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特許7346501ペプチドミニ遺伝子発現系を含むリステリアベースの組成物およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ペプチドミニ遺伝子発現系を含むリステリアベースの組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20230911BHJP
   C12N 15/74 20060101ALI20230911BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20230911BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230911BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12N15/74 Z
C07K19/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61K35/74 Z
A61K48/00
A61K38/16
A61P37/04
A61P43/00 107
C07K14/195
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021123032
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2017545631の分割
【原出願日】2016-03-03
(65)【公開番号】P2021176322
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/127,614
(32)【優先日】2015-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514231424
【氏名又は名称】アドバクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロバート プティ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エフ. プリンシオッタ
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0241177(US,A1)
【文献】特表2011-529684(JP,A)
【文献】Molecular Immunology,2011年,Vol.48,pp.463-471
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00~15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリア株であって、前記構築体はキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前記キメラタンパク質は、(a)リステリオリシンO(LLO)タンパク質由来の細菌分泌シグナル配列と、
(b)ユビキチンタンパク質と、
(c)MHCクラスI分子による提示のための最小限のペプチド決定基であるペプチドとを含み、前記ミニ遺伝子核酸構築体が、前記組み換え型リステリア株中の染色体外プラスミド中にあり、
前記キメラタンパク質のアミノ末端からカルボキシ末端に向かって、(a)~(c)の細菌分泌シグナル配列、ユビキチンタンパク質、およびペプチドが配置され
前記組み換え型リステリア株が、D-アラニン・ラセマーゼ(dal)遺伝子、D-アミノ酸トランスフェラーゼ(dat)遺伝子、およびactA遺伝子内にゲノム突然変異、または欠失を含み、かつ
前記組み換え型リステリア株が、リステリア・モノサイトゲネスである、組み換え型リステリア株。
【請求項2】
前記キメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によって第2のオープンリーディングフレームに連結され、前記第2のオープンリーディングフレームが、(a)第2の細菌分泌シグナル配列と、(b)第2のユビキチンタンパク質と、(c)第2のペプチドとを含む第2のキメラタンパク質をコードし、前記第2のキメラタンパク質のアミノ末端からカルボキシ末端に向かって、(a)~(c)の第2の細菌分泌シグナル配列、第2のユビキチンタンパク質、および第2のペプチドが配列されている、請求項1に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項3】
各々のオープンリーディングフレームが異なるペプチドを含む、請求項2に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項4】
前記ペプチドが1つ以上のネオエピトープを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項5】
前記ミニ遺伝子構築体が、前記ミニ遺伝子構築体の発現を駆動する5’細菌プロモーターをさらに含み、前記プロモーターが、actAプロモーター、hlyプロモーター、またはp60プロモーターである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項6】
前記組み換え型リステリア株が、代謝酵素をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、前記代謝酵素が前記dal遺伝子および前記dat遺伝子のゲノム突然変異または欠失を相補する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項7】
前記核酸分子が前記組み換え型リステリア株中のプラスミドの中にあり、かつ抗生物質選択が無いときに、前記プラスミドが前記組み換え型リステリア株の中に安定して維持される、請求項6に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項8】
前記代謝酵素が、アラニン・ラセマーゼ酵素、またはD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である、請求項6または7に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項9】
前記組み換え型リステリア株が、prfA遺伝子内に、ゲノム突然変異、または欠失を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項10】
前記組み換え型リステリア株が、リステリア・モノサイトゲネスであり、前記細菌分泌シグナル配列が配列番号:4を含み、前記組み換え型リステリア株が、代謝酵素をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、前記代謝酵素が、アラニン・ラセマーゼ酵素、またはD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である、請求項1に記載の組み換え型リステリア株。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア菌株と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
腫瘍または癌を有する被験者において抗腫瘍または抗癌応答を誘発するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア菌株を含む組成物。
【請求項13】
前記組成物が、独立したアジュバントと一緒に投与されることを特徴とし、前記アジュバントが、顆粒球性/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)タンパク質、GM-CSFタンパク質をコードするヌクレオチド分子、サポニンQS21、モノホスホリルリピドA、またはメチル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記抗腫瘍または抗癌応答がCD8T細胞免疫応答である、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
前記癌が、リンパ腫、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫、白血病、乳癌、大腸癌、頭頸部扁平上皮癌、腎細胞癌、膵管腺癌、骨肉腫、胃癌、非小細胞肺癌、骨癌、または難治性癌である、被験者における腫瘍または癌を治療するための、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、前記被験者における癌の再発または転移後に投与されるか、またはブースターショットが投与されることを特徴とする、請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、転移性疾患を遅延させ、リンパ節サイズを減少させ、無増悪生存をもたらし、疾患進行までの時間を増加させ、腫瘍または癌の形成を抑制または遅延させ、自己抗原に対する耐性を破壊し、癌の退行を誘発し、または生存期間を延長する、請求項12~16のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ミニ遺伝子発現構築体を含むリステリア送達ベクターを含む組成物と、抗原発現腫瘍ま
たはガンに対する免疫応答を誘発するためおよびこれを処置するためにこの組成物を使用
する方法、ならびに腫瘍またはガンを持つ被験者に対してこの組成物をワクチン接種する
ことと、が開示される。
【背景技術】
【0002】
リステリア・モノサイトゲネスは、主として抗原提示細胞に感染し、またこれらの細胞
の細胞質内に死ぬまで適合する細胞内病原体である。マクロファージなどの宿主細胞は、
L.モノサイトゲネスを活発に貪食し、その大半の細菌がファゴリソソーム内で分解され
る。一部の細菌は、溶血素、リステリオリシンO(LLO)の活動を通してファゴソーム
膜に穿孔することによって宿主サイトゾルの中へとエスケープする。一旦サイトゾル内に
入ると、L.モノサイトゲネスは宿主アクチンを重合して、細胞間を直接通り抜けて、宿
主の免疫系をさらに逃れることができ、結果としてL.モノサイトゲネスに対する抗体応
答がごくわずかになる。
【0003】
リステリアからの組み換え型タンパク質発現は、全長のタンパク質をコードするDNA
配列または対象となる抗原性配列(複数可)を含有する大きいポリペプチドの導入に関与
するが、異種供給源からの複数のペプチド決定基の発現が望ましい事例ではこれは可能で
はなかった。この事例では、ペプチドは、様々な長さのアミノ酸リンカーによって分離さ
れた対象となるペプチドを含有する単一のポリペプチド構築体として発現されており、ま
たこれらはMHCクラスI結合ペプチド決定基の産生のためのプロテアソーム活性を必要
とされている。これは抗原提示の損失をもたらす場合がある。
【0004】
よって、免疫応答を増強するためにプロテアソーム活性を避けることおよび抗原提示を
強化することに対する必要性がある。本開示は、MHCクラスI分子による提示のために
最小限のペプチド決定基をコードする核酸配列の「ミニ遺伝子」発現系を含むリステリア
ベースの組成物を提供することによってこの必要性に対処する。これらのミニ遺伝子は、
ユビキチン部分(Ub-ペプチド)にすぐ続くペプチドを用いて発現させることができ、
そうすることによって、この系は抗原を抗原プロセシング経路に入れる必要性を避け、こ
れによって組み換え型リステリアによって感染した細胞のサイトゾルの中へとペプチド抗
原を直接発現することができるようにする。さらに、また本明細書で詳細な説明に記述さ
れるように、本開示のミニ遺伝子系は、単一のリステリア送達ベクターを使用して複数の
ペプチドを細胞の中へと装填することができるようにする利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示はミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリア株を提供し、
前記構築体はキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前記
キメラタンパク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドは、アミノ末端からカ
ルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列される。
【0006】
別の態様では、本開示は腫瘍またはガンを有する被験者の中に抗腫瘍または抗ガン応答
を引き出す方法を提供し、前記方法は前記被験者にミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え
型リステリアを投与する工程を含み、前記構築体はキメラタンパク質をコードするオープ
ンリーディングフレームを含み、前記キメラタンパク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドは、アミノ末端からカ
ルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列され、それによって前記被験者での抗腫瘍応答が強
化される。
【0007】
一態様では、本開示は被験者の中の腫瘍またはガンを処置する方法を提供し、前記方法
は前記被験者にミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与する工程を含み
、前記構築体はキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前
記キメラタンパク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカ
ルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列され、それによって前記被験者での抗腫瘍応答が強
化される。
【0008】
特許または出願の書類は、色付きで描かれた少なくとも一つの図面を含有する。本特許
または本特許出願のカラー図面(複数可)付きの出版物の複製物は、要求に応じ、かつ必
要な料金の支払いに応じて米国特許商標局から提供される。本開示に関する主題は、本明
細書の結論部分に特定的に指摘され、かつ明瞭に主張されている。しかしながら、本発明
の構成および運用方法の両方については、その目的、特徴、および利点とともに、添付図
面とともに読んだとき、以下の発明を実施するための形態を参照することによって最も良
好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A図1Bは、E7を発現および分泌するために異なる発現系を使用するLm-E7およびLm-LLO-E7を示す。Lm-E7は、L.モノサイトゲネスゲノムのorfZドメインの中へと遺伝子カセットを導入することによって生成された(図1A)。hlyプロモーターは、HPV-16 E7が後に続くLLOのhlyシグナル配列および最初の5つのアミノ酸(AA)の発現を駆動する(図1B)。Lm-LLO-E7を、prfA-株XFL-7をプラスミドpGG-55で形質転換することによって生成した。pGG-55は、LLO-E7の融合非溶血性の融合の発現を駆動するhlyプロモーターを有する。pGG-55は、prfA遺伝子も含有し、インビボでXFL-7によってプラスミドの保持を選択する。
図2図2は、Lm-E7およびLm-LLO-E7のE7分泌を示す。Lm-Gag(レーン1)、Lm-E7(レーン2)、Lm-LLO-NP(レーン3)、Lm-LLO-E7(レーン4)、XFL-7(レーン5)、および10403S(レーン6)を、ルリア-ベルターニ培地中、37℃で一晩増殖させた。600nmの吸光度においてODによって決定された同等数の細菌をペレット化し、そして各々の上清18mLをTCA沈殿させた。E7発現をウエスタンブロットによって解析した。ブロットを抗E7 mAbでプローブし、それに続いてHRP共役抗マウス(Amersham)でプローブし、次いでをECL検出試薬を使用して発色させた。
図3図3は、LLO-E7融合の腫瘍免疫療法的な有効性を示す。腫瘍接種の7、14、21、28、および56日後におけるマウス内の腫瘍サイズがミリメートルで示される。無処置マウス:白丸、Lm-LLO-E7:黒丸、Lm-E7:正方形、Lm-Gag:白ひし形、そしてLm-LLO-NP:黒三角。
図4図4は、TC-1細胞に曝露されたとき増殖するLm-LLO-E7-免疫化マウスからの脾細胞を示す。C57BL/6マウスに、Lm-LLO-E7、Lm-E7、または対照rLm株を用いて免疫を与え、かつブーストした。脾細胞を、ブーストの6日後に採取し、そして示される比で照射したTC-1細胞と共に培養皿に蒔いた。細胞をHチミジンでパルスラベルし、採取した。cpmは、(実験的cpm)-(非TC-1対照)と定義された。
図5A図5Aは、(A)Lm-ActA-E7がE7を分泌することを実証するウエスタンブロットを示す。レーン1:Lm-LLO-E7、レーン2:Lm-ActA-E7.001、レーン3:Lm-ActA-E7-2.5.3、レーン4:Lm-ActA-E7-2.5.4。
図5B図5Bは、Lm-ActA-E7(長方形)、Lm-E7(楕円)、およびLm-LLO-E7(×)を投与したマウス、ならびに無処置マウス(非ワクチン接種、黒三角形)内の腫瘍サイズを示す。
図6A図6Aは、4つのLMワクチンを作り出すために使用されるプラスミドインサートの概略表示を示す。Lm-LLO-E7インサートは、使用されるすべてのリステリア遺伝子を含有する。これは、hlyプロモーター、hly遺伝子の最初の1.3kb(タンパク質LLOをコードする)、およびHPV-16 E7遺伝子を含有する。hlyの最初の1.3kbは、シグナル配列(ss)およびPEST領域を含む。Lm-PEST-E7は、hlyプロモーター、シグナル配列、ならびにPESTおよびE7配列を含むが、残りの切断LLO遺伝子は除外する。Lm-ΔPEST-E7はPEST領域を除外するが、hlyプロモーター、シグナル配列、E7、および切断LLOの残りを含有する。Lm-E7epiは、hlyプロモーター、シグナル配列、およびE7のみを有する。
図6B】上のパネル:リステリア構築体は、腫瘍退行を誘発するPEST領域を含有する。下のパネル:2つの別個の実験での腫瘍チャレンジ後28日目における平均腫瘍サイズ。
図6C図6Cは、脾臓内にE7特異的なリンパ球のより高いパーセンテージを誘発するPEST領域を含有するリステリア構築体を示す。3つの実験からのデータの平均およびSEが図示される。
図7A図7Aは、TC-1腫瘍細胞を投与し、これに続いてLm-E7、Lm-LLO-E7、もしくはLm-ActA-E7を投与した、またはワクチンを投与しなかった(無処置)マウスでの、脾臓内でのE7特異的なIFN-ガンマ-分泌CD8T細胞の誘導、および腫瘍に浸透する数を示す。
図7B図7Bは、(A)に記述したマウスの脾臓および腫瘍でのE7特異的なCD8細胞の誘導および浸透を示す。
図8図8A図8Bは、腫瘍の中のE7特異的なリンパ球のより高いパーセンテージを誘発するPEST領域を含有するリステリア構築体を示す。(図8A)1つの実験からの代表的データ。(図8B)3つのすべての実験からのデータの平均およびSE。
図9A図9Aは、大腸菌-リステリアシャトルプラスミドpGG55の概略的なマップを示す。CAT(-):大腸菌クロラムフェニコールトランスフェラーゼ、CAT(+):リステリアクロラムフェニコールトランスフェラーゼ、Ori Lm:リステリアの複製起点、Ori Ec:大腸菌のp15複製の起点、prfA:リステリア病原性調節因子A、LLO:C末端切断リステリオリシンO、そのプロモーターを含む、E7:HPV E7。選択された制限部位も図示される。
図9B図9Bは、大腸菌-リステリアシャトルプラスミドpTV3(下記)の概略的なマップを示す。CAT(-):大腸菌クロラムフェニコールトランスフェラーゼ、CAT(+):リステリアクロラムフェニコールトランスフェラーゼ、Ori Lm:リステリアの複製起点、Ori Ec:大腸菌のp15複製の起点、prfA:リステリア病原性調節因子A、LLO:C末端切断リステリオリシンO、そのプロモーターを含む、E7:HPV E7、p60-dal、p60プロモーターおよびリステリアdal遺伝子の発現カセット。選択された制限部位も図示される。
図10図10はDNA配列(配列番号:74)を示し、これは、リステリア株EGDのゲノム上のinlC領域の上流および下流を提示する。DNA-up(赤色)、inlC遺伝子(青色)、およびDNA-down(黒色)。
図11図11はDNAの配列(配列番号:75)を示し、これは、温度感受性プラスミド、pKSV7中でクローニングされ、inl C欠失突然変異体を作り出す。これらの領域のクローニングのために使用される制限酵素部位は、大文字および下線付きで示される。GAATTC-EcoRI、GGATCC-BamHI、およびCTGCAg-PstIである。EcoRI-PstIインサートは、ベクター、pKSV7内でクローニングされる。
図12図12は、Lm-ddおよびLm-ddD actA株の概略的な表示を示す。株、Lm-ddおよびLm-ddΔactAのe染色体のDNAをテンプレートとして使用して、オリゴの1/2およびオリゴの3/4を使用するPCR産物のサイズを示すゲルが得られた。
図13図13はDNA配列(配列番号:57)を示し、これは、リステリア染色体内のinlC領域actA遺伝子の上流および下流を提示する。斜字体の領域は、LmddΔactA株内に存在する残りのactA配列要素を含有する。下線付きの配列gtcgacは、actAのN-T領域とC-T領域との間の結合である、XhoIの制限部位を表す。
図14図14は、LMワクチン株(A)の投与に応答する腫瘍退行を図示する。丸は無処置マウスを表し、逆三角形はLmdd-TV3を投与されたマウスを表し、十文字はLm-LLOE7を投与されたマウスを表す。
図15図15Aは、pAdv164のプラスミドマップを示し、これは、構造性のリステリアp60プロモーターの制御下で、LmddA株内の染色体のdal-dat欠失の相補のために、バシラスサチリスdal遺伝子を持つ。これは、Her2/neuの3つの断片:EC1(aa 40-170)、EC2(aa 359-518)およびICI(aa 679-808)の直接融合によって構造化された、切断LLO(1-4 41)のキメラ型ヒトHer2/neu遺伝子への融合も含有する。図15Bでは、抗LLO抗体でブロットしたTCA沈殿した細胞培養上清のウエスタンブロット解析によって、Lm-LLO-ChHer2(Lm-LLO-138)およびLmddA-LLO-ChHer2(ADXS31-164)内でtLLO-ChHer2の発現および分泌が検出された。~104 KDの差を示す帯はtLLO-ChHer2に対応する。内因性のLLOは、58 KD帯として検出される。リステリア対照はChHer2発現を欠いている。
図16図16Aでは、NT-2細胞を刺激細胞として使用し、かつ3T3/neu細胞を標的として使用して、免疫化マウスからの脾細胞内でHer2/neuリステリアベースのワクチンによって引き出された細胞毒性T細胞応答が試験された。Lm-対照は、すべてのやり方で同一であるが、無関連の抗原(HPV16-E7)が発現される、LmddAバックグラウンドに基づく。図16Bでは、脾細胞によって免疫化FVB/Nマウスから細胞培地の中へと分泌されたIFN-γが、NT-2細胞によって処置されたマイトマイシンCを用いたインビトロの刺激の24時間後、ELISAによって測定された。図16Cは、インビトロでのタンパク質の異なる領域からのペプチドを用いたインキュベーションに応答する、キメラワクチンを用いて免疫化したHLA-A2トランスジェニックマウスからの脾細胞によるIFN-γ分泌である。図の凡例にリスト表示したように、組み換え型ChHer2タンパク質が正の対照として使用され、無関連ペプチドまたはペプチドを含まない群が負の対照を構成要素とした。コインキュベーションの72時間後に採取した細胞培養上清を使用するELISAアッセイによって、IFN-γ分泌が検出された。各々のデータ点は、3倍のデータ+/-標準誤差の平均であった。*P値<0.001。
図17図17は、各々の組み換え型リステリア-ChHer2ワクチン、または対照リステリアワクチンを6回注射したHer2/neuトランスジェニックマウスからの結果を表す。生後6週で免疫化を開始し、21週目まで3週ごとに継続した。腫瘍の外観を毎週観察して、腫瘍を有しないマウスのパーセンテージで表現した。*p<0.05、グループ当たりN=9。
図18図18は、FVB/Nマウスに1×10NT-2細胞を用いて皮下接種し、各々のワクチンを用いて一週間間隔で3回免疫化したことを示す。第2の免疫化の7日後、脾臓を採取した。免疫細胞の分離後、Tregの検出のためにこれらを抗CD3、CD4、CD25、およびFoxP3抗体によって染色した。代表的な実験からのTregのドットプロットは、異なる治療群の間での全CD3またはCD3CD4T細胞に対するパーセンテージとして表されるCD25/FoxP3T細胞の頻度を示す。
図19図19A図19Bは、FVB/Nマウスが1×10NT-2細胞を用いて皮下接種され、各々のワクチンを用いて一週間間隔で3回免疫化されたことを示す。第2の免疫化の7日後に腫瘍を採取した。免疫細胞の分離後、Tregの検出のために、抗CD3、CD4、CD25、およびFoxP3抗体によってこれらを染色した。図19Aは、代表的な実験からのTregのドットプロットである。図19Bは、異なる投与群にわたって全CD3またはCD3CD4T細胞(左のパネル)、および腫瘍内のCD8/Treg比(右のパネル)に対するパーセンテージとして表される、CD25/FoxP3T細胞の頻度である。データは、2つの独立した実験から得られた平均±SEMとして示される。
図20図20A図20Cは、組み換え型リステリアタンパク質ミニ遺伝子構築体の概略的なマップを表す。図20Aは、オボアルブミン派生SIINFEKLペプチドを産生する構築体を表す。図20Bは、PCRクローニングによってSIINFEKLの代わりにGBM派生ペプチドが導入された同等の組み換え型タンパク質を表す。図20Cは、リステリアの株から4つの別個のペプチド抗原を発現するように設計された構築体を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図示の単純化および明瞭化のために図に示される要素は必ずしも実寸に比例していない
ことを理解されたい。例えば、一部の要素の寸法は、明瞭化のために他の要素に対して相
対的に誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、参照番号は対応
するかまたは類似する要素を示す図の間で繰り返される場合がある。
【0011】
以下の発明を実施するための形態では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具
体的な詳細が示される。しかしながら、本開示はこれらの具体的な詳細を含まずに実施さ
れてもよいことが当業者には理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしな
いために周知の方法、手順、および構成成分は詳細には記述されていない。
【0012】
一実施形態では、抗腫瘍または抗ガン応答を誘発するための組成物および方法が本明細
書に開示される。
【0013】
一態様では、本開示は、キメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム
を含むミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリア株を提供し、前記構築体は、前
記キメラタンパク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドは、アミノ末端からカ
ルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列される。
【0014】
一実施形態では、リステリアは、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によ
ってリンクした2つ以上のオープンリーディングフレームをさらに含む。
【0015】
別の実施形態では、組み換え型リステリアは、各々のオープンリーディングフレームの
間をシャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした1つ~4つのオ
ープンリーディングフレームをさらに含む。別の実施形態では、各々のオープンリーディ
ングフレームは異なるペプチドを含む。
【0016】
別の態様では、本開示は腫瘍またはガンを有する被験者の中に抗腫瘍または抗ガン応答
を誘発する方法を提供し、前記方法は前記被験者にキメラタンパク質をコードするオープ
ンリーディングフレームを含むミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与
する工程を含み、前記キメラタンパク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカ
ルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列され、これによって前記被験者の中の抗腫瘍応答を
強化する。
【0017】
一態様では、本開示は被験者の中の腫瘍またはガンを処置する方法を提供し、前記方法
は前記被験者にキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むミニ
遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与する工程を含み、前記キメラタンパ
ク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカ
ルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列され、これによって前記被験者の中の抗腫瘍応答を
強化する。
【0018】
一実施形態では、「核酸分子」、「核酸構築体」、および「ミニ遺伝子核酸構築体」と
いう用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0019】
「核酸」という用語およびその文法的な同等物は、原核生物配列、真核生物mRNA、
真核生物mRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳類)DNA由来のゲノムDN
A配列、および合成DNA配列さえも含む場合があるがこれに限定されない分子を指す場
合があることを当業者は理解するであろう。この用語は既知のDNAおよびRNAの塩基
類似体のいずれかを含む配列も指す。
【0020】
別の実施形態では、本明細書に開示された方法を使用して生成された融合ペプチドは、
HISタグまたはSIINFECKLタグにさらにリンクしている。これらのタグが発現
される場合があり、そして提示される抗原性エピトープは、これらの「タグ」配列ペプチ
ドに対する免疫応答を追いかけることによって、臨床医が分泌されたペプチド免疫原性を
追いかけることができるようにする。かかる免疫応答は、これらのタグに対して特異的な
モノクローナル抗体およびDNAまたはRNAプローブを含むがこれに限定されない数多
くの試薬を使用して監視することができる。タグに対する配列は、融合ペプチド配列をコ
ードする核酸配列の中へと組み込まれる場合があることが当業者によって理解されるであ
ろう。別の実施形態では、プラスミドまたはファージベクターなどの本明細書に開示され
たベクターは、本明細書に開示された融合ペプチドまたはキメラタンパク質をコードする
核酸配列を含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ガン」および「腫瘍」という用語は、すべて同一の意味
と質を有する場合があることを当業者は理解するであろう。
【0022】
別の実施形態では、腫瘍抗原に対する免疫応答を誘発するための組成物および方法が本
明細書に開示される。別の実施形態では、腫瘍抗原は異種抗原である。別の実施形態では
、腫瘍抗原は自己抗原である。別の実施形態では、感染性疾患抗原に対する免疫応答を誘
発するための組成物および方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、感染性疾患
抗原は異種抗原である。別の実施形態では、本開示の組成物および方法は腫瘍またはガン
に対してワクチン接種するために使用される。
【0023】
また別の実施形態では、本開示の組成物および方法は、処置に続くエスケープ変異の発
生を防止する。別の実施形態では、腫瘍またはガンを患う被験者に無進行生存率を提供す
るための組成物および方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、被験者にガンま
たは腫瘍に対して免疫付与するための組成物および方法が本明細書に開示される。別の実
施形態では、被験者にガンまたは腫瘍に対して免疫付与するための組成物および方法が本
明細書に開示される。別の実施形態では、このガンは転移である。
【0024】
組み換え型リステリア株
一実施形態では、キメラタンパク質をコードする核酸構築体を含む組み換え型弱毒化リ
ステリア株が本明細書に開示される。別の実施形態では、核酸構築体は組み換え型核酸構
築体である。別の実施形態では、細菌分泌シグナル配列(SS)、ユビキチン(Ub)タ
ンパク質、およびペプチド配列をコードするオープンリーディングフレームを含む組み換
え型核酸構築体を含む組み換え型弱毒化リステリア株が本明細書に開示される。別の実施
形態では、核酸構築体は、細菌分泌シグナル配列、ユビキチンタンパク質、およびペプチ
ド配列を含むキメラタンパク質をコードする。一実施形態では、キメラタンパク質は以下
の様式(SS-Ub-ペプチド)で配列される。
【0025】
一実施形態では、核酸構築体は、ペプチド部分のカルボキシ末端に対応するコドンを含
み、タンパク質合成の終了を確認するために2つの終止コドンが続く。
【0026】
一実施形態では、本明細書に開示される組み換え型ポリペプチドをコードする核酸は、
シグナルペプチドまたは配列も含む。一実施形態では、本明細書に開示される核酸構築体
によってコードされる細菌分泌シグナル配列は、リステリア分泌シグナル配列である。別
の実施形態では、本開示の方法および組成物の融合タンパク質はリステリオリシンO(L
LO)からのLLOシグナル配列を含む。一実施形態では、異種抗原は、リステリアシグ
ナル配列(例えば、溶血素(hly)シグナル配列またはactAシグナル配列)などの
シグナル配列の使用を通して発現される場合がある。代替的には、例えば、融合タンパク
質を作り出すことなく外来遺伝子をL.モノサイトゲネスプロモーターから下流で発現す
ることができる。別の実施形態では、シグナルペプチドは、細菌性(リステリア性または
非リステリア性)である。一実施形態では、シグナルペプチドは、細菌に対してネイティ
ブである。別の実施形態では、シグナルペプチドは、細菌に対して外来である。別の実施
形態では、シグナルペプチドは、secA1シグナルペプチドなどのリステリア・モノサ
イトゲネスからのシグナルペプチドである。別の実施形態では、シグナルペプチドは、ラ
クトコッカス・ラクティスからのUsp45シグナルペプチド、またはバチルス・アント
ラシスからの保護抗原シグナルペプチドである。別の実施形態では、シグナルペプチドは
、p60シグナルペプチドなどの、リステリア・モノサイトゲネスからのsecA2シグ
ナルペプチドである。さらに、組み換え型核酸分子は、任意選択的にp60またはその断
片をコードする第3のポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、シグナルペプチ
ドは、バシラスサチリスTatシグナルペプチドなどのTatシグナルペプチド(例えば
、PhoD)である。一実施形態では、シグナルペプチドは、組み換え型ポリペプチドを
コードする同一の翻訳リーディングフレームである。
【0027】
本明細書のすべての目的に対して、「組み換え型ポリペプチド」、「融合タンパク質」
、「組み換え型タンパク質」、および「キメラタンパク質」という用語は、本明細書では
交換可能に使用される。
【0028】
別の実施形態では、分泌シグナル配列はリステリアタンパク質由来である。別の実施形
態では、分泌シグナルは、ActA300分泌シグナルである。別の実施形態では、分泌
シグナルは、ActA100分泌シグナルである。
【0029】
一実施形態では、核酸構築体はユビキチンタンパク質をコードするオープンリーディン
グフレームを含む。一実施形態では、ユビキチンは全長のタンパク質である。本明細書に
開示された発現された構築体内のユビキチン(本明細書に開示された核酸構築体から発現
される)は、カルボキシ末端において、宿主細胞サイトゾルへ入る際に加水分解酵素の活
性を通して核酸構築体から発現される組み換え型キメラタンパク質の残りから分割される
ことを当業者は理解するであろう。これはペプチド部分のアミノ末端を遊離させ、ペプチ
ド(長さは特異的ペプチドに依存する)を宿主細胞サイトゾルの中に産生する。
【0030】
一実施形態では、本明細書に開示される核酸構築体によってコードされるペプチドは、
長さが8~10アミノ酸(AA)である。別の実施形態では、ペプチドは10~20AA
長である。別の実施形態では、ペプチドは21~30AA長である。別の実施形態では、
ペプチドは31~50AA長である。別の実施形態では、ペプチドは51~100AA長
である。
【0031】
一実施形態では、ペプチドは抗原性ペプチドである。別の実施形態では、ペプチドは腫
瘍抗原に由来する。別の実施形態では、ペプチドは感染性疾患抗原に由来する。別の実施
形態では、ペプチドは自己抗原に由来する。別の実施形態では、ペプチドは血管形成抗原
に由来する。
【0032】
一実施形態では、本明細書に開示されたペプチドが由来する抗原は、真菌病原体、細菌
、寄生生物、蠕虫、またはウイルスに由来する。別の実施形態では、本明細書のペプチド
が由来する抗原は、破傷風トキソイド、インフルエンザウイルスからの血球凝集素分子、
ジフテリアトキソイド、HIV gp120、HIV gagタンパク質、IgAプロテ
アーゼ、インシュリンペプチドB、粉状そうか病菌抗原、ビブリオ症菌抗原、サルモネラ
抗原、肺炎球菌抗原、呼吸器合胞体ウイルス抗原、インフルエンザ菌外膜タンパク質、ヘ
リコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ、髄膜炎菌ピリン、淋菌ピリン、メラノーマ-関連抗
原(TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、gp-100、チロシナーゼ、MART
-1、HSP-70、β-HCG)、タイプHPV-16、-18、-31、-33、-
35、または-45からのヒトパピローマウイルス抗原E1およびE2、腫瘍抗原CEA
、突然変異したまたはしていないrasタンパク質、突然変異したまたはしていないp5
3タンパク質、Muc1、メソテリン、EGFRVIII、またはpSAから選択される
【0033】
他の実施形態では、ペプチドは以下の疾患のうちの1つと関連付けられる抗原から由来
する。コレラ、ジフテリア、ヘモフィルス、A型肝炎、B型肝炎、インフルエンザ、麻疹
、髄膜炎、おたふく風邪、百日咳、天然痘、肺炎球菌性肺炎、ポリオ、狂犬病、風疹、破
傷風、結核、腸チフス、水痘帯状疱疹、百日咳、黄熱病、アジソン病由来のイムノゲンお
よび抗原、アレルギー、アナフィラキシー、ブルートン症候群、固形および血液由来の腫
瘍を含むガン、湿疹、橋本甲状腺炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、後天性免疫不
全症候群、腎臓、心臓、すい臓、肺、骨、および肝臓などの移植拒否反応、グレーブス病
、多内分泌自己免疫疾患、肝炎、顕微鏡的多発性動脈炎、結節性多発動脈炎、天疱瘡、原
発性胆汁性肝硬変症、悪性貧血、セリアック病、抗体媒介性腎炎、糸球体腎炎、リウマチ
性疾患、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節症、鼻炎、シェーグレ
ン症候群、全身性硬化症、硬化性胆管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、疱疹状皮膚炎、乾癬、
白斑、多発性硬化症、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、ランバート・イ
ートン筋無力症候群、強膜、上強膜、ブドウ膜炎、慢性粘膜皮膚カンジダ症、じんましん
、乳児一過性低ガンマグロブリン血症、骨髄腫、X連鎖高Igm症候群、ウィスコット・
アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血
小板減少症、自己免疫性好中球減少症、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ア
ミロイド症、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、マラリアのスポロゾイト周囲タ
ンパク、微生物抗原、ウイルス抗原、自己抗原、およびリステリア症。
【0034】
別の実施形態では、本明細書に開示されたペプチドが由来する抗原は腫瘍関連抗原であ
り、これは、一実施形態では、MAGE(メラノーマ関連抗原E)タンパク質、例えば、
MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、チロシナーゼ;突然変異r
asタンパク質;突然変異p53タンパク質;進行ガンと関連付けられたp97メラノー
マ抗原、rasペプチドもしくはp53ペプチド;子宮頸ガンと関連付けられたHPV1
6/18抗原、乳ガンと関連付けられたKLH抗原、大腸ガンと関連付けられたCEA(
ガン胎児抗原)、gp100、メラノーマと関連付けられたMART1抗原、または前立
腺ガンと関連付けられたPSA抗原といった腫瘍抗原のうちの1つである。別の実施形態
では、本明細書に開示された組成物および方法のための抗原はメラノーマ-関連抗原であ
り、これは、一実施形態では、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、gp-100
、チロシナーゼ、HSP-70、β-HCG、またはこれらの組み合わせである。当該技
術分野で既知の他の腫瘍関連抗原は本発明でも企図される。
【0035】
一実施形態では、ペプチドは、米国特許出願シリアル番号第12/945,386号(
その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記述されているキメラ型Her2抗原
に由来する。
【0036】
別の実施形態では、ペプチドは、HPV-E7(HPV16またはHPV18株のいず
れかから)、HPV-E6(HPV16またはHPV18株のいずれかから)、Her-
2/neu、NY-ESO-1、テロメラーゼ(TERT、SCCE、CEA、LMP-
1、p53、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、PSMA、前立腺幹細胞抗原(PSCA)
、HMW-MAA、WT-1、HIV-1 Gag、プロテイナーゼ3、チロシナーゼ関
連タンパク質2、PSA(前立腺に特異的な抗原)、EGFR-III、サバイビン、ア
ポトーシスのバキュロウイルス阻害剤繰返し含有5(BIRC5)、LMP-1、p53
、PSMA、PSCA、Muc1、PSA(前立腺に特異的な抗原)、またはこれらの組
み合せから選択される抗原に由来する。
【0037】
一実施形態では、本開示のリステリアによって発現されるポリペプチドは神経ペプチド
成長因子拮抗薬でもよく、一実施形態では、これは[D-Arg1、D-Phe5、D-
Trp7,9、Leu11]サブスタンスP、[Arg6、D-Trp7,9、NmeP
he8]サブスタンスP(6-11)である。これらの実施形態および関連する実施形態
は当業者に理解される。
【0038】
別の実施形態では、異種抗原は感染性疾患抗原である。一実施形態では、抗原は自己抗
原(auto antigen)または自己抗原(self-antigen)である。
【0039】
一実施形態では、ペプチドはMHCクラスI分子上に負荷される能力を有する。別の実
施形態では、ペプチドはMHCクラスII分子上に負荷される能力を有する。別の実施形
態では、ペプチドはMHCクラスIペプチドである。別の実施形態では、ペプチドはMH
CクラスIIペプチドである。別の実施形態では、宿主細胞の表面上でMHCクラスI分
子と結合した場合、CD8+T細胞上でT細胞受容体によってペプチドを識別することが
できる。別の実施形態では、宿主細胞の表面上でMHCクラスI分子と結合した場合、C
D4+T細胞上でT細胞受容体によってペプチドを識別することができる。別の実施形態
では、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子に宿主細胞の表面上で結合したとき、
ペプチドの結合に対して特異的なエフェクターCD4+またはCD8+細胞の表面上に存
在する抗体または小分子によってペプチドを識別することができる。
【0040】
一実施形態では、本明細書に開示された発現系は、本明細書に開示されたキメラタンパ
ク質をコードする核酸構築体の使用を含む。別の実施形態では、この発現系は、カルボキ
シ末端において独特のペプチド部分を含有する組み換え型タンパク質のパネルを促進する
ように設計される。一実施形態では、これはテンプレートとして細菌分泌シグナル配列-
ユビキチン-ペプチド(SS-Ub-ペプチド)構築体上でコードする配列を利用するP
CR反応によって達成される。一実施形態では、Ub配列のカルボキシ末端領域の中へと
延在するプライマーを使用し、また所望のペプチド配列に対してプライマーの3’端にお
いてコドンを導入して、単一のPCR反応で新しいSS-Ub-ペプチド配列を生成する
ことができる(本明細書の実施例を参照のこと)。細菌プロモーターおよび細菌分泌シグ
ナル配列の最初のいくつかのヌクレオチドをコードする5’プライマーは、すべての構築
体に対して同一であってもよい。この構築体の概略表示が本明細書の図1に提供される。
【0041】
一実施形態では、組み換え型リステリアは、第2の核酸分子または代謝酵素をコードす
るオープンリーディングフレームを含む構築体を含み、代謝酵素はリステリアの内因性遺
伝子で突然変異、欠失、または不活性化を相補する。別の実施形態では、代謝酵素は、組
み換え型リステリア株の染色体を欠いている内因性遺伝子を相補する。別の実施形態では
、第2の核酸分子は、リステリアの内因性遺伝子内の突然変異を相補する第2の代謝酵素
をコードするオープンリーディングフレームを含む。別の実施形態では、第2の核酸分子
は、組み換え型リステリア株の染色体内の突然変異した内因性遺伝子を相補する第2の代
謝酵素をコードするオープンリーディングフレームを含む。
【0042】
完全長のタンパク質またはポリペプチドについて、「断片」という用語は、完全長のタ
ンパク質またはポリペプチドよりも短いかまたは少ないアミノ酸を含むタンパク質または
ポリペプチドを意味する。
【0043】
一実施形態では、断片は10~20の核酸またはアミノ酸を有し、また別の実施形態で
は、断片は5つの核酸またはアミノ酸を有し、また別の実施形態では、断片は100~2
00の核酸またはアミノ酸を有し、また別の実施形態では、断片は100~500の核酸
またはアミノ酸を有し、また別の実施形態では、断片は50~200の核酸またはアミノ
酸を有し、また別の実施形態では、断片は10~250の核酸またはアミノ酸を有する。
【0044】
別の実施形態では、核構築体または核酸分子は少なくとも1つのエピソーム性またはプ
ラスミドベクターから発現される。別の実施形態では、抗生物質選択が無い状態で、プラ
スミドベクターは組み換え型リステリア株内で安定して維持される。別の実施形態では、
プラスミドは組み換え型リステリア上に抗生物質抵抗性を与えない。一実施形態では、本
明細書に開示された組み換え型リステリア株は、抗生物質耐性遺伝子を欠いている。別の
