IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビー.ジー.ネゲブ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド, アット ベン‐グリオン ユニバーシティーの特許一覧 ▶ クシュニル、モシェの特許一覧

特許7346571ドーパミン応答性障害の治療のための糖にコンジュゲートされたL-DOPA及び/またはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】ドーパミン応答性障害の治療のための糖にコンジュゲートされたL-DOPA及び/またはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20230911BHJP
   A61K 31/121 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 31/15 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 31/275 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230911BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230911BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230911BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K31/121
A61K31/15
A61K31/275
A61K31/4439
A61K45/00
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/54
A61P21/00
A61P25/02
A61P25/16
A61P25/28
A61P43/00 121
A61P43/00 123
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021532816
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 IL2019051335
(87)【国際公開番号】W WO2020115753
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/775,396
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518286264
【氏名又は名称】ビー.ジー.ネゲブ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド, アット ベン‐グリオン ユニバーシティー
(73)【特許権者】
【識別番号】521247250
【氏名又は名称】クシュニル、モシェ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クシュニル、モシェ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルドマン、エリアフ
(72)【発明者】
【氏名】シャウビ、エレオノーラ
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-508113(JP,A)
【文献】国際公開第2018/059739(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/155888(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/203198(WO,A2)
【文献】米国特許第07101912(US,B2)
【文献】国際公開第2017/184871(WO,A1)
【文献】化学便覧 応用化学編,第6版,丸善株式会社,2003年,p.187-188
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 45/00-45/08
A61K 47/00-47/69
A61P 21/00-21/06
A61P 25/00-25/36
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖アルコールまたは単糖と、
2個以上のL-DOPA部分と、
を含むコンジュゲートであって、
前記糖アルコールまたは単糖が、前記L-DOPA部分のそれぞれのカルボキシル基にコンジュゲートされている、
ことを特徴とするコンジュゲート。
【請求項2】
前記糖アルコールまたは単糖が、マンニトール、グルコースまたはガラクトースを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記コンジュゲートが、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤の部分をさらに含み、
前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤が、前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤のカルボキシル基、または、前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤に結合したスペーサーのカルボキシル基を介して、前記糖アルコールまたは単糖のヒドロキシル基にコンジュゲートされており、
前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤が、カルビドパ、メチルドーパ、アルファ-ジフルオロメチル-DOPA、または、それらの組み合わせを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤がベンセラジドをさらに含み、
前記スペーサーがジカルボン酸を含むことを特徴とする請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記コンジュゲートが、
(a)1個のマンニトール部分及び2-4個のL-DOPA部分、または
(b)1個のマンニトール部分、2-4個のL-DOPA部分、及び1個以上のカルビドパ部分を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記コンジュゲートが、
1個のマンニトール部分及び2個のL-DOPA部分を含むことを特徴とする請求項5に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記コンジュゲートが、
1個のマンニトール部分及び4個のL-DOPA部分を含むことを特徴とする請求項5に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
ドーパミン作動性刺激に応答する運動障害を治療、抑制または阻害する方法において使用するための、請求項1~のいずれか1項に記載の1以上のコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含むことを特徴とする医薬組成物
【請求項9】
前記医薬組成物が、鼻腔内、静脈内、皮下、経口、直腸、経皮、十二指腸内、吸入または肺内投与用に製剤化されていることを特徴とする請求項に記載の医薬組成物
【請求項10】
前記医薬組成物が鼻腔内投与用に製剤化され、
前記薬学的に許容される担体が、塩化ナトリウム、デキストロース、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、窒素、塩化ベンザルコニウム、エタノール、プロピレングリコール、ベクゾイルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、EDTAジナトリウム、CMC、Na CMC、アルコール、PEG400、プロピレングリコール及びグリセリンから選択されることを特徴とする請求項に記載の医薬組成物
【請求項11】
1以上のコンジュゲートされていないDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせを含む治療用化合物をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の医薬組成物
【請求項12】
1以上の前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤が、カルビドパ、ベンセラジド、メチルドーパ、アルファ-ジフルオロメチル-DOPAまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項11に記載の医薬組成物
【請求項13】
前記カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、オピカポンまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項11に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記糖アルコールまたは単糖が、前記糖アルコールまたは単糖のヒドロキシル基を介して、前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤のカルボキシル基、または、前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤に結合したスペーサーのカルボキシル基にコンジュゲートされており、
前記DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤が、カルビドパ、メチルドーパ、アルファ-ジフルオロメチル-DOPAまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記運動障害が、継続的なドーパミン作動性刺激を必要とし、パーキンソン病、一酸化炭素中毒またはマンガン中毒後の症候性パーキンソニズム、ドーパミン応答性ジストニア、レストレスレッグス症候群、1以上のパーキンソンプラス症候群またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項に記載の医薬組成物
【請求項16】
前記パーキンソン病が、症候性パーキンソン病、運動合併症を伴う進行性パーキンソン病、特発性パーキンソン病、医原性パーキンソン病、血管性パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズムまたはそれらの組み合わせを含み、
前記ドーパミン応答性ジストニアが、瀬川病を含み、
前記パーキンソンプラス症候群が、シヌクレイノパチー、タウオパチー、多系統萎縮症、タウオパチー様前頭側頭型変性症、大脳皮質基底核変性症、レビー小体型認知症、びまん性レビー小体病、オリーブ橋小脳萎縮症またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項15に記載の医薬組成物
【請求項17】
前記タウオパチー様前頭側頭型変性症が、進行性核上性麻痺、ピック病またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項16に記載の医薬組成物
【請求項18】
前記コンジュゲートが、10-3000mgの1日用量で対象に投与されることを特徴とする請求項に記載の医薬組成物
【請求項19】
1個のマンニトール部分と2-6個のL-DOPA部分とを含むコンジュゲート、または徐放形態のL-DOPA及びマンニトールを生成する方法であって、
(a)メチル-L-DOPA塩酸塩を生成すべく、L-DOPAをSOCl及びCHOHと組み合わせるステップと、
(b)テトラベンジルメチルL-DOPAを生成すべく、アセトニトリル中で、前記メチル-L-DOPA塩酸塩をKCO、KI、臭化テトラブチルアンモニウム及び臭化ベンジルと組み合わせるステップと、
(c)テトラベンジルL-DOPAを生成すべく、テトラベンジルメチルL-DOPAをNaOHで加水分解することにより、テトラベンジルメチルL-DOPAからメチル基を除去するステップと、
(d)(i)(1S,2R)-1,2-ビス((R)-2,2-ジメチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート、(ii)(4R,4'R,5R,5'R)-2,2'-ジフェニル-4,4'-ビ(1,3-ジオキサン)-5,5'-ジイルビス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)または(iii)(2R,3R,4R,5R)-3,6-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,4,5-テトライルテトラキス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)をそれぞれ生成すべく、テトラベンジルL-DOPAを、(i)ジイソプロピリデンマンニトール、(ii)1,3:4,6ジ-O-ベンジリデン-D-マンニトールまたは(iii)(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールと組み合わせるステップと、
Pd/CまたはPdOH/Cを触媒として使用し、Hで水素化することにより、ステップ(d)の生成物からベンジル基を除去するステップと、を含み、
これにより、前記マンニトールと前記2-6個のL-DOPA部分とを含むコンジュゲートを生成することを特徴とする方法。
【請求項20】
ステップ(d)において(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールを生成する方法が、
(a)生成物(14)を生成すべくジイソプロピリデンマンニトールを臭化ベンジルと組み合わせるステップを含む、ベンジル基をジイソプロピリデンマンニトールへ付加するステップと、
(b)イソプロピリデン基を除去すべく生成物(14)をHSO/シリカと組み合わせるステップを含む、生成物(14)からイソプロピリデン基を除去するステップと、を含み、
これにより、ジイソプロピリデンマンニトールから(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールを生成することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンニトールなどの糖と、とりわけL-DOPA、カルビドパ、ベンセラジドまたはそれらの組み合わせを含む1以上のL-DOPA及び/またはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤とを含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、L-DOPA及び/またはDOPAデカルボキシラーゼのカルボキシル基にコンジュゲートされる。本発明はさらに、関連する医薬成分及びコンジュゲートを生成する方法、並びに、とりわけパーキンソン病を含む運動障害などのドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療するための使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病(PD)は、とりわけ中枢神経系(CNS)におけるドーパミンの枯渇を特徴とする、進行の速い、進行性の神経変性疾患である。PDの対症療法は、CNSへのドーパミンの適切な供給を確保することを目的としている。PDの現在の最も効果的な治療法は、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパまたはベンセラジド)と一緒にL-DOPAを投与することであり、デカルボキシラーゼ阻害剤は、末梢組織におけるL-DOPAのドーパミンへの変換を防ぎ、CNSにおける送達されたL-DOPAの生物学的利用能を高める。L-DOPAによる治療の課題の1つは、L-DOPA薬物動態パラメータが短いことであり、これはL-DOPAが治療濃度で血液循環に存在する短い期間で表される。
【0003】
進行性PDでは、線条体ニューロンのドーパミン作動性刺激はL-DOPAの血中濃度に依存する傾向があるが、血液循環中のL-DOPA濃度の変動は、線条体ニューロンの断続的なドーパミン作動性刺激を引き起こし、これにより後期運動合併症が生じる(「オンオフ」変動)。
【0004】
L-DOPAを継続的に送達することによる継続的なドーパミン作動性刺激は、後期運動合併症を軽減することが示されている。L-DOPAを継続的に送達するために診療所で現在使用されている方法には、徐放性錠剤及び十二指腸内送達が含まれる。現在使用されているL-DOPA送達の各方法には、デバイス(すなわち、十二指腸内送達に使用されるDuodopa)を配置するための手術の必要性、外部デバイス(すなわち、比較的大量のL-DOPA製剤を供給するための外部ポンプ及びカセットを含むDuodopa)を使用したときの不便さ、及びL-DOPAが血液循環中に治療濃度で存在する期間が短すぎること(徐放性錠剤の場合)などの大きな欠点が存在する。したがって、現在使用されている連続的なL-DOPA送達の方法は不十分であり、より良好な連続的な中枢ドーパミン作動性刺激を提供する送達システムまたは薬物を見つける努力が続けられている。
【0005】
L-DOPAは効果的な対症療法であるが、疾患のすべての病理学的側面に影響を与えるわけではない。例えば、L-DOPAは、PDの発症及び疾患の進行につながる病理学的決定因子であると考えられているα-シヌクレイン凝集体に影響を与えない。α-シヌクレイン凝集体の除去は、疾患の進行を遅らせるか、さらには止める。マンニトールは、PD動物モデルにおいてα-シヌクレインの凝集を阻害することが示されており、PDに対するその潜在的な治療効果は、L-DOPAとは異なるメカニズムを介している。
