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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】美容器具及びマッサージ用美容機器
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230911BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A61H7/00 300A
A61H7/00 300K
A61F7/08 332R
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020558386
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2019045117
(87)【国際公開番号】W WO2020105592
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018216533
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】徳重 麻呂
(72)【発明者】
【氏名】栗田 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明子
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120107(JP,A)
【文献】特開昭51-098558(JP,A)
【文献】特開2013-236650(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0009096(KR,U)
【文献】中国特許出願公開第107635525(CN,A)
【文献】実開昭53-062190(JP,U)
【文献】登録実用新案第3183106(JP,U)
【文献】特開昭63-043664(JP,A)
【文献】特開2017-225815(JP,A)
【文献】登録実用新案第3051693(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部と、前記ヘッド部に取り付けられた取っ手部と、を備える美容器具であって、
前記ヘッド部は、
上面部に開口部を有する本体を備え、
前記本体は、前記上面部に対向し、外面が施術面に接触する底面部と、前記上面部と前記底面部との間に側面部とを有し、
前記側面部の外面は、前記側面部の最外周部より内側にある前記上面部、前記最外周部及び前記最外周部より内側にある前記底面部に至る外側に凸である曲面を1つ以上有し、かつ、施術面に接触し、
前記本体は、一体物として形成され、
前記本体の外面には、低摩擦コーティングが施されていること
を特徴とする美容器具。
【請求項2】
前記低摩擦コーティングは、フッ素コーティングであること
を特徴とする請求項1に記載の美容器具。
【請求項3】
前記本体は、金属であること
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の美容器具。
【請求項4】
前記金属は、アルミニウムであること
を特徴とする請求項3に記載の美容器具。
【請求項5】
前記底面部の外面は断面形状が外側に凸及び半径RAの円弧である曲面であり、
前記側面部の外面は断面形状が外側に凸及び半径RBの円弧である曲面であり、
RA>RBであること
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の美容器具。
【請求項6】
前記底面部と前記側面部との間に中間部を有し、
前記中間部の外面は断面形状が外側に凸及び半径RCの円弧である曲面であり、
RA>RC>RBであること
を特徴とする請求項5に記載の美容器具。
【請求項7】
前記本体は、中心軸に対して回転対称であること
を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の美容器具。
【請求項8】
前記ヘッド部は、前記本体の内部に付加装置を備えること
を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の美容器具。
【請求項9】
前記付加装置は、加熱装置、冷却装置、振動発生装置、電磁波発生装置のいずれか1つ又は2以上の組み合わせであること
を特徴とする請求項8に記載の美容器具。
【請求項10】
前記加熱装置は、ヒータであること
を特徴とする請求項9に記載の美容器具。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の美容器具と、
マッサージの際に皮膚に適用する基剤を収容する容器を備え、
前記容器の上面には、前記ヘッド部を収納可能な収納部を備えること
を特徴とするマッサージ用美容機器。
