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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】マルチチャネル光結合器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20230911BHJP
   G02B 6/293 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
G02B6/42
G02B6/293 301
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020564027
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019015992
(87)【国際公開番号】W WO2019152612
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】62/626,462
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520292338
【氏名又は名称】イネオス, エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Inneos, LLC
【住所又は居所原語表記】5700 Stoneridge Dr., Suite 200, Pleasanton, CA 94588, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エリック グラン
(72)【発明者】
【氏名】スコット フレーゲル
(72)【発明者】
【氏名】イー ヌツィーダイブ
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-533004(JP,A)
【文献】米国特許第06396978(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0110493(US,A1)
【文献】特開2015-090393(JP,A)
【文献】特開2000-162466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0263087(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01447695(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27,6/30-6/34,6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバのための光結合器(10、100)であって、
第1の面(68、255)、前記第1の面(68、255)の反対側にある第2の面(62、265)、レンズアレイレセプタクル(66、275)、および複数の光ファイバを受容するように構成された1つ以上のファイバレセプタクル(80、250)を含む、成形結合モジュール(83、299)と、
反射コーティングを保持する特定の面(21、230)、および前記特定の面の反対側にあり、かつ複数の光学フィルタ(40、240)を保持するさらなる面(22、235)を有し、それぞれの光学フィルタが単一の光波長を通すように構成されており、前記特定の面と前記さらなる面との間の厚さTを有する、光学装置(20、200)と、
第1のレンズピッチで配置された複数の第1のレンズを有する第1のレンズアレイ(65、270)であって、それぞれの第1のレンズが特定の光ファイバに対応づけられ、かつ少なくとも前記反射コーティングを介して前記複数の光学フィルタ(40、240)に光学的に位置合わせされるように、前記レンズアレイレセプタクル(66、275)に対して配置されている、第1のレンズアレイ(65、270)と、
第2のレンズピッチで配置された複数の第2のレンズを有する第2のレンズアレイ(70、213)であって、そのそれぞれのレンズが前記複数の光学フィルタ(40、240)の対応する1つに光学的に位置合わせされるように、前記成形結合モジュールの前記第2の面(62、265)に対して配置されている、第2のレンズアレイ(70、213)と、
を有し、
前記光学装置(20、200)の厚さ、前記第1のレンズピッチ、および前記第2のレンズピッチは、前記光結合器が前記複数の光学フィルタを通った前記光波長のいずれかに対して-10dB以下のクロストークを生じるように構成され、
前記光学装置(20、200)の前記さらなる面(22、235)に保持された前記複数の光学フィルタ(40、240)は、前記成形結合モジュール(83、299)の前記第1の面(68、255)に対して平行に配置され、
前記第1の面(68、255)および前記第2の面(62、265)は非平行であり、前記光学フィルタ(40、240)は、前記光学フィルタ(40、240)の側面が前記第2の面(62、265)に対して垂直となるように構成されている、
光結合器(10、100)。
【請求項2】
前記第1のレンズアレイ(65、270)が1つ以上の光ビーム反射器(66、260)および前記反射コーティングを介して前記複数の光学フィルタ(40、240)に光学的に位置合わせされるように、前記成形結合モジュール(83、299)の前記第2の面(62、265)に対して配置された、前記1つ以上の光ビーム反射器(66、260)をさらに有する、請求項1記載の光結合器。
【請求項3】
前記第1のレンズアレイ(65、270)は、前記第1のレンズアレイのすべてのレンズが対応する光ファイバから受光される光をコリメートするように構成されている、請求項1または2記載の光結合器。
【請求項4】
前記光学装置(20、200)は、前記さらなる面(22、230)が実質的に不透明なコーティング(130)を保持するように構成されており、前記実質的に不透明なコーティング(130)は、前記複数の光学フィルタ(40、240)の外周を実質的に囲み、かつ前記複数の光学フィルタを通る直接の光路に実質的に干渉することなく前記複数の光学フィルタの間に介在するいずれかの隙間を実質的に覆う、フットプリントを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項5】
前記複数の光学フィルタ(40、240)は、
前記複数の光ファイバに対応する複数の行と、
前記複数の光ファイバのいずれかにより支援される光波長の最大数に対応する複数の列と
を含むアレイとして配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項6】
特定の列のすべての光学フィルタは、同じ光波長を通すように構成されている、請求項5記載の光結合器。
【請求項7】
特定の列の前記光学フィルタのサブセットは、前記特定の列の前記光学フィルタの別のサブセットとは異なる光波長を通すように構成されている、請求項5記載の光結合器。
【請求項8】
前記第2のレンズアレイ(70、213)のそれぞれのレンズは、前記対応する光学フィルタから受光された光を集束または拡大する、請求項1から7までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項9】
前記第2のレンズアレイ(213)は、前記第2の面(62、265)に入射する光と光軸がそろった複数の非球面レンズを有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項10】
前記光学装置(20、200)は、前記特定の面(21、230)、および反対側の前記さらなる面(22、230)を有する光学ブロックを有し、
前記光学ブロックの前記さらなる面(22、230)は、前記成形結合モジュール(83、299)の前記第1の面(68、255)に取り付けられている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項11】
前記光学装置(20、200)は、キャビティ(1220)を有し、前記キャビティ(1220)の第1の面(1230~1237)と平行な面に前記複数の光学フィルタが保持され、前記反射コーティングが前記キャビティ(1220)の前記第1の面(1230~1237)に保持され、前記反射コーティングと前記複数の光学フィルタとの間の空間が前記キャビティ(1220)を形成する、請求項1から10までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項12】
前記1つ以上のファイバレセプタクル(80、250)は、前記光ファイバのそれぞれの長手方向軸線に対して85°以下の角度に研磨されたそれぞれの端部を有する複数のマルチモードファイバと組み合わされるように構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の光結合器。
【請求項13】