【0006】
したがって、症状及び基礎病理の両方に対処する方法と共に、L-DOPA送達の改善された方法が必要である。改善された薬物動態をL-DOPAに提供し、同時にα-シヌクレインの凝集を低減する治療は、現在利用可能である治療よりも、PD患者に対する緩和及び(場合によっては)治癒の提供においてより効果的であることが期待される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートを提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1-6個のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基またはDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤に結合したスペーサーのカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のL-DOPA分子、並びにDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基、及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基またはDOPAデカルボキシラーゼの前記1以上の阻害剤に結合したスペーサーのカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基及び薬学的に許容される担体にコンジュゲートされている。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートと、薬学的に許容される担体とを含む医薬成分を提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。一実施形態では、医薬成分は、1以上のデカルボキシラーゼ阻害剤をさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または薬学的に許容される担体を含む医薬成分のうち一方を、運動障害を有する対象に投与するステップを含む。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または薬学的に許容される担体を含む医薬成分のうち一方を、運動障害を有する対象に投与するステップを含む。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、(a)糖、1以上のL-DOPA分子及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または(b)薬学的に許容される担体を含む医薬成分のうち一方を、運動障害を有する対象に投与するステップを含む、
【0016】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、(a)糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、並びに糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または(b)薬学的に許容される担体を含む医薬成分のうち一方を、運動障害を有する対象に投与するステップを含む。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または薬学的に許容される担体を含む医薬成分のうち一方を、シヌクレイノパチーを有する対象に投与するステップを含む。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、糖及び2以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または薬学的に許容される担体を含む医薬成分のうちの一方を、シヌクレイノパチーを有する対象に投与するステップを含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、治療有効量の、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、並びに糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、薬学的に許容される担体を含む医薬成分を、シヌクレイノパチーを有する対象に投与するステップを含む。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のL-DOPA及びマンニトールを生成する方法を提供し、当該方法は、マンニトールを1以上のL-DOPA分子とコンジュゲートさせるステップを含み、1以上の前記L-DOPA分子のそれぞれは、エステル結合で前記マンニトールにコンジュゲートされている。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、マンニトールと1以上のL-DOPA分子とのコンジュゲートを生成する方法を提供し、当該方法は、以下のステップ:(a)メチル-L-DOPA塩酸塩を生成すべく、L-DOPAをSOCl及びCHOHと組み合わせるステップ、(b)テトラベンジルメチルL-DOPAを生成すべく、メチル-L-DOPA塩酸塩をKCO、KI、臭化テトラブチルアンモニウム及び臭化ベンジルとアセトニトリル中で組み合わせるステップ、(c)テトラベンジルメチルL-DOPAをNaOHで加水分解してテトラベンジルL-DOPAを生成することにより、テトラベンジルメチルL-DOPAからメチル基を除去するステップ、(d)(i)(1S,2R)-1,2-ビス((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート、(ii)(4R,4'R,5R,5'R)-2,2'-ジフェニル-4,4'-ビ(1,3-ジオキサン)-5,5'-ジイルビス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)または(iii)(2R,3R,4R,5R)-3,6-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,4,5-テトライルテトラキス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)をそれぞれ生成すべく、テトラベンジルL-DOPAを、(i)ジイソプロピリデンマンニトール、(ii)1,3:4,6ジ-O-ベンジリデン-D-マンニトールまたは(iii)(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールと組み合わせるステップ、及び(e)Pd/CまたはPdOH/Cを触媒として使用し、Hで水素化することにより、ステップ(d)の生成物からベンジル基を除去するステップを含み、これにより、マンニトールと1-6個のL-DOPA分子とのコンジュゲートが生成される。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、マンニトールと1-6個のカルビドパ分子とのコンジュゲートを生成する方法を提供し、当該方法は、以下のステップ:(a)カルビドパのカルボン酸をエステル化するステップ、(b)ステップ(a)のエステル化カルビドパのアミン基をtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)で保護するステップ、(c)ステップ(b)からの化合物をベンジル基によって保護するステップ、(d)カルボキシル基を得るべく、ステップ(c)の化合物のエステル基を加水分解するステップ、(e)ジベンジルマンニトールにコンジュゲートされた1以上の保護されたカルビドパ分子を得るべく、ステップ(d)からの化合物をジベンジルマンニトールと反応させるステップ、(f)ステップ(e)からの化合物から保護基を除去するステップ、及び(g)ステップ(f)からの化合物からベンジル基を水素化するステップ、を含む。
【0023】
別の実施形態では、ステップ(a)におけるエステル化は、エタノール、メタノール、t-ブタノール、プロパノールまたはそれらの組み合わせによって実施される。別の実施形態では、ステップ(b)において、アミン基は、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)で保護されている。別の実施形態では、ステップ(c)において、ステップ(b)の化合物の保護は、CsHCOの存在下で、臭化ベンジルを用いて実施される。別の実施形態では、ステップ(d)において、ステップ(c)の化合物は、0.33MのLiOHの存在下で、HO/CHOH/THFと混合される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明とみなされる主題は、明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、その目的、特徴及び利点と共に、構成及び操作方法の両方に関して、添付の図面と共に読まれるとき、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0025】
図1A】L-DOPA-マンニトールコンジュゲート(「DOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと1分子のL-DOPA(DOPAM-1と呼ばれる)とを有するL-DOPA-マンニトールコンジュゲートを示している。
図1B】L-DOPA-マンニトールのコンジュゲート(「DOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと2分子のL-DOPA(DOPAM-2と呼ばれる)とを有するL-DOPA-マンニトールコンジュゲートを示している。
図1C】L-DOPA-マンニトールのコンジュゲート(「DOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと3分子のL-DOPA(DOPAM-3と呼ばれる)とを有するL-DOPA-マンニトールコンジュゲートを示している。
図1D】L-DOPA-マンニトールのコンジュゲート(「DOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと4分子のL-DOPA(DOPAM-4と呼ばれる)とを有するL-DOPA-マンニトールコンジュゲートを示している。
図1E】L-DOPA-マンニトールのコンジュゲート(「DOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと5分子のL-DOPA(DOPAM-5と呼ばれる)とを有するL-DOPA-マンニトールコンジュゲートを示している。
図1F】L-DOPA-マンニトールのコンジュゲート(「DOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと6分子のL-DOPA(DOPAM-6と呼ばれる)とを有するL-DOPA-マンニトールコンジュゲートを示している。
図2A】カルビドパ-マンニトールコンジュゲート(「CARBIDOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと1分子のカルビドパ(CARBIDOPAM-1と呼ばれる)とを有するカルビドパ-マンニトールコンジュゲートを示している。
図2B】カルビドパ-マンニトールコンジュゲート(「CARBIDOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと2分子のカルビドパ(CARBIDOPAM-2と呼ばれる)とを有するカルビドパ-マンニトールコンジュゲートを示している。
図2C】カルビドパ-マンニトールコンジュゲート(「CARBIDOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと3分子のカルビドパ(CARBIDOPAM-3と呼ばれる)とを有するカルビドパ-マンニトールコンジュゲートを示している。
図2D】カルビドパ-マンニトールコンジュゲート(「CARBIDOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと4分子のカルビドパ(CARBIDOPAM-4と呼ばれる)とを有するカルビドパ-マンニトールコンジュゲートを示している。
図2E】カルビドパ-マンニトールコンジュゲート(「CARBIDOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと5分子のカルビドパ(CARBIDOPAM-5と呼ばれる)とを有するカルビドパ-マンニトールコンジュゲートを示している。
図2F】カルビドパ-マンニトールコンジュゲート(「CARBIDOPAM」と呼ばれる)の構造を示す図であり、1分子のマンニトールと6分子のカルビドパ(CARBIDOPAM-6と呼ばれる)とを有するカルビドパ-マンニトールコンジュゲートを示している。
図3】時間0において得られた、L-DOPAM(マンニトールとL-DOPAとのコンジュゲート)及びその分解生成物(各1分子のL-DOPA及びマンニトール)を示す液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラムを示している。1番上のクロマトグラムは総イオンクロマトグラムを表している。2番目のクロマトグラムはL-DOPAのみを示している(ベースピーク(Base Peak)m/z198=[197+1])。3番目のクロマトグラムはL-DOPAMのみを示している(ベースピークm/z362=[361+1])。4番目のクロマトグラムはマンニトールのみを示している(ベースピークm/z182=[181+1])。
図4】L-DOPAMと血清との接触から2時間後に得られた、L-DOPAM及びその分解生成物(各1分子のL-DOPA及びマンニトール)を示す液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)クロマトグラムを示している。1番上のクロマトグラムは総イオンクロマトグラムを表している。2番目のクロマトグラムはL-DOPAのみを示している(ベースピーク(Base Peak)m/z198=[197+1])。3番目のクロマトグラムはL-DOPAMのみを示している(ベースピークm/z362=[361+1])。4番目のクロマトグラムはマンニトールのみを示している(ベースピークm/z182=[181+1])。
図5】L-DOPAMと血清との接触から4時間後に得られた、L-DOPAM及びその分解生成物(各1分子のL-DOPA及びマンニトール)を示す液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラムを示している。1番上のクロマトグラムは総イオンクロマトグラムを表している。2番目のクロマトグラムはL-DOPAのみを示している(ベースピーク(Base Peak)m/z198=[197+1])。3番目のクロマトグラムはL-DOPAMのみを示している(ベースピークm/z362=[361+1])。4番目のクロマトグラムはマンニトールのみを示している(ベースピークm/z182=[181+1])。
図6】L-DOPAMと血清との接触から23時間後に得られた、L-DOPAM及びその分解生成物(各1分子のL-DOPA及びマンニトール)を示す液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)クロマトグラムを示している。1番上のクロマトグラムは総イオンクロマトグラムを表している。2番目のクロマトグラムはL-DOPAのみを示している(ベースピーク(Base Peak)m/z198=[197+1])。3番目のクロマトグラムはL-DOPAMのみを示している(ベースピークm/z362=[361+1])。4番目のクロマトグラムはマンニトールのみを示している(ベースピークm/z182=[181+1])。
図7】L-DOPAMと血清との接触から46.5時間後に得られた、L-DOPAM及びその分解生成物、並びに代謝物を示す液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラムを示している。一番上のクロマトグラムは総イオンクロマトグラムを表している。2番目のクロマトグラムはL-DOPAのみを示している(ベースピーク(Base Peak)m/z198=[197+1])。3番目のクロマトグラムはL-DOPAMのみを示している(ベースピークm/z362=[361+1])。4番目のクロマトグラムはマンニトールのみを示している(ベースピークm/z182=[181+1])。5番目のクロマトグラムはノルエピネフリンを示していると思われる(ベースピークm/z169=[168+1])。6番目のクロマトグラムが示している化合物は不明である(ベースピークm/z237)。
図8】37°Cでのヒト血清中でのインキュベーション時間の関数としての、L-DOPA対L-DOPAMの液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラムのピーク面積の比率を示している。
図9】37°Cでのヒト血清中でのインキュベーション時間の関数としての、マンニトール対L-DOPAMの液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラムのピーク面積の比率を示している。
図10】既知のL-DOPA濃度と、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラム(検量線)でのL-DOPAの曲線下面積との相関関係を示している。
図11】既知のL-DOPA濃度と、内部標準がシステムに導入されたときの液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)クロマトグラム(検量線)でのL-DOPAの曲線下面積との相関関係を示している。
