(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】スケーラブルプリンタのための統合インクジェットモジュール
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230911BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/165 301
B41J2/01 305
B41J2/165 207
(21)【出願番号】P 2021515038
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2019074752
(87)【国際公開番号】W WO2020069846
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512193425
【氏名又は名称】メムジェット テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プロファカ,マーク
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209950(JP,A)
【文献】特開2013-248887(JP,A)
【文献】特表2019-514745(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0043554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合インクジェットモジュールにおいて、
印刷媒体を搬送する媒体供給経路の両側に設けられた媒体供給シャーシに固定して装着するように構成された支持シャーシと、
前記支持シャーシに摺動可能に装着された保守シャーシと、
前記保守シャーシに昇降可能に装着されたプリントバーシャーシであって、前記プリントバーシャーシに装着された1つ又は複数のインクジェットプリントヘッドを有するプリントバーシャーシと
を含み、
前記保守シャーシは、前記支持シャーシに対して横方向に摺動可能であり、
前記プリントバーシャーシは、前記保守シャーシの摺動方向において前記保守シャーシに固定されて
おり、
前記支持シャーシは、前記プリントバーシャーシに対して基準となる複数の基準面を含むことを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記支持シャーシは、前記媒体供給シャーシの固定ローラーシャフトに前記インクジェットモジュールを装着するように構成された切り欠きを画定するベースを有することを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェットモジュールにおいて、各切り欠きは、
前記固定ローラーシャフトに固定されている前記支持シャーシを締め付けるためのそれぞれの締め付け具を有することを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記支持シャーシは、
前記インクジェットプリントヘッドからの吐出インクを収容するための1つ又は複数のスピットンを含むことを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項5】
請求項
1に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記プリントバーシャーシは、前記支持シャーシの前記基準面に向かって突出する複数のピンを含むことを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項6】
請求項
5に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記ピンは、高さ調整可能であることを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項7】
請求項1に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記保守シャーシは、前記プリントバーシャーシの前記1つ又は複数のプリントヘッドに対応する1つ又は複数の保守モジュールを含むことを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項8】
請求項1に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記保守シャーシは、双方向摺動機構を介して前記支持シャーシに装着されることを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項9】
請求項
8に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記保守シャーシは、前記保守シャーシ及びプリントバーシャーシを印刷位置にロックするための留め具を含むことを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項10】
請求項1に記載のインクジェットモジュールにおいて、前記プリントバーシャーシは、前記保守シャーシの摺動移動を行うためのハンドルを含むことを特徴とするインクジェットモジュール。
【請求項11】
印刷システムにおいて、
印刷媒体を搬送する媒体供給経路の両側に設けられた媒体供給シャーシと、
前記媒体供給シャーシに装着されている、請求項1に記載の1つ又は複数のインクジェットモジュールと
