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特許7346445ダイヤフラムポンプを圧力差から保護するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ダイヤフラムポンプを圧力差から保護するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
F04B43/02 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020557245
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019027944
(87)【国際公開番号】W WO2019204497
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】62/659,550
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506176478
【氏名又は名称】ワナー・エンジニアリング・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】WANNER ENGINEERING,INC.
【住所又は居所原語表記】1204 Chestnut Avenue,Minneapolis,MN 55403(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・メインズ
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン・フェザーストーン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ホリスター
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・カリニエミ・ジャルコ
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2919650(US,A)
【文献】米国特許第5894784(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第1291524(EP,A2)
【文献】特開2014-206158(JP,A)
【文献】実開昭62-122176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧流体を収容する移送チャンバと;
ポンプ送りされる流体のためのポンプ送りチャンバと;
前記移送チャンバまで延在する制御要素と;
前記制御要素に接続されたダイヤフラムであって、前記移送チャンバと前記ポンプ送りチャンバとを分離する、ダイヤフラムと;
前記制御要素に取り付けられた圧力保護デバイスであって、前記圧力保護デバイスが、前記制御要素と前記ダイヤフラムとの中間にあり、前記圧力保護デバイスが、前記ダイヤフラムにおける圧力差が所定の値を超えると前記移送チャンバに対してシールし、前記移送チャンバの壁部と滑らかな表面を形成し、前記ダイヤフラムに連続的な支持を提供するように構成されている、圧力保護デバイスと;
を備えるダイヤフラムポンプ装置であって、
前記圧力保護デバイスが、前記ダイヤフラムの剛性よりも大きい剛性を有することを特徴とするダイヤフラムポンプ装置。
【請求項2】
記圧力保護デバイスが、前記圧力差にさらされたときに前記移送チャンバと係合するリングタイプ要素を備えることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項3】
前記圧力保護デバイスが、ディスクを備えることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項4】
前記圧力保護デバイスが、フランジを備えることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項5】
前記圧力保護デバイスが、ワッシャを備えることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項6】
前記圧力保護デバイスが、成形リングを備えることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項7】
前記成形リングが、リップを備えることを特徴とする請求項6に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項8】
前記圧力保護デバイスが、差圧の下で変形する間、前記移送チャンバと係合することを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【請求項9】
前記圧力保護デバイスが、前記ダイヤフラムの移送チャンバ側で前記ダイヤフラムを支持することを特徴とする請求項に記載のダイヤフラムポンプ装置
