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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】光束制御部材、発光装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20230911BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230911BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230911BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230911BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20230911BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20230911BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20230911BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230911BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230911BHJP
【FI】
G02B5/02 C
F21S2/00 330
F21S2/00 350
F21V5/00 510
F21V5/04 200
F21V5/04 500
F21V5/04 650
F21V13/02 400
F21V33/00 300
F21V33/00 330
F21V33/00 400
G02B3/08
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021508730
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2019047931
(87)【国際公開番号】W WO2020194891
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019064836
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-6488(JP,A)
【文献】特開2008-153154(JP,A)
【文献】特開2015-130838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 13/02
F21V 33/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
G02B 3/08
G02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、
前記発光素子と対向して配置され、前記発光素子から出射された光を入射させる入射領域と、
前記入射領域の反対側に配置され、前記入射領域に入射した光を出射させる出射領域と、
を有し、
前記入射領域は、
前記発光素子の光軸と一致する前記光束制御部材の中心軸を含む仮想平面を境界として、平面視したときに一方に配置された第1制御部と、
前記仮想平面を境界として、平面視したときに他方に配置された第2制御部と、
を有し、
前記第1制御部は、前記発光素子から出射された光を入射させる第1入射面と、前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記第1入射面で入射した光を前記出射領域に向けて反射させる第1反射面とを含む第1凸部を有し、
前記第2制御部は、
前記発光素子から出射された光を屈折して入射させる屈折入射面と、
前記中心軸に対して、前記屈折入射面より離れて配置され、前記発光素子から出射された光を入射させる第2入射面および前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記第2入射面で入射した光を前記出射領域に向けて反射させる第2反射面を含む第2凸部と、
を有し、
前記第2凸部は、それを二分する切り欠き部を有し、
前記中心軸を含む断面において、前記光軸が前記中心軸と一致するように配置された前記発光素子の発光中心から出射された第1光線の前記中心軸に対する角度をθ1とし、前記第1光線が前記屈折入射面で制御された後、前記出射領域から出射されることで生成される第2光線の前記中心軸に対する角度をθ2としたときに、以下の式(1)を満たす、
光束制御部材。
【数1】
[式(1)において、θ1n-1<θ1<θ1n+1、θ2n-1はθ1n-1に対応する光線の角度であり、θ2はθ1に対応する光線の角度であり、θ2n+1はθ1n+1に対応する光線の角度である。]
【請求項2】
前記屈折入射面は、前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記発光素子から出射された光を屈折して入射させる、請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
発光素子と、
請求項1または請求項2に記載の光束制御部材と、
を有し、
前記発光素子の光軸および前記光束制御部材の中心軸は、一致している、
発光装置。
【請求項4】
前記発光素子は、紫外線を出射する、請求項に記載の発光装置。
【請求項5】
被照射面と、
請求項または請求項に記載の少なくとも1つの発光装置と、
を有し、
前記発光装置は、前記第2制御部が前記第1制御部よりも前記被照射面側に位置し、かつ前記光軸が前記被照射面に対して斜めに交差するように配置され、かつ前記光軸を含み前記被照射面に直交する断面において、前記第2制御部から入射し前記光軸に対して最大角度で出射する光が前記被照射面上へ到達するように配置されている、
照明装置。
【請求項6】
前記照明装置は、2つの前記発光装置を有し、
前記被照射面は、一方向に延在しており、かつ複数の凸部を有し、
2つの前記発光装置のうち、一方の前記発光装置は、前記被照射面の前記一方向における一方の端部の直上に配置されており、
2つの前記発光装置のうち、他方の前記発光装置は、前記被照射面の前記一方向における他方の端部の直上に配置されており、
前記一方の発光装置は、前記被照射面における前記一方の端部と、前記複数の凸部のうち前記他方の発光装置に最も近い凸部との間を照射し、
前記他方の発光装置は、前記被照射面における前記他方の端部と、前記複数の凸部のうち前記一方の発光装置に最も近い凸部との間を照射する、
請求項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材、当該光束制御部材を有する発光装置、および当該発光装置を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から、照明用の光源として、蛍光灯やハロゲンランプなどに代えて、発光ダイオード(以下、単に「LED」ともいう)が使用されている。しかし、LEDは、蛍光灯やハロゲンランプなどと比較して高価である。そこで、より少ないLEDで、より広い領域を均一に照らす技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、植物栽培用の照明装置が記載されている。特許文献1に記載の照明装置は、2つの照明器を有する。各照明器では、LEDなどの複数の光源が一列に配置されている。2つの照明器は、被照射面から所定の高さに、被照射面の対向する2辺に沿ってそれぞれ配置されている。また、2つの照明器は、光源からの光が被照射面に対して斜めに照射されるようにそれぞれ配置されている。特許文献1に記載の照明装置では、被照射面の対応する2辺に沿って配置された2つの照明器により、被照射面の照射領域を均一に照らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-130838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被照射面の上部の空間に余裕が無い場合、特許文献1に記載の照明器を用いて被照射面を照らそうとすると、照明器の位置を被照射面に近づけることとなる。このような場合、1つの光源が照らせる範囲が狭くなってしまうため、被照射面の全体を均一に照らすことが難しい。
