(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】組成物、それを用いて形成されるポリマー複合体物品、およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/02 20060101AFI20230911BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20230911BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20230911BHJP
C08L 97/02 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
C08L23/02
C08L77/00
C08L83/06
C08L97/02
(21)【出願番号】P 2020530575
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019016329
(87)【国際公開番号】W WO2019152829
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルース、キース
(72)【発明者】
【氏名】クロバッハ、イーゴル
(72)【発明者】
【氏名】クルトマンシュ、マークアンドレ
(72)【発明者】
【氏名】デグルート ジュニア、ジョン ヴィ.
(72)【発明者】
【氏名】ハール、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】グロス、クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ケニハン、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ミレイ、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、スコット
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ、トム
(72)【発明者】
【氏名】シュラーダー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】セラート、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】トーン、ローレン
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-007068(JP,A)
【文献】特表2013-505332(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102816379(CN,A)
【文献】特開平09-235374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/02
C08L 77/00
C08L 83/06
C08L 97/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物であって、
(A)10~
80重量%の量の充填剤であって、リグノセルロース充填剤を含む充填剤と、
(B)ポリオレフィン、ポリアミド、またはそれらの組み合わせから選択される
15~
80重量%の量のポリマーと、
(C)少なくとも1つのシリコン結合ヒドロキシル基および25℃で1,000~60,000mPa・sの粘度を有する0超~10重量%の量のオルガノポリシロキサンと、を含み、
各々が、前記組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく、組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサンが、前記組成物中において、前記オルガノポリシロキサンを含む固体担体成分中に存在し、かつ25℃で4,000~50,000mPa・sの粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(C)オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式を有し、
[R
1
3-n(OH)
nSiO
1/2]
a’[R
1
2-m(OH)
mSiO
2/2]
b’[R
1SiO
3/2]
c’[SiO
4/2]
d’;
式中、各R
1が独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nが0、1、2、または3であり、mが0、1、または2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’<1、0<b’<1、0≦c’≦0.1、かつ0≦d’≦0.1であるが、ただし、a’+b’+c’+d’=1であることを条件とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(C)オルガノポリシロキサンが、以下の平均単位式(I)または(II)を有する請求項1または2に記載の組成物:
[R
1
3-n(OH)
nSiO
1/2]
a’’[R
1
2-m(OH)
mSiO
2/2]
b’’(I)
式中、各R
1が独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nが0、1、2、もしくは3であり、mが0、1、もしくは2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’’<1、0<b’’<1であるが、ただし、a’’+b’’=1であることを条件とする;または
R
1
3-x(OH)
xSiO[SiR
1
2O]
c’’Si(OH)
yR
1
3-y(II)
式中、各R
1が独立して選択されたヒドロカルビル基であり、xが0、1、2、もしくは3であり、yが0、1、2、もしくは3であるが、ただし、xおよびyが同時に0ではないことを条件とし、c’’が60~1,200である。
【請求項5】
前記(B)ポリマーがポリオレフィンを含み、20~60重量%の量で存在し、
かつ前記(C)オルガノポリシロキサンが0.8~4.0重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(B)ポリマーが50~
80重量%の量で存在し
、前記(C)オルガノポリシロキサンが0.1~10重量%の量で存在し、
かつ前記(C)オルガノポリシロキサンが25℃で1,000~50,000mPa・sの粘度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(B)ポリマーが20~40重量%の量で存在し
、前記(C)オルガノポリシロキサンが0.1~10重量%の量で存在し、
かつ前記(C)オルガノポリシロキサンが25℃で1,000~50,000mPa・sの粘度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリマー複合体物品を調製する方法であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することを含む、方法。
【請求項9】
前記方法が、(i)前記組成物を形成するか、(ii)前記組成物を形成する前および/もしくは形成中に前記(B)ポリマーを加熱して、前記(B)ポリマーを溶融するか、(iii)前記(B)ポリマーを添加する前に、前記(A)充填剤と(C)オルガノポリシロキサンとの混合物を混合するか、または(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)の任意の組み合わせをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法により調製されるポリマー複合体物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月1日に出願された米国仮出願第62/624,968号に対する優先権および全ての利点を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、組成物に関し、より具体的には、ポリマー複合体物品を調製するための組成物、本組成物およびそれを用いたポリマー複合体物品の調製方法、ならびにそれにより形成されたポリマー複合体物品に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー複合体物品は当技術分野で知られており、様々な最終使用用途に利用されている。ポリマー複合体物品は、物理的および機械的特性を含む、ポリマー複合体物品に関連するコストおよび望ましい特性に起因して、消費者に人気が高まっている。
【0004】
ある特定のポリマー複合体物品は、高重量パーセントの充填剤を含有する。そのようなポリマー複合体物品は、典型的には、充填剤とポリマーとを完全に混合して、混合物を得ることにより生成される。混合物を成形(例えば、射出成形)または押し出して、ポリマー複合体物品を形成することができる。ポリマー複合体物品を形成するために利用されるポリマーの選択に応じて、ポリマー複合体物品は硬化および/または加硫され得る。しかし、ポリマー複合体物品を生成するための従来のプロセスは、一般に、混合物からのポリマー複合体物品の形成を容易にして、品質(例えば、表面および縁の滑らかさ)を確保するための加工助剤(内部または外部であり得る)を必要とする。従来の低コストの有機加工助剤は、より速い生産速度を達成するために高充填を必要とし、それにより、コストおよび/または性能特性に影響を与えるという欠点を一般に抱えている。さらに、多くの従来の加工助剤は、特に高温での使用において、複合体物品の物理的特性に悪影響を及ぼし、機械的特性(耐衝撃性、曲げ強度、曲げ弾性率)を低減させる可能性がある。従来の加工助剤は、ポリマー複合体物品から移行もし得るため、時間の経過と共に、物理的特性、外観、感触、外側被覆成形する能力、共押し出する能力、ポリマー複合体物品の表面に付着する能力、表面を印刷する能力、および表面を塗装する能力などのポリマー複合体物品の1つ以上の特性に悪影響を与える。さらに、有機加工助剤のいくつかは、より高い適用温度で揮発し、これにより、ポリマー複合体物品の形成または気泡および亀裂が引き起こされる可能性があり、これらの物品の長期性能を損なう可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物を提供する。本組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤を含む。本組成物はまた、(B)ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、またはそれらの組み合わせから選択される10~90重量%の量のポリマーを含む。さらに、本組成物は、(C)少なくとも1つのシリコン結合ヒドロキシル基および25℃で1,000~60,000mPa・sの粘度を有する0超~10重量%の量のオルガノポリシロキサンを含む。成分(A)~(C)の範囲は、本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0006】
本組成物を調製する方法も提供される。本組成物を調製する方法は、(A)充填剤と、(B)ポリマーと、(C)オルガノポリシロキサンとを組み合わせ、それにより、本組成物を調製することを含む。
【0007】
さらに、ポリマー複合体物品を調製するための方法が、本発明により提供される。本方法は、本組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。さらに、本方法に従って形成されるポリマー複合体物品も提供される。
【0008】
さらに、(C)オルガノポリシロキサンと、少なくとも1つの他の成分とを含む固体担体成分も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物を提供する。ポリマー複合体物品は、優れた物理的特性を有し、以下に記載されるように無数の最終使用用途に好適である。ポリマー複合体物品を調製する方法、およびそれにより形成されるポリマー複合体物品もまた、以下に提供および記載される。
【0010】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤と、(B)10~90重量%の量のポリマーと、(C)0超~10重量%の量のオルガノポリシロキサンと、を含み、各々は、本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0011】
成分(A)充填剤
本組成物は、(A)充填剤を含む。(A)充填剤は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそのように調製された複合体物品中に不連続相を形成し得る。(A)充填剤は限定されず、例えば、補強用充填剤、増量用充填剤、熱伝導性充填剤、導電性充填剤、難燃性充填剤、酸受容性充填剤、レオロジー改良充填剤、リグノセルロース充填剤、着色充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、またはそれらの組み合わせであり得る。(A)充填剤の選択は、典型的には、本組成物を用いて形成されるポリマー複合体物品およびポリマー複合体物品の最終使用用途により変化する。
【0012】
ある特定の実施形態では、(A)充填剤は、少なくとも1つの水酸化物もしくはヒドロキシル官能基、および/または水を含む。典型的には、少なくとも1つの水酸化物またはヒドロキシル官能基(または水)は、(A)充填剤の表面に化学的および/または物理的に結合する。理論に縛られることを望まないが、(A)充填剤がこの特性を有する場合、オルガノポリシロキサンが(A)充填剤と反応または物理的に相互作用し、表面処理することが可能であると考えられている。
【0013】
(A)充填剤は、未処理、前処理、または以下で記載される任意の充填剤処理剤と組み合わせて添加され得、そのように添加されるとき、(A)充填剤をその場で、または(A)充填剤を本組成物に組み込む前に処理し得る。(A)充填剤は、単一の充填剤、あるいは充填剤のタイプ、調製方法、処理もしくは表面化学、充填剤組成、充填剤形状、充填剤表面積、平均粒径、および/または粒径分布などの少なくとも1つの特性において異なる2つ以上の充填剤の組み合わせであり得る。
【0014】
(A)充填剤の形状および寸法も特に限定されない。例えば、(A)充填剤は、球形、長方形、卵形、不規則であり得、例えば、粉末、細粉、繊維、フレーク、チップ、シェービング、ストランド、スクリム、ウエハー、ウール、わら、粒子、およびそれらの組み合わせの形態であり得る。寸法および形状は、典型的には、利用される(A)充填剤のタイプ、本組成物内に含まれる他の成分の選択、およびそれらを用いて形成されたポリマー複合体物品の最終使用用途に基づいて選択される。
【0015】
補強充填剤として機能し得る充填剤の非限定的な例には、ヒュームシリカ、シリカエアロゲル、シリカキセロゲル、および沈降シリカなどの補強シリカ充填剤が含まれる。ヒュームドシリカは、当技術分野で知られており、例えば、Massachusetts,U.S.A.のCabot CorporationによりCAB-O-SILの名称で販売されているヒュームドシリカが市販されている。
【0016】
増量または補強充填剤として機能し得る充填剤の非限定的な例には、石英および/もしくは破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ(例えば、ヒュームド、粉砕、沈降)、水和ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリコーン樹脂、ウォラストナイト、ソープストーン、カオリナイト、カオリン、雲母白雲母、金雲母、ハロイサイト(水和ケイ酸アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ガラス(繊維、ビーズまたは粒子、例えば、風力タービンまたは他の供給源からのリサイクルガラスを含む)、粘土、磁鉄鉱、赤鉄鉱、炭酸カルシウム、例えば、沈降、ヒュームド、および/もしくは粉砕炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、チョーク、二酸化チタン(チタニア)、ジルコニア、砂、カーボンブラック、グラファイト、無煙炭、石炭、亜炭、木炭、活性炭、非官能性シリコーン樹脂、アルミナ、銀、金属粉末、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、被覆充填剤、炭素繊維(例えば、航空機および/または自動車産業からの再生炭素繊維を含む)、細断KEVLAR(商標)もしくはTwaron(商標)などのポリアラミド、ナイロン繊維、ミネラル充填剤、または顔料(例えば、二酸化チタン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムの非水和、部分水和、または水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロメート、カーボネート、水酸化物、ホスフェート、水素スルフェート、ニトレート、酸化物、およびスルフェート;酸化亜鉛、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、リトポン、ホウ酸、またはホウ酸塩、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、もしくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えば、バーミキュライト、ベントナイト、軽石、パーライト、飛灰、粘土、およびシリカゲル;もみ殻灰、セラミックおよびゼオライト、金属、例えば、アルミニウムフレークまたは粉末、青銅粉末、銅、金、モリブデン、ニッケル、銀粉末またはフレーク、ステンレス鋼粉末、タングステン、チタン酸バリウム、シリカ-カーボンブラック複合体、官能化カーボンナノチューブ、セメント、スレート細粉、パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。あるいは、増量または補強充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0017】
増量充填剤は、当技術分野で知られており、例えば、Berkeley Springs,WVのU.S.SilicaによりMIN-U-SILという名称で販売されている粉砕石英が市販されている。好適な沈降炭酸カルシウムには、SolvayのWinnofil(商標)SPM、ならびにSMIのUltra-pflex(商標)およびUltra-pflex(商標)100が含まれる。
【0018】
(A)充填剤が熱伝導性充填剤を含む場合、(A)充填剤は、熱伝導性および導電性の両方であり得る。あるいは、(A)充填剤は、熱伝導性および電気絶縁性であり得る。熱伝導性充填剤はまた、補強充填剤、増量充填剤、または上記のような別の特性などに限定されない他の有益な特性も有し得る。熱伝導性充填剤は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、酸化ベリリウム、炭素繊維、ダイヤモンド、グラファイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、金属粒子、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛、コーティングされた充填剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0019】
(A)充填剤が熱伝導性充填剤を含む場合、熱伝導性充填剤は、金属充填剤、無機充填剤、溶融性充填剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。金属充填剤には、金属の粒子、金属粉末、および粒子の表面に層を有する金属の粒子が含まれる。これらの層は、例えば、金属窒化物層または金属酸化物層であり得る。好適な金属充填剤は、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属の粒子、あるいはアルミニウムにより例示される。好適な金属充填剤は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される表面に層を有する上に列挙される金属の粒子によりさらに例示される。例えば、金属充填剤は、表面に酸化アルミニウム層を有するアルミニウム粒子を含み得る。無機充填剤はオニキス;アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛;窒化アルミニウムなどの窒化物;炭化ケイ素および炭化タングステンなどの炭化物;ならびにそれらの組み合わせにより例示される。あるいは、無機充填剤は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、およびそれらの組み合わせにより例示される。溶融性充填剤は、Bi、Ga、In、Sn、またはそれらの合金を含み得る。溶融性充填剤は、任意に、Ag、Au、Cd、Cu、Pb、Sb、Zn、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。好適な溶融性充填剤の例には、Ga、In-Bi-Sn合金、Sn-In-Zn合金、Sn-In-Ag合金、Sn-Ag-Bi合金、Sn-Bi-Cu-Ag合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu合金、Sn-Ag合金、Sn-Ag-Cu-Zn合金、およびそれらの組み合わせが含まれる。溶融性充填剤は、50℃~250℃の融点を有し得る。溶融性充填剤は、共晶合金、非共晶合金、または純粋な金属であり得る。多くの好適な溶融性充填剤が市販されている。
【0020】
あるいは、(A)充填剤は、非反応性シリコーン樹脂を含み得る。例えば、(A)充填剤は、非反応性MQシリコーン樹脂を含み得る。当技術分野で知られているように、Mシロキシ単位はR0
3SiO1/2で表され、Qシロキシ単位はSiO4/2で表され、式中、R0は、独立して選択された置換基である。そのような非反応性シリコーン樹脂は、典型的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタンなどの液体炭化水素、または低粘度の環状および線状ポリジオルガノシロキサンなどの液体有機ケイ素化合物に可溶である。非反応性シリコーン樹脂中のM対Qシロキシ単位のモル比は、0.5/1~1.5/1、あるいは0.6/1~0.9/1であり得る。これらのモル比は、好都合には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,593,209号のコラム32の参照実施例2に記載されているシリコン29核磁気共鳴分光法(29Si NMR)により測定され得る。非反応性シリコーン樹脂は、2.0重量%以下、あるいは0.7重量%以下、あるいは0.3重量%以下のアルコキシ、例えば、メトキシおよびエトキシ、ならびにアセトキシにより例示されるシリコン結合ヒドロキシルまたは加水分解性基を含むT単位をさらに含み得るが、まだそのような非反応性シリコーン樹脂の範囲内にある。非反応性シリコーン樹脂中に存在する加水分解性基の濃度は、フーリエ変換赤外(FT-IR)分光法を使用して決定され得る。
【0021】
あるいはまたはさらに、(A)充填剤は、直前に記載される非反応性MQシリコーン樹脂以外の非反応性シリコーン樹脂を含み得る。例えば、(A)充填剤は、T樹脂、TD樹脂、TDM樹脂、TDMQ樹脂、または任意の他の非反応性シリコーン樹脂を含み得る。典型的には、そのような非反応性シリコーン樹脂は、少なくとも30モルパーセントのTシロキシおよび/またはQシロキシ単位を含む。当技術分野で知られているように、Dシロキシ単位はR0
2SiO2/2で表され、Tシロキシ単位はR0SiO3/2で表され、式中、R0は、独立して選択された置換基である。
【0022】
非反応性シリコーン樹脂の重量平均分子量、Mwは、シリコーン樹脂の分子量および非反応性シリコーン樹脂中に存在する置換基(例えば、ヒドロカルビル基)のタイプ(複数可)に少なくとも部分的に依存する。本明細書で使用されるMwは、ネオペンタマーを表すピークが測定から除外された場合に、狭い分子量分布ポリスチレン(PS)標準較正を用いて、従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定された重量平均分子量を表す。非反応性シリコーン樹脂のPS当量Mwは、12,000~30,000g/モル、典型的には、17,000~22,000g/モルであり得る。非反応性シリコーン樹脂は、任意の好適な方法により調製され得る。このタイプのシリコーン樹脂は、当技術分野で一般に知られている対応するシランの加水分解法、またはシリカヒドロゾルキャッピング法により調製されてきた。
