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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】孵卵室で卵を支持するための卵トレイ
(51)【国際特許分類】
   A01K 41/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A01K41/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020570041
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 NL2019050355
(87)【国際公開番号】W WO2019240576
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】2021127
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】505087997
【氏名又は名称】ハッチテック・グループ・ビー・ブイ
【氏名又は名称原語表記】HatchTech Group B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】メテル、チートゼ
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0075440(US,A1)
【文献】特公昭3-792(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0299317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 41/00
A01K 31/04
A01K 31/16
B65D 1/36
B65D 85/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孵卵室(2)内で卵を支持するための卵トレイ(1)であって、
底面(P)に伸長する第1の格子(10)を備え、前記第1の格子(10)は、複数の隣接する開口部(13)を形成するように、傾斜して列(11)の一方の側(11a)から前記列(11)の他方の側(11b)に伸長する実質的に直線状であるリブ(15)を有する1つ以上の隣接する列(11)を備え、ここにおいて、前記列(11)の1つおきの開口部(13)は、卵収容部(17)を規定し、ここにおいて、前記リブ(15)は、前記卵収容部(17)内で卵(40)を支持するために、2つのリブ端部(16)の間の前記リブ(15)の接触エリア(33)で卵(40)に接触するように構成され、ここにおいて、前記開口部(13)は、3つのリブ(15)によって規定され、前記開口部(13)は、前記底面(P)に投影されたときに実質的に三角形の形状を有し、ここにおいて、前記卵トレイは、前記第1の格子(10)に取り付けられた第2の格子(20)をさらに備え、前記第2の格子は、前記トレイが傾けられたときに卵(40)に追加の支持を提供するように適合され、ここにおいて、前記第2の格子(20)の開口部(23)は、これらを共に規定するように前記卵収容部(17)と整列される、卵トレイ(1)。
【請求項2】
前記第2の格子(20)は、前記第1の格子(10)に対して前記底面(P)に垂直な方向に間隔を空けられ、前記第2の格子は、前記トレイが傾けられたときに卵(40)への支持を提供する、請求項1に記載の卵トレイ(101)。
【請求項3】
前記第2の格子(20)の前記開口部(23)は、前記第1の格子(10)の前記開口部(13)に対して異なる形状を有する、請求項1または2に記載の卵トレイ(101)。
【請求項4】
前記第2の格子(20)は、前記底面(P)に投影されるときに、実質的に六角形の形状を有する開口部(23)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
【請求項5】
前記第1の格子(10)と前記第2の格子(20)とは、前記第1の格子(10)と前記第2の格子(20)との間に伸長する接続部材(30)によって接続され、前記第1の格子と前記第2の格子との間に格子間隔(D2)を規定するように構成され、ここにおいて、格子距離は、前記底面(P)に垂直な平面内に規定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
【請求項6】
前記格子間隔(D2)は、前記第2の格子が、卵に関係付けられた前記卵収容部から卵が傾くことを防止するように構成される、請求項に記載の卵トレイ(101)。
【請求項7】
-前記第1の格子(10)の開口部(13)は、内径ID1を有する内接円(42)を有し、
