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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ガス発生器の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/195 20060101AFI20230911BHJP
   B60R 22/46 20060101ALI20230911BHJP
   B60R 21/264 20060101ALN20230911BHJP
【FI】
B60R22/195 104
B60R22/46 128
B60R21/264
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020031073
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133793
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】小山 弘朗
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504230(JP,A)
【文献】特表2008-537918(JP,A)
【文献】特表2004-538205(JP,A)
【文献】特表2008-521675(JP,A)
【文献】特開2009-286218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00-22/48
B60R 21/16-21/33
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火器による着火によりガス発生剤を燃焼させてガスを発生させるガス発生器の取り付け構造であって、
前記ガス発生剤が内部に密封された収容器と、金属製のホルダに固定され、前記収容器内の前記ガス発生剤を着火可能な前記点火器と、を有し、前記収容器と前記点火器とは離間して配置される前記ガス発生器と、
軸方向の一端部側に設けられ、前記ガス発生器が挿入される開口部と、前記収容器を内壁側で保持する周壁部と、を有したモジュールパイプと、
を備え、
前記開口部の端部と前記ホルダの一部とが溶接されることにより固定され
前記周壁部は、テーパー部と、前記テーパー部の長径側に接続される筒状部とを有し、
前記収容器は、前記テーパー部に圧入される底部と、前記周壁部の前記筒状部と離間して配置される筒状部とを有し、前記底部が前記テーパー部に圧入されることによって前記テーパー部に保持されていることを特徴とするガス発生器の取り付け構造。
【請求項2】
前記溶接が、摩擦圧接であることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器の取り付け構造。
【請求項3】
前記ホルダが略リング状であり、
前記点火器は、前記ホルダの略中心部において前記ホルダの中心軸に沿って樹脂成形部を介して固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス発生器の取り付け構造。
【請求項4】
前記ホルダが略筒状であり、
前記点火器は、前記ホルダの略中心部において前記ホルダの中心軸に沿って直接固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス発生器の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の安全装置に用いられるガス発生器の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、シートベルト装置およびエアバッグ装置が普及している。このうち、シートベルト装置は、車両等の衝突時に生じる衝撃により乗員が車内または社外に放り出されることを防止する目的で装備されるものであり、乗員の身体にベルトを巻き付けることによって、乗員を座席に拘束して固定するものである。
【0003】
近年においては、乗員保護機能の向上のために、プリテンショナ機能を備えたシートベルト装置が普及している。このプリテンショナ機能とは、衣服の厚みなどによって生じるシートベルトの弛みを衝突時あるいは衝突の直前に瞬時に巻き上げるものであり、乗員の拘束効果を高めるものである。このプリテンショナ機能は、マイクロガスジェネレータ(MGG)と称されるガス発生器から出力されるガスの圧力によってシートベルトが強く引き込まれることによって実現される。
【0004】