を含むことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルインクジェットプレスのための印刷エンジン及び統合インクジェットモジュールに関する。本発明は、主に、短期印刷ジョブに適している低コストデジタルインクジェットプレスに種々のインクジェットモジュールを統合するために開発されている。
【背景技術】
【0002】
Memjet(登録商標)技術を用いたインクジェットプリンタは、デスクトッププリンタ、デジタルインクジェットプレス及び大判プリンタを含む多数の異なる印刷様式に商業的に利用できる。Memjet(登録商標)プリンタは、典型的には、ユーザが交換可能な1つ又は複数の固定インクジェットプリントヘッドカートリッジを含む。例えば、デスクトップラベルプリンタは、単一のユーザ交換可能な多色プリントヘッドカートリッジを含み、高速ラベルプリンタは、媒体供給方向に沿って整列された複数のユーザ交換可能な単色プリントヘッドカートリッジを含み、大判プリンタは、大判ページ幅にわたるように互い違いの重複配置で複数のユーザ交換可能なプリントヘッドカートリッジを含む。
【0003】
米国特許第10,076,917号明細書(その内容が参照により本明細書に援用される)は、印刷モジュール及び対応する保守モジュールのN×Mの二次元配列を含む商用ページワイド印刷システムを記載している。コスト効率の良いモジュラーキット形態でN×M配列のプリントヘッドの寸法及び数を選択する柔軟性をOEM顧客に与えると、オフセット印刷システムによって従来供給されているより広範囲の商用デジタル印刷市場にアクセスすることができる。
【0004】
それにもかかわらず、スケーラブルページワイド配列へのモジュールの統合を単純化することが更に望ましい。モジュールの統合の単純化により、開発時間が短縮され、デジタルインクジェットプレスを商用化することを望むOEMのコストが削減される。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様において、インクジェットモジュールであって、
媒体供給シャーシに固定して装着するように構成された支持シャーシと、
支持シャーシに摺動可能に装着された保守シャーシと、
保守シャーシに昇降可能に装着されたプリントバーシャーシであって、プリントバーシャーシに装着された1つ又は複数のインクジェットプリントヘッドを有するプリントバーシャーシと
を含むインクジェットモジュールが提供される。
【0006】
有利には、第1の態様によるインクジェットモジュールは、交換のためにプリントヘッド及び保守消耗品にユーザがアクセスでき、且つ清掃し、紙詰まりなどを除去するために媒体供給経路にユーザがアクセスできるプリンタの構成を可能にする。更に、インクジェットモジュールは、必要な最小の修正で既存の媒体供給シャーシに差し込むように構成された単一統合ユニットである。
【0007】
好ましくは、支持シャーシは、媒体供給シャーシの固定ローラーシャフトにインクジェットモジュールを装着するように構成された切り欠きを画定するベースを有する。
【0008】
好ましくは、各切り欠きは、ローラーシャフトに固定されている支持シャーシを締め付けるためのそれぞれの締め付け具を有する。
【0009】
好ましくは、支持シャーシは、プリントヘッドからの吐出インクを収容するための1つ又は複数のスピットンを含む。
【0010】
好ましくは、支持シャーシは、プリントバーシャーシに対して基準となる複数の基準面を含む。
【0011】
好ましくは、プリントバーシャーシは、支持シャーシの基準面に向かって突出する複数のピンを含む。
【0012】
好ましくは、ピンは、高さ調整可能である。
【0013】
好ましくは、プリントバーシャーシは、保守シャーシの摺動方向において保守シャーシに固定されている。
【0014】
好ましくは、保守シャーシは、プリントバーシャーシの1つ又は複数のプリントヘッドに対応する1つ又は複数の保守モジュールを含む。
【0015】
好ましくは、保守シャーシは、双方向摺動機構を介して支持シャーシに装着される。
【0016】
好ましくは、保守シャーシは、保守シャーシ及びプリントバーシャーシを印刷位置にロックするための留め具を含む。
【0017】
好ましくは、プリントバーシャーシは、保守シャーシの摺動方向において保守シャーシに固定されている。
【0018】
好ましくは、プリントバーシャーシは、保守シャーシの摺動移動を行うためのハンドルを含む。
【0019】
第2の態様において、印刷システムであって、
複数の固定ローラーシャフトを含む媒体供給シャーシであって、各ローラーシャフトは、媒体供給経路を介して印刷媒体を案内する回転可能ローラーを有する、媒体供給シャーシと、
印刷媒体に印刷するために媒体供給シャーシに装着された1つ又は複数のインクジェットモジュールであって、各インクジェットモジュールは、ローラーシャフトの組に着座された支持シャーシを有する、1つ又は複数のインクジェットモジュールと
を含み、支持シャーシは、ベースに画定された切り欠きの組を有するベースを含み、ローラーシャフトは、切り欠き内に収容される、印刷システムが提供される。
【0020】
有利には、第2の態様による印刷システムは、インクジェットモジュールのための支持体として媒体供給シャーシ上の固定ローラーシャフトを使用する。この設計は、印刷エンジンを装着する頭上構台を未然に防ぎ、ローラーシャフトとの位置合わせによってプリントヘッド-紙-間隔(PPS)の正確な制御も可能にする。
【0021】
関連する態様において、統合インクジェットモジュールであって、