【請求項12】
前記基剤は、B型粘度計における基剤温度30℃での回転速度3rpmの粘度に対する回転速度30rpmの粘度の比が0.5以下であり、かつ、回転速度12rpmの粘度が2500~100000mPa・sであること
を特徴とする請求項11に記載のマッサージ用美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容機器及びマッサージ用美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扁平ドーム状の作用面が形成された作用ヘッドを有する温灸器の発明が知られている。(特許文献1)
【0003】
当該作用ヘッドの作用面が施術面に押し当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-062641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マッサージを行うためには、作用ヘッドを施術面の表面形状に沿って密着させることが望ましい。例えば、首や首から胸元にかけての部位であるデコルテをマッサージすることを考えると、首筋のような緩やかな曲面を有する肌面の場合は、施術面の緩やかな曲面のラインに適合する作用ヘッドの形状が望ましい。また、鎖骨周りのような凹凸がある肌面の場合は、施術面の凹凸に適合する作用ヘッドの形状が望ましい。
【0006】
しかしながら、従来技術は作用ヘッドの作用面の大きさが決まっているため、首や首から胸元にかけての部位であるデコルテのような多様な形状の肌面に対して適用しようとすると、作用ヘッドの作用面に適合する肌面にしか適用することができない。例えば、鎖骨周りのような凹凸がある肌面には密着させることはできない。また、使用形態に応じた形状の作用面を有するヘッドに交換するとしても作業が煩わしくなる。
【0007】
本発明の一実施形態は、多様な形状の肌面に対し、肌に密着可能なマッサージヘッドを有する美容機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、
ヘッド部と、前記ヘッド部に取り付けられた取っ手部と、を備える美容器具であって、
前記ヘッド部は、
上面部に開口部を有する本体を備え、
前記本体は、前記上面部に対向し、外面が施術面に接触する底面部と、前記上面部と前記底面部との間に側面部とを有し、
前記側面部の外面は、前記側面部の最外周部より内側にある前記上面部、前記最外周部及び前記最外周部より内側にある前記底面部に至る外側に凸である曲面を1つ以上有し、かつ、施術面に接触し、
前記本体は、一体物として形成され、
前記本体の外面には、低摩擦コーティングが施されている美容器具
である。

【発明の効果】
【0009】
多様な形状の肌面に対し、マッサージヘッドを肌に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るマッサージ用美容機器の正面図である。
図2】本実施形態に係る美容器具の正面図及び底面図である。
図3】本実施形態に係る美容器具の本体の断面図及び平面図である。
図4A】本実施形態に係る美容器具の断面図である。
図4B】本実施形態に係る美容器具の機能ブロック図である。
図5】本実施形態に係る容器の断面図である。
図6】本実施形態に係る美容器具の処理フローチャートである。
図7A】本実施形態に係る美容器具を用いる美容のためのマッサージ方法を説明する図である。
図7B】本実施形態に係る美容器具を用いる美容のためのマッサージ方法を説明する図である。
図8】変形例の美容器具の本体の断面図及び平面図である。
図9A】変形例の美容器具を用いる美容のためのマッサージ方法を説明する図である。
図9B】変形例の美容器具を用いる美容のためのマッサージ方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本実施形態について説明する。
【0012】
最初に、マッサージ用美容機器1の全体構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るマッサージ用美容機器1の正面図である。マッサージ用美容機器1は、例えば、主に首や首から胸元にかけての部位であるデコルテ等をマッサージするための美容機器である。図1に示すように、マッサージ用美容機器1は、美容器具100と、容器200とを備える。
【0014】
次に、美容器具100について説明する。
【0015】
図2は、本実施形態に係る美容器具100の正面図及び底面図である。図3は、本実施形態に係る美容器具100の本体121の断面図及び平面図である。美容器具100は、取っ手部110と、マッサージヘッド部120と、を備える。本実施形態では、取っ手部110はマッサージヘッド部120に取り付けられている。
【0016】
取っ手部110について説明する。
