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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】カニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
A61M25/00 510
A61M25/00 534
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021065474
(22)【出願日】2021-04-07
(62)【分割の表示】P 2017553246の分割
【原出願日】2016-04-21
(65)【公開番号】P2021104389
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】102015005002.8
(32)【優先日】2015-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517259221
【氏名又は名称】ゼニオス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シムンディック,イヴォ
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-509176(JP,A)
【文献】米国特許第05069673(US,A)
【文献】特開平10-052489(JP,A)
【文献】特表2002-533157(JP,A)
【文献】特表2003-534828(JP,A)
【文献】特許第3529822(JP,B2)
【文献】特表2000-512184(JP,A)
【文献】特表2018-512957(JP,A)
【文献】国際公開第2014/113257(WO,A2)
【文献】米国特許第04639252(US,A)
【文献】特開2013-081725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状基本体(2)と、前記円筒状基本体(2)よりも内径が小さい先端部(3)と出口とを有する動脈カニューレ(1)であって、前記カニューレは、15Fr~19Frの第1の内径を有する前記カニューレ(1)の第1の部分としての前記円筒状基本体(2)と、13Fr~17Frの第2の内径を有する前記カニューレ(1)の第2の部分としての前記先端部(3)との間の口径狭窄移行を形成する、内径の縮小部(4)を呈し、
前記動脈カニューレは、前記円筒状基本体(2)の前記第1の部分に側方の穴(13~18)を有し、かつ前記内径の縮小部(4)が、前記動脈カニューレの前記側方の穴と前記先端部(3)との間に配置されることを特徴とし、
前記カニューレは、挿入長を有することを特徴とし、前記内径の縮小部(4)は、前記動脈カニューレが、血管の周囲分岐への血流を遮断することなく、前記血管の分岐領域を越えて挿入されることを可能にするように、カニューレの先端部から離れて前記挿入長の25%~40%に位置することを特徴とする、
動脈カニューレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動脈カニューレであって、前記内径の縮小部(4)が円錐形にテーパリングする先端部(7)の形態であることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、先端部(3)の円錐形端部が、それに隣接するカニューレのエリアの内径の長さよりも短い長さ(5)を有することを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、前記動脈カニューレが、20~50cmの挿入長を有することを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、前記内径の縮小部(4)が、2~4Frの縮小であることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、バルブ(30)を有することを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項7】
請求項6に記載の動脈カニューレであって、前記バルブ(30)が、前記内径の縮小部(4)のエリアに配置されることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の動脈カニューレであって、前記バルブ(30)が少なくとも1つ又は複数のフラップ(34~36)を有することを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、前記少なくとも1つのフラップ(34~36)が、バネ機構を有することを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の動脈カニューレであって、前記フラップの1つの基部が、前記内径の縮小部のエリアに配置されることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、その内側で、少なくとも断面で、らせん形の構造(41)を備えることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項12】
請求項11に記載の動脈カニューレであって、前記構造(41)が隆起であることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の動脈カニューレであって、前記構造(45~48)が凹部であることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の動脈カニューレであって、前記構造(43、44)が多条ネジであることを特徴とする、動脈カニューレ。
【請求項15】
