(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ベータ-ヒドロキシ複素環アミンおよび高血糖症の治療におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 207/08 20060101AFI20230911BHJP
C07D 211/22 20060101ALI20230911BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230911BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230911BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20230911BHJP
A61P 5/28 20060101ALI20230911BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230911BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230911BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20230911BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20230911BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
C07D207/08
C07D211/22 CSP
A61P3/10
A61P3/00
A61P5/00
A61P5/28
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K31/445
A61K31/40
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2020514512
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 GB2018052593
(87)【国際公開番号】W WO2019053425
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-10
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518320845
【氏名又は名称】アトロジー アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルクマン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ベングトソン,トレ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-100065(JP,A)
【文献】特開昭55-045688(JP,A)
【文献】特表2002-518298(JP,A)
【文献】特表2002-518301(JP,A)
【文献】特表2008-505956(JP,A)
【文献】特表2010-530402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0044454(US,A1)
【文献】米国特許第03910934(US,A)
【文献】国際公開第2007/102011(WO,A1)
【文献】Beak, Peter et al.,alpha.-Lithioamine synthetic equivalents: syntheses of diastereoisomers from the Boc-piperidines,Journal of Organic Chemistry,1990年,55(9),,2578-2580
【文献】Besev, Magnus et al.,Diastereocontrol by a Hydroxyl Auxiliary in the Synthesis of Pyrrolidines via Radical Cyclization,Organic Letters,2002年,4(18),,3023-3025
【文献】McCarty, Frederick et al.,Central Stimulants. α,α-Disubstituted 2-Piperidinemethanols and 1,1-Disubstituted Heptahydrooxazolo [3,4-a]pyridines,Journal of the American Chemical Society,1957年,79(2),,472-480
【文献】Sanner, Mark et al.,Stereoselective condensations of α′-lithio pyrrolidine amidines,Tetrahedron letters,1989年,30(15),,1909-1912
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K 31/
A61K 45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IFの化合物、
【化93】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
zは、1または2を表し、
zが1を表す場合、mは、1~7を表すか、またはzが2を表す場合、mは、1~9を表し、
各R
1は、独立して、飽和C
2-6アルキルを表し、
各Xは、独立して、F、Cl、R
a、-NH
2または-OHを表し、
R
aは、独立して1つ以上のFで任意に置換されたC
1-2アルキル、C
2アルケニルまたはC
2アルキニルを表し、
nは0~5を表し、
アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は直鎖であってもよく、または十分な数の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状もしくは部分的に環状でもよく、
前記化合物が少なくとも90%のエナンチオマー過剰率(e.e.)で存在する、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1は、飽和C
3-6アルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1は、n-プロピルを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
nは、0~3を表し、各Xは、独立して、F、-NH
2、または-OHを表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記X基は、存在する場合、3位、4位、および5位の1つ以上に位置する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
nは、0または1を表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(IF)で表される前記化合物が、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3,5-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3,4-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール
(R)-(4-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(2-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(2-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(2-クロロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(4-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-ヒドロキシフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、および
(R)-(2-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
のうちから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
医薬品で使用するための、請求項1~7のいずれか一項で定義された化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含み、前記化合物が少なくとも90%のエナンチオマー過剰率(e.e.)で存在する、薬学的組成物。
【請求項10】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療で使用するための、請求項1~7のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項10に記載の使用のための化合物。
【請求項12】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項10~11のいずれか一項に記載の、使用のための化合物。
【請求項13】
前記高血糖症を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項10または12に記載の使用のための化合物。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、および/または担体を含む、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための、薬学的組成物。
【請求項15】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項
14に記載の使用のため
の組成物。
【請求項16】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項
14~
15のいずれか一項に記載の、使用のため
の組成物。
【請求項17】
前記高血糖症を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項
14または
16に記載の使用のため
の組成物。
【請求項18】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療のための医薬品の製造のための、請求項1~7のいずれか一項で定義された化合物の使用。
【請求項19】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項
18に記載の使用。
【請求項20】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項
18または
19に記載の使用。
【請求項21】
前記高血糖症を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項
18または
20に記載の使用。
【請求項22】
組み合わせ製品であって、
(a)請求項1~7のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩と、
(b)高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
成分(a)および(b)の各々が、任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品。
【請求項23】
パーツキットであって、
(a)請求項9で定義された薬学的組成物と、
(b)1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と任意に混合した、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
前記成分(a)および(b)がそれぞれ、他方と一緒に投与するのに好適な形態で提供される、パーツキット。
【請求項24】
請求項1~7のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、式IIの化合物
【化94】
(式中、z、m、R
1および環Aは、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりであり、M
1は、好適な金属または金属ハロゲン化物を表す)を、式IIIの化合物
【化95】
(式中、nおよびXは、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりである)と反応させる工程を含む、プロセス。
【請求項25】
請求項1~7のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、式IVの化合物
【化96】
(式中、nおよびXは、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりであり、M
2は、好適な金属または金属ハロゲン化物を表す)を、式Vの化合物
【化97】
(式中、z、m、R
1、および環Aは、請求項1~7のいずれか一項で定義されるとおりである)と反応させる工程を含む、プロセス。
【請求項26】
請求項1~7のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
少なくとも1つのXが存在し、かつ、-OHを表す化合物について、式VIの化合物
【化98】
(式中、z、n、m、およびR
1は、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりであり、PG
1は、好適な保護基を表す)を脱保護する工程を含む、プロセス。
【請求項27】
請求項1~7のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
少なくとも1つのXが存在し、かつ、NH
2を表す化合物について、式VIIの化合物
【化99】
(式中、z、n、m、X、およびR
1は、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりであり、Zは、HまたはPG
3を表し、PG
2およびPG
3は、それぞれ、好適な保護基を表す)を脱保護する工程を含む、プロセス。
【請求項28】
請求項1~7のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
少なくとも1つのXが存在し、かつ、NH
2を表す化合物について、式VIIIの化合物
【化100】
(式中、z、n、X、およびR
1は、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりである)を還元する工程を含む、プロセス。
【請求項29】
請求項1~7のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、式IXの化合物
【化101】
(式中、z、n、m、X、およびR
1は、請求項1~7のいずれか一項で定義されたとおりであり、PG
4は、好適な保護基を表す)を脱保護する工程を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物および組成物、ならびに高血糖症および2型糖尿病などの高血糖症を特徴とする障害の治療におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、β2アドレナリン作動性受容体の活性化を介する、2型糖尿病などの状態の治療のための、新規な化合物、組成物および方法に関する。重要なことに、このような化合物は、有意なcAMP放出を介するそれらの効果を発揮しないので、有益な副作用プロファイルを有すると考えられる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは議論は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
高血糖症または高血糖は、過剰量のグルコースが血漿中を循環する状態である。治療されない場合、高血糖症は重大な問題となり得、潜在的にケトアシドーシスなどの生命を脅かす状態に発展する可能性がある。例えば、慢性的な高血糖症は、心臓への損傷を引き起こすこともあり、冠動脈性心疾患または心不全の病歴のない対象における心臓発作と死亡とに強く関連する。糖尿病および重度のインスリン抵抗性を含む高血糖症の原因は多岐にわたる。
【0004】
重度のインスリン抵抗性(SIR)は、患者が、非常に低いレベルの(または極端な場合には、有意でない)インスリンに対する応答を患っている状態である。ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症および脂肪異栄養症を含む、SIRを特徴とするいくつかの症候群がある。これらの状態の大部分は、インスリン受容体遺伝子の突然変異のような遺伝的原因を有する。ドナヒュー症候群、ラブソン・メンデンホール症候群およびインスリン抵抗性のA型症候群の有病率は、100,000例中、約50例の報告事例から1例まで変動することが報告されている。しかしながら、いくつかの疾患は重度で非常にまれであるため、特に世界の途上地域では、多くの患者が死亡する前に診断されない可能性が高い。したがって、これらの症候群を有する患者の正確な数を評価することは困難である。
【0005】
SIRを有する患者における高血糖症治療のための現在の標準は、メトホルミンのようなインスリン受容体感受性に影響する薬物を補充した制御食またはインスリン補充である。しかしながら、特にインスリン受容体遺伝子の変異によって引き起こされる障害については、この治療は十分に効果的ではなく、最終的には不成功であることが判明する。
【0006】
糖尿病は、グルコース恒常性の機能不全を伴う2つの異なる疾患、すなわち1型(またはインスリン依存性糖尿病)および2型(インスリン非依存性糖尿病)を含む。2型糖尿病は世界の4億人以上の人々に影響を及ぼし、その数は急速に増加している。2型糖尿病の合併症には、重度の心血管障害、腎不全、末梢神経障害、失明が含まれ、かつ該疾患の後期には、さらには手足の喪失、最終的には死亡が含まれる。2型糖尿病は、骨格筋および脂肪組織におけるインスリン抵抗性を特徴とし、現在のところ決定的な治療法はない。今日使用されるほとんどの治療法は、機能不全のインスリンシグナル伝達を改善することか、または肝臓からのグルコース産出を阻害することに焦点を当てているが、それらの治療の多くはいくつかの欠点および副作用を有する。したがって、2型糖尿病を治療するためのインスリン非依存性の新規な方法の特定に大きな関心が寄せられている。
【0007】
2型糖尿病では、インスリンシグナル伝達経路は、脂肪組織および骨格筋などの末梢組織で鈍くなる。2型糖尿病を治療するための方法には、典型的には、生活習慣の変更、ならびにグルコース恒常性を調節するためのインスリン注射または経口薬が含まれる。この疾患の後期段階の2型糖尿病を有する人々は、「ベータ細胞障害」、すなわち、高血糖値に応答して膵臓がインスリンを放出できないという障害を発症する。この疾患の後期段階では、患者はしばしば、糖尿病を管理するために経口薬と組み合わせてインスリン注射を必要とする。さらに、最も一般的な薬物は、インスリン経路のダウンレギュレーションまたは脱感作および/または脂肪組織、肝臓および骨格筋における脂質取り込みの促進を含む副作用を有する。したがって、これらの副作用を含まない2型糖尿病を含む代謝性疾患を治療するための新規な方法の特定に大きな関心が寄せられている。
【0008】
食事後、血糖値の上昇は膵臓からのインスリン放出を刺激する。インスリンは、血糖値の正常化を媒介する。グルコース代謝に対するインスリンの重要な効果は、骨格筋および脂肪細胞へのグルコースの取り込みの促進、および肝臓におけるグリコーゲン貯蔵の増加を含む。骨格筋および脂肪細胞は、摂食状態でのインスリン媒介性のグルコース取り込みおよび利用に関与し、グルコース代謝にとって非常に重要な部位となる。
【0009】
インスリン受容体の下流のシグナル伝達経路は、詳細に理解することが困難であった。要約すると、インスリンによるグルコースの取り込みの制御は、インスリン受容体(IR)、インスリン受容体基質(IRS)、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の活性化を含み、したがってホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリホスフェート(PIP3)、ラパマイシンの哺乳動物標的(ラパマイシンの機序標的、mTORとも呼ばれる)、Akt/PKB(Akt)およびTBC1D4(AS160)の刺激を含み、グルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜への転位をもたらす。Akt活性化はGLUT4転位に必要と考えられる。
【0010】
骨格筋は哺乳動物の体重の大部分を構成し、全身グルコース処理の最大85%までを担う全身グルコース代謝の調節に重要な役割を果たすことに留意すべきである。骨格筋におけるグルコース取り込みは、いくつかの細胞内および細胞外シグナルによって調節される。インスリンは最もよく研究された介在物質であるが、他にも存在する。例えば、AMP活性化キナーゼ(AMPK)は細胞内のエネルギーセンサーとして機能し、グルコース取り込みおよび脂肪酸酸化を増加させることができる。骨格筋がグルコース恒常性に及ぼす大きな影響のために、さらなる機序が存在すると考えられる。2型糖尿病の罹患率の増加に照らして、筋肉細胞におけるグルコース取り込みを増加させる新規なインスリン非依存性機序を見出し、特徴づけることは非常に興味深い。
【0011】
血糖値はインスリンとカテコールアミンの両方によって調節され得るが、それらは異なる刺激に応答して体内で放出される。インスリンは、血糖値の上昇(例えば、食事後)に応答して放出されるが、エピネフリンおよびノルエピネフリンは、運動、感情およびストレスなどの様々な内的および外的刺激に応答して、ならびに組織恒常性の維持のために、放出される。インスリンは、グルコース取り込み、グリコーゲンおよびトリグリセリド形成を含む成長に関与する多くのプロセスを刺激する同化ホルモンであり、一方、カテコールアミンは主に異化作用を有する。
【0012】
インスリンおよびカテコールアミンは、通常反対の効果を有するが、これらは骨格筋におけるグルコースの取り込みに関して同様の作用を有することが示されている(Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,137,9,(2002))。具体的には、カテコールアミンは、アドレナリン受容体を介してグルコースの取り込みを刺激して、筋肉細胞にエネルギーが豊富な基質を供給することが報告されている(Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,147,446,(2006);Hutchinson,Bengtsson Endocrinology 146,901,(2005))。したがって、ヒトを含む哺乳動物では、アドレナリン系およびインスリン系は、異なる状況において骨格筋のエネルギー需要を調節するために独立して働き得る可能性がある。インスリンはまた、組織への脂質取り込みの刺激などの望ましくない効果を促進し、例えば肥満につながるいくつかのものを含む多くの同化プロセスを刺激するので、他の手段により、例えば、アドレナリン作動性受容体(AR)の刺激により、グルコース取り込みを刺激することが可能であれば有益であろう。
【0013】
全てのARは、細胞膜に位置するGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、細胞外N末端、それに続く7回膜貫通αヘリックス(TM-1~TM-7)、それに連結する3つの細胞内(IL-1~IL-3)および3つの細胞外ループ(EL-1~EL-3)、ならびに最終的な細胞内C末端を特徴とする。ARには、異なる発現パターンおよび薬理学的プロファイルを有する3つの異なるクラス、α1-、α2-およびβ-ARがある。α1-ARは、α1A、α1B、およびα1Dサブタイプを含むが、α2-ARは、α2A、α2B、およびα2Cに分類される。β-ARもまたサブタイプβ1、β2、およびβ3に分類されるが、そのうちのβ2-ARは、骨格筋細胞における主要なアイソフォームである。ARは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)およびホスホリパーゼC(PLC)などの古典的な二次メッセンジャーを介してシグナル伝達するGタンパク質共役受容体(GPCR)である。
【0014】
骨格筋におけるARの下流に生じる多くの影響は、cAMPレベル、PLC活性およびカルシウムレベルの上昇などの古典的な二次メッセンジャーシグナル伝達に起因すると考えられる。古典的な二次メッセンジャーに関与する刺激は、異なる組織において多くの効果を有する。例えば、上記刺激は、心拍数、血流、肺における気流および肝臓からのグルコースの放出を増大させ、ARの刺激が2型糖尿病治療とみなされるべきである場合、それらは全てが有害であるか、または望ましくない副作用とみなされ得る。古典的なAR作動薬の有害作用は、例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越および血液中のグルコースレベル(肝臓からのグルコース産出)の増加である。したがって、cAMPなどのこれらの古典的な二次メッセンジャーを活性化せずにARを活性化して、望ましくない副作用を刺激することなく末梢組織におけるグルコース取り込みを増加することができれば、有益となるだろう。
【0015】
グルコース取り込みは、ほとんどの細胞へのグルコース取り込みを媒介する促進性グルコース輸送体(GLUT)を介して主に刺激される。GLUTは、濃度勾配下で細胞膜にわたってグルコースおよび/またはフルクトースの輸送を媒介する輸送体タンパク質である。GLUTファミリーには、それらの基質特異性および組織発現に依存して、3つのクラス(クラスI、クラスIIおよびクラスIII)に分類される、GLUT1~14と命名された14の既知のメンバーがある。GLUT1およびGLUT4は、最も集中的に研究されたアイソフォームであり、GLUT2およびGLUT3とともに、(フルクトースも輸送するクラスIIとは対照的に)主にグルコースを輸送するクラスIに属する。GLUT1は、遍在的に発現し、基礎的なグルコース輸送に関与する。GLUT4は、骨格筋、心筋および脂肪組織のような末梢組織においてのみ発現する。GLUT4はまた、例えば、脳、腎臓および肝臓において発現することが報告されている。GLUT4は、インスリン刺激グルコースの取り込みに関与する主要なアイソフォームである。インスリンシグナル伝達がグルコースの取り込みを増加させる機序は、主に細胞内貯蔵から細胞膜へのGLUT4転位を介して行われる。GLUT4転位はβ2アドレナリン作動性受容体の刺激によって誘導されることが知られている。
