(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】育児支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20230911BHJP
【FI】
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2021136483
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山城 高久
(72)【発明者】
【氏名】湊崎 真行
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-083999(JP,A)
【文献】特開2006-338476(JP,A)
【文献】特開2005-226902(JP,A)
【文献】特開平08-071046(JP,A)
【文献】特開2022-072767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と、
前記サーバ装置と相互に通信するクライアント装置と、
育児の対象者の排泄を検出する排泄センサと、
前記対象者の環境を示す環境情報を検出する環境センサと
を具備し、
前記クライアント装置は、
前記排泄センサにより前記排泄が検出されたことを示す排泄情報を前記サーバ装置に送信する排泄情報送信手段と、
前記環境センサにより検出された前記環境情報を前記サーバ装置に送信する環境情報送信手段と、
前記対象者の前記環境の適正を判断した判断結果に基づく環境に関する情報を前記サーバ装置から受信する環境判断情報受信手段とを含み、
前記サーバ装置は、
前記クライアント装置から受信した前記排泄情報、および前記環境情報を時刻と関連させて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、および前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定する排泄周期決定手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報と関連させた前記時刻が前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期から予測される予測時刻を基準として適正でないと判定した場合、前記対象者に体調変化が生じたことを検出する体調変化検出手段と、
前記体調変化検出手段により前記対象者に体調変化が生じたことが検出された場合、前記記憶手段に記憶された前記環境情報に含まれ、前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて決定された所定期間の前記環境情報、および環境に関する判断基準に基づいて、前記対象者の前記所定期間の前記環境の適正を判断する環境適正判断手段と、
前記環境適正判断手段により判断された前記対象者の前記所定期間の前記環境が適正でない前記環境情報を前記クライアント装置に送信する環境判断情報送信手段とを含むこと
を特徴とする育児支援システム。
【請求項2】
前記環境情報は、温度、湿度、音量、照度、またはガス濃度の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項1に記載の育児支援システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期に基づいて、前記対象者の成長度合いを判定する成長度合い判定手段を具備すること
を特徴とする請求項1
または請求項
2に記載の育児支援システム。
【請求項4】
排泄センサにより育児の対象者の排泄が検出されたことを示す排泄情報、および環境センサにより検出された前記対象者の環境を示す環境情報を時刻と関連させて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、および前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定する排泄周期決定手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報と関連させた前記時刻が前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期から予測される予測時刻を基準として適正でないと判定した場合、前記対象者に体調変化が生じたことを検出する体調変化検出手段と、
前記体調変化検出手段により前記対象者に体調変化が生じたことが検出された場合、前記記憶手段に記憶された前記環境情報に含まれ、前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて決定された所定期間の前記環境情報、および環境に関する判断基準に基づいて、前記対象者の前記所定期間の前記環境の適正を判断する環境適正判断手段と、
前記環境適正判断手段により判断された前記対象者の前記所定期間の前記環境が適正でない前記環境情報を通知する環境判断情報通知手段と
を具備することを特徴とする育児支援装置。
【請求項5】
前記環境情報は、温度、湿度、音量、照度、またはガス濃度の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項
4に記載の育児支援装置。
【請求項6】
前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期に基づいて、前記対象者の成長度合いを判定する成長度合い判定手段を具備すること
を特徴とする請求項
4または請求項
5に記載の育児支援装置。
【請求項7】
排泄センサにより育児の対象者の排泄が検出されたことを示す排泄情報、および環境センサにより検出された前記対象者の環境を示す環境情報を時刻と関連させて記憶することと、
記憶した前記排泄情報、および前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定することと、
記憶した前記排泄情報と関連させた前記時刻が、決定した前記排泄周期から予測される予測時刻を基準として適正でないと判定した場合、前記対象者に体調変化が生じたことを検出することと、
前記対象者に体調変化が生じたことを検出した場合、記憶した前記環境情報に含まれ、前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて決定された所定期間の前記環境情報、および環境に関する判断基準に基づいて、前記対象者の前記所定期間の前記環境の適正を判断することと、
判断した前記対象者の前記所定期間の前記環境が適正でない前記環境情報を通知することと
を含むことを特徴とする育児支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育児支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、育児をサポートする様々なシステムが普及している。このようなシステムの1つとして、乳幼児の状態を育児者に通知するシステムがある。
例えば、特許文献1には、乳児の泣き声に基づいて、おむつが濡れたことを原因として乳児が泣いていると判定された場合、おむつが濡れたことを原因として乳児が泣いていることを表す画面を表示部に表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなシステムでは、乳幼児の排泄を知ることはできても、その乳幼児が健全な状態なのかは分からない。
本発明は、上記課題を解決することができる育児支援システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、サーバ装置と、前記サーバ装置と相互に通信するクライアント装置と、育児の対象者の排泄を検出する排泄センサと、前記対象者の環境を示す環境情報を検出する環境センサとを具備し、前記クライアント装置は、前記排泄センサにより前記排泄が検出されたことを示す排泄情報を前記サーバ装置に送信する排泄情報送信手段と、前記環境センサにより検出された前記環境情報を前記サーバ装置に送信する環境情報送信手段と、前記対象者の前記環境の適正を判断した判断結果に基づく環境に関する情報を前記サーバ装置から受信する環境判断情報受信手段とを含み、前記サーバ装置は、前記クライアント装置から受信した前記排泄情報、および前記環境情報を時刻と関連させて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、および前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定する排泄周期決定手段と、前記記憶手段に記憶された前記排泄情報と関連させた前記時刻が前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期から予測される予測時刻を基準として適正でないと判定した場合、前記対象者に体調変化が生じたことを検出する体調変化検出手段と、前記体調変化検出手段により前記対象者に体調変化が生じたことが検出された場合、前記記憶手段に記憶された前記環境情報に含まれ、前記排泄情報と関連させた前記時刻に基づいて決定された所定期間の前記環境情報、および環境に関する判断基準に基づいて、前記対象者の前記所定期間の前記環境の適正を判断する環境適正判断手段と、前記環境適正判断手段により判断された前記対象者の前記所定期間の前記環境が適正でない前記環境情報を前記クライアント装置に送信する環境判断情報送信手段とを含むこと、を特徴とする育児支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上記課題を解決することができる育児支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る育児支援システムを示す概念図である。
【
図2】
図2は、
図1の育児支援システム内のサーバ装置のシステム構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1の育児支援システム内のクライアント装置のシステム構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の育児支援システムにおいて用いられる学習モデルを示す概念図である。
【
図5】
図5は、
図1の育児支援システムにおいて用いられる個人データベースの構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1の育児支援システムにおいて用いられる個人特性テーブルの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1の育児支援システムにおいて用いられる育児データベースの構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図3のクライアント装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図2のサーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、
