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特許7346473コンタクトレンズ製造材料及びコンタクトレンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ製造材料及びコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20230911BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20230911BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
G02C7/04
G02B1/04
C08F290/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021030853
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131746
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】521085674
【氏名又は名称】創元光學股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】INNO VISION CORP.
【住所又は居所原語表記】4F., NO.474, SEC. 5, ZHONGXIAO E. RD., XINYI DIST., TAIPEI CITY, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 紀宇
(72)【発明者】
【氏名】廖 攸雅
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/067146(WO,A1)
【文献】特表2013-543042(JP,A)
【文献】国際公開第2020/262272(WO,A1)
【文献】特開2015-000980(JP,A)
【文献】特開2020-056994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G02C 7/04
G02B 1/04
C08F 290/06
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)に示す第1成分であって、
式中、Z1は第1シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n1は1~1.5であり、o1は1である前記第1成分と、
下記の式(2)に示す第2成分であって、
式中、Z2は第2シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n2は1~5であり、o2は1である前記第2成分と、
少なくとも1つの親水性モノマーと、
少なくとも1つの光重合開始剤とを含むコンタクトレンズ製造材料。
【請求項2】
前記第1シリコーンハイドロゲルモノマーZ1を含む前記第1成分は下記の式(1b)で表され、
式中、m1は1~3であり、n1は1~1.5であり、o1は1である請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記第2シリコーンハイドロゲルモノマーZ2を含む前記第2成分は下記の式(2b)で表され、
式中、m2は1~3であり、n2は1~5であり、o2は1である請求項1に記載の材料。
【請求項4】
下記の式(3b)に示す第3成分であって、
式中、m3は1であり、n3は4~6であり、o3は1である前記第3成分をさらに含む請求項1に記載の材料。
【請求項5】
前記親水性モノマーは2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニルピロリドン、メタクリル酸及びN,N-ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも1つ又はこれらの組み合わせを含む請求項1に記載の材料。
【請求項6】
イソプロパノールである溶媒と、トリメチロールプロパントリメタクリレートである架橋剤とをさらに含む請求項1に記載の材料。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の材料で製造されたコンタクトレンズ。
【請求項8】
下記の式(1)に示す第1成分であって、
式中、Z1は第1シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n1は1~1.5であり、o1は1である前記第1成分と、
下記の式(3)に示す第3成分であって、
式中、Z3は第3シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n3は4~6であり、o3は1である前記第3成分と、
少なくとも1つの親水性モノマーと、
少なくとも1つの光重合開始剤とを含むコンタクトレンズ製造材料。
【請求項9】
前記第1シリコーンハイドロゲルモノマーZ1を含む前記第1成分は下記の式(1b)で表され、
式中、m1は1~3であり、n1は1~1.5であり、o1は1である請求項8に記載の材料。
【請求項10】
前記第3シリコーンハイドロゲルモノマーZ3を含む前記第3成分は下記の式(3b)で表され、
式中、m3は1であり、n3は4~6であり、o3は1である請求項8に記載の材料。
【請求項11】
下記の式(2b)に示す第2成分であって、
式中、m2は1~3であり、n2は1~5であり、o2は1である前記第2成分をさらに含む請求項8に記載の材料。
【請求項12】
前記親水性モノマーは2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニルピロリドン、メタクリル酸、N,N-ジメチルアクリルアミド、これらの混合物又は組み合わせを含む請求項8に記載の材料。
【請求項13】
イソプロパノールである溶媒と、トリメチロールプロパントリメタクリレートである架橋剤とをさらに含む請求項8に記載の材料。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれか1項に記載の材料で製造されたコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクトレンズ製造材料及びコンタクトレンズに関し、特に、シリコーンハイドロゲルを含むコンタクトレンズ製造材料及びコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンハイドロゲル(silicone hydrogel)は市販のソフトコンタクトレンズに使用される主な材料であり、「シリコーン」の高い酸素透過性と「ヒドロゲル」の親水性を組み合わせるため、酸素が直接的にレンズを通って角膜に接触することで十分な酸素含有量が保たれるとともに、レンズに高い水分含有量が保たれて快適性が向上するため、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは角膜の酸欠又は目の脱水による不快感を緩和し、より長時間の着用が可能である。
