(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】流体流制御弁と流れ制御装置とそれを用いる方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/24 20060101AFI20230911BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20230911BHJP
F16K 15/04 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A61M39/24 100
A61M5/14
F16K15/04 D
(21)【出願番号】P 2021078558
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019110242の分割
【原出願日】2016-06-08
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2015-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515298235
【氏名又は名称】イネイブル インジェクションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンキ-ジャコブス,アダム
(72)【発明者】
【氏名】シュテファンチック,デイヴィッド
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0099084(US,A1)
【文献】実開昭50-144319(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/24
A61M 5/14
F16K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ制御弁による
移送装置からの流体流の制御方法であって、
前記流れ制御弁は、
前記流れ制御弁を通る流体の流路として機能する弁空間を規定する弁ハウジングと、
流体流内腔を内部に含む弾性の弁体と、
前記流体流内腔内に位置する剛性の弁部材と、
前記流体流内腔内において前記弁部材と前記流体流内腔の入口との間に配置される環状の弁座を備え、
前記剛性の弁部材は、前記弁体が膨張していない状態において、前記流体流内腔の表面に接触してそこを通過する流れを遮断するように、前記流体流内腔よりも大きい大きさであり、
前記制御方法は、
前記流体流内腔を通過する流体流を許容するように、弾性の前記弁体が、前記流体流内腔の表面が前記弁部材から離れる位置に向かって屈曲するように、
前記移送装置が前記流体流内腔の入口を通して前記流体流内腔内に十分な上流圧
を適用
することと、
弾性の前記弁体が前記弁部材に接触することを許容するように、
前記移送装置が前記上流圧
を低減
することと、
前記流体流内腔の表面と前記弁部材との間に封止接触を与えるように補助するために、前記弁空間内に曝された弾性の前記弁体の外表面と下流の流体とが加圧下で接触することと、
前記流体流内腔を通る流体流に対してさらなる封止を与えるために、前記弁空間内に曝された前記弁部材の表面と下流の流体とが加圧下で接触することを含む、流体流の制御方法。
【請求項2】
前記弁空間は入口と出口を有し、
前記流体流内腔は前記弁空間内において前記弁空間の入口と前記弁空間の出口との間に配置されて全体的に円筒状の形状であり、
前記弁部材は全体的に球状の形状であり、
前記弁体と前記弁部材とはそれぞれ前記弁体に力が加えられていない状態において前記弁部材と前記弁体との間に環状の接触を与えるように前記弁部材の断面積が前記流体流内腔よりも大きい大きさにされ、前記環状の接触は前記弁空間の入口からの流体圧がなければ前記流体流内腔を通る流体流を実質的に遮断し、
弾性のある前記弁体の弾性は、前記弁部材と流体流内腔表面とが接触して流れを遮断する通常の閉鎖位置と、前記弁
体が離間位置に向かって屈曲してそれらの間の流体流を許容する前記弁空間の入口からの流体圧に応じた開放位置との間で屈曲を許容する、請求項1に記載の流体流の制御方法。
【請求項3】
前記弁体は、基礎部と、前記基礎部から延びる中空のスリーブとを含み、前記スリーブの内部は前記流体流内腔を規定し、前記スリーブの一端と連通する前記基礎部内の流体流内腔を含み、前記スリーブの他端は開放されて前記弁空間の出口と連通しており、前記弁部材は前記スリーブ内に配置されている、請求項2に記載の流体流の制御方法。
【請求項4】
前記制御弁は前記弁空間の入口に隣接する流体吸収部材をさらに備える、請求項2または請求項3に記載の流体流の制御方法。
【請求項5】
前記環状の弁座は、放射状の肩部を備える、請求項1に記載の流体流の制御方法。
【請求項6】
前記弁体はシリコーンによって形成されている、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の流体流の制御方法。
【請求項7】
