対応した検査音の出力を制御する機能を制御部110に実行させるプログラムモジュールである。オージオグラム生成部116は、語音聴力検査における被検者の回答に基づいてスピーチオージオグラムを生成する機能を制御部110に実行させるプログラムモジュールである。表示制御部117は、各種情報を表示装置300に表示するよう制御する機能を制御部110に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部110は、表示制御部117の機能により、通信部140を介して表示装置300に対し各種情報の表示指示を送信する。
【0020】
次に、タブレット200について説明する。タブレット200は、CPU、RAM、ROMなどを備える制御部210と、記録媒体220と、ユーザI/F230と、通信部240と、を備えている。制御部210は、記録媒体220やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部210は、このプログラムの1つとして回答入力プログラム211を実行することができる。制御部210は、回答入力プログラム211の処理により、語音聴力検査において、被検者による回答入力を受け付け、採点を行う。
【0021】
記録媒体220は、語音表テーブル221を記憶している。語音表テーブル221は、オージオメータ100の語音表テーブル121と同様である。また、設定領域222には、語音聴力検査における設定内容が記憶される。ユーザI/F230は、被検者の入力を受け付けるための入力部及び各種情報を表示する表示部を有している。本実施形態においては、ユーザI/F230は、タッチパネル式のディスプレイであるものとする。通信部240は、外部の装置と無線による双方向通信を行うための装置である。制御部210は、通信部240を介してオージオメータ100と通信することができる。
【0022】
タブレット200の制御部210が実行する回答入力プログラム211は、通信処理部212と、取得部213と、語音表設定部214と、語音設定部215と、受付部216と、認識部217と、正誤判定部218と、表示制御部219と、を有している。以下、各機能による制御部210の処理の概要について説明する。なお、各処理の詳細については、後に詳述する。
【0023】
通信処理部212は、通信部240を介して各種情報の送受信を行う機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。取得部213は、通信部240を介してオージオメータ100において検査用に設定された語音表の語音表IDを、オージオメータ100から取得する機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。語音表設定部214は、語音聴力検査に用いられる語音表を設定する機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。語音設定部215は、語音表設定部214により設定された語音表の語音順に従い、検査用に出力される1つの語音を設定する機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。
【0024】
受付部216は、ユーザI/F230に対して被検者から入力された情報を受け付ける機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。認識部217は、ユーザI/F230としてのタッチパネルに入力された手書き文字の文字認識を行う機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。被検者は、オージオメータ100の制御の下でヘッドフォン320から出力された検査音に対する回答を手書き文字でタブレット200のタッチパネルに入力する。制御部210は、この手書き文字に対し文字認識を行う。制御部210は、具体的には、予め登録されている文字と手書き文字とを比較すること等により手書き文字の文字認識を行う。なお、文字認識については、従来技術を用いればよく、具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。正誤判定部218は、被検者による回答が正しいか否か、すなわち正誤を判定する機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部210は、語音設定部215により設定された語音を正解語音とし、正解語音と、認識部217により認識された文字とを比較することにより、回答の正誤判定を行う。なお、ここで、正解語音は文字(文字コード)で定義され、文字認識結果も文字(文字コード)で得られるものとする。そして、制御部210は、文字(文字コード)が一致する場合に回答が正しいと判定し、一致しない場合に回答が誤りであると判定する。文字コードは、文字をローマ字表記とした場合の子音をあらわす文字の文字コードと母音をあらわす文字の文字コードをペアにしたものでもよい。たとえば、正解語音が「サ」のときは、「s」の文字コードと「a」の文字コードのペアとなる。表示制御部219は、ユーザI/F230への各種情報の表示を制御する機能を制御部210に実行させるプログラムモジュールである。
