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特許7346443陰圧閉鎖された切開部ドレッシングにおける付加及び患者の四肢運動を動的に測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】陰圧閉鎖された切開部ドレッシングにおける付加及び患者の四肢運動を動的に測定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20230911BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020555860
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019026375
(87)【国際公開番号】W WO2019199687
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】62/657,325
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ジャスティン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー マーク
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/033794(WO,A1)
【文献】特表2015-527112(JP,A)
【文献】国際公開第2009/093116(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0361045(US,A1)
【文献】特表2018-504218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の創傷のための創傷ドレッシングに接続された少なくとも1つのセンサであって、前記創傷ドレッシングの変位の指標を出力するように構成されている少なくとも1つのセンサと、
前記創傷ドレッシングの前記変位の指標を受信し、
前記変位の前記指標に対応する療法パラメータを計算し、
前記療法パラメータを出力するように構成されている制御回路と、
備え、
前記少なくとも1つのセンサは、緯度方向変位を検出するように構成された第1の電気活性ポリマー(EAP)センサと、経度方向変位を検出するように構成された第2のEAPセンサと、を含み、前記創傷ドレッシングの変位の前記指標は、前記創傷ドレッシングの前記変位に対応する前記第1のEAPセンサ又は前記第2のEAPセンサのうちの少なくとも1つの静電容量の変化に基づいている、陰圧創傷療法システム。
【請求項2】
前記療法パラメータは、前記創傷ドレッシングが前記患者の前記創傷に適用する付加力、又は前記創傷ドレッシングを中心とする前記患者の関節の運動のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項3】
前記療法パラメータは前記付加力を含み、前記制御回路は、前記付加力と目標付加力値との差を計算し、前記差を低減するために、前記創傷ドレッシングによって前記創傷に適用される圧力を修正するように更に構成されている、請求項2に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項4】
前記創傷ドレッシングは、閉鎖された切開部を覆って配置するための切開創傷ドレッシングである、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項5】
前記創傷ドレッシングは、下側の創傷に面する層と、細長い発泡体と、前記ドレッシングを患者の皮膚に対して密封するための被覆層と、を含む、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項6】
前記ドレッシングは、陰圧を受けて圧壊し、横方向力又は長手方向力のうちの少なくとも1つを適用する、請求項5に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサは、前記創傷ドレッシングの表面に取り外し可能に取り付けられている、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、前記創傷ドレッシング内に配置されている、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項9】
前記制御回路は、前記療法パラメータを、最小閾値又は最大閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値条件と比較し、前記療法パラメータが前記所定の閾値条件を満たさないことに応答して警告を出力するように構成されている、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項10】
前記創傷ドレッシング内の水分レベルを検出するように構成された水分センサを更に備え、前記制御回路は、前記水分レベルを、最小水分閾値又は最大水分閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値水分条件と比較し、前記水分レベルが前記所定の閾値水分条件を満たさないことに応答して警告を出力するように更に構成されている、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサは、前記創傷ドレッシングを通る流体レベル又は流体流量のうちの少なくとも1つを測定するように構成されている、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項12】
前記制御回路は、通信回路に接続されており、前記通信回路は、前記療法パラメータを遠隔電子装置に送信するように構成されている、請求項1に記載の陰圧創傷療法システム。
【請求項13】
療法制御及び通信装置と、関節を覆って配置されるようにサイズ設定され、成形された創傷ドレッシングと、を備える陰圧創傷療法システムであって、
前記療法制御及び通信装置は、低減された圧力を形成するように構成された少なくとも1つのポンプ、
ユーザインターフェース、及び
データ通信インターフェース、を含み、
前記創傷ドレッシングは、少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つのセンサは、前記創傷ドレッシングに対する力を検出し、前記データ通信インターフェースと通信するように構成されており、
前記少なくとも1つのセンサは、関節が関節運動しているかどうかを判定するように構成されており、
前記少なくとも1つのセンサは、緯度方向変位を検出するように構成された第1の電気活性ポリマー(EAP)センサと、経度方向変位を検出するように構成された第2のEAPセンサと、を含み、前記創傷ドレッシングに対する力は、前記第1のEAPセンサ又は前記第2のEAPセンサのうちの少なくとも1つの静電容量の変化に基づいている、陰圧創傷療法システム。
【請求項14】
コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
少なくとも1つの変位センサから、患者の創傷のための創傷ドレッシングの経度方向変位の指標を受信することであって、前記創傷ドレッシングは、第1の方向の第1の長さ及び第2の方向の第2の長さを画定し、前記第2の長さは前記第1の長さよりも長く、前記少なくとも1つの変位センサは、前記創傷ドレッシングに接続されており、前記経度方向変位は前記第2の方向に対応し、前記少なくとも1つの変位センサは、前記経度方向変位に対応する前記少なくとも1つの変位センサの静電容量の変化に基づいて、前記指標を出力するように構成されている、受信することと、
前記変位の前記指標に対応する療法パラメータを計算することと、
前記療法パラメータを出力することと、
行わせ、