前記スリーブは、40以上のショアA硬度を有するゴム状材料によって形成されている、請求項3に記載の流体流の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、一般的には流れ制御弁に関し、より特定的には、医療用流体移送および/またはそのような弁を用いる医療用流体の注射装置に関する。
【0002】
近年、治療および/または診断目的のための薬、抗生物質、ワクチン、生物製剤と他の薬剤のような医療用流体の新しい、および/または、改良された移送、再構成および/または注射装置の発展において、開発の努力が続けられている。そのような開発の1つの例は、ここに参照として組み込まれる、アメリカ合衆国オハイオ州、フランクリンのイネイブル インジェクションズ エルエルシーによるPCT国際公開WO2014/204894A2において見出され得る。この国際公開は、医療用流体の注射装置と、注射のための医療用流体の流体移送、混合、希釈および/または再構成のための関連するシステムまたは装置を開示している。この注射装置は、移送装置からの医療用流体が充填されると膨らむ、弾力のある風船または袋の形態の内部貯留部を備える。注射装置は、充填後、移送装置から取り外され得、患者の肌上に置かれ得、起動され得る。起動に際して、注射針が装置から患者の肌の内部に前進し、膨張した弾力のある貯留部によって加えられる固有の圧力が、医療用流体を、針を通して患者の中に押出す。この注射装置と機能的に類似する他の装置は、医療用流体の流れを制御するために、逆止弁または一方向弁のような、流れ制御弁を使用し得る。
【0003】
流れ制御弁は、一般的に、多種多様な技術的な設計と、様々な構成が知られているが、限定ではないが、上述のPCT出願において見られるような、医療用流体の移送および/または注射装置における使用に特に適した弁を含む、新しい弁の設計と発展の必要性が継続している。弁の1つの公知の形態は、可撓性の管内に、そこを通る流れを制御するための球を備えるものである。これらの例は、米国特許第605,693号、第2,314,767号、第6,923,785号と、米国出願公開第2006/0163506号と、英国特許出願GB2,091,853(A)と、欧州特許出願EP0800032(A1)において確認される。
【発明の概要】
【0004】
本主題は、そのような弁を備える新規な流れ制御弁と注射装置および/または移送、混合または再構成装置と、それらの使用方法を対象とする。以下の非限定的な要約は、一般的に読者に本主題の様々な潜在的な局面を知らせるためのものであり、そのような装置または方法において見られる様々なあり得る局面または局面の組合せに関して非排他的である。本主題のさらなる局面は、特許請求の範囲および/または図面を伴って、以下に詳細な記述において見出され得る。
【0005】
本主題の1つの局面に従えば、流体流制御弁は、入口と出口を有し、弁空間を規定する弁ハウジングを含む。流体流内腔を有する弁体と、流体流内腔内に位置する弁部材は、弁空間内に配置され、入口と出口の間の流れを制御する。弁体は弾性であり、弁体と弁部材は、弁部材と弁体の間に、入口からの流体圧が無ければ流体流内腔を通る流体流を実質的に塞ぐ環状の接触ができるように、それぞれ、弁体と弁部材が実質的に圧力を受けていない状態では弁部材の断面積が流体流内腔よりも大きい大きさにされている。弾力のある弁体の弾性は、弁部材と流体内腔表面が接触して流れを遮断する通常の閉鎖位置と、弁体と弁部材の間の流体流を許容するように弁体が屈曲する、入口からの流体圧に応じた開放位置の間の動きを許容する。弁体は、少なくとも部分的に弁部材と出口との間の流体からの圧力に曝される外表面を含む。これは、下流の流体の圧力が弁体を押して、弁部材に対する封止接触を生じさせることを許容する。
【0006】
本主題の別の局面に従えば、医療用流体の注射または移送の装置は、ハウジングと、医療用流体を受容するハウジング内の貯留部と、医療用流体を源から受容するためのハウジング内の入口ポートと、入口ポートと貯留部との間を連通するハウジング内の流体流路とを備え得る。流体流路は、弁体内を通る流体流内腔を含む弁体と、流体流内腔内に位置する弁部材とを含む一方向弁を含む。弁体と弁部材の少なくとも1つは弾性であり、それぞれ、入口からの流体圧が無く流体流内腔を通る流体流を遮断するために弁部材と流体内腔の表面が十分に環状に接触している通常の閉鎖位置と、弁体と弁部材の少なくとも1つが屈曲して、それらの間の流体流を許容する離間した位置になる、入口ポートからの流体圧に応じた開放位置との間の動きのための大きさにされている。
【0007】