【0025】
次に、図3を参照しつつ、語音聴力検査の設定処理について説明する。図3(a)は、表示装置300に表示される設定画面400を示す図である。設定画面400は、検査者が語音聴力検査の条件設定を行うための画面である。設定画面400において、検査者は、語音聴力検査における提示レベルのデクリメントステップサイズと、マスキングレベルのデクリメントサイズと、を設定することができる。ここで、マスキングレベルは、ノイズのレベルである。デクリメントステップサイズは、1つの提示レベルの検査が終了した後に、変更する提示レベル及びマスキングレベルの幅である。
【0026】
検査者は、設定画面400において、語音表の順序、提示レベルの順序について、自動又は手動のいずれかを選択することができる。語音表順序について自動が選択された場合には、制御部110は、語音表テーブル121を参照し、一連の語音聴力検査において用いる複数の語音表を自動的に設定する。手動が選択された場合には、制御部110は、語音表テーブル121に登録されている語音表を選択可能に一覧表示する。そして、制御部110は、表示された語音表のうち、検査者の操作により指定された語音表を、語音聴力検査において用いる語音表として設定する。
【0027】
検査者は、設定画面400において、提示レベルの開始値及びマスキングレベルの開始値について、自動又は聴力レベルからの推定のいずれかを選択することができる。各開始値について自動が選択された場合には、制御部110は、所定のレベルを開始値として設定する。聴力レベルから推定が選択された場合には、制御部110は、被検者の聴力レベルよりも所定量だけ大きい提示レベルを開始値として設定する。なお、聴力レベルは、オージオメータ100の記録媒体120またはネットワーク上のデータベース(不図示)に予め格納されているものとする。
【0028】
設定画面400において各種設定が完了すると、制御部110は、表示装置300に検査画面を表示する。図3(b)は、検査画面410を示す図である。検査画面410は、設定画面400における設定に応じて表示される。検査画面410の氏名表示欄411には、被検者の氏名が表示される。さらに、検査表412には、検査順序に沿って、使用される表、提示レベル、マスキングレベルが表示される。
【0029】
図4は、オージオメータ100及びタブレット200による、語音聴力検査処理を示すフローチャートである。まず、オージオメータ100において、制御部110は、設定画面400における検査者による入力に応じて、検査管理部114の機能により、設定領域122に語音聴力検査に用いる語音表及び提示レベルを設定する(ステップS100)。制御部110は、具体的には、設定画面400に対する入力に応じて設定された検査順序に従い、次に実施する検査において使用する語音表IDと提示レベルをそれぞれ対象語音表及び対象レベルとして設定する。
【0030】
次に、制御部110は、ステップS100において設定領域122に設定された対象語音表と、対象レベルとを、通信処理部113の機能により、通信部140を介してタブレット200に送信する(ステップS102)。次に、検査者がユーザI/F130を介して、語音聴力検査のスタート指示を入力すると、制御部110は、スタート指示を受け付け(ステップS104)、検査管理部114の機能により、対象語音表の最初の語音を対象語音に設定する(ステップS106)。ここで、対象語音とは、ステップS110で検査音として出力される語音である。次に、制御部110は、通信処理部113の機能により、通信部140を介してタブレット200に対し、出力通知を送信する(ステップS108)。ここで、出力通知は、音声出力を開始することを通知する情報である。このように、制御部110は、検査音の出力タイミングに対応して、出力通知をタブレット200に送信する。次に、制御部110は、音声出力制御部115の機能により、対象語音をヘッドフォン320から出力するよう制御する(ステップS110)。ヘッドフォン320は、制御部110の制御により所定の提示レベルで、指定された語音を音声出力する。