【請求項10】
前記圧力保護デバイスが、前記移送チャンバの壁部と係合することを特徴とする請求項に記載のダイヤフラムポンプ装置
【請求項11】
前記制御要素が、前記移送チャンバまで延在するプランジャを備え、前記圧力保護デバイスが、前記プランジャと前記ダイヤフラムとの中間にあることを特徴とする請求項に記載のダイヤフラムポンプ装置
【請求項12】
間隙のない連続的支持面において前記移送チャンバとの係合を提供するように構成されたリングタイプ要素を備えることを特徴とする請求項に記載のダイヤフラムポンプ装置
【請求項13】
前記圧力保護デバイスが、間隙のない連続的支持面において前記移送チャンバとの係合を提供するように構成されたリングタイプ要素を備えることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラムポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2019年4月17日付けで出願されたものであり、2018年4月18日付けで出願された米国仮特許出願第62/659550号の優先権を主張し、この出願の全開示が、その全体を参照することによって組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、ダイヤフラムポンプ内のダイヤフラム及びクランクケースを過度の差圧から保護するためのシステム及び方法と、圧力保護デバイスを有するダイヤフラムポンプと、に関する。
【背景技術】
【0003】
ダイヤフラムポンプは、ポンプ送り流体をダイヤフラムにより変位させることによって動作する。このような液圧駆動型ポンプでは、ダイヤフラムは、ダイヤフラムに対して押し付けられる液圧流体圧力によって撓まされる。このようなポンプは、有用性、効率及び信頼性の優れた組み合わせを提供することが分かっている。しかしながら、適切なシールを維持することと、ダイヤフラムの寿命を延ばすことと、が、ダイヤフラムポンプの課題である。
【0004】
通常の動作中に、ポンプの推進及び制御システムは、ダイヤフラムにおける大きな差圧を防止又は制限するか、又はこのような圧力にダイヤフラムをさらすことを制限し、追加的なダイヤフラム保護が必要とされない。しかしながら、いくつかの用途では、ダイヤフラムは、大きな逆差圧にさらされる。ポンプが動作中でないときに持続される高い吸引圧力及び高い放出圧力の双方は、ダイヤフラムにおいて大きな逆差圧を生み出す可能性がある。これらの逆差圧は、ダイヤフラムが材料及び/又はポンプ幾何学形状からの不連続部に一致するような程度までダイヤフラムが包囲構造に押し付けられる場所で、ダイヤフラムを損傷させる可能性がある。変形したダイヤフラムが係合させられた間隙、縁部及び材料の移行部は、応力及び損傷についてのターゲット範囲であり得る。このような損傷は、ダイヤフラムの破断及びポンプの故障につながる可能性がある。さらに、ダイヤフラムが破断しかつシステム圧力がそのままである場合、システム流体は、ポンプの液圧移送チャンバ内に、破断したダイヤフラムを通過する可能性がある。問題が解消されないと、最終的に、システム流体は、クランクケースに入る可能性があり、ポンプを損傷させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧力保護デバイスを有するダイヤフラムを含む、新規の改良されたダイヤフラムポンプが必要とされていることが分かる。このような改良されたポンプ及びダイヤフラム装置は、過度の逆圧力差を含む、ダイヤフラムにおける高い圧力差に起因するダイヤフラムの損傷を防止又は制限するべきである。さらに、改良されたポンプ及びダイヤフラムは、ダイヤフラムが破断した場合に、流体がポンプの液圧後端部に入ることを防止するべきである。さらに、このようなシステムは、ポンプのサイズを増大させることなく又は性能に影響を与えることなく、製造しかつ取り付けるのが簡単であるべきである。本発明は、これらの問題と、ダイヤフラムポンプ及びダイヤフラムシーリング装置に関連する他の問題と、に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ダイヤフラムにおける過度の差圧からダイヤフラムポンプのダイヤフラムを保護するためのシステムと、圧力保護デバイスを有するダイヤフラムポンプと、に向けられている。
【0007】
ダイヤフラムポンプは、往復運動で移動するダイヤフラム組立体を含み、この往復運動は、ポンプ送りチャンバと液圧流体チャンバとの間でダイヤフラムを曲げる。ダイヤフラムは、ポンプ送りチャンバ内で流体をポンプ送りするために、後退位置と延長位置との間で前後に移動する。
【0008】