図12】37°Cでのヒト血清中でのDOPAMのインキュベーションから0、2、4、6及び24時間後におけるヒト血清中のL-DOPAの濃度を示している。
図13】ヒト血清中でのL-DOPAM-1及びL-DOPAM-4のインキュベーション後の様々な時点におけるL-DOPAの濃度レベルを示している。
図14A】マウスへのDOPAM-2の静脈内投与後のL-DOPAの血漿レベルを示しており、DOPAM-2またはL-DOPAの注射から30、60、120、240及び480分後のL-DOPAレベルである。
図14B】マウスへのDOPAM-2の静脈内投与後のL-DOPAの血漿レベルを示しており、DOPAM-2の注射から240及び480分後のL-DOPAレベルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の実施例では、本発明を曖昧にしないように、周知の方法、手順及び構成要素は詳細に説明していない。
【0027】
コンジュゲート
【0028】
一実施形態では、本発明は、糖及び1以上のL-DOPA分子のコンジュゲートを提供する。別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤のコンジュゲートを提供する。別の実施形態では、本発明は、糖、1以上のL-DOPA分子及び1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤のコンジュゲートを提供する。一実施形態では、各分子は、前記糖の異なるヒドロキシル基を介して、糖にコンジュゲートされている。
【0029】
したがって、一実施形態では、本発明は、糖と、1以上のL-DOPA分子、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせとを含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせにコンジュゲートされる。
【0030】
一実施形態では、本明細書で使用される「コンジュゲート」という用語は、前記少なくとも1つの糖と前記少なくとも1つのL-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤との間に形成される化学結合に関し、前記結合は、前記少なくとも1つの糖分子の少なくとも1つのヒドロキシル基と、前記少なくとも1つのL-DOPA及び/または少なくとも1つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子の少なくとも1つのカルボキシル基との間の反応によってもたらされる。コンジュゲート部分は、縮合反応に起因して形成されたエステル結合を共有する。
【0031】
一実施形態では、本発明のコンジュゲート及び成分は、以下の実施例4-6において示されるように、コンジュゲートまたは成分を投与される対象の血液中のL-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤の連続放出の利点を提供する。別の実施形態では、L-DOPAをグルコースなどの糖に付着させることは、グルコース輸送メカニズムを利用して、血液脳関門及び/または他の細胞膜関門を通過する輸送を促進する。
【0032】
一実施形態では、糖とL-DOPAとの間の結合は、エステラーゼによって加水分解されてL-DOPA及び糖になる。別の実施形態では、糖とDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤との間の結合は、エステラーゼによって加水分解されてDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び糖になる。
【0033】
一実施形態では、コンジュゲートの加水分解は血液中で生じる。別の実施形態では、コンジュゲートの加水分解は脳内で生じる。
【0034】
別の実施形態では、本発明のコンジュゲート及び成分は、糖分子ごとに複数のL-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤、及び/または、同一の糖分子上のL-DOPAとDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤との両方を、対象に提供するという利点をもたらす。
【0035】
一実施形態では、本明細書に記載の成分及び方法において使用される糖は、マンニトールである。
【0036】
一実施形態では、マンニトールが糖である本発明のコンジュゲート及び成分は、さらなる治療上の利益を対象に提供する。一実施形態では、コンジュゲートの加水分解によって放出されるマンニトールは、対象に対して有益な効果を有し、これは、一実施形態では、L-DOPAの治療効果とは異なる機構を介する。一実施形態では、対象に対するマンニトールの治療効果は、α-シヌクレインに対するその効果によるものであり、これは、一実施形態では、α-シヌクレインの凝集の阻害を含む。
【0037】
一実施形態では、マンニトール及び1以上のL-DOPAのコンジュゲートは、本明細書ではDOPAMと呼ばれる。一実施形態では、マンニトール及び1以上のカルビドパのコンジュゲートは、本明細書ではCARBIDOPAMと呼ばれる。
【0038】
この態様によれば、及び、一実施形態では、本発明は、マンニトールと、1-6個のL-DOPA分子、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせとを含むコンジュゲートを提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせのカルボキシル基にコンジュゲートされる。
【0039】
一実施形態では、マンニトールとL-DOPAとの間の結合は、エステラーゼによって加水分解されてL-DOPA及びマンニトールになる。別の実施形態では、マンニトールとDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤との間の結合は、エステラーゼによって加水分解されてDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及びマンニトールになる。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、任意の立体異性体またはその配座異性体を含む、以下の一般式(I)を有する化合物を提供する。
【0041】
【化1】
【0042】
式中、R-Rはそれぞれ、Hまたはベンセラジド(II)の一部から選択される。
【0043】
【化2】
【0044】
式中、n=1-6
【0045】
または、以下の一般式(III)を有する部分を提供する。
【0046】
【化3】
【0047】
-Rの少なくとも1つが、式(II)の一部である場合、
式中、R及びRは、それぞれ、H、-NH、-NHNH、-CH、-CHFから選択される。
【0048】
一実施形態では、Rは-NHであり、RはHである。別の実施形態では、Rは-NHNHであり、Rは-CHである。別の実施形態では、R及びRはHである。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のフェニルアラニン誘導体を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して前記1以上のフェニルアラニン誘導体のカルボキシル基にコンジュゲートされている。一実施形態では、フェニルアラニン誘導体はL-DOPAを含む。別の実施形態では、フェニルアラニン誘導体はカルビドパを含む。
【0050】
L-DOPAコンジュゲート
【0051】
一実施形態では、本発明は、糖及び1以上のL-DOPA分子のコンジュゲートを提供する。したがって、一実施形態では、本発明は、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0052】
上記のように、本発明のコンジュゲート及び成分は、糖1分子あたり複数のL-DOPA分子を、対象に提供するという利点を提供する。
【0053】
一実施形態では、コンジュゲートは1分子の糖及び1-4分子のL-DOPAを含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1-4個のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-6分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-2分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-3分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-5分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-7分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-8分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-9分子のL-DOPAを含む。
【0054】
一実施形態では、コンジュゲートは1分子の糖及び2-4分子のL-DOPAを含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、2-4個のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-6分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-3分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-5分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-7分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-8分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-9分子のL-DOPAを含む。
【0055】
一実施形態では、コンジュゲートは1分子の糖及び3-4分子のL-DOPAを含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、3-4個のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-6分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-5分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-7分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-8分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-9分子のL-DOPAを含む。
【0056】
一実施形態では、コンジュゲートは1分子の糖及び4分子のL-DOPAを含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、4つのL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-5分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-6分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-7分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-8分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-9分子のL-DOPAを含む。
【0057】
別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び単一のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び2分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び3分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び4分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び5分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び6分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び7分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び8分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び9以上のL-DOPA分子を含む。
【0058】
一実施形態では、糖はマンニトールを含む。一実施形態では、コンジュゲートはマンニトール1分子あたり1-4分子のL-DOPAを含み、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1-4個のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0059】
別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び単一のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び2分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び3分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び4分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び5分子のL-DOPAを含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び6分子のL-DOPAを含む。
【0060】
DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤コンジュゲート
【0061】
別の実施形態では、本発明は、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートを提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤に結合したスペーサーまたはリンカーのカルボキシル基にコンジュゲートされている。一実施形態では、スペーサーはジカルボン酸を含む。
【0063】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上の分子のカルビドパ(DOPAデカルボキシラーゼの阻害剤である)を含むコンジュゲートを提供し、糖は、前記糖のヒドロキシル基を介して、1以上のカルビドパ分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。一実施形態では、コンジュゲートは第2のデカルボキシラーゼ阻害剤をさらに含む。一実施形態では、第2のデカルボキシラーゼ阻害剤はベンセラジドを含む。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のベンセラジド部分を含むコンジュゲートを提供する。一実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼの阻害剤であるベンセラジドは、そのアミン基を介して、スペーサーとして使用されるジカルボン酸の一方のカルボン酸基に結合し、スペーサーの他方のカルボン酸基は、前記糖のヒドロキシル基に結合している。
【0065】
上記のように、本発明のコンジュゲート及び成分は、糖1分子あたり複数のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子を、対象に提供するという利点を提供する。
【0066】
一実施形態では、コンジュゲートは1分子の糖及び1-4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含み、糖は、上記のように、1-4個のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-6分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-2分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-3分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-5分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-7分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-8分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり1-9分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。
【0067】