【0023】
ある特定の実施形態では、(A)充填剤は、酸受容体を含み得る。酸受容体は、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を含み得る。酸受容体は、当技術分野で一般に知られており、Rhenofit F、Star Mag CX-50、Star Mag CX-150、BLP-3、およびMaxOx98LRを含む商品名で市販されている。Rhenofit Fは、Chardon,Ohio,USAのRhein Chemie Corporation製の酸化カルシウムであった。Star Mag CX-50は、Portsmouth,N.H.,USAのMerrand International Corp.製の酸化マグネシウムであった。MagOX 98LRは、W.Conshohocken,Pa.,USAのPremier Chemicals LLC製の酸化マグネシウムであった。BLP-3は、炭酸カルシウムであり、Cincinnati,Ohio,USAのOmya Americasであった。
【0024】
これらまたは他の実施形態では、(A)充填剤は、リグノセルロース系充填剤を含み得る。リグノセルロース系充填剤は、リグノセルロース材料を含み、あるいはそれから本質的になり、あるいはそれからなる。典型的には、リグノセルロース系充填剤は、リグノセルロース材料からなる。リグノセルロース系充填剤、ならびにリグノセルロース材料は、任意の植物源に由来する任意の物質を含み得る。リグノセルロース系充填剤がリグノセルロース系材料から本質的になるか、またはリグノセルロース系材料からなる場合、リグノセルロース材料は、水分または含水量も含み得るが、リグノセルロース材料、ならびにリグノセルロース系充填剤は、典型的には、乾燥しており、すなわち、リグノセルロース系充填剤が調製、誘導、形成、および/または保管される環境での相対湿度に関連し得るものを除く、任意の自由含水量を含有しない。同じことが典型的に他の種の(A)充填剤にも当てはまるが、リグノセルロース系充填剤については、リグノセルロース材料には、一般に、乾燥または最終使用の前に収穫/調製された水分が含まれているため、注意が必要である。
【0025】
リグノセルロース系充填剤は、典型的には、炭水化物ポリマー(例えば、セルロースおよび/またはヘミセルロース)を含み、芳香族ポリマー(例えば、リグニン)をさらに含み得る。リグノセルロース系充填剤は、典型的には、天然のリグノセルロース材料であり、すなわち、合成的に誘導されたものではない。例えば、リグノセルロース系充填剤は、典型的には、木材(硬木、軟木、および/または合板)に由来する。あるいはまたはさらに、リグノセルロース系充填剤は、植物由来のリグノセルロース材料などの他の非木材源、あるいは他の植物由来のポリマー、例えば、農業副産物、チャフ、サイザル麻、バガス、麦わら、カポック、ラミー、ヘネケン、トウモロコシ繊維もしくはコイア、ナッツの殻、亜麻、ジュート、麻、ケナフ、もみ殻、アバカ、ピーナッツの外皮、竹、わら、リグニン、デンプン、またはセルロースおよびセルロース含有生成物、ならびにそれらの組み合わせからのリグノセルロース材料を含み得る。
【0026】
リグノセルロース系充填剤が由来し得る好適な硬木の具体例には、トネリコ、アスペン、ヒロハハコヤナギ、シナノキ、カバノキ、ブナ、クリ、ガム、エルムユーカリ、カエデ、オーク、ポプラ、スズカケノキ、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。リグノセルロース系充填剤が由来し得る好適な軟木の具体例には、トウヒ、モミ、ヘムロック、タマラック、カラマツ、マツ、ヒノキ、セコイアザミ、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。異なる硬木の組み合わせ、異なる軟木の組み合わせ、硬木(複数可)と軟木(複数可)との組み合わせ、または硬木と軟木のうちの一方もしくはそれらの両方と合板との組み合わせは、リグノセルロース系充填剤として一緒に利用され得る。リグノセルロース系充填剤は、未使用、リサイクル、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0027】
リグノセルロース系充填剤は、任意の形態およびサイズ、例えば、ナノメートル~ミリメートルの粒径を有し得る。例えば、リグノセルロース系充填剤は、粉末、パルプ、細粉、おがくず、繊維、フレーク、チップ、シェービング、ストランド、スクリム、ウエハー、ウール、わら、粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。リグノセルロース系充填剤は、当業者に知られている様々な技法を介して形成され得り、典型的には、その形態により変化する。例えば、リグノセルロース系充填剤は、丸太、枝、工業用木材残留物、粗パルプ材などを粉砕することにより調製され得る。リグノセルロース系充填剤は、所望の粒径に粉砕され得る。例えば、リグノセルロース系充填剤は、ハンマー製粉などの任意の便利な機器を用いて粉砕され得、これにより、混合プロセスでの使用に好適な粒径を有するリグノセルロース系充填剤がもたらされる。所望の粒径は、典型的には、利用される特定の混合プロセスおよびポリマー複合体物品の所望の特性に基づいて、当業者により選択される。粒径とは、形状に関係なく、リグノセルロース系充填剤の寸法を意味し、例えば、繊維の形態の場合のリグノセルロース系充填剤に関連する寸法を含む。当技術分野で知られているように、リグノセルロース系充填剤は、ペレット化するか、さもなければペレットの形態にされ得、組成物に組み込まれたときに形状および寸法を実質的に維持し得るか、または組成物中でより小さな粒子を形成し得る。
【0028】
あるいは、(A)充填剤は、多糖充填剤を含み得、これは、セルロースまたはヘミセルロース誘導体および任意にリグニンの両方を含み得る。あるいは、多糖充填剤は、B-Dグルコースのサブユニットからなるポリマーから本質的になり得るか、あるいはそれからなり得る。あるいは、多糖充填剤は、デンプン、プルラン、ペクチン、デキストラン、アルギン酸塩、またはキチンおよびキトサンなどの動物由来の多糖類を含み得る。
【0029】
ある特定の実施形態では、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、およびそれらの組み合わせから選択される。ある特定の実施形態では、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、およびそれらの組み合わせから本質的になる。特定の実施形態では、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、およびそれらの組み合わせからなる。(A)充填剤がミネラル充填剤を含む場合、ミネラル充填剤は、典型的には、炭酸カルシウム(CaCO3)および/またはタルクから選択される。そのような実施形態では、ミネラル充填剤は、本組成物およびそれを用いて形成されたプラスチック複合体物品における補強充填剤、増量充填剤、またはそれら両方の組み合わせであり得る。(A)充填剤の選択は、典型的には、本組成物を用いて形成されるポリマー複合体物品およびポリマー複合体物品の最終使用用途により変化する。
【0030】
充填剤の選択に関係なく、(A)充填剤は、未処理、前処理、または任意の充填剤処理剤と組み合わせて本組成物を形成するために添加され得、そのように添加されるとき、充填剤処理剤は、本組成物中で(A)充填剤をその場で処理し得る。
【0031】
充填剤処理剤は、アルコキシシランなどのシラン、アルコキシ官能性オリゴシロキサン、環状ポリオルガノシロキサン、ジメチルシロキサンもしくはメチルフェニルシロキサンなどのヒドロキシル官能性オリゴシロキサン、有機ケイ素化合物、ステアレート、または脂肪酸を含み得る。充填剤処理剤は、単一の充填剤処理剤、または類似もしくは異なるタイプの分子から選択される2つ以上の充填剤処理剤の組み合わせを含み得る。
【0032】
充填剤処理剤は、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、またはテトラアルコキシシランであり得るアルコキシシランを含み得る。アルコキシシラン充填剤処理剤は、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、およびそれらの組み合わせにより例示される。ある特定の態様では、アルコキシシラン(複数可)は、表面ヒドロキシルとの反応性の低いアルコキシシラン反応を触媒するシラザンと組み合わせて使用され得る。そのような反応は、典型的には、アンモニア、メタノール、および水などの揮発性副産物を除去しながら、高剪断で100℃を超えて行われる。
【0033】
好適な充填剤処理剤はまた、アルコキシシリル官能性アルキルメチルポリシロキサン、または加水分解性基が、例えば、シラザン、アシルオキシ、もしくはオキシモを含み得る類似の材料を含む。
【0034】
アルコキシ官能性オリゴシロキサンも充填剤処理剤として使用され得る。アルコキシ官能性オリゴシロキサンおよびそれらの調製のための方法は、当技術分野で一般に知られている。他の充填剤処理剤は、モノエンドキャップされたアルコキシ官能性ポリジオルガノシロキサン、すなわち、一端にアルコキシ官能基を有するポリオルガノシロキサンを含む。
【0035】
あるいは、充填剤処理剤は、シリカ充填剤を処理するために典型的に使用される有機ケイ素化合物のいずれかであり得る。有機ケイ素化合物の例には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、およびトリメチルモノクロロシランなどのオルガノクロロシラン;ヒドロキシ末端封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー、水素化ケイ素官能性シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、およびテトラメチルジビニルジシロキサンなどのオルガノシロキサン;ヘキサメチルジシラザンおよびヘキサメチルシクロトリシラザンなどのオルガノシラザン;ならびに、メチル、プロピル、n-ブチル、i-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、i-オクチル、n-デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、またはオクタデシル置換基を有するアルキルアルコキシシランなどのオルガノアルコキシシランが含まれる。有機反応性アルコキシシランは、アミノ、メタクリロキシ、ビニル、グリシドキシ、エポキシシクロヘキシル、イソシアヌラト、イソシアナト、メルカプト、スルフィド、ビニル-ベンジル-アミノ、ベンジル-アミノ、またはフェニル-アミノ置換基を含み得る。あるいは、充填剤処理剤は、オルガノポリシロキサンを含み得る。(A)充填剤の表面を処理するためのそのような充填剤処理剤の使用は、オルガノシロキサンを(A)充填剤の表面に結合する方法として、クラスター化、または分散化、またはそれらの両方の複数の水素結合を利用し得る。水素結合可能なオルガノシロキサンは、分子当たり、水素結合可能な少なくとも1つのケイ素結合基の平均を有する。この基は、複数のヒドロキシル官能基を有する一価の有機基、または少なくとも1つのアミノ官能基を有する一価の有機基から選択され得る。水素結合は、オルガノシロキサンの(A)充填剤への結合の主要なモードであり得る。オルガノシロキサンは、(A)充填剤と共有結合を形成できない場合がある。水素結合可能なオルガノシロキサンは、サッカライド-シロキサンポリマー、アミノ官能性オルガノシロキサン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、水素結合が可能なポリオルガノシロキサンは、サッカライド-シロキサンポリマーであり得る。
【0036】
あるいは、充填剤処理剤は、オクタデシルメルカプタンなどのアルキルチオール、ならびにオレイン酸、ステアリン酸、チタネート、チタネート結合剤、ジルコネート結合剤、およびそれらの組み合わせなどの脂肪酸を含み得る。当業者は、過度の実験なしに(A)充填剤の分散を助けるために充填剤処理剤を最適化することができる。
【0037】
利用される場合、充填剤処理剤および(A)充填剤の相対量は、利用される特定の充填剤、ならびに充填剤処理剤、およびそれらの所望の効果または特性に基づいて選択される。
【0038】
(A)充填剤は、本組成物の総重量に基づいて、10~90、あるいは10~80、あるいは20~75、あるいは30~70、あるいは45~65重量パーセントの量で本組成物中に存在する。ある特定の他の実施形態では、(A)充填剤は、本組成物の総重量に基づいて、20~50重量パーセントの量で本組成物中に存在する。あるいは、(A)充填剤は、ある特定の用途、例えば、木材プラスチック複合体またはポリオレフィンポリマーを含有するミネラル充填複合体などに関して、本組成物の総重量に基づいて、65~85、あるいは70~80重量パーセントの量で存在し得る。あるいは、ある特定の用途では、本組成物中の(A)充填剤の相対量を最大にすることが望ましく、それにより、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持または得られる限り、その全体のコストが低減される。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために(A)充填剤の量が変更され得ることを理解する。
【0039】
特定の実施形態では、(B)ポリマーは、オレフィンを含むか、あるいはオレフィンであり、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤を含むか、あるいはリグノセルロース充填剤であり、それにより形成されたポリマー複合体物品は、木材プラスチック複合体である。典型的には、オレフィンは、ポリエチレンである。そのような実施形態では、(A)充填剤は、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、10~80、あるいは15~80、あるいは20~80、あるいは25~80、あるいは30~80、あるいは35~80、あるいは40~80重量パーセントの量で存在し得る。他のそのような実施形態では、(A)充填剤は、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、10~60、あるいは15~60、あるいは20~60、あるいは25~60、あるいは30~60、あるいは35~60重量%、あるいは40~60重量%の量で存在し得る。さらに他のそのような実施形態では、(A)充填剤は、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、10~40、あるいは15~40、あるいは20~40、あるいは25~40、あるいは30~40、あるいは35~40重量パーセントの量で存在し得る。あるいは、さらに、(A)充填剤は、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、10~20重量パーセントの量で存在し得る。
【0040】
他の特定の実施形態では、(A)充填剤は、ミネラル充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、またはそれらの組み合わせを含むか、あるいはミネラル充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、またはそれらの組み合わせである。そのような実施形態では、(A)充填剤は、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、10~60、あるいは15~55、あるいは20~60、あるいは20~55、あるいは20~50、あるいは20~45、あるいは20~40重量パーセントの量で存在し得る。
【0041】
さらに、(A)充填剤は、異なるタイプの充填剤のブレンドを含み得る。例えば、本組成物が木材プラスチック複合体を調製するために利用される場合、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤と補強充填剤、例えば、タルクおよび/または炭酸カルシウムとのブレンドを含み得る。さらに、ポリマー複合体物品の特性をカスタマイズまたは選択的に制御もしくは改善するために、耐火性のものなどの特定の充填剤も含められ得る。そのような実施形態では、本組成物は、例えば、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、各々、最大50重量パーセントのリグノセルロース充填剤、最大20重量パーセントのミネラル充填剤、および任意により少量の他のタイプの充填剤を含み得る。
【0042】
(B)ポリマー
本組成物は、(B)ポリマーをさらに含む。ポリマーは、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそれから調製された複合体物品において、連続相の全部または一部を形成し得る。特定の実施形態では、(B)ポリマーは、熱可塑性物質である。他の特定の実施形態では、(B)ポリマーは、エラストマーである。(B)ポリマーの選択は、典型的には、様々なポリマーが異なる融点温度(および/またはガラス転移温度)および物理的/機械的特性、ならびに好適または許容可能な連続使用用途温度を有するため、本組成物で形成されたポリマー複合体物品の所望の最終使用用途により変化する。ある特定の実施形態では、(B)ポリマーは、本組成物中の他の成分の分解温度よりも低い軟化点温度を有する。これらの実施形態では、(B)ポリマーは、425℃未満、あるいは400℃未満、あるいは375℃未満の軟化点温度を有する。軟化点温度は、加工温度と呼ばれることもある。(B)ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0043】
好適なポリマーの非限定的な例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1-ペンテン)、ポリ(3-メチル-1-ペンテン)、ポリ(4-メチル-1-ヘキセン)、ポリ(5-メチル-1-ヘキセン)など)、ポリシクロオレフィン、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)、ポリエステル、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、およびポリエステルから選択される。一実施形態では、(B)ポリマーは、ポリエチレンである。別の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリプロピレンである。さらに別の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリアミドである。あるいは、(B)ポリマーは、ポリエステルである。これらのポリマーは、代替的にプラスチックと呼ばれ得る。さらに、エラストマーおよび/またはゴムは、衝撃強度などの特性を改良または改善するために、(B)ポリマーに添加またはそれと配合され得る。
【0044】
ある特定の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、、ポリエステル、またはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、またはそれらの組み合わせから本質的になる。本質的にからなるとは、(B)ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、またはそれらの組み合わせ以外の1つ以上の追加のポリマーを含み得ることを意味するが、これは、そのような追加のポリマーが、(B)ポリマーと共に加工されて、ポリマー複合体物品を形成し得る場合に限る。さらに他の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、またはそれらの組み合わせからなる。(B)ポリマーがポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、またはそれらの組み合わせからならない場合、(B)ポリマーは、典型的には、本組成物中で利用される(B)ポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50、あるいは少なくとも60、あるいは少なくとも65、あるいは少なくとも70、あるいは少なくとも75、あるいは少なくとも80、あるいは少なくとも85、あるいは少なくとも90、あるいは少なくとも95、あるいは少なくとも96、あるいは少なくとも97、あるいは少なくとも98、あるいは少なくとも99重量%の量のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、またはそれらの組み合わせを含む。
【0045】
(B)ポリマーが、ポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステル以外、かつそれらに加えてポリマーを含む場合、(B)ポリマーは、ポリビニル(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル(ビニルエステル))、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンエーテル;ポリアミドイミド、ポリオキシメチレン(POM)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンアルキル(メタ)アクリレート、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、セルロース(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファンなど)、ポリウレタン、ポリエーテルイミド(PEI);ポリスルホン(PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(PK);ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルケトンケトン(PEKK);ポリアリレート(PAR);ポリエーテルニトリル(PEN);ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニルスルホン;ポリエーテルイミド;レゾールタイプ;尿素(例えば、メラミンタイプ);ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;熱可塑性加硫物;スチレン系;ポリスチレンタイプ、ポリオレフィンタイプ、ポリウレタンタイプ、ポリエステルタイプ、ポリアミドタイプ、ポリブタジエンタイプ、ポリイソプレンタイプ、フルオロタイプなどの熱可塑性エラストマー、ならびにそれらのコポリマー、修正物、および組み合わせをさらに含み得る。
【0046】
(B)ポリマーは、エラストマーをさらに含み得る。エラストマーの非限定的な例には、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン)、ポリアクリレートゴム、エチレンアクリレートゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、全フッ素置換化エラストマー、スチレンブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソプレンゴム、ポリスルフィドゴム、エチレンアクリレートゴム、エピクロロヒドリンゴム、全フッ素化エラストマー(例えば、Kalrez(商標))、ポリスルフィドゴム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
ある特定の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリエチレンを含むか、あるいはポリエチレンである。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、低密度低分子量ポリエチレン(LDLMWPE)、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0048】