【0006】
本発明の目的は、発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、被照射面に近い位置に配置されても被照射面の広い領域を照らすことができる光束制御部材を提供することである。また、本発明の別の目的は、この光束制御部材を有する発光装置および照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材であって、前記発光素子と対向して配置され、前記発光素子から出射された光を入射させる入射領域と、前記入射領域の反対側に配置され、前記入射領域に入射した光を出射させる出射領域と、を有し、前記入射領域は、前記発光素子の光軸と一致する前記光束制御部材の中心軸を含む仮想平面を境界として、平面視したときに一方に配置された第1制御部と、前記仮想平面を境界として、平面視したときに他方に配置された第2制御部と、を有し、前記第1制御部は、前記発光素子から出射された光を入射させる第1入射面と、前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記第1入射面で入射した光を前記出射領域に向けて反射させる第1反射面とを含む第1凸部を有し、前記第2制御部は、前記発光素子から出射された光を屈折して入射させる屈折入射面と、前記中心軸に対して、前記屈折入射面より離れて配置され、前記発光素子から出射された光を入射させる第2入射面および前記中心軸に対する角度が小さくなるように、前記第2入射面で入射した光を前記出射領域に向けて反射させる第2反射面を含む第2凸部と、を有し、前記中心軸を含む断面において、前記光軸が前記中心軸と一致するように配置された前記発光素子の発光中心から出射された第1光線の前記中心軸に対する角度をθ1とし、前記第1光線が前記屈折入射面で制御された後、前記出射領域から出射されることで生成される第2光線の前記中心軸に対する角度をθ2としたときに、以下の式(1)を満たす、
光束制御部材。
【数1】
[式(1)において、θ1n-1<θ1<θ1n+1、θ2n-1はθ1n-1に対応する光線の角度であり、θ2はθ1に対応する光線の角度であり、θ2n+1はθ1n+1に対応する光線の角度である。]
【0008】
本発明の発光装置は、発光素子と、本発明の光束制御部材と、を有し、前記発光素子の光軸および前記光束制御部材の中心軸は、一致している。
【0009】
本発明の照明装置は、被照射面と、少なくとも1つの本発明の発光装置と、を有し、前記発光装置は、前記第2制御部が前記第1制御部よりも前記被照射面側に位置し、かつ前記光軸が前記被照射面に対して斜めに交差するように配置され、かつ前記光軸を含み前記被照射面に直交する断面において、前記第2制御部から入射し前記光軸に対して最大角度で出射する光が前記被照射面上へ到達するように配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光束制御部材は、被照射面の直上部であって、かつ被照射面に近い位置に配置された場合であっても、被照射面の全体を均一に照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の構成を示す断面図である。
図2図2は、図1に示される破線で囲まれた領域の部分拡大断面図である。
図3図3A~Dは、実施の形態1に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図4図4A~Dは、実施の形態1におけるホルダーおよび発光装置の構成を示す図である。
図5図5A、Bは、実施の形態1に係る発光装置における光路図である。
図6図6は、実施の形態1に係る照明装置における照明の様子を説明するための図である。
図7図7A~Dは、本発明の実施の形態2に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図8図8A、Bは、実施の形態2に係る発光装置における光路図である。
図9図9A~Dは、参考例に係る照明装置における光路図および実施の形態3~5に係る照明装置における光路図である。
図10図10は、実施の形態6における基板および発光装置の構成を示す断面である。
図11図11A~Dは、実施の形態6に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図12図12は、実施の形態7における基板および発光装置の構成を示す断面図である。
図13図13A~Dは、実施の形態7に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図14図14A、Bは、実施の形態7における変形例に係る光束制御部材の平面図である。
図15図15は、実施の形態8における基板および発光装置の構成を示す断面図である。
図16図16A~Dは、実施の形態8に係る光束制御部材の構成を示す図である。
図17図17A、Bは、実施の形態8における変形例に係る光束制御部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[実施の形態1]
(照明装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明装置の構成を示す断面図である。図2は、図1に示される破線で囲まれた領域の部分拡大断面図である。
【0014】
図1図2に示されるように、照明装置100は、被照射面110と、発光装置120とを有する。
【0015】
被照射面110は、発光装置120によって光を照射される。被照射面110の大きさは、特に限定されず、適宜設定される。被照射面110の形状も、特に限定されない。本実施の形態では、被照射面110は、一方向に延在した細長い矩形である。被照射面110の表面は、平面でもよいし、曲面でもよい。また、被照射面110の表面に複数の凸部171(図6参照)が形成されていてもよいし、凹部が形成されていてもよい。本実施の形態では、被照射面110の表面は、平面である。なお、被照射面110の表面に複数の凸部171が形成された態様については後述する(図6参照)。
【0016】
発光装置120は、被照射面110から所定の高さに配置されており、被照射面110に光を照射する。発光装置120の数は、特に限定されない。発光装置120の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。本実施の形態では、発光装置120の数は、2つである。本実施の形態では、2つの発光装置120は、被照射面110の長軸方向の両端の直上にそれぞれ配置されている。具体的には、2つの発光装置120のうち、一方の発光装置120は、被照射面110の一方向(長軸方向)における一方の端部の直上に配置されており、2つの発光装置120のうち、他方の発光装置120は、被照射面110の一方向(長軸方向)における他方の端部の直上に配置されている。発光装置120は、その下端が被照射面110の短辺の直上に位置しており、発光装置120から出射される光が被照射面110内に向かうように傾けて配置されている。各発光装置120の被照射面110からの高さは、適宜設定される。