実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は抗生物質耐性遺伝子をコ
ードする核酸を含むプラスミドを含む。
【0045】
一実施形態では、組み換え型リステリアは本明細書に開示される核酸構築体を担持する
エピソーム性ベクターを含む。別の実施形態では、エピソーム性ベクターは染色体外であ
り、その中でリステリアのゲノムに組み込まれない。別の実施形態では、組み換え型リス
テリアは本明細書に開示される核酸構築体を担持するプラスミドベクターを含む。別の実
施形態では、プラスミドベクターは、リステリア染色体に組み込むための組み込み配列を
含有する。別の実施形態では、「ゲノム」および「染色体」という用語は本明細書で交換
可能に使用される。
【0046】
別の実施形態では、本明細書で開示される組成物および方法で使用するためのLLOタ
ンパク質が本明細書で開示される。別の実施形態では、LLOタンパク質断片は、本明細
書に開示される組成物および方法で利用される。別の実施形態では、断片は機能的断片で
ある。別の実施形態では、断片は免疫原性断片である。
【0047】
本開示のワクチンを構築するために利用されるLLOタンパク質は、別の実施形態では
、以下の配列を有する:
【0048】
MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAKDASAFNKENSISSM
APPASPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYH
GDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVN
AISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLP
GMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYPN
VSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAI
SEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQL
QALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAF
DAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQII
DGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAV
IKNNSEYIETTSKAYTDGKINIDHSGGYVAQFNISWDEVN
YDPEGNEIVQHKNWSENNKSKLAHFTSSIYLPGNARNINV
YAKECTGLAWEWWRTVIDDRNLPLVKNRNISIWGTTLYPK
YSNKVDNPIE (GenBank受入番号 P13128;配列番号:1;核酸
配列はGenBank受入番号X15127で示される)。別の実施形態では、LLOタ
ンパク質は、GenBank受入番号DQ054589.1で示される配列を有し、これ
は、リステリア10403Sからのhly遺伝子を指す。この配列に対応するプロタンパ
ク質の最初の25個のAAはシグナル配列であり、細菌によって分泌されるときにLLO
から分割される。したがって、この実施形態では、全長の活性LLOタンパク質は504
残基長である。別の実施形態では、上記のLLO断片は本発明のワクチンに組み込まれる
LLO断片の供給源として使用される。
【0049】
別の実施形態では、本開示の組成物および方法で利用されるLLOタンパク質のN末端
断片は、以下の配列を有する:
【0050】
MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAKDASAFNKENSISSV
APPASPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYH
GDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVN
AISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLP
GMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYSN
VSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAI
SEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQL
QALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAF
DAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQII
DGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAV
IKNNSEYIETTSKAYTDGKINIDHSGGYVAQFNISWDEVN
YD (配列番号:2)。
【0051】
別の実施形態では、LLO断片は本明細書で利用されるAA20~442のLLOタン
パク質にほぼ対応する。
【0052】
別の実施形態では、LLO断片は、以下の配列を有する:
【0053】
MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAKDASAFNKENSISSV
APPASPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYH
GDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVN
AISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLP
GMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYSN
VSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAI
SEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQL
QALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAF
DAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQII
DGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAV
IKNNSEYIETTSKAYTD 配列番号:3。
【0054】
一実施形態では、LLOシグナルペプチドまたはシグナル配列は以下のアミノ酸を含む
:MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAK(配列番号:4)。
【0055】
本明細書で使用される場合、「切断LLO」、「tLLO」、または「ΔLLO」はP
EST様ドメインを含むLLOの断片を指す。別の実施形態では、これらの用語はPES
T配列を含むLLO断片を指す。別の実施形態では、上で定義したように「ΔLLO」は
416AA LLO断片を指す。
【0056】
別の実施形態では、切断LLO、tLLO、またはΔLLOという用語はアミノ末端に
おいて活性化ドメインを含有せず、システイン484を含まないLLO断片を指す。別の
実施形態では、これらの用語は溶血性でないLLO断片を指す。別の実施形態では、LL
O断片は、活性化ドメインの欠失または突然変異によって非溶血性にされる。別の実施形
態では、LLO断片は、システイン484の欠失または突然変異によって非溶血性にされ
る。別の実施形態では、LLO断片は、別の場所における欠失または突然変異によって非
溶血性にされる。別の実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,
771,702号に詳細に述べられるように、LLOは、コレステロール結合ドメイン(
CBD)の欠失または突然変異によって非溶血性にされる。
【0057】
別の実施形態では、LLO断片はLLOタンパク質のおよそ最初の441 AAから構
成される。別の実施形態では、LLO断片はLLOのおよそ最初の420 AAから構成
される。別の実施形態では、LLO断片はLLOタンパク質の非溶血性の形態である。
【0058】
別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~25から構成される。別の実施形態で
は、LLO断片はおよそ残基1~50から構成される。別の実施形態では、LLO断片は
およそ残基1~75から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~1
00から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~125から構成さ
れる。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~150から構成される。別の実施
形態では、LLO断片はおよそ残基1~175から構成される。別の実施形態では、LL
O断片はおよそ残基1~200から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ
残基1~225から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~250
から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~275から構成される
。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~300から構成される。別の実施形態
では、LLO断片はおよそ残基1~325から構成される。別の実施形態では、LLO断
片はおよそ残基1~350から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基
1~375から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~400から
構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~425から構成される。
【0059】
別の実施形態では、LLO断片は上記のAA範囲のうちの1つに対応する相同LLOタ
ンパク質の残基を含有する。別の実施形態では、残基番号は上記に列挙した残基番号と必
ずしも正確に対応する必要はなく、例えば、相同LLOタンパク質が本明細書で利用され
るLLOタンパク質に対して挿入または欠失を有する場合、残基番号を適宜調節すること
ができる。他のLLO断片が当該技術分野で既知である。
【0060】
別の実施形態では、LLO断片はLLOタンパク質のおよそ最初の441 AAから構
成される。別の実施形態では、LLO断片はLLOのおよそ最初の420 AAから構成
される。別の実施形態では、LLO断片はLLOタンパク質の非溶血性の形態である。
【0061】
別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~25から構成される。別の実施形態で
は、LLO断片はおよそ残基1~50から構成される。別の実施形態では、LLO断片は
およそ残基1~75から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~1
00から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~125から構成さ
れる。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~150から構成される。別の実施
形態では、LLO断片はおよそ残基1~175から構成される。別の実施形態では、LL
O断片はおよそ残基1~200から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ
残基1~225から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~250
から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~275から構成される
。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~300から構成される。別の実施形態
では、LLO断片はおよそ残基1~325から構成される。別の実施形態では、LLO断
片はおよそ残基1~350から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基
1~375から構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~400から
構成される。別の実施形態では、LLO断片はおよそ残基1~425から構成される。
【0062】
別の実施形態では、LLO断片は上記のAA範囲のうちの1つに対応する相同LLOタ
ンパク質の残基を含有する。別の実施形態では、残基番号は上記に列挙した残基番号と必
ずしも正確に対応する必要はなく、例えば、相同LLOタンパク質が本明細書で利用され
るLLOタンパク質に対して挿入または欠失を有する場合、残基番号を適宜調節すること
ができる。他のLLO断片が当該技術分野で既知である。
【0063】
別の実施形態では、相同LLOは、LLO配列(例えば、配列番号:1~3のうちの1
つ)に対する同一性が70%より高いことを指す。別の実施形態では、相同LLOは、配
列番号:1~3から選択された配列との同一性が72%より大きいことを指す。別の実施
形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が75%より高いこと
を指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が7
8%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに
対する同一性が80%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~
34のうちの1つに対する同一性が82%より高いことを指す。別の実施形態では、相同
は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が83%より高いことを指す。別の実
施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が85%より高いこ
とを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が
87%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つ
に対する同一性が88%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1
~3のうちの1つに対する同一性が90%より高いことを指す。別の実施形態では、相同
は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が92%より高いことを指す。別の実
施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が93%より高いこ
とを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が
95%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つ
に対する同一性が96%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1
~3のうちの1つに対する同一性が97%より高いことを指す。別の実施形態では、相同
は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が98%より高いことを指す。別の実
施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が99%より高いこ
とを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:1~3のうちの1つに対する同一性が
100%であることを指す。
【0064】
一実施形態では、ActAタンパク質は、配列番号:5で示される配列によってコード
される
MGLNRFMRAMMVVFITANCITINPDIIFAATDSEDSSLNT
DEWEEEKTEEQPSEVNTGPRYETAREVSSRDIKELEKSNK
VRNTNKADLIAMLKEKAEKGPNINNNNSEQTENAAINEEA
SGADRPAIQVERRHPGLPSDSAAEIKKRRKAIASSDSELE
SLTYPDKPTKVNKKKVAKESVADASESDLDSSMQSADESS
PQPLKANQQPFFPKVFKKIKDAGKWVRDKIDENPEVKKAI
VDKSAGLIDQLLTKKKSEEVNASDFPPPPTDEELRLALPE
TPMLLGFNAPATSEPSSFEFPPPPTDEELRLALPETPMLL
GFNAPATSEPSSFEFPPPPTEDELEIIRETASSLDSSFTR
GDLASLRNAINRHSQNFSDFPPIPTEEELNGRGGRPTSEE
FSSLNSGDFTDDENSETTEEEIDRLADLRDRGTGKHSRNA
GFLPLNPFASSPVPSLSPKVSKISDRALISDITKKTPFKN
PSQPLNVFNKKTTTKTVTKKPTPVKTAPKLAELPATKPQE
TVLRENKTPFIEKQAETNKQSINMPSLPVIQKEATESDKE
EMKPQTEEKMVEESESANNANGKNRSAGIEEGKLIAKSAE
DEKAKEEPGNHTTLILAMLAIGVFSLGAFIKIIQLRKNN(
配列番号:5)。別の実施形態では、ActAタンパク質は配列番号:5から成る。この
配列に対応するプロタンパク質の最初の29個のAAはシグナル配列であり、細菌によっ
て分泌されるときにActAタンパク質から分割される。一実施形態では、ActAポリ
ペプチドまたはペプチドは、シグナル配列、上記の配列番号:5のAA1~29を含む。
別の実施形態では、ActAポリペプチドまたはペプチドは、シグナル配列、上記の配列
番号:5のAA1~29を含まない。
【0065】
別の実施形態では、本明細書に開示される切断ActAタンパク質をコードする組み換
え型ヌクレオチドは、配列番号:6に示される配列を含む
Atgcgtgcgatgatggtggttttcattactgccaattgca
ttacgattaaccccgacataatatttgcagcgacagatag
cgaagattctagtctaaacacagatgaatgggaagaagaa
aaaacagaagagcaaccaagcgaggtaaatacgggaccaa
gatacgaaactgcacgtgaagtaagttcacgtgatattaa
agaactagaaaaatcgaataaagtgagaaatacgaacaaa
gcagacctaatagcaatgttgaaagaaaaagcagaaaaag
gtccaaatatcaataataacaacagtgaacaaactgagaa
tgcggctataaatgaagaggcttcaggagccgaccgacca
gctatacaagtggagcgtcgtcatccaggattgccatcgg
atagcgcagcggaaattaaaaaaagaaggaaagccatagc
atcatcggatagtgagcttgaaagccttacttatccggat
aaaccaacaaaagtaaataagaaaaaagtggcgaaagagt
cagttgcggatgcttctgaaagtgacttagattctagcat
gcagtcagcagatgagtcttcaccacaacctttaaaagca
aaccaacaaccatttttccctaaagtatttaaaaaaataa
aagatgcggggaaatgggtacgtgataaaatcgacgaaaa
tcctgaagtaaagaaagcgattgttgataaaagtgcaggg
ttaattgaccaattattaaccaaaaagaaaagtgaagagg
taaatgcttcggacttcccgccaccacctacggatgaaga
gttaagacttgctttgccagagacaccaatgcttcttggt
tttaatgctcctgctacatcagaaccgagctcattcgaat
ttccaccaccacctacggatgaagagttaagacttgcttt
gccagagacgccaatgcttcttggttttaatgctcctgct
acatcggaaccgagctcgttcgaatttccaccgcctccaa
cagaagatgaactagaaatcatccgggaaacagcatcctc
gctagattctagttttacaagaggggatttagctagtttg
agaaatgctattaatcgccatagtcaaaatttctctgatt
tcccaccaatcccaacagaagaagagttgaacgggagagg
cggtagacca(配列番号:6)。別の実施形態では、組み換え型ヌクレオチドは
配列番号:6に示される配列を有する。別の実施形態では、組み換え型ヌクレオチドは、
ActAタンパク質の断片をコードする任意の他の配列を含む。
【0066】
別の実施形態では、ActAタンパク質は配列番号:7に示される配列を含む
【0067】
M G L N R F M R A M M V V F I
T A N C I T I N P D I I F A
A T D S E D S S L N T D E
W E E E K T E E Q P S E V
N T G P R Y E T A R E V S S
R D I E E L E K S N K V K
N T N K A D L I A M L K A
K A E K G P N N N N N N G E
Q T G N V A I N E E A S G
V D R P T L Q V E R R H P
G L S S D S A A E I K K R R
K A I A S S D S E L E S L
T Y P D K P T K A N K R K
V A K E S V V D A S E S D L
D S S M Q S A D E S T P Q
P L K A N Q K P F F P K V
F K K I K D A G K W V R D K
I D E N P E V K K A I V D
K S A G L I D Q L L T K K
K S E E V N A S D F P P P P
T D E E L R L A L P E T P
M L L G F N A P T P S E P
S S F E F P P P P T D E E L
R L A L P E T P M L L G F
N A P A T S E P S S F E F
P P P P T E D E L E I M R E
T A P S L D S S F T S G D
L A S L R S A I N R H S E
N F S D F P P I P T E E E L
N G R G G R P T S E E F S
S L N S G D F T D D E N S
E T T E E E I D R L A D L R
D R G T G K H S R N A G F
L P L N P F I S S P V P S
L T P K V P K I S A P A L I
S D I T K K A P F K N P S
Q P L N V F N K K T T T K
T V T K K P T P V K T A P K
L A E L P A T K P Q E T V
L R E N K T P F I E K Q A
E T N K Q S I N M P S L P V
I Q K E A T E S D K E E M
K P Q T E E K M V E E S E
S A N N A N G K N R S A G I
E E G K L I A K S A E D E
K A K E E P G N H T T L I
L A M L A I G V F S L G A F
I K I I Q L R K N N (配列番号:7)
。この配列に対応するプロタンパク質の最初の29個のAAはシグナル配列であり、細菌
によって分泌されるときにActAタンパク質から分割される。
【0068】
一実施形態では、ActAポリペプチドまたはペプチドは、シグナル配列、配列番号:
7のAA1~29を含む。別の実施形態では、ActAポリペプチドまたはペプチドは、
シグナル配列、配列番号:7のAA1~29を含まない。一実施形態では、切断ActA
タンパク質はActAタンパク質のN末端断片を含む。別の実施形態では、切断ActA
タンパク質はActAタンパク質のN末端断片である。
【0069】
一実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:8に示される配列を含む
MRAMMVVFITANCITINPDIIFAATDSEDSSLNTDEWEEE
KTEEQPSEVNTGPRYETAREVSSRDIKELEKSNKVRNTNK
ADLIAMLKEKAEKGPNINNNNSEQTENAAINEEASGADRP
AIQVERRHPGLPSDSAAEIKKRRKAIASSDSELESLTYPD
KPTKVNKKKVAKESVADASESDLDSSMQSADESSPQPLKA
NQQPFFPKVFKKIKDAGKWVRDKIDENPEVKKAIVDKSAG
LIDQLLTKKKSEEVNASDFPPPPTDEELRLALPETPMLLG
FNAPATSEPSSFEFPPPPTDEELRLALPETPMLLGFNAPA
TSEPSSFEFPPPPTEDELEIIRETASSLDSSFTRGDLASL
RNAINRHSQNFSDFPPIPTEEELNGRGGRP(配列番号:8)。別
の実施形態では、ActA断片は配列番号:8に示される配列を含む。
【0070】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:9に示される配列を含む M
GLNRFMRAMMVVFITANCITINPDIIFAATDSEDSSLNTD
EWEEEKTEEQPSEVNTGPRYETAREVSSRDIKELEKSNKV
RNTNKADLIAMLKEKAEKG(配列番号:9)。
【0071】
別の実施形態では、ActA断片は当該技術分野で既知の任意の他のActA断片であ
る。
【0072】
一実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:10に示される配列を含む
MRAMMVVFITANCITINPDIIFAATDSEDSSLNTDEWEEE
KTEEQPSEVNTGPRYETAREVSSRDIKELEKSNKVRNTNK
ADLIAMLKEKAEKGPNINNNNSEQTENAAINEEASGADRP
AIQVERRHPGLPSDSAAEIKKRRKAIASSDSELESLTYPD
KPTKVNKKKVAKESVADASESDLDSSMQSADESSPQPLKA
NQQPFFPKVFKKIKDAGKWVRDKIDENPEVKKAIVDKSAG
LIDQLLTKKKSEEVNASDFPPPPTDEELRLALPETPMLLG
FNAPATSEPSSFEFPPPPTDEELRLALPETPMLLGFNAPA
TSEPSSFEFPPPPTEDELEIIRETASSLDSSFTRGDLASL
RNAINRHSQNFSDFPPIPTEEELNGRGGRP (配列番号:10)
【0073】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:11に示される配列を含む
MGLNRFMRAMMVVFITANCITINPDIIFAATDSEDSSLNT
DEWEEEKTEEQPSE
VNTGPRYETAREVSSRDIKELEKSNKVRNTNKADLIAMLK
EKAEKG(配列番号:11)。
【0074】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:12に示される配列を含む
A T D S E D S S L N T D E
W E E E K T E E Q P S E V N
T G P R Y E T A R E V S S
R D I E E L E K S N K V K
N T N K A D L I A M L K A K
A E K G P N N N N N N G E
Q T G N V A I N E E A S G (
配列番号:12)。別の実施形態では、配列番号:12に示される切断ActAはAct
A/PEST1と呼ばれる。別の実施形態では、切断ActAは、最初の30個から完全
長のActA配列のアミノ酸122までを含む。別の実施形態では、配列番号:12は、
最初の30個から完全長のActA配列のアミノ酸122までを含む。別の実施形態では
、切断ActAは、最初の30個から配列番号:7のアミノ酸122までを含む。別の実
施形態では、配列番号:12は、最初の30個から配列番号:7のアミノ酸122までを
含む。
【0075】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:13に示される配列を含む
M R A M M V V F I T A N C I T I N P D I
I F A A T D S E D S S L N T D
E W E E E K T E E Q P S E
V N T G P R Y E T A R E V
S S R D I E E L E K S N K V
K N T N K A D L I A M L K
A K A E K G P N N N N N N
G E Q T G N V A I N E E A S
G V D R P T L Q V (配列番号:13)。別の実施形態では、配
列番号:12に示される切断ActAはActA/PEST1と呼ばれる。別の実施形態
では、切断ActAは、最初の1個から完全長のActA配列のアミノ酸130までを含
む。別の実施形態では、配列番号:13は、最初の1個から完全長のActA配列のアミ
ノ酸130までを含む。別の実施形態では、切断ActAは、最初の1個から配列番号:
7のアミノ酸130までを含む。別の実施形態では、配列番号:13は、最初の30個か
ら配列番号:7のアミノ酸122までを含む。
【0076】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:14に示される配列を含む
A T D S E D S S L N T D E
W E E E K T E E Q P S E V N
T G P R Y E T A R E V S S
R D I E E L E K S N K V K
N T N K A D L I A M L K A K
A E K G P N N N N N N G E
Q T G N V A I N E E A S G
V D R P T L Q V (配列番号:14)。別の実施形態では、配列番号:
14に示される切断ActAはActA/PEST1と呼ばれる。別の実施形態では、切
断ActAは、最初の30個から完全長のActA配列のアミノ酸122までを含む。別
の実施形態では、配列番号:14は、最初の30個から完全長のActA配列のアミノ酸
122までを含む。別の実施形態では、切断ActAは、最初の30個から配列番号:7
のアミノ酸122までを含む。別の実施形態では、配列番号:14は、最初の30個から
配列番号:7のアミノ酸122までを含む。
【0077】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:15に示される配列を含む
A T D S E D S S L N T D E
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P L K A N Q K P F F P K V F
K K I K D A G K W V R D K
(配列番号:15)。別の実施形態では、配列番号:15に示される切断ActAはAc
tA/PEST2と呼ばれる。別の実施形態では、切断ActAは、完全長のActA配
列のアミノ酸30からアミノ酸229までを含む。別の実施形態では、配列番号:15は
、完全長のActA配列のおよそアミノ酸30からおよそアミノ酸229までを含む。別
の実施形態では、切断ActAは、配列番号:7のおよそアミノ酸30からおよそアミノ
酸229までを含む。別の実施形態では、配列番号:15は、配列番号:7のアミノ酸3
0からアミノ酸229までを含む。
【0078】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:16に示される配列を含む
A T D S E D S S L N T D E
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M L L G F N A P T P S E P S
S F E F P P P P T D E E L
R L A L P E T P M L L G F
N A P A T S E P S S (配列番号:16)。別
の実施形態では、配列番号:16に示される切断ActAはActA/PEST3と呼ば
れる。別の実施形態では、この切断ActAは、最初の30個から完全長のActA配列
のアミノ酸332までを含む。別の実施形態では、配列番号:16は、最初の30個から
完全長のActA配列のアミノ酸332までを含む。別の実施形態では、切断ActAは
、およそ最初の30個から配列番号:7のアミノ酸332までを含む。別の実施形態では
、配列番号:16は、最初の30個から配列番号:7のアミノ酸332までを含む。
【0079】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質は配列番号:17に示される配列を含む
A T D S E D S S L N T D E
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R D I E E L E K S N K V K
N T N K A D L I A M L K A K
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V D R P T L Q V E R R H P G
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T Y P D K P T K A N K R K V
A K E S V V D A S E S D L
D S S M Q S A D E S T P Q
P L K A N Q K P F F P K V F
K K I K D A G K W V R D K
I D E N P E V K K A I V D
K S A G L I D Q L L T K K K
S E E V N A S D F P P P P
T D E E L R L A L P E T P
M L L G F N A P T P S E P S
S F E F P P P P T D E E L
R L A L P E T P M L L G F
N A P A T S E P S S F E F P
P P P T E D E L E I M R E
T A P S L D S S F T S G D
L A S L R S A I N R H S E N
F S D F P L I P T E E E L
N G R G G R P T S E (配列番号:17)。
別の実施形態では、配列番号:17に示される切断ActAはActA/PEST4と呼
ばれる。別の実施形態では、この切断ActAは、最初の30個から完全長のActA配
列のアミノ酸399までを含む。別の実施形態では、配列番号:25は、最初の30個か
ら完全長のActA配列のアミノ酸399までを含む。別の実施形態では、切断ActA
は、最初の30個から配列番号:7のアミノ酸399までを含む。別の実施形態では、配
列番号:17は、最初の30個から配列番号:7のアミノ酸399までを含む。
【0080】
別の実施形態では、本明細書に開示された切断ActA配列はN末端においてhlyシ
グナルペプチドにさらに融合される。別の実施形態では、切断ActAは配列番号:18
を含むhlyシグナルペプチドに融合される
【0081】
M K K I M L V F I T L I L
V S L P I A Q Q T E A S R A
T D S E D S S L N T D E W
E E E K T E E Q P S E V N
T G P R Y E T A R E V S S R
D I E E L E K S N K V K N
T N K A D L I A M L K A K
A E K G P N N N N N N G E Q
T G N V A I N E E A S G V
D R P T L Q V E R R H P G
L S S D S A A E I K K R R K
A I A S S D S E L E S L T Y
P D K P T K A N K R K V A K
E S V V D A S E S D L D S
S M Q S A D E S T P Q P L
K A N Q K P F F P K V F K K
I K D A G K W V R D K. 別の実施形
態では、配列番号:18に示される切断ActAは「LA229」と呼ばれる。
【0082】
別の実施形態では、hlyシグナルペプチドに融合された切断ActAは、配列番号:
19を含む配列によってコードされるAtgaaaaaaataatgctagtttt
tattacacttatattagttagtctaccaattgcgcaacaa
actgaagcatctagagcgacagatagcgaagattccagtc
taaacacagatgaatgggaagaagaaaaaacagaagagca
gccaagcgaggtaaatacgggaccaagatacgaaactgca
cgtgaagtaagttcacgtgatattgaggaactagaaaaat
cgaataaagtgaaaaatacgaacaaagcagacctaatagc
aatgttgaaagcaaaagcagagaaaggtccgaataacaat
aataacaacggtgagcaaacaggaaatgtggctataaatg
aagaggcttcaggagtcgaccgaccaactctgcaagtgga
gcgtcgtcatccaggtctgtcatcggatagcgcagcggaa
attaaaaaaagaagaaaagccatagcgtcgtcggatagtg
agcttgaaagccttacttatccagataaaccaacaaaagc
aaataagagaaaagtggcgaaagagtcagttgtggatgct
tctgaaagtgacttagattctagcatgcagtcagcagacg
agtctacaccacaacctttaaaagcaaatcaaaaaccatt
tttccctaaagtatttaaaaaaataaaagatgcggggaaa
tgggtacgtgataaa (配列番号:19)。別の実施形態では、配列番号:
19は、XbaIに対して特有の制限酵素部位を作製するために使用されるリンカー領域
(太字、斜字体のテキストを参照のこと)をコードする配列を含み、これによりシグナル
配列の後に異なるポリペプチド、異種抗原等をクローンすることができる。よって、リン
カー領域がシグナルペプチド分割する前にシグナルペプチダーゼが配列上で作用すること
が当業者によって理解されるであろう。
【0083】
別の実施形態では、切断ActAタンパク質をコードする組み換え型ヌクレオチドは、
配列番号:20に示される配列を含む
atgcgtgcgatgatggtggttttcattactgccaattgca
ttacgattaaccccgacataatatttgcagcgacagatag
cgaagattctagtctaaacacagatgaatgggaagaagaa
aaaacagaagagcaaccaagcgaggtaaatacgggaccaa
gatacgaaactgcacgtgaagtaagttcacgtgatattaa
agaactagaaaaatcgaataaagtgagaaatacgaacaaa
gcagacctaatagcaatgttgaaagaaaaagcagaaaaag
gtccaaatatcaataataacaacagtgaacaaactgagaa
tgcggctataaatgaagaggcttcaggagccgaccgacca
gctatacaagtggagcgtcgtcatccaggattgccatcgg
atagcgcagcggaaattaaaaaaagaaggaaagccatagc
atcatcggatagtgagcttgaaagccttacttatccggat
aaaccaacaaaagtaaataagaaaaaagtggcgaaagagt
cagttgcggatgcttctgaaagtgacttagattctagcat
gcagtcagcagatgagtcttcaccacaacctttaaaagca
aaccaacaaccatttttccctaaagtatttaaaaaaataa
aagatgcggggaaatgggtacgtgataaaatcgacgaaaa
tcctgaagtaaagaaagcgattgttgataaaagtgcaggg
ttaattgaccaattattaaccaaaaagaaaagtgaagagg
taaatgcttcggacttcccgccaccacctacggatgaaga
gttaagacttgctttgccagagacaccaatgcttcttggt
tttaatgctcctgctacatcagaaccgagctcattcgaat
ttccaccaccacctacggatgaagagttaagacttgcttt
gccagagacgccaatgcttcttggttttaatgctcctgct
acatcggaaccgagctcgttcgaatttccaccgcctccaa
cagaagatgaactagaaatcatccgggaaacagcatcctc
gctagattctagttttacaagaggggatttagctagtttg
agaaatgctattaatcgccatagtcaaaatttctctgatt
tcccaccaatcccaacagaagaagagttgaacgggagagg
cggtagacca(配列番号:20)。
【0084】
別の実施形態では、組み換え型ヌクレオチドは配列番号:18に示される配列を有する
。別の実施形態では、組み換え型ヌクレオチドは、ActAタンパク質の断片をコードす
る他の配列を含む。
【0085】
別の実施形態では、「切断ActA」、「N末端ActA」、または「ΔActA」と
いう用語は、本明細書で交換可能に使用され、PESTドメインを含むActAの断片を
指す。別の実施形態では、これらの用語はPEST配列を含むActA断片を指す。別の
実施形態では、この用語はActAタンパク質の免疫原性断片を指す。別の実施形態では
、この用語は、本明細書に開示される配列番号:8~18によってコードされる切断Ac
tA断片を指す。
【0086】
一実施形態では、本発明の方法および組成物のN末端ActAタンパク質断片は配列番
号:8~18から選択される配列を含む。別の実施形態では、ActA断片はActAシ
グナルペプチドを含む。別の実施形態では、ActA断片は配列番号:8~18から選択
される配列からほぼ構成される。別の実施形態では、ActA断片は配列番号:8~18
から選択される配列から本質的に構成される。別の実施形態では、ActA断片は配列番
号:8~18から選択される配列に対応する。別の実施形態では、ActA断片は配列番
号:8~18から選択される配列と相同である。
【0087】
別の実施形態では、PEST配列は、原核生物に由来する別のPEST AA配列であ
る。PEST AA配列は、当該技術分野で既知の他のPEST配列であってもよい。
【0088】
別の実施形態では、ActA断片はActAタンパク質のおよそ最初の100 AAか
ら構成される。
【0089】
別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~25から構成される。別の実施形態
では、ActA断片はおよそ残基1~29から構成される。別の実施形態では、ActA
断片はおよそ残基1~50から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残
基1~75から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~100か
ら構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~125から構成される
。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~150から構成される。別の実施形
態では、ActA断片はおよそ残基1~175から構成される。別の実施形態では、Ac
tA断片はおよそ残基1~200から構成される。別の実施形態では、ActA断片はお
よそ残基1~225から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~
250から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~275から構
成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~300から構成される。別
の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~325から構成される。別の実施形態で
は、ActA断片はおよそ残基1~338から構成される。別の実施形態では、ActA
断片はおよそ残基1~350から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ
残基1~375から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~40
0から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~450から構成さ
れる。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~500から構成される。別の実
施形態では、ActA断片はおよそ残基1~550から構成される。別の実施形態では、
ActA断片はおよそ残基1~600から構成される。別の実施形態では、ActA断片
はおよそ残基1~639から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基
30~100から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~12
5から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~150から構成
される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~175から構成される。別
の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~200から構成される。別の実施形態
では、ActA断片はおよそ残基30~225から構成される。別の実施形態では、Ac