一実施形態では、コンジュゲートは、1分子の糖及び2-4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、2-4個のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-6分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-3分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-5分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-7分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-8分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり2-9分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。
【0068】
一実施形態では、コンジュゲートは、1分子の糖及び3-4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、3-4個のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-6分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-5分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-7分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-8分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり3-9分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。
【0069】
一実施形態では、コンジュゲートは、1分子の糖及び4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、4つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-5分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-6分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-7分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-8分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、コンジュゲートは、糖1分子あたり4-9分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。
【0070】
別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び単一のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び2分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び3分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び5分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び6分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び7分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び8分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖分子及び9以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子を含む。
【0071】
一実施形態では、糖はマンニトールを含む。一実施形態では、コンジュゲートは、マンニトール1分子あたり1-4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含み、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1-4個のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0072】
別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び単一のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び2分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び3分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び4分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び5分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、マンニトール及び6分子のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。
【0073】
同一の糖分子にコンジュゲートされたL-DOPA及びDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤
【0074】
別の実施形態では、本発明は、糖、1以上のL-DOPA分子及び1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤のコンジュゲートを提供する。
【0075】
別の実施形態では、本発明は、マンニトール、1以上のL-DOPA分子及び1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートを提供する。一実施形態では、L-DOPA及びDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤の両方を含むコンジュゲートは、血液循環及び脳外の組織におけるL-DOPAのドーパミンへの変換を、より効果的に防止する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、1分子のマンニトールと、4分子以上のL-DOPAと、(a)1分子以上のカルビドパ、または(b)ジカルボン酸に結合したベンセラジドの1以上の部分と、を含むコンジュゲートを提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、L-DOPAまたはカルビドパ分子、もしくはジカルボン酸に結合したベンセラジド部分のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、マンニトール、4分子のL-DOPA及び1分子のカルビドパを含むコンジュゲートを提供し、マンニトールは、マンニトール及びカルビドパのヒドロキシル基を介して、L-DOPA及びカルビドパ分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、糖及び2以上のフェニルアラニン誘導体を含むコンジュゲートを提供し、糖は、前記糖の異なるヒドロキシル基をそれぞれ介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基及び1以上のカルビドパ分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0079】
一実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、2つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、3つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、4つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、5つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、6つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、7つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、8つのDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、9以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1以上のL-DOPA分子を含む。一実施形態では、それぞれが糖の異なるOH基に結合している。
【0080】
別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び1つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び2つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び3つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び4つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び5つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び6つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び7つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び8つのL-DOPA分子を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートは、糖、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及び9以上のL-DOPA分子を含む。
【0081】
【0082】
一実施形態では、本明細書に記載の本発明のコンジュゲートは、糖を含む。
【0083】
一実施形態では、本明細書で使用される場合、「糖」という用語は、その任意の配座異性体、アノマーまたは構造異性体、並びにその立体異性体(鏡像異性体及び/またはジアステレオマー)を含む、当技術分野で知られている任意のタイプの糖類を含む。一実施形態では、糖は環状の配座異性体構造であり、別の実施形態では、糖は直線状の配座異性体構造である。一実施形態では、本明細書に記載の糖類は、化学式:C(HO)に対応する(一実施形態ではm=n、別の実施形態ではmはnに等しくない)。一実施形態では、本発明の文脈における「糖類」という用語は、D型糖、L型糖、アルファ型糖、ベータ型糖及びそれらの任意の組み合わせも含む。
【0084】
別の実施形態では、糖は、糖アルコールを含む。一実施形態では、成分中の、本明細書に記載の方法で使用するための糖アルコールは、糖に由来する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つの糖は、式HOCH(CHOH)CHOH(nは4-6)を有する糖アルコールを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の糖は、単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を含む。
【0086】
一実施形態では、糖は単糖を含む。
【0087】
一実施形態では、単糖は、マンノースを含む。別の実施形態では、単糖は、グルコース、ガラクトースまたはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、単糖は、フルクトース、アラビノース、フコース、キシロース、ラムノース、イノシトール、ラクトース、マルトール、リボースまたはそれらの組み合わせを含む。
【0088】
別の実施形態では、糖は二糖を含む。一実施形態では、二糖は、スクロース、マルトース、ラクトース、ラクツロース、トレハロース、セロビオースまたはそれらの組み合わせを含む。
【0089】
別の実施形態では、糖はオリゴ糖を含む。一実施形態では、オリゴ糖は、ラフィノース、ゲンチアノース及びマルトトリオースを含む。
【0090】
別の実施形態では、糖は多糖を含む。一実施形態では、多糖は、デンプン、グリコーゲン、セルロース、アラビノキシラン、ペクチン、キチンまたはそれらの組み合わせを含む。
【0091】
一実施形態では、糖アルコールは、単糖、二糖または多糖に由来する。
【0092】
一実施形態では、単糖に由来する糖アルコールは、マンニトールを含む。
【0093】
別の実施形態では、糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、イソマルト、マルチトール、加水分解水素添デンプン、ラクチトールまたはそれらの組み合わせを含む。
【0094】
医薬成分
【0095】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分を提供する。別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容される担体中に製剤化された、本明細書に記載のコンジュゲートを含む医薬成分を提供する。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、糖、及び1以上の分子のL-DOPA、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤またはそれらの組み合わせを含むコンジュゲートと、薬学的に許容される担体とを含む医薬成分を提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上の分子のL-DOPA、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤またはそれらの組み合わせのカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートと、薬学的に許容される担体とを含む医薬成分を提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、マンニトール及び1以上の(最大6つの)L-DOPA分子のコンジュゲートを含み、かつ薬学的に許容される担体中に製剤化された医薬成分を提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、糖及び2以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、2以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、マンニトール及びDOPAデカルボキシラーゼの1-6個の阻害剤を含むコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている。一実施形態では、医薬成分は、L-DOPAをさらに含む。
【0102】
別の実施形態では、本発明は、DOPAデカルボキシラーゼの非結合(遊離した)阻害剤と共に製剤化された糖及びL-DOPAを含むコンジュゲートを含む、医薬成分を提供する。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、糖マンニトール及び1以上の(最大6つの)DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子を含むコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、一実施形態では、カルビドパまたはジカルボン酸スペーサーに結合したベンセラジドを含む。これらの医薬成分において、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、カルビドパのカルボキシル基またはジカルボン酸スペーサー(ベンセラジドに結合している)のカルボキシル基にコンジュゲートされ、コンジュゲートは薬学的に許容される担体中に製剤化されている。
【0104】
一実施形態では、本明細書に記載のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、BBBを通過しない。一実施形態では、本明細書に記載のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、極性であるか、または生理学的pHで帯電している。別の実施形態では、本明細書に記載のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、L-DOPAのドーパミンへの末梢変換を防止し、これにより、とりわけ吐き気及び嘔吐などのL-DOPAの望ましくない末梢副作用を低減する。別の実施形態では、本明細書に記載のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、脳に入るために利用可能な血流中のL-DOPAの量を増加させる。
【0105】
別の実施形態では、本発明は、糖及び1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子を含むコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、阻害剤は、一実施形態では、カルビドパまたはベンセラジドを含む。これらの医薬成分において、糖は、前記糖のヒドロキシル基を介して、カルビドパのカルボキシル基またはジカルボン酸(ベンセラジドに結合している)のカルボキシル基にコンジュゲートされ、コンジュゲートは薬学的に許容される担体中に製剤化されている。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、糖及び2以上のフェニルアラニン誘導体のコンジュゲートを含む医薬成分を提供し、糖は、それぞれ前記糖の異なるヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基と、カルビドパまたはジカルボン酸(ベンセラジドに結合している)のカルボキシル基とにコンジュゲートされ、薬学的に許容される担体中に製剤化されている。