請求項11又は14に記載の動脈カニューレであって、前記構造が、前記カニューレのワイヤ補強によって形成されることを特徴とする、動脈カニューレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジおよび出口を備える、カニューレに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなカニューレは、特に、動脈カニューレとして用いられる。種々の直径および長さで利用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、このようなカニューレをさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様によれば、この目的は、カニューレの内径を縮小することで達成される。
【0005】
内径の縮小部部は、円錐形にテーパリングする先端部の形態であってもよい。この場合、この形態は、この先端部の円錐形端部がそれに隣接するカニューレのエリアの内径よりも短い長さを有する場合、有利であり得る。
【0006】
内径の縮小部部はまた、異なる直径を有する2つの円筒状カニューレ断面の間で狭窄する口径の形態であってもよい。
【0007】
この場合、内径の縮小部が、カニューレの先端部から離れて挿入長の25%~40%に、好ましくは約30%~35%の距離に位置する場合に、有利である。実施形態の有利な例では、カニューレまたは挿入長のほぼ3分の2の後にテーパリングが始まる。
【0008】
カニューレの好ましい挿入長は、ほぼ、20~50cm、好ましくは28~45cmである。これによって、その長さ次第で、いくつかの適用の変化型が可能になる。短い挿入長では、腎動脈の下の適用が可能になり、長い挿入長では、腎動脈の上または腎動脈での適用が可能になる。
【0009】
内径の縮小部次第で、口径の急激な変化が生じ、これは、例えば、2~4Frというデルタを示し得る。妥当な実施の例は、15Fr~13Fr、17Fr~15Fr、17Fr~13Fr、19Fr~17Fr、および19Fr~15Frである。
【0010】
カニューレの内径のこのような縮小によって、カニューレ先端部でのジェット流、短い挿入長、または内径の縮小部したカニューレ断面が生じる。
【0011】
カニューレの実施形態の有利な変化型によって、これが側方の穴を有し、縮小直径が、側方の穴とカニューレの先端部との間に配置されることが想定される。カニューレのそのような穴の配列を通じて、下肢の灌流は確実にされ、そして、後負荷は減らされる。
【0012】
側方の穴は、いくつかの穴が、そのカニューレの同じ横断面にあるように、カニューレの4つ全ての四分円にいずれが提供されてもよい。さらに、例えば、1~3個の穴のようないくつかの穴が、他の穴の後ろに一列で配列されてもよい。
【0013】
別の形態の実施形態では、2つの四分円(180°)または3つの四分円(120°)では、1~3つの穴が、いずれの場合も、他の後ろに配置された穴であることが想定される。しかし、各々が、他の後の穴の後ろの3つの穴のもの、または互いに関して90°でオフセットされる穴を有する、2つのエリアも設けられてもよい。
【0014】
特に穴と接続して、カニューレはバルブを有することが提唱される。このようなバルブは好ましくは、直径縮小のエリアに配置される。実施形態の好ましい例によれば、少なくとも1つおよび好ましくはいくつかのフラップを備える、バルブを有するカニューレが想定される。
【0015】
このようなバルブ機構は、例えば、3つの弁尖を有する大動脈弁の原理に基づく。好ましくは、バルブの基部は、口径の変化への移行に配置される。ポンプ加速の間にさらに強力な流れの結果として、バルブが開く。容積流量に対する相対的なフラップ開口の比は、フラップの位置決めおよびデザインを通じて設定され得る。
【0016】
実施形態の好ましい例によれば、バルブは、カニューレ先端部の開口とそのカニューレに配列された側方の穴との間に位置する。従って、灌流の部分流は、ほぼカニューレの中心を通ってカニューレ先端部へもたらされ、別の穴を通じた別の部分流が、カニューレの壁に整列した。側方の穴とカニューレ先端部との間に位置したバルブは、それによってこれらの部分流を変化し得る。狭くなったバルブでは、容積流量は、側方の穴で増大し、開放されたバルブでは、カニューレ先端部への容積流量が増大する。
【0017】
実施形態の好ましい例によって、そのバルブは、少なくとも1つのフラップ、および好ましくはいくつかのフラップを有することが想定される。これらのフラップをカニューレ内に配置して、カニューレ内のカニューレ先端部に対する側方浸透量を制限してもよい。これは、少なくとも1つのフラップがバネ機構を有する場合に有利である。このバネ機構は、バネを通じて達成されてもよいし、または材料の選択およびフラップのデザインを通じて達成されてもよい。
【0018】
このカニューレを用いる場合、カニューレを通じた低い側方浸透量の段階に、例えば、心臓の収縮期の間、バルブのバネ力は、カニューレを閉じるか、または側方浸透量を低下し得る。ここでは、容積流量の力は、バルブのバネ力に対して作用する。容積流量の力がバルブのバネ力より小さい場合、そのバルブは閉じる。側方の穴が存在する場合、これによって、血流が生じ、この血流は主に側方の穴を通じて差し向けられ、従って、例えば、下肢に供給される。これは、例えば、心原性ショックの間の心臓収縮期に生じる。なぜならこれは、下肢がそれを通じて血液をよりよく供給される、バルブを開放するには弱すぎるからである。側方の穴の配置次第で、腎動脈はまたこの状況でも供給されてもよい。
【0019】
バルブを閉じるための機構として、バルブを通じた流れが、容積流量の低下したフラップの材料剛性によって減少される、受動的機構が想定され得る。代替的に、または追加して、バネ機構が、バルブ弁尖の外側端部上に設けられてもよい。
【0020】
本発明のさらなる態様によって、その内側でカニューレは、少なくとも断面で、らせん形の構造を有することが想定される。このような構造を通じて、カニューレ内に流れる流体は、回転運動を獲得し得、それによって流れが安定化される。これは、カニューレの内側の任意の変化が安定な容積流量に影響する、特に、テーパリング、開口またはバルブと接続されて有利である。