【0016】
したがって、2型糖尿病のような、哺乳動物におけるグルコース恒常性またはグルコース取り込みの調節不全を伴う状態の治療候補には、細胞膜へのGLUT4転位をもたらすβ2アドレナリン作動性受容体の活性化、ならびに全身のグルコース恒常性の正常化につながる骨格筋へのグルコース取り込みの促進が含まれ得る。さらに、治療がcAMPによるシグナル伝達を伴わない場合、好都合な副作用プロファイルにつながるので有利であろう。
【0017】
末梢血管障害の治療に使用されている血管拡張薬、4-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)フェノールは、はじめ、血糖を上昇させることが判明し、糖尿病および前糖尿病において禁忌であった(Unger,H.,Zeitschrift fur die Gesamte Innere Medizin und Ihre Grenzgebiete,16,742(1961)参照)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、β2-アドレナリン作動性受容体にて作動薬として作用するある特定のβ-ヒドロキシ複素環アミンが、骨格筋におけるグルコース取り込みを増大させることを見出した。
【0019】
また、本発明者らは、この効果が有意なcAMP放出を介して媒介されず、伝統的なβ2アドレナリン作動薬で見られる一般的に記載されている副作用の多く(例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越など)が軽減され得ることを見出した。
【0020】
医薬におけるそのような化合物の使用は、2型糖尿病などの高血糖値を特徴とする状態(すなわち、高血糖症)の治療のための有望な戦略となる。
【0021】
本発明の化合物
本発明の第1の態様では、式Iの化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩が提供され、式中、
環Aは、4~8員のヘテロシクロアルキルを表し、
各R
1は、独立して、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
各Xは、独立して、ハロ、R
a、-CN、-N
3、-N(R
b)R
c、-NO
2、-ONO
2、-OR
d、-S(O)
pR
e、または-S(O)
qN(R
f)R
gを表し、
R
aは、独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
各R
b、R
c、R
d、R
e、R
fおよびR
gは、独立して、Hか、または独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、R
bおよびR
cならびに/またはR
fおよびR
gのうちのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、その環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、その環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
Gは、ハロ、-CN、-N(R
a1)R
b1、-OR
c1、-S(O)
pR
d1、-S(O)
qN(R
e1)R
f1、または=Oを表し、
各R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
e1、およびR
f1は、独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、R
a1およびR
b1ならびに/またはR
e1およびR
f1のうちのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、その環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、その環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
mは0~9を表し、
nは0~5を表し、
各pは、独立して、0、1、または2を表し、
各qは、独立して、1または2を表し、
その化合物(薬学的に許容される塩を含む)は、本明細書において「本発明の化合物」として言及されてもよい。
【0022】
疑義を避けるために、当業者は、明細書中での本発明の特定の態様の化合物(例えば、本発明の第1の態様、例えば式Iの化合物)への言及は、その全ての実施形態および特定の特徴への言及を含み、その実施形態および特定の特徴を組み合わせて、さらなる実施形態が形成されてもよいことを理解するだろう。
【0023】
他に示されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0024】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。そのような塩は、慣用的手段により、例えば、本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意の溶媒中で、または塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を用いて(例えば、真空中、凍結乾燥または濾過によって)、該溶媒または該媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。
【0025】
言及され得る特定の酸付加塩には、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオール酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、洒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩またはテレフタル酸塩)、ハロゲン塩(例えば、塩化物塩、臭化物塩またはヨウ化物塩)、スルホネート塩(例えば、ベンゼンスルホネート塩、メチル-、ブロモ-、またはクロロ-ベンゼンスルホネート塩、キシレンスルホネート塩、メタンスルホネート塩、エタンスルホネート塩、プロパンスルホネート塩、ヒドロキシエタンスルホネート塩、1-または2-ナフタレンスルホネート塩、または1、5-ナフタレンジスルホネート塩)、または硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、または硝酸塩などが含まれる。
【0026】
言及され得る特定の塩基付加塩には、アルカリ金属(Na塩およびK塩など)、アルカリ土類金属(Mg塩およびCa塩など)、有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびリジンなど)および無機塩基(例えば、アンモニアおよび水酸化アルミニウム)によって形成される塩が含まれる。より具体的には、言及され得る塩基付加塩には、Mg塩、Ca塩が含まれ、また最も具体的には、K塩およびNa塩が含まれる。
【0027】
言及され得る特定の薬学的に許容される塩には酢酸塩が含まれる。
【0028】
言及され得るさらなる薬学的に許容される塩には、マレイン酸塩および塩酸(HCl)塩が含まれる。
【0029】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は固体として存在してもよく、したがって、本発明の範囲は、その全ての非晶質、結晶および部分結晶形を含み、油として存在してもよい。本発明の第1の態様の化合物が結晶および部分結晶形で存在する場合、このような形態は溶媒和物を含んでもよく、これも本発明の範囲に含まれる。本発明の第1の態様の化合物はまた、溶液中に存在してもよい。
【0030】
本発明の第1の態様の化合物は、二重結合を含んでいてもよく、したがって、各個々の二重結合についてE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在してもよい。全てのそのような異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
本発明の第1の態様の化合物は、互変異性を示してもよい。全ての互変異性形およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0032】
本発明の第1の態様の化合物はまた、1個以上の不斉炭素原子を含有してもよく、したがって、光学異性および/またはジアステレオ異性を示してもよい。ジアステレオ異性体は、慣用的な技法、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶化を用いて分離されてもよい。種々の立体異性体(すなわちエナンチオマー)は、慣用的な、例えば分別結晶化またはHPLCの技法を用いて、化合物のラセミ混合物または他の混合物を分離することによって単離されてもよい。代替的には、所望の光学異性体は、適切な光学活性をもつ出発物質から、ラセミ化またはエピマー化を引き起こさない条件下で(すなわち、「キラルプール」法)、適切な出発物質とその後適切な段階で除去され得る「キラル補助剤」とを反応させることにより得られてもよく、誘導体化(すなわち、動的分解を含む分解)により得られてもよく、例えば、ホモキラル酸で処理した後、ジアステレオマー誘導体をクロマトグラフィーなどの慣用的手段によって分離することにより得られてもよく、あるいは適切なキラル試薬またはキラル触媒と反応させることにより得られてもよく、これらの全ては当業者に知られた全ての条件下で行われる。全ての立体異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、ヘテロシクロアルキルという用語は、環に含まれる少なくとも1つの原子がヘテロ原子である非芳香族、飽和および単環式基(すなわち、飽和複素環式基)を指し得る。特に、そのような基は、O、S、およびNから選択されるヘテロ原子などの1~4個のヘテロ原子を含んでもよく、Nは、二次または三次置換度で存在してもよい。
【0034】
疑義を避けるために、式Iの化合物に記載される環Aは、環Aの2位(すなわち、A環の必須窒素原子および必須-OH基を有する炭素両方に対するα位)に表されるように、必須窒素原子および必須炭素原子を含む。
【0035】
疑義を避けるために、環Aは、本明細書で定義されるように、数がmによって定義される本明細書で定義されるいくつかのR1基で置換されてもよい。当業者は、そのような置換基の(最大)数および位置が、環のサイズおよびそれに含まれるヘテロ原子の数および種類などの複素環式環の性質によって決定されることを理解するであろう。したがって、mが0~9として定義される場合、値9は、環Aとして存在する可能性のある複素環式環を考慮した場合の理論上の最大値を表し、環Aを表すある特定の複素環式基について、当業者によって容易に決定されるように、mの実際の最大値はより低くてもよいことが理解されるだろう。さらに、当業者は、そのような置換基が、環A内に含まれる適切な部分、例えば、C(炭素)部分および二級N(窒素)部分に存在し得ることを理解するであろう。
【0036】
特に、本明細書で定義される環Aは、O、S、およびN(例えば、NなどのOおよびN)から(必須NH部分に加えて)選択され得る1個または2個のヘテロ原子(必須NH部分を含む)を含み得る。したがって、必須NH部分に加えて、本明細書で定義される環Aは、O、S、およびN(例えば、NなどのOおよびN)から選択され得る最大1個の追加のヘテロ原子を含み得る。
【0037】
特に、本明細書で定義される環Aは、4~6員であり得る。例えば、本明細書で定義される環Aは、O、S、およびN(例えば、NなどのOおよびN)から選択され得る1個または2個のヘテロ原子(すなわち、最大1個の追加のヘテロ原子)を含む4~6員であり得る。
【0038】
より具体的には、本明細書で定義される環Aは、5員または6員であり得る。例えば、本明細書で定義される環Aは、O、S、およびN(例えば、NなどのOおよびN)から選択され得る1個または2個のヘテロ原子(すなわち、最大1個の追加のヘテロ原子)を含む5員または6員であり得る。
【0039】
言及され得る特定のヘテロシクロアルキル基(例えば、その全ての実施形態を含む式Iの化合物について定義される環Aに関して)には、アゼチジニル(例えば、アゼチジン-2-イル、1位はN原子である)、ピロリジニル(例えば、ピロリジン-2イル)、ピペリジニル(例えば、ピペリジン-2-イル)、およびアゼパニル(例えば、アゼパン-2-yl)が含まれる。言及され得るより特定のヘテロシクロアルキル基には、ピロリジニル(例えば、ピロリジン-2-イル)およびピペリジニル(例えば、ピペリジン-2-イル)が含まれる。
【0040】
本明細書で使用される場合、ハロおよび/またはハロゲン基への言及は、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード(例えば、Fなどのフルオロ(F)およびクロロ(Cl))を意味する。
【0041】
別記されない限り、本明細書で定義されるC1-zアルキル基(zは範囲の上限である)は、直鎖であってもよく、または十分な数(すなわち最低3個)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状であってもよい(したがって、C3-z-シクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち最低4個)の炭素原子が存在する場合、そのような基は部分的に環状であってもよい。言及され得る部分環状アルキル基には、シクロプロピルメチルおよびシクロヘキシルエチルが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、そのような基は、多環式(例えば、二環式または三環式)またはスピロ環式であってもよい。そのようなアルキル基は、飽和されていてもよく、または十分な数(すなわち最低2個)の炭素原子が存在する場合、不飽和であってもよい(例えば、C2-ZアルケニルまたはC2-Zアルキニル基を形成する)。言及され得る特定のアルキル基には、飽和アルキル基が含まれる。
【0042】
疑義を回避するために、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子への言及は、当業者によって理解されるようにそれらの通常の意味をとるであろう。言及され得る特定のヘテロ原子には、リン、セレン、テルル、ケイ素、ホウ素、酸素、窒素、および硫黄(例えば、酸素、窒素、および硫黄)が含まれる。
【0043】
疑義を避けるために、多環式(例えば、二環式または三環式)基(例えば、シクロアルキル基の文脈で使用される場合)への言及は、そのような環を直鎖に変換するために少なくとも2つの切断が必要とされ得る環系を意味し、そのような切断の最小数は定義された環の数に対応する(例えば、二環式という用語は、その環を直鎖に変換するために最低2つの切断が必要とされ得ることを示してもよい)。疑義を避けるために、二環式(例えば、アルキル基の文脈で使用される場合)という用語は、二環系の第2の環が第1の環の2つの隣接する原子の間に形成される基を意味してもよく、また2つの隣接していない原子がアルキレン基によって連結されている基を意味してもよく、後者の基は架橋されているものを意味してもよい。
【0044】
本発明はまた、1個以上の原子が、通常自然界で見られる原子量または質量数(または自然界に見られる最も豊富なもの)とは異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられているという事実はあるが、本明細書に列挙されたものと同一である、本発明の同位体的に標識された化合物も包含する。本明細書で特定される任意の特定の原子または元素の全ての同位体は、本発明の化合物の範囲内であると考えられる。したがって、本発明の化合物はまた、重水素化化合物、すなわち、1個以上の水素原子が、水素同位体重水素で置き換えられている化合物も含む。
【0045】
疑義を避けるために、本発明の化合物中の2つ以上の置換基の同一性が同じであり得る場合、それぞれの置換基の実際の同一性は、決して相互依存しない。例えば、2個以上のX基が存在する状況では、それらのX基は同じであっても異なっていてもよい。同様に、2個以上のX基が存在し、それぞれがハロを表す場合、問題となるハロ基は同じであっても異なっていてもよい。同様に、複数のRaが存在し、それぞれが独立して1個以上のG基で置換されたC1-6アルキルを表す場合、各Gの同一性は決して相互依存性ではない。
【0046】
当業者は、本発明の主題である本発明の化合物が、安定であるものを含むことを認識するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば、反応混合物からの、有用な純度までの単離に耐えるほどに十分に頑強なものを含む。
【0047】
本発明の開示から逸脱することなく、本明細書で言及される本発明の全ての実施形態および特定の特徴を単独で、または本明細書で言及される他のいずれかの実施形態および/または特定の特徴と組み合わせて採用することができる(したがって、本明細書に開示されるように、より具体的な実施形態および具体的な特徴を記載する)。
【0048】
本発明の第1の態様のある特定の実施形態では、式IAの化合物(すなわち、式Iの化合物は、式IAの化合物であり得る)
【化2】
またはその薬学的に許容される塩が提供され、式中、
R
1、X、およびnは、本明細書で定義されたとおりであり、
zは、0~2を表し、
zが0を表す場合、mは、0~5を表すか、またはzが1を表す場合、mは、0~7を表すか、またはzが2を表す場合、mは、0~9を表す。
【0049】
疑義を避けるために、当業者は、
zが0を表す(すなわち、必須窒素原子を含む環はアゼチジン環である)場合、mは、0、1、2、3、4、または5(例えば、0または1)、例えば、1、2、3、4、または5(すなわち、1~5)であり得、
zが1を表す(すなわち、必須窒素原子を含む環はピロリジン環である)場合、mは、0、1、2、3、4、5、6、または7(例えば、0または1)、例えば、1、2、3、4、5、6、または7(すなわち、1~7)であり得、
zが2を表す(すなわち、必須窒素原子を含む環はピペリジン環である)場合、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9(例えば、0または1)、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、または9(すなわち、1~9)であり得ることを理解するだろう。
【0050】
特定の実施形態では、zは、1または2を表す。
【0051】
ある特定の実施形態では、zは、1を表す。
【0052】
ある特定の実施形態では、zは、2を表す。
【0053】
ある特定の実施形態では、環Aを表すヘテロアリール基がピペリジンである場合(すなわち、zが2を表す場合)、
環Aは、4位で置換されず、かつ/または
特に、mが、1~9を表す場合、R1は、C2-6アルキルを表す。
【0054】
ある特定の実施形態では、環Aを表すヘテロアリール基がピペリジンである場合(すなわち、zが2を表す場合)、環Aは4位で置換されない。
【0055】
他の特定の実施形態では、R1は、1つ以上のF(例えば、2つまたは3つ)で任意に置換されたC1-6アルキル、例えば、3つのFで任意に置換されたC1-3アルキル(例えば、3つのFがC1-3アルキルの末端炭素に結合している場合、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル)を表す。
【0056】
より特定の実施形態では、R1は、C1-6アルキル、例えば、C1-3アルキルを表す。
【0057】
ある特定の実施形態では、zが2を表す場合、R1は、少なくともC2アルキル、例えば、C2-3アルキルなどのC2-6アルキルを表す。
【0058】
特定の実施形態では、R1は、C1-6アルキル(例えば、C3-6アルキル)を表し、特に、必須N原子を含む環に結合している炭素は、分岐しておらず、例えば、-CH2-部分によって表される。
【0059】
言及され得る特定のR1基には、アルキル基(例えば、C1-6アルキル基)が直鎖または部分環状であるものが含まれる(特に、基は、必須N原子を含む環に結合している炭素が分岐していないような部分環状、例えば、-CH2-部分である)。
【0060】
言及され得る他の特定のR1基には、アルキル基(例えば、C1-6アルキル)が直鎖(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、またはn-ヘキシル)であるものが含まれる。
【0061】
ある特定の実施形態では、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-ペンチル、シクロペンチル、-CH2-シクロプロピル、n-ヘキシル、またはシクロヘキシルを表す。
【0062】
本発明の第1の態様のなおさらなる実施形態では、R1は、メチル、エチル、またはn-プロピルを表す。
【0063】
言及され得る特定の実施形態では、zが1を表す場合、R1は、C2-6アルキルを表す。
【0064】
より特定の実施形態では、R1は、C2-6アルキル、例えば、C2-3アルキルを表す。
【0065】
なおより特定の実施形態では、R1は、C2-6アルキル(例えば、C2-3アルキル)を表し、特に、必須N原子を含む環に結合している炭素は、分岐しておらず、例えば、-CH2-部分によって表される。
【0066】
言及され得る特定のR1基には、アルキル基(例えば、C2-6アルキル基)が直鎖または部分環状であるものが含まれる(特に、基は、必須N原子を含む環に結合している炭素が分岐していないような部分環状、例えば、-CH2-部分である)。
【0067】
言及され得る他の特定のR1基には、アルキル基(例えば、C2-6アルキル)が直鎖(例えば、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、またはn-ヘキシル)であるものが含まれる。
【0068】
ある特定の実施形態では、R1は、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-ペンチル、シクロペンチル、-CH2-シクロプロピル、n-ヘキシル、またはシクロヘキシルを表す。
【0069】
本発明の第1の態様のなおさらなる実施形態では、R1は、n-プロピルを表す。
【0070】
ある特定の実施形態では、R1は、tert-ブチルを表さない。
【0071】
当業者であれば、アルキル基に適用される場合、接頭辞「n-」、「sec-」、および「tert-」は、用語「ノルマル」、「二級」、および「三級」を示すことを理解するであろう。「ノルマル」という用語は、分子の残りへの基の結合点が、炭素鎖の末端の炭素原子を介しており、したがって、その炭素原子が他の1つの炭素原子に結合している、直鎖アルキル基を示す。「二級」という用語は、分子の残りのアルキル基への結合点が、炭素鎖の末端に隣接する炭素原子を介しており、したがって、その炭素自体が2つの他の炭素原子に結合していることを示す。「三級」という用語は、分子の残りの部分へのアルキル基の結合点が、3つの他の炭素原子に結合している炭素原子を介していることを示す。
【0072】
本発明の第1の態様のある特定の実施形態では、式IAの化合物が提供され、式中、zが0を表す場合、mは、0~4(例えば、1)を表し、存在する場合、R1は、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、またはn-プロピル)、例えば、C2-6アルキル(例えば、エチルまたはn-プロピル、特にn-プロピル)を表す。そのような実施形態では、R1は、必須窒素原子を含む環の3位または4位に位置し得る(必須ヒドロキシルベンジル部分への結合点は2位である)。特定の実施形態では、R1は、必須窒素原子を含む環の4位にあってもよい。
【0073】
本発明の第1の態様の代替的な実施形態では、式IAの化合物が提供され、式中、zが1を表す場合、mは、0~6(例えば、1)を表し、R1は、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、またはn-プロピル、例えば、エチルまたはn-プロピル、特にn-プロピル)、例えば、C2-6アルキル(例えば、エチルまたはn-プロピル)を表す。そのような実施形態では、R1は、必須窒素原子を含む環の3位、4位、または5位に位置し得る。特定の実施形態では、R1は、必須窒素原子を含む環の5位にあってもよい(必須ヒドロキシルベンジル部分への結合点は2位である)。
【0074】
本発明の第1の態様のさらなる代替的な実施形態では、式IAの化合物が提供され、式中、zが2を表す場合、mは、0~8(例えば、1)を表し、R1は、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、またはn-プロピル、例えば、エチルまたはn-プロピル、特にn-プロピル)、例えば、C2-6アルキル(例えば、エチルまたはn-プロピル、特にn-プロピル)を表す。そのような実施形態では、R1は、必須窒素原子を含む環の2位、3位、4位、5位、または6位に位置し得る。特定の実施形態では、R1は、必須窒素原子を含む環の6位にあってもよい(必須ヒドロキシルベンジル部分への結合点は2位である)。
【0075】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、式IAの化合物が提供され、式中、zが0を表し、mが1を表し、R1がC1-3アルキル(例えば、C2-3アルキル)を表す場合、R1置換基は、必須窒素原子を含む環の4位に位置する(必須ヒドロキシルベンジル部分への結合点は2位である)。
【0076】
本発明の第1の態様の代替的な特定の実施形態では、式IAの化合物が提供され、式中、zおよびmが1を表し、R1がC1-3アルキル(例えば、C2-3アルキル)を表す場合、R1置換基は、必須窒素原子を含む環の5位に位置する(必須ヒドロキシルベンジル部分への結合点は2位である)。
【0077】
本発明の第1の態様のさらなる代替的な実施形態では、式IAの化合物が提供され、式中、zが2を表し、mが1を表し、R1がC1-3アルキル(例えば、C2-3アルキル)を表す場合、R1置換基は、必須窒素原子を含む環の6位に位置する(必須ヒドロキシルベンジル部分への結合点は2位である)。
【0078】
したがって、好ましい実施形態では、mは、1を表し、R1は、C1-3アルキル(例えば、C2-3アルキル)を表し、
zが0を表す場合、必須窒素原子を含む環の4位(すなわち、アゼチジン環の4位)、または
zが1を表す場合、必須窒素原子を含む環の5位(すなわち、ピロリジン環の5位)、または
zが2を表す場合、必須窒素原子を含む環の6位(すなわち、ピペリジン環の6位)に位置し得る。
【0079】
よって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、式IBの化合物