tA断片はおよそ残基30~250から構成される。別の実施形態では、ActA断片は
およそ残基30~275から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基
30~300から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~32
5から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~338から構成
される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~350から構成される。別
の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~375から構成される。別の実施形態
では、ActA断片はおよそ残基30~400から構成される。別の実施形態では、Ac
tA断片はおよそ残基30~450から構成される。別の実施形態では、ActA断片は
およそ残基30~500から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基
30~550から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基1~600
から構成される。別の実施形態では、ActA断片はおよそ残基30~604から構成さ
れる。
【0090】
別の実施形態では、ActA断片は上記のAA範囲のうちの1つに対応する相同Act
Aタンパク質の残基を含有する。別の実施形態では、残基番号は上記に列挙した残基番号
と必ずしも正確に対応する必要はなく、例えば、相同ActAタンパク質が本明細書で利
用されるActAタンパク質に対して挿入または欠失を有する場合、残基番号を適宜調節
することができる。他のActA断片が当該技術分野で既知である。
【0091】
別の実施形態では、相同ActAは、ActA配列(例えば、配列番号:5、7~18
のうちの1つ)に対する同一性が70%より高いことを指す。別の実施形態では、相同A
ctAは、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が72%より高いことを
指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性
が75%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のう
ちの1つに対する同一性が78%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列
番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が80%より高いことを指す。別の実施
形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が82%より高
いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対す
る同一性が83%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~
18のうちの1つに対する同一性が85%より高いことを指す。別の実施形態では、相同
は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が87%より高いことを指す。
別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が88
%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1
つに対する同一性が90%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:
5、7~18のうちの1つに対する同一性が92%より高いことを指す。別の実施形態で
は、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が93%より高いこと
を指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一
性が95%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18の
うちの1つに対する同一性が96%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配
列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が97%より高いことを指す。別の実
施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対する同一性が98%より
高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7~18のうちの1つに対
する同一性が99%より高いことを指す。別の実施形態では、相同は、配列番号:5、7
~18のうちの1つに対する同一性が100%であることを指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、「相同性」という用語は、本明細書に開示された任意の核
酸配列を参照するとき、対応する未変性核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中
のヌクレオチドのパーセンテージを指す。
【0093】
当該技術分野において適切に記述される方法によって、相同性は配列アライメントに対
してコンピューターアルゴリズムによって決定されてもよい。例えば、核酸配列相同性の
コンピューターアルゴリズム解析は入手可能な任意の数のソフトウェアパッケージの利用
を含む場合があり、これらは、例えば、BLAST、DOMAIN、BEAUTY(BL
AST増強アラインメントユーティリティ)、GENPEPT、およびTREMBLパッ
ケージなどである。
【0094】
別の実施形態では、「相同性」は本明細書に開示された配列から選択された配列との同
一性が68%より大きいことを指す。別の実施形態では、「相同性」は本明細書に開示さ
れた配列から選択された配列との同一性が70%より大きいことを指す。別の実施形態で
は、「相同性」は本明細書に開示された配列から選択された配列との同一性が72%より
大きいことを指す。別の実施形態では、同一性は75%より大きい。別の実施形態では、
同一性は78%より大きい。別の実施形態では、同一性は80%より大きい。別の実施形
態では、同一性は82%より大きい。別の実施形態では、同一性は83%より大きい。別
の実施形態では、同一性は85%より大きい。別の実施形態では、同一性は87%より大
きい。別の実施形態では、同一性は88%より大きい。別の実施形態では、同一性は90
%より大きい。別の実施形態では、同一性は92%より大きい。別の実施形態では、同一
性は93%より大きい。別の実施形態では、同一性は95%より大きい。別の実施形態で
は、同一性は96%より大きい。別の実施形態では、同一性は97%より大きい。別の実
施形態では、同一性は98%より大きい。別の実施形態では、同一性は99%より大きい
。別の実施形態では、同一性は100%である。
【0095】
別の実施形態では、本開示のLLOタンパク質、ActAタンパク質、またはその断片
は、正確に本明細書に示される配列通りに示される必要はないが、本明細書のどこかに示
されるLLOまたはActAタンパク質の機能的な特徴を保持する他の改変、修飾、また
は変更を行うことができる。別の実施形態では、本開示はLLOタンパク質、ActAタ
ンパク質、またはその断片の類似体を利用する。別の実施形態では、保存AA配列の差異
によって、または配列に影響しない修飾によって、または両方によって、類似体は自然発
生したタンパク質またはペプチドとは異なる。
【0096】
別の実施形態では、相同性は、候補配列ハイブリダイゼーションの決定を介し決定され
、その方法は当業者によりよく記述されている(例えば、“Nucleic Acid
Hybridization” Hames, B. D., and Higgins
S. J., Eds.(1985); Sambrook et al., 200
1, Molecular Cloning, A Laboratory Manua
l, Cold Spring Harbor Press, N.Y.; and A
usubel et al., 1989, Current Protocols i
n Molecular Biology, Green Publishing As
sociates and Wiley Interscience, N.Yを参照)
。例えば、ハイブリダイゼーションの方法は、ネイティブカスパーゼペプチドをコードす
るDNAの補体に対して中程度からストリンジェントな条件下で実行される場合がある。
例えば、ハイブリダイゼーション条件は、10~20%のホルムアミド、5×SSC(1
50mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム
(pH7.6)、5×デンハート液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/mL
の変性断片化サケ精子DNAを含む溶液中42℃にて一晩のインキュベーションである。
【0097】
一実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリアは、ファゴリソソームを
避ける能力を有する。
【0098】
一実施形態では、異種抗原またはその抗原性部分をコードする核酸配列は、リステリア
染色体内にフレーム内で統合される。別の実施形態では、異種抗原をコードする統合核酸
配列は、ActAを持つフレーム内のActA遺伝子座にて統合される。別の実施形態で
は、ActAをコードする染色体の核酸は、抗原をコードする配列を含む核酸分子によっ
て置き換えられる。別の実施形態では、抗原は本明細書に開示されており、かつ当該技術
分野で既知の任意の抗原である。
【0099】
一実施形態では、本明細書に開示される第2の核酸分子または構築体は代謝酵素をコー
ドするオープンリーディングフレームを含む。別の実施形態では、代謝酵素は、組み換え
型リステリア株の染色体内で突然変異した内因性遺伝子を相補する。別の実施形態では、
代謝酵素は、組み換え型リステリア株の染色体を欠いている内因性遺伝子を相補する。別
の実施形態では、オープンリーディングフレームによってコードされる代謝酵素はアラニ
ン・ラセマーゼ酵素(dal)である。別の実施形態では、オープンリーディングフレー
ムによってコードされる代謝酵素はD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素(dat)であ
る。別の実施形態では、本明細書に開示されたリステリア株は内因性dal/dat遺伝
子内の突然変異を含む。別の実施形態では、リステリアはdal/dat遺伝子を欠いて
いる。
【0100】
別の実施形態では、本開示の方法および組成物の核酸分子は、プロモーター/調節性配
列に動作可能にリンクする。別の実施形態では、本開示の方法および組成物のオープンリ
ーディングフレームは、プロモーター/調節性配列に動作可能にリンクする。別の実施形
態では、本明細書に開示されるオープンリーディングフレームの各々はプロモーター/調
節性配列に動作可能にリンクする。別の実施形態では、本明細書に開示されるオープンリ
ーディングフレームの各々の発現は単一のプロモーター/調節性配列から駆動される。
【0101】
一実施形態では、hlyプロモーターおよびhlyシグナル配列は、本明細書に開示さ
れるキメラタンパク質の発現を駆動するように動作可能にリンクする。別の実施形態では
、actAプロモーターおよびactAシグナル配列は本明細書に記述されるキメラタン
パク質の発現を駆動するように動作可能にリンクする。
【0102】
「代謝酵素」は、宿主細菌によって要求される栄養素の合成に関与する酵素を指す。別
の実施形態では、この用語は宿主細菌によって要求される栄養素の合成のために要求され
る酵素を指す。別の実施形態では、この用語は宿主細菌によって利用される栄養素の合成
に関与する酵素を指す。別の実施形態では、この用語は宿主細菌の増殖の保持のために要
求される栄養素の合成に関与する酵素を指す。別の実施形態では、この酵素は栄養素の合
成のために要求される。
【0103】
別の実施形態では、組み換え型リステリアは、弱毒化栄養要求性株である。
【0104】
一実施形態では、弱毒化株は、Lm dal(-)dat(-)(Lmdd)である。
別の実施形態では、弱毒化株は、Lm dal(-)dat(-)ΔactA(Lmdd
A)である。LmddAは、リステリアワクチンベクターに基づき、これは病毒性遺伝子
actAの欠失に起因して弱毒化され、かつインビボおよびインビトロで、dal遺伝子
の相補によってプラスミドの発現を保持する。
【0105】
別の実施形態では、弱毒化株はLmddAである。別の実施形態では、弱毒化株はLm
ΔactAである。別の実施形態では、弱毒化株はLmΔprfAである。別の実施形態
では、弱毒化株はLmΔplcBである。別の実施形態では、弱毒化株はLmΔplcA
である。別の実施形態では、株は上述の株のいずれかの二重変異体または三重変異体であ
る。別の実施形態では、この株は、リステリアベースのワクチンの先天的な特性である強
いアジュバント効果を発揮する。別の実施形態では、この株はEGDリステリアバックボ
ーンから作られる。別の実施形態では、本開示で使用される株はゲノムの溶血性LLOを
発現するリステリア株である。
【0106】
別の実施形態では、リステリア株は、栄養要求性突然変異体である。別の実施形態では
、リステリア株はビタミン合成遺伝子をコードする遺伝子が欠損している。別の実施形態
では、リステリア株はパントテン酸シンターゼをコードする遺伝子が欠損している。
【0107】
一実施形態では、リステリア株はアミノ酸(AA)代謝酵素が欠損している。一実施形
態では、D-アラニンを欠損したリステリアの栄養要求性株の生成は、例えば、欠失突然
変異生成、挿入突然変異生成、およびフレームシフト突然変異の発生の結果として生じる
突然変異生成、タンパク質の中途終始を生じる突然変異、または遺伝子発現に影響を与え
る調節性配列の突然変異を含む、当業者には周知の数多くの方法で達成されうる。別の実
施形態では、組み換え型DNA技法を使用して、または変異原性化学薬品もしくは放射、
およびそれに続く突然変異体の選択を使用する従来の突然変異生成技術を使用して突然変
異生成を達成することができる。別の実施形態では、栄養要求性表現型の復帰をともなう
可能性が低いため、欠失変異体が好ましい。別の実施形態では、本明細書に提示されるプ
ロトコルに従って生成されるD-アラニンの変異体は、単純な実験室の培養アッセイでD
-アラニンの非存在下で成長する能力を試験される場合がある。別の実施形態では、この
化合物の非存在下で成長することができない変異体がさらなる研究のために選択される。
【0108】
別の実施形態では、本明細書に開示されるとおり、リステリアの突然変異生成のための
標的として上述のD-アラニンに関連する遺伝子に加えて、代謝酵素の合成に関与する他
の遺伝子が使用されてもよい。
【0109】
別の実施形態では、代謝酵素は、組み換え型細菌株の染色体の残りのものに欠けている
内在性代謝遺伝子を相補する。一実施形態では、内在性代謝遺伝子は、染色体内で突然変
異する。別の実施形態では、内在性代謝遺伝子は染色体から欠失される。別の実施形態で
は、代謝酵素はアミノ酸代謝酵素である。別の実施形態では、代謝酵素は組み換え型リス
テリア株内で細胞壁合成のために使用されるアミノ酸の形成を触媒する。別の実施形態で
は、代謝酵素はアラニン・ラセマーゼ酵素である。別の実施形態では、代謝酵素はD-ア
ミノ酸トランスフェラーゼ酵素である。
【0110】
一実施形態では、栄養要求性リステリア株は、栄養要求性リステリア株の栄養要求性を
相補する代謝酵素を含むエピソームの発現ベクターを含む。別の実施形態では、構成物は
エピソームの様式でリステリア株内に含有される。別の実施形態では、外来抗原またはペ
プチドは組み換え型リステリア株が抱えるベクターから発現される。別の実施形態では、
エピソームの発現ベクターは抗生物質耐性マーカーを欠いている。別の実施形態では、リ
ステリア株はDグルタミン酸シンターゼ遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リス
テリア株はdat遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株はdal遺伝
子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株はdga遺伝子が欠損している。別
の実施形態では、リステリア株は、ジアミノピメリン酸の合成に関与する遺伝子が欠損し
ている。CysK。別の実施形態では、遺伝子はビタミンB12に依存しないメチオニン
シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はtrpAである。別の実施形態では、遺
伝子はtrpBである。別の実施形態では、遺伝子はtrpEである。別の実施形態では
、遺伝子はasnBである。別の実施形態では、遺伝子はgltDである。別の実施形態
では、遺伝子はgltBである。別の実施形態では、遺伝子はleuAである。別の実施
形態では、遺伝子はargGである。別の実施形態では、遺伝子はthrCである。別の
実施形態では、リステリア株は上述の遺伝子のうちの1つ以上が欠損している。
【0111】
別の実施形態では、リステリア株はシンターゼ遺伝子が欠損している。別の実施形態で
は、遺伝子は、AA合成遺伝子である。別の実施形態では、遺伝子は、folPである。
別の実施形態では、遺伝子はジヒドロウリジンシンターゼファミリータンパク質である。
別の実施形態では、遺伝子はispDである。別の実施形態では、遺伝子はispFであ
る。別の実施形態では、遺伝子はホスホエノールピルビン酸シンターゼである。別の実施
形態では、遺伝子はhisFである。別の実施形態では、遺伝子はhisHである。別の
実施形態では、遺伝子はfliIである。別の実施形態では、遺伝子はリボソームの大型
サブユニットシュードウリジンシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はispD
である。別の実施形態では、遺伝子は二機能性GMPシンターゼ/グルタミンアミドトラ
ンスフェラーゼタンパク質である。別の実施形態では、遺伝子はcobSである。別の実
施形態では、遺伝子はcobBである。別の実施形態では、遺伝子はcbiDである。別
の実施形態では、遺伝子はウロポルフィリン-IIIC-メチルトランスフェラーゼ/ウ
ロポルフィリノゲン-IIIシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はcobQで
ある。別の実施形態では、遺伝子はuppSである。別の実施形態では、遺伝子はtru
Bである。別の実施形態では、遺伝子はdxsである。別の実施形態では、遺伝子はmv
aSである。別の実施形態では、遺伝子はdapAである。別の実施形態では、遺伝子は
ispGである。別の実施形態では、遺伝子はfolCである。別の実施形態では、遺伝
子は、クエン酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はargJである。別の実
施形態では、遺伝子は3-デオキシ-7-ホスホヘプツロン酸シンターゼである。別の実
施形態では、遺伝子はインドール-3-グリセロール-リン酸シンターゼである。別の実
施形態では、遺伝子はアントラニル酸シンターゼ/グルタミンアミドトランスフェラーゼ
構成成分である。別の実施形態では、遺伝子はmenBである。別の実施形態では、遺伝
子はメナキノン特異的イソコリスミ酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はホ
スホリボシルホルミルグリシンアミジンシンターゼIまたはIIである。別の実施形態で
は、遺伝子はホスホリボシルアミノイミダゾール-スクシノカルボキサミドシンターゼで
ある。別の実施形態では、遺伝子はcarBである。別の実施形態では、遺伝子はcar
Aである。別の実施形態では、遺伝子はthyAである。別の実施形態では、遺伝子はm
gsAである。別の実施形態では、遺伝子はaroBである。別の実施形態では、遺伝子
はhepBである。別の実施形態では、遺伝子はrluBである。別の実施形態では、遺
伝子はilvBである。別の実施形態では、遺伝子はilvNである。別の実施形態では
、遺伝子はalsSである。別の実施形態では、遺伝子はfabFである。別の実施形態
では、遺伝子はfabHである。別の実施形態では、遺伝子はシュードウリジンシンター
ゼである。別の実施形態では、遺伝子はpyrGである。別の実施形態では、遺伝子はt
ruAである。別の実施形態では、遺伝子はpabBである。別の実施形態では、遺伝子
はatpシンターゼ遺伝子(例えば、atpC、atpD-2、aptG、atpA-2
、等々)である。
【0112】
別の実施形態では、遺伝子はphoPである。別の実施形態では、遺伝子はaroAで
ある。別の実施形態では、遺伝子はaroCである。別の実施形態では、遺伝子はaro
Dである。別の実施形態では、遺伝子はplcBである。
【0113】
別の実施形態では、リステリア株はペプチド輸送体が欠損している。別の実施形態では
、遺伝子はABC輸送体/ATP結合/パーミアーゼタンパク質である。別の実施形態で
は、遺伝子はオリゴペプチドABC輸送体/オリゴペプチド結合タンパク質である。別の
実施形態では、遺伝子はオリゴペプチドABC輸送体/パーミアーゼタンパク質である。
別の実施形態では、遺伝子は亜鉛ABC輸送体/亜鉛結合タンパク質である。別の実施形
態では、遺伝子は糖ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はリン酸輸送体であ
る。別の実施形態では、遺伝子はZIP亜鉛輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は
EmrB/QacAファミリーの薬剤耐性輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は硫
酸塩輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はプロトン依存性オリゴペプチド輸送体で
ある。別の実施形態では、遺伝子はマグネシウム輸送体である。別の実施形態では、遺伝
子は蟻酸塩/亜硝酸塩輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はスペルミジン/プトレ
シンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はNa/Pi共輸送体である。別の
実施形態では、遺伝子は糖リン酸輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はグルタミン
ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はメジャーファシリテイターファミリー
輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はグリシンベタイン/L-プロリンABC輸送
体である。別の実施形態では、遺伝子はモリブデンABC輸送体である。別の実施形態で
は、遺伝子はテイコ酸ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はコバルトABC
輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はアンモニウム輸送体である。別の実施形態で
は、遺伝子はアミノ酸ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は細胞分裂ABC
輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はマンガンABC輸送体である。別の実施形態
では、遺伝子は鉄化合物ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はマルトース/
マルトデキストリンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はBcr/CflA
ファミリーの薬剤耐性輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は上記のタンパク質のう
ちの1つのサブユニットである。
【0114】
一実施形態では、組み換え型リステリアに到達するために、リステリアを形質転換する
ために使用される核酸分子が本明細書に開示されている。別の実施形態では、リステリア
を形質転換するために使用される本明細書に開示される核酸は病毒性遺伝子を欠いている
。別の実施形態では、核酸分子はリステリアゲノムの中へと組み込まれ、非機能性病毒性
遺伝子を担持する。別の実施形態では、病毒性遺伝子は組み換え型リステリア内で突然変
異する。さらに別の実施形態では、核酸分子はリステリアゲノム内に存在する内因性の遺
伝子を不活性化するために使用される。また別の実施形態では、病毒性遺伝子は、act
A遺伝子、inlA遺伝子、ならびにinlB遺伝子、inlC遺伝子、inlJ遺伝子
、plbC遺伝子、bsh遺伝子、またはprfA遺伝子である。病毒性遺伝子は、組み
換え型リステリア内で、病毒性と関連付けられる当該技術分野で既知の任意の遺伝子とす
ることができることが当業者によって理解されるべきである。
【0115】
また別の実施形態では、リステリア株は、inlA突然変異体、inlB突然変異体、
inlC突然変異体、inlJ突然変異体、prfA突然変異体、actA突然変異体、
dal/dat突然変異体、plcB欠失突然変異体、またはplcAおよびplcBの
両方を欠いている二重変異体である。別の実施形態では、リステリアはこれらの遺伝子の
個別または組合せでの欠失または突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に開示さ
れたリステリアは、各々遺伝子のうちの1つを欠いている。別の実施形態では、本明細書
に開示されたリステリアは、actA、prfA、およびdal/dat遺伝子を含む本
明細書に開示されたいずれかの遺伝子のうちの少なくとも1個かつ最高10個を欠いてい
る。別の実施形態では、prfA突然変異体はD133V PrfA突然変異体である。
【0116】
一実施形態では、弱毒化生リステリアは、組み換え型リステリアである。別の実施形態
では、組み換え型リステリアは、ゲノムインターナリンC(inlC)遺伝子の突然変異
または欠失を含む。別の実施形態では、組み換え型リステリアは、ゲノムactA遺伝子
およびゲノムインターナリンC遺伝子の突然変異または欠失を含む。一実施形態では、リ
ステリアの隣接するT細胞への転座は、プロセス中に関与するactA遺伝子および/ま
たはinlC遺伝子の欠失によって阻害され、これはプロセスに関与するので、それによ
って、免疫原性の増加およびワクチンバックボーンとしての有用性によって結果として予
想外に高いレベルの弱毒化が得られる。
【0117】
一実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、リステリア株の染色体で欠けてい
る。別の実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子等は、リステリア株のゲノムを欠いて
いる。一実施形態では、病毒性遺伝子は、染色体内で突然変異する。別の実施形態では、
病毒性遺伝子は染色体から欠失される。別の実施形態では、病毒性遺伝子は、染色体内で
不活性化される。
【0118】
一実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は弱毒化されている。
別の実施形態では、組み換え型リステリアは、actA病毒性遺伝子を欠いている。別の
実施形態では、組み換え型リステリアは、prfA病毒性遺伝子を欠いている。別の実施
形態では、組み換え型リステリアはinlB遺伝子を欠いている。別の実施形態では、組
み換え型リステリアはactAおよびinlB遺伝子の両方を欠いている。別の実施形態
では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は内因性actA遺伝子の不活性化
突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は内
因性inlB遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に開示され
た組み換え型リステリア株は内因性inlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施
形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は内因性ActAおよびinl
B遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に開示された組み換え
型リステリア株は内因性ActAおよびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の
実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は内因性ActA、inl
BおよびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に開示
された組み換え型リステリア株は内因性ActA、inlBおよびinlC遺伝子の不活
性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株
は内因性ActA、inlBおよびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施
形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は以下の遺伝子:actA、d
al、dat、inlB、inlC、prfA、plcA、plcBのうちの任意の単一
遺伝子または遺伝子の組み合わせの不活性化突然変異を含む。一実施形態では、「欠いて
いる」という用語は、ゲノム病毒性遺伝子に関連するとき、病毒性遺伝子が欠失した(部
分的もしくは全体的な欠失)、または別の方法で染色体から機能的に発現されていないこ
とを意味する。かかる用語は、染色体内の病毒性遺伝子の部分的な欠失または遺伝子全体
の欠失も包含する場合がある。
【0119】
「突然変異」という用語およびその文法的な同等物は、配列(核酸またはアミノ酸配列
)に対する任意のタイプの突然変異または修飾を含み、これにはアミノ酸欠失突然変異、
置換、置き換え、切断、不活性化、妨害、または転座を含むことを当業者は理解するであ
ろう。突然変異のこれらのタイプは当該技術分野でよく知られている。
【0120】
一実施形態では、本明細書に開示された代謝酵素または相補する遺伝子をコードするプ
ラスミドを含む栄養要求性細菌を選択するために、形質転換した栄養要求性細菌をアミノ
酸代謝遺伝子または相補遺伝子の発現を選択する培地上で成長させる。別の実施形態では
、D-グルタミン酸合成のための栄養要求性の細菌は、D-グルタミン酸合成のための遺
伝子を含むプラスミドを用いて形質転換され、また栄養要求性細菌はD-グルタミン酸無
しで増殖することになり、一方でD-グルタミン酸合成のためにプラスミドを用いて形質
転換されていない栄養要求性細菌、またはタンパク質をコードするプラスミドを発現して
いない栄養要求性細菌は、増殖しないことになる。別の実施形態では、D-アラニン合成
のための栄養要求性の細菌は、プラスミドがD-アラニン合成のためのアミノ酸代謝酵素
をコードする孤立核酸を含む場合、本開示のプラスミドを形質転換し、かつ発現するとき
D-アラニン無しで増殖することになる。必要な増殖因子、サプリメント、アミノ酸、ビ
タミン、抗生物質、およびこれに類するものを含んでいる、または欠いている適切な培地
を作成するためのかかる方法は当該技術分野で既知であり、また市販されている(Bec
ton-Dickinson、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)
【0121】
別の実施形態では、本開示のプラスミドを含む栄養要求性細菌が一旦選択されると、こ
の細菌は適切な培地上で選択圧の存在下で繁殖する。かかる繁殖は、栄養要求性因子を有
しない培地内での細菌の増殖を含む。栄養要求性細菌内でのアミノ酸代謝酵素を発現する
プラスミドの存在は、細菌とともにプラスミドの複製を確保し、したがって継続的にプラ
スミドが規制する細菌を選択する。本開示および本明細書の方法を備えるとき、プラスミ
ドを含む栄養要求性細菌が増殖する培地の体積を調節することによって、当業者は、リス
テリアワクチンベクターの生産を容易にスケールアップすることができる。
【0122】
別の実施形態では、他の栄養要求性株および相補系が本発明の使用に適合されることを
当業者は理解するであろう。
【0123】
一実施形態では、本明細書に開示された組み換え型リステリア株は、本明細書に開示さ
れたキメラタンパク質を発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株はキメラ
タンパク質をコードするプラスミドを含む。別の実施形態では、本明細書に開示された組
み換え型核酸は、本明細書に開示された組み換え型リステリア株のプラスミド中にある。
別の実施形態では、プラスミドは、組み換え型リステリア株の染色体の中へと統合されな
いエピソーム性プラスミドである。別の実施形態では、プラスミドはマルチコピープラス
ミドである。別の実施形態では、プラスミドはリステリア株の染色体の中へと組み込まれ
る組み込みプラスミドである。
【0124】
一実施形態では、本明細書に開示される組み換え型リステリア株は、腫瘍関連1ペプチ
ドをコードする核酸分子を含む。
【0125】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物の組み換え型リステリア株
は、リステリアゲノムにオープンリーディングフレームとして内因性ActA配列ととも
に動作可能に組み込まれる核酸分子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される方
法および組成物の組み換え型リステリア株は、アミノ末端上でユビキチンタンパク質に融
合されるペプチド抗原を含むキメラタンパク質をコードする核酸分子を含むエピソーム性
の発現ベクターを含む。一実施形態では、ペプチド抗原の発現および分泌は、actAプ
ロモーターおよびActAシグナル配列制御下にあり、またこれはActA(切断Act
AまたはtActA)の1~233アミノ酸への融合として発現される。別の実施形態で
は、ペプチド抗原の発現および分泌は、actAプロモーターおよびActAシグナル配
列制御下にあり、またこれはActA(切断ActAまたはtActA)の1~100ア
ミノ酸への融合として発現される。別の実施形態では、ペプチド抗原の発現および分泌は
、actAプロモーターおよびActAシグナル配列制御下にあり、またこれはActA
(切断ActAまたはtActA)の1~300アミノ酸への融合として発現される。別
の実施形態では、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,655,
238号に記述されるように、切断ActAは野生型ActAタンパク質の最初の390
のアミノ酸から成る。別の実施形態では、米国特許公開第2014/0186387号に
記述されるように、切断ActAは、ActA-N100またはその修正版(ActA-
N100*と称される)であり、この中でPESTモチーフを欠失しており、非保存的な
QDNKR置換を含有する。
【0126】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物の組み換え型リステリア株
は、リステリアゲノムにオープンリーディングフレームとして内因性LLO配列とともに
動作可能に組み込まれる核酸分子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される方法
および組成物の組み換え型リステリア株は、アミノ末端上でユビキチンタンパク質に融合
されるペプチド抗原を含むキメラタンパク質をコードする核酸分子を含むエピソーム性の
発現ベクターを含む。一実施形態では、ペプチド抗原の発現および分泌は、LLOプロモ
ーターおよびLLOシグナル配列の制御下にあり、またこれはLLO(切断LLOまたは
tLLO)の1~50アミノ酸への融合として発現される。別の実施形態では、ペプチド
抗原の発現および分泌は、LLOプロモーターおよびLLOシグナル配列の制御下にあり
、またこれはLLO(切断LLOまたはtLLO)の1~100アミノ酸への融合として
発現される。別の実施形態では、ペプチド抗原の発現および分泌は、LLOプロモーター
およびLLOシグナル配列の制御下にあり、またこれはLLO(切断LLOまたはtLL
O)の1~300アミノ酸への融合として発現される。別の実施形態では、切断LLOは
、野生型LLOの最初の420アミノ酸から成る。
【0127】
一実施形態では、無処置の動物、または無関連のリステリアワクチンを注射したマウス
ではCTL活性は検出されなかった。一方で、別の実施形態では、本明細書に開示される
キメラタンパク質を発現する弱毒化栄養要求性株は、IFN-γの分泌を刺激することが
でき、かつ抗腫瘍免疫応答を引き出すことができる。
【0128】
別の実施形態では、リステリア株は、ペプチド抗原に対する耐性を破壊する能力を有す
る強くかつ抗原特異的な抗腫瘍応答を行使する。
【0129】
一実施形態では、免疫化したマウスの脾臓からより迅速に除去されるので、dal/d
at/actA株は高度に弱毒化され、以前のリステリアワクチン世代より良好な安全性
プロファイルを有する。別の実施形態では、リステリア株は、腫瘍内の調節性T細胞(T
reg)の著しい減少を生じる。別の実施形態では、LmddAワクチンで処理した腫瘍
内のTregのより低い頻度は、腫瘍内のCD8/Treg比の増加をもたらし、Lmd
dAワクチンを用いた免疫化後により好ましい腫瘍の微小環境を得ることができることを
示唆する。
【0130】
一実施形態では、「ペプチド抗原」という用語は、以下の用語、すなわち「抗原」、「
抗原断片」、「抗原性ペプチド」、または「抗原ペプチド」と交換可能に使用される。「
ペプチド抗原」という用語が、主要な組織適合性複合体(MHC)分子の状況で抗原提示
細胞(APC)に提示される場合、免疫応答を引き出す能力を有する異種抗原またはその
断片を包含することを当業者は理解するであろう。
【0131】
本明細書に列挙された任意のアミノ酸配列に対するタンパク質および/またはペプチド
相同性は、一実施形態では、免疫ブロット解析を含む当該技術分野において適切に記述さ
れる方法によって、または確立された方法を介して利用可能な任意の数のソフトウェアパ
ッケージを利用したアミノ酸配列のコンピューターアルゴリズム解析を介して決定される
。これらのパッケージのうちのいくつかはFASTA、BLAST、MPsrch、また
はScanpsパッケージを含んでもよく、また例えば、スミス-ウォーターマンアルゴ
リズムの使用、および/または解析のための広範囲/局所的もしくはBLOCKSアライ
ンメントを採用してもよい。
【0132】
別の実施形態では、本明細書に開示された構築体または核酸分子は相同的組み換えを使
用してリステリア染色体の中へと組み込まれる。相同的組み換えのための技法は当該技術
分野で周知であり、また例えば以下の文献に記述されている。Baloglu S、Bo
yle SM、et al.(Immune responses of mice t
o vaccinia virus recombinants expressing
either Listeria monocytogenes partial l
isteriolysin or Brucella abortus ribosom
al L7/L12 protein.Vet Microbiol 2005, 10
9(1-2):11-7);およびJiang LL, Song HH, et al
., (Characterization of a mutant Listeri
amonocytogenes strain expressing green f
luorescent protein.Acta Biochim Biophys
Sin (Shanghai) 2005, 37(1):19-24)。別の実施形態
では、相同的組み換えを米国特許第6,855,320号に記述されるように実施した。
この場合、E7を発現する組み換え型Lm株は、hlyプロモーターの制御下で、また遺
伝子産物の分泌を確保するためにhlyシグナル配列を含めることによって、E7遺伝子
の染色体組み込みによって作成され、Lm-AZ/E7と称される組み換え型を得る。別
の実施形態では、温度感受性プラスミドは、組み換え型を選択するために使用される。
【0133】
別の実施形態では、構築体または核酸分子はトランスポゾン挿入を使用してリステリア
染色体の中へと組み込まれる。トランスポゾン挿入の技法は当該技術分野で周知であり、
とりわけ以下のSunらの文献 DP-L967の構造における(Infection
and Immunity 1990, 58: 3770-3778)に記載されてい
る。トランスポゾン突然変異生成は、別の実施形態では、安定したゲノム挿入変異体を形
成することができるという有利点を有するが、外来性遺伝子が挿入されるゲノム内の位置
が未知であるという不利点を有する。
【0134】
別の実施形態では、構築体または核酸分子は、ファージ組み込み部位を使用してリステ
リアの染色体の中へと組み込まれる(Lauer P,Chow MY et al,C
onstruction,characterization,and use of
two Listeria monocytogenes site-specific
phage integration vectors.J Bacteriol 2
002;184(15):4177-86)。この方法のある特定の実施形態では、異種
遺伝子を、ゲノム内の任意の適切な部位であってもよい、対応する付着部位(例えば、c
omKまたはarg tRNA遺伝子の3‘端)の中へとインサートするために、バクテ
リオファージ(例えば、U153またはPSAリステリオファージ)のインテグラーゼ遺
伝子および付着部位が使用される。別の実施形態では、内因性のプロファージは構築体ま
たは異種遺伝子組込の前に利用された付着部位から回復した。別の実施形態では、この方
法は結果として単一コピー組み込み体をもたらす。別の実施形態では、本開示は、臨床用
途のためのファージベースの染色体組み込み系をさらに含み、ここでd-アラニン・ラセ
マーゼを含むがこれに限定されない必須酵素のための栄養要求性である宿主株を使用する
ことができ、例えば、Lmdal(-)dat(-)である。別の実施形態では、「ファ
ージキュアリング工程」を避けるためにPSAに基づくファージ組み込み系を使用する。
別の実施形態では、これは組み込まれた遺伝子を維持するために抗生物質による継続的な
選択を必要とする。したがって、別の実施形態では、本開示は、抗生物質を用いた選択を
必要としないファージベースの染色体組み込み系の確立を可能にする。代わりに、栄養要
求性宿主株を相補することができる。
【0135】
本明細書で開示される方法および組成物の一実施形態では、「組み換え部位」または「
部位特異的な組み換え部位」という用語は、組み換え部位に隣接する核酸区分の交換また
は切除を媒介するリコンビナーゼによって(いくつかの事例では、関連するタンパク質と
ともに)識別される核酸分子内の塩基の配列を指す。リコンビナーゼおよび関連するタン
パク質は「組み換え型タンパク質」と総称される(例えば、Landy,A.,(Cur
rent Opinion in Genetics & Development)3
:699-707;1993)を参照のこと)。
【0136】
「ベクター」という用語はプラスミドを包含しうることを当業者は理解するであろう。
別の実施形態では、この用語は、リステリア宿主へと形質転換され、かつリステリアの染
色体内に前記ベクターから成る遺伝子の発現を可能にするようにする様式で組み込まれる
能力を有する組込み型ベクターを指す。別の実施形態では、この用語は、リステリアの染
色体内に統合されないが、その代わりに前記リステリアの細胞質内に存在する非組込み型
ベクターを指す。別の実施形態では、該用語は組込み型ベクターを含むプラスミドを指す
。別の実施形態では、組込み型ベクターは部位特異的な組込み型ベクターである。
【0137】
本開示および本明細書に開示される方法が装備されたとき、異なる転写プロモーター、
停止剤、キャリアベクター、または特異的な遺伝子配列(例えば、市販のクローニングベ
クター内のもの)を本発明の方法および組成物内で順調に使用することができることを当
業者は容易に理解するであろう。本発明で意図されるように、これらの機能性は、例えば
、pUCシリーズとして知られる市販のベクターで提供される。別の実施形態では、非必
須DNA配列(例えば、抗生物質抵抗性遺伝子)は除去される。別の実施形態では、本発
明で市販のプラスミドが使用される。かかるプラスミドは、例えば、Invitroge
n(米国カリフォルニア州La Jolla)、Stratagene(カリフォルニア
州La Jolla)、Clontech(カリフォルニア州Palo Alto)など
の様々な供給元から入手可能であり、または当該技術分野で周知の方法を使用して構築す
ることができる。
【0138】
別の実施形態は、pCR2.1(Invitrogen、米国カリフォルニア州La
Jolla)などのプラスミドであり、これは原核生物の複製起点および原核生物内での
発現を容易にするプロモーター/調節要素を有する原核生物発現ベクターである。別の実
施形態では、外来ヌクレオチド配列は、プラスミドのサイズを減少しかつその中に定置す
ることができるカセットのサイズを増加するために除去される。
【0139】
かかる方法は当該技術分野で周知であり、また例えば、Sambrook et al
.(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Ma
nual、Cold Spring Harbor Laboratory Press
、New York)およびAusubei et al.(1997,Current
Protocols in Molecular Biology,Green &
Wiley,New York)に記述されている。
【0140】
抗生物質抵抗性遺伝子は、分子生物学およびワクチン調製で一般的に採用される従来の
選択およびクローニングプロセスで使用される。本開示で企図される抗生物質抵抗性遺伝
子としては、アンピシリン、ペニシリン、メチシリン、ストレプトマイシン、エリスロマ
イシン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール(CAT)、ネオマイ
シン、ハイグロマイシン、ゲンタマイシンおよび当該技術分野で周知の他のものに抵抗を
与える遺伝子産物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0141】
本開示で有用なプラスミドおよび他の発現ベクターは、本明細書のどこかに記述され、
プロモーター/調節配列、グラム陰性およびグラム陽性細菌に対する複製の起点、融合タ
ンパク質をコードする孤立核酸、および分離されたアミノ酸代謝遺伝子をコードする核酸
などの特徴を含むことができる。さらに、融合タンパク質およびアミノ酸代謝遺伝子をコ
ードする孤立核酸は、かかる孤立核酸の発現を駆動するのに好適なプロモーターを有する
。細菌系で発現を駆動するために有用であるプロモーターは当該技術分野で周知であり、