【0107】
一実施形態では、医薬成分は、静脈内、皮下、経皮、経口、直腸、十二指腸内または肺内投与用に製剤化される。別の実施形態では、医薬成分は、鼻腔内投与用に製剤化される。
【0108】
一実施形態では、薬学的に許容される担体は、塩化ナトリウム、デキストロース、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、窒素、塩化ベンザルコニウム、エタノール、プロピレングリコール、ベクゾイルアルコール(beczoyl alcohol)、クロロブタノール、メチルパラベン、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、EDTAジナトリウム、CMC、Na CMC、アルコール、PEG400、プロピレングリコール及びグリセリンから選択される。
【0109】
一実施形態では、医薬成分は、少なくとも1つの追加の治療用化合物をさらに含む。
【0110】
一実施形態では、医薬成分は、1以上の賦形剤をさらに含む。一実施形態では、医薬賦形剤は、キトサンまたはキトサンの加水分解フラグメントを含む。
【0111】
一実施形態では、追加の治療用化合物は、L-DOPAのプロドラッグを含む。
【0112】
一実施形態では、L-DOPAのプロドラッグは、一実施形態ではLevomet(商標)を含むレボドパメチルエステル、一実施形態ではEtilevodopa(TV-1203)を含むレボドパのエチルエステル、一実施形態ではNB-355を含むレボドパのピバロイルエステル、一実施形態ではL-ドーパミドを含むアミドレボドパプロドラッグ、ドピミド化合物、二量体アミドレボドパ化合物、チアゾリウム部分を有するレボドパエステル、環状レボドパプロドラッグ、ONO-2160またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、プロドラッグは、担体媒介プロドラッグである。一実施形態では、L-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、一実施形態ではアミノ酸またはグルコースを含む内因性基質トランスポーターに結合している。一実施形態では、基質は、血液脳関門(BBB)を介したL-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤の能動輸送を可能にする。この態様によれば、及び一実施形態では、L-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、グルコーストランスポーターシステム(GLUT1)、大型中性アミノ酸トランスポーター(LAT1)、モノカルボン酸トランスポーターシステム(MCT)、ペプチドトランスポーター(ペプチド輸送システム)またはそれらの組み合わせの基質に結合している。
【0113】
別の実施形態では、追加の治療用化合物は、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含む。一実施形態では、成分は、非コンジュゲートDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、コンジュゲートされたDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含み、これは、一実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲートである。
【0114】
一実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤は、カルビドパまたはカルビドパのプロドラッグを含む。
【0115】
一実施形態では、カルビドパのプロドラッグは、末端アミノ基をブロックするためのアシルまたはアルコキシカルボニル基を含み、当該アシルまたはアルコキシカルボニル基は、一実施形態では、カルビドパを遊離させるためにインビボで切断される。
【0116】
別の実施形態では、カルビドパのプロドラッグは、カルビドパのカテコール部分をマスキングする部分をさらに含む。
【0117】
別の実施形態では、カルビドパのプロドラッグは、カルビドパのアミドを含む。
【0118】
一実施形態では、カルビドパのプロドラッグが本明細書に記載のコンジュゲートに対する追加の治療薬として投与される場合、カルビドパプロドラッグは、カルビドパのカルボキシル部分、カルビドパのカテコール部分またはそれらの組み合わせをマスキングする部分を含む。一実施形態では、カルビドパのプロドラッグは、カルビドパのカルボキシルエステルを含む。
【0119】
別の実施形態では、カルビドパのプロドラッグは、インビボで切断されて、カルビドパを含むジペプチドまたはジペプチド類似体を遊離させるカルビドパプロドラッグを含む。一実施形態では、ジペプチドは、インビボでさらにタンパク質分解されて、カルビドパを生成する。
【0120】
別の実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼの阻害剤は、メチルドーパ、アルファ-ジフルオロメチル-DOPA(DFMD)またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼの阻害剤は、ベンセラジド、3',4',5,7-テトラヒドロキシ-8-メトキシイソフラボン、二量体ジアリールプロパンまたはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、ベンセラジドは、スペーサーまたはリンカーを介して、本明細書に記載されるように糖に結合される。一実施形態では、スペーサーはジカルボン酸を含む。
【0121】
別の実施形態では、追加の治療化合物は、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤を含む。一実施形態では、COMT阻害剤は、エンタカポン(Comtan(登録商標))、トルカポン(Tasmar(商標))、オピカポン、ニテカポン、ネビカポンまたはそれらの組み合わせ、もしくは他のCOMT阻害剤を含む。
【0122】
別の実施形態では、追加の治療化合物は、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートを含み、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている。
【0123】
別の実施形態では、追加の治療用化合物は、CVXL-0107、PXT002331(Foliglurax)、プラミペキソール、AFQ056(Mavoglurant)、ラサギリン(Azilect(登録商標))、E2007(Perampanel)、Fipamezole、ロチゴチン(Neupro(登録商標))、サフィナミド、KW6002(イストラデフィリン)、BIIB014、NS2330(テソフェンシン)、トザデナント、ロピニロール、GSK962040、Cabaseril(商標)カベルゴリン、SCH900800(MK-8800)、パルドプルノックス、KD5040、イカリイン(ICA)、ニコチン、αリポ酸(α lipoic)を含む。
【0124】
別の実施形態では、追加の治療用化合物は、アマンタジン、メムタイム、スレギリン、コリンルエステラーゼ阻害剤、抗コリン作動薬(一実施形態では、アトロピン)、グルタチオン、SSRI、他のモノアミンの阻害剤、抗精神病薬、カンナビノイドまたはそれらの組み合わせを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるコンジュゲートのいずれかと、非コンジュゲートL-DOPA分子とを含む医薬成分が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、マンニトールと、1-6個のL-DOPA分子とを含む医薬成分が本明細書に開示され、L-DOPA分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は、前記マンニトールにコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、マンニトールと、1-6個のカルビドパ分子とを含む医薬成分が本明細書に開示され、カルビドパ分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は、前記マンニトールにコンジュゲートされない。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるコンジュゲートのいずれかと、非コンジュゲートカルビドパ分子とを含む医薬成分が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、マンニトールと、1-6個のL-DOPA分子とを含む医薬成分が本明細書に開示され、L-DOPA分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は、前記マンニトールにコンジュゲートされない。いくつかの実施形態では、マンニトールと、1-6個のカルビドパ分子とを含む医薬成分が本明細書に開示され、カルビドパ分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は、前記マンニトールにコンジュゲートされない。
【0127】
コンジュゲートの使用
【0128】
一実施形態では、本発明は、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法を提供し、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0129】
別の実施形態では、本発明は、対象の血液、血漿または血清中のL-DOPAの治療レベルを確立または維持する方法を提供し、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。一実施形態では、L-DOPAレベルは数時間にわたって維持される。
【0130】
別の実施形態では、本発明は、対象の血液、血漿または血清中のL-DOPAの濃度を増加させる方法及び/または血液循環中のL-DOPAを長期間にわたって維持する方法を提供し、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。一実施形態では、L-DOPA濃度は、ベースラインと比較して、数時間にわたって増加している。
【0131】
一実施形態では、血液、血清または血漿中のL-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤の濃度は、ベースラインと比較して増加している。一実施形態では、L-DOPAまたはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤の濃度は、数時間にわたって増加しており、これは、一実施形態では1-24時間、別の実施形態では5-10時間、別の実施形態では1-2時間、別の実施形態では1-5時間、別の実施形態では1-10時間、別の実施形態では1-15時間、別の実施形態では1-20時間、別の実施形態では5-15時間、別の実施形態では、5-20時間、別の実施形態では10-15時間、別の実施形態では、10-20時間である。別の実施形態では、濃度は1-5日間にわたって増加しており、これは、一実施形態では1、2、3、4または5日を含む。
【0132】
別の実施形態では、本発明は、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を抑制する方法を提供し、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を阻害する方法を提供し、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0133】
一実施形態では、本発明は、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法を提供し、前記医学的障害を有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を抑制する方法を提供し、前記医学的障害を有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を阻害する方法を提供し、前記医学的障害を有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。
【0134】
一実施形態では、本発明は、運動障害を治療する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、運動障害を抑制する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、運動障害を阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0135】
一実施形態では、本発明は、運動障害を治療する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、運動障害を抑制する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明は、運動障害を阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。
【0136】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含み、
【0137】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0138】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、糖及び2以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、2以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0139】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0140】
別の実施形態では、本発明は、運動障害を治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、運動障害を有する対象に、治療有効量の、糖及び2以上の分子のフェニルアラニン誘導体を含む治療有効量のコンジュゲートであって、第1のフェニルアラニン誘導体はL-DOPA分子を含み、第2のフェニルアラニン誘導体はカルビドパまたはベンセラジドのいずれかを含み、前記糖は、それぞれが前記糖のヒドロキシル基を介して、前記L-DOPA分子のカルボキシル基と、前記カルビドパ分子のカルボキシル基またはベンセラジドに結合したジカルボン酸のカルボキシル基のいずれかと、にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、薬学的に許容される担体に処方された上記のコンジュゲートを含む医薬成分、を投与するステップを含む。
【0141】
一実施形態では、運動障害の治療は、継続的なドーパミン作動性刺激を必要とする。
【0142】
一実施形態では、本明細書で使用する場合、「運動障害」という用語は、運動の速度、流暢さ、質及び容易さに影響を与える神経学的状態を指す。一実施形態では、異常な流暢性または運動の速度は、運動過剰症または不随意運動(ジスキネジア及び運動過多)、振戦、アカシジアを伴い、別の実施形態では、随意運動の遅延または欠如(アキネジア及び動作緩徐などの運動機能減退症)を伴う。別の実施形態では、運動障害は、すくみ足歩行及びジストニアのような緊張障害を含む。
【0143】
一実施形態では、運動障害は、パーキンソン病(PD)を含む。
【0144】
一実施形態では、PDは、イギリスの脳バンク基準、または、パーキンソン病もしくはパーキンソニズムに関する任意の他の基準に従って診断される。
【0145】
一実施形態では、本発明の方法は、症候性PDを有する対象に治療効果を提供する。別の実施形態では、本発明の方法は、進行した、すなわち後期のPDを有する対象に治療効果を提供する。
【0146】
別の実施形態では、PDを有する対象は運動症状を経験する。別の実施形態では、進行したPD患者は、ウェアリング・オフ及び症状の変動(motor fluctuation)を含む後期運動合併症を経験する。
【0147】
別の実施形態では、PDを有する対象は、進行したPDを有する。別の実施形態では、PDを有する対象は、進行したPDを有し、症状の変動を経験している。一実施形態では、症状の変動は、良好な可動性、重度の不動、または、制御されていないか過剰な運動の間で、予想される、あるいは予期しない変化を引き起こす。一実施形態では、症状の変動は、「オンオフ現象」または「オンオフ変動」と呼ばれる。一実施形態では、「オンオフ現象」は、経口での断続的なL-DOPA投与に起因する。したがって、この態様によれば、及び一実施形態では、本発明のコンジュゲート及び成分は、「オンオフ現象」の重症度、頻度またはその両方を防止または低減する。一実施形態では、本発明のコンジュゲート及び成分は、L-DOPAの利点によって早期のウェアリング・オフを遅らせ、または、別の実施形態では、L-DOPAの作用期間を延長する。
【0148】
一実施形態では、本発明の方法は、朝のアキネジアを有する対象を治療する方法を提供する。一実施形態では、朝のアキネジアは、最も一般的であり、多くの場合、PDの最初の運動合併症である。一実施形態では、朝のアキネジアは、ドーパミン作動系の刺激の夜間の低下を反映している。