-前記第2の格子(20)の開口部(23)は、内径ID2を有する内接円(43)を有し、
ここにおいて、ID1とID2との間の比は0.40.6であり、ID1と格子間隔D2との間の比は0.71.7である、請求項1~6のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
【請求項8】
前記卵トレイは、前記卵収容部(17)内により小さい卵およびより大きい卵(40)を収容するように適合され、ここにおいて、前記第1の格子(10)とより大きい卵の最も厚い部分(41)との間の第1の距離(D1)は、前記第1の格子(10)と前記第2の格子(20)との間の格子間隔(D2)よりも大きく、前記第1の距離および前記格子距離は、前記底面(P)に対して垂直な平面内に規定される、請求項5を引用する6または7に記載の卵トレイ(101)。
【請求項9】
前記格子間隔(D2)は、10mm~50mmである、請求項に記載の卵トレイ(101)。
【請求項10】
前記内径ID1は20~24mmであり、前記内径ID2は37~47mmである、請求項7を引用する8または9に記載の卵トレイ(101)。
【請求項11】
前記リブ(15)の少なくとも1つは、前記接触エリア(33)の接触面間に伸長する凹部(18)を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項12】
前記凹部は、前記卵が前記リブ(15)に対して自立するように構成される、請求項11に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項13】
前記凹部(18)は、前記接触エリア(33)の2つの対向する接触面の間に伸長し、ここにおいて、使用時に、卵は両方の接触面(19)に接触する、請求項11または12に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項14】
前記卵トレイは、前記リブ(15)を介してのみ前記卵と接触するように適合されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項15】
前記卵トレイは、複数の空の卵トレイのスタックを提供するために、空のトレイが積み重ね可能であるように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項16】
前記卵トレイは、ポリマーから作られる、請求項1~15のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項17】
前記卵トレイは射出成形によって一体で作られる、請求項1~16のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項18】
前記トレイの寸法を業界標準のトレイに調節するための充填部品としての列(31)を備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
【請求項19】
複数の卵を孵卵するための方法であって、
-請求項1~18のいずれか一項に記載のトレイ(1;101)に前記卵を配置するステップと、
-前記トレイ(1;101)を水平に対して傾斜させるステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孵卵室内で卵を支持するための卵トレイに、および、複数の卵を孵卵するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
孵卵室中に多数の卵を収容するための卵トレイは、HatchTechのMeterによる特許出願WO2016/018154から知られている。この卵トレイは、比較的大きな表面エリアで卵を取り囲む卵収容空間を備える。さらに、トレイに収容できる卵の数を改善することができる。
【0003】
孵化引出しに含まれる卵トレイは、De RijckeによるUS3003463から知られている。この卵トレイは、正方形メッシュを有する格子を備え、各格子は、フレームにはんだ付けされた平行ワイヤから形成される。この卵トレイは、限られた数の卵を収容することができる。ワイヤ格子は卵に損傷を与えるかもしれず、正方形のメッシュ開口部は、特定のサイズの卵のみがトレイ中で安定して支持されることを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
上述の問題の少なくとも1つを少なくとも低減する卵トレイを提供することが望ましい。さらに、単位体積当たりで多数の卵を収容することを可能にし、および/または、空気流および換気を改善し、および/または、卵との接触エリアを最小限に抑えながら安定した方法で収容することができる卵のサイズに関してより柔軟な、卵トレイを提供することが望ましい。