前記1つ以上のファイバレセプタクル(80、250)は、複数のファイバスタブ(1020)を有し、前記複数のファイバスタブのそれぞれの特定のスタブは、前記複数のマルチモードファイバの特定の光ファイバに対応しており、
それぞれの特定のスタブは、前記対応する特定の光ファイバの研磨端部との組み合わせのために特定の角度に研磨された端部(1024)を有する、
請求項12記載の光結合器。
【請求項14】
基板(1910)と、
前記基板に取り付けられた、請求項1から13までのいずれか1項記載の光結合器(10、100、1950)と、
前記基板に取り付けられた複数の光源(1940a)であって、それぞれの光源が前記第2のレンズアレイ(70、213)の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成された光源(1940a)と
を有する、波長分割多重化装置。
【請求項15】
基板(1910)と、
前記基板に取り付けられた、請求項1から13までのいずれか1項記載の光結合器(10、100、1950)と、
前記基板に取り付けられた複数のフォトダイオード(1940b)であって、それぞれのフォトダイオードが前記第2のレンズアレイ(70、213)の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成されたフォトダイオード(1940b)と
を有する、波長分割逆多重化装置。
【請求項16】
基板(1910)と、
前記基板に取り付けられた、請求項1から13までのいずれか1項記載の光結合器(10、100、1950)と、
前記基板に取り付けられた複数のフォトダイオード(1940b)であって、それぞれのフォトダイオードが前記第2のレンズアレイ(70、213)の第1の部分の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成されたフォトダイオード(1940b)と、
前記基板に取り付けられた複数の光源(1940a)であって、それぞれの光源が前記第2のレンズアレイ(70、213)の第2の部分の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成された光源(1940a)と
を有する、波長分割送信機/受信機。
【請求項17】
基板(1910)と、
前記基板に取り付けられた、請求項1から13までのいずれか1項記載の光結合器(10、100、1950)と、
さらなる複数のファイバレセプタクルであって、前記さらなるファイバレセプタクルのそれぞれの内部において、光ファイバの端部に対応する位置が前記第2のレンズアレイ(70、213)の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように、前記基板に取り付けられたファイバレセプタクルと
を有する、ファイバ間多重化装置/逆多重化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年2月5日に出願された米国特許仮出願第62/626,462号の優先権の利益を主張し、その開示全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本願は、一般には光通信の分野に関し、より具体的には複数の光チャネル(例えば波長)を2つ以上の光ファイバに結合する装置に関する。
【0003】
背景
波長分割多重光通信システムにおいては、多くの異なる光波長の搬送波が単一光ファイバ内で複数の独立した通信チャネルを提供する。将来の演算システムおよび通信システムは、通信リンク帯域幅に対する要求をますます強めている。光ファイバは、従来の同軸通信よりもはるかに高い帯域幅を提供することが一般に知られている。さらに、ファイバ導波体内の単一の光チャネルは、ファイバの利用可能帯域幅のうちのきわめてわずかな部分、典型的には利用可能な数十テラヘルツ(THz)のうちの数ギガヘルツ(GHz)を用いている。異なる光波長の幾つかのチャネルをファイバへ透過する(典型的には「波長分割多重」または「WDM」と称する)ことにより、こうした帯域幅をより効率的に利用することができる。
【0004】
典型的な動作において、光多重化装置(「光結合器」とも称する)は、様々な光周波数を有する、または等価的に言えば波長を有する複数の光信号を合成または分離する。こうした光多重化装置はマルチモードファイバおよびシングルモードファイバの両方の光データ通信および遠隔通信の高密度波長分割多重および粗波長分割多重(DWDMおよびCWDM)の両方の用途を有する。多波長光源を合成して透過のための単一の光路とすることができ、または単一の光路を進む多波長光を、個別の光ファイバキャリアまたは光ファイバ検出器に集束されうる複数の狭いスペクトル帯域に分離することができる。
【0005】
現在の光結合器は、波長多重光源を搬送する単一光ファイバを用いて動作するように構成可能である。このような装置の一例が、米国特許第6,201,908号明細書に説明されている。しかし、多くの用途では複数の光ファイバを利用している。このような用途には、基幹回線および構内回線の分配が含まれる。また、安全な情報を他の安全な情報からまたは安全でない情報から分離することを容易にする複数のファイバが必要となる場合がある。この場合、光結合器が光ファイバごとに必要とされる。光結合をファイバごとに分離することの1つの利点は、それぞれのファイバにおける信号間のクロストークが有効に低減可能となるまたは最小化可能となることである。「クロストーク」とは、多くの場合、第1のチャネルで搬送される信号の一部が、何らかの形式で、第1のチャネルに近位の第2のチャネルに、所望でないノイズおよび/または干渉として現れることを指す。
【0006】
しかし、こうした構成の著しい欠点または問題として、ファイバ接続ごとに必要とされる個別の光学部品および電子部品に起因するサイズおよびコストの増大が含まれる。したがって、マルチファイバ用途のために改善された光結合器を用いてこうした課題および/または問題のうちの少なくとも幾つかに対処することは有益となりうる。
【0007】
概要
したがって、こうした課題および/または問題のうちの少なくとも幾つかに対処するために、本開示の特定の例示的な実施形態により、チャネル間のクロストーク量が例えば-10dB以下に低減される高度統合型マルチチャネル光結合器を提供する。したがって、本開示による方法、システム、装置およびコンピュータ可読媒体の例示的な実施形態は、本明細書で考察する例示的な用途を含む様々な公知の用途における従来の方法、技術およびシステムよりもはるかに優れたものとなりうる。
【0008】
本開示の特定の例示的な実施形態は、第1の面、第2の面、レンズアレイレセプタクル、および複数の光ファイバの端部のための1つ以上のファイバレセプタクルを有する、成形結合モジュールと、反射コーティングを保持する特定の面、および特定の面の反対側にあり、かつ複数の光学フィルタを保持するさらなる面を有し、それぞれの光学フィルタがファイバレセプタクルに結合されたファイバの1つ以上により搬送される単一の波長を通すように構成されている、光学装置とを有する、複数の光ファイバのための光結合器を含む。光結合器は、それぞれのレンズが、少なくとも反射コーティングを介した複数の光学フィルタと、ファイバレセプタクルのうちの特定の1つの内部における特定の光ファイバの端部に対応する位置とに光学的に位置合わせされるように、レンズアレイレセプタクルに対して配置されている、第1のレンズアレイも有することができる。光結合器は、それぞれのレンズが複数の光学フィルタの対応する1つに光学的に位置合わせされるように、成形結合モジュールの第2の面に対して配置されている、第2のレンズアレイも有することができる。当該実施形態において、光学ブロック、第1のレンズアレイ、および第2のレンズアレイのうちの少なくとも1つは、光結合器が複数の光学フィルタを通った光波長のいずれかに対して-10dB以下のクロストークを生じるように構成可能である。
【0009】
幾つかの例示的な実施形態では、光結合器は、第1のレンズアレイが1つ以上の光ビーム反射器および反射コーティングを介して複数の光学フィルタに光学的に位置合わせされるように、成形結合モジュールの第2の面に対して配置された、1つ以上の光ビーム反射器をさらに有することができる。幾つかの例示的な実施形態では、光学ブロックのさらなる面は、第1のレンズアレイが反射コーティングのみを介して複数の光学フィルタに光学的に位置合わせされるように、成形結合モジュールの第1の面に取り付けられる。
【0010】
幾つかの例示的な実施形態では、第1のレンズアレイは、第1のレンズアレイのそれぞれのレンズが対応する光ファイバから受光される光をコリメートしないように構成可能である。幾つかの例示的な実施形態では、第1のレンズアレイのそれぞれのレンズは、対応するファイバから受光される光を集束させる。
【0011】
