(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】リファキシミン
(51)【国際特許分類】
C07D 498/22 20060101AFI20230911BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230911BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230911BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230911BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20230911BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230911BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
C07D498/22 CSP
A61K31/437
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/12
A61P1/18
A61P31/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020072816
(22)【出願日】2020-04-15
(62)【分割の表示】P 2018053934の分割
【原出願日】2007-09-24
【審査請求日】2020-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】1520/MUM/2006
(32)【優先日】2006-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】511109180
【氏名又は名称】シプラ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ダルマラジ・ラマチャンドラ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラ・ナラヤンラオ・カンカン
(72)【発明者】
【氏名】マンジンダー・シン・プル
(72)【発明者】
【氏名】マルティ・チャガレ
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】宮崎 大輔
【審判官】瀬良 聡機
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第第2005/044823(WO,A2)
【文献】国際公開第2006/046623(WO,A1)
【文献】特表2003-519698(JP,A)
【文献】特開平11-246404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D498/22
A61K31/437
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性リファミキシンを含まない、図1で示される
X線回折(XRPD)パターンにより特徴付けられる無定形形態のリファキシミン。
【化1】
【請求項2】
図2で示されるFT-IRスペクトルにより特徴付けられる
請求項1記載の無定形形態のリファキシミン。
【化2】
【請求項3】
薬学的に受容可能な担体と組み合わせた請求項1
または2記載の無定形リファキシミンを含み、但し、結晶リファキシミンを含まない、医薬組成物。
【請求項4】
医薬としての使用のための請求項1
または2記載の無定形リファキシミン。
【請求項5】
過敏性腸症候群、下痢、旅行者下痢、微生物関連下痢、クローン病、慢性膵炎、膵不全及び/又は大腸炎のような腸関連疾患を処置するための医薬製造での使用のための請求項1
または2記載の無定形リファキシミンの使用。
【請求項6】
過敏性腸症候群、下痢、旅行者下痢、微生物関連下痢、クローン病、慢性膵炎、膵不全及び/又は大腸炎のような腸関連疾患を処置するための請求項1