【化3】
またはその薬学的に許容される塩が提供され、式中、R
1、X、n、およびzは、本明細書で定義されたとおりである。
【0080】
本発明の化合物のある特定の実施形態(すなわち、式I、IA、またはIBの化合物)では、各Xは、独立して、ハロ(例えば、FまたはCl)、Ra、-CN、-N3、N(Rb)Rc、-NO2、または-ORdを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0081】
例えば、各Xは、独立して、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、または-ORdを表してもよく、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0082】
さらなる実施形態では、各Xは、独立して、ハロ、Ra、-CN、-N3、-NH2、-NO2、または-ORdを表してもよく、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、各Rdは、独立して、Hか、または1つ以上のF(例えば、H)で任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0083】
より特定の実施形態では、各Xは、独立して、F、Cl、Ra、-NH2、-CN、または-OHを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキル(例えば、C1-2アルキル)を表す(例えば、Raは、-CHF2または-CF3(例えば、-CF3)を表す)。
【0084】
なおより特定の実施形態では、各Xは、独立して、F、Cl、Ra、-NH2、または-OHを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表す(例えば、Raは、-CH3、-CHF2、または-CF3(例えば、-CF3)を表す)。
【0085】
さらなる特定の実施形態では、各Xは、独立して、F、Cl、Ra、または-OHを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキル(例えば、-CF3)を表す。
【0086】
なおさらなる特定の実施形態では、各Xは、独立して、F、Cl、-NH2、-CF3、または-OHを表す。さらなる実施形態では、各Xは、独立して、-OHを表す。
【0087】
ある特定の実施形態では、各Xは、独立して、ClまたはFを表す(例えば、nが1などの0、1、または2を表す場合)。さらなる実施形態では、各Xは、独立して、Fを表す(例えば、nが1などの0、1、または2を表す場合)。
【0088】
ある特定の実施形態では、2つ以上のX基が存在する場合(すなわち、nが2を表す場合など、nは2~4を表す)、1つのX基のみが-ORdを表し得る。例えば、ある特定の実施形態では、2つ以上のX基が存在する場合(すなわち、nが2を表す場合など、nは2~4を表す)、1つのX基のみが-OHを表し得る。
【0089】
本発明の化合物のいくつかの実施形態では、nは、0、1、2、または3(例えば、1または2、例えば、1)を表す。
【0090】
本発明の化合物のある特定の実施形態では、nは、0、1、または2(例えば、0または1)を表す。
【0091】
本発明の化合物の他の実施形態では、nは、1、2、または3(例えば、1または2)を表す。
【0092】
本発明の化合物の特定の実施形態では、nは、0または1(例えば、1)を表す。
【0093】
ある特定の実施形態では、nは、0~3(例えば、3)を表し、各Xは、独立して、ハロ(例えば、FなどのFまたはCl)、-NH2、-CF3、または-OHを表す。さらなるある特定の実施形態では、nは3を表し、各Xは、独立して、F、-NH2、または-OHを表す。そのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位、4位、および5位に位置し得る。
【0094】
ある特定の実施形態では、nは、0~2(例えば、2)を表し、各Xは、独立して、F、Cl、-NH2、または-OHを表す。そのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位および4位、または3位および5位に位置し得る。
【0095】
ある特定の実施形態では、nは、0~2(例えば、2)を表し、各Xは、独立して、Fまたは-OHを表す。そのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位および4位、または3位および5位に位置し得る。
【0096】
ある特定の実施形態では、nは1を表し、Xは、Cl、F、または-OH(例えば、FなどのClまたはF)を表す。そのような実施形態では、X基は、必須ベンゼン環の3位に位置し得る。
【0097】
さらなる実施形態では、
nは、2または3を表し、かつ/または(例えば、かつ)
各Xは、独立して、ハロ(例えば、FなどのFまたはCl)、-NH2、-CF3、または-OHを表し、
特に、そのようなX基が、必須ベンゼン環の3位、4位、および5位に位置する場合にそうである。
【0098】
さらなる実施形態では、必須ベンゼン環が2位および6位で置換されていない、式Iの化合物、またはその薬学的医許容される塩が提供される。
【0099】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、
各Xは、独立して、ハロ、Raまたは-ORdを表し、
Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
Rdは、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、かつ/または(例えば、かつ)
nは、0、1、2、または3を表す。
【0100】
より特定の実施形態では、
各Xは、独立して、F、Cl、Ra、または-OHを表し、
Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し、かつ/または(例えば、かつ)
nは、0、1、または2(例えば、1または2)を表す。
【0101】
さらにより特定の実施形態では、
各Xは、独立して、F、Cl、-CH3、または-OHを表し、
nは、1または2(例えば、1)を表し、かつ/または(例えば、かつ)
少なくとも1つのXは、それが結合しているフェニル基の3位または4位にある。
【0102】
より特定の実施形態の例には、以下のものが含まれる:
Xは、独立して、Fまたは-OHを表し、その置換基は、それらが結合しているフェニル基の3位および4位にあり、
nは2を表す。
【0103】
より特定の実施形態の例には、以下のものが含まれる:
Xは、それらが結合しているフェニル基の3位および5位にあるFを表し、
nは2を表す。
【0104】
より特定の実施形態の他の例には、XがF、Cl、Ra、または-OHを表し、Raが1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し(例えば、Raが-CH3、-CF3、または-CHF2(例えば、-CHF2)を表し得る)、nが1を表すものが含まれる。
【0105】
より特定の実施形態のなおさらなる例には、XがFまたは-OH(例えば、-OH)を表し、nが1を表すものが含まれる。そのような実施形態の例には、X置換基が、それらが結合しているフェニル基の3位および4位にあるものが含まれる。
【0106】
より特定の実施形態のさらなる例には、以下のものが含まれる:
Xは、それが結合しているフェニル基の3位にあるFまたは-OH(例えば、-OH)を表し、nは1を表す。
【0107】
より特定の実施形態のさらなる例には、以下のものが含まれる:
Xは、それが結合しているフェニル基の3位にあるCl、F、または-OH(例えば、F)を表し、nは1を表す。
【0108】
より特定の実施形態のさらなる例には、以下のものが含まれる:
Xは、それが結合しているフェニル基の2位にあるClまたはFを表し、nは1を表す。
【0109】
より特定の実施形態の代替的なさらなる例には、以下のものが含まれる:
Xは、それが結合しているフェニル基の4位にあるFまたは-OH(例えば、-OH)を表し、nは1を表す。
【0110】
言及され得る特定の実施形態では、少なくとも1つのXが存在し(すなわち、nは、少なくとも1を表す)、-OH以外を表す。
【0111】
言及され得るより特定の実施形態では、少なくとも1つのXが存在し、Fを表す。
【0112】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、式IBの化合物が提供され、式中、
nおよびzは、1を表し、
R1は、-CH3またはn-プロピル(例えば、n-プロピル)を表し、
Xは、Fまたは-OH(例えば、F)を表し、かつ、それが結合しているフェニル基の4位にある。
【0113】
本発明の第1の態様の別の特定の例では、式IBの化合物が提供され、式中、
nおよびは、1を表し、
R1は、Hを表し、
R2は、-CH3またはn-プロピルを表し、
Xは、Fまたは-OH(例えば、F)を表し、かつ、それが結合しているフェニル基の3位にある。
【0114】
言及され得るある特定の実施形態では、nが2以上を表す場合(すなわち、2つ以上のX置換基が存在する場合)、1つ以下のXが、-N(Rb)Rcおよび-ORdから選択される基を表し得る(特に、Rb、Rc、およびRdが、Hを表す場合)。
【0115】
疑義を避けるために、nが1を表し、zが2を表し、R
1がHを表し、R
2がn-プロピルを表し、XがFであり、かつ、それが結合しているフェニル基の4位にある式IBの化合物の特定の例では、式Iの化合物は、以下のように示される:
【化4】
【0116】
本発明の化合物のさらなる特定の実施形態では、式Iの化合物は、式ICの化合物であり、
【化5】
式中、zおよびR
1は、本明細書で定義されるとおりであり(疑義を避けるために、その全ての実施形態を含む)、X
1、X
2、X
3、X
4、およびX
5は、それぞれ独立して、HまたはXを表し、Xは、本明細書で定義されるとおりである(その全ての実施形態を含む)。
【0117】
ある特定の実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、
X1およびX5は、それぞれ独立して、H、F、またはClを表し、
X2、X3、およびX4は、それぞれ独立して、H、ハロ(例えば、FなどのFまたはCl)、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、または-ORdを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0118】
特定の実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、X1は、Hを表す。
【0119】
さらなる実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、X3は、H、F、-NH2、または-OHを表す。
【0120】
特定の実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、X3は、H、F、または-OHを表す。
【0121】
より特定の実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、X3は、Fまたは-OHを表す。
【0122】
なおより特定の実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、X3は、Fを表す。
【0123】
ある特定の実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、X2は、Cl、F、または-OH(例えば、F)を表し、例えば、X1、X3、X4、およびX5は、Hを表す。
【0124】
したがって、さらなる実施形態では、式ICの化合物が提供され、式中、
X1は、Hを表し、
X5は、H、F、Cl、または-CH3を表し、
X2、X3、およびX4は、それぞれ独立して、H、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、または-ORdを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0125】
特定の実施形態では、
X1、X2、およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、H、ハロ、Ra、-CN、-NH2、または-OHを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表す(例えば、Raは、-CF3または-CHF2を表し得る)。
【0126】
さらなる特定の実施形態では、
X1、X2、およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、H、ハロ、-NH2、-CN、または-OHを表す。
【0127】
より特定の実施形態では、
X1、X2、およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、H、ハロ(例えば、F、Cl)、-NH2、または-OHを表す。
【0128】
さらにより特定の実施形態では、
X1、X2、およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、H、F、Cl、-NH2、または-OHを表す。
【0129】
さらにより特定の実施形態では、
X1、X2、およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、H、F、または-OHを表す。
【0130】
ある特定の実施形態では、
X1、X2、X3、X4、およびX5は、それぞれ、Hを表すか、または
X1、X2、X3、およびX5は、Hを表し、X4は、Fもしくは-OH(例えば、F)を表す、
X1、X2、X4、およびX5は、Hを表し、X3は、Fもしくは-OH(例えば、F)を表す。
【0131】
代替的な実施形態では、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2およびX4は、それぞれ独立して、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、または-ORdを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、
X3は、H、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、または-ORdを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0132】
さらなる代替的な実施形態では、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2およびX4は、それぞれ独立して、F、Cl、Ra、またはORdを表し、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し、Rdは、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表し、
X3は、H、-N(Rb)Rc、または-ORdを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表す。
【0133】
さらにより特定の実施形態では、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2およびX4は、それぞれ独立して、F、Cl、-CF3、または-OHを表し、
X3は、H、-NH2、または-OHを表す。
【0134】
さらにより代替的な実施形態では、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2およびX4は、それぞれ独立して、Fまたは-OHを表し、
X3は、Hまたは-OHを表す。
【0135】
ある特定の実施形態では、
X1、X3、およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2およびX4は、それぞれ、Fを表す。
【0136】
さらなる実施形態では、
X1、X3、およびX4は、それぞれ、Hを表し、
X2およびX3は、それぞれ、Fを表す。
【0137】
さらなる実施形態では、
X1、X3、X4、およびX5は、Hを表し、
X2は、H、F、または-OHを表す。
【0138】
さらなる実施形態では、
X1、X3、X4、およびX5は、Hを表し、
X2は、H、Cl、F、または-OH(例えば、FなどのCl、F、または-OH)を表す。
【0139】
さらなる実施形態では、
X2、X3、X4、およびX5は、Hを表し、
X1は、H、Cl、またはF(例えば、FなどのClまたはF)を表す。
【0140】
さらなる実施形態では、
X1、X2、X4、およびX5は、Hを表し、
X3は、HまたはF(例えば、F)を表す。
【0141】
当業者であれば、言及され得る特定のX基(ならびに、例えば、式ICの化合物のX1~X5基に対応し得るような、その位置および数)には、本明細書で提供される実施例に示されるものが含まれることを理解するだろう。
【0142】
同様に、当業者であれば、言及され得る特定のR1、R2、およびR3基には、本明細書で提供される実施例に示されるものが含まれることを理解するであろう。
【0143】
例えば、式ICの化合物の特定の実施形態では、
R1は、メチルまたはn-プロピルを表し、
nが1を表し、
Xは、-OHを表し、かつ、それが結合しているフェニル基の3位にある(すなわち、式ICの化合物において、X1、X3、X4、およびX5は、Hを表し、X2は、-OHを表す)。
【0144】
本明細書に記載されているように、本発明の第1の態様の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有してもよく、したがって、光学的および/またはジアステレオ異性を示してもよい。さらに、ある種のこのような光学異性体および/またはジアステレオ異性体は、本明細書に記載のような高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療において有用性の増大を示し得ることが見出された。
【0145】
当業者は、式Iの化合物が、当業者に理解されるように、必須-OH基で置換された炭素が(R)配置または(S)配置であるようなものであり得ることを理解するであろう。
【0146】
特定の実施形態では、必須-OH基で置換された炭素は(R)配置にある。
【0147】
例えば、式Iの化合物は、式IDまたはIEの化合物の化合物であり得、
【化6】
式中、n、m、A、X、およびR
1は、本明細書に記載のとおりである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態および特定の特徴、ならびにそれらの組み合わせを含む)。
【0148】
特定の実施形態では、式Iの化合物は、式IDの化合物である。
【0149】
そのため、式IDの化合物は、式IFの化合物であり得、式IEの化合物は式IGの化合物であり得、
【化7】
式中、
n、z、X、およびR
1は、本明細書で定義されたとおりであり、
例えば、
zは、0、1、または2を表し、
nは、1または2を表し、Xは、Fまたは-OHを表し、フェニル基の3位および/または(例えば、または)4位にあり、
R
1は、本明細書で定義されたとおりである(例えば、メチル、エチル、またはn-プロピル、例えば、エチルまたはn-プロピル、特にn-プロピル)。
【0150】
特定の実施形態では、式Iの化合物は、式IFの化合物である。
【0151】
特に、式IFの化合物は、式IHの化合物であり得、式IGの化合物は式IJの化合物であり得、
【化8】
式中、z、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1、およびR
2は、本明細書に記載のとおりである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態および特定の特徴、ならびにそれらの組み合わせを含む)。
【0152】
特定の実施形態では、式Iの化合物は、式IHの化合物である。
【0153】
当業者は、必須ヒドロキシ基を有する炭素に加えて、本発明の化合物がさらなる立体中心を含み得ることを理解するであろう。疑義を避けるために、特定されていない限り、全ての立体中心の立体化学(必須ヒドロキシ基を有する炭素以外の位置に存在する立体化学を含む)は、いずれかの配置(すなわち、RまたはS配置)にあり得るか、またはそれらの混合物として化合物(例えば、ラセミ混合物)に存在し得る。
【0154】
特定の実施形態では、式IHの化合物は、式IKの化合物または式ILの化合物であり、
【化9】
式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1、およびzは、本明細書で定義されたとおりである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態および特定の特徴、ならびにそれらの組み合わせを含む)。
【0155】
さらなる特定の実施形態では、式IKの化合物は、式IMの化合物または式INの化合物であり、式ILの化合物は、式IOの化合物または式IPの化合物であり、
【化10】
式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、R
1、およびzは、本明細書で定義されたとおりである(すなわち、本発明の第1の態様に記載されているように、全ての実施形態および特定の特徴、ならびにそれらの組み合わせを含む)。
【0156】
本発明の特定の実施形態では、式IA~IPのいずれか1つの化合物が提供され、式中、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2は、H、F、または-OHを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、HまたはF、
zは、0を表し、
R1は、H、メチル、エチル、またはn-プロピル(例えば、エチルまたはn-プロピル、例えば、n-プロピル)を表す。
【0157】
本発明の代替的な実施形態では、式IA~IPのいずれか1つの化合物が提供され、式中、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2は、H、F、または-OHを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、HまたはF、
zは、1を表し、
R1は、H、メチル、エチル、またはn-プロピル(例えば、エチルまたはn-プロピル、例えば、n-プロピル)を表す。
【0158】
本発明のさらなる代替的な実施形態では、式IA~IPのいずれか1つの化合物が提供され、式中、
X1およびX5は、それぞれ、Hを表し、
X2は、H、F、または-OHを表し、
X3およびX4は、それぞれ独立して、HまたはF、
zは、2を表し、
R1は、H、メチル、エチル、またはn-プロピル(例えば、エチルまたはn-プロピル、例えば、n-プロピル)を表す。
【0159】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、以下からなるリストから選択される化合物ではない:
(5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(S)-(3,4-ジクロロフェニル)((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール、
rel-(1R)-((2S)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(1S)-((2R)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(S)-((2R,4S)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(S)-((2R,4R)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(3-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(6-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(R)-(4-メトキシフェニル)((2R,6S)-6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
rel-(R)-(4-メトキシフェニル)((2R,6S)-6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
rel-(S)-(4-メトキシフェニル)((2S,6R)-6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
2-アミノ-4-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンズアミド、
2-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)フェニル)アセトアミド、
4-(ヒドロキシ(5-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
2-アミノ-4-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)フェノール、
5-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)-2-ヒドロキシベンズアミド、
2-(5-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)-2-ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
(3-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(3-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
(4-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(4-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
(4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
rel-(S)-((2R,4S)-4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