ダイヤフラム組立体は、制御要素に取り付けられたダイヤフラム要素を含み、制御要素は、制御要素シャフト部分及び制御要素ディスク部分を含んでいる。締結具が、ダイヤフラムを制御要素に取り付けるためにディスク状フォロワに係合する。ダイヤフラム要素は、液圧ハウジングに係合して液圧ハウジングに対してシールする。制御要素シャフトは、バネにも接触し、バネは、液圧ハウジングに対して力を加え、ダイヤフラムをその後退位置に押し進める。バネは、一般的に、ポンプが動作しているときにダイヤフラムを横切る小さい付勢圧力を作り出すために使用される。さらに、バネは、ポンプがアイドル状態である場合に停止位置へダイヤフラムを後方に引っ張りもする。一実施形態では、液圧ハウジングは、プランジャが通って延在する中心開口部と、傾斜した角度付き部分につながる、径方向内側に延在した平面部分と、径方向延在面を有する外側部分と、を規定する。マニホールドハウジングが、中心開口部を有する環状要素として形成され、液圧ハウジングに係合する。液圧ハウジングは、マニホールドハウジングとともに、ダイヤフラム組立体の周りに移送チャンバを作り出す。ダイヤフラム組立体は、液圧ハウジングとマニホールドハウジングとの間に形成された移送チャンバ内で移動する。
【0009】
従来のダイヤフラムポンプでは、過剰圧力状況が生じた場合、ポンプ流体からの高圧は、ダイヤフラムの液圧ハウジング側での任意の間隙内にダイヤフラムを押し込む。しかしながら、本発明は、制御要素及びダイヤフラムに接触してダイヤフラム組立体に取り付けられる圧力差保護デバイスを利用する。保護デバイスは、液圧ハウジングの角度付き部分と制御要素のディスク部分との間に滑らかな移行及び連続的表面を提供し、ダイヤフラムが押し込まれる間隙及び割れ目を排除する。従って、過度の圧力に遭遇したとしても、バックアップデバイスは、ダイヤフラム要素が不連続部内に変形することを可能せず、連続的に滑らかな形態を維持する。バックアップデバイスは、ダイヤフラムが漏れがある場合に流体が移送チャンバに入ることを防止するシールとしても作用するので、さらなる利益を有する。保護バックアップデバイスは、金属と金属との接触及び可能性のある漏れを回避するために、エラストマー材料から作られる。適切な材料は、超高分子量ポリエチレン、ウレタン及びゴムを含むが、これらに限定されるようには意図されない。エラストマー材料は、長いアイドル期間にわたってさえ効率的なシールを維持し、システム流体からの液圧移送チャンバ及びクランケースからの保護を提供することができる。
【0010】
圧力差保護デバイスは、ダイヤフラムの形状と一致するような形状とされ、丸みを帯びているか、楕円状であるか、又は“レーストラック”状であってもよい。平面部分は、ポンプの形態に応じて、小さい中心取り付け部分と実質的に連続的であるか、又は実質的に開いていてもよい。リップ又はフランジが、支持及びダイヤフラム要素との係合を提供するためかつ間隙を埋めて制御要素から液圧ハウジングへダイヤフラムのための滑らかなかつ連続的支持面を提供するために、平面部分の周囲の周りで延在する。保護デバイスは、ディスク又は環状要素などの複数の形態を有し、適切な支持を提供するさまざまな材料から形成され得ることが理解され得る。保護デバイスは、好ましくは、ダイヤフラム要素よりも高い剛性を有し、このため、保護デバイスは、ダイヤフラムが往復運動するように構成されるときに、往復運動するように前後に曲がらずに適切な支持を提供する。リップ又はフランジは、包囲要素の全体的な幾何学形状に一致するように構成され、これにより、ダイヤフラム要素のための適切かつ連続的な支持を提供し、高い逆圧力差状況にさらされるときにダイヤフラム要素における急な方向変化を回避することが理解され得る。
【0011】
圧力差保護デバイスの実施形態は、環状ディスク部分で構成されてもよく、かつワッシャ又はディスクとして構成されてもよく、これにより、ダイヤフラム要素が、応力が発生する可能性のある間隙内に押し込まれることができないように、連続的支持面での液圧ハウジングとの係合を提供する。保護デバイスは、ダイヤフラムポンプの特定の形態と対となるように構成された寸法並びに/又はリップ及び縁部を有し、これにより、ダイヤフラム要素のための支持を提供し、間隙及び割れ目を排除することも理解され得る。
【0012】
本発明を特徴づける、新規なこれらの特徴及びさまざまな他の利点は、本願に添付されかつ本願の一部を形成する特許請求の範囲において特に指摘される。しかしながら、本発明、本発明の利点及び本発明の使用によって得られる目的のより良好な理解のために、本発明の好ましい実施形態が示されかつ説明される、本願のさらなる一部を形成する図面と、付随する説明的事項と、が参照される。
【0013】
ここで図面を参照すると、同様の参照文字及び数字が、いくつかの視界にわたって対応する構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ダイヤフラムポンプの側方断面図である。
図2図1に示されるダイヤフラムポンプのための、プランジャ、ダイヤフラム、ポンプ送りチャンバ及びマニホールドの側方断面図である。
図3】通常の付勢圧力によりダイヤフラムが下死点にある、図2に示されるダイヤフラムの側方断面図である。