前記少なくとも1つの変位センサは、緯度方向変位を検出するように構成された第1の電気活性ポリマー(EAP)センサと、前記経度方向変位を検出するように構成された第2のEAPセンサと、を含み、前記創傷ドレッシングの変位の前記指標は、前記創傷ドレッシングの前記変位に対応する前記第1のEAPセンサ又は前記第2のEAPセンサのうちの少なくとも1つの静電容量の変化に基づいている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年4月13日に出願された米国仮出願第62/657,325号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、創傷療法システム及び装置に関し、より具体的には、陰圧閉鎖された切開部ドレッシングにおける付加及び患者の四肢運動を動的に測定するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の治癒を促進するために、創傷ドレッシングを介して創傷部位に(大気圧に対して)陰圧を印加することを伴う創傷療法の種類である。いくつかのNPWTシステムは、創傷ドレッシングを介して創傷部位から創傷滲出液を除去することによって、創傷部位を陰圧に維持するように動作するポンプを含む。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実装形態は、センサシステムであり、当該システムは、患者の創傷のための創傷ドレッシングに接続された少なくとも1つのセンサと、制御回路と、を含む。少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシングの変位の指標を出力するように構成されている。制御回路は、創傷ドレッシングの変位の指標を受信することと、変位の指標に対応する療法パラメータを計算することと、療法パラメータを出力することと、を行うように構成されている。療法パラメータは、付加力、又は水分レベル若しくは水和レベルを含んでも良い。
【0005】
いくつかの実施形態では、療法パラメータは、創傷ドレッシングが患者の創傷に適用する付加力、又は創傷ドレッシングを中心とする患者の関節の運動のうちの少なくとも1つを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、療法パラメータは付加力を含み、制御回路は、付加力と目標付加力値との差を計算し、その差を低減するために、創傷ドレッシングによって創傷に適用される圧力を修正するように更に構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシングは、閉鎖された切開部を覆って配置するための切開創傷ドレッシングである。
【0008】
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシングは、下側の創傷に面する層と、細長い発泡体と、ドレッシングを患者の皮膚に対して密封するための被覆層と、を含んでいる。ドレッシングは、陰圧を受けて圧壊し、横方向力又は長手方向力のうちの少なくとも1つを印加することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、緯度方向変位を検出するように構成された第1の電気活性ポリマー(EAP)センサと、経度方向変位を検出するように構成された第2のEAPセンサと、を含む。創傷ドレッシングの変位の指標は、創傷ドレッシングの変位に対応する第1のEAPセンサ又は第2のEAPセンサのうちの少なくとも1つの静電容量の変化に基づいている。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシングの表面に取り外し可能に取り付けられている。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシング内に配置されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、制御回路は、療法パラメータを、最小閾値又は最大閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値条件と比較し、療法パラメータが所定の閾値条件を満たさないことに応答して警告を出力するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、センサシステムは、創傷ドレッシング内の水分レベルを検出するように構成された水分センサを含み、制御回路は、水分レベルを、最小水分閾値又は最大水分閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値水分条件と比較し、水分レベルが所定の閾値水分条件を満たさないこと応答して警告を出力するように更に構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシングを通る流体レベル又は流体流量のうちの少なくとも1つを測定するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、制御回路は、通信回路に接続されており、通信回路は、療法パラメータを遠隔電子装置に送信するように構成されている。
【0016】
本開示の別の実装形態は、方法である。当該方法は、少なくとも1つの電気活性ポリマー(EAP)センサから、患者の創傷のための創傷ドレッシングの変位の指標を受信することであって、少なくとも1つのEAPセンサは、創傷ドレッシングに接続され、少なくとも1つのEAPセンサは、変位に対応する少なくとも1つのEAPセンサの静電容量の変化に基づいて指標を出力するように構成されている、受信することと、変位の指標に対応する療法パラメータを計算することと、療法パラメータを出力することと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、療法パラメータは、創傷ドレッシングが患者の創傷に適用する付加力、又は創傷ドレッシングを中心とする患者の関節の運動のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、療法パラメータは付加力を含み、当該方法は、付加力と目標付加力値との差を計算することと、その差を低減するために、創傷ドレッシングによって創傷に適用される圧力を修正することと、を更に含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのEAPセンサは、緯度方向変位を検出するように構成された第1のEAPセンサと、経度方向変位を検出するように構成された第2のEAPセンサと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、当該方法は、水分センサから、創傷ドレッシングの水分レベルの指標を受信することと、水分レベルを、最小水分閾値又は最大水分閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値水分条件と比較することと、水分レベルが所定の閾値水分条件を満たさないこと応答して警告を出力することと、を更に含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、当該方法は、創傷ドレッシングに真空を適用するように構成された陰圧創傷療法装置、又は遠隔電子装置のうちの少なくとも1つに、変位の指標を送信することを更に含む。変位の指標は、遠隔電子装置に送信され、当該方法は、変位の指標を出力すること、療法パラメータを計算すること、又は療法パラメータを出力することであって、療法パラメータは、患者が手術後に所望の運動よりも多く動いているか又は所望の運動よりも少なく動いているかを示す、出力すること、のうちの少なくとも1つを実行するために、遠隔電子装置を使用することを更に含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、当該方法は、少なくとも1つのEAPセンサによって、創傷ドレッシングを通る流体レベル又は流体流量のうちの少なくとも1つを測定することを更に含む。
【0023】
本開示の別の実装形態は、コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つの変位センサから、患者の創傷のための創傷ドレッシングの経度方向変位の指標を受信することであって、創傷ドレッシングは、第1の方向の第1の長さ及び第2の方向の第2の長さを画定し、第2の長さは第1の長さよりも長く、少なくとも1つの変位センサは、創傷ドレッシングに接続されており、経度方向変位は第2の方向に対応し、少なくとも1つの変位センサは、経度方向変位に対応する少なくとも1つの変位センサの静電容量の変化に基づいて、指標を出力するように構成されている、受信することと、変位の指標に対応する療法パラメータを計算することと、療法パラメータを出力することと、を行わせる。
【0024】