rel-(S)-((2S,4R)-4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、および
(4-エチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール。
【0160】
より特定の実施形態では、本発明の化合物は、以下からなるリストから選択される化合物ではない:
(5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(S)-(3,4-ジクロロフェニル)((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール、
rel-(1R)-((2S)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(1S)-((2R)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(S)-((2R,4S)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(S)-((2R,4R)-4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(4-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(3-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(6-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
(R)-(4-メトキシフェニル)((2R,6S)-6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
rel-(R)-(4-メトキシフェニル)((2R,6S)-6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
rel-(S)-(4-メトキシフェニル)((2S,6R)-6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
2-アミノ-4-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンズアミド、
2-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)フェニル)アセトアミド、
4-(ヒドロキシ(5-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
2-アミノ-4-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)フェノール、
5-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)-2-ヒドロキシベンズアミド、
2-(5-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)-2-ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
(3-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(3-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
(4-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(4-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
(4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
rel-(S)-((2R,4S)-4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
rel-(S)-((2S,4R)-4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、および
(4-エチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩。
【0161】
なおより特定の実施形態では、本発明の化合物は、以下からなるリストから選択される化合物ではない:
(5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
3,4-ジクロロフェニル(5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール、
4-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
4-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
4-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
4-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
4-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
3-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
6-メチルピペリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
4-メトキシフェニル(6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-メトキシフェニル(6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-メトキシフェニル(6-メチルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
2-アミノ-4-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンズアミド、
2-(2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシ(6-メチルピペリジン-2-イル)メチル)フェニル)アセトアミド、
4-(ヒドロキシ(5-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
2-アミノ-4-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)フェノール、
5-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)-2-ヒドロキシベンズアミド、
2-(5-((5-ブチルピペリジン-2-イル)(ヒドロキシ)メチル)-2-ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
(3-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(3-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
(4-メチルピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(ヒドロキシ(4-メチルピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、
(4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
4-(tert-ブチル)ピペリジン-2-イル(フェニル)メタノール、および
4-エチルピペリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩。
【0162】
ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、4-エチルピペリジン-2-イル(フェニル)メタノール、またはその薬学的に許容される塩(例えば、HCl塩)ではない。
【0163】
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、4-(ヒドロキシ(ピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、またはその薬学的に許容される塩ではない(またはそれでもない)。
【0164】
言及され得る本発明の第1の態様の特定の化合物には、本明細書で提供される実施例の化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれる。したがって、言及され得る本発明の化合物には、
3-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3,5-ジフルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3,4-ジフルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-(ヒドロキシ(5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、および
5-メチルピロリジン-2-イル(フェニル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0165】
言及され得る本発明のより特定の化合物(特に、式ID~IPの化合物)には、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3,5-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3,4-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((R)-ヒドロキシ(5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、および
(R)-(5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0166】
言及され得る式Iのなおより特定の化合物には、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3,5-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3,4-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、および
(R)-((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0167】
言及され得る式Iのさらなる化合物には、
3-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
4-フルオロフェニル(-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
2-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
2-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-クロロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-クロロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
2-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
2-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
2-クロロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
4-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3,5-ジフルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3,4-ジフルオロフェニル)(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-クロロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-クロロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-(ヒドロキシ(6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-クロロフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-ヒドロキシフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-ヒドロキシフェニル(6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-フルオロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-(ヒドロキシ(5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-クロロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、および
3-クロロフェニル(5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0168】
言及され得る式Iのなおさらなる化合物には、
(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((S)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(4-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(2-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(2-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-クロロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(2-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(2-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(2-クロロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(4-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(4-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3,5-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3,4-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-クロロフェニル)((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール、
3-((S)-ヒドロキシ((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール;
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-フルオロフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-ヒドロキシフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-ヒドロキシフェニル)((2S,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-((S)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-フルオロフェニル)((2S,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(S)-(3-フルオロフェニル)((2S,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
3-((R)-ヒドロキシ((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール、
(R)-(3-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、および
(R)-(3-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0169】
当業者であれば、式Iの化合物の特定の立体異性体(複数可)への言及(例えば、式Iの化合物の場合、式ID、IF、IH、IK、IL、IM、IN、IO、IPの化合物により表されるように、必須-OH基で置換された炭素がR配置にある場合)は、他の(対応する)立体異性体(複数可)の実質的に不在下で存在する特定の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が反対の配置、すなわち、S配置にある場合)を意味することを理解するだろう。
【0170】
例えば、式IHの化合物への言及は、対応する反対の立体異性体(すなわち、式IJの化合物)の実質的な不在下で存在する存在するその化合物を意味する。
【0171】
本明細書で使用される場合、対応する反対の立体異性体の実質的な不在への言及は、所望の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(R)配置にある場合)が、反対の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素がS配置にある場合)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%)の純度で存在することを意味する。あるいは、そのような例において、化合物は、他の構成では、化合物の実質的な不存下で存在することが示されてもよく(すなわち、(S)配置)、これは、関連する配置の化合物が、少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも98%、または特に少なくとも99%、例えば、少なくとも99.9%)のエナンチオマー過剰率(e.e.)、または2つ以上の不斉中心が定義される場合、ジアステレオマー過剰率(d.e.)で存在することを示し得る。
【0172】
疑義を避けるために、2つ以上の位置の立体化学が特定されている場合、化合物は他の全てのジアステレオ異性体の実質的な不在下で存在する。
【0173】
疑義を避けるために、特定の位置の立体化学が特定されていない場合、本発明の化合物は、その位置が利用可能な立体化学配置のいずれかを有する化合物、およびその混合物(例えば、ラセミ混合物)を含む。したがって、定義された位置に特定の立体化学を有するものとして言及された化合物(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素がR配置にある場合)は、1つ以上の他の位置に立体化学を有してもよく、したがって、それらの位置での立体化学に関連するエナンチオマーまたはジアステレオ異性体の混合物として存在してもよい。
【0174】
医薬用途
本明細書で示すように、本発明の化合物、したがってそれを含む組成物およびキットは、医薬品として有用である。
【0175】
したがって、本発明の第2の態様によれば、医薬品として使用するための、上に定義された本発明の第1の態様の化合物(すなわち、全ての実施形態およびそれらの特定の特徴を含むが、本発明の第1の態様で定義された化合物)が提供される。
【0176】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様で定義された化合物への言及には、式Iの化合物(その全ての実施形態を含む)およびその薬学的に許容される塩への言及が含まれる。
【0177】
同様に、本発明の第2の態様のさらなる実施形態では、本発明の化合物は、4-エチルピペリジン-2-イル(フェニル)メタノール、またはその薬学的に許容される塩(例えば、HCl)ではない。
【0178】
本発明の第2の態様のさらなる実施形態では、本発明の化合物は、4-(ヒドロキシ(ピペリジン-2-イル)メチル)ベンゼン-1,2-ジオール、またはその薬学的に許容される塩ではない(またはそれでもない)。
【0179】
本明細書に示されるように、本発明の化合物は、高血糖または高血糖を特徴とする障害の治療に特に有用なものであり得る。
【0180】
したがって、本発明の第3の態様では、高血糖または高血糖を特徴とする障害の治療で使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0181】
本発明の代替的な第3の一態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための医薬の製造における、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0182】
本発明のさらなる代替的な第3の一態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0183】
疑義を避けるために、本明細書で使用する「高血糖症」という用語は、過剰量のグルコースがその症状を患っている対象の血漿中を循環している状態を意味することが、当業者に理解されよう。特に、本用語は、約10.0mmol/Lよりも高い(例えば、約11.1mmol/Lよりも高い、例えば、約15mmol/Lよりも高い)血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)を意味してもよいが、本用語は、また、長期間(例えば、24時間超、例えば、48時間超など)、約7mmol/Lよりも高い血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)も意味してもよい。
【0184】
当業者は、特定の状態の「治療」(または同様に、その状態を治療すること)についての言及は、医学分野におけるそれらの通常の意味であると理解するであろう。特に、この用語は、上記状態に関連する1つ以上の臨床症状の重篤度の低下を達成することを意味してもよい。例えば、2型糖尿病の場合、この用語は、血糖値の低下を達成することを意味してもよい。特定の実施形態では、高血糖症または高血糖症を特徴とする症状を治療する場合、この用語は、血糖値の低下を達成すること(例えば、約10.0mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/mL~約10.0mmol/Lの範囲のレベルに)、例えば、約7.5mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約7.5mmol/Lの範囲のレベルに)、または約6mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約6.0mmol/Lの範囲のレベルに))を意味してもよい。
【0185】
本明細書で使用される場合、患者への言及は、哺乳類(例えば、ヒト)患者を含む、治療される生体を意味する。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療は哺乳動物(例えば、ヒト)において行われる。
【0186】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、治療される患者に治療効果を与える化合物の量を意味し得る。その効果は、客観的(すなわち、ある試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果の指標を与えるか、および/または効果を感じる)であってもよい。
【0187】
本発明の第1の態様の化合物は、それ自体で薬理学的活性を有してもよいが、かかる活性を有しないこともある、本発明の化合物のある種の薬学的に許容される(例えば、「保護された」)誘導体が、存在または調製されてもよく、それらは、非経口的にまたは経口的に投与され、その後、体内で代謝されて、本発明の化合物を形成してもよい。したがって、そのような化合物(該化合物はいくらかの薬理学的活性を有し得るが、但し、そのような活性は該化合物が代謝される活性化合物の活性よりもかなり低い)は、本発明の化合物の「プロドラッグ」として記載され得る。
【0188】
本明細書で使用される場合、プロドラッグへの言及は、経腸または非経口投与(例えば、経口または非経口投与)後の所定の時間内に、実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含む。本発明の第1の態様の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0189】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は、薬理学的活性を有する、および/または経口もしくは非経口投与後に体内で代謝されて薬理学的活性を有する化合物を形成するので、有用である。特に、本明細書に記載されているように、本発明の第1の態様の化合物は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療に有用であり、この用語は、(本明細書に記載されているように)当業者によって容易に理解されよう。
【0190】
特定の一実施形態では、治療は、高血糖症を特徴とする障害(状態または疾患として言及されてもよい)の治療である。
【0191】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、2型糖尿病の治療における使用のためである(または、本明細書に記載のように、かかる治療のための医薬の製造において有用であるか、または、かかる治療のための方法において有用である)。
【0192】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、障害は、2型糖尿病であり、例えば、若年発症成人型糖尿病(MODY)、成人型ケトーシス性(ketosis-prone)糖尿病、成人型潜伏性自己免疫性糖尿病(LADA)、および妊娠糖尿病からなる群より選択されるサブタイプの2型糖尿病である。
