(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】管腔内デバイス処置のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/06 20060101AFI20230911BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20230911BHJP
【FI】
A61M39/06 100
A61M25/06 550
(21)【出願番号】P 2021542466
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 US2020014107
(87)【国際公開番号】W WO2020154195
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エル.ゴーフリッチ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス イー.カリニエミ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディー.モンゴメリー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード イー.ショー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0234320(US,A1)
【文献】特表2011-522589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0010442(US,A1)
【文献】特表2017-504455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/00 - 39/28
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する方法であって、前記方法は、
管腔内デバイスを処置システム内に配置すること、ここで、前記処置システムは、弁及び前記弁から延在する処置チャンバを含み、前記管腔内デバイスは、前記弁を通って延在する第一の部分と、前記処置チャンバの処置空間内に延在する処置部分とを含む、
前記管腔内デバイスの第一の部分に対して弁をシールするために弁を閉じること、
キャップ部材で前記処置チャンバ
の遠位端をシールすること、及び、
前記処置チャンバ内の処置空間に処置媒体をデリバリーして、前記管腔内デバイスの処置部分を処置媒体に曝露すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記処置チャンバの長さを
調整することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、前記弁はスリーブ上で閉じられ、そして前記処置媒体は、前記スリーブと前記インプラント可能なデバイスとの間の1つ以上のギャップを通って前記弁を通して前記処置チャンバを出る、請求項1~2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する方法であって、前記方法は、
管腔内デバイスを処置システム内に配置すること、ここで、前記処置システムは、弁及び前記弁から延在する処置チャンバを含み、前記管腔内デバイスは、前記弁を通って延在する第一の部分と、前記処置チャンバの処置空間内に延在する処置部分とを含む、
前記管腔内デバイスの前記第一の部分に対して弁をシールするために弁を閉じること、
使用者の指又は親指によって前記処置チャンバ
の遠位端をシールすること、及び、
前記処置チャンバ内の処置空間に処置媒体をデリバリーして、前記管腔内デバイスの処置部分を処置媒体に曝露すること、
を含む、方法。
【請求項5】
前記処置チャンバの長さを
調整することをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、前記弁はスリーブ上で閉じられ、そして前記処置媒体は、前記スリーブと前記インプラント可能なデバイスとの間の1つ以上のギャップを通って前記弁を通して前記処置チャンバを出る、請求項4~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
管腔内デバイスを受容するように構成された近位弁であって、前記近位弁は、管腔内デバイスの周囲をシールするために、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能な近位シール機構を含
み、前記管腔内デバイスのいずれかの端部が前記シール機構のいずれかの端部にあるように前記管腔内デバイスは前記近位弁の前記シール機構を通って部分的に挿入されている、近位弁、
前記管腔内デバイスの部分を受容するように構成されることができる処置チャンバであって、前記処置チャンバは前記近位弁に流体的に結合されており、前記処置チャンバは、前記近位弁に流体的に結合された近位部分および以下の一つ:前記弁から遠位に延在しているキャップ部材、クランプ部材またはプラグによって、液密またはその他の方法でシールされた遠位部分を
有する、処置チャンバ、
を含む、管腔内デバイスのための処置システム。
【請求項8】
前記管腔内デバイスは前記処置チャンバに受容され、前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、近位弁はスリーブ上で閉止され、加圧された処置媒体は処置チャンバ内に存在する、請求項7記載の処置システム。
【請求項9】
前記処置システムは、管腔内デバイスの周囲をシールするために、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能な遠位シール機構を含む遠位弁、及び、前記遠位弁に取り外し可能に結合されたイントロデューサシースをさらに含む、請求項7~8のいずれか1項記載の処置システム。
【請求項10】
前記イントロデューサシースは、前記遠位弁に取り外し可能に結合された止血弁を含む、請求項9記載の処置システム。
【請求項11】
前記処置チャンバは長さが調整可能であるように構成されており、前記処置チャンバは、以下:1つ以上の取り外し可能なセクション、1つ以上の長手方向に分割可能な特徴部、長手方向に圧縮可能な構成、及び/又は、処置チャンバにねじれ力を与えるときに長さを延長又は収縮する構成のうちの1つ以上を含む、請求項7~10のいずれか1項記載の処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、患者の体内に導入されるデバイスの処置のためのイントロデューサシステム及び方法、より具体的には、管腔内デバイス処置のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
管腔内デバイスは、一般に、イントロデューサシステムを使用して、患者の体内(例えば、患者の血管系)にデリバリーされる。イントロデューサシステムは、典型的に、管腔内デバイスがイントロデューサを通過しそして患者の体内に入るのを可能にしながら、イントロデューサへの体液(例えば、血液)の逆流を停止するためのバルブ又は同様の特徴部を含む。様々な例において、臨床医又は管腔内デバイスの他の使用者はまた、管腔内デバイスで1つ以上の処置を実施することを望むことがある。
【0003】
特に有利なイントロデューサシステムとしては、W.L. Gore & Associates, Inc.によって商品名GORE(登録商標)DrySeal Flex Introducer Sheathsとして販売されているものが挙げられる。GORE(登録商標)DrySeal Flex Introducer Sheathsは、血管系に挿入されて、血管内デバイスの挿入に伴う失血を最小限に抑えながら、血管内デバイスを挿入するための導管を提供することが意図されている。GORE(登録商標)システムは、GORE(登録商標)DrySeal Valveが取り付けられたイントロデューサシース、ツイストスタイルロッキング拡張器及び注射器を含む。イントロデューサシースは、平らなステンレス鋼ワイヤで強化された親水性コーティングされたPebax(登録商標)外側チューブと、先細り先端を持つPTFEライナーとからなる複合チューブである。イントロデューサシースはGORE(登録商標)DrySeal Valveに取り付けられている。GORE(登録商標)DrySeal Valveは、外側シリコーンチューブ及び内側フィルムチューブを含む。シリコーンチューブとフィルムチューブの間の領域は、注射器を使用してその領域に塩類溶液を注入することによって加圧されうる。同様のシステムの追加の例は、W.L. Gore & Associates, Inc.によって出願された米国特許第10,155,104号明細書「医療処置用バルブアセンブリ」に見いだすことができる。
【発明の概要】
【0004】
要旨