本開示の別の実施形態は、陰圧創傷療法システムである。当該陰圧創傷療法システムは、低減された圧力を生成するように構成された少なくとも1つのポンプ、ユーザインターフェース、及びデータ通信インターフェース、を含む、療法制御及び通信装置を含む。当該陰圧創傷療法システムはまた、関節を覆って配置されるようにサイズ設定され、成形された創傷ドレッシングであって、創傷ドレッシングは少なくとも1つのセンサを含み、少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシングに対する力を検出し、データ通信インターフェースと通信するように構成されている、創傷ドレッシングと、を含んでいる。センサは、関節が関節運動しているかどうかを判定するように構成されている。
【0025】
本開示の別の実装形態は、方法である。当該方法は、創傷ドレッシングの少なくとも1つのセンサによって、創傷ドレッシングに対する力を検出することであって、創傷ドレッシングは、関節を覆って配置されるようにサイズ設定され、成形されている、検出することと、検出された力に基づいて、関節の関節運動を判定することと、検出された力の指標又は判定された関節運動の指標のうちの少なくとも1つを、療法制御及び通信装置のデータ通信インターフェースに通信することであって、療法制御及び通信装置は、低減された圧力を生成するように構成された少なくとも1つのポンプ、及びユーザインターフェースと、を更に含む、通信することと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、当該方法は、療法制御及び通信装置によって、関節が関節運動していることの受信された指標の数を記憶すること又は出力することのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、当該方法は、データ通信インターフェースによって、受信された指標の数を遠隔宛先に送信することを更に含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、受信された指標の数は、受信された指標の数を受信する所定の期間と関連して記憶されるか、又は出力されるかの少なくとも一方であり、所定の期間は、1時間以上かつ1年以下である。
【0029】
いくつかの実施形態では、当該方法は、療法制御及び通信装置によって、受信された指標の数に基づいてコンプライアンス条件を評価することであって、コンプライアンス条件は、受信された指標の対応する閾値数を含む、評価することと、受信された指標の数がコンプライアンス条件を満たすことに応答する患者のコンプライアンスの指標、又は受信された指標の数がコンプライアンス条件を満たさないことに応答する患者の非コンプライアンスの指標のうちの少なくとも1つを出力することと、を更に含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、療法制御及び通信装置によって、第2の所定の期間の満了に応答して、受信された指標の閾値数を増加させることを更に含み、第2の所定の期間は、1日以上かつ1週間以下である。
【0031】
いくつかの実施形態では、患者の非コンプライアンスの指標を出力することは、患者に関連付けられた装置又は介護者に関連付けられた装置のうちの少なくとも1つに、患者の非コンプライアンスの指標を送信することを含む。
【0032】
当業者には、「発明の概要」は単に例示的なものであり、いかなる場合においても限定を意図するものではないことが理解されよう。本明細書に記載される装置及び/又はプロセスの他の態様、発明的特徴、及び利点は、特許請求の範囲によってのみ定義されるものであり、本明細書に記載され、かつ、添付の図面と併せて解釈される詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、例示的な実施形態による、創傷部位の創傷ドレッシングと流体接続された陰圧創傷療法(NPWT)装置と、創傷ドレッシングに接続されたセンサシステムと、を含むNPWTシステムの図である。
【0034】
図2図2は、例示的な実施形態による、図1のNPWT装置及びセンサシステムをより詳細に示すブロック図である。
【0035】
図3図3は、例示的な実施形態による、創傷ドレッシングに取り外し可能に接続されたセンサシステムを示す概略図である。
【0036】
図4図4は、例示的な実施形態による、図3の創傷ドレッシングをより詳細に示す概略図である。
【0037】
図5図5は、例示的な実施形態による、図3のセンサシステムをより詳細に示す概略図である。
【0038】
図6図6は、例示的な実施形態による、創傷ドレッシング内に配設されたセンサシステムを示す概略図である。
【0039】
図7図7は、例示的な実施形態による、図1のNPWT装置の制御ユニットのブロック図である。
【0040】
図8図8は、例示的な実施形態による、図1のセンサシステム及びNPWT装置を動作させるためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
概要
図面を全体的に参照すると、様々な例示的な実施形態による、陰圧創傷療法(NPWT)装置、関連するセンサ装置、及びそれらの構成要素が示されている。いくつかの実施形態では、NPWTシステムは、患者の創傷のための創傷ドレッシングに接続された少なくとも1つのセンサと、制御回路とを含む。少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシングの変位の指標を出力するように構成されている。制御回路は、創傷ドレッシングの変位の指標を受信し、変位の指標に対応する療法パラメータを計算し、療法パラメータを出力するように構成されている。療法パラメータは、付加力、又は水分レベル若しくは水和レベルを含んでも良い。
【0042】
いくつかの実施形態では、NPWTシステムは、ドレッシング力又は付加力、流体又はドレッシング水和レベル、並びに長手方向運動及び関節の関節運動を含む患者の動きなどのデータを記録することができる。このデータを使用して、どのように患者が療法を受けているかを、より頻繁かつ正確に測定することができ、それにより、療法レジメンに関するより良好な決定を臨床医が行うことをできるようにし、NPWTシステムが適用される真空を調節して、療法を患者により効果的に送達できるようにすることが可能である。NPWTシステムは、より効果的なNPWT装置の動作及び創傷ドレッシングの操作を可能にすることによって、術後切開の治癒と瘢痕化/感染の割合の低減とを含む、より良好な手術結果を可能にするデータを生成するために使用することができる。例えば、付加力データは、NPWTシステムによって適用される陰圧創傷療法の閉ループ制御に使用することができ、既存の圧力ベースの制御システムよりも臨床上の目標(すなわち、付加力の制御)をより標的とした療法が可能になる。
【0043】
陰圧創傷療法システム
ここで図1図2を参照すると、例示的な実施形態による陰圧創傷療法(NPWT)システム100が示されている。NPWTシステム100は、チューブ108を介して創傷部位106に流体接続された療法装置102(例えば、療法制御及び通信装置)を含むように示されている。創傷部位106は、組織創傷と、組織創傷を被覆して患者の皮膚に付加する創傷ドレッシングと、を含み得る。創傷ドレッシングの様々な実施形態について、図3図6を更に参照して説明する。また、NPWTシステム100と組み合わせて使用することができる創傷ドレッシングのいくつかの例は、2010年1月26日に付与された米国特許第7,651,484号、2013年3月12日に付与された米国特許第8,394,081号、及び2013年11月22日に出願された米国特許出願第14/087,418号に詳細に記載されている。これらの特許及び特許出願のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
療法装置102は、創傷部位106における圧力を低減することによって陰圧創傷療法を提供するように構成することができる。療法装置102は、創傷滲出液、空気、及び創傷部位106からの他の流体を除去することによって、創傷部位106において(大気圧に対して)真空引きすることができる。創傷滲出液は、患者の循環系で濾過されて病変又は炎症領域へと入る流体を含むことがある。例えば、創傷滲出液は、水、及び、血液、血漿タンパク質、白血球、血小板及び赤血球などの溶解溶質を含むことがある。創傷部位106から除去される他の流体は、創傷部位106に以前に送達された点滴液を含むことがある。点滴液としては、例えば、洗浄液、所定の流体、薬剤液、抗生物質液、又は創傷の治療中に創傷部位106に送達され得る任意の他の種類の流体を挙げることができる。