【0193】
さらなる特定の実施形態では、2型糖尿病の治療は、非肥満患者で行われる。
【0194】
疑義を避けるために、当業者は、30を超える体格指数(BMI)を有する患者が肥満であると考えられることを理解するであろう。
【0195】
特定の実施形態では、治療は、2型糖尿病を発症する危険性のある特許における高血糖症の治療であってもよく、この状態は前糖尿病と定義され得る。したがって、本発明の化合物は、2型糖尿病の予防に(例えば、前糖尿病を患っている患者において)有用であり得る。
【0196】
本明細書で使用される場合、予防(および同様に、予防すること)という用語は、疾患または障害の予防への言及を含む(逆もまた同様である)。そのようなものとして、予防(prevention)への言及はまた、防止(prophylaxis)への言及であってもよく、逆もまた同様である。特に、この用語は、患者(または健康な対象)が状態を発症する可能性の低下(例えば、少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも20%、30%、または40%の減少、例えば、少なくとも50%の減少)を達成することを意味してもよい。
【0197】
より特定の実施形態では、2型糖尿病は、重度のインスリン抵抗性(SIR)を示す患者を特徴とする。
【0198】
さらなる実施形態では、治療は、1型糖尿病を有する患者の高血糖症の治療であってもよい。したがって、本発明の化合物は、1型糖尿病の高血糖症の治療に有用であってもよい。
【0199】
当業者は、本発明の化合物が、嚢胞性線維症を有する患者のような、インスリン産生の障害を有する患者における高血糖症を治療するのに有用であってもよいことを理解するであろう。したがって、さらなる実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、嚢胞性線維症関連糖尿病である。
【0200】
言及され得る特定の実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、重篤なインスリン抵抗性(SIR)である(またはそれを特徴とする)が、典型的に対象が正常なインスリン産生を有するか、またはいくつかの場合には、増大したインスリン産生を有するが、インスリン感受性が有意に低下している障害を意味することが、当業者に理解され得る。特定の場合では、そのような患者は非肥満(例えば、健康的な体重であるもの)であってもよい。したがって、特定の実施形態では、そのような治療は、肥満であると定義されていない患者(例えば、健康的な体重であると定義されている患者)において行われる。
【0201】
例えば、SIRは、患者において、該患者の絶食時インスリンが>150pmol/L、および/またはグルコース耐性試験におけるピークインスリンが>1,500pmol/Lであることに基づいて、特に、BMI<30kg/m2を有する個人において(この患者はあるいは正常な耐糖能を有してもよい)、同定されてもよい。
【0202】
より具体的には、SIRは、インスリン受容体の機能における欠陥(例えば、遺伝子欠損)に起因し得る、インスリンの存在に対して有意な応答を有しない患者を特徴とし得る。
【0203】
SIRを特徴とし得る特定の障害は、ラブソン・メンデンホール症群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、ならびに脂肪異栄養症を含む。
【0204】
SIRを特徴とし得るより具体的な障害には、ドナヒュー症候群およびインスリン抵抗性のA型症候群が含まれ、さらにより具体的には、ラブソン・メンデンホール症候群が含まれる。
【0205】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療は、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加の/他の)治療をさらに含んでもよい(すなわち、組み合わせられてもよい)ことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、2型糖尿病の治療のための他の手段、例えば、当業者に知られている2型糖尿病の治療に有用な1個以上の他の治療薬を用いた治療、例えば、患者に食事の変更および/または一連の運動を義務づけることを含む療法、ならびに/または(例えば、胃バンド手術のような)体重減少を促進するように設計された外科的処置と組み合わされてもよい。
【0206】
特に、本発明の化合物での治療は、(例えば、治療もされている患者において)、1つ以上の(例えば、1つの)さらなる化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて行われてもよく、この組み合わされる化合物は、
(i)血糖値を低下させることができる、および/または
(ii)インスリン増感剤である、および/または
(iii)インスリン放出を増強するものであり、
これらの全ては本明細書中、以下に記載されている。
【0207】
代替的な実施形態では、本発明の第1の態様の化合物(すなわち、本発明の化合物)は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療に有用であり得る。
【0208】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓におけるトリグリセリドの形での過度の脂肪蓄積(脂肪症)として定義される(組織学的に肝細胞の5%超の蓄積として指定される)状態である。これは、先進国において、最も一般的な肝障害であり(例えば、米国の成人の約30%が罹患している)、ほとんどの患者は、無症候性である。未治療のまま放置すると、状態が次第に悪化し、最終的に肝硬変に至ることがある。NAFLDは、肥満患者において特に一般的であり、約80%がこの疾患を有すると考えられる。
【0209】
NAFLD患者のサブグループ(例えば、米国の成人の2~5%)は、過剰な脂肪の蓄積に加えて、肝細胞の損傷および炎症を示す。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として示されるこの状態は、実質的にアルコール性脂肪性肝炎と組織学的に区別できない。NAFLDで見られる単純な脂肪症は、短期の罹患率または死亡率の増加と直接相関していないが、この状態からNASHへの進行は、肝硬変、肝不全、および肝細胞癌のリスクを劇的に増加させる。実際、NASHは現在、先進国の肝硬変(原因不明の肝硬変を含む)の主な原因の1つであると考えられている。
【0210】
NASHの正確な原因はまだ解明されておらず、全ての患者で同じとは限らない。インスリン抵抗性、肥満、およびメタボリックシンドローム(2型糖尿病、インスリン抵抗性、中枢性(トルン)肥満、高脂血症、低高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、高トリグリセリド血症、および高血圧に関連する疾患が含まれる)と最も密接に関連している。しかしながら、これらの状態の全ての患者がNASHを有しているわけではなく、NASHの全ての患者がこれらの状態の1つに罹患しているわけでもない。それにもかかわらず、NASHは肝硬変、肝不全、および肝細胞癌に繋がる潜在的に致命的な状態であることを考えると、効果的な治療が明らかに必要である。
【0211】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、非アルコール性脂肪性肝疾患の治療における使用のためである(または、本明細書に記載のように、かかる治療のための医薬の製造において有用であるか、または、かかる治療のための方法において有用である)。
【0212】
トリグリセリド脂肪が肝細胞に蓄積するプロセスは、脂肪症(すなわち、肝臓脂肪症)と呼ばれる。当業者は、「脂肪変性」という用語が、細胞内の脂肪(すなわち脂質)の異常な保持を包含することを理解するであろう。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療または予防は、脂肪変性を特徴とする脂肪性肝疾患の治療または予防である。
【0213】
脂肪変性の間、過剰な脂質が小胞に蓄積し、これが細胞の細胞質に置き換わる。時間が経つにつれて、小胞は核を歪めるほど大きく成長する可能性があり、その状態は大胞性脂肪変性として知られている。それ以外の場合には、状態は微小胞性脂肪症と呼ばれる場合がある。脂肪変性は、軽度の場合にはほとんど無害であるが、肝臓に脂肪が大量に蓄積すると、重大な健康上の問題を引き起こす可能性がある。脂肪変性に関連する危険因子には、真性糖尿病、タンパク質栄養不良、高血圧、肥満、無酸素症、睡眠時無呼吸症、および細胞内の毒素の存在が挙げられる。
【0214】
本明細書に記載されるように、脂肪性肝疾患は、アルコールまたはメタボリックシンドローム(例えば、糖尿病、高血圧、肥満、または脂質異常症)と最も一般的に関連している。したがって、根本的な原因に応じて、脂肪性肝疾患はアルコール関連脂肪性肝疾患または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断される場合がある。
【0215】
アルコールに関連しない脂肪性肝疾患に関連する特定の疾患または状態には、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症、無ベータリポタンパク血症、グリコーゲン蓄積症、ウェーバークリスチャン病、妊娠の急性脂肪肝、および脂肪異栄養症などの代謝状態が挙げられる。脂肪性肝疾患に関連するその他の非アルコール関連因子には、栄養失調、完全非経口栄養、重度の体重減少、再摂食症候群、空腸バイパス、胃バイパス、多嚢胞性卵巣症候群、および憩室症が挙げられる。
【0216】
本発明の化合物は、アルコール関連ではない脂肪性肝疾患と呼ばれることがあるNAFLDの治療または予防に特に有用であることが判明した。「アルコール関連ではない」脂肪性肝疾患は、患者のアルコール消費が主要な原因因子とみなされない場合に診断され得る。脂肪性肝疾患を「アルコール関連ではない」と診断するための典型的な閾値は、女性被験者では20g未満、男性被験者では30g未満である。
【0217】
治療せずに放置した場合、脂肪肝疾患に罹患している対象は、肝臓の炎症(肝炎)を経験し始める可能性がある。この炎症の考えられる原因の1つは、肝臓細胞の膜への脂質過酸化損傷であり得ると仮定されている。脂肪肝の炎症は多くの重篤な状態を引き起こす可能性があるため、炎症が起こる前に脂肪性肝疾患を治療または予防することが望ましい。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療または予防は、炎症に関連するNAFLDのものである。
【0218】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はNAFLDの最も攻撃的な形態であり、過剰な脂肪蓄積(脂肪変性)が肝臓の炎症を伴う状態である。進行すると、NASHは肝臓の瘢痕組織の発達(線維症)を引き起こし、最終的に肝硬変を引き起こす。上記のように、本発明の化合物は、特に肝臓の炎症を伴う場合、NAFLDの治療または予防に有用であることが判明した。したがって、本発明の化合物は、NASHの治療または予防にも有用である。したがって、本発明の第1の態様のさらなる実施形態では、治療または予防は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のものである。
【0219】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療は、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加の/他の)治療をさらに含んでもよい(すなわち、組み合わせられてもよい)ことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、本明細書に記載される脂肪性肝疾患の治療のための他の手段、例えば、当業者に知られている脂肪性肝疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬を用いた治療、例えば、患者に食事の変更および/または一連の運動を義務づけることを含む療法、ならびに/または(例えば、胃バンド手術のような)体重減少を促進するように設計された外科的処置と組み合わされてもよい。
【0220】
特に、本発明の化合物での治療は、(例えば、治療もされている患者において)、肝臓の脂肪(例えば、トリグリセリド)のレベルを低下させることができる1つ以上の(例えば、1つの)さらなる化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて行われてもよい。
【0221】
脂肪性肝疾患の治療への言及は、肝細胞の治療上有意な脂肪(例えば、トリグリセリドレベル)の減少の達成(例えば、少なくとも5重量%の減少、例えば、少なくとも10%、または少なくとも20%、またはさらには25%の減少)を意味し得る。
【0222】
薬学的組成物
本明細書に記載されるように、本発明の第1の、ならびにしたがって、第2および第3の態様の化合物は、医薬品として有用である。そのような化合物は、単独で投与されてもよく、または既知の薬学的組成物/製剤を経由して投与されてもよい。
【0223】
本発明の第4の態様では、本発明の第2または第3の態様で定義された化合物、ならびに任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0224】
当業者であれば、特定の用途のためである本発明の第1の態様の化合物(ならびに同様に、本発明の化合物に関する使用および使用方法)への本明細書における言及は、本明細書に記載される本発明の化合物を含む薬学的組成物に適用されてもよいことを理解するであろう。
【0225】
本発明の第5の態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書に定義されるような、2型糖尿病など)の治療に用いるための、本発明の第1の態様で定義した化合物、ならびに任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0226】
本発明の代替の第5の態様では、本明細書で定義される非アルコール性脂肪性肝疾患の治療または予防で使用するための薬学的組成物が提供される。
【0227】
本発明の代替の第5の態様では、本明細書で定義される非アルコール性脂肪性肝疾患の治療または予防で使用するための薬学的組成物が提供される。
【0228】
当業者は、本発明の第1の(ならびにしたがって、第2および第3の)態様の化合物が、全身および/または局所的に(すなわち、特定の部位で)作用してもよいことを理解するであろう。
【0229】
当業者は、本発明の第1~第5の態様に記載された化合物および組成物が、通常、経口、静脈内、皮下、頬側、直腸、皮膚、鼻腔、気管、気管支、舌下、鼻腔内、局所的、任意の他の非経口経路または吸入を介して、薬学的に許容される剤形で投与され得ることを理解するであろう。本明細書に記載の薬学的組成物は、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル、直腸投与のための坐剤、非経口または筋肉内投与のための滅菌溶液または懸濁液などの形態の組成物を含み得る。あるいは、特に本発明のそのような化合物が局所的に作用する場合、薬学的組成物は局所投与用に製剤化され得る。
【0230】
したがって、本発明の第4および第5の態様の特定の実施形態では、薬学的製剤は、錠剤またはカプセル剤、経口的にまたは注射により摂取される液体形態、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、吸入剤(例えば、鼻腔内投与される)、または局所投与に好適な形態を含む、薬学的に許容される剤形で提供される。疑義を避けるために、そのような実施形態では、本発明の化合物は、固体(例えば、固体分散物)、液体(例えば、溶液中)、またはミセルの形態などの他の形態で存在してもよい。
【0231】
例えば、経口投与のための薬学的製剤の調製において、化合物は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチンまたは他の好適な成分などの固体粉末成分と、ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスなどの崩壊剤および滑沢剤と、混合されてもよい。次いで、混合物は、顆粒に加工されるか、または錠剤に圧縮されてもよい。
【0232】
軟質ゼラチンカプセル剤は、例えば、植物油、脂肪、または軟質ゼラチンカプセルのための他の好適なビヒクルと一緒に、1種以上の活性化合物(例えば、本発明の第1の、ならびにしたがって、第2および第3の態様の化合物、ならびに任意に追加の治療剤)を収容するカプセル剤で調製されてもよい。同様に、硬質ゼラチンカプセル剤は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどの固体粉末成分と組み合わせてそのような化合物(複数可)を含有してもよい。
【0233】
直腸投与のための投薬単位は、(i)中性脂肪基剤と混合された化合物(複数可)を収容する坐剤の形態で、(ii)植物油、パラフィン油、またはゼラチン直腸用カプセル用の他の好適なビヒクルとの混合物中に活性物質を収容するゼラチン直腸用カプセルの形態で、(iii)既製の微小浣腸剤の形態で、あるいは(iv)投与直前に好適な溶媒中で再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態で、調製されてもよい。
【0234】
経口投与のための液体調製物は、化合物(複数可)、ならびに砂糖または糖アルコールからなる製剤の残り、ならびにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物を収容する、シロップまたは懸濁液、例えば、溶液または懸濁液の形態で、調製されてもよい。所望であれば、そのような液体調製物は、着色剤、着香剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含有してもよい。経口投与のための液体製剤は、使用前に好適な溶媒で再構成する乾燥粉末の形態で調製されてもよい。
【0235】
非経口投与のための溶液は、薬学的に許容される溶媒中の化合物(複数可)の溶液として調製されてもよい。これらの溶液はまた、安定化成分および/または緩衝成分を含有してもよく、アンプルまたはバイアルの形態で単位用量に分配されてもよい。非経口投与のための溶液は、使用前に好適な溶媒で即座に再構成される乾燥調製物として調製されてもよい。
【0236】
当業者は、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩を、様々な用量で(例えば、上記の製剤として)投与することができ、好適な用量は、当業者によって容易に決定されることを理解するであろう。経口的、肺的および局所的投薬量(ならびに皮下投薬量、但し、これらの投薬量は相対的により低くてもよい)は、約0.01μg/kg体重/日(μg/kg/日)~約200μg/kg/日の範囲であってもよく、好ましくは、約0.01~約10μg/kg/日、より好ましくは、約0.1~約5.0μg/kg/日であってもよい。例えば、経口投与される場合、そのような化合物での治療は、約0.01μg~約2000mg、例えば、約0.1μg~約500mg、または1μg~約100mg(例えば、約20μg~約80mg)の有効成分(複数可)を典型的に収容する製剤の投与を含んでいてもよい。静脈内投与される場合、最も好ましい用量は、定速注入の間、約0.001~約10μg/kg/時の範囲であろう。有利には、治療は、そのような化合物および組成物の1日1回用量での投与を含んでもよく、または1日総投薬量を、1日2回、3回または4回の分割用量で(例えば、本明細書で記載の用量に関連して、1日2回、例えば、1日2回、10mg、20mg、30mg、もしくは40mgの用量で、または1日2回、10μg、20μg、30μg、もしくは40μgの用量で)投与してもよい。
【0237】
いずれの場合でも、当業者(例えば、医師)は、個々の患者に最も好適な実際の投薬量を決定することができ、これは、投与経路、治療されるべき症状の種類および重篤度、ならびに治療されるべき特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能、および応答によって様々である可能性が高い。上述の投与量は、平均の場合の例であり、当然のことながら、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、それらも本発明の範囲内に含まれる。
【0238】
上記のように、当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療が、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加/他の)治療をさらに(すなわち、組み合わせて)含んでもよいことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書で定義されるように、2型糖尿病など)の治療のための他の手段と、例えば、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書で定義されるような、2型糖尿病など)の治療に有用な1種以上の他の治療薬での治療と、組み合わされてもよい。
【0239】
本発明の第4および第5の態様の特定の実施形態では、薬学的組成物は、1種以上の追加の(すなわち、他の)治療薬をさらに含んでもよい。
【0240】
より具体的な実施形態では、1種以上のさらなる治療剤は、メトホルミン、スルホニル尿素(例えば、カルブタミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド.グリピジド(グルコトロール)、グリクラジド、グリベンクラミド、グリブリド(Micronase)、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド、グリコピラミド、グリメプリド(Amaryl)、グリミプリム、JB253またはJB558)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン(Avandia)、ロベグリタゾン(Duvie)およびトログリタゾン(Rezulin))、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、ドゥトグリプチンおよびオマリグリプチン)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、セルグリフロジンエタボナート、レモグリフロジンエタボナート、およびエルツグリフロジン)、ならびにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体などの、当業者に既知の2型糖尿病の治療のための薬剤である。
【0241】
当業者であれば、治療剤の組み合わせは、組み合わせ製品として記載されてもよく、および/またはパーツキットとして提供されてもよいことを理解するであろう。
【0242】
本発明の第6の一態様では、
(A)本発明の第1の態様で定義した化合物と、
(B)1種以上の追加の治療剤と、を含む、組み合わせ製品が提供され、
成分(A)および(B)の各々が、任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品が提供される。
【0243】
本発明の第7の一態様では、
(a)本発明の第1(または第2および/または第3)の態様で定義される化合物(またはそれを含む薬学的組成物)あるいは本発明の第4または第5の態様で定義される薬学的組成物と、
(b)1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と任意に混合された1種以上の他の治療剤と、を含むパーツキットが提供され、
その成分(a)および(b)はそれぞれ、他方と一緒に投与するのに好適な形態で提供される。
【0244】
特定の実施形態(例えば、本発明の第6および第7の態様の)では、さらなる治療剤は、当業者に既知の(例えば、本明細書に記載されているもの)、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用な治療剤である。
【0245】
例えば、本発明の第4~第5の態様の特定の実施形態では、さらなる治療剤は、
(i)血糖値を低下させることができる、および/または
(ii)インスリン増感剤である、および/または
(iii)インスリン放出を増強することができる、薬剤であり、
その薬剤は、当業者によって容易に同定され、特に、市販されているそのような治療剤(例えば、欧州または米国の販売許可などの1つ以上の地域での販売許可の対象である薬剤)を含む。
【0246】
当業者であれば、血糖値を低下させることができる治療剤への言及は、関連する化合物での治療前の血糖値と比較して、その血液レベルを少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%、例えば、少なくとも90%)低下させることができる化合物を意味してもよいことを理解するであろう。
【0247】
本発明の第6および第7の態様の代替的な実施形態では、さらなる治療剤は、非アルコール性脂肪肝疾患(NASHなど)の治療または予防のための薬剤であり、その薬剤は、当業者によって容易に同定され、特に、市販のそのような治療薬(例えば、欧州または米国の販売許可などの1つ以上の地域での販売許可の対象である薬剤)を含む。
【0248】
化合物/組成物の調製
本明細書で定義される薬学的組成物/製剤、組み合わせ製品、およびキットは、標準的および/または容認されている薬務に従って調製することができる。
【0249】
したがって、本発明のさらなる態様では、上に定義された薬学的組成物/製剤を調製するためのプロセスが提供され、該プロセスは、上に定義された本発明の化合物を1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と関連付けることを含む。
【0250】
本発明のさらなる態様では、本明細書にて上記で定義した組み合わせ製品またはパーツキットを調製するプロセスであって、本明細書中にて上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、血糖症または血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用である他の治療剤、および少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と関連付けることを含むプロセスが、提供される。
【0251】
本明細書で使用される場合、関連付けることへの言及は、2つの構成要素が互いに組み合わせて投与するのに適格とすることを意味し得る。