本主題の別の局面に従えば、医療用流体の注射装置は、注射装置ハウジングと、医療用流体を受容するためのハウジング内の弾性で膨張可能な貯留部と、ハウジングによって担持される注射針と、注射針と貯留部との間を連通するための注射流路と、圧力下において源からの医療用流体を受容するためのハウジング内のポートと、医療用流体を貯留部内に導入するための入口ポートと貯留部との間を連通するハウジング内の入口流体流路とを備える。入口流体流路は、入口ポートから貯留部内への流体流を許容し、貯留部から入口ポートへの流体流を妨げるための一方向弁を含む。一方向弁は、内部に入口流路が延びる実質的に弾性のスリーブ部を含む弁体と、入口流路の一方端に入る流体流のための弁入口と、入口流路の他方端からの流体流のための弁出口とを含む。実質的に剛性の弁部材は、弁入口と弁出口の間において、弾性のスリーブ部の入口流路内に位置する。弁部材は、スリーブが通常、弁部材に接触して、貯留部から入口ポートへの弁体を通る流体流を遮断するように、実質的に偏向されていない状態において、断面積の大きさが入口流路よりも大きい大きさである。スリーブは弾性で、入口ポートからの流体圧下において膨張可能であり、流体流を入口ポートから貯留部へ向かわせる。
【0008】
さらに別に局面においては、医療用流体流制御装置は、ハウジングと、ハウジング内の弾性で膨張可能な貯留部と、源からの医療用流体を受容するためのハウジング内の入口ポートと、ハウジングからの流体の流れのためのハウジング内の出口ポートと、入口ポートと貯留部と間と貯留部と出口ポートとの間の流体流路とを備える。入口ポートと貯留部の間の流体流路は、入口ポートから貯留部内への流体流を許容し、貯留部から入口ポートへの流体流を妨げるための通常閉鎖されている一方向弁を含む。この局面においては、弁は、貯留部から入口ポートへの流れを妨げるのを助ける2つの座または封止域を有し得る。一方向弁は弁体を含む。弁体は、流体流内腔を内部に規定する、弾性の中空のスリーブ部と、入口ポートから流体流内腔の一方端内への流体流のための弁体入口と、流体流内腔の他方端から貯留部内への流体流のための弁体出口とを含む。実質的に別個の剛性の弁部材は、弾性のスリーブ部の内腔の内部に位置し、スリーブが偏向されていない状態で弁部材が弾性のスリーブの内腔よりも大きい大きさであり、それによって、スリーブ部は通常、弁部材とスリーブとの間に環状の第1の封止を与え、貯留部から入口ポートへの流体流内腔を通る流れを遮断するために、環状に内側に、弁部材の外表面に対して力を及ぼす。スリーブは、弁と貯留部の間において流体流路と流体連通にある外表面を有し、弾性で、入口ポートからの十分な流体圧下において弁体と弁部材との間と弾性の貯留部内への流体流を許容するように膨張可能である。弁体はさらに、内腔内において弁部材と弁体入口との間に環状の弁座を規定する。弁座は、通常、閉鎖状態において、貯留部からの流体流に対してさらなる封止を与えるために弁部材によって接触される。弁部材は、弁座と弁部材の間において流体流内腔を通る流体流を許容するように、入口ポートからの流体圧下において弁座から離れるように移動可能である。
【0009】
本主題のこれらと他の局面は以下の詳細な記載によって、また、図面を伴って、述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示に従った流れ制御弁を備える、外側の包装内の移送装置と注射装置の組合せまたはアセンブリの斜視図である。
【0011】
【
図2】
図1の組合せの側面図であり、構造をよりよく示すために外側の包装が取り除かれ、注射装置と移送装置の部分が断面図で示されている。
【0012】
【
図3】
図1の注射装置の特定の部分の展開斜視図である。
【0013】
【
図4】
図1に示す注射装置と移送装置の一部の垂直断面図である。
【0014】
【0015】
【
図6A】
図1に例示された注射および/または移送装置において使用され得る弁体と弁部材の1つの実施形態の斜視図である。
【0016】
【
図6B】
図6Aに示される弁体と弁部材の実施形態の別の角度から見た斜視図である。
【0017】
【0018】
【0019】
【
図7C】
図7Aの弁体の7C-7C線に沿って見た断面図である。
【0020】
【0021】
【
図9】注射または移送装置の特定の部分が除去され、注射装置が充填された後、患者への適用前に弁に及ぶ流体の力が模式的に示された、
図8Aと同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
説明の目的のために、非限定的に図示されているように、
図1は斜視図において、全体として10によって、本主題に従った、組み合わされた医療用流体移送および注射装置を示す。組合わされた移送および注射装置10は、移送装置またはアセンブリ12と、注射装置またはアセンブリ14を含む。この組合せは、1度の使用のみを意図しており、輸送および/または保管のための例示的な外側容器または包装16内に描かれている。
【0023】
移送装置12の図示された実施形態は、標準のシリンジのような流体源から注射装置14への医療流体の移送を許容し、それは、限定ではなく、薬、構成物質、化学療法または類似の剤、生物または他の薬剤を含む、診断または治療目的のためのような注射可能な流体であり得る。移送装置は、シリンジ受容ステーションまたはくぼみ20と、注射装置受容ステーションまたはくぼみ22を有するプラスチックのトレイ18を含む。図示された注射装置のくぼみは、全体的に延ばされた、楕円形の形状を有し、必要な時に使用者が注射装置を握って取り外すのを許容する。特定の注射装置14は、ここに記述するように、注射装置の流体源からの流体の流れを制御するための新規な弁構造を備えることを除いて、参照として組み込まれる上述のPCT出願の公開において開示されているように実質的に図示されている。