【0045】
創傷部位106から除去された流体は、チューブ108を通過し、いくつかの実施形態では、キャニスタ104内に収集される。キャニスタ104は、創傷滲出液及び創傷部位106から除去された他の流体を収集するように構成された療法装置102の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、キャニスタ104は、キャニスタ104を必要に応じて空にして、交換することを可能にするために、療法装置102から取り外し可能である。キャニスタ104の下方部分130は、創傷滲出液及び創傷部位106から除去された他の流体により充填してもよく、キャニスタ104の上方部分128は空気で充填してもよい。療法装置102は、キャニスタ104から空気を圧送することによって、キャニスタ104内を真空引きするように構成することができる。キャニスタ104内の低減された圧力は、創傷部位106がキャニスタ104と同じ圧力に維持されるように、チューブ108を介して創傷部位106まで移動させることができる。
【0046】
特に図2を参照すると、例示的な実施形態による療法装置102をより詳細に示すブロック図が示されている。療法装置102は、ポンプ120、フィルタ122、弁118、ヒートシンク116、及び制御ユニット114を含むように図示されている。ポンプ120は、(例えば、導管134を介して)キャニスタ104に流体接続することができ、キャニスタ104から空気を排出することによって、キャニスタ104を真空引きするように構成することができる。いくつかの実施形態では、ポンプ120は、順方向及び逆方向の両方で動作するように構成されている。例えば、ポンプ120は、キャニスタ104から空気を排出し、キャニスタ104内の圧力を低下させるために、順方向に動作することができる。ポンプ120は、キャニスタ104へと空気を圧送し、キャニスタ104内の圧力を上昇させるために、逆方向に動作することができる。ポンプ120は、以下により詳細に記載される制御ユニット114によって制御することができる。ポンプ120は、(例えば、創傷ドレッシング214に適用される)低減された圧力を形成することができる。
【0047】
ポンプ120は圧電ポンプである。いくつかの実施形態では、ポンプ120は、可動部材(例えば、ダイヤフラム)を含み、可動部材は、交流電流を受けたことに応答して発振することなどによって、可動部材に印加される電圧に基づいて機械的に変位する。発振することにより、可動部材は空気を押し出して、ポンプ120によって適用される陰圧を形成することができる。可動部材は金属であってもよい。ポンプ120は、可動部材によって押圧されると開放するスリットを有する銅製ディスクを含むことができる。いくつかの実施形態では、可動部材は、約21kHzで発振する。典型的な動作条件下では、ポンプ120は、無音で又はほぼ無音で動作することができる。例えば、ポンプ120により発生するノイズは、一般的なユーザが聞くことができるノイズ閾値未満にすることができる。一実施形態では、ポンプ120は、Koge Micro Tech Co.,Ltd.により製造された真空ポンプである。
【0048】
いくつかの実施形態では、NPWTシステム100は複数のポンプ120を含む。例えば、療法装置102は、チューブ108にそれぞれが接続されており、かつ、制御ユニット114によって制御される、複数のポンプ120を含んでいてもよい。NPWTシステム100は、それぞれが1つ以上のポンプ120を含み得る複数の療法装置102を含んでもよい。
【0049】
フィルタ122は、キャニスタ104から圧送された空気がフィルタ122を通過するように、キャニスタ104とポンプ120との間に(例えば、導管134に沿って)配置することができる。フィルタ122は、液体又は固体粒子が導管134に入ってポンプ120に到達することを防止するように構成することができる。フィルタ122は、例えば、水性及び/又は油性の液体がフィルタ122の表面上でビーズ状になるように、疎水性及び/又は親油性の細菌フィルタを含んでもよい。ポンプ120は、フィルタ122を十分な空気流が通るように構成することができ(例えば、圧力低下が療法装置102から創傷部位106への陰圧の適用に実質的に干渉しないように)、フィルタ122を通した圧力の低下が実質的ではないようにする。
【0050】
弁118は、導管134を介してポンプ120及びフィルタ122と流体接続することができる。いくつかの実施形態において、弁118は、導管134と療法装置102の周囲の環境との間の空気流を制御するように構成される。例えば、弁118を開いて導管134と療法装置102の周囲の環境との間の空気流を可能にし、弁118を閉じて導管134と療法装置102の周囲の環境との間の空気流を阻止することができる。弁118は、以下により詳細に記載される制御ユニット114によって制御することができる。弁118が閉じていると、ポンプ120は、図2に示すように、第1の方向に空気流がフィルタ122を通されることによって、導管134及びキャニスタ104を真空引きすることができる。弁118が開いていると、療法装置102の周囲の環境からの空気流は、導管134に入り、導管134及びキャニスタ104内の真空を満たすことができる。
【0051】
図2は、キャニスタ104及びフィルタ122の使用を示しているが、いくつかの実施形態では、療法装置102は、キャニスタ104又はフィルタ122のいずれも含まないことがあり、したがって、ポンプ120をチューブ108を介して創傷部位106に直接接続してもよいことが理解されるであろう。
【0052】
療法装置102、又はポンプ120などの構成要素からの放熱速度を上昇させるために、ヒートシンク116を設けてもよい。例えば、ヒートシンク116は、比較的大きい表面積対体積比を有することなどによって、療法装置102の他の構成要素と比べて比較的大きい対流熱伝達係数を有するように構成することができる。ヒートシンク116は、制御ユニット114、ポンプ120、又は制御ユニット114及び/又はポンプ120が搭載される回路基板(図示せず)に取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、ヒートシンク116は複数のフィンを含む。
【0053】
制御ユニット114は、ポンプ120、弁118、及び/又は療法装置102の他の制御可能な構成要素を動作させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット114は、第1のアーム142及び第2のアーム144を含む交流回路140を介してポンプ120に制御信号を送信することによって、ポンプ120を動作させるように構成される。アーム142、144は、ポンプ120の対応するポンプ駆動電極と関連付けてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、センサ測定値を制御ユニット114に通信することができる、様々なセンサを含む。例えば、療法装置102は、ポンプ120の温度を測定して、ポンプ120の測定温度を制御ユニット114に通信するように構成された温度センサ124を含むように図示されている。温度センサ124は熱電対であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、NPWTシステム100は、創傷部位106における圧力を測定して、測定された圧力を制御ユニット114に通信するように構成された圧力センサ126を含む。NPWTシステム100はまた、ポンプにおける圧力を測定するように構成された圧力センサ132と、ポンプ120の(例えば、ポンプ120の可動部材の)共振を測定するように構成された共振センサ136と、を含んでもよい。制御ユニット114は、センサ測定値に基づいてポンプ120の動作を調整することを含む、制御ユニット114によって実行される様々な制御動作への入力として、センサ測定値を使用することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、ユーザインターフェース110を含む。ユーザインターフェース110は、ユーザから入力を受け取るように構成された1つ以上のボタン、ダイヤル、スライダ、キー、又は他の入力装置を含んでもよい。