ローラーシャフトの組に着座するように構成された支持シャーシであって、ローラーシャフトを収容するための切り欠きの組及び切り欠きにおけるローラーシャフトを締め付けるための対応する締め付け具を有するベースを含む支持シャーシと、
支持シャーシを介して供給される印刷媒体に印刷するために、支持シャーシに対して動作可能に位置決めされた1つ又は複数のプリントヘッドと
を含む統合インクジェットモジュールが更に提供される。
【0022】
好ましくは、ローラーは、湾曲媒体経路を介して印刷媒体のウェブを案内するように位置決めされる。
【0023】
好ましくは、ローラーシャフトの組の1つは、ローラーシャフトの対を含み、ローラーシャフトの対は、各支持シャーシのベースに画定された相補的切り欠き内に収容される。
【0024】
好ましくは、各切り欠きは、ローラーシャフトに固定されているインクジェットモジュールを締め付けるための対応する締め付け具を有する。
【0025】
好ましくは、各インクジェットモジュールは、
支持シャーシに装着された保守シャーシと、
保守シャーシに装着されたプリントバーシャーシであって、プリントバーシャーシに装着された1つ又は複数のインクジェットプリントヘッドを有するプリントバーシャーシと
を更に含む。
【0026】
好ましくは、プリントバーシャーシは、支持シャーシに対して昇降可能である。
【0027】
好ましくは、保守シャーシは、支持シャーシに対して横方向に摺動可能である。
【0028】
好ましくは、支持シャーシは、吐出インクを収容するための1つ又は複数のスピットンを含む。
【0029】
好ましくは、支持シャーシは、プリントバーシャーシに対して基準となる複数の基準面を含む。
【0030】
第3の態様において、統合インクジェットモジュールであって、
媒体供給シャーシに固定して装着するように構成された支持シャーシと、
支持シャーシに装着された保守シャーシと、
保守シャーシに昇降可能に装着されたプリントバーシャーシであって、プリントバーシャーシに装着された1つ又は複数のプリントヘッドを有するプリントバーシャーシと
を含み、プリントバーシャーシは、プリントバーシャーシの各隅部で最大限に離間された基準ピンを含み、各基準ピンは、印刷中にプリントヘッドと媒体供給経路との間の間隔を制御するために支持シャーシの相補的基準面と係合する、統合インクジェットモジュールが提供される。
【0031】
有利には、第3の態様によるインクジェットモジュールは、PPSを制御する基準面の間隔を最大化し、これによりPPS精度を向上させる。
【0032】
好ましくは、基準ピンは、プリントヘッドと媒体供給経路との間の間隔を変更するために調整可能である。
【0033】
好ましくは、各基準ピンは、プリントバーシャーシの各隅部から外方に突出する突起に装着される。
【0034】
好ましくは、プリントバーシャーシは、フレームと、フレームのそれぞれの第1及び第2の端部から下方に延在する対向する脚の第1及び第2の対とを含み、各脚は、保守モジュールの各案内レールに当たるように構成されたころ軸受の組を有し、対向するころ軸受は、基準ピンの各対間に位置決めされる。
【0035】
好ましくは、各脚は、外方に突出する突起を含み、各基準ピンは、各突起に装着される。
【0036】
好ましくは、液圧ピストン機構は、支持シャーシに対してプリントバーシャーシを上昇及び下降させるために、プリントバーシャーシ及び保守シャーシを相互接続する。
【0037】
好ましくは、液圧ピストン機構の対は、インクジェットモジュールの反対端部に位置決めされ、液圧ピストン機構の対は、同期移動のために共通液圧システムによって制御される。
【0038】
第4の態様において、統合インクジェットモジュールであって、
1つ又は複数のプリントヘッドを装着する細長いフレームと、フレームのそれぞれの第1及び第2の端部から下方に延在する対向する脚の第1及び第2の対とを含むプリントバーシャーシであって、各脚は、インクジェットモジュールの各案内レールに当たるように構成されたころ軸受の組を有する、プリントバーシャーシと、
媒体供給シャーシに固定して装着するように構成された支持シャーシと、
支持シャーシに対してプリントバーシャーシを昇降させるための昇降機構と
を含む統合インクジェットモジュールが提供される。
【0039】
有利には、第4の態様によるインクジェットモジュールは、公称z軸に沿ったプリントバー上昇の精密及び安定制御を与え、z軸に対して垂直なx軸及びy軸の両方における歪曲及びずれを最小限にする。
【0040】
好ましくは、対向する脚の第1及び第2の対は、それぞれの基準ピンの第1及び第2の対間に位置決めされる。
【0041】
好ましくは、各脚は、外方に突出する突起を含み、各基準ピンは、各突起に装着される。
【0042】
好ましくは、対向する脚の各対は、各案内レールの反対面に当たるころ軸受の各組を有する。
【0043】
好ましくは、各案内レールの一部を収容するために各ころ軸受に溝が付けられている。
【0044】
第5の態様において、インクジェット印刷組立体であって、
複数の基準面を有する支持シャーシと、
支持シャーシに昇降可能に装着されたプリントバーシャーシであって、プリントバーシャーシに装着された1つ又は複数のプリントヘッド及び基準面との係合のための複数の基準ピンを有するプリントバーシャーシと、
基準ピンが基準面と係合される下降位置と、基準ピンが基準面から離間される上昇位置との間でプリントバーシャーシを移動させるための昇降機構と、
プリントバーシャーシを支持シャーシに向かって付勢するための1つ又は複数の磁石と
を含むインクジェット印刷組立体が提供される。