様々な例は、管腔内デバイスを処置するために使用されるシステム、ならびにそのようなデバイスを処置するために使用される方法に関し、それらの方法は、改善された方法で既存のデバイス技術を使用するか、又は、改善されたシステムを使用するかに係わらない。ほとんどの例は、管腔内デバイス、より具体的には血管系を介してデリバリーされるインプラント可能なデバイスの関係で提供されるが、本開示の原理及び例は、イントロデューサシステムを使用して体内への導入の一部として扱われる任意のデバイスに広く適用されることが意図される。閉じ込められた空気の除去、管腔内デバイスの1つ以上の部分の事前湿潤又は事前投薬、及び、改良された臨床結果を容易にするために実施されうる他の処置を含む、本明細書に記載のシステム及び方法を使用して様々な利点が達成されうることも明らかであろう。
【0005】
1つの例(「例1」)によれば、管腔内デバイスのための処置システムは、近位弁、場合により、遠位弁、及び、処置チャンバを含む。近位弁は、管腔内デバイスを受容するように構成されることができ、前記近位弁は、管腔内デバイスの周囲をシールするために、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能な近位シール機構を含む。存在する場合には、遠位弁は、管腔内デバイスを受容するように構成されることができ、前記遠位弁は、管腔内デバイスの周囲のシール化状態と非シール化状態との間で作動可能な遠位シール機構を含む。処置チャンバは、近位弁と遠位弁との間に延在している部分など、管腔内デバイスの一部を受容するように構成されうる。処置チャンバは、近位弁に流体的に結合されて、処置空間を画定する。処置チャンバは、場合により、近位弁と遠位弁との間で結合されて、近位弁と遠位弁との間の処置空間を画定する。
【0006】
例1に加えて、別の例(「例2」)によれば、前記近位シール機構及び前記遠位シール機構の一方又は両方は、外管、内管、及び、前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成された加圧可能な空間を含み、そして前記加圧可能な空間は、前記内管を管腔内デバイスの周りに順応させて管腔内デバイスの周りにシールを形成させるように加圧可能である。
【0007】
例2に加えて、別の例(「例3」)によれば、前記内管は順応性材料から形成されている。
【0008】
例3に加えて、別の例(「例4」)によれば、前記順応性材料は、ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)、シルク及びポリパラフェニレンテレフタルアミドのうちの1つ以上を含む。
【0009】
例2~4のいずれか1つに加えて、別の例(「例5」)によれば、前記外管はエラストマー材料から形成されている。
【0010】
例5に加えて、別の例(「例6」)によれば、前記エラストマー材料はシリコーンを含む。
【0011】
先行のいずれかの例に加えて、別の例(「例7」)によれば、システムは、遠位弁から遠位に延在しているイントロデューサシースをさらに含む。
【0012】
先行のいずれかの例に加えて、別の例(「例8」)によれば、前記処置チャンバは、前記近位弁に隣接する近位部分、前記遠位弁に隣接する遠位部分を有し、前記処置システムは、前記処置チャンバの近位部分と流体連通している近位処置ポート、及び、前記処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置ポートをさらに含む。
【0013】
例8に加えて、別の例(「例9」)によれば、前記近位処置ポート及び前記遠位処置ポートのそれぞれは、近位処置部分及び遠位処置部分をそれぞれ流体的にシール化及び非シール化するための弁を含む。
【0014】
先行のいずれかの例に加えて、別の例(「例10」)によれば、前記管腔内デバイスは、カテーテル、及び、コンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスを含む、経カテーテルデリバリーシステムであり、さらに、前記処置チャンバは、コンパクト化されたデリバリー直径又は状態でインプラント可能なデバイスを受容するように構成されている。
【0015】
先行のいずれかの例に加えて、別の例(「例11」)によれば、前記管腔内デバイスは、カテーテル、及び、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスを含む、経カテーテルデリバリーシステムであり、さらに、前記処置チャンバは、コンパクト化されたデリバリー直径よりも大きい中間の部分的に拡張された直径でインプラント可能なデバイスを受容するように構成されている。
【0016】
別の例(「例12」)によれば、患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する方法は、管腔内デバイスを処置システム内に配置すること、ここで、前記処置システムは、近位弁、遠位弁、及び、前記近位弁と前記遠位弁との間の処置空間を画定する処置チャンバを含み、前記管腔内デバイスは、前記近位弁を通って延在する第一の部分、前記遠位弁を通って延在する第二の部分、及び、前記処置チャンバの処置空間を通って延在する処置部分を含む。この方法はまた、管腔内デバイスの第一の部分に対して近位弁、及び、管腔内デバイスの第二の部分に対して遠位弁をシールするために、前記近位弁及び前記遠位弁を閉じることを含む。そして、この方法は、処置媒体を処置空間にデリバリーして、管腔内デバイスの処置部分を処置媒体に曝露することを含む。
【0017】
例12に加えて、別の例(「例13」)によれば、前記管腔内デバイスの処置部分は、デリバリーカテーテルによって維持されるインプラント可能なデバイスを含む。
【0018】
例12又は13に加えて、別の例(「例14」)によれば、前記管腔内デバイスの処置部分はインプラント可能なデバイスの近位部分を含み、前記管腔内デバイスの遠位部分は遠位弁から延在している。
【0019】
例12~14のいずれか1つに加えて、別の例(「例15」)によれば、前記処置媒体は、塩類溶液、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルー及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選ばれる。
【0020】
例12~15のいずれか1つに加えて、別の例(「例16」)によれば、前記処置媒体を前記処置空間にデリバリーすると、前記管腔内デバイスの処置部分から空気が押し出される。
【0021】
例12~16のいずれか1つに加えて、別の例(「例17」)によれば、この方法は、前記処置チャンバの近位部分と流体連通している近位処置ポート及び前記処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置ポートのうちの少なくとも1つを介して前記処置媒体を前記処置空間内にデリバリーすることをさらに含む。
【0022】
例12~17のいずれか1つに加えて、別の例(「例18」)によれば、前記処置媒体は、前記処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置ポートを通って前記処置チャンバを出る。
【0023】
例12~18のいずれか1つに加えて、別の例(「例19」)によれば、前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、前記遠位弁は前記スリーブ上で閉止され、そして前記処置媒体は、前記スリーブと前記インプラント可能なデバイスとの間の1つ以上のギャップを通って前記遠位弁から前記処置チャンバを出る。
【0024】
例12~19のいずれか1つに加えて、別の例(「例20」)によれば、前記処置システムはイントロデューサシースを含み、この方法は、前記イントロデューサシースを患者の体腔に挿入することをさらに含む。
【0025】
例20に加えて、別の例(「例21」)によれば、前記処置媒体は、イントロデューサシースが患者の体腔に挿入された状態で前記処置空間にデリバリーされる。
【0026】
別の例(「例22」)によれば、患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する方法は、管腔内デバイスを処置システムに配置すること、ここで、前記処置システムは、弁及び前記弁から延在する処置チャンバを含み、前記管腔内デバイスは、前記弁を通って延在する第一の部分と、前記処置チャンバの処置空間に延在する処置部分とを含む。この方法はまた、前記管腔内デバイスの第一の部分に対して弁をシールするために弁を閉じること、及び前記処置チャンバをシールすることを含む。この方法はまた、前記処置チャンバ内の処置空間に処置媒体をデリバリーして、前記管腔内デバイスの処置部分を処置媒体に曝露することを含むことができる。
【0027】
例22に加えて、別の例(「例23」)によれば、前記処置チャンバは前記弁から遠位に延在しているキャップ部材でシールされる。
【0028】
例22に加えて、別の例(「例24」)によれば、前記処置チャンバは、キャップ部材で手動でシールされる。
【0029】
例24に加えて、別の例(「例25」)によれば、前記処置チャンバは、前記処置システムの使用者によってデジタル的にシールされる。
【0030】