このようなガス発生器は、例えば金属製のホルダを有しており、モジュールパイプに対して当該ホルダが摩擦圧接されることにより固定されることがある(例えば、特許文献1参照)。これにより、モジュールパイプの高難度な拡径加工を排除することができ、コストの増加を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2016-504230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
なお、特許文献1においては、ホルダに固定されたキャップがモジュールパイプを閉塞するように挿入(圧入)されている構造となっている。したがって、特許文献1のように、ホルダが摩擦圧接されることにより固定された場合、発生した摩擦熱がキャップに伝達されやすく、キャップ内部の推進火薬(ガス発生剤)およびキャップのシール部分への悪影響(品質劣化など)が懸念される。
【0007】
また、ホルダにキャップが固定されている従来のガス発生器を用いる場合、キャップが中心軸に対して傾斜した状態でホルダに固定されている場合があることを想定する必要がある。したがって、モジュールパイプの内径を、摩擦圧接時の中心軸に対するキャップの回転半径より大きくなると想定した分のサイズとした設計にする必要がある。すなわち、モジュールパイプの内径を、キャップの半径よりも想定した分、大きくする必要があり、モジュールパイプの小型軽量化が困難となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、モジュールパイプへのガス発生器の組み付けを容易に行うことができ、品質を担保することが可能であるとともに、従来よりも小型軽量化が可能なガス発生器の取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るガス発生器の取り付け構造は、点火器による着火によりガス発生剤を燃焼させてガスを発生させるものであって、前記ガス発生剤が内部に密封された収容器と、金属製のホルダに固定され、前記収容器内の前記ガス発生剤を着火可能な前記点火器と、を有し、前記収容器と前記点火器とは離間して配置される前記ガス発生器と、軸方向の一端部側に設けられ、前記ガス発生器が挿入される開口部と、前記収容器を内壁側で保持する周壁部と、を有したモジュールパイプと、を備え、前記開口部の端部と前記ホルダの一部とが溶接されることにより固定され、前記周壁部は、テーパー部と、前記テーパー部の長径側に接続される筒状部とを有し、前記収容器は、前記テーパー部に圧入される底部と、前記周壁部の前記筒状部と離間して配置される筒状部とを有し、前記底部が前記テーパー部に圧入されることによって前記テーパー部に保持されていることを特徴とする。
【0010】
上記(1)のガス発生器の取り付け構造における前記溶接は、摩擦圧接、レーザー溶接、または、アーク溶接であることが好ましい。
【0012】
) 上記(1)または(2)のガス発生器の取り付け構造において、前記ホルダが略リング状であり、前記点火器は、前記ホルダの略中心部において前記ホルダの中心軸に沿って樹脂成形部を介して固定されていることが好ましい。
【0013】
) 別の観点として、上記(1)または(2)のガス発生器の取り付け構造において、前記ホルダが略筒状であり、前記点火器は、前記ホルダの略中心部において前記ホルダの中心軸に沿って直接固定されていてもよい。
【0014】
上記(1)~()の構成によれば、モジュールパイプへのガス発生器の組み付けを容易に行うことができ、品質を担保することが可能であるとともに、従来よりも小型軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るガス発生器の取り付け構造を示す断面図である。
図2図1のガス発生器の取り付け構造の製造工程および取り付け工程の例を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るガス発生器の取り付け構造を示す断面図である。
図4】従来のかしめ固定によるガス発生器の取り付け構造に係る比較例を説明するための断面図である。
図5図1のガス発生器の取り付け構造に係る実施例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るガス発生器の取り付け構造について図面を参照しつつ説明する。この取り付け構造は、点火器による着火により点火薬を燃焼させてガスを発生させるガス発生器の取り付け構造である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のガス発生器の取り付け構造100は、ホルダ10と点火器11と収容器20とを有したガス発生器と、モジュールパイプ30と、を備えている。
【0018】