【0003】
また、多くのメーカーや研究チームは着用時の快適性を一層向上させるために、シリコーンハイドロゲルの成分及びその構造を改良して、コンタクトレンズの酸素透過率及び水分含有率を高めている。例えば、特許文献1は(a)1種以上のシロキサン含有ホモポリマー(homopolymer)と、(b)1種以上のバイオメディカルデバイス形成性モノマーとからなるシリコーンハイドロゲルを開示し、前記ホモポリマーはウレタンモノマーであってもよく、前記モノマーはメタクリル酸、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクトン、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる親水性モノマーである。また、特許文献2は(a)少なくとも1種の化学式(I)のポリオールと、(b)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネートと、(c)少なくとも1種のOH末端の鎖延長剤(chain extender)とからなるコンタクトレンズを開示している。また、特許文献3、特許文献4、特許文献5などは他のシリコーンハイドロゲル改良構造及び成分を開示している。
【0004】
しかし、従来のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズには必要な機械的特性を保ちながらも、酸素含有量及び水分含有量が不十分であるという問題がある。したがって、着用快適性の向上及び必要な機械的特性の保持を両立できるコンタクトレンズを製造することが本分野で解決すべき課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州登録特許第EP2443484B1号
【文献】米国登録特許第US9464159B2号
【文献】米国登録特許第US20180340036A号
【文献】米国登録特許第US10676575B2号
【文献】米国登録特許第US9708450B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは酸素含有量及び水分含有量が不十分であるという問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、
下記の式(1)に示す第1成分であって、
式中、Z1は第1シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n1は1~1.5であり、o1は1である前記第1成分と、
下記の式(2)に示す第2成分であって、
式中、Z2は第2シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n2は1~5であり、o2は1である前記第2成分と、
少なくとも1つの親水性モノマーと、
少なくとも1つの光重合開始剤とを含むコンタクトレンズ製造材料を提供する。
【0008】
一実施例では、当該第1シリコーンハイドロゲルモノマーZ1は下記の式(4)に示すとおりであり、
式中、m1は1~3である。
【0009】
一実施例では、当該第2シリコーンハイドロゲルモノマーZ2は下記の式(5)に示すとおりであり、
式中、m2は1~3である。
【0010】
一実施例では、
下記の式(3)に示す第3成分であって、
式中、Z3は第3シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n3は4~6であり、o3は1である前記第3成分をさらに含む。
【0011】
一実施例では、当該第3シリコーンハイドロゲルモノマーZ3は下記の式(6)に示すとおりであり、
式中、m3は1である。
【0012】
一実施例では、当該親水性モノマーは2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニルピロリドン、メタクリル酸及びN,N-ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも1つ又はこれらの組み合わせを含む。
【0013】
一実施例では、イソプロパノールである溶媒をさらに含む。
【0014】
一実施例では、トリメチロールプロパントリメタクリレートである架橋剤をさらに含む。
【0015】
さらに本発明は、前記材料で製造されたコンタクトレンズを提供する。
【0016】
さらに本発明は、
下記の式(1)に示す第1成分であって、
式中、Z1は第1シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n1は1~1.5であり、o1は1である前記第1成分と、
下記の式(3)に示す第3成分であって、
式中、Z3は第3シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n3は4~6であり、o3は1である前記第3成分と、
少なくとも1つの親水性モノマーと、
少なくとも1つの光重合開始剤とを含むコンタクトレンズ製造材料を提供する。
【0017】
一実施例では、当該第1シリコーンハイドロゲルモノマーZ1は下記の式(4)に示すとおりであり、
式中、m1は1~3である。
【0018】
一実施例では、当該第3シリコーンハイドロゲルモノマーZ3は下記の式(6)に示すとおりであり、
式中、m3は1である。
【0019】
一実施例では、
下記の式(2)に示す第2成分であって、
式中、Z2は第2シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n2は1~5であり、o2は1である前記第2成分をさらに含む。
【0020】
一実施例では、当該第2シリコーンハイドロゲルモノマーZ2は下記の式(5)に示すとおりであり、
式中、m2は1~3である。
【0021】
一実施例では、当該親水性モノマーは2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニルピロリドン、メタクリル酸、N,N-ジメチルアクリルアミド、これらの混合物又は組み合わせを含む。
【0022】
一実施例では、イソプロパノールである溶媒をさらに含む。
【0023】
一実施例では、トリメチロールプロパントリメタクリレートである架橋剤をさらに含む。
【0024】