【0024】
図2は、包装16とトレイ18が取り外された、様々な内部の局面を明確に示すために特定の部分が断面である、移送および注射装置または組合せ10の側面図である。
図2に見られるように、移送装置は、シリンジのような流体源への接続のための第1の接続部またはポート24と、注射装置14との協働のための第2の接続ポートまたは嵌合部材26と、それらの間を接続する流体流路28とを含む。第1の接続部24は、上部シリンジ受容部とともに断面が図示され、シリンジ型の流体源の典型的な雄ルアー端を受容するための雌ルアーポート30を図示している。第1の接続部は、図示されていない内部の通路を有し、それはルアーポート30から流路28まで延びる。流体流路28は、可撓性のプラスチック管、剛性の予め形成された流路または他のいかなる適切な構造でもあり得る。ここで使用される「上部」「下部」「上方」「下方」と類似の語は、様々な構成間の相対的な位置関係を示すに過ぎず、方向の限定を加えることを意図しない。
【0025】
第2の接続部26は、トレイ18内において注射装置受容ステーションまたはくぼみ22の下に位置する。流体流路28は、第2の接続部の入口ポート32に接続され、第2の接続部の内部流路34は入口ポート32から出口ポート36に延びる。任意で、内部流路は、医療用流体中の気泡を周辺雰囲気中に発散させるが液体がフィルタを通過することを妨げる接続通気孔40を覆う疎水性の膜38のような疎水性のフィルタと、膜42のような、粒子または他の所望されない物質を流体から除去するために流体が通過しなければならない別のフィルタを含む。膜48は、いかなる適切な孔の大きさも有し得、いかなる気泡の通過も遮断するために親水性である。約150~170μmの平均孔径を有する膜42が適切であり得る。図示された実施形態では、内部流路34は、相対的に薄くて広い空洞または領域44を通って延びる。空洞の一方側は疎水性膜38を通して接続壁の気体通気開口40と連通する。空洞の他方の側では、膜42が第2の接続出口ポート36を覆って延びる。空洞の相対的に薄い高さは、いかなる入り込んだ気泡と疎水性膜との接触も促進し、一方、相対的に大きな空洞幅は、空洞を通過する流体流にとって大きな断面積を与える。
【0026】
第2の接続部26は、注射装置の下側の支持を助けるために、直立した支持部材46を含む。第2の接続部の出口ポート36もまた、注射装置の下側に向かって、上方に延びる。剛性の流体移送管48は、以下により詳細に記載されるように、注射装置14の入口ポート内への挿入のために出口ポート36から延びる。移送管は、いかなる所望の材料によっても形成され得るが、好ましくは、ステンレス鋼のような、剛性のプラスチックまたは金属である。
【0027】
注射装置14は、先に述べたように、ここに参照として組み込まれる、アメリカ合衆国オハイオ州フランクリンのイネイブル インジェクションズ エルエルシーによるPCT公開WO2014/204894A2記載される。注射装置は、1度の使用のみ意図され、好ましくは、装置は患者によって着けられ、患者への大量注射のためのものである。注射装置は、流体貯留部、好ましくは弾性であり、弓状の弾性袋52のような膨張可能な貯留部を含むハウジング50を有する。注射装置のハウジングは、流体移送管48と、入口ポートと貯留部との間に延びる、全体として56で示される流体流路を受容するための流体入口ポート54を有する。本記載に従えば、全体として58で示される一方向流れ制御弁は、入口ポートと貯留部との間の流体流を制御するために流体流路内に配置され、医療用流体を入口ポートから貯留部に流し、貯留部から入口ポートへの流体流を実質的に妨げる。
【0028】
図3においておそらくよりよく見られるように、流体流路56は入口ポート54からマニフォルド60内に延びる。図示されたマニフォルドは全体的にV字型であり、弁ハウジング62をV字型のマニフォルドの頂点に有し、袋取付部材64がV字型のマニフォルドの1つの足上にあり、針ハウジング66がV字型のマニフォルドの他方の足上にある。流体流路56は弁ハウジングにおいて弁ハウジング62と分岐内に延び、弁ハウジングからV字型のマニフォルドのそれぞれの足に沿って延びる。これは、袋取付部材64を通って延びる流体流路分岐56aと、針ハウジング66に延びる流体流路分岐56bとを示す
図4,5においてよりよく見られる。
【0029】
図5に関して、袋取付部材64は、弓状の弾性袋52の開口端内に延びる。袋の開口端は、取付部材の周囲においてスロット70内にある、袋壁72を取付部材の表面に対して留める、円周状のOリング68によって取付部材に固定されている。流体流路56aは袋内に入り、
図5は、充填後に膨らんだ弾性の袋を示す。充填されると、膨張した弾性の袋は、本来的に、内部に収容されている液体に圧力を及ぼし、後に注射装置が起動されると、流体を注射針100(