ある特定の実施形態では、(B)ポリマーは、エチレン系ポリマーを含む。これらの実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンインターポリマー、さらにエチレン/α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、α-オレフィンは、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、あるいは3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーには、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択することができるか、または代替的に1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択することができ、さらに1-ヘキセンおよび1-オクテンから選択することができる。
【0049】
これらまたは他の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリアミドを含むか、あるいはポリアミドである。好適なポリアミドの例には、ポリカプロアミド(例えば、ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(例えば、ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(例えば、ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(例えば、ナイロン6/10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(例えば、ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンドデカンジアミド(例えば、ナイロン66)、ポリウンデカンアミド、ポリドデカンアミド、ヘキサメチレンアジパミド/カプロアミドコポリマー(例えば、ナイロン66/6)、ポリウンデカノアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(例えば、ナイロン12)、カプロアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(例えば、ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(例えば、ナイロン6/9)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(例えば、ナイロン6T)、ポリフタルアミド、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(例えば、ナイロン66/6T)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(例えば、ナイロン66/6I)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド/カプロアミドコポリマー(例えば、ナイロン66/6I/6)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド/カルポアミドコポリマー(例えば、ナイロン66/6T/6)、ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(例えば、ナイロン6T/6I)、ヘキサメチレンテレフタルアミド/ドデカンアミドコポリマー(例えば、ナイロン6T/12)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(例えば、ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンテレフタルアミド/2-メチル-ペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー、ポリメタキシリレンジアミンアジパミド(例えば、ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(例えば、ナイロン9T)、およびそれらの組み合わせが含まれる。ポリアミド樹脂は、芳香族ポリアミド(ポリアラミド)であり得る。
【0050】
さらに他の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリエステルを含むか、あるいはポリエステルである。
【0051】
ポリエステルおよびそれらの調製方法は、当技術分野で知られている。例えば、ポリエステルは、ヒドロキシル化合物(例えば、芳香族および/または脂肪族アルコールもしくはグリコール)および酸を使用する従来のエステル化プロセスを介して調製され得る。ヒドロキシル化合物は、典型的には、多価アルコールである。
【0052】
ポリエステルを調製するのに好適なヒドロキシル化合物の具体例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、デカンジオール、ドデカンジオールα-メチルグルコシド、ペンタエリスリトール、およびソルビトールが含まれる。「多価アルコール」という用語には、一般的にビスフェノールAとして知られている2,2-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)プロパンなどのフェノールから誘導された化合物も含まれる。
【0053】
ポリエステルを調製するのに好適な酸の具体例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2-メチル-1,6-ヘキサン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、α-ヒドロムコン酸、β-ヒドロムコン酸、α-ブチル-α-エチル-グルタル酸、α,β-ジエチルコハク酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、フタル酸、イソフタル酸、および1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を含むポリカルボン酸が含まれる。
【0054】
ポリエステルの他の調製方法も知られている。例えば、ポリエステルは、環状ラクトンの開環ポリマー、ヒドロキシカルボン酸の重縮合生成物、二塩基酸およびポリオールの重縮合生成物、ならびにヒドロキシル化合物または別のエステル化合物とのエステル化合物のエステル交換を含み得る。
【0055】
利用される(B)ポリマーに関係なく、(B)ポリマーは、未使用のポリマーおよび/またはリサイクルされたポリマーを含み得る。リサイクルされたポリマーは、利用される場合、工業生産ストリームから、ならびにポスト工業用供給源および/またはポスト消費用供給源から供給され得る。(B)ポリマー、ならびに協調して利用される場合の未使用のポリマー対リサイクルされたポリマーの任意の比率の選択は、典型的には、それを用いて形成されたポリマー複合体物品のコストおよび所望の特性により変化する。
【0056】
(B)ポリマーは、本組成物の総重量に基づいて、10~90、あるいは20~90、あるいは25~80、あるいは30~70、あるいは35~55、あるいは40~50重量パーセントの量で本組成物中に存在し得る。特定の実施形態では、本組成物中の(B)ポリマーの相対量を最小限に抑えることが望ましく、それにより、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持または得られる限り、選択に応じてその全体のコストが低減され得る。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために(B)ポリマーの量が変更され得ることを理解する。
【0057】
特定の実施形態では、(B)ポリマーは、オレフィンを含むか、あるいはオレフィンであり、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤を含むか、あるいはリグノセルロース充填剤であり、それにより形成されたポリマー複合体物品は、木材プラスチック複合体である。典型的には、オレフィンは、ポリエチレンである。そのような実施形態では、(B)ポリマーは、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、10~90、あるいは15~80、あるいは20~75、あるいは20~70、あるいは20~65、あるいは20~60重量パーセントの量で存在し得る。他のそのような実施形態では、(B)ポリマーは、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、40~90、あるいは40~85、あるいは40~80、あるいは40~75、あるいは40~70、あるいは40~65、あるいは40~60重量パーセントの量で存在し得る。さらに他のそのような実施形態では、(B)ポリマーは、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、60~90、あるいは60~85、あるいは60~80、あるいは60~75、あるいは60~70、あるいは60~65重量パーセントの量で存在し得る。あるいは、さらに、(B)ポリマーは、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、80~90重量パーセントの量で存在し得る。
【0058】
他の特定の実施形態では、(A)充填剤は、ミネラル充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、またはそれらの組み合わせを含むか、あるいはミネラル充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、またはそれらの組み合わせである。そのような実施形態では、(B)ポリマーは、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、40~90、あるいは45~85、あるいは40~80、あるいは45~80、あるいは50~80、あるいは55~80、あるいは60~80重量パーセントの量で存在し得る。
【0059】
(C)オルガノポリシロキサン
本組成物は、(C)オルガノポリシロキサンをさらに含む。(C)オルガノポリシロキサンは、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基を有する。(C)オルガノポリシロキサンは、25℃で少なくとも120mPa・s、あるいは120mPa・s~250,000mPa・sの粘度を有する。ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、25℃で1,000~60,000、あるいは1,000~50,000、あるいは2,000~50,000mPa・sの粘度を有する。粘度は、#52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃での0.1~50RPMで測定され得る。当業者は、オルガノポリシロキサンの粘度が増加するにつれて、粘度試験方法のRPMが50~0.1RPMに減少することを理解するであろう。
【0060】
あるいは、(C)オルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素結合OH基は、(C)オルガノポリシロキサンの重量に基づいて、少なくとも50ppmの量で存在し得る。あるいは、ケイ素結合OH基は、同じ基準で、50ppm~15,000ppm、あるいは50ppm~10,000ppm、あるいは2,500ppm~7,500ppm、あるいは10,000~15,000ppmの量で存在し得る。シリコン結合OH含有量は、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法により測定され得る。
【0061】
(C)オルガノポリシロキサンは、独立して選択され得る2つ以上の異なるオルガノポリシロキサンを含み得る。典型的には、(C)オルガノポリシロキサンは、本組成物およびポリマー複合体物品の加工助剤として機能する。理論に縛られることを望まないが、(C)オルガノポリシロキサンは、内部および/または外部の加工助剤であり得る。しかし、(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、本組成物およびポリマー複合体物品の物理的または機械的特性を改良するための加工助剤としての機能に対する追加、またはその代替となる他の目的に機能し得る。
【0062】
一般には、(C)オルガノポリシロキサンの区分に応じて、様々な利点が実現され得る。例えば、組成物が押し出し機内で混合される場合、(C)オルガノポリシロキサンは、一般に、押し出し機内の組成物の溶融温度を低減させる。溶融温度の低減は、組成物中(および押し出し機内)の任意の1つの個々の成分の溶融温度とは対照的に、押し出し機内の組成物の温度を指す。重要なことに、これにより、低温での組成物の加工が可能になり、コストおよび美観を含む無数の利益が提供される。例えば、リグノセルロース充填剤などのある特定の充填剤は、典型的には、組成物を流動性にするために必要である組成物のある特定の高い加工温度で炭化または分解し得る。(C)オルガノポリシロキサンの使用により、(A)充填剤およびポリマー複合体物品の他の態様に劣化、炭化、またはその他の悪影響を与えることなく、低温でポリマー複合体物品を調製することが可能になる。さらに、本組成物を押し出し機内で混合する場合、(C)オルガノポリシロキサンを含むことにより、一般に押し出し機のトルクが低減される。トルクの低減により、より大きな出力が可能になり、これは、生成スループットの観点から特に重要である。
【0063】
ある特定の実施形態では、(i)押し出し加工温度は、(C)オルガノポリシロキサンを含まない(A)充填剤と(B)ポリマーとの混合物の押し出し加工温度と比較して低減され、かつ/または(ii)本組成物を混合するときの押し出し機のトルクは、(C)オルガノポリシロキサンを含まない(A)充填剤と(B)ポリマーとの混合物を押し出すときの押し出し機のトルクと比較して低減される。押し出し加工温度は、本組成物が一般に押し出し機内で加工可能であり、例えば、本組成物中の(B)ポリマーおよび他の成分を溶融する温度である。押し出し加工温度は、本組成物中のいずれか1つの成分の融点温度とは区別される。
【0064】
(C)オルガノポリシロキサンは、線状、分岐状、部分分岐状、環状、樹脂状(すなわち、三次元ネットワークを有する)であり得るか、または異なる構造の組み合わせを含み得る。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、(C)オルガノポリシロキサンが少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基を含む限り、M、D、T、および/またはQシロキシ単位の任意の組み合わせを含み得る。これらのシロキシ単位は、様々な様式で組み合わされて、環状、線状、分岐状、および/または樹脂状(三次元ネットワーク)構造が形成され得る。
【0065】
ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し、
[R3SiO1/2]a[R2SiO2/2]b[RSiO3/2]c[SiO4/2]d
式中、各Rは独立して、OHおよびヒドロカルビル基から選択されるが、ただし、少なくとも1つの分子において、少なくとも1つのRがOHであることを条件とし、0<a≦0.99、0<b≦0.99、0≦c≦0.2、かつ0≦d≦0.2であるが、ただし、a+b+c+d=1であることを条件とする。
【0066】
OHではない各Rは独立して、線状、分岐状、環状、またはそれらの組み合わせであり得る。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、ならびに飽和または非共役環状基を包含する。アリール基は、単環式でも多環式でもよい。線状および分岐状ヒドロカルビル基は独立して、飽和または不飽和であり得る。線状と環状ヒドロカルビル基との組み合わせの一例は、アラルキル基である。Rがアリール基でない場合、Rは飽和しており、すなわち、Rはエチレン性不飽和を含まない。
【0067】
ヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、または類似のアルキル基;およびフェニル、トリル、キシリル、ナフチル、または類似のアリール基;ベンジル、フェネチル、または類似のアラルキル基により例示され得る。
【0068】
ケイ素結合OH基(複数可)は、(C)オルガノポリシロキサン中に存在する任意のM、D、および/またはTシロキシ単位中に存在し、同じケイ素原子に結合し得る(Mおよび/またはDシロキシ単位の場合)。(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、Mシロキシ単位として、(R3SiO1/2)、(R2(OH)SiO1/2)、(R(OH)2SiO1/2)、および/または((OH)3SiO1/2)を含み得る。(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、Dシロキシ単位として、(R2SiO2/2)、(R(OH)SiO2/2)、および/または((OH)2SiO2/2)を含み得る。(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、Tシロキシ単位として、(RSiO3/2)および/または((OH)SiO3/2)を含み得る。そのようなシロキシ単位は、任意の様式で、任意にQシロキシ単位と組み合わされて、少なくとも1つのケイ素結合OH基を有するオルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0069】
(C)オルガノポリシロキサンは、(C)オルガノポリシロキサンがTシロキシ単位および/またはQシロキシ単位を含む場合、分岐状または樹脂状である。(C)オルガノポリシロキサンが分岐状または樹脂状である場合、(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、Mシロキシ単位および/またはDシロキシ単位と組み合わせて、Tシロキシ単位および/またはQシロキシ単位を含むコポリマーである。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、またはMDQ樹脂であり得る。あるいは、ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは線状であり、その場合、(C)オルガノポリシロキサンは、Mシロキシ単位と組み合わせてDシロキシ単位を含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し、
[R1
3-n(OH)nSiO1/2]a’[R1
2-m(OH)mSiO2/2]b’[R1SiO3/2]c’[SiO4/2]d’
式中、各R1は独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nは0、1、2、または3であり、mは0、1、または2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’<1、0<b’<1、0≦c’≦0.1、かつ0≦d’≦0.1であるが、ただし、a’+b’+c’+d’=1であることを条件とする。この平均単位式において、少なくとも1つのケイ素結合OH基は、(C)オルガノポリシロキサンのMおよび/またはDシロキシ単位中に存在する。
【0071】
特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、実質的に線状、あるいは線状である。これらの実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、Tシロキシおよび/またはQシロキシ単位を実質的に含まないか、あるいは含まない。例えば、これらの特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し得、
[R1
3-n(OH)nSiO1/2]a’’[R1
2-m(OH)mSiO2/2]b’’
式中、各R1は独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nは0、1、2、または3であり、mは0、1、または2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’’<1、0<b’’<1であるが、ただし、a’’+b’’=1であることを条件とする。ある特定の実施形態では、nは、1、2、または3である。これらまたは他の実施形態では、ケイ素結合OH基(複数可)がMシロキシ単位に位置し、したがって末端であるように、mは0である。(C)オルガノポリシロキサンの粘度を考慮すると、上で紹介され、以下に記載されるように、典型的にはb’’>a’’である。各R1は、典型的には、メチルである。
【0072】
(C)オルガノポリシロキサンが実質的に線状、あるいは線状であり、末端ケイ素結合OH基(複数可)を含む場合、(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式を有し得、
R1
3-x(OH)xSiO[SiR1
2O]c’’Si(OH)yR1
3-y
式中、各R1は独立して選択されたヒドロカルビル基であり、xは0、1、2、または3であり、yは0、1、2、または3であるが、ただし、xおよびyが同時に0ではないことを条件とし、c’’は(C)オルガノポリシロキサンの所望の粘度を提供するのに十分な値を有するか、あるいはc’’は60~1200であるか、あるいは100~1200である。ある特定の実施形態では、xは1、2、または3であり、yは1、2、または3である。下付き文字c’’は、繰り返しD単位の数および(C)オルガノポリシロキサンの重合度(DP)に関連する。当技術分野で理解されているように、R1の選択およびDPの両方が、(C)オルガノポリシロキサンの粘度に影響を与える。
【0073】
利用される(C)オルガノポリシロキサンに関係なく、(C)オルガノポリシロキサンは、#52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃での0.1~50の範囲のRPMで測定されると少なくとも1,000mPa・sの粘度を有する。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、上記の条件下で試験した25℃で120~250,000、あるいは10,000~100,000mPa・sの粘度を有し得る。典型的には、(C)オルガノポリシロキサンは、上記の条件下で試験した25℃で1,000~60,000、あるいは1,000~50,000、あるいは2,000~50,000mPa・sの粘度を有する。
【0074】
(C)オルガノポリシロキサンは、担体ビヒクルをさらに含み得る。担体ビヒクルは、(C)オルガノポリシロキサンが担体ビヒクルにより単に担持されるか、もしくは担体ビヒクルに分散されるか、または(C)オルガノポリシロキサンが担体ビヒクルに可溶化されるかどうかに応じて、有機担体ビヒクル、任意に有機溶媒を含み得る。例えば、(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、担体ビヒクルが水である場合、担体ビヒクルに可溶化され得るか、または担体ビヒクルに乳化され得る。好適な担体ビヒクルの具体例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、もしくはn-プロパノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、もしくはオクタンなどの脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、もしくはエチレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、もしくはメチレンクロリドなどのハロゲン化炭化水素;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン;揮発油;ミネラルスピリット;ナフサ;n-メチルピロリドン;またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0075】