【0149】
別の実施形態では、PDは、運動合併症を伴う進行性パーキンソン病を含む。
【0150】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、一実施形態では後期PDで発生するL-DOPA投与の有効期間の短縮化を逆転、予防または改善するのに有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、L-DOPAの投与頻度を減少させるか、または別の実施形態では、対象に投与されるL-DOPAの1日用量の数を減少させる。
【0151】
別の実施形態では、PDは特発性PDを含む。
【0152】
別の実施形態では、PDは、脳炎後パーキンソニズムを含む。
【0153】
別の実施形態では、運動障害は、一酸化炭素中毒またはマンガン中毒後の症候性パーキンソニズムを含む。
【0154】
別の実施形態では、運動障害は、ドーパミン応答性ジストニアを含む。
【0155】
一実施形態では、ドーパミン応答性ジストニアは、瀬川病を含む。
【0156】
別の実施形態では、運動障害は、レストレスレッグス症候群を含む。
【0157】
別の実施形態では、運動障害は、1以上のパーキンソンプラス症候群を含む。
【0158】
一実施形態では、運動障害は、血管性(アテローム硬化性)または下半身のPDを含む。
【0159】
一実施形態では、パーキンソンプラス症候群は、シヌクレイノパチーまたはタウオパチーを含む。
【0160】
別の実施形態では、パーキンソンプラス症候群は、多系統萎縮症(MSA)、タウオパチー様前頭側頭型変性症、大脳皮質基底核変性症(CBD)またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、前記タウオパチー様前頭側頭型変性症は、進行性核上性麻痺(PSP)、ピック病またはそれらの組み合わせを含む。
【0161】
別の実施形態では、パーキンソンプラス症候群は、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)、及び大脳皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺(PSP)、または大脳皮質基底核変性症(CBD)を含む。
【0162】
一実施形態では、パーキンソンプラス症候群は、レビー小体型認知症(DLB)またはびまん性レビー小体病(DLBD)を含む。
【0163】
別の実施形態では、パーキンソンプラス症候群はピック病を含む。
【0164】
別の実施形態では、パーキンソンプラス症候群はオリーブ橋小脳萎縮症を含む。
【0165】
別の実施形態では、運動障害は、歩行障害を含み、歩行障害は、一実施形態ではすくみ足歩行(FOG:freezing of gait)を含む。
【0166】
一実施形態では、運動障害は医原性PDである。
【0167】
一実施形態では、本発明はシヌクレイノパチーを治療する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明はシヌクレイノパチーを抑制する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明はシヌクレイノパチーを阻害する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0168】
一実施形態では、本発明はシヌクレイノパチーを治療する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明はシヌクレイノパチーを抑制する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。別の実施形態では、本発明はシヌクレイノパチーを阻害する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、本明細書に記載のコンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む治療有効量の成分を投与するステップを含む。
【0169】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、マンニトールは、マンニトールのヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0170】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0171】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、糖及び2以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、2以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0172】
別の実施形態では、本発明は、シヌクレイノパチーを治療、抑制または阻害する方法を提供し、当該方法は、シヌクレイノパチーを有する対象に、治療有効量の、糖及びDOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート、または、コンジュゲート及び薬学的に許容される担体を含む医薬成分、のいずれかを投与するステップを含む。
【0173】
一実施形態では、コンジュゲートは鼻腔内に投与される。別の実施形態では、コンジュゲートは、静脈内、皮下、経皮、直腸、十二指腸内、経口または吸入によって投与される。
【0174】
一実施形態では、コンジュゲートは、10-3000mgの1日用量で対象に投与される。
【0175】
別の実施形態では、コンジュゲートは、10-100、10-1000、10-2000、100-500、100-1000、100-1500、100-2000、100-2500、100-3000、500-1000、500-1500、500-2000、500-2500、500-3000、1000-1500、1000-2000、1000-2500、1000-3000、1500-2000、1500-2500、1500-3000、2000-2500、2000-3000または2500-3000mgの1日用量で対象に投与される。
【0176】
一実施形態では、コンジュゲート内のマンニトールの量は、5-40mgの1日用量を含む。別の実施形態では、コンジュゲート内のマンニトールの量は、5-10mg、5-15mg、5-20mg、5-25mg、5-30mg、5-35mg、10-15mg、10-20mg、10-25mg、10-30mg、10-35mg、10-40mg、15-20mg、15-25mg、15-30mg、15-35mg、15-40mg、20-25mg、20-30mg、20-35mg、20-40mg、25-30mg、25-35mg、25-40mg、30-35mg、30-40mgまたは35-40mgの1日用量を含む。
【0177】
一実施形態では、コンジュゲート内のL-DOPAの量は、100-2200mgの1日量を含む。別の実施形態では、コンジュゲート内のL-DOPAの量は、100-500mg、100-1000mg、100-1500mg、100-2000mg、500-1000mg、500-1500mg、500-2000mg、500-2200mg、1000-1500mg、1000-2000mg、1000-2200mg、1500-2000mg、1500-2200mgまたは2000-2200mgの1日用量を含む。
【0178】
一実施形態では、コンジュゲートは、単回投与で対象に投与される。別の実施形態では、コンジュゲートは、複数用量で対象に投与される。
【0179】
一実施形態では、コンジュゲートの有効成分は、長期間にわたって血液循環中に放出される。一実施形態では、対象へのDOPAMの静脈内、経口、鼻腔内、直腸、皮下、経皮または胃腸投与は、少なくとも30、60、90、120、180、240、300、360、420、480、540、600、660、720、780または840分にわたって、前記対象におけるL-DOPAの治療的血中濃度を確立する。一実施形態では、対象へのDOPAMの静脈内投与は、840分を超えて、前記対象におけるL-DOPAの治療的血中濃度を確立する。
【0180】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるコンジュゲートは、長期間にわたって、対象における治療的L-DOPA血中濃度を確立するために使用される。別の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象における治療的L-DOPA血中濃度を確立する方法を提供し、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、治療有効量の本明細書に記載のコンジュゲートを投与するステップを含む。一実施形態では、有効成分は、マンニトール及びL-DOPAを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法が本明細書に開示され、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、本明細書に開示されるコンジュゲートのいずれか及び非コンジュゲートL-DOPA分子を含む治療有効量の医薬成分を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法が本明細書に開示され、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含む治療有効量の医薬成分を投与するステップを含み、L-DOPA分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は前記マンニトールにコンジュゲートされていない。
【0182】
いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法が本明細書に開示され、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、マンニトール及び1-6個のカルビドパ分子を含む治療有効量の医薬成分を投与するステップを含み、カルビドパ分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は前記マンニトールにコンジュゲートされていない。
【0183】
いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法が本明細書に開示され、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、本明細書に開示されるコンジュゲートのいずれか及び非コンジュゲートカルビドパ分子を含む治療有効量の医薬成分を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法が本明細書に開示され、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、マンニトール及び1-6個のL-DOPA分子を含む治療有効量の医薬成分を投与するステップを含み、L-DOPA分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は前記マンニトールにコンジュゲートされていない。
【0184】
いくつかの実施形態では、ドーパミン作動性刺激に応答する医学的障害を治療する方法が本明細書に開示され、当該方法は、前記医学的障害を有する対象に、マンニトール及び1-6個のカルビドパ分子を含む治療有効量の医薬成分を投与するステップを含み、カルビドパ分子は、それらのカルボキシル基によって前記マンニトールにコンジュゲートされ、L-DOPA分子は前記マンニトールにコンジュゲートされていない。
【0185】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、DOPAデカルボキシラーゼの1以上の阻害剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、本明細書に記載の、糖がコンジュゲートされたDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。別の実施形態では、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤は、上記のように、遊離した、すなわち非コンジュゲートDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を含む。
【0186】
生成方法
【0187】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のフェニルアラニン誘導体を生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、糖または糖アルコールを1以上のフェニルアラニン誘導体とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0188】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のL-DOPAを生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、糖または糖アルコールを1以上のL-DOPA分子とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0189】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のL-DOPA及びマンニトールを生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、マンニトールを1以上のL-DOPAとコンジュゲートさせるステップを含む。
【0190】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のL-DOPA、糖またはそれらの組み合わせを生成する方法を提供し、当該方法は、エステル結合を介して、糖を1以上のL-DOPA分子とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0191】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤、糖またはそれらの組み合わせを生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、糖を1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0192】
別の実施形態では、本発明は、マンニトールと1-6個のL-DOPA分子とのコンジュゲートを生成する方法を提供し、当該方法は、以下のステップ:(a)メチル-L-DOPA塩酸塩を生成すべく、L-DOPAをSOCl及びCHOHと組み合わせるステップ、(b)テトラベンジルメチルL-DOPAを生成すべく、メチル-L-DOPA塩酸塩をKCO、KI、臭化テトラブチルアンモニウム及び臭化ベンジルとアセトニトリル中で組み合わせるステップ、(c)テトラベンジルメチルL-DOPAをNaOHで加水分解してテトラベンジルL-DOPAを生成することにより、テトラベンジルメチルL-DOPAからメチル基を除去するステップ、(d)(i)(1S,2R)-1,2-ビス((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート、(ii)(4R,4'R,5R,5'R)-2,2'-ジフェニル-4,4'-ビ(1,3-ジオキサン)-5,5'-ジイルビス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)または(iii)(2R,3R,4R,5R)-3,6-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,4,5-テトライルテトラキス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)をそれぞれ生成すべく、テトラベンジルL-DOPAを、(i)ジイソプロピリデンマンニトール、(ii)1,3:4,6ジ-O-ベンジリデン-D-マンニトールまたは(iii)(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールと組み合わせるステップ、及び(e)Pd/CまたはPdOH/Cを触媒として使用し、Hで水素化することにより、ステップ(d)の保護されたL-DOPAマンニトールコンジュゲートからベンジル基を除去するステップを含み、これにより、マンニトールと1-6個のL-DOPA分子とのコンジュゲートが生成される。
【0193】
一実施形態では、本発明は、ステップ(d)において(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールを生成する方法を提供し、当該方法は、以下のステップ:(a)生成物(14)を生成すべくジイソプロピリデンマンニトールを臭化ベンジルと組み合わせるステップを含む、ベンジル基をジイソプロピリデンマンニトールへ付加するステップ、及びイソプロピリデン基を除去すべく生成物(14)をHSO/シリカと組み合わせるステップを含む、生成物(14)からイソプロピリデン基を除去するステップ、を含み、これにより、ジイソプロピリデンマンニトールから(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオールが生成される。
【0194】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のドーパミンアゴニストを生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、糖または糖アルコールを1以上のドーパミンアゴニストとコンジュゲートさせるステップを含む。