図4)を通して吐き出す輸送力を与える。以下に記載される流れ制御弁58は、医療用流体源(例えばシリンジ)からの圧力下で袋を充填させ、袋に充填された加圧された流体が入口ポート54から逃げることを妨げる。
【0030】
図2,3,8においてよりよく見られるように、流れ制御弁58は、弁体70と弁部材72とを含む。流体流内腔74は、弁体を通って延び、弁部材は流体流内腔内に位置する。弁体と弁部材の少なくとも1つは弾性であり、弁体と弁部材が力を緩められている、または、力を加えられていない状態で、それぞれ、弁部材72の断面積が流体流内腔74よりも大きい大きさにされている。この大きさの関係は、入口ポートからの流体圧がなければ流体流内腔を通る流体流を実質的に遮断する、環状封止帯、ゾーン、または、弁体と弁部材との間の局地的ストレス領域と呼ばれ得るものを形成し、弁部材と弁体流体流内腔の表面との強い環状の接触を生じさせる。弁部材および/または弁体の弾性は、弁部材と流体内腔表面とが接触して流れを遮断する通常の閉鎖位置と、流体流を許容するように弁体と弁部材の少なくとも1つが離間位置に向かって屈曲する、入口ポートからの流体圧力に応じた開放位置との間の弁体および/または弁部材の動きまたは弾性的な屈曲を許容する。
【0031】
弁体の1つの実施又は変形例は例えば
図6~9の拡大図に見られる。ここに示すように、図示された弁体は基礎部76と、基礎部から上方に延びる中空の管部またはスリーブ78を含む。流体流内腔74は基礎部と中空の管部またはスリーブを通って延びる。弁体はいかなる適切な材料によっても形成され得る。図示された変形例では、弁体は、弾性であり、弾性の高分子、より好ましくはシリコーン材料のようなゴム状の材質によって形成されている。弁体の材料は、選択された可撓性であり得、1つの変形例は、約40以上のショアA硬度を有し得る。基礎を通る流体流内腔は、移送装置の流体流移送管48を堅く、密閉状態で受容する大きさにされている。
【0032】
図6Bを参照して、基礎部76の下側は、任意の流体吸収部材82を受容するために、任意で、内腔74の入口周辺にくぼみ域80を有する。流体吸収部材は、いかなる適切な材料、大きさ、形状であってもよく、1つの実施形態においては、基礎部内の内腔の開口と流体移送管に隣接するように、くぼみ域80内で弁体の下側に固定されるセルロースディスクである。吸収部材は、注射装置が移送装置から取り外され、流体移送管が弁体から引き出される時に、内腔74から逃げ得る流体のいかなる小さな残りでも、吸収または毛細管作用で運ぶ。
【0033】
弁体70と弁部材72の一方または両方が弾性であり得るが、図示された実施形態においては、弁体は弾性であり、弁部材は剛性である。この実施形態では、弁部材は球状の形状であり、管部またはスリーブ78内の流体流内腔74の壁との封止接触のために滑らかな外表面を有している。ステンレス鋼は弁部材にとって適切な材料の1つであり、剛性のプラスチックもまた適切であり得る。弁部材と弁ハウジングの相対的な大きさは、管部によって弁部材に及ぼされる環状の封止圧力と、したがって弁を開放するために要求される圧力の量に影響する、弁部材が流体流内腔74内に位置する時に弁体の管部内で誘起される張力を制御するために選択され得る。
【0034】
上記の流体制御弁58の環状の封止を開放するために要求される圧力の1つの見積もりは、以下の数式によって与えられる。
P=4πEt(D-d)/d
ここで、
Eは、弁体70の材料にとっての弾性係数
dは、力が緩められた、力が加えられていない状態における、管部またはスリーブ78の内径
Dは、球状の弁部材72の外径
tは、管部またはスリーブ78の壁の厚み
Pは、弁を開放するための内圧
である。
【0035】
1つの特定の、しかし非限定的な例では、シリコーン弁体の管部は、ショアAデュロメータで約40の硬度を有し、厚みが約0.011インチ(0.2mm)の管部の壁と、力が加えられていない状態で内径が約0.108インチ(2.8mm)の流体流内腔を有し、球状の弁部材は約0.118インチ(3mm)の外径を有する。
【0036】
別個の弁部材72の選択肢として、弁ハウジング62は、弁体の管部78の開口端の内部に延び、別個の球状の弁部材72と機能において同様に、環状の封止帯をそれらの間に与えるように管部を伸ばすための大きさ(例えば、球状の部材と同様の形状に膨らんだ部分)にされている空洞拡張部を含み得る。この選択肢は、例えば、別個のステンレス鋼の弁部材の使用と比較して、潜在的に費用を抑え得、組み立てを簡単にし得る。
【0037】
図8A,8Bに向かうと、拡大された詳細が示されているのは、流れ制御弁58、弁ハウジング62、流体移送管48、そして流体流路分岐56a,56bである。弁ハウジングは、この実施形態では流体流路56の一部を形成する内部弁空間84を規定する。流れ制御弁は弁空間の内部に位置し、基礎部76は弁ハウジングと注射装置ハウジング50の底壁86との間に固定されて、弁体の管部またはスリーブが弁空間内で上方に延びている。任意の吸収部材82は、弁体基礎内の下部のくぼみ80内に位置し、弁体と、底壁86の内表面との間に配置されている。したがって、吸収部材は、底壁の厚みによって、患者の肌との接触から離されている。
【0038】