【0252】
したがって、2つの成分を互いに「関連付ける」ことによって、上に定義されたパーツキットを調製するためのプロセスに関して、該パーツキットの2つの成分が、
(i)別々の製剤(すなわち、互いに独立して)として提供されてもよく、その後、併用療法において互いに組み合わせて併用されるか、または
(ii)併用療法において互いに併用するための「コンビネーションパック」の別個の成分として一緒に包装され提示されてもよい、ということを含める。
【0253】
本発明の第1の態様で定義される化合物(すなわち、本発明の化合物)は、以下に提供される実施例に記載されるような、当業者に周知の技法に従って調製されてもよい。
【0254】
例えば、本発明の第1の態様において定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するプロセスが提供され、そのプロセスは、
(i)式IIの化合物
【化11】
(式中、m、R
1、および環Aは、上記で定義されたとおりであり、M
1は、好適な金属または金属ハロゲン化物(例えば、Li)を表す)を、式IIIの化合物
【化12】
(式中、nおよびXは、上記で定義されたとおりである)と、当業者に既知の条件下で、例えば、適切な溶媒(例えば、ジエチルエーテル)中で、および任意に好適な塩基(TMEDAなど)の存在下で反応させること、
(ii)式IVの化合物
【化13】
(式中、nおよびXは、本明細書で定義されたとおりであり、M
2は、好適な金属または金属ハロゲン化物(例えば、MgBrなどの金属臭化物)を表す)を、式Vの化合物
【化14】
(式中、m、R
1、および環Aは、本明細書で定義されたとおりである)と、当業者に既知の条件下で、例えば、好適な溶媒中(例えば、THF)で反応させること、
(iii)少なくとも1つのXが存在し、かつ、-OHを表す化合物について、式VIの化合物
【化15】
(式中、n、m、およびR
1は、上記で定義されたとおりであり、PG
1は、当業者に既知の好適な保護基(例えば、ベンジル)を表す)を、当業者に既知の条件下(例えば、ベンジル保護基の場合、水素および好適な触媒または好適な酸の存在下、メチルなどのアルキルの場合、BBr
3、HBr、またはアルキルスルフィドの存在下)で脱保護すること、
(iv)少なくとも1つのXが存在し、かつ、-NH
2を表す化合物について、式VIIの化合物
【化16】
(式中、n、m、X、およびR
1は、上記で定義したとおりであり、Zは、HまたはPG
3を表し、PG
2およびPG
3は、それぞれ、当業者に既知の好適な保護基(例えば、カルバメート保護基、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、もしくはカルボキシベンジル(Cbz)、またはアセチルおよびベンゾイルなどのアミド保護基)を表す)を、当業者に既知の条件下(例えば、Bocの場合、適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはHCl)の存在下)で脱保護すること、
(v)少なくとも1つのXが存在し、かつ、NH
2を表す化合物について、式VIIIの化合物
【化17】
(式中、n、X、およびR
1は、上記で定義したとおりである)を、当業者に既知の条件下(例えば、水素ガスおよび当業者に既知の好適な触媒(例えば、Pd-C、PtO
2、ラネーニッケル)、酸性媒体(例えば、AcOH)中のFeまたはZn、ホウ化水素と共に好適な触媒(例えば、NaBH
4およびラネーニッケル)、またはSnCl
2、TiCl
3、SmI
2などの薬剤を使用する水素化などの水素化による)で還元することを含む。当業者であれば、必須-OHおよび/または-NHR
1基など)のある特定の官能基が、反応中に1回以上保護(および脱保護)される必要があってもよく、このような保護(および脱保護)が、当業者に既知の技法を用いて実施されてもよいことを理解するだろう;
(vi)式IXの化合物
【化18】
(式中、n、m、X、およびR
1は、上記で定義したとおりであり、PG
4は、当業者に既知の好適な保護基(例えば、カルバメート保護基、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、もしくはカルボキシベンジル(Cbz)、またはアセチルおよびベンゾイルなどのアミド保護基)を表す)の、当業者に既知の条件下(例えば、Bocの場合、適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはHCl)の存在下)での脱保護。
【0255】
式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、およびIXの化合物は、市販されているか、文献中にて知られているか、または本明細書に記載のプロセスと同様にしてか、または慣用的な合成法のいずれかにより、適切な試薬および反応条件を使用して、利用可能な出発材料(例えば、適切に置換されたベンズアルデヒド、スチレンまたは臭化フェナシル(または塩化フェナシルなど))から、標準的な技法に従って、得られてもよい。これに関して、当業者は、特に、B.M.TrostおよびI.Flemingによる“Comprehensive Organic Synthesis”,Pergamon Press,1991を参照することができる。使用されてもよいさらなる参考文献には、”Science of Synthesis”,Volumes 9-17(Hetarenes and Related Ring Systems),Georg Thieme Verlag,2006が含まれる。
【0256】
上記で定義された置換基XおよびR1は、当業者に周知の方法により、式Iの化合物の調製のための上記プロセスの後または間に、1回以上修飾されてもよい。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化およびニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序の間いつでも、異なるそのような基または式Iで定義された基に変えることができる。当業者はまた、A.R.Katritzky,O.Meth-CohnおよびC.W.Reesによる“Comprehensive Organic Functional Group Transformations”,Pergamon Press,1995、および/またはR.C.Larockによる“Comprehensive Organic Transformations”,Wiley-VCH,1999を参照し得る。
【0257】
そのような化合物は、それらの反応混合物から単離されてもよく、必要であれば、当業者に周知の慣用的技法を用いて精製されてもよい。よって、本明細書に記載の本発明の化合物を調製するプロセスは、最終工程として、本発明の化合物の単離および任意の精製(例えば、式Iの化合物の単離および任意の精製)を含んでもよい。
【0258】
当業者であれば、本明細書に記載のプロセスにおいて、必要とされる立体化学を有する好適な出発材料を反応させることによって、特定の立体化学を有する式Iの化合物が提供されてもよいことを理解するであろう。さらに、当業者であれば、本明細書に記載のプロセスと同様にして、必要とされる立体化学を有する適切な出発材料が調製されてもよいことを理解するであろう。
【0259】
上記および下記の方法において、中間体化合物の官能基を保護基によって保護する必要があり得ることは当業者によって理解されるであろう。官能基の保護および脱保護は、先に言及したスキームにおける反応の前または後に行ってもよい。
【0260】
保護基は、当業者に周知であって以下に記載されるような技法に従って適用および除去することができる。例えば、本明細書に記載の保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を用いて、保護されていない化合物に化学的に変換することができる。関与する化学の種類は、保護基の必要性および種類および合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、″Protective Groups in Organic Synthesis″,3rd edition,T.W.Greene & P.G.M.Wutz,Wiley-Interscience(1999)に完全に記載されている。
【0261】
本明細書に記載の化合物(特に、本発明の第1の、ならびにしたがって、第2および第3の態様で定義された化合物)は、前述した症状において使用するためであるかに関わらず、先行技術において知られている化合物よりも、より有効であり、より毒性が低く、より長く作用し、より効能があり、より副作用が少なく、より容易に吸収され、かつ/またはより優れた薬物動態プロファイル(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティおよび/またはより低いクリアランス)を有し、かつ/または他の有用な薬理学的、物理的または化学的特性を有する、という利点を有してもよい。特に、このような化合物は、それらがより有効であり、および/またはインビボで有利な特性を示すという利点を有してもよい。
【0262】
理論に束縛される意図はないが、本明細書に記載の化合物は、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増大を可能にする、β2-アドレナリン作動性受容体の強力な作動薬であると考えられる。
【0263】
加えて、本明細書に記載の化合物は、cAMP産生を誘導しない(または最小の効果だけを有する)、β2-アドレナリン作動性受容体の作動薬であると考えられている。このことは、他の治療により生じ得るものより低いレベルの副作用を伴って、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増加を可能にする、と考えられている。さらに、本明細書に記載の化合物を、血糖値を低下させることができる治療剤(複数可)と組み合わせることは、有効な併用療法を提供すると考えられる。
【実施例】
【0264】
本発明を以下の実施例により説明する。
【0265】
別記しない限り、化学製品および試薬は、商業的供給元から入手し、受け取った状態で使用した。水分に敏感な試薬を含む全ての反応は、窒素またはアルゴンの正圧下で、オーブンまたはフレーム乾燥ガラス器具内で行った。
【0266】
略語
本明細書で使用される省略形は、当業者に知られているだろう。特に、以下の省略形が本明細書で使用されてもよい。
【表0】
【0267】
実施例化合物
命名法とグラフで示される化合物の構造との間に食い違いがある場合には、後者が支配的である(与えられ得る実験的詳細と矛盾しない限りおよび/または文脈から明らかでない限り)。
【0268】
実施例1:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化19】
(a)tert-ブチル(R)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート
【化20】
DIPEA(2.2mL、12.7mmol)を、室温のCH
2Cl
2(20mL)中の塩酸(R)-(+)-コニイン(0.52g、3.2mmol)の溶液に添加した。10分後、Boc
2O(0.76g、3.5mmol)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。H
2Oを添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた抽出物を、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0.72g、3.15mmol、99%)を得た。
【0269】
(b)tert-ブチル(2R,6R)-2-ホルミル-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート
【化21】
sec-BuLi(シクロヘキサン中1.3M、1.6mL、2.1mmol)を、-78℃のtert-ブチル(R)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート(270mg、1.2mmol)、TMEDA(0.39mL、2.6mmol)およびEt
2O(5mL)の撹拌混合物に滴加した。混合物を1時間かけて-40℃に温め、その温度で1時間保持し、-78℃に冷却した。DMF(0.92mL、11.9mmol)を一度に添加し、混合物をゆっくりと-40℃に温め、その温度で1時間撹拌した。H
2O(4mL)を添加し、混合物を室温に温め、Et
2Oで抽出した。合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。MeOH(6mL)およびK
2CO
3を残渣に添加し、混合物を室温で2時間撹拌し、NH
4Cl(水性、飽和)に注ぎ入れた。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0.20g、0.78mmol、66%)を得た。
【0270】
(c)tert-ブチル(2R,6R)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート
【化22】
フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.94mmol、1-ブロモ-3-フルオロベンゼンおよびMgから調製)を、-20℃のTHF(5mL)中のtert-ブチル(2R,6R)-2-ホルミル-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート(0.20mg、0.78mmol)の溶液に添加した。混合物を-20℃で20分間撹拌し、NH
4Cl(水性、飽和、5mL)を添加した。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(146mg、0.42mmol、53%)を得た。
【0271】
(d)(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化23】
H
2O(0.5mL)中のNaOH(0.64mg、16mmol)を、EtOH(1mL)中のtert-ブチル(2R,6R)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート(140mg、0.40mmol)の溶液に添加した。混合物を密封バイアル内で120℃で20時間加熱し、冷却し、濃縮した。HCl(水性、1M)を添加してpHを7に調整し、混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(70mg、0.28mmol、70%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.33-7.27(m,1H)、7.13-7.05(m,2H)、7.00-6.94(m,1H)、4.41(d,J=7.2Hz,1H)、2.86(br s,2H)、2.73-2.65(m,1H)、2.55-2.47(m,1H)、1.81-1.74(m,1H)、1.71-1.63(m,1H)、1.43-1.27(m,5H)、1.27-1.14(m,2H)、1.09-0.97(m,1H)、0.90(t,J=7.1Hz,3H)。
【0272】
実施例2:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化24】
(a)tert-ブチル(S)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート
【化25】
副題化合物を、塩酸(S)-(+)-コニインから実施例1、工程(a)の手順に従って調製した。
【0273】
(b)tert-ブチル(2R,6S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート
【化26】
sec-BuLi(シクロヘキサン中1.3M、1.6mL、2.1mmol)を、-78℃のtert-ブチル(S)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート(270mg、1.2mmol)、TMEDA(0.39mL、2.6mmol)、およびEt
2O(5mL)の撹拌混合物に滴加した。混合物を1時間かけて-30℃に温め、その温度で1時間保持し、-78℃に冷却した。3-フルオロベンズアルデヒド(0.12mL、1.1mmol)を滴加し、混合物を-78℃で30分間撹拌した。H
2O(4mL)を添加し、混合物を室温に温め、Et
2Oで抽出した。合わせた抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(164mg、0.47mmol、42%)を得た。
【0274】
(c)(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化27】
tert-ブチル(2R,6S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート(81mg、0.23mmol)、CeCl
3-7H
2O(129mg、0.35mmol)、NaI(44.9mg、0.30mmol)、およびMeCN(4mL)の混合物を、密封バイアル内で100℃で1時間加熱した。NaOH(水性、1M、20mL)およびEtOAc(20mL)を添加し、混合物を無色になるまで振盪した。相を分離し、有機相をH
2Oで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(40mg、0.16mmol、69%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.32-7.27(m,1H)、7.13-7.06(m,2H)、6.98-6.93(m,1H)、4.61(d,J=9.1Hz,1H)、2.87-2.81(m,2H)、2.44(s,2H)、1.75-1.68(m,1H)、1.65-1.57(m,2H)、1.46-1.30(m,6H)、1.21-1.12(m,1H)、0.92(t,J=7.0Hz,3H)。
【0275】
実施例3:(R)-(3,5-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化28】
表題化合物を、工程(b)の3,5-ジフルオロベンズアルデヒドを使用して、実施例2の手順に従って調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 6.96-6.88(m,2H)、6.75-6.69(m,1H)、4.77(d,J=9.3Hz,1H)、4.48(br s,2H)、3.23-3.17(m,1H)、3.07-3.02(m,1H)、1.92-1.84(m,1H)、1.68-1.56(m,3H)、1.55-1.34(m,6H)、0.94(t,J=7.2Hz,3H)。
【0276】
実施例4:(R)-(3,4-ジフルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化29】
表題化合物を、工程(b)の3,4-ジフルオロベンズアルデヒドを使用して、実施例2の手順に従って調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.21(ddd,J=11.3,7.7,2.0Hz,1H)、7.15-7.03(m,2H)、4.63(d,J=9.3Hz,1H)、3.03(br s,2H)、2.97-2.91(m,1H)、2.86(dt,J=9.7,5.1Hz,1H)、1.81-1.72(m,1H)、1.64-1.57(m,2H)、1.53-1.44(m,1H)、1.45-1.31(m,5H)、1.29-1.20(m,1H)、0.93(t,J=7.1Hz,3H)。
【0277】
実施例5:酢酸3-((R)-ヒドロキシ((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化30】
(a)tert-ブチル(2R,6S)-2-((R)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピル-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化31】
副題化合物を、3-ベンジルオキシベンズアルデヒドを使用して、実施例2、工程(b)の手順に従って調製した。
【0278】
(b)(R)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化32】
H
2O(2mL)中のKOH(501mg、9.1mmol)を、EtOH(2mL)中のtert-ブチル(2R,6S)-2-((R)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-
6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレート(100mg、0.23mmol)の溶液に添加した。混合物を密封バイアル内で140℃で7日間加熱し、冷却し、EtOAcとH
2Oに分配した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(30mg、0.088mmol、39%)を得た。
【0279】
(c)酢酸3-((R)-ヒドロキシ((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化33】
(R)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール(30mg、0.088mmol)、Pd-C(10%、9.4mg、0.0088mmol)、およびAcOH(2mL)の混合物を、9atmおよび室温で2時間水素化した。混合物をセライトを通して濾過し、フィルターケーキをAcOHで洗浄した。濾液を濃縮し、逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(10mg、0.032mmol、37%)を得た。
1H NMR(400MHz,D
2O):δ 7.40-7.35(m,1H)、7.02-7.00(m,1H)、6.97-6.92(m,2H)、4.84(d,J=9.5Hz,1H)、3.60-3.54(m,2H)、1.94(s,3H)、1.94-1.89(m,1H)、1.85-1.55(m,6H)、1.52-1.35(m,3H)、0.98(t,J=7.3Hz,3H)。
【0280】
実施例6:3-((R)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化34】
表題化合物を、工程(c)の3-ベンジルオキシマグネシウムブロミドを使用して、tert-ブチル(2R,6R)-2-ホルミル-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートから、実施例1、工程(c)および(d)に従って得、続いて、実施例5、工程(c)に従って脱ベンジル化した。最終工程での逆相クロマトグラフィーによる精製により、酢酸塩(20%)ならびに遊離塩基(42%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.14(m,1H)、7.06(s,1H)、6.77(m,1H)、6.73(m,1H)、6.49-5.01(br s,3H)、4.61(d,J=9.4Hz,1H)、3.10-2.95(m,1H)、2.72-2.84(m,1H)、2.00(s,3H)、1.82(m,1H)、1.76-1.60(m,2H)、1.60-1.10(m,7H)、0.83(t,J=7.1Hz,3H)。
【0281】
実施例7:酢酸(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化35】
(a)1-ベンジル2-メチル(R)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【化36】
クロロギ酸ベンジル(0.85mL、5.9mmol)を、室温のMeCN(7mL)中のメチル(R)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(500mg、3.5mmol)、DMAP(0.19g、1.6mmol)、およびDIPEA(0.82ml)の溶液に20分間にわたって添加した。2時間後、さらなる部分のDMAP(0.19g、1.6mmol)、DIPEA(0.82ml)、およびクロロギ酸ベンジル(0.85mL、5.9mmol)を添加し、撹拌をさらに3時間続けた。混合物を濃縮し、EtOAcを残渣に添加した。混合物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(775mg、2.8mmol、80%)を得た。
【0282】
(b)メチル(S)-3-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソオクタノエート
【化37】
THF(4.32mL)中のn-プロピルマグネシウムクロリド(1M、4.32mL、4.32mmol)およびTMEDA(0.47mL、4.32mmol)の溶液を、-78℃のTHF中の1-ベンジル2-メチル(R)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(400mg、1.44mmol)の溶液に15分かけて添加した。混合物を-78℃で30分間撹拌し、i-PrOH(2mL)、続いてNH
4Cl(水性、飽和、2mL)を添加した。冷却浴を取り外し、混合物を45分間撹拌し、CH
2Cl
2とH
2Oに分配した。水層をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(267mg、0.80mmol、55%)を得た。
【0283】
(c)1-ベンジル2-メチル(2R,5R)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【化38】
BF
3-Et
2O(0.144mL、1.15mmol)を、-78℃のCH
2Cl
2(3mL)中のメチル(S)-3-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-5-オキソオクタノエート(350mg、1.04mmol)およびPh
3SIH(0.30g、1.15mmol)の溶液に滴加した。混合物を-78℃で15分間撹拌し、冷却浴を取り外し、1時間撹拌を続けた。NaHCO
3(水性、飽和)およびCH
2Cl
2を添加した。水層をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(255mg、0.84mmol、80%)を得た。
【0284】
(d)ベンジル(2R,5R)-2-(ヒドロキシメチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化39】
LiBH