【0195】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態の芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(DOPAデカルボキシラーゼ)阻害剤を生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、糖または糖アルコールを1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤分子とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0196】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤及びマンニトールを生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、マンニトールを1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0197】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のカルビドパ(IUPAC名:(2S)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-ヒドラジノ-2-メチルプロパン酸)及びマンニトールを生成する方法を提供し、当該方法は、1以上のエステル結合を介して、マンニトールを1以上のカルビドパ分子とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0198】
別の実施形態では、本発明は、徐放形態のカルビドパ、糖またはそれらの組み合わせを生成する方法を提供し、当該方法は、エステル結合を介して。糖を1以上のカルビドパ分子とコンジュゲートさせるステップを含む。
【0199】
別の実施形態では、本発明は、マンニトールと1-6個のカルビドパ分子とのコンジュゲートを生成する方法を提供し、当該方法は、以下のステップを含む:(i)カルビドパのメチルエステルを得るために、カップリング剤であるHClガスの存在下でカルビドパをメタノールと反応させるステップ、(ii)アミン基を保護すべく、カルビドパのメチルエステルを(Boc)Oと反応させるステップ、(iii)すべての活性基を保護すべく、(ii)において得られた化合物を塩基(CsHCO)の存在下で臭化ベンジルによって処理するステップ、(iv)0.33MのLiOHの存在下で、HO/CHOH/THFの混合物中でカルボン酸からメチル基を除去するステップ、(v)ステップ(iv)の化合物をジベンジルマンニトールと反応させることにより、完全に保護されたCARBIDOPAMを得るステップ、(vi)トリクロロ酢酸を使用してtert-ブトキシドを除去するステップ、及び(vii)10%のPd/Cを触媒として使用し、メタノール中で水素化してベンジル基を除去することにより、CARBIDOPAMを得るステップ。
【0200】
定義
【0201】
本明細書で特に明記しない限り、単数形で行われる参照は、複数形も含み得る。例えば、「a」及び「an」は、1つ、または1以上を指してもよい。
【0202】
本明細書に記載の定義は、参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願及び/または特許出願の刊行物に記載される定義よりも優先される。
【0203】
以下に列挙されているのは、本発明を説明するために使用される様々な用語の定義である。これらの定義は、個別に、または、より大きなグループの一部として、(特定の実施例において特に限定されていない限り)明細書全体を通して使用されるように、用語に適用される。
【0204】
一実施形態では、本発明の成分は、薬学的に許容される担体を含む。一実施形態では、「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題もしくは合併症のない人間及び動物の組織との接触した使用に適し、合理的な利益/リスク比に見合った、化合物、材料、成分及び/または剤形を指すために使用される。
【0205】
一実施形態では、本明細書で使用される場合、「分子」という用語は、その元素または化合物の化学的性質を有する化学元素または化合物中の最小の粒子を指す。一実施形態では、分子は、化学結合によって共に保持されている原子から構成されている。これらの結合は、原子間での電子の共有または交換の結果として形成されている。
【0206】
一実施形態では、本明細書で使用される場合、「徐放性」という用語は、天然の薬物または化合物の通常の放出速度と比較して長期間にわたって送達されるように製造された薬物または化合物を指す。
【0207】
一実施形態では、本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、本発明の化合物と接触させることを指す。一実施形態では、成分は全身に適用される。別の実施形態では、成分は局所的に適用され得る。投与は、例えば人間などの生物に対して行われる。
【0208】
一実施形態では、「投与すること」、「投与する」または「投与」という用語は、1以上の化合物または成分を、非経口的、経腸的または局所的に対象に送達することを指す。非経口投与の例示的な例は、以下に限定しないが、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気内、皮下、くも膜下、脊髄内及び胸骨内の注射及び注入を含む。経腸投与の例示的な例は、以下に限定しないが、例えば、経口、吸入、鼻腔内、舌下及び直腸投与を含む。局所投与の例示的な例は、以下に限定しないが、例えば、経皮投与及び膣投与を含む。特定の実施形態では、薬剤または成分は鼻腔内に投与される。
【0209】
一実施形態では、本発明の成分は、治療有効量で投与される。一実施形態では、「治療有効量」は、本発明の化合物単独の量、特許請求された化合物の組み合わせの量、または、運動障害の治療、抑制または阻害に有効な他の有効成分と組み合わせた本発明の化合物の量を含むことを意図している。一実施形態では、本発明の成分の「治療有効量」は、成分が投与される対象に有益な効果を提供するのに十分な成分の量である。
【0210】
一実施形態では、「治療すること」または「治療」は、疾病状態の緩和、疾病状態の退行の発生またはそれらの組み合わせを含む、哺乳動物(特にヒト)の疾病状態の治療を包含する。
【0211】
一実施形態では、本明細書で使用される場合、「治療すること」は、治療処置を指し、その目的は、上記のような標的の病的状態または障害を予防または軽減することである。したがって、一実施形態では、治療は、疾患、障害もしくは疾病状態、またはそれらの組み合わせに直接影響を与えるか、または治癒することを含む。したがって、一実施形態では、「治療」は、とりわけ、進行の遅延、寛解の促進、寛解の誘導、寛解の増強、回復の迅速化、代替治療薬の有効性の増加もしくは代替治療薬に対する耐性の減少、またはそれらの組み合わせを指す。
【0212】
別の実施形態では、本発明は、疾患、障害または疾病状態に影響を与えるための予防的手段または予防に寄与する手段を提供する。一実施形態では、予防手段は、特に、哺乳動物が疾病状態になりやすいが、その疾病状態を有するとまだ診断されていない場合に、そのような哺乳動物において疾病状態の発生を防止することを含む。一実施形態では、「予防すること」は、とりわけ、疾患の発症を遅らせること、症状の発症を遅らせること、疾患への再発を防ぐこと、再発エピソードの数または頻度を低下させること、症候性エピソード間の潜伏期間を増やすこと、またはそれらの組み合わせを指す。
【0213】
一実施形態では、「抑制すること」または「阻害すること」は、とりわけ、疾病状態を阻害すること、疾患の発症を阻止すること、疾患の重症度を低減させること、症状の重症度を低減させること、急性エピソードの重症度を低減させること、症状の数を低減させること、疾患関連症状の発生率を低下させること、症状の潜伏期間を短縮すること、症状を改善すること、二次症状を軽減させること、二次感染を低減させること、患者の生存期間を延長すること、またはそれらの組み合わせを指す。
【0214】
本発明の方法のいずれかによれば、及び一実施形態では、本明細書に記載の対象はヒトである。別の実施形態では、対象は哺乳動物である。別の実施形態では、対象は霊長類であり、これは、一実施形態では、ヒト以外の霊長類である。別の実施形態では、対象はネズミ科であり、これは、一実施形態ではマウスであり、別の実施形態ではラットである。別の実施形態では、対象は、イヌ科、ネコ科、ウシ属、ウマ科、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、クマ、キツネまたはオオカミである。一実施形態では、対象はニワトリまたは魚である。
【0215】
一実施形態では、本明細書に記載の成分は、成分の構成要素(例えば、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート)及び1以上の追加の治療用化合物を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の成分は、本明細書に記載の成分の構成要素(例えば、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子のカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート)からなる。別の実施形態では、本明細書に記載の成分は、本明細書に記載の成分の構成要素(例えば、糖及び1以上のL-DOPA分子を含むコンジュゲートであって、糖は、糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPAのカルボキシル基にコンジュゲートされている、該コンジュゲート)から本質的になる。
【0216】
本明細書に記載の要素またはステップを含む本発明の成分及び方法は、別の実施形態では、それらの要素またはステップからなってもよく、または別の実施形態では、それらの要素またはステップから本質的になってもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、糖及び1以上のL-DOPA分子またはDOPAデカルボキシラーゼを含むコンジュゲートなどの示された活性剤の包含、並びに、製薬業界で知られている他の活性剤、及び薬学的または生理学的に許容される担体、賦形剤、軟化剤、安定剤などの包含を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「本質的に・・・からなる」という用語は、その有効成分のみが示された有効成分である成分を指す。しかしながら、製剤を安定化、保存などするためのものであるが、示された有効成分の治療効果に直接関与しない他の化合物が含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、「本質的に・・・からなる」という用語は、有効成分の放出を促進する構成要素を指す。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「なる(consisting)」という用語は、有効成分及び薬学的に許容される担体または賦形剤を含む成分を指す。
【0217】
キット
【0218】
本発明は、本発明の成分の組み合わせと、任意選択で、キット形態の1以上の追加の薬剤とをさらに含み、例えば、それらは一緒にパッケージ化されるか、キットとして一緒に販売される別個のパッケージに配置される、または、それらは一緒に処方されるようにパッケージ化される。
【0219】
特定の実施形態では、キットは、(a)糖、及び(b)1以上のL-DOPA分子、1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせ、を含む有効量のコンジュゲートを含む治療用成分を含み、糖は、本明細書に記載の糖のヒドロキシル基を介して、1以上のL-DOPA分子及び/または1以上のDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤のカルボキシル基にコンジュゲートされている。一実施形態では、キットは、追加の治療用化合物をさらに含む。別の実施形態では、キットは、対象が疾患、障害または疾病状態を有するかどうかを判定するための診断をさらに含む。
【0220】
特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載の成分を含む滅菌容器を含む。一実施形態では、そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、ポーチ、ブリスタパック、または当該技術分野で知られている他の適切な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、または薬剤を保持するのに適した他の材料で作製され得る。
【0221】
必要に応じて、本発明の成分は、運動障害(例えば、パーキンソン病)を有するかまたは運動障害を発症するリスクのある対象に成分を投与するための説明書と一緒に提供される。説明書には、一般に、運動障害(例えば、パーキンソン病)の治療または予防のための成分の使用に関する情報が含まれる。他の実施形態では、説明書は、以下のうちの少なくとも1つを含む:治療用成分の説明、運動障害(パーキンソン病など)またはその症状の治療または予防のための用量スケジュール及び投与法、注意事項、警告、指示、否定的な指示、過剰摂取情報、副作用、動物薬理学、臨床試験及び/または参照。説明書は、容器(存在する場合)に直接、容器に貼付されるラベルとして、または、容器内もしくは容器に付属する別のシート、パンフレット、カードもしくはフォルダとして印刷されてもよい。
【0222】
実施例
【0223】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示及び記載されているが、多くの修正、置換、変更及び均等物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にあるすべてのそのような修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
【0224】
実施例1:L-DOPA-マンニトール及びカルビドパ-マンニトール誘導体
【0225】
L-DOPA-マンニトール誘導体(図1A-1F)及びカルビドパ-マンニトール誘導体(図2A-2F)の実施例が提供される。
【0226】
実施例2:L-DOPA-マンニトール誘導体の合成
【0227】
L-DOPA-マンニトール誘導体の合成は、主に両方の出発物質の有機溶媒への溶解度が低いことから、L-DOPA及びマンニトールの保護及び脱保護を含む多段階プロセスである。
【0228】
I.L-DOPAのメチルエステル(2)の合成
【0229】
【化4】
【0230】
スキーム1
【0231】
20mlのSOClを、(-5)-(-10)℃で、100mlのCHOHに2時間かけて滴下した。次に、10g(0.05mol)のL-DOPA(重量平均分子量197)を加えた。反応物を、50℃で、マグネチックスターラーによって4時間撹拌し、室温で一晩放置した。
【0232】
溶媒を蒸発させた。約70mlのメタノールを加え、減圧下で再び溶媒を除去した。100mlのジエチルエーテルを加え、混合物を冷蔵庫(4℃)に一晩置いた。
【0233】
一晩インキュベートした後、沈殿物が形成された。溶媒をデカントした。残留物をメタノール中で溶解し、フラスコに移した。溶媒を減圧下で除去した。17g(重量平均分子量247)の生成物(2)が得られた(メタノールを含む)。
【0234】
II.テトラベンジルメチルL-DOPA(3)の合成
【0235】
【化5】
【0236】
スキーム2
【0237】
1mlのトリエチルアミン、10.6gのKCO(重量平均分子量138)、150mgのKI(粉砕)、129mgの臭化テトラブチルアンモニウム(重量平均分子量322)(粉砕)及び105mlのアセトニトリル(乾燥)中の7.5mlの臭化ベンジル(重量平均分子量171、d=1.44)(無水及び蒸留)中の、2.24g(9.1mmol)のメチル-L-DOPA塩酸塩(重量平均分子量247)(2)の混合物を、還流温度で撹拌した。反応物を7時間還流した。クロロホルムを加え、すべての固体塩を濾別した。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物(3)が得られた。MS EPCIポジティブモードm/z=[M+1]=572.20。フラッシュクロマトグラフィー用の130gのシリカゲル、カラム調製用のヘキサン-酢酸エチル(10%)、及び溶出液としてヘキサン中の20%の酢酸エチルを使用して、カラムクロマトグラフィーによって粗生成物(3)を精製した。20mlの画分を収集し、TLC(ヘキサン-酢酸エチル6:1)でチェックした。0.95g(1.66mol)(重量平均分子量571)の白色固体が得られた。別の画分には、1.5g(2.6mmol)の同一の生成物が含まれていた。収率は47%であった。
【0238】
III.テトラベンジルメチルL-DOPA(4)からのメチル基の除去
【0239】
【化6】
【0240】
スキーム3
【0241】
0.95gの(3)を29mlのCHOH+15mlのTHFに溶解した。15mlのHO中の2.5gのKCOを加え、反応物を一晩撹拌した。反応は起こらなかった。10mlの3M NaOHを加え、反応混合物を40℃で2.5時間撹拌した。その後、さらに7mlの3M NaOH及び10mlのTHFを加えた。溶液はほぼ透明になった。TLC(ヘキサン-酢酸エチル1:1)は1つの新たなスポットを示した。水を加え、溶液をNaHSO 1MによってpH約2に酸性化し、CHClで抽出し、MgSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。