【0031】
これに対し、タブレット200においては、制御部210は、取得部213の機能により、ステップS100においてオージオメータ100から送信された語音表IDと対象レベルとを通信部240を介して取得する。そして、制御部210は、語音表IIDと対象レベルとを、設定領域222に保存する(ステップS140)。制御部210は、さらに、語音表設定部214の機能により、対象語音表を設定する。具体的には、制御部210は、オージオメータ100から送信された語音表IDを、設定領域222に対象語音表の語音表IDとして記憶する。これにより、オージオメータ100から送信された語音表IDに対応付けられている語音表が対象語音表として設定される。また、制御部210は、表示制御部219の機能により、回答画面をタブレット200のタッチパネルに表示するよう制御する(ステップS142)。ここで、回答画面は、被検者が検査音の出力に対して聞き取った回答語音を入力するための画面である。
【0032】
図5は、回答画面の一例を示す図である。回答画面500には、手書き文字の記入欄510が設けられている。被検者は、聞きとった語音、すなわち回答語音を記入欄510に手書き入力する。これに対し、制御部210の認識部217の機能により認識された語が入力文字候補欄520に表示される。被検者が入力文字候補欄520に表示された文字の中から回答語音を選択することで、回答語音が確定する。また、記入欄510の上には、回答の残り時間表示欄530が設けられ、バーの長さで残り時間を示している。回答時間は、音声出力から例えば10秒など予め定められている。被検者は、バーの長さにより感覚的に残り時間を把握することができる。
【0033】
左上の回答表540には、確定した回答語音が回答順に沿って一覧表示される。OKボタン551は、1つの語音に対する回答が終了した場合にタッチするボタンである。OKボタン551がタッチされた場合には、対象語音に対する検査が終了し、次の語音を対象語音とした検査へ進む。パスボタン552は、語音が聞き取れず回答をパスする場合にタッチするボタンである。パスボタン552がタッチされた場合には、回答語音の入力を受け付けることなく、次の語音の検査へ進む。もう一度ボタン553は、音声出力された語音を再度出力させたい場合にタッチするボタンである。もう一度ボタン553がタッチされた場合には、一度出力された語音が再び音声出力される。
【0034】
図4に戻り、ステップS140の処理の後、タブレット200の制御部210は、語音設定部215の機能により、対象語音表の最初の語音を対象語音に設定する(ステップS144)。次に、制御部210は、通信処理部212の機能により、出力通知をオージオメータ100から受信する(ステップS146)。制御部210は、さらに、出力通知を受信すると、回答入力の残り時間のカウントを開始する。なお、これ以降、制御部210は、一定時間経過する度に、カウントに応じて、回答画面500の残り時間表示欄530のバーの長さを更新する。
【0035】
タブレット200は、オージオメータ100において対象語音表として設定された語音表の語音表IDを受信している。したがって、この語音表IDを用いることで、オージオメータ100において対象語音表として設定された語音表をタブレット200においても対象語音表として設定することができる。
【0036】
そして、制御部210は、ステップS110の処理に応じて出力される検査音に対応した、被検者からの入力を待つ(ステップS148)。被検者は、検査音を聞きとれた場合には、回答語音を記入欄510に手書き入力する。また、被検者は、検査音が聞き取れなかった場合には、もう一度ボタン553をタッチするか、パスボタン552をタッチする。他の例としては、パスボタン552をなくし、所定時間内に入力が無ければ、自動的に回答をパスしたものとみなしてもよい。
【0037】
制御部210は、もう一度ボタン553がタッチされた場合には(ステップS148でもう一度)、通信処理部212の機能により、通信部240を介して、再出力要求をオージオメータ100に送信する(ステップS150)。ここで、再出力要求は、ステップS110において出力された語音と同一の語音を再度音声出力することを要求する情報である。制御部210は、ステップS150の処理の後、処理をステップS148へ進める。また、制御部210は、回答の手書き入力が行われた場合には(ステップS148で回答)、制御部210は、認識部217の機能により、回答語音の文字認識を行う(ステップS152)。そして、制御部210は、表示制御部の機能により、候補文字を入力文字候補欄520に表示するよう制御する。さらに、制御部210は、被検者が入力文字候補欄520において回答語音を選択(タッチ)したことに対応し、回答語音が確定すると、受付部216の機能により、確定した回答語音の入力を受け付ける。また、候補文字が1つの場合は、自動的にその文字を回答語音としてもよい。制御部210は、受け付けた回答語音を回答表540に追加する。