またバクテリオファージλ、pBR322のβラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーター
、およびpBR325のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のCA
Tプロモーターを含む。原核生物プロモーターのさらなる例として、5 バクテリオファ
ージλの主要な右および左のプロモーター(PLおよびPR)、trp、recA、la
cZ、lad、および[2]E. coli[3]のgalプロモーター、αアミラーゼ
(Ulmanen et al, 1985. J. Bacteriol. 162:
176-182)およびB. subtilisのS28特異的プロモーター(Gilm
an et al, 1984 Gene 32:11- 20)、Bacillusの
バクテリオファージのプロモーター(Gryczan, 1982, In: The
Molecular Biology of the Bacilli, Academ
ic Press, Inc., New York)およびストレプトミセスプロモー
ター(Ward et al, 1986, Mol. Gen. Genet. 20
3:468-478)が挙げられる。本開示において企図される追加的な原核生物プロモ
ーターは、例えば、Glick(1987,J.Ind.Microbiol.1:27
7-282)、Cenatiempo,(1986,Biochimie,68:505
-516)、およびGottesman,(1984,Ann.Rev.Genet.1
8:415-442)で概説されている。本開示で企図されるプロモーター/調節要素の
さらなる実施例としては、リステリアのprfAプロモーター、リステリアのhlyプロ
モーター、リステリアのp60プロモーター、およびリステリアのActAプロモーター
(遺伝子銀行受入番号NC_003210)またはその断片が挙げられるが、これらに限
定されない。
【0142】
別の実施形態では、含む部分配列の方法および組成物のプラスミドは分割され、ならび
に適切な部分配列は適切な制限酵素を使用してクローニングされる。別の実施形態では、
次いで断片は連結され、望ましいDNA配列が生産される。別の実施形態では、抗原をコ
ードするDNAは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)などのDNA増幅法を使
用して生産され、その技法は当該技術分野で周知である。
【0143】
「ファージ発現ベクター」または「ファージミド」とは、本明細書で開示されるような
方法および組成物の核酸配列をインビトロまたはインビボで、任意の細胞(原核生物細胞
、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳類の細胞を含む)内で構造的に
または誘導的に発現する目的の任意のファージベースの組み換え型発現系を指す。ファー
ジ発現ベクターは、典型的には、細菌細胞内で再生すること、および適切な条件下でファ
ージ粒子を生成することの両方を可能にすることができる。この用語は線形または円形の
発現系を含み、またエピソームのまま、または宿主細胞ゲノムの中へと組込まれた両方の
ファージベースの発現ベクターを包含する。
【0144】
別の実施形態では、本開示は臨床用途のためのファージベースの染色体組込系をさらに
含む。d-アラニン・ラセマーゼ(しかしこれに限定されない)を含む必須酵素のための
栄養要求性宿主株は、例えばLmdal(-)dat(-)を使用されることになる。別
の実施形態では、「ファージ治癒工程」を避けるためにPSAベースのファージ組込系を
使用した(Lauer,et al.,2002 J Bacteriol,184:4
177-4186)。別の実施形態では、これは組み込まれた遺伝子を維持するために抗
生物質による継続的な選択を必要とする。したがって、別の実施形態では、本開示は、抗
生物質を用いた選択を必要としないファージベースの染色体組み込み系の確立を可能にす
る。別の方法で、栄養要求性宿主株を相補することになる。
【0145】
別の実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、組み換え型DNA法を使用して合成
される。一実施形態では、これは、キメラタンパク質をコードするDNA配列を作り出す
ことと、特定のプロモーター/調節要素の制御下で本発明のプラスミドなどの発現カセッ
ト内にDNAを定置することと、タンパク質を発現することと、に関与する。別の実施形
態では、本開示のキメラタンパク質(例えば、SS-Ub-ペプチド)をコードするDN
Aは、任意の好適な方法によって調製され、この方法としては、例えば、適切な配列のク
ローニングおよび制限、またはNarangらのホスホトリエステル法(1979, M
eth. Enzymol. 68: 90-99)、Brownらのホスホジエステル
法(1979,Meth.Enzymol 68:109-151)、Beaucage
らのジエチルホスホラミダイト法(1981,Tetra.Lett.,22:15 1
859-1862)、および米国特許第4,458,066号の固定支持法などの方法に
よる直接化学合成が挙げられる。
【0146】
別の実施形態では、本開示のキメラタンパク質または組み換え型タンパク質をコードす
るDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)などのDNA増幅法を使用してクローニ
ングされる。別の実施形態では、一本鎖のオリゴヌクレオチドを生産するために化学合成
が使用される。様々な実施形態では、一本鎖をテンプレートとして使用して、相補的な配
列を用いたハイブリダイゼーションによって、またはDNAポリメラーゼを用いた重合に
よって、この一本鎖のオリゴヌクレオチドを二本鎖のDNAへと変換する。DNAの化学
合成が約100個の塩基の配列に限られ一方で、より短い配列の連結によってより長い配
列を得ることができることを当業者は認識するであろう。別の実施形態では、部分配列は
クローニングされ、また適切な部分配列は適切な制限酵素を使用して分割される。次いで
断片は連結され、望ましいDNA配列が生産される。
【0147】
一実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質をコードする核酸配列は、大
腸菌、リステリアなどの他の細菌宿主、酵母、および様々なより高度な真核生物細胞(C
OS、CHOおよびHeLa細胞株、ならびに骨髄腫細胞株などの)を含む様々な宿主細
胞へと形質転換される。本明細書に開示されたキメラタンパク質をコードする核酸配列は
、各々の宿主に対して適切な発現制御配列に動作可能にリンクされる。プロモーター/調
節配列は、本明細書のいずれかに詳細に記述される。別の実施形態では、本明細書に開示
されるキメラタンパク質をコードするプラスミドは、追加的なプロモーター調節要素、な
らびにリボソーム結合部位および転写終結シグナルをさらに含む。真核生物細胞について
は、対照配列は、例えば、免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルス、等
々に由来するプロモーターおよびエンハンサー、およびポリアデニレーション配列を含む
。別の実施形態では、配列はスプライスドナーおよびアクセプター配列を含む。
【0148】
一実施形態では、本明細書に開示されたプラスミドは、本明細書に開示されたように各
々が異なるペプチド抗原を含む、少なくとも1つのキメラタンパク質をコードすることが
できるようにする、少なくとも1つのリボソーム結合部位および少なくとも1つの転写終
止シグナルを含む。一実施形態では、本明細書に開示されたプラスミドは、本明細書に開
示されたように各々が異なるペプチド抗原を含む、1つ~4つのキメラタンパク質をコー
ドすることができるようにする、1つ~4つのリボソーム結合リボソーム結合部位および
1つ~4つの転写終止シグナルを含む。一実施形態では、本明細書に開示されたプラスミ
ドは、本明細書に開示されたように各々が異なるペプチド抗原を含む、5~10個のキメ
ラタンパク質をコードすることができるようにする、5~10個のリボソーム結合リボソ
ーム結合部位および5~10個の転写終止シグナルを含む。一実施形態では、本明細書に
開示されたプラスミドは、本明細書に開示されたように各々が異なるペプチド抗原を含む
、11~20個のキメラタンパク質をコードすることができるようにする、11~20個
のリボソーム結合リボソーム結合部位および11~20個の転写終止シグナルを含む。一
実施形態では、本明細書に開示されたプラスミドは、本明細書に開示されたように各々が
異なるペプチド抗原を含む、21~30個のキメラタンパク質をコードすることができる
ようにする、21~30個のリボソーム結合リボソーム結合部位および21~30個の転
写終止シグナルを含む。別の実施形態では、リボソーム結合部位はシャイン・ダルガノリ
ボソーム結合部位である。
【0149】
一実施形態では、「動作可能にリンクした」という用語は、転写および翻訳調節性核酸
が、任意のコード配列に対して転写が開始されるような様式で位置することを意味する。
一般的にこれは、プロモーターおよび転写開始配列または始動配列がコ-ド化領域に5’
に位置されることを意味することになる。別の実施形態では「動作可能にリンクする」と
いう用語は並置を指し、そのように記述される構成成分はそれらの意図される様式で機能
することができるような関係にある。コード配列に「動作可能にリンクする」対照配列は
、コード配列の発現が対照配列に対応する条件の下で達成されるようなやり方で連結され
る。別の実施形態では、「動作可能にリンクした」という用語は、各々がタンパク質また
はペプチドをコードする転写ユニット内でのいくつかのオープンリーディングフレームの
結合を指し、これにより結果的に意図されるように機能するキメラタンパク質またはポリ
ペプチドの発現をもたらす。
【0150】
一実施形態では、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、潜在的にタ
ンパク質をコードする可能性がある塩基の配列を含有する生命体のゲノムの部分である。
別の実施形態では、ORFの開始端および停止端はmRNAの端部と同等でないが、通常
のmRNA中に含まれる。一実施形態では、ORFは、遺伝子の開始コード配列(開始コ
ドン)と停止コドン配列(終止コドン)との間に位置する。したがって、一実施例として
、内因性のポリペプチドとともにオープンリーディングフレームとして動作可能にゲノム
の中へと組込まれる核酸分子は、内因性のポリペプチドと同一のオープンリーディングフ
レーム内でゲノムの中へと組込まれた核酸分子である。
【0151】
一実施形態では、本開示はリンカー配列を含む融合ポリペプチドを提供する。「リンカ
ー配列」は2つの異種ポリペプチド、またはその断片もしくはドメインを結合するアミノ
酸配列を包含する場合があることを当業者は理解するであろう。一般的に、リンカーは融
合ポリペプチドを形成するためにポリペプチドを共有的にリンクするアミノ酸配列である
。リンカーは、典型的には、オープンリーディングフレームおよび表示タンパク質によっ
てコードされたアミノ酸配列を含む融合タンパク質を作り出すために、表示ベクターから
のレポーター遺伝子の除去後の残りの組み換え型信号から翻訳されたアミノ酸を含む。当
業者によって理解されるように、リンカーはグリシンおよび他の小さい中性アミノ酸など
の追加的なアミノ酸を含むことができる。
【0152】
一実施形態では、「内因性」という用語は、参照生命体内で発生もしくは創出された、
または参照生命体の中生じたものから発生してきた物品を記述する。例えば、内因性は天
然を指す。
【0153】
本明細書に開示される組み換え型またはキメラタンパク質は、例えば、クローニングお
よび適切な配列の制限、または以下に考察する方法による直接的化学合成を含む任意の好
適な方法によって調製されてもよい。あるいは、部分配列をクローニングし、適切な部分
配列を適切な制限酵素を使用して分割してもよい。次いで断片を連結し、望ましいDNA
配列を生産してもよい。一実施形態では、抗原をコードするDNAは、例えば、ポリメラ
ーゼ連鎖反応法(PCR)などのDNA増幅法を使用して生産することができる。まず、
未変性のDNAのいずれかの側の新しい末端の区分を別個に増幅する。1つの増幅した配
列の5’端はペプチドリンカーをコードし、一方でもう1つの増幅した配列の3’端もペ
プチドリンカーをコードする。第一の断片の5’端は第二の断片の3’端の相補なので、
2つの断片を(例えば、LMPアガロース上での部分的な精製後)第三のPCR反応での
重複テンプレートとして使用することができる。増幅した配列は、コドン、開放部位のカ
ルボキシ側上の区分(ここではアミノ配列を形成している)、リンカー、および開放部位
のアミノ側上の配列(ここではカルボキシル配列を形成している)を含有することになる
。抗原はプラスミドへと連結される。
【0154】
「安定して維持される」とは、選択(例えば、抗生物質選択)無しで検出可能な損失を
伴わずに、核酸分子またはプラスミドを10世代の間、維持することを指す。別の実施形
態では、期間は15世代である。別の実施形態では、期間は20世代である。別の実施形
態では、期間は25世代である。別の実施形態では、期間は30世代である。別の実施形
態では、期間は40世代である。別の実施形態では、期間は50世代である。別の実施形
態では、期間は60世代である。別の実施形態では、期間は80世代である。別の実施形
態では、期間は100世代である。別の実施形態では、期間は150世代である。別の実
施形態では、期間は200世代である。別の実施形態では、期間は300世代である。別
の実施形態では、期間は500世代である。別の実施形態では、期間は世代を超えるもの
である。別の実施形態では、核酸分子またはプラスミドは、インビトロで(例えば、培養
液内で)安定して維持される。別の実施形態では、核酸分子またはプラスミドは、インビ
ボで安定して維持される。別の実施形態では、核酸分子またはプラスミドは、インビトロ
およびインビトロの両方で安定して維持される。
【0155】
「機能的断片」は免疫原性断片であり、単独でまたは本明細書に開示された治療的な組
成物内で被験者に投与されるとき、免疫応答を引き出す。例えば、当業者は理解するであ
ろうように、また本明細書にさらに開示されるように、機能的断片は生物活性を有する。
本明細書で使用される場合、「機能的断片」という用語は、「免疫原性断片」という用語
と交換可能に使用される。
【0156】
「免疫原性」もしくは「免疫原性の」という用語またはその文法的な均等物は、タンパ
ク質、ペプチド、核酸、抗原または生物体が動物に投与されたとき、ヒトまたは非ヒト動
物内に免疫応答を引き出すタンパク質、ペプチド、核酸、抗原、または生物体の先天的な
能力を指す場合があることを当業者は理解するであろう。したがって、「免疫原性の促進
」は、タンパク質、ペプチド、核酸、抗原または生物体が動物に投与された時に、動物に
おいて免疫応答を誘発するタンパク質、ペプチド、核酸、抗原または生物体の固有の能力
を増大することを指す場合がある。免疫応答を誘発するタンパク質、ペプチド、核酸、抗
原または生物体の能力の増大は、一実施形態では、タンパク質、ペプチド、核酸、抗原ま
たは生物体に対する抗体数の増加、抗原または生物体に対する抗体の多様性の増大、タン
パク質、ペプチド、核酸、抗原または生物体に特異的なT細胞数の増加、タンパク質、ペ
プチド、核酸、抗原または生物体に対する細胞毒性またはヘルパーT細胞の応答の増大、
およびこれに類するものによって測定されうる。
【0157】
別の実施形態では、本開示の方法および組成物の組み換え型リステリア株は組み換え型
リステリア・モノサイトゲネス株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型
リステリア・シーリゲリ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステ
リア・グレイ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・イバ
ノビ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・ムライ株であ
る。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・ウェルシメリ株である。
別の実施形態では、リステリア株は、別のリステリア種の組み換え型株である。
【0158】
一実施形態では、本発明では、LM delta-actA mutant(Brun
dage et al,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、
90:11890-11894)、L.モノサイトゲネスdelta-plcA(Cam
illi et al、1991、J.Exp.Med.、173:751-754)、
またはdelta-ActA、delta INL-b(Brockstedt et
5 al、2004、PNAS、101:13832-13837)などの弱毒化リステ
リア株が使用される。別の実施形態では、弱毒化リステリア株は、本明細書の開示を装備
するとき当業者であれば理解するとおり、1つ以上の弱毒化突然変異を導入することによ
って構築される。かかる株の例としては、芳香族アミノ酸に対する栄養要求性のリステリ
ア株(Alexander et al,1993,Infection and Im
munity 10 61:2245-2248)およびリポタイコ酸の形成のための突
然変異体(Abachin et al、2002、Mol.Microbiol.43
:1-14)、および病毒性遺伝子を欠くことによって弱毒化されるもの(本明細書に含
まれる実施例を参照)が挙げられるが、これに限定されない。
【0159】
別の実施形態では、本開示の組み換え型リステリア株は、動物宿主を通して継代されて
いる。別の実施形態では、継代は株のワクチンベクターとしての有効性を最大化する。別
の実施形態では、継代はリステリア株の免疫原性を安定化する。別の実施形態では、継代
はリステリア株の病毒性を安定化する。別の実施形態では、継代はリステリア株の免疫原
性を増加する。別の実施形態では、継代はリステリア株の病毒性を増加する。別の実施形
態では、継代はリステリア株の不安定な亜系を除去する。別の実施形態では、継代はリス
テリア株の不安定な亜系の有病率を減少する。別の実施形態では、継代は本明細書に記述
されるように実施される。別の実施形態では、当該技術分野で既知の他の方法によって継
代を実施する。
【0160】
一実施形態では、リステリア株は本明細書に開示されるミニ遺伝子核酸構築体のゲノム
の挿入を含有する。別の実施形態では、リステリア株は本明細書に開示されるミニ遺伝子
核酸構築体を含むプラスミドを担持する。
【0161】
別の実施形態では、本開示の組み換え型核酸は、リステリア株内のコードしたペプチド
の発現を駆動するプロモーター/調節配列に動作可能にリンクしている。遺伝子の構造性
の発現を駆動するために有用なプロモーター/調節性配列が当該技術分野で周知であり、
これらとしては、例えば、リステリアのPhlyAプロモーター、PActAプロモータ
ー、およびp60プロモーター、ストレプトコッカスbacプロモーター、ストレプトマ
イセス・グリセウスsgiAプロモーター、およびバシルス・チューリンゲンシスpha
Zプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
別の実施形態では、本開示のペプチドをコードする核酸の誘発性でかつ組織に特異的な
発現は、ペプチドをコードする核酸を誘発性または組織特異的プロモーター/調節性配列
の制御下に置くことによって遂行される。この目的のために有用な組織特異的または誘発
性プロモーター/調節性配列の実施例としては、MMTV LTR誘発性プロモーター、
およびSV40後期エンハンサー/プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない
。別の実施形態では、金属、グルココルチコイド、およびこれに類するものなどの誘発剤
に応答して誘発されたプロモーターが利用される。こうして、本開示は、既知または未知
のいずれかで、かつこれらに動作可能にリンクする所望のタンパク質の発現を駆動する能
力を有する、任意のプロモーター/調節性配列の使用を含むことが理解されるであろう。
【0163】
「異種」という用語が、参照種とは異なる種に由来する核酸、アミノ酸、ペプチド、ポ
リペプチド、ペプチド、またはタンパク質を包含することが当業者によって理解されるで
あろう。したがって、例えば、異種ポリペプチドを発現するリステリア株は、一実施形態
では、天然ではないかもしくはリステリア株に対して内因性のリペプチドを発現すること
になり、または別の実施形態では、リステリア株によって通常発現されるポリペプチドを
発現することになり、または別の実施形態では、リステリア株以外の供給源からのポリペ
プチドを発現することになる。別の実施形態では、異種という用語は同一の種の中の異な
る生命体に由来するものを記述するために使用される。
【0164】
「エピソーム性の発現ベクター」という用語が、直線状または円形状であってもよく、
また通常二本鎖の形態であり、その中に細菌のゲノムまたは細胞のゲノムに組み込まれる
のと反対に宿主細菌の細胞質または細胞内に存在する染色体外である核酸ベクターを包含
することを当業者は理解するであろう。一実施形態では、エピソーム性の発現ベクターは
対象となる遺伝子を含む。別の実施形態では、エピソーム性ベクターは細菌性細胞質内の
複数のコピーの中で持続し、結果的に対象となる遺伝子の増幅をもたらし、これは一実施
形態では本明細書に開示される核酸分子または構築体である。別の実施形態では、ウイル
ス性トランス作用因子は必要に応じて供給される。本明細書ではエピソーム性の発現ベク
ターはプラスミドと呼ばれる場合がある。「組み込みプラスミド」はその挿入または宿主
ゲノムの中に担持される対象となる遺伝子の挿入を標的化する配列を含む。別の実施形態
では、挿入された対象となる遺伝子は中断されない、または細胞DNAへの組み込みから
しばしば生じる調節性の制約を受けない。別の実施形態では、挿入された異種遺伝子の存
在は細胞自身の重要な領域の再配列または中断につながらない。別の実施形態では、安定
したトランスフェクション手順で、エピソーム性ベクターの使用は、染色体を組み込むプ
ラスミドの使用より高いトランスフェクション効率をしばしばもたらす(Belt,P.
B.G.M.,et al(1991)Efficient cDNA cloning
by direct phenotypic correction of a mu
tant human cell line(HPRT2)using an Epst
ein-Barr virus-derived cDNA expression v
ector.Nucleic Acids Res.19,4861-4866;Maz
da,O.,et al.(1997)Extremely efficient ge
ne transfection into lympho-hematopoieti
c cell lines by Epstein-Barr virus-based
vectors.J.Immunol.Methods 204,143-151)。
一実施形態では、本明細書で開示される方法および組成物のエピソーム性の発現ベクター
は、DNA分子を細胞に送達するために採用される様々な方法のいずれかによってインビ
ボ、エクスビボ、またはインビトロで細胞に送達される場合がある。ベクターも単独でま
たは被験者の細胞への送達を強化する医薬組成物の形態で送達される場合がある。
【0165】
「融合された」という用語が共有結合による動作可能な連鎖を包含する場合があること
は当業者によって理解されるであろう。一実施形態では、この用語は組み換え型融合(そ
の核酸配列またはオープンリーディングフレームの)を包含する。別の実施形態では、こ
の用語は化学的結合を包含する。
【0166】
「形質転換」という用語は、プラスミドまたは他の異種DNA分子を取り上げるために
細菌細胞を改変すること包含する場合があることを理解するべきである。「形質転換」は
、プラスミドまたは他の異種DNA分子の遺伝子を発現するために細菌細胞を改変するこ
とも指す場合がある。
【0167】
細菌を形質転換する方法は当該技術分野で周知であり、塩化カルシウムコンピテント細
胞に基づく方法、エレクトロポレーション法、バクテリオファージ媒介形質導入、化学的
、および物理的な形質転換技術(de Boer et al,1989,Cell 5
6:641-649;Miller et al,1995,FASEB J.,9:1
90-199;Sambrook et al.1989,Molecular Clo
ning:A Laboratory Manual,Cold Spring Har
bor Laboratory,New York;Ausubel et al.,1
997,Current Protocols in Molecular Biolo
gy,John Wiley & Sons,New York;Gerhardt e
t al.,eds.,1994,Methods for General and
Molecular Bacteriology,American Society
for Microbiology,Washington,DC;Miller,19
92,A Short Course in Bacterial Genetics,
Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold
Spring Harbor,N.Y.)。別の実施形態では、本開示のリステリアワ
クチン株はエレクトロポレーションにより形質転換される。
【0168】
別の実施形態では、遺伝物質および/またはプラスミドを細菌の中へと導入するために
結合が使用される。結合の方法は当該技術分野で周知であり、例えば、Nikodino
vic J.ら(A second generation snp-derived
Escherichia coli-Streptomyces shuttle ex
pression vector that is generally transf
erable by conjugation.Plasmid.2006 Nov;5
6(3):223-7)およびAuchtung JMら(Regulation of
a Bacillus subtilis mobile genetic elem
ent by intercellular signaling and the g
lobal DNA damage response.Proc Natl Acad
Sci U S A.2005 Aug 30;102(35):12554-9)に
記述されている。
【0169】
「弱毒化」という用語が細菌の動物内に疾患を発生する能力の減少を包含する場合があ
ることが当業者によって理解されるであろう。つまり、弱毒化されたリステリア株の病原
性特徴は野生型リステリアと比較すると低下しているが、弱毒化されたリステリアは培養
物中で成長および維持する能力を有する。実施例として弱毒化されたリステリアを用いた
Balb/cマウスの静脈内接種を使用すると、接種した動物の50%が生存する致死量
(LD50)は、野生型リステリアのLD50より少なくとも約10倍増加するのが好ま
しく、少なくとも約100倍増加するのがより好ましく、少なくとも約1,000倍増加
するのがより好ましく、少なくとも約10,000倍増加するのがなおより好ましく、お
よび少なくとも約100,000倍増加するのが最も好ましい。したがってリステリアの
弱毒化された株は、投与された動物を殺さないものであるか、または投与された細菌の数
が同じ動物を殺すのに必要な野生型の弱毒化されていない細菌の数より非常に多いときの
み動物を殺すものである。弱毒化された細菌は、その成長のために必要な栄養素がその中
に存在しないために一般的な環境内では複製する能力を有しないものを意味するとも解釈
されるべきである。したがって、細菌は必要な栄養素がその中で提供される制御された環
境に複製が限定される。したがって、本開示の弱毒化された株は制御されていない複製の
能力がないという点で、環境的に安全である。
【0170】
組成物
別の実施形態では、本明細書に開示されるキメラタンパク質をコードするミニ遺伝子核
酸構築体を含む組み換え型リステリアを含む医薬組成物が本明細書に開示され、ガンを含
む疾患を有する被験者に医薬組成物を投与することは、前記疾患または前記ガンを処置、
軽快する。別の実施形態では、本明細書は、本明細書に開示されるキメラタンパク質をコ
ードするミニ遺伝子核酸構築体を含む医薬組成物を開示する。別の実施形態では、医薬組
成物はアジュバントとともに投与される。
【0171】
一実施形態では、本開示の組成物は免疫原性組成物である。一実施形態では、本開示の
組成物はインターフェロンガンマの強い先天的な刺激を誘発し、一実施形態では、これは
抗血管形成特性を有する。一実施形態では、本開示のリステリアはインターフェロンガン
マの強い先天的な刺激を誘発し、一実施形態では、これは抗血管形成特性を有する(Do
miniecki et al.,Cancer Immunol Immunothe
r.2005 May;54(5):477-88.Epub 2004 Oct 6、
その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Beatty and Paterso
n,J Immunol.2001 Feb 15;166(4):2276-82、そ
の全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一実施形態では、リステリアの抗血管形
成特性は、CD4T細胞によって媒介される(Beatty and Paterso
n, 2001)。別の実施形態では、リステリアの抗血管形成特性は、CD8T細胞
によって媒介される。別の実施形態では、リステリアワクチン接種の結果としてのIFN
-γ分泌は、NK細胞、NKT細胞、Th1 CD4T細胞、TC1 CD8T細胞
、またはこれらの組み合せによって媒介される。
【0172】
別の実施形態では、本開示の組成物の投与は1つ以上の抗血管形成タンパク質または因
子の生産を誘発する。一実施形態では、抗血管形成タンパク質はIFN-γである。別の
実施形態では、抗血管形成タンパク質は、色素上皮由来因子(PEDF)、アンジオスタ
チン、エンドスタチン、fms様チロシンキナーゼ(sFlt)-1、または可溶性エン
ドグリン(sEng)である。一実施形態では、本開示のリステリアは、抗血管形成因子
の放出に関与し、したがって一実施形態では、抗原を被験者に導入するためのベクターと
しての役割に加えて、治療的な役割を有する。一実施形態では、本開示の組成物の投与は
、宿主の中のインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)経路を刺激する。
【0173】
本明細書に開示された方法および組成物によって誘発される免疫応答は、別の実施形態
ではT細胞応答である。別の実施形態では、免疫応答はT細胞応答を含む。別の実施形態
では、応答はCD8+T細胞応答である。別の実施形態では、応答はCD8T細胞応答
を含む。
【0174】
別の実施形態では、本開示の方法および組成物によって引き出される免疫応答はCD8
T細胞媒介性応答を含む。別の実施形態では、免疫応答は主としてCD8 T細胞媒
介性応答から構成される。別の実施形態では、免疫応答の唯一検出可能な構成成分は、C
D8 T細胞媒介性応答である。
【0175】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物によって引き出される免疫
応答はCD4 T細胞媒介性応答を含む。別の実施形態では、免疫応答は主としてCD
T細胞媒介性応答から構成される。別の実施形態では、免疫応答の唯一検出可能な
構成成分は、CD4 T細胞媒介性応答である。別の実施形態では、CD4 T細胞
媒介性応答は抗原に対する測定可能な抗体応答に付随して起こる。別の実施形態では、C
D4 T細胞媒介性応答は抗原に対する測定可能な抗体応答に付随しない。
【0176】
別の実施形態では、本開示は、CD8T細胞媒介性免疫応答を抗原の準優占CD8
T細胞エピトープに対して被験者の中に誘発する方法を提供する。
【0177】
一実施形態では、腫瘍内のCD8+/調節性T細胞の比を増加する方法が本明細書に開
示され、また別の実施形態では、この方法は本発明のキメラタンパク質、組み換え型リス
テリア、または組み換え型ベクターを含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0178】
別の実施形態では、腫瘍内のCD8+/調節性T細胞の比を増加する方法が本明細書に
開示され、また別の実施形態では、この方法は本発明のキメラタンパク質、組み換え型リ
ステリア、または組み換え型ベクターを含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0179】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物によって引き出された免疫
応答は少なくとも1つの抗原の準優占エピトープへの免疫応答を含む。別の実施形態では
、免疫応答は準優占エピトープへの免疫応答を含まない。別の実施形態では、免疫応答は
少なくとも1つの準優占エピトープへの免疫応答から構成される。別の実施形態では、た
だ1つの測定可能な免疫応答の構成成分は少なくとも1つの準優占エピトープへの免疫応
答である。
【0180】
別の実施形態では、本開示の組成物の投与は、抗原特異的T細胞の数を増加させる。別
の実施形態では、組成物の投与はT細胞上の共刺激受容体を活性化する。別の実施形態で
は、組成物の投与は記憶T細胞および/またはエフェクターT細胞の増殖を誘発する。別
の実施形態では、組成物の投与はT細胞の増殖を増加させる。
【0181】
被験者内に強化した抗腫瘍T細胞応答を引き出すため、被験者内で腫瘍を薬物治療した
免疫抑制を阻害するため、もしくは被験者の脾臓および腫瘍のTエフェクター細胞の調節
性T細胞(Treg)に対する比を増加するため、またはこれらの任意の組み合せの目的
で、本開示の組成物を本開示の方法で使用してもよい。
【0182】
別の実施形態では、本発明のリステリア株を含む組成物はアジュバントをさらに含む。
一実施形態では、本開示の組成物はアジュバントをさらに含む。別の実施形態では、本開
示の方法および組成物で使用されるアジュバントは顆粒球/マクロファージコロニー刺激
因子(GM-CSF)タンパク質である。別の実施形態では、アジュバントはGM-CS
Fタンパク質を含む。別の実施形態では、アジュバントはGM-CSFをコードするヌク
レオチド分子である。別の実施形態では、アジュバントはGM-CSFをコードするヌク
レオチド分子を含む。別の実施形態では、アジュバントはサポニンQS21である。別の
実施形態では、アジュバントはサポニンQS21を含む。別の実施形態では、アジュバン
トは、モノホスホリルリピドAである。別の実施形態では、アジュバントはモノホスホリ
ルリピドAを含む。別の実施形態では、アジュバントはSBAS2である。別の実施形態
では、アジュバントはSBAS2を含む。別の実施形態では、アジュバントはメチル化さ
れていないCpG含有オリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、アジュバントはメ
チル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アジュバ
ントは免疫刺激サイトカインである。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイト
カインを含む。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイトカインをコードするヌ
クレオチド分子である。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイトカインをコー
ドするヌクレオチド分子を含む。別の実施形態では、アジュバントはクイルグリコシドで
あるか、またはこれを含む。別の実施形態では、アジュバントは細菌マイトジェンである
か、またはこれを含む。別の実施形態では、アジュバントは細菌毒素であるか、またはこ
れを含む。他のアジュバントが当該技術分野で既知である。
【0183】
一実施形態では、本開示はペプチド抗原を発現する組み換え型リステリア株を提供する
。別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される組み換え型リステリアを含むワク
チンおよび免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示さ
れる組み換え型リステリアを含む医薬組成物を提供する。
【0184】
一実施形態では、本開示の免疫原性組成物は、本明細書に開示されるキメラタンパク質
をコードする核酸分子を含む組み換え型リステリア株を含む。
【0185】
一部の実施形態では、追加的なポリペプチドまたは追加的なアジュバントポリペプチド
は、LLOと類似の様式で抗原提示および免疫性を増強する。
【0186】
一実施形態では、本明細書に開示された医薬組成物は、追加的な療法と同時投与される
。別の実施形態では、追加的な療法は外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、また
はこれらの組み合せである。別の実施形態では、組み換え型リステリアを含む医薬組成物
の投与より追加的療法を先に行う。別の実施形態では、組み換え型リステリアを含む医薬
組成物の投与の後に追加的療法を行う。別の実施形態では、追加的療法は抗体療法である
。別の実施形態では、抗体療法は、抗PD1、抗CTLA4である。別の実施形態では、
Tエフェクター細胞に対する調節性T細胞の比を増加し、より強力な抗腫瘍免疫応答を生
成するために、組み換え型リステリアを含む医薬組成物は漸増用量で投与される。細胞の
免疫応答を強化するために、腫瘍を有する被験者にIFN-γ、TNF-α、および当該
技術分野で既知の他のサイトカインを含むがこれに限定されないサイトカインを提供する
ことによって、抗腫瘍免疫応答をさらに強化することができることが当業者によって理解
されるであろう。これらのうちのいくつかは米国特許第6,991,785号に記載され
ており、この特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
一実施形態では、本発明の組み換え型リステリアを含むワクチンを本明細書に開示する
。別の実施形態では、本発明のミニ遺伝子構築体を発現する組み換え型弱毒化リステリア
を含むワクチンを本明細書に開示する。
【0188】
別の実施形態では、本発明の組み換え型リステリアを含む医薬組成物を本明細書に開示
する。別の実施形態では、本発明のミニ遺伝子構築体を発現する組み換え型弱毒化リステ
リアを含む医薬組成物を本明細書に開示する。
【0189】
別の実施形態では、本発明の組み換え型ポリペプチド、またはこれをコードする核酸構
築体、または核酸構築体をコードする組み換え型リステリアを含む免疫原性組成物を本明
細書に開示する。
【0190】
別の実施形態では、本発明のヌクレオチド分子または組み換え型ポリペプチドを含む医
薬組成物を本明細書に開示する。
【0191】
別の実施形態では、本発明のヌクレオチド分子または組み換え型ポリペプチドを含むベ
クターを本明細書に開示する。
【0192】
別の実施形態では、本発明のヌクレオチド分子またはリステリアの組み換え型形態を本
明細書に開示する。
【0193】
別の実施形態では、本発明のリステリアの組み換え型形態を含むワクチンを本明細書に
開示する。別の実施形態では、本発明のリステリアの組み換え型形態を含む医薬組成物を
本明細書に開示する。
【0194】
別の実施形態では、本発明のリステリアの組み換え型形態のカルチャーを本明細書に開
示する。
【0195】
別の実施形態では、本開示の方法および組成物のリステリアはリステリア・モノサイト
ゲネスである。別の実施形態では、リステリアはリステリア・イバノビである。別の実施
形態では、リステリアはリステリア・ウェルシメリである。別の実施形態では、リステリ
アはリステリア・シーリゲリである。
【0196】
抗原
「抗原」、「抗原性ポリペプチド」、「抗原断片」という用語は本明細書で交換可能に
使用され、また宿主の細胞の表面上でMHCクラスIおよび/またはクラスII分子上に
負荷および提示され、かつ宿主の免疫細胞によって識別または検出することができるポリ
ペプチドまたはペプチド(組み換え型ペプチドを含む)を包含する場合があり、これによ
ってポリペプチド、ペプチドまたはこれを提示する細胞に対する免疫応答の搭載をもたら
すことを当業者は理解するであろう。同様に、免疫応答は、宿主の中の同一のポリペプチ
ドまたはペプチドを発現する腫瘍またはガン細胞などの病的な細胞を含む他の細胞にも延
長される場合がある。
【0197】
「その抗原性部分」、「その断片」、「その免疫原性部分」という用語は、タンパク質
、ペプチド、またはポリペプチドに関して本明細書で交換可能に使用され、また本明細書
に記述されるように単独で、または融合タンパク質の状況でのいずれかで、宿主によって
検出されるものの中にまたは一部の実施形態の中に存在する場合、免疫応答の搭載をもた
らすドメインまたは区分を含むその組み換え型形態を含むタンパク質、ポリペプチド、ペ
プチドを包含する場合があることを当業者は理解するであろう。
【0198】
「異種」という用語が、参照種とは異なる種に由来する核酸、アミノ酸、ペプチド、ポ
リペプチド、またはタンパク質を包含することが当業者によって理解されるであろう。し
たがって、例えば、異種ポリペプチドを発現するリステリア株は、一実施形態では、天然
ではないかもしくはリステリア株に対して内因性のリペプチドを発現することになり、ま
たは別の実施形態では、リステリア株によって通常発現されるポリペプチドを発現するこ
とになり、または別の実施形態では、リステリア株以外の供給源からのポリペプチドを発
現することになる。別の実施形態では、異種という用語は同一の種の中の異なる生命体に
由来するものを記述するために使用される。別の実施形態では、異種抗原はリステリアの
組み換え型株によって発現され、かつ哺乳類細胞の感染に際して組み換え型株によって細
胞毒性T細胞に加工および提示される。別の実施形態では、リステリア種によって発現さ
れる異種抗原は、結果として哺乳類内に自然に発現される修飾されていない抗原またはタ
ンパク質を識別するT細胞応答をもたらす限り、腫瘍細胞または感染性薬剤の中で対応す
る修飾されていない抗原またはタンパク質に厳密に適合する必要はない。一実施形態では
、「抗原性ポリペプチド」および「タンパク質抗原」、「抗原」という用語は、本明細書
で交換可能に使用される。
【0199】
一実施形態では、抗原は外来であってもよく、すなわち、宿主に対して異種であっても
よく、本明細書では「異種抗原」と称される。別の実施形態では、抗原は、自己抗原であ
り、これは宿主内に存在するが、免疫寛容のために宿主はこれに対する免疫応答を引き出
さない。当業者にとっては当然のことながら、異種抗原ならびに自己抗原は、腫瘍抗原、
腫瘍関連抗原、または血管形成抗原を包含しうる。さらに、異種抗原は、感染性疾患抗原
を包含する場合がある。別の実施形態では、抗原は血管形成抗原である。
【0200】
一実施形態では、本明細書に開示されるペプチドは、腫瘍関連抗原に由来する。一実施
形態では、腫瘍関連抗原は、HPV-E7、HPV-E6、Her-2、NY-ESO-
1、高分子量メラノーマ-関連(HMW-MAA)抗原またはその断片、ヘプシン、サバ
イビン、PSG4、VEGFR-2断片、サバイビン、B-細胞受容体抗原、チロシナー
ゼ関連タンパク質2、またはPSA(前立腺-特異的抗原)またはこれらの組み合せから
選択される。別の実施形態では、抗原は、HIV-1 Gag、MAGE(メラノーマ-
関連抗原E)タンパク質(例えば、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAG
E 4、チロシナーゼ);突然変異rasタンパク質;突然変異p53タンパク質;進行
ガン関連p97メラノーマ抗原、rasペプチド、またはp53ペプチド;子宮頸ガン関
連HPV16/18抗原、乳ガン関連KLH抗原、ガン胎児抗原(CEA)、gp100
、メラノーマ関連MART1抗原、インターロイキン-13受容体α(IR13-R α
)、テロメラーゼ(TERT)、角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)抗原、CEA
、LMP-1、p53、プロテイナーゼ3、滑膜肉腫、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、
サバイビン、GP100、テスチシンペプチド、PSMA、前立腺幹細胞抗原(PSCA
)、またはウィルムス腫瘍(WT-1)抗原などの感染性疾患抗原である。本明細書に開
示されるまたは当該技術分野において開示される任意の抗原の断片は本発明にも包含され
ることが理解されるべきである。
【0201】
一実施形態では、本明細書に開示される疾患は感染性疾患である。一実施形態では、感
染性疾患は、以下の病原体のいずれか1つによって発生するものであるが、これに限定さ
れない。リーシュマニア、赤痢アメーバ(アメーバ症を発生する)、鞭虫属、BCG/結
核、マラリア、熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、ロタウ
イルス、コレラ、ジフテリア-破傷風、百日咳、インフルエンザ菌、B型肝炎、ヒトパピ
ローマウイルス、季節性インフルエンザ)、汎発性インフルエンザA(H1N1)、麻疹
および風疹、おたふく風邪、髄膜炎菌A+C、経口ポリオワクチン、一価、二価、および
三価、肺炎球菌、狂犬病、破傷風トキソイド、黄熱病、バチルス・アントラシス(炭疽菌
)、クロストリジウム・ボツリヌス毒素(ボツリヌス中毒症)、エルシニア・ペスチス(
ペスト)、大痘瘡(天然痘)、および他の関連するポックスウイルス、フランシセラ・ツ
ラレンシス(野兎病)、ウイルス性出血熱、アレナウイルス(LCM、フニンウイルス、
マチュポウイルス、グアナリトウイルス、ラッサ熱)、ブニヤウイルス(ハンタウイルス
、リフトバレー熱)、フラビウイルス(デング)、フィロウイルス(エボラ、マールブル
グ)、バークホルデリア・シェードマレイ、コクシエラ・バーネティー(Q熱)、ブルセ
ラ種(ブルセラ症)、バークホルデリア・マレイ(鼻疽)、クラミジア・シタッシ(オウ
ム病)、リシン毒素(リシナス・コンムニス由来)、クロストリジウム・パーフリンゲン
のイプシロン毒素、スタフィロコッカス・エンテロトキシンB、発疹チフス(リケッチア
・プロワゼキ)、他のリケッチア食品由来および水由来の病原体、細菌(下痢原性大腸菌
、病原性ビブリオ、シゲラ種、サルモネラBCG/、カンピロバクター・ジェジュニ、エ
ルシニア・エンテロコリチカ)、ウイルス(カルシウイルス、A型肝炎、西ナイルウイル
ス、ラクロス、カリフォルニア脳炎、VEE、EEE、WEE、日本脳炎ウイルス、キャ
サヌールフォレストウイルス、ニパウイルス、ハンタウイルス、ダニ媒介出血熱ウイルス
、チクングニアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、B
型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウ
イルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV))、原虫(クリプトスポリジウム
・パルバム、シクロスポラ・カイエタネンシス、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、トキソ
プラズマ)、真菌類(微胞子虫)、黄熱病、薬剤耐性TBを含む結核、狂犬病、プリオン
、コロナウイルスに関連付けられた重症急性呼吸器症候(SARS-CoV)、コクシジ