例22~25のいずれか1つに加えて、別の例(「例26」)によれば、前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、前記弁はスリーブ上で閉じられ、そして前記処置媒体は、前記スリーブと前記インプラント可能なデバイスとの間で1つ以上のギャップを通って前記弁を通して前記処置チャンバを出る。
【0031】
別の例(「例27」)によれば、管腔内デバイスのための処置システムは、近位弁及び処置チャンバを含む。近位弁は、管腔内デバイスを受容するように構成されることができ、前記近位弁は、管腔内デバイスの周囲をシールするために、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能な近位シール機構を含む。処置チャンバは、管腔内デバイスの一部を受容するように構成されることができ、前記処置チャンバは、近位弁に流体的に結合されている。処置チャンバは、近位弁に流体的に結合された近位部分と、液密又はその他の方法でシールされた遠位部分(例えば、恒久的に又は取り外し可能なキャップ部材などの取り外し可能なシール機構を使用)とを有することができる。
【0032】
例27に加えて、別の例(「例28」)によれば、処置チャンバの遠位部分は、弁から遠位に延在しているキャップ部材でシールされる。
【0033】
例27に加えて、別の例(「例29」)によれば、処置チャンバの遠位部分は、クランプ部材によってシールされる。
【0034】
例27に加えて、別の例(「例30」)によれば、処置チャンバの遠位部分は、プラグによってシールされる。
【0035】
例27~30のいずれか1つに加えて、別の例(「例31」)によれば、管腔内デバイスは処置チャンバに受容され、前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、近位弁はスリーブ上で閉止され、加圧された処置媒体は処置チャンバ内に存在する。
【0036】
例27又は31に加えて、別の例(「例32」)によれば、処置システムは、管腔内デバイスの周囲をシールするために、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能な遠位シール機構を含む遠位弁、及び、前記遠位弁に取り外し可能に結合されたイントロデューサシースをさらに含む。
【0037】
例32に加えて、別の例(「例33」)によれば、前記イントロデューサシースは、遠位弁に取り外し可能に結合された止血弁を含む。
【0038】
先行するいずれかの例に加えて、別の例(「例34」)によれば、処置チャンバ(例えば、遠位シース)は長さが調整可能であるように構成されており、前記処置チャンバは、以下:1つ以上の取り外し可能なセクション(例えば、解放可能又は破壊可能に結合)、1つ以上の長手方向に分割可能な特徴部、長手方向に圧縮可能な構成(例えば、アコーディオンのベローズと同様の複数のシワ、折り目又はプリーツを画定するか、又はさもなければ含む)、及び/又は、処置チャンバにねじれ力を与えるときに長さを延長又は収縮する構成(例えば、処置チャンバはらせん状ラップ又は層状アセンブリを含み、シールされている間にねじられてらせん状ラップ又は層の相対運動を引き起こして、処置チャンバの長さを短縮又は延長することができる)のうちの1つ以上を含む。
【0039】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって提供される本発明の概念のいずれの範囲をも制限するか又はさもなければ狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0041】
【
図1A】
図1Aは、幾つかの実施形態による、処置システムを示す。
【0042】
【
図1B】
図1Bは、幾つかの実施形態による、
図1Aに示されるような処置システムとともに使用するための拡張器ツールを示す。
【0043】
【
図2A】
図2Aは、幾つかの実施形態による、処置システムを示す。
【0044】
【
図2B】
図2Bは、幾つかの実施形態による、
図2Aの処置システムに実装可能な追加のポートコネクタを示す。
【0045】
【
図3】
図3は、幾つかの実施形態による、
図1Aの処置システムの近位弁の断面図である。
【0046】
【
図4】
図4は、幾つかの実施形態による、分解状態の
図3の近位弁の等角図である。
【0047】
【
図5】
図5は、幾つかの実施形態による、加圧された閉じた状態の
図3の近位弁の端面図である。
【0048】
【
図6】
図6は、幾つかの実施形態による、デリバリーシステムと関連して使用される管腔内デバイスを示し、管腔内デバイスは、デリバリーカテーテル上に維持されたインプラント可能な人工弁の形態である。
【0049】
【
図7】
図7A及び7Bは、幾つかの実施形態による、デリバリーシステムに関連して使用される管腔内デバイスを示し、管腔内デバイスは、デリバリーカテーテル上に維持されたインプラント可能なオクルーダの形態である。
【0050】
【
図8】
図8は、幾つかの実施形態による、デリバリーシステムと関連して使用される管腔内デバイスを示し、管腔内デバイスは、保持スリーブによってコンパクト化状態でデリバリーカテーテル上に維持されたインプラント可能な内部人工器官の形態である。
【0051】
【
図9】
図9は、幾つかの実施形態による、
図8の内部人工器官の等角図であり、追加の保持スリーブ及び内部人工器官の詳細が例として示されている。
【0052】
【
図10】
図10は、幾つかの実施形態による、
図1Aの処置システムの一部及び関連する管腔内デバイスの拡大部分図であって、前記管腔内デバイスは管腔内デバイスを処置する1つの方法に従って前記処置システムによって受容されている。
【0053】
【
図11A】
図11Aは、幾つかの実施形態による、
図1Aの処置システムの一部及び関連する管腔内デバイスの拡大部分図であって、前記管腔内デバイスは管腔内デバイスを処置する別の方法に従って前記処置システムによって受容されている。
【0054】
【
図11B】
図11Bは、幾つかの実施形態による、
図1Aの処置システムに実装されたとおりのチューブの一部の拡大部分図である。
【0055】
【0056】
【
図12A】
図12Aは、幾つかの実施形態による、別の処置システムの一部及び関連する管腔内デバイスの拡大部分図であって、前記管腔内デバイスは管腔内デバイスを処置する方法に従って前記処置システムによって受容されている。
【0057】
【
図12B-G】
図12B~12Gは、幾つかの実施形態による、他の処置システムの一部の拡大部分図である。
【0058】
【
図13-24】
図13~24は、幾つかの実施形態による、管腔内デバイスの例示的な処置シーケンスを示している。
【0059】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0060】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的な方法で読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0061】
不正確さの用語に関して、「約(about)」及び「ほぼ(approximately)」という用語は、交換可能に、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含む測定値を指すために使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるような合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、例えば、測定誤差又は性能を最適化するために行われた小さな調整に起因する可能性がある。当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断される場合には、「約(about)」及び「ほぼ(approximately)」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0062】
様々な実施形態の説明
管腔内デバイスを患者の体内に導入する前、中又は後に、管腔内デバイスの処置を容易にする特徴を備えた処置システム、ならびに管腔内デバイス処置の方法の様々な例が提供される。様々な例において、処置媒体は、管腔内デバイス、特に管腔内デバイスのインプラント可能なデバイスに適用されて、閉じ込められた空気を除去するか、又は、そうでなければ塞栓又は他の有害な影響のリスクを低減するためにインプラント可能なデバイスを前処理する。とりわけ、塩類溶液が効果的な処置媒体であり、また、二酸化炭素が効果的な処置媒体であることが見出された。事前に閉じ込められた空気を置き換えた閉じ込められた二酸化炭素は、二酸化炭素が血流中に解放されたときに小さな「バブル」を示し、したがって生理学的影響が減少するため、一般に好ましい。特徴及び利点の幾つかの例が上で記載されているが、本開示によれば、追加又は代替の特徴及び利点が考えられる。
【0063】