図2のサーバ装置における、学習された排尿パターンモデルに基づく判定の動作例を示す図である。
【
図11】
図11は、
図2のサーバ装置における、更新された排尿パターンモデルに基づく判定の動作例を示す図である。
【
図12】
図12は、
図2のサーバ装置において学習された排尿パターンモデルの例を示す図である。
【
図13】
図13は、
図1の対象乳幼児61の1日の排尿パターンの一例を示す概略図である。
【
図14】
図14は、
図2のサーバ装置において実行されるモデル生成処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、
図2のサーバ装置において実行される注意通知処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、
図2のサーバ装置において実行される適正環境通知処理の手順の例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、
図2のサーバ装置において実行される成長度合い判定処理のデータの流れを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る育児支援システムの構成を説明する。育児支援システム1は、乳幼児61に対する育児を行う育児者62を支援するための情報処理をするシステムである。育児者62は、育児支援システム1を利用するユーザである。育児者62は、例えば、乳幼児61の家族、乳幼児61が預けられている保育施設で保育に従事する者である。乳幼児61は、育児支援システム1が支援する育児の対象者である。
【0009】
育児支援システム1は、例えば、サーバ装置2、クライアント装置3、および複数のセンサ5を備える。
【0010】
サーバ装置2は、複数の乳幼児61に関するデータを解析して、育児を支援するための情報を提供する育児支援装置である。サーバ装置2は、例えばサーバコンピュータとして実現され得る。
【0011】
クライアント装置3は、育児者62によって使用される育児支援装置である。クライアント装置3は、例えば、携帯情報端末、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、または各種電子機器に内蔵される組み込みシステムとして実現され得る。携帯情報端末は、例えば、携帯電話機、Personal Digital Assistant(PDA)、スマートフォンである。
【0012】
クライアント装置3は、ネットワーク4を介してサーバ装置2と相互に通信可能である。ネットワーク4を介した通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。ネットワーク4は、例えば、Ethernet(登録商標)、有線ローカルエリアネットワーク(有線LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(無線LAN)、携帯無線通信網を含む。
【0013】
複数のセンサ5は、乳幼児61の排泄、および乳幼児61の育児環境を検知するセンサである。複数のセンサ5は、検知結果を含む信号を外部に送信するための通信部を備える。より具体的には、複数のセンサ5は、検知結果を含む信号を、例えばクライアント装置3に送信する。複数のセンサ5は、外部に信号を送信するための通信方式として、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線LANを用いる。複数のセンサ5は、例えば、排泄センサ51、および環境センサ52を含む。
【0014】
排泄センサ51は、乳幼児61による排泄を検知するセンサである。排泄は、乳幼児61による排尿と排便の少なくとも一方を含む。排泄センサ51は、例えば、乳幼児61が装着している吸収性物品(例えば、おむつ)に取り付けられる。あるいは、排泄センサ51は、乳幼児61が装着している吸収性物品に内蔵されていてもよい。排泄センサ51は、例えば、導電率、温度、湿度、におい等の変化を検知することで、乳幼児61による排尿と排便の少なくとも一方を検知する。さらに、排泄センサ51は、乳幼児61の排泄を検知できれば、吸収性物品に限らず、何処に取り付けられてもよい。
【0015】
排泄センサ51は、例えば、乳幼児61による排泄が検知されたことを示す信号をクライアント装置3に送信する。より具体的には、排泄センサ51は、例えば、乳幼児61による排尿が検知されたことを示す信号をクライアント装置3に送信する。排尿が検知されたことを示す信号は、その排尿が検知された時刻の情報を含んでいてもよい。また、排泄センサ51は、例えば、乳幼児61による排便が検知されたことを示す信号をクライアント装置3に送信する。排便が検知されたことを示す信号は、その排便が検知された時刻の情報を含んでいてもよい。
【0016】
環境センサ52は、乳幼児61が居る場所の環境状態(計測値等)を検出するセンサである。例えば、乳幼児61が居る場所とは、乳幼児61が多くの時間居る部屋又はベッド等である。なお、環境センサ52は、乳幼児61自身または乳幼児61の身に付けているものに取り付けられてもよい。
【0017】
環境センサ52は、温度、湿度、音量、照度、またはガス濃度の少なくとも1つを検出し、これらの任意の組合せの要素を検出してもよい。また、ガス濃度の検出対象のガスの種類は、酸素、二酸化炭素、または窒素等の通常の大気中にある成分のガスでもよいし、揮発性有機化合物(VOC、volatileorganic compounds)、または窒素酸化物等の有害とされているガスでもよい。また、環境センサ52の検出方式は、どのような方式を採用してもよい。以降では、検出対象を酸素として、主に説明するが、酸素を任意のガスに置き換えてもよい。
【0018】
環境センサ52は、乳幼児61の環境を示す信号を時系列でクライアント装置3に送信する。環境センサ52は、例えば、単位期間毎に、1つの単位期間内の時系列の複数の環境を示す信号をクライアント装置3に送信する。あるいは、環境センサ52は、環境を示す信号をリアルタイムでクライアント装置3に送信してもよい。環境を示す信号は、その環境が検知された時刻の情報を含んでいてもよい。
【0019】
1台のクライアント装置3は、例えば1人の乳幼児61に関連付けられる。以下では、関連付けられた1人の乳幼児61を、対象乳幼児61とも称する。対象乳幼児61は、その1台のクライアント装置3を使用する育児者62による育児の対象となる乳幼児である。
【0020】
クライアント装置3は、複数のセンサ5と連携して、対象乳幼児61の排泄および環境に関するデータをサーバ装置2に送信する。
【0021】
より具体的には、クライアント装置3は、排泄センサ51と連携して、対象乳幼児61の排泄データをサーバ装置2に送信する。排泄データは、対象乳幼児61による排泄が検知されたことを示す。排泄データは、排尿データと排便データの少なくとも一方を含む。排尿データは、対象乳幼児61による排尿が検知されたことを示す。排便データは、対象乳幼児61による排便が検知されたことを示す。排泄データは、対象乳幼児61による排泄(すなわち、排尿または排便)が検知された時刻を含んでいてもよい。
【0022】
クライアント装置3は、環境センサ52と連携して、対象乳幼児61の環境データをサーバ装置2に送信する。環境データは、対象乳幼児61が居る場所の時系列の環境を示す。環境データは、環境状態が検出された時刻を含んでいてもよい。
【0023】
クライアント装置3は、育児者62によって入力された情報に基づいて、対象乳幼児61の状態に関するデータをサーバ装置2に送信してもよい。クライアント装置3は、例えば、食事量、または食事時間等の食事に関する食事データを入力できるような機能を有してもよい。例えば、授乳量が手動で入力されてもよいし、哺乳瓶の重さを重量センサ等で検出することで、自動的に入力されてもよい。クライアント装置3には、対象乳幼児61の体調に関連する任意の情報(例えば、排泄に関連する情報)が入力されてもよい。例えば、カメラで撮影された画像の解析またはシーツに設置された水分センサ等により、発汗量が入力されてもよい。
【0024】
また、クライアント装置3は、対象乳幼児61の育児を支援するための情報をサーバ装置2から受け取って、その情報を育児者62に通知する。
【0025】
クライアント装置3はさらに、サーバ装置2から受信した情報に対するフィードバックデータをサーバ装置2に送信してもよい。フィードバックデータは、受信した情報に関する評価を示す情報である。例えば、フィードバックデータは、受信した情報が適切であったか否かを育児者62が判断した結果を示す。具体的には、フィードバックデータは、乳幼児61の次の排泄を予告する排泄予告、乳幼児61の体調変化の注意通知、乳幼児61の適正でないと判断された環境に関する情報、乳幼児61の適正な環境を支援するための情報、および乳幼児61の長度合いの少なくとも1つに対する育児者62の評価結果を示す情報である。
【0026】
なお、1台のクライアント装置3は、複数の乳幼児61に関連付けられていてもよい。その場合、クライアント装置3は、複数の乳幼児61それぞれに対して設けられる複数のセンサ5と連携して、複数の乳幼児61それぞれの状態および環境に関するデータをサーバ装置2に送信する。また、クライアント装置3は、複数の乳幼児61それぞれの育児を支援するための情報をサーバ装置2から受け取って、その情報を育児者62に通知する。クライアント装置3は、複数の乳幼児61のいずれに関する情報であるかを育児者62が認識可能である形態で、情報を通知し得る。クライアント装置3は、情報を、例えば、対応する乳幼児61の名前と共に通知する。
【0027】
また、複数のクライアント装置3が1人の乳幼児61に関連付けられていてもよい。複数のクライアント装置3は、例えば、複数の育児者62がそれぞれ使用する。あるいは、1人の育児者62が、複数のクライアント装置3を使用してもよい。複数のクライアント装置3の内の少なくとも1つのクライアント装置3は、乳幼児61に対して設けられる複数のセンサ5と連携して、乳幼児61の状態および環境に関するデータをサーバ装置2に送信する。この少なくとも1つのクライアント装置3は、例えば、センサ5との近距離無線通信が可能な範囲内に位置する。残りのクライアント装置3は、センサ5との近距離通信ができない遠隔に位置していてもよい。また、複数のクライアント装置3それぞれは、乳幼児61の育児を支援するための情報をサーバ装置2から受け取って、その情報を育児者62に通知する。これにより、1人の乳幼児61の育児を支援するための情報を、複数の育児者62に通知できる。