または2記載の無定形リファキシミン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無定形リファキシミン、それを含む医薬組成物、無定形リファキシミンを調製するためのプロセス並びに無定形リファキシミン若しくはそのような医薬組成物、医薬或いは製品を使用する治療用途及び治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リファキシミンは、半合成のリファマイシン系非系統的抗生物質である。それは、(2S,16Z,18E,20S,21S,22R,23R,24R,25S,26S,27S,28E)-5,6,21,23,25-ペンタヒドロキシ-27メトキシ-2,4,11,16,20,22,24,26-オクタメチル-2,7-(エポキシペンタデカ-[1,11,13]トリエニミノ)ベンゾフロ[4,5-e]ピリド[1,2-a]-ベンズイミダ-ゾール-1,15(2H)-ジオン,25-アセテート(I)と、化学的に命名される。
【化1】
【0003】
リファキシミンは、非侵襲性の大腸菌の菌株により引き起こされる旅行者下痢の処置のために使用される。
【0004】
リファキシミンは、その調製のためのプロセスと、適切な溶媒若しくは溶媒混合物を使用するリファキシミンの結晶化方法とを開示する特許文献1に、最初に開示された。しかしながら、この特許は、リファキシミンの多形には言及していない。
【0005】
カナダ特許である特許文献2は、リファマイシンSと2-アミノ-4-メチルピリジンとを反応させることを含むイミダゾリファマイシンの合成のためのプロセスを開示する。
【0006】
特許文献3は、リファキシミンの調製のためのプロセスを開示するが、リファキシミンの多形には言及していない。
【0007】
特許文献4は、リファキシミンα、リファキシミンβ及びリファキシミンγと命名されるリファキシミンの結晶多形を開示する。これら多形は、X線粉末回折を使用して特性が決定される。更に、この特許は、γ型は、高い含有量の無定形成分と共に、不十分に結晶化することに言及している。この特許は、また、生成物が結晶化される温度、乾燥プロセス、その水含有量の制御とともに、特許文献3に開示されたとおりの結晶化と乾燥のためのプロセスの使用を伴うこれら多形の調製のためのプロセスを開示する。
【0008】
上記特許は、水含有量が4.5%より低いことにより特徴付けられ、有意なピークを有する粉末X線回折図が、6.6゜;7.4゜;7.9゜、8.8゜、10.5゜、11.1゜、11.8゜、12.9゜、17.6゜、18.5゜、19.7゜、21.0゜、21.4゜、22.1゜の回折角2θの値であるリファキシミンα;4.5%より高い水含有量により特徴付けられ、有意なピークを有する粉末X線回折図が、5.4゜;6.4゜;7.0゜、7.8゜、9.0゜、10.4゜、13.1゜、14.4゜、17.1゜、17.9゜、18.3゜、20.9゜の回折角2θの値であるリファキシミンβ及びより不十分な結晶性のゆえのより不十分な粉末X線回折図により特徴付けられるリファキシミンγを開示する。有意なピークは、5.0゜;7.1゜;8.4゜の回折角2θの値である。
【0009】
特許文献5は、また、粉末X線回折図により特性決定されるリファキシミンの多形、すなわちリファキシミンα型、リファキシミンβ型及びリファキシミンγ型、固有の溶解速度及びリファキシミン多形の調製プロセスを開示する。しかしながら、上記特許は、すべて、全体として無定形のリファキシミンを開示していない。
【0010】
同じ薬物の異なる多形形態は、ある薬学的に重要な性質において実質的な差異を有し得るという事実がよく知られている。薬物の無定形形態は、結晶形態と比べると、異なる溶解特性と、ある場合には、異なるバイオアベイラビリティを示し得る。
【0011】
更に、薬物の無定形形態と結晶形態は、異なる取り扱い性、溶解速度、溶解性及び安定性を有し得る。
【0012】
更に、異なる物理的形態は、異なる粒径、硬度及びガラス転移温度を有し得る。無定形材料は、結晶性材料に見出される三次元の広範囲な秩序を示さないが、分子配置がランダムである液体に、構造的にはより類似している。
【0013】
無定形固体は、固有のX線回折パターン(XRD)を示さない。加えて、無定形固体は、特定の融点を有さず、ガラス転移温度を超えるある点で液化する傾向がある。無定形固体は、格子エネルギーを有さないがゆえに、通常、溶媒により急速に溶解し、その結果、胃腸管からの化合物のより高い吸収速度と吸収程度のような向上したバイオアベイラビリティを提供し得る。しかも、薬物の無定形形態は、圧縮性のような固体投与形態の製造プロセスにおいて、同じ薬物の結晶形態を超える顕著な利点を提供し得る。
【0014】
