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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】乗客シートおよびシートユニット
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
B64D11/06
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021501105
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 GB2018053561
(87)【国際公開番号】W WO2019186091
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】1805330.6
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】16/162,142
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515069875
【氏名又は名称】アキュメン デザイン アソシエイツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム, アンドリュー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0327232(US,A1)
【文献】特開平08-258796(JP,A)
【文献】特開2011-084274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0225086(US,A1)
【文献】特表2002-527288(JP,A)
【文献】特表2009-513419(JP,A)
【文献】中国実用新案第206187012(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機客室の乗客シートであって、該乗客シートは、通路に隣接して配置された複数のシートユニットおよび多数の間仕切りとを含む列を備え、該シートユニットの列と通路との両方が航空機客室の長手方向軸に平行な長手方向に延びており、
前記列は、前記長手方向に沿って連続的に配置された多数の前記シートユニットを備え
各シートユニットは、シートパン及び背もたれを有するシートを形成するようにシート要素が配置されたシート形態と、フラットベッドの面を形成するようにシート要素が配置されたフラットベッド形態とに変更可能となるように、複数の可動シート要素を備え、
各シートユニットにおいて、各シート要素は、前記長手方向と鋭角をなすとともに、前記通路に向かって内側を向き、
各間仕切は、それぞれ前記列内の第1シートユニットの乗客を当該列内で第2シートユニットの乗客からその片側へと分離するように配置され、
各間仕切は、上部と該上部の下方に位置する下部とを有するスペース共有領域を備え、
前記間仕切の上部と下部は、それぞれ前記第1シートユニットと前記第2シートユニットに向かって互いに相対的にオフセットしており、前記上部は、前記シートユニットがシート形態にあるときに第2シートユニットの乗客のための肩用スペースを提供し、前記下部は、前記シートユニットがシート形態にあるときに前記第1シートユニットの乗客のための腕用スペースを提供する、乗客シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗客シートにおいて、前記第1シートユニットは、機尾側シートユニットであり、前記第2シートユニットは、前記列内でその前方に位置する機首側シートユニットである、乗客シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乗客シートにおいて、前記各シートユニットがシート形態にあるとき、各シートユニットの各シート要素はすべて、前記長手方向に対して垂直に延びる方向に関して同じ位置にある、乗客シート。
【請求項4】
請求項3に記載の乗客シートにおいて、前記第2シートユニットの背もたれは、前記第1シートユニットのシートパンに隣接している、乗客シート。
【請求項5】
請求項4に記載の乗客シートにおいて、前記間仕切のスペース共有領域は、前記第2シートユニットのシートバックと、前記第1シートユニットの隣接するシートパンとの間に配置されている、乗客シート。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、各第1シートユニットは、前記間仕切の上部と下部との間の相対的なオフセットにより形成され、前記腕用スペース内に配置された肘掛けを備えている、乗客シート。
【請求項7】
請求項6に記載の乗客シートにおいて、各第2シートユニットは、前記第1シートユニットの肘掛けの前方であって前記間仕切の反対側に配置された肘掛けを備えている、乗客シート。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記スペース共有領域は、前記間仕切が前記上部から前記下部へと移行する位置で屈曲部を有している、乗客シート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記スペース共有領域の何れか一方の側では、前記間仕切りの上部及び下部は、実質的に同じ外形状に従っている、乗客シート。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記スペース共有領域では、前記シートユニットがシート形態にあるとき、前記間仕切の上部が前記第1シートユニットのシートパンに張り出している、乗客シート。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記間仕切は、前記背もたれの後ろであって且つ航空機側壁に隣接する位置から延びている、乗客シート。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記シート要素が長手方向となす鋭角は、少なくとも45度である、乗客シート。