【0038】
次に、制御部210は、正誤判定部218の機能により、回答語音の正誤判定を行う(ステップS154)。制御部210は、具体的には、対象語音として設定されている語音を正解語音として、回答語音の正誤判定を行う。さらに、制御部210は、正誤判定部218の機能により、正解語音、回答語音、子音と母音の組合せ、及び判定結果を記録媒体220に保存する(書き込む)。次に、制御部210は、被検者によるOKボタン551のタッチに応じて、通信処理部212の機能により、完了通知をオージオメータ100に送信する(ステップS156)。他の例としては、候補文字から回答語音が確定したときに、ステップS156を実行してもよい。その場合は、OKボタン551は無くてもよい。また、ステップS148において、制御部210は、パスボタン552がタッチされた場合にも(ステップS148でパス)、同様に、完了通知をオージオメータ100に送信する(ステップS156)。ここで、完了通知は、1つの回答語音の入力が完了したことを通知する情報である。なお、パスボタン552がタッチされた場合には、制御部210は、回答語音なしとして、正解語音と、誤りの判定結果を記録媒体220に保存する。
【0039】
オージオメータ100の制御部110は、ステップS110の処理の後、タブレット200からの受信を待つ(ステップS112)。制御部110は、タブレット200からの受信がない場合には、検査管理部114の機能により、一定時間が経過するまで待機する(ステップS114でN)。ここで、一定時間は、被検者が回答するために与えられる時間(回答時間)である。一定時間の起算点は、ステップS110において対象語音の出力を行った時点である。制御部110は、一定時間が経過すると(ステップS114でY)、パスを受信したものとみなして、処理をステップS116へ進める。
【0040】
制御部110は、ステップS112において再出力要求を受信すると(ステップS112で再出力要求)、処理をステップS110へ進める。そして、制御部110は、処理時点における対象語音、すなわち直前に出力済みの語音を再度音声出力するよう制御する(ステップS110)。このように、制御部110は、再出力要求を受信した場合には、検査を進めることなく、同一の語音を再度音声出力するよう制御することができる。
【0041】
一方、制御部110は、ステップS112において完了通知を受信すると(ステップS112で完了通知)、処理をステップS116へ進める。そして、制御部110は、検査管理部114の機能により、対象語音表のすべての語音についての検査が終了したか否かを判定する(ステップS116)。制御部110は、対象語音表において、処理時点において対象語音として設定されている語音に対し、次の語音順の語音が存在しない場合に、対象語音表のすべての語音についての検査が終了したと判定する。制御部110は、処理時点において対象語音として設定されている語音に対し、次の語音順の語音が存在する場合には、検査が行われていない語音が残っていると判定する。
【0042】
制御部110は、対象語音表において、検査が終了していない語音が残っている場合には(ステップS116でN)、検査管理部114の機能により、対象語音を、対象語音表における語音順に従い、次の語音に変更する(ステップS118)。制御部110は、その後処理をステップS108へ進める。そして、制御部110は、変更後の対象語音を出力するよう制御する(ステップS108)。このように、制御部110は、対象語音表の最後の語音に対応した検査音が出力されるまで、ステップS108~ステップS118の処理を繰り返す。
【0043】
これにより、制御部110は、対象語音表の語音順に従い、検査音を出力させる。また、制御部110は、一の語音に対応する検査音を出力してから一定時間が経過する前に完了通知を受信した場合には、回答時間が経過する前に、対象語音を次の語音に変更し、検査を進める。これにより、制御部110は、回答時間が経過する前に、被検者による回答が完了した場合には、回答時間が経過するまで待つことなく、検査を進め、次の検査音を出力させることができる。なお、再出力要求を受信した場合には、制御部110は、ステップS114においては、再出力要求を受信した直後にステップS110における対象語音の出力を行った時点を基準に一定時間が経過したか否かを判定する。