さらに本発明は、前記材料で製造されたコンタクトレンズを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で用語「第1成分」とは、下記の式(1)に示すケイ素含有モノマー構造単位であり、
式中、Z1は第1シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n1は1~1.5であり、o1は1である。
【0026】
一実施例では、o1は1であり、つまり「第1成分」は下記の式に示すケイ素含有モノマー構造単位である。
【0027】
一実施例では、さらに「第1成分」とは、下記の式(1’)に示すケイ素含有モノマー構造単位である。
【0028】
本明細書で用語「第2成分」とは、下記の式(2)に示すケイ素含有モノマー構造単位であり、
式中、Z2は第2シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n2は1~5であり、o2は1である。
【0029】
一実施例では、o2は1であり、つまり「第2成分」は下記の式に示すケイ素含有モノマー構造単位である。
【0030】
一実施例では、さらに「第2成分」とは、下記の式(2’)に示すケイ素含有モノマー構造単位である。
【0031】
本明細書で用語「第3成分」とは、下記の式(3)に示す構造単位である。
式中、Z3は第3シリコーンハイドロゲルモノマーであり、n3は4~6であり、o3は1である。
【0032】
一実施例では、o3は1であり、つまり「第3成分」は下記の式に示すケイ素含有モノマー構造単位である。
【0033】
一実施例では、さらに「第3成分」とは、下記の式(3’)に示すケイ素含有モノマー構造単位である。
【0034】
前記n1、o1、n2、o2、n3、o3は整数又は非整数である。
【0035】
本発明はコンタクトレンズ製造材料を提供し、一実施例では、当該材料は第1成分と、第2成分と、少なくとも1つの親水性モノマーと、少なくとも1つの光重合開始剤とを含み、一実施例では、当該材料は第1成分と、第3成分と、少なくとも1つの親水性モノマーと、少なくとも1つの光重合開始剤とを含み、一実施例では、当該材料は第1成分と、第2成分と、第3成分と、少なくとも1つの親水性モノマーと、少なくとも1つの光重合開始剤とを含む。
【0036】
一実施例では、当該第1シリコーンハイドロゲルモノマーZ1は下記の式(4)に示すとおりであり、
式中、m1は1~3である。
【0037】
一実施例では、当該第2シリコーンハイドロゲルモノマーZ2は下記の式(5)に示すとおりであり、
式中、m2は1~3である。
【0038】
前記m1、m2は整数又は非整数である。
【0039】
一実施例では、当該第3シリコーンハイドロゲルモノマーZ3は下記の式(6)に示すとおりであり、
式中、m3は1である。
【0040】
当該親水性モノマーは少なくとも1つの重合可能な二重結合官能基及び少なくとも1つの親水性官能基を有し、当該重合可能な二重結合官能基はアクリル酸又はビニル基を含むモノマーである。一実施例では、当該親水性モノマーは2-ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate、略称HEMA)、N-ビニルピロリドン(N-vinylpyrrolidone、略称NVP)、メタクリル酸(methacrylic acid、略称MAA)及びN,N-ジメチルアクリルアミド(dimethylacetamide、略称DMA)のうちの少なくとも1つ又はこれらの組み合わせを含み、当該光重合開始剤は、光(例えば、紫外線)の励起により、当該第1成分、当該第2成分及び/又は当該第3成分、当該親水性モノマーと化学的連鎖反応を引き起こす開始剤であってもよい。一実施例では、当該光重合開始剤にはDarocur(登録商標)1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(2-Hydroxy-2-methylpropiophenone))又はIrgacure(登録商標)819(フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(phenyl bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide))を使用してもよい。
【0041】
一実施例では、当該材料は溶媒と、架橋剤とをさらに含み、当該溶媒にはイソプロパノール(isopropyl alcohol、略称IPA)を使用してもよく、当該架橋剤にはトリメチロールプロパントリメタクリレート(trihydroxymethylpropyl trimethylacrylate、略称TMPTMA)を使用してもよい。
【0042】
一実施例では、式(1)の重量平均分子量(Mw)は1700~2100であり、且つ分子量分布(Mw/Mn)は1.5~2.0であり、式(2)の重量平均分子量(Mw)は3000~4560であり、且つ分子量分布(Mw/Mn)は1.5~2.0であり、式(3)の重量平均分子量(Mw)は2246~3219であり、且つ分子量分布(Mw/Mn)は1.5~2.0である。
【0043】
一実施例では、コンタクトレンズ製造材料は式(1)、式(2)及び/又は式(3)と、添加剤とを含み、式(1)(第1成分)の重量パーセントは35wt%~50wt%であり、式(2)(第2成分)の重量パーセントは0wt%~20wt%であり、式(3)(第3成分)の重量パーセントは0wt%~20wt%であり、添加剤の重量パーセントは15wt%~35wt%である。当該添加剤は当該親水性モノマー、当該光重合開始剤、当該溶媒及び当該架橋剤のそれぞれを含む。
【0044】
本発明の材料で製造されたコンタクトレンズは、酸素透過率(Dk)が70~115であり、水分含有率が30%~45%であり、ヤング率が0.2~1.2である。
【0045】
下記の製造例では本発明の材料の式(1)、式(2)及び式(3)のケイ素含有モノマーによるシリコーンハイドロゲルの合成方法が説明される。
【0046】
(製造例1)
3つ口フラスコに80mLのテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)と、40gのモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン(monocarbinol terminated polydimethylsiloxane)と、13.69gのε-カプロラクトン(ε-Caprolactone)と、0.0040gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)とを加えて混合して溶液Aを得た。120℃で溶液Aを6時間攪拌して開環重合反応(ring-opening polymerization、略称ROP)を行わせ、反応後に純水で反応物を洗浄し脱水又は濾過処理を行って、下記の式(1a)に示す中間体を得た。その重量平均分子量(Mw)は1200である。