【0005】
したがって、本発明の一態様にしたがうと、孵卵室内で卵を支持するための卵トレイが設けられ、卵トレイは、底面に伸長する第1の格子を備え、第1の格子は、複数の隣接する開口部を形成するように、列の一方の側から他方に伸長する傾斜したリブを有する1つ以上の隣接する列を備え、ここにおいて、開口部は、卵収容部を規定し、ここにおいて、リブは、卵収容部内で卵を支持するために、2つのリブ端部の間のリブの接触エリアで卵に接触するように構成される。
【0006】
接触エリアは、リブの中間部分における接触面であってもよい。接触エリアは、1つの接触面を有することができる。しかしながら、三角形の開口部の場合に6点支持のような多点支持を提供するように、リブが2つの対向する接触面を有することが考えられる。リブの中間部分は、それ自体は支持されなくてもよく、すなわち、両方のリブ端部を介してのみ格子に接続され、言い換えれば、リブは自由に垂れ下がっている。このような自由に垂れ下がっているリブは、トレイの通気性をさらに改善させる。使用時には、卵は、少なくとも3つの接触点で支持されることができ、これは、安定した支持のために最小限である。したがって、換気に利用可能な卵の表面エリアが最適化される。卵トレイはほとんど材料を有さないので、空気は比較的自由に流れることができ、これは卵の改善された加熱および/または冷却の要因となる。さらに、傾斜したリブを有する列を有することにより、材料をほとんど使用しない剛性形状が可能になる。加えて、リブは、卵の寸法の偏りに適応することを可能にする。第1の格子は、トレイの底部を形成してもよい。したがって、実質的にトレイ全体は、底面内にまたは底面の上側に伸長する。
【0007】
少なくとも1つの開口部は、卵収容部を規定し、開口部を通って落ちないように十分に大きい限り、任意のサイズの卵を収容するように適合される。第1の格子は、底面に投影された長方形の形状を有するかもしれないが、他の形状も考えられ得る。第1の格子は、周囲フレーム壁によって囲まれてもよい。第1の格子の形状は、孵卵室内の単位体積当たりの卵の数が最適化されるようなものである。この目的のために、底面の卵収容範囲が最適化され、卵収容のために使用されない垂直空間が、例えば、卵の下に伸長する格子コンポーネントの距離を低減することによって最小化される。リブは、卵の重量を支持するのに十分な厚さであるが、その場合には、これらは可能な限り狭く保たれる。より狭いリブは、より少ない材料の使用、より軽いトレイ、およびより多くの空気流がトレイを通して可能であることの要因となり、使用中の卵のより良好な換気を可能にする。さらに、より狭いリブは、使用中にトレイ内に蓄積することがある汚れの量を低減する。リブの典型的な幅は2~6mm、典型的には3mmである。リブは、傾斜しており、列の一方の側から列の他方の側に伸長して、複数の隣接する開口部を形成する。言い換えれば、リブは列方向に傾斜している。列方向は、列が底面において長手方向に伸長する方向である。全てのリブが傾斜しているわけではないことは明らかであろう。リブのうちのいくつかは、列を定め、列方向に伸長し、列方向と整列される。
【0008】
一実施形態にしたがうと、列の1つおきの開口部は、卵収容部を規定する。
【0009】
隣接する開口部は、典型的には狭いリブを共有するので、両方とも卵を収容することができないかもしれず、片側のみで卵を支持することがある。したがって、トレイによって支持することができる卵の数が開口部の数の約50%であるように、列内の1つおきの開口部が卵を収容するように適合される。一実施形態では、第1の格子内に171個の三角形開口部を有するトレイは、88個の卵収容部を備える。
【0010】
一実施形態にしたがうと、リブは実質的に直線状である。言い換えれば、リブは湾曲形状を有していない。これは、効率的な材料使用および剛性を提供する。加えて、直線状リブは、第1の格子内で容易に整列させることができる。この文脈において、「実質的に直線状」とは、リブ端部間の直線からの最大横方向の偏りが、リブ端部間の距離の20%未満、好ましくは10%未満であることを意味する。
【0011】
一実施形態にしたがうと、開口部は、3つのリブによって規定され、開口部は、底面に投影されたときに実質的に三角形の形状を有する。開口部の三角形の形状は、トレイに剛性を与える。
【0012】
当業者であれば、数学的な三角形形状からわずかにずれた三角形形状が同じ効果をもたらし、したがって、本発明の範囲の一部であることが意図されることを理解するであろう。この理由から、「実質的に三角形」とは、三角形の各リブについて、三角形の角の間の直線からの最大横方向の偏りが、三角形の角の間のそれぞれの距離の20%未満、好ましくは10%未満であることを意味する。第1の格子の縁部における開口部は、三角形とは異なる形状を有してもよいことが理解されるであろう。参照される典型的な形状は、第1の格子の縁部から離れて位置付けられている全ての開口部に関連する。トレイのいくつかの開口部が三角形とは異なる形状を有することが考えられることが明らかであろう。