図1Aは、幾つかの例による、イントロデューサシステムとして構成された、又は、イントロデューサシステムと統合された処置システム100を示している。示されるように、処置システム100は、近位弁200A、遠位弁200B、処置チャンバ300(ガレージ導管とも呼ばれることができる)及び遠位シース400を含む。一般的に、処置システム100は内腔101(
図3)を含み、前記内腔は、近位弁200A、処置チャンバ300、遠位弁200B、及び、体腔内への管腔内デバイスの導入を容易にするように構成された遠位シース400を含む、処置システム100の全長にわたって連続的に延在している。したがって、処置システム100を使用して、管腔内デバイスを、患者の体の外部の場所から患者の内部の場所まで内腔101に通すことによって、患者の体内に管腔内デバイスを導入することができる(図示せず)。処置システム100は、
図1B及び
図6~9に示されるものなどの様々な管腔内デバイスとともに利用することができる。様々な例において、処置システム100は、管腔内デバイス(例えば、管腔内デバイスの一部からのフラッシュ空気)を処置媒体(例えば、二酸化炭素、塩類溶液、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルーなど)で処理するために使用される。
【0064】
図1Bは、患者の1つ以上の体腔にアクセスするために処置システム100と組み合わせて使用することができる、任意選択的な拡張器500を示している。使用中、拡張器500は、処置システム100の内腔101を介して受容され、処置システム100と関連して利用されて、患者の体(例えば、血管系、気道、胆道、胃腸管、心臓空間など)へのアクセスを得る。処置システム100の様々な弁は、拡張器500を使用した拡張手順中に処置システム100を通る逆ブリーディングを防止するのを助ける。示されるように、拡張器500は、拡張器先端502、拡張器本体504及びハブ端部506を含む。ハブ端部506は、処置システム100の近位部分に接続するように構成されており、拡張器500を患者の体内に挿入する際の拡張器500の後退を防ぐのにも役立つことができる。
【0065】
図3は、組み立てられた状態の近位弁200Aの様々な特徴を示す、処置システム100の近位部分の拡大部分断面図である。
図4は、
図3と同じ処置システム100の部分の等角図であるが、分解状態にある。
図5は、幾つかの例による、加圧されたシールされた状態の近位弁200Aを示す、処置システム100の端面図である。
【0066】
近位弁200Aは、一般に、管腔内デバイス(例えば、拡張器、血管内デリバリーシステム、バルーンカテーテル、経皮デリバリーシステムなど)を受容し、管腔内デバイスの外面の周りに流体シールを提供して、管腔内デバイスの周り及び処置システム100の内腔101を通って戻る望ましくない(例えば、血液及び/又は処置媒体の)逆流を防止するように構成されている。さらに、近位弁200Aは、管腔内デバイスが存在しないときの(例えば、
図5に示されるとおりの)閉鎖状態又はシール状態に完全に閉じるか、又は閉じてそれ自体でシールするように構成されている。ここでも、これは、近位弁200Aを通る望ましくない(例えば、血液及び/又は処置媒体の)逆流を防ぐ。近位弁200A、ならびに遠位弁200B(近位弁200Aに類似している)及び遠位シース400を作製する設計、材料及び方法の適切な例は、「医療処置のための弁アセンブリ」という発明の名称の米国特許第10,155,104号明細書に見出すことができるが、そのような弁を作製するための様々な設計、材料及び方法が考えられる。
【0067】
図3に見ることができるように、近位弁200Aは、近位弁200Aの長さを延ばす内腔201Aを有する。前に参照したように、近位弁200Aの内腔201Aは、処置システム100の内腔101の一部を形成する。近位弁200Aは、内腔201Aの一部を開き、閉じる又は拡張するためにシール化状態と非シール化状態との間で作動可能な近位シール機構202Aを含む。近位シール機構202Aは、外管204A、内管206A、外管204Aの内面と内管206Aの外面との間に形成された加圧可能な空間208A(
図3)及び充填ポート210Aを含む。図から明らかであるが、加圧可能な空間208Aは、様々な例によれば、充填ポート210Aによって提供されるアクセスを除いて一般に、シールされていることに留意されたい。図示のように、近位シール機構202Aはまた、外管204Aの両端に向かい合う様式で固定された後部リング218A及び前部リング220Aを含む。リングは、一般に、近位シール機構202Aを近位弁200Aの残りの部分と支持、シール及び結合するのを支援する。
【0068】
近位弁200Aはまた、後部リング218Aに取り付けられた後部フィッティング224A及び前部リング220Aに取り付けられた前部フィッティング226Aを含む(例えば、相補的なネジ山、接着剤、スナップフィット、ファスナー及び/又は他の機構を介して)。後部フィッティング及び前部フィッティング224A、226Aは、近位弁200Aの様々な部分をシール様式で一緒に固定するのを助けることができ、近位弁200Aを処置チャンバ300などの処置システム100の他の構成要素に固定するための機構又は方法を提供することもできる。後部フィッティング224Aはまた、ハブ端部506(
図1B)などの管腔内デバイスの1つ以上の部分に結合されるように構成されうる。
【0069】
充填ポート210Aに加えて、近位弁200Aはまた、近位シール機構202Aの遠位の位置で近位弁200Aの内腔201Aと流体連通している処置ポート230A(フラッシュポートとも記載される)を有する。後で説明するように、処置ポート230Aを利用して、処置媒体を処置チャンバ300内にデリバリーすることができる。
【0070】
幾つかの実施形態において、外管204Aは、弛緩状態の砂時計形状を有するが、直柱体及び他の形状が考えられる。外管204Aは、弾性特性を有し(例えば、エラストマー材料から形成されている)、加圧可能な空間208Aの加圧時に膨張(物理的に拡張)して、砂時計形状からより筒形の状態及び潜在的には、より球根状の外向きに凸の形状に半径方向外向きに撓むことができる。幾つかの例において、外管305Aはシリコーン材料から形成されているが(例えば、挿入成形技術を使用して)、様々なエラストマー材料又は弾性特性を有する材料のいずれかを含む様々な材料が考えられる。例えば、外管204Aは、望ましい機械的特性及び生体適合特性を有する任意のエラストマー、ラテックス又はポリカーボネートから構成されうる。
【0071】
外管204Aの拡張特性は、加圧可能な空間208Aが正に加圧され、したがって近位弁200Aが閉じられたことの視覚的指示を提供することができる。幾つかの例において、近位シール機構202Aが正に加圧されそして閉じられると、外管204Aの砂時計形状は膨張して、加圧可能な空間208A内の所望の正圧(例えば、近位シール機構202Aを通る逆流を十分に防止する圧力)を示す。
【0072】
内管206Aは、例えば、ePTFE、布帛、シルク又はケブラー(登録商標)ブランドの繊維などの、薄くて丈夫なドレープ可能な材料から構築されうる。このような材料は、適宜に、単層構造又は多層構造として使用されうる。示されるように、内管206Aは、弛緩状態で砂時計形状を有することができる。内管206Aの形状は、壁厚さ、長さ、幅、直径及び他の特徴を含めて、所望に応じて変化されうる。
【0073】
使用中、内管206Aは薄くて順応性であり、したがって、加圧可能な空間208Aが正に加圧されると、内管206Aは内側に撓みそしてドレープし、近位弁200Aを介して受容された管腔内デバイスの外周に厳密に順応して、シールを形成する。管腔内デバイスが存在しないときに、内管206Aは、内管206Aの内面がそれ自体と係合してシールを形成するように、内側に撓む。
【0074】
示されるように、充填ポート210Aは、前部リング220Aに関連する結合特徴部211Aと、外管204Aを通って形成されて加圧可能な空間208Aに入る通路212Aとを含む。結合特徴部211Aは、場合により、注射器に取り付けられるように構成されている(例えば、結合特徴部211Aは、弁付きルアーフィッティングとして構成されうる)。特定の経路に関係なく、充填ポート210Aは、加圧可能な空間208Aを加圧(又は脱圧)するための手段を提供する。特に、充填ポート210Aは、加圧可能な空間208Aと流体連通している。
【0075】
充填ポート210Aは、注射器(図示せず)を含む、様々な正圧又は負圧源(流体又はガス)のいずれかに結合されるように構成されうる。参考までに、加圧可能な空間208Aは、任意の適切な1つ以上の材料で満たされることができる。例えば、特定の用途では、塩類溶液が好ましいことがあるが、加圧可能な空間208Aは、空気、シリコーン、水、塩類溶液、低揮発性生体適合性液体、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、圧縮性フォーム、エラストマー球、架橋シリコーンゲル及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上で正に加圧されうる。
【0076】