好適な担体ビヒクルには、線状および環状の両方のシリコーン、有機油、有機溶媒、ならびにこれらの混合物が含まれる。例えば、シリコーンに対して、担体ビヒクルは、ポリジアルキルシロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサンを含み得る。担体ビヒクルは、ミネラル充填剤、例えば、本組成物の(A)充填剤でもあり得る。
【0076】
担体ビヒクルはまた、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデアメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、ならびにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、ならびにこれらの任意の混合物などの、25℃で1~1,000mm2/秒の範囲の粘度を有する、低粘度オルガノポリシロキサン、または揮発性メチルシロキサン、または揮発性エチルシロキサン、または揮発性メチルエチルシロキサンであり得る。
【0077】
しかし、(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、ニートで、すなわち、担体ビヒクルが一切存在しない状態で利用される。(C)オルガノポリシロキサンが担体ビヒクルに含まれる場合、担体ビヒクルが(C)オルガノポリシロキサンの粘度を低減し得るため、上で参照される粘度は、典型的には、担体ビヒクルに関係なく(C)オルガノポリシロキサンのオルガノポリシロキサンに適用できる。さらに、担体ビヒクルは、最初に(C)オルガノポリシロキサンと共に存在し、本組成物および/またはそれを用いたポリマー複合体物品を作製する前にそこから排出され得る。例えば、本発明の方法に関連して以下により詳細に記載されるように、担体ビヒクルは、本組成物の成分を組み合わせるときに存在し、その後揮発または除去され得る(ポリマー複合体物品の調製前および/または調製中)。
【0078】
(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、本組成物の総重量に基づいて、0超~10、あるいは0.25~9、あるいは0.25~5、あるいは0.5~5、あるいは0.8~4、あるいは1~4、あるいは1~3重量%の量で利用される。特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、本組成物の総重量に基づいて、0.75~3重量%の量で利用される。
【0079】
特定の実施形態では、(A)充填剤は、リグノセルロース充填剤を含むか、あるいはリグノセルロース充填剤であり、(B)ポリマーは、オレフィンを含むか、あるいはオレフィンである。そのような実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、0.5~3重量パーセントの量で利用される。
【0080】
別の特定の実施形態では、(A)充填剤は、タルクを含むか、あるいはタルクであり、(B)ポリマーは、オレフィンを含むか、あるいはオレフィンである。そのような実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、0.25~5、あるいは0.25~2、あるいは1~5重量パーセントの量で利用される。
【0081】
別の特定の実施形態では、(A)充填剤は、炭酸カルシウムを含むか、あるいは炭酸カルシウムであり、(B)ポリマーは、オレフィンを含むか、あるいはオレフィンである。そのような実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、典型的には、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、0.25~5、あるいは0.25~2、あるいは1~5重量パーセントの量で利用される。
【0082】
(C)オルガノポリシロキサンは、ニートな(純粋な)形態で利用され得るが、あるいは、任意の他の好適な形態で提供されてもよく、例えば、前述の担体ビヒクルと組み合わせて希釈液体形態で提供されてもよく、またはあるいは固体形態で提供されてもよい。ある特定の実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、25℃で液体である。
【0083】
あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、固体担体成分の一部であり得る。固体担体成分は、周囲温度および圧力(例えば、25℃および1気圧)で固体である。固体担体成分は、(C)オルガノポリシロキサンを本組成物中の1つ以上の他の出発材料と組み合わせることにより形成され得る。固体担体成分は、典型的には、粒子形態であり、例えば、粒子、ペレット、粉末などの形態であり得る。固体担体成分の平均粒径は、その所望の特性により変化する。ある特定の実施形態では、固体担体成分は、粉末である。他の実施形態では、固体担体成分は、ペレットである。ペレットは、典型的には、粉末よりも大きい平均粒径を有する。
【0084】
一実施形態では、固体担体成分は、上記の(C)オルガノポリシロキサンと上記の充填剤との組み合わせである。(A)充填剤は、成分(A)として上記の充填剤の全部または一部であり得る。この実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、上記の実質的に線状、あるいは線状のオルガノポリシロキサンであり得る。(C)オルガノポリシロキサンは、以下の平均単位式(I)または(II)を有し得、
[R1
3-n(OH)nSiO1/2]a’’[R1
2-m(OH)mSiO2/2]b’’(I)
式中、各R1は独立して選択されたヒドロカルビル基であり、nは0、1、2、もしくは3であり、mは0、1、もしくは2であるが、ただし、nおよびmが同時に0ではないことを条件とし、0<a’’<1、0<b’’<1であるが、ただし、a’’+b’’=1であることを条件とするか、または
R1
3-x(OH)xSiO[SiR1
2O]c’’Si(OH)yR1
3-y(II)
式中、各R1は独立して選択されたヒドロカルビル基であり、xは0、1、2、もしくは3であり、yは0、1、2、もしくは3であるが、ただし、xおよびyが同時に0ではないことを条件とし、c’’は60~1,200である。この実施形態では、固体担体成分は、上記のような5%~95%の充填剤(A)および95%~5%のオルガノポリシロキサン(C)を含む。出発材料に好適な線状オルガノポリシロキサン(C)には、Midland,Michigan,USAのDow Silicones Corporationから市販されている、1,000~20,000mPa・sの動粘度を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、または、例えば、Dow Silicones Corporationから市販されている、異なる粘度を有する他のヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンが含まれる。(C)オルガノポリシロキサンおよび(A)充填剤は、固体担体成分を形成するために任意の便利な手段を介して組み合わされ得る。
【0085】
あるいは、固体担体成分は、固体担体成分を本組成物中の他の成分と組み合わせる前に、(C)オルガノポリシロキサンをポリエチレンなどの上記の(B)ポリマーの全部または一部と組み合わせることにより形成され得る。
【0086】
あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、成分(A)充填剤の一部、成分(B)ポリマーの一部、および成分(D)の全部または一部のうちの2つ以上と組み合わされて、固体担体成分を本組成物中の他の出発材料と組み合わせる前に、固体担体成分が形成され得る。
【0087】
あるいは、固体担体成分は、固体担体成分を本組成物の他の成分と組み合わせる前に、(C)オルガノポリシロキサンを官能化ポリマーなどの(D)相溶化剤と組み合わせることにより形成され得る。官能化ポリマーは、本明細書に記載されるように、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどの(D)相溶化剤の全部または一部であり得る。
【0088】
固体担体成分中の官能化ポリマーの量および(C)オルガノポリシロキサンの量は、官能化ポリマーのタイプ、ならびに(C)オルガノポリシロキサンの分子量および粘度を含む様々な要因に依存する。しかし、固体担体成分中のオルガノポリシロキサンの量は、固体担体成分が本組成物中の他の出発材料と組み合わされる場合、本組成物中で>0~10%、あるいは1%~4%、あるいは1%~3%の(C)オルガノポリシロキサンを提供するのに十分である。あるいは、固体担体成分は、70%~95%の官能化ポリマーおよび5%~30%の(C)オルガノポリシロキサンを含み得る。
【0089】
一実施形態では、固体担体成分は、最大40、あるいは最大30、あるいは最大25、あるいは最大20の重量%の(C)オルガノポリシロキサンと、残りは成分(B)としての上記のようなポリマーおよび/または上記の官能化ポリマーとからなる。
【0090】
代替的な実施形態では、固体担体成分は、(C)オルガノポリシロキサン、ならびに成分(B)としての上記のポリマーおよび/もしくは上記のような官能化ポリマーなどのポリマー化合物、ならびに/または上記のものなどの(A)充填剤、もしくは充填剤のうちの2つ以上とポリマー化合物との組み合わせを含み得、ここで、(C)オルガノポリシロキサン、ポリマー、官能化ポリマー、および(A)充填剤の相対量は、固体担体成分が(A)充填剤と(B)ポリマーとを含む成分と組み合わされて、本明細書に記載のポリマー複合体物品を調製するための組成物を作製するときに、得られる組成物が、
本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、各々、(A)10~90重量%の量の充填剤と、
(B)10~90重量%の量のポリマーと、
0超~10重量%の成分(C)の量を本組成物に提供するのに十分な量の(C)オルガノポリシロキサンおよび少なくとも1つの他の成分を含む固体担体成分と、を含むような量である。
【0091】
上記の(C)オルガノポリシロキサンおよび少なくとも1つの他の成分を含む固体担体成分は、例えば、好適な混合機器を用いて、混合または剪断下で分散することにより形成され得る、ポリマー化合物(例えば、成分(B)として記載されるポリマーおよび/もしくは(D)相溶化剤、例えば、上記の官能化ポリマー、ならびに/またはそれらの組み合わせ)および上記の(C)オルガノポリシロキサンからの混合組成物を形成することにより調製され得る。あるいは、混合組成物は、上記のように、(A)充填剤の一部をさらに含み得る。例えば、混合組成物は、攪拌機および/または混合ブレードを備えた容器内で分散され得る。容器は、例えば、バンバリー、シグマ(Z)ブレード、またはキャビティトランスファースタイル混合機などの内部混合機であり得る。あるいはまたはさらに、混合組成物は、任意の押し出し機、例えば、回転および/または往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押し出し機、ならびに接線方向または部分的/完全にかみ合って整列され得、同方向または逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押し出し機内で分散され得るか、またはそれにより加工され得る。あるいは、本明細書に記載の混合組成物を分散させるために、円錐形押し出し機が使用され得る。
【0092】
上記のように調製された固体担体成分は、再加工可能であり、後続のプロセスで供給するために調製され得る。上記のように調製された混合組成物は、例えば、実質的に連続的なリボンまたは不連続なペレットもしくは粒子もしくは粉末であり得る。実質的に連続的なリボンは、混合組成物を加圧し、それをダイに通して、連続的なストランドまたはテープを作成し、その後好適に包装される前に冷却することにより形成され得る。あるいは、ストランドまたはテープは、ペレットまたは粉末を形成するために粉砕され得る。混合デバイスはまた、混合デバイスが、任意の押し出し機、例えば、回転および/または往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押し出し機、ならびに接線方向または部分的/完全にかみ合って整列され得、同方向または逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押し出し機である場合、ダイを通して混合組成物を加工するのに必要な圧力を生成することもできる。混合組成物を混合および加圧するために、円錐押し出し機が使用され得る。あるいは、混合組成物が混合された後、押し出しに必要な圧力を生成するためにギアポンプが使用され得る。混合組成物の不連続形態は、混合組成物の連続したリボンをより短い長さに細断することにより作成され得る。あるいは、混合組成物の大きな断片は、粉砕機または寸断機を使用することにより、使用可能なサイズに低減され得る。
【0093】
ある特定の実施形態では、固体担体成分は、二軸スクリュー押し出し機(スクリューが、部分的または完全に噛み合いながら同時に回転するか、あるいは接線方向に、部分的に、または完全のいずれかで噛み合いながら整列して、逆回転する)などの押し出し機で連続的または半連続的に行われる方法により形成され得る。一実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、ポリマー(および、任意に(A)充填剤)と同時に押し出し機に配置される。あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、ポリマーを溶融させた後、(および(A)充填剤を添加する前に(ある場合は、混合組成物に添加される)押し出し機に配置され得る。あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、(A)充填剤(存在する場合)およびポリマーの後で、ポリマー混合物が押し出し機を出る前に、押し出し機に配置され得る。あるいは、(A)充填剤は、(C)オルガノポリシロキサンと同時に押し出し機に配置され得、次に(B)ポリマーが、押し出し機に配置されて、混合物が得られ、温度は、混合物の配合に好適な温度に増加され得る。押し出し機は、成分が添加され得る1つ以上のゾーン、例えば、1~3個、あるいは1~12個、あるいは3~12個、あるいは3~10個のゾーンを有し得る。ゾーンは異なる温度で加熱され得、搬送、溶融、混合、脱気、真空、加圧、および形成を含む様々な機能段階を組み込み得る。
【0094】
固体担体成分を作製するための方法の特定の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリマーの融点温度範囲内の+/-30℃で加熱される押し出し機の第1のゾーンに配置される。(C)オルガノポリシロキサンは、ポリマーの融点温度より10℃~90℃高い温度で加熱される押し出し機の第2のゾーンに配置される。(A)充填剤は、存在する場合、押し出し機の第1、第2、または後続のゾーンのいずれかに配置される。上記のように、利用される温度は、典型的には、本組成物の成分の分解温度よりも低い。ある特定の実施形態では、押し出し機のダイでの加圧および形成の前に、混合物はストリッピングされて、空気、水分、または副産物が一切除去される。真空、加圧、および形成ゾーンも加熱され得、任意のゾーンおよびダイの温度を含む押し出し機により利用される温度は、ポリマーまたは(A)充填剤の分解温度を超えない。当業者に理解されるように、ポリマーおよび(A)充填剤の分解温度は、それらの選択に依存する。得られた押し出しストランドは、(C)オルガノポリシロキサンおよび少なくとも1つの他の成分を含む固体担体成分を形成するために、任意の便利な手段により粉砕され得る。
【0095】
特定の実施形態では、固体担体成分は、固体担体成分の総重量に基づいて、1~70、あるいは5~50、あるいは5~30、あるいは5~25、あるいは5~20、あるいは5~15、あるいは10~20重量%の(C)オルガノポリシロキサンを含む。これらまたは他の実施形態では、固体担体成分は、固体担体成分の総重量に基づいて、0~90、あるいは5~90、あるいは10~90、あるいは20~90、あるいは30~90、あるいは50~90、あるいは60~90、あるいは70~90、あるいは5~60、あるいは5~50、あるいは5~40重量%の量の(B)ポリマーを含む。これらまたは他の実施形態では、固体担体成分は、固体担体成分の総重量に基づいて、0~95、あるいは0~50、あるいは5~50、あるいは5~30、あるいは5~25、あるいは5~20、あるいは5~15、あるいは10~20、あるいは1~95、あるいは5~95、あるいは10~90重量%の量の(D)相溶化剤を含む。これらまたは他の実施形態では、固体担体成分は、固体担体成分の総重量に基づいて、0~75、あるいは0.5~5、あるいは0.5~40、あるいは0.5~25、あるいは0.5~20、0.5~15、あるいは0.5~10、あるいは0.5~5、あるいは0.5~2、あるいは1~50、あるいは1~40、あるいは1~25、あるいは1~20、あるいは1~15、あるいは1~10、あるいは1~5、あるいは1~2重量%の量の(A)充填剤を含む。
【0096】
一実施形態では、上記のように調製された固体担体成分は、80%のマレイン化ポリエチレンおよび(C)20%のオルガノポリシロキサンを含む。別の実施形態では、上記のように調製された固体担体成分は、成分(B)としてリサイクルされたポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、および上記の(C)オルガノポリシロキサンを含む。
【0097】
別の実施形態では、固体担体成分は、成分(A)として木細粉または木繊維、成分(D)として相溶化剤の種としてマレイン化ポリエチレン、および上記の(C)オルガノポリシロキサンを含む。この実施形態では、固体担体成分は、(A)30%の木繊維充填剤、(D)35%のマレイン化ポリエチレン、および(C)35%のオルガノポリシロキサンを含み得る。代替的な実施形態では、固体担体成分は、成分(A)として炭酸カルシウムとタルクとの混合物、成分(D)としてマレイン化ポリエチレン、および上記の(C)オルガノポリシロキサンを含む。
【0098】
この実施形態では、固体担体成分は、上記のような5%~95%の充填剤および95%~5%のオルガノポリシロキサンを含む。(C)オルガノポリシロキサンおよび(A)充填剤は、例えばリボンブレンダー、ペレット化ディスク、ペレット化ドラム、または当業者に知られている他の好適な機器を介する混合などの任意の便利な手段により組み合わされ得る。
【0099】
あるいは、固体担体成分は、固体担体成分を本組成物中の他の成分と組み合わせる前に、(C)オルガノポリシロキサンをポリエチレンなどの上記の(B)ポリマーの全部または一部と組み合わせることにより形成され得る。あるいは、固体担体成分は、固体担体成分を本組成物の他の成分と組み合わせる前に、(C)オルガノポリシロキサンを(D)相溶化剤としての官能化ポリマーと組み合わせることにより形成され得る。官能化ポリマーは、以下に記載されるように、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどの(D)相溶化剤の全部または一部であり得るか、あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、成分(A)充填剤の一部、成分(B)ポリマーの一部、および成分(D)の全部または一部のうちの2つ以上と組み合わされて、固体担体成分を本組成物中の他の出発材料と組み合わせる前に、固体担体成分が形成され得る。成分は、様々な操作順序で、かつ1つ以上の異なる操作で組み合わされ得る。
【0100】
成分(D)に好適な官能化ポリマーの例には、無水マレイン酸グラフト化高密度ポリエチレン(MAH-g-PE)が含まれる。MAH-g-PE中のグラフト化ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリオレフィンエラストマーであり得る。ポリエチレン鎖にグラフト化された無水マレイン酸成分の量は、滴定分析、FTIR分析、または任意の他の好適な方法により決定したとき、0.05重量パーセント超~3重量パーセント(ポリエチレンの重量に基づいて)である。あるいは、この量は、ポリエチレンの重量に基づいて、0.6~2.7重量パーセントである。いくつかの実施形態では、無水マレイン酸グラフト化成分の量は、ポリエチレンの重量に基づいて1.0~2.0重量パーセントである。あるいは、いくつかの実施形態では、無水マレイン酸グラフト化構成成分の量は、ポリエチレンの重量に基づいて、1.0~1.6重量パーセントである。いくつかの実施形態では、MAH-g-PEは、0.2g/10分~15g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。0.2~15g/10分の全ての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、MAH-g-PEは、0.2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11g/10分の下限から、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15g/10分の上限までのメルトインデックスを有し得る。いくつかの実施形態では、MAH-g-PEは、2~15g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。いくつかの実施形態では、MAH-g-PEは、5~15g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。いくつかの実施形態では、MAH-g-PEは、7~15g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0101】
MAH-g-PEのグラフト化プロセスは、開始剤を分解して、とりわけ、アゾ含有化合物、カルボン酸ペルオキシ酸およびペルオキシエステル、アルキルヒドロペルオキシド、ならびにジアルキルおよびジアシルペルオキシドを含むフリーラジカルを形成することにより開始することができる。これらの化合物およびそれらの特性の多くが記載されている(参考文献:J.Branderup,E.Immergut,E.Grulke,eds.「Polymer Handbook,」4th ed.,Wiley,New York,1999,Section II,pp.1-76.)。あるいは、開始剤の分解により形成される種は、酸素系フリーラジカルであり得る。あるいは、開始剤は、カルボン酸ペルオキシエステル、ペルオキシケタール、過酸化ジアルキル、および過酸化ジアシルからなる群から選択され得る。ポリマーの構造の改良に一般的に使用される例示的な開始剤は、米国特許第7,897,689号のコラム48の13行~コラム49の29行にかかる表に列挙されており、これは、参照により組み込まれる。あるいは、MAH-g-PEのグラフト化プロセスは、熱酸化プロセスにより生成されるフリーラジカルにより開始することができる。
【0102】
あるいは、この実施形態では、固体担体成分は、(C)オルガノポリシロキサンおよび(D)相溶化剤として官能化ポリマーを含み得る。官能化ポリマーは、官能化ポリオレフィンコポリマーであり得、これは、ポリオレフィンベースおよび1つ以上のグラフト化モノマーのグラフト化残基を含むグラフトコポリマーであり得る。官能化ポリオレフィンコポリマーは、官能化エチレンコポリマーであり得る。あるいは、官能化エチレンコポリマーは、エチレンと1つ以上の官能化コモノマーとの直接コポリマーであり得る。好ましい直接コポリマーには、エチレンと、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などの、α,β-不飽和ジカルボン酸、ならびに無水物、モノエステル、およびジエステルなどのα,β-不飽和ジカルボン酸の誘導体、ならびにジカルボン酸およびモノエステルのカルボン酸塩からなる群から選択される1つ以上の官能化コモノマーとのコポリマーが限定されることなく含まれる。あるいは、誘導体は、無水物、アルキルモノエステル、およびアルキルジエステルからなる群から選択され得る。あるいは、誘導体は独立して、1~4個の炭素原子を含む分岐または非分岐アルキル基のエステルから選択され得る。あるいは、α,β-不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸であり得る。あるいは、官能化コモノマーは、無水マレイン酸であり得る。直接コポリマーは、直接コポリマーの総重量に基づいて、0.01%~10%、あるいは0.1%~10%、あるいは0.1%~5%、あるいは0.3%~3%の量の官能化コモノマー(複数可)の共重合残基を含有し得る。