他の例示的な実施形態では、光学ブロックは、さらなる面が実質的に不透明なコーティングを保持するように構成可能であり、当該実質的に不透明なコーティングは、複数の光ファイバの外周を実質的に囲み、かつ複数の光学フィルタを介する直接の光路に実質的に干渉することなく複数の光ファイバの間に介在するいずれかの隙間を実質的に覆う、フットプリントを有する。幾つかの例示的な実施形態では、複数の光学フィルタは、複数の光ファイバに対応する複数の行と、それぞれの光ファイバにより搬送される複数の光波長に対応する複数の列とを含むアレイとして配置可能である。幾つかの例示的な実施形態では、特定の列のすべての光学フィルタが同じ光波長を通すように構成可能である。他の例示的な実施形態では、特定の列の光学フィルタのサブセットが、特定の列の光学フィルタの別のサブセットとは異なる光波長を通すように構成可能である。
【0012】
幾つかの例示的な実施形態では、第2のレンズアレイのそれぞれのレンズは、対応する光学フィルタから受光された光をコリメートしない。幾つかの例示的な実施形態では、第2のレンズアレイのそれぞれのレンズは、対応する光学フィルタから受光された光を拡大する。
【0013】
幾つかの例示的な実施形態では、第1の面および第2の面は、実質的に平行であってよく、第2のレンズアレイは、複数の軸外の非球面レンズを有していてよい。他の例示的な実施形態では、第1の面および第2の面は、実質的に非平行であってよく、第2のレンズアレイは、複数の軸上の非球面レンズを有していてよい。
【0014】
幾つかの例示的な実施形態では、光結合器は、それぞれ少なくとも2つの光波長を搬送する8本のファイバに結合されるように構成可能である。幾つかの例示的な実施形態では、光結合器は、それぞれ少なくとも2つの光波長を搬送する12本のファイバに結合されるように構成可能である。幾つかの例示的な実施形態では、光結合器は、少なくとも4つの光波長を搬送する2本のファイバに結合されるように構成可能である。
【0015】
幾つかの例示的な実施形態では、光学装置は、特定の面、および反対側のさらなる面を有する光学ブロックを有し、光学ブロックのさらなる面は、成形結合モジュールの第1の面に取り付けられる。幾つかの例示的な実施形態では、成形結合モジュールは、複数の光学フィルタが取り付けられうるさらなる面を有する。このような実施形態では、反射コーティングを保持する特定の面は、キャビティが反射コーティングと複数の光ファイバとの間に存在しうるように、成形結合モジュールの第1の面に装着可能である。
【0016】
幾つかの例示的な実施形態では、光結合器は、複数の光学インサートを有し、それぞれの光学インサートは、第1のレンズアレイの特定のレンズに結合されており、かつ特定のレンズと、1つ以上のファイバレセプタクルに結合されている対応するファイバの端部との間に光学的に位置合わせ可能である。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上のファイバレセプタクルは、ファイバのそれぞれの長手方向軸線に対して85°以下の角度に研磨されたそれぞれの端部を有する複数のマルチモードファイバと組み合わされるように構成可能である。
【0017】
幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上のファイバレセプタクルは、複数のファイバスタブを有し、それぞれのスタブは、複数のマルチモードファイバの特定のファイバに対応しており、それぞれのスタブは、対応する特定のファイバの研磨端部との組み合わせのために特定の角度に研磨された端部を有する。幾つかの例示的な実施形態では、ファイバレセプタクルのうちの少なくとも一方は、2本のマルチモードファイバの端部を受容するように構成されたフェルールを有することができる。幾つかの例示的な実施形態では、光結合器は、光結合器に挿入されている1本以上のファイバを、実質的に固定の配置で光結合器に保持するように構成された、少なくとも1つの保持クリップを有することができる。
【0018】
幾つかの例示的な実施形態では、第1のレンズアレイは、レンズアレイレセプタクル内に挿入可能である。他の例示的な実施形態において、第1のレンズアレイは、レンズアレイレセプタクル内に一体的に形成可能である。幾つかの例示的な実施形態では、第2のレンズアレイは、成形結合モジュールの第2の面に装着可能である。他の例示的な実施形態において、第2のレンズアレイは、成形結合モジュールの第2の面と一体的に形成可能である。
【0019】
他の例示的な実施形態は、波長分割逆多重化装置(demultiplexer)を含み、当該波長分割逆多重化装置は、1つ以上の実施形態の光結合器と、さらに基板と、基板に取り付けられる複数の光源であって、それぞれの光源が第2のレンズアレイの対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成された光源とを有する。他の例示的な実施形態は、波長分割逆多重化装置を含み、当該波長分割逆多重化装置は、1つ以上の実施形態の光結合器と、さらに基板と、基板に取り付けられる複数のフォトダイオードであって、それぞれのフォトダイオードが第2のレンズアレイの対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成されたフォトダイオードとを有する。
【0020】
他の例示的な実施形態は、1つ以上の実施形態の光結合器と、さらに基板と、基板に取り付けられる複数のフォトダイオードであって、それぞれのフォトダイオードが第2のレンズアレイの第1の部分の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成されたフォトダイオードと、基板に取り付けられる複数の光源であって、それぞれの光源が第2のレンズアレイの第2の部分の対応するレンズに光学的に位置合わせされるように構成された光源とを有する、波長分割送信機/受信機を含む。他の例示的な実施形態は、1つ以上の実施形態の光結合器と、さらに基板と、さらなる複数のファイバレセプタクルであって、これらのさらなるファイバレセプタクルのそれぞれの内部において、光ファイバの端部に対応する位置が第2のレンズアレイの対応するレンズに光学的に位置合わせされるように、基板に取り付けられたファイバレセプタクルとを有する、ファイバ間多重化装置/逆多重化装置を含んでもよい。
【0021】
本開示の例示的な実施形態の上記および他の目的、特徴および利点は、添付の特許請求の範囲と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより明らかとなる。
【0022】
本開示のさらなる目的、特徴および利点は、例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、8波長(8λ)の光信号を8個の個別の光信号に分離するために用いられる、例示的な光結合器の側断面図である。
図2図1に示した例示的な光結合器を有する、例示的な光学装置(例えば光学ブロック)の側断面図である。
図3】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、2本の光ファイバのそれぞれから送信される4波長(4λ)の光信号を8個の個別の光信号に分離するのに使用可能な、例示的な光学装置の等角底面図である。
図4図3に示した例示的な光学装置の具体的な実施形態の底面図である。
図5】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、外部筐体を有し、かつ例えば図3または図4に示した光学装置が組み込まれる、例示的な2本のファイバの光結合器の等角上面図である。
図6】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、図5に示した例示的な2本のファイバの光結合器の内部を示す側断面図である。
図7】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、外部筐体を有し、かつ例えば図3または図4に示した光学装置が組み込まれる、例示的な2本のファイバの光結合器の等角正面図である。
図8】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、外部筐体を有し、かつ例えば図3または図4に示した光学装置が組み込まれる、例示的な2本のファイバの光結合器の等角底面図である。
図9】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、角度を付けられたまたは傾斜した表面を有するフェルールの等角図である。
図10】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、角度を付けられたフェルールおよび角度を付けられたファイバスタブが組み込まれる、光結合器の断面図である。
図11A】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、交互配置の構成で取り付けられた光学装置を含む、例示的な光結合器の図である。