【0013】
一実施形態にしたがうと、卵トレイは、第1の格子に取り付けられた第2の格子をさらに備え、第2の格子は、トレイが傾けられたときに卵に追加の支持を提供するように適合される。第2の格子の開口部は、トレイが傾けられたときに卵に対する支持を依然として提供しながら、トレイの通気性をさらに改善させるために、卵収容部内で卵と緩く適合する。卵と第2の格子の開口部との間の緩い適合の隙間は、数ミリメートルであってもよい。
【0014】
第2の格子は、底面に投影されたときに長方形の形状を有してもよい。第2の格子は、周囲フレームによって囲まれてもよく、または第1の格子を囲むフレームに埋め込まれてもよい。
【0015】
一実施形態にしたがうと、第2の格子は、第1の格子に対して底面に垂直な方向に間隔を空けられ、第2の格子は、トレイが傾けられたときに卵への支持を提供する。したがって、好ましくは、第1および第2の格子の縁部またはフレームは、底面に垂直な方向に、すなわち互いのまさに上に相互に整列される。
【0016】
一実施形態にしたがうと、第2の格子の開口部は、第1の格子の開口部に対して異なる形状を有する。これにより、材料使用の節約及び/又は剛性の改善が可能になる。これはまた、第1の格子によって卵のポジションを規定する機能と、第2の格子によって卵の向きを制限内に維持する機能とを分離することを可能にする。
【0017】
一実施形態にしたがうと、第2の格子の開口部は、これらを共に規定するように卵収容部と整列される。このようにして、収容部内の卵は、規定されたポジションを有し、制限内で向きを維持する。第2の格子の開口部は、第1の格子の開口部と整列され、第1の格子の開口部よりもわずかに大きい。このようにして、卵収容部への卵の導入が容易になる。第1の格子によって支持される卵は、第2の格子の各開口部が卵収容部を共に規定するように、すなわち、卵を収容するように適合されるように、第2の格子の開口部を通して卵収容部内に配置できる。
【0018】
一実施形態にしたがうと、第2の格子は、底面に投影されるときに、実質的に六角形の形状を有する開口部を備える。
【0019】
当業者は、数学的六角形形状からわずかにずれた六角形形状が同じ効果をもたらし、したがって、本発明の範囲の一部であることが意図されることを理解するであろう。この理由から、「実質的に六角形」とは、六角形の各リブについて、六角形の角の間の直線からの最大横方向の偏りが、六角形の角の間のそれぞれの距離の20%未満、好ましくは10%未満であることを意味する。第2の格子の縁部における開口部は、六角形とは異なる形状、特に五角形の区画のような形状を有してもよいことが理解されるであろう。参照される典型的な形状は、第1の格子の縁部から離れて位置付けられている全ての開口部に関連する。第2の格子の縁部における開口部のうちのいくつかは、五角形であってもよい。
【0020】
一実施形態にしたがうと、第1の格子と第2の格子とは、第1の格子と第2の格子との間に伸長する接続部材によって接続され、第1の格子と第2の格子との間に間隔D2を規定するように構成される。オプションとして、接続部材は、第1の格子内のリブ端部から、第2の格子内の開口部の頂点に、または言い換えれば、ノードにまで伸長する。
【0021】
頂点の50%が接続部材に接続されるように、第1の格子内の全てのリブ端部と第2の格子内の対向する頂点との間に垂直接続があってもよい。別個の接続部材の数は、卵収容部の数の2倍~4倍、または卵収容部の数の約3倍であってもよい。
【0022】
卵トレイの一実施形態にしたがうと、格子間隔D2は、第2の格子が、卵に関係付けられた卵収容部から卵が傾くことを防止するように構成される。
【0023】
卵トレイの一実施形態にしたがうと、第1の格子の開口部は、内径ID1を有する内接円を有し、第2の格子の開口部は、内径ID2を有する内接円を有し、ここにおいて、ID1とID2と間の比は、0.40.6であり、ID1と格子間隔D2との間の比は、0.71.7である。
【0024】
ID1とID2との間、およびID1と格子間隔D2との間のこれらの比は、トレイを、鶏、七面鳥、鳥類等から生じる卵のような異なる寸法を有する卵に適したものにする。
【0025】
一実施形態にしたがうと、卵トレイは、卵収容部内に、より小さい卵およびより大きい卵を収容するように適合され、ここにおいて、第1の格子とより大きい卵の最も厚い部分との間の第1の距離は、第1の格子と第2の格子との間の格子間隔D2よりも大きく、ここにおいて、第1の距離および格子距離は、底面に対して垂直な平面内に規定される。