【0045】
有利には、第5の態様によるインクジェット印刷組立体(「インクジェットモジュール」)は、プリントバーシャーシを上昇位置(例えば、保守位置)から下降位置(例えば、印刷位置)に下降させる場合、支持シャーシに対するプリントバーシャーシの確実な基準を与える。特に、インクジェット印刷組立体は、プリントバーシャーシの緩やかな下降を可能にする一方、確実な基準のために必要に応じて強い力を与える。
【0046】
好ましくは、各磁石は、プリントバーシャーシに調整可能に装着される。
【0047】
好ましくは、支持シャーシは、磁石に整列された1つ又は複数の強磁性パッドを含む。
【0048】
好ましくは、下降位置において、各磁石と、対応する各強磁性パッドとの間の間隔は、2mm未満である。
【0049】
好ましくは、基準ピンは、下降位置でプリントヘッドと媒体供給経路との間の間隔を変更するために調整可能である。
【0050】
好ましくは、磁石は、希土類磁石である。
【0051】
好ましくは、昇降機構は、ワイヤ及び滑車機構、液圧機構、ラックアンドピニオン機構及びはさみ機構を含む群から選択される。
【0052】
適用可能な場合、1つの態様に関連して記載される好ましい特徴は、本明細書に記載される全態様に同様に適用可能であることが分かる。
【0053】
本明細書で使用されるように、用語「インク」は、インクジェットプリントヘッドから印刷される任意の印刷流体を意味するものとする。インクは、着色剤を含んでも又は含まなくてもよい。従って、用語「インク」は、従来の染料ベース又は顔料ベースのインク、赤外線インク、定着剤(例えば、プレコート及び仕上げ剤)、三次元印刷流体、生物学的流体などを含み得る。
【0054】
本明細書で使用されるように、用語「装着」は、介在部を介した直接装着及び間接装着の両方を含む。
【0055】
ここで、本発明の一実施形態について添付図面を参照してごく一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、複数のインクジェットモジュールを含むデジタルインクジェットプレスの正面斜視図である。
【
図2】
図2は、デジタルインクジェットプレスにおける1つのインクジェットモジュールの拡大図である。
【
図3】
図3は、分離したインクジェットモジュールの第1の側面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すインクジェットモジュールの第2の側面斜視図である。
【
図5】
図5は、保守及び印刷シャーシを後方に摺動させた状態のインクジェットモジュールの側面斜視図である。
【
図6】
図6は、保守及び印刷シャーシを前方に摺動させた状態のインクジェットモジュールの側面斜視図である。
【
図7】
図7は、分離した支持シャーシの斜視図である。
【
図8】
図8は、分離した保守シャーシの斜視図である。
【
図9】
図9は、分離したプリントバーシャーシの斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、代替の実施形態によるインクジェットモジュールの斜視図である。
【
図12】
図12は、プリントヘッドカートリッジを分離した状態の印刷モジュールの斜視図である。
【
図13】
図13は、印刷モジュールのインク入口モジュールを示す。
【
図14】
図14は、拭き取り中の保守モジュールの斜視図である。
【
図15】
図15は、キャップ付け中の保守モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
モジュラーインクジェットプレス
図1について説明する。
図1は、デジタルインクジェットプレスなどのウェブベースの印刷システムのために構成されたプリンタ1を示す。プリンタ1は、媒体供給シャーシに固定されたローラーシャフト7に装着された一連のローラー5を有する媒体供給シャーシ3を含む。ローラー5は、対で配置され、複数のプリントヘッドを通過して印刷媒体(図示せず)のウェブを供給する凸面媒体供給経路を画定する。当技術分野で知られているような適切なウェブ供給機構(図示せず)を用いて、ウェブは、ローラー5にわたって張力がかけられ、プリントヘッドを通過して供給される。
【0058】
プリンタ1は、離間され、且つ媒体供給方向に沿って互いに整列された複数のページワイドインクジェットモジュール10を含む。各インクジェットモジュール10は、媒体供給経路の全幅にわたって延在し、単一通過で媒体ウェブ上に印刷するように構成された1つ又は複数のインクジェットプリントヘッドを含む。典型的に、各インクジェットモジュール10は、インクの単一色を印刷するように構成される。図示の実施形態によれば、媒体供給シャーシ3は、8つのインクジェットモジュール10(ローラー5の対毎に1つのインクジェットモジュール)を支持するように構成されるが、分かりやすくするために、2つのモジュールのみを
図1に示す。複数の整列インクジェットモジュール10は、シアン、マゼンタ、黄色及び黒色のインク並びに特殊カラー印刷のための様々なスポットカラーを印刷する機能をユーザに与える。
【0059】
それにもかかわらず、1つ又は複数のインクジェットモジュール10の他の配置は、本発明の範囲内にあることが理解される。例えば、標準的なカラー印刷(CMYK)又は単色印刷(Kのみ)のための幾つかのプリンタでより少ないモジュールを使用し得る。
【0060】
インクジェットモジュール10