【0017】
それぞれの発光装置120は、被照射面110に対して発光素子121の光軸OAが斜めに交差するように配置され、かつ光軸OAを含み被照射面110に直交する断面において、第2制御部137(図3B参照)から入射し光軸OAに対して最大角度で出射する光が被照射面110上へ到達するように配置されている。本実施の形態では、2つの発光装置120の光軸OAは、交差する。発光素子121の光軸OAおよび被照射面110のなす角度のうち小さい方の角度は、0°超かつ90°未満であれば特に限定されない。本実施の形態では、発光素子121の光軸OAおよび被照射面110のなす角度のうち小さい方の角度は、10°である。
【0018】
(発光装置の構成)
発光装置120は、発光素子121と、光束制御部材122とを有する。発光装置120は、ホルダー123に固定されて使用されてもよいし、後述する基板623に固定されて使用されてもよい。本実施の形態では、発光装置120は、ホルダー123に固定されて使用される。
【0019】
発光素子121は、所定の波長の光を出射する。発光素子121の例には、白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)、レーザーダイオードが含まれる。発光素子121から出射される光の波長は、特に限定されない。発光素子121から出射される光の波長は、可視光線の波長でもよいし、紫外線の波長であってもよい。発光素子121から出射される光の波長は、使用する用途に応じて適宜選択される。例えば、被照射面110を明るく照らしたり、植物を栽培したりしたい場合には、可視光線を出射する発光素子121を選択すればよいし、被照射面110を殺菌したい場合には、紫外光を出射する発光素子121を選択すればよい。
【0020】
(光束制御部材の構成)
図3A~Dは、実施の形態1に係る光束制御部材122の構成を示す図である。図3Aは、光束制御部材122の平面図であり、図3Bは、底面図であり、図3Cは、左側面図であり、図3Dは、図3Aに示されるA-A線の断面図である。
【0021】
図2に示されるように、光束制御部材122は、発光素子121から出射された光の配光を制御する部材である。光束制御部材122は、光束制御部材122の中心軸CAが発光素子121の光軸OAと一致するように配置される。
【0022】
図3A~Dに示されるように、光束制御部材122は、入射領域131と、出射領域132とを有する。また、本実施の形態では、光束制御部材122は、筒部133と、フランジ部134と、位置決め凸部135とを有している。
【0023】
入射領域131は、発光素子121と対向して配置され、発光素子121から出射された光を入射させる。入射領域131は、第1制御部136と、第2制御部137とを含む。入射領域131を平面視(底面視)したときに、第1制御部136は、発光素子121の光軸OAと一致する光束制御部材122の中心軸CAを含む仮想平面を境界として、入射領域131の一方側(図3Bでは上側)に配置されている。また、入射領域131を平面視(底面視)したときに、第2制御部137は、中心軸CAを含む仮想平面を境界として、入射領域131の他方側(図3Bでは下側)に配置されている。照明装置100において、発光装置120は、第2制御部137が第1制御部136よりも被照射面110側に位置するように配置される。
【0024】
第1制御部136は、第1屈折入射面141と、第1凸部142とを有する。
【0025】
第1屈折入射面141は、第1制御部136における中心軸CA側(内側)に配置されている。第1屈折入射面141は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を屈折させて入射させる。中心軸CAを含む断面において、第1屈折入射面141は、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132側に向かうように形成されている。より具体的には、中心軸CAを含む断面において、第1屈折入射面141の中心軸CA近傍の領域では、中心軸CAから離れるにつれて、第1屈折入射面141の接線の中心軸CAに対する傾きが徐々に小さくなる。一方、第1屈折入射面141の外周部の領域(第1凸部142近傍の領域)では、中心軸CAから離れるにつれて、第1屈折入射面141の接線の中心軸CAに対する傾きが徐々に大きくなる。本実施の形態では、第1屈折入射面141の平面視形状は、中心角が180°の扇形形状である。
【0026】
第1凸部142は、中心軸CAに対して、第1屈折入射面141よりも離れて配置されている。すなわち、第1凸部142は、中心軸CA側を内側とすると、第1屈折入射面141の外側に配置されている。第1凸部142は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を出射領域132に向けて制御する。第1凸部142の数は、特に限定されない。本実施の形態では、第1凸部142は、3つである。3つの第1凸部142の大きさは、全て同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。本実施の形態では、3つの第1凸部142のうち、最も中心軸CAから遠い第1凸部142は、他の第1凸部142よりも大きい。本実施の形態では、第1凸部142の平面視形状は、円環の一部の形状(半円環状)である。3つの第1凸部142は、それぞれの第1稜線145が同心円上に位置するように配置されている。
【0027】
第1凸部142は、中心軸CA側(内側)の第1入射面143と、中心軸CAに対して第1入射面143から離れた位置(外側)に配置された第1反射面144と、第1入射面143および第1反射面144の接続線である第1稜線145とを有する。
【0028】
第1入射面143は、発光素子121から出射された光を第1反射面144に向けて入射させる入射面である。第1入射面143は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに近づくにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第1入射面143の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0029】
第1反射面144は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、第1入射面143で入射した光を出射領域132に向けて内部反射させる反射面である。第1反射面144は、中心軸CAを断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第1反射面144の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0030】
第2制御部137は、第2屈折入射面151(屈折入射面)と、第2凸部152とを有する。
【0031】
第2屈折入射面151は、第2制御部137における中心軸CA側(内側)に配置されている。第2屈折入射面151は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を屈折して入射させる。中心軸CAを含む断面において、第2屈折入射面151は、出射領域132に向かって凸となるように形成されている。本実施の形態では、第2屈折入射面151の平面視形状は、中心角が180°の扇形形状である。
【0032】