【0028】
以下では、説明を分かりやすくするために、1台のクライアント装置3が1人の乳幼児61に関連付けられている場合について主に例示する。
【0029】
図2は、サーバ装置2のシステム構成例を示すブロック図である。サーバ装置2は、例えば、セントラルプロセッシングユニット(CPU)21、ランダムアクセスメモリ(RAM)22、記憶装置23、および通信部24を備える。
【0030】
CPU21は、サーバ装置2内の様々なコンポーネントの動作を制御するプロセッサである。
【0031】
RAM22は、揮発性メモリである。RAM22は、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)である。RAM22の記憶領域は、例えば、オペレーティングシステム(OS)221、アプリケーションプログラム(例えば、育児支援サーバプログラム222)、およびCPU21による処理に用いるデータの格納領域として割り当てられる。
【0032】
記憶装置23は、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)またはハードディスクドライブ(HDD)である。記憶装置23は、サーバ装置2の動作を制御するためのプログラムおよびデータを記憶する。記憶装置23は、例えば、複数の個人データベース231、個人特性テーブル232、育児データベース233、およびグループ情報234を記憶する。
【0033】
複数の個人データベース231は、複数の乳幼児61にそれぞれ対応する。複数の個人データベース231の各々は、対応する1人の乳幼児61に関するデータ(すなわちパーソナルデータ)を管理するためのデータベースである。1つの個人データベース231は、例えば、対応する1人の乳幼児61の排泄データ、および環境データを含む。これら以外に、個人データベース231には、育児者62から入力された任意の情報等が含まれてもよい。例えば、個人データベース231には、サーバ装置2から受信した情報が適切であったか否かを育児者62が判断した結果を示すフィードバックデータが含まれてもよい。
【0034】
個人特性テーブル232は、複数の乳幼児61それぞれの属性に関する情報を管理するためのテーブルである。
【0035】
育児データベース233は、複数の乳幼児61に関するデータ(すなわちビッグデータ)を管理するためのデータベースである。育児データベース233は、例えば、複数の個人データベース231を用いた解析結果や、調査や研究により得られた育児知見情報を含む。
【0036】
グループ情報234は、乳幼児61が分類され得る複数のグループを管理するための情報である。複数のグループは、複数の乳幼児61を少なくとも1つの属性を用いて分類することで得られる。分類では、少なくとも1つの属性に基づき、複数の乳幼児61がそれぞれ属するグループが決定される。分類には、例えば、k平均法のようなクラスタリング手法が用いられる。複数のグループの各々には、少なくとも1人の乳幼児61が属する。複数の乳幼児61の各々は、複数のグループの1つに属する。1つのグループに属する複数の乳幼児61は、例えば、月齢、年齢、生年月日、性別、出生地、居住地、体重、および身長の少なくとも1つが共通する。
【0037】
通信部24は、サーバ装置2と外部との有線通信または無線通信を実行するように構成されたデバイスである。通信部24は、例えば、クライアント装置3との通信を実行する。通信部24は送信部と受信部とを含む。送信部は信号を送信する。受信部は信号を受信する。
【0038】
次いで、CPU21が実行するプログラムについて説明する。
CPU21は、記憶装置23からRAM22にロードされる様々なプログラムを実行する。CPU21が実行するプログラムには、OS221および育児支援サーバプログラム222が含まれる。
【0039】
OS221は、サーバ装置2内の様々なコンポーネントの基本的な動作を制御するためのプログラムである。OS221を実行しているCPU21は、例えば、入出力、ファイル管理、メモリ管理、および通信を制御する。
【0040】
育児支援サーバプログラム222は、少なくとも1人の乳幼児61に対する育児を支援するためのサーバプログラムである。より具体的には、育児支援サーバプログラム222は、乳幼児61の体調変化に関する通知をするための機能、乳幼児61による次の排泄を予告するための機能、乳幼児61の適正な環境を支援するための機能、および乳幼児61の成長度合いを通知するための機能を有し得る。育児支援サーバプログラム222の機能構成例については、
図9を参照して後述する。以下では、育児支援サーバプログラム222を、単に、サーバプログラム222とも称する。
【0041】
図3は、クライアント装置3のシステム構成例を示すブロック図である。クライアント装置3は、例えば、CPU31、RAM32、記憶装置33、タッチスクリーンディスプレイ34、第1通信部35、第2通信部36、振動部37、およびスピーカ38を備える。
【0042】
CPU31は、クライアント装置3内の様々なコンポーネントの動作を制御するプロセッサである。
【0043】
RAM32は揮発性メモリである。RAM32は、例えばDRAMである。RAM32の記憶領域は、例えば、OS321、アプリケーションプログラム(例えば、育児支援クライアントプログラム322)、およびCPU31による処理に用いるデータのキャッシュ領域として割り当てられる。
【0044】
記憶装置33は、例えば、SSDまたはHDDである。記憶装置33は、クライアント装置3の動作を制御するためのプログラムおよびデータを記憶する。
【0045】
タッチスクリーンディスプレイ34は入出力デバイスである。タッチスクリーンディスプレイ34は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチパネルとを備える。タッチスクリーンディスプレイ34は、例えば、CPU31によって生成された表示信号に基づく画像を、LCDの画面に表示する。
【0046】
タッチパネルは、LCDの上面に配置される。タッチパネルは、LCDの画面上で入力を行うための静電容量式のポインティングデバイスである。タッチパネルは、指が接触する画面上の接触位置および接触位置の動きを検出する。タッチパネルは、検出された接触位置および接触位置の動きを示す信号を、クライアント装置3内の各部(例えばCPU31)に送出し得る。
【0047】
第1通信部35は、クライアント装置3と外部との有線通信または無線通信を実行するように構成されたデバイスである。第1通信部35は、例えば、サーバ装置2との通信を実行する。第1通信部35は送信部と受信部とを含む。
【0048】
第2通信部36は、クライアント装置3と外部との有線通信または無線通信を実行するように構成されたデバイスである。第2通信部36は、例えば、排泄センサ51、および環境センサ52それぞれとの通信を実行する。第2通信部36は送信部と受信部とを含む。
【0049】
振動部37は、振動機構を有する出力デバイスである。振動機構は、例えば、回転軸に偏心おもりが取り付けられたモータとして実現される。振動部37は、例えば、CPU31によって生成された信号に基づき、クライアント装置3を振動させる。CPU31によって生成された信号は、振動の大きさ、振動時間、および振動パターンの少なくともいずれかが指定された信号であり得る。
【0050】
スピーカ38は、出力デバイスである。スピーカ38は、例えば、CPU31によって生成された音声信号に基づく音声を出力する。
【0051】
次いで、CPU31が実行するプログラムについて説明する。
CPU31は、記憶装置33からRAM32にロードされる様々なプログラムを実行する。CPU31が実行するプログラムには、OS321および育児支援クライアントプログラム322が含まれる。
【0052】
OS321は、クライアント装置3内の様々なコンポーネントの基本的な動作を制御するためのプログラムである。OS321を実行しているCPU31は、例えば、入出力、ファイル管理、メモリ管理、および通信を制御する。
【0053】
育児支援クライアントプログラム322は、少なくとも1人の乳幼児61に対する育児を支援するためのクライアントプログラムである。より具体的には、育児支援クライアントプログラム322は、センサ5と連携して、乳幼児61の状態および環境に関するデータをサーバ装置2に送信するための機能と、サーバ装置2から提供された、乳幼児61の育児を支援するための情報を育児者62に通知するための機能とを有し得る。また、育児支援クライアントプログラム322は、フィードバックデータをサーバ装置2に送信するための機能を有していてもよい。育児支援クライアントプログラム322の機能構成例については、
図8を参照して後述する。以下では、育児支援クライアントプログラム322を、単に、クライアントプログラム322とも称する。
【0054】
次いで、対象乳幼児61による排泄パターンを予測するための予測モデルについて説明する。ここで、排泄パターンは、排尿及び排便の両方を示すパターンでもよいし、排尿のみのパターンを示す排尿パターンでもよいし、排便のみのパターンを示す排便パターンでもよい。また、ここでは、排泄パターンを予測する予測モデルとして説明するが、任意の予測をする予測モデルについて、同様に構成してもよい。
【0055】
図4は、育児支援システム1において用いられる予測モデル75を示す概念図である。サーバ装置2は、対象乳幼児61と同一のグループに属する他の1人以上の乳幼児61の個人データベース231Aと、対象乳幼児61の個人データベース231Bの少なくとも一方を用いた学習71により、予測モデル75を生成する。学習71は、例えば、ニューラルネットワークによるモデル化である。予測モデル75は、例えば、数理モデルまたは物理モデルである。
【0056】
なお、生成される予測モデル75は、対象乳幼児61に対応する予測モデルである。サーバ装置2は、複数の乳幼児61にそれぞれ対応する複数の予測モデルを生成し得る。
【0057】
サーバ装置2は、対象乳幼児61の直近の排泄に関する排泄データを入力として、予測モデル75を用いることにより、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かを決定する。
【0058】
さらに、サーバ装置2は、予測モデル75を用いて、次の排泄の予告をしてもよい。例えば、次の排泄が予測される時間を算出し、排泄の予告に含めてもよい。対象乳幼児61による次の排泄が予測される時間を、排泄予測時間とも称する。排泄予測時間は、予想される時刻でもよいし、現在の時刻から、対象乳幼児61による排泄が予測される時刻までの時間(例えば、n分)でもよい。
【0059】