【0044】
タブレット200の制御部210は、ステップS156の処理の後、語音設定部215の機能により、対象語音表に含まれるすべての語音についての検査が終了したか否かを判定する(ステップS158)。本処理は、オージオメータ100のステップS116の処理と同様である。制御部210は、対象語音表において検査が終了していない語音が残っている場合には(ステップS158でN)、検査を継続する。すなわち、制御部210は、語音設定部215の機能により、対象語音を次の語音に変更する(ステップS160)。このように、制御部210は、検査音の出力タイミングにおいて出力通知を受信する。そして、制御部210は、出力通知を受信すると、対象語音表における語音順に従い、検査に用いる対象語音を設定する。そして、制御部210は、処理をステップS146へ進め、変更後の対象語音に対応した出力通知の受信を待つ(ステップS146)。このように、制御部210は、対象語音表の最後の語音に対応した回答語音が入力されるまで、ステップS146~ステップS160の処理を繰り返す。このように、制御部210は、対象語音表に含まれるすべての語音に対する検査が終了するまで、語音を変更しながら検査を継続させる。
【0045】
オージオメータ100は、対象語音を次の語音に変更すると、出力通知をタブレット200に送信する。したがって、タブレット200の制御部210は、出力通知を受信することにより、オージオメータ100において設定されている対象語音が次の語音に変更されたことを確認することができる。そして、タブレット200においても、オージオメータ100と同様に、対象語音を次の語音に変更することができる。すなわち、オージオメータ100とタブレット200は、出力通知により、同一の語音を対象語音として設定することができる。さらに、タブレット200は、出力通知の受信後に入力された語音を対象語音に対する語音(回答語音)として、対象語音(正解語音)と正しく組み合わせて、正誤判定を行うことができる。
【0046】
また、制御部210は、例えば、対象語音表の1番目の回答語音が入力された直後に1番目の回答語音に対する正誤判定を行い、さらに2番目の回答語音が入力された直後に2番目の回答語音に対する正誤判定を行う。このように、制御部210は、回答語音の入力を受け付ける度に、逐次回答語音の正誤判定を行うことができる。
【0047】
制御部210は、対象語音表のすべての語音についての検査が終了した場合には(ステップS158でY)、検査を終了する。このように、制御部210は、対象語音表のすべての語音に対する正誤判定結果が得られたことを条件に、検査を終了する。また、簡易的な目安検査として、制御部210は、正答率に応じて、対象語音表のすべての語音について検査せずに、検査を終了しても良い。最初の3~5語の正答率が所定値より高ければ、その提示レベルでは十分聞き取れているとみなし、正答率が所定値より低ければ、その提示レベルでは聞き取れていないとみなし、対象語音表の検査を途中で終了する。そして、提示レベルを変更して次の語音表の検査に進むことで、検査時間を短縮することができる。すなわち、制御部210は、正誤判定結果に応じて、検査を終了するか否かを判定する。そして、制御部110は、通信処理部212の機能により、採点結果表をオージオメータ100に送信する(ステップS162)。ここで、採点結果表は、対象語音表に含まれる各語音についての正誤判定の結果を示す情報である。次に、制御部110は、採点結果表を記録媒体220に保存する(ステップS164)。
【0048】
オージオメータ100においては、ステップS116において、対象語音表のすべての語音についての検査が終了した場合には(ステップS116でY)、制御部110は、検査を終了する。そして、制御部110は、通信処理部113の機能により、タブレット200から採点結果表を受信する(ステップS120)。以上で、1つの語音表における検査が終了する。オージオメータ100とタブレット200は、語音表及び提示レベルを変更しながら、上記処理を繰り返すことで、複数の提示レベルに対応した、複数の語音表に対する採点結果表を得ることができる。そして、制御部110は、複数の提示レベルに対応した複数の採点結果表を受信した後、検査者の指示に応じて、オージオグラム生成部116の機能により、採点結果表に基づいて、スピーチオージオグラムを作成する。具体的には、制御部110は、提示レベルを横軸、正解率(語音明瞭度)を縦軸とするグラフに、各提示レベルにおける正解率をプロットする。制御部110はさらに、スピーチオージオグラムを表示装置300に表示するよう制御する(ステップS130)。同じ提示レベルで行われた複数の結果がある場合、検査者がスピーチオージオグラム作成に必要と判断した条件の結果をここで選択してもよい。