【0017】
取っ手部110は、施術の際に、施術者が持つための部材である。取っ手部110の形状は略棒状の形状である。取っ手部110に、後で述べるように付加装置の操作スイッチを備えるようにしてもよい。また、付加装置を駆動するための電源(電池)を内蔵するようにしてもよい。さらに、取っ手部110には、カバー等を取り付けてもよい。取っ手部110の表面に装飾を施してもよい。
【0018】
次にマッサージヘッド部120について説明する。
【0019】
マッサージヘッド部120は、施術の際に、施術者が施術面に押し当てるための部材である。マッサージヘッド部120は、本体121を備える。
【0020】
マッサージヘッド部120の本体121の形状について説明する。
【0021】
本実施形態の本体121は、中心軸Xに対して回転対称の円盤状の形状となっている。本体121は、上面部123と、上面部123に対向する底面部124と、上面部123と底面部124との間に側面部125とを備える。また、本実施形態では、底面部124と側面部125の間に中間部126を備える。底面部124、側面部125、中間部126の外面は、施術者がマッサージの際に、施術面に接触する面である。
【0022】
上面部123、底面部124、側面部125、中間部126の各部について説明する。
【0023】
本実施形態では上面部123は平らな円盤状の部材である。上面部123の中心には、開口部122が形成されている。開口部122には、取っ手部110が連結される。取っ手部110は、開口部122に図示しないネジや嵌合部材により取り付けられる。また、後述する本体固定部材129を介してネジや嵌合部材により取り付けられるようにしてもよい。なお、取っ手部110は、マッサージヘッド部120に、着脱自在に取り付けても、固定してもよい。ただし、後述する付加装置を本体内に備える場合は、着脱自在とするのが好ましい。
【0024】
底面部124は、上面部123に対向して設けられる。底面部124の外面と上面部123の外面の向きは逆向きになっている。本実施形態では、底面部124の外面は、中心軸Xを通る断面形状が外側に凸及び半径Rの円弧である曲面である。なお、底面部124の外面は、中心軸Xを回転軸とする回転面である。
【0025】
側面部125は、上面部123と底面部124を折り返すように接続する部材である。側面部125の外面は、中心軸Xを通る断面形状が外側に凸及び半径Rの円弧である曲面である。なお、側面部125の外面は、中心軸Xを回転軸とする回転面である。上面部123側から見た平面視で、側面部125の外周部分を最外周部128という場合がある。本実施形態では、最外周部128は平面視で円形である。側面部125の外面は、最外周部128から上面部123及び後述する中間部126又は底面部124に接続する曲率が略一定の外側に凸である曲面である。
【0026】
本実施形態では、底面部124と側面部125との間に、中間部126を備えている。中間部126は、底面部124と側面部125とを段差がないように接続するために設けられている。本実施形態では、底面部124の外面は、中心軸Xを通る断面形状が外側に凸及び半径Rの円弧である曲面である。なお、中間部126の外面は、中心軸Xを回転軸とする回転面である。
【0027】
本体121は、上面部123、側面部125、中間部126、底面部124が段差なく連結して形成されている。本体121の外面である上面部123から底面部124までの外面は、180°折り返した面になっている。本実施形態では、側面部125の外面を外側に凸の曲面で形成している。すなわち、側面部125の外面は、最外周部128より内側にある上面部123、最外周部128及び最外周部128より内側にある底面部124に至る曲面の一部であって、外側に凸である曲面である。
【0028】
上記のような側面部125を設けることによって、底面部124(及び中間部126)では密着することができないような、例えば、鎖骨周りのような凹凸がある肌面にも側面部125を密着することができる。
【0029】
首や首から胸元にかけての部位であるデコルテをマッサージする美容器具100の場合は、例えば、半径Rは50~100mm程度、半径Rは2~10mm程度、半径Rは20~50mm程度である。首筋のような緩やかな曲面を有する肌面の場合は、底面部124及び/又は中間部126を用いる。鎖骨周りのような凹凸がある肌面の場合は、側面部125を用いる。
【0030】
半径R、半径R及び半径Rの大小関係は、R>R>Rである。特に、半径R及び半径Rの大小関係はR>>Rとなっていることから、マッサージの際に底面部124(及び中間部126)と側面部125を用いるので、美容器具100のマッサージヘッド部120を多様な形状の肌面に対して肌に密着させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、中間部126を備えているが、中間部126を備えずに底面部124と側面部125が直接接続されていてもよい。本実施形態では、底面部124、側面部125、中間部126の断面形状が円弧である曲面であるが、円弧以外の曲線であってもよい。例えば、楕円弧やスプライン曲線でもよい。本実施形態では、底面部124、中間部126は曲面であったが、曲面に限らない。例えば、底面部124、中間部126の一部又は全部が平面であってもよい。また、上面部123についても平らな面ではなく曲面であってもよい。