オイデス・ポサダシ、コクシジオイデス・イミチス、細菌性腟症、トラコーマクラミジア
、サイトメガロウイルス、鼠径肉芽腫、軟性下疳菌、淋菌、梅毒トレポネーマ、腟トリコ
モナス、または本明細書に列挙されていない当該技術分野で既知の任意の他の感染性疾患
【0202】
一実施形態では、病原性原虫および蠕虫感染としては:アメーバ症;マラリア;リーシ
ュマニア;トリパノソーマ症;トキソプラズマ症;ニューモシスティス・カリニ;バベシ
ア症;ランブル鞭毛虫症;旋毛虫病;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;吸虫(trem
atodesまたはflukes);および条虫(cestodeまたはtapewor
m)感染が挙げられる。
【0203】
一実施形態では、本明細書に開示されるE6またはE7抗原などのHPV抗原は、HP
V 6株、およびHPV 11株、HPV 16株、HPV-18株、HPV-31株、
HPV-35株、HPV-39株、HPV-45株、HPV-51株HPV-52株、H
PV-58株、またはHPV-59株から選択される。別の実施形態では、HPV抗原は
高リスクHPV株から選択される。別の実施形態では、HPV株は粘膜HPVタイプであ
る。別の実施形態では、HPV抗原は、いぼおよび異形成を生じるタイプ6、タイプ11
等などの非発ガン性HPVを含むすべてのHPV株から選択される可能性がある。
【0204】
一実施形態では、HPV-16 E6およびE7は、HPV-18 E6およびE7の
代わりにまたはこれと組み合せて利用される。かかる実施形態では、組み換え型リステリ
アはHPV-16 E6およびE7を染色体から、ならびにHPV-18 E6およびE
7をプラスミドから発現してもよく、またはその反対であってもよい。別の実施形態では
、HPV-16 E6およびE7抗原ならびにHPV-18 E6およびE7抗原は、本
明細書に開示された組み換え型リステリア内に存在するプラスミドから発現される。別の
実施形態では、HPV-16 E6およびE7抗原ならびにHPV-18 E6およびE
7抗原は、本明細書に開示された組み換え型リステリアの染色体から発現される。別の実
施形態では、HPV-16 E6およびE7抗原ならびにHPV-18 E6およびE7
抗原は上記の実施形態の任意の組み合せで発現され、これには各々のHPV株由来の各々
のE6およびE7抗原がプラスミドまたは染色体のいずれかから発現されるものを含む。
【0205】
一実施形態では、抗原は、米国特許出願シリアル番号第12/945,386号(その
全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記述されるキメラHer2抗原である。
【0206】
他の実施形態では、抗原は以下の疾患のうちの1つと関連付けられる。コレラ、ジフテ
リア、ヘモフィルス、A型肝炎、B型肝炎、インフルエンザ、麻疹、髄膜炎、おたふく風
邪、百日咳、天然痘、肺炎球菌性肺炎、ポリオ、狂犬病、風疹、破傷風、結核、腸チフス
、水痘帯状疱疹、百日咳、黄熱病、アジソン病由来のイムノゲンおよび抗原、アレルギー
、アナフィラキシー、ブルートン症候群、固形および血液由来の腫瘍を含むガン、湿疹、
橋本甲状腺炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、後天性免疫不全症候群、腎臓、心臓
、すい臓、肺、骨、および肝臓などの移植拒否反応、グレーブス病、多内分泌自己免疫疾
患、肝炎、顕微鏡的多発性動脈炎、結節性多発動脈炎、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変症、
悪性貧血、セリアック病、抗体媒介性腎炎、糸球体腎炎、リウマチ性疾患、全身性紅斑性
狼瘡、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節症、鼻炎、シェーグレン症候群、全身性硬化
症、硬化性胆管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、疱疹状皮膚炎、乾癬、白斑、多発性硬化症、
脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群、
強膜、上強膜、ブドウ膜炎、慢性粘膜皮膚カンジダ症、じんましん、乳児一過性低ガンマ
グロブリン血症、骨髄腫、X連鎖高Igm症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群、
毛細血管拡張性運動失調症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、自己免疫
性好中球減少症、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、アミロイド症、慢性リン
パ性白血病、非ホジキンリンパ腫、マラリアのスポロゾイト周囲タンパク、微生物抗原、
ウイルス抗原、自己抗原、およびリステリア症。
【0207】
別の実施形態では、本明細書に開示された症状は異形成である。別の実施形態では、疾
患は新生物である。別の実施形態では、疾患は肛門上皮内腫瘍(AIN)である。別の実
施形態では、疾患は膣上皮内腫瘍(VIN)である。別の実施形態では、疾患は子宮頸部
上皮内腫瘍形成(CIN)である。
【0208】
別の実施形態では本明細書に開示される症状は前ガン状態、または処置されずに放置さ
れた場合に疾患(慢性もしくは急性)を発症するように進行する状態である。
【0209】
別の実施形態では、本明細書に開示される腫瘍関連抗原は、活性化した周皮細胞と腫瘍
血管形成血管系内の周皮細胞との両方の上で発現される血管形成抗原であり、これインビ
ボでの新血管形成と関連付けられる。血管形成抗原は、当該技術分野で既知であり、例え
ば国際特許公開広報第WO2010/102140号(参照により本明細書に組み込まれ
る)を参照されたい。例えば、血管形成因子は、アンジオポイエチン-1(Ang1)、
アンジオポイエチン3、アンジオポイエチン4、アンジオポイエチン6;Del-1;線
維芽細胞成長因子:酸性(aFGF)および塩基性(bFGF);ホリスタチン;顆粒球
コロニー刺激因子(G-CSF);肝細胞増殖因子(HGF)/散乱因子(SF);イン
ターロイキン-8(IL-8);レプチン;ミッドカイン;胎盤成長因子;血小板由来内
皮細胞成長因子(PD-ECGF);血小板由来成長因子-BB(PDGF-BB);プ
レイオトロフィン(PTN);プログラニュリン;プロリフェリン;スルビビン;形質転
換成長因子-アルファ(TGF-アルファ);形質転換成長因子-ベータ(TGF-ベー
タ);腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-アルファ);血管内皮成長因子(VEGF)/
血管透過性因子(VPF)から選択されてもよい。別の実施形態では、血管形成因子は血
管形成タンパク質である。一実施形態では、成長因子は血管形成タンパク質である。一実
施形態では、本発明の組成物および方法で使用する血管形成タンパク質は、線維芽細胞成
長因子(FGF);VEGF;VEGFRおよびニューロピリン1(NRP-1);Ti
e2;血小板由来成長因子(PDGF;BBホモ二量体)およびPDGFR;形質転換成
長因子-ベータ(TGF-β)、エンドグリンおよびTGF-β受容体;単球走化性タン
パク質-1(MCP-1);インテグリンαVβ3、αVβ5およびα5β1;VE-カ
ドヘリンおよびCD31;エフリン;プラスミノーゲン活性化因子;プラスミノーゲン活
性化因子阻害剤-1;一酸化窒素シンターゼ(NOS)およびCOX-2;AC133;
またはId1/Id3、TGFベータ共受容体またはエンドグリン(これはCD105;
EDG;HHT1;ORW;またはORW1としても既知である)である。
【0210】
一実施形態では、ネオエピトープは以下の米国特許出願のうちのいずれか1つに開示さ
れるように生成されかつ得られる(米国特許出願シリアル番号第62/166,591号
、同第62/174,692号、同第62/218,936号、同第62/184,12
5号、これらはすべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0211】
一実施形態では、リステリアベースの免疫療法レジメンの投与に続く被験者の中の組織
上のリステリア株の持続性を防止する方法が本明細書に開示され、方法は、前記組み換え
型リステリアベースの免疫療法の投与に続いて、有効量の抗生物質のレジメンを投与する
工程を含み、これによって前記被験者の中の前記リステリア株の前記持続性を防止する。
【0212】
別の実施形態では、リステリア株は、1つ以上のネオエピトープをコードする1つ以上
のペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を含み、前記1つ
以上のペプチドは免疫原性タンパク質またはペプチドに融合される。別の実施形態では、
免疫原性タンパク質またはペプチドは、切断LLO(tLLO)、切断ActA(tAc
tA)、またはPESTアミノ酸配列ペプチドを含む。
【0213】
一実施形態では、組み換え型弱毒化リステリア株が本明細書に開示され、リステリア株
は1つ以上の個人用のネオエピトープを含む1つ以上のペプチドをコードする1つ以上の
オープンリーディングフレームを含む核酸配列を含み、ネオエピトープ(複数可)は、疾
患または症状を有する被験者の疾患または症状を持つ組織または細胞の中に存在する免疫
原性エピトープを含む。別の実施形態では、1つ以上のネオエピトープは、疾患または症
状を有する被験者の疾患または症状を持つ組織または細胞の中に存在する。
【0214】
別の実施形態では、リステリア株を前記疾患または症状を有する被験者に投与すると、
被験者の疾患または症状を標的とする免疫応答を生成する。
【0215】
別の実施形態では、株は前記被験者の疾患または症状を標的とする前記被験者のための
個人用の免疫療法ベクターである。
【0216】
別の実施形態では、ペプチドは少なくとも2つの異なるネオエピトープアミノ酸配列を
含む。
【0217】
別の実施形態では、ペプチドは同じアミノ酸配列の1つ以上のネオエピトープの繰り返
しを含む。
【0218】
別の実施形態では、リステリア株は1つのネオエピトープを含む。別の実施形態では、
リステリア株は約1~100の範囲のネオエピトープを含む。あるいは、リステリア株は
、約1~5、5~10、10~15、15~20、10~20、20~30、30~40
、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、5~
15、5~20、5~25、15~20、15~25、15~30、15~35、20~
25、20~35、20~45、30~45、30~55、40~55、40~65、5
0~65、50~75、60~75、60~85、70~85、70~95、80~95
、80~105、または95~105の範囲のネオエピトープを含む。あるいは、リステ
リア株は約50~100の範囲のネオエピトープを含む。あるいは、リステリア株は最高
約100のネオエピトープを含む。
【0219】
別の実施形態では、リステリア株は約100を超えるネオエピトープを含む。別の実施
形態では、リステリア株は最高約10のネオエピトープを含む。別の実施形態では、リス
テリア株は最高約20のネオエピトープを含む。別の実施形態では、リステリア株は最高
約50のネオエピトープを含む。あるいは、リステリア株は約2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、
22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、3
5、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48
、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、
62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、7
5、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88
、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100
のネオエピトープを含む。
【0220】
本明細書に記述される一実施形態では、検出された突然変異の各々の側に隣接する約5
~30の範囲のアミノ酸の組み込みが生成される。追加的にまたは代替的に、様々なサイ
ズのネオエピトープインサートが約8~27の範囲のアミノ酸配列長さで挿入される。追
加的にまたは代替的に、様々なサイズのネオエピトープインサートが約5~50の範囲の
アミノ酸配列長さで挿入される。
【0221】
別の実施形態では、ネオエピトープ配列は腫瘍特異的、転移特異的、細菌感染特異的、
ウイルス感染特異的、およびこれらの任意の組み合せである。追加的にまたは代替的に、
ネオエピトープ配列は、炎症特異的、免疫調整分子エピトープ特異的、T-細胞特異的、
自己免疫疾患特異的、移植片対宿主病(GvHD)特異的、およびこれらの任意の組み合
わせである。
【0222】
別の実施形態では、1つ以上のネオエピトープは線形ネオエピトープを含む。追加的に
または代替的に、1つ以上のネオエピトープは溶媒曝露エピトープを含む。
【0223】
別の実施形態では、1つ以上のネオエピトープはT細胞エピトープを含む。
【0224】
治療的な方法およびその使用の組成
別の実施形態では、本開示は上述のように、腫瘍またはガンを含む疾患または症状を処
置するために免疫原性組成物を提供する。例えば、本開示の方法で使用される免疫原性組
成物は、本明細書に記載するようにミニ遺伝子核酸構築体を発現するリステリア株を含む
【0225】
一実施形態では、本明細書に開示された症状は異形成である。別の実施形態では、疾患
は新生物である。別の実施形態では、疾患は肛門上皮内腫瘍(AIN)である。別の実施
形態では、疾患は膣上皮内腫瘍(VIN)である。別の実施形態では、疾患は子宮頸部上
皮内腫瘍形成(CIN)である。
【0226】
別の実施形態では本明細書に開示される症状は前ガン状態、または処置されずに放置さ
れた場合に疾患、慢性、もしくは急性を発症するように進行する状態である。
【0227】
一実施形態では、本明細書に開示されたガンは、乳ガン、中枢神経系(CNS)ガン、
頭頸部ガン、骨肉腫(OSA)、イヌの骨肉腫(OSA)、大腸ガン、腎臓の細胞ガン、
膵管腺ガン、ユーイング肉腫(ES)、膵臓ガン、卵巣ガン、胃ガン、膵臓のガンの病巣
、肺腺ガン、結腸直腸腺ガン、肺の扁平上皮腺ガン、胃腺ガン、卵巣表面上皮性新生物(
例えば、その良性、増殖性、または悪性変種)、口腔扁平細胞ガン、非小細胞肺ガン、C
NSガン腫、子宮内膜ガン、膀胱ガン、中皮腫、悪性中皮腫(MM、前立腺ガン、メラノ
ーマ、または当該技術分野で既知の任意の他のガンである。別の実施形態では、ガンはリ
ンパ腫、白血病、または骨髄腫である。別の実施形態では、リンパ腫はホジキンリンパ腫
である。別の実施形態では、リンパ腫は非ホジキンリンパ腫である。別の実施形態では、
ガンは多発性メラノーマである。
【0228】
また別の実施形態では、ガンは急性リンパ球白血病(ALL)である。別の実施形態で
は、ガンは急性骨髄性白血病(AML)である。また別の実施形態では、ガンは慢性リン
パ性白血病(CLL)である。別の実施形態では、ガンは有毛細胞白血病(HCL)であ
る。別の実施形態では、ガンはT細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)である。別の実
施形態では、ガンは大顆粒リンパ球性白血病である。別の実施形態では、ガンは成人T細
胞白血病である。別の実施形態では、ガンは慢性骨髄性白血病(CML)である。別の実
施形態では、ガンは慢性骨髄単球性白血病(CMML)である。別の実施形態では、ガン
はリンパ腫である。別の実施形態では、ガンは皮膚リンパ腫である。別の実施形態では、
ガンはホジキン病である。別の実施形態では、ガンは非ホジキンリンパ腫(NHL)であ
る。別の実施形態では、ガンは低悪性度のNHLである。別の実施形態では、ガンはびま
ん性大細胞型B細胞リンパ腫である。別の実施形態では、ガンは低悪性度のNHLである
。別の実施形態では、ガンは前駆T細胞リンパ腫である。別の実施形態では、ガンは末梢
T細胞リンパ腫である。別の実施形態では、ガンは末梢マントル細胞リンパ腫である。別
の実施形態では、ガンは多発性骨髄腫である。別の実施形態では、ガンは濾胞性リンパ腫
である。別の実施形態では、ガンは免疫増殖性疾患である。また別の実施形態では、ガン
はB細胞慢性リンパ性白血病である。別の実施形態では、このガンはバーキットリンパ腫
である。別の実施形態では、ガンはMALTリンパ腫である。別の実施形態では、ガンは
菌状息肉症である。別の実施形態では、ガンは結節性硬化症である。別の実施形態では、
ガンは低悪性度のリンパ腫である。別の実施形態では、ガンは上記のタイプのリンパ腫ま
たは白血病のうちの1つからの残りの疾患である。別の実施形態では、ガンは、当該技術
分野で既知の任意の他のタイプのリンパ腫または白血病である。別の実施形態では、ガン
はサバイビンを発現する任意の他の既知のタイプのリンパ腫である。別の実施形態では、
ガンは骨髄異形成症候群である。別の実施形態では、ガンは任意のサバイビンを発現する
血液ガンである。別の実施形態では、前記ガンまたは固形腫瘍は、再燃または転移性疾患
の結果である。別の実施形態では、ガンは不応性である。別の実施形態では、ガンは進行
性である。別の実施形態では、ガンは転移性である。
【0229】
別の実施形態では、腫瘍は骨肉腫腫瘍、乳房腫瘍、頭頸部腫瘍、または本明細書に開示
されるいずれかのガンに進行する可能性があり、かつ当該技術分野で既知の任意の他の腫
瘍である。
【0230】
別の実施形態では、本開示の方法および組成物によって標的とされる腫瘍の細胞は、本
明細書に開示される組み換え型リステリア株によって発現されるペプチドと関連付けられ
た抗原を発現する。別の実施形態では、ペプチド抗原は血管形成性腫瘍抗原(例えば、H
MW-MAA)と関連付けられる。本明細書に開示された免疫原性組成物の投与に続いて
、本明細書に開示された方法は末梢リンパ器官内でのTエフェクター細胞の増殖を誘発し
、腫瘍部位におけるTエフェクター細胞の存在の強化をもたらす。別の実施形態では、本
明細書に開示された方法は末梢リンパ器官におけるTエフェクター細胞の増殖を誘発し、
Tエフェクター細胞の末梢における存在の強化をもたらす。Tエフェクター細胞のかかる
増殖は、Tregの数に影響を与えずに、末梢内および腫瘍部位におけるTエフェクター
細胞の調節性T細胞に対する比の増加をもたらす。末梢リンパ器官としては、脾臓、パイ
エル板、リンパ節、アデノイド等が挙げられるが、これに限定されないことを当業者は理
解するであろう。一実施形態では、Tregの数に影響を与えずに、Tエフェクター細胞
の調節性T細胞に対する比の増加が末梢で生じる。別の実施形態では、末梢、リンパ器官
、および腫瘍部位で、これらの部位でのTregの数に影響を与えずに、Tエフェクター
細胞の調節性T細胞に対する比の増加が生じる。別の実施形態では、Tエフェクター細胞
の比の増加はTregの頻度を減少するが、この部位におけるTregの総数は減少しな
い。
【0231】
別の実施形態では、被験者の中のガンを防止する方法が本明細書に開示され、方法はキ
メラタンパク質をコードするミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与す
る工程を含み、前記キメラタンパク質は腫瘍抗原関連ペプチドを含む。別の実施形態では
、被験者の中の腫瘍の成長を防止する方法が本明細書に開示され、方法はキメラタンパク
質をコードするミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを含む組成物を投与す
る工程を含み、前記キメラタンパク質は腫瘍抗原関連ペプチドを含む。
【0232】
一実施形態では、被験者の中のガンを処置する方法が本明細書に開示され、方法はキメ
ラタンパク質をコードするミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを含む組成
物を投与する工程を含み、前記キメラタンパク質は腫瘍抗原関連ペプチドを含む。一実施
形態では、被験者の中の腫瘍の成長を処置する方法が本明細書に開示され、方法はキメラ
タンパク質をコードするミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与する工
程を含み、前記キメラタンパク質は腫瘍抗原関連ペプチドを含む。
【0233】
一実施形態では、ガンを持つ被験者の生存を延長する方法が本明細書に開示され、方法
はキメラタンパク質をコードするミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを含
む組成物を投与する工程を含み、前記キメラタンパク質は腫瘍抗原関連ペプチドを含む。
一実施形態では、腫瘍の成長を有する被験者の生存を延長する方法が本明細書に開示され
、方法はキメラタンパク質をコードするミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリ
アを含む組成物を投与する工程を含み、前記キメラタンパク質は腫瘍抗原関連ペプチドを
含む。
【0234】
一実施形態では、疾患を有する被験者の中の転移性疾患を阻害する、妨げる、または遅
延する方法が本明細書に開示され、方法はキメラタンパク質をコードするミニ遺伝子核酸
構築体を含む組み換え型リステリアを含む組成物を投与する工程を含み、前記キメラタン
パク質は前記疾患と関連付けられる関連ペプチドを含む。一実施形態では、本開示は被験
者の中に抗腫瘍または抗ガン免疫応答を誘発する方法を提供し、方法は被験者に本発明の
組成物を投与することを含む。
【0235】
別の実施形態では、被験者内の腫瘍またはガンの退行を誘発する方法を本明細書に開示
し、方法は本明細書に開示される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与す
る工程を含む。
【0236】
一実施形態では、腫瘍内の調節性T細胞の頻度を減少する方法を本明細書に開示し、方
法は本明細書に開示される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程
を含む。
【0237】
一実施形態では、腫瘍内の骨髄系由来サプレッサー細胞の頻度を減少する方法を本明細
書に開示し、方法は本明細書に開示される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者
に投与する工程を含む。
【0238】
別の実施形態では、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)の頻度を減少する方法を
本明細書に開示し、方法は本明細書に開示される組み換え型リステリアワクチン株を含む
組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0239】
別の実施形態では、被験者内の転移性腫瘍またはガンを処置する方法を本明細書に開示
し、方法は本明細書に開示される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与す
る工程を含む。
【0240】
一実施形態では、本開示の方法は被験者内の腫瘍またはガンに対する前記被験者内の耐
性を破壊し、方法は本明細書に開示される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者
に投与する工程を含む。
【0241】
別の実施形態では、本開示は被験者内の腫瘍またはガンの成長を妨げる方法を提供し、
方法は被験者に本明細書に開示される組み換え型リステリア株を含む組成物を投与するこ
とを含み、これによって被験者内の腫瘍またはガンの成長を妨げる。
【0242】
別の実施形態では、本開示は、ガンの発生率を減少する方法を提供し、方法は本発明の
組み換え型リステリアを含む組成物を投与する工程を含む。別の実施形態では、本開示は
、ガンを軽快する方法を提供し、方法は本発明の組み換え型リステリアを含む組成物を投
与する工程を含む。
【0243】
一実施形態では、本明細書に記述されるリステリア株を含む本明細書に開示する任意の
組成物を、本発明の方法で使用してもよい。
【0244】
一実施形態では、本発明の組成物を投与する方法が本明細書に開示される。別の実施形
態では、本発明の組み換え型リステリアを含むワクチンを投与する方法が本明細書に開示
される。別の実施形態では、本発明の組み換え型ポリペプチドを投与する方法が本明細書
に開示される。別の実施形態では、本発明の組み換え型ポリペプチドをコードする核酸構
築体を投与する方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、異なる弱毒化細菌ベク
ターを用いて投与を遂行する。別の実施形態では、異なる弱毒化リステリア・モノサイト
ゲネスベクターを用いて投与を遂行する。別の実施形態では、DNAワクチン(例えば、
ネイキッドDNAワクチン)を用いて投与を遂行する。別の実施形態では、本開示の組み
換え型ポリペプチドの投与は、タンパク質を遺伝子組み換えによって生産し、次いで組み
換え型タンパク質を被験者に投与することによって遂行される。
【0245】
一実施形態では、本開示は腫瘍の「エピトープ拡大」のための方法を提供する。別の実
施形態では、本明細書に開示される組成物および方法を使用する免疫付与は、本発明のワ
クチン内で搬送される抗原以外の抗原を持つ他の腫瘍の上へのエピトープ拡大を誘発する
。これは結果的に他の腫瘍上への抗腫瘍応答の延長をもたらす。
【0246】
別の実施形態では、優占エピトープまたは準優占エピトープは、治療される被験者内で
それぞれ優占または準優占である。別の実施形態では、優占エピトープまたは準優占エピ
トープは、治療される母集団内でそれぞれ優占または準優占である。
【0247】
一実施形態では、エピトープ拡大によって被験者内のガンまたは腫瘍増殖を治療する、
抑制する、または阻害する方法が本明細書に開示され、また別の実施形態では、前記ガン
は本発明の組成物内に含まれる抗原またはその断片の発現と関連付けられる。別の実施形
態では、方法は前記被験者に本発明の組み換え型ポリペプチド、組み換え型リステリア、
または組み換え型ベクターを含む組成物を投与することを含む。さらに別の実施形態では
、被験者は抗原を発現するガンまたは抗原を発現する腫瘍に対する免疫応答を搭載し、こ
れによって被験者内のガンまたは腫瘍増殖を治療、抑制、または阻害する。
【0248】
一実施形態では、「優占CD8T細胞エピトープ」または「優占エピトープ」という
用語は、ワクチン接種、タンパク質もしくは病原体による感染または悪性増殖、またはタ
ンパク質を含有するガン細胞によって引き出される、30%を超える抗原特異的なCD8
T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、これに
よって引き出される35%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピ
トープを指す。別の実施形態では、この用語は、40%を超える抗原特異的なCD8
細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、45%を超
える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態で
は、この用語は、50%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピト
ープを指す。別の実施形態では、この用語は、55%を超える抗原特異的なCD8T細
胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、60%を超え
る抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では
、この用語は、65%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトー
プを指す。別の実施形態では、この用語は、70%を超える抗原特異的なCD8T細胞
によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、75%を超える
抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、
この用語は、80%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープ
を指す。別の実施形態では、この用語は、85%を超える抗原特異的なCD8T細胞に
よって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、90%を超える抗
原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、こ
の用語は、95%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを
指す。別の実施形態では、この用語は、96%を超える抗原特異的なCD8T細胞によ
って識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、97%を超える抗原
特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この
用語は、98%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指
す。
【0249】
一実施形態では、「準優占CD8T細胞エピトープ」または「準優占エピトープ」と
いう用語は、ワクチン接種、タンパク質もしくは病原体による感染または悪性増殖、また
はタンパク質を含有するガン細胞によって引き出される、30%より少ない抗原特異的な
CD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、
28%より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別
の実施形態では、この用語は、26%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別
されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、24%より少ない抗原特異的
なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は
、22%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別
の実施形態では、この用語は、20%より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識
別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、18%を超える抗原特異的
なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は
、16%より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。
別の実施形態では、この用語は、14%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識
別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、12%を超える抗原特異的
なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は
、10%より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。
別の実施形態では、この用語は、8%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別
されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、6%より少ない抗原特異的な
CD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、
5%より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の
実施形態では、この用語は、4%を超える抗原特異的なCD8T細胞によって識別され
るエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、3%より少ない抗原特異的なCD
T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、2%
より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識別されるエピトープを指す。別の実施
形態では、この用語は、1%より少ない抗原特異的なCD8T細胞によって識別される
エピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、0.5%より少ない抗原特異的なC
D8T細胞によって識別されるエピトープを指す。
【0250】
一実施形態では、本開示の方法および組成物でのペプチドを含む抗原は被験者の非腫瘍
細胞上で検出可能なレベルで発現される。別の実施形態では、抗原は被験者の非腫瘍細胞
の少なくともある特定のパーセンテージ(例えば、0.01%、0.03%、0.1%、
0.3%、1%、2%、3%、または5%)の検出可能なレベルで発現される。一実施形
態では、「非腫瘍細胞」は腫瘍の本体の外側の細胞を指す。別の実施形態では、「非腫瘍
細胞」は非悪性細胞を指す。別の実施形態では、「非腫瘍細胞」は形質転換されていない
細胞を指す。別の実施形態では、非腫瘍細胞は体細胞である。別の実施形態では、非腫瘍
細胞は生殖細胞である。
【0251】
「検出可能なレベル」は、標準的なアッセイ使用するときに検出可能なレベルを指す。
一実施形態では、アッセイは免疫学的アッセイである。一実施形態では、アッセイは酵素
結合免疫測定法(ELISA)である。別の実施形態では、アッセイはウエスタンブロッ
トである。別の実施形態では、アッセイはFACSである。別の実施形態では、アッセイ
は遺伝子発現アッセイである。当該技術分野において利用可能である他のアッセイを本明
細書に開示される方法において使用することができることが当業者によって理解されるべ
きである。別の実施形態では、検出可能なレベルは特定のアッセイのバックグラウンドレ
ベルに対して決定される。これらの技法の各々を遂行するための方法は当業者には周知で
ある。
【0252】
一実施形態では、組み換え型の抗原を発現するLMを用いたワクチン接種はエピトープ
拡大を誘発する。
【0253】
一実施形態では、本開示は抗腫瘍応答の「エピトープ拡大」のための方法を提供する。
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法を使用する免疫付与は、他の
腫瘍の上へのエピトープ拡大を誘発する。
【0254】
別の実施形態では、優占エピトープまたは準優占エピトープは、治療される被験者内で
それぞれ優占または準優占である。別の実施形態では、優占エピトープまたは準優占エピ
トープは、治療される母集団内でそれぞれ優占または準優占である。
【0255】
一実施形態では、エピトープ拡大によって被験者内のガンまたは腫瘍増殖を治療する、
抑制する、または阻害する方法が本明細書に開示され、また別の実施形態では、前記ガン
は本発明の組成物内に含まれる抗原またはその断片の発現と関連付けられる。別の実施形
態では、方法は前記被験者に本発明の組み換え型ポリペプチド、組み換え型リステリア、
または組み換え型ベクターを含む組成物を投与することを含む。さらに別の実施形態では
、被験者は抗原を発現するガンまたは抗原を発現する腫瘍に対する免疫応答を搭載し、こ
れによって被験者内のガンまたは腫瘍増殖を治療、抑制、または阻害する。
【0256】
別の実施形態では、本開示はガンを有する宿主内に細胞毒性T細胞の形成を誘発するた
めの方法を提供し、この方法は宿主に本発明の組成物を投与することを含み、これによっ
てガンを有する宿主内の細胞毒性T細胞の形成を誘発する。
【0257】
一実施形態では、組成物を被験者の細胞にエクスビボで投与し、別の実施形態では、組
成物をドナーの細胞にエクスビボで投与し、別の実施形態では、組成物をドナーの細胞に
インビボで投与し、次いで被験者に移入した。
【0258】
本発明の方法の別の実施形態では、被験者は抗原を発現する腫瘍または標的抗原に対し
て免疫応答を搭載し、これによって抗腫瘍効果を媒介する。
【0259】
一実施形態では、腫瘍退行を達成するために、第1の処置の過程にすぐ引き続いて、ま
たは数日、数週間、または数か月の間隔の後、本開示の組成物の繰返し投与(ブースター
投与量)を行ってもよい。別の実施形態では、腫瘍増殖の抑制を達成するために、第1の
処置の過程にすぐ引き続いて、または数日、数週間、または数か月の間隔の後、繰返し投
与を行ってもよい。撮像技法、血清腫瘍マーカーの解析、生検、または腫瘍に伴う症状の
存在、不在、または寛解などの診断方法を含む当該技術分野で既知の任意の技法によって
評価を決定してもよい。
【0260】
一実施形態では、被験者の脾臓および腫瘍微小環境内で、Tエフェクター細胞の制御性
T細胞(Treg)に対する比を増加する方法が本明細書に提供され、方法は本明細書に
開示された免疫原性組成物を投与することを含む。別の実施形態では、被験者内の脾臓お
よび腫瘍微小環境内のTエフェクター細胞の調節性T細胞(Treg)に対する比を増加
することは、被験者内のより著明な抗腫瘍応答を可能にする。別の実施形態では、制御性
T細胞はCD4+FoxP3+T細胞である。
【0261】
別の実施形態では、Tエフェクター細胞はCD4+FoxP3-T細胞を含む。別の実
施形態では、Tエフェクター細胞はCD4+FoxP3-T細胞である。別の実施形態で
は、Tエフェクター細胞はCD4+FoxP3-T細胞およびCD8+T細胞を含む。別
の実施形態では、Tエフェクター細胞はCD4+FoxP3-T細胞およびCD8+T細
胞である。
【0262】
一実施形態では、本開示は、腫瘍またはガンを治療する、腫瘍またはガンから保護する
、および腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する方法を提供し、これには本明細書に
提供される免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0263】
一実施形態では、本開示はヒトの被験者内の腫瘍またはガンを防止または処置する方法
を提供し、これは本明細書に開示される免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。
別の実施形態では、免疫応答はT細胞応答である。別の実施形態では、T細胞応答はCD
4+FoxP3-T細胞応答である。別の実施形態では、T細胞応答はCD8+T細胞応
答である。別の実施形態では、T細胞応答はCD4+FoxP3-T細胞応答およびCD
8+T細胞応答である。
【0264】
別の実施形態では、本開示は腫瘍またはガンから被験者を保護する方法を提供し、これ
は本明細書に開示される免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。別の実施形態で
は、本開示は被験者内の腫瘍の退行を誘発する方法を提供し、これは本明細書に開示され
る免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。別の実施形態では、本開示は腫瘍また
はガンの発生または再発を減少させる方法を提供し、これは本明細書に開示される免疫原
性組成物を被験者に投与する工程を含む。別の実施形態では、本開示は被験者内の腫瘍の
形成を抑制する方法を提供し、これは本明細書に開示される免疫原性組成物を被験者に投
与する工程を含む。別の実施形態では、本開示は被験者内のガンの寛解を誘発する方法を
提供し、これは本明細書に開示される免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0265】
一実施形態では、本明細書に開示されるキメラ型ペプチドをコードするオープンリーデ
ィングフレームを含むミニ遺伝子核酸構築体がリステリアゲノムに組み込まれる。別の実
施形態では、ミニ遺伝子構築体は組み換え型リステリアワクチン株内のプラスミドの中に
ある。別の実施形態では、ミニ遺伝子構築体は前記リステリア内の染色体外プラスミドの
中にある。別の実施形態では、構築体は前記リステリア内の染色体外プラスミドから発現
される。
【0266】
別の実施形態では、処置する方法はリンパ節サイズを減少する。リンパ節サイズの減少
は部分的または100%である場合がある。別の実施形態では、本開示の方法はリンパ節
サイズを90%ほど減少する。別の実施形態では、本開示の方法はリンパ節サイズを80
%ほど減少する。別の実施形態では、方法はリンパ節サイズを70%ほど減少する。別の
実施形態では、方法はリンパ節サイズを60%ほど減少する。別の実施形態では、方法は
リンパ節サイズを50%ほど減少する。
【0267】
別の実施形態では、処置する方法は疾患が進行する時間を増加する。一実施形態では、
疾患が進行する時間は、処置されていない被験者と比較して少なくとも2カ月ほど増加す
る。一実施形態では、疾患が進行する時間は、処置されていない被験者と比較して少なく
とも4カ月ほど増加する。一実施形態では、疾患が進行する時間は、処置されていない被
験者と比較して少なくとも6カ月ほど増加する。一実施形態では、疾患が進行する時間は
、処置されていない被験者と比較して少なくとも1年ほど増加する。一実施形態では、疾
患が進行する時間は、処置されていない被験者と比較して少なくとも2年ほど増加する。
一実施形態では、疾患が進行する時間は、処置されていない被験者と比較して少なくとも
3年ほど増加する。一実施形態では、疾患が進行する時間は、処置されていない被験者と
比較して少なくとも4年ほど増加する。一実施形態では、疾患が進行する時間は、処置さ
れていない被験者と比較して少なくとも5年ほど増加する。
【0268】
一実施形態では、方法は組み換え型リステリアを追加的な療法とともに同時投与する工
程を含む。別の実施形態では、追加的な療法は外科手術、化学療法、免疫療法、放射線療
法、抗体ベースの免疫療法、またはこれらの組み合わせである。別の実施形態では、組み
換え型リステリアの投与より追加的療法を先に行う。別の実施形態では、組み換え型リス
テリアの投与に続いて追加的療法を行う。別の実施形態では、追加的療法は抗体療法であ
る。別の実施形態では、Tエフェクター細胞に対する調節性T細胞の比を増加し、より強
力な抗腫瘍免疫応答を生成するために、組み換え型リステリアは漸増用量で投与される。
細胞の免疫応答を強化するために、腫瘍を有する被験者にIFN-γ、TNF-α、およ
び当該技術分野で既知の他のサイトカインを含むがこれに限定されないサイトカインを提
供することによって、抗腫瘍免疫応答をさらに強化することができることが当業者によっ
て理解されるであろう。これらのうちのいくつかは米国特許第6,991,785号に記
載されており、この特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0269】
一実施形態では、本明細書に開示された方法は、本明細書に提供される免疫原性組成物
を前記被験者内で抗腫瘍免疫応答を強化する抗体またはその機能的断片と同時投与する工
程をさらに含む。
【0270】
別の実施形態では、ガンを患う被験者または腫瘍を有する被験者の生存を増加する方法
が本明細書に開示され、方法は本明細書に開示される組み換え型リステリアワクチン株を
含む免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0271】
別の実施形態では、ガンを患う被験者または腫瘍を有する被験者内の抗原特異的なT細
胞を増加する方法が本明細書に開示され、方法は本明細書に開示される組み換え型リステ
リアワクチンを含む免疫原性組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0272】
一実施形態では、本開示の治療プロトコルは治療的である。別の実施形態では、プロト
コルは予防的である。別の実施形態では、当業者であれば理解するであろうように、本開
示の組成物は、家族性遺伝のためまたはこれらのタイプの病気にかかりやすくなる他の状
況のために、乳ガンまたは他のタイプの腫瘍などのガンのリスクがある人々を保護するた
めに使用される。別の実施形態では、組成物は、外科手術による腫瘍成長の減量術、従来
の化学療法、または放射線治療の後のガン免疫療法として使用される。かかる治療に続い
て、本開示の組成物を投与し、これによってワクチンの腫瘍抗原に対する細胞毒性T細胞
(CTL)応答が残りの転移を破壊し、ガンからの寛解を長持ちさせる。別の実施形態で
は、組成物は、外科手術、従来の化学療法、または放射線治療と組み合わせてガン免疫療
法として使用される。別の実施形態では、本開示の組成物は、以前に定着した腫瘍の成長
に作用し、既存の腫瘍細胞を死滅させるために使用される。
【0273】
本発明によって投与範囲の様々な実施形態が企図される。一実施形態では、ワクチンベ
クターの場合は、投与量は0.4LD50/回の範囲である。別の実施形態では、投与量
は約0.4~4.9LD50/回である。別の実施形態では、投与量は約0.5~0.5
9LD50/回である。別の実施形態では、投与量は約0.6~0.69LD50/回で
ある。別の実施形態では、投与量は約0.7~0.79LD50/回である。別の実施形
態では、投与量は約0.8LD50/回である。別の実施形態では、投与量は0.4LD
50/回~0.8のLD50/回である。
【0274】
別の実施形態では、投与量は細菌数10個/回である。別の実施形態では、投与量は
細菌数1.5×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数2×10個/
回である。別の実施形態では、投与量は細菌数3×10個/回である。別の実施形態で
は、投与量は細菌数4×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数6×1
個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数8×10個/回である。別の実
施形態では、投与量は細菌数1×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌
数1.5×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数2×10個/回で
ある。別の実施形態では、投与量は細菌数3×10個/回である。別の実施形態では、
投与量は細菌数4×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数6×10
個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数8×10個/回である。別の実施形
態では、投与量は細菌数1×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数1
.5×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数2×10個/回である
。別の実施形態では、投与量は細菌数3×10個/回である。別の実施形態では、投与
量は細菌数5×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数6×10個/
回である。別の実施形態では、投与量は細菌数8×10個/回である。別の実施形態で
は、投与量は細菌数1×1010個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数1.