【請求項13】
請求項12に記載の乗客シートにおいて、前記シート要素が長手方向となす鋭角は、47度から51度の間である、乗客シート。
【請求項14】
請求項13に記載の乗客シートにおいて、前記シート要素が長手方向となす鋭角は、実質的に49度に等しい、乗客シート。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、27インチから29インチの間である、乗客シート。
【請求項16】
請求項15に記載の乗客シートにおいて、前記列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、実質的に28インチに等しい、乗客シート。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記フラットベッド形態にあるとき、前記フラットベッドの長さは、少なくとも75インチである、乗客シート。
【請求項18】
請求項17に記載の乗客シートにおいて、前記フラットベッド形態にあるとき、前記フラットベッドの長さは、77インチから78インチの間である、乗客シート。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記各シートユニットの列は、一側で前記通路に隣接し、他側で前記航空機側壁に隣接する、乗客シート。
【請求項20】
請求項19に記載の乗客シートにおいて、前記列を第1の列として、前記客室は、前記通路の反対側で複数のシートユニットを含む第2の列を備え、該第2の列は、前記第1の列と同様に配置されている、乗客シート。
【請求項21】
請求項20に記載の乗客シートにおいて、前記通路は、前記客室の中心線に沿って延び、前記第2の列は、一側で前記通路に隣接し、他側で前記航空機側壁に隣接している、乗客シート。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1つに記載の乗客シートを形成する多数のシートユニット。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか1つに記載の乗客シートを構成する複数のシートユニットのうちの1つとして使用される1個のシートユニット。
【請求項24】
航空機客室に適用される乗客シートであって、該乗客シートは、複数のシートユニットおよび複数の間仕切を含む列を備え、各シートユニットは、シート形態とフラットベッド形態との間で変形可能であり、
前記各シートユニットは、前記各シートユニットが前記シート形態にあるときに前記列内で各機尾側シートユニットのシートパンがその前方に位置する機首側シートユニットの背もたれに隣接するような内向きヘリンボーンレイアウトで配置されており、
前記間仕切は、前記列内の各機尾側シートユニットの乗客を前記列内でその前方に位置する機首側シートユニットの乗客から分離するように配置され
前記各機尾側シートユニットのシートパンとこれに隣接するそれぞれの前記機首側シートユニットの背もたれとの間の領域で、前記間仕切は、上部と該上部の下方に位置する下部とを有し、該間仕切の上部と下部は、前記機尾側シートユニットに面する間仕切の側面に張り出しを形成するために互いに相対的にオフセットしており、前記上部は、前記機首側シートユニットに着座した乗客のための肩用スペースを提供し、前記下部は、前記機尾側シートユニットに着座した乗客のための腕用スペースを提供する、乗客シート。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1つに記載の乗客シートにおいて、前記間仕切は、上部と該上部の下方に位置する下部とを有し、該間仕切の上部と下部は、機尾側シートユニットに面する前記間仕切の側面に張り出しを形成するために互いに相対的にオフセットしており、前記上部は、機首側シートユニットに着座した乗客のための肩用スペースを提供し、前記下部は、前記機尾側シートユニットに着座した乗客のための腕用スペースを提供する、乗客シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客シート配置及び乗客シート配置に用いるシートユニット一式に関する。
【背景技術】
【0002】
シート形態とフラットベッド形態との両方に切り換え可能なシートユニットを有する航空機の乗客シート配置は、周知のものである。これらの切り換え可能なシートユニットは、通常、航空機のプレミアムシート(例えば、ビジネスクラス、及び/又は、ファーストクラス)の客室に使用される。シート形態において、シートユニットは、通常、比較的直立したシートを提供する一方で、フラットベッド形態において、シートユニットは、乗客を支持するために実質的に平面状の就寝面を提供する傾向がある。特許文献1(ブリティッシュエアウェイズ)、特許文献2(ヴァージンアトランティック)、及び特許文献3(ブリティッシュエアウェイズ)に示すシートユニットは、シート形態と、リクライニングしたシートにおける快適性を向上させたフラットベッド形態との両方を有するそうした切り換え可能シートユニット(「フルフラット」シートを有すると言及されることがある)の例である。フルフラットシートは、過去10年ほどでますます人気になってきている。