【0103】
直接コポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸エチル、および酢酸ビニルからなる群から選択される1つ以上の追加のコモノマーをさらに含み得る。好適なアルキル基は、分岐状または非分岐状であり、1~4個の炭素原子を含む。また好ましくは、直接コポリマーは、直接コポリマーの総重量に基づいて、最大40%、あるいは5%~30%の有限量の追加のコモノマー(複数可)の共重合残基を含む。
【0104】
直接コポリマー中の共重合エチレンの量は、共重合官能化コモノマー(複数可)および他のコモノマー(複数可)(存在する場合)の量に対して相補的であるため、直接コポリマー中のコモノマーの重量パーセントの合計は、100%である。
【0105】
直接コポリマーは、ASTM法No.D1238-13(2018年9月に有効になったバージョン)に従って決定される場合、190℃および2.16kgで、1~1000g/10分、あるいは1~500g/10分、あるいは1~20g/10分のメルトフローレート(MFR)を有し得る。
【0106】
好適な直接コポリマーの具体例には、直接コポリマーの総重量に基づいて、5%~30%のアルキルアクリレート、0.1%~5%の無水マレイン酸、および相補的量のエチレンのコポリマーが限定されることなく含まれる。
【0107】
好適な直接コポリマーは、高圧フリーラジカルプロセス、一般にはオートクレーブプロセスにおいて、エチレンと、官能化コモノマー(複数可)および他のコモノマー(複数可)(存在する場合)とのランダム共重合により合成され得る。例えば、エチレン/マレイン酸モノアルキルコポリマーは、米国特許第4,351,931号に記載されている好適な高圧プロセスを使用して得ることができる。さらに、好適な直接コポリマーは、Prussia,PAのArkema,Inc.of Kingからから、商品名Lotader(商標)ターポリマーおよびLyondell BasellからPlexar(商標)などの官能性ポリマーとして市販されている。
【0108】
好適なグラフトコポリマー、好適なポリオレフィンベース、好適なグラフト化モノマー、およびグラフトコポリマーを生成するための好適な方法は、例えば、米国特許第5,346,963号、同第6,545,091号、および同第5,053,457号に記載されている。
【0109】
しかし、簡単に述べると、グラフトコポリマーに好適なポリオレフィンベースには、ポリエチレンホモポリマー、ならびにアルファオレフィンとのコポリマー、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、およびエチレンと1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーが限定されることなく含まれる。アルキル基は、分岐していても分岐していなくてもよい。アルキル基は、1~4個の炭素原子を含み得る。
【0110】
ポリオレフィンベースがエチレンアルキル(メタ)アクリレートコポリマーである場合、それは、典型的には、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとの好ましいコポリマーに関して上記のようにマルチゾーンまたは「管状」反応器プロセスで合成される。
【0111】
ポリオレフィンベースがポリエチレンホモポリマーまたはエチレンとより多くのアルファオレフィンのうちの1つとのコポリマーである場合、ポリオレフィンベースは、好ましくは線状または実質的に線状である。ポリオレフィンベースに関して本明細書で使用される「実質的に線状」という用語は、1000個の炭素あたり0.01~3個の長鎖分岐で置換されているポリマー主鎖を指す。ポリオレフィンベースがポリエチレンホモポリマーまたはエチレンとより多くのアルファオレフィンのうちの1つのコポリマーである場合、ポリオレフィンベースは、線状または実質的に線状であり得る。長鎖分岐はポリマー主鎖と同じコモノマー分布を有し、ポリマー主鎖の長さと同じ長さを有し得る。長鎖分岐の長さは、短鎖分岐の炭素長さよりも長く、短鎖分岐は、ポリマー主鎖へのα-オレフィンコモノマーの組み込みから形成される。
【0112】
対照的に、ポリオレフィンベースに関して本明細書で使用される「線状」という用語は、測定可能または実証可能な長鎖分岐を欠く、すなわち、炭素1000個あたり0.01未満の長鎖分岐で置換されるポリマー主鎖を指す。
【0113】
長鎖分岐は、炭素-13核磁気共鳴(13C-NMR)分光法を使用することにより決定され得、Randallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3),1989,p.285-297)を使用して定量化され得る。
【0114】
ポリオレフィンベースは、ASTM法D1238(2018年9月に有効になったバージョン)に従って、190℃および2.16kgで決定される場合、1~1000g/10分、あるいは1~500g/10分、あるいは1~20g/10分のメルトフローレート(MFR)を有し得る。
【0115】
あるいは、ポリオレフィンベースは、ASTM法No.D792-91(2018年9月に有効になったバージョン)に従って測定される場合、0.855g/cm3~0.960g/cm3、あるいは0.930g/cm3~0.950g/cm3の密度を有し得る。代替的な密度範囲は、0.858g/cm3~0.935g/cm3、あるいは0.860g/cm3~0.910g/cm3、あるいは0.880g/cm3~0.900g/cm3である。他の代替的な範囲は、ポリオレフィンベースがエチレンとアルキルアクリレートとのコポリマーである場合、0.930g/cm3~0.960g/cm3であり得、ポリオレフィンベースがポリエチレンである場合、0.90g/cm3~0.960g/cm3であり得、ポリオレフィンベースがプラストマーである場合、0.860~0.910g/cm3であり得、すなわち、エチレンとアルファオレフィンとのコポリマーは、製造業者により報告されるように5,000~50,000ダルトンの分子量を有する。
【0116】
好適なグラフト化モノマーには、エチレン性不飽和カルボン酸が限定されることなく含まれる。好ましいグラフト化モノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、ナジック酸(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、またはより厳密には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)、シトラコン酸、およびイタコン酸が限定されることなく含まれる。例えば、無水物などのエチレン性不飽和カルボン酸の誘導体;金属塩;モノエステルおよびジエステルを含むエステル;アミド;イミドなども好適である。あるいは、グラフト化モノマーは、酸無水物であり得る。あるいは、グラフト化モノマーは、マレイン酸および無水マレイン酸からなる群から選択され得るか、あるいは無水マレイン酸であり得る。
【0117】
グラフトコポリマーは、グラフトコポリマーの総重量に基づいて、最大10%、あるいは最大5%、あるいは最大1%~4%のグラフト化モノマーの有限量を含み得る。ポリオレフィンベースの重量パーセントは、グラフト化モノマーの量に対して相補的であるため、グラフトコポリマー中のポリオレフィンベースとグラフト化モノマーとの重量パーセントの合計は、100%である。
【0118】
グラフトコポリマーの好適なメルトフローレートは、ポリオレフィンベースに関して上に記載されるとおりであり、ポリオレフィンベースに関して上に記載されるように測定される。
【0119】
ポリエチレンおよびエチレンコポリマーは、当技術分野で知られている任意の好適なプロセスにより合成および官能化され得る。例えば、ポリエチレンから生成されたグラフトコポリマー、ならびに線状および実質的に線状のエチレンアルファ-オレフィンコポリマーは、米国特許第5,346,963号および同第6,545,091号に記載されているように生成され得る。エチレンと酢酸ビニルまたはアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーから生成されるグラフトコポリマーは、I-Hwa Leeに発行された米国特許第5,053,457号、ならびに米国特許第4,861,677号、同第4,861,676号、同第4,670,349号、同第4,358,557号、同第3,932,332号、同第4,576,995号、ならびに日本特許出願第59055743号、同第54057582号(Derwent Abstract No.46260B/25として報告される)、および同第58203043号(Derwent Abstract No.84-008480/02として報告される)を含むそこに引用された参考文献に記載されている。
【0120】
固体担体成分を作製するための方法の特定の実施形態では、(B)ポリマーおよび任意に他の成分、例えば、(D)相溶化剤(利用される場合)は、(B)ポリマーの融点温度範囲内の+/-30℃で加熱される押し出し機の第1のゾーンに配置される。(C)オルガノポリシロキサンは、(B)ポリマーの融点温度よりも10℃~90℃高い温度で加熱される押し出し機の第2のゾーンに配置される。(A)充填剤は、存在する場合、押し出し機の第1、第2、または後続のゾーンのいずれかに配置される。上記のように、利用される温度は、典型的には、本組成物の成分の分解温度よりも低い。ある特定の実施形態では、押し出し機のダイでの加圧および形成の前に、混合物はストリッピングされて、空気、水分、または副産物が一切除去される。真空、加圧、および形成ゾーンも加熱され得、任意のゾーンおよびダイの温度を含む押し出し機により利用される温度は、(B)ポリマーまたは(A)充填剤の分解温度を超えない。当業者に理解されるように、(B)ポリマーおよび(A)充填剤の分解温度は、それらの選択に依存する。得られた押し出しストランドは、(C)オルガノポリシロキサンおよび少なくとも1つの他の成分を含む固体担体成分を形成するために、任意の便利な手段により粉砕され得る。
【0121】
ある特定の実施形態では、成分(A)充填剤、(B)ポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンに加えて、上記のようなポリマー複合体物品を調製するための組成物は、(D)相溶化剤、(E)着色剤、(F)発泡剤、(G)UV安定剤、(H)酸化防止剤、(I)加工助剤、(J)防腐剤、(K)殺生物剤、(L)難燃剤、および(M)衝撃性改良剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。各添加剤は、利用される場合、本組成物の総重量に基づいて、0超~30重量パーセントの量で本組成物中に存在し得る。本組成物は、当技術分野で知られているように、他の任意の添加剤も含み得る。そのような添加剤は、例えば、Walker,Benjamin M.,and Charles P.Rader,eds.Handbook of thermoplastic elastomers.New York:Van Nostrand Reinhold,1979、Murphy,John,ed.Additives for plastics handbook.Elsevier,2001に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。(C)オルガノポリシロキサンが固体担体成分中に存在する場合、これらの添加剤の1つ以上が固体担体成分中に含まれ得る。
【0122】
上記のポリマー複合体物品を調製するための組成物の成分を選択するとき、本明細書に記載のある特定の成分は2つ以上の機能を有することがあるため、成分のタイプ間に重複があり得る。例えば、ある特定の多糖類は、1つの複合体では充填剤として、異なる複合体ではポリマーとして有用であり得る。ある特定の官能性ポリマーは、成分(D)として有用であり得る。ある特定の微粒子は、充填剤および顔料として、さらには難燃剤としても有用であり得る、例えばカーボンブラック。本組成物のための成分を選択するとき、各実施形態のために選択された成分は、互いに異なる。
【0123】
本明細書で使用される場合、(D)相溶化剤は、(A)充填剤上の(B)ポリマー(例えば、ポリエチレン)の湿潤を改良するか、あるいは改善する任意の化合物または成分であり得る。そのような相溶化剤の例には、チタンアルコラート;リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、およびケイ酸のエステル;脂肪族、芳香族、および脂環式酸の金属塩およびエステル;エチレン/アクリル酸またはメタクリル酸;アクリル酸またはメタクリル酸のエチレン/エステル;酢酸エチレン/酢酸ビニル樹脂、無水スチレン/無水マレイン酸樹脂、またはそれらのエステル;アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、メタクリレート/ブタジエンスチレン樹脂(MBS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)、ならびにブタジエンアクリロニトリルコポリマーが含まれる。あるいはまたはさらに、(D)相溶化剤は、シラン、例えば、炭化水素オキシシラン、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組み合わせ、アミノ官能性シラン、またはそれらの組み合わせを含み得る。シランは、アミノ、エポキシ、メルカプト、および/またはアクリレート基などの接着促進基であり得る任意の官能基を含み得る。官能基の組み合わせが利用され得、例えば、(D)相溶化剤は、エポキシ官能性アルコキシシランを含み得る。好適なエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピルおよび(エポキシシクロヘキシル)エチルにより例示される。不飽和有機基は、3-メタクリルオキシプロピル、3-アクリルオキシプロピル、およびビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニルなどの不飽和の一価炭化水素基により例示される。好適なエポキシ官能性アルコキシシランの例には、3-グリシドキシプロピルトリムエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適な不飽和アルコキシシランの例には、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびそれらの組み合わせが含まれる。アミノ官能性アルコキシシランなどのアミノ官能性シランは、当技術分野で理解されているように、様々なアミノ基を有し得る。
【0124】
相溶化剤の他の例には、無水マレイン酸またはエステル、アクリル酸またはメタクリル酸またはエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびスチレンなどの極性モノマーを含む反応性基を使用して、それぞれポリエチレンおよびポリプロピレンを変性することにより得られる変性ポリエチレンおよび変性ポリプロピレンが含まれる。好適な(D)相溶化剤の追加の具体例には、成分(B)について上で記載および例示されるポリエチレンが含まれるが、シランまたは無水マレイン酸でグラフト化されるポリエチレン、例えば、シラングラフト化ポリエチレン、または無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンもしくは無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレンは含まれない。無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンは、マレイン化ポリエチレンと呼ばれることがある。好適な(D)相溶化剤の例は、例えば、PCT公開第WO2007/071732号および同第WO2015/076970号、ならびに米国特許第8,722,773号のコラム6に開示されており、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。あるいは、(D)相溶化剤は、別個の成分として、すなわち、ポリエチレンにグラフト化されていない無水マレイン酸を含み得る。利用される場合、本組成物は、典型的には、本組成物の総重量に基づいて、0超~10重量パーセントの量の(D)相溶化剤を含む。しかし、その選択に応じて、この範囲外であっても、様々な量の(D)相溶化剤が利用され得る。例えば、この特定の実施形態では、(D)相溶化剤が無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを含む場合、(D)相溶化剤中に存在するポリエチレンに起因して、より多量の(D)相溶化剤およびより少量の(B)ポリエチレンが本組成物中で利用され得る。
【0125】
(E)着色剤は限定されず、例えば、顔料、染料であり得る。そのような(E)着色剤は、有機または無機、合成または天然であり得る。好適な顔料の非限定的な例には、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムグリーン、カドミウムオレンジ、カーボンブラック(バインブラック、ランプブラックを含む)、アイボリーブラック(骨炭)、クロムイエロー、クロムグリーン、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、オーレオリン(コバルトイエロー)、藍銅鉱、ハンパープル、ハンブルー、エジプシャンブルー、孔雀石、花緑青、フタロシアニンブルーBN、フタロシアニングリーンG、緑青、ビリジアン、血紅色、キャットモルタム、酸化レッド、レッドオーカー、ベネチアンレッド、紺青、イエローオーカー、生シエナ、バーントシエナ、生アンバー、バーントアンバー、クレムニッツホワイト、ナポリイエロー、バーミリオンチタンイエロー、チタンベージュ、チタンホワイト、チタンブラック、ウルトラマリン、ウルトラマリングリーンシェード、亜鉛ホワイト、亜鉛フェライト、アリザリン(合成または天然)、アリザリンクリムゾン(合成または天然)、雌黄色、コチニールレッド、ローズマダー、インディゴ、インディアンイエロー、チリアンパープル、キナクリドン、マゼンタ、フタログリーン、フタロブルー、ピグメントレッド170、またはそれらの組み合わせが含まれる。そのような(E)着色剤は、典型的には、ポリマー複合体物品の所望の美観に基づいて選択および利用される。
【0126】
利用される場合、(F)発泡剤は、物理的発泡剤、化学的発泡剤、または物理的発泡剤と化学的発泡剤との組み合わせであり得る。物理的発泡剤の具体例には、炭化水素および液体二酸化炭素を含むが、これらに限定されない様々なガスおよび揮発性液体が含まれる。例えば、物理的発泡剤は、プロパン、ブタン、イソブタン、またはそれらの組み合わせを含む、1~5個、あるいは3~5個の炭素原子を有する炭化水素;1~5個の炭素原子を有するヒドロフルオロカーボン、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1-ジフルオロエタン;ジメチルエーテルなどを含む。化学的発泡剤の具体例には、反応または分解、例えば、特定の温度での反応または分解時にガスを放出する有機または無機化合物が含まれる。(F)発泡剤は、閉鎖セルおよび/または開放セル構造を調製するために利用され得る。(F)発泡剤は、代替的に発泡剤と呼ばれ得る。
【0127】
利用される場合、(G)UV安定剤は、当技術分野で知られている任意のUV安定剤であり得る。その具体例には、フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-、分岐状、および線状(TINUVIN(商標)571)が含まれる。好適な(G)UV安定剤の追加の例には、ビス(l,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチルl,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/セバケート、およびそれらの組み合わせ(TINUVIN(商標)272)が含まれる。これらおよびTINUVIN(登録商標)765などの他のTINUVIN(商標)添加剤は、BASFから市販されている。他のUVおよび光安定剤は市販されており、ChemturaのLowLite、PolyOneのOnCap、およびDelaware,U.S.A.のE.I.du Pont de Nemours and CompanyのLight Stabilizer210により例示される。オリゴマー抗酸化安定剤(具体的には、ヒンダードアミン光安定剤(HALS))の例は、BASF TINUVIN(商標)622であり、これは、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-l-ピペリジンエタノールと共重合したブタン二酸のジメチルエステルである。
【0128】
利用される場合、(H)抗酸化剤は、当技術分野で知られている任意の抗酸化剤であり得る。その具体例には、フェノール系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤と安定剤との組み合わせが含まれる。フェノール系酸化防止剤は、完全に立体障害のあるフェノールおよび部分的に障害のあるフェノール;テトラメチル-ピペリジン誘導体などの立体障害アミンを含む。好適なフェノール系酸化防止剤には、ビタミンE、およびBASFからのIRGANOX(商標)1010が含まれる。IRGANOX(商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。抗酸化剤の追加の例は、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、ジパルミチン酸アスコルビル、メチルシラノールペクチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、BHA、p-ヒドロキシアニソール、BHT、t-ブチルヒドロキノン、コーヒー酸、ツバキ科の油、アスコルビン酸キトサン、グリコール酸キトサン、サリチル酸キトサン、クロロゲン酸、システイン、システインHCI、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、チオジプロピオン酸ジセチル、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、トリオレイン酸ジガロイル、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビル硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジトリデシル、没食子酸ドデシル、フェルラ酸エチル、フェルラ酸、ヒドロキノン、ヒドロキシルアミンHCI、硫酸ヒドロキシルアミン、チオグリコール酸イソオクチル、コウジ酸、マデカッソシド、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、メラトニン、ルチニルコハク酸メトキシ-PEG-7(methoxy-PEG-7 rutinyl succinate)、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、アスコルビン酸メチルシラノール、ノルジヒドログアヤレト酸、没食子塩オクチル、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビルトコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコールアミド、亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビル/コレステリルリン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、メタ二硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチル(sorbityl)フルフラール、ティーツリー(メラルーカアルテルニフォーリア)油、酢酸トコフェリル、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル、テトラヒドロジフェルロイルメタン、リノール酸/オレイン酸トコフェリル、チオジグリコール、コハク酸トコフェリル、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス-5、トコフェレス10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、リノール酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、トコキノン、o-トリルビグアニド、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ユビキノン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、およびそれらの混合物である。