より具体的には、サーバ装置2は、例えば、対象乳幼児61と同一のグループに属する他の1人以上の乳幼児61の個人データベース231Aを事前の学習データとして用いた学習71により、標準の予測モデル75を生成する。サーバ装置2は、対象乳幼児61の直近の排泄に関する排泄データを入力として、標準の予測モデル75を用いることにより、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かを決定する。なお、サーバ装置2は、対象乳幼児61の排泄データ、および環境データを、対象乳幼児61の個人データベース231Bに逐次格納する。
【0060】
次いで、サーバ装置2は、対象乳幼児61の個人データベース231Bを更新用の学習データとしてさらに用いた学習71(すなわち再訓練)により、修正された予測モデル75を生成する。サーバ装置2は、対象乳幼児61の直近の排泄に関する排泄データを入力として、修正された予測モデル75を用いることにより、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かを決定する。
【0061】
サーバ装置2は、例えば、対象乳幼児61の個人データベース231Bに、排泄データが追加されたことに応じて、修正された予測モデル75を生成する。つまり、サーバ装置2は、対象乳幼児61の個人データベース231Bを更新用の学習データとして用いた学習71を繰り返し行う。これにより、サーバ装置2は、予測モデル75を、対象乳幼児61の特性により適したモデルに改良できる。また、予測モデル75は、対象乳幼児61の個人データベース231Bに追加されたフィードバックデータに基づいて、修正されてもよい。よって、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かに関する予測精度を向上できる。また、対象乳幼児61の排泄予告に関する予測精度を向上できる。なお、標準の予測モデル75を生成する前に、対象乳幼児61の排泄データが、対象乳幼児61の個人データベース231Bに格納されている場合、サーバ装置2は、対象乳幼児61の個人データベース231Bを事前の学習データとしてさらに用いてもよい。
【0062】
次いで、育児支援システム1において用いられるデータベースおよびテーブルの構成例を説明する。
(個人データベース)
図5は個人データベース231の構成例を示す。個人データベース231は、乳幼児61の排泄データ、および環境データを管理するためのデータベースである。個人データベース231は、複数の時刻にそれぞれ対応する複数のエントリを含み得る。複数のエントリの各々は、時刻フィールド、種類フィールド、温度フィールド、湿度フィールド、音量フィールド、照度フィールド、および酸素濃度フィールドを含む。
【0063】
ある時刻に対応するエントリにおいて、時刻フィールドは、その時刻を示す。時刻は、例えば日時で表される。
【0064】
種類フィールドは、対応する時刻に検知された乳幼児61による排尿または排便を示し得る。対応する時刻に乳幼児61による排尿が検知された場合、種類フィールドには、例えば“排尿”が設定される。対応する時刻に乳幼児61による排便が検知された場合、種類フィールドには、例えば“排便”が設定される。対応する時刻に乳幼児61による排尿も排便も検知されなかった場合、種類フィールドには、例えば、いずれの値も設定されない。
【0065】
温度フィールドは、対応する時刻に検出された乳幼児61の居る場所の温度を示す。温度は、例えば摂氏で表される。
【0066】
湿度フィールドは、対応する時刻に検出された乳幼児61の居る場所の湿度を示す。湿度は、相対湿度でもよいし、絶対湿度でもよい。湿度は、例えば相対湿度を百分率で表される。
【0067】
音量フィールドは、対応する時刻に検出された乳幼児61の居る場所の音量を示す。音量は、例えばデシベルで表される。
【0068】
照度フィールドは、対応する時刻に検出された乳幼児61の居る場所の照度を示す。照度は、例えばルクスで表される。
【0069】
酸素濃度フィールドは、対応する時刻に検出された乳幼児61の居る場所の酸素濃度を示す。酸素濃度は、例えば百分率で表される。酸素以外の他のガス(酸素、二酸化炭素、窒素、VOC、または窒素酸化物等)の濃度についても同様である。
【0070】
図5に示す例では、時刻“2021/3/1 00:00:01”に対して、温度“10℃”、湿度“50%”、音量“20dB”、照度“0lux”、酸素濃度“21.9%”、および排尿も排便も検知されていないことが関連付けられている。時刻“2021/3/1 00:00:02”に対して、温度“10℃”、湿度“50%”、音量“20dB”、照度“0lux”、酸素濃度“21.9%”、および排尿が検知されたことが関連付けられている。また、時刻“2021/3/1 15:10:31”に対して、温度“20℃”、湿度“60%”、音量“50dB”、照度“300lux”、酸素濃度“21.8%”、および排便が検知されたことが関連付けられている。
【0071】
以下の個人データベース231に関する説明では、時刻フィールドに示される値を、単に、時刻とも称する。個人データベース231の他の各フィールドに示される値、および他のデータベースおよびテーブルの各フィールドに示される値についても同様である。
【0072】
(個人特性テーブル)
図6は個人特性テーブル232の構成例を示す。個人特性テーブル232は、複数の乳幼児61それぞれの属性や性質に関する情報を管理するためのテーブルである。個人特性テーブル232は、複数の乳幼児61のそれぞれ対応する複数のエントリを含み得る。複数のエントリの各々は、例えば、乳幼児IDフィールド、生年月日フィールド、性別フィールド、出生地フィールド、居住地フィールド、体重フィールド、身長フィールド、およびグループIDフィールドを含む。
【0073】
ある乳幼児61に対応するエントリにおいて、乳幼児IDフィールドは、その乳幼児61に付与された識別情報(乳幼児ID)を示す。1つの乳幼児IDにより、対応する1人の乳幼児61が特定可能である。
【0074】
生年月日フィールドは、対応する乳幼児61の生年月日を示す。
性別フィールドは、対応する乳幼児61の性別を示す。
出生地フィールドは、対応する乳幼児61の出生地を示す。
【0075】
居住地フィールドは、対応する乳幼児61の居住地を示す。対応する乳幼児61の居住地が変更された場合、出生地フィールドに設定される場所(住所又は郵便番号等)が変更される。
【0076】
体重フィールドは、対応する乳幼児61の体重を示す。対応する乳幼児61の体重が増加または減少した場合、体重フィールドに設定される値が更新される。
【0077】
身長フィールドは、対応する乳幼児61の身長を示す。対応する乳幼児61の身長が伸びた場合、身長フィールドに設定される値が更新される。
【0078】
グループIDフィールドは、対応する乳幼児61が属するグループに付与された識別情報(グループID)を示す。1つのグループIDにより、対応する1つのグループが特定可能である。
【0079】
なお、各エントリは、月齢/年齢フィールドをさらに含んでいてもよい。月齢/年齢フィールドは、対応する乳幼児61の月齢または年齢を示す。月齢または年齢は、例えば、乳幼児61の生年月日に基づき算出される。
【0080】
図6に示す例では、乳幼児ID“1”である乳幼児61に対して、生年月日“2020/7/16”、性別“女”、出生地“A”、居住地“A”、体重“7.8”、身長“68.5”、およびグループID“G1”が関連付けられている。乳幼児ID“2”である乳幼児61に対して、生年月日“2020/10/21”、性別“男”、出生地“B”、居住地“B”、体重“6.5”、身長“62.0”、およびグループID“G1”が関連付けられている。また、乳幼児ID“3”である乳幼児61に対して、生年月日“2021/1/15”、性別“男”、出生地“A”、居住地“C”、体重“4.5”、身長“55.0”、およびグループID“G2”が関連付けられている。
【0081】
(育児データベース)
図7は育児データベース233の構成例を示す。育児データベース233は、複数の乳幼児61に関するデータを管理するためのデータベースである。より具体的には、育児データベース233では、例えば、複数の個人データベース231を乳幼児61が属するグループ毎に解析して得られた統計値が管理される。また、育児データベース233では、調査や研究により得られた育児知見に基づくデータが管理されてもよい。
【0082】
育児データベース233は、複数のグループに対応する複数のエントリを含み得る。複数のエントリの各々は、グループIDフィールド、排尿回数フィールド、排尿間隔フィールド、排便回数フィールド、排便間隔フィールド、平均温度フィールド、平均湿度フィールド、平均音量フィールド、平均照度フィールド、および平均濃度フィールドを含む。その他に、排尿量、排便量、排尿頻度、排便頻度、食事量、または発汗量などに対応するフィールドを含めてもよい。
【0083】
あるグループに対応するエントリにおいて、グループIDフィールドは、そのグループに付与された識別情報(グループID)を示す。
【0084】
排尿回数フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の排尿回数に関する統計値である。排尿回数は、単位時間当たりの排尿回数である。単位時間は、例えば1日である。また、統計値は、例えば、平均値、偏差値、中央値、最大値、および最小値等の統計学上の任意の数値である。
【0085】
排尿間隔フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の排尿間隔に関する統計値である。排尿間隔は、少なくとも2回の排尿の時間間隔である。
【0086】
排便回数フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の排便回数に関する統計値である。その他の点は、排尿回数フィールドと同様である。
【0087】
排便間隔フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の排便間隔に関する統計値である。その他の点は、排尿間隔フィールドと同様である。
【0088】
平均温度フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の居る場所の単位時間当たりの温度の平均値である。単位時間は、例えば1日でもよいし、日中または夜間等を表すように時刻等で区分けされた一定時間でもよい。また、平均値に加えて、または平均値の代わりに、他の統計値を用いてもよい。
【0089】
平均湿度フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の居る場所の単位時間当たりの湿度の平均値である。その他の点は、平均温度フィールドと同様である。
【0090】