図4】通常の付勢圧力によりダイヤフラムが延長位置にある、図3に示されるダイヤフラムの側方断面図である。
図5】ダイヤフラムが逆差圧から変形させられた、図3に示されるダイヤフラムの側方断面図である。
図6】本発明の原理による圧力差保護デバイスを有する、図2に示されるダイヤフラムの側方断面図である。
図7図6に示される圧力差保護デバイスを有するダイヤフラム組立体の分解斜視図である。
図8】本発明の原理による圧力差保護デバイスの別の実施形態の断面図である。
図9】本発明の原理による圧力差保護デバイスのさらに別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで図面、特に図1を参照すると、全体として符号(20)で示された液圧駆動型ダイヤフラムポンプが示されている。ダイヤフラムポンプ(20)は、クランクケース(22)内に取り付けられたクランクシャフト(36)によって駆動される。マニホールド(26)が、入口通路(74)及び放出通路(76)を含んでいる。マニホールド(26)は、1つ以上の入口チェックバルブ(72)及び1つ以上の放出チェックバルブ(70)も含んでいる。
【0016】
示される実施形態では、ポンプ(20)は、ダイヤフラムポンプであり、図2においてよりはっきりと示されるように、バルブステム(44)に取り付けられたダイヤフラム組立体(100)を含んでいる。ダイヤフラム組立体(100)は、可撓性を有するダイヤフラム要素(102)を含み、クランクシャフト(36)へのクランクシャフトロッド(38)上のスライダ(40)に接続されたプランジャ(42)によって液圧駆動される。プランジャ(42)は、液圧流体チャンバ(32)内に延在し、ダイヤフラムに液圧流体をぶつける。過剰充填チェックバルブ(48)及び充填不足チェックバルブ(50)が、適切な液圧流体レベルを維持している。
【0017】
ダイヤフラム(102)は、ポンプ送りチャンバ(34)内で流体を受け、システム流体は、ダイヤフラム(102)が延長位置と完全後退位置との間で前後に撓んでいる間にポンプ送りされる。マニホールド(26)は、複数のダイヤフラムポンプの各ポンプ送りチャンバのために、別個の入口チェックバルブ(72)及び放出チェックバルブ(70)を含んでいる。
【0018】
ここで図3図5を参照すると、ダイヤフラム組立体(100)は、ポンプ送りチャンバ(34)と液圧流体チャンバ(32)との間で、ダイヤフラム(102)を曲げるために往復運動を有する。動作中に、ダイヤフラム要素(102)は、図3に示される後退位置と図4に示される延長位置との間で中心軸線に沿って往復運動する。液圧流体チャンバ(32)は、少なくとも部分的に、角度付き部分(110)を含む液圧ハウジング(104)によって規定される。
【0019】
図5に示されるように、従来のダイヤフラムでは、過度の逆圧力差状況が生じた場合、ポンプ送り流体からの圧力は、液圧ハウジング(104)、特に角度付き部分(110)と、制御要素(120)のディスク状部分(124)と、の間の不連続部にダイヤフラム要素を押し込むことが理解され得る。間隙内へのこのような変形は、ダイヤフラム要素(102)に応力を与え、上述したようにダイヤフラム要素(102)の損傷及び/又は故障につながる可能性がある。
【0020】
図7に示されるように、ダイヤフラム組立体(100)は、制御要素(120)に取り付けられたダイヤフラム要素(102)を有し、制御要素(120)は、制御要素シャフト部分(122)及び制御要素ディスク部分(124)を含んでいる。締結具(126)は、ダイヤフラム(102)を制御要素(120)に取り付けるために、ディスク状フォロワ(128)と係合する。ダイヤフラムは、ダイヤフラムの液圧チャンバ側で液圧ハウジングと係合する。
【0021】
図6及び図7に示されるように、本発明は、制御要素(120)及びダイヤフラム(102)と接触してダイヤフラム組立体(100)に取り付けられる圧力差保護デバイス(140)を利用する。制御要素ディスク部分(124)は、リングタイプ要素として構成される場合に保護デバイス(140)を受けるために溝を含んでもよい。保護デバイス(140)は、ダイヤフラム係合表面を作り出し、ダイヤフラム係合表面は、液圧ハウジング(104)の角度付き部分(110)と、制御要素(120)のディスク部分(124)と、に沿って滑らかな移行及び連続的支持面を提供する。従って、過度の逆差圧に遭遇したとしても、バックアップデバイス(140)が、ダイヤフラム要素(102)が間隙内に変形することを可能にせず、図6に示される形態にダイヤフラム要素を支持及び維持する。従って、ダイヤフラム(102)は、応力を集中させかつダイヤフラム要素(102)を損傷させる曲げ及び/又は変形を回避する。さらに、保護デバイス(140)が、ダイヤフラム(102)が破断するか又は漏れがある場合に流体が移送チャンバ及びクランクケースに入ることを防止することが理解され得る。
【0022】