点火器11は、点火部(図示せず)を覆うキャップ部11aと、前記点火部に接続され、所定量の電流が供給される一対の端子ピン12、13と、を備えている。この点火器11は、車両が衝突した際に当該車両に設けられた衝突検知手段(図示略)によって衝突が検知され、これに基づいて車両に設けられたコントロールユニットから端子ピン12、13を介して点火部に通電されることによって、作動する。
【0019】
また、点火器11は、樹脂成形部15を介して、略リング状のホルダ10の略中心部に形成された穴部10aに端子ピン12、13が挿通された状態で、点火器11自身の中心軸とホルダ10の中心軸とが略合致した状態で、固定されている。なお、キャップ部11aは、ホルダ10に対してモジュールパイプ30側において固定されているとともに、収容器20と離間して接触しない状態で樹脂成形部15に保持されている。
【0020】
樹脂成形部15は、端子ピン12、13を部分的に露出させた状態で保持すると共に、端子ピン12、13とコントロールユニット(図示略)とを電気的に接続するためのハーネスの雄型コネクタ(図示略)を接続するための雌型コネクタ部15aを有している。樹脂成形部15は例えば流動性樹脂材料を用いたインサート成形によって形成される。
【0021】
収容器20は、蓋部21と有底筒状部22とを有し、内部には、ガス発生剤40が密封されている。蓋部21は、有底筒状部21aと、有底筒状部21aの途中から折り返してなる折り返し部21bと、を備えている。
【0022】
有底筒状部22は、筒状部22aと底部22bとを備え、底部22bはガス発生剤が燃焼して内部の気圧が高まった場合、破断しやすいように厚みが薄くなっている脆弱部が設けられている。また、有底筒状部22は、底部22b側がモジュールパイプ30のテーパー部30bに圧入された状態で保持されている。また、有底筒状部22の底部22b側端部周辺は、テーパー部30bの内壁形状に倣ったテーパー形状となっている。これにより、有底筒状部22がテーパー部30bの内壁に嵌合しつつ圧入することができるようになっている。
【0023】
また、有底筒状部21aの側部と折り返し部21bとで筒状部22aの開口部側の端部を挟みこんだ状態で、有底筒状部21aの側部から内側に向かってかしめることによって、蓋部21と有底筒状部22とはかしめ固定されている。なお、有底筒状部21aと筒状部22aとの間にはシール剤(樹脂)が塗布されていてもよい。
【0024】
モジュールパイプ30は、筒状部30a、30cと、テーパー部30bと、端部30dと、を有している。筒状部30aはテーパー部30bの短径側に接続されており、筒状部30cはテーパー部30bの長径側に接続され、筒状部30a、30cとテーパー部30bとで、モジュールパイプ30の周壁部を形成している。また、テーパー部30bは、筒状部30aとの接続部から筒状部30cとの接続部にかけて拡径している筒状部位である。また、端部30dは、筒状部30cの開口部側の端部である。
【0025】
上述のような構成のガス発生器においては、点火器11の作動により生じた火炎によって蓋部21の有底筒状部21aが破断し、収容器20内部のガス発生剤40が着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。これにより、底部22bを隔てた点火器11側の内圧が高まり、底部22bが破断し、ガスが噴出する。噴出したガスは、モジュールパイプ30に接続されたシートベルトプリテンショナ等の駆動力となる。
【0026】
次に、本実施形態のガス発生器の製造工程およびモジュールパイプ30への取り付け工程について説明する。まず、図2(a)に示したように、有底筒状部22の内部にガス発生剤40を装填し、有底筒状部22の開口部側を蓋部21で閉塞する。次に、図2(b)に示したように、有底筒状部21aの側部から内側に向かってかしめることによって、蓋部21と有底筒状部22とをかしめ固定する。次に、図2(c)に示したように、収容器20を、底部22b側からモジュールパイプ30のテーパー部30bに圧入し、保持した後、ホルダ10を矢印方向に挿入する。そして、ホルダ10と、モジュールパイプ30の端部30dとを摩擦圧接、レーザー溶接、または、アーク溶接などの溶接をすることによって、図1に示した状態となる。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、収容器20をモジュールパイプ30に圧入で固定する為、従来のような収容器の軸ブレ(傾斜)を考慮する必要がなく、モジュールパイプ30へのガス発生器の組み付けを容易に行うことができる。また、ホルダ10と、モジュールパイプ30の端部30dとの摩擦圧接時に発生する熱が、ホルダ10と収容器20とが接していないことで、ガス発生剤40に影響を与えにくくなる。その結果として、ガス発生器の品質を担保することが可能である。