図11B】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、交互配置の構成で取り付けられた光学装置を含む、例示的な光結合器の図である。
図12】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、キャビティを有する光学装置が組み込まれる、光結合器アセンブリの側断面図である。
図13】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、図12に対応する光結合器アセンブリの動作方式を示す側断面図である。
図14】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、8本の光ファイバのそれぞれからの2波長(2λ)の光信号を16個の個別の光信号に分離するのに使用可能な、例示的な光学装置の等角上面図である。
図15図14に示した例示的な光学装置の具体的な実施形態の上面図である。
図16図14および図15に対応する実施形態を含む、様々な光学装置とともに使用可能な例示的な光結合器アセンブリの等角上面図である。
図17】光学装置、例えば図14および図15に対応する例示的な実施形態が組み込まれる、例示的な光結合器アセンブリの等角上面図である。
図18】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、12本の光ファイバ用の例示的な光結合器の等角正面図である。
図19】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、12本の光ファイバ用の例示的な光結合器の等角底面図である。
図20】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、他の光変換電子機器とともに基板に取り付けられた例示的な光結合器の断面図である。
図21】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、基板に取り付けられ、ファイバケーブル用の保持クリップを有する、例示的な送受信機アセンブリの等角上面図である。
図22】本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、例えば図21に示したような筐体に取り付けられた例示的な送受信機アセンブリの等角上面図である。
図23】本開示の様々な実施形態によるマルチチャネル光結合器の例示的な設計を示す。
【0024】
ここで、図面を参照して本開示を詳細に説明するが、当該説明は例示的な実施形態に関連して行われ、図面に示した具体的な実施形態または添付の特許請求の範囲により限定されない。
【0025】
例示的な実施形態の詳細な説明
簡潔に上述したように、マルチファイバ光結合におけるファイバごとの分離の利点は、それぞれのファイバにおけるチャネル間のクロストークが効果的に低減可能となり、かつ/または最小化可能となることである。しかし、さらに上述したように、こうした配置には、ファイバ接続ごとに複製される結合部品のサイズおよびコストの増大を含めた、著しい欠点または問題がある。したがって、ファイバごとの光結合配置と比較して費用対効果がある一方、当該ファイバごとの光結合配置と同等のクロストーク性能を達成する、改善されたマルチファイバ光結合器が必要である。
【0026】
光ファイバ用途におけるクロストークは、それぞれが4つの波長λ1~λ4を有する4本のファイバF1~F4の例示的な配置によって示されうる。当該配置では、16個のチャネル、すなわち(F1,λ1)~(F4,λ4)がある。しかし、F1~F4のそれぞれが別々の光結合器を用いる場合、各チャネル(例えば(F1,λ1))は、当該同一ファイバ(例えば(F1,λ2)、(F1,λ3)、(F1,λ4))で搬送される他のチャネルからのクロストークのみを受ける。対照的に、ファイバごとの分離がないマルチファイバ結合配置が用いられる場合、特定のファイバの各チャネル(例えば(F1,λ1))は、すべてのファイバの他の全チャネルからのクロストークを受ける。
【0027】
ただし、クロストークは一般に互いに近位にあることが発生の条件であり、したがって大抵の場合、設計者は、主に特定のチャネルに物理的に隣接するチャネルからのクロストークに関心を有する。こうしたクロストークは光結合器内で生じうる。実際には、結合器の光学的特性により、結合器への入力の際に物理的に隣り合うチャネルに結合器内部での混合が生じ、これによりクロストークが発生しうる。上記の例から理解可能であるように、4個のチャネルのみを処理する単一ファイバ結合器と比較して、結合器内の16個のチャネルの混合および/またはクロストークを防止しかつ/または最小化するマルチファイバ結合器を設計することは、著しく困難となりうる。
【0028】
図1は、多波長の光信号を8個の個別の光信号に分離するために用いられる、例示的な光結合器10の側断面図である。図1には組み立てられた1次部品と光路90~96とが図示されており、ここで、到来する信号は8個の別々の波長λ1~λ8を含み、当該波長が光検出器(図示せず)により読み取られる8個の別々のチャネルに分離される。ガラスで形成可能でありまたはプラスチックで成形可能である光学装置20(例えば、光学ブロック)が、その下面22に複数のフィルタ40を取り付けた状態で示されている。光学装置20は反射性材料85でコーティングされた平坦な上面21を有する。光結合器10は、光学装置20の平坦な下面22に接続可能なかつ/または接着可能な平坦な上面61を有する成形本体部83を有する。図1に示している例示的な実施形態において、光結合器10(例えば、成形本体部83)は、光ファイバケーブル(図示せず)の端部がレセプタクルシート81に係合するように当該ケーブルの端部を受容すべく一体成形された光ファイバケーブルレセプタクル80を有する。
【0029】
図1にさらに示しているように、多重光ビームが光路90に沿って移動し、光ファイバケーブル(図示せず)の端部から出射されて、91で示しているように発散し始める。レンズ65は発散光91をコリメートし、コリメートビーム92を形成する。幾つかの例示的な実施形態では、レンズレセプタクル66が光結合器10内に一体的に形成可能であり、レンズ65がレンズレセプタクル66に挿入可能であり、取り付け可能であり、かつ/または装着可能である。他の例示的な実施形態において、レンズ65は、光結合器10内、例えばレンズレセプタクル66に対応する区域内に一体的に形成されてもよい。レンズ65を通った後、コリメート光ビーム92は、光結合器10の反射器66(例えば「全反射器」としても知られる)で反射され、光学装置20の平坦な上面21によって保持されている反射コーティング85に向かって、上向きに偏向される。幾つかの例示的な実施形態では、反射器66を、光結合器10内に、例えば下面62の一部として一体的に形成することができる。他の例示的な実施形態において、反射器66が、光結合器10の内面に取り付けられまたは取り付けられてもよい。光ビームが光路の区間93を通って移動すると、当該技術分野で既知の所定の入射角で反射コーティング85に衝突する。当該技術分野で知られているように、反射ビーム94は、光学装置20内の複数のn個のフィルタ40と反射面85との間をジグザグパターンで反射される。
【0030】
反射ビームがこれらのフィルタのそれぞれに入ると、光の異なる波長のうちの1つが各フィルタを通して透過され、分離された波長は、光結合器10の下面62に形成可能な複数の非球面70(本明細書では「レンズ」とも称する)に向かって光路95a~95h沿いに伝搬する。他の例示的な実施形態では、レンズ70は、下面62に取り付けられまたは取り付けられていてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、複数の非球面すなわちレンズ70のそれぞれは、特定の波長、波長帯域、および/または一群のチャネルの光96a~96hを当該レンズの下方に配置された特定の光検出器(図示せず)に集束させることができる。他の例示的な実施形態では、レンズ70は、フィルタ40を通して受信される光信号96a~96hをコリメートしないように、または拡大するように構成可能である。
【0031】
光結合器10がレンズ70の下方に同様に配置された複数の光源(図示せず)により生成される様々な波長の光96a~96hの合成または多重化に用いられる他の例示的な実施形態では、非球面またはレンズは、それぞれの光源により生成される光96a~96hをフィルタ40のそれぞれの中央領域に集束させるように構成可能である。他の例示的な実施形態では、非球面またはレンズは、それぞれの光源により生成された光96a~96hをコリメートして、フィルタ40に入射する平行ビームとするように構成可能である。
【0032】
図2に示すように、光学装置20は、平坦な上面21、平坦な下面22、平坦な近位端壁部23、および平坦な遠位端壁部24を有する略矩形立体形状であってよい。光学装置20は、所望のスペクトル領域にわたって光を透過することができ、かつ正確な厚さに形成または研磨することができる、任意の透明な光学材料から形成可能である。例えば、光学装置20は高品質の光学ガラスから形成可能である。代替的に、光学装置20は高品質の光学プラスチックを用いて射出成形されてもよい。