ユーザインターフェース110はまた、1つ以上の表示装置(例えば、LED、LCDディスプレイなど)、スピーカ、触覚フィードバック装置、又はユーザに情報を提供するように構成された他の出力装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサ126によって記録された圧力測定値は、ユーザインターフェース110を介してユーザに提示される。ユーザインターフェース110はまた、制御ユニット114によって生成された警告を表示することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、療法装置102は、データを送受信するように構成されたデータ通信インターフェース112(例えば、USBポート、無線送受信器など)を含む。通信インターフェース112は、データ通信外部システム又は装置を実行するための有線通信インターフェース又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信器、受信器、送受信器、ワイヤ端子など)を含んでもよい。様々な実施形態では、通信は、直接(例えば、ローカル有線通信又はローカル無線通信)であってもよく、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラーネットワークなど)を介してもよい。例えば、通信インターフェース112は、USBポート又はイーサネットカード、並びにイーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送受信するためのポートを含むことができる。別の実施例では、通信インターフェース112は、無線通信ネットワーク、あるいはセルラー電話(cellular phone)通信又は携帯電話(mobile phone)通信の送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0058】
図2はまた、NPWTシステム100のセンサシステム200を示す。センサシステム200は、第1の変位センサ204及び第2の変位センサ206を含む。いくつかの実施形態では、第1の変位センサ204は、第1の方向における変位(例えば、緯度方向変位)を測定するように構成されており、第2の変位センサ206は、第2の方向における変位(例えば、経度方向変位)を測定するように構成されている。第1の方向は、第2の方向に対して実質的に垂直であってもよい。例えば、第1の方向と第2の方向との間の角度は、80度以上かつ100度以下、又は80度~100度の任意の部分範囲であってもよい。センサシステム200はまた、創傷部位106の創傷ドレッシング内の水分レベル(例えば、流体レベル、水和レベル)を測定するように構成された水分センサ208を含むことができる。
【0059】
創傷ドレッシングと患者の療法パラメータを測定するためのセンサシステムとを備える陰圧創傷療法システム
特に図3図5を参照すると、例示的な実施形態によるセンサシステム200及び創傷部位106をより詳細に示すブロック図が示されている。創傷ドレッシング214は、患者の創傷部位106に配置される。いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング214は、第1の方向に沿った第1の長さ、及び第2の方向に沿った、第1の長さよりも長い第2の長さに延びるように構成される。創傷部位106において創傷ドレッシング214を(典型的には、単一の創傷方向に主に延在している)創傷に適用するとき、第2の方向が単一の創傷方向と位置合わせされるように、創傷ドレッシング214は創傷と概ね位置合わせされることが理解されよう。
【0060】
創傷ドレッシング214は、陰圧インターフェース212及びセンサモジュール216を含む。陰圧インターフェース212は、直接、又は図示されるようにセンサモジュール216を介して、創傷ドレッシング214及びチューブ108に流体接続することができ、それにより、チューブ108を介して療法装置102から印加された陰圧が、陰圧インターフェース212を介して創傷ドレッシング214に(したがって創傷に)適用される。いくつかの実施形態では、陰圧インターフェース212はパッドである。創傷ドレッシング214は、閉鎖された切開部を覆って配置するための切開創傷ドレッシングであってよい。創傷ドレッシング214は、第1の層(例えば、下側の創傷に面する層)と、発泡体層(例えば、第2の方向に沿って延在する細長い発泡体)と、創傷ドレッシング214を創傷部位106において又は創傷部位106に隣接して、患者の皮膚に対して密封するように構成された被覆層と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング214は、ポンプ120によって創傷ドレッシング214に陰圧が印加される間、圧潰する(例えば、体積が減少する)ように構成される。いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング214は、横方向力又は長手方向力のうちの少なくとも1つを印加するように構成されている。この力は、ポンプ120によって創傷ドレッシング214を介して印加される陰圧に相当し得る。創傷ドレッシング214は、関節を覆って配置されるようにサイズ設定し、成形することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つは、電気活性ポリマー(EAP)センサを含む。EAPの変位に応答して、EAPは、静電容量を変化させることができ、静電容量の変化の指標は、EAPセンサによって出力される。例えば、EAPセンサは、2つの伸縮性電極間に誘電性ポリマーフィルムを含むことができ、誘電体フィルムは、延伸又は音調されると、面積の関数として断面積が変化し、したがって静電容量を変化することができる。いくつかの実施形態では、EAPセンサは、PARKER HANNIFIN CORP(オハイオ州、クリーブランド)によって製造されるEAPセンサである。第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つは、歪ゲージセンサ及び渦電流センサを含むがこれらに限定されない、様々な他の変位センサ又は位置センサを追加的に又は代替的に含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の変位センサ204は、創傷ドレッシング214の緯度方向変位を測定し、これを使用して緯度方向の付加力を判定することができる。いくつかの実施形態では、第2の変位センサ206は、創傷ドレッシング214の長手方向の変位を測定し、これを使用して、ドレッシングの屈曲及び移動を、したがって、関節運動及び運動の程度を検出することができる(例えば、より低い力は、屈曲があまり大きくないことを示す)。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つは、創傷ドレッシング214への力を検出することができる。センサモジュール216及び/又は療法装置102は、検出された力に基づいて(又は変位に基づいて)関節の関節運動を判定することができる。センサモジュール216は、療法装置102のデータ通信インターフェース112又は別の遠隔宛先に関節運動の指標を通信することができる。療法装置102は、経時的な関節運動の受信された指標の数を記憶する(例えば、1時間当たりの、1日当たりの、1週間当たりの、又は任意の他のそのような周期的な数を記憶する)ことを含めて、関節運動の指標を記憶及び/又は出力することができる。
【0064】