【0028】
また、従来のようにホルダに固定された収容器の回転半径を意識して、モジュールパイプ30の内径を、収容器の半径よりも想定した分まで大きくする必要がない。すなわち、従来のような収容器の軸ブレ(傾斜)を考慮する必要がないので、従来よりも小型軽量化が可能なガス発生器の取り付け構造100を提供することができる。
【0029】
なお、有底筒状部21aと筒状部22aとの間にはシール剤(樹脂)が塗布されている場合においても、収容器20はホルダ10と接していないため、ホルダ10と、モジュールパイプ30の端部30dとの摩擦圧接、レーザー溶接、または、アーク溶接などの溶接時に発生する熱の影響を受けにくくなるので、ガス発生器の品質を担保することが可能である。
【0030】
<第2実施形態>
上記第1実施形態においては、図1に示したガス発生器を用いたが、これに限られず、たとえば、図3に示したガス発生器を用いてもよい。以下、具体的に、本実施形態に係るガス発生器の取り付け構造について説明する。なお、特に説明しない限り、上記第1実施形態と同様の部位には、下二桁が同じ符号を用いて、説明を省略することがある。また、本実施形態においては、特に説明がない限り、上記実施形態と同じ部品が用いられている。
【0031】
本実施形態のガス発生器の取り付け構造200は、第1実施形態の点火器11およびホルダ10の代わりに、点火器111およびホルダ115を用いている点で、第1実施形態と異なっている。
【0032】
点火器111は、点火部(図示せず)を覆うキャップ部111aと、筒状部材111bと、前記点火部に接続され、所定量の電流が供給される一対の端子ピン112、113と、を備えている。なお、点火器111は、収容器120に接触しない位置に配置されている。
【0033】
ここで、筒状部材111bは、キャップ部111a周囲に嵌合するように設けられ、点火器111の先端部から放出される火炎の方向を蓋部121側に向けるための脆弱部111cを有している。また、筒状部材111bは、端部にフランジ部111dが設けられており、このフランジ部111dは、ホルダ115の端部115bによって、キャップ部111aにかしめ固定されている。
【0034】
ホルダ115は、略筒状であり、雌型コネクタ部115aと、端部115bと、穴部115cと、を備えた金属製の一体成型物である。なお、端部115bは、フランジ部111dをかしめ固定する前は略筒形状をしており、かしめ固定する際に押圧されて変形する。また、穴部115cは、ホルダ115略中央部において、点火器111を嵌挿可能に形成されている。
【0035】
また、ホルダ115は、図3(b)に示したように、摩擦圧接による溶接を行う前においては、略平面の溶接用平面部115dを有している。溶接用平面部115dは、図3(a)に示したように、摩擦圧接による溶接によって変形し、端部130dを覆いつつ、端部130d周囲と固定される。
【0036】
次に、本実施形態のガス発生器の製造工程およびモジュールパイプ130への取り付け工程について説明する。まず、図3(b)に示したように、第1実施形態と同様に、収容器120を、底部122b側からモジュールパイプ130のテーパー部130bに圧入し、保持した後、ホルダ115を矢印方向に挿入する。そして、ホルダ115の溶接用平面部115dと、モジュールパイプ130の端部130dとを摩擦圧接することにより溶接することによって、図3(a)に示した状態となる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態のように、第1実施形態と、モジュールパイプおよび収容器を共通部品として使用し、ホルダおよび点火器のみを別の部品とすることができる。これにより、ホルダおよび点火器についてのみ、用途などに応じて変更すればよいので、大量生産する場合において、全体としてコスト削減が可能となる。
【0038】
<実施例>
ここで、第1実施形態に係るガス発生器の取り付け構造100の効果の一つである軽量化の実施例と、比較例(従来のガス発生器の取り付け構造)とについて説明する。なお、比較例のガス発生器の出力は、モジュールパイプの耐圧性能(たとえば180MPa)に適応したものであり、サイズ感もほぼ同様のものである。
【0039】
(比較例の説明)
図4に示したように、比較例に係るガス発生器の取り付け構造300は、モジュールパイプ230に、一般的なマイクロガスジェネレータであるガス発生器220をかしめ固定したものである。なお、ガス発生器220で発生したガスの噴出方向は、図4紙面の下方向である。
【0040】