5×1010個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数2×1010個/回であ
る。別の実施形態では、投与量は細菌数3×1010個/回である。別の実施形態では、
投与量は細菌数5×1010個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数6×10
10個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数8×1010個/回である。別の
実施形態では、投与量は細菌数8×10個/回である。別の実施形態では、投与量は細
菌数1×1011個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数1.5×1011
/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数2×1011個/回である。別の実施形
態では、投与量は細菌数3×1011個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数
5×1011個/回である。別の実施形態では、投与量は細菌数6×1011個/回であ
る。別の実施形態では、投与量は細菌数8×1011個/回である。
【0275】
本発明によって様々な投与レジメンも企図される。一実施形態では、本開示に記述され
るような細菌を含む医薬組成物は1回投与される。別の実施形態では、組成物は2回以上
投与される。別の実施形態では、組成物は2回投与され、投与の間の間隔は1週間である
。別の実施形態では、組成物は2回投与され、投与の間の間隔は2週間である。別の実施
形態では、組成物は2回投与され、投与の間の間隔は3週間である。別の実施形態では、
組成物は3回投与され、投与の間の間隔は1週間である。別の実施形態では、組成物は3
回投与され、投与の間の間隔は2週間である。別の実施形態では、組成物は3回投与され
、投与の間の間隔は3週間である。別の実施形態では、上記のレジメンのうちのいずれか
には、さらなる投与が追加される。一部の実施形態では、さらなる投与は予防的である。
別の実施形態では、被験者がガンの再発を経験する場合、さらにブースター投与が行われ
る。別の実施形態では、被験者がガンの寛解を経験する場合、さらにブースター投与が行
われる。一部の実施形態では、ブースターレジメンは、組成物の月次の投与を含む。別の
実施形態では、ブースターレジメンは、組成物の2カ月に一度の投与を含む。また別の実
施形態では、ブースターレジメンは、組成物の2カ月以上の間隔での投与を含む。他の実
施形態では、ブースターレジメンは、追加的な投与を1回含む。他の実施形態では、ブー
スターレジメンは、追加的な投与を2回以上含む。また別の実施形態では、ブースターレ
ジメンは追加的な投与を2回含む。また別の実施形態では、ブースターレジメンは追加的
な投与を3回含む。別の実施形態では、追加する投与レジメンは、4回以上の追加的な投
与を含む。
【0276】
別の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に開示された弱毒化リステリア株を含む
免疫原性組成物を用いて被験者をブーストすることをさらに含む。別の実施形態では、本
開示の方法は本明細書に開示された弱毒化リステリア株を含む免疫原性組成物のブースタ
ー用量を投与する工程を含む。別の実施形態では、本開示の方法は被験者にブースター免
疫原性組成物を投与する工程をさらに含む。一実施形態では、ブースター用量は前記免疫
原性組成物の単一のプライミング用量の後に続く。別の実施形態では、プライミング用量
の後に単一のブースター用量を投与する。別の実施形態では、プライミング用量の後に2
回のブースター用量を投与する。別の実施形態では、プライミング用量の後に3回のブー
スター投与量を投与する。一実施形態では、本明細書に開示された弱毒化リステリアを含
む免疫原性組成物のプライム用量とブースト用量との間の期間は当業者によって実験的に
決定される。
【0277】
別の実施形態では、ブースター用量は、本明細書に開示されるリステリアを含む免疫原
性組成物の代替形態である。別の実施形態では、ブースター用量は、本明細書に開示され
る免疫原性組成物およびアジュバントを含む。異種「プライムブースト」戦略は免疫応答
および多数の病原体に対する保護を強化するために効果的であった。Schneider
et al.,Immunol.Rev.170:29-38(1999);Robi
nson,H.L.,Nat.Rev.Immunol.2:239-50(2002)
;Gonzalo,R.M.et al.,Strain 20:1226-31(20
02);Tanghe,A.,Infect.Immun.69:3041-7(200
1)。プライム注射とブースト注射において異なる形態で抗原を提供すると、抗原に対す
る免疫応答を最大化するように思われる。DNA株プライミングの後にアジュバント中の
タンパク質を用いたブースティング、または抗原をコードするDNAのウイルスベクター
送達が続くのが、抗原特異的抗体およびCD4+T細胞応答またはCD8+T細胞応答の
それぞれの改善の最も効果的なやり方であるように思われる。Shiver J.W.e
t al.,Nature 415:331-5(2002);Gilbert,S.C
.et al.,Strain 20:1039-45(2002);Billaut-
Mulot,O.et al.,Strain 19:95-102(2000);Si
n,J.I.et al.,DNA Cell Biol.18:771-9(1999
)。サルのワクチン接種の研究からの最近のデータは、サルにHIV gag DNAを
プライムでワクチン接種し、HIV gagを発現するアデノウイルスベクター(Ad5
-gag)を用いたブーストを後に続けた場合、CRL1005ポロクサマー(12kD
a、5% POE)をHIV gag抗原をコードするDNAに加えることがT細胞応答
を強化することを示唆している。DNA/ポロクサマーのプライムの後にAd5-gag
ブーストを続けることに対する細胞免疫応答は、DNA(ポロクサマーを用いない)プラ
イムの後に続くAd5-gagブーストで、またはAd5-gagのみで誘発される応答
より大きい。Shiver、J.W.et al.Nature 415:331-5(
2002)。米国特許出願 公開第US2002/0165172A1号は、免疫応答が
生成されるような、抗原の免疫原性の部分をコードするベクター構築体と抗原の免疫原性
の部分を含むタンパク質との同時投与を記述している。このドキュメントは、B型肝炎抗
原およびHIV抗原に限られる。さらに、米国特許 第6,500,432号は対象とな
るポリヌクレオチドおよびポリペプチドの同時投与によって核酸ワクチン接種の免疫応答
を強化する方法を対象としている。この特許によると、同時投与は、ポリヌクレオチドお
よびポリペプチドの同一の免疫応答の間の投与を意味し、相互の間が0~10日間または
3~7日間であるのが好ましい。意図される抗原としては、数ある中でも、肝炎(すべて
の形態)、HSV、HIV、CMV、EBV、RSV、VZV、HPV、ポリオ、インフ
ルエンザ、寄生虫(例えば、プラスモジウム属からの)、および病原性細菌(結核菌、ラ
イ菌、クラミジア、シゲラ、ライム病ボレリア、腸内毒素原性大腸菌、サルモネラ・ティ
フォサ、ピロリ菌、コレラ菌、百日咳菌等々が挙げられるがこれに限定されない)が挙げ
られる。すべての上記の参考文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0278】
一実施形態では、本開示のワクチンまたは免疫原性組成物を被験者に単独で投与する。
別の実施形態では、ワクチンまたは免疫原性組成物は、放射線療法、化学療法、または抗
-PD-1抗体、IDO経路阻害剤等などのチェックポイント阻害剤、またはこれらの任
意の組み合せなどの、しかしこれに限定されない、別のガン療法と一緒に投与される。
【0279】
一実施形態では、本開示の治療プロトコルは治療的である。別の実施形態では、プロト
コルは予防的である。別の実施形態では、当業者であれば理解するであろうように、本開
示の組成物は、家族性遺伝のためまたはこれらのタイプの病気にかかりやすくなる他の状
況のために、乳ガンまたは他のタイプの腫瘍などのガンのリスクがある人々を保護するた
めに使用される。別の実施形態では、ワクチンまたは免疫原性組成物は、外科手術による
腫瘍増殖の減量術、従来の化学療法、または放射線治療の後のガン免疫療法として使用さ
れる。かかる治療に続いて、本開示のワクチンを投与し、これによってワクチンの腫瘍抗
原に対するCTL応答が残りの転移を破壊し、ガンからの寛解を長持ちさせる。別の実施
形態では、本開示のワクチンは、以前に定着した腫瘍の成長に作用し、既存の腫瘍細胞を
死滅させるために使用される。
【0280】
本明細書で使用される時、単数形(「1つの(a、an)」および「その(the)」
)は複数形の参照を含むが、その文脈によってそうでないことが明らかに示される場合は
その限りではない。例えば、「1つの化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、こ
れらの混合物を含む複数の化合物を含む場合がある。
【0281】
本出願全体を通して、本開示の様々な実施形態が範囲の形式で提示される場合がある。
範囲の形式の記述は、単に利便性および簡潔性の目的に過ぎず、本発明の範囲の一定不動
の制限として解釈するべきではないことを理解するべきである。したがって、範囲の記述
はすべての可能性のある部分的範囲ならびにその範囲内の個別の数値を具体的に開示した
ものと考えるべきである。例えば、1~6などのような範囲の記述は、1~3、1~4、
1~5、2~4、2~6、3~6、等々などの具体的に開示された部分的範囲、ならびに
この範囲内の個別の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を有すると考えるべきで
ある。これは、範囲の幅広さに関わらず適用される。
【0282】
本明細書に数値的範囲が示されるときはいつも、示される範囲内のあらゆる引用された
数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1に示す数と第2に示す数と「の間の
範囲」という句、および第1に示す数「から」第2に示す数「までの範囲」という句は、
本明細書で互換的に使用され、第1に示す数および第2に示す数ならびにそれらの間のす
べての分数および整数を含むことを意味する。
【0283】
「方法」という用語は、化学技術、薬学技術、生物学技術、生化学技術、および医術の
実践者に既知であるか、または既知の様式、手段、技法、および手順からこれらの施術者
によって容易に開発される様式、手段、技法、および手順を含むがこれに限定されない、
所与の課題を遂行するための様式、手段、技法、および手順を包含することが当業者には
理解されるであろう。
【0284】
以下の実施例では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が示され
る。しかしながら、本開示はこれらの具体的な詳細を含まずに実施されうることが当業者
には理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないために周知の方法、手
順、および構成成分は詳細には記述されていない。
【0285】
医薬的剤形および投与
別の実施形態では、非経口的に、ガン近傍に、経粘膜的に、経皮的に、筋肉内に、静脈
内に、皮内に、皮下に、経口で、腹腔内に、脳室内に、頭蓋内に、腟内に、または腫瘍内
になどの当業者に既知の任意の方法によって、本開示のワクチン、免疫原性組成物、また
は組み換え型リステリアを含有する医薬組成物を被験者に投与する。
【0286】
一実施形態では、被験者内の少なくとも1つのガンを治療、抑制、または阻害する方法
が本明細書に開示され、これは組み換え型リステリア株を前記被験者に投与する工程を含
む。
【0287】
一実施形態では、特定のガンまたは腫瘍に感受性があることが知られている特異的な母
集団で、本明細書に開示された免疫原性組成物を投与することによってガンまたは腫瘍が
防止される場合がある。一実施形態では、こうした感受性は、一実施形態で、喫煙によっ
てある母集団が肺ガンになりやすくなる場合があるなど、環境的因子による場合があり、
一方で別の実施形態では、こうした感受性は遺伝的因子による場合があり、例えば、BR
CA1/2突然変異を持つ母集団は、一実施形態では乳ガンに、また別の実施形態では卵
巣ガンに対する影響を受けやすい場合がある。別の実施形態では、染色体8q24、染色
体17q12、および染色体17q24.3での1つ以上の突然変異は、当該技術で既知
のとおり、前立腺ガンに対する感受性を高めうる。ガン感受性に寄与するその他の遺伝的
因子および環境的因子は当該技術分野で既知である。
【0288】
本明細書に開示される方法および組成物の別の実施形態では、ワクチンまたは組成物は
経口で投与され、したがってこれは経口投与に好適な形態、すなわち固形調製物または液
状調製物で処方される。好適な固形の経口剤形としては、錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、
ペレット、およびこれに類するものが挙げられる。好適な液状の経口剤形としては、溶液
、懸濁液、分散剤、エマルション、オイル、およびこれに類するものが挙げられる。本発
明の別の実施形態では、活性成分はカプセルで処方される。この実施形態によると、本開
示の組成物は活性化合物および不活性担体または希釈剤に加えて、硬いゼラチンカプセル
を含む。
【0289】
別の実施形態では、ワクチンまたは組成物は、液状調製物の静脈内、動脈内、または筋
肉内注射によって投与される。好適な液体剤形としては、溶液、懸濁液、分散剤、エマル
ション、オイルおよびこれに類するものが挙げられる。一実施形態では、医薬組成物は静
脈内に投与され、したがって静脈内投与に好適な形態で処方される。別の実施形態では、
医薬組成物は動脈内に投与され、したがって動脈内投与に好適な形態で処方される。別の
実施形態では、医薬組成物は筋肉内に投与され、したがって筋肉内投与に好適な形態で処
方される。
【0290】
「免疫原性組成物」、「組成物」、および「医薬組成物」という用語は交換可能に使用
される場合がある。例えば、一実施形態では、本開示の組成物は、本明細書に記述される
組み換え型リステリア、およびアジュバントを包含する場合がある。別の実施形態では、
免疫原性組成物は本明細書に開示された組み換え型リステリアを含む。別の実施形態では
、免疫原性組成物は当該技術分野で既知のまたは本明細書に開示されたアジュバントを含
む。本明細書にさらに開示されているとおり、かかる組成物の投与が免疫応答を強化する
、またはTエフェクター細胞に対する制御性T細胞の比を増加するもしくは抗腫瘍免疫応
答を引き出すことも理解されるべきである。
【0291】
「医薬組成物」という用語は、リステリア株を医薬的に許容される担体または希釈剤と
ともに含む治療的に有効な量の活性成分(複数可)を包含する。
【0292】
「投与する」という用語は被験者に本発明の組成物との接触をもたらすことを包含する
ことを当業者は理解するであろう。一実施形態では、投与はインビトロで、すなわち、試
験管内で、またはインビボで、すなわち、生命体、例えば、ヒトの細胞または組織の中で
遂行することができる。一実施形態では、本開示は、本開示のリステリア株およびその組
成物を被験者に投与することを包含する。
【0293】
一実施形態では、「治療する」という用語は疾患を治癒することを指す。別の実施形態
では、「治療する」とは疾患を防止することを指す。別の実施形態では、「治療する」と
は疾患の発生率を減少することを指す。別の実施形態では、「治療する」とは疾患の症状
を軽快することを指す。別の実施形態では、「治療する」とは患者のパフォーマンスのな
い生存率または全体的な生存率が増加することを指す。別の実施形態では、「治療する」
とは疾患の進行を安定させることを指す。別の実施形態では、「治療する」とは寛解を誘
発することを指す。別の実施形態では、「治療する」とは疾患の進行を減速することを指
す。別の実施形態では、腫瘍またはガンに関する場合、「処置する」は腫瘍またはガンの
退行を誘発することを指す。「減少する」、「抑制する」、および「阻害する」という用
語は、より少なくすることまたは減らすことを指す。
【0294】
一実施形態では、「治療する」という用語は、療法的な治療および予防または防止手段
の両方を意味するが、目的は本明細書に記述されるように、標的化された病理学状態また
は障害を予防または少なくすることである。したがって、一実施形態では、治療すること
は、疾患、障害、もしくは病状、またはこれらの組合せに直接的に影響するもしくはそれ
を治癒すること、抑制すること、阻害すること、防止すること、その重症度を減少するこ
と、その発症を遅延すること、それに関連する症状を減少することを含む場合がある。し
たがって、一実施形態では、「治療する」ことは、とりわけ、進行を遅延すること、寛解
を早めること、寛解を誘発すること、寛解を増強すること、回復を加速すること、代替治
療に対する有効性を増加することもしくは耐性を減少すること、またはこれらの組合せを
意味する。一実施形態では、「防止する」または「妨げる」ことは、とりわけ、症状の発
症を遅延すること、疾患の再発を防止すること、再発の発症の数または頻度を減少するこ
と、症候性の症状の発現の間の潜伏を増加すること、またはこれらの組合せを意味する。
一実施形態では、「抑制する」または「阻害する」ことは、とりわけ、症状の重症度を減
少すること、急性症状の発現の重症度を減少すること、症状の数を減少すること、疾患に
関係した症状の発生率を減少すること、症状の潜伏を減少すること、症状を軽快すること
、二次性症状を減少すること、二次感染を減少すること、患者の生存を延長すること、ま
たはこれらの組合せを意味する。
【0295】
一実施形態では、症状は一次性であるが、一方で別の実施形態では、症状は続発性であ
る。一実施形態では、「一次」は特定の疾患または障害の直接的な結果である症状を指す
が、一方で一実施形態では、「続発性」は主因に由来する、その結果としての症状を指す
。一実施形態では、本開示で使用するための化合物は、一次症状、または続発性症状、ま
たは二次合併症を治療する。別の実施形態では、「症状」は疾患または病的状態の何らか
の兆候である場合がある。
【0296】
本明細書で使用される時、「約」という用語は定量的な用語プラスもしくはマイナス5
%を意味し、または別の実施形態では、プラスもしくはマイナス10%を意味し、または
別の実施形態では、プラスもしくはマイナス15%を意味し、または別の実施形態では、
プラスもしくはマイナス20%を意味する。
【0297】
「被験者」という用語は、症状もしくはその後遺症に対するまたはその症状になりやす
いことに対する療法を必要とする、成人のヒト、またはヒトの子ども、ティーンエージャ
ー、もしくは青年を含むことができ、これはイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウ
マ、ラット、およびマウスなどのヒト以外の哺乳類を包含してもよいことを当業者は理解
するべきである。この用語が家畜を包含してもよいことも理解されるであろう。「被験者
」という用語はあらゆる点で正常な個体を除外しない。
【0298】
治療の目的については、[哺乳類」という用語は哺乳類と分類されたあらゆる動物を指
し、ヒト、飼育動物および家畜物、ならびに動物園の動物、スポーツ用の動物、または愛
玩用動物(犬を含むイヌ科の動物、およびウマ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ等々など)を
含むがこれに限定されないことを当業者は理解するであろう。
【0299】
腫瘍の治療に関して「治療的に有効な量」とは、以下の効果のうちの1つ以上を引き起
こす能力を有する量を指す。(1)増殖の減速および完全な増殖停止を含むある程度の腫
瘍増殖の阻害、(2)腫瘍細胞の数の減少、(3)腫瘍サイズの減少、(4)周辺器官へ
の腫瘍細胞の浸潤の阻害(すなわち、減少、減速、または完全な停止)、(5)転移の阻
害(すなわち、減少、減速、または完全な停止)、(6)腫瘍の退行もしくは拒絶をもた
らす場合があるが、必ずしもそうでなくてもよい、抗腫瘍免疫応答の強化、および/また
は(7)障害に関連した1つ以上の症状のある程度の軽減。腫瘍の治療の目的については
、本明細書に開示されるワクチンの「治療的に有効な量」は、経験的におよび習慣的な様
式で決定される場合がある。
【0300】
以下の実施例では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が示され
る。しかしながら、本開示はこれらの具体的な詳細を含まずに実施されてもよいことが当
業者には理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないために周知の方法
、手順、および構成成分は詳細には記述されていない。したがって、これらの実施例は本
発明の幅広い範囲を制限するものとはけっして理解するべきでない。
【実施例
【0301】
材料および実験方法(実施例1~2)
(実施例1) LLO-抗原融合が抗腫瘍免疫性を誘発
【0302】
細胞株
C57BL/6同系TC-1腫瘍をHPV-16 E6およびE7で不死化し、c-H
a-rasガン遺伝子で形質転換した。T.C.Wu(Johns Hopkins U
niversity School of Medicine、米国メリーランド州Ba
ltimore)によって提供されたTC-1は、HPV-16 E6 および E7で
低いレベルを発現する腫瘍形成性の高い肺上皮細胞であり、またc-Ha-rasガン遺
伝子で形質転換される。TC-1を、RPMI 1640、10%のFCS、2mMのL
-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、
100μMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、50マイクロモル(mc
M)の2-ME、400マイクログラム(mcg)/mLのG418、および10%のナ
ショナルコレクションタイプ培養液-109培地中、37°で、10%のCOを用いて
成長させた。C3は、HPV 16の完全ゲノムで不死化し、pEJ-rasで形質転換
されたC57BL/6マウスからのマウスの胎芽細胞である。EL-4/E7は、E7を
用いてレトロウイルスによって形質導入した胸腺腫EL-4である。
【0303】
L.モノサイトゲネス株および増殖
使用されたリステリア株は、Lm-LLO-E7(エピソームの発現系内のhly-E
7融合遺伝子、図1A)、Lm-E7(リステリアゲノムへと組込まれる単一コピーE7
遺伝子カセット)、Lm-LLO-NP(「DP-L2028」、エピソーム発現系内の
hly-NP融合遺伝子)、およびLm-Gag(「ZY-18」、染色体へと組込まれ
る単一コピーHIV-1Gag遺伝子カセット)である。E7を、プライマー5’-GG
CTCGAGCATGGAGATACACC-3’(配列番号:21、XhoI部位は下
線付き)および5’-GGGGACTAGTTTATGGTTTCTGAGAACA-3
’(配列番号:21、SpeI部位は下線付き)を使用してPCRによって増幅し、pC
R2.1(Invitrogen米国カリフォルニア州San Diego)へと連結さ
せた。pCR2.1をXhoI/SpeIによって消化してE7を切り離してpGG-5
5へと連結した。このhly-E7融合遺伝子および多能性の転写因子prfAをマルチ
コピーシャトルプラスミド(Wirth R et al、J Bacteriol、1
65:831,1986)であるpAM401へとクローニングし、pGG-55を生成
した。hlyプロモーターはhly遺伝子産物(以下に「ΔLLO」と称される溶血性の
C末端を欠いている)の最初の441 AAの発現を駆動し、これはXhoI部位によっ
てE7遺伝子に連結され、hly-E7融合遺伝子を生じ、これは転写されてLLO-E
7として分泌される。リステリアのprfA陰性株、XFL-7(ペンシルバニア大学の
Dr.Hao Shenによって提供された)のpGG-55を用いた形質転換が、イン
ビボでのプラスミドの保持に対して選択された(図1A図1B)。hlyプロモーター
および遺伝子断片は、プライマー5’-GGGGGCTAGCCCTCCTTTGATT
AGTATATTC-3’(配列番号:23、NheI部位は下線付き)、および5’-
CTCCCTCGAGATCATAATTTACTTCATC-3’(配列番号:24、
XhoI部位は下線付き)を用いて作成した。prfA遺伝子は、プライマー5’-GA
CTACAAGGACGATGACCGACAAGTGATAACCCGGGATCTA
AATAAATCCGTTT-3’(配列番号:25、XbaI部位は下線付き)、およ
び5’-CCCGTCGACCAGCTCTTCTTGGTGAAG-3’(配列番号:
26、SalI部位は下線付き)を用いてPCR増幅した。Lm-E7は、hlyプロモ
ーターと、E7の発現および分泌を駆動するシグナル配列とを含有する発現カセットを、
LMゲノムのorfZドメインへと導入することによって生成した。E7をプライマー5
’-GCGGATCCCATGGAGATACACCTAC-3’(配列番号:27、B
amHI部位は下線付き)および5’-GCTCTAGATTATGGTTTCTGAG
-3’(配列番号:28、XbaI部位は下線付き)を使用してPCR増幅した。次いで
E7をpZY-21シャトルベクターへと連結させた。LM株10403Sを、結果とし
て得られるプラスミドpZY-21-E7を用いて形質転換したが、このプラスミドはL
MゲノムのorfX、Y、Zドメインに対応する1.6kb配列の中央に挿入された発現
カセットを含む。相同性ドメインは、相同的組み換えによるE7遺伝子カセットのorf
Zドメインへの挿入を可能にする。クローンを、E7遺伝子カセットのorfZドメイン
への組込みについてスクリーニングした。細菌をブレインハートインフュージョン培地中
で、クロラムフェニコール(20μg/mL)を用いて(Lm-LLO-E7およびLm
-LLO-NP)、または用いないで(Lm-E7およびZY-18)、成長させた。細
菌は、アリコートで-80℃にて凍結させた。ウエスタンブロット法によって発現を検証
した(図2)。
【0304】
ウエスタンブロット法
リステリア株をルリア-ベルターニ培地内で37℃にて増殖させ、600nmで測定さ
れた同一の光学濃度にて採取した。上清をTCA沈殿させ、0.1NのNaOHを補充し
た1×サンプルバッファー中で再懸濁した。同一量の各々の細胞ペレットまたは各々のT
CA沈殿させた上清を、4~20%のトリスグリシンSDS-PAGEゲル(NOVEX
、米国カリフォルニア州San Diego)上に負荷した。ゲルを二フッ化ポリビニリ
デンに移し、抗E7モノクローナル抗体(mAb)(Zymed Laboratori
es、米国カリフォルニア州South San Francisco)でプローブし、
次いでHRP-結合抗マウス二次Ab(Amersham Pharmacia Bio
tech、英国Little Chalfont)でインキュベートし、Amersha
m ECL検出試薬で顕色し、Hyperfilm(Amersham Pharmac
ia Biotech)に露光させた。
【0305】
腫瘍増殖の測定
1日おきに表面の最短径及び最長径にキャリパーをわたして腫瘍を測定した。これら2
つの測定値の平均を平均腫瘍径としてミリメートルの単位で様々な時点に対してプロット
した。腫瘍径が20mmに達したとき、マウスを犠牲にした。各々の時点に対する腫瘍の
測定値は、生きているマウスに対してのみ示されている。
【0306】
定着した腫瘍増殖に対するリステリア組み換え型の効果
生後6~8週目のC57BL/6マウス(Charles River)が2×10
TC-1細胞を左脇腹の皮下に投与された。腫瘍接種の一週間後、腫瘍は直径4~5mm
の触知可能なサイズに達した。次いで8匹のマウスの群が、7日目および14日目に、0
.1LD50腹腔内で、Lm-LLO-E7(10CFU)、Lm-E7(10CF
U)、Lm-LLO-NP(10CFU)、またはLm-Gag(5×10CFU)
で処置された。
【0307】
51Crリリースアッセイ
生後6~8週間のC57BL/6マウスが、0.1LD50Lm-LLO-E7、Lm
-E7、Lm-LLO-NP、またはLm-Gagで腹腔内免疫化された。免疫化の10
日後、脾臓を採取した。フィーダー細胞として照射されたTC-1細胞(100:1、脾
細胞:TC-1)を用いて、脾細胞を培養液内に定着させ、インビトロで5日間刺激し、
次いで以下の標的を使用して標準的51Crリリースアッセイに使用した。EL-4、E
L-4/E7、またはEL-4でパルスしたE7 H-2bペプチド(RAHYNIVT
F)(配列番号:29)。各3回実施したE:T細胞比は、80:1、40:1、20:
1、10:1、5:1、および2.5:1であった。37℃で4時間のインキュベーショ
ン後、細胞をペレット化し、50μlの上清を各々のウェルから取り出した。Walla
c 1450シンチレーションカウンター(米国メリーランド州Gaithersbur
g)を用いてサンプルをアッセイした。パーセント特異的溶解は、[(一分当たりの実験
計数(cpm)-自然発生cpm)/(合計cpm-自然発生cpm)]×100として
決定された。
【0308】
TC-1特異的増殖
C57BL/6マウスを0.1LD50を用いて免疫化し、20日後に1LD50のL
m-LLO-E7、Lm-E7、Lm-LLO-NP、またはLm-Gagを用いて腹腔
内注射によってブーストした。ブースティングの6日後、免疫化マウスおよび無処置マウ
スから脾臓を採取した。脾細胞を5×10/ウェルで、平底96-ウェルプレート内に
、2.5×10、1.25×10、6×10、または3×10の照射TC-1細
胞/ウェルをE7 Ag源として用いて、またはTC-1細胞なし、もしくは10μg/
mLのCon Aありで、培養液内に定着させた。45時間後に0.5μCi[H]チ
ミジン/ウェルを用いて細胞をパルスした。プレートはTomtecハーベスター96(
米国コネチカット州Orange)を使用して18時間後に採取され、Wallac 1
450シンチレーションカウンターを用いて増殖が評価された。cpmの変化は、実験的
cpm-Agを含まないcpmとして計算された。
【0309】
フローサイトメトリー解析
C57BL/6マウスを、0.1 LD50 Lm-LLO-E7またはLm-E7を
用いて静脈内(i.v.)免疫化し、30日後にブーストした。CD8(53-6.7、
PE結合)、CD62リガンド(CD62L、MEL-14、APC結合)、およびE7
H-2Db四量体に対する3色フローサイトメトリーを、FACSCalibur(登
録商標)フローサイトメーターとCellQuest(登録商標)ソフトウェア(Bec
ton Dickinson、米国カリフォルニア州Mountain View、)を
使用して実施した。ブーストの5日後に採取した脾細胞を、E7ペプチド(RAHYNI
VTF)(配列番号:29)または対照(HIV-Gag)ペプチドを負荷したH-2D
b四量体を用いて、室温(rt)にて染色した。四量体は1/200に希釈して使用され
、これらの四量体は、Dr.Larry R.Pease(Mayo Clinic、米
国ミネソタ州Rochester)およびNIAID Tetramer Core F
acilityおよびNIH AIDS Researchならびに標準試薬プログラム
によって提供された。Tetramer、CD8、CD62Llow細胞が解析され
た。
【0310】
B16F0-Ova実験
24匹のC57BL/6マウスに5×10のB16F0-Ova細胞を接種した。3
日目、10日目、および17日目に、0.1LD50Lm-OVA(10cfu)、L
m-LLO-OVA(10cfu)を用いて8匹のマウスの群を免疫化し、8匹のマウ
スは処置しないままにした。
【0311】
統計
腫瘍径の比較のために、各々の群に対する腫瘍サイズの平均およびSDが決定され、ス
チューデントのt-検定によって統計的有意性が決定された。p≦0.05が有意と見な
された。
【0312】
結果
Lm-E7およびLm-LLO-E7がTC-1増殖に影響を与える能力に関して比較
された。皮下腫瘍がC57BL/6マウスの左の脇腹に定着した。7日後、腫瘍は触診可
能なサイズ(4~5mm)に達した。7日目および14日目に、0.1LD50m-E7
、Lm-LLO-E7、または対照としてのLm-GagおよびLm-LLO-NPをマ
ウスにワクチン接種した。Lm-LLO-E7は、定着したTC-1腫瘍の75%の完全
な退行を誘発し、一方でこの群の中の他の2匹のマウスでは腫瘍増殖が制御された(図3
)。対照的に、Lm-E7およびLm-Gagを用いた免疫化は、腫瘍退行を誘発しなか
った。この実験は複数回繰返され、常に非常に類似した結果であった。加えて、Lm-L
LO-E7に対しては異なる免疫化プロトコル下でも類似の結果が達成された。別の実験
では、単一の免疫化で、マウスの定着した5mmのTC-1腫瘍を治癒することができた
【0313】
他の実験では、2つの他のE7を発現する腫瘍細胞株:C3およびEL-4/E7で類
似の結果が得られた。Lm-LLO-E7を用いたワクチン接種の有効性を確認するため
に、腫瘍を除去した動物にTC-1またはEL-4/E7腫瘍細胞をそれぞれ60日目ま
たは40日目に再負荷した。Lm-LLO-E7を用いて免疫化した動物は実験終了まで
腫瘍がないままであった(TC-1の場合124日目、EL-4/E7に対しては54日
目)。
【0314】
したがってΔLLOとの融合タンパク質としての抗原の発現は抗原の免疫原性を強化す
る。
(実施例2) LM-LLO-E7治療がTC-1特異的脾細胞増殖を引き出す
【0315】
Lm-LLO-E7を有するLm-E7によるT細胞の誘導を測定するために、E7特
異的な増殖性の応答、抗原特異的な免疫能の測定が免疫化したマウスで測定された。脾細
胞においてE7の供給源として照射したTC-1細胞に曝露したとき、Lm-LLO-E
7で免疫化したマウスからの脾細胞を増殖した。TC-1比は20:1、40:1、80
:1、および160:1である(図4)。反対に、Lm-E7およびrLm対照免疫化マ
ウスからの脾細胞はバックグラウンドレベルの増殖しか示さなかった。
(実施例3)ActA-E7およびPEST-E7融合が抗腫瘍免疫性を与える
【0316】
材料および実験方法
【0317】
Lm-ActA-E7の構築
Lm-ActA-E7は、actAタンパク質の切断版に融合されるE7タンパク質を
発現するプラスミドを含むLMの組み換え型株である。Lm-ActA-E7は、pDP
-2028を修飾することにより構成されるプラスミドベクターpDD-1をリステリア
に導入することにより生成された。pDD-1は、ActA-E7の発現および分泌を駆
動する310bpのhlyプロモーターおよびhlyシグナル配列(ss)のコピーを発
現する発現カセットと、4つのPEST配列を含む1170bpのActA遺伝子(切断
ActAポリペプチドは分子の最初の390のAAから成る)と、300bpのHPV
E7遺伝子と、1019bpのprfA遺伝子(病毒性遺伝子の発現を制御)と、形質転
換細菌クローンの選択のためのCAT遺伝子(クロラムフェニコール耐性遺伝子)とを含
む(Sewell et al.(2004)、Arch.Otolaryngol.H
ead Neck Surg.、130:92-97)。
【0318】
hlyプロモーター(pHly)および遺伝子断片は、pGG55(実施例1)から、
プライマー5’-GGGGTCTAGACCTCCTTTGATTAGTATATTC-
3’(Xba I部位は下線付き;配列番号:30)およびプライマー5’-ATCTT
CGCTATCTGTCGCCGCGGCGCGTGCTTCAGTTTGTTGCGC
-’3(Not I部位は下線付き。最初の18ヌクレオチドはActA遺伝子と重複;
配列番号:31)を使用してPCR増幅された。ActA遺伝子は、Lm 10403S
野生型ゲノムからプライマー5’-GCGCAACAAACTGAAGCAGCGGCC
GCGGCGACAGATAGCGAAGAT-3’(NotI部位は下線付き;配列番
号:32)およびプライマー5’-TGTAGGTGTATCTCCATGCTCGAG
AGCTAGGCGATCAATTTC-3’(XhoI部位は下線付き;配列番号:3
3)を使用してPCR増幅された。E7遺伝子は、pGG55(pLLO-E7)から、
プライマー5’-GGAATTGATCGCCTAGCTCTCGAGCATGGAGA
TACACCTACA-3’(XhoI部位は下線付き;配列番号:34)およびプライ
マー5’-AAACGGATTTATTTAGATCCCGGGTTATGGTTTCT
GAGAACA-3’(XmaI部位は下線付き;配列番号:35)を使用してPCR増
幅された。prfA遺伝子は、Lm 10403S野生型ゲノムから、プライマー5’-
TGTTCTCAGAAACCATAACCCGGGATCTAAATAAATCCGT
TT-3’(XmaI部位は下線付き;配列番号:36)およびプライマー5’-GGG
GGTCGACCAGCTCTTCTTGGTGAAG-3’(SalI部位は下線付き
;配列番号:37)を使用してPCR増幅された。hlyプロモーター-ActA遺伝子
融合(pHly-actA)は、精製したpHly DNAおよび精製したActA D
NAから、上流pHlyプライマー(配列番号:30)および下流ActAプライマー(
配列番号:33)を使用してPCR生成および増幅された。
【0319】
prfA遺伝子(E7-prfA)に融合されたE7遺伝子は、精製したE7 DNA
および精製したprfA DNAから、上流E7プライマー(配列番号:34)および下
流prfA遺伝子プライマー(配列番号:37)を使用してPCR生成および増幅された
【0320】
E7-prfA融合生成物に融合されたpHly-actA融合生成物は、精製した融
合pHly-actA DNA生成物および精製した融合E7-prfA DNA生成物
から、上流pHlyプライマー(配列番号:30)および下流prfA遺伝子プライマー
(配列番号:37)を使用してPCR生成および増幅され、pCRII(Invitro
gen、La Jolla、Calif.)に連結された。コンピテント大腸菌(TOP
10’F、Invitrogen、La Jolla、Calif.)は、pCRII-
ActAE7で形質転換された。溶解および分離の後、プラスミドは、BamHI(期待
される断片サイズ770bpおよび6400bp(またはインサートがベクター:250
0bpおよび4100bpに反転された時))およびBstXI(期待される断片サイズ
2800bpおよび3900bp)を使用した制限分析によってスクリーニングされ、ま
た上流pHlyプライマー(配列番号:30)および下流prfA遺伝子プライマー(配
列番号:37)を使用したPCR分析を用いてスクリーニングされた。
【0321】
pHly-ActA-E7-prfA DNAインサートはXba IおよびSal
Iを用いた二重消化によってpCRIIから切り離され、またこれもXba I および
Sal Iを用いて消化されたpDP-2028へと連結された。TOP10’F構成
要素大腸菌(Invitrogen、La Jolla、Calif.)を発現系pAc
tAE7で形質転換した後、クロラムフェニコール耐性クローンが、上流pHlyプライ
マー(配列番号:30)および下流prfA遺伝子プライマー(配列番号:37)を使用
してPCR分析によってスクリーニングされた。。pActAE7を含むクローンがブレ
インハートインフュージョン培地(クロラムフェニコール(20mcg(マイクログラム
)/ml(ミリリットル)、Difco、Detroit、Mich.を使用)内で培養
され、pActAE7がミディプレップDNA精製システムキット(Promega、M
adison、Wis.)を使用して細菌細胞から分離された。ペニシリン処置したリス
テリア(株XFL-7)のprfA陰性株は、Ikonomidisら(1994、J.
Exp.Med.180:2209-2218)が記述しているように発現系pActA
E7を用いて形質転換され、クローンはプラスミドの保持のためにインビボで選択された
。クローンをクロラムフェニコール(20mcg/mL)入りのブレインハートインフュ
ージョン中で37℃にて増殖させた。細菌をアリコートで-80℃にて凍結した。
【0322】
抗原発現のイムノブロット検証
Lm-ActA-E7がActA-E7を分泌する(約64kD)ことを検証するため
に、リステリア株をルリア-ベルターニ(LB)培地中で37℃にて増殖させた。トリク
ロロ酢酸(TCA)を用いて培養上清からタンパク質を沈殿させ、0.1Nの水酸化ナト
リウムを用いて1×サンプルバッファー中に再懸濁した。同一の量の各々のTCA沈殿し
た上清を4%~20%のトリスグリシンドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル
(NOVEX、米国カリフォルニア州San Diego)に負荷した。ゲルを二フッ化
ポリビニリデン膜に導入し、1:2500抗E7モノクローナル抗体(Zymed La
boratories、米国カリフォルニア州South San Francisco
)でプローブし、次いで1:5000西洋ワサビペルオキシダーゼ共役抗マウスIgG(
Amersham Pharmacia Biotech、英国、Little Cha
lfont)でプローブした。ブロットはAmersham強化化学発光検出試薬を用い
て発色させ、オートラジオグラフィーフィルム(Amersham)に曝露した(図5A
)。
【0323】
Lm-PEST-E7、Lm-ΔPEST-E7、およびLm-E7epiの構築(図
6A)
Lm-PEST-E7は、それがプロモーターおよびhly遺伝子のPEST配列のみ
、特にLLOの最初の50個のAAを含有すること以外はLm-LLO-E7と同一であ
る。Lm-PEST-E7を構築するために、SOE(重複延長による遺伝子スプライシ
ング)PCR技法を使用して、hlyプロモーターおよびPEST領域を全長のE7遺伝
子に融合した。E7遺伝子およびhly-PEST遺伝子断片をLLOの最初の441個
のAAを含有するプラスミドpGG-55から増幅し、従来のPCR技法によって一緒に
スプライシングした。最終的なプラスミドpVS16.5を作り出すために、hly-P
EST-E7断片およびprfA遺伝子を、インビトロでの選択のためのクロラムフェニ
コール耐性遺伝子を含むプラスミドpAM401へとサブクローンし、得られたプラスミ
ドを使用してXFL-7を形質転換した。
【0324】
Lm-ΔPEST-E7は、それがPEST配列を欠いていること以外は、Lm-LL
O-E7と同一である組み換え型リステリア株である。これは、PEST含有領域(bp
333-387)をhly-E7融合遺伝子から除去するために設計されたプライマーを
使用してエピソーム発現系を構築した以外は、Lm-PEST-E7について本質的に記
載されたように作成された。Lm-E7epiは、PEST領域またはLLOなしでE7
を分泌する組み換え型株である。この株を形質転換するのに用いるプラスミドは、hly
プロモーターの遺伝子断片、およびE7遺伝子に融合したシグナル配列を含有する。この
構築体は、染色体の中へと組み込まれたE7遺伝子の単一コピーを発現する本来のLm-
E7とは異なる。Lm-E7epiは、発現されたE7抗原の形態を除いて、Lm-LL
O-E7、Lm-PEST-E7、およびLm-ΔPEST-E7と完全に同系である。
【0325】
結果
Lm-ActA-E7対Lm-LLO-E7によって誘発した抗腫瘍免疫性を比較する
ために、2×10TC-1腫瘍細胞をマウス内に皮下移植し、触知可能サイズ(おおよ
そ5ミリメートル[mm])まで増殖させた。7日目および14日目に、マウスをLm-
ActA-E7(5×10CFU)(十字)、Lm-LLO-E7(10CFU)(
四角)、またはLm-E7(10CFU)(丸)いずれかの1つのLD50でマウスを
腹腔内で免疫化した。26日目までに、Lm-LLO-E7およびLm-ActA-E7
でのすべての動物は腫瘍がなく、そのままであったが、一方ですべての無処置の動物(三
角)およびLm-E7で免疫化した動物は大きい腫瘍を成長させた(図5B)。したがっ
て、ActA-E7融合でのワクチン接種は腫瘍退行を生じさせる。
【0326】
加えて、Lm-LLO-E7、Lm-PEST-E7、Lm-ΔPEST-E7、およ
びLm-E7epiを、E7発現腫瘍の退行を生じさせるそれらの能力について比較した
。皮下 TC-1腫瘍は40匹のC57BL/6マウスの左脇腹に定着した。腫瘍が4~
5mmに達した後、マウスを8匹のマウスの5つの群に分けた。各々の群を4つの組み換
え型LMワクチンのうちの1つで処置し、1つの群は未処置のまま放置した。Lm-LL
O-E7およびLm-PEST-E7は、それぞれ5/8および3/8の事例では定着し
た腫瘍の退行を誘発した。いずれの時点においても、Lm-PEST-E7またはLm-
LLO-E7で処置したマウスの平均腫瘍サイズの間に統計的な差はなかった。しかしな
がら、PEST配列、Lm-ΔPEST-E7、およびLm-E7epiを含まないE7
を発現したワクチンは、1つを除いて全てのマウスで腫瘍退行を生じなかった(図6B
上のパネル)。これは2つの実験の代表であり、28日目における平均腫瘍サイズの統計
的に有意な差がLm-LLO-E7またはLm-PEST-E7で処置した腫瘍とLm-
E7epiまたはLm-ΔPEST-E7で処置した腫瘍との間で観察された(P<0.