センサモジュール216は、第1の変位センサ204及び第2の変位センサ206から、センサ測定値を受信することができる。いくつかの実施形態では、センサモジュール216は、受信されたセンサ測定値を示すセンサ信号を、療法装置102などの遠隔宛先に送信するように構成された通信電子機器を含む。通信電子機器は、療法装置102のデータ通信インターフェース112と同様であってよい。センサモジュール216は、制御ユニット114による以下に記載されるような更なる処理のために、療法装置102又は別の遠隔宛先にセンサ測定値を提供することができる。追加的に又は代替的に、センサモジュール216は、センサ測定値に基づいて、制御ユニット114によって実行される処理機能のうちの1つ以上を実行することができる。センサモジュール216は、充電式であり得る電源(例えば、バッテリ)を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、センサシステム200は、水分センサ208を含む。水分センサ208は、創傷ドレッシング214内の水分レベルを検出することができる。水分センサ208は、(EAPセンサの出力は、静電容量の変化に基づいて、水分の関数として変動し得るので)第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つがEAPセンサを含む場合のように、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つによって実現してもよい。水分センサ208は、追加的に又は代替的に、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つとは別個のEAPセンサによって実現してもよい。様々なそのような実施形態では、センサモジュール216は、水分センサ208からの水分測定値を受信することができ、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つからのセンサ測定値(単数又は複数)と共に使用することができ、水分測定を使用して、水分の影響について第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つからのセンサ測定値(単数又は複数)を補正し、それにより、変位及び/又は付加力のより正確な判定を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つから、ハウジング内に少なくとも部分的に封入され、それにより、変位のセンサ測定値に他の場合に影響を及ぼし得る創傷ドレッシング214内の水分から、第1の変位センサ204又は第2の変位センサ206のうちの少なくとも1つを分離することができる。いくつかの実施形態では、水分センサ208からの水分測定値(又はセンサ204、206からのセンサ測定値)を使用して、創傷ドレッシング214を通る流体レベル又は流体流量のうちの少なくとも1つを測定することができる。
【0066】
水分センサ208は、具体的には、創傷部位106における創傷の周囲の水分を検出するように配置することができる。例えば、水分センサ208は、水分センサ208が創傷の周囲における水分を検出することが可能になるように、創傷ドレッシング214の第2の表面(創傷に隣接して配置される表面)の閾値近接度内に配置することができる。閾値近接度は、創傷からの水分を検出するための所望の信号品質が達成される距離に対応することができる。このような水分センサ208からの水分測定値を使用して、潜在的な創傷の浸軟を識別することができる。
【0067】
図3図5に示すように、センサシステム200(例えば、センサ204及び206、センサモジュール216、並びに/又はチューブ108)は、創傷ドレッシング214に取り外し可能に接続することができる。センサシステム200は、チューブ108を開口部218を介して陰圧インターフェース212に流体接続するように、創傷ドレッシング214が創傷に面する第2の表面と反対側の創傷ドレッシング214の第1の表面に取り外し可能に取り付けることができる。したがって、センサシステム200は再利用できるが、創傷ドレッシング214が交換される。
【0068】
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング214は、創傷ドレッシング214をセンサシステム200に取り外し可能に接着する接着剤を含む。接着剤は、光活性化されてもよい。例えば、接着剤は、光遮断層によって被覆してもよく、光遮断層は、除去されると、接着剤を露出させて、接着剤を相対的非接着状態から相対的接着状態に移行させる。接着剤は、紫外線(UV)光など、特定の波長又は波長帯域幅の光によって活性化されてもよく、それにより、特定の波長又は波長帯域幅の光を出力するように構成された活性化装置を使用して、接着剤を選択的に活性化することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング214は、ラッチ、ツイストラッチ、又はスナップ嵌合を含むがこれらに限定されない、センサシステム200に取り付けるように構成された少なくとも1つの取り付け部材を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの取り付け部材は、第1の取り付け部材と、第2の取り付け部材とを含み、第2の取り付け部材は、第2の変位センサ206が創傷ドレッシング214に接続されたときに第2の変位センサ206に張力を印加するのに十分な閾値距離を超える距離だけ第1の取り付け部材から離間している。
【0070】
いくつかの実施形態では、センサシステム200は、加速度計などの少なくとも1つの位置センサを含む。加速度計は、センサ204、206とは異なる方向/自由度についての変位データなど、創傷ドレッシング214の移動に関する追加の変位データを提供するために使用することができる。
【0071】
ここで図6を参照すると、例示的な実施形態による、センサシステム300を示す概略図が示されている。センサシステム300は、センサ構成要素が創傷ドレッシングと一体化されるように設計されていることを除いて、センサシステム200と同様である。図6に示すように、陰圧インターフェース312は、創傷ドレッシング214に取り付けられ、創傷ドレッシング214は、創傷部位106に配置される。陰圧インターフェース312は、陰圧インターフェース212と同様である。陰圧インターフェース312は、第1の変位センサ304及び第2の変位センサ306を含み、それらはそれぞれ、陰圧インターフェース312内に配置されている。第1の変位センサ304は、第1の変位センサ204の特徴を組み込むことができ(例えば、第1の変位センサ304はEAPセンサであってもよく)、第2の変位センサ306は、第2の変位センサ206の特徴を組み込むことができる(例えば、第2の変位センサ306はEAPセンサであってもよい)。センサシステム200と同様に、センサシステム300は、水分センサなどの追加のセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、センサ304、306が陰圧インターフェース312と一体化される一方で、センサモジュール216は、陰圧インターフェース312に取り外し可能に接続されてもよく、それにより、ドレッシング間にセンサモジュール216を取り外し、再利用できるようになり得る。
【0072】
制御ユニット
ここで図7を参照すると、例示的な実施形態による制御ユニット114をより詳細に示すブロック図が示されている。制御ユニット114は、センサシステム200、300を含む本明細書に記載の様々な創傷ドレッシング及びセンサシステムと共に使用することができる。制御ユニット114は、プロセッサ148とメモリ150とを含む処理回路146を含むように図示されている。プロセッサ148は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、あるいは他の好適な処理構成要素であってもよい。プロセッサ148は、メモリ150に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワーク記憶装置、リモートサーバなど)から受信される、コンピュータコード又は命令を実行するように構成される。
【0073】
メモリ150は、本開示に記載される様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上の装置(例えば、メモリユニット、メモリ装置、記憶装置など)を含んでもよい。メモリ150は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ、あるいはソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含んでもよい。メモリ150は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載される様々なアクティビティ及び情報構造をサポートするための任意の他の種類の情報構造を含んでもよい。メモリ150は、処理回路146を介してプロセッサ148に通信可能に接続されてもよく、本明細書に記載される1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ148によって)実行するためのコンピュータコードを含んでもよい。プロセッサ148がメモリ150内に記憶された命令を実行するとき、プロセッサ148は、一般に、そのようなアクティビティを完了するように制御ユニット114を(より具体的には処理回路146を)構成する。制御ユニット114によって実行される機能の一部又は全ては、センサモジュール216によって実行されても、かつ/あるいはセンサモジュール216及び/又は療法装置102に通信可能に接続された、臨床医が使用するための装置など、遠隔コンピューティング装置によって実行されてもよいことが理解されるであろう。