したがって、増加した溶解性を有する無定形形態のリファキシミンとその調製方法、その医薬処方及びその使用方法を提供することは、当分野における意義のある貢献であるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】US4341785
【文献】CA1215976
【文献】US4557866
【文献】US7045620
【文献】US2005/0272754 [発明の目的] したがって、本発明の目的は、無定形形態のリファキシミンとその調製のためのプロセスを提供することである。
【0016】
また、本発明の目的は、無定形リファキシミンの結晶性リファキシミンへの内部変換と結晶性形態の内部変換のためのプロセスを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、無定形形態のリファキシミンを含む医薬組成物を提供することである。
【0018】
本発明の更に別の目的は、無定形リファキシミンを含む組成物を使用する治療用途と治療処置方法を提供することである。
【発明の概要】
【0019】
1つの側面で、本発明は、無定形形態のリファキシミンを提供する。これは、
図1で示される粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。無定形リファキシミンは、
図2で示されるFT-IRスペクトルにより特徴付けられ得る。
【0020】
別の側面で、本発明は、無定形形態のリファキシミンの調製のためのプロセスを提供する。
【0021】
別の側面で、本発明は、無定形リファキシミンの結晶性リファキシミンへの内部変換と結晶性形態の内部変換のためのプロセスを提供する。
【0022】
別の側面で、本発明は、薬学的に受容可能な担体とともに無定形形態のリファキシミンを含む医薬組成物を含む。
【0023】
別の側面で、本発明は、無定形リファキシミンを含む組成物を使用する治療用途と治療処置方法を提供する。
【0024】
本発明は、原末形態の無定形リファキシミンを提供し、無定形リファキシミンと結晶性リファキシミンの混合物を開示し、大容量の無定形リファキシミンを調製する方法について如何なる開示も提供しない先行技術とは異なる。無定形リファキシミンは、99重量%以上の多形純度で実質的に純粋である。更に、結晶性リファキシミンの如何なるピークも実質的に含まない。
【0025】
本発明に従い、如何なる結晶性リファキシミンをも実質的に含まない無定形リファキシミンを得ることができる。
【0026】
[発明の詳細な説明]
本出願で使用される用語、室温は、25~30℃の温度範囲を指す。
【0027】
本出願における用語、ストリッピングは、第2の溶媒を添加し、それを蒸留して残留物とすることによる、残留物からの第1の溶媒の跡形もない除去を指す。
【0028】
1つの具体例では、本発明は、無定形形態のリファキシミンを提供する。本発明の無定形形態のリファキシミンは、その粉末X線回折パターンにより特性を決定される。無定形リファキシミンのXRPDは、Cu K
α放射線源を使用するリガクDMAX2200Ultima
+PCシリーズX線粉末回折計により測定され、
図1で示されるとおりのそのXRPDパターンにより特性を決定される。無定形リファキシミンは、
図2で示されるとおりの、そのFT-IRパターンにより特性を決定される。本発明による無定形リファキシミンは、リファマイシンSの、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジクロロエチレン、クロロホルムのような適切な溶媒の存在下、不活性雰囲気中での、2-アミノ-4-ピコリンとの反応を含むプロセスにより、通常調製される。これら全ての溶媒は、単独或いは種々の比におけるそれらの混合物若しくは水との混合物として使用することができる。
【0029】
更に、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジクロロエチレン、クロロホルムのような適切な溶媒中に溶解されたヨウ素は、上記反応混合物に、室温で添加され、次いで、攪拌される。更に、水中に溶解された適切な還元剤が、好ましくは、上記反応塊に添加され、室温で攪拌され、次いで、10~15℃まで冷却される。
【0030】
使用される還元剤は、好ましくは、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、二酸化硫黄、ジヒドロキシアセトンのうちの少なくとも一つを含む。