001、スチューデントのt検定;図6B、下のパネル)。加えて、四量体陽性脾細胞の
パーセンテージの増大は、PEST含有ワクチンをワクチン接種したマウスの脾臓におけ
る3つの実験にわたって再現性が見られた(図6C)。したがって、PEST-E7融合
を用いたワクチン接種は腫瘍退行を生じさせる。
(実施例4)LLO、ActA、またはPEST様配列へのE7の融合はE7特異的な免
疫性を強化し、腫瘍浸潤E7特異的CD8 細胞を発生させる
【0327】
材料および実験方法
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の100mcl(マイクロリットル)の2×10
TC-1腫瘍細胞に加えて400mclのMATRIGEL(登録商標)(BD Bio
sciences、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)を含む50
0mclのMATRIGEL(登録商標)を12匹のC57BL/6マウスの左脇腹に皮
下移植した(n=3)。マウスを7日目、14日目、および21日目に腹腔内免疫し、脾
臓および腫瘍を28日目に採取した。腫瘍MATRIGELをマウスから取り出し、氷上
で、2ミリリットル(mL)のRP 10培地を含有する試験管内で4℃にて一晩インキ
ュベートした。腫瘍を鉗子を用いて細かく切り刻み、2mmのブロックに切断し、3mL
の酵素混合物(PBS中の0.2mg/mLコラゲナーゼP、1mg/mLのDNAse
-1)とともに37℃で1時間インキュベートした。組織懸濁液を、ナイロンメッシュを
通して濾過し、四量体およびIFN-γ染色のために、PBS中の5%胎児ウシ血清+0
.05%のNaNで洗浄した。
【0328】
脾細胞および腫瘍細胞を10細胞/mLのブレフェルジンAの存在下で、1マイクロ
モル(mcm)のE7ペプチドと共に5時間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、5
0mclの抗マウスFc受容体上清(2.4 G2)中、4℃で1時間または一晩インキ
ュベートした。細胞を表面分子CD8およびCD62Lについて染色し、浸透させ、浸透
キットGolgi-stop(登録商標)またはGolgi-Plug(登録商標)(P
harmingen、米国カリフォルニア州San Diego)を使用して固定し、I
FN-γに対して染色した。500,000事象を2レーザーフローサイトメーター、F
ACSCaliburを使用して獲得し、Cellquest Software(Be
cton Dickinson、米国ニュージャージー州Franklin Lakes
)を使用して分析した。活性化(CD62Llow)CD8T細胞内のIFN-γ分泌
細胞のパーセンテージを計算した。
【0329】
四量体染色のために、H-2D四量体にフィコエリスリン(PE)結合E7ペプチド
(RAHYNIVTF、配列番号:27)を負荷し、室温で1時間染色し、抗アロフィコ
シアニン(APC)結合MEL-14(CD62L)およびFITC-結合CD8で4
℃にて30分間染色した。脾臓および腫瘍内の四量体CD8CD62Llow細胞を
比較して細胞を解析した。
【0330】
結果
抗原特異的免疫性を強化するLm-ActA-E7の能力を解析するために、マウスに
TC-1腫瘍細胞を移植し、Lm-LLO-E7(1×10CFU)、Lm-E7(1
×10CFU)、またはLm-ActA-E7(2×10CFU)のいずれかで免疫
化するか、あるいは未処置とした(無処置)。Lm-LLO-E7およびLm-ActA
-E7群からのマウスの腫瘍は、Lm-E7または無処置マウスにおけるよりも、より高
いパーセンテージのIFN-γ分泌CD8T細胞(図7A)および四量体特異的なCD
細胞(図7B)を含有した。
【0331】
別の実験では、腫瘍を持つマウスにLm-LLO-E7、Lm-PEST-E7、Lm
-ΔPEST-E7、またはLm-E7epiを投与し、腫瘍の中のE7特異的リンパ球
のレベルを測定した。0.1LD50の4つのワクチンを用いて、7日目および14日目
にマウスを処置した。腫瘍を21日目に採取し、CD62L、CD8に対する抗体を用い
て、およびE7/Db四量体を用いて染色した。腫瘍内の四量体陽性リンパ球のパーセン
テージの増大が、Lm-LLO-E7およびLm-PEST-E7を用いてワクチン接種
したマウスで見られた(図8A)。この結果は3つの実験にわたって再現性があった(図
8B)。
【0332】
したがって、Lm-LLO-E7、Lm-ActA-E7、およびLm-PEST-E
7は、腫瘍浸潤CD8T細胞の誘導および腫瘍退行において各々有効である。
材料および実験方法(実施例5~10)
【0333】
細菌株、形質転換、および選択
大腸菌株MB2159が、標準的なプロトコルを使用して、形質転換のために使用され
た。細菌細胞は、HOを用いた洗浄によって電気穿孔法のために準備された。
【0334】
大腸菌株MB2159(Strych U et al,FEMS Microbio
l Lett.2001 Mar 15;196(2):93-8)は、D-アラニン・
ラセマーゼを合成することができないalr(-)/dadX(-)欠損突然変異体であ
る。同様に、リステリア株Lm dal(-)/dat(-)(Lmdd)は、dal遺
伝子およびdat遺伝子の部分的な欠失に起因してD-アラニン・ラセマーゼを合成する
ことができない。
【0335】
プラスミド構築
公開されているplcA遺伝子の配列(Mengaud et al.,Infect
.1989 57、3695-3701)を使用して、染色体DNAから遺伝子を増幅す
るためにPCRが使用された。次いで、増幅された製品はSalIを生成したおよびXb
aIを生成したDNA端部を使用してpAM401へと連結され、pDP1462を生成
する。
【0336】
prfAを単独で含有するプラスミドpDP1500は、pDP1462から、plc
A遺伝子、塩基429~1349(Mengaud et al.、同上)を除去するこ
とによって、XbaIおよびPstIを用いた制限、それらを鈍らせるためのT4 DN
Aポリメラーゼを使用したDNA端部の処置、および細胞内連結の後、構造化される。
【0337】
plcAプロモーターおよびplcAの3’端部の一部を含有するプラスミドpDP1
499は、plcA内部断片、塩基428~882(Mengaud et al.,I
nfect.Immun.1989 57,3695-3701)を除去することによっ
て、pDP1339から、PstIおよびNsiIを用いた制限、および細胞内連結の後
、構造化された。
【0338】
pDP1526(pKSV7::ΔplcA)は、BAMHIおよびXbaI、468
bpのplcAの5’端部を含有するpAM401::plcAからのXbaIおよびN
siIで生成した断片(塩基882~1351、Mengaud et al.、同上)
、および501bpのplcAの3’端部を含有するpAM401::plcA prf
AからのPstIおよびBamHIで生成した断片(塩基77~429、Mengaud
et al.、同上)で制限されたpKSV7の単一の3部分からなる連結によって構
造化された。
【0339】
prfAプロモーター、塩基1~429(Mengaud et al.、同上)は、
pDP1462のEcoRIおよびPstI二重消化によって分離され、またこれに続い
て断片はEcoRIおよびPstIで制限されたpKSV7へと連結され、pDP149
8を生成した。2つのランダムにHindIIIで生成した長さがおよそ3kbである1
0403S染色体DNA断片は、HindIIIで制限されたpKSV7へと連結され、
ランダム組み込み対照プラスミドpDP1519およびpDP1521を生成した。
【0340】
L.モノサイトゲネス突然変異体株の構築
L.モノサイトゲネス株DP-L1387は、構造化されたSLCC 5764のTn
917-LTV3バンクから、減少したレシチナーゼ(PC-PLC)を用いて突然変異
体として分離された(前述されているように(Camilli et al.,J.Ba
cteriol.1990,172,3738-3744)。Tn917-LTV3挿入
の部位はトランスポゾン染色体DNA結合をシークエンシングすることによって決定され
る(前述されているように(Sun et al.,Infect.Immun.199
0 58,3770-3778)。L.モノサイトゲネスはプラスミドDNAを用いて形
質転換される(前述されているように(Camilli et al.、同上))。L.
モノサイトゲネス内のpAM401、pKSV7、およびこれらの誘導体の維持のための
選択的な圧力が、培地1mL当たり10μgのクロラムフェニコールの存在下でかけられ
た。加えて、pKSV7誘導体の維持は、30℃(グラム陽性細菌内でのプラスミド複製
のために許容できる温度)における増殖を必要とした。
【0341】
L.モノサイトゲネス染色体の中へのpKSV7誘導体の組み込みは、プラスミド上の
L.モノサイトゲネスDNA配列とこれらの対応する染色体の対立遺伝子との間の相同的
組み換えによってによって生じた。組込突然変異体は、培地1mLあたり10μgのクロ
ラムフェニコールを含有するブレインハートインフージョン(BHI)培地中で40℃(
pKSV7の複製を許容しない温度)にておよそ30世代の間増殖することによって富化
された。これに続いて各々の組込み株を、培地1mLあたり10μgのクロラムフェニコ
ールを含有するBHI寒天培養基上でコロニー精製し、40℃にてインキュベートした。
各々の組込み株から分離された染色体DNAのサザンブロット解析は組込まれたプラスミ
ドの存在を確認した。
【0342】
DP-L1552の構築は、上述のように、部分二倍体中間体を生成するためのpKS
V7誘導体pDP1526の組込みによって達成された。組込まれたプラスミドの細胞内
の相同的組み換えを通した自然発生的な切り離しが低い頻度で生じる。プラスミドが染色
体から切り離された細菌を、BHI培地中で30℃におけるおよそ50世代の間の増殖に
よって濃縮した。この工程の間の選択圧の特性は、未知であるが、組込まれている温度感
応性プラスミドを含有する株のわずかな増殖欠陥に起因しているかもしれない。切り離し
事象、すなわち3’の欠失の配列の間の相同的組み換えから結果として得られもののおよ
そ50%は、結果として染色体上の野生型対立遺伝子に対するΔplcAの対立遺伝子の
交換を生じる。
【0343】
切り離されたプラスミドは細菌をBHI中で40℃にておよそ30世代増殖することに
よって回復される。染色体上にΔplcA対立遺伝子を保持するプラスミドから回復した
細菌は、BHI寒天培養基/2.5%の卵黄/2.5%のリン酸緩衝食塩水(PBS)(
BHI/卵黄寒天培養基)の5mLの覆いを含有するBHI寒天培養基プレート上で増殖
した後、コロニーを包囲する濁ったゾーンを生成できないことによって識別される。濁り
ゾーンは、卵黄中のPIのPI-PLC加水分解の結果から生じ、不溶性のジアシルグリ
セロールの沈殿が得られる。L.モノサイトゲネス染色体上の正しいplcA欠失は、P
CRおよび欠失にわたる配列決定を使用して欠失した対立遺伝子を増幅することによって
確認される。
【0344】
したがって、PI-PLC陰性突然変異体(plcA欠失突然変異体)は、本開示によ
り弱毒化L.モノサイトゲネスワクチンを生成するために使用される場合がある。他の突
然変異体、すなわち、actA欠失突然変異体、plcB欠失突然変異体、およびplc
AとplcBとの両方を欠いている二重変異体が同じ方法を使用して作成され、これらの
すべては、弱毒化L.モノサイトゲネスワクチンを生成するためにも本開示により使用さ
れてもよい。本開示が与えられると、当業者は上述のものに加えて他の弱毒化突然変異体
を作り出すことができることになる。
【0345】
Lmddの構築
dal遺伝子は、本来の850-bpdal遺伝子PCR産物の5’端部からの450
-bp断片とdal遺伝子PCR産物の3’端部からの450-bp断片との間に、染色
体遺伝子とエリスロマイシン耐性遺伝子を担持する温度感受性シャトルプラスミドpKS
V7(Smith K et al、Biochimie.1992 Jul-Aug;
74(7-8):705-11)との間の二重の対立遺伝子交換によって、当初不活性化
されていた。これに続いて、遺伝子の82%をカバーするdal欠失突然変異体は、相同
性領域を望ましい欠失を包囲する無傷の遺伝子(遺伝子の上流および下流の配列を含む)
の5’および3’端部から搬送するpKSV7を用いた類似の交換反応によって構造化さ
れた。PCR解析は、この染色体の欠失の構造を確認するために使用される。
【0346】
染色体のdat遺伝子は、類似の対立遺伝子交換反応によって不活性化される。pKS
V7は、無傷のdat遺伝子の5’および3’の両方の端部からPCRに由来する450
bpの断片を搬送するように修正される(配列の上流および下流の遺伝子を含む)。これ
らの2つの断片は適切なPCRによって連結される。この構築体の染色体の中への交換は
、結果としてPCR解析によって確認されたdat遺伝子の中心塩基の30%の欠失をも
たらす。
【0347】
細菌培養およびリステリアのインビボ継代
大腸菌は以下の標準的な方法で培養された。リステリアをLB培地(Difco、米国
ミシガン州Detroit)+50μg/mLのストレプトマイシンの中で250rpm
のシェーキングで37℃にて増殖させ、対数増殖フェーズの間に採取した。Lm-LLO
E7については、37μg/mLのクロラムフェニコールが培地に追加された。増殖速度
論の決定のために、細菌を10mLのLB+抗生剤中で16時間の間増殖させた。OD
00nmが測定され、培養液密度が株の間で標準化された。培養液はLB+の好適な抗生
物質および適用可能な場合はD-アラニン中へ1:50に希釈された。
【0348】
マウス中でのLMの継代
1×10CFUをC57BL/6マウスの中に腹腔内(i.p.)注射した。3日目
に脾臓を分離し、PBS中で均質化した。脾臓懸濁液のアリコートをLBプレート上に適
用可能な抗生物質と共にプレーティングした。いくつかのコロニーが拡張し、混合して注
射ストックを定着した。
【0349】
抗生物質抵抗性因子を有しないプラスミドpTV3の構築
p60-dalカセットの構築。抗生物質抵抗性遺伝子を有しないベクターの構築での
第1の工程は、切断p60プロモーターの融合のdal遺伝子への構築である。LMアラ
ニン・ラセマーゼ(dal)遺伝子(フォワードプライマー:5’-CCA TGG T
GA CAG GCT GGC ATC-3’;配列番号:38)(リバースプライマー
:5’-GCT AGC CTA ATG GAT GTA TTT TCT AGG-
3’;配列番号:39)および最小限のp60プロモーター配列(フォワードプライマー
:5’-TTA ATT AAC AAAタグTTG GTAタグTCC-3’;配列番
号:40)(リバースプライマー:5’-GAC GAT GCC AGC CTG T
CA CCA TGG AAA ACT CCT CTC-3’;配列番号:41)は、
PCR増幅によってLM株10403Sのゲノムから分離される。プライマーは、重なっ
た延長部の接合(SOE)-PCRによるp60およびdalのこれに続く融合のために
、p60配列の上流PacI部位と、dal配列の下流のNheI部位(制限部位を太字
で示す)と、p60プロモーターの下流の重なっているdal配列(最初の18bp)と
を導入した。切断p60プロモーターの配列は以下のとおりである。 CAAATAG
TTGGTATAGTCCTCTTTAGCCTTTGGAGTATTATCTCATC
ATTTGTTTTTTAGGTGAAAACTGGGTAAACTTAGTATTAT
CAATATAAAATTAATTCTCAAATACTTAATTACGTACTGG
GATTTTCTGAAAAAAGAGAGGAGTTTTCC(配列番号:42)(K
ohler et al、J Bacteriol 173:4668-74、1991
)。SOE-PCRを使用して、p60およびdal PCR産物はクローニングベクタ
ーpCR2.1(Invitrogen、米国カリフォルニア州La Jolla)へと
融合およびクローニングされる。
【0350】
抗生物質抵抗性遺伝子のpGG55からの除去。これに続くpGG55からクロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を除去するためおよびp60-
dalカセットを導入するためのクローニング戦略は、グラム陽性複製領域(oriRe
p; Brantl et al,Nucleic Acid Res 18:4783
-4790,1990)の除去も間欠的にもたらす。グラム陽性oriRepを再導入す
るために、配列(GGCGCCACTAACTCAACGCTAGTAG、配列番号:4
3)の上流にNarI/EheI部位を追加する5’プライマー、および配列(GCTA
GCCAGCAAAGAAAAACAAACACG、配列番号:44)の下流にNheI
部位を追加する3’プライマーを使用して、pGG55からoriRepをPCR増幅す
る。PCR産物はクローニングベクターpCR2.1の中へとクローニングされ、配列が
検証された。
【0351】
p60-dal配列をpGG55ベクターの中へと組込むために、p60-dal発現
カセットはPacI/NheI二重消化によってpCR-p60dalから切り離された
。pGG55内のグラム陽性細菌に対する複製領域は、追加的な制限部位をEheIおよ
びNheI対して導入するために、pCR-oriRepからPCRによって増幅される
(プライマー1、5’-GTC GAC GGT CAC CGG CGC CAC T
AA CTC AAC GCT AGT AG-3’;配列番号:45);(プライマー
2、5’-TTA ATT AAG CTA GCC AGC AAA GAA AAA
CAA ACA CG-3’;配列番号:46)。PCR産物はpCR2.1-TOP
O(Invitrogen、米国カリフォルニア州Carlsbad)へと連結され、配
列は検証された。複製領域はEheI/NheI消化によって切り離され、ベクターpG
G55はEheIおよびNheIで二重消化され、両方のCAT遺伝子をプラスミドから
同時に除去する。2つのインサート、p60-dalおよびoriRep、ならびにpG
G55断片は一緒に連結され、pTV3を産する(図9)。pTV3はprfA(病原性
調節因子A)遺伝子も含有する。この遺伝子はpTV3の機能のためには必要ないが、追
加的な選択されたマーカーが必要かまたは望ましい状況では使用することができる。
【0352】
リアルタイムPCRのためのDNAの準備
総リステリアDNAはMasterpure(登録商標)Total DNA kit
(Epicentre、米国ウィスコンシン州Madison)を使用して準備された。
リステリアは24時間の間37℃にて培養されてから、25mLのルリア-ベルターニ培
地(LB)中で250rpmで振盪された。細菌細胞は遠心分離によってペレット化され
、5mg/mLのリゾチームで補足されたPBS中で再懸濁されてから、37℃にて20
分の間インキュベートされ、その後DNAが分離された。
【0353】
リアルタイムPCRのための標準的な標的DNAを得るために、LLO-E7遺伝子を
pGG55(5’-ATGAAAAAAATAATGCTAGTTTTTATTAC-3
’(配列番号:47);5’-GCGGCCGCTTAATGATGATGATGATG
ATGTGGTTTCTG AGAACAGATG-3’(配列番号:48))からPC
R増幅し、そしてベクターpETblue1(Novagen、米国カリフォルニア州S
an Diego)へとクローニングした。同様に、plcAアンプリコンはpCR2.
1へとクローニングされる。大腸菌はpET-LLOE7およびpCR-plcAでそれ
ぞれ形質転換されてから、精製されたプラスミドDNAはリアルタイムPCRで使用する
ために準備された。
【0354】
リアルタイムPCR
Taqmanプライマープローブセット(Applied Biosystems、米
国カリフォルニア州Foster City)は、プラスミド標的としてE7を用いてA
BI PrimerExpressソフトウェア(Applied Biosystem
s)を使用するように設計され、以下のプライマー、5’-GCAAGTGTGACTC
TACGCTTCG-3’(配列番号:49);5’-TGCCCATTAACAGGT
CTTCCA-3’(配列番号:50);5’-FAM-TGCGTA CAAAGCA
CACACGTAGACATTCGTAC-TAMRA-3’(配列番号:51)、およ
びワンコピー遺伝子plcA(TGACATCGTTTGTGTTTGAGCTAG-3
’(配列番号:52)、5’-GCAGCGCTCTCTATACCAGGTAC-3’
(配列番号:53);5’-TET-TTAATGTCCATGTTA TGTCTCC
GTTATAGCTCATCGTA-TAMRA-3’;配列番号:54)をリステリア
ゲノム標的として使用する。
【0355】
0.4μMのプライマーおよび0.05mMのプローブを、製造業者による推奨に従っ
てPuRE Taq RTG PCRビーズ(Amersham、米国ニュージャージー
州Piscataway)と混合した。各々の標的に対して精製したプラスミドDNA、
pET-LLOE7、およびpCR-plcA(内部標準)を用いて標準曲線が準備され
、既知のサンプルにおいて遺伝子コピー番号を計算するために使用された。E7コピー/
plcAコピーの平均比は、標準曲線に基づいて計算され、Lmdd-TV3およびLm
-LLOE7に対する結果をLm-E7(ゲノムの中へと組込まれたE7遺伝子のシング
ルコピーを有するリステリア株)からの結果で割ることによって較正された。すべてのサ
ンプルを各々のqPCRアッセイ中で3回実行し、これは3回繰り返された。サンプル間
の変化を、KyPlotソフトウェアを使用するTwo-Way ANOVAによって解
析した。p<0.05の場合、結果は統計的に有意であると見なされた。
【0356】
増殖の測定
細菌を37℃にて、250rpmのシェーキングで、ルリア-ベルターニ(LB)培地
+/-100マイクログラム(μg)/mLのD-アラニンおよび/または37μg/m
Lのクロラムフェニコール中で増殖させた。開始種材料はOD600nmの測定値に基づ
いて、すべての株に対して同じとなるように調節された。
【0357】
溶血性溶解アッセイ
4×10CFUのリステリアが解凍され、遠心分離(1分間、14000rpm)に
よってペレット化され、1Mのシステインを有する100μLのPBS(pH5.5)中
で再懸濁された。細菌は、1:2で段階希釈され、分泌されたLLOを活性化するために
37℃にて45分間インキュベートされた。線維素を取り除いたヒツジ全血(Cedar
lane、Hornby、Ontario、Canada)を5倍量のPBSで2回洗浄
し、上清が透明のままになるまで6倍量のPBS-システインで3~4回洗浄し、洗浄工
程の間に3000×gで8分間細胞をペレット化し、次いで10%(v/v)の最終濃度
になるようにPBS-システイン中で再懸濁した。100μlの10%洗浄血液細胞を1
00μlのリステリア懸濁液と混合し、さらに37℃にて45分間インキュベートした。
次いで溶解していない血液細胞を遠心分離(10分間、1000×g)によってペレット
化した。100μlの上清を新しいプレートの中へと移し、OD530nmが決定され、
サンプル希釈に対してプロットされた。
【0358】
Lmdd-Tv3の治療的有効性
10TC-1(ATCC、米国バージニア州Manassas)をC57BL/6マ
ウス(n=8)の皮下に移植し、約7日間増殖させ、その後腫瘍は触知可能になった。T
C-1は、HPV E6およびE7で不死化したC57BL/6上皮細胞株であり、また
皮下移植すると腫瘍を形成する活性化したrasを用いて形質転換されている。マウスは
、腫瘍細胞の移植後7日目および14日目に0.1LD50の適切なリステリア株で免疫
化されている。非免疫化対照群(無処置)も含まれた。腫瘍増殖は電子カリパスを用いて
測定された。
【0359】
ActA欠失突然変異体の発生
Lmdal dat(Lmdd)株は、病毒性因子、ActAの不可逆的な欠失によっ
て弱毒化された。actAのLmdaldat(Lmdd)バックグラウンド内でのイン
フレーム欠失は、下流遺伝子発現上のあらゆる極性効果を避けるように構造化された。L
mdal datΔactAは、ActAの591アミノ酸の欠失によるN末端における
最初の19アミノ酸およびC末端の28アミノ酸残基を含有する。染色体スポットの中へ
の遺伝子の欠失が、actA欠失領域の外部をアニーリングするプライマーを使用して検
証された。これらは、図12に示すように、プライマー3(Adv305-tgggat
ggccaagaaattc)(配列番号:55)および4(Adv304-ctacc
atgtcttccgttgcttg)(配列番号:56)である。PCR解析をLmd
dおよびLm-ddΔActAから分離された染色体DNA上で実施した。Lm-dd染
色体のDNA内のプライマー対1、2および3、4の2つの異なるセットで増幅した後の
DNA断片のサイズは、3.0Kbおよび3.4Kbとなると予想された。しかしながら
、Lm-ddΔactAについては、プライマーの対1、2および3、4を使用するPC
Rの予想されるサイズは、1.2Kbおよび1.6Kbである。したがって、図12のP
CR解析はactAの1.8kb領域は株、Lm-ddΔactA内では除去されている
ことを確認する。DNA配列決定を、株、Lm-ddΔactA(図13、配列番号:5
7)内の領域を含有するactAの欠失を確認するためにPCR産物上でも実施した。
【0360】
gcgccaaatcattggttgattggtgaggatgtctgtgtg
cgtgggtcgcgagatgggcgaataagaagcattaaagatc
ctgacaaatataatcaagcggctcatatgaaagattacga
atcgcttccactcacagaggaaggcgactggggcggagtt
cattataatagtggtatcccgaataaagcagcctataata
ctatcactaaacttggaaaagaaaaaacagaacagcttta
ttttcgcgccttaaagtactatttaacgaaaaaatcccag
tttaccgatgcgaaaaaagcgcttcaacaagcagcgaaag
atttatatggtgaagatgcttctaaaaaagttgctgaagc
ttgggaagcagttggggttaactgattaacaaatgttaga
gaaaaattaattctccaagtgatattcttaaaataattca
tgaatattttttcttatattagctaattaagaagataact
aactgctaatccaatttttaacggaacaaattagtgaaaa
tgaaggccgaattttccttgttctaaaaaggttgtattag
cgtatcacgaggagggagtataagtgggattaaacagatt
tatgcgtgcgatgatggtggttttcattactgccaattgc
attacgattaaccccgacgtcgacccatacgacgttaatt
cttgcaatgttagctattggcgtgttctctttaggggcgt
ttatcaaaattattcaattaagaaaaaataattaaaaaca
cagaacgaaagaaaaagtgaggtgaatgatatgaaattca
aaaaggtggttctaggtatgtgcttgatcgcaagtgttct
agtctttccggtaacgataaaagcaaatgcctgttgtgat
gaatacttacaaacacccgcagctccgcatgatattgaca
gcaaattaccacataaacttagttggtccgcggataaccc
gacaaatactgacgtaaatacgcactattggctttttaaa
caagcggaaaaaatactagctaaagatgtaaatcatatgc
gagctaatttaatgaatgaacttaaaaaattcgataaaca
aatagctcaaggaatatatgatgcggatcataaaaatcca
tattatgatactagtacatttttatctcatttttataatc
ctgatagagataatacttatttgccgggttttgctaatgc
gaaaataacaggagcaaagtatttcaatcaatcggtgact
gattaccgagaagggaa (配列番号:57)。
【0361】
炎症性サイトカインの生産:
RAW 264.7などのマクロファージは、LmprfA-(pGG55)、Lmd
al dat、Lmdal dat actA、Lmdal dat actAΔinl
C、およびLmdal datΔinlCなどの異なるリステリアバックボーンに感染し
、様々なサイトカインのレベルを定量するために異なるELISAベースのキットを使用
して上清を異なる時点で採取した。定量化されたサイトカインとしてはIFN-γ、TN
F-α、およびIL-6が挙げられる。
【0362】
インビボでのサイトカインの生産:
インビボでのサイトカイン生産および好中球の採用を測定するために、異なる10
FUのLmprfA-(pGG55)、Lmdal dat、Lmdal dat ac
tA、Lmdal dat actAΔinlC、およびLmdal dat Δinl
C、リステリア対照、または等価な体積の生理食塩水をC57BL/6マウスに腹腔内に
注射した。12時間後、マウスを屠殺し、2mLのPBSで腹膜腔を洗浄した。プレーテ
ィングした後増殖培地上で腹膜洗浄を細菌の負荷について調べ、MIP-1α、KC、M
CP等々などの炎症誘発性のサイトカインの解析を行った。フローサイトメトリーを使用
して、Gr-1、CD11b、およびF4/80などのマーカーを用いて染色した後に好
中球およびマクロファージの数を決定し、さらにCellQuestソフトウェアを使用
してこれらの集団を定量化した。
【0363】
トランスウェル遊走アッセイ:
inlC欠失株を用いたマクロファージまたは樹状細胞に由来する骨髄の感染に続く好
中球の遊走の増加があるかどうかを決定するためにこのアッセイを行った。骨髄に由来す
るマクロファージまたは樹状細胞は、C57BL/6などのマウスから分離され、これら
はinlC欠失突然変異体または対照リステリアに感染した。Corning Cost
arトランスウェルプレートを使用して、感染した細胞を使用してトランスウェルアッセ
イを設定した。アッセイは、当初3、5、または8マイクロメートルポアトランスウェル
プレートを使用して標準化された。好中球の遊走を試験するためには、プレートの底部に
感染したAPCをプレーティングし、チャンバー内のウェルの上部に好中球をプレーティ
ングした。異なる時点で、底部に遊走した好中球の数を決定するために細胞を計数した。
【0364】
Lmdal dat actAΔinlC突然変異体の治療的有効性:
概念の証拠として、inlC突然変異体の治療的な有効性を決定するために、ヒトの前
立腺特異的な抗原(PSA)を腫瘍抗原として使用した。バックボーンLmdal da
t actA inlCは、プラスミド、pAdv142を用いて形質転換され、これは
ヒトPSAに対する発現カセットを含有し、結果としてLmddAinlC142が得ら
れる。株LmddAinlC142は、融合タンパク質、tLLO-PSAの発現および
分泌のために特徴付けられる。さらに、株LmddAinlC142はマウスの中でイン
ビボで2回継代されたが、インビボで2回の継代の後に得られたコロニーを融合タンパク
質、tLLO-PSAの発現および分泌について調べた。ワクチンの通常在庫は第2のイ
ンビボ継代の後で得られたコロニーから準備され、これは治療的な効果および免疫原性の
評価のために使用された。
【0365】
腫瘍微小環境への影響:
LmddA、LmddAΔactA、LmddAΔPlcA、LmddAΔPlcB、
LmddAΔprfA、LmddAinlC142、LmddA142、および他の対照
株が腫瘍微小環境内で免疫細胞の浸潤を生じる能力が決定された。この研究では、マウス
に1×10TPSA23腫瘍細胞を0日目に接種し、7日目、14日目、および21日
目に10CFUのLmddAinlC142、LmddA142、および他の対照株を
ワクチン接種した。28日目に腫瘍を採取して、Gr-1、CD11b、CD3、CD4
、CD8、CD25、Foxp3、NK1.1、およびCD62Lなどの異なる細胞表面
マーカーを用いてさらに染色のために処理した。これらのマーカーを使用して、調べられ
る異なる細胞集団としては、マクロファージ(CD11b)、NK細胞(NK1.1
)、好中球(Gr-1CD11b)、骨髄由来抑制細胞(MDSC)(Gr-1
D11b)、調節性T細胞(CD4 CD25 Foxp3)およびエフェクタ
ーT細胞(CD8 CD3 CD62Llow)が挙げられる。さらにエフェクター
T細胞は、IFN-γ、TNF-α、およびIL-2などのエフェクターサイトカインを
生産するそれらの機能的な能力のために特徴付けられる。腫瘍内の調節性T細胞およびM
DSCは、T細胞増殖の抑制を生じるそれらの能力を試験された。
【0366】
結果
(実施例5) アミノ酸代謝酵素を含有するプラスミドは、抗生物質耐性遺伝子の代わり
に、大腸菌およびLM内に、インビトロおよびインビボの両方で保持される
【0367】
D-アラニン・ラセマーゼに基づく栄養要求性相補系が、抗生物質耐性遺伝子を使用せ
ずにLM中へのプラスミド保持を媒介するために利用された。大腸菌株MB2159は、
D-アラニン・ラセマーゼを合成することができないalr(-)/dadX(-)欠損
突然変異体である。同様に、リステリア株Lm dal(-)/dat(-)(Lmdd
)は、dal遺伝子およびdat遺伝子の部分的な欠失に起因してD-アラニン・ラセマ
ーゼを合成することができない。大腸菌-リステリアシャトルベクターpAM401に基
づくプラスミドpGG55を、pTV3を生成するためのリステリアp60プロモーター
の制御下で、両方のCAT遺伝子を除去し、かつこれらをp60-dal発現カセットで
置き換えることによって修正した(図9)。いくつかのコロニーからDNAを精製した。
(実施例6) 代謝酵素を含有するプラスミドは細菌の病毒性を増加しない
【0368】
病毒性はLLO機能に関連しているので、Lmdd-TV3とLm-LLOE7との間
の溶血性溶解活性が比較される。このアッセイは赤血球の溶解によってLLO機能を試験
したが、これは培養上清、精製したLLO、または細菌細胞を用いて実施することができ
る。Lmdd-TV3は、Lm-LLOE7より高い溶血性溶解活性を示した。
【0369】
インビボでの病毒性はLD50値を決定することによっても測定され、これはより直接
的で、したがってより正確な病毒性の測定手段である。Lmdd-TV3のLD50(0
.75×10)は、Lm-LLOE7のもの(1×10)に大変近く、これは代謝酵
素を含有するプラスミドが細菌の病毒性を増加しないことを示す。
(実施例7)代謝酵素を含有するプラスミドによる抗腫瘍免疫性の誘導
【0370】
代謝酵素含有プラスミドのガンワクチンとしての有効性は腫瘍退行モデルで決定された
。TC-1細胞株モデルが使用され、これはHPVワクチン発生のために良好に特徴付け
られ、かつこれはLmdd-TV3またはLm-LLOE7で免疫化した後の類似サイズ
の定着した腫瘍退行の制御された比較を可能にする。2つの別個の実験では、Lmdd-
TV3およびLm-LLOE7を用いたマウスの免疫化は、結果として類似の腫瘍退行(
図14)をもたらし、ワクチン接種した群の間には統計的に有意な差異はない(p<0.