とにかく、圧力源を使用して、それぞれ、適切な材料(例えば、塩類溶液)を加圧可能な空間208Aにデリバリーする(正に加圧する)か、又は加圧可能な空間208Aから材料を除去する(負圧にする又は脱圧する)ことができ、近位シール機構202Aのそれぞれの閉止又は開放を引き起こす。特に、様々な実施形態によれば、充填ポート210Aを使用して加圧可能な空間208Aを正に加圧すると、内管206Aは、内側に(例えば、それ自体に対して、又は内管206Aを通して受容されたデバイスの周りで)崩壊して、シールを形成する。
図5は、近位弁200Aの内管206Aが正圧条件下で押し潰され、それ自体と係合される処置システム100の端面図を示している。
【0077】
前部フィッティング226Aは、前部リング220Aならびに処置チャンバ300の近位部分に(例えば、
図3に示されるような相補的なネジ切りを介して)固定され、したがって、近位弁200Aを処置チャンバ300に流体的に結合するのを支援する。前部フィッティング226A又はその一部は、処置システム100を通して挿入されるデバイス(又はその一部)が近位弁200Aを通して、特に近位シール機構202Aを超えて通過していることを処置システム100の使用者が視覚的に確認できるようにする透明な材料(例えば、透明又は半透明のポリマー)から形成されうる。
【0078】
示されるように、処置ポート230Aは、近位シール機構202Aの遠位の位置で内腔201Aと連通している。処置ポート230Aは、結合特徴部232A(例えば、処置ポート230Aをシール化及び非シール化するための弁付きルアーフィッティング)及び前部フィッティング226Aを通って近位弁200Aの内腔201Aへの通路234A(例えば、示されているように、近位シール機構202Aの遠位にある位置で)を含む。特定の経路に関係なく、処置ポート230Aは、次に記載されるように、近位弁200Aの内腔201Aに、及び/又はそこから(及び処置チャンバ300の近位部分に、又はそこから)処置媒体を運ぶための手段を提供する。
【0079】
図1A、3及び4の1つ以上に示されるように、処置チャンバ300は、処置システム100の内腔101の一部を形成する内腔301を有する。処置チャンバ300は、近位カップリング310、遠位カップリング312、及び、近位カップリング310と遠位カップリング312との間に延在している本体314を含む。近位カップリング310は、(例えば、相補的なネジ山を介して)シール様式で処置チャンバ300を近位弁200Aに固定するように構成され、遠位カップリング312は、同様に、(例えば、相補的なネジ山を介して)シール様式で処置チャンバ300を遠位弁200Bに固定するように構成されている。本体314は、場合により、構成が中空でかつ管状であり、近位弁200Aと遠位弁200Bとの間に配置された管腔内デバイスの所望の部分を受容するようなサイズ(例えば、適切な断面及び長さ)である。特に、処置チャンバ300は、近位弁200Aと遠位弁200Bとの間で流体的に結合されて、近位弁200Aと遠位弁200Bとの間の内腔301内に処置空間を画定する。処置チャンバ300は、所望に応じて、比較的剛性又は比較的可撓性であることができる。幾つかの例において、処置チャンバ300又はその一部は、部分的又は完全に透明であり、処置チャンバ300に受容された管腔内デバイスの観察を可能にする。
【0080】
図1Aに示されるように、遠位弁200Bは、様々な例によれば、形状及び機能が近位弁200Aと実質的に同様であることができる。したがって、遠位弁200Bの特徴部は、近位弁200Aの特徴部と集合的に記載されうる。
図1Aに示されるように、近位弁200A及び遠位弁200Bは実質的に同様である(ただし、遠位弁200Bは、近位弁200Aの前部フィッティング226Aと実質的に同様である変更後部フィッティング224Bを有する)。したがって、近位弁200Aの特徴部に対応する遠位弁200Bの特徴部を呼称する場合に、遠位弁200Bの対応特徴部に「A」が来るのではなく「B」が来るのを除いて、それぞれに同じ参照番号が使用される。
【0081】
幾つかの実施形態によれば、近位弁200Aと同様に、遠位弁200Bもまた、処置システム100の内腔101の一部を形成する内腔(図示せず)を有する。遠位弁200Bはまた、遠位弁200Bの管腔内に管腔内デバイスを受容するように構成されている。そして、遠位弁200Bはまた、近位シール機構202Aと同様に構造化及び動作し、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能であり、遠位弁200Bの内腔の一部を開閉し又は拡張する遠位シール機構202Bを含む。
【0082】
遠位シール機構202Bは、外管204B、内管(図示せず)、外管204Bの内面と内管の外面との間に形成された加圧可能な空間(図示せず)及び充填ポート210Bを含む。加圧可能な空間は、近位シール機構202Aの様々な例と同様に、充填ポート210Bによって提供されるアクセスを除いて、一般に、シールされている。図示のように、遠位シール機構202Bはまた、外管204Bの両端に向かい合って固定された後部リング218A及び前部リング220Bを含む。リング218A、218Bは、一般に、遠位シール機構202Bを遠位弁200Bの残りの部分と支持、シール及び結合するのを支援する。
【0083】
示されるように、遠位弁200Bはまた、後部リング218Bに取り付けられた後部フィッティング224B及び前部リング220Bに取り付けられた前部フィッティング226B(例えば、相補的なネジ山、接着剤、スナップフィット、ファスナー及び/又は他の機構を介して)を含む。後部フィッティング及び前部フィッティング224B、226Bは、遠位弁200Bの様々な部分を一緒に固定するのを助けることができる。示されるように、後部フィッティング224Bは、効果的には、前部フィッティング226B(及び前部フィッティング226A)の鏡像である。後部フィッティング224Bは、近位弁200Aの前部フィッティング226Aと同様の方法で(例えば、それぞれの相補的なネジ山を介して)近位弁200Aを処置チャンバ300に固定するための機構又は方法を提供する。次に、遠位弁200Bの前部フィッティング226Bは、(例えば、それぞれの相補的なネジ山を介して)遠位シース400に結合されるように構成されている。
【0084】
遠位シール機構202Bを作動させるための充填ポート210Bに加えて、遠位弁200Bはまた、場合により、遠位シール機構202Bの近位の位置で、近位弁200Aの内腔201Aと流体連通する処置ポート230B(フラッシュポートとも記載される)を有する。処置ポート230Bは、後部フィッティング224Bに関連する結合特徴部232B(例えば、処置ポート230Aをシール化及び非シール化するための弁付きルアーフィッティング)及び後部フィッティング224Bを通って(例えば、示されるように、遠位シール機構202Bの近位の位置で)遠位弁200Bの管腔に入る通路(図示せず)を含む。特定の経路に関係なく、処置ポート230Bは、処置媒体を遠位弁200Bの内腔に、及び/又はそこから(及び処置チャンバ300の遠位部分に及び/又はそこから)運ぶための手段を提供する。例えば、
図10の矢印の方向によって示されるように、処置媒体は、第一の処置ポート230Aから内腔に入り、処置チャンバ300を通って内腔を通過し、第二の処置ポート230Bから内腔を出る。
【0085】
さらに、示されるように、遠位弁200Bは、遠位弁200Bの内腔と流体連通している遠位シール機構202Bの遠位に処置ポート240B(フラッシュポートとしても記載される)をさらに含む。処置ポート240Bは、前部フィッティング226Bに関連する結合特徴部242B(例えば、処置ポート230Aをシール化及び非シール化するための弁付きルアーフィッティング)及び前部フィッティング226Bを通って(例えば、示されるように、遠位シール機構202Bの遠位の位置で)遠位弁200Bの管腔に入る通路(図示せず)を含む。特定の経路に関係なく、処置ポート240Bは、処置媒体を遠位弁200Bの内腔に、及び/又はそこから(及び遠位シース400に、及び/又はそこから)運ぶための手段を提供する。
【0086】
図1Aに示されるように、遠位シース400は、遠位弁200Bの前部フィッティング226Bに結合されている(例えば、2つの構成要素上の相補的なネジ山を介して)。遠位シース400は実質的に管状であり、処置システム100の内腔101の一部を形成する内腔(図示せず)を有する。遠位シース400は、様々な材料から形成されうるが、幾つかの例において、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、高密度ポリエチレン及び/又は他の適切な材料から形成される。遠位シース400は、様々なサイズの範囲の外径で構成されうるが、幾つかの例において、12Fr~26Frのサイズである。遠位シース400は、所望に応じて、様々な長さのいずれかを有することができ、患者への管腔内デバイスの導入を支援するために、患者の体腔(例えば、血管系)に挿入するように構成されうる(図示せず)。
【0087】