【0031】
更に、反応塊のpHは、1.5~2.5の間に、好ましくは、2.0~2.2に、攪拌下調整される。反応塊は、好ましくは、更に、10~15分間攪拌され、有機層が分離される。分離された有機層は、好ましくは、水で洗浄され、引き続き、10%チオ硫酸ナトリウム若しくは10%重亜硫酸ナトリウムにより洗浄され、有機層のpHが中性になるまで、最終的に水で洗浄される。この分離された有機層は、好ましくは、更に活性炭処理(charcoalise)され、ろ過され、硫酸ナトリウム上で乾燥され、50℃未満で真空下、残留物に濃縮される。
【0032】
この残留物は、リファキシミンを含み、更に処理され、(先行技術のとおりの)結晶性リファキシミン若しくは(本発明にしたがう)無定形リファキシミンを得ることができる。
【0033】
先行技術では、β型として知られる形態を製造するために、残留物は、水混和性溶媒で処理され、引き続き、80~110℃で空気中で乾燥されるであろう。先行技術にしたがいγ型を製造するために、残留物は、有機酸と水で処理され、引き続き、100~110℃で空気中で乾燥される。出願後の情報を追加することはできないが、それらが作業温度であるならば、その温度に保持することがベストであると考える。
【0034】
本発明に従い、無定形リファキシミンは、リファキシミンを含む残留物をストリッピング工程にかけ、引き続き水不混和性溶媒の混合物と混合し、引き続き40℃未満の温度で乾燥することにより調製され、無定形リファキシミンは、乾燥工程後、回収され得る。乾燥は、40℃より幾分低い温度、例えば、室温(例えば、25℃)で実行され得る。
【0035】
より具体的には、得られた残留物は、好ましくは、適切な水不混和性有機溶媒で、乾燥までストリッピングされ、得られた物質は、ストリッピングのために使用される同じ溶媒或いは溶媒混合物と共に、好ましくは、室温で、攪拌することにより単離される。更に、固形物はろ過され、同じ溶媒で洗浄され、40℃未満で乾燥され、無定形リファキシミンを得る。
【0036】
生成物のストリッピングのために使用される適切な溶媒は、n-ヘプタン、n-ヘキサン、ジ-イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエチレン、クロロホルム及び酢酸エチルから選択される水不混和性有機溶媒である。
【0037】
無定形リファキシミンの調製のための図表現は以下のとおりである:
【化2】
【0038】
本発明による無定形リファキシミンは、溶解度、固有溶解速度、かさ密度、タップ密度のようなパラメータにより特徴付けられ得る。
【0039】
リファキシミンは、三つの多形形態、すなわちα型、β型及びγ型で存在することが知られ、α型が熱力学的に最も安定である。したがって、無定形形態のリファキシミンは、α型と比較して検討された。
【0040】
更に、無定形リファキシミンの固有溶解が、α型と対照して実行されると、無定形リファキシミンは、以下の表(このデータも、
図3に図示される)に示されるα型よりも良好な溶解特性を有することが観察された。
【0041】
溶解媒体:1000mlの0.1M燐酸二水素ナトリウム一水和物+4.5gのラウリル硫酸ナトリウム
温度:37±0.5℃
回転速度:100rpm
粒径:無定形リファキシミン-11ミクロン
α型リファキシミン-13ミクロン
【表1】
【0042】
無定形リファキシミンは、0.3~0.4g/mlの範囲のかさ密度を示し、タップ密度は、0.4~0.5g/mlの範囲であるが、α形リファキシミンは、0.2~0.3g/mlの範囲のかさ密度を示し、タップ密度は、0.3~0.4g/mlの範囲である。
無定形リファキシミンのこれらのより高い密度は、処方、特に錠剤処方に有利であり、例えば、より良好な圧縮性を与える。
【0043】
本発明の別の側面は、無定形リファキシミンを有機溶媒中に溶解し、好ましくは、40~60℃まで加熱し、反応混合物を攪拌し、透明な溶液を得ることを含む、無定形リファキシミンの結晶性γ形リファキシミンへの変換を提供することである。この有機溶液に、水が、好ましくは40~60℃で、徐々に添加され、攪拌され得る。反応塊は、室温まで徐々に冷却され、攪拌され得る。得られた固形物は、ろ過され、有機酸と水の混合物で洗浄され得る。固形物は、更に、有機酸と水の混合物で、次いで、水で洗浄され得る。洗浄された固形物は、100~110℃で乾燥され、γ形リファキシミンを得る。
【0044】