【0049】
図6は、ステップS130の処理により表示装置300に表示される検査結果画面の表示例を示す図である。検査結果画面600には、被検者の左右の耳に対するスピーチオージオグラム611,612が表示される。検査結果画面600には、さらに、各提示レベルにおける検査結果621~624が表示される。
【0050】
以上のように、第1の実施形態に係る語音聴力検査システム10においては、オージオメータ100からタブレット200に語音表IDが送信されることにより、両装置において、検査が行われる語音表を共有することができる。これにより、検査者や被検者がオージオメータ100及びタブレット200の両装置において、同じ語音表を設定するといった操作を行うことなく、タブレット200における自動での正誤判定を可能とすることができる。すなわち、語音聴力検査における検査者の負担を軽減することができる。
【0051】
また、第1の実施形態に係る語音聴力検査システム10においては、オージオメータ100がマスタ、タブレット200がスレーブとして動作する。すなわち、オージオメータ100が検査の進行を制御し、タブレット200は、オージオメータ100による出力通知の送信を契機に検査対象の語音を次の語音に変更する。これにより、オージオメータ100及びタブレット200は、検査中の語音を一致させることができる。
【0052】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る語音聴力検査システム10について、第1の実施形態に係る語音聴力検査システム10と異なる点を主に説明する。なお、第2の実施形態に係る語音聴力検査システム10の構成は、第1の実施形態に係る語音聴力検査システム10の構成と同様である。ただし、第2の実施形態に係る語音聴力検査システム10においては、タブレット200がマスタ、オージオメータ100がスレーブとして語音聴力検査を進める。
【0053】
図7は、第2の実施形態に係るオージオメータ100及びタブレット200による、語音聴力検査処理を示すフローチャートである。なお、図4を参照しつつ説明した第1の実施形態に係る語音聴力検査処理の各処理と同じ処理には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
タブレット200の制御部210は、ステップS142の処理の後、被検者からユーザI/230を介して、語音聴力検査のスタート指示を受け付ける(ステップS240)。そして、語音設定部215の機能により、対象語音表の最初の語音を対象語音に設定する(ステップS144)。次に、制御部210は、通信処理部212の機能により、オージオメータ100に対し、出力指示を送信する(ステップS242)。ここで、出力指示は、対象語音の音声出力を指示する情報である。
【0055】
オージオメータ100においては、ステップS102の処理の後、制御部110は、検査管理部114の機能により、対象語音表の最初の語音を対象語音に設定する(ステップS106)。そして、制御部110は、タブレット200から出力指示を受信するまで待機する。制御部110は、通信処理部113の機能により、通信部140を介してタブレット200から出力指示を受信すると(ステップS200)、処理をステップS110へ進める。このように、本実施形態においては、制御部110は、タブレット200から出力指示を受信したことを契機に検査音を出力させる。
【0056】
また、タブレット200の制御部210は、ステップS242において出力指示を送信した後、一定時間が経過するまで入力を待つ(ステップS244でN、ステップS246でN)。ここで、一定時間は、被検者の回答時間であり、一定時間の起算点は、ステップS242において出力指示を送信した時点である。制御部210は、被検者からの入力がない状態で一定時間が経過すると(ステップS244でN、ステップS246でY)、パスを受信したものとみなし、処理をステップS156へ進める。また、制御部210は、一定時間内に入力があった場合には(ステップS244でY)、処理をステップS148へ進める。すなわち、制御部210は、入力内容を確認する(ステップS148)。
【0057】