【0026】
このように、好ましくは、格子間隔D2は、10mm~50mmである。鶏卵に適したトレイでは、格子間隔D2は、好ましくは、15mm~20mmである。このようにして、より小さい卵は、第2の格子の開口部を通して完全に適合することになるが、より大きい卵は、卵の最も厚い部分が第2の格子の上方に留まったとしても、第1の格子によって支持されるのに十分な距離にわたって開口部を通して適合する。より小さい卵の場合、最も厚い部分は、第2の格子と同じ高さに、または第2の格子の下にですら位置付けられてもよいことに留意されたい。
【0027】
卵トレイの一実施形態にしたがうと、内径ID1は20~28mmであり、内径ID2は40~50mmである。これにより、トレイは特に鶏卵に適したものとなる。
【0028】
一実施形態にしたがうと、リブの少なくとも1つは、接触エリアの接触面間に伸長する凹部を備える。さらなる実施形態にしたがうと、凹部は、接触エリアの2つの対向する接触面の間に伸長し、ここにおいて、使用時に、卵は両方の接触面に接触する。これにより、卵収容部における卵の安定性が改善する。凹部は、典型的には、リブの中間に配置され、卵を収容することができる側にのみ位置付けられてもよい。リブの凹部の存在により、卵は、このリブにおいて、凹部の両側の2つの端点によって支持されてもよい。これは、凹部の深さが、端点間の卵の湾曲を収容するのに十分であることを意味する。第1の格子内の卵収容部の全てのリブがこのような凹部を備える場合、卵を支持するための6つの接触点が存在してもよい。
【0029】
一実施形態にしたがうと、凹部は、卵がリブに対して自立するように構成される。これにより、空気に卵がさらされることが改善され、トレイは、より換気可能な卵で満たされる。
【0030】
一実施形態にしたがうと、卵トレイは、リブを介してのみ卵と接触するように適合されている。言い換えれば、卵トレイの他の部分は、通常の使用において卵と接触しない。卵トレイを大きな角度にわたって傾斜させる場合には、使用時に例外が生じるかもしれない。この状況では、第2の格子は、卵に接触して、卵が卵トレイから落下するのを防止することができる。
【0031】
一実施形態にしたがうと、卵トレイは、複数の空の卵トレイのスタックを提供するために、空のトレイが積み重ね可能であるように構成される。
【0032】
トレイを積み重ねるために、追加の積み重ね機器、例えば、トレイが積み重ねられるときにそれぞれの2つの卵トレイの間に位置付けられている別個の積み重ね要素が使用されてもよい。
【0033】
一実施形態にしたがうと、卵トレイは、ポリマー、好ましくはポリプロピレンまたは他の何らかの適切なポリマーから作られる。
【0034】
ポリマーは、複数の卵の重量を保持することができる卵トレイを形成することができる硬質プラスチックである必要がある。
【0035】
一実施形態にしたがうと、卵トレイは、好ましくは、射出成形によって一体で作られる。
【0036】
テンプレートを使用した射出成形による一体成型の製造は、製造を比較的迅速かつ容易にし、トレイ内に弱い取り付け点を生成し得る、異なるコンポーネントを互いに取り付けるための任意の製造ステップを回避する。
【0037】
一実施形態では、卵トレイは、トレイの寸法を業界標準のトレイに調節するための充填部品としての列を備えていてもよい。空の列は、第1の格子のパターンを変えることができ、したがって、第1の格子と比較して異なるパターンを有することができる。
【0038】
本発明の一態様にしたがうと、複数の卵を孵卵するための方法が提供され、方法は、ここで説明するようなトレイに卵を配置するステップと、トレイを水平に対して傾斜させるステップとを備える。
【0039】
卵トレイは、各卵収容部が卵を収容するときに、操作または移動を可能にする。この操作、例えば、トレイの傾斜は、例えば、経時的に卵の周りの空気流の均一な分布を確実にするために、卵で満たされたトレイの物流プロセスの間、特に、孵卵の間、産業界において一般的である。
【0040】
本特許で論じる様々な態様は、追加の利点を提供するために組み合わせることができる。
【0041】
添付の概略図を参照して、単なる例として、実施形態を説明し、対応する参照記号は、対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、実施形態にしたがう卵トレイの上面図を概略的に示す。
図2図2は、代替実施形態にしたがう卵トレイの上面図を概略的に示す。
図3図3は、図2中の卵トレイの斜視図を概略的に示す。
図4図4は、図2-3の卵トレイの詳細の斜視図を概略的に示す。
図5図5は、図2-4の卵トレイの断面側面図を概略的に示す。
図6図6は、図2に示された詳細を側断面図で概略的に示す。
図7図7は、図2のトレイの詳細を上面図で示す。