溶解と洗浄のために使用される有機溶媒は、好ましくは、有機酸である。有機酸は、好ましくは、酢酸若しくは蟻酸であり得る。
【0045】
本発明の別の具体例は、無定形リファキシミンを有機溶媒に溶解し、好ましくは、40~60℃まで加熱し、反応混合物を攪拌し、透明な溶液を得ることを含む、無定形リファキシミンの結晶性β形リファキシミンへの変換のためのプロセスを提供することである。
この有機溶液に、水が、好ましくは40~60℃で、徐々に添加され、攪拌され得る。反応塊は、室温まで徐々に冷却され、攪拌され得る。得られた固形物は、ろ過され、適切な有機溶媒と水の混合物で洗浄され得る。固形物は、更に、有機溶媒と水の混合物で、次いで、水で洗浄され得る。洗浄された固形物は、80~110℃で乾燥され、β形リファキシミンを得る。
【0046】
溶解と洗浄のために使用される有機溶媒は、好ましくは、水混和性溶媒、好ましくは、アセトン、アセトニトリル、C1-4アルコールのうちの少なくとも一つを含む。
【0047】
本発明の別の具体例は、結晶性リファキシミンを適切な有機溶媒に溶解し、好ましくは、40~60℃まで加熱し、攪拌することを含む、γ形リファキシミンの内部変換のためのプロセスを提供することである。水が、好ましくは、40~60℃で、攪拌下上記混合物に添加、好ましくは、滴下される。得られた混合物は、室温まで徐々に冷却され、攪拌され得る。得られた固形物は、ろ過され、溶媒混合物で洗浄され得る。上記固形物は、更に、水で洗浄され、80~110℃で乾燥され、β形リファキシミンを得る。
【0048】
生成物を溶解し、洗浄するために使用される適切な溶媒は、アセトン、アセトニトリル、低級アルコール若しくはそれらの混合物を含む群から選択される水混和性溶媒から選択される。
【0049】
本発明の更に別の具体例は、結晶性リファキシミンを適切な有機溶媒中に室温で溶解し、ろ過することを含む結晶形態のリファキシミンの無定形リファキシミンへの変換を提供することである。ろ液は、上記言及した適切な溶媒で洗浄され得、溶液は、好ましくは、真空下、好ましくは、40~60℃で濃縮され得、残留物を得る。得られた残留物は、適切な水不混和性有機溶媒でストリッピングされ、次いで、溶解のために使用されるのと同じ溶媒若しくは溶媒混合物で、室温で攪拌され、ろ過され、同じ溶媒で洗浄され、40℃未満で乾燥され、無定形リファキシミンを得る。
【0050】
生成物を溶解しストリッピングするために使用される適切な溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエチレン、クロロホルム、n-ヘプタン、n-ヘキサン、ジ-イソプロピルエーテルから選択される。
【0051】
本発明の別の側面は、薬学的に受容可能な担体と組み合わせた無定形形態のリファキシミンを含む医薬組成物を提供する。1以上の活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は、1以上の薬学的に受容可能な成分を含んでもよい。
【0052】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル、ピル、カプレット、菓子錠剤、分散性粒剤、乾燥粉末シロップ、すぐ使用できる懸濁液のような種々の投与形態;当分野で入手可能な非経口投与形態;種々の吸入処方;経皮処方等に処方することができる。これら処方は、当分野で知られたプロセスを使用して調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】以下に記載されるとおりの例1にしたがって作製された無定形リファキシミンのX線粉末回折図(XRD)である。
【
図2】以下に記載されるとおりの例1にしたがって作製された無定形リファキシミンのFT-IRスペクトルである。
【
図3】α型リファキシミンと比べた無定形リファキシミンの固有溶解速度の図表現である。
【0054】
本発明は、次の例により更に今や実証されるであろうが、決して、本発明の範囲を限定するものではない。
【0055】
例
例1
リファマイシンS100g(0.143モル)、ジクロロメタン300mlと2-アミノ-4-ピコリン46.4g(0.434モル)が、窒素雰囲気下室温で混合された。ジクロロメタン700ml中に溶解されたヨウ素19g(0.074モル)が、室温で、30~45分間滴下された。反応混合物は、次いで、室温で、15~18時間攪拌された。100mlの水中に溶解されたL(-)アスコルビン酸20g(0.113モル)が添加された。混合物は、室温で30~45分間攪拌され、次いで、10~15℃まで冷却された。