モジュールパイプ230は、カップ部220aを覆う第1円筒部230cと、突起部220bを覆う第2円筒部230dと、かしめ固定部230eとを有した、略円筒状の鉄部材である。また、第1円筒部230c、第2円筒部230d、かしめ固定部230eは、この順に一体形成されており、かしめ固定部230eは、第2円筒部230dの一端部を内側(環状平面部220c側)にかしめることによって、ガス発生器220をかしめ固定している。また、第1円筒部230cは、内径が14mm、肉厚が1.8mm、第2円筒部230dは、内径が17.2mm、肉厚が2.15mm、かしめ固定部230eの肉厚は2mmとなっており、モジュールパイプ230の平均肉厚は約2mmとしている。これらにより、ガス発生器220の作動時においてモジュールパイプ230が損壊することがない強度が達成されている。
【0041】
(実施例の説明)
図5に示したように、実施例に係るガス発生器の取り付け構造は、図1に示したガス発生器の取り付け構造100と同様であるので、同じ符号を付して説明する。また、特に説明がない限り、第1実施形態と同様の部位である。
【0042】
モジュールパイプ30は、内径が14mm、肉厚が1.3mmの円筒状の鉄部材である。また、第1実施形態に示した摩擦圧接によって、モジュールパイプ30およびホルダ10の強度と溶接強度とはほぼ100%になることがわかっている。このとき、ガス発生器(点火器11および収容器20からなる)の出力は、比較例のガス発生器220と同様であって、作動時においてモジュールパイプ30が損壊することがない強度が達成されている。
【0043】
(実施例と比較例との比較)
本発明に係る実施例によれば、比較例と同程度の出力のガス発生器を用いる場合において、モジュールパイプ30の肉厚を比較例のかしめ固定の場合に用いられるモジュールパイプ230よりも薄くできる。具体的には、上述したとおり、比較例のモジュールパイプ230には、平均肉厚が約2mmのものを使用する必要があったが、たとえば、本実施例の摩擦圧接を用いて固定すれば、肉厚1.3mmのもので同等の強度を有する。すなわち、従来のかしめ固定の場合のモジュールパイプ230の重量は、π(モジュールパイプ230外半径の二乗-モジュールパイプ230内半径の二乗)×モジュールパイプ230の長さ×鉄の密度=π((内半径7(mm)+平均肉厚2(mm))-(内半径7(mm)))×パイプモジュールの長さh(mm)×鉄の密度a(g/mm)=32πha(g)とすることができる。なお、モジュールパイプ230の外半径、内半径および肉厚については、一定として計算している。
【0044】
これに対して、本実施例の摩擦圧接を用いて固定する場合、比較例と同じ長さhのモジュールパイプ30の重量は、π(モジュールパイプ30外半径の二乗-モジュールパイプ30内半径の二乗)×モジュールパイプ30の長さ×鉄の密度=π((内半径7(mm)+肉厚1.3(mm))-(内半径7(mm)))×モジュールパイプの長さh(mm)×鉄の密度a(g/mm)=19.89πha(g)とすることができる。これらの計算式から、上記条件の実施例のモジュールパイプ30は、上記条件の比較例のモジュールパイプ230に対して、重量比を2/3程度(約38%減)に削減できることがわかる。
【0045】
したがって、上記実施例によれば、比較例のガス発生器と出力が同じで、サイズ感もほぼ同様のものである場合、明らかにガス発生器の取り付け構造として全体的に軽量化できていることがわかった。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。したがって、上記第1実施形態と上記第2実施形態とを適宜組み合わせた形態とすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
10、115 ホルダ
10a、115c 穴部
11、111 点火器
11a、111a キャップ部
111c 脆弱部
12、13、112、113 端子ピン
15 樹脂成形部
15a、115a 雌型コネクタ部
20、120 収容器
21、121 蓋部
21a、121a 有底筒状部
21b、121b 折り返し部
22、122 有底筒状部
22a、122a 筒状部
22b、122b 底部
30、130、230 モジュールパイプ
30a、130a 筒状部
30b、130b テーパー部
30c、130c 筒状部
30d、115b、130d 端部
40、140 ガス発生剤
100、200 取り付け構造
115d 溶接用平面部
220 ガス発生器
220a カップ部
220b 突出部
220c 環状平面部
230c 第1円筒部
230d 第2円筒部
230e かしめ部
図1
図2
図3
図4
図5