図8図8は、さらなる代替実施形態にしたがう卵トレイの上面図を示す。
【0043】
図面は、実例目的のみを意図しており、特許請求の範囲によって規定される範囲または保護の制限としての役割を果たすものではない。
【詳細な説明】
【0044】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、本発明のいくつかの実施形態の以下の説明において説明される。説明において、添付の図面への参照がされる。
【0045】
図1は、一実施形態にしたがう卵トレイ1の上面図を示す。卵トレイは、フレーム12によって囲まれた第1の格子10を備える。第1の格子10は、列11の一方の側11aから他方の側11bまで伸長する傾斜リブ15の列11を備える。リブ15は直線状であり、2つのリブ端部16間に伸長し、その間に中間部分14が設けられる。リブ端部16で接続された3つのリブ15は、共に開口部13を規定する。列11の1つおきの開口部13は、卵収容部17を規定する。実例の目的で、卵収容部17のいくつかは卵40で満たされている。第1の格子10は、第1および第2の方向X、Yに伸長する、底面Pにおいて実質的に平坦に伸長する。使用時、各卵収容部は、開口部13を囲む3つのリブ15の3つの中間部分14によって支持される卵(図示せず)を収容することができる。トレイは、図示されていない孵卵室内で使用されるように意図されている。これは、孵卵室によって提供される所望の気候を卵トレイ1の内部、より具体的には卵収容部17に与えることを可能にする大きな開口部から明らかである。トレイ1は、充填部品として列31を備える。この充填部品は、トレイ1の寸法を業界標準のトレイに調節することを可能にする。
【0046】
図2は、代替実施形態にしたがう卵トレイ101の上面図を示す。卵トレイ101は、第1の格子10と第2の格子20とを備える。第1の格子10は、三角形の開口部13を備え、第2の格子20は、典型的には六角形の開口部23を備え、これは、第2の格子20の縁部に隣接する五角形の開口部とは別である。両方の格子10、20の開口部13、23は、卵収容部17を共に規定するように整列される。実例の目的で、卵収容部17のうちのいくつかは、卵40で満たされている。使用時には、1つ以上の卵40が卵収容空間17中に収容される。VIで示される破線は、図6の断面画像を示す。使用時には、第1の格子10の開口部13は卵の垂直のポジショニングを決定し、一方、第2の格子20の開口部23は、卵がトレイ101から落下するのを防止するために、トレイ101が傾くときに追加の支持を提供する。
【0047】
図3は、図2の卵トレイの斜視図を示す。卵トレイ101は、第1および第2の方向X、Yに伸長する2つの格子10、20を備え、これらは、第3の、垂直方向Zと間隔を空けていることが示されている。第1の格子10は三角形を備える一方で、第2の格子20は六角形を備える。接続部材30は、第1および第2の格子10、20を多数の別個のポジションで接続する。接続部材30は、垂直に伸長し、第1の格子10のリブ端部16が集まる各点に設けられる。
【0048】
図4は、卵トレイ101の一部の詳細な画像を示す。第1の格子10は、3つのリブ15によって規定された開口部13を備える。第1の格子10のリブ15の中間部分14には、凹部18が設けられ、これは、卵を支持し、卵を定位置に保持する役割を果たす。凹部18は、図7を参照してより詳細に説明する。第2の格子20は、第2の格子20の六角形の開口部23の角の頂点26から第1の格子10のリブ端部16が集まる点まで伸長する垂直接続30を使用して、第1の格子10に接続される。このようにして、各卵収容部において、三角形の開口部13および六角形の開口部23を囲む第1および第2の格子10、20の部分は、3つの垂直接続30によって接続される。これは、卵の重量に耐えることができる安定した卵トレイ101を可能にする。第2の格子20のリブ15の中間部分には、カットアウト32が設けられている。カットアウト32は、収容部17内の卵の傾斜を促進する。同時に、カットアウト32は、卵に対して卵に鋭利でも有害でもない他の何らかの方法で、卵に対する良好な接触エリアを保証する。
【0049】
図5は、卵トレイ101の斜視側面図である。第1の格子10および第2の格子20は、格子間隔D2、すなわち垂直接続部材30によって架橋される距離だけ分離される。卵トレイ101は、空気が自由に流れることを可能にし、使用時に卵のための良好な換気を可能にするために、大きく開いている。
【0050】
図6は、VIで示された破線によって示されているような図2の一部の断面画像を示している。卵トレイ101は、孵卵室2中に配置され、大きな卵40を収容する。格子間隔D2が第1の格子10と第2の格子20との間に規定されると、第1の距離D1は、第1の格子10と大きな卵40の最も厚い部分41との間に規定される。このようにして、最も厚い部分41が六角形の開口部23の幅よりもわずかに大きいときであっても、大きな卵40を卵トレイ101に適合させることができる。