平均音量フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の居る場所の単位時間当たりの音量の平均値である。その他の点は、平均温度フィールドと同様である。
【0091】
平均照度フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の居る場所の単位時間当たりの音量の平均値である。その他の点は、平均温度フィールドと同様である。
【0092】
平均濃度フィールドは、対応するグループに属する1人以上の乳幼児61の居る場所の単位時間当たりの酸素濃度(ガス濃度)の平均値である。その他の点は、平均温度フィールドと同様である。
【0093】
(クライアント装置3の機能構成)
次いで、クライアント装置3の構成を説明する。
図8は、クライアント装置3の機能構成例を示すブロック図である。クライアント装置3は、例えば、第1受信処理部501、送信処理部502、第2受信処理部503、および通知処理部504を備える。第1受信処理部501、送信処理部502、第2受信処理部503、および通知処理部504は、例えば、クライアントプログラム322を実行することによってCPU31に備わる機能構成である。
【0094】
第1受信処理部501および送信処理部502は、センサ5から受信した信号を用いて、対象乳幼児61の状態および環境に関するデータをサーバ装置2に送信するための構成(以下、センサデータ送信のための構成と称する)である。また、第2受信処理部503および通知処理部504は、サーバ装置2から受信した情報を育児者62に通知するための構成(以下、情報通知のための構成と称する)である。センサデータ送信のための構成と、情報通知のための構成とについて、以下にそれぞれ説明する。
【0095】
(センサデータ送信のための構成)
第1受信処理部501は、第2通信部36を介して、排泄センサ51、および環境センサ52のそれぞれから信号を受信する。第1受信処理部501は、受信した信号を用いて、対象乳幼児61の排泄および環境に関するデータを生成する。そして、第1受信処理部501は、生成されたデータを送信処理部502に送出する。
【0096】
より具体的には、第1受信処理部501は、排泄センサ51から受信した信号を用いて、排泄データを生成する。排泄センサ51から受信した信号に、排泄が検知された時刻の情報が含まれていない場合、第1受信処理部501は、排泄が検知された時刻を含む排泄データを生成してもよい。
【0097】
第1受信処理部501は、環境センサ52から受信した信号を用いて、環境データを生成する。環境センサ52から受信した信号に、検出値(温度等)が検出された時刻の情報が含まれていない場合、第1受信処理部501は、検出値と、その検出値が検出された時刻とを含む環境データを生成してもよい。
【0098】
そして、第1受信処理部501は、排泄データ、または環境データを送信処理部502に送出する。第1受信処理部501は、排泄データ、および環境データの組み合わせを、送信処理部502に送出してもよい。
【0099】
送信処理部502は、第1受信処理部501から受け取ったデータを、第1通信部35を介してサーバ装置2に送信する。また、送信処理部502は、タッチパネル等の入力機器を介して、育児者62によって入力された情報(フィードバックデータ等)をサーバ装置2に送信してもよい。
【0100】
(情報通知のための構成)
第2受信処理部503は、第1通信部35を介して、サーバ装置2から育児者62に対する通知に用いられる情報を受信する。育児者62に対する通知に用いられる情報は、例えば、乳幼児61の体調変化に関する通知をするための情報、乳幼児61による次の排泄を予告するための情報、乳幼児61の適正な環境を支援するための情報、および乳幼児61の成長度合いを通知するための情報である。第2受信処理部503は、受信した情報を通知処理部504に送出する。以下では、対象乳幼児61の体調変化に関する通知をするための情報、体調変化情報とも称する。対象乳幼児61による次の排泄を予告するための情報を、予告情報とも称する。乳幼児61の適正な環境を支援するための情報を、適正環境支援情報とも称する。対象乳幼児61の成長度合いを通知するための情報を、成長度合い情報とも称する。
【0101】
通知処理部504は、第2受信処理部503から受け取った情報を用いて、育児者62に対する通知を行う。通知には、タッチスクリーンディスプレイ34、振動部37、およびスピーカ38の少なくともいずれかが用いられる。
【0102】
例えば、通知処理部504は、第2受信処理部503から受け取った体調変化情報を用いて、対象乳幼児61の体調変化の注意通知を育児者62にする。具体的には、通知処理部504は、体調変化情報に基づき、例えば、体調変化の注意を通知する画像(以下、注意通知画像と称する)を表示するための表示信号を生成する。通知処理部504は、生成された表示信号を、タッチスクリーンディスプレイ34に送出する。タッチスクリーンディスプレイ34は、受け取った表示信号に基づき、注意通知画像を画面に表示する。育児者62は、表示された注意通知画像を見ることで、対象乳幼児61の体調変化の注意が通知されたことを認識できる。
【0103】
また、通知処理部504は、注意通知情報に基づき、振動を要求する信号を振動部37に送出してもよい。振動部37は、受け取った信号に基づき、クライアント装置3を振動させる。クライアント装置3を振動させることにより、画面に表示された注意通知画像の確認を育児者62に促すことができる。この振動は、特定の振動パターンを有していてもよい。育児者62は、クライアント装置3が特定の振動パターンで振動したことにより、対象乳幼児61の体調変化の注意が通知されたことを認識できる。
【0104】
さらに、通知処理部504は、注意通知情報に基づき、体調変化の注意を通知するための音声信号をスピーカ38に送出してもよい。スピーカ38は、受け取った音声信号に基づく音声を出力する。この音声は、特定のメッセージが発声された音であってもよいし、アラート音であってもよい。育児者62は、音声により、対象乳幼児61の体調変化の注意が通知されたことを認識できる。あるいは、音声により、画面に表示された注意通知画像の確認を育児者62に促すことができる。
【0105】
通知処理部504は、第2受信処理部503から予告情報を受け取った場合も同様に、対象乳幼児61による次の排泄を育児者62に予告する。また、通知処理部504は、第2受信処理部503から適正環境支援情報を受け取った場合も同様に、対象乳幼児61の適正な環境を支援するための情報を育児者62に通知する。また、通知処理部504は、第2受信処理部503から成長度合い情報を受け取った場合も同様に、対象乳幼児61の成長度合いに関する情報を育児者62に通知する。
【0106】
以上の構成により、クライアント装置3は、センサ5から受信した信号を用いて、対象乳幼児61の排泄および環境に関するデータをサーバ装置2に送信できる。クライアント装置3は、サーバ装置2から受信した情報を育児者62に通知できる。また、クライアント装置3は、通知された情報に対するフィードバックデータをサーバ装置2に送信できる。サーバ装置は、クライアント装置3に送信した任意の情報について、対象乳幼児61により適した情報を生成するために、フィードバックデータをどのように使用してもよい。例えば、フィードバックデータは、任意の判定基準を修正するために用いてもよいし、または予測モデルを生成若しくは更新するための学習データとして用いてもよい。
【0107】
(サーバ装置2の機能構成)
次いで、サーバ装置2の機能構成を説明する。
図9は、サーバ装置2の機能構成例を示すブロック図である。サーバ装置2は、例えば、格納処理部401、グループ決定部402、学習部403、判定部404、生成部405、および送信処理部406を備える。格納処理部401、グループ決定部402、学習部403、判定部404、生成部405、および送信処理部406は、例えば、サーバプログラム222を実行することによってCPU21に備わる機能構成である。
【0108】
格納処理部401は、通信部24を介して、乳幼児61の排泄および環境に関するデータ(センサデータ)をクライアント装置3から受信する。受信されたデータは、排泄データ、および環境データの少なくともいずれか含む。格納処理部401は、受信されたデータを用いて、乳幼児61に対応する個人データベース231を更新する。
【0109】
具体的には、格納処理部401は、例えば、ある乳幼児61に関連付けられたクライアント装置3から、ある時刻に対応する排泄データ、および環境データを受信した場合、その時刻と、排泄データに示される排尿または排便と、環境データに示される環境を含むエントリを生成する。そして、格納処理部401は、生成されたエントリを、その乳幼児61に対応する個人データベース231に追加する。
【0110】
グループ決定部402は、グループ情報234と個人特性テーブル232とを用いて、対象乳幼児61が属するグループを決定する。具体的には、グループ決定部402は、個人特性テーブル232において、対象乳幼児61に対応するエントリを特定する。そして、グループ決定部402は、特定されたエントリに示される少なくとも1つの属性と、グループ情報234とを用いて、対象乳幼児61が属する1つのグループを決定する。グループ決定部402は、決定されたグループを示すグループIDを、学習部403および生成部405に送出する。
【0111】
学習部403は、対象乳幼児61の排泄パターンを予測するための予測モデル75を生成する。学習部403は、グループ決定部402から受け取ったグループIDを用いて、そのグループIDで特定されるグループに属する他の1人以上の乳幼児61の個人データベース231Aと、対象乳幼児61の個人データベース231Bの少なくとも一方を用いて、予測モデル75を生成する。個人データベース231A,231Bの各々は、排泄データ、および環境データの少なくともいずれかを含んでいる。
【0112】
判定部404は、学習部403によって送出された予測モデル75を用いて、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をするか否かを判定する。判定部404は、例えば、対象乳幼児61の現在の状態を示す排泄データを入力として、予測モデル75を用いることにより、対象乳幼児61の体調を判定し、注意通知すべきか否かを判定する。判定部404は、排泄予測モデル75を用いて、対象乳幼児61による次の排泄が予測される時間(排泄予測時間)を算出して、排泄予告をしてもよい。
【0113】
判定部404は、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきであるという判定をした場合、生成部405に判定結果を送出する。また、判定部404は、排泄予測時間を含む排泄予告を生成部405に送出してもよい。