【0003】
上述の特許文献1及び特許文献2は、各々のシートが航空機の長手方向軸と所定の角度をなす、ビジネスクラス配置の中のいわゆるヘリンボーン配置の例である。ナローボディ(例えば単通路)機の場合、利用可能な客室スペースを効率良く使用することを目的として比較的に大きいヘリンボーン角度や比較的に狭い間隔を採用することが望ましい、とする傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】英国特許第2326824号明細書
【文献】国際公開第03013903号
【文献】米国特許第7,178,871号明細書
【文献】米国特許第7,918,504号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ナローボディ機を対象とするヘリンボーンレイアウトは、シートの使用可能な幅/サイズを維持しながら所望の間隔/角度を得ることができなかったため、航空機産業界では非現実的であるとして却下される傾向にあった。その代わりとして、特許文献4(トンプソン)で提案されているような直列配置(in-line arrangement)が好まれる傾向がある。特許文献4は、複数のシートユニットを含む列を複数備え、各々のユニットが客室の長手方向軸に平行な方向を向く前向きのフルフラットシートを有する航空機客室を開示している。
【0006】
上述の問題を解決できる改良された乗客シート配置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、航空機客室の乗客シート配置が提供され、該乗客シート配置は、通路に隣接して配置された複数のシートユニットを含む列を備え、該シートユニットの列と通路との両方が航空機客室の長手方向軸に平行な長手方向に延びている。当該列は、長手方向に沿って連続的に配置された多数のシートユニットを備えている。各シートユニットは、シートパン及び背もたれを有するシートを形成するようにシート要素が配置されたシート形態と、フラットベッドの面を形成するようにシート要素が配置されたフラットベッド形態とに変更可能となるように、複数の可動シート要素を備えている。各シートユニットにおいて、各シート要素は、上記長手方向と鋭角をなすとともに、上記通路に向かって内側を向いている。上記配置は、多数の間仕切を備えており、各間仕切は、それぞれ上記列内の第1シートユニットの乗客を当該列内で第2シートユニットの乗客からその片側へと分離するように配置されている。各間仕切は、上部と該上部の下方に位置する下部とを有するスペース共有領域を備えており、該間仕切の上部と下部は、それぞれ上記第1シートユニットと第2シートユニットに向かって互いに相対的にオフセットしており、該上部は、上記シートユニットがシート形態にあるとき、上記第2シートユニットの乗客のための肩用スペースを提供し、該下部は、上記シートユニットがシート形態にあるとき、上記第1シートユニットの乗客のための腕用スペースを提供する。
【0008】
上記シート要素が上記長手方向と鋭角をなす配置では、比較的に高いPAX密度(すなわち、客室単位面積当たりの乗客数が比較的多い状態)を達成するために隣接するシートに着座する乗客間である程度のスペースを共有できることが分かっている。より具体的には、上記スペース共有領域を有する間仕切を設けることにより、一方のシートユニット(例えば、上記の第2シートユニット)に着座した乗客は、該間仕切の反対側において隣接するシートユニット(例えば、上記の第1シートユニット)に着座した乗客が使用できる比較的低い位置のスペース(当該間仕切の下部によって与えられたスペース)の上方に位置する比較的高い位置のスペース(当該間仕切の上部によって与えられたスペース)を使用することができるようになる。これにより、比較的大角度/狭間隔を利用した乗客シート配置が可能になる。上記の間隔は、隣接する各シートユニット上の2つの対応する共通点の間の長手方向に沿った距離と定義される点については、理解されるであろう。
【0009】
上記スペース共有領域の上部は、着座した乗客の肩の高さに位置することが好ましい。上記スペース共有領域の下部は、着座した乗客の腕、例えば、肘の高さに位置することが好ましい。
【0010】
各シートユニットにおいて、上記シート要素は、上記長手方向と鋭角をなすとともに、上記通路に向かって内側を向いている。このような配置は、一般的に内向きヘリンボーン配置と呼ばれる。シート要素の各セット(より好ましくは各シートユニット)は、中心軸を含むものとする。該中心軸は、上記シート要素の中心を通って延びることが好ましい(例えば、該中心軸は、シート形態の場合にはシートのシートパン及び/又は背もたれを二等分するものとなりうる)。該中心軸は、固定されていることが好ましい(例えば、シートユニットは、回転シートを備えていないことが好ましい)。上記シート要素の角度は、上記中心軸と上記長手方向との間の角度として定義されることが好ましい。一部の実施形態においては、各シート要素の該角度は、使用可能な最大ベッド長を定義する線と長手方向との間の角度として定義することもできる。
【0011】
本明細書における各例は、前方向き又は後方向きのヘリンボーン配置で実施することができる。一部の実施形態では、上記列内において、上記第1シートユニットが機首側シートユニットであり、上記第2シートユニットがその後方に位置する機尾側シートユニットでありうる(例えば、後方向きヘリンボーンにおいて)。一部の実施形態では、上記列内において、第1シートユニットが機尾側シートユニットであり、第2シートユニットがその前方に位置する機首側シートユニットである(例えば、前方向きヘリンボーンにおいて)。本明細書において、上記の第1シートユニット及び第2シートユニットの特徴について言及した事項は、適宜、上記の機尾側/機首側シートユニット及び機首側/機尾側シートユニットについての言及としても等しく適用できる点については理解されるであろう(その逆もまた同様である)。