4(THF中4M、61μL、0.25mmol)を、0℃のTHF(1mL)中の1-ベンジル2-メチル(2R,5R)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(50mg、0.16mmol)の溶液に添加した。混合物を一晩かけてゆっくり室温にし、0℃に冷却した。H
2O(2mL)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮して、副題化合物(43mg、0.16mmol、95%)を得た。
【0285】
(e)ベンジル(2R,5R)-2-ホルミル-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化40】
CH
2Cl
2(10mL)中のデス-マーチンペルヨージナン(169mg、0.40mmol)を、CH
2Cl
2(4mL)中のベンジル(2R,5R)-2-(ヒドロキシメチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート(92mg、0.33mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。CH
2Cl
2を添加し、混合物をNaHCO
3(水性、飽和)、ブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(61mg、0.22mmol、67%)を得た。
【0286】
(f)ベンジル(2R,5R)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化41】
THF(0.5mL)中のベンジル(2R,5R)-2-ホルミル-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート(77mg、0.28mmol)の溶液を、THF(0.5mL)中のCeCl
3(138mg、0.56mmol)の撹拌懸濁液に添加した。混合物を室温で40分間攪拌し、3-フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、0.42mL、0.42mmol)を-78℃で添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、NH
4Cl(水性、飽和、5mL)、続いて、EtOAcおよびH
2Oを添加した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(39mg、0.10mmol、38%)を得た。
【0287】
(g)酢酸(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化42】
表題化合物を、実施例5、工程(c)の手順に従って、ベンジル(2R,5R)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)-メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.32-7.25(m,1H,重複)、7.16-7.08(m,2H)、7.00-6.92(m,1H)、6.55-5.82(br s,2H)、4.59(d,J=7.6Hz,1H)、3.58-3.48(m,1H)、3.30-3.20(m,1H)、2.09-2.00(s,3H,重複)、2.00-1.92(m,1H,重複)、1.78-1.45(m,5H)、1.42-1.27(m,2H)、0.90(t,J=7.3Hz,3H)。
【0288】
実施例8:3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化43】
表題化合物を、実施例7、工程(f)の手順に従って、ベンジル(2R,5R)-2-ホルミル-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートおよび3-ベンジルオキシフェニルマグネシウムブロミドから調製し、続いて、実施例5、工程(c)の手順に従って、脱ベンジル化した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.14-7.07(m,1H)、6.94(s,1H)、6.80-6.74(m,1H)、6.74-6.65(m,1H)、6.11-4.73(br s,2H)、4.64(d,J=9.3Hz,1H)、3.75-3.62(m,1H)、3.41-3.28(m,1H)、2.09-1.91(m,1H)、1.79-1.57(m,5H)、1.40-1.17(m,2H)、0.87(t,J=7.3Hz,3H)。
【0289】
実施例9:酢酸3-((R)-ヒドロキシ((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)-フェノールおよび酢酸3-((S)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノールのラセミ混合物
【化44】
(a)1-ブロモ-2-トシルアセチレン
【化45】
AgNO
3(0.56g、3.3mmol)、続いて、N-ブロモスクシンイミド(6.5g、36.6mmol)を、室温のアセトン(140mL)中のトシルアセチレン(6.0g、33.3mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、セライトを通して濾過した。濾液を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(7.8g、30.1mmol、91%)を得た。
【0290】
(b)tert-ブチル2-ブロモ-3-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン-7-カルボキシレート
【化46】
1-ブロモ-2-トシルアセチレン(1g、3.9mmol)および1-tert-ブトキシカルボニルピロール(3.2g、19.3mmol)の混合物を、密封バイアル内で90℃で2時間加熱した。混合物を冷却し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0.71g、1.67mmol、43%)を得た。
【0291】
(c)tert-ブチル5-オキソ-6-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-7-カルボキシレート
【化47】
トリエチルアミン(2.6mL、18.9mmol)を、室温のMeCN(50mL)中のtert-ブチル2-ブロモ-3-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン-7-カルボキシレート(1.61g、3.8mmol)の溶液に添加した。ジエチルアミン(0.47mL、4.5mmol)をゆっくり添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。HCl(4M、16mL)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。CH
2Cl
2(140mL)を添加し、混合物をH
2Oで洗浄した。水相をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0,98g、2.7mmol、72%)を得た。
【0292】
(d)(シス)-(エンド)-tert-ブチル(5-ヒドロキシ-6-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-7-カルボキシレート
【化48】
LIBH
4(THF中4M、0.69mL、0.28mmol)を、-78℃のTHF(20mL)中のtert-ブチル5-オキソ-6-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-7-カルボキシレート(1g、2.75mmol)の溶液に迅速に添加した。-78℃で15分後、NH
4Cl(水性、飽和、3mL)を添加し、攪拌混合物を室温にした。EtOAcを添加し、混合物をH
2O、ブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(670mg、1.83mmol、67%)を得た。
【0293】
(e)(シス)-(エンド)-tert-ブチル2-ヒドロキシ-3-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-カルボキシレート
【化49】
1時間にわたって、室温の(シス)-(エンド)-tert-ブチル(5-ヒドロキシ-6-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-7-カルボキシレート(670mg、1.83mmol)、Pd-C(10%、195mg、0.18mmol)、およびMeOH(18mL)の混合物を通して水素を気泡した。混合物をセライトを通して濾過し、濃縮して、副題化合物を定量的収率で得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0294】
(f)(シス)-tert-ブチル2-ホルミル-5-(トシルメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【化50】
NaOH(MeOH中2.3M、0.15mL、0.35mmol)を、室温のMeOH(20mL)中の(シス)-(エンド)-tert-ブチル2-ヒドロキシ-3-トシル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-カルボキシレート(0.51g、1.39mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、その後、NH
4Cl(水性、飽和)およびEtOAcを添加した。層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮して、副題化合物(0.51mg、1,37mmol、99%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0295】
(g)(シン)-tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(トシルメチル)-ピロリジン-1-カルボキシレートおよび
(アンチ)-tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(トシルメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【化51】
(シス)-tert-ブチル2-ホルミル-5-(トシルメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(352mg、0.96mmol)を、実施例7、工程(f)の手順に従って、3-ベンジルオキシフェニルマグネシウムブロミドと反応させて、クロマトグラフィー分離後、(シン)tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(トシルメチル)-ピロリジン-1-カルボキシレート(179mg、0.32mmol、34%)および(アンチ)tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(トシルメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(233mg、0.42mmol、44%)のラセミ混合物を得た。
【0296】
(h)(アンチ)-tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-メチルピロリジン-1-カルボキシレート
【化52】
SmI
2(THF中0.05M、31mL、1.5mmol)を、室温の(アンチ)-tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-(トシルメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(134mg、0.24mmol)、HMPA(0.80mL、4.6mmol)、およびTHF(4mL)の混合物に滴加した。混合物を室温で22時間撹拌した。NH
4Cl(水性、飽和、30mL)およびEtOAc(20mL)を添加し、5分後、層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物の混合物(35mg、0.09mmol、36%)を得た。
【0297】
(i)(アンチ)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール
【化53】
NaOH(水性、0.5M、2.5mL、1.2mmol)を、EtOH(2.5mL)中の(アンチ)-tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-メチルピロリジン-1-カルボキシレート(53mg、0.13mmol)の混合物に添加した 。混合物を密封バイアル内で120℃で加熱した。64時間後および84時間後、さらなる部分のNaOH(水性、0.5M、2.5mL、1.2mmol)を添加し、108時間後、追加部分のNaOH(水性、0.5M、2.5mL、1.2mmol)およびEtOH(1mL)を添加した。132時間後、混合物を濃縮し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物の混合物(15mg、0.05mmol、38%)を得た。
【0298】
(j)酢酸3-((R)-ヒドロキシ((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)-フェノールおよび酢酸3-((S)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノールのラセミ混合物
【化54】
(アンチ)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(5-メチルピロリジン-2-イル)メタノールから、実施例5、工程(c)の手順に従って、表題化合物を調製した。
1H NMR(400MHz,D
2O):δ 7.40-7.32(m,1H)、7.05-6.98(m,1H)、6.97-6.93(s,1H)、6.93-6.88(m,1H)、4.95(d,J=6.1Hz,1H)、3.98-3.89(m,1H)、3.77-3.65(m,1H)、2.28-2.17(m,1H)、2.13-2.02(m,2H)、1.92(s,3H)、1.81-1.64(m,1H)、1.38(d,J=6.7Hz,3H)。
【0299】
実施例10:酢酸3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)-フェノールおよび酢酸3-((S)-ヒドロキシ((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノールのラセミ混合物
【化55】
(a)(シン)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(5-メチルピロリジン-2-イル)メタノール
【化56】
TFA(52μL、68μmol)を、室温の(シン)-tert-ブチル2-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-メチルピロリジン-1-カルボキシレート(実施例9、工程(h)の手順を使用して、実施例9、工程(g)から)(27mg、68μmol)およびCH
2Cl
2(1mL)の溶液に滴加した。混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮した。DIPEA(47μL、0.27mmol)を添加し、材料をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物の混合物(6mg、20μmol、30%)を得た。
【0300】
(b)酢酸3-((R)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)-フェノールおよび酢酸3-((S)-ヒドロキシ((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)メチル)フェノールのラセミ混合物
(シン)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(5-メチルピロリジン-2-イル)メタノールから、実施例5、工程(c)の手順に従って、表題化合物を調製した。
1H NMR(400MHz,D2O):δ 7.40-7.32(m,1H)、7.04-6.99(m,1H)、6.98-6.90(m,3H)、4.90-4.74(m,1H)、3.98-3.88(m,1H)、3.80-3.69(m,1H)、2.29-2.18(m,1H)、1.99(s,3H)、1.95-1.69(m,3H)、1.45(d,J=6.6Hz,2H)。
【0301】
実施例11:(R)-((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノールおよび(S)-((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノールのラセミ混合物
【化57】
工程(g)のフェニルマグネシウムブロミドを使用して、実施例9に従って、表題化合物を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.42-7.28(m,4H)、7.28-7.20(m,1H)、4.94-4.85(m,1H)、3.69-3.56(m,1H)、3.76-3.06(br.s.,2H,重複)、3.46-3.32(m,1H)、1.93-1.74(m,2H)、1.50-1.34(m,2H)、1.29-1.21(m,3H)。
【0302】
実施例12:(R)-((2R,5R)-5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノールおよび(S)-((2S,5S)-5-メチルピロリジン-2-イル)(フェニル)メタノールのラセミ混合物
【化58】
工程(g)のフェニルマグネシウムブロミドを使用して、実施例9に従って、表題化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.39-7.30(m,4H)、7.29-7.23(m,1H)、4.60(d,J=6.3Hz,1H)、3.59-3.51(m,1H)、3.44-3.37(m,1H)、3.59-2.97(br.s,2H,重複)、1.99-1.89(m,1H)、1.82-1.71(m,2H)、1.59-1.47(m,1H)、1.30(d,J=6.2Hz,3H)。
【0303】
実施例13:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化59】
最初に、実施例1、工程(c)に記載のクロマトグラフィー精製工程において、中間体tert-ブチル(2R,6R)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートを単離し、続いて、実施例1、工程(d)に記載されるように保護基を除去することにより、3-フルオロフェニルマグネシウムブロミドおよびtert-ブチル(2R,6R)-2-ホルミル-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートから表題化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.33-7.26(m,1H)、7.14-7.08(m,2H)、6.98-6.91(m,1H)、4.84(d,J=4.0Hz,1H)、3.04(br s,2H)、2.93-2.88(m,1H)、2.71-2.62(m,1H)、1.82-1.74(m,1H)、1.73-1.64(m,1H)、1.51-1.18(m,7H)、1.11-0.99(m,1H)、0.88(t,J=7.2Hz,3H)。
【0304】
実施例14:塩酸3-((S)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化60】
tert-ブチル(2R,6R)-2-ホルミル-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートおよび3-ベンジルオキシマグネシウムブロミドから、実施例6に従って、表題化合物を得た。実施例1、工程(d)および実施例5、工程(c)に記載されるように、中間体tert-ブチル(2R,6R)-2-((S)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピル-ピペリジン-1-カルボキシレートをクロマトグラフィー精製工程中に単離し、保護基を除去した。Et
2Oに溶解し、続いて、HCl(Et
2O中2M)の添加によって沈殿させることにより、最終的に塩酸塩として表題化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 7.20(t,J=7.8Hz,1H)、6.90-6.83(m,2H)、6.74-6.70(m,1H)、5.02(d,J=3.0Hz,1H)、3.34-3.27(m,1H,MeODと重複)、3.20-3.11(m,1H)、2.05-1.95(m,1H)、1.91-1.83(m,1H)、1.79-1.58(m,3H)、1.57-1.28(m,6H)、1.01(t,J=7.3Hz,3H)。
【0305】
適切に置換されたフェニルマグネシウムブロミドを使用して、実施例1、13、および14に記載の手順に従って、表1の化合物を得た。
【表1】
【0306】
実施例18:(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,6S)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール
【化61】
最初に、実施例2、工程(b)に記載のクロマトグラフィー精製工程において、中間体tert-ブチル(2R,6S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートを単離し、続いて、実施例2、工程(c)に記載されるように保護基を除去することにより、実施例2に記載されるようにtert-ブチル(S)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートおよび3-フルオロベンズアルデヒドから表題化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ 7.32-7.27(m,1H)、7.15-7.07(m,2H)、6.98-6.93(m,1H)、4.95(d,J=4.8Hz,1H)、3.60(br s,2H)、3.23-3.17(m,1H)、3.11-3.07(m,1H)、1.74-1.61(m,2H)、1.60-1.54(m,1H)、1.53-1.41(m,5H)、1.32-1.18(m,2H)、0.91(t,J=7.3Hz,3H)。
【0307】
実施例19:塩酸3-((R)-ヒドロキシ((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化62】
tert-ブチル(S)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートおよび3-ベンジルオキシベンズアルデヒドから、実施例2に従って、表題化合物を得た。実施例1、工程(d)および実施例5、工程(c)に記載されるように、中間体tert-ブチル(2R,6S)-2-((S)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-6-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートをクロマトグラフィー精製工程中に単離し、保護基を除去した。
1H NMR(400MHz,D
2O):δ 7.43-7.33(m,1H)、7.00(d,J=7.8Hz,1H)、6.98-6.90(m,2H)、4.94(d,J=5.6Hz,1H)、3.67-3.49(m,2H)、1.90-1.66(m,6H)、1.69-1.51(m,2H)、1.46-1.23(m,2H)、0.94(t,J=7.3Hz,3H)。
【0308】
適切に置換されたベンズアルデヒドを使用して、実施例2および18に記載の手順に従って、表2の化合物を得た。表題化合物が塩酸塩である場合、遊離塩基をEt
2Oに溶解し、続いて、HCl(Et
2O中2M)の添加によって沈殿させることにより得られる。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0309】
適切に置換されたベンズアルデヒドを使用して、実施例2に記載の手順に従って、表3の化合物を得た。表題化合物が塩酸塩である場合、遊離塩基をEt
2Oに溶解し、続いて、HCl(Et
2O中2M)の添加によって沈殿させることにより得られる。
【表3】
【0310】
実施例32:塩酸3-((R)-ヒドロキシ((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化63】
実施例2、工程(d)の手順に従って、tert-ブチル(R)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートおよび3-ベンジルオキシベンズアルデヒドから表題化合物を調製し、続いて、実施例2、工程(c)および実施例5、工程(c)に記載されるように保護基を除去したが、最後の工程でiPrOHを溶媒として使用した。遊離塩基をEt
2Oに溶解し、続いて、HCl(Et
2O中2M)の添加によって沈殿させることにより、塩酸塩を得た。
1H NMR(400MHz,D
2O):7.41-7.34(m,1H)、7.01-6.98(m,1H)、6.96-6.91(m,2H)、4.94(d,J=5.6Hz,1H)、3.65-3.58(m,1H)、3.58-3.51(m,1H)、1.88-1.75(m,4H)、1.75-1.66(m,2H)、1.66-1.55(m,2H)、1.45-1.34(m,1H)、1.34-1.22(m,1H)、0.94(t,J=7.3Hz,3H)。
【0311】
実施例33:塩酸3-((S)-ヒドロキシ((2S,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化64】