図2Aは、幾つかの例による、別の実施形態の処置システム100を示している。示されるように、遠位弁200Bは、充填ポートコネクタ250及び処置ポートコネクタ260を含む。充填ポートコネクタ250は、充填ポート210Bを加圧可能な空間208Aと流体的に接続して、加圧可能な空間208Aを加圧(又は脱圧)するための手段を提供する。処置ポートコネクタ260は、処置ポート240Bを遠位弁200Bの内腔に流体的に接続して、処置媒体を内腔に及び/又は内腔から運ぶための手段を提供する。
【0088】
示されるように、遠位弁200Bの充填ポートコネクタ250は、充填ポート210Bが配置されている後部リング218Bに取り付けられた後部フィッティング224Bを含む。充填ポートコネクタ250はまた、前部リング220Bに接続された外管204Bを含む。処置ポートコネクタ260は、充填ポートコネクタ250の前部リング220Bに接続する後部リング218Cを含む。処置ポートコネクタ260はまた、外管204Cを含み、処置ポート240Bが配置されている前部フィッティング226Bに接続する前部リング220Cを含む。接続は、例えば、相補的なネジ山、接着剤、スナップフィット、ファスナー及び/又は他の機構を介して達成することができる。
【0089】
充填ポートコネクタ250及び処置ポートコネクタ260は、別々に形成されることができ、次いで、一緒に接続又は結合されて、遠位弁200Bを形成することができる。さらに、他のコネクタを、充填ポートコネクタ250と処置ポートコネクタ260との間、又は、より具体的には、充填ポートコネクタ250の前部リング220Bと処置ポートコネクタ260の後部リング218Cとの間に取り付けることができる。幾つかの例において、
図2Bに示されるような追加のポートコネクタ270、追加のポート210D、後部リング218D、前部リング220D、外管204D、及び、後部リング218Dに関連する結合特徴部211Dを実装して、追加の流体を処置システム100に導入することができる。このような実施形態において、後部リング218Dは前部リング220Bに接続し、前部リング220Dは後部リング218Cに接続する。任意の数のそのような追加のポートコネクタ270を、適切なときに、遠位弁200Bに実装することができる。
【0090】
1つ以上の追加のポートコネクタを含めることにより、より融通性のある処置のために、異なる処置媒体を異なる時間に導入することが可能になる。例えば、第二の処置媒体を第一の処置媒体の後の特定の時刻で導入するならば、第一の処置媒体を、第一の処置ポート(例えば、210B)を介して導入し、そして第二の処置媒体を導入する時が来たときに、第二の処置ポート(例えば、210D)を使用してそうすることができる。2つの処置媒体は、塩類溶液、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルーなどの先行する例のいずれかであることができる。各結合特徴部は、異なる処置媒体を含む注射器又は他のデリバリーデバイスに取り付けられることができる。幾つかの例において、複数の処置ポートを有することにより、ある処置媒体から別の処置媒体に変更するときに、異なるデリバリーデバイスを切り替える必要性を取り除くのに役立つことができる。
【0091】
処置システム100は、
図6~9に示される例を含む、様々なタイプの管腔内デバイスとともに利用されることができ、これらの管腔内デバイスはすべて、参照番号600によって総称的に参照される(
図1Bに示される拡張器500を除く。拡張器500も管腔内デバイスである)。
【0092】
図6は、カテーテルと、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスとを含む、経カテーテルデリバリーシステムの形態の管腔内デバイス600を示している。インプラント可能なデバイスは、処置部分、又は処置が行われる管腔内デバイス600の一部を画定している。特に、
図6の管腔内デバイス600は、デリバリーカテーテル620Vによって直径方向にコンパクト化された状態に維持された人工弁610V(例えば、人工心臓弁)を含む。示されるように、デリバリーカテーテル620Vは、2018年9月12日に出願された「経カテーテル展開システム及び関連する方法」という発明の名称の米国特許出願第16/129,657号明細書に記載されているような繊維拘束デリバリーシステムを採用している。人工弁610Vは、人工弁610Vに解放可能に結合された拘束体630Vを締め付けそして緩めるデリバリーカテーテル620Vを使用して、完全にコンパクト化されたデリバリー直径又は状態、部分的にコンパクト化された処置直径(例えば、
図6に示されるとおり)、完全に拡張され、展開された直径の間で移行することができる。
【0093】
図7Aは、カテーテルと、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスとを含む、経カテーテルデリバリーシステムの形態の管腔内デバイス600を示している。インプラント可能なデバイスは、処置部分、又は、処置が行われる管腔内デバイス600の一部に含まれる。特に、
図7Aの管腔内デバイス600は、デリバリーカテーテル620Sによって直径方向にコンパクト化された状態に維持された隔壁オクルーダ610S(例えば、心房中隔オクルーダ)を含む。示されるように、デリバリーカテーテル620Sは、「シーリングデバイス及びデリバリーシステム」という発明の名称の米国特許第8,956,389号明細書に記載されているようなシース又はチューブ拘束デリバリーシステムを採用している。隔壁オクルーダ610Sは、シースから隔壁オクルーダ610Sを伸長及び収縮するデリバリーカテーテル620Sを使用して、又はデリバリーカテーテル620Sに関連する管630Sを使用して、完全にコンパクト化されたデリバリー直径又は状態、部分的にコンパクト化された処置直径、及び、完全に拡張され、展開された直径(例えば、
図7Aに示されるとおり)の間で移行されうる。
【0094】
図7Bは、カテーテルと、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスとを含む、経カテーテルデリバリーシステムの形態の管腔内デバイス600を示している。インプラント可能なデバイスは、処置部分、又は、処置が行われる管腔内デバイス600の一部に含まれる。特に、
図7Bの管腔内デバイス600は、デリバリーカテーテル620Lによって維持されるオクルーダ610L(例えば、左心耳オクルーダ)を含む。示されるように、デリバリーカテーテル620Lは、「心耳の閉塞のためのデバイス及び方法」という発明の名称のPCT出願公開第WO2016/183495号明細書に記載されているようなシース又はチューブ拘束デリバリーシステムを採用している。オクルーダ610Lは、シースからオクルーダ610Lを伸長しそして収縮するデリバリーカテーテル620L、又は、前記デリバリーカテーテル620Lに関連するチューブ630Lを使用して、完全にコンパクト化されたデリバリー直径又は状態、部分的にコンパクト化された処置直径、及び、完全に拡張され展開された直径(例えば、
図7Bに示されるとおり)の間で移行されうる。
【0095】
図8及び9は、カテーテルと、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスとを含む、経カテーテルデリバリーシステムの形態の管腔内デバイス600を示している。インプラント可能なデバイスは、処置部分、又は、処置が行われる管腔内デバイス600の一部を画定する。特に、
図8及び
図9の管腔内デバイス600は、デリバリーカテーテル620Eによって直径方向にコンパクト化された状態に維持された内部人工器官610E(例えば、ステントグラフト)を含む。示されるように、デリバリーカテーテル620Eは、「拡張可能なメディカルデバイス用のスリーブ」という発明の名称の米国特許第9,592,143号明細書に記載されているような保持スリーブ拘束デリバリーシステムを採用している。内部人工器官610Eは、デリバリーカテーテル620Eによって運ばれる内部人工器官610Eを展開するために保持スリーブ630Eを解放するデリバリーカテーテル620Eを使用して、完全にコンパクト化されたデリバリー直径又は状態(例えば、
図8及び9に示されるとおり)と、完全に拡張され、展開された直径との間で移行されうる。
【0096】
さらに詳細に記載されるように、患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する幾つかの方法は、管腔内デバイスを処置システム100内に配置すること、近位弁200A及び遠位弁200Bを閉じて、近位弁200Aを管腔内デバイスの第一の部分に対してシールし、遠位弁200Bを管腔内デバイスの第二の部分に対してシールすること、及び、処置媒体を処置空間にデリバリーして、処置される管腔内デバイスの一部、又は、管腔内デバイスの処置部分を処置媒体に曝露することを含む。
【0097】