第2凸部152は、中心軸CAに対して、第2屈折入射面151よりも離れて配置されている。すなわち、第2凸部152は、中心軸CA側を内側として、第2屈折入射面151の外側に配置されている。第2凸部152は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、発光素子121から出射された光を出射領域132に向けて制御する。第2凸部152の数は、特に限定されない。本実施の形態では、第2凸部152は、1つである。第2凸部152は、切り欠き部153を有する。
【0033】
第2凸部152は、中心軸CA側(内側)の第2入射面154と、中心軸CAに対して第2入射面154より離れた位置(外側)に配置された第2反射面155と、第2入射面154および第2反射面155の接続線である第2稜線156とを有する。本実施の形態では、第2凸部152の平面視形状は、円環の一部の形状(切り欠き部153を除いて半円環状)である。
【0034】
第2入射面154は、発光素子121から出射された光を第2反射面155に向けて入射させる入射面である。第2入射面154は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに近づくにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第2入射面154の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0035】
第2反射面155は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、第2入射面154で入射した光を出射領域132に向けて内部反射させる反射面である。第2反射面155は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第2反射面155の平面視形状は、円環の一部の形状である。
【0036】
切り欠き部153は、第2凸部152を二分するように、第2凸部152に形成されている。切り欠き部153は、第2凸部152が部分的に形成されていない領域であり、発光装置120の直下に光を導くために形成されている。本実施の形態では、第2屈折入射面151の外側に位置するこの領域には、中心軸CAに平行な面が形成される。切り欠き部153の位置は、発光装置120の直下に光を導くことができれば特に限定されない。本実施の形態では、切り欠き部153は、第1制御部136から離れた位置に形成されている。より具体的には、切り欠き部153は、発光装置120が照明装置100に組み込まれたときに、被照射面110に一番近い位置に形成されている。切り欠き部153の幅は、特に限定されない。切り欠き部153の幅は、被照射面110の幅などに応じて適宜設定される。
【0037】
筒部133は、入射領域131および出射領域132を取り囲むように配置されている。筒部133の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、筒部133の形状は円筒形状である。筒部133の発光素子121側の基端部には、フランジ部134が接続されている。
【0038】
フランジ部134は、筒部133の発光素子121側の端部(基端部)に接続されている。フランジ部134は、筒部133の外周面から径方向外側に向かって延在している。フランジ部134の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、フランジ部134は、円環形状である。
【0039】
位置決め凸部135は、フランジ部134の発光素子121側の面(裏面)から突出して配置されている。位置決め凸部135の数は、特に限定されない。本実施の形態では、位置決め凸部135の数は、3つである。3つの位置決め凸部135は、フランジ部134の周方向において等間隔となるように配置されている。3つの位置決め凸部135は、ホルダー123の第1基板161(後述)に形成された3つの位置決め孔164に嵌合することで、第1基板161に対して位置決めされる。
【0040】
光束制御部材122は、例えば一体成形により形成されている。光束制御部材122の材料は、所望の波長の光を通過させる透光性を有する材料から適宜に選ばれる。光束制御部材122の材料には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、および、ガラスが含まれる。
【0041】
図4A~Dは、実施の形態1におけるホルダー123の構成を示す図である。図4Aは、ホルダー123の平面図であり、図4Bは、底面図であり、図4Cは、左側面図であり、図4Dは、図4Aに示されるA-A線の断面図である。これらの図では、発光装置120を組み込んだ状態のホルダー123を示している。
【0042】
ホルダー123は、第1基板161と、第2基板162と、固定部材163とを有する。
【0043】
第1基板161は、矩形の平板である。第1基板161の中心には、発光素子121が配置される。第1基板161には、3つの位置決め孔164と、4つの第1固定孔165とが形成されている。3つの位置決め孔164は、光束制御部材122の位置決め凸部135に対応した位置に形成されている。3つの位置決め孔164には、光束制御部材122の位置決め凸部135がそれぞれ嵌合する。4つの第1固定孔165は、第1基板161の四隅に形成されている。4つの第1固定孔165には、4つの固定部材163がそれぞれ螺合する。
【0044】
第2基板162は、矩形の平板である。第2基板162には、1つの貫通孔166と、4つの第2固定孔167とが形成されている。貫通孔166は、第2基板162の中央部分に形成されており、光束制御部材122の筒部133が挿入される。貫通孔166の大きさは、光束制御部材122の筒部133よりも少し大きい。第2基板162の貫通孔166の周辺部は、第1基板161と協働して、光束制御部材122のフランジ部134を挟み込む。4つの第2固定孔167は、第2基板162の四隅に形成されている。4つの第2固定孔167には、4つの固定部材163がそれぞれ螺合する。
【0045】
固定部材163は、第1基板161および第2基板162を固定する。固定部材163は、前述の機能を発揮できれば、その構成は特に限定されない。本実施の形態では、固定部材163は、ボルトである。
【0046】
図4A~Dを参照して、ホルダー123に発光装置120を組み込む手順を説明する。まず、第1基板161の中央部分に発光素子121が配置される。次いで、発光素子121が配置された第1基板161の位置決め孔164に、光束制御部材122の位置決め凸部135を嵌合させることで、第1基板161に光束制御部材122を位置決めする。次いで、光束制御部材122の出射領域132側から第2基板162を第1基板161に重ね合わせることで、発光装置120(光束制御部材122のフランジ部134)を第1基板161および第2基板162で挟み込む。最後に、固定部材163により、第1基板161および第2基板162を固定することにより、発光装置120をホルダー123に固定できる。このようにして、第1基板161および第2基板162の間に発光装置120を配置し、第1基板161および第2基板162を固定部材163で固定することにより、発光装置120がホルダー123に固定される。
【0047】
(光路)
ここで、発光装置120における光路について説明する。図5A、Bは、発光装置120における光路を示す図である。図5Aは、第1制御部136に入射する光の光路を示しており、図5Bは、第2制御部137に入射する光の光路を示している。また、図5A、Bでは、光束制御部材122におけるフランジ部134および位置決め凸部135を省略している。
【0048】