実施例2、工程(b)の手順に従って、tert-ブチル(R)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートおよび3-ベンジルオキシベンズアルデヒドから表題化合物を調製し、続いて、実施例2、工程(c)に記載されるようにBoc保護基を除去した。次に、Pd-C(10%、52mg、0.049mmol)およびトリエチルシラン(390μL、2.44mmol)を、MeOH(4mL)中の中間体(S)-(3-(ベンジルオキシ)-フェニル)((2R,6R)-6-プロピルピペリジン-2-イル)メタノール(83mg、0.24mmol)の溶液に添加することにより、ベンジルオキシ基を除去した。混合物を室温で10分間撹拌し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をMeOH(1mL)に溶解し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をE
2O(10mL)中に溶解し、HCl(E
2O中2M、147μL、0.29mmol)を滴加した。混合物を室温で15分間撹拌し、濾過し、E
2Oで洗浄し、風乾して、表題化合物(60mg、86%)を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD):δ 7.25-7.20(m,1H)、6.91-6.86(m,2H)、6.81-6.77(m,1H)、4.75(d,J=9.6Hz,1H)、3.52-3.43(m,1H)、3.40-3.34(m,1H)、2.02-1.90(m,1H)、1.84-1.61(m,5H)、1.61-1.55(m,1H)、1.55-1.39(m,3H)、1.04(t,J=7.3Hz,3H)。
【0312】
実施例34~38
実施例1、工程(c)および(d)の手順に従って、tert-ブチル(2S,6S)-2-ホルミル-6-プロピル-ピペリジン-1-カルボキシレート[tert-ブチル(S)-2-プロピルピペリジン-1-カルボキシレートから、実施例1、工程(a)および(b)の手順に従って調製]および適切に置換されたフェニルマグネシウムブロミドから、表4の表題化合物を調製した。実施例37および38については、実施例33の手順に従ってベンジル保護基を除去した。遊離塩基をEt
2Oに溶解し、続いて、HCl(Et
2O中2M)の添加により沈殿させることにより、塩酸塩を得た。
【表4-1】
【表4-2】
【0313】
実施例39:塩酸(S)-(3-フルオロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化65】
実施例7の手順に従って、表題化合物を調製した。中間体ベンジル(2R,5R)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートを、実施例7、工程(f)のクロマトグラフィー精製において得た。遊離塩基をEt
2Oに溶解し、続いて、HCl(Et
2O中2M)の添加によって沈殿させることにより、塩酸塩を得た。
【0314】
実施例40:3-((S)-ヒドロキシ((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化66】
実施例5および7の手順に従って、表題化合物を調製した。3-ベンジルオキシマグネシウムブロミドとベンジル(2R,5R)-2-ホルミル-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートとの反応、および実施例7、工程(f)に記載のクロマトグラフィー精製から、中間体(S)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノールを得、続いて、実施例5、工程(c)の手順に従って脱ベンジル化した。
【0315】
実施例41:塩酸(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化67】
(a)ベンジル(2R,5S)-2-(ヒドロキシカルバモイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化68】
iPrMgCl(THF中2M、1.35mL、2.69mmol)を、1-ベンジル2-メチル(2S,5S)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(メチル(S)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレートから、実施例7、工程(a)~(c)の手順に従って調製)および-20℃のTHF中の塩酸N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(197mg、2.02mmol)の混合物に滴加した。混合物を-10℃で20分間撹拌した。塩酸N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(197mg、2.02mmol)を添加し、続いて、-20℃のiPrMgCl(THF中2M、1.35mL、2.69mmol)を滴加した。混合物を-10℃で10分間撹拌した。NH
4Cl(水性、飽和、4mL)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して、副題化合物(393mg、98%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0316】
(b)ベンジル(2S,5S)-2-(3-フルオロベンゾイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化69】
THF(1.4mL)中のベンジル(2S,5S)-2-(メトキシ(メチル)カルバモイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート(195mg、0.58mmol)を、室温のCeCl
3(489mg、1.98mmol)およびTHF(2.5mL)の混合物に添加した。混合物を室温で1時間激しく撹拌し、氷浴中で冷却した。(3-フルオロフェニル)マグネシウムブロミド(THF中1M、1.75mL、1.75mmol)を滴加し、氷浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌した。NH
4Cl(水性、飽和、5mL)、続いて、H
2Oを添加し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(107mg、50%)を得た。
【0317】
(c)ベンジル(2S,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートおよびベンジル(2S,5S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピル-ピロリジン-1-カルボキシレート
【化70】
NaBH
4(15.4mg、0.41mmol)を、0℃のMeOH:THF(9:1、6mL)中のベンジル(2S,5S)-2-(3-フルオロ-ベンゾイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート(100mg、0.271mmol)の溶液に添加した。氷浴を取り外し、混合物を室温で2時間撹拌した。H
2Oを添加し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(22mg、22%)および(68mg、68%)を得た。
【0318】
(d)塩酸(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化71】
ベンジル(2S,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート(22mg、0.0592mmol)、Pd-C(10%、6.3mg、0.0059mmol)、およびiPrOH(3ml)の混合物を、40分間水素化し(室温、5バール)、セライトを通して濾過した。濾液を濃縮し、Et
2O(10ml)に溶解した。HCl(Et
2O中2M、36μl、0.071mmol)を添加した。固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(12mg、74%)を得た。
1H NMR(400MHz,D
2O) δ 7.53-7.44(m,2H)、7.30-7.20(m,2H)、7.20-7.12(m,1H)、5.07(d,J=5.4Hz,1H)、4.02-3.90(m,1H)、3.70-3.56(m,1H)、2.31-2.16(m,1H)、2.13-1.95(m,2H)、1.84-1.61(m,3H)、1.48-1.31(m,2H)、0.93(t,J=7.4Hz,3H)。
【0319】
実施例42:塩酸(S)-(3-フルオロフェニル)((2S,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化72】
表題化合物を、実施例41、工程(d)の手順に従って、ベンジル(2S,5S)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)-メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートから調製した(実施例41、工程(c)を参照されたい。
【0320】
実施例43:塩酸(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化73】
(a)1-ベンジル2-メチル(2S)-5-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【化74】
リチウムトリエチルホウ化水素(THF中1.7M、1.27mL、2.16mmol)を、-78℃のTHF(14mL)中の1-ベンジル2-メチル(S)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(500mg、1.80mmol)の攪拌溶液に添加した。混合物を-78℃で30分間撹拌した。NaHCO
3(水性、飽和)を添加し、温度を室温にした。EtOAcを添加し、水相をEtAOcで抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して、副題生成物(496mg、99%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0321】
(b)1-ベンジル2-メチル(2S)-5-メトキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【化75】
p-トルエンスルホン酸一水和物(41mg、0.21mmol)を、MeOH(6.5mL)中の1-ベンジル2-メチル(2S)-5-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(600mg、2.15mmol)の攪拌溶液に添加した。混合物を一晩撹拌した。NaHCO
3(水性、飽和)を添加し、MeOHを真空で除去した。残渣をEt
2Oで抽出し、合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して、副題生成物(557mg、88%)を得、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0322】
(c)1-ベンジル2-メチル(2S,5R)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【化76】
nPrMgCl(THF中1M、8.59mL、8.59mmol)を、-40℃のTHF(16mL)中のCuBr・SMe
2(1.77g、8.59mmol)の撹拌混合物に滴加した。-40℃で45分後、混合物を-78℃に冷却した。BF
3・OEt
2(1.08mL、8.59mmol)、続いて、-78℃で30分間撹拌した後、THF(3mL)中の1-ベンジル2-メチル(2S)-5-メトキシ-ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(557mg、1.90mmol)の溶液を滴加した。混合物を15分間撹拌し、1.5時間かけて室温にした。NH
4Cl(水性、飽和)およびNH
3(水性、濃縮)の1:1混合物(15mL)を添加し、混合物を室温で1時間激しく撹拌した。相を分離し、水相をEt
2Oで抽出した。合わせた抽出物をNaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、8%の1-ベンジル2-メチル(2S,5S)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレートを含む副題化合物(456mg、79%)を得た。
【0323】
(d)ベンジル(2S,5R)-2-(メトキシ(メチル)カルバモイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化77】
iPrMgCl(THF中2M、1.45mL、2.91mmol)を、-20℃の塩酸N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(213mg、2.19mmol)、1-ベンジル2-メチル(2S,5R)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(445mg、1.45mmol)、およびTHF(6mL)の攪拌混合物に滴加した。混合物を-10℃で20分間撹拌し、-20℃に冷却した。追加部分の塩酸N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(445mg、1.45mmol)を添加し、続いて、iPrMgCl(THF中2M、1.45mL、2.91mmol)を滴加した。混合物を-10℃で10分間撹拌した。NH
4Cl(水性、飽和、4mL)を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して、副題生成物(472mg、97%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0324】
(e)ベンジル(2S,5R)-2-(3-フルオロベンゾイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化78】
副題化合物を、実施例7、工程(f)の手順に従って、ベンジル(2S,5R)-2-(メトキシ(メチル)-カルバモイル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートおよび3-フルオロフェニルマグネシウムブロミドから調製した。
【0325】
(f)ベンジル(2S,5R)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートおよびベンジル(2S,5R)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピル-ピロリジン-1-カルボキシレート
【化79】
副題化合物を、実施例41、工程(c)の手順に従って、ベンジル(2S,5R)-2-(3-フルオロベンゾイル)-5-プロピル-ピロリジン-1-カルボキシレートから調製した。
【0326】
(g)塩酸(R)-(3-フルオロフェニル)((2S,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化80】
表題化合物を、実施例41、工程(d)の手順に従って、ベンジル(2S,5R)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)-(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートから調製した。
1H NMR(400MHz,D
2O) δ 7.52-7.43(m,1H)、7.29-7.19(m,2H)、7.19-7.11(m,1H)、5.16(d,J=4.4Hz,1H)、4.08- 3.98(m,1H)、3.74-3.63(m,1H)、2.31-2.19(m,1H)、2.05-1.92(m,1H)、1.92-1.81(m,1H)、1.81-1.58(m,3H)、1.49-1.34(m,2H)、0.94(t,J=7.3Hz,3H)。
【0327】
実施例44:塩酸(S)-(3-フルオロフェニル)((2S,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化81】
表題化合物を、実施例41、工程(d)の手順に従って、ベンジル(2S,5R)-2-((S)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)-メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート(実施例43、工程(f)を参照されたい)から調製した。
1H NMR(400MHz,D
2O) δ 77.52-7.42(m,1H)、7.31-7.21(m,2H)、7.20-7.12(m,1H)、4.82(d,J=8.6Hz,1H,重複)、4.00-3.87(m,1H)、3.79-3.66(m,1H)、2.33-2.20(m,1H)、1.92-1.60(m,5H)、1.51-1.34(m,2H)、0.95(t,J=7.4Hz,3H)。
【0328】
実施例45:(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化82】
(a)tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化83】
副題化合物を、実施例43、工程(a)~(f)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(R)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレートおよび3-フルオロフェニルマグネシウムブロミドから調製した。
【0329】
(b)(R)-(3-フルオロフェニル)((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノール
【化84】
表題化合物を、実施例2、工程(c)の手順に従って、tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-フルオロフェニル)(ヒドロキシ)-メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートから調製した。
【0330】
実施例46:3-((R)-ヒドロキシ((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化85】
(a)tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレート
【化86】
副題化合物を、実施例43、工程(a)~(f)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(R)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレートおよび3-ベンジルオキシフェニルマグネシウムブロミドから調製した。
【0331】
(b)3-((R)-ヒドロキシ((2R,5S)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メチル)フェノール
【化87】
表題化合物を、実施例45、工程(b)および実施例33の手順に従って、tert-ブチル(2R,5S)-2-((R)-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-(ヒドロキシ)メチル)-5-プロピルピロリジン-1-カルボキシレートから調製した。
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ 7.17-7.09(m,1H)、6.98-6.90(m,1H)、6.78-6.69(m,2H)、4.91-4.30(br.s,3H)、4.23(d,J=8.1Hz,1H)、3.47-3.35(m,1H)、3.19-3.07(m,1H)、2.00-1.88(m,1H)、1.71-1.58(m,1H)、1.56-1.42(m,2H)、1.42-1.17(m,4H)、0.91(t,J=7.0Hz,3H)。
【0332】
実施例47:(R)-(3-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノールマレエート
【化88】
(a)メチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-オキソオクタノエート
【化89】
副題化合物を、実施例7、工程(b)の手順に従って、1-(tert-ブチル)2-メチル(R)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレートおよびn-プロピルマグネシウムクロリドから調製した。
【0333】
(b)1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5R)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【化90】
TFA(1.34mL、17.4mmol)を、室温のCH
2Cl
2(1.5mL)中のメチル(R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)-アミノ)-5-オキソオクタノエート(500mg、1.74mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で撹拌し、濃縮した。残渣をi-PrOH(97mL)に溶解し、Pd/C(10%、93mg、0.087mmol)を添加した。混合物を8atmで2時間水素化し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をCH
2Cl
2(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(485μL、3.48mmol)およびDMAP(43mg、0.35mmol)、続いてBoc
2O(950mg、4.35mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、HCl(水性、1M)およびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(422mg、89%)を得た。
【0334】
(c)(R)-(3-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノールマレエート
【化91】
表題化合物を、1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,5R)-5-プロピルピロリジン-1,2-ジカルボキシレートおよび3-クロロフェニルマグネシウムブロミドから、実施例7、工程(d)~(f)および実施例2、工程(c)の手順に従って調製した。マレイン酸塩は、EtOAc(0.8mL)中のマレイン酸(25mg、0.21mmol)を、EtOAc(0.2mL)中の遊離塩基(42.7mg、0.18mmol)の溶液に添加し、濃縮および逆相クロマトグラフィーにより調製した。
1H NMR(400MHz,CD
3OD):δ 7.72-7.67(m,1H)、7.46-7.38(m,2H)、7.37-7.29(m,1H)、6.26-6.23(m,2H)、5.31(d,J=7.6Hz,1H)、3.90-3.82(m,1H)、3.58-3.47(m,1H)、2.29-2.18(m,1H)、2.03-1.63(m,5H)、1.52-1.37(m,2H)、1.00(t,3H)。
【0335】
実施例48:(R)-(3-クロロフェニル)((2R,5R)-5-プロピルピロリジン-2-イル)メタノールマレエート
【化92】
表題化合物を、1-(tert-ブチル)2-メチル(R)-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシレート、n-プロピルマグネシウム、および3-クロロフェニルマグネシウムブロミドから、実施例48の手順に従って調製した。
【0336】
生物学的実施例
L6-筋芽細胞を、10% ウシ胎仔血清、2mM L-グルタミン、50U/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシンおよび10mM HEPESを補充した、4.5g/l グルコースを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)にて、増殖させた。細胞を、24ウェルプレートに、1×105細胞/mlで播種した。90%コンフルエンスに達した後、細胞を2%FBSを含む培地中で7日間増殖させ、そこで細胞を筋管に分化させた。
【0337】
生物学的実施例1:グルコース取り込み
分化したL6-筋管を、0,5%の脂肪酸不含BSAを含む培地中で一晩血清飢餓状態にし、作動薬で刺激し、最終濃度を1×10-5にした。1時間40分後、細胞を、温かいグルコース不含培地またはPBSで洗浄し、追加部分の作動薬をグルコース不含培地に加えた。20分後、細胞を、50nMの3H-2-デオキシ-グルコースにさらに10分間暴露した後、氷冷のグルコース不含培地またはPBSで洗浄し、次いで、60℃で1時間、0.2MのNaOHで溶解した。細胞溶解物をシンチレーション緩衝液(Emulsifier Safe、Perkin Elmer)と混合し、放射能をβ-カウンター(Tri-Carb 2800TR、Perkin Elmer)で検出した。各化合物の活性は、イソプロテレノールの活性と比較される。化合物がイソプロテレノールの75%を超える活性を示す場合、その活性は+++で示され、75~50%の場合、++で示される。50~25%の場合、+で示され、25%未満の場合は、-で示される。
【0338】
生物学的実施例2:細胞内cAMPレベルの測定
分化した細胞を、一晩血清不足状態にし、刺激緩衝液(1%のBSA、5mMのHEPES、および1mMの IBMX、pH7.4を補充したHBSS)中、最終濃度1x10-5の作動薬で15分間刺激した。次いで、培地を吸引し、反応を終了させるために、100μLの95%EtOHを24ウェルプレートの各ウェルに添加し、細胞を-20℃で一晩維持した。EtOHを蒸発させておき、500μLの溶解バッファ(1% BSA、5mM HEPESおよび0,3% Tween-20、pH7.4)を各ウェルに加え、その後、80℃で30分間放置し、次いで-20℃で保持した。アルファスクリーンcAMPキット(Perkin Elmer、6760635D)を用いて、細胞内cAMPレベルを検出した。各化合物の活性は、イソプロテレノールの活性と比較される。化合物がイソプロテレノールの75%を超える活性を示す場合、その活性は+++で示され、75~50%の場合、++で示される。50~25%の場合、+で示され、25%未満の場合は、-で示される。
【0339】
生物学的実施例1および2に記載のアッセイを用いて、以下の結果を得た。
【表5-1】
【表5-2】