【0032】
また、本実施形態では、本体121は中心軸Xに対して回転対称であるとしたが、本体121の形状は回転対称に限らない。例えば、平面視が楕円形状や略矩形状、略多角形状であってもよい。また、平面視で円盤状等の形状の一部を切断したような形状でもよい。更に、外周全面ではなく、側面部の一部に当該凸である曲面を1つ以上有するようにしてもよい。
【0033】
次に、本体121の材質と製造方法について説明する。
【0034】
本実施形態の本体121は、金属製の1枚の板(例えば、厚さ1mm)をプレス加工して形成された中空の円盤状の部材で構成されている。すなわち、本体121は一体物として形成されている。本体121に用いられる金属としては、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄等が好ましい。特に、アルミニウムが好ましい。
【0035】
本体121は、金属製の1枚の板をプレス加工して一体物として形成されていることから、つなぎ目なく形成することができる。つなぎ目がないことから、底面部124、側面部125の外面は全体として滑らか曲面とすることができる。したがって、マッサージの際にマッサージヘッド部120を肌に当てて動かしたとしても、継ぎ目による違和感がなく、肌ざわりをよくすることができる。
【0036】
また、本体121は、金属製の1枚の板をプレス加工して一体物として形成されていることから、厚みがほぼ均一である。厚みがほぼ均一であることから、後で述べるように付加装置として加熱装置や冷却装置を備える場合に、加熱又は冷却の際に底面部124、側面部125、中間部126の温度を場所によらずほぼ一定にすることができる。
【0037】
なお、本体121の材質や製造方法について、本実施形態の材質や製造方法とは別の材質や製造方法を採用してもよい。例えば、本体121の材質を樹脂、ガラス、セラミック、木材等としてもよい。また、材質に応じて本体121を切削加工、鋳造、射出成型等により製造してもよい。なお、本体121の形状も、材質や製法に応じて、底面部124、側面部125の内面側については、本実施形態とは別の形状を採用してもよい。
【0038】
次に、本体121のコーティングについて説明する。
【0039】
施術面に接する本体121の底面部124、側面部125、中間部126のそれぞれの外面には、低摩擦コーティングを施すのが好ましい。低摩擦コーティングとしては、フッ素樹脂やPEEK樹脂、セラミック等のコーティングが挙げられる。低摩擦コーティングとしては、特にフッ素コーティングが好ましい。
【0040】
フッ素コーティングに用いる樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましい。特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。また、セラミックのコーティングとして、バイセラム等が好ましい。
【0041】
底面部124、側面部125、中間部126の外面には低摩擦コーティングが施されていることから、マッサージの際にマッサージヘッド部120を肌に当てて動かす際に、さらに肌への摩擦を低減することができる。
【0042】
次に、付加装置134について説明する。
【0043】
マッサージヘッド部120の本体121の内部には、付加装置134が備えられている。付加装置134は、例えば、加熱装置、冷却装置、振動発生装置、パルス電流発生装置、磁気発生装置、電磁波発生装置等のいずれか1つ又はそれらの2以上の組み合わせである。
【0044】
加熱装置は、本体121を加熱する装置である。例えば、ヒータ、ペルチェ素子等である。冷却装置は、本体121を冷却する装置である。例えば、ペルチェ素子等である。振動発生装置は、本体121から超音波を送信したり、本体121自体を振動させたりする装置である。例えば、圧電素子、モータ等である。
【0045】
パルス電流発生装置は、パルス電流を生成する装置である。パルス電流発生装置は、パルス電流の電位・極性を制御する制御回路装置を備えている。パルス電流発生装置は、イオン導入したり、イオン導出したり、電位差を発生させて電位差刺激したりするための装置である。磁気発生装置は、本体121から磁場を発生させる装置である。電磁波発生装置は、本体121から電磁波(光、電波等)を発生させる装置である。なお、電磁波発生装置を用いる場合は、本体121を電磁波が透過するようにする。例えば、本体121の材料に電磁波透過性の材料を用いたり、又は、本体121に電磁波が透過する窓部を設けたり等の適宜変更してもよい。