【0051】
図7は、図2の卵トレイ101の単一の収容部17を示す。第1の格子10の開口部13は、内径ID1を有する内接円42を有する。第2の格子20の開口部23は、内径ID2を有する内接円43を有する。ID1とID2との比は、0.40.6である。図5および図6に示すように、ID1と格子間隔D2との間の比は、0.71.7である。内径ID1は、20~24mmであり、内径ID2は、37~47mmである。
【0052】
第1の格子10のリブ15の中間部分14は、凹部18を備える。接触面44a、44bは、卵を支持するように構成される。凹部18は、卵がリブ15に対して自立するように構成される。凹部18は、接触エリア33の2つの対向する接触面44a、44bの間に伸長する。
【0053】
図8は、さらなる代替実施形態にしたがう卵トレイ101の上面図を示す。卵トレイ101は、第1の格子10および第2の格子20を備える。第1の格子10は三角形の開口部13を含み、第2の格子20は六角形の開口部23を含む。実例の目的で、卵収容部17のうちのいくつかは、卵40で満たされている。トレイ101は、トレイ101の対向する側に補強リブ45、46が設けられている点で、図2のトレイと異なる。補強リブ45、46は、第2の格子20が六角形の開口部23または格子セルを有する側面に向かって連続して伸長するように配置される。したがって、充填部品31は、補強リブ45、46によって事実上補強される。
【0054】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。説明した実施形態は、あらゆる点で実例的なものにすぎず、限定的なものではないと考慮すべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってよりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって示される。本発明の代替的および均等な実施形態を想到し、実施することができることが、当業者には明らかであろう。特許請求の範囲と同等の意味および範囲内に入るすべての変更は、その範囲内に包含されるべきである。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 孵卵室(2)内で卵を支持するための卵トレイ(1)であって、
底面(P)に伸長する第1の格子(10)を備え、前記第1の格子(10)は、複数の隣接する開口部(13)を形成するように、傾斜して列(11)の一方の側(11a)から前記列(11)の他方の側(11b)に伸長するリブ(15)を有する1つ以上の隣接する列(11)を備え、ここにおいて、開口部(13)は、卵収容部(17)を規定し、ここにおいて、前記リブ(15)は、前記卵収容部(17)内で卵(40)を支持するために、2つのリブ端部(16)の間の前記リブ(15)の接触エリア(33)で卵(40)に接触するように構成される、卵トレイ(1)。
[2] 列(11)の1つおきの開口部(13)は、卵収容部(17)を規定する、[1]に記載の卵トレイ(1)。
[3] 前記リブ(15)は、実質的に直線状である、[1]~[2]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1)。
[4] 前記開口部(13)は、3つのリブ(15)によって規定され、前記開口部は、前記底面(P)に投影されたときに実質的に三角形の形状を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1)。
[5] 前記卵トレイは、前記第1の格子(10)に取り付けられた第2の格子(20)をさらに備え、前記第2の格子は、前記トレイが傾けられたときに卵(40)に追加の支持を提供するように適合される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[6] 前記第2の格子(20)は、前記第1の格子(10)に対して前記底面(P)に垂直な方向に間隔を空けられ、前記第2の格子は、前記トレイが傾けられたときに卵(40)への支持を提供する、[5]に記載の卵トレイ(101)。