【0033】
反射コーティング85は、光学装置20の上面21に形成可能である。反射コーティングは、例えば誘電性干渉コーティングまたは金属コーティングを含む材料から形成可能である。反射面85は、例えば誘電性干渉コーティング、金属コーティング等を含む複数の技術により、光学ブロック上に設けることができる。
【0034】
複数の個別の(例えばアレイとしての)多波長ファブリ・ペロー透過フィルタを、上面21と反対側の下面または底面22に装着することができる。当該複数のフィルタは、図2に最良に示されているように、例えば底面22に互いに隣り合うように取り付けられた8個の個別のファブリ・ペローフィルタ41~48を含むことができる。個別のフィルタ41~48のそれぞれは、光学装置20の底面22に接着接続される際に互いに僅かに離間させて配置することもできる。既知の平坦面上に互いに隣り合うように個別のファブリ・ペローフィルタを配置する当該方法により、既存の従来技術の波長分割多重化装置における結合および位置合わせの問題の多くが回避される。付加的に、フィルタ41の近位端41aは、装置が組み立てられたときに、フィルタアセンブリが非球面レンズアレイとの適切な光学的位置合わせを得るように、光結合器10の表面68(図1)に接触するように意図されている。幾つかの実施形態では、隣り合うフィルタ間の小さな空間(例えば空間151)は光学的に透明であってよい。以下に説明する他の例示的な実施形態では、反射コーティングが隣り合うフィルタ間の空間内の底面22に形成されてもよい。
【0035】
フィルタアレイを光学ブロックに組み付け、次に光学装置20を光結合器10に接続しかつ/または接着することにより、光学素子の光学的位置合わせが達成される。上記のように組み立てられると、光ファイバケーブルの出力ビーム91が光結合器10に直接に結合可能となり、かつコリメートレンズ65、ビーム反射手段、および光学装置20の上面の反射コーティング85を含む、装置の内部光学系との位置合わせ、ならびに複数のフィルタ40および複数の非球面70との位置合わせが可能となる。好ましくは、これらの光学素子の製造後の位置合わせまたは調整が必要なくなる。
【0036】
図3は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、2本の光ファイバのそれぞれから送信される4波長(4λ)の光信号を8個の個別の光信号に分離するために使用可能な例示的な光学装置の等角底面図である。図3に示す光学装置は、図1図2に示す光学装置20と同様の材料および方式で構成可能である。ただし、図3に示す光学装置のフィルタでは、それぞれ特定の波長のための8個の光学フィルタが、1行ではなく、2本の光ファイバに対応して2行に配列されている。それぞれの行は4つの光学フィルタを有し、そのそれぞれが、対応するファイバによって搬送される特定の波長のためのものである。
【0037】
図4は、図3に示す光学装置の別の例示的な実施形態の底面図である。当該例示的な実施形態において、パターニングされた不透明層130が光学フィルタを装着するために用いられる光学装置の表面に形成されている。不透明層130は隣り合うフィルタ間の空間を覆っていてよく、幾つかの実施形態では(図示のように)フィルタアレイの外周も覆っていてよい。こうした実施形態において、パターニングされた不透明層130は、隣り合うフィルタ間の空間内に設けられる横断線131~134および/またはフィルタアレイのフットプリントの外周を囲んで延在する外周線141~144を有することができる。幾つかの実施形態では、横断線131~134は、隣り合うフィルタ間の光学的に透明な領域または隙間よりも僅かに大きな幅、例えば所望されない光が隣り合うフィルタ間の隙間を通って侵入するのを防止するのに十分な幅を有することができる。外周線141~144の幅は、光路内で発散する光の一部と相互作用するフィルタ縁部によって生成される光学的ノイズを低減するのに十分なものであってよい。不透明層130は、異なる材料(すなわちアルミニウム、誘電性コーティング、金等)で構成可能であり、かつリソグラフィまたは直接描画により形成可能である。パターニングされた不透明層130は、例えば隣り合うフィルタを通る光源間のクロストークを低減することにより、光学装置の性能を改善することができる。
【0038】
図5は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、外部筐体を有し、かつ例えば図3または図4に示す光学装置が組み込まれる、例示的な2本のファイバの光結合器の等角上面図である。
【0039】
図6は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、図5に示す例示的な2本のファイバの光結合器の内部100を示す側断面図である。図6には、当該例示的な実施形態の光透過の基本方式も示されており、ここで、矢印付きの破線は光を表す。なお、図6は、光ファイバの透過のための、単一の光信号への様々な波長を有する光の合成を示しているが、当業者は、以下の説明が光ファイバから受信される多波長の光信号の分離にも同様に適用されることを容易に理解するであろうことに注意されたい。
【0040】
図6に示すように、異なる波長の光が複数のフィルタ240を通って光学装置200に入る。例えば、異なる波長のそれぞれは、図6に示しているように、レンズアレイ213の対応するレンズを介して対応するレーザ280により提供可能であり、当該レンズアレイ213は、提供された光をフィルタ240の特定の1つのフィルタ240に集束させ、かつ/または偏向させるために用いられる。幾つかの例示的な実施形態では、第2のレンズ213は非球面レンズであってよい。上記で考察した基本方式にしたがって、異なるフィルタ240のそれぞれは、反射面230およびフィルタ240を用いて実質的に異なる波長の光を多重化(または逆多重化(demultiplexed))できるように、1つの波長(または狭い範囲の波長)の光のみを通すことができる。
【0041】
図6に示す例示的な実施形態では、フィルタ240を保持する光学装置200の表面と第2のレンズアレイ213の平面との間に角度(A1)を形成することにより、レーザ280は、第2のレンズ213に対して「軸上」に配置可能である。幾つかの例示的な実施形態では、各フィルタ240は、自身の側面が互いに平行にかつ第2のレンズ213の平面に対して垂直となるように構成可能である。このような実施形態では、光学装置200に入る光は、例えば各フィルタの側面に実質的に平行な経路を介してそれぞれのフィルタ240の中央を通ることができる。このようにして、各フィルタの経路損失を低減することにより、光学装置200の光学的性能を改善することができる。こうした配置により、さらに、図4に関連して上記で考察したパターニングされた不透明層と同様に、隣り合う光源間のクロストークを低減することができる。他の例示的な実施形態では、各フィルタ240は、自身の側面が光学装置200の底面に対して垂直となるように構成可能である。図6には、光学装置200と光結合器の本体との間のキャビティ290も示されている。
【0042】
幾つかの例示的な実施形態では、フィルタ240を保持する光学装置200の表面と第2のレンズ213の平面との間の角度A1の範囲は、6°~13°であってよい。各フィルタが隣り合うフィルタ240の垂直な中心線間の距離D(「レンズピッチ」とも称する)だけ等しく離間しており、かつ光学装置200の厚みをTとすると、異なる波長の光の反射角は、D=2tan(α)Tの関係により決定される。
【0043】
光結合器は、複数の光ファイバレセプタクル250(例えばファイバごとに1つ)、全反射器(TIR)260、および第1のレンズ(例えばファイバごとに1つ)のアレイ270を有することができる。第1のレンズアレイは、光結合器の本体のレンズアレイレセプタクル275内に配置されていてもよい。レセプタクル250に挿入されると、光ファイバは、対応する第1のレンズ270とTIR260とに光学的に位置合わせされる。さらに、TIR260は、光学装置200に光学的に位置合わせされ、これにより、TIR260は、第1のレンズ270と光学装置200との間で、光ファイバに光を反射し、または光ファイバから光を反射するように構成可能となる。
【0044】
それぞれのレセプタクル250は、レセプタクル250に挿入される光ファイバの端面に配置されるフェルール210を内部に有していてよい。フェルール210のより詳細な図は、図9に示されている。各フェルール210は、実質的に円筒形状を有していてよく、また第1のレンズ270に隣接する角度を付けられたまたは傾斜した端220を有していてもよい。傾斜部220は、第1のレンズ270を通ってフェルール210に入射した光を第1のレンズ270の主軸線からそれる方向へ反射させ、フェルール210によって反射されて元の経路に沿って第1のレンズ270に戻る光を弱め、かつ/または低減することができる。したがって、傾斜部220は、光学装置200を介してレーザ280に戻る光も低減することができる。