【0012】
横方向は、上記長手方向に対して垂直に延びうる。ゆえに、横方向は、上記客室の幅を横切って延びうる。上記シートユニットは、すべて同じ横位置にあることが好ましい。上記シートユニットが上記シート形態にあるとき、各シートユニットの各シート要素は、全て上記客室における同じ横位置に配置されてもよい。例えば、各シートユニットにおいて、各シート要素は、上記シートユニットの後方側へと向かい航空機側壁に近接する配置でもよい。
【0013】
上記第2シートユニットの背もたれは、上記第1シートユニットのシートパンに隣接していてもよい。例えば、(上記配置における各シート要素の)鋭角及び/又は各シートユニットの間隔は、上記第2シートユニットの背もたれが上記第1シートユニットのシートパンに隣接するようなものであってもよい。
【0014】
上記間仕切のスペース共有領域は、上記第2シートユニットの背もたれとこれに隣接する上記第1シートユニットのシートパンとの間に配置することができる。このような配置は、隣接して着座した各乗客の肩や下腕が配置される傾向のある位置にスペース共有領域を設けるものであるため、有益なものになりうる。
【0015】
上記シートユニットがシート形態にあるとき、上記スペース共有領域において、上記間仕切の上部が上記第1シートユニットのシートパンに張り出すものであってもよい。このような配置は、上記第1シートユニットの乗客が使用可能なスペースに実質的影響を与えることなく、上記第2シートユニットに肩用スペースを提供できる(その張り出しは、上記第1シートユニットにおける乗客の腕用スペースの上方に位置しうるため)。上記間仕切の下部は、上記シートユニットがシート形態にあるときに、上記第1シートユニットのシートパンに張り出さないことが好ましい。
【0016】
各第1シートユニットは、上記間仕切の上部と下部との間の相対的なオフセットにより形成された腕用スペース内に肘掛けを備えるものでもよい。該肘掛けは、上記腕用スペース内に配置された肘掛け面を含むものでもよい。該肘掛け面は、乗客の前腕部を受けるように構成されていてもよい。
【0017】
各第2シートユニットは、上記第1シートユニットの肘掛けの前方に配置される肘掛けを備えるものでもよい。この文脈における前方向は、上記シートユニットに関する相対的なものである点は理解されるであろう(例えば、この前方向は、上記シート形態において乗客が向いている方向、及び/又は、上記シートユニットの中心軸の方向と実質的に一致しうる)。上記肘掛けは、肘掛け面を含むものでもよい。該肘掛け面は、乗客の前腕部を受けるように構成されていてもよい。上記第2シートユニットの肘掛けは、上記第1シートユニットの肘掛けから離れた位置で上記間仕切の反対側に位置している。上述の第1シートユニット及び第2シートユニットの各肘掛けは、それぞれの乗客の反対側の腕を受けるものであることは理解されるであろう。例えば、上記第1シートユニットの肘掛けは、その第1シートユニットの乗客の右腕を受けるものとなり、上記第2シートユニットの肘掛けは、その第2シートユニットの乗客の左腕を受けるものとなりうる。
【0018】
上記列は、上記長手方向に沿って連続して配置された多数のシートユニットを含んでいる。上記配置は、複数の或いは好ましくは多数の間仕切を備えており、各間仕切は、それぞれ上記列内の第1シートユニットの乗客を当該列内で第2シートユニットの乗客からその片側へと分離するように配置されている。本明細書で説明した幾つかの特徴は、上記の第1シートユニット、及び/又は、第2シートユニットに関するものである。しかし、これらの各シートユニットのペアは、各間仕切の片側に上記列に沿って繰り返し配置されることは理解されるであろう。したがって、任意のシートユニットに関し、シートユニットは、上記の第1シートユニット及び第2シートユニットの特徴を有していることが好ましい(「第1」シートユニット又は「第2」シートユニットの表示は、単に、それらが間仕切のどちらの側から考えられているかに応じて割り当てられるものにすぎない)。一例として、各シートユニットは、一側において、上記間仕切の上部から離れた下部のオフセットにより生じる腕用スペース内に肘掛けを有し、他側において、隣接する間仕切の下部から離れた当該間仕切の上部のオフセットにより生じる肩用スペースを有するものとなる。このような配置は、上記列の連続した全てのシートユニットにおいて繰り返すことができる。
【0019】
上記スペース共有領域は、上記間仕切がその上部から下部に移行する部位において、屈曲部を含むものであってもよい。該屈曲部は、滑らかなもの(例えば、緩やかな曲線)でもよい。該屈曲部は、急勾配なもの(例えば、間仕切の外形状の段階的変化)でもよい。該屈曲部は、上記間仕切における上部から下部への移行が識別可能な部分となっていることが好ましい。
【0020】
上記間仕切は薄い構造でもよい。上記間仕切は、上記の上部と下部との間のオフセットの程度に比べて薄いものであることが好ましい。したがって、上記の上部と下部との間の相対的なオフセットは、上記間仕切の一側に凹部を形成し、上記間仕切の他側に当該凹部に対応した突出部を形成することにより明確なものになりうる。
【0021】
上記間仕切は、上記スペース共有領域を備えている。上記スペース共有領域の少なくとも一側、好ましくは両側において、上記間仕切が一様な外形状に従うようにすることができる。例えば、上記スペース共有領域の外側において、上記間仕切の上部及び下部は、実質的に同じ外形状に従うものでもよい。