【0129】
利用される場合、(I)加工助剤は(C)オルガノポリシロキサンとは異なるが、(I)加工助剤は(C)オルガノポリシロキサンについて上記のオルガノポリシロキサンのいずれかであり得る。(I)加工助剤は、Elmer D.Lipp Appl.Spectrosc.1991,45,477に記載されている手順に従ってFTIRにより測定される場合、非官能性オルガノポリシロキサンの重量に基づいて、0~50ppm未満のOH、あるいは検出不可能な量のOHを含有し得る非官能性オルガノポリシロキサン、例えば、ポリジメチルシロキサンも含み得る。(I)加工助剤は、内部加工助剤、外部加工助剤、またはそれらの組み合わせであり得る。(I)加工助剤は、固体、例えば、粉末固体、油などの液体などであり得る。(I)加工助剤の具体例には、エチレンビスステアラミド(EBS)、炭化水素ワックス、それらの脂肪酸およびエステル、塩素化パラフィンワックス、ステアリン酸金属などが含まれる。(C)オルガノポリシロキサンは、(I)加工助剤が利用される場合、(C)オルガノポリシロキサンおよび(I)加工助剤が共に利用されるように、(I)加工助剤と組み合わされ得る。組み合わされる場合、(I)加工助剤は、それらの各々の選択および相対量に応じて、(C)オルガノポリシロキサンの担体ビヒクルとしても機能し得る。
【0130】
(J)防腐剤の例には、パラベン誘導体、ヒダントイン誘導体、クロルヘキシジンおよびその誘導体、イミダゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、銀誘導体、サリチレート誘導体、トリクロサン、シクロピロックスオラミン、ヘキサミジン、オキシキノリンおよびその誘導体、PVPヨード、亜鉛塩および誘導体、例えば、亜鉛ピリチオン、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0131】
(K)殺生物剤は、(K1)殺真菌剤、(K2)除草剤、(K3)殺虫剤、(K4)抗菌剤、またはそれらの組み合わせにより例示され得る。
【0132】
(K1)殺真菌剤の具体例には、N-置換ベンズイミダゾールカルバメート、ベンズイミダゾリルカルバメート、例えば、メチル2-ベンズイミダゾリルカルバメート、エチル2-ベンズイミダゾリルカルバメート、イソプロピル2-ベンズイミダゾリルカルバメート、メチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)-5-メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N-メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N-メチルカルバモイル)-6-メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N-メチルカルバモイル)-5-メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[2-(N-メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[l-(N-メチルカルバモイル)-6-メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN-{2-[l-(N-メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N-プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N-ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN-{2-[l-(N-プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN-{2-[l-(N-ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[l-(N-プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[l-(N-ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{1-(N,N-ジメチルカルバモイルオキシ)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[N-メチルカルバモイルオキシ)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N-ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[l-(N-プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[l-(N-ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-クロロベンズイミダゾリル]}カルバメート、およびメチルN-{2-[l-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-ニトロベンズイミダゾリル]}カルバメート;10,10’-オキシビスフェノキサルシン(商品名、Vinyzene(OB PA)を有する)、ジ-ヨードメチル-パラ-トリルスルホン、ベンゾチオフェン-2-シクロヘキシルカルボキサミド-S,S-ジオキシド、N-(フルオロジクロリドメチルチオ(fluordichloridemethylthio))フタルイミド(商品名、Fluor-Folper、およびPreventol A3を有する);メチル-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(商品名、Carbendazim、およびPreventol BCMを有する)、亜鉛-ビス(2-ピリジルチオ-l-オキシド)(亜鉛ピリチオン)2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール、N-フェニル-ヨードプロパルギルカルバメート、N-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロリド-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、N-ブチル-l,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、ならびに/またはトリアゾリル化合物、例えば、銀を含有するゼオライトと組み合わせたテブコナゾールが含まれる。
【0133】
(K2)除草剤の具体例には、アリドクロルN,N-ジアリル-2-クロロアセトアミドなどのアミド除草剤;CDEA2-クロロ-N,N-ジエチルアセトアミド;エトニプロミド(RS)-2-[5-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-ニトロフェノキシ]-N-エチルプロピオンアミド;シスアニリドシス-2,5-ジメチルピロリジン-l-カルボキシアニリドなどのアニリド除草剤;フルフェナセット4’-フルオロ-N-イソプロピル-2-[5-(トリフルオロメチル)-l,3,4-チアジアゾール-2-イルオキシジャセトアニリド;ナプロアニリド(RS)-α-2-ナフトキシプロピオンアニリド;ベンゾイルプロップN-ベンゾイル-N-(3,4-ジクロロフェニル)-DL-アラニンなどのアリールアラニン除草剤;フラムプロップ-M N-ベンゾイル-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-D-アラニン;ブタクロルN-ブトキシメチル-2-クロロ-2’,6’-ジエチルアセトアニリドなどのクロロアセトアニリド除草剤;メタザクロル2-クロロ-N-(ピラゾール-1-イルメチル)アセト-2’,6’-キシリジド;プリナクロル(RS)-2-クロロ-N-(l-メチルプロプ-2-イニル)アセトアニリド;クロランスラム3-クロロ-2-(5-エトキシ-7-フルオロ[l,2,4]トリアゾロ[l,5-α]ピリミジン-2-イルスルホンアミド)安息香酸などのスルホンアニリド除草剤;メトスラム2’,6’-ジクロロ-5,7-ジメトキシ-3’-メチル[l,2,4]トリアゾロ[l,5-α]ピリミジン-2-スルホンアニリド;ビラナホス4-[ヒドロキシ(メチル)ホスフィノイル]-L-ホモアラニル-L-アラニル-L-アラニンなどの抗生物質除草剤;クロラムベン3-アミノ-2,5-ジクロロ安息香酸などの安息香酸除草剤;2,3,6-TBA2,3,6-トリクロロ安息香酸;ビスピリバク2,6-ビス(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルオキシ)安息香酸などのピリミジニルオキシ安息香酸除草剤;ピリチオバク2-クロロ-6-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルチオ)安息香酸などのピリミジニルチオ安息香酸除草剤;クロルタールテトラクロロテレフタル酸などのフタル酸除草剤;アミノピラリド4-アミノ-3,6-ジクロロピリジン-2-カルボン酸などのピコリン酸除草剤;キンクロラック3,7-ジクロロキノリン-8-カルボン酸などのキノリンカルボン酸除草剤;CMAカルシウムビス(水素化メチルアルソネート)などのヒ素除草剤;MAMAアンモニウム水素メチルアルソネート;亜ヒ酸ナトリウム;メソトリオン2-(4-メシル-2-ニトロベンゾイル)シクロヘキサン-l,3-ジオンなどのベンゾイルシクロヘキサンジオン除草剤;ベンフレセート2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチルベンゾフラン-5-イルエタンスルホナートなどのベンゾフラニルアルキルスルホナート除草剤;カルボキサゾールメチル5-イエ/t-ブチル-l,2-オキサゾール-3-イルカルバメートなどのカルバメート除草剤;フェナスラムメチル4-[2-(4-クロロ-オトリルオキシ)アセトアミド]フェニルスルホニルカルバメート;BCPC(RS)-sec-ブチル3-クロロカルバニレートなどのカルバニレート除草剤;デスメディファムエチル3-フェニルカルバモイルオキシフェニルカルバメート;スウェップメチル3,4-ジクロロカルバニレート;ブトロキシジム(RS)-(EZ)-5-(3-ブチリル-2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(l-エトキシイミノプロピル)-3-ヒドロキシシクロヘキサ-2-エン-l-オンなどのシクロヘキセンオキシム除草剤;テプラロキシジム(RS)-(EZ)-2-{l-[(2E)-3-クロロアリルオキシイミノ]プロピル}-3-ヒドロキシ-5-ペルヒドロピラン-4-イルシクロヘキサ-2-エン-l-オン;イソキサクロルトール4-クロロ-2-メシルフェニル5-シクロプロピル-l,2-オキサゾール-4-イルケトンなどのシクロプロピルイソキサゾール除草剤;フルメジン2-メチル-4-(α,α,α-トリフルオロ-m-トリル)-1,2,4-オキサジアジナン-3,5-ジオンなどのジカルボキシイミド除草剤;エタンフルラリンN-エチル-α,α,α-トリフルオロ-N-(2-メチルアリル)-2,6-ジニトロ-p-トルイジンなどのジニトロアニリン除草剤;プロジアミン5-ジプロピルアミノ-α,α,α-トリフルオロ-4,6-ジニトロ-o-トルイジン;ジノプロップ4,6-ジニトロ-o-シメン-3-オールなどのジニトロフェノール除草剤;エチノフェンa-エトキシ-4,6-ジニトロ-o-クレゾール;エトキシフェンO-[2-クロロ-5-(2-クロロ-α,α,α-トリフルオロ-p-トリルオキシ)ベンゾイル]-L-乳酸などのジフェニルエーテル除草剤;アクロニフェン2-クロロ-6-ニトロ-3-フェノキシアニリンなどのニトロフェニルエーテル除草剤;ニトロフェン2,4-ジクロロフェニル4-ニトロフェニルエーテル;ダゾメット3,5-ジメチル-l,3,5-チアジアジナン-2-チオンなどのジチオカルバメート系除草剤;ダラポン2,2-ジクロロプロピオン酸などのハロゲン化脂肪族除草剤;クロロ酢酸;イマザピル(RS)-2-(4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル)ニコチン酸などのイミダゾリノン除草剤;四ホウ酸二ナトリウム十水和物などの無機除草剤;アジ化ナトリウム;クロロキシニル3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾニトリルなどのニトリル除草剤;イオキシニル4-ヒドロキシ-3,5-ジ-ヨードベンゾニトリル;アニロフォスS-4-クロロ-N-イソプロピルカルバニロイルメチルO,O-ジメチルホスホロジチオエートなどの有機リン酸除草剤;グルホシネート4-[ヒドロキシ(メチル)ホスフィノイル]-DL-ホモアラニン;クロメプロップ(RS)-2-(2,4-ジクロロ-m-トリルオキシ)プロピオンアニリドなどのフェノキシ除草剤;フェンテラコール2-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)エタノール;MCPA(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)酢酸などのフェノキシ酢酸除草剤;MCPB 4-(4-クロロ-o-トリルオキシ)酪酸などのフェノキシ酪酸除草剤;フェノプロプ(RS)-2-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)プロピオン酸などのフェノキシプロピオン酸除草剤;イソキサピリフォップ((RlS’)-2-[2-[4-(3,5-ジクロロ-2-ピリジルオキシ)フェノキシ]プロピオニル]イソキサゾリジンなどのアリールオキシフェノキシプロピオン酸除草剤;ジニトラミンNl,Nl-ジエチル-2,6-ジニトロ-4-トリフルオロメチル-m-フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン除草剤、ピラゾキシフェン2-[4-(2,4-ジクロロベンゾイル)-l,3-ジメチルピラゾール-5-イルオキシ]アセトフェノンなどのピラゾリルオキシアセトフェノン除草剤;ピラフルフェン2-クロロ-5-(4-クロロ-5-ジフルオロメトキシ-l-メチルピラゾール-3-イル)-4-フルオロフェノキシ酢酸などのピラゾリルフェニル除草剤;ピリダフォール6-クロロ-3-フェニルピリダジン-4-オールなどのピリダジン除草剤;クロリダゾン5-アミノ-4-クロロ-2-フェニルピリダジン-3(2H)-オンなどのピリダジノン除草剤;オキサピラゾン5-ブロモ-l,6-ジヒドロ-6-オキソ-l-フェニルピリダジン-4-イルオキサミン酸;フルオロキシピル4-アミノ-3,5-ジクロロ-6-フルオロ-2-ピリジルオキシ酢酸などのピリジン除草剤;チアゾピルメチル2-ジフルオロメチル-5-(4,5-ジヒドロ-l,3-チアゾール-2-イル)-4-イソブチル-6-トリフルオロメチルニコチネート;イプリミダム6-クロロ-N4-イソプロピルピリミジン-2,4-ジアミンなどのピリミジンジアミン除草剤;ジエタムクアット1,1’-ビス(ジエチルカルバモイルメチル)-4,4’-ビピリジニウムなどの四級アンモニウム除草剤;パラコートl,-ジメチル-4,4’-ビピリジニウム;シクロエートS-エチルシクロヘキシル(エチル)チオカルバメートなどのチオカルバメート除草剤;チオカルバジルS-ベンジルジ-sec-ブチルチオカルバメート;EXD O,O-ジエチルジチオビス(チオホルメート)などのチオカーボネート除草剤;メチウロンl,l-ジメチル-3-m-トリル-2-チオ尿素などのチオ尿素除草剤;トリアジフラム(R5’)-N-[2-(3,5-ジメチルフェノキシ)-l-メチルエチル]-6-(l-フルオロ-l-メチルエチル)-l,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンなどのトリアジン除草剤;シプラジン6-クロロ-N2-シクロプロピル-N4-イソプロピル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンなどのクロロトリアジン除草剤;プロパジン6-クロロ-N2,N4-ジ-イソプロピル-l,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン;プロメトンN2,N4-ジ-イソプロピル-6-メトキシ-l,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンなどのメトキシトリアジン除草剤;シアナトリン2-(4-エチルアミノ-6-メチルチオ-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)-2-メチルプロピオニトリルなどのメチルチオトリアジン除草剤;ヘキサジノン3-シクロヘキシル-6-ジメチルアミノ-l-メチル-l,3,5-トリアジン-2,4(lH,3H)-ジオンなどのトリアジノン除草剤;エプロナズN-エチル-N-プロピル-3-プロピルスルホニル-lH-l,2,4-トリアゾール-l-カルボキサミドなどのトリアゾール除草剤;カルフェントラゾン(RS)-2-クロロ-3-{2-クロロ-5-[4-(ジフルオロメチル)-4,5-ジヒドロ-3-メチル-5-オキソ-lH-l,2,4-トリアゾール-l-イル]-4-フルオロフェニル}プロピオン酸などのトリアゾロン除草剤;フロラスラム2’,6’,8-トリフルオロ-5-メトキシ[l,2,4]トリアゾロ[l,5-c]ピリミジン-2-スルホンアニリドなどのトリアゾロピリミジン除草剤;フルプロパシルイソプロピル2-クロロ-5-(l,2,3,6-テトラヒドロ-3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチルピリミジン-l-イル)ベンゾエートなどのウラシル除草剤;サイクロン3-シクロ-オクチル-l,l-ジメチル尿素などの尿素除草剤;モニソウロンl-(5-イエリ(ieri)-ブチル-l,2-オキサゾール-3-イル)-3-メチル尿素;クロロクスロン3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-l,l-ジメチル尿素などのフェニル尿素除草剤;シズロンl-(2-メチルシクロヘキシル)-3-フェニル尿素;フラザスルフロンl-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)-3-(3-トリフルオロメチル-2-ピリジルスルホニル)尿素などのピリミジニルスルホニル尿素除草剤;ピラゾスルフロン5-[(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルカルバモイル)スルファモイル]-1-メチルピラゾール-4-カルボン酸;チフェンスルフロン3-(4-メトキシ-6-メチル-l,3,5-トリアジン-2-イルカルバモイルスルファモイル)チオフェン-2-カルボン酸などのトリアジニルスルホニル尿素除草剤;テブチウロンl-(5-tert-ブチル-l,3,4-チアジアゾール-2-イル)-l,3-ジメチル尿素などのチアジアゾリル尿素除草剤;ならびに/またはクロルフェナク(2,3,6-トリクロロフェニル)酢酸などの未分類の除草剤;メタゾール2-(3,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-l,2,4-オキサジアゾリジン-3,5-ジオン;トリタック(RS)-l-(2,3,6-トリクロロベンジルオキシ)プロパン-2-オール;2,4-D、クロリムロン、およびフェノキサプロップ;ならびにこれらの組み合わせが含まれる。
【0134】
(K3)殺虫剤の具体例には、アトラジン、ダイアジノン、およびクロルピリホスが含まれる。(K3)殺虫剤には、Ν,Ν-ジエチル-メタ-トルアミド、およびピレスロイド、例えば、ピレスリンなどの防虫剤が含まれる。
【0135】
Midland,Michigan,U.S.A.のDow Silicones Corporationから市販されているBIOSIL(商標)5700抗菌剤およびBIOSIL(商標)5772抗菌剤などの好適な(K4)抗菌剤が市販されている。
【0136】
あるいは、(K)殺生物剤は、ホウ素含有材料、例えば、無水ホウ酸、ホウ砂、または八ホウ酸二ナトリウム四水和物を含み得、殺虫剤、殺真菌剤、および/または難燃剤として機能し得る。
【0137】
好適な(L)難燃剤の具体例には、カーボンブラック、水酸化アルミニウム水和物、水酸化マグネシウム、ハイドロマグネサイト、およびシリケート、例えば、珪灰石、白金、および白金化合物が含まれる。あるいは、(L)難燃剤は、利用される場合、ハロゲン系難燃剤、例えば、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモビフェニルオキシド、ジフェニオキシベンゼン、エチレンビス-テトラブロモフタルイミド、ペンタブロモエチルベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルマレイン酸イミド、テトラブロモビスフェニルA、ビス-(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス-(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ポリジボモフェニレンオキシド、トリブロモフェニルアリルエーテル、ビス-ジブロモプロピルエーテル、無水テトラブロモフタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ペンタブロモジフェニルオキシド、トリブロモスチレン、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、テトラブロモキシレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ブロム化ポリスチレン、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、トリフルオロプロペン、およびPVCから選択され得る。あるいは、(L)難燃剤は、利用される場合、リン系難燃剤、例えば、(2,3-ジブロモプロピル)-ホスフェート、リン、環状ホスフェート、トリアリールホスフェート、ビス-メラミニウムペンテート、ペンタエリスリトール二環式ホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、ホスフィンオキシドジオール、トリフェニルホスフェート、トリス-(2-クロロエチル)ホスフェート、リン酸エステル、例えば、トリクレイル、トリキシレニル、イソデシルジフェニル、エチルヘキシルジフェニル、様々なアミンのリン酸塩、例えば、リン酸アンモニウム、トリオクチル、トリブチル、またはトリス-ブトキシエチルリン酸エステルから選択され得る。他の好適な(L)難燃剤は、テトラエチル鉛、鉄ペンタカルボニル、マンガンメチルシクロペンタジエニルトリカルボニル、メラミン、ならびに誘導体、例えば、メラミン塩、グアニジン、ジシアンジアミド、スルファミン酸アンモニウム、アルミナ三水和物、および水酸化マグネシウムアルミナ三水和物などのテトラアルキル鉛化合物を含み得る。
【0138】