【0046】
図4Aは、本実施形態の美容器具100の断面図である。図4Bは、本実施形態の美容器具100の機能ブロック図である。図4Aは、付加装置134として、加熱装置(面ヒータ)を備える例を示す。
【0047】
美容器具100は、制御部132、付加装置134、計時部136、操作部138を備える。
【0048】
制御部132は、美容器具100を全体の制御を行う。計時部136は、タイマー等であり時間計測を行う。制御部132と計時部136は、基板131上に設けられる。基板131は、取っ手部110の内部に設けられる。
【0049】
付加装置134である面ヒータは、本体121の内面に貼付して設けられている。面ヒータを用いることによって、本体121を一様に加熱することができる。
【0050】
操作部138は、スイッチ等の操作のための部品等であり施術者からの操作を受け付ける。スイッチ等は例えば取っ手部110の頂部に設けられる。
【0051】
また、美容器具100は、電源部139を備える。電源部139は、基板131や付加装置134に電源を供給する。
【0052】
図4Aでは、本体121と取っ手部110とは、本体固定部材129を介して固定されている。本体固定部材129は本体121の開口部122に挿入される。そして、本体固定部材129は、ネジ又は嵌合部材により本体121に固定される。取っ手部110は、本体固定部材129に嵌合部材により着脱可能に固定される。なお、本体121、本体固定部材129、取っ手部110の固定方法については、上述の例に限らず、適宜変更してもよい。
【0053】
次に、容器200について説明する。
【0054】
図5は、本実施形態に係る容器200の断面図である。容器200は、容器本体210と、蓋220とを備える。容器本体210と蓋220は、ネジ止めや嵌合することにより取り外し可能となっている。容器本体210の内部には、美容器具100に併用して使用する基剤500を収納するのが好ましい。蓋220は、その上面に美容器具100を収納可能な収納部222を備える。具体的には、蓋220の上面に美容器具100のマッサージヘッド部120が収納できるようなくぼみが収納部222として設けられている。
【0055】
美容器具100は、保管する際には、図1のように、容器200の収納部222にマッサージヘッド部120をはめ込むようにして収納される。
【0056】
次に、美容器具100に併用する基剤500について説明する。以下、実施例に沿って本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0057】
美容器具100に併用して使用する基剤500はチクソトロピー性を有することが好ましい。チクソトロピー性とは、基剤を塗布させたとき、流動性が一時的に増加する、すなわち粘度が低下することをいう。容器収容時は構造状態を維持し、塗布後は、その塗布時間に関わらず元の構造状態に回復するため、容器からの垂れ落ちや化粧行為での垂れ落ちなどは無く、かつ、塗布時の抵抗感が軽減させることができる。
【0058】
この流動性が増加する程度はせん断速度に依存するため、B型粘度計を用いて回転速度を変えて粘度測定をすることで特性を確認できる。
【0059】
チクソトロピー性の異なる基剤について、回転速度を変えて粘度を測定した。また、それぞれの基剤について、垂れ落ちとべたつきについて評価を行った。
【0060】
粘度の測定は、B型粘度計を用いて行った。測定条件は基剤温度を30℃で統一し、回転速度を、3、12、30rpmにして、各々の60秒後の定常値を粘度値とした。また、回転速度3rpmの粘度に対する回転速度30rpmの粘度の比を求めた。
【0061】
垂れ落ちの評価は美容器具100の底面部124に基剤を1ml滴下し横に傾けた際の垂れ落ちるまでの程度を視感で評価した。評価の結果、傾け後に即座に垂れ落ちる場合を「×」、15秒間に垂れ落ちない場合を「△」、30秒以上垂れ落ちない場合を「〇」とした。なお、「×」の場合は不合格である。
【0062】
べたつきの評価は、パネラー10名による使用試験で評価した。評価の結果、パネラー10名中べたつきがないと評価をした人数が、7名以上の場合を「〇」、4~6名の場合を「△」、3名以下の場合を「×」とした。なお、「×」の場合は不合格である。
【0063】
結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1の結果から本実施形態に併用する基剤について、B型粘度計における基剤温度30℃での回転速度3rpmの粘度に対する回転速度30rpmの粘度の比は0.5以下、より好ましくは0.3以下にすればよい。かつ、本実施形態の基剤の回転速度12rpmの粘度は2500~100000mPa・sにすればよい。より好ましくは5000~50000mPa・s、さらには5000~30000mPa・sにすればよい。そのようなチクソトロピー性を有する基剤を用いることによって、心地よくケアすることができる。