【0022】
上記間仕切は、背もたれの後ろに延びていてもよい。上記間仕切は、少なくとも部分的に背もたれの周囲を包み込むものでもよい。上記間仕切は、上記航空機側壁の隣接位置から延びるものでもよい。上記間仕切は、上記側壁に隣接する一端から上記通路に向かって延びていることが好ましい。上記間仕切は、湾曲経路を辿るものでもよい。上記間仕切は、直線状の経路を辿るものでもよい。
【0023】
各シートユニットは、分割台を備えることができる。該分割台は、上記シート要素がベッド形態にあるとき、上記列の第1シートユニットの横になっている乗客を当該列内で第2シートユニットの横になっている乗客からその片側へと分離するように配置することができる。各間仕切は、それぞれの分割台上に配置できる。上記スペース共有領域において、上記間仕切の上部は、上記分割台からはみ出していてもよい。上記間仕切の下部は、実質的に上記分割台に沿っていてもよい。上記スペース共有領域の範囲外において、上記間仕切は、上記分割台に沿っていてもよい。上記スペース共有領域の範囲外において、上記間仕切は、上記分割台からはみ出していてもよい。
上記シートユニットの全てが実質的に同じものであることが好ましい。上記間仕切の全てが実質的に同じものであることが好ましい。
【0024】
各実施形態は、比較的大角度/狭間隔のレイアウトへの適用において、特に有益であることが判明している。上記シート要素が長手方向となす上記鋭角は、少なくとも45度とすることができる。上記のシート要素が長手方向となす鋭角は、47度から51度の間とすることができる。上記のシート要素が長手方向となす上記鋭角は、48度から50度の間とすることができる。上記シート要素が長手方向となす上記鋭角は、実質的に49度に等しくすることができる。
【0025】
上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、33インチ未満とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、32インチ未満とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、31インチ未満とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、30インチ未満とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、24インチから33インチの間とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、24インチから30インチの間とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、25インチから29インチの間とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、27インチから29インチの間とすることができる。上記の列内で連続する各シートユニットの間の間隔は、実質的に28インチに等しくすることができる。
【0026】
上記フラットベッド形態では、ベッドの長さを少なくとも75インチとすることができる。上記フラットベッド形態では、ベッドの長さを77インチから78インチの間とすることができる。
【0027】
各実施形態は、ナローボディ機への適用において、特に有益であることが判明している。上記各シートユニットの列は、一側で上記通路に隣接し、他側で上記航空機側壁に隣接するものであってもよい。上記客室は、上記通路の反対側において複数のシートユニットを含む第2の列を含むものでもよく、第2の列は、第1の列を参照して説明したように配置される。上記通路は、上記客室の中心線に沿って延びるものであってもよい。上記第2の列は、一側で上記通路に隣接し、他側で上記航空機側壁に隣接するものであってもよい。すなわち、該シート配置は、単通路型航空機に適用されるものであってもよい。
【0028】
一部の実施形態では、本明細書に記載の乗客シート配置を形成する多数のシートユニットが提供される。1つ以上の間仕切は、上記多数のユニットにおいて、第1シートユニットの乗客と第2シートユニットの乗客とを分離し、第1シートユニットの乗客を第2シートユニットの乗客の片側へと分離するように配置することができる。
【0029】
一部の実施形態では、本明細書で説明した乗客シート配置における上記シートユニットの1つとして使用するためのシートユニットが提供される。間仕切は、上記シートユニットの乗客をその片側に設置される第2シートユニットの乗客から分離するように配置することができる。
【0030】
一部の実施形態では、航空機客室内に乗客シート配置が提供され、該乗客シート配置は、複数のシートユニットを含む列を備えており、各シートユニットは、シート形態とフラットベッド形態とに変形可能となっている。上記の各シートユニットは、各シートユニットがシート形態にあるときに各機尾側シートユニットのシートパンが列内前方に位置する機首側シートユニットの背もたれに隣接するような内向きヘリンボーンレイアウトで配置されている。間仕切は、上記列内の各機尾側シートユニットの乗客を当該列内で前方に位置する機首側シートユニットの乗客から分離するように配置されている。上記の各機尾側シートユニットのシートパンと各機首側シートユニットの隣接する背もたれとの間の領域において、上記間仕切は、上部と該上部の下方に位置する下部とを有し、該間仕切の上部と下部は、上記機尾側シートユニットに面する間仕切の側面に張り出しを形成するために互いに相対的にオフセットしており、上記上部は、上記機首側シートユニットに着座した乗客のための肩用スペースを提供し、上記下部は、上記機尾側シートユニットに着座した乗客のための腕用スペースを提供するようになっている。