反応混合物のpHは、12.5%の稀HCl溶液を使用して、2に調整された。塊は10~15分間攪拌され、有機層が分離され、最初に脱塩水、次いで10%チオ硫酸ナトリウム、最後に水で、中性のpHが得られるまで、洗浄された。有機層は活性炭処理され、ハイフロ(hyflo)によりろ過され、硫酸ナトリウム上で乾燥され、真空下50℃未満で濃縮された。生成物は、n-ヘプタンでストリッピングされ、こうして得られた粗物質は、20%のジクロロメタンとヘプタン[500ml]の混合物で、室温で、30~45分間攪拌された。固形物はろ過され、20%のジクロロメタンとヘプタンの混合物で洗浄され、真空下40℃未満で、10~12時間乾燥され、100gの無定形リファキシミンを得た。
【0056】
例2
無定形リファキシミン(100g)が、酢酸(200ml)中に50℃で溶解され、30~45分間攪拌され、脱塩水(200ml)が、50℃で、30~45分間滴下された。攪拌が、50℃で、30~45分間続けられ、室温まで徐々に冷却され、2時間攪拌された。得られた固形物は、ろ過され、最初に酢酸-水1:1の混合物、次いで10%酢酸-水の混合物で洗浄され、最後に水で、洗浄された。得られた固形物は、100~110℃で12~15時間乾燥され、62~65gのγ型リファキシミンを得た。
【0057】
例3
無定形リファキシミン(100g)が、蟻酸(200ml)中に、50℃で溶解され、30~45分間攪拌され、脱塩水(200ml)が、50℃で30~45分間滴下された。攪拌が、50℃で30~45分間続けられ、室温まで徐々に冷却され、2時間攪拌された。得られた固形物は、ろ過され、最初に蟻酸-水1:1の混合物、次いで10%蟻酸-水の混合物で洗浄され、最後に水で、洗浄された。得られた固形物は、イソプロピルアルコール(310ml)中に、50℃で溶解され、50℃で30分間攪拌された。脱塩水(310ml)が、50℃で30~45分間滴下され、攪拌が、同じ温度で30~45分間続けられた。混合物は、室温まで徐々に冷却され、2時間攪拌された。得られた固形物は、ろ過され、イソプロピルアルコール-水1:1の混合物、次いで脱塩水で洗浄され、80~90℃で10~15時間乾燥され、40~45gのβ型リファキシミンを得た。
【0058】
例4
γ型リファキシミン(62g)が、アセトニトリル(310ml)中に50℃で溶解され、50℃で30分間攪拌された。脱塩水(310ml)が、50℃で30~45分間滴下され、攪拌が、同じ温度で30~45分間続けられた。混合物は、室温まで徐々に冷却され、2時間攪拌された。得られた固形物は、ろ過され、アセトニトリル-水1:1の混合物、次いで脱塩水で洗浄され、80~90℃で10~15時間乾燥され、40~45gのβ型リファキシミンを得た。
【0059】
例5
結晶性リファキシミン(40g)が、ジクロロメタン(10~15容量)中に室温で溶解され、ハイフロによりろ過され、ジクロロメタン(2容量)で洗浄された。溶液は、真空下50℃で濃縮された。固形物は、n-ヘプタンでストリッピングされ、n-ヘプタン(50ml)中で室温で30分間攪拌された。最後に、固形物はろ過され、n-ヘプタンで洗浄され、真空下40℃未満で10~12時間乾燥され、35~38gの無定形リファキシミンを得た。
【0060】
例6
無定形リファキシミンを含む錠剤組成物。
【表2】
【0061】
本発明による固形経口医薬処方は、当分野で知られる造粒プロセスにより製造することができる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
無定形形態のリファキシミン。
[2]
図1で示されるXRPDパターンにより特徴付けられる無定形形態のリファキシミン。
[3]
図2で示されるFT-IRスペクトルにより特徴付けられる無定形形態のリファキシミン。
[4]
少なくとも99重量%の純度レベルを有する、[1]~[3]何れか1記載のリファキシミン。
[5]
結晶性リファキシミンを実質的に含まない、[1]~[4]何れか1記載のリファキシミン。
[6]
0.3~0.4g/mlより大きい範囲のかさ密度を有する、[1]~[5]何れか1記載のリファキシミン。
[7]
少なくとも99重量%の[1]~[6]何れか1記載の無定形リファキシミンを含む、組成物。
[8]
薬学的に受容可能な担体と組み合わせた[1]~[7]何れか1記載のリファキシミンを含む医薬組成物。