【0114】
生成部405は、育児者62に提供される情報を生成する。具体的には、生成部405は、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきであるという判定部404による判定結果に基づき、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をするための注意通知情報を生成する。また、生成部405は、排泄予告をするための予告情報を生成する。そして、生成部405は、生成された注意通知情報または予告情報を送信処理部406に送出する。
【0115】
判定部404は、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきであるという判定をした場合、対象乳幼児61の直近の所定期間の環境データに適正でない環境データがあるか否かを判定する。判定部404は、適正でない環境データがあった場合、生成部405に判定結果を送出する。生成部405は、適正でないと判定された環境データおよびその環境データに対応する適正な環境データを含む適正環境支援情報を生成する。そして、生成部405は、生成された適正環境支援情報を送信処理部406に送出する。
【0116】
また、判定部404は、対象乳幼児61の成長度合いを判定してもよい。判定部404は、例えば、育児データベース233に蓄積された排泄関連データにより生成された成長度合いの判定基準により、対象乳幼児61の個人データベース231Bに蓄積された排泄関連データから、対象乳幼児61の成長度合いを判定する。排泄関連データは、例えば1日の排泄パターンである。判定部404は、生成部405に成長度合いを示す判定結果を送出する。生成部405は、成長度合いを示す判定結果を含む成長度合い情報を生成する。そして、生成部405は、生成された成長度合い情報を送信処理部406に送出する。
【0117】
送信処理部406は、生成部405によって送出された情報を、通信部24を介してクライアント装置3に送信する。送信される情報は、例えば、注意通知情報、予告情報、適正環境支援情報、または成長度合い情報である。
【0118】
図10および
図11を参照して、学習部403および判定部404の具体的な動作例を説明する。ここでは、1人の乳幼児(対象乳幼児)61に対応する排尿パターンモデル751を学習して、その乳幼児61による体調変化を通知すべきか否かを判定する場合について例示する。
【0119】
図10は、学習された排尿パターンモデル751に基づく判定動作例を示す図である。
学習部403は、対象乳幼児61と同一のグループに属する他の1人以上の乳幼児61の個人データベース231Aを事前の学習データとして用いて、標準の排尿パターンモデル751を学習する。学習部403は、学習された標準の排尿パターンモデル751を判定部404に送出する。
【0120】
判定部404は、例えば、対象乳幼児61の直近の排尿に関する排尿データを入力として、標準の排尿パターンモデル751を用いることにより、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かを決定する。判定部404は、排尿パターンモデル751を用いて、対象乳幼児61による次の排尿の予告(例えば、予測される次の排尿の時刻等)をしてもよい。
【0121】
以上の構成により、学習部403および判定部404は、対象乳幼児61に対応する標準の排尿パターンモデル751を学習して、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かを判定できる。
【0122】
図11は、修正された排尿パターンモデル751に基づく判定動作例を示す図である。
学習部403は、標準の排尿パターンモデル751を学習した後、対象乳幼児61の個人データベース231Bを更新用の学習データとしてさらに用いて、修正された排尿パターンモデル751を学習する。学習部403は、例えば、対象乳幼児61と同一のグループに属する他の1人以上の乳幼児61の個人データベース231Aと、対象乳幼児61の個人データベース231Bとを用いて、修正された排尿パターンモデル751を学習する。学習部403は、修正された排尿パターンモデル751を判定部404に送出する。
【0123】
また、排尿パターンモデル751は、個人データベース231Bに蓄積された環境データ、発汗量、または食事量(授乳量等)により修正されてもよい。排尿パターンモデル751は、個人データベース231Bに蓄積された任意の組合せのデータで修正されることで、対象乳幼児61の排尿パターンの予測精度を上げることができる。
【0124】
判定部404は、例えば、対象乳幼児61の直近の排尿に関する排尿データを入力として、修正された排尿パターンモデル751を用いることにより、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かを判定する。
【0125】
また、学習部403は、修正された排尿パターンモデル751を、例えば、対象乳幼児61の個人データベース231Bに、排尿データ、またはフィードバックデータが追加されたことに応じて、さらに修正してもよい。排尿パターンモデル751が対象乳幼児61の個人データベース231Bを用いて繰り返し修正されることで、排尿パターンモデル751は、対象乳幼児61の特性により適した予測モデルになる。よって、対象乳幼児61の体調変化の注意通知をすべきか否かに関する予測精度を向上できる。また、対象乳幼児61の排尿予告に関する予測精度を向上できる。
【0126】
図12は、排尿パターンモデル751の一例を示す概略図である。
図12は、横軸で時刻を示す。排尿パターンモデル751は、対象乳幼児61の1日の排尿時刻及び排尿間隔を示すモデルである。
【0127】
起点となる時刻t0は、例えば、対象乳幼児61の起床時であるが、最初の排尿時でもよい。なお、対象乳幼児61の起床は、センサ等を用いて検出してもよいし、どのように決定されたものでもよい。
【0128】
時刻t11,t12,t13,t14は、対象乳幼児61の排尿が予測される時刻である。時刻t11~t14は、それぞれ、対象乳幼児61の1日における1回目から4回目の排尿予測時刻である。間隔TB1,TB2,TB3,TB4は、それぞれ、対象乳幼児61の1日における1回目から4回目までの排尿の時間間隔である。
【0129】
偏差σT1,σT2,σT3,σT4は、対象乳幼児61の1日における1回目から4回目の排尿予測時刻からの偏差であり、対象乳幼児61に対する外乱による排尿時刻ずれの許容範囲を示す。外乱は、対象乳幼児61の環境、食事量、食事時間、または発汗量等による影響が考えられる。
【0130】
次いで、
図12及び
図13を参照して、排尿予告及び体調変化の決定方法について説明する。
図13は、排尿パターンモデル751が適用された対象乳幼児61の1日の排尿パターンの一例を示す概略図である。
図13は、横軸で時刻を示す。時刻t0は、
図12と同様に起点となる時刻である。時刻t21,t22,t23,t24は、対象乳幼児61が排尿した時刻を示す。
【0131】
対象乳幼児61が3回目に排尿する予測時刻は、次のように推定される。
図12の排尿パターンモデル751を参照すると、2回目の排尿時刻t12と3回目の排尿時刻t13との間には、時間間隔TB2がある。また、1回目のそれぞれの排尿時刻t11,t12には、それぞれ外乱による偏差σT1,σT2が想定される。したがって、対象乳幼児61が2回目の排尿をしてからの経過時間をTとすると、以下の式が成り立つとき、対象乳幼児61がいつ排尿してもおかしくない状態となる。このとき、排尿予告を出してもよい。
【0132】
T≧TB2-σ(T1+T2) …式(1)
図13に示すように、対象乳幼児61が時刻t23で3回目の排尿をし、2回目の排尿時刻t22と3回目の排尿時刻t23との間に、時間間隔T2があったとする。この時間間隔T2が対象乳幼児61の体調に問題がないか否かを、排尿パターンモデル751を用いて判定する。以下の式が成り立つとき、対象乳幼児61に体調変化が生じている可能性があると判定する。このとき、対象乳幼児61の体調変化の注意通知を出してもよい。
【0133】
T2≧2×(TB2-σ(T1+T2)) …式(2)
即ち、時間間隔T2が、外乱による偏差σ(T1+T2)も考慮して、予測される時間間隔TB2の2倍の時間を要した場合、対象乳幼児61の体調変化に注意する必要があると判定している。
【0134】
上述の判定式も、排尿パターンモデル751と同様に、ニューラルネットワーク等を利用した機械学習により逐次更新されてもよい。例えば、上式の「2倍」は、学習するパラメータとして、「1.5倍」、「2.5倍」のように更新されてもよい。また、機械学習により、上式と全く異なる新しい式が導出されてもよい。また、機械学習に限らず、調査や研究により得られる育児知見(ナレッジベース)、または育児者62からのフィードバックデータに基づき、人為的に変更されてもよい。
【0135】
次いで、
図14から
図17を参照して、サーバ装置2において実行される処理の手順について説明する。
(モデル生成処理)
図14は、サーバ装置2のCPU21によって実行されるモデル生成処理の手順の例を示すフローチャートである。モデル生成処理は、対象乳幼児61の排尿パターンモデルを生成するための処理である。CPU21は、例えば、対象乳幼児61に対応するエントリが個人特性テーブル232に追加された場合に、モデル生成処理を実行する。あるいは、CPU21は、対象乳幼児61に対応する個人データベース231に、特定の期間分の排尿データ、および環境データが格納(蓄積)された場合に、モデル生成処理の実行を開始してもよい。
【0136】
まず、CPU21は、個人特性テーブル232において、対象乳幼児61に対応するエントリを特定する(ステップS11)。特定されたエントリは、対象乳幼児61に関する少なくとも1つの属性を示す情報を含む。CPU21は、特定されたエントリとグループ情報234とを用いて、対象乳幼児61が属するグループを決定する(ステップS12)。より詳しくは、CPU21は、グループ情報234によって示される複数のグループのいずれに、対象乳幼児61が属するかを決定する。そして、CPU21は、決定されたグループに属する他の乳幼児の個人データベース231を用いた学習により、対象乳幼児61の排尿パターンモデル751を生成する(ステップS13)。生成された排尿パターンモデル751は、対象乳幼児61が属するグループに対応する標準の排尿パターンモデルである。なお、CPU21は、グループ毎の標準の排尿パターンモデルを、例えば、対象乳幼児61がサーバ装置2に登録されるよりも前に予め生成していてもよい。また、CPU21は、排尿パターンモデル751を生成するための学習に、対象乳幼児61の個人データベース231をさらに用いてもよい。あるいは、CPU21は、対象乳幼児61の個人データベース231のみを用いた学習により、排尿パターンモデル751を生成してもよい。