まず、第1制御部136に入射する光について見てみると、図5Aに示されるように、発光素子121から第1制御部136に向かって出射される光であって、出射角度が小さい光は、第1屈折入射面141に到達する。第1屈折入射面141に到達した光は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、光束制御部材122の内部に入射する。光束制御部材122の内部に入射した光は、出射領域132から光束制御部材122の外部に出射される。このとき、出射領域132に到達する光は、中心軸CAに対する角度が小さいため(出射領域132に対して、ほぼ垂直に入射するため)、ほとんど屈折することなく出射される(図5Aのa領域参照)。
【0049】
一方、発光素子121から第1制御部136に向かって出射される光であって、出射角度が大きい光は、いずれかの第1凸部142の第1入射面143に到達する。第1入射面143に到達した光は、第1反射面144に向かって屈折して、光束制御部材122の内部に入射する。本実施の形態では、第1入射面143に到達した光は、中心軸CAに対する角度が僅かに大きくなるように屈折して入射する。第1反射面144に到達した光は、第1反射面144で出射領域132に向かって内部反射する。このとき、第1反射面144に到達した光は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、内部反射する。第1反射面144で内部反射した光は、出射領域132から光束制御部材122の外部に出射される。このとき、出射領域132に到達する光は、中心軸CAに対する角度が小さいため(出射領域132に対して、ほぼ垂直に入射するため)、ほとんど屈折することなく出射される(図5Aのb領域参照)。
【0050】
このように、第1制御部136に入射した光は、中心軸CAに対して小さい角度で出射領域132から出射され、被照射面110のうち遠方の領域に向かう。
【0051】
次に、第2制御部137に入射する光について見てみると、図5Bに示されるように、発光素子121から第2制御部137に向かって出射される光であって、出射角度が小さい光は、第2屈折入射面151に到達する。第2屈折入射面151に到達した光は、中心軸CAに対する角度が僅かに小さくなるように、光束制御部材122の内部に入射する。光束制御部材122の内部に入射した光は、出射領域132から光束制御部材122の外部に出射される。このとき、出射領域132に到達する光は、中心軸CAから離れるにつれて、中心軸CAに対する角度が大きいため、出射領域132から出射される光の中心軸CAに対する角度は、中心軸CAから離れるにつれて大きくなる。
【0052】
したがって、中心軸CAを含む断面において、光軸OAが中心軸CAと一致するように配置された発光素子121の発光中心から出射された第1光線の中心軸CAに対する角度をθ1とし、第1光線が第2屈折入射面151で制御された後、(他の面で制御されることなく)出射領域132から出射されることで生成される第2光線の中心軸CAに対する角度をθ2としたときに、第1光線(第2屈折入射面151に入射する光線)および第2光線(出射領域132から出射された光線)は、以下の式(1)を満たす。
【数2】
[式(1)において、θ1n-1<θ1<θ1n+1、θ2n-1はθ1n-1に対応する光線の角度であり、θ2はθ1に対応する光線の角度であり、θ2n+1はθ1n+1に対応する光線の角度である。]
【0053】
一方、発光素子121から第2制御部137に向かって出射される光であって、出射角度が大きい光のうち一部の光は、切り欠き部153に到達する。切り欠き部153に到達した光は、出射角度が小さい光と比較して、出射角度が大きく、かつ第2屈折入射面151よりも出射領域132側で光束制御部材122の内部に入射する。よって、切り欠き部153で入射した光であって、出射領域132から出射される光の出射角度は、第2屈折入射面151で入射した光と比較して大きい。切り欠き部153で入射した光は、発光装置120の直下に向かう。
【0054】
また、発光素子121から第2制御部137に向かって出射される光であって、出射角度が大きい光のうち他の一部の光は、第2凸部152の第2入射面154に到達する(いずれも図5Bでは図示していない)。なお、第2凸部152に到達した光は、第1凸部142の第1入射面143に到達した光と同じように制御されるため、光路の説明を省略する。
【0055】
さらに、発光素子121から第2制御部137に向かって出射される光であって、切り欠き部153に到達する光の出射角度よりも大きな出射角度で出射された光は、筒部133に到達する。筒部133に到達した光は、筒部133の内面で光束制御部材122の内部に入射し、筒部133の外周面から光束制御部材122の外部に出射される。筒部133で入射した光も、発光装置120の直下に向かう。
【0056】
このように、第2制御部137に入射した光は、中心軸CAに対して様々な角度で出射領域132から出射され、被照射面110のうち近傍の領域からある程度遠方の領域に向かう。
【0057】
次に、照明装置100における光路について説明する。図6は、照明装置100における照明の様子を説明するための図である。ここでは、図6の左側に図示した一方の発光装置120を発光装置120Aとし、図6の右側に図示した他方の発光装置120を発光装置120Bとして説明する。なお、ここでは、被照射面110上には、凸部171Aおよび凸部171Bが形成された場合について説明する。これは、被照射面110が平面でない場合であっても、被照射面110を均一に照らすことができることを示すためのモデルである。
【0058】
図6に示されるように、本実施の形態に係る照明装置100では、被照射面110の長軸方向の両端部の直上に発光装置120Aおよび発光装置120Bがそれぞれ配置されている。2つの発光装置120Aおよび発光装置120Bは、その光軸OAが被照射面110と交差するようにそれぞれ配置されている。
【0059】
図6に示されるように、2つの発光装置120Aおよび発光装置120Bのうち、一方の発光装置120Aは、被照射面110における一方の端部と、複数の凸部171のうち他方の発光装置120Bに最も近い凸部171Bとの間を照らす。より具体的には、発光装置120Aは、発光装置120Aの直下と凸部171Bの間の領域であって、凸部171Aによる影になる領域(RA2)を除く領域(RA1、RA3)を照らす。2つの発光装置120Aおよび発光装置120Bのうち、他方の発光装置120Bは、被照射面110における他方の端部と、複数の凸部171のうち一方の発光装置120Aに最も近い凸部171Aとの間を照らす。より具体的には、発光装置120Bは、発光装置120Bの直下と凸部171Aの間の領域であって、凸部171Bによる影になる領域(RB2)を除く領域(RB1、RB3)を照らす。
【0060】
本実施の形態に係る照明装置100では、発光装置120Aで照らされない領域(RA2)を発光装置120Bで照らし、発光装置120Bで照らされない領域(RB2)を発光装置120Aで照らす。このように、本実施の形態に係る照明装置100では、一方の発光装置120A(発光装置120B)で照らされない領域RA2(RB2)を、他方の発光装置120B(発光装置120A)で照らすため、被照射面110に凹凸があった場合であっても、被照射面110の幅広い領域を略均一に照らすことができる。
【0061】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る照明装置100では、光束制御部材122の被照射面110から遠い位置に配置された第1制御部136と、光束制御部材122の被照射面110から近い位置に配置された第2制御部137とでは、発光素子121から出射される光の制御が異なる。これにより、被照射面110の発光装置120の直下から発光装置120から遠い位置まで光を略均一に照射できる。よって、照明装置100は、被照射面110の直上部であって、かつ被照射面110に近い位置に配置された場合であっても、被照射面110の幅広い領域を略均一に照らすことができる。