幾つかの例において、管腔内デバイスの処置部分は、デリバリーカテーテルによって維持されるインプラント可能なデバイスを含む。管腔内デバイスの処置部分はインプラント可能なデバイスの近位部分を含むことができ、前記管腔内デバイスの遠位部分は遠位弁から延在している。様々な例において、処置媒体を処置空間にデリバリーすると、管腔内デバイスの処置部分から空気を押し出す。特に、処置チャンバの近位部分と流体連通している近位処置部分、及び、処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置部分のうちの少なくとも1つを介して処置媒体を処置空間にデリバリーすると、管腔内デバイス(例えば、インプラント可能なデバイス)の一部から閉じ込められた空気を押し出す。
【0098】
幾つかの例において、処置媒体は、処置チャンバ300の遠位部分と流体連通している処置ポート230Bを通って処置チャンバ300を出る。管腔内デバイスは保持スリーブを含むことができ、前記保持スリーブは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持し、遠位弁はスリーブ上で閉止されることができ、その結果、処置媒体は、スリーブとインプラント可能なデバイスとの間の1つ以上のギャップを通って遠位弁200Bから処置チャンバ300を出る。幾つかの方法はまた、管腔内デバイス処置の前、中又は後に、患者の体腔中にイントロデューサシースを挿入することを含む。
【0099】
図10は、幾つかの実施形態による、
図1Aの処置システムの一部及び管腔内デバイスを処置する方法に従って処置システムによって受容される関連する管腔内デバイスの拡大部分図である。デリバリーカテーテル620によって運ばれるインプラント可能なデバイス610を含む管腔内デバイス600は、一般に、概略的な様式で相対的な構成要素の位置を示すために破線のボックスによって表される。言い換えれば、管腔内デバイス600の一般化された構成要素の相対位置は、視覚化の目的で、処置システム100上に重ね合わされている。幾つかの例において、デリバリーカテーテル620は、長手方向に崩潰可能な構成を有する。例えば、デリバリーカテーテル620の一部は、アコーディオンのベローズと同様の複数のシワ、折り目又はプリーツを含むことができ、その結果、長手方向の力が加えられると、プリーツは崩潰して、デリバリーカテーテル620の長さを短くする。幾つかの例において、デリバリーカテーテル620は、破壊又は分割することによって分離可能であることができる。幾つかの例において、アパチャ又は穿孔の列はデリバリーカテーテル620の長さの少なくとも一部に沿って形成されることができ、その結果、十分な半径方向の力がデリバリーカテーテル620に加えられると、デリバリーカテーテル620の表面が引き裂かれ、デリバリーカテーテル620を管腔内デバイス600から離脱させる。
【0100】
幾つかの例において、遠位シース400は、拡張器500の助けを借りて、患者の体、例えば、患者の血管系に挿入される。拡張器500は処置システム100から脱離され、そして管腔内デバイス600は処置システム100中に移行され、インプラント可能なデバイス610は、近位シール機構202Aと遠位シール機構202Bとの間で処置チャンバ300内に配置され、近位弁200Aは加圧されて閉じられて管腔内デバイス600の周りにシールを形成し、遠位シール機構は加圧されて閉じられてシールを形成する。このようにして、インプラント可能なデバイス610(例えば、ステントグラフト又は人工弁)は、近位弁200Aと遠位弁200Bとの間のシールされた処置空間に配置される。処置システム100の一部(例えば、近位弁200A及び遠位弁200Bの一部、及び/又は処置チャンバ300)が透明である例において、使用者は、適切な位置決めを視覚的に確認することができる。遠位シース400は、幾つかの実施形態においてのみ、デバイス処置の前に患者の体内に配置され、他の実施形態において、処置は、処置システム100の挿入前に行われることに留意されたい。
【0101】
関係なく、管腔内デバイス600、特にデリバリーカテーテル620の周りの閉鎖又はシール化状態の近位弁200A、及び、閉鎖又はシール化状態の遠位弁200Bの両方で、処置媒体は、処置ポート230A、230Bを使用して、処置チャンバ300の処置空間にデリバリーされる。例えば、圧力源(例えば、注射器又は加圧ガス源などの圧力リザーバ)は、処置ポート230A、230Bのそれぞれに取り付けられ、そして処置媒体(例えば、塩類溶液、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルーなど)は処置チャンバ300中にデリバリーされる。処置媒体は、処置ポート230Aを通して正圧を介して処置チャンバ300に「押し込まれ」、処置ポート230Bを通して負圧を介して処置チャンバ300に「引き込まれ」ることができ、逆もまた同様である。又は、代わりに、正圧又は負圧のみは、処置ポート230A、230Bの1つを通して加えられて、処置媒体を処置チャンバ300に導入する。
【0102】
インプラント可能なデバイス610は、処置チャンバ300が適切なサイズ(例えば、十分な直径)であり、使用者がそのように望むならば、部分的又は完全に拡張された状態で処置されうる。インプラント可能なデバイス610を部分的又は完全に拡張した状態で処置することは有利である可能性がある(デリバリーカテーテル620及び関連する保持機構が拡張を逆転させることができるか、又は、逆拡張が必要とされないと仮定する)。というのは、より多くのデバイス表面がデバイス処置の間にアクセス可能であり、これにより、処置効果がスピードアップし、向上することができる。
【0103】
幾つかの例において、インプラント可能なデバイス610が所望のように処置されると(例えば、空気のフラッシュ、湿潤又は他の方法で処置される)、処置ポート240B(
図1A)が開かれ、血液が遠位シース400に引き込まれることができる(例えば、注射器を取り付け、処置ポート240Bを通して負圧を加えることによる)。遠位シース400が血液で満たされると、遠位弁200Bが開かれるか又は解放されて、処置チャンバ300及び関連する処置空間を血液で満たすことができる。次に、インプラント可能なデバイス610は、処置システム100の遠位シース400を通って、及びそこからインプラント可能なデバイス610を前進させることによって(例えば、ガイドワイヤ上でインプラント可能なデバイス610を追跡することによって)、体内の所望の位置まで追跡されうる。
【0104】
図11Aは、
図1Aの処置システムの一部の拡大部分図であり、管腔内デバイス600は、管腔内デバイス600を処置する他の方法により、
図10に示される位置に対して調整された処置位置にある。
【0105】
図11Aの例において、処置は、より典型的には、遠位シース400を患者の体に挿入する前に行われるであろう。幾つかの例において、遠位シース400の遠位端は、切り詰められてもよく(例えば、プレカットされてもよい)、又は全長であってもよい。
図11Aに示されるように、遠位シース400は短縮されるか、又は切り詰められているが、そのような切り詰めは必要とされない。さらに、遠位シース400の遠位端は、一般に
図11Aに示されるキャップ部材410でキャップされるか、又は他の方法でシールされる。 キャップ部材410は、ネジ切りされたデッドヘッドキャップ、プラグ、又は他の器具であることができ、又は、端部は、キャップ部材410として機能する使用者の親指で手動でシールされうる。
【0106】
幾つかの例において、キャップ部材410は、クランプ、プラグ又は他のシーリング部材と交換することができる。例えば、ホースクランプ又は任意の他の適切な血管クランプ(例えば、「クーリー」クランプ)を使用して、遠位シース400の遠位端をつまむことができる(例えば、遠位シース400は、可撓性管材料から形成される)。とにかく、遠位端のシールは、適宜、一時的又は永続的であることができる。幾つかの例において、管412の遠位端414は一緒に結合されうる(例えば、
図11Bに示されるような「ダックビル」構成を形成するために少なくとも部分的に平坦化され、シールされて閉じられる)。幾つかの例において、管の遠位端を加熱し、及び/又は、次いで、任意の適切な構成で閉じ、押し潰し又は一緒にシールして、管の遠位端にシールを形成することができる。
【0107】
図11Cの例において、キャップ部材410は、キャップ部材410の遠位端に破壊可能なシール416を含む。破壊可能なシール416は、管腔内デバイス600又は他の器具を破壊可能なシール416に押し付けることによって手動で破壊され、引き裂かれ、又は穿刺される。破壊可能なシール416は、ポリマー材料から作られた膜又はフィルム(例えば、自己修復性膜)であることができる。シールを含めることは、処置チャンバでの処置後に、インプラント可能なデバイス610は処置後に環境(例えば、周囲空気)と接触しないことを確保するのに役立つことができる。特に、破壊可能なシール416を破壊する前に、遠位シース400は、患者に直接挿入するために、イントロデューサシース、バルブ又は他のデバイスに結合されうる。
【0108】