m1は1~3であり、n1は1~1.5である。
【0047】
さらに、当該中間体と、2.52gのイソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、略称IPDI)とを混合して、45℃で5時間反応させ、さらに0.0025gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)を滴加して溶液Bを得た。次に、溶液Bに1.48gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate、略称HEMA)と、0.0015gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)とを滴加して、45℃で3時間反応させた。
【0048】
最後に溶液Bからテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)を蒸発除去して、下記の式(1b)に示す生成物を得た。その重量平均分子量(Mw)は1800である。
m1は1~3であり、n1は1~1.5であり、o1は1である。
【0049】
(製造例2)
3つ口フラスコに100mLのテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)と、50gのモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン(monocarbinol terminated polydimethylsiloxane)と、5.8gのε-カプロラクトン(ε-Caprolactone)と、0.0040gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)とを加えて混合して溶液Cを得た。120℃で溶液Cを6時間攪拌して開環重合反応を行わせた。反応後に純水で反応物を洗浄し脱水又は濾過処理を行って、下記の式(2a)に示す中間体を得た。その重量平均分子量(Mw)は3018である。

n2は1~5であり、m2は1~3である。
【0050】
さらに、当該中間体と11.12gのイソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、略称IPDI)とを混合して、45℃で5時間反応させ、さらに0.001gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)を滴加して溶液Dを得た。次に、溶液Dに6.6gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate、略称HEMA)と、0.006gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)とを滴加して、45℃で3時間反応させた。
【0051】
最後に溶液Dからテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)を蒸発除去して、下記の式(2b)に示す生成物を得た。その重量平均分子量(Mw)は3760である。
m2は1~3であり、n2は1~5であり、o2は1である。
【0052】
(製造例3)
3つ口フラスコに120mLのテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)と、54.4gのテトラキス(2-ヒドロキシエトキシ)シラン(tetrakis(2-hydroxyethoxy)silane)と、91.32gのε-カプロラクトン(ε-Caprolactone)と、0.0054gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)とを加えて混合して溶液Eを得、120℃で溶液Eを6時間攪拌して開環重合反応を行わせた。反応後に大量の水で反応物を洗浄し脱水又は濾過処理を行って、下記の式(3a)に示す中間体を得た。その重量平均分子量(Mw)は738である。
m3は1であり、n3は4~6である。
【0053】
さらに、当該中間体と、117.84gのイソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate、略称IPDI)とを混合して、45℃で5時間反応させ、さらに0.017gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)を滴加して溶液Fを得た。次に、溶液Fに104.12gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(hydroxyethyl methacrylate、略称HEMA)と、0.014gのジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)とを滴加して、45℃で3時間反応させた。最後に溶液Fからテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)を蒸発除去して、下記の式(3b)に示す生成物を得た。その重量平均分子量(Mw)は2575である。
m3は1であり、n3は4~6であり、o3は1である。
【0054】
下記の表1は本発明に係る材料で製造されたものの実験例であり、本発明のコンタクトレンズの効果を具体的に説明している。式(1)、式(2)、式(3)は前記シリコーンハイドロゲル成分であり、HEMA、NVP、MAA、DMAは親水性モノマーであり、Darocur(登録商標)1173、Irgacure(登録商標)819は光重合開始剤であり、IPAは溶媒であり、TMPTMAは架橋剤である。表1で単位は重量(g)である。
【0055】
前記各実験例の材料を混合した後、55mW/mの紫外線を100秒間照射して硬化させて、コンタクトレンズを形成させた。これらの実験例1から4について酸素透過率、水分含有率及びヤング率を測定し、測定結果を下記の表2に示す。酸素透過率、水分含有率及びヤング率は業界のISO基準に基づいて測定された。
【0056】
表2に示すように、本発明に係る材料で製造されたコンタクトレンズは、70~115の高い酸素透過率(Dk)、30%~45%の高い水分含有率、及び0.2~1.2の低いヤング率を有する。使用者が着用する時はより多くの酸素が角膜に接触して目に水分を保持させるとともに、コンタクトレンズの目との接触に伴う異物感を緩和して着用快適性を向上させ、より長時間の着用が可能になる。