各インクジェットモジュール10は、デジタルインクジェットプレスのスケーラブル構成のための媒体供給シャーシ3に「差し込まれる」ように設計された完全統合モジュールである。代わりに、比較的小さい変更を有するインクジェットモジュール10を既存の媒体供給シャーシ及びウェブ供給機構に差し込むことにより、既存のアナログプレスをデジタルプレスに変換し得る。従って、インクジェットモジュール10は、特注又は既存のウェブ供給システムとのシームレス統合のために設計され、これによりOEMの開発費を最小限に抑える。
【0061】
図3及び
図4に分離して示すインクジェットモジュール10は、媒体供給シャーシ3に固定して装着している支持シャーシ50、支持シャーシに摺動可能に装着された保守シャーシ100及び保守シャーシに昇降可能に装着されたプリントバーシャーシ200の3つの主なシャーシを含む。
図4に最も良く示すように、各インクジェットモジュール10は、高速印刷中に生成されるインクミスト及び他の微粒子を収集する、支持シャーシ50に固定されているエアロゾル収集器18をさらに含む。エアロゾル収集器18は、一般的に、異なる長さのエアロゾル収集器を容易に製造することができるモジュール式である。
図4に示すように、エアロゾル収集器18は、細長い真空管19及びこの真空管に差し入れられた複数(例えば、3つ)のモジュラーノズルユニット20を含む。
【0062】
図5及び
図6について説明する。保守シャーシ100は、支持シャーシに対して双方向の横方向に摺動する支持シャーシ50に装着される。
図5に示すように、保守シャーシ100及び取り付けプリントバーシャーシ200は、媒体供給方向に対して垂直な第1の方向にユーザから離れて後方に押されている。この構成において、ユーザは、例えば、媒体を装着し、ローラーを清掃し、紙詰まりを除去するために、ローラー5及び媒体供給経路にアクセスする準備ができている。
図6に示すように、保守シャーシ100及び取り付けプリントバーシャーシ200は、媒体供給方向に対して垂直な第2の方向においてユーザに向かって前方に引かれている。この構成において、ユーザは、必要に応じて交換のためにハードウェア消耗品(例えば、プリントヘッド、ワイパー)にアクセスする準備ができている。従って、好都合には、双方向摺動機構により、ユーザは、プリンタ1の片側から異なる構成要素にアクセスすることができる。
【0063】
図5及び
図6では、プリントバーシャーシ200を上昇位置に示し、
図3及び
図4では、プリントバーシャーシ200を印刷のための下降位置に示す。米国特許第10,076,917号明細書は、印刷及び保守動作のために保守シャーシに対して昇降可能なプリントバーシャーシを詳細に記載している。本明細書に記載のプリントバーシャーシ200及び保守シャーシ100の機能は、米国特許第10,076,917号明細書に記載の装置と同様であることが当業者によって分かる。
【0064】
ここで、
図7について説明する。支持シャーシ50を分離して示す。支持シャーシ50は、保守シャーシ100の相対的な摺動移動も可能にする、媒体供給シャーシ3とのインクジェットモジュール10の便利な統合のために構成される。支持シャーシ50は、支持シャーシのベースを画定する、対向するベース板52の対を含む細長い長方形フレームの形態をとる。各ベース板52は、媒体供給シャーシ3の相補的なローラーシャフト7の対を収容する、ベース板52に画定された切り欠き54の対を有する。切り欠き54は、ローラーシャフト7に固定されている支持シャーシ50を締め付ける取り外し可能な締め付け具55をそれぞれ有する。従って、各インクジェットモジュール10は、媒体供給シャーシ3のローラーシャフト7の対に着座するように構成され、これによりプリンタ1の簡易な「差し込み式」構成が可能になる。好ましくは、支持シャーシ50のベース板52に画定された切り欠き54との整列のためにローラーシャフト7の各対が位置決めされ且つ離間されるように、媒体供給シャーシ3を構成する(又は代わりに適切に修正する)。
【0065】
更に、
図7について説明する。隅柱56は、各ベース板52の反対端部から上方に延在し、4つの隅柱の各々は、プリントバーシャーシの印刷位置でプリントバーシャーシ200に対して基準となる上基準面58を有する。対向するベース板52の隅柱56間で縦方向に延在する細長い側板60により、支持シャーシ50の構造的剛性を与える。保守シャーシ100(
図8)の引き出しスライド105との摺動係合のために、対向する引き出しレール62を各側板60に沿って縦方向に装着する。更に、スピットンバー64の対は、ベース板52間で縦方向に延在し、スピットンバーは、プリントバーシャーシ200の各プリントヘッドとの整列のために切り欠き54間に位置決めされる。各スピットンバー64は、各プリントヘッドからの吐出インクを収容するためのスピットン部分66を有する。スピットンバー64は、ベース板52の1つに位置決めされたカムアクチュエータ68を介して高さ調整可能であり、2017年9月26日に出願の米国仮特許出願第62/563,584号明細書(その内容が参照により本明細書に援用される)に記載のように、印刷中に印刷ゾーンの安定性を与えるために、ローラー5と一緒にスピットンバー64を使用し得る。
【0066】
図8について説明する。保守シャーシ100は、前端部及び後端部ブラケット102及び104を介して相互接続された縦側部パネル101の対を含む引き出しの形態をとる。支持シャーシ50の引き出しレール62との摺動係合のために、引き出しスライド105を各側部パネル101の外面に装着し、これにより摺動機構を形成する。各側部パネル101から外方に延在し、支持シャーシ50の相補部に係合されるばね仕掛けの留め具107を介して印刷するために、この摺動機構をロックし得る。留め具107を外すと、