【0045】
図7は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、外部筐体を有し、かつ例えば図3または図4に示す光学装置が組み込まれる、例示的な2本のファイバの光結合器の等角正面図である。図7には、上記で考察したレセプタクル250および第1のレンズアレイ270の構成および/または配置が示されている。図7には、ファイバコネクタ留め具300およびファイバコネクタ位置合わせピン310を含む、結合器への2本の光ファイバの接続を容易にする機能部も示されている。
【0046】
図8は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、外部筐体を有し、かつ例えば図3または図4に示す光学装置が組み込まれる、例示的な2本のファイバの光結合器の等角底面図である。図8には、上記で考察したレセプタクル250、全反射器(TIR)260、および第2のレンズアレイ213の構成および/または配置が示されている。図8には、複数の(例えば4つの)ステーキングピン400を含む、基板または回路基板への光結合器の接続を容易にする機能部も示されている。
【0047】
図10は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態とともに使用可能な別の反射低減機構の断面図である。具体的には、図10には、光ファイバスタブ1020を有するアセンブリ1000が示されており、光ファイバスタブ1020は、当該スタブ1020の長手方向軸線に対して90°に略等しい角度を有する第1の面1022と、当該スタブ1020の長手方向軸線に対して90°未満の角度を有する第2の面1024とを有する。ここでのアセンブリはフェルール1010も有し、当該フェルール1010は、光学スタブ1020を囲み、かつ面1022および1024の角度と実質的に等しい角度をそれぞれ有する、第1の面1012および第2の面1014を有する。幾つかの実施形態では、第2の面1014および1024の角度は長手方向軸線に対して82°~86°であってよい。このように、光ファイバスタブ1020は、ファイバの長手方向軸線に対して類似の角度、例えば85°以下に研磨された面を有するファイバと適合する(例えば「組み合わされる」)ように構成されてもよい。アセンブリは、面1012および1022がフィルタ240に対して近位となるように、光結合器のレセプタクル、例えば図6に示すレセプタクル250に挿入可能である。
【0048】
他の例示的な実施形態では、光ファイバへの戻り反射は、マルチチャネル光結合器を有するファイバレセプタクルのそれぞれの内部に、光学ブロック(「光学インサート」とも称する)を装着し、取り付け、固定し、かつ/または挿入することによって、低減可能である。光学ブロックは、光ファイバの屈折率に実質的に一致する屈折率を有する溶融シリカ等の材料から製造可能である。光学ブロックならびにファイバレセプタクル内に光学ブロックを挿入しかつ保持する技術の様々な実施形態は、本願と同時に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる“Fiber Optical Interface with Reduced Reflections”なる名称のPCT特許出願である米国第2019/xxxxxx号(整理番号:第1072-0006号)に記載されている。
【0049】
図11Aおよび図11Bは、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、交互配置の構成で取り付けられた光学装置を有する、例示的な光結合器の2つの図である。具体的には、図11Aは全反射器(TIR)、例えば上記で考察したTIR260を有さない例示的な実施形態の断面図である。図11Aに示す光結合器は、光学装置202を囲む成形本体204を有することができ、幾つかの実施形態では、光学装置202は、他の図面に関連して上述した様々な光学装置に実質的に類似していてよい。例えば、光学装置202は、上記の基本方式により、到来する光信号102を4つの構成波長206に分割または逆多重化することができる。幾つかの例示的な実施形態では、成形本体204はシングルショット成形工程により製造可能であり、これにより、本体204または光学装置202の素子がモールドの両側に格納され、よって素子間の実質的な位置合わせが提供される。
【0050】
図11Bは様々な部品の配置を示す成形本体204の等角図である。成形本体204は、光学装置202を挿入するためのキャビティ310を有し、これにより、光学装置202の少なくとも一面がキャビティ310の少なくとも一面と接触する。成形本体204は、光ファイバの端部が光学装置202の第1の光学フィルタに光学的に位置合わせされるように構成された、光ファイバ用のレセプタクル302も有する。1つのレセプタクル302のみを図示しているが、当業者は、本体204が、複数のファイバ用のレセプタクル302、および複数の光ファイバに適した光学装置202、例えば上述した図3に示した光学装置を収容するサイズのキャビティ310とともに成形されうることを容易に理解するであろう。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上のレセプタクル302は、1つ以上のファイバのそれぞれからの光信号が通ることができる一体型のレンズを含むように成形可能である。代替的に、本体204は、レセプタクル302のそれぞれへの適切なレンズの挿入を容易にするように成形することもできる。
【0051】
4つのレンズ402~408のアレイ308は、図11Aに示したような光学装置202のそれぞれのフィルタにより提供される4つの光信号206に光学的に位置合わせ可能である。幾つかの例示的な実施形態では、レンズアレイ308は本体204と一体成形可能であるが、他の例示的な実施形態では、レンズアレイ308は、別個に形成可能であり、本体204内に形成された対応するレセプタクルに挿入可能である。幾つかの例示的な実施形態では、レンズ402~408のそれぞれに対して1つずつの、つまり複数のレセプタクルを有する本体204を形成することができる。本体204が複数のファイバレセプタクル302とともに成形される実施形態では、本体204は、それぞれのファイバにより搬送された多波長信号を逆多重化して単波長信号とするのに好適なレンズアレイ308とともに(またはレンズアレイ308を収容するように)成形可能である。
【0052】
図12は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、キャビティを有する光学装置が組み込まれる光結合器アセンブリの側断面図である。具体的には、図12には、成形本体(または結合モジュール)1242の前端部にファイバレセプタクル1210を有する光結合器1200が示されている。全反射器(TIR)1270は、レセプタクル1210に挿入されるファイバに光学的に位置合わせされるように、光結合器1200とともに形成可能、配置可能、または取り付け可能である。付加的に、光結合器1200の上面は、4つの平坦な隆起部1230~1233により画定されるミラー装着面を有するキャビティ1220を有する。隆起部1230と隆起部1231とは互いに平行であり、かつ隆起部1232および隆起部1233に対して垂直であってよく、隆起部1232と隆起部1233とは互いに平行に位置合わせ可能であるので、この図では一方のみが見えている。隆起部1230および隆起部1231のそれぞれが隆起部1232および隆起部1233のそれぞれと交差し、かつ隆起部1232および隆起部1233のそれぞれが隆起部1230および隆起部1231のそれぞれと交差する。ミラー装着面は「実質的に」平面であると見なすことができる。なぜなら隆起部1230~1233の平坦面、すなわち上面がともに平面を画定しているからである。
【0053】
平面ミラー1215をミラー装着面に装着することができる。平面ミラー1215は、例えば、上述した実施形態に類似する反射コーティングを有する光学ブロックを有することができる。また、陥凹領域1220内には、4つの平坦な隆起部1234~1237により画定されるミラー取付面もある。隆起部1234~1237は隆起部1230~1233の下方の奥に位置しうるので、この図では隆起部1235および隆起部1237のみが見えている。ミラー1215は、隆起部1230~1233により画定される上述したミラー装着面上に設けることができる。つまり、ミラー1215がこのように取り付けられると、ミラー1215は隆起部1230~1233上に載置され、または隆起部1230~1233と接触する。ミラー1215を保持する一助として、ミラー1215をミラー装着面上に設ける前に、ミラー取付面に接着剤コーティングを塗布することもできる。