図6及び図7に示される圧力差保護デバイス(140)の実施形態は、ダイヤフラム要素(102)のための十分な支持を提供する材料から成る成形リングタイプの要素である。内側取り付け部分(142)が、制御要素(120)に対して着座する。圧力差保護デバイス(140)の周囲でのリップ又はフランジ(144)が、隙間を防止し、過度の逆圧力差の下でさえ制御要素(120)から液圧ハウジング(104)へダイヤフラムのための滑らかなかつ連続的支持面を提供する。保護デバイス(140)は、超高分子量ポリエチレン、ウレタン、ゴム及び他のエラストマー材料などのさまざまな材料から形成され、これら材料は、適切な支持を提供し、延長した期間について圧力下でシールを維持する。保護デバイス(140)は、好ましくは、ダイヤフラム要素(102)よりも高い剛性を有し、このため、保護デバイス(140)は、ダイヤフラム(102)とともに往復運動するように前後に曲がらない。
【0023】
保護デバイス(140)は、ディスク又は環状要素などの複数の形態を有し得ることが理解され得る。さらに、保護デバイスの周囲は、丸みを帯びているか、楕円形であるか、又は“レーストラック”状であってもよい。ダイヤフラムと係合しない、リップ又はフランジ(144)の表面は、ダイヤフラム要素(140)のための適切かつ連続的な支持を提供するために周りのポンプ要素の全体的な幾何学形状と一致するように構成されている。
【0024】
ここで図8を参照すると、圧力差保護デバイスの別の実施形態が示されている。全体として符号(240)で示される圧力差保護デバイスは、ダイヤフラム(202)のためのものである。圧力差保護デバイス(240)は、全体として、ワッシャのような環状平面ディスク部分(242)により構成され、間隙のない連続的支持面として液圧ハウジングとの係合を提供するように構成される。圧力差保護デバイス(240)は、ディスク部分(242)の後部に支持部分(244)を含み、これにより、平面ディスク部分が、過度の逆圧力差にさらされた場合にさえ、その形状を維持し、シールを維持することを確実にする。他の実施形態と同様に、他の方式でダイヤフラム要素(202)が内部に変形する可能性がある間隙が、排除され得る。圧力差保護デバイス(240)は、液圧チャンバの表面の凹凸を覆い、液圧マニホールドに対してより滑らかな連続的支持面を提供する。保護デバイス(140及び240)は、ダイヤフラムポンプ及び液圧チャンバの特定の形態と対となるように変更されるサイズ及び寸法を有し、これによりダイヤフラム要素(102)のための支持を提供することも理解され得る。
【0025】
ここで図9を参照すると、圧力差保護デバイスのさらに別の実施形態が示されている。全体として符号(340)で示された圧力差保護デバイスは、ダイヤフラム(302)のために構成されている。圧力差保護デバイス(340)は、間隙のない連続的支持面において液圧ハウジングとの係合を提供するように構成されたリングタイプの要素(342)を含んでいる。リングタイプの要素(340)は、成形され、かつリングタイプの要素(342)を保持及び支持するために提供する支持部分(344)に取り付けられ、これにより、圧力差保護デバイス(340)が、過度の逆圧力差にさらされたときにさえ、その形状を維持し、シールを維持することを確実にする。他の実施形態と同様に、他の方式でダイヤフラム要素(302)が内部に変形する可能性がある間隙が、排除される。圧力差保護デバイス(340)は、液圧チャンバの表面の凹凸及び不連続部を覆い、液圧チャンバに対してより滑らかな連続的支持面を提供する。
【0026】
上述した保護デバイス(140,240)と同様に、保護デバイス(340)は、ダイヤフラムポンプの特定の形態並びに液圧チャンバの寸法及び形状と対となるように変更されるサイズ及び寸法を有するように構成され、これによりダイヤフラム要素のための支持を提供することが理解され得る。さらに、本発明の保護デバイスの全体的な幾何学形状は、包囲チャンバの壁部と相補的となるように変更及び構成され、これにより、表面同士の間に急な角度又は移行部なく連続的な間隙のない表面を形成し、適切なシーリングを維持して過度の逆圧力差に対してダイヤフラム及びポンプを保護する。
【0027】
しかしながら、本発明の多数の特徴及び利点が、本発明の構造及び機能の細部とともに上記の説明に記載されているが、開示は、単に例示的であり、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広い通常の意味によって示される全体的な範囲まで、特に本発明の原理内でのパーツの形状、サイズ及び配置に関して変更が細部になされてもよいことも理解され得る。
【符号の説明】
【0028】
20 ダイヤフラムポンプ、32 液圧流体チャンバ、34 ポンプ送りチャンバ、42 プランジャ、102,202,302 ダイヤフラム、104 液圧ハウジング、140,240,340 圧力保護デバイス、144 リップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9