【0021】
カニューレの内側のらせん形の構造は、例えば、カニューレ内の穴の空間配置を通じて達成されてもよい。しかし、代替的に、または追加して、ライフル銃身のらせんの原理によって、エンボス加工がカニューレの内側に提供されることが想定される。実施形態の第一の例によれば、この構造は、隆起の形態である。このため、例えば、容積の内側に凸状に貫く、らせん形の構造または多条ネジ構造が提供される。このような構造は、カニューレの内壁に組み込まれても、または適用されてもよい。そうするためには、凸面と凹面のカニューレエリアの間の混合型を提供してもよく、これは、カニューレの内壁に対する適用および除去、またはカニューレの全ての内側の対応する設計によって生成される。
【0022】
この構造は、全カニューレ長にまたがるか、またはカニューレ長の一部のみにまたがりカニューレ内に伸長し得る。例えば、流れの方向で、この構造は、カニューレで流れる媒体にそこで回転運動を与えるだけのためには、挿入長の最後の三分の一に設けられてもよい。
【0023】
らせん形の構造の傾斜は、関連する回転運動をもたらす。その構造の傾斜は、サイナスα(カニューレ長をカニューレ径で割る)として、または逆数値のサイナスαとして与えられ得る。これによって、傾斜=サイナスα(カニューレ長を径で割る)または傾斜=サイナスα(1をカニューレ長または径で割る)が得られる。
【0024】
特殊な変化型によって、その構造は、カニューレのワイヤ補強によって形成されることが想定される。カニューレ内で提供されるワイヤ補強は、らせんであってもよく、カニューレ内に対応するらせん構造を生じ、これがこのカニューレ内の回転運動をもたらす。
【0025】
本発明によるカニューレの実施形態の例は、図面で示され、下にさらに詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、テーパリングする細長い先端部を有するカニューレの側面図を示す。
図2図2は、円錐形の先端部を有するカニューレの側面図を示す。
図3図3は、その円周上にいくつかの穴を有するカニューレの側面図を示す。
図4図4は、円周上にお互いに対して穴配置のオフセットを有するカニューレの側面図を示す。
図5図5は、開放バルブの機能を、部分的に断面の側面で模式的に示す。
図6図6は、図5に示されるバルブの前面図を模式的に示す。
図7図7は、部分的に閉じたバルブの側面図を模式的に示す。
図8図8は、図7に示されるバルブの前面図を模式的に示す。
図9図9は、凸状のらせん形の隆起を有するバルブを通じた断面図を模式的に示す。
図10図10は、2つの反対側のらせん形の隆起を有するカニューレを通じた断面図を模式的に示す。
図11図11は、4つの凹面状に設計されたらせん形のくぼみを有するカニューレを通じた断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示されるカニューレ1は、円筒状基本体2、円筒状カニューレ先端部3、および、その間に、大きい方の直径を有する円筒状基本体2と、より小さい直径を有する円筒状先端部3との間の移行を形成する、凹面テーパリングを、直径縮小4として有する。テーパリング4の位置は、長さ5が、カニューレまたは挿入長の三分の二であるように選択される。
【0028】
図2は、カニューレ6の別の前端部を示し、ここでは、円錐形のテーパリング7が、カニューレ6の前端部を形成し、その結果カニューレ6は、長さ8を有する円錐形のカニューレ先端部を有する。
【0029】
穴9、10は、カニューレ内に、および好ましくは、より大きい直径を有するカニューレの基本体2中に設けられてもよい。図3は、カニューレの長軸方向で90°で各々オフセットの穴の配置を示す。実施形態のこの例では、従って、お互いに対して、わずかにオフセットの穴の4つの列11、12があり、その各々が3つの穴、13~15、16~18および19~21を有する。
【0030】
図4に示される実施形態の例では、全体の列22、23、24が各々、お互いに対してオフセットで配列される。実施形態のこの例では、各々の列は、3つの穴を有する。しかし、2つ以上の穴もまた設けられてもよい。
【0031】
図5~8に示されるバルブでは、3つのバルブ弁尖34、35、36が、大きい方の直径を有するカニューレ断面32と、より小さい直径を有するカニューレ断面33との間のテーパリングするエリア31で設けられ、これはテーパリングエリア31内のカニューレの内壁に付けられる。これらのバルブ弁尖34~36は、容積流量37によって開口され、その結果開口38が生じて、これを通じて、流体が、カニューレ断面32からカニューレ断面33に流れ得る。
【0032】
図7および図8に示されるような、容積流量37の圧力が、低下する場合、バルブ弁尖34~36は、それらの材料剛性によって内向きに強制され、その結果、開口部38は閉じて、ここでバルブ弁尖34~36が、お互いとポイント39で接触して、側方浸透量を妨げるか、または停止する。
【0033】
カニューレ内に回転運動を与えるための種々の変化型を図9図11に示す。これらは、カニューレ内に回転運動を与える可能性を示すための実施形態の変化型を模式的に示すに過ぎない。図9は、カニューレ内にらせん方式で伸展する、半径方向内側に出っ張る隆起41を有するカニューレ40を示す。二条ネジの形態の実施形態を図10に示す。ここで、第一の隆起43および隆起43の反対側の第二の隆起44が、カニューレ42中に設けられる。両方の隆起とも、カニューレ42内で形成される二条ネジらせんの一部を形成する。
【0034】
図11では、4つの凹部の例を用いて、回転運動が、カニューレ49内の凹部45~48の手段で、カニューレ中で運ばれる流体にどのように与えられ得るかが示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11