【0066】
チクソトロピー性を基剤に付与するためには増粘剤を1種または2種以上を配合すると良い。前記増粘剤は特に限定されることはないが、例えば、天然の水溶性高分子の増粘剤としては、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリントガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系水溶性高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグリカン、ブルラン等の微生物系水溶性高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系水溶性高分子などが例示される。
【0067】
半合成水溶性高分子の増粘剤としては、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピル、デンプン等のデンプン系水溶性高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系水溶性高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系水溶性高分子などが例示される。
【0068】
合成水溶性高分子の増粘剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)等のビニル系水溶性高分子;ポリエチレングリコール20,000、同4,000,000、同600,000等のポリオキシエチレン系水溶性高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の共重合系水溶性高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系水溶性高分子のほか、ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなどが例示される。
【0069】
無機粉体の増粘剤としては、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸などが例示される。粉末成分としては、疎水性粉末、親水性粉末のいずれも用いることができ、表面が処理されていても良い。
【0070】
なお、これら増粘剤で固化した組成物を解砕処理して、固化物の立体障壁により構造を持たせたミクロゲル構造を有しても良い。
【0071】
特に、このミクロゲル構造を有する増粘剤、または処理を用いると少量の配合で特性の付与が容易である。例えば、水溶性増粘剤であれば、カルボキシビニルポリマー、粘土鉱物、無水ケイ酸、結晶セルロースが良い。
【0072】
また、チクソトロピー性を基剤に付与するためには乳化構造をとると良い。特に、水中油型を用いると水溶性増粘剤の効果をより発揮できる。この時の乳化に使用する乳化剤としては、油相中への溶解性が低く温度安定性がよいことから親水性界面活性剤が好ましく、特に総HLBが10以上である1種または2種以上から構成されるものが好適である。例えばグリセリン又はポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE脂肪酸エステル類、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体、POE蜜ロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル類、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド等から選択される1種または2種以上を配合する。ただし、これらの例示に限定されるものではない。
【0073】
また、基剤500は通常化粧料に配合される得る成分であれば特に限定されるものでなく、例えば、シリコーン油、エステル油、炭化水素油、紫外線吸収剤、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ロウ、乳化剤、分散剤、低級アルコール、保湿剤、防腐剤、消炎剤、血行促進剤、抗炎症剤、美白剤、抗脂漏剤、賦活剤、香料、塩、各種抽出物、粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、無機色材、有機色材、パール剤等が挙げられる。なお、粉末は表面処理されていても良い。ただし、これらの例示に限定されるものではない。
【0074】