[7] 前記第2の格子(20)の前記開口部(23)は、前記第1の格子(10)の前記開口部(13)に対して異なる形状を有する、[5]~[6]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[8] 前記第2の格子(20)の前記開口部(23)は、これらを共に規定するように前記卵収容部(17)と整列される、[5]~[7]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[9] 前記第2の格子(20)は、前記底面(P)に投影されるときに、実質的に六角形の形状を有する開口部(23)を備える、[5]~[8]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[10] 前記第1の格子(10)と前記第2の格子(20)とは、前記第1の格子(10)と前記第2の格子(20)との間に伸長する接続部材(30)によって接続され、前記第1の格子と前記第2の格子との間に格子間隔(D2)を規定するように構成され、ここにおいて、格子距離は、前記底面(P)に垂直な平面内に規定される、[5]~[9]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[11] 前記格子間隔(D2)は、前記第2の格子が、卵に関係付けられた前記卵収容部から卵が傾くことを防止するように構成される、[5]~[10]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[12] -前記第1の格子(10)の開口部(13)は、内径ID1を有する内接円(42)を有し、
-前記第2の格子(20)の開口部(23)は、内径ID2を有する内接円(43)を有し、
ここにおいて、ID1とID2との間の比は0,4~0,6であり、ID1と格子間隔D2との間の比は0,7~1,7である、[5]~[11]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[13] 前記卵トレイは、前記卵収容部(17)内により小さい卵およびより大きい卵(40)を収容するように適合され、ここにおいて、前記第1の格子(10)とより大きい卵の最も厚い部分(41)との間の第1の距離(D1)は、前記第1の格子(10)と前記第2の格子(20)との間の格子間隔(D2)よりも大きく、前記第1の距離および前記格子距離は、前記底面(P)に対して垂直な平面内に規定される、[5]~[12]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[14] 前記格子間隔(D2)は、10mm~50mm、好ましくは15mm~20mmである、[5]~[13]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[15] 内径ID1は20~24mmであり、内径ID2は37~47mmである、[5]~[14]のいずれか一項に記載の卵トレイ(101)。
[16] 前記リブ(15)の少なくとも1つは、前記接触エリア(33)の接触面間に伸長する凹部(18)を備える、[1]~[15]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
[17] 前記凹部は、前記卵が前記リブ(15)に対して自立するように構成される、[16]に記載の卵トレイ(1;101)。
[18] 前記凹部(18)は、前記接触エリア(33)の2つの対向する接触面の間に伸長し、ここにおいて、使用時に、卵は両方の接触面(19)に接触する、[16]または[17]に記載の卵トレイ(1;101)。
[19] 前記卵トレイは、前記リブ(15)を介してのみ前記卵と接触するように適合されている、[1]~[18]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
[20] 前記卵トレイは、複数の空の卵トレイのスタックを提供するために、空のトレイが積み重ね可能であるように構成される、[1]~[19]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
[21] 前記卵トレイは、ポリマー、好ましくはポリプロピレンまたは他の何らかの適切なポリマーから作られる、[1]~[20]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
[22] 前記卵トレイは、好ましくは、射出成形によって一体で作られる、[1]~[21]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
[23] 前記トレイの寸法を業界標準のトレイに調節するための充填部品としての列(31)を備える、[1]~[22]のいずれか一項に記載の卵トレイ(1;101)。
[24] 複数の卵を孵卵するための方法であって、
-[1]~[23]のいずれか一項に記載のトレイ(1;101)に前記卵を配置するステップと、
-前記トレイ(1;101)を水平に対して傾斜させるステップと、
を備える、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8