図5及び
図6に関連して上述のように、保守シャーシ100は、支持シャーシ50に対して後方又は前方に摺動することができる。
【0067】
第1及び第2の保守モジュール115を側部パネルの対向する内面に取り付ける(各保守モジュール115は、米国特許第10,076,917号明細書に開示の保守モジュールと同一であり、以下でより詳細に説明される)。ずれた第1及び第2のプリントヘッドを保守するために、第1及び第2の保守モジュール115を位置決めし、プリントヘッドの間隔を最小限にするために、第1及び第2の保守モジュール115を互いに180度回転させる。
【0068】
各端部ブラケット102及び104は、端部ブラケットに固定して装着されている、上方に延在する案内レール108の対及び案内レール間の中央に位置決めされた下部昇降ブラケット111を有する。更に、後端部ブラケット104は、プリントヘッドに接続された様々なインク及び電線を収集するケーブル管路112を含むケーブル支持ブラケット110を保持する。
【0069】
図3~
図6に最も良く示すように、下部昇降ブラケット111は、保守シャーシ100と、プリントバーシャーシの上部昇降ブラケット202との間に延在するピストン昇降機構113を支持する。インクジェットモジュール10の反対端部におけるピストン昇降機構113は、典型的に、プリントバーシャーシ200の同期上昇及び下降のために共通液圧システム(図示せず)を介して液圧作動される。液圧ピストン機構をここで示すが、他の昇降機構(例えば、ワイヤ及び滑車機構、ラックアンドピニオン機構、はさみ機構など)は、当業者の範囲内にあることが理解される。
【0070】
図9について説明する。プリントバーシャーシ200は、対向する端部パネル206間に延在する縦装着パネル204の対を有する細長いフレームを含む。装着パネル204の対向する内面に固定して装着されたそれぞれの第1及び第2の印刷モジュール搬送台207を介して、第1及び第2の印刷モジュール215をプリントバーシャーシ200に装着する。各印刷モジュール215は、各印刷モジュール搬送台207に摺動可能に収容され、搬送台の下入れ子部分209に対して基準となる(各印刷モジュール215は、米国特許第10,076,917号明細書に開示の印刷モジュールと同一であり、以下でより詳細に説明される)。本明細書に記載の実施形態は、印刷モジュール215(及び対応する保守モジュール115)の対を有するが、他の実施形態において、プリントバーシャーシ200は、1つのみの印刷モジュール又は互い違いの重複配置で3つ以上の印刷モジュールを含み得ることが容易に分かる。従って、インクジェットモジュール10を任意の必要な印刷幅のために構成し得る。
【0071】
更に、
図9について説明する。プリントバーシャーシ200の各端部パネル206は、ピストン昇降機構113との係合のための上部昇降ブラケット202、支持シャーシ50から離れて横方向にプリントバーシャーシ及び保守シャーシ100を手動で摺動させるハンドル220並びに保守シャーシ100に向かって下方に延在する脚222の対を含む。脚222の各対は、保守シャーシ100の対向する案内レール108と係合される、回転可能に装着されたころ軸受224の対向する組(各組で2つ)を有する。従って、ピストン昇降機構113と一緒に、ころ軸受224及び対応する案内レール108の4つの組は、保守シャーシ100に対するプリントバーシャーシ200の昇降可能装着を与える。更に、各案内レール108の一部を収容するために、ころ軸受224に溝を付け、これにより、支持シャーシ50から離れる横方向の摺動移動中、プリントバーシャーシ200が保守シャーシ100に固定されることを保証する。
【0072】
更に、各脚222は、各突起に垂直にネジ装着された高さ調整可能ピン228を有する、外方に突出する突起226を含む(プリントバーシャーシ200の各隅に1つのピン)。各ピン228の下面を印刷位置で支持シャーシ50の対応する基準面58に係合させる(
図3)。従って、好都合には、高さ調整可能ピンは、プリントヘッド-紙-間隔(PPS)を制御し、インクジェットモジュール10をローラーシャフト7に固定して装着すると、異なる媒体厚さに対して現場で調整可能である。ネジ装着されたピン228は、全ての4つのピンを等しい高さに簡便に調整するために較正戻り止めを含み得る。有利には、複数のインクジェットモジュールの整列を最適化し、PPSの精密制御を行い、更にPPS調整のためにアクセスする準備を行うために、ピン228をインクジェットモジュール10において最大限に離間させる。
【0073】
図10A及び
図10Bについて説明する。代替の実施形態において、プリントバーシャーシ200は、支持シャーシ50との確実な基準係合にプリントバーシャーシを付勢する磁石70の対を含む。インクジェットモジュール10における高感度構成要素に損傷を与える可能性がある過度の衝撃を回避するために、プリントバーシャーシ200の緩やかな下降が一般的に昇降機構に必要である。しかし、プリントバーシャーシの垂直走行の最後に、プリントバーシャーシ200は、各基準ピン228を対応する基準面58に適切に係合させることを保証するのに十分な力を依然として必要とする。十分な力がなければ、1つ又は複数の基準ピン228は、適切に係合しないことがあり、その結果、小さい、更に望ましくない印刷アーチファクトになる。従って、垂直走行の最後に向かう磁力は、確実な基準となるために必要な力を与える。