好適な(M)衝撃性改良剤の具体例には、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、メタクリレートブタジエンスチレン(MBS)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、無水マレイン酸変性SEBS、アクリル、ポリアクリレート、塩素化ポリエチレンエラストマー(CPE)、エチレンプロピレンジエンモノマー、無水マレイン酸変性EPDM、スチレンアクリロニトリル変性EPDM、DMA変性エチレン-アクリレートコポリマー、アイオノマー、熱可塑性エラストマーおよびプラストマー、変性ポリオレフィン(反応性および/または非反応性)、シリコーンゴム(例えば、アルキルおよび/またはアリールシリコーンゴム)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0139】
ポリマー複合体物品を調製するための方法も提供される。本方法は、本組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、本組成物を形成することをさらに含む。本組成物は、少なくとも成分(A)充填剤、(B)ポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンを、本組成物中に存在するいずれか任意の成分と共に組み合わせることにより形成される。(C)オルガノポリシロキサンが固体担体成分の形態である場合、本方法は、(A)充填剤、(B)ポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンを含む固体担体成分を組み合わせることを含む。
【0140】
本組成物の成分は、任意の順序で、任意の好適な様式で組み合わされ得る。ある特定の実施形態では、例えば、(B)ポリマーとして熱可塑性物質が使用される場合、(B)ポリマーは、本組成物の形成前、形成中、および/または形成後に溶融され得る。例えば、(B)ポリマーは、(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンが(B)ポリマーの溶融形態と組み合わされるように、成分を組み合わせる前および/またはその間に加熱され得る。(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンは、任意の順序で(B)ポリマーの溶融形態と、例えば、個別に、連続して、一緒に、または同時に組み合わされ得る。しかし、あるいは、(B)ポリマーは、本組成物を調製するときに(B)ポリマーが固体で未溶融または軟化していない形態になるように、(B)ポリマーを加熱または溶融する前に(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンと組み合わされ得る。あるいは、(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンを組み合わせて加熱し、次に本組成物を調製するときに固体または液体形態の(B)ポリマーに添加され得る。
【0141】
(B)ポリマーの融点温度(またはガラス転移温度)は、典型的には、利用される(B)ポリマーにより変化する。例えば、ポリエチレンの場合、高密度ポリエチレンは、低密度ポリエチレンよりも高い融点温度を有し得る。さらに、ある特定の種のポリマーは、他の種のポリマーとは異なる融点温度を有する。ある特定の実施形態では、(B)ポリマーは、本組成物の形成前、形成中、および/または形成後に、(B)ポリマーの融点温度より高い、例えば、(B)ポリマーの融点温度よりも10~90、あるいは10~40℃高い温度に加熱される。これにより、(B)ポリマーの単なる軟化ではなく溶融を確実にする。あるいは、より低い温度が剪断または混合と組み合わせて利用されて、(B)ポリマーの軟化および/または溶融を確実にし得る。
【0142】
(C)オルガノポリシロキサンは、液体形態であり得るか、ペレット化マスターバッチ、すなわち(C)オルガノポリシロキサンと1つ以上の他のポリマー成分との組み合わせである固体の形態で送達され得る。例えば、(B)ポリマーおよび(C)オルガノポリシロキサンを組み合わせると、マスターバッチを得ることができ、その後これを(A)充填剤と組み合わせて、本組成物を得る。しかし、あるいは、複数のマスターバッチが形成され得、例えば、(B)ポリマーおよび(A)充填剤の一部を有する1つのマスターバッチ、ならびに((B)ポリマーおよび(C)オルガノポリシロキサンの一部を有する追加のマスターバッチを調製、および組み合わせて、本組成物を得ることができる。あるいは、固体担体成分は、(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンを含むか、あるいはそれらから本質的になるか、あるいはそれらからなり得る。
【0143】
ある特定の実施形態では、(A)充填剤、および(C)オルガノポリシロキサン、および少なくとも1つの他の成分(例えば、上記の追加の成分のうちの1つ以上)を組み合わせて、混合物を得ることができ、混合物を(B)ポリマー(および任意の他の追加の成分)と組み合わせて、本組成物を得る。(A)充填剤と(C)オルガノポリシロキサンとを組み合わせることは、(A)充填剤の表面処理、湿潤化、または前処理と呼ばれることがあり、上記の(A)充填剤を表面処理することに対する追加またはその代替となり得る。あるいは、(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンは、噴霧、含浸、ブレンド、または混合により組み合わされ得る。(A)充填剤と(C)オルガノポリシロキサンとを組み合わせることは、例えば、(C)オルガノポリシロキサンを(A)充填剤に結合するための加熱をさらに含み得る。任意に、得られた(A)充填剤と(C)オルガノポリシロキサンとの組み合わせは、ペレットが利用される場合、ペレット化される前に圧縮されて、ペレットが形成され得る。(A)充填剤と(C)オルガノポリシロキサンとを組み合わせることは、別個のプロセスで行われ得るか、または予備混合ステップでポリマー複合体物品を作製するための既存のプロセス(例えば、押し出し)に統合され得る。予備混合ステップでは、成分は、押し出し機に供給する前に一緒にブレンドされ得、例えば、(A)充填剤、および(C)オルガノポリシロキサン(上記のように調製される)、および(B)ポリマー、および1つ以上の追加の成分の全部または一部は、予備混合ステップで混合され、その後、押し出し機に供給され得る。
【0144】
(C)オルガノポリシロキサンは、(A)充填剤と組み合わされながら、担体ビヒクルと配置されるかもしくは担体ビヒクルと混合されるか、またはニートの形態であり得る。例えば、担体ビヒクル中の(C)オルガノポリシロキサンは、(A)充填剤と組み合わされ得、担体ビヒクルは、担体ビヒクルが最初の混合物、例えば、固体担体成分中には存在するが、本組成物中には存在しないように、(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンを本組成物に添加する前に任意にそこから排出され得る。あるいは、担体ビヒクルの全部または一部は、本組成物を用いてポリマー複合体物品を調製するときに、本組成物中に存在し、本組成物から排出され得る。さらにまたはあるいは、(A)充填剤は、(C)オルガノポリシロキサン以外の表面処理剤を用いて、固体担体成分中でその場で、および/または固体担体成分に組み込む前に処理され得る。
【0145】
(C)オルガノポリシロキサンが固体担体成分中に存在し、この固体担体成分が(A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンを含むある特定の実施形態では、固体担体成分を加熱することができる。ある特定の実施形態では、固体担体成分は、真空中で加熱される。これは、表面処理のための成分間の反応を促進するためか、担体ビヒクルを蒸発させるためか、A)充填剤および(C)オルガノポリシロキサンの固体担体成分を形成するために使用される混合物中に存在する他の成分を蒸発させるためか、またはプロセスで使用する前に固体担体成分の機械的特性を改善するためなどの複数の理由のために行われ得る。
【0146】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、例えば、好適な混合機器を用いて、混合または剪断下で形成され得る。例えば、本組成物は、攪拌機および/または混合ブレードを備えた容器内で形成され得る。容器は、例えば、バンバリー、シグマ(Z)ブレード、またはキャビティトランスファースタイル混合機などの内部混合機であり得る。あるいはまたはさらに、本組成物は、任意の押し出し機、例えば、回転および/または往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押し出し機、ならびに接線方向または部分的/完全にかみ合って整列され得、同方向または逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押し出し機内で形成され得るか、またはそれにより加工され得る。あるいは、本明細書に記載の組成物を形成するために、円錐形押し出し機が使用され得る。
【0147】
上で紹介されるように、本方法は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物からポリマー複合体物品を調製することも含む。本組成物は、例えば、容器内で形成され、その後容器から取り出されて、別個の機器でポリマー複合体物品が形成され得る。あるいは、本組成物を調製し、その後ポリマー複合体物品を形成するために同じ機器が利用され得る。例えば、本組成物は、押し出し機内で調製および/または混合され得、押し出し機は、本組成物を用いてポリマー複合体物品を調製するために利用され得る。あるいは、ポリマー複合体物品は、例えば、射出成形またはトランスファー成形プロセスを用いた成形により形成され得る。本組成物は、金型内でその場で形成され得るか、または独立して形成され、形成されたら金型内に配置され得る。あるいは、さらに、ポリマー複合体物品は、フィルムであり得る。そのような実施形態では、本組成物は、容器内で、任意に高温での混合下で形成または配置され、本組成物からフィルムを調製するための機器内またはその上に配置され得る。組成物、特に本組成物の(B)ポリマーのような熱可塑性物質を含むものからフィルムを調製するためのそのような機器および技法は、当技術分野でよく知られている。
【0148】
ある特定の実施形態では、本組成物からポリマー複合体物品を調製することは、本組成物を所望の形状に形成することをさらに含む。所望の形状は、ポリマー複合体物品の最終使用用途に依存する。当業者は、押し出し用のダイおよび成形用の金型が、ポリマー複合体物品の所望の形状に基づいて、どのように選択および作成され得るかを理解する。
【0149】
ある特定の実施形態では、本方法は、二軸スクリュー押し出し機(スクリューが、部分的または完全に噛み合いながら同時に回転するか、あるいは接線方向に、部分的に、または完全のいずれかで噛み合いながら整列して、逆回転する)などの押出機内で連続的または半連続的に行われる。一実施形態では、(C)オルガノポリシロキサンは、(A)充填剤および(B)ポリマーと同時に押し出し機内に配置される。あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、(B)ポリマーを溶融した後、かつ(A)充填剤を添加する前に押し出し機内に配置され得る。あるいは、(C)オルガノポリシロキサンは、(A)充填剤および(B)ポリマーが押し出し機を出た後、かつポリマー複合体物品が押し出し機を出る前に、押し出し機内に配置され得る。あるいは、(A)充填剤は、(C)オルガノポリシロキサンと同時に押し出し機内に配置され得、ここで、それらは加熱されて、(C)オルガノポリシロキサンを用いた(A)充填剤の表面処理を有効にし、次に(B)ポリマーを押し出し機内に配置して、混合物を得、混合物を配合し、ポリマー複合体物品を形成するのに好適な温度まで温度を増加させる。押し出し機は、出発材料が添加され得る1つ以上のゾーン、例えば、1~3個、または3~8個、または1~12個のゾーンを有し得る。ゾーンは、異なる温度で加熱され得る。
【0150】
特定の実施形態では、(B)ポリマーは、ポリマーの融点温度範囲内の+/-30℃で加熱される押し出し機の第1のゾーンに配置される。(C)オルガノポリシロキサンは、(B)ポリマーの融点温度より10℃~90℃高い温度で加熱される押し出し機の第2のゾーンに配置される。上記のように、利用される温度は、典型的には、本組成物の成分の分解温度よりも低い。ある特定の実施形態では、押し出し機のダイも加熱され得、任意のゾーンおよびダイの温度を含む押し出し機により利用される温度は(A)充填剤の分解温度を超えない。当業者に理解されるように、(A)充填剤の分解温度は、それらの選択に依存する。
【0151】
ある特定の実施形態では、本方法は、(B)ポリマーの選択に応じて、未硬化または未加硫のポリマー複合体物品を調製し、本方法は、未硬化または未加硫のポリマー複合体物品を硬化および/または加硫して、ポリマー複合体物品を得ることをさらに含む。未硬化または未加硫のポリマー複合体物品を硬化または加硫すると、一般に、ポリマー複合体物品の形状および寸法が維持される。典型的には、そのような実施形態では、硬化および/または加硫は、未硬化または未加硫のポリマー複合体物品を形成するために利用する加工または配合温度よりも高い高温で行われる。硬化または加硫は、典型的には、(B)ポリマーがエラストマーを含むときに行われる。
【0152】
本発明のポリマー複合体物品は限定されず、無数の最終使用用途および産業に合わせてカスタマイズされ得る。単なる例として、ポリマー複合体物品は、管;配管;ホース;絶縁(例えば、熱的および/または電気的絶縁)物品;導電性(例えば、熱的および/または導電性)物品;ボンネットの下の構成要素および部品、ならびにインテリア構成要素、例えば、床マットを含む、自動車の構成要素およびアプリケーション;消費者製品およびアプリケーション、工業用または商業用製品およびアプリケーション、航空宇宙製品およびアプリケーション、輸送用製品およびアプリケーション、航空機製品およびアプリケーション、電子製品およびアプリケーション、住宅または商業用建築および建設製品およびアプリケーション、例えば、デッキ、手すり、サイディング、フェンス、窓枠、フローリングなどにおいて利用され得るか、またはそれらとして利用され得る。
【0153】
本発明を例示的に説明してきたが、使用されている用語は、限定ではなく説明の言葉の性質であることを意図していることを理解されたい。明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明は、具体的に記載された以外の方法で実施され得る。
【0154】
産業上の利用可能性
理論に縛られることを望まないが、(C)オルガノポリシロキサンは、本明細書に記載のポリマー複合体および/またはそれらを作製するためのプロセスに1つ以上の利益を提供し得ると考えられる。これらは、以下を含む。
【0155】
配合中のより低いトルク、
増加した配合スループットおよびもしくはより低いエネルギー消費、
配合および成形時のより良好な充填剤分散および低減したガラス繊維の破断(ガラス繊維が使用されている場合)、
より薄い壁を成形する能力、
高い充填剤充填量を含む能力、
離型時のより低い不良率、
よい良好な表面品質、ならびに/または
改善された疎水性。
【0156】
(D)相溶化剤などの他の成分の選択の増加
【0157】
より多くの割合のリサイクルされたポリマーまたは異なるグレードのポリマーを利用する能力
【0158】
充填剤の選択の増加
【0159】
強度および他の特性を改善する添加剤を可能にすること
【0160】
25℃および1気圧で固体である固体担体成分を使用して、固体担体成分を送達すると、(C)オルガノポリシロキサンが本組成物およびそれを用いて調製されたポリマー複合体物品に送達される問題を解決できる。液体ポリオルガノシロキサンの代わりに固体担体成分を使用すると、押し出し機などの従来の固体処理機器で液体オルガノポリシロキサンを使用するという利益が提供され得る。
【実施例】
【0161】
参照実施例1-液体オルガノポリシロキサンおよび充填剤を含むペレット化オルガノポリシロキサンの調製のための一般的な手順(予想的)
ペレット化ドラムまたはディスクのために、回転ドラムに木細粉などの粉末充填剤を添加する。13,500mPa・sの動的粘度を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(OH PDMS)などのオルガノポリシロキサン液体の微細な液滴、またはMidland,Michigan,USAのDow Silicones Corporationの代替品を、回転ドラム内の粉末にゆっくりと噴霧する。粉末が落ちると、それを液体でコーティングし、くっつける。このプロセス中に、凝集物が形成および成長し、充填剤およびシロキサンの小さなペレットが作成される。
【0162】
実施例2-オルガノシロキサン/充填剤ペレットの調製
ヒュームドシリカをOH PDMSと混合した。ステンレス鍋を使用して、25.2グラムのヒュームドシリカを47.3グラムのOH PDMSと手動で混合すると、自由流動性の粉末がもたらされた。次に、これは顧客によりOH PDMSの供給源として使用され得る。
【0163】
実施例3 オルガノシロキサン/充填剤ペレットの調製
ステンレス鍋を使用して、97.0グラムの木細粉を45.6グラムのOH PDMSと手動で混合すると、自由流動性の粉末がもたらされた。次に、これは顧客により(C)オルガノポリシロキサンの供給源として使用され得る。
【0164】
実施例4-オルガノシロキサン/充填剤ペレットの調製(予想的)
タルクまたは炭酸カルシウムを混合機に添加した。粉末が粘着性になるまでOH PDMSなどのオルガノポリシロキサンをゆっくりと粉末にブレンドし、次に、それが自由流動性の粉末になるまで、より多くの充填剤を添加する。
【0165】
実施例5~8-オルガノポリシロキサン/マレイン化ポリエチレン(MAPE)ペレットの調製
この実施例では、ASTM D792により測定される場合、0.96g/cm3の密度を有する無水マレイン酸グラフト化高密度ポリエチレン(D)およびヒドロキシル末端オルガノポリシロキサン(C)を使用する。
【0166】
配合を二軸スクリュー押し出し機で行った。バレルゾーンで重量測定供給装置を介してMAPEを供給した。OH PDMSを、供給装置の後で、開いたポートからスクリューの搬送セクションに供給した。
【0167】
【0168】
これらの実施例は、MAPE(D)およびポリオルガノシロキサン(C)の様々な濃度を有するペレットが使用され、ペレットが作製され得ることを示す。これらの実施例は、試験された条件下で、10%~20%のOH PDMSおよび20%~90%のMAPEをペレットに好都合に組み込むことができることを示す。理論に縛られることを望まないが、異なるオルガノポリシロキサン、マレイン化ポリエチレン、またはそれらの両方を使用して、より多量のオルガノポリシロキサンをペレットに組み込むことが可能であり得る。
【0169】
実施例9~38および比較例1~4
以下の表2は、実施例9~38および比較例1~4を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。
【表2】
【0170】
(B)ポリマー1は、190℃/2.16kgで、ASTM D-1238)に従って測定される場合、0.8g/10分のメルトフローレート(MFR)、およびASTM D792に従って測定される場合、0.96g/cm3の密度を有する高密度ポリエチレンである。
【0171】
(A)充填剤1は、3ミクロンの平均粒径を有する未処理の炭酸カルシウムである。
【0172】
(A)充填剤2は、3ミクロンの平均粒径を有するステアリン酸処理された炭酸カルシウムである。
【0173】
(A)充填剤3は、12ミクロンの平均粒径を有する未処理の炭酸カルシウムである。
【0174】
(A)充填剤4は、1.9ミクロンの平均粒径を有する未処理のタルクである。
【0175】
(A)充填剤5は、2つのロット:5Aおよび5Bで60メッシュの木細粉である。
【0176】
木細粉(5A)および(5B)は、主にカエデおよびオークなどの硬木で構成されていた。木材の吸湿性により、製粉時に乾燥しているにも関わらず、最大10%の含水量がもたらされる。これらの変動を補正するために、含水量について、最終的な配合で木材含有量を調整して、すべての試料で乾燥した木材のレベルを一定にした。木材をポリマー系に導入した直後に、押し出し機の真空ベントを使用して木材から水分を除去した。このシステムを使用して、加工時にペレットを均一に乾燥させるために水を除去した。木細粉は以下の粒径分布からなった:
850ミクロン:0~1%
425ミクロン:15~35%
250ミクロン:30~60%
180ミクロン:10~25%
150ミクロン:0~15%
バランスパン0~23%
【0177】
(C)オルガノポリシロキサン1は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、100cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0178】
(C)オルガノポリシロキサン2は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、2,000cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0179】
(C)オルガノポリシロキサン3は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、6,000cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0180】
(C)オルガノポリシロキサン4は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、13,500cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0181】
(C)オルガノポリシロキサン5は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、20,000cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0182】
(C)オルガノポリシロキサン6は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、16,500cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0183】
(C)オルガノポリシロキサン7は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、50,000cStの粘度を有するヒドロキシ末端シロキサンである。
【0184】
(C)オルガノポリシロキサン8は、定常せん断および1s-1のせん断速度下で、0.5°のコーンを有する50mmのコーンおよびプレートを備えたAnton Paar MCR301レオメーターにより25℃で測定する場合、ヒドロキシとトリメチル末端ブロックとの組み合わせを有する12,000cStの密度を有するシロキサンである。
【0185】
(C)オルガノポリシロキサンのフォーマットは、ペレットまたは液体のいずれかであった。液体フォーマットは、供給口の後のゾーンで液体を押し出し機に直接押し込むことにより提供された。フォーマットがペレットであった実施例は、(C)オルガノポリシロキサンを(B)ポリマーと、2つの比率のうちの1つで組み合わせることにより提供された。実施例11~15では、(C)オルガノポリシロキサンを(C)ポリマーと1:9の比率で組み合わせた。実施例25では、(C)オルガノポリシロキサンを(B)ポリマーおよび(D)相溶化剤と組み合わせて、単一のペレットを形成した。これは、1部の(C)オルガノポリシロキサン対1部の(D)相溶化剤対3部の(B)ポリマーの比率で提供された。次に、ペレットの実施例を任意の追加量の(B)ポリマーとブレンドして、所望の重量パーセントを得た。
【0186】
(D)相溶化剤1は、高密度ポリエチレンでグラフト化された無水マレイン酸コモノマーである。
【0187】
(D)相溶化剤2は、無水マレイン酸相当物として分類されるランダムエチレンコポリマーである。
【0188】
他のすべての材料が各配合に添加された後、100%に必要な残りとしてAの重量パーセントを決定した。
【0189】
両方とも二軸スクリュー押し出し機を用いる2つの方法を使用して、これらの実施例のための組成物を生成した。方法1の場合、本組成物を二軸スクリュー押し出し機で加工し、押し出されたストランドを細断することにより粒状フォーマットに加工した。次に、粒状ペレットはその後のプロセスで使用され得る。
【0190】