【0074】
制御ユニット114は、ポンプ制御部152を含むように図示されている。ポンプ制御部152は、ポンプ120の動作を制御する制御信号を生成する。ポンプ制御部152は、電流、電圧、周波数、振幅、又は断続性など、制御信号のパラメータを設定することができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御部152は、実効(RMS)電圧を有する交流制御信号を生成し、その制御信号を交流回路140を介してポンプ120に送出する。例えば、ポンプ制御部152は、第1のアーム142に関連付けられた第1の信号成分の第1の位相角を、第2のアーム144に関連付けられた第2の信号成分の第2の位相角に変調することによって、特定のRMS電圧を有するように制御信号を生成することができる。
【0075】
制御ユニット114は、療法パラメータ計算部154を含むように図示されている。療法パラメータ計算部154は、変位センサ204、206からの変位測定値及び水分センサ208からの水分測定値など、療法装置102に接続された様々なセンサからのセンサ測定値を受け取ることができる。
【0076】
センサ204、206、208のそれぞれは、静電容量又は静電容量を表す電圧など、センサ固有の測定単位でセンサ測定値を出力するEAPセンサであってもよく、療法パラメータ計算部154は、必要に応じて、受信されたセンサ測定値を変位、水分レベル、流体レベル、又は流体流量に変換するように構成することができる。例えば、療法パラメータ計算部154は、実行されると、センサ204、206、208からのセンサ測定値を適切な測定単位に変換する較正機能を格納することができる。
【0077】
療法パラメータ計算部154は、受け取ったセンサ測定値に基づいて、1つ以上の療法パラメータを計算することができる。例えば、療法パラメータ計算部154は、第1の変位センサ204の第1の変位を示す第1の変位測定値を受け取り、第1の変位測定値に基づいて(又は同様に、第2の変位センサ206からの第2の変位測定値に基づいて)療法パラメータを計算することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、療法パラメータは、付加力を含む。例えば、療法パラメータ計算部154は、第1の変位センサ204から第1の変位測定値を受け取り、緯度方向付加力関数を実行して、第1の変位測定値に対応する緯度方向付加力を計算することができる。
【0079】
例えば、療法パラメータ計算部154は、第2の変位センサ206から第2の変位測定値を受信し、経度方向付加力関数を処理して、第2の変位測定値に対応する経度方向付加力を計算することができる。療法パラメータ計算部154はまた、第2の変位測定値に基づいて、創傷部位106に隣接する関節の運動の程度又は運動の頻度のうちの少なくとも1つを計算することができる。例えば、より小さい長手方向力は、より小さい関節の屈曲を示し得る。
【0080】
ポンプ制御部152は、療法パラメータ計算部154によって計算された療法パラメータに基づいて、ポンプ120の動作を制御することができる。例えば、ポンプ制御部152は、付加力療法パラメータ(例えば、緯度方向付加力)を目標付加力と比較して付加力療法パラメータと目標付加力との差を計算し、その差を低減するために、ポンプ120を使用して創傷部位106に適用される圧力を修正することができる。したがって、制御ユニット114は、療法の有効性の代理的測定値として圧力又は他の変数を使用するのではなく、付加力に基づいて陰圧創傷療法の有効性を直接制御するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御部152は、遠隔ソースから制御コマンドを受信し、受信された制御コマンドに基づいて、ポンプ120の動作を制御する。
【0081】
警告発生部156は、計算された療法パラメータに基づいて警告を発生することができる。警告発生部156は、療法パラメータを、最小閾値又は最大閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値条件と比較し、療法パラメータが所定の閾値条件を満たさないことに応答して警告を出力することができる。警告発生部156は、警告を記憶することができる。所定の閾値条件は、緯度方向付加力、経度方向付加力、関節運動、及び創傷ドレッシングの流体レベルを含み得るが、これらに限定されない。
【0082】
警告発生部156は、データ通信インターフェース112に、警告を遠隔宛先に送信させることができる。また、警告発生部156を使用して、療法ステータスの遠隔監視を可能にするためにセンサ測定値を遠隔宛先に送信することができる。例えば、警告発生部156は、療法コンプライアンス及び患者の歩行活動を判定するために使用できるセンサ測定値を示す警告を発生することができる。警告発生部156を使用して、(例えば、ユーザインターフェース110を介した)療法ユニット102又は遠隔装置(例えば、制御ユニット114に通信可能に接続された、臨床医が操作する装置)からの遠隔要求に応答して、警告及び/又はセンサ測定値を送信することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、警告発生部156は、漏出を示す警告を発生することができる。警告発生部156は、計算された付加力値を目標付加力値と比較し、計算された付加力値と目標付加力値との差が閾値差未満であることに応答して、目標付加力値を満たしていると判定することができる。目標付加力値を満たしていると判定したことに応答して、警告発生部156は、ポンプ制御部152によるポンプ120の動作のデューティサイクルを閾値デューティサイクルと比較することができる。閾値デューティサイクルは、通常状態動作及び/又は定常状態動作中に予想されるポンプ動作レベルを示すことができる。デューティサイクルが閾値デューティサイクルよりも大きいことに応答して、警告発生部156は、漏出条件が存在すると判定することができ(例えば、デューティサイクルは、目標付加力の達成後には、ポンプ120が予想よりも強く駆動されていることを示すことができる)、漏出を示す警告を発生することができる。
【0084】
警告発生部156は、創傷ドレッシングの位置ずれ(例えば、誤適用)を示す警告を発生することができる。いくつかの実施形態では、警告発生部156は、ポンプ120のデューティサイクル及び測定された付加値を使用して、創傷ドレッシングの位置ずれを判定する。例えば、警告発生部156は、デューティサイクルを閾値デューティサイクルと比較することができる。警告発生部156は、デューティサイクルが閾値デューティサイクルよりも大きいことに応答して、タイマーを始動すること(及び、デューティサイクルがデューティサイクルの閾値を下回ることに応答して、タイマーをリセットすること)ができる。警告発生部156は、タイマーによって出力された時間を閾値時間(この閾値時間は、ドレッシングを引き下げるためのポンプ120の動作の開始時の高デューティサイクル動作を考慮して、遅延を含み得る)と比較することができる。この時間が閾値時間よりも長い場合、警告発生部156は、付加力を目標付加力と比較することができる。したがって、(1)時間が閾値時間よりも長いこと、(2)付加力が目標付加力よりも小さいことを判定したことに応答して、警告発生部156は、ドレッシングの位置ずれを示す警告を発生することができる。
【0085】