[9]
医薬としての使用のための[1]~[5]何れか1記載のリファキシミン。
[10]
過敏性腸症候群、下痢、旅行者下痢、微生物関連下痢、クローン病、慢性膵炎、膵不全及び/又は大腸炎のような腸関連疾患を処置するための医薬製造での使用のための[1]~[5]何れか1記載のリファキシミンの使用。
[11]
必要とする患者に、治療に有効な量の[1]~[10]何れか1記載のリファキシミンを投与することを含む、下痢の処置方法。
[12]
a)リファマイシンSを、適切な溶媒の存在下、2-アミノ-4-ピコリンと反応させること、
b)上記反応塊に、適切な溶媒中に溶解されたヨウ素と、引き続き、還元剤を添加すること、
c)攪拌下、反応塊のpHを、1.5~2.5の間に調整すること、
d)水不混和性有機溶媒で抽出し、有機層を濃縮し、残留物を生成すること、e)工程d)で得られた残留物を、水不混和性溶媒若しくは水不混和性溶媒の混合物でストリッピングし残留物を得ること、
f)工程e)で得られた残留物を、水不混和性溶媒若しくはその混合物とともに攪拌し、固形物を得ること、
g)固形物をろ過し、同じ一或いは複数の溶媒で洗浄すること、及び
h)固形物を40℃未満の温度で乾燥すること
を含む[1]~[5]何れか1記載で定義されるとおりの無定形リファキシミンの製造方法。
[13]
工程e)で使用される一或いは複数の溶媒が、n-ヘプタン、n-ヘキサン、ジ-イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエチレン、クロロホルム及び酢酸エチルのうちの1以上から選択される、[12]記載の方法。
[14]
工程f)での溶媒が、n-ヘプタン、n-ヘキサン、ジ-イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエチレン、クロロホルム及び酢酸エチルのうちの少なくとも二つから選択される、[12]または[13]記載の方法。
[15]
無定形リファキシミンを、有機酸と水との混合物と組み合わせ、次いで100~110℃の温度でリファキシミン混合物を乾燥し、γ型リファキシミンを生じることを含む、[1]~[5]何れか1記載で定義されるとおりの、無定形リファキシミンのγ型結晶リファキシミンへの変換方法。
[16]
有機酸が、酢酸若しくは蟻酸である、[15]記載の方法。
[17]
無定形リファキシミンを、有機酸/水の混合物と組み合わせる前に、リファキシミンが、40~60℃で有機溶媒中に溶解され、水と組み合わされ、冷却され、ろ過され、有機酸と水の混合物と組み合わせられたリファキシミン残留物を生成する、[15]または[16]記載の方法。
[18]
無定形リファキシミンを、水混和性有機溶媒と水との混合物と組み合わせ、次いで80~110℃の温度でリファキシミン混合物を乾燥し、β型リファキシミンを生じることを含む、[1]~[5]何れか1記載で定義されるとおりの無定形リファキシミンのβ型結晶リファキシミンへの変換方法。
[19]
水混和性溶媒がアセトン、アセトニトリル及び1以上のC
1-4
アルコールのうちの少なくとも一つである、[15]記載の方法。
[20]
無定形リファキシミンを有機溶媒と水との混合物と組み合わせる前に、無定形リファキシミンが、40~60℃で有機溶媒中に溶解され、水と組み合わされ、冷却されおかれ、ろ過され、水混和性溶媒と水の混合物と組み合わせられたリファキシミン残留物を生成する、[18]または[19]記載の方法。
[21]
結晶性リファキシミンを適切な溶媒中に溶解し、溶液をろ過し、適切な溶媒でろ液を洗浄し、40~60℃で残留物を濃縮し、引き続き、
(a)水不混和性溶媒若しくは水不混和性溶媒混合物で、リファキシミン残留物をストリッピングすること、
(b)工程(a)で得られた残留物を、水不混和性溶媒若しくはその混合物でストリッピングし、固形物を得ること、
(c)固形物をろ過し、同じ1或いは1以上の溶媒で洗浄すること、及び
(d)固形物を40℃未満の温度で乾燥すること
の工程によって、リファキシミン残留物を生成することを含む、[1]~[7]何れか1記載で定義されるとおりの、結晶型のリファキシミンを無定形リファキシミンへ変換する方法。
[22]
工程(b)で使用される溶媒が、n-ヘプタン、n-ヘキサン、ジ-イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエチレン、クロロホルム及び酢酸エチルのうちの1以上から選択される、[21]記載の方法。