【0137】
次いで、CPU21は、現在の排尿パターンモデル751が生成されてから単位時間が経過したか否かを判定する(ステップS14)。単位時間は、例えば、1日、数日、1週間、1か月等である。現在の排尿パターンモデル751が生成されてから単位時間が経過した場合(ステップS14のYES)、CPU21は、対象乳幼児61の個人データベース231から、その単位時間分の排尿データ、および環境データを取得する(ステップS15)。そして、CPU21は、取得された単位時間分の排尿データ、および環境データを用いて、修正された排尿パターンモデル751を生成する(ステップS16)。つまり、CPU21は、対象乳幼児61の単位時間分の排尿データ、および環境データを用いて、現在の排尿パターンモデル751を修正する。
【0138】
現在の排尿パターンモデル751が生成されてから単位時間が経過していない場合(ステップS14のNO)、CPU21による処理はステップS14の手順に戻る。つまり、CPU21は、現在の排尿パターンモデル751を修正するための十分なデータが対象乳幼児61の個人データベース231にまだ格納されていないので、ステップS14の手順に戻る。
【0139】
以上のモデル生成処理により、CPU21は、対象乳幼児61の排尿パターンモデル751を生成できる。また、CPU21は、対象乳幼児61の排尿データ、および環境データがさらに得られた場合、生成された排尿パターンモデル751を修正できる。修正された排尿パターンモデル751は、対象乳幼児61の特性により適した予測モデルになる。
【0140】
なお、このモデル生成処理は、排尿データを排便データに置き換えることで、対象乳幼児61の排便パターンモデルの生成にも適用でき、排尿データ及び排便データを用いて排泄パターンモデルを生成してもよい。
【0141】
(注意通知処理)
図15は、サーバ装置2のCPU21によって実行される注意通知処理の手順の例を示すフローチャートである。注意通知処理は、対象乳幼児61の体調変化を育児者62に注意通知するための処理である。CPU21は、例えば、毎日、注意通知処理を実行する。
【0142】
注意通知処理には、対象乳幼児61に対応する排尿パターンモデル751が用いられる。CPU21は、1日の始まりとして、対象乳幼児61が起床したか否かを判定する(ステップS11)。CPU21は、環境センサ52に基づいて、対象乳幼児61の起床を判定してもよいし、育児者62からクライアント装置3に入力された情報に基づいて、判定されてもよい。例えば、環境センサ52による音量または照度が予め設定された閾値を超えた場合、対象乳幼児61が起床したと判定してもよい。CPU21は、対象乳幼児61が起床したと判定するまでこの手順を繰り返す(ステップS21のNO)。CPU21は、対象乳幼児61が起床したと判定すると、次の手順に移行する(ステップS21のYES)。
【0143】
CPU21は、排尿パターンモデル751に基づいて、前回の排尿データから次回の排尿時刻を予測する(ステップS22)。対象乳幼児61の起床後で、1日の1回目の排尿時刻を予測する場合、前回の排尿データは無いため、排尿パターンモデル751に基づいて、起床時刻から1回目の排尿時刻を予測する。例えば、上述の式(1)を用いて、排尿予測時刻を演算することができる。ここで、前日の最後の排尿データを前回の排尿データとして用いて、1回目の排尿時刻を予測してもよい。なお、CPU21は、次回の排尿時刻を予測したら、育児者62にクライアント装置3を介して、排尿時刻を通知する排尿予告をしてもよい。排尿予告は、演算した排尿予測時刻が近付いたら、送信されてもよい。
【0144】
CPU21は、排尿パターンモデル751に基づいて、対象乳幼児61の排尿が無い場合に、対象乳幼児61の体調変化が生じている可能性があるとして、注意通知を行うための通知時刻を演算する(ステップS23)。具体的には、CPU21は、ステップS22で演算した排尿予測時刻に、
図12に示す排尿パターンモデル751の偏差σT1~σT4を考慮して演算される。例えば、上述した式(2)において、等式が成り立つ場合の左辺の時間間隔T2を演算する。または、排尿パターンモデル751により予想された排尿間隔TB1~TB3を基準として、実際の排尿間隔T1~T3が所定の割合を超える時刻を通知時刻としてもよい。ここで、所定の割合は、対象乳幼児61の体調変化が生じている可能性があると判断される数値である。
【0145】
CPU21は、通知時刻の演算後、対象乳幼児61が排尿したか否かを判定する(ステップS24)。CPU21は、排尿データに基づいて、排尿したか否かを判定するが、育児者62が、クライアント装置3を介して、排尿したことをサーバ装置に通知してもよい。CPU21は、通知時刻になるまで、排尿したか否かを判定する(ステップS24のNO、ステップS26のNO)。
【0146】
CPU21は、対象乳幼児61が排尿したと判定すると、その排尿時刻が対象乳幼児61にとって適正か否かを判定する(ステップS25)。ここでは、CPU21は、対象乳幼児61の排尿時刻が排尿パターンモデル751と比較して早過ぎないか否かを判定する。具体的には、ステップS22で演算した排尿予測時刻、および排尿パターンモデル751から導かれる偏差σT1~σT1を考慮して、排尿時刻が早過ぎないか否かが判定される。また、排尿時刻が遅すぎる場合と同様に、排尿パターンモデル751により予想された排尿間隔TB1~TB3を基準として、実際の排尿間隔T1~T3の割合により判定してもよい。CPU21は、排尿時刻が適正である(即ち、対象乳幼児61の体調変化は無い)と判定すると、再度、次回の排尿時刻を予測する(ステップS25のNO、ステップS22)。
【0147】
CPU21は、対象乳幼児61の排尿が早過ぎると判定された場合(ステップS25のNO)、または対象乳幼児61の排尿が確認されずに通知時刻に達した場合(ステップS26のYES)、クライアント装置3に体調変化の注意通知を送信する(ステップS27)。即ち、CPU21は、対象乳幼児61の体調変化が生じている可能性があると判定すると、体調変化の注意通知をクライアント装置3に送信する。
【0148】
(適正環境通知処理)
図16は、サーバ装置2のCPU21によって実行される適正環境通知処理の手順の例を示すフローチャートである。適正環境通知処理は、対象乳幼児61の体調変化の注意通知がされた場合に、対象乳幼児61の環境を適正にするために、育児者62の支援をするための処理である。CPU21は、例えば、
図15に示す注意通知処理により注意通知をクライアント装置3に送信すると判定された場合に、本処理を実行する。
【0149】
適正環境は、排尿パターンモデル751と同様に、機械学習等により適正環境モデルが生成されてもよいし、環境データの各項目について育児知見等に基づく許容範囲等の判断基準が予め定められてもよい。ここでは、対象乳幼児61の属するグループの乳幼児61の個人データベース231を用いた学習により適正環境モデルが生成されているものとする。ここで、学習に用いる個人データベース231の乳幼児61は、対象乳幼児61を含めてもよいし、対象乳幼児61のみでもよいし、対象乳幼児61を含めなくてもよい。
【0150】
CPU21は、体調変化を検知した場合、適正環境通知処理の手順を開始する(ステップS31のYES)。体調変化の検知は、例えば、
図15に示す注意通知処理による体調変化の注意通知の送信を決定した場合である。CPU21は、体調変化を検知していない間は、待機している(ステップS31のNO)。
【0151】
CPU21は、体調変化を検知すると、対象乳幼児61の個人データベース231から直近(または排泄時刻に基づいて決定された時刻)の所定期間の環境データを抽出する(ステップS32)。所定期間は、例えば、1週間以内、3日以内、24時間以内、12時間以内、または3時間以内等である。
【0152】
CPU21は、抽出した所定期間の環境データを適正環境モデルに入力して、対象乳幼児61の所定期間における環境の適正を判断する(ステップS33)。
【0153】
CPU21は、適正でないと判断された環境データがあった場合、その適正でない環境データとともに、適正とされる環境データを、クライアント装置3に送信する(ステップS34)。
【0154】
適正でない環境データとは、温度、湿度、音量、照度、またはガス濃度において、対象乳幼児61にとって悪影響を与える可能性のある数値を示す環境データである。具体的には、適正でない環境データは、温度30℃、または湿度90%等である。一方、適正とされる環境データは、温度23℃~25℃、または湿度55%~65%等である。これらの判断基準は、時期または時間帯により変更されてもよい。例えば、音量、または照度は、日中の適正値が夜間の適正値よりも高くてもよい。また、対象乳幼児61が寝ているか否かで、判断基準が変更されてもよい。なお、対象乳幼児61が寝ているか否かは、センサ等を用いて判断してもよいし、どのように判断してもよい。
【0155】
CPU21は、その他に、対象乳幼児61の環境を適正にするための任意の情報をクライアント装置3に送信してもよい。例えば、対象乳幼児61の居る部屋の室温調整を勧めたり、対象乳幼児61に水分の摂取を勧めたりするような情報が含まれてもよい。
【0156】
(成長度合い判定処理)
図17は、サーバ装置2のCPU21によって実行される成長度合い判定処理のデータの流れを示す概念図である。
【0157】
成長度合い判定処理は、個人データベース231に蓄積された排泄データ、または生成されている最新の排尿パターンモデル751等に基づいて、対象乳幼児61の成長度合いが適正か否かを判定する処理、または対象乳幼児61の年齢を判定する処理である。成長度合い判定処理は、育児者62がクライアント装置3を介して要求された場合に実行されてもよいし、一定期間毎に実行されてもよいし、予め設定された基準を満たしたら実行されてもよい。
【0158】
育児データベース233には、対象乳幼児61以外の複数の乳幼児61に関する排泄データが蓄積されている。CPU21は、育児データベース233から1~24ヶ月齢(または年齢)別に、排泄関連データ233a~233xを抽出する。排泄関連データは、例えば排尿パターンモデル751に相当する1日の排泄パターンが表されるデータである。ここでは、24ヶ月齢までとしたが、何ヶ月齢(または何歳)までとしてもよい。排泄関連データは、少なくとも複数回の排泄データに相当するデータが含まれるが、その他のデータが含まれてもよい。例えば、排泄関連データには、身長、体重、または性別等の情報が含まれてもよい。また、対象乳幼児61と異なる属性(性別等)、または対象乳幼児61と明らかに離れた値(身長または体重当)を有する乳幼児61の排泄関連データは、抽出しなくてもよい。さらに、対象乳幼児61と近い属性の乳幼児61の排泄関連データのみが抽出されてもよい。