【0242】
IV.テトラベンジルL-DOPAとマンニトール誘導体とのコンジュゲート
【0243】
a.テトラベンジルL-DOPA(4)及びジイソプロピリデンマンニトール(5)が結合することによって(1S,2R)-1,2-ビス((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-2-ヒドロキシエチル3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート(6)が得られた。
【0244】
10mlのCHCl(乾燥)中の0.52gのDCC(重量平均分子量206)(2.5mmol)の溶液を、29mlのCHCl(乾燥)中の、0.98gの(4)(重量平均分子量557)1.79mmol、0.196gの(5)(重量平均分子量262)0.75mmol、0.26gのDMAP(重量平均分子量122)の混合物に、温度(-2℃)-(-5℃)で、2時間かけて滴下して加えた。反応混合物を、室温で、週末の間撹拌した。MSは、(6):m/z=[M+1]=802、(7):m/z=[M+1]=1341、及びDCCと(4):m/z=[M+1]=764.33とのコンジュゲートの存在を示した。混合物を濾過し、減圧によって溶媒を除去した。フラッシュクロマトグラフィー用のシリカゲル100g及びカラムの調製用のヘキサン-酢酸エチル(10%)、並びにカラムの運転用のヘキサン-酢酸エチル(20%)を使用するカラムクロマトグラフィーによって生成物(6)を精製した。20mlの画分を収集し、TLC(ヘキサン-酢酸エチル3:2)によってチェックした。0.55gの純粋な生成物(6)(MS)が得られた。
【0245】
【化7】
【0246】
スキーム4a
【0247】
b.テトラベンジルL-DOPA(4)を1,3:4,6ジ-O-ベンジリデン-D-マンニトール(10)に結合させることにより、(4R,4'R,5R,5'R)-2,2'-ジフェニル-4,4'-ビ(1,3-ジオキサン)-5,5'-ジイルビス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)(11)が得られた。
【0248】
反応(スキーム4b)は、上記のステージIV(a)に記載されているように起こった。主に、生成物(11)はMSによって得られた。生成物を結晶化により精製した。最初に、減圧下で溶媒を部分的に除去し、メタノールを加え、混合物を冷凍庫で一晩保持した。デカンテーション後に得られた残留物をエーテル-メタノールから再結晶させた。TLC(ヘキサン-酢酸エチル6:4)は1つのスポットを示した。m/z=[M+1]=1437.39。
【0249】
【化8】
【0250】
スキーム4b
【0251】
c.テトラベンジルL-DOPA(4)を(2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,5,6-テトラオール(15)に結合させることにより、(2R,3R,4R,5R)-3,6-ビス(ベンジルオキシ)ヘキサン-1,2,4,5-テトライルテトラキス(3-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-2-(ジベンジルアミノ)プロパノエート)(16)が得られた(スキーム4c)。
【0252】
反応は、上記のステージIV(a)に記載されているように起こった。
【0253】
反応後、混合物を濾過し、減圧下で溶媒を除去し、メタノールを加え、混合物を冷凍庫で一晩保持した。溶媒をデカントした。メタノールによって、残留物をエーテルから2回再結晶させた。0.53gの生成物(16)が得られた。
【0254】
MS m/z=[M+1]/2=1261.27。ギ酸を加えてMSを行った。アミン基の存在に起因して分子に二重電荷があったため、MSは[M+1]/2=1261.27を示した。
【0255】
【化9】
【0256】
スキーム4c
【0257】
V.生成物(6)からのイソプロピリデン基の除去(スキーム5)
【0258】
【化10】
【0259】
スキーム5
【0260】
20mlの乾燥メタノール中の0.55gの生成物(6)と0.28gのHSO/シリカゲルとの混合物を、室温で8.5時間撹拌した。MS m/z=[M+1]=722.37(対象生成物(8))。HSO/シリカゲルを濾別した。さらなる反応のために、生成物をメタノール中に残した。
【0261】
VI.ベンジル基の除去
【0262】
a.最終生成物(9)を得るための生成物(8)からのベンジル基の除去(スキーム6a)
【0263】
メタノール中に生成物(8)を含む濾過された溶液を、反応器(水素化用のPyrex(登録商標)ボトル)に導入した。10mlの酢酸エチル及び50mgのPd/C10%を加えた。Hによる水素化を、40psi、室温で一晩行った。触媒を濾別し、減圧下で溶媒を除去し、ジエチルエーテルを加え、混合物を冷凍庫で一晩保持した。その後、溶媒をデカントした。生成物をメタノールに溶解し、エーテルを加えた後、ヘキサンを加えることにより、再結晶を行った。0.17gの最終生成物が得られた。MS m/z=[M+1]=362.03
【0264】
【化11】
【0265】
スキーム6a
【0266】
b.生成物(11)からのベンジル基の除去(スキーム6b)
【0267】
ステージVI(a)に記載されているように反応が起こった。
【0268】
【化12】
【0269】
スキーム6b
【0270】
MS m/z=[M+1]=1077.42により、ベンジリデン基が除去されていない生成物(12)が得られたことが確認された。したがって、すべてのベンジリック及びベンジリデン基を除去するために、別の触媒を調べた(スキーム6cを参照)。
【0271】
c.生成物(16)からのベンジル基の除去
【0272】
【化13】
【0273】
(スキーム6c)
【0274】
代替触媒として、DMF(ジメチルホルムアミド)で3回洗浄したPdOH/Cを使用した。この新たなアプローチにしたがって、68mgの生成物(16)、130mgのアスコルビン酸及び48mgのPdOH/C 20%の混合物を、H雰囲気(40psi)下、室温で48時間振盪した。触媒を濾別し、ジエチルエーテルを加え、混合物を冷凍庫で一晩保持した。その後、溶媒をデカントした。MS m/z=720.27及び899.33は、3分子及び4分子のL-DOPAが1分子のマンニトールに結合した生成物に対応する(スキーム6c)。
【0275】
VII.ジイソプロピリデン-D-マンニトール(5)のヒドロキシル基のベンジル基による保護
【0276】
【化14】
【0277】
スキーム7
【0278】
1mlのDMF(乾燥)中の2g(1.4ml)の臭化ベンジル(13)を、15mlのDMF(乾燥)中の1g(3.8mmol)のジイソプロピリデンD-マンニトール及びオイル中の0.8gのKH 35%の混合物に室温で滴下した。反応物を一晩撹拌した。その後、混合物を1N HClで酸性化した。生成物を酢酸エチルで抽出した。有機溶液を水及びブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過した。
【0279】
MS分析は明確ではなかったので、3mlのCHOH(乾燥)及び0.15mlの塩化アセチルを加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。
【0280】
TLC(ヘキサン-酢酸エチル7:3)を行った。いくつかの新たなスポットが観察された。ジエチルエーテルを加え、沈殿した塩を濾別した。有機相を水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。生成物(スキーム7の14)(MS m/z=[M+18]=460.07)を、フラッシュ用のシリカゲル90g及びヘキサン-酢酸エチル20%11、その後ヘキサン-酢酸エチル40%を使用して、カラムクロマトグラフィーにより分離した。
【0281】
VIII.生成物(14)からのイソプロピリデン基の除去(スキーム8)
【0282】
【化15】
【0283】
スキーム8
【0284】
反応は、ステージVに記載されているものと同様に起こった。0.8gの粗生成物(15)が得られた。TLC CHCl-CHOH(10:1)は2つのスポットを示した。生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(5%)11用のシリカゲル90g、CHCl-CHOH(8%)750mlを使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。20mlの画分を収集した。純粋な生成物(15)は、TLC分析で1つのスポットを示した。MS m/z=[M+1]=362.85。
【0285】
実施例3:CARBIDOPA-マンニトールコンジュゲートの合成
【0286】
カルビドパ及びマンニトールのコンジュゲート(CARBIDOPAM)を得るための最初の試みを、DOPA-マンニトールコンジュゲート(DOPAM)について実施例2に記載されている方法を使用して実施した。カルビドパをHClガスの存在下でメタノールと反応させて、カルビドパのメチルエステルを得た。その後、アセトニトリル中、KCOの存在下で、カルビドパのメチルエステルを臭化ベンジルで処理することにより、完全に保護されたカルビドパを得ることを試みたが、反応のこのステップは失敗した。
【0287】
次に、以下のアプローチを検討した。
【0288】
I.カルビドパのメチルエステルの合成
【0289】
【化16】
【0290】
スキーム9
【0291】
カルビドパのメチルエステル(16)を得るべくHClガスの存在下でカルビドパをメタノールと反応させることにより、CARBIDOPAMが得られた。
【0292】
II.アミン基の保護
【0293】
【化17】
【0294】
スキーム10
【0295】
次に、カルビドパのメチルエステルを(Boc)Oと反応させ(ステップ2)、アミン基を保護し、化合物(17)を得た。
【0296】
III.すべての活性基の保護
【0297】
【化18】
【0298】
スキーム11
【0299】
化合物17を塩基(CsHCO)の存在下で臭化ベンジルによって処理することにより、すべての活性基(18)を保護した。
【0300】
IV.メチル基の除去
【0301】
【化19】
【0302】
スキーム12
【0303】
(18)のカルボン酸からのメチル基を、0.33MのLiOH(19)の存在下で、HO/CHOH/THFの混合物中で除去した。
【0304】
V.完全に保護されたCARBIDOPAMの合成
【0305】
【化20】
【0306】
スキーム13
【0307】
化合物(19)をジベンジルマンニトール(別途調製)と反応させることにより、完全に保護されたCARBIDOPAM(20)を得た。
【0308】
VI.tert-ブトキシドの除去
【0309】
【化21】
【0310】
スキーム14
【0311】
トリクロロ酢酸(21)を使用してtert-ブトキシドを除去した。
【0312】
VII.CARBIDOPAMの合成
【0313】
【化22】
【0314】
スキーム14
【0315】
最後に、Pd/C10%を触媒として使用し、メタノール中で水素化することによってベンジル基を除去して、CARBIDOPAM(22)を得た。
【0316】
実施例4:インビトロでのヒト血清中のL-DOPAM-1からのL-DOPAの放出
【0317】
血清中の1分子のL-DOPA及び1つのマンニトール(L-DOPAM-1、重量平均分子量361)の安定性を、以下の手順に従って評価した。
【0318】
1.1mlの血清中の2mgのL-DOPAMの溶液を調製した。
2.その溶液から200μlのアリコートをすぐに取り出した。
3.180μlのTCA(トリクロロ酢酸)0.6N溶液を加えた。
4.得られた混合物を遠心分離した(5,000rpm、15分、40℃)。
5.0.22μmのフィルタによって上澄みを濾過した。
6.濾液を20倍に希釈し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)(カラム:LUNA 3u C18(2)100A;150±1.0mm)に注入した。溶離液は、A=アセトニトリル、B=HO+0.1%酢酸であった。以下のLCグラジエントを使用した。
【0319】
表1.L-DOPAMを精製するためのLCグラジエント
【0320】
【表1】
【0321】
A=アセトニトリル、B=HO+0.1%酢酸
【0322】
血清中のL-DOPAM溶液を36°Cで保存した。ステップ2-6を、2、4、23及び46.5時間後に繰り返した。
【0323】
L-DOPAM、L-DOPA及びマンニトールの保持時間(RT;retention time)はすべて約3分であり、これはLCカラムで分離しなかったことを示している。L-DOPAM、L-DOPA及びマンニトールのピークの面積を、対象のイオンのみを抽出することによって決定した(図3-7)。L-DOPA代謝物ドーパミンは検出されなかった。
【0324】
L-DOPAMの安定性を半定量的に決定するために、L-DOPA対L-DOPAM及びマンニトール対L-DOPAMのピーク面積の比率を計算した。L-DOPAとマンニトールとの比率の経時的な増加は、血清中のL-DOPAMの分解を示している。表2は、結果をまとめたものである。
【0325】
表2.L-DOPAMに対するL-DOPAまたはマンニトールの、血清におけるL-DOPAMのLC-MSクロマトグラムのピーク面積の比率によって測定したL-DOPAMの安定性
【0326】
【表2】
【0327】
L-DOPAレベルは、23時間まで増加した後、46時間の時点で急激な減少が検出された(図8)。時間0でも、サンプル調製中のL-DOPAMの分解に起因して、一部のL-DOPAが検出された。L-DOPAMは、L-DOPAMの血清への曝露から46時間後でも検出された。マンニトールレベルは経時的に増加した(図9)。
【0328】
したがって、L-DOPA及びマンニトールはDOPAMからの同様の徐放パターンを示し、L-DOPAは放出後にマンニトールよりも高い速度で血清中において代謝された。
【0329】
様々な濃度のL-DOPAを血清に加えた後、曲線下のHPLC-MS面積を調べた(図10)。血清に内部標準を加えても、L-DOPAの検量線に大きな影響はなかった(図11)。DOPAMをインビトロでヒト血清に加え、様々な時点における血清中のL-DOPA濃度をHPLC-MSで測定し、内部標準を用いて定量化した。DOPAMは、少なくとも24時間にわたってL-DOPAを継続的に放出した(図12)。血清中のL-DOPAの濃度は、血清にDOPAMを加えてから最初の6時間の間直線的に増加した後、この実験で調べた最後の時点(DOPAMを加えてから24時間後、図12)まで増加し続けた。
【0330】
まとめると、データは、DOPAMの投与がL-DOPA及びマンニトールの徐放をもたらし、非コンジュゲートL-DOPAが約2時間血清中に存在するのと比較して、L-DOPAは少なくとも24時間血清中に存在することを示している。
【0331】
実施例5:インビトロでのヒト血清中のL-DOPAM-1及びL-DOPAM-4からのL-DOPAの放出
【0332】
血清中の、1分子のL-DOPA及び1つのマンニトール(L-DOPAM-1)の安定性と、4分子のL-DOPA及び1つのマンニトール(L-DOPAM-4)の安定性とを、実施例4に開示される方法によって評価した。L-DOPAM-1及びL-DOPAM-4をヒト血清に加え、37℃でインキュベートした。血清に薬物を加えた後、様々な時点でサンプルを採取し、L-DOPA濃度をLC-MSで測定した。
【0333】
L-DOPAM-1レベルは8時間後まで増加した後、24時間及び48時間の時点で徐々に減少した(図13)。L-DOPAM-4レベルは、最初は5時間後まで直線的に増加し、その後24時間の時点までより緩やかに増加し続け、その後最後に調べた72時間の時点までわずかに減少した(図13)。
【0334】
実施例6:マウスへのL-DOPA及びL-DOPAM-2の静脈内投与後のL-DOPAの薬物動態
【0335】
インビボでのDOPAM-2の安定性を分析するために、マウスにL-DOPAM-2またはL-DOPAのいずれかを静脈内注射し、いずれの場合も、等モル用量のL-DOPAを投与した(80mg/kgに相当するL-DOPA)。試験薬物の注射から30、60、120、240及び480分後にマウスを犠牲にし、血液を収集し、遠心分離によって血漿を得た。LC-MSによってL-DOPA濃度を決定した。各時点で3匹のマウスをテストし、グラフの各ポイントは平均±SEM(標準誤差)を表す。
【0336】
DOPAM-2を注射したマウスは、L-DOPAを注射したマウスよりも、注射後60、120、240及び480分におけるL-DOPAの血漿濃度が高かった(図14A)。
【0337】
さらに、有意なレベルのL-DOPAが、DOPAM-2の注射の4時間後及び8時間後に血漿中で測定されたが(図14B)、これはL-DOPAを注射したマウスではL-DOPAが検出されなかった時点である(図14A)。これらの実験は、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤を注射することなく実施したが、これは、L-DOPAよりもはるかに長い時間にわたって血中のL-DOPAを維持するDOPAMの能力をさらに強調している。
【0338】
これらの実験は、L-DOPA-マンニトールコンジュゲートが、遊離L-DOPAよりもはるかに長い期間にわたってL-DOPA血中濃度を維持できることを示している。血中のL-DOPAの持続的かつ継続的な放出は、コンジュゲートのエステル結合を迅速に加水分解することが予期される血中のエステラーゼの存在の観点から、予想外であった。実際、L-DOPAアルキルエステルプロドラッグは投与後迅速に加水分解されるため、L-DOPAアミドプロドラッグはプロドラッグの安定性を改善するために開発された。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B