図10Bに最も良く示すように、支持シャーシ50の上面に固定された対応する強磁性(例えば、鋼)パッド72を磁気的に引き付けるために、希土類磁石70の対の各々をプリントバーシャーシ200に調整可能に装着する。プリントバーシャーシ200の下降位置では、磁石70は、2mm未満又は1mm未満の典型的な間隔でパッド72から離間される。この間隔は、全基準ピン228が下降位置で対応する基準面58と確実に基準係合していることを保証するのに十分な引力を与える。磁石70のための高さ調整可能台74により、単純なネジ調整を介して最適間隔を現場で設定することができる。
【0074】
印刷モジュール215
完全を期すために、ここで、印刷モジュール215について、
図11~
図13を参照してより詳細に説明する。印刷モジュール215は、プリントヘッド216を含む交換可能プリントヘッドカートリッジ252に係合された供給モジュール250を含む。プリントヘッドカートリッジ252は、例えば、米国特許第9,950,527号明細書(その内容が参照により本明細書に援用される)に記載のタイプのものであり得る。
【0075】
供給モジュール250は、電力及びデータをプリントヘッド216に供給する電子回路を収納する本体254を含む。プリントバーシャーシ200の印刷モジュール搬送台207の1つにユーザが容易に取り外して挿入するために、印刷モジュールハンドル255は、本体254の上部から延在する。
【0076】
本体254の横に、本体の対向する側壁に位置決めされたインク入口モジュール256及びインク出口モジュール258が配置されている。インク入口モジュール及びインク出口モジュールの各々は、プリントヘッドカートリッジ252の相補的入口及び出口連結器261及び263に係合された各インク連結器257及び259を有する。インク入口モジュール256を介してインク送出システム(図示せず)からプリントヘッドカートリッジ252にインクを供給し、インク出口モジュール258を介してインク送出システムに戻ってインクを循環させる。
【0077】
インク入口モジュール256及びインク出口モジュール258は、それぞれプリントヘッドカートリッジ252に向かって且つプリントヘッドカートリッジ252から離れて、本体254に対して独立して摺動可能に移動可能である。インク入口及び出口モジュール256及び258の摺動移動は、供給モジュール250からプリントヘッドカートリッジ252の流体連結及び分離を可能にする。各インク入口及び出口モジュール256及び258は、モジュールの摺動移動を作動させるレバー265の形態で各アクチュエータを有する。各レバー265は、プリントヘッド216に対して垂直な軸の周りを回転し、ピニオン281の対に動作可能に接続される。ピニオン281の回転は、上方に延在し、本体に対して固定して装着された相補的ラック283との係合を介して、本体254に対する入口及び出口モジュール256及び258の移動の横方向摺動を引き起こす。このレバー配置は、印刷モジュール215の全幅を最小限にする。
図11及び
図13に示すように、インク入口モジュール256及びインク出口モジュール258の両方を下降させ、プリントヘッドカートリッジ252を供給モジュール250と流体的に連結する。
図12に示すように、インク入口モジュール256及びインク出口モジュール258の両方を上昇させ、プリントヘッドカートリッジ252を供給モジュール250から流体的に分離する。
【0078】
更に、
図12について説明する。供給モジュール250は、本体254の下部から延在する締め付け板266を有する。更に、本体254の下部は、プリントヘッドカートリッジを供給モジュール250に連結した場合、プリントヘッドカートリッジ252上の接点(図示せず)の相補的列を介して電力及びデータをプリントヘッド216に供給する電気接点267の列を有する。
【0079】
位置決めピン268の組は、インク入口及び出口モジュール256及び258の摺動移動方向に対して垂直に締め付け板266から延在する。プリントヘッドカートリッジ252を設置するために、各位置決めピン268を、プリントヘッドカートリッジ252に画定された相補的開口部270に整列させて収容する。プリントヘッドカートリッジ252を、締め付け板266に向かって位置決めピン268の方向に摺動させる。プリントヘッドカートリッジ252を位置決めピン268に係合させると、ヒンジ271を介して本体254に接続されたヒンジ締め付け具273を下方に揺動させて、プリントヘッドカートリッジ252を締め付け板に締め付ける。プリントヘッドカートリッジ252を締結具272によって適所にヒンジ締め付け具273にロックする。最後に、レバー265の作動を介してインク入口及び出口モジュール256及び258を下方に摺動させて、プリントヘッドカートリッジ252を供給モジュール250と流体的に連結する。逆の工程を使用して、プリントヘッドカートリッジ252を供給モジュール252から取り外す。記載のように、手動の取り外し及び挿入工程を数分以内において、デジタルプレスにおける休止時間の最小損失でユーザによって容易且つ清潔に実行することができる。
【0080】
インク供給モジュール256は、インク送出システム(図示せず)の入口線から調整圧力でインクを受け取るように構成される。本発明で使用される印刷モジュール215と関連して用いる適切なインク送出システムは、米国特許出願公開第2017/0313096号明細書(その内容が参照により本明細書に援用される)に記載されている。インク入口モジュール256は、入口線275を介してインク容器(図示せず)からインクを受け取る入口ポート274を有する一方、インク出口モジュール258は、出口線277を介してインク容器にインクを戻す出口ポート276を有する。