【0062】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る照明装置は、光束制御部材222の構成のみが実施の形態1に係る照明装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る照明装置100と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
本実施の形態に係る照明装置は、被照射面110と、発光装置220とを有する。発光装置220は、発光素子121と、光束制御部材222とを有する。
【0064】
図7A~Dは、実施の形態2に係る光束制御部材222の構成を示す図である。図7Aは、光束制御部材222の平面図であり、図7Bは、底面図であり、図7Cは、左側面図であり、図7Dは、図7Aに示されるA-A線の断面図である。
【0065】
図7A~Dに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材222は、入射領域231と、出射領域132とを有する。入射領域231は、第1制御部136および第2制御部237を含む。第2制御部237は、第2屈折入射面151と、第2凸部152とを有する。第2凸部152には、切り欠き部253が形成されている。
【0066】
本実施の形態における切り欠き部253は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように形成されている傾斜面である。実施の形態1に係る光束制御部材122では、第2屈折入射面151と切り欠き153との間に段差面が形成されているが(図3D参照)、実施の形態2に係る光束制御部材222では、第2屈折入射面151と切り欠き253との間に段差面が形成されない(図7D参照)。
【0067】
(光路)
ここで、発光装置220における光路について説明する。図8A、Bは、発光装置220における光路を示す図である。図8Aは、第1制御部136に入射する光の光路を示しており、図8Bは、第2制御部237に入射する光の光路を示している。また、図8A、Bでは、光束制御部材122におけるフランジ部134および位置決め凸部135を省略している。発光素子121から第1制御部136に向かって出射される光については、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0068】
図8Bに示されるように、発光素子121から第2制御部237に向かって出射される光であって、出射角度が小さい光は、実施の形態1における光束制御部材122と同様に、第2屈折入射面151で入射し、上記式(1)を満たすように制御される。実施の形態1に係る光束制御部材122では、第2屈折入射面151で入射した光の一部は、第2屈折入射面151と切り欠き153との間の段差面で反射されるが(図5B参照)、実施の形態2に係る光束制御部材222では、段差面が無いため、第2屈折入射面151で入射した光の一部は段差面で反射されない(図8B参照)。したがって、実施の形態2に係る光束制御部材222は、第2屈折入射面151で入射した光をより適切に制御することができる。
【0069】
発光素子121から第2制御部237に向かって出射される光であって、出射角度が大きい光のうち一部の光は、切り欠き部253に到達する。切り欠き部253に到達した光は、出射角度が小さい光と比較して、出射角度が大きい。よって、切り欠き部153で入射した光であって、出射領域132から出射される光の出射角度は、第2屈折入射面151で入射した光と比較して大きい。切り欠き部153で入射した光は、発光装置120の直下に向かう。
【0070】
また、発光素子121から第2制御部237に向かって出射される光であって、第2凸部152に到達した光は、第1凸部142の第1入射面143に到達した光と同じように制御されるため、その説明を省略する。また、発光素子121から第2制御部237に向かって出射される光であって、切り欠き部153に到達する光の出射角度よりも大きな出射角度で出射された光の光路についても、その説明を省略する。
【0071】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る照明装置は、実施の形態1に係る照明装置100の効果に加え、発光素子121から出射され第2屈折入射面151で入射した全ての光を被照射面110に向けて適切に制御できるため、光の利用効率をより向上させることができる。
【0072】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る照明装置300は、発光装置120の配置と、凸部の形態とが実施の形態1に係る照明装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る照明装置100と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図9Aは、参考例に係る照明装置600における照明の様子を説明するための図であり、図9Bは、本発明の実施の形態3に係る照明装置300における照明の様子を説明するための図である。
【0074】
図9Aに示されるように、被照射面110の端部に庇部を有する凸部171Cが形成されている場合、出射される光が被照射面110内に向かうように発光装置120A、120Bを傾けて配置しても、発光装置120Bよりも外側の領域(庇部に覆われた領域)を照らすことができない。そこで、本実施の形態では、発光装置120Bを被照射面110(被照射領域)の中央部分に配置し、かつ発光装置120Bの向きを逆にしている。図9Bに示されるように、本実施の形態に係る照明装置300は、被照射面110と、2つの発光装置120A、120Bとを有する。
【0075】
被照射面110には、庇部を有する凸部171Cがその一方の端部に形成されている。2つの発光装置120A、120Bのうち、一方の発光装置120Aは、被照射面110の一方の端部に配置されており、他の発光装置120Bは、被照射面110(被照射領域)の中央部分に配置している。被照射面110の中央部分に配置された発光装置120Bは、庇部で覆われた領域を照らすように配置される。具体的には、発光装置120Aと、発光装置120Bとは、発光装置120Aから出射される光の光軸と、発光装置120Bから出射される光の光軸とが同じ方向を向くように配置されている。発光装置120Aは、発光装置120Aの直下と、発光装置120Bとの間を照らす。発光装置120Bは、発光装置120Bの直下と、凸部171Cの庇部の下の間を照らす。このように、本実施の形態に係る照明装置300では、庇部を含んだ被照射領域の全体を照らすことができる。
【0076】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る照明装置400は、発光装置220の配置と、凸部の形態とが実施の形態3に係る照明装置300と異なる。そこで、実施の形態3に係る照明装置300と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
図9Cは、本発明の実施の形態4に係る照明装置400における照明の様子を説明するための図である。
【0078】