【0054】
また、キャビティ1220内には、光結合器1200の本体の長手方向(例えば前方から後方)に互いに平行に配向された2つの平坦な隆起部1238および隆起部1239により画定されているフィルタ装着面もあり、この図では隆起部1239のみが見えている。フィルタ装着面は「実質的に」平面であると見なすことができる。なぜなら隆起部1238および隆起部1239の平坦面または上面がともに平面を規定しているからである。また、キャビティ1220内には、隆起部1238および隆起部1239下方の奥に位置する4組の平坦なプラットフォーム(この図では見えない)を有するフィルタ取付面もあり、これにより、フィルタ取付面はフィルタ装着面の下方の奥に位置する。4つの光学フィルタ1250~1256は、(それぞれがファイバにより搬送される光の特定の波長に対応し)キャビティ1220内のフィルタ装着面の4つの対応する装着部に設けることができる。フィルタ1250~1256を保持する一助として、フィルタをフィルタ装着面上に設ける前に、フィルタ取付面に接着剤のコーティングを塗布することができる。なお、4つのフィルタの単一の装着配置を図示しているが、これは単に例示のためであり、当業者は、こうした配置が(例えば、さらなる波長に対応する)さらなるフィルタを含んでもよいし、かつ/またはマルチチャネル光結合器に結合される光ファイバごとに複製されてもよいことを容易に理解するであろうことに注意されたい。4つのレンズ1280~1286は、(それぞれ特定の波長に対応し)光結合器1200の下面に配置され、これにより、レンズ1280~1286のそれぞれがフィルタ1250~1256のうちの1つに光学的に位置合わせされる。
【0055】
図13は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、図12に対応する光結合器アセンブリを有する波長分割逆多重化装置を示す側断面図である。図13に示す例示的な構成では、受信された光信号は、光結合器1200の本体、ミラー1215、および破線で示す光路に沿って設けられたフィルタ1250~1256を有するアセンブリを通って伝搬する。光信号は4つの異なる変調波長λ1~λ4を含み、反射面1270は光信号をミラー1215へと反射する。ミラー1215は、まず、光信号をフィルタ1250へと反射させ、フィルタ1250は、波長λ1を透過させ、かつ波長λ2~λ4を反射させる。したがって、波長λ1を含む光信号部分は、フィルタ1250を通り、オプトエレクトロニクス検出器チップ1205の第1の光検出器(個別には図示せず)に衝突する。検出器チップ1205は、それぞれが波長λ1~λ4のうちの1つに感応する複数のPINダイオードを有していてよい。検出器チップ1205は、プリント回路基板アセンブリ1290(通常「基板」とも称する)の表面に装着可能である。波長λ2~λ4を含む残りの光信号部分はフィルタ1250により反射されて、ミラー1215に衝突する。ミラー1215は、1つの波長λ2を透過しかつ少なくとも波長λ3およびλ4を反射するフィルタ1252に、当該残りの光信号部分を反射させる。したがって、波長λ2を含む光信号部分は、フィルタ1252を通り、検出器チップ1205の第2の光検出器(個別には図示せず)、例えばPINダイオードに衝突する。他の波長に対応する光学回路も同様に動作する。
【0056】
当業者は、検出器チップ1205を、例えばそれぞれが特定の波長(または低帯域の波長)を有する光を発する複数のレーザを有する対応の多波長光源と交換することにより、波長分割多重化装置が図13に示すのと同様に構成可能であることを容易に理解するであろう。このような実施形態では、光結合器を通る光の伝搬方向は、図13に示す方向の反対である。当業者は、検出器チップ1205とともに、例えばそれぞれが特定の波長(または低帯域の波長)を有する光を発する複数のレーザを有する多波長光源1206を設けることにより、波長分割多重化装置/逆多重化装置(例えば送受信機)が図13に示すのと同様に構成可能であることも容易に理解するであろう。このような組み合わせの検出器チップ1205および光源1206は、本明細書の以下に説明するような基板に装着可能である。
【0057】
ミラー1215およびフィルタ1250~1256の表面は、比較的高い精度で互いに平行となりうる。なぜなら、ミラー装着面とフィルタ装着面とは、光結合器内で比較的高い精度で互いに平行にすることができるからである。上述したように、それぞれのレンズ1280~1286は、フィルタ1250~1256のうちの対応する1つと、検出器チップ1205の対応するPINダイオードとに、光学的に位置合わせ可能である。平面ミラー1215とフィルタ1250~1256とが平行に配置されているので、それぞれのPINダイオードはそれぞれのレンズ1280~1286に対して「軸外」に配置可能である。幾つかの例示的な実施形態では、レンズ1280~1286は非球面であってもよい。
【0058】
図14は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、8本の光ファイバのそれぞれからの個別の2波長(2λ)の光信号を16個の個別の光信号に分離するために使用可能な、別の例示的な光学装置の等角上面図である。図14に示す光学装置は、図1図2に示す光学装置20または図3図8に示す光学装置200と同じ材料および方式で構成可能である。ただし、図14に示す光学装置のフィルタでは、それぞれ特定の波長のための8個の光学フィルタが、1行もしくは1列ではなく、8本の光ファイバに対応して8行もしくは8列に配列されている。それぞれの行もしくは列は、2つの光学フィルタを有し、そのそれぞれが対応するファイバにより搬送される特定の波長のためのものである。
【0059】
図15は、図14に示した光学装置の特定の例示的な実施形態の上面図である。当該例示的な実施形態では、パターニングされた不透明層1530が光学フィルタを装着するために用いられる光学装置の表面に形成される。不透明層1530は、隣り合うフィルタ間の空間を覆っていてよく、幾つかの実施形態では(図示のように)フィルタアレイの外周も覆っていてよい。こうした実施形態において、パターニングされた不透明層1530は、隣り合うフィルタアレイ間の空間内の横断線1531および/またはフィルタアレイの外周を囲んで延在する外周線1541~1544を有することができる。幾つかの実施形態では、横断線1531は、隣り合うフィルタアレイ間の光学的に透明な領域または隙間よりも僅かに大きな幅、例えば所望されない光が隣り合うフィルタアレイ間の隙間を通って侵入するのを防止するのに十分な幅を有することができる。外周線1541~1544の幅は、光路内で発散する光の一部と相互作用するフィルタ縁部によって生成される光学的ノイズを低減するのに十分なものであってよい。不透明層1530は、異なる材料(例えば、アルミニウム、誘電性コーティング、金等)で構成され、かつリソグラフィまたは直接描画により形成可能である。パターニングされた不透明層1530は、例えば、隣り合うフィルタを通る光源間のクロストークを低減することにより、光学装置の性能を改善することができる。
【0060】
図16は、図14および図15に対応する実施形態を含む、様々な光学装置とともに使用可能な、外部筐体または本体1600を有する例示的な光結合器アセンブリの等角上面図である。図16には、光結合器の表面への光学装置の装着を容易にする複数の装着ピン1610およびフィルタ取付溝1620も示されている。図17には、このように光学装置を組み込んだ、例示的な光結合器アセンブリの等角上面図である。
【0061】
図18は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、12本の光ファイバ用の例示的な光結合器の等角正面図である。図18には、上記で考察したレセプタクル250および第1のレンズアレイ270の構成および/または配置が示されている。図18には、ファイバコネクタ留め具1710およびファイバコネクタ位置合わせピン1720を含む、光結合器への2本の光ファイバの接続を容易にする機能部も示されている。
【0062】
図19は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、12本の光ファイバ用の例示的な光結合器の等角底面図である。図19には、上記で考察したレセプタクル250、全反射器260、および第2のレンズアレイ213の構成および/または配置が示されている。図19には、複数の(例えば、4つの)ステーキングピン1810を含む、基板または回路基板への光結合器の接続を容易にする機能部も示されている。
【0063】