さらに、付加装置134によって基剤の特性を変更するようにしてもよい。加熱装置又は冷却装置を備える場合には、動作温度で物性変化することが好ましい。例えば、35℃~70℃又は5℃~15℃で結果として粘度が増減するようにすることが好ましい。また、振動装置を備える場合には振動周波数で物性変化することが好ましい。例えば、20kHz~10MHzで結果として粘度が増減するようにすることが好ましい。また、光照射装置を備える場合には、その波長で物性変化することが好ましい。例えば、450nm~750nmで結果として粘度が増減するようにすることが好ましい。また、パルス電流発生装置を備える場合には、そのパルス波高で物性変化することが好ましい。例えば、0.001mA~10mAで結果として粘度が増減するようにすることが好ましい。また、磁気発生装置を備える場合には、その磁束密度で物性変化することが好ましい。例えば、0.00001T(テスラ)~10T(テスラ)で結果として粘度が増減するようにすることが好ましい。
【0075】
また、電位差を発生させるパルス電流発生装置を備える場合には、その電位差に応答して化粧成分の浸透が速くなるような成分を含む基剤を用いることが好ましい。特にその基剤の成分には、美白、保湿を目的とする成分が含まれることが好ましい。
【0076】
なお、容器本体内に収納するものは基剤に限らない。例えば、皮膚面を清潔に保つための除菌用布や化粧料であってもよい。
【0077】
次に、美容器具100を用いる美容のためのマッサージ方法について説明する。
【0078】
図6は、本実施形態に係る美容器具100の処理フローチャートの一例である。ここでは、例として、付加装置134に加熱装置を用いた場合について説明する。
【0079】
制御部132は、付加装置134の動作を開始し、動作を開始してからの時間を計時部136で計測し、所定の時間が経過した場合に動作を終了するように制御する。例えば、付加装置134が動作を開始してから所定の時間(例えば、3分、等。)したら動作を終了とする。
【0080】
処理を開始すると、美容器具100の制御部132は、操作部138、例えば、スイッチ、が操作されたかどうか調べる(ステップS10)。操作部138が操作されていない場合には、操作されるまでステップS10を繰り返す。
【0081】
操作部138が操作された場合には、制御部132は、付加装置134である加熱装置を起動させる(ステップS20)。起動した付加装置134である加熱装置は、本体121の底面部124、側面部125、中間部126を加熱して目標温度になるように制御する。目標温度は、例えば、40℃である。
【0082】
制御部132は、付加装置134である加熱装置を起動してから3分経過したかどうかを判定する(ステップS30)。3分経過していない場合は、ステップS30を繰り返す。3分経過した場合には、制御部132は、付加装置134である加熱装置を停止させる(ステップS40)。そして、処理は終了する。なお、処理終了後は再度処理を開始することによって、繰り返し処理を行うようにしてよい。
【0083】
上述のように、所定の時間が経過すると動作を終了させることによって、例えば低温やけど等を防止することができる。また、加熱装置等を動作させたままにすることがないことから、火災防止等の安全性を高めることができる。さらには、無駄な電力を使うことないことからエネルギーの無駄な消費を抑えることができる。
【0084】
図7A図7Bは、本実施形態に係る美容器具100を用いる美容のためのマッサージ方法を説明する図である。図7Aは、首筋のような緩やかな曲面の肌面300を施術面として美容器具100の使用する場合の図である。図7Bは、鎖骨周りのような複雑な面の肌面400を施術面として美容器具100の使用する場合の図である。
【0085】
最初に、図1の容器200に収納されている基剤500を肌(皮膚)に塗布(適用)する。また、美容器具100の付加装置134を起動する。そして、美容器具100を図7Aのような緩やかな曲面の肌面300を施術面として美容器具100の使用する場合には、底面部124(及び中間部126)を施術面に押し当てる。また、図7Bのように複雑な面の肌面400を施術面として美容器具100の使用する場合には、側面部125(及び中間部126)を施術面に押し当てる。
【0086】
なお、本実施形態に係るマッサージ用美容機器1を用いて美容のためのマッサージを行う際には、大別すると(1)美容器具100のマッサージヘッド部120のみ、(2)美容器具100のマッサージヘッド部120と付加装置134の組み合わせ、(3)美容器具100のマッサージヘッド部120と基剤500の組み合わせ、(4)美容器具100のマッサージヘッド部120と付加装置134、基剤500の組み合わせ、等様々な種類のマッサージ方法を採用することができる。
【0087】
(1)美容器具100のマッサージヘッド部120のみによるマッサージは、マッサージヘッド部120を施術面に押し当てることにより行うマッサージである。この場合には、付加装置134は動作させない。なお、付加装置134を備えていない美容器具100を用いてもよい。本実施形態のマッサージヘッド部120を用いることによって、マッサージの際に、多様な形状の肌面に対し、マッサージヘッド部120を肌に密着させることができる。