方法2の組成物を類似の二軸スクリュー配合押し出し機で加工した。この方法2は、溶融した材料を射出成形システムにすぐに押し込んで、ペレットを生成するか、または便宜上第2の加熱履歴を経験することなく、本組成物を引張棒に直接形成できるという点で方法1とは異なる。
【0191】
方法1および方法2の両方では、(B)ポリマーおよび加工助剤から独立して(A)充填剤を押し出し機バレルの下流に位置する二次供給系を介して添加した。固体を完全に溶融したポリマーと加工助剤とのブレンドに混合することにより、すべての材料が同じ位置に供給される場合に可能であったよりも高い充填剤含有量の試料が生成され得る。
【0192】
試験片の生成には射出成形を利用した。引張棒をASTM D638-14に従って生成および試験した。一貫性のために、二軸スクリュー押し出し機および射出成形機器の両方で配合することに関して同じ条件で各組成物を加工した。各実施例でも、総供給速度、RPM、温度、および機器構成は、押し出し機および射出成形機器の両方で配合することに関して各組成で一定のままであった。
【0193】
押し出しに関連するパラメーター、ならびに各実施例により形成されたポリマー複合体物品の平均破断強度、ストランドの品質、および最終的な射出成形された引張棒の色を、以下の表3に記載する。
【表3】
【0194】
溶融温度を熱電対ハンドプローブで得た。この測定には手作業に起因する高レベルな技法が必要であるため、変動が大きくなる。経験によれば、結果は作業者および技法に応じて最大10℃異なり得る。これらの試験の場合、このエラーを最小限に抑えるために、(A)充填剤および(B)ポリマーの系ごとに同じ作業者を使用するように注意が払われた。
【0195】
押し出し機のトルクを押し出し機の最大トルクの相対パーセントとして記録した。
【0196】
平均化された5つの試料を生成することにより破断強度を測定した。試験をASTM D638-14に従って行った。
【0197】
ストランドの品質を、メルトフラクチャー、ペレット化のための強度を維持する能力、および粗さを視覚的に評価することにより割り当てた。加工条件を、すべての配合物が1以上の品質で加工されて、他のすべての組成物に対して一定に保たれるように設定した。温度、総供給速度、スクリュー速度、または他のパラメーターは変更されていない。これらの組成物ではメルトフラクチャーの可能性が高いため、この評価は、木材充填剤ベースの実施例にのみ使用された。評価を次のとおり列挙する。
0-ストランドできなかった
1-広範囲のメルトフラクチャーおよびストランドの破断
2-広範囲のメルトフラクチャーだが、破断無し
3-中程度のメルトフラクチャーがある粗いストランド
4-最小限の表面粗さまたは可視メルトフラクチャー
5-可視メルトフラクチャーがない非常に滑らかなストランド
【0198】
木材充填剤で発生した熱分解のレベルを定量化するために、多くの木材充填剤(5Aおよび5B)の実施例でも色(Y)を測定した。Y値または輝度を、加工中の木材プラスチック複合体の暗化のゲージとして測定した。Yの値が高いほど、木材の色は明るい茶色に対応する。Y値を、D65光源および10個の観察装置を備えたBYK分光ガイド45/0光沢計を使用して、別個の射出成形引張り犬骨試料で3~5回の測定値の平均を使用して測定した。
【0199】
実施例25および26は同じ材料で構成されていた。実施例25を前述のようにペレットで生成した。実施例26を、オルガノポリシロキサンを押し出し機に直接押し込むことにより生成した。これらの実施例の結果から、それらが類似の特性の組成物を生成したことがわかる。ペレット組成物の使用により、押し出し機のトルクおよび溶融温度がわずかに改善された(よい低いトルクおよびより低い溶融温度)。これらの配合は両方とも、表15に示される加工助剤なしの比較配合(比較42)よりも大幅に改善されていることを示し、これは、両方のオプションも、押し出し機のトルクおよびポリマー溶融温度の両方を低減することにより、加工の改善に効果的であることを示す。引張破断強度は、実施例25および実施例26で類似しており、約3%の違いがあった。充填剤の高レベルの変動が木材細粉(5A)である場合、これは非常に類似している。
【0200】
比較例1および2を、100cst(1)の粘度を有するオルガノポリシロキサンの加工助剤(C’)を用いて生成した。追加の組成物は4%で試されたが、非常に低い粘度に起因して、オルガノポリシロキサンをこのレベルでポリマーと混合することはできなかった。その結果、4%の組成物を均一なストランドに加工できず、混合されていないオルガノポリシロキサンがダイから混合されずに押し出されるであろう。ポリマーペレットも押し出し機スクリューに供給できず、供給口で詰まった。試料2を試験片に成形するときに、非常に低粘度の多くのオルガノポリシロキサンがポリマーと充填剤との良好な混合を妨げることも発見された。その結果、大量の試料が非常に高充填の充填剤(5A)を有することになり、射出成形機が過剰圧力になった。この過剰圧力の結果として実施例2は、引張試験片に変換することができなかった。この不十分な混合の証拠は、100cstのオルガノポリシロキサンは、低すぎる粘度に起因して、これらの充填剤入りポリマー系の実施例では効果的な加工助剤ではないことを示唆する。
【0201】
実施例39~57
以下の表4は、実施例39~57を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。これらを実施例9~38について上記のように調製した。
【表4】
【0202】
(B)ポリマー2は、230℃/2.16kg)で、ASTM D-1238Mに従って測定される場合、126g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するポリプロピレンホモポリマーである。
【0203】
(B)ポリマー3は、230℃/2.16kgで、ASTM D1238に従って測定される場合、2.0g/10分のメルトフローレート(MFR)、およびでASTM D792に従って測定される場合、0.9g/cm3の密度を有するポリプロピレンである。
【0204】
液体または固体としてのオルガノポリシロキサン(C)の送達方法を提供した。液体送達は前述のとおりであったが、ペレットフォーマットはポリマー(B)と1:9の比率で組み合わせた。次に、これを他のポリマー(B)と所望の重量パーセントにブレンドした。
【0205】
実施例39~57の組成物を、前述の方法を使用して押し出して、ポリマー複合体物品を得る。押し出しに関連するパラメーター、ならびに各実施例により形成された射出成形ポリマー複合体物品の平均破断強度を、以下の表5に示す。
【表5】
【0206】
実施例58~82
以下の表6は、実施例58~82を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。これらを実施例9~38について記載されるように調製した。
【表6】
【0207】
(B)ポリマー4は、190℃/2.16kgで、ASTM D1238に従って測定される場合、6.0g/10分のメルトフローレート(MFR)、およびASTM D792に従って測定される場合、0.92g/cm3の密度を有する線状低密度ポリエチレンである。
【0208】
液体または固体としてのオルガノポリシロキサン(C)の送達方法を提供した。液体送達は前述のとおりであったが、ペレットフォーマットはポリマー(B)と1:9の比率で組み合わせた次に、これを他のポリマー(B)と所望の重量パーセントにブレンドした。
【0209】
実施例58~82の組成物を押し出して、ポリマー複合体物品を得た。これらを実施例9~38に記載されるように加工した。押し出しに関連するパラメーター、ならびに各実施例により形成された射出成形ポリマー複合体物品の平均破断強度を、以下の表7に示す。
【表7】
【0210】
実施例83~92
以下の表8は、実施例83~92を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。これらを実施例9~38について記載されるように調製した。
【表8】
【0211】
(B)ポリマー5は、235℃/5.0kgで、ISO1133に従って測定される場合、0.9g/10分のメルトフローレート(MFR)、およびASTM D792に従って測定される場合、1.0g/cm3の密度を有するポリアミド12である。
【0212】
液体または固体としてのオルガノポリシロキサン(C)の送達方法を提供した。液体送達は前述のとおりであったが、ペレットフォーマットはポリマー(B)と1:9の比率で組み合わせた次に、これを他のポリマー(B)と所望の重量パーセントにブレンドした。
【0213】
実施例83~92の組成物を押し出して、ポリマー複合体物品を得る。押し出しに関連するパラメーター、ならびに各実施例により形成された射出成形ポリマー複合体物品の平均破断強度を、以下の表9に示す。
【表9】
【0214】
実施例93~94
以下の表10は、実施例93~94を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。これらを実施例9~38について記載されるように調製した。
【表10】
【0215】
(A)充填剤6は、ISO1183に従って測定される場合、1.49g/cm3の合計密度を有するポリアミド66である、(B)ポリマー6と43重量パーセントで供給予備配合されたガラス繊維である。次に、(C)オルガノポリシロキサンを添加して、押し出し機でそれを加工した。
【0216】
実施例93~94の組成物を押し出して、ポリマー複合体物品を得る。各実施例により形成されたポリマー複合体物品の押し出しに関連するパラメーターを、以下の表11に示す。
【表11】
【0217】
実施例95
以下の表12は、実施例95を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。実施例95を実施例9~38について記載されるように調製した。
【表12】
【0218】
(A)充填剤7は、500グラム/リットルのかさ密度を有し、充填剤重量の1.5~3.0重量パーセントのポリアミド系のサイジング剤を有する、6mmの公称長さの炭素繊維である。
【0219】
(B)ポリマー7は、Huggins法で計算されたISO307による2.62~2.83の相対粘度(RV)(96%[m/m]硫酸中1%[m/v])、およびISO1183に従って測定される場合、1.12~1.15g/cm3の密度を有するポリアミド6である。
【0220】
実施例95の組成物を押し出して、ポリマー複合体物品を得る。実施例により形成されたポリマー複合体物品の押し出しに関連するパラメーターを、以下の表13に示す。
【表13】
【0221】
実施例19、27、36、および比較例46の移行試験
各複合体物品(4.0g)を、Whatman(登録商標)#44ろ紙で裏打ちした風袋を引いたアルミニウム鍋に単層で入れた。次に、複合体物品を通気のないオーブンに70℃で28日間入れた。複合体物品を取り出し、ろ紙を40mlのシンチレーションバイアルに入れた。
【0222】
シリコーンの量を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定した。シリコーンの試料溶液を、トルエン中に5mg/mLの濃度で調製した。提出されたろ紙を4つの小さな断片に切り、バイアルに入れ、ここで、トルエンを加えて、シリコーンを抽出した。溶液を平床シェーカーで室温で4~6時間振とうし、注入前に0.45PTFEシリンジフィルターでろ過した。
【0223】
抽出した材料の分子量および濃度を、マルチアングルレーザー光散乱および微分屈折率検出(SEC-MALLS-DRI)を備えたSECにより決定した。SECは、Agilent1260LCポンプおよびオートサンプラーに基づいていた。流量を1mL/分に設定し、注入容積は100uLの溶液であった。35℃に保持した2つの混合Cカラムを使用して分離を行った。検出器は、Wyatt HELEO II MALLSおよびDRIであった。MALLSは、660nmの波長を有する赤色レーザーを備え、35℃で動作した。DRIは、MALLSで使用されているのと同じ波長(660nm)のLEDを備え、35℃で動作した。
【0224】
データ収集にはWyatt Astra 6を使用し、データ低減にはAstra 7を使用した。PSおよびPDMSの比屈折率(dn/dc)は、0.110mL/gおよび-0.086mL/gであった。各SEC溶出スライスのMを得るために、1次適合によるZimm形式を使用した。-0.086mL/g(PDMS)のdn/dcを使用してDRI信号を積分することにより、検出されたPDMS質量を決定し、検出された質量を注入された質量と比較することにより、質量回復を得た。
【0225】
シリコーンの質量の決定は、次のように計算され、
W(PDMS、mg)=(W(DRI、μg)X10
-3)/(Vol(Inj、mL))XV(トルエン、mL)、
式中、W(PDMS、mg)は、ろ紙上で決定されたPDMSの質量(mg)であり、W(DRI、μg)は、-0.086mL/gのdn/dcを使用したDRI信号により検出された質量(μg)であり、Vol(inj、mL)は、0.1mLに設定されたSEC注入容積であり、V(トルエン)は、試料調製物に添加されたトルエンの容積(約10mL)である。結果を以下の表14に記載する。
【表14】
【0226】
実施例19、27、および36は、シリコーン出液の証拠を示さなかった(0mgの抽出)。比較試料は、シリコーンであり得る微量の材料を示した。ピークは試料の汚染に起因する可能性がかなり高い。
【0227】
比較例5~50
以下の表15は、比較例5~50を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示し、ここで、C.E.は比較例を示す。
【表15-1】
【表15-2】
【0228】
(C)比較Aは、脂肪族カルボン酸塩とモノおよびジアミドとのブレンドである。
【0229】
(C)比較Bは、複雑な変性脂肪酸エステル(1.005の比重を有する)のブレンドである。
【0230】
比較例5~50の組成物を押し出して、比較ポリマー複合体物品を得る。これらは、各それぞれの充填剤(A)およびポリマー(B)系についてプロセスパラメーターを変えずに、実施例9~38について記載されるように調製した。押し出しに関連するパラメーター、ならびに各比較例により形成された比較ポリマー複合体物品の平均破断強度を、以下の表16に示す。
【表16-1】
【表16-2】
【0231】
表16の実施例により、実施例9~38について記載されるように、ストランドの品質および色を得る。これらを、実施例9~38について記載されるように、ポリマー(B)を1として、および充填剤(A)を5Bとする実施例についてのみ測定した。
【0232】
木細粉ロット5Aおよび5Bの違いにより、押し出し機のトルクおよび溶融温度の加工結果の離散セットがもたらされ、それらのセット内でのみ相関関係があった。この加工結果の違いは、「比較35」の実施例で見ることができ、ここで、ロット5Aの溶融温度は212℃であったが、充填剤5Bで生成された「比較36」の溶融温度は246℃であった。ロットの詳細は分析されなかったが、木細粉の変動は、樹種、樹皮含有量、収穫時期などの変動により変化すると予想される。
【0233】
産業上の利用可能性
理論に縛られることを望まないが、本明細書で提供される組成物は、以下の利益うちの1つ以上を提供し得る:より早い配合スループット、より低い溶融温度、本組成物からのポリマー複合体物品を製作するために使用される押し出し機におけるより低い圧力、より早い成形、より良好な離型、およびより低い不良率。さらに、(C)オルガノポリシロキサンは、充填剤の分散を改善し、繊維の破断を低減し、充填剤粒子の凝集を低減し得る。
【0234】
ポリマー複合体物品の多くの製造業者は、固体供給用に構成され、液体を供給して、ポリマー複合体物品を形成するように設定されていない押し出し機などの既存の機器を有する。ペレットが25℃、1気圧で固体である(C)オルガノポリシロキサンを含むペレットが提供されることでこの問題が解決し、ポリマー複合体物品における(C)オルガノポリシロキサンの混合および分散を促進する。
【0235】
用語の定義と用法
本明細書の文脈により別段の指示がない限り、すべての量、比率、およびパーセンテージは重量によるものであり、すべての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。冠詞「a」、「an」、および「the」は各々、1以上を指す。添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の表現、およびそこに記載される特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを解されたい。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立した各々のマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、かつ/または予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。
【0236】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に含まれ、かかる値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解される。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、かつかかる範囲および部分範囲が関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され得、これは、個別および集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。さらに、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または変更する言語に関して、かかる言語は部分範囲、および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別および/または集合的に依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個別の数字は、依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などの様々な個別の整数、ならびに4.1などの小数点(または小数)を含む個別の数値が含まれ、これは、依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。
【0237】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、組成物を含む材料(複数可)、ならびに組成物の材料から形成された反応物、および分解物を含む。
【0238】
「~を含む(comprising)」という用語、およびそれらの派生語は、同じものが本明細書に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑いも避けるために、「~を含む(comprising)」という用語を使用して特許請求される全ての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別様かにかかわらず、いずれの追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の構成成分、ステップ、または手順を除外する。
【0239】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、同じ種類であろうと異なる種類であろうと、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物は、ポリマーにおよび/またはポリマー内に組み込まれる場合がある。
【0240】
本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。したがって、このインターポリマーという総称は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0241】
本明細書で使用される「エチレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例えばエチレンまたはプロピレンを含み、場合によりは、少なくとも1つの重合コモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0242】
本明細書で使用される「エチレン系ポリマー」という用語は、(ポリマーの総重量に基づいて)過半量の重合エチレンモノマーを含み、任意で、少なくとも1つの重合コモノマーを含み得る、ポリマーを指す。
【0243】
本明細書で使用される「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーおよび少なくとも1つのα-オレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0244】
本明細書で使用される「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、唯一の2つのモノマー種類として、重合形態で、(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマーおよびα-オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0245】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエチレン」とも称され、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、US4,599,392を参照)などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブまたは管状反応器中で、部分的または完全に、ホモ重合もしくは共重合することを意味するように定義される。LDPE樹脂は、0.916~0.940g/cm3の範囲の密度を典型的に有する。
【0246】
用語「LLDPE」は、従来型のチーグラーナッタ触媒系、ならびにビス-メタロセン(「m-LLDPE」と称されることもある)、ポストメタロセン触媒、および拘束幾何触媒などの、シングルサイト触媒を用いて製造された樹脂を含み、線状、実質的に線状、または不均一なポリエチレンコポリマー、またはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEほど長くない鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー;米国特許第3,645,992号などの均質分岐鎖状直鎖状エチレンポリマー組成物;米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたものなどの不均質分岐鎖状エチレンポリマー;ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,342もしくはUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPEは、当技術分野において知られている任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、溶液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせを介して作製することができ、気相およびスラリー層反応器が最も好ましい。
【0247】
「MDPE」という用語は、0.926~0.940g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、クロムまたはチーグラーナッタ触媒を使用して、またはメタロセン、拘束幾何形状、もしくは単一部位触媒を用いて典型的に作成され、2.5を超える分子量分布(「MWD」)を典型的に有する。
【0248】
「HDPE」という用語は、約0.940g/cm3超の密度を有するポリエチレンを指し、一般的に、チーグラーナッタ触媒、クロム触媒、またはさらにメタロセン触媒で調製される。
【0249】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは、積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。