図8Aは、注射装置内の閉鎖位置の流れ制御弁58を図示する。弁は、弾性の袋52の医療用流体の充填前と充填後のいずれも全体的にこの位置にあるが、充填中はそうではない。この実施形態では、上述のように、球状の弁部材72が弁体70の管部78の内径よりも大きい。弾性のスリーブ内に誘起される張力は、管部内の内腔74表面に、上述のように弁部材の環状表面に対して封止させる。
【0039】
図8Aはまた、本主題の追加の、任意の局面を示す。任意の追加の、または補充的な封止は、充填後、医療用流体が貯留部から入口ポート54に漏れないことをより確実にするために、流れ制御弁58内に与えられ得る。より具体的には、弁体70は、閉鎖位置において弁部材と係合する、追加の内部環状弁座を有し得る。そのような弁座の一例は、基礎部76と管部78との間に位置する環状の放射状の肩88の形で、
図8Aに図示されている。この実施形態では、球状の弁部材もまた、弁の閉鎖位置では内部の肩88に接触し、貯留部からの漏れに追加の抵抗を与える。
【0040】
図から視認されるように、流れ制御弁のこの実施では、弁空間84は、弁体70の管部78より大きく、流路56内の流体は弁体の外表面の少なくとも一部の周囲を流れ得る。これは、医療用流体が貯留部から分岐56aを通って、弁空間84を通って、分岐56b内を注射針へと流れることを許容する。このことはまた、
図9に関連して以下に詳述されるように、弁部材と弁体との間の封止に寄与する。
【0041】
図8Bは、貯留部の充填の間の流れ制御弁58の図である。医療用流体は、加圧下で、シリンジのような流体源から、流体移送管48内と弁体70内の流体流内腔74内に流れる。流体の圧力は弁部材72を(もし任意で備えられれば)環状の肩88から離すように持ち上げ、弾性の管部78を放射状に外側に屈曲させ、弁部材と流体流内腔74の表面との間に空間を与え、流体に、流体移送管から分岐56aを通って貯留部内に流れさせる。注射装置が起動される前は、注射針内腔は流路分岐56bに開放されておらず、そのため、注射装置に流れる流体は大部分が貯留部内に流れることに留意されるべきである。弁空間は、流入する流体によって弁部材72が弁体70の管部78の開口端から押し出され得ないように、大きさが決められているか、耐える。充填が完了し、流体源(例えばシリンジ)からの弁に対する圧力が開放圧力よりも少なくなると、弁は自動的に、本体的に、閉鎖位置に戻る。充填された貯留部の圧力は、注射装置が最終的に起動された時に医療用流体に注射針を通して押出すのに十分であるが、弁を開放するのには十分に大きくない。医療用流体は、注射装置が必要とされるまで、貯留部に保持され、流れ制御弁は入口ポート54への漏れを防ぐ。
【0042】
注射装置14が移送装置12から取り外されると、流体移送管48が弁体70の基礎から引き出される。非常に少ない量の流体が弁部材の下に存在し得、もしそうであれば、この流体は、流体入口ポート54に隣接して注射装置ハウジング50の底壁86の厚みによって患者の肌との直接の接触から離されている吸収部材82によって吸収される。
【0043】
図9は、注射装置が充填された後、患者への注射のために起動される前に、流れ制御弁58に作用する力を模式的に図示する。使用のこの時点では、膨張した弾性の貯留部は、排出圧力Peを貯留部内と、弁空間44を含む流体流路56内の医療用流体に及ぼす。医療用流体源はもはやいかなる充填圧力も及ぼさないので、流体入口ポートにおける圧力は大気圧であると仮定される。示されるように、弁空間は弁体の管部よりも大きいので、医療用流体圧Peは管部の外表面に対して及ぼされ、曝された弁部材72の上部表面に対して及ぼされる。弾性の管部78の外側に対する圧力は、弁部材72の表面に対する内腔74の表面に押し進む管部の固有の弾性力に加わり、それらの間の封止を強める。また、弁体の肩88のような、任意で内部弁座に対する弁部材の第2の封止を有する弁にとって、弁部材の曝された表面対して及ぼされた流体圧Peは、弁部材を弁座に対して、それらの間の第2の封止を強めるように、押すことを助ける。
【0044】
注射装置が起動され、注射針が患者の肌の内部に展開されると、注射針の入口ポートは流路分岐56bに開放され、貯留部圧力Peが流体を貯留部から針を通って患者の内部に放出する。
【0045】
さらなる局面
上述の記載を限定することなく、または、逸脱することなく、本主題のさらなる特徴、実施形態、または局面は、以下を含む。
【0046】
局面1.入口と出口とを有する弁空間を規定する弁ハウジングと、弁空間内において入口と出口との間に配置されて流体流内腔を有する弁体と、弁体の流体流内腔内に位置する弁部材とを含み、弁体は弾性であり、弁体と弁部材とはそれぞれ弁体に力が加えられていない状態において弁部材と弁体との間に環状の接触を与えるように弁部材の断面積が流体流内腔よりも大きい大きさにされ、環状の接触は入口からの流体圧がなければ流体流内腔を通る流体流を実質的に遮断し、弾性のある弁体の弾性は、弁部材と流体内腔表面とが接触して流れを遮断する通常の閉鎖位置と、弁体と弁部材の少なくとも1つが離間位置に向かって屈曲してそれらの間の流体流を許容する入口からの流体圧に応じた開放位置との間で屈曲を許容し、そして、弁体は、弁体と弁部材との間の封止接触を強めるために少なくとも部分的に弁体の下流の流体からの圧力に曝される外表面を含む、流体流制御弁。