【0031】
一部の実施形態では、第1の乗客とこれに隣接する乗客のために上部と下部の凹状領域をそれぞれ形成すべく配置された屈曲部を介して、第1の乗客のために第1の肩用領域を提供すると同時に隣接する乗客のために細長い肘掛けを提供するスペース共有領域を伴う間仕切を有するシートユニットが提供される。
【0032】
一部の実施形態では、本明細書で説明した上記の間仕切のように使用する間仕切が提供される。該間仕切は、上部と該上部の下方に位置する下部とを有し、該間仕切の上部と下部は、機尾側シートユニットに面する上記間仕切の側面に張り出しを形成するために互いに相対的にオフセットしており、該上部は上記機首側シートユニットに着座した乗客のための肩用スペースを提供し、該下部は、上記機尾側シートユニットに着座した乗客のための腕用スペースを提供する。
【0033】
勿論、一部の実施形態に関して説明した各特徴は、他の実施形態に組み込まれてもよいことは理解されるであろう。例えば、ある実施形態の装置は、別の実施形態の装置を参照して説明した如何なる特徴も取り入れ可能であり、その逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1a図1aは、第1実施形態の乗客シート配置が適用された航空機客室を示す。
図1b図1bは、図1aの複数のシートユニット(シート形態の状態にある)を含む列の一部を示す。
図1c図1cは、図1aの複数のシートユニット(フラットベッド形態の状態にある)を含む列の一部を示す。
図1d図1dは、第1実施形態の各シートユニットの間の間仕切の拡大図であり、スペース共有領域を示す。
図1e図1eは、第1実施形態の2つのシートユニットの概略平面図であり、2つの異なる高さにおける間仕切の外形状を示す。
図2a図2aは、第2実施形態の配置における2つのシートユニットの間にある間仕切を第1シートユニットの上方から見た図である。
図2b図2bは、図2aの2つのシートユニットの間の間仕切を示す図であり、その間仕切を図2aの第1シートユニットの前方に位置する第2シートユニットの上方から見た図である。
図2c図2cは、第2実施形態の2つのシートユニットの概略平面図であり、2つの異なる高さにおける間仕切の外形状を示す。
図3a図3aは、第3実施形態の配置における複数のシートユニットを含む列の一部を示す。
図3b図3bは、図3aの配置における間仕切の1つを見た図である。
図3c図3cは、図3bの間仕切りをその反対側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、あくまでも一例として、添付の概略図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0036】
先ず図1aを参照すると、第1実施形態の乗客シート配置101は、ボーイング757-200やボーイング737-900のようなナローボディ機105の航空機客室103に配置されている。乗客シート配置101は、航空機客室の中心に沿って走る単通路111に隣接して配置された複数のシートユニット109(図1b~図1eを参照してより詳細に説明する)を含む列107を備えている。複数のシートユニットを含む列107及び通路111は、いずれも航空機客室の長手方向軸113と平行な長手方向(L)に延びている。
【0037】
列107は、長手方向に沿って連続して配置された多数のシートユニット109を備えている。第2の列107’は、通路の反対側に配置され、軸113を挟んで第1の列と実質的に対象になっている。本明細書で説明する各特徴は、第1の列107を参照して説明する傾向があるが、シートユニットの他の列107’においても対応する特徴が見られることは理解されるであろう。
【0038】
各シートユニット109において、各シート要素(以下でより詳細に説明する)は、長手方向(L)と49度の角度をなして通路に向かって内側を向いている。角度は、各シートの中心軸121の間で測定される(中心軸121は、シートパン及び背もたれの中心を通って延びており、図1b及び図1cにおいては各シートを二等分するようにして概略的に示している)。このような配置は、通常、内向きヘリンボーンと呼ばれる。また、第1実施形態では、ヘリンボーンは前方向きであり、比較的大きな(急勾配の)角度をなしている。それ相応に、連続する各シートユニットの間の間隔は、比較的小さくなっている(第1実施形態では28インチである)。
【0039】
横方向Wは、客室の幅を横切って延び、長手方向Lと直交している。各列107における複数のシートユニット109は、いずれも横方向の位置が同様である。シートユニット109が(図1aに示すように)シート形態にあるとき、各シートユニット109の各シート要素は、いずれも客室における横位置が同じ、すなわち、シートユニット109の後方側に向かい航空機側壁105’に近接している。
【0040】
図1a及び図1eに最も明確に示されるように、このレイアウトの角度及び間隔は、列内において一方のシートユニットの背もたれがその後ろのシートユニットのシートパンに隣接するようになっている。
【0041】
図1b及び図1cは、第1実施形態の配置における複数のシートユニット109を含む列107の一部を示す。ここで図1bを参照すると、各シートユニット109は、背もたれ115a、シートパン115b、及び足掛け115cの形で複数の可動シート要素を備えている。図1bは、乗客が着座可能なシートを形成するようにシート要素が配置されたシート形態のシートユニットを示す。また、各々のシートユニットは、それらの各シート要素がフラットベッドとして用いられる実質的同一平面を形成するように配置されたフラットベッド形態へと変形できる。この構成の各シートユニットを図1cに示す。フラットベッドに切り換え可能なシートユニットは、それ自体は公知であり、ベッドを形成するために各シート要素を再配置する正確な方法(例えば、リクライニング/切り換え機構)については、ここで更に説明する必要はない。