【0159】
CPU21は、月齢別の排泄関連データ233a~233xに基づいて、月齢別に、乳幼児61の排泄基準Ra~Rxを演算する。例えば、排泄基準Ra~Rxは、その月齢の乳幼児61の排泄回数または排泄間隔等の標準値または平均値等である。排泄基準Ra~Rxは、排尿パターンモデル751で示されるような排泄パターンから、乳幼児61の月齢を判定できるような基準であれば、どのような値でもよい。
【0160】
CPU21は、演算した月齢別の排泄基準Ra~Rxの集計結果に基づいて、成長度合い判定部501を決定する。成長度合い判定部501は、対象乳幼児61の排泄関連データに基づいて、対象乳幼児61の成長度合いを判定する演算部である。
【0161】
次いで、成長度合い判定部501による対象乳幼児61の成長度合いの判定方法について説明する。
成長度合い判定部501は、対象乳幼児61の個人データベース231Bから入力された排泄関連データに基づいて、対象乳幼児61の月齢を推定する。成長度合い判定部501は、推定した月齢と、個人特性テーブル232に記憶された対象乳幼児61の実際の月齢とを比較して、成長度合いを判定する。推定した月齢が実際の月齢よりも遅れていれば、成長度合い判定部501は、対象乳幼児61の成長が遅れていることをクライアント装置3に通知し、推定した月齢が実際の月齢よりも進んでいれば、成長が進んでいるまたは成長が順調であることをクライアント装置3に通知する。このとき、成長度合い判定部501は、クライアント装置3に通知する情報に、推定された月齢を含めてもよい。
【0162】
成長度合い判定部501は、成長曲線データD1および育児知見データD2を用いて、月齢の推定等の成長度合いの判定に用いてもよい。
【0163】
成長曲線データD1は、対象乳幼児61に近い乳幼児61の蓄積データに基づいて作成され、排泄と成長との関連性を表す成長曲線を示すデータである。対象乳幼児61に近い乳幼児61は、対象乳幼児61と同じグループに属する乳幼児61でもよいし、体重、身長、出身地、または居住地等を個別にまたは総合的に判断して決定されてもよい。
【0164】
育児知見データD2は、育児データベース233に蓄積されたデータでもよいし、成長度合いを判定するために格納されたデータでもよい。例えば、成長度合い判定部501は、推定した月齢と実際の月齢が大きく離れているような場合でも、育児知見データD2に基づいて、成長度合いは問題ない、または順調であるという判定をすることができる。
【0165】
本実施形態によれば、排泄データ、および環境データを時刻と関連させて蓄積し、排泄周期を含む排泄パターンを決定(例えば、機械学習によるモデル化)することで、対象乳幼児61の体調変化を把握することができる。
【0166】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
サーバ装置と、
前記サーバ装置と相互に通信するクライアント装置と、
育児の対象者の排泄を検出する排泄センサと、
前記対象者の環境を示す環境情報を検出する環境センサと
を具備し、
前記クライアント装置は、
前記排泄センサにより前記排泄が検出されたことを示す排泄情報を前記サーバ装置に送信する排泄情報送信手段と、
前記環境センサにより検出された前記環境情報を前記サーバ装置に送信する環境情報送信手段と、
前記サーバ装置から受信し、前記対象者の環境の適正を判断した判断結果を含む環境適正情報を受信する環境適正情報受信手段とを含み、
前記サーバ装置は、
前記クライアント装置から受信した前記排泄情報、および前記環境情報を時刻と関連させて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定する排泄周期決定手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期、および前記記憶手段に記憶された前記環境情報に基づいて、前記対象者の前記環境の適正を判断する環境適正判断手段と、
前記環境適正判断手段による判断結果を含む前記環境適正情報を生成する環境適正情報生成手段と、
前記環境適正情報生成手段により生成された前記環境適正情報を前記クライアント装置に送信する環境適正情報送信手段とを含むこと、
を特徴とする育児支援システム。
<2>
前記環境情報は、温度、湿度、音量、照度、またはガス濃度の少なくとも1つを含むこと
<1>に記載の育児支援システム。
<3>
前記環境適正情報は、前記対象者の環境の適正でない環境に関する情報、または前記対象者の環境を適正にするための情報の少なくとも1つを含むこと
<1>または<2>に記載の育児支援システム。
<4>
前記サーバ装置は、前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、および前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期に基づいて、前記対象者の体調変化を判定する体調変化判定手段を具備すること
<1>から<3>のいずれか1つに記載の育児支援システム。
<5>
前記サーバ装置は、前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期に基づいて、前記対象者の成長度合いを判定する成長度合い判定手段を具備すること
<1>から<4>のいずれか1つに記載の育児支援システム。
<6>
前記排泄周期決定手段は、複数の乳幼児の排泄に関する情報により学習された予測モデルに基づいて、前記排泄周期を決定すること
<1>から<5>のいずれか1つに記載の育児支援システム。
<7>
前記環境適正判断手段は、複数の乳幼児の環境に関する情報により学習された予測モデルに基づいて、前記対象者の環境の適正を判断する
<1>から<6>のいずれか1つに記載の育児支援システム。
<8>
前記クライアント装置は、サーバ装置から受信した情報に関する評価を示すフィードバックデータを前記サーバ装置に送信するフィードバック送信手段を具備すること
<1>から<7>のいずれか1つに記載の育児支援システム。
<9>
前記排泄周期決定手段は、前記クライアント装置から受信した前記フィードバックデータに基づいて、前記排泄周期を決定すること
<8>に記載の育児支援システム。
<10>
前記環境適正判断手段は、前記クライアント装置から受信した前記フィードバックデータに基づいて、前記対象者の環境の適正を判断する
<8>または<9>に記載の育児支援システム。
<11>
排泄センサにより検出され、育児の対象者の排泄が検出されたことを示す排泄情報、および環境センサにより検出され、前記対象者の環境を示す環境情報を時刻と関連させて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定する排泄周期決定手段と、
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期、および前記記憶手段に記憶された前記環境情報に基づいて、前記対象者の前記環境の適正を判断する環境適正判断手段と、
前記環境適正判断手段による判断結果を含む環境適正情報を生成する環境適正情報生成手段と
を具備することを特徴とする育児支援装置。
<12>
前記環境情報は、温度、湿度、音量、照度、またはガス濃度の少なくとも1つを含むこと
<11>に記載の育児支援装置。
<13>
前記環境適正情報は、前記対象者の環境の適正でない環境に関する情報、または前記対象者の環境を適正にするための情報の少なくとも1つを含むこと
<11>または<12>に記載の育児支援装置。
<14>
前記記憶手段に記憶された前記排泄情報、および前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期に基づいて、前記対象者の体調変化を判定する体調変化判定手段
を具備する<11>から<13>のいずれか1つに記載の育児支援装置。
<15>
前記排泄周期決定手段により決定された前記排泄周期に基づいて、前記対象者の成長度合いを判定する成長度合い判定手段
を具備する<11>から<14>のいずれか1つに記載の育児支援装置。
<16>
前記排泄周期決定手段は、複数の乳幼児の排泄に関する情報により学習された予測モデルに基づいて、前記排泄周期を決定すること
<11>から<15>のいずれか1つに記載の育児支援装置。
<17>
前記環境適正判断手段は、複数の乳幼児の環境に関する情報により学習された予測モデルに基づいて、前記対象者の環境の適正を判断する
<11>から<16>のいずれか1つに記載の育児支援装置。
<18>
前記育児の情報に関する評価を示すフィードバックデータを入力するフィードバック入力手段を具備すること
<11>から<17>のいずれか1つに記載の育児支援装置。
<19>
前記排泄周期決定手段は、前記フィードバック入力手段により入力された前記フィードバックデータに基づいて、前記排泄周期を決定すること
<18>に記載の育児支援装置。
<20>
前記環境適正判断手段は、前記フィードバック入力手段により入力された前記フィードバックデータに基づいて、前記対象者の環境の適正を判断する
<18>または<19>に記載の育児支援装置。
<21>
排泄センサにより検出され、育児の対象者の排泄が検出されたことを示す排泄情報、および環境センサにより検出され、前記対象者の環境を示す環境情報を時刻と関連させて記憶することと、
記憶した前記排泄情報に基づいて、前記対象者の排泄周期を決定することと、
記憶した前記排泄情報、決定した前記排泄周期、および記憶した前記環境情報に基づいて、前記対象者の前記環境の適正を判断することと、
前記環境の適正を判断した判断結果を含む環境適正情報を生成することと
を含むことを特徴とする育児支援方法。
【符号の説明】
【0167】
1 育児支援システム
2 サーバ装置
21 CPU
22 RAM
221 OS
222 育児支援サーバプログラム
23 記憶装置
231 個人データベース
231A 同一グループに属する他の乳幼児の個人データベース
231B 対象乳幼児の個人データベース
232 個人特性テーブル
233 育児データベース
234 グループ情報
24 通信部
3 クライアント装置
31 CPU
32 RAM
321 OS
322 育児支援クライアントプログラム
33 記憶装置
34 タッチスクリーンディスプレイ
35 第1通信部
36 第2通信部
37 振動部
38 スピーカ
4 ネットワーク
5 センサ
51 排泄センサ
52 環境センサ
53 姿勢センサ
54 動作センサ
61 乳幼児
62 育児者
71 学習
75 予測モデル
751 排尿パターンモデル
401 格納処理部
402 グループ決定部
403 学習部
404 判定部
405 生成部
406 送信処理部
501 第1受信処理部
502 送信処理部
503 第2受信処理部
504 通知処理部
601 成長度合い判定部