【0047】
局面2.弁体は、ハウジングによって担持される基礎部と、基礎部から延びる中空のスリーブとを含み、スリーブの内部は流体流内腔を規定し、スリーブの一端と流体入口ポートと連通する基礎部内の流体オリフィスを含み、スリーブの他端は開放されて出口と連通しており、弁部材はスリーブ内に配置されている、局面1に記載の流体流制御弁。
【0048】
局面3.弁空間の入口に隣接する流体吸収部材をさらに備える、局面1または2に記載の流体流制御弁。
【0049】
局面4.弁体は、内腔を通過する流体に対してさらなる封止を与えるための弁部材による係合のために、流体流内腔内において弁部材と前記入口との間に環状の弁座を含む、局面1~3のいずれか1つに記載の流体流制御弁。
【0050】
局面5.環状の弁座は、放射状の肩部を備える、局面4に記載の流体流制御弁。
【0051】
局面6.弁体はシリコーンによって形成されている、局面1~5のいずれか1つに記載の流体流制御弁。
【0052】
局面7.弁部材は全体的に球状の形状であり、スリーブ内の流体流内腔は全体的に円筒状の形状である、局面2~6のいずれか1つに記載の流体流制御弁。
【0053】
局面8.スリーブは、約40以上のショアA硬度を有するゴム状材料によって形成されている、局面1~7のいずれか1つに記載の流体流制御弁。
【0054】
局面9.ハウジングと、医療用流体を受容するためのハウジング内の貯留部と、医療用流体を源から受容するためのハウジング内の入口ポートと、入口ポートと貯留部との間を連通するハウジング内の流体流路とを備え、流体流路は一方向弁を含み、一方向弁は、弁体を通る流体流内腔を含む弁体と、流体流内腔内に位置する弁部材と、そして、弁体と弁部材の少なくとも1つは弾性であり、それぞれ、入口ポートからの流体圧がなければ流体流内腔を通る流体流を遮断するために弁部材と流体内腔表面が十分に環状接触状態である通常の閉鎖位置と、弁体と弁部材との少なくとも1つがそれらの間の流体流を許容するように離間位置に向かって屈曲する、入口ポートからの流体圧に応じた開放位置との間の動きのための大きさにされている、医療用流体注射または移送装置。
【0055】
局面10.弁体は弾性である、局面9に記載の注射または移送装置。
【0056】
局面11.弁部材は弾性である、局面9または10に記載の注射または移送装置。
【0057】
局面12.貯留部は、膨張可能な弾性の風船を備える、局面9~11のいずれか1つに記載の注射または移送装置。
【0058】
局面13.弁体は、ハウジングによって担持される基礎部と、基礎部から延びる中空のスリーブとを含み、スリーブの内部は前記流体流内腔を規定し、基礎部においてスリーブの一端と流体入口ポートと連通する流体オリフィスを含み、スリーブの他端は開放されて貯留部と連通し、弁部材はスリーブ内に配置されている、局面9~12のいずれか1つに記載の注射または移送装置。
【0059】
局面14.オリフィスに隣接する流体吸収部材をさらに備える、局面9~13のいずれか1つに記載の注射または移送装置。
【0060】
局面15.スリーブは、貯留部と流体連通にある外表面を有する、局面9~14のいずれか1つに記載の注射または移送装置。
【0061】
局面16.弁体を含む弁体空間を規定する流体流マニフォルドをさらに備え、弁部材は流体流内腔内に延びるマニフォルドの一部によって規定される、局面9~15のいずれか1つに記載の注射または移送装置。
【0062】
局面17.弁体は、貯留部から入口ポートに向かう流体流に対する第2の封止を与える弁部材による係合のために、流体流内腔において弁部材と入口ポートとの間に環状の弁座を含む、局面9~16のいずれか1つに記載の注射または移送装置。
【0063】
局面18.弁部材と弁内腔は、偏向していない状態では弁部材が弁内腔より大きな断面積を有し、弁部材と弁内腔との間に通常は弁内腔を通過する流体流を妨げる弾性の接触を有する大きさにされている、局面9~17に記載の注射または移送装置。
【0064】
局面19.注射装置ハウジングと、医療用流体を受容するためのハウジング内の弾性で膨張可能な貯留部と、ハウジングによって担持される注射針と、注射針と貯留部との間を連通するための注射流路と、加圧下で医療用流体を源から受容するためのハウジング内のポートと、医療用流体を貯留部内に導入するために入口ポートと貯留部との間を連通するハウジング内の入口流体流路とを備え、入口流体流路は、入口ポートから貯留部内への流体流を許容し、貯留部から入口ポートへの流体流を妨げるための一方向弁を含み、一方向弁は、入口流路が中を通って延びる実質的に弾性のスリーブ部と、入口流路の一端内への流体流のための弁入口と、入口流路の他端からの流体流のための弁出口とを含む弁体と、弁入口と弁出口の間で弾性のスリーブ部の入口流路内に位置する実質的に剛性の弁部材とを含み、弁部材は、偏向されていない状態において、スリーブが通常、弁部材に接触して、貯留部から入口ポートへの弁体を通る流体流を遮断するように入口流路よりも大きい断面積を有する大きさであり、スリーブは、弁体と弁部材との間の流体流を許容するために入口ポートからの流体圧下で弾性的に膨張可能である、医療用流体注射装置。