05)。すべての免疫化マウスは、63日後でも生きていたが、非免疫化マウスはその腫
瘍の直径が20mmに達したときに犠牲にしなければならなかった。回復したマウスは実
験終了時まで腫瘍を有しないままであった。
【0371】
したがって、代謝酵素含有プラスミドは治療的なガンワクチンとして有効である。治療
的なガンワクチンに対して要求される免疫応答は、予防的なガンワクチンに対して要求さ
れる免疫応答より強いので、これらの結果は予防的なガンワクチンに対する有用性も実証
する。
(実施例8)inlC欠失突然変異体はケモカインおよびサイトカインの著しく高いレベ
ルを生成する。
【0372】
inlC欠失突然変異体は、著しく高いレベルのケモカイン(MIP-1α、KC(I
L-8のマウスホモログ)、MCPなどの)を生成し、結果として感染部位に対する好中
球および白血球の浸潤が得られる。したがって、異なるリステリア株が腹腔内に投与され
たとき、inlC突然変異体はこれらのサイトカインおよびケモカインの産生の増加を実
証し、これは、注射の12時間後に得られた腹水中の好中球およびマクロファージを引き
付ける。さらに、inlC欠失突然変異体は対照株と比較したときに著しく高いレベルの
炎症性サイトカインを生成した。
(実施例9)inlC欠失突然変異体は好中球の遊走を誘発する
【0373】
inlC欠失突然変異体に感染したマクロファージは、他の対照株と比較したとき、異
なる時点で好中球の遊走の著しい増加を示す。この実験の結果は、感染の間にこの株の好
中球などの免疫細胞を引き付ける能力を強く支持する。
(実施例10)inlC欠失突然変異体は治療的な抗腫瘍応答に影響を与える
【0374】
LmddA142とLmddAinlC142との両方を使用した抗腫瘍研究の結果は
、相互に大変同等であり、また腫瘍の治療的な退行が観察された。さらに、それの先天的
な応答および炎症誘発性のサイトカインの分泌の増加を生成する能力のレベルが高いので
、LmddAinlC142の2回の投与量は株LmddA142の3回の投与と同等で
ある。
【0375】
材料および方法(実施例11~16)
オリゴヌクレオチドはInvitrogen(米国カリフォルニア州Carlsbad
)によって合成され、またDNA配列決定はGenewiz Inc(米国ニュージャー
ジー州South Plainfield)によって行われた。フローサイトメトリー試
薬はBecton Dickinson Biosciences(BD、米国カリフォ
ルニア州San Diego)から購入した。細胞培養培地、補助剤および他のすべての
試薬は、示されない限りSigma(米国ミズーリ州St. Louise)から入手し
た。Her2/neu HLA-A2ペプチドはEZbiolabs(米国インディアナ
州Westfield)によって合成された。完全なRPMI 1640(C-RPMI
)培地は、2mMグルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、および1mMのピルビン酸ナ
トリウム、10%ウシ胎児血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、Hepes(25m
M)を含有した。多クローン性の抗LLO抗体が前述されており、抗Her2/neu抗
体はSigmaから購入した。
【0376】
マウスおよび細胞株
すべての動物実験は、University of Pennsylvaniaまたは
Rutgers UniversityにおいてIACUCによって認可されたプロトコ
ルに従って実施した。FVB/NマウスはJackson laboratories(
米国メーン州Bar Harbor)から購入した。ラットHer2/neu腫瘍性タン
パク質を過剰発現するFVB/N Her2/neuトランスジェニックマウスは、Un
iversity of Pennsylvaniaの実験動物コア施設で収容および飼
育された。NT-2腫瘍細胞株は高いレベルのラットHer2/neuタンパク質を発現
し、これはこれらのマウスの自然発生的な乳腺腫瘍に由来し、前述したように増殖した。
DHFR-G8(3T3/neu)細胞はATCCから得られ、ATCCの推奨に従って
増殖した。EMT6-Luc細胞株は、John Ohlfest博士(Univers
ity of Minnesota、米国ミネソタ州)からの寛大な供与物であり、また
完全なC-RPMI培地中で増殖した。生物発光の作業は、University of
Pennsylvania(米国ペンシルバニア州Philadelphia)のSm
all Animal Imaging Facility(SAIF)によるガイダン
スに従って実行された。
【0377】
リステリア構築体および抗原発現
Her2/neu-pGEM7Zは、親切にもUniversity of Penn
sylvaniaのMark Greene博士によって供与され、これはpGEM7Z
プラスミド(Promega、米国ウィスコンシン州Madison)へとクローニング
された全長のヒトHer2/neu(hHer2)遺伝子を含んでいた。このプラスミド
は、PCRによってpfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)および表1に
示されるオリゴを使用して、hHer-2/neuの3つの区分、すなわちEC1、EC
2、およびIC1を増幅するためのテンプレートとして使用された。
【表1】
【0378】
Her-2/neuキメラ構築体はSOEing PCR法およびテンプレートとして
の各々の別個のhHer-2/neu区分による直接融合によって生成された。プライマ
ーを表2に示す。
【表2】
【0379】
異なる区分のヒトHer2領域の増幅のためのプライマーの配列。
【0380】
異なる区分のヒトHer2領域の増幅のためのプライマーの配列。
【0381】
ChHer2遺伝子は、XhoIおよびSpeI制限酵素を使用してpAdv138か
ら切り離され、Lmddシャトルベクター、pAdv134で、LLOの切断非溶血性断
片を用いてインフレームでクローニングされた。インサート、LLO、およびhlyプロ
モーターの配列はDNAシークエンシング解析によって確認された。このプラスミドは電
子コンピテントActA、dal、dat突然変異体リステリア・モノサイトゲネス株、
LmddAへと電気穿孔され、ストレプトマイシン(250μg/mL)を含有するブレ
インハートインフージョン(BHI)寒天培養基プレート上で陽性クローンが選択された
。いくつかの実験では、hHer2/neu(Lm-hHer2)断片を発現する類似の
リステリア株が比較の目的で使用された。これらは以前に記述した。すべての研究で、無
関連リステリア構築体(Lm対照)が、免疫系でリステリアの抗原と無関係な効果を説明
するために含まれる。Lm対照は、ADXS31-164と同一のリステリアプラットフ
ォームに基づくが、HPV16-E7またはNY-ESO-1などの異なる抗原を発現し
た。融合タンパク質のリステリアからの発現および分泌が試験された。各々の構築体はイ
ンビボで2回継代された。
【0382】
細胞毒性アッセイ
3~5匹のFVB/Nマウスの群が、1×10コロニー形成単位(CFU)のLm-
LLO-ChHer2、ADXS31-164、Lm-hHer2 ICI、またはLm
対照(無関連抗原を発現する)を用いて一週間間隔で3回免疫化されるか、または無処置
のままとされた。NT-2細胞をインビトロで増殖させ、トリプシンで取り出し、マイト
マイシンC(血清を含まないC-RPMI媒体中250μg/mL)で37℃にて45分
間処置した。5回洗浄した後、これらを免疫化した動物または無処置の動物から採取した
脾細胞を用いて1:5の比(刺激薬:レスポンダー)で5日間、37℃および5%CO
で共インキュベートした。標的として3T3/neu(DHFR-G8)細胞のラベルが
付いているユーロピウムを使用して、前述した方法により、標準的な細胞毒性アッセイを
実施した。4時間のインキュベーションの後、分光光度計(Perkin Elmer、
Victor)を590nmにて使用して、死滅した標的細胞から放出されたユーロピ
ウムを測定した。特異的な溶解のパーセントが(実験群での溶解-自然発生的溶解)/(
最大溶解-自然発生的溶解)として定義された。
【0383】
免疫化マウスからの脾細胞によるインターフェロン-γ分泌
3~5匹のFVB/NまたはHLA-A2トランスジェニックマウスの群が、1×10
CFUのADXS31-164、陰性リステリア対照(無関連抗原を発現する)を用い
て一週間間隔で3回免疫化されるか、または無処置のままとされた。最後の免疫化の一週
間後、FVB/Nマウスからの脾細胞が分離され、5×10細胞/ウェルにて24ウェ
ルプレートでマイトマイシンCで処置したNT-2細胞の存在下でC-RPMI培地中で
共培養された。HLA-A2トランスジェニックマウスからの脾細胞は、1μMのHLA
-A2特異的なペプチドまたは1μg/mLの組み換え型Hisタグ付きChHer2タ
ンパク質(大腸菌内で生産され、ニッケルベースのアフィニティークロマトグラフィーシ
ステムによって精製された)の存在下でインキュベートされた。上清からのサンプルが2
4時間または72時間後に得られ、インターフェロン-γ(IFN-γ)の存在について
、製造業者の推奨に従ってマウスIFN-γ酵素にリンクした免疫吸着剤アッセイ(EL
ISA)キットを使用して試験した。
【0384】
Her2トランスジェニック動物での腫瘍研究
生後6週間のFVB/NラットHer2/neuトランスジェニックマウス(9~14
/群)に5×10CFUのLm-LLO-ChHer2、ADXS31-164、また
はLm対照を6回免疫化した。これらを、自然発生的な乳腺腫瘍の出現について週に2回
観察し、これらは最高52週間まで電子カリパスを使用して測定された。平均直径が1c
のサイズに達したとき、エスケープした腫瘍を切り離し、RNAlater内で-2
0℃にて保存した。これらの腫瘍のエスケープ上のHer2/neuタンパク質内の突然
変異の効果を決定するために、ゲノムDNA分離キットを使用してゲノムDNAを抽出し
、配列決定した。
【0385】
脾臓および腫瘍内の調節性T細胞へのADXS31-164の効果
マウスに1×10NT-2細胞を皮下(s.c.)で移植した。7日目、14日目、
および21日目に、これらに1×10CFUのADXS31-164、LmddA対照
で免疫化、または無処置のままにした。28日目に腫瘍および脾臓を抽出し、FACS解
析によってCD3/CD4/FoxP3Tregの存在について試験した。簡潔に
述べると、C-RPMI培地中で2枚のガラススライドの間で脾臓を均質化することによ
って脾細胞を分離した。滅菌したカミソリの刃を使用して腫瘍を細かく刻み、PBS中に
DNase(12U/mL)およびコラゲナーゼ(2mg/mL)を含有するバッファー
を用いて消化した。室温にて撹拌しながら60分間インキュベーションした後で、細胞を
激しいピペッティングによって分離した。赤血球をRBC溶解バッファーによって溶解し
、続いて10%FBSを含有する完全なRPMI-1640培地を用いて数回洗浄した。
ナイロンメッシュを通した濾過の後、腫瘍細胞および脾細胞をFACSバッファー(2%
FBS/PBS)中で再懸濁し、抗CD3-PerCP-Cy5.5、CD4-FITC
、CD25-APC抗体を用いて染色し、続いて抗Foxp3-PEを用いて透過処理お
よび染色した。4色FACSキャリバー(BD)を使用してフローサイトメトリー解析を
実施し、cell questソフトウェア(BD)を使用してデータを解析した。
【0386】
統計的解析
生存データに対して対数順位χ二乗検定を使用し、CTLおよびELISAアッセイに
対してスチューデントのt検定を使用し、これらを3回行った。これらの解析では、0.
05未満(*印をつけた)のp値は統計的に有意であると考えられる。Prismソフト
ウェア、V.4.0a(2006)またはSPSSソフトウェア、V.15.0(200
6)のいずれかを用いてすべての統計的な解析が行われた。別段の記載がない限り、すべ
てのFVB/NラットHer2/neuトランスジェニック研究のために、群あたり8~
14匹のマウスを使用し、すべての野生型FVB/N研究のために、群あたり少なくとも
8匹のマウスを使用した。Her2/neuトランスジェニックマウスモデルの長期腫瘍
研究を除いて、すべての研究を少なくとも1回は繰り返した。
【0387】
結果
(実施例11) Her-2断片に融合されたLLO断片を分泌するL.モノサイトゲネ
ス株の発生:ADXS31-164の構築
【0388】
キメラHer2/neu遺伝子(ChHer2)の構築については前述した。簡潔に述
べると、ChHer2遺伝子は、SOEing PCR法によって、Her2/neuタ
ンパク質の2つの細胞外断片(aa40~170およびaa359~433)と1つの細
胞内断片(aa678~808)との直接融合によって生成された。キメラタンパク質は
、タンパク質の既知のヒトMHCクラスIエピトープのほとんどを有する。ChHer2
遺伝子は、プラスミド、pAdv138(これは構築体Lm-LLO-ChHer2に使
用される)から切り離され、LmddAシャトルプラスミドへとクローニングされ、結果
としてプラスミドpAdv164が得られる(図15A)。これらの2つのプラスミドバ
ックボーンの間には2つの大きい違いがある。1)組み換え型細菌のインビトロでの選択
のためにpAdv138はクロラムフェニコール耐性マーカー(cat)を使用している
が、pAdv164はバシラスサチリスからのD-アラニン・ラセマーゼ遺伝子(dal
)を寄生し、これはdal-dat遺伝子を欠いているLmddA株内でインビトロでの
選択のためおよびインビボでのプラスミド保持のために代謝相補経路を使用する。このワ
クチンプラットフォームは、FDAによる改変リステリアワクチン株の抗生物質抵抗性に
ついての憂慮に対処するために設計および開発された。2)pAdv138とは異なり、
これはインビボでのLmdd株の相補に必要ないので、プラスミド(以下の配列および図
15Aを参照)中でpAdv164はprfA遺伝子のコピーを有しない。LmddAワ
クチン株も、actA遺伝子(リステリア細胞内移動、および細胞から細胞への拡散を担
当する)を欠いているので、このバックボーンに由来する組み換え型ワクチン株は、その
親株であるLmddに由来するものより病毒性が100倍少ない。LmddAベースのワ
クチンは、免疫化マウスの脾臓からのLmddベースのワクチンよりもずっと速く(48
時間未満の間に)除去される。この株からの融合タンパク質tLLO-ChHer2の発
現および分泌は、インビトロで8時間増殖したTCA沈殿した細胞培養上清の中のLm-
LLO-ChHer2のもの(図15B)と同等であり、ウエスタンブロット解析を使用
して~104KDの帯域として抗LLO抗体によって検出される。負の対照としてtLL
Oのみを発現するリステリアバックボーン株が使用される。
【0389】
pAdv164配列(7075塩基対)(図15参照):
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ctaaagaggactataccaactatttgttaattaa (配列番号
:70)
(実施例12) ADXS31-164は、LM-LLO-ChHER2と同じく免疫原
性である。
【0390】
抗Her2/neu特異的な細胞毒性T細胞を発生するうえでのADXS31-164
の免疫原性の特性が、標準的なCTLアッセイでLm-LLO-ChHer2ワクチンの
ものと比較された。両方のワクチンは、3T3/neu標的細胞によって発現されるHe
r2/neu抗原に対して強いが同等の細胞毒性T細胞応答を引き出す。したがって、L
LOに対してHer2に融合された細胞内断片のみを発現するリステリアを用いて免疫化
されたマウスは、より多くのMHCクラスIエピトープを含有するキメラより低い溶解活
性を示す。無処置の動物、または無関連リステリアワクチンを注射したマウス(図16A
)ではCTL活性は検出されなかった。ADXS31-164は、野生型FVB/Nマウ
スからの脾細胞によってIFN-γの分泌を刺激することもできる(図16B)。これは
マイトマイシンCで処理されたNT-2細胞と共培養されたこれらの細胞の培養上清の中
で検出され、これらは高いレベルのHer2/neu抗原(図19C)を発現する。
【0391】
ヒトMHCクラスIエピトープのADXS31-164を用いた免疫化後の適切な処置
および提示は、HLA-A2マウスで試験された。免疫化したHLA-A2トランスジェ
ニックからの脾細胞は、マッピングしたHLA-A2で制限されたエピトープに対応する
ペプチドと72時間の間共インキュベートされ、このペプチドはHER2/neu分子の
細胞外(HLYQGCQVV配列番号:71もしくはKIFGSLAFL配列番号:72
)、または細胞内(RLLQETELV配列番号:73)領域に位置する(図16C)。
組み換え型ChHer2タンパク質は、正の対照、および無関連ペプチド、または負の対
照としてペプチドなしで使用された。この実験からのデータは、ADXS31-164が
抗Her2/neu特異的な免疫応答を標的化した抗原の異なるドメインに位置するヒト
エピトープへと引き出すことができることを示す。
(実施例13) ADXS31-164は、自然発生的な乳腺腫瘍の発症の防止には、L
M-LLO-ChHER2より有効である。
【0392】
ADXS31-164の抗腫瘍効果が、Lm-LLO-ChHer2とHer2/ne
uトランスジェニック動物において比較され、この動物は生後20~25週間で繁殖の遅
い自然発生的な乳腺腫瘍を発生した。無関連リステリア対照ワクチンを用いて免疫化され
たすべての動物は、21~25週の間に乳房の腫瘍を発生し、33週の前に犠牲にされた
。対照的に、リステリア-Her2/neu組み換え型ワクチンは、乳腺腫瘍の形成の著
しい遅延を生じた。45週には、50%を超えるADXS31-164をワクチン接種し
たマウス(9匹のうち5匹)は、まだ腫瘍がなく、これはLm-LLO-ChHer2を
用いて免疫化したマウスの25%と比較される。52週には、ADXS31-164を用
いて免疫化した8匹のうち2匹のマウスは、まだ腫瘍を有しないままであったが、一方で
他の実験的な群からのマウスはすべて、すでにこれらの疾患に屈服していた(図17)。
これらの結果は、ADXS31-164はより弱毒化しているにもかかわらず、Her2
/neuトランスジェニック動物の自然発生的な乳腺腫瘍の発症の防止ではLm-LLO
-ChHer2より有効であることを示す。
(実施例14) ADXS31-164を用いた免疫化の際のHER2/NEU遺伝子で
の突然変異。
【0393】
Her2/neuのMHCクラスIエピトープ内の突然変異は、小さい分量のワクチン
またはトラスツズマブ(ハーセプチン)(Her2/neuの細胞外ドメインでエピトー
プを標的化するモノクローナル抗体)を用いた免疫化の際にエスケープした腫瘍を担当す
ると考えられてきた。これを評価するために、トランスジェニック動物内のエスケープし
た腫瘍からゲノム材料が抽出され、キメラワクチンまたは対照ワクチンを用いて免疫化し
た腫瘍内のneu遺伝子の対応する断片を配列決定した。いかなるワクチン接種した腫瘍
サンプルのHer-2/neu遺伝子の中にも突然変異が観察されなかったことは、代替
的なエスケープ機構を示唆するの(データ示さず)。
(実施例15)ADXS31-164は、腫瘍内の調節性T細胞の著しい減少を生じる。
【0394】
脾臓および腫瘍内での調節性T細胞の頻度に対するADXS31-164の効果を解明
するために、マウスにNT-2腫瘍細胞を移植した。3回の免疫化の後、脾細胞および腫
瘍内のリンパ球が分離され、Tregのために染色した。これらは、CD3/CD4
/CD25/FoxP3細胞と定義されたが、別個に解析したとき、FoxP3マー
カーまたはCD25マーカーのいずれかを用いて同等の結果が得られた。この結果は、無
関連リステリアワクチンまたは無処置の動物と比較して、ADXS31-164を用いた
免疫化は、脾臓内のTregの頻度については効果を有しないことを示した(図18参照
)。対照的に、リステリアワクチンを用いた免疫化は、腫瘍内のTregの存在は少なか
らぬ影響を生じた(図19A)。処置されていない腫瘍ではすべてのCD3 T細胞の
平均で19.0%がTregであったが、この頻度は無関連ワクチンについては4.2%
に減少し、ADXS31-164ついては3.4%と腫瘍内のTregの頻度が5分の1
に減少した(図19B)。いずれかのLmddAワクチンで処置したマウスでの腫瘍内の
Tregの頻度の減少は、腫瘍のサイズの差異には貢献しなかった。代表的実験では、A
DXS31-164を用いて免疫化したマウスからの腫瘍(平均直径(mm)±SD:6
.71±0.43、n=5)は、未処置マウス(8.69±0.98、n=5、p<0.
01)、または無関連ワクチン(8.41±1.47、n=5、p=0.04)で処置さ
れたマウスからの腫瘍より著しくより小さかったが、一方で後者のこれら2つの群の比較
は腫瘍サイズでは統計的な有意さを示さなかった(p=0.73)。LmddAワクチン
で処置した腫瘍内のTregのより低い頻度は、腫瘍内のCD8/Treg比の増加をも
たらし、LmddAワクチンを用いた免疫化後により好ましい腫瘍の微小環境を得ること
ができることを示唆する。しかしながら、標的抗原HER2/neu(ADXS31-1
64)を発現するワクチンのみが腫瘍増殖を減少することができ、Tregの減少は腫瘍
内で抗原特異的な応答が存在するときのみ効果を有することを示す。
(実施例16)ペプチド「ミニ遺伝子」発現系
【0395】
材料および方法
この発現系は、カルボキシ末端において独特のペプチド部分を含有する組み換え型タン
パク質のパネルのクローニングを促進するように設計される。これは、テンプレートとし
てSS-Ub-ペプチド構築体のうちの1つをコードする配列を利用する単純なPCR反
応によって達成される。Ub配列のカルボキシ末端領域の中へと延在するプライマーを使
用し、また所望のペプチド配列に対してプライマーの3’端においてコドンを導入するこ
とによって、単一のPCR反応で新しいSS-Ub-ペプチド配列を生成することができ
る。細菌プロモーターおよびActAシグナル配列の最初のいくつかのヌクレオチドをコ
ードする5’プライマーは、すべての構築体に対して同一である。この戦略を使用して生
成された構築体を図1に概略的に表す。この実施例では、2つの構築体が記述される。一
方は、マウスMHCクラスI上に提示されるモデルペプチド抗原を含有し、第2の構築体
は、ヒト膠芽腫(GBM)TAAに由来するものなどの治療的に関連のあるペプチドが置
換されることになる場所を示す。明確のため、図1で図表化した構築体をActA1~1
00分泌シグナルを含有するものとして指定した。しかしながら、LLOベースの分泌シ
グナルは均等な効果を置換される可能性がある。
【0396】
提案されている系の利点のうちの1つは、単一のリステリアベクター構築体を使用して
細胞にマルチプルペプチドを負荷することができることになる点である。マルチプルペプ
チドは、上述の単一のペプチド発現系の修正を使用して組み換え型弱毒化リステリア(例
えば、PrfA突然変異リステリアまたはdal/dat/ActA突然変異リステリア
)の中へと導入されることになる。連続的なSS-Ub-ペプチド配列から独特のマルチ
プルペプチドをコードするキメラタンパク質が1つのインサートの中にコードした。シャ
イン・ダルガノリボソーム結合部位は、各々のSS-Ub-ペプチドコード配列がペプチ
ド構築体の各々の分離翻訳が有効になる前に導入される。図1Cは、組み換え型リステリ
アの1つの株から4つの別個のペプチド抗原を発現するように設計された構築体の概略表
示を実証する。これは厳密に一般的な発現戦略の表示であるので、既知のマウスまたはヒ
ト腫瘍に関連する抗原または感染性疾患の抗原に由来する4つの独特のMHCクラスI結
合ペプチドを含めた。
【0397】
本開示のある特定の特徴が本明細書に例示され記述されてきたが、今では当業者には数多くの修正、置換、変更、および均等物が生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨に含まれるかかるすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリア株であって、前記構築体はキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前記キメラタンパク質は、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列される、組み換え型リステリア。
(項目2)
前記リステリアが、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした2つ以上のオープンリーディングフレームをさらに含む、項目1に記載の組み換え型リステリア。
(項目3)
前記リステリアが、各々のオープンリーディングフレームの間に、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした1つ~4つのオープンリーディングフレームをさらに含む、項目1~2のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目4)
前記ペプチドが1つ以上のネオエピトープを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目5)
各々のオープンリーディングフレームが異なるペプチドを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目6)
前記ミニ遺伝子構築体が、前記核酸構築体の5’細菌プロモーター駆動発現をさらに含む、項目1~5のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目7)
前記プロモーターが、ActAプロモーター、hlyプロモーター、またはp60プロモーターである、項目6に記載の組み換え型リステリア。
(項目8)
前記細菌分泌シグナル配列が、前記ActAタンパク質シグナル配列の最初の100アミノ酸を含むActA100シグナル配列をコードする、項目1~7のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目9)
前記細菌分泌シグナル配列が、配列番号:4を含むリステリオリシンO(LLO)タンパク質からの分泌シグナル配列である、項目1~8のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目10)
前記組み換え型リステリアが、D-アラニン・ラセマーゼ(dal)遺伝子およびD-アミノ酸トランスフェラーゼ(dat)遺伝子内にゲノム突然変異、または欠失を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目11)
リステリアが、代謝酵素をコードする第一のオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、前記代謝酵素が前記dal/datゲノム突然変異または欠失を相補する、項目10に記載の組み換え型リステリア。
(項目12)
前記核酸分子が前記リステリアゲノムに組み込まれる、項目11に記載の組み換え型リステリア。
(項目13)
前記核酸分子が前記組み換え型リステリア株の中のプラスミドの中にあり、かつ抗生物質選択が無いときに、前記プラスミドが前記組み換え型リステリア株の中に安定して維持される、項目11に記載の組み換え型リステリア。
(項目14)
前記代謝酵素が、アラニン・ラセマーゼ酵素、またはD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である、項目11~13のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目15)
前記ミニ遺伝子構築体が、前記リステリアゲノムに組み込まれる、または前記リステリア内の染色体外プラスミド内にある、項目11~14のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目16)
前記組み換え型リステリアが、actA遺伝子内のゲノム突然変異、または欠失を含む、項目1~15のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目17)
前記組み換え型リステリアが、inlB遺伝子内に、ゲノム突然変異、または欠失を含む、項目1~16のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目18)
前記組み換え型リステリアが、prfA遺伝子内に、ゲノム突然変異、または欠失を含む、項目1~17のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目19)
前記組み換え型弱毒化リステリアがリステリア・モノサイトゲネスである、項目1~18のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目20)
項目1~19のいずれか一項に記載の組み換え型リステリアと、医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
(項目21)
腫瘍またはガンを有する被験者の中に抗腫瘍または抗ガン応答を引き出す方法であって、前記方法が前記被験者にミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与する工程を含み、前記構築体がキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前記キメラタンパク質が、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列され、これによって前記被験者の中の抗腫瘍応答を強化する、方法。
(項目22)
前記リステリアが、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした2つ以上のオープンリーディングフレームをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記リステリアが、各々のオープンリーディングフレームの間をシャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした1つ~4つのオープンリーディングフレームをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記ペプチドが、1つ以上のネオエピトープを含む、項目21~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
各々のオープンリーディングフレームが異なるペプチドを含む、項目21~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記ミニ遺伝子構築体が、前記核酸構築体の5’細菌プロモーター駆動発現をさらに含む、項目20~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記プロモーターが、actAプロモーター、hlyプロモーター、またはp60プロモーターである、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記細菌分泌シグナル配列が、前記ActAタンパク質シグナル配列の最初の100アミノ酸を含むActA100シグナル配列をコードする、項目21~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記細菌分泌シグナル配列が、リステリオリシンO(LLO)タンパク質からの分泌シグナル配列である、項目21~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記組み換え型リステリアが、D-アラニン・ラセマーゼ(dal)遺伝子およびD-アミノ酸トランスフェラーゼ(dat)遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目21~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記リステリアが代謝酵素をコードする第1のオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、前記代謝酵素が前記組み換え型リステリア株の染色体内の突然変異または欠失している内因性遺伝子を相補する、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記核酸分子が前記リステリアゲノムに組み込まれる、項目33に記載の方法。
(項目33)
前記核酸分子が前記組み換え型リステリア株の中のプラスミドの中にあり、かつ抗生物質選択が無いとき、前記プラスミドは前記組み換え型リステリア株の中に安定して維持される、項目33に記載の方法。
(項目34)
前記代謝酵素がアラニン・ラセマーゼ酵素またはD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である、項目31~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記ミニ遺伝子構築体が、前記リステリアゲノムに組み込まれる、または前記リステリア内の染色体外プラスミド内にある、項目21~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記組み換え型リステリアが前記actA遺伝子内にゲノム突然変異または欠失を含む、項目21~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記組み換え型リステリアが、inlB遺伝子内にゲノム突然変異または欠失を含む、項目21~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記組み換え型リステリアが、prfA遺伝子内にゲノム突然変異または欠失を含む、項目21~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記組み換え型弱毒化リステリアがリステリア・モノサイトゲネスである、項目21~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
独立したアジュバントを投与することをさらに含む、項目21~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記アジュバントが、顆粒球性/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)タンパク質、GM-CSFタンパク質をコードするヌクレオチド分子、サポニンQS21、モノホスホリルリピドA、またはメチル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記ガンが、リンパ腫、白血病、乳ガン、大腸ガン、頭頸部扁平上皮ガン腫、腎臓の細胞ガン腫、膵管腺ガン、骨肉腫、胃ガン、非小細胞肺ガン、または骨ガンを含む、項目21~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記ガンが難治性ガンである、項目21~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記リンパ腫がホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記リンパ腫が多発性骨髄腫である、項目42に記載の方法。
(項目46)
被験者の中の腫瘍またはガンを処置する方法であって、前記方法が前記被験者にミニ遺伝子核酸構築体を含む組み換え型リステリアを投与する工程を含み、前記構築体がキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前記キメラタンパク質が、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列され、これによって前記被験者の中の抗腫瘍応答を強化する、方法。
(項目47)
前記リステリアが、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした2つ以上のオープンリーディングフレームをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記リステリアが、各々のオープンリーディングフレームの間をシャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした1つ~4つのオープンリーディングフレームをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目49)
前記ペプチドが、1つ以上のネオエピトープを含む、項目46~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
各々のオープンリーディングフレームが異なるペプチドを含む、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記ミニ遺伝子発現核酸構築体が、前記核酸構築体の5’細菌プロモーター駆動発現をさらに含む、項目46~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記プロモーターが、actAプロモーター、hlyプロモーター、またはp60プロモーターである、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記細菌分泌シグナル配列が、前記ActAタンパク質シグナル配列の最初の100アミノ酸を含むActA100シグナル配列をコードする、項目46~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記細菌分泌シグナル配列が、リステリオリシンO(LLO)タンパク質からの分泌シグナル配列である、項目46~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記組み換え型リステリアが、D-アラニン・ラセマーゼ(dal)遺伝子およびD-アミノ酸トランスフェラーゼ(dat)遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目46~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
リステリアが代謝酵素をコードする第1のオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、前記代謝酵素が前記組み換え型リステリア株の染色体内の突然変異または欠失している内因性遺伝子を相補する、項目46~55のいずれか一項に記載の方法。(項目57)
前記核酸分子が前記リステリアゲノムに組み込まれる、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記核酸分子が前記組み換え型リステリア株の中のプラスミドの中にあり、かつ抗生物質選択が無いとき、前記プラスミドは前記組み換え型リステリア株の中に安定して維持される、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記代謝酵素がアラニン・ラセマーゼ酵素またはD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である、項目56~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記ミニ遺伝子発現構築体が、前記リステリアゲノムに組み込まれる、または前記リステリア内の染色体外プラスミド内にある、項目46~59のいずれか一項に記載の方法。(項目61)
前記組み換え型リステリアが前記actA遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目46~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記組み換え型リステリアが前記inlB遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目46~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記組み換え型リステリアが前記prfA遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目46~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記組み換え型弱毒化リステリアがリステリア・モノサイトゲネスである、項目46~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
独立したアジュバントを投与することをさらに含む、項目46~64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記アジュバントが、顆粒球性/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)タンパク質、GM-CSFタンパク質をコードするヌクレオチド分子、サポニンQS21、モノホスホリルリピドA、またはメチル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドを含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記ガンが、リンパ腫、白血病、乳ガン、大腸ガン、頭頸部扁平上皮ガン腫、腎臓の細胞ガン腫、膵管腺ガン、骨肉腫、胃ガン、非小細胞肺ガン、または骨ガンを含む、項目46~66のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
前記ガンが難治性ガンである、項目46~67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記リンパ腫がホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、項目67に記載の方法。
(項目70)
前記リンパ腫が多発性骨髄腫である、項目67に記載の方法。
(項目71)
前記投与が前記組み換え型弱毒化リステリアの少なくとも2つの投与を含む、項目21~70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
前記ガンの前記被験者内での再発または転移に続いて前記組み換え型弱毒化リステリアを投与する工程をさらに含む、項目21~71のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
ブースター注射を投与することをさらに含む、項目21~72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記免疫応答がCD8T細胞免疫応答である、項目21~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記処置が転移性疾患を遅延させる、項目46~74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記処置がリンパ節サイズを減少する、項目46~75のいずれか一項に記載の方法。(項目77)
前記処置が結果として無進行生存率をもたらす、項目46~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記処置が、結果的に疾患が進行する時間の増加をもたらす、項目46~76のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
被験者内の腫瘍またはガンの形成を抑制または遅延する方法であって、前記方法が項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物を投与する前記工程を含む、方法。
(項目80)
自己抗原に対する耐性を破壊する方法であって、前記方法が項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物を投与する前記工程を含む、方法。
(項目81)
被験者内のガンの退行を誘発する方法であって、前記方法が項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物を投与する前記工程を含む、方法。
(項目82)
被験者の生存を延長する方法であって、前記方法が項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物を投与する前記工程を含む、方法。
(項目83)
腫瘍またはガンを有する被験者内の抗腫瘍または抗ガン応答を引き出すための組み換え型リステリアの使用であって、前記使用が、前記腫瘍またはガンを有する前記被験者に前記リステリアを投与する前記工程を含み、前記組み換え型リステリアがミニ遺伝子核酸構築体を含み、前記核酸構築体がキメラタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、前記キメラタンパク質が、
a.細菌分泌シグナル配列と、
b.ユビキチン(Ub)タンパク質と、
c.ペプチドとを含み、
a~cの前記シグナル配列、前記ユビキチン、および前記ペプチドが、アミノ末端からカルボキシ末端へとそれぞれ直列に配列される、使用。
(項目84)
前記リステリアが、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした2つ以上のオープンリーディングフレームをさらに含む、項目83に記載の使用。
(項目85)
前記リステリアが、各々のオープンリーディングフレームの間をシャイン・ダルガノリボソーム結合部位核酸配列によってリンクした1つ~4つのオープンリーディングフレームをさらに含む、項目83に記載の使用。
(項目86)
前記ペプチドが、1つ以上のネオエピトープを含む、項目83~85のいずれか一項に記載の使用。
(項目87)
各々のオープンリーディングフレームが異なるペプチドを含む、項目83~86のいずれか一項に記載の使用。
(項目88)
前記ミニ遺伝子構築体が、前記核酸構築体の5’細菌プロモーター駆動発現をさらに含む、項目83~87のいずれか一項に記載の使用。
(項目89)
前記プロモーターが、actAプロモーター、hlyプロモーター、またはp60プロモーターである、項目88に記載の使用。
(項目90)
前記細菌分泌シグナル配列が、前記ActAタンパク質シグナル配列の最初の100アミノ酸を含むActA100シグナル配列をコードする、項目83~89のいずれか一項に記載の使用。
(項目91)
前記細菌分泌シグナル配列が、リステリオリシンO(LLO)タンパク質からの分泌シグナル配列である、項目83~90のいずれか一項に記載の使用。
(項目92)
前記組み換え型リステリアが、D-アラニン・ラセマーゼ(dal)遺伝子およびD-アミノ酸トランスフェラーゼ(dat)遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目83~91のいずれか一項に記載の使用。
(項目93)
リステリアが代謝酵素をコードする第1のオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、前記代謝酵素が前記組み換え型リステリア株の染色体内の欠失または突然変異している内因性遺伝子を相補する、項目88に記載の使用。
(項目94)
前記核酸分子が前記リステリアゲノムに組み込まれる、項目93に記載の使用。
(項目95)
前記核酸分子が前記組み換え型リステリア株の中のプラスミドの中にあり、かつ抗生物質選択が無いとき、前記プラスミドは前記組み換え型リステリア株の中に安定して維持される、項目93のいずれか一項に記載の使用。
(項目96)
前記代謝酵素がアラニン・ラセマーゼ酵素またはD-アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である、項目93~95のいずれか一項に記載の使用。
(項目97)
前記ミニ遺伝子構築体が、前記リステリアゲノムに組み込まれる、または前記リステリア内の染色体外プラスミド内にある、項目83~96のいずれか一項に記載の使用。
(項目98)
前記組み換え型リステリアが前記actA遺伝子内にゲノム突然変異を含む、項目83~97のいずれか一項に記載の方法。
(項目99)
前記組み換え型リステリアが、前記内因性inlB遺伝子でのゲノム突然変異を含む、項目83~98に記載の使用。
(項目100)
前記組み換え型リステリアが、前記内因性prfA遺伝子でのゲノム突然変異を含む、項目83~99に記載の使用。
(項目101)
前記組み換え型弱毒化リステリアがリステリア・モノサイトゲネスである、項目83~100のいずれか一項に記載の方法。
(項目102)
独立したアジュバントを投与することをさらに含む、項目83~101に記載の使用。(項目103)
前記アジュバントが、顆粒球性/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)タンパク質、GM-CSFタンパク質をコードするヌクレオチド分子、サポニンQS21、モノホスホリルリピドA、またはメチル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドを含む、項目102に記載の使用。
(項目104)
前記免疫応答がCD8T細胞免疫応答である、項目83~103のいずれか一項に記載の使用。
(項目105)
被験者内の腫瘍またはガンを処置するための、項目83~104のいずれか一項に記載の使用。
(項目106)
前記ガンが、リンパ腫、白血病、乳ガン、大腸ガン、頭頸部扁平上皮ガン腫、腎臓の細胞ガン腫、膵管腺ガン、骨肉腫、胃ガン、非小細胞肺ガン、または骨ガンを含む、項目83~105のいずれか一項に記載の使用。
(項目107)
前記ガンが難治性ガンである、項目83~106のいずれか一項に記載の使用。
(項目108)
前記リンパ腫がホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、項目106に記載の使用。
(項目109)
前記ガンの前記被験者内での再発または転移に続いて前記組み換え型弱毒化リステリアを投与する工程をさらに含む、項目105~108のいずれか一項に記載の使用。
(項目110)
ブースター注射を投与することをさらに含む、項目104~109のいずれか一項に記載の使用。
(項目111)
前記処置が転移性疾患を遅延させる、項目104~110のいずれか一項に記載の使用。
(項目112)
前記処置がリンパ節サイズを減少する、項目104~111のいずれか一項に記載の使用。
(項目113)
前記処置が結果として無進行生存率をもたらす、項目104~112のいずれか一項に記載の使用。
(項目114)
前記処置が、結果的に疾患が進行する時間の増加をもたらす、項目104~113のいずれか一項に記載の使用。
(項目115)
被験者内の腫瘍またはガンの形成を抑制または遅延するための、項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物の使用であって、前記使用が、前記組み換え型リステリアまたは前記医薬組成物を前記被験者に投与する前記工程を含む、使用。
(項目116)
自己抗原に対する耐性を破壊するための項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物の使用であって、前記使用が、前記組み換え型リステリアまたは前記医薬組成物を前記被験者に投与する前記工程を含む、使用。
(項目117)
被験者内のガンの退行を誘発するための、項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物の使用であって、前記使用が、前記組み換え型リステリアまたは前記医薬組成物を前記被験者に投与する前記工程を含む、使用。
(項目118)
被験者の生存を延長するための、項目1~19の前記組み換え型リステリアまたは項目20の前記医薬組成物の使用であって、前記使用が、前記組み換え型リステリアまたは前記医薬組成物を前記被験者に投与する前記工程を含む、使用。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
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