【0088】
(2)美容器具100のマッサージヘッド部120と付加装置134の組み合わせによるマッサージは、付加装置134を動作させながらマッサージヘッド部120を施術面に押し当てて行うマッサージである。美容器具100のマッサージヘッド部120に付加装置134を組み合わせることによって、更に、温度、電気、電磁波、振動等の刺激を加えながらマッサージを行うことができる。
【0089】
(3)美容器具100のマッサージヘッド部120と基剤500の組み合わせによるマッサージは、施術面に基剤500を適用してから、マッサージヘッド部120を施術面に押し当てることにより行うマッサージである。この場合には、(1)と同様に、付加装置134は動作させない。なお、付加装置134を備えていない美容器具100を用いてもよい。美容器具100のマッサージヘッド部120に基剤500を組み合わせることによって、更に、マッサージの際に肌への摩擦を低減することが可能になる。また、基剤500により、肌へ水分や美容成分を補給することできる。
【0090】
(4)美容器具100のマッサージヘッド部120と付加装置134、基剤500の組み合わせによるマッサージは、施術面に基剤500を適用してから、付加装置134を動作させながらマッサージヘッド部120を施術面に押し当てて行うマッサージである。この場合は、上述のように、付加装置134に適合する基剤500を用いることが好ましい。美容器具100のマッサージヘッド部120に付加装置134及び基剤500を組み合わせることによって、更に、付加装置134により基剤500の効果を向上させることができる。
【0091】
このように、本実施形態において、底面部124(及び中間部126)を用いることによって、緩やかな曲面の肌面に基剤を広い面に塗りやすくなっている。また、側面部125を用いることによって、底面部124を押し当てることができないような施術面にも、マッサージヘッドを押し当てることができる。
【0092】
次に、本実施形態に係る美容器具100の変形例について説明する。
【0093】
図8は、変形例の美容器具150の本体171の断面図及び平面図である。
【0094】
本体171は、本体121と同様に、上面部173と、上面部173に対向する底面部174と、上面部173と底面部174との間に側面部175とを備える。また、底面部174と側面部175の間に中間部176を備える。また、本体121と同様に、上面部173の中心には、開口部172が形成されている。上面部173側から見た平面視で、側面部175の外周部分を最外周部178という場合がある。
【0095】
本体171では、側面部175の外面は、中心軸Xを通る断面形状が、最小半径がR 、最大半径がRB2(=R)の円弧である曲面である。すなわち、側面部175の平面視の位置によって、側面部175の外面の曲率が異なる。本変形例では、図8の一番右側が最小半径、一番左側が最大半径になっている。
【0096】
なお、最小半径、最大半径の位置は、図8の開示に限らず適宜変更してもよい。また、最小半径と最大半径の間の半径については、適宜変化するにすればよい。例えば、最小半径の位置との角度に比例する半径としてもよい。
【0097】
図9A図9Bは、変形例の美容器具150を用いる美容のためのマッサージ方法を説明する図である。
【0098】
図9Bの肌面600は、図7B図9A)の肌面400より複雑になっている。肌面400に対しては、側面部175の断面形状が半径RB2の円弧である部分を押し当てる。肌面600に対しては、側面部175の断面形状が半径RB1の円弧である部分を押し当てる。このようにして、更に複雑な肌面に対しても、マッサージヘッドを密着させることができる。
【0099】
なお、マッサージ用美容機器1は、首や首から胸元にかけての部位であるデコルテに限らず、例えば、顔や腕、脚等に用いてもよい。
【0100】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。
【0101】
本願は、日本特許庁に2018年11月19日に出願された基礎出願特願2018-216533号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。
【符号の説明】
【0102】
1 マッサージ用美容機器
100 美容器具
110 取っ手部
120 マッサージヘッド部
121 本体
122 開口部
123 上面部
124 底面部
125 側面部
126 中間部
128 最外周部
134 付加装置
200 容器
222 収納部
500 基剤
X 中心軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B