図9Cに示されるように、照明装置400は、被照射面110と、2つの発光装置120A、120Bとを有する。被照射面110には、庇部を有する凸部171C、171Dがその両端部にそれぞれ形成されている。2つの発光装置120A、120Bは、被照射面110(被照射領域)の中央部分に配置している。被照射面110の中央部分に配置された発光装置120A、120Bは、庇部で覆われた領域をそれぞれ照射するように配置される。発光装置120Aと、発光装置120Bとは、発光装置120Aから出射される光の光軸と、発光装置120Bから出射される光の光軸とが略反対方向に向くように配置されている。具体的には、発光装置120Aは、発光装置120Aの直下と凸部171Dの庇部で覆われた領域との間を照らす。発光装置120Bは、発光装置120Bの直下と凸部171Cの庇部で覆われた領域との間を照らす。このように、本実施の形態に係る照明装置300では、庇部を含んだ被照射領域の全体を照らすことができる。
【0079】
[実施の形態5]
実施の形態5に係る照明装置500は、発光装置220の配置と、凸部の形態とが実施の形態4に係る照明装置400と異なる。そこで、実施の形態4に係る照明装置400と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
図9Dは、本発明の実施の形態5に係る照明装置500における照明の様子を説明するための図である。
【0081】
図9Dに示されるように、照明装置500は、被照射面110と2つの発光装置120A、120Bと、を有する。被照射面110には、両端部に配置された庇部を有する2つの凸部171C、171Dと、中央部分に配置された凸部171aとが形成されている。2つの発光装置120A、120Bは、被照射面110(被照射領域)の中央部分であって、かつ凸部171aの直上部に配置されている。発光装置120Aと、発光装置120Bとは、発光装置120Aから出射される光の光軸と、発光装置120Bから出射される光の光軸とが略反対方向に向くように配置されている。被照射面110の中央部分に配置された発光装置120A、120Bは、庇部で覆われた領域をそれぞれ照射するように配置される。具体的には、発光装置120Aは、発光装置120Aの直下と凸部171Dの庇部で覆われた領域との間を照らす。発光装置120Bは、発光装置120Bの直下と凸部171Cの庇部で覆われた領域との間を照らす。このように、本実施の形態に係る照明装置300では、庇部を含んだ被照射領域の全体を照らすことができる。また、凸部171C、171Dの発光装置120A、120B側を向いた面や、照明装置500が配置される周囲の壁面を反射面で構成し、発光装置120A、120Bからの出射光による被照射面110の照射効率を向上させてもよい。
【0082】
以上のように、実施の形態3~5に係る照明装置300、400、500では、庇部で覆われた領域を含んだ被照射面110の全体を照らすことができる。
【0083】
[実施の形態6]
実施の形態6に係る発光装置620は、光束制御部材622の構成が実施の形態1に係る発光装置120と異なる。そこで、実施の形態1に係る発光装置120と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0084】
図10は、実施の形態6における基板623および発光装置620の構成を示す断面図である。図11A~Dは、実施の形態6に係る光束制御部材622の構成を示す図である。図11Aは、実施の形態6に係る光束制御部材622の平面図であり、図11Bは、底面図であり、図11Cは、側面図であり、図11Dは、図11Aに示されるA-A線の断面図である。
【0085】
図10図11A~Dに示されるように、本実施の形態に係る発光装置620は、発光素子121と、光束制御部材622とを有する。光束制御部材622は、入射領域631と、出射領域132と、筒部633とを有している。本実施の形態では、光束制御部材622は、フランジ部134と、位置決め凸部135と、切り欠き部153を有していない。
【0086】
本実施の形態における入射領域631は、第1制御部136と、第2制御部637とを有する。第2制御部637は、第2屈折入射面151と、第2凸部652とを有する。本実施の形態における第2凸部652は、切り欠き部153を有していない。
【0087】
第2凸部652は、中心軸CA側(内側)の第2入射面654と、中心軸CAに対して第2入射面654より離れた位置(外側)に配置された第2反射面655と、第2入射面654および第2反射面655の接続線である第2稜線656とを有する。本実施の形態では、第2凸部652の平面視形状は、円環の一部の形状(半円環形状)である。
【0088】
第2入射面654は、発光素子121から出射された光を第2反射面655に向けて入射させる入射面である。第2入射面654は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAに近づくにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第2入射面654の平面視形状は、円環の一部の形状(半円環形状)である。
【0089】
第2反射面655は、中心軸CAに対する角度が小さくなるように、第2入射面654で入射した光を出射領域132に向けて内部反射させる反射面である。第2反射面655は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAから離れるにつれて、出射領域132に向かうように配置されている。第2反射面655の平面視形状は、円環の一部の形状(半円環形状)である。
【0090】
本実施の形態における筒部633は、入射領域631および出射領域132を取り囲むように配置されている。筒部633の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、筒部633の形状は円筒形状である。筒部633の発光素子121側の端面633aには、微細な凹凸形状が形成されている。微細な凹凸形状は、例えばシボ加工により形成できる。これにより、端面633aの表面積を増やすことができるため、基板623に対する接着強度を高めることができる。
【0091】
本実施の形態に係る光束制御部材622は、基板623に対して接着剤660を用いて固定することが考えられる。
【0092】
図10に示されるように、本実施の形態では、光束制御部材622を基板623に固定する場合、筒部633の発光素子121側の端面633aと基板623との間に接着剤660を配置するとともに、筒部633の基板623側端部を囲うように接着剤660を配置する。
【0093】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置620は、実施の形態1に係る発光装置120の効果に加え、光束制御部材622を基板623に直接固定する場合でも、基板623に対する接着強度を高くできる。
【0094】
[実施の形態7]
実施の形態7に係る発光装置720は、光束制御部材722の構成が実施の形態6に係る発光装置620と異なる。そこで、実施の形態6に係る発光装置620と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0095】
図12は、実施の形態7における基板623および発光装置720の構成を示す断面図である。図13A~Dは、実施の形態7に係る光束制御部材722の構成を示す図である。図13Aは、実施の形態7に係る光束制御部材722の平面図であり、図13Bは、底面図であり、図13Cは、側面図であり、図13Dは、図13Aに示されるA-A線の断面図である。
【0096】
図12図13A~Dに示されるように、本実施の形態に係る発光装置720は、発光素子121と、光束制御部材722とを有する。光束制御部材722は、入射領域631と、出射領域132と、筒部633と、フランジ部734とを有している。本実施の形態では、光束制御部材722は、位置決め凸部135と、切り欠き部153とを有していない。