一方、オージオメータ100の制御部110は、ステップS112において、タブレット200からの受信を待つ。なお、第2の実施形態においては、ステップS110において対象語音の出力を行った時点から一定時間が経過したか否かの判定は行わない。被検者の回答時間の管理はタブレット200において行われるためである。第2の実施形態に係る語音聴力検査システム10のこれ以外の構成及び処理は、第1の実施形態に係る語音聴力検査システム10の構成及び処理と同様である。
【0058】
このように、第2の実施形態においては、検査音の出力タイミングは、タブレット200から送信される出力指示により制御される。すなわち、第2の実施形態においては、タブレット200が検査の進行を制御し、オージオメータ100は、タブレット200による出力指示の送信を契機に検査対象の語音を次の語音に変更する。これにより、オージオメータ100及びタブレット200は、検査中の語音を一致させることができる。
【0059】
以下、上記実施形態の変形例について説明する。第1の変形例としては、タブレット200の制御部210が取得部213の機能により取得する語音表IDは、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、語音表IDは、語67-S1表等の語音表の名称であってもよい。
【0060】
第2の変形例としては、タブレット200の制御部210が回答語音と正解語音とを対応付けて記憶部としての記録媒体220に書き込むタイミングは、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部210は、1つの語音表に対する検査が終了したタイミングで、対象語音表に含まれるすべての語音に対し、回答語音と正解語音とを対応付けて記録媒体220に書き込むこととしてもよい。
【0061】
第3の変形例としては、オージオメータ100は、検査音の出力タイミングに対応して、出力通知を送信すればよく、出力通知の送信タイミングは実施形態に限定されるものではない。他の例としては、オージオメータ100は、対象語音を出力した後で、出力通知を送信してもよい。
【0062】
第4の変形例としては、タブレット200の制御部210が受付部216の機能により受け付ける回答語音は、タッチパネルに手書き入力された文字に限定されるものではない。他の例としては、制御部210は、タッチパネルに表示された50音やキーボードの選択により入力された語を回答語音として受け付けてもよい。また他の例としては、タブレット200はマイクを備え、制御部210は、被検者が聞こえた語音を発話した音声を回答語音として受け付けてもよい。
【0063】
また、他の例としては、被検者は、図8(a)に示すような回答用紙700に回答を記入し、タブレット200は、カメラを備え、制御部210は、カメラにより読み込まれた回答用紙700の記入内容から回答語音を受け付けてもよい。回答用紙700には、語音表を識別する二次元コード710が表示されており、制御部210は、回答用紙700の画像から、語音表を特定することができる。また、回答用紙700には、回答記入欄720と、回答記入欄720の位置を特定するためのマーカ730とが表示されており、制御部210は、マーカ730により、回答記入欄720を特定することができる。これにより、文字の記入位置を特定することができるため、文字認識を効率的に行うことができる。
【0064】
また、他の例としては、被検者に替えて、代理の回答者がタブレット200への記入を行ってもよい。この場合には、タブレット200のタッチパネルには、図8(b)に示す回答画面800が表示される。回答画面800には、正解語音だけでなく、間違えやすい語音が回答候補表示欄810に表示される。これにより、代理の回答者は、簡単に回答者による回答語音を選択することができる。さらに、回答画面800には、OKボタン831、パスボタン832、もう一度ボタン833も表示され、代理の回答者は、これらのボタンによる操作も行うことができる。
【0065】
さらに、本実施形態の処理は、方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0066】
10…語音聴力検査システム、100…オージオメータ、110…制御部、112…受付部、113…通信処理部、114…検査管理部、115…音声出力制御部、116…オージオグラム生成部、117…表示制御部、200…タブレット、210…制御部、212…通信処理部、213…取得部、214…語音表設定部、215…語音設定部、216…受付部、217…認識部、218…正誤判定部、219…表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8