【0042】
各シートユニット109は、フラットベッド形態にあるときに乗客の足を受けるための足受け構造123を備えている。足受け構造は、足支持面を備えている。本実施形態では、足支持面126’は、足受け構造内のオットマン126の一部である(但し、他の実施形態では、足支持面は異なる形態をとることができる)。足支持面126’は、ユニット109がベッド形態にあり該足支持面がベッドの面の一部を形成しているときは、各シート要素と同一平面上にある。
【0043】
オットマン126の上方には、隣接するシートユニットの乗客によって使用される平坦なテーブル面129が設けられている。テーブル面129の直下には、引き出し式テーブル(図示せず)を受けるための水平スロットが設けられている。
【0044】
IFEモニタ131は、滑走離着陸(TTOL)用の収納位置にあるとき、上記テーブル129の片側に沿って延びている。モニタ131は、ヒンジにより湾曲間仕切117の端部に取り付けられており、この収納位置から乗客に面する使用位置へと移動させることができる。
【0045】
第1実施形態の配置は、多数の湾曲間仕切117を備えており、各間仕切117は、それぞれ当該の列内において機尾側シートユニット109aの乗客をその前方に位置する機首側シートユニット109bの乗客から分離するように配置されている。
【0046】
分かり易くするため、図1bでは、一対のシートユニット109a及びシートユニット109bのみに符号を付け,図1d及び図1eでは、一対のシートユニット109a、シートユニット109b、及び間仕切117のみを説明している。しかし、実質的には同じシートユニット及び間仕切117が上記列に沿って繰り返されていることは理解されるであろう。他のすべての間仕切117に関し、機首側/機尾側シートユニットにおいて重なりがないので、各々のペアは既に説明したものと同様である。109a及び109bの符号が付されたペアの何れか一方の間仕切について、機尾側シートユニット109aが後ろのペアにおける機首側シートユニットになり、機首側シートユニット109bが前のペアの機尾側シートユニットになるという意味で、観念的にはシートユニットの符号を改める必要がある。それでも各シートユニットのそれぞれの特徴は同じであり、単に列107に沿って繰り返されているだけであるという点については理解されるであろうから、本明細書において、機尾側シートユニット109a/機首側シートユニット109bの特徴に関して言及した事項は、列内の全てのシートユニットに適用するものとする。
【0047】
各間仕切117は、背もたれ115aの後方側(且つ、側壁115’に近接するところ)から通路111に向かって延びる薄い構造を備えている。上記の間仕切は、分割台127の上方に配置されており、その間仕切を支持するようにして且つ機尾側シートユニットで横になっている乗客を機首側シートユニットで横になっている乗客から分離するようにして配置されている。
【0048】
間仕切の大部分を通して、該間仕切は、どの高さにおいても実質的に同じ外形状に沿ったものとなっており、概して滑らかな面になっている。しかしながら、各間仕切は、さらに、間仕切の一方の側の凹部/張出部(図1d参照)及び他方の側の対応する突出部/凹部(図1dでは見えないので、第2実施形態で参照する図2a及び図2bにて示す。)によって識別可能なスペース共有領域118を備えている。このスペース共有領域は、背もたれと此れに隣接するシートパンとの間の位置で、間仕切内に配置されている。次に、そのスペース共有領域について、図1d及び図1eを参照し、より詳細に説明する。
【0049】
スペース共有領域118は、上部118a及び下部118bを備えている。上部118aは、湾曲した屈曲部120の位置で下部118bへと移行する。該間仕切の上部と下部は、それぞれ機尾側シートユニット109aと機首側シートユニット109bに向かって互いに相対的にオフセットしている。つまり、間仕切117の機尾側シートユニット側の下部118bに凹部があり、その上方において上部118aが張り出している。機首側シートユニット119bについても同様に、間仕切117の下部に突出部があるが、その間仕切の上部118aには、該突出部の上方に位置した追加のスペースがある。機首側シートユニット119bについても同様に、間仕切117の下部に突出部があるが、該突出部の上方における間仕切の上部118aには追加のスペースがある。
【0050】
上部118aは、着座した乗客の肩の高さの位置にある。したがって、相対的なオフセットは、第2シートユニット109bに着座した乗客に肩用スペース(SS)を提供するものとなっている(シートユニットがシート形態にある場合)。下部118bは、着座した乗客の肘の高さの位置にある。したがって、相対的なオフセットは、機尾側シートユニット109aの乗客に腕用スペース(AS)を提供するものとなっている(シートユニットがシート形態にある場合)。これは、図1eにも示されている。
【0051】