【0065】
局面20.弁体は、貯留部からの流体圧がスリーブ部の外表面に対して及ぼされるように入口流体流路内に位置する、局面19に記載の注射装置。
【0066】
局面21.弁体は、入口ポートに向かって貯留部を通る流体流に対してさらなる封止を与える、流体を遮断する状態において弁部材が接触する内部弁座を含む、局面19または20に記載の注射装置。
【0067】
局面22.弁体は、ハウジングによって担持され、流体流路と連通する流体入口を含む基礎部を含む、局面19~21のいずれか1つに記載の注射装置。
【0068】
局面23.流体入口を通って延びる充填部材をさらに備える、局面19~22のいずれか1つに記載の注射装置。
【0069】
局面24.充填部材の引き出しに際して入口からの液体を吸収するために入口に隣接した流体吸収部材をさらに備える、局面23に記載の注射装置。
【0070】
局面25.弁部材は全体的に球状の形状であり、スリーブ内の流体流路は全体的に円筒状の形状である、局面19~24のいずれか1つに記載の注射装置。
【0071】
局面26.スリーブは、約40以上のショアA硬度を有するゴム状材料によって形成されている、局面19~25のいずれか1つに記載の注射装置。
【0072】
局面27.弁体を受容する弁体空間を規定する流体流マニフォルドをさらに備え、弁部材はスリーブ内に延びるマニフォルドの一部によって規定される、局面19~26のいずれか1つに記載の注射装置。
【0073】
局面28.ハウジングと、ハウジング内の弾性で膨張可能な貯留部と、源からの医療用流体を受容するためのハウジング内の入口ポートと、ハウジングからの流体の流れのためのハウジング内の出口ポートと、入口ポートと貯留部との間と貯留部と出口ポートとの間の流体流路とを備え、入口ポートと貯留部との間の流体流路は、入口ポートから貯留部内への流体流を許容し、貯留部から入口ポートへの流体流を妨げるための通常閉鎖されている一方向弁を含み、一方向弁は弁体を含み、弁体は、流体流内腔を内部に規定する、弾性で中空のスリーブ部と、入口ポートから流体流内腔の一端に入る流体流のための弁体入口と、流体流内腔の他端から貯留部内への流体流のための弁体出口とを含み、弾性なスリーブ部の内腔内に位置する実質的に別個の剛性の弁部材を備え、弁部材は、スリーブが偏向していない状態にある場合、弁部材とスリーブとの間に環状の第1の封止を与え、流体流内腔を通る貯留部から入口ポートへの流れを遮断するように、スリーブ部が通常、環状の内側に向かう力を弁部材の外表面に対して及ぼすように、弁部材が弾性のスリーブの内腔よりも大きい大きさであり、スリーブは、弁体と弁部材との間と弾性の貯留部内への流体流を許容するために入口ポートからの流体圧下において弾性的に膨張可能であり、スリーブは弁と貯留部との間の流体流路と流体連通である外表面を有し、弁体は、弁部材と弁体入口との間において内腔内の環状の弁座をさらに規定し、貯留部からの流体流に対して追加の封止を与えるために、弁座は弁部材によって通常の閉鎖状態において接触され、弁部材は、弁座と弁部材との間で流体流内腔を通過する流体流を許容するために、入口ポートからの流体圧下において弁座から離れるように移動可能である、医療用流体制御装置。
【0074】
局面29.流体流内腔を内部に含む弾性の弁体と、流体流内腔内に位置する剛性の弁部材とを備え、剛性の弁部材は、弁部材が緩んだ状態において、弁内腔の表面に接触してそこを通過する流れを遮断するように、弁内腔よりも大きい大きさである流れ制御弁を用いる流体流の制御方法であって、内腔を通過する流体流を許容するように、弾性の弁体が、流体流内腔の表面が弁部材から離れる位置に向かって屈曲するように、流体流内腔内に十分な上流圧を適用し、弾性の弁体が弁部材に接触することを許容するように、上流圧を低減し、そして、流体流内腔の表面と弁部材との間に封止接触を与えることを補助するために、加圧下で弾性の弁体の外表面と下流の流体とが接触することを含む、流体流の制御方法。
【0075】
局面30.流れ制御弁は、弾性の膨張可能な下流貯留部に連通する流路内に位置し、上流の流体圧を適用するステップは、内腔を通って下流貯留部内に流体を流すことを含み、上流の流体圧は、貯留部を膨張させるために十分であり、貯留部は圧力下で流体を排出する弾性によって偏向されている、局面29に記載の方法。
【0076】
局面31.局面1~8のいずれか1つに記載の流れ制御弁を使用する、局面29または30に記載の方法。
【0077】
流れ制御弁は、添付の図面に示される具体的に図示された構造によって参照としてここに記載されているが、本主題はそのような特定の構造に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく、他の形態と装置への適用を有するものと理解される。この理由のため、本主題の範囲を確認するために、以下の特許請求の範囲の参照が要求される。