警告発生部156は、患者の関節の運動を示す警告を発生することができる。例えば、警告発生部156は、関節の関節運動の指標を受信することができる。警告発生部156は、(例えば、1時間、1日、1週間、1か月、1年間、又は任意の範囲など、所定の期間にわたって)受信された指標の数がコンプライアンス条件を満たすかどうかを判定することができる。コンプライアンス条件は、受信された指標の第1の閾値数又は受信された指標の第2の閾値数のうちの少なくとも1つを含み得る。警告発生部156は、受信された指標の数を第1の閾値又は第2の閾値のうちの少なくとも1つと比較し、指標の数が第1の閾値以上であること、若しくは指標の数が第2の閾値以下であることの少なくとも一方であることに応答して、患者がコンプライアンス条件に適合していると判定し、それ以外の場合には、(警告発生部156が第1の閾値を使用してコンプライアンス条件を評価する場合には)コンプライアンス条件が第1の閾値を含む)指標の数が第1の閾値未満であること、若しくは(警告発生部156が第2の閾値を使用してコンプライアンス条件を評価する場合には)指標の数が第2の閾値よりも大きいことの少なくとも一方であることに応答して、患者がコンプライアンス条件に適合しないと判定することができる。警告発生部156は、ユーザインターフェース110を使用して、移動を示す警告を出力することができ、かつ/又は、治療のコンプライアンス/非コンプライアンスを介護者に通知するために、介護者が操作する遠隔装置などの遠隔宛先に送信することができる。いくつかの実施形態では、警告発生部156は、第2の所定の期間が満了したことに応答して、第1の閾値又は第2の閾値のうちの少なくとも1つの少なくとも1つを修正し(例えば、増加させ)、それによって、療法システム100は、経時的に療法を調整できるようになる。第2の所定の期間は、1日以上かつ1週間以下であり得る。
【0086】
制御プロセス
ここで図8を参照すると、例示的な実施形態による、陰圧創傷療法(NPWT)装置に関連付けられたセンサシステムを作動するためのプロセス800のフローチャートが図示されている。プロセス800は、図1図7を参照して説明したように、センサシステム200、センサシステム300、及び/又はNPWTシステム100のうちの1つ以上の構成要素によって実行することができる。例えば、プロセス800は、センサシステム200から受信されたセンサ測定値に基づいてポンプ120を制御するために、センサシステム200及び制御ユニット114を使用する療法装置102によって実行することができる。
【0087】
プロセス800は、患者の創傷のための創傷ドレッシングの変位の指標を受信すること(ステップ802)を含むように図示されている。指標は、少なくとも1つの電気活性ポリマー(EAP)センサを含み得る少なくとも1つのセンサから受信することができる。少なくとも1つのEAPセンサは、創傷ドレッシングに接続することができる。少なくとも1つのEAPセンサは、変位に対応する少なくとも1つのEAPセンサの静電容量の変化に基づいて、指標を出力するように構成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのEAPセンサは、緯度方向変位を検出するように構成された第1のEAPセンサと、経度方向変位を検出するように構成された第2のEAPセンサとを含む。少なくとも1つのセンサは、1つ以上の加速度計を含んでもよい。少なくとも1つのセンサは、創傷ドレッシングに取り外し可能に取り付けてもよく、又は創傷ドレッシング内に配置してもよい。
【0088】
プロセス800は、変位の指標に対応する療法パラメータを計算すること(ステップ804)を含むように図示されている。療法パラメータは、創傷ドレッシングが患者の創傷に適用する付加力、あるいは、移動の程度又は頻度、関節の関節運動、あるいは閾値程度又は閾値頻度を超える運動の指標を含む、創傷ドレッシングを中心とする患者の関節の運動のうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、療法パラメータは、水分レベル、流体レベル、流体流、あるいは創傷ドレッシングの水和又は水和の変化を示す他のパラメータを含む。
【0089】
プロセス800は、計算された療法パラメータを出力すること(ステップ806)が図示されている。療法パラメータを出力することは、変位の指標を、NPWT装置又は他の遠隔電子装置のうちの少なくとも1つに送信することを含んでもよい。療法パラメータを出力することは、後で取り出すために、療法パラメータをメモリに記憶することを含んでもよい。療法パラメータを出力することは、療法パラメータを、最小閾値又は最大閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値条件と比較することと、療法パラメータが所定の閾値条件を満たさないことに応答して警告を出力することと、を含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、NPWT装置の動作は、療法パラメータを使用して修正される。療法パラメータは、付加力を含んでもよい。付加力と目標付加力値との差を計算することができ、その差を低減するために、創傷ドレッシングによって(NPWT装置を用いて)創傷に適用される圧力を修正することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、創傷ドレッシング内の水分レベルが検出される。水分レベルは、最小水分閾値又は最大水分閾値のうちの少なくとも1つを含む所定の閾値水分条件と比較することができる。水分レベルが所定の閾値水分条件を満たさないことに応答して、警告を出力することができる。
【0092】
例示的な実施形態の構成
様々な例示的な実施形態に示されるシステム及び方法の構造及び構成は、単なる例示である。本開示では、いくつかの実施形態のみを詳細に記載してきたが、多くの修正形態(例えば、様々な要素におけるサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、実装構成、材料の使用、色、配向などの変動)が可能である。例えば、要素の位置を反転させること、又は他の場合には変動させることができ、別個の要素の性質又は数あるいは位置を変更又は変動させることができる。したがって、全てのそのような修正形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序又はシーケンスは、代替実施形態に従って変動させる又は並び変えることができる。例示的な実施形態の設計、動作条件及び構成において、本開示の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更及び省略を行うことができる。
【0093】
本開示は、様々な動作を達成するための任意の機械可読媒体上の方法、システム及びプログラム製品を企図している。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、あるいは、この若しくは別の目的のために組み込まれた適切なシステムのための専用コンピュータプロセッサによって、あるいは、ハードワイヤードシステムによって実装することができる。本開示の範囲に含まれる実施形態は、機械実行可能命令又はその上に記憶されたデータ構造を搬送する又は有する機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。このような機械可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータによって、あるいはプロセッサを備える他の機械によってアクセスできる任意の利用可能な媒体であってもよい。例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、あるいは、機械実行可能命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコードを搬送又は記憶するために使用でき、かつ、汎用又は専用のコンピュータ又はプロセッサを備える他のマシンによってアクセスできる任意の他の媒体を備えることができる。上記の組み合わせもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用の処理マシンに、特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータを含む。
【0094】
図面は特定の順序の方法ステップを示しているが、ステップの順序は図示されているものと異なっていてもよい。また、2つ以上のステップを同時に、又は部分的に同時に実行することができる。そのような変形形態は、選択されたソフトウェアシステム及びハードウェアシステムに、かつ、設計者の選択に依存する。全てのこのような変形形態は、本開示の範囲に含まれる。同様に、ソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び決定ステップを達成するために、ルールベース論理及び他の論理を用いた標準的なプログラミング技術で達成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8