図20は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、他の光変換電子機器とともに基板に取り付けられて送受信機アセンブリを形成する、例示的な光結合器の断面図である。図20に示す例示的な実施形態は、波長分割多重化および/または逆多重化の解決手段をきわめて小型かつ低コストにすることができる送信機(Tx)、受信機(Rx)、または送受信機(Tx/Rx)のサブアセンブリを含むことができる。図20の側面図には装置の1つの「部分」(断面)のみが示されているが、実装形態は上記で考察したように複数の部品のアレイを含みうる。装置1900は、例えば関連分野の技術者に公知の並列TxまたはRx集積回路(IC)1940を含むことができる。IC1940は、基板1910との電気的接続のための半田ボール1930を含む。IC1940は、例えば半田ボール1930とは反対側の上面に複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)(便宜上1940aと称する)および/またはPINフォトダイオードアレイ(1940bと称する)を含むことができる。Rx回路では、フォトダイオードは、例えばMSMフォトダイオードまたは任意の種類の光検出器とともに実装可能である。Tx回路では、光源は、ICに対して垂直に光を発することができるレーザまたは回転ミラーを用いるエッジ発光レーザを有することができる。他の例示的な実施形態は、他の電子サブマウント、例えば電気的配線を設けられた一枚のシリコン、ガリウムヒ素、またはリン化インジウムを用いることができる。光結合器1950は、IC1940の上方に配置可能であり、光結合器1950とIC1940との間に配置されるスペーサ1960により定位置に保持可能である。
【0064】
図21は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、例示的な送受信機アセンブリの等角上面図である。図21に示している送受信機アセンブリは、図20に示した例示的な実施形態と類似の方法で基板または回路基板に装着可能である。例示的な送受信機アセンブリは、例えば図16図17(2×8WDM光結合器)または図18図19(2×12WDM光結合器)を含む、上記で考察したものと類似した光結合器を有していてよい。図21には、例示的な機械的機能部、例えば図18に示したファイバコネクタ留め具1710およびファイバ位置合わせピン1720を用いて送受信機アセンブリに差し込まれているファイバアレイケーブル(例えば、8本または12本のファイバを有する)も示されている。ファイバアレイケーブルは、保持クリップ2110により定位置に保持可能である。様々な実施形態において、保持クリップ2110は、基板に取り付けられる別個のユニットもしくはアセンブリであってよく、または光結合器自体と一体に形成または組み立てることもできる。
【0065】
図22は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態による、別の例示的な送受信機アセンブリの等角上面図である。図22に示している例示的なアセンブリは、内部送受信機アセンブリ、例えば図21に示した送受信機アセンブリを格納する外部筐体を有することができる。
【0066】
図23には、本開示の様々な実施形態による、マルチチャネル光結合器の例示的な設計が示されている。図23には、例示的なマルチチャネル光結合器の設計による光チャネルの経路も図示されている。図23に示しているここでの具体的な設計は、並列アセンブリ内にn本のファイバ(F1~Fn)を有する4波長(λ1~λ4)の多重化装置/逆多重化装置において用いることができる。例えば、4本の送信用ファイバおよび4本の受信用ファイバ(n=8)が光アセンブリにおいて用いられる場合、各ファイバからの光は、それぞれの位置の配線経路を進む。
【0067】
図23に示している例示的な設計は、様々なパラメータ値に基づいている。「ファイバピッチ」は、並列ファイバアレイにおける、隣り合うファイバの中心線間の距離を指す。典型的には、並列ファイバの最小ファイバピッチは250マイクロメートルであり、図23に示している設計は、当該値を用いている。「ファイバ間レンズピッチ」は光結合器内のレンズアレイの隣り合うレンズの中心線間の距離を指し、典型的にはファイバピッチに等しくなりうる。図23に示している設計は、当該基本方式にしたがって、250マイクロメートルのファイバ間レンズピッチを有する。しかし、当該パラメータは、具体的な光学的設計の構成に応じて、当該ファイバピッチよりも大きくても、または小さくてもよい。さらに、図23に示している設計は、15マイクロメートルの厚みを有する反射コーティングを採用している。
【0068】
図23に示す設計のシミュレーション結果によれば、それぞれのファイバ内の波長λ1~λ3は、結合器内のそれぞれの光路から外れず、したがって隣り合うチャネルにクロストークを生じさせないことが示された。しかし、シミュレーション結果によれば、それぞれのファイバ内の波長λ4は、結合器内の光路から外れ、隣り合うファイバの波長λ4内にクロストークを引き起こすことが示された。なお、これらのシミュレーション結果に基づくと、当該クロストークは-31.7dB以下である。
【0069】
言い換えれば、(F1,λ4)のクロストークは(F2,λ4)のみから生じ、(F4,λ4)のクロストークは(F3,λ4)から生じうる。それぞれのクロストークは-31.7dBである。対照的に、(F2,λ4)は、(F1,λ4)および(F3,λ4)の両方からのクロストークを被る一方、(F3,λ4)は、(F2,λ4)および(F4,λ4)の両方からのクロストークを被る。それぞれのクロストークは小さい方の値の2倍、すなわち-28.7dBになる。下記の表1にこれらのシミュレーション結果を要約する。なお、「F1-F1」はF1の各チャネル(λ)内にとどまる望ましい信号の百分率を表すことに注意されたい。すなわち、
【表1】
である。
【0070】
当該例示的なマルチチャネル光結合器の設計において、ファイバ間レンズピッチにより光学ブロック内のフィルタの物理的寸法が決定される。レンズピッチが小さくなるほど、フィルタの製造および組み立てが困難になる。したがって、レンズピッチを大きくしてフィルタの寸法を大きくすることができる。しかし、レンズピッチをより大きくすると、光路全体および意図する光路外の各光ビームのダイバージェンスが大きくなり、クロストークが大きくなってしまう。例えば、図23に示した配置においてレンズピッチが250マイクロメートルを超えると、λ4のクロストークが大きくなる可能性があり、λ3または他のチャネルにもクロストークを引き起こしうる。それでも、図23に示す例示的な設計は、本開示の実施形態により、最小のクロストーク性能要求、例えば-10dB以下を満たしつつ、製造を容易にするパラメータ選択の範囲が提供されることを示している。
【0071】
本明細書において説明したように、デバイスおよび/または装置は、半導体チップ、チップセット、または当該チップまたはチップセットを有する(ハードウェア)モジュールにより表されうる。しかし、このことは、デバイスもしくは装置の機能が、ハードウェアでの実現に代えて、ソフトウェアモジュールとして、例えば、プロセッサ上での実行のためのまたはプロセッサ上で実行される実行可能ソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品として実現される可能性を排除するものではない。さらに、デバイスもしくは装置の機能は、ハードウェアおよびソフトウェアの任意の組み合わせによって実現可能である。デバイスもしくは装置は、機能が互いに協働しているかまたは独立しているかにより、複数のデバイスおよび/または装置のアセンブリと見なすことができる。さらに、デバイスもしくは装置の機能が維持される限り、デバイスおよび装置はシステム全体に分散されて実現することもできる。当該および類似の基本方式は当業者に公知であると考えられる。
【0072】
上記は、本開示の基本方式を示したに過ぎない。本明細書の教示に照らして、説明した実施形態の様々な変更形態および改変形態が当業者には明らかであろう。したがって、当業者が、本明細書に明示的に図示または説明されていなくとも、本開示の基本方式を具現化し、よって本開示の趣旨および範囲に包含されうる多くのシステム、構成および手順を考案可能であることが理解される。様々な異なる例示的な実施形態を一緒に用いうること、ならびに相互に交換可能に用いうることも、当業者は理解するはずである。さらに、本開示の明細書、図面および特許請求の範囲を含めた本開示で用いている特定の用語を、特定のケースにおいて同義語として用いることができ、ここには例えばデータおよび情報も含まれるが、これらに限定されない。互いに同義語となりうるこれらの単語および/または他の単語を、本明細書において同義語として用いることができる一方で、このような単語が同義語として用いられることを意図しない場合がありうることを理解されたい。さらに、従来技術の知識は、上記の参照により本明細書に明示的に組み込まれていない場合を除き、その全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照されるすべての公開文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図23