【0097】
本実施の形態におけるフランジ部734は、筒部633の発光素子121側の基端部に接続されている。
【0098】
フランジ部734は、筒部133の外周面から径方向外側に向かって延在している。フランジ部734の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、フランジ部734は、円環形状である。フランジ部734の発光素子121側の端面734aは、微細な凹凸形状が形成されている。微細な凹凸形状は、例えばシボ加工により形成できる。これにより、端面734aの表面積を増やすことができるため、基板623に対する接着強度を高めることができる。
【0099】
本実施の形態に係る光束制御部材722も基板623に接着剤660を用いて固定することが考えられる。
【0100】
図12に示されるように、本実施の形態では、光束制御部材722を基板623に固定する場合、筒部633の発光素子121側の端面633aおよびフランジ部734の発光素子121側の端面734aと、基板623との間に接着剤660を配置するとともに、フランジ部734の側面734bおよび上面734cの少なくとも一部を覆うように接着剤660を配置する。これにより、基板623に対して光束制御部材722を封止させる。
【0101】
(変形例)
次いで、実施の形態7の変形例に係る光束制御部材722a、722bについて説明する。図14A,Bは、実施の形態7における変形例に係る光束制御部材722a、722bの平面図である。図14Aは、実施の形態7における変形例1に係る光束制御部材722aの平面図であり、図14Bは、変形例2に係る光束制御部材722bの平面図である。
【0102】
図14Aに示されるように、実施の形態7の変形例1に係る光束制御部材722aのフランジ部734dは、複数に分割されていてもよい。本変形例では、フランジ部734dは、2つに分割されている。また、図14Bに示されるように、実施の形態7の変形例2に係る光束制御部材722bのフランジ部734eは、4つに分割されていてもよい。
【0103】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置720は、実施の形態6に係る発光装置620よりも基板623に対する接着強度を高くできる。
【0104】
[実施の形態8]
実施の形態8に係る発光装置820は、光束制御部材822の構成が実施の形態7に係る発光装置720と異なる。そこで、実施の形態7に係る発光装置720と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0105】
図15は、実施の形態8における基板623および発光装置820の構成を示す断面図である。図16A~Dは、実施の形態8に係る光束制御部材822の構成を示す図である。図16Aは、実施の形態8に係る光束制御部材822の平面図であり、図16Bは、底面図であり、図16Cは、側面図であり、図16Dは、図16Aに示されるA-A線の断面図である。
【0106】
図15図16A~Dに示されるように、本実施の形態に係る発光装置820は、発光素子121と、光束制御部材822とを有する。光束制御部材822は、入射領域631と、出射領域132と、筒部633と、フランジ部834とを有している。本実施の形態では、光束制御部材822は、位置決め凸部135と、切り欠き部153とを有していない。
【0107】
本実施の形態におけるフランジ部834は、溝部834aを有する。溝部834aの形状は特に限定されない。本実施の形態では、溝部834aの平面視形状は、円環形状である。また、溝部834aの断面形状は、矩形である。
【0108】
本実施の形態に係る光束制御部材822も基板623に接着剤660を用いて固定することが考えられる。
【0109】
図15に示されるように、本実施の形態では、光束制御部材822を基板623に固定する場合、筒部633の発光素子121側の端面633aおよびフランジ部834の発光素子121側の端面734aと、基板623との間に接着剤660を配置するとともに、フランジ部834の溝部834aの少なくとも一部を覆うように接着剤660を配置する。これにより、基板623に対して、光束制御部材822を封止させる。
【0110】
(変形例)
次いで、実施の形態7の変形例に係る光束制御部材822a、822bについて説明する。図17A,Bは、実施の形態8における変形例に係る光束制御部材822a、822bの平面図である。図17Aは、実施の形態8における変形例1に係る光束制御部材822aの平面図であり、図17Bは、変形例2に係る光束制御部材822bの平面図である。
【0111】
図17Aに示されるように、実施の形態8の変形例1に係る光束制御部材822aのフランジ部734gは、複数に分割されていてもよい。本変形例では、フランジ部834gは、2つに分割されている。また、図17Bに示されるように、実施の形態8の変形例2に係る光束制御部材822bのフランジ部834hは、4つに分割されていてもよい。
【0112】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置820は、実施の形態7に係る発光装置720よりも基板623に対する接着強度を高くできる。
【0113】
また、上述した照明装置は、例えば、ヒートポンプを備える電気機械器具など、すなわち、エアコンディショナーの室内機、除湿機、冷蔵庫などの電気機械器具に適用できる。この場合、被照射面はドレンパンに相当し、被照射面を殺菌するため、紫外光を出射する発光素子を使用する。
【0114】
なお、実施の形態6~8では、切り欠き部153を有さない光束制御部材622、722、722a、722b、822、822a、822bを使用しているが、実施の形態6~8において、実施の形態1~5に記載されている切り欠き部を有する光束制御部材122、222を使用してもよい。
【0115】
本出願は、2019年3月28日出願の特願2019-064836に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の光束制御部材、発光装置および照明装置は、被照射面に発光素子から出射された光を均一かつ効率的に照射できる。
【符号の説明】
【0117】
100、200、300、400、500、600 照明装置
110 被照射面
120、220、620、720、820 発光装置
121 発光素子
122、222、622、722、722a、722b、822、822a、822b 光束制御部材
123 ホルダー
131、231、631 入射領域
132 出射領域
133、633 筒部
134、834、834g、834h フランジ部
135 位置決め凸部
136 第1制御部
137、237、637 第2制御部
141 第1屈折入射面
142 第1凸部
143 第1入射面
144 第1反射面
145 第1稜線
151 第2屈折入射面
152、652 第2凸部
153、253 切り欠き部
154、654 第2入射面
155、655 第2反射面
156、656 第2稜線
161 第1基板
162 第2基板
163 固定部材
164 位置決め孔
165 第1固定孔
166 貫通孔
167 第2固定孔
171A、171B、171C、171D 凸部
633a 端面
660 接着剤
734a 端面
734b 側面
734c 上面
834a 溝部
CA 中心軸
OA 光軸
図1
図2
図3
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図5
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