図1eは、機尾側シートユニット109a及び機首側シートユニット109bの平面図である。図1eは、左端の間仕切の上部118aの外形状(即ち、図1dのA-A線に沿った断面)を示すものである。図1eは、右端の間仕切の下部の外形状(即ち、図1dのB-B線に沿った断面)を示すものである。図1eの左端の間仕切を見ると、間仕切の上部118aの相対的なオフセットにより使用可能になった肩用スペース(SS)を容易に識別することができる。また、図1eの右端の間仕切を見ると、間仕切の下部118bの相対的なオフセットにより使用可能になった腕用スペース(AS)も容易に識別することができる。これらは、図1eで異なる間仕切上に図示されているが、各々の間仕切117が上下に配置された両方のスペースを有しているという点は理解されるであろう。
【0052】
有用面122は、機尾側シートユニットに面する後部間仕切に沿って延びている。これは、上部118aと下部118bとの相対的なオフセットによって形成された腕用スペースAS内に配置された肘掛け122aへと移行する。また、機首側シートユニット109bは、第1シートユニット109aの肘掛け122aの前方であって間仕切117の反対側に配置された肘掛け124を備えている。したがって、ヘリンボーンレイアウトにより、各シートユニット109は、腕用スペースAS内に配置された一方の側の肘掛け122aと、隣接するシートユニットの腕用スペースASの前方に位置しユニット反対側に配置された他の肘掛け124とを有するものとなる。
【0053】
上記のようなスペース共有領域を設けることにより、第1実施形態では、シートユニットを比較的大角度/狭間隔のレイアウトで配置することが可能になる。各実施形態によると、スペース共有領域118を有する間仕切117が設けられることにより、一方のシートユニット(例えば、機首側シートユニット109b)に着座した乗客が、間仕切の反対側の隣接するシートユニット(例えば、機尾側シートユニット109)に着座した乗客が使用可能な比較的低い位置にあるスペースの上方にある比較的高い位置のスペース(上部により形成される)を使用できるようになる。したがって、この配置は、特にスペース効率が良い。
【0054】
図2a~図2cは、第2実施形態を示す。図2aは、2つのシートユニット209a及びシートユニット209bの間にある間仕切217を当該ペアを構成している機尾側シートユニット209aの上方から見た図であり、図2bは、図2aの2つのシートユニットの間にある間仕切217を当該ペアを構成している機首側シートユニット209bの上方から見た図である(何れの図においても、分かり易くするためにシートを除外している)。図2cは、2つのシートユニット209a及びシートユニット209bの概略平面図であり、2つの異なる高さにおける間仕切217の外形状を示す(図1eと同様)。
【0055】
本実施形態(及び図3a~図3c)における各特徴は、特に記載がない限り、第1実施形態における対応する各特徴と実質同様のものを想定できる点は理解されるであろう。同様の特徴には同様の符号を注釈として付すが、実施形態に応じて100や200などのように値を適宜増やす。特に記載がない限り、これら全ての実施形態において、各シートユニットは、単通路型の航空機の客室内を対象とし、内向きヘリンボーンレイアウト(即ち、一般的には図1aのレイアウトに従う)で配置されるものとする。分かり易くするため、必ずしも全てのシートユニットについて全ての符号を図示しているわけではない。
【0056】
第2実施形態は、各間仕切218におけるスペース共有領域の上部218a及び下部218bが比較的角張った境界部で移行している点を除き、第1実施形態と概ね類似している。付け加えると、腕用スペースAS内の肘掛け222aは、シートパン215bの側面と平行には走っていない(図2c参照)。第1実施形態と異なり、シートパン215bと重ならない、より狭い肘掛け面を提供するものとなっている。それでもスペース共有領域は隣り合って着座した各乗客の肩用スペースと肘掛けとの間である程度の重複を可能にすることについては理解されるであろう。
【0057】
図3aは、第3実施形態の配置における複数のシートユニットを含む列の一部を示す。図3b及び図3cは、図3aの配置における間仕切の1つを一方側とその反対側とから見た図である。間仕切317は、腕用スペース内に僅かに広い肘掛けを配置できるように、また、僅かに広い肩用スペースを形成するように、スペース共有領域318が僅かに異なる形状であることを除き、第2実施形態で示されたものと概ね同じである。
【0058】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明し図示してきたが、本発明が本明細書において具体的に図示されていない多くの異なるバリエーションに対しても適用可能である点は、当業者であれば理解するであろう。あくまでも例にすぎないが、上記のレイアウトは、後向き(rearward-facing (inboard))ヘリンボーンであってもよい。本発明の実施形態は、大角度/狭間隔の配置に対して最も適用性が良い傾向があるが、正確な間隔、角度、及び幅の値については、必ずしも上述の実施形態を参照して説明した通りである必要はない。
【0059】
前述の説明において、既知の、明白な、或いは予測可能な同等物を有する完全体又はその構成要素が言及されている場合には、そのような同等物は、個々に記載されているものとして本明細書に含まれる。本発明の真の範囲を決定する特許請求の範囲を参照すべきであり、特許請求の範囲は、そのような如何なる同等物も包含するように解釈されるべきものである。好ましい、有利、好都合などと説明した本発明の完全体又は特徴は、任意事項であり、独立請求項の範囲を限定しないことは、読者において理解されるであろう。さらに、そのような任意事項の完全体又は特徴については、本発明の一部の実施形態では有益となりうる一方で他の実施形態では望ましいものではなく欠けたるものかもしれない、という点を理解されたい。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c