【0081】
インク入口及び出口モジュール256及び258は、例えば、プリントヘッド216における局所圧力調整を行い、インク圧力変動を抑制し、プリントヘッドの始動及び停止動作を可能にし、移送のためにプリントヘッドを隔離する様々な構成要素を別々に収納する。
図13では、インク入口モジュールの特定の構成要素を見せるためにカバーを取り外した状態でインク入口モジュール256を示す。例えば、プリントヘッド216における局所圧力を制御する制御弁279にフィードバックを与えるインク圧力センサー及びマイクロプロセッサを有する制御PCB278を示す。これらの構成要素及び他の構成要素をインク入口及び出口モジュール256及び258に収納し得ることが分かる。
【0082】
保守モジュール115
完全を期すために、ここで、保守モジュール115について、
図14及び
図15を参照してより詳細に説明する。各保守モジュール115は、保守シャーシ100に固定して装着され、各印刷モジュール215がそれぞれ印刷位置と保守位置との間で伸縮することができる空間を画定する。従って、印刷位置において、各プリントヘッド216を、媒体供給シャーシ3のローラー5によって支持された媒体ウェブから適切な間隔で位置決めする。
【0083】
図14及び
図15について説明する。各保守モジュール115は、各印刷モジュール215の2つの側面を包み込むように配置された大体L形フレーム120を有する。L形フレーム120は、印刷モジュール215の1つの長さ寸法と平行に延在する長脚117及び印刷モジュールの幅寸法と平行に延在する1つの短脚119を有する。各保守モジュール115のL形フレーム120は、保守モジュールの小型配置を可能にする。
【0084】
保守モジュール115のL形フレーム120は、ベース板118Aから上方に延在する短い側板118B及び長い側板118Cを有するベース板118Aを含む。短脚119は、短い側板118B及びベース板118Aの対応する部分を含み、長脚117は、長い側板118C及びベース板118Aの対応する部分を含む。L形フレーム120は、各プリントヘッド216を拭き取るワイパー122及びプリントヘッドにキャップを付けるキャップ付け器130を収納する。
【0085】
図14に示すように、ワイパー122は、定位置又は停止位置にあり、これによりワイパーをL形フレーム120の短脚119内に位置決めする。
図15に示すように、キャップ付け器130は、定位置又は停止位置にあり、これによりキャップ付け器をL形フレーム120の長脚117内に位置決めする。
【0086】
ワイパー122は、プリントヘッド216を拭き取るために印刷モジュール215の長さに沿って縦方向に移動するキャリッジ124に装着された拭き取り材料123(
図14に示す)を有するタイプのものである。長い側板118Cに固定され、フレーム120の長アーム119に沿って延在するカートリッジレール126に摺動係合される1つ又は複数のオーバーヘッドアーム125により、キャリッジ124を支持する。
図14において、キャリッジ124は、定位置から移動しており、縦方向拭き取り動作を経由して途中である。
図14において、キャップ付け器は、停止位置にあり、オーバーヘッドアーム125は、キャリッジ124の拭き取り移動中にキャップ付け器130にまたがることが分かり得る。双方向キャリッジモーター128及びベルト駆動機構129によって駆動される第1のエンドレスベルト127により、キャリッジ124を横断する。
【0087】
適切な後退機構140によってプリントヘッド216で占有される空間からキャップ付け器を横方向に伸縮させるヒンジアーム132の対を介して、キャップ付け器130をL形フレーム120の長い側板118Cに装着する。
図15において、両方のアーム132を伸ばしながら、ワイパー122を定位置に停止した状態でキャップ付け器130をキャップ付け位置において示す。
【0088】
キャップ付け動作の場合、プリントバーシャーシ200を保守シャーシ100から持ち上げ、最初に遷移位置に上昇させる。プリントバーシャーシ200が最高遷移位置にある状態で各キャップ付け器130を伸ばし、次に各キャップ付け器の周辺シール176によって各プリントヘッド216にキャップを付けるように、プリントバーシャーシ200を緩やかに保守位置に下降させる。逆の工程は、印刷位置に戻って印刷エンジン1を構成する。
【0089】
同様に、拭き取り動作の場合、プリントバーシャーシ200を保守シャーシ100から持ち上げ、最初に遷移位置に上昇させる。プリントバーシャーシ200が最高遷移位置にある状態で各ワイパー122を各プリントヘッド216の下に移動させ、ワイパーを各プリントヘッドに係合させるように、プリントバーを緩やかに保守位置に下降させる。典型的に、プリントバーシャーシ200を下降させた場合、寛大な許容範囲を可能にするために拭き取り材料123を弾性的に装着する。ワイパー122がプリントヘッド216に係合されると、プリントヘッドのノズル面からインク及び/又はごみを拭き取るために、キャリッジ124をプリントヘッドに沿って縦方向に横断する。
【0090】
上述から、本発明は、インクジェットモジュールを比較的低コストのモジュラー印刷システムで配置することができ、その結果、OEMの統合、開発及び商用化コストを最小限に抑える一方、インクジェットモジュールの数及び配置に関する多用性を可能にする。
【0091】
本発明は、ごく一例として説明されており、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で詳細の修正形態がなされ得ることが理解される。