示されるように、管腔内デバイス600は処置チャンバ300中に移行され、インプラント可能なデバイス610は遠位弁200Bに配置され、インプラント可能なデバイス610のいずれかの端部又は端部分は遠位シール機構202Bのいずれかの端部にある。処置システム100の一部(例えば、近位弁200A及び遠位弁200Bの一部、及び/又は処置チャンバ300)が透明である例において、使用者はインプラント可能なデバイス610の適切な位置決めを視覚的に確認することができる。
【0109】
図11Aの例において、処置空間は遠位シース400内に延びて、キャップされた遠位シース400を含む。したがって、遠位シース400は、代替又は追加の処置チャンバとして作用していると言うことができる。近位弁200A及び遠位弁200Bのそれぞれが加圧され、閉じられて管腔内デバイス600の周りにシールを形成すると、処置媒体は、実線矢印「A」で示されるように、処置ポート240Bを使用して遠位シース400の処置空間にデリバリーされる。例えば、圧力源(例えば、加圧ガス源又は注射器などの圧力リザーバ)は処置ポート240Bに取り付けられ、処置媒体(例えば、二酸化炭素、塩類溶液、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルーなど)は遠位シース400内にデリバリーされている。十分な背圧が加えられると、加圧された処置媒体は、インプラント可能なデバイス610に存在する、又は、インプラント可能なデバイスと関連する保持機構(例えば、示されていないが、保持スリーブなど)との間に存在する折り目、シワ又はギャップを通り抜ける。次に、加圧された処置媒体は、閉じた遠位弁200Bを通過してギャップを「通過」し、処理チャンバ300に入り、破線矢印「B」及び「C」によって示されるように、所望に応じて一方又は両方の処置ポート230A、230Bから出る。
【0110】
このようなプロセスは、閉じ込められた空気を、インプラント可能なデバイス610内、及び/又は、インプラント可能なデバイス610と任意の関連する保持機構(例えば、示されていないが、例えば、保持スリーブ)との間に存在する折り目、シワ又はギャップから押し出すために特に有利であることができる。処置媒体がインプラント可能なデバイス610及び保持機構の周りを単に通過する傾向が少なく、代わりに、空気が閉じ込められる可能性のあるギャップ、折り目、シワ及び空間を通過されるときに、遠位弁200Bはインプラント可能なデバイス610及び任意の関連する保持機構(図示せず)の外周で閉じられることが特に役立つことがある。
【0111】
処置媒体の逆流もまた、
図11Aの状況において効果的に適用されうることが理解されるべきである。言い換えると、正圧は、処置ポート230A、230Bの一方又は両方を介して加えられることができ、処置媒体は、処置チャンバ300から、インプラント可能なデバイス610を介して、閉じた遠位弁200Bを横切って、キャップされた遠位シース400に押し込まれ、そして、処置ポート240Bから出る。あるいは、キャップ部材410は省略されることができ、処置媒体は、所望に応じて、遠位シース400の端部から単に通過しうる。
図11Aに関連して記載された例において、インプラント可能なデバイス610は、遠位弁200Bがインプラント可能なデバイス610上でシールされるときに、すべての例において必要なわけではないが、一般に、完全にコンパクト化された状態で処置される。
【0112】
様々な例において、インプラント可能なデバイス610が所望のように処置されると(例えば、空気のフラッシュ、湿潤又は他の方法で処置される)、処置システム100を患者の体内に導入し、インプラント可能なデバイス610のデリバリーを上述したのと同様の方法で進行することができる。
【0113】
図12Aは、幾つかの実施形態による、デリバリーシステムであることができる別の処置システム100の一部、及び、管腔内デバイス600を処置する方法に従って処置システム100によって受容される関連する管腔内デバイス600の拡大部分図である。
図12Aに示されるように、近位弁200Aは処置システム100から省略され、近位弁200A及び遠位弁200Bと実質的に同様である単一の弁200を選ぶ。したがって、弁200は、近位弁200A及び/又は遠位弁200Bの特徴部と概ね同じ特徴部を含み、弁200の特徴部は、これらの参照番号の後に「A」又は「B」が続かないことを除いて、近位弁200A及び遠位弁200Bの特徴部と同じ参照番号によって参照される。
【0114】
単一の弁が使用されるが、方法は、様々な例によると、
図11Aを参照して上記に記載されたものと同様であることができる。
図12Aに示されるように、遠位シース400は、処置チャンバとして機能し、あるいは、処置チャンバと呼ばれることもある。
【0115】
図12Aの例において、処置は、すべての場合ではないが、より典型的には、遠位シース400を患者の体内に挿入する前に行われる。幾つかの例において、遠位シース400の遠位端は、切り詰められてもよく(例えば、プレカットされてもよく)、又は全長であってもよい。
図12Aに示されるように、遠位シース400は短縮されるか、又は切り詰められる。さらに、遠位シース400の遠位端は、一般に、
図12Aに示されるキャップ部材410でキャップされるか又は他の方法でシールされる。キャップ部材410は、ネジ切りされたデッドヘッドキャップ、プラグ又は使用者の親指などの他の器具であることができ、一般に
図12Aに示されている。上述の各例において、使用者の指又は親指を利用して遠位シース400(処置チャンバとも記載される)をシールするときに、それは、遠位シース400(又は処置チャンバ)をデジタル的にシールすると呼ばれることがある。幾つかの例において、キャップ部材410は、クランプ、プラグ又は他のシーリング部材と交換することができる。例えば、ホースクランプ又は任意の他の適切な血管クランプ(例えば、「クーリー」クランプ)を使用して、遠位シース400の遠位端をつまむことができる(例えば、遠位シース400は可撓性管材料から形成される)。とにかく、遠位端のシールは、適宜、一時的又は永続的であることができる。幾つかの例において、管412の遠位端414は、一緒に結合されうる(例えば、
図11Bに示されるような「ダックビル」構成を形成するために少なくとも部分的に平坦化され、シールされて閉じられる)。幾つかの例において、管の遠位端を加熱し、及び/又は、次いで、任意の適切な構成で閉じ、押し潰し、又は一緒にシールして、管の遠位端にシールを形成することができる。
【0116】
示されるように、管腔内デバイス600は、弁200のシール機構202中に移行され、インプラント可能なデバイス610のいずれかの端部は、シール機構202のいずれかの端部にある。処置システム100の一部(例えば、前部フィッティング226などの弁200の部分)が透明である例において、使用者は、インプラント可能なデバイス610の適切な位置決めを視覚的に確認することができる。
【0117】
示されるように、インプラント可能なデバイス610の遠位部分は、遠位シース400によって画定される処置空間に配置される。したがって、
図12Aの例において、処置空間は延びて、キャップされた遠位シース400を含む。弁200が加圧されて閉じられて管腔内デバイス600の周りにシールを形成すると、処置媒体は、処置ポート240を使用して、処理チャンバとして機能する遠位シース400によって画定されるような処置空間にデリバリーされる。例えば、圧力源(例えば、加圧ガス源又は注射器などの圧力リザーバ)は処置ポート240に取り付けられ、処置媒体(例えば、二酸化炭素、塩類溶液、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルーなど)は、処置チャンバとして機能する遠位シース400にデリバリーされる。十分な背圧が加えられると、加圧された処置媒体は、インプラント可能なデバイス610内に存在する、又はインプラント可能なデバイスと任意の関連する保持機構(例えば、示されていないが、保持スリーブなど)との間に存在する折り目、シワ又はギャップを通して押し出される。次に、加圧された処置媒体は、閉じた弁200を「通して」ギャップを通過し、インプラント可能なデバイス610及び/又は関連する保持機構(例えば、示されていないが、インプラント可能なデバイス610の周りに配置された保持スリーブなど)の他端から出る。加圧された処置媒体の流れの方向は、
図12Aに矢印によって示されている。
【0118】
処置媒体がインプラント可能なデバイス610及び保持機構の周りを単に通過する傾向が少なく、代わりに、空気が閉じ込められる可能性のあるギャップ、折り目、シワ及び空間を通過されるときに、弁200はインプラント可能なデバイス610及び任意の関連する保持機構の外周で閉じられることが特に役立つことがある。
【0119】
様々な例において、インプラント可能なデバイス610が所望のように処置されると(例えば、空気のフラッシュ、湿潤又は他の方法で処置される)、処置システム100を患者の体内に導入し、インプラント可能なデバイス610のデリバリーは、上述したのと同様の方法で進めることができる。
【0120】
図12Bは、様々な例による、
図12Aによる処置システム100の追加の又は代替の特徴部、特に、遠位シース400の潜在的な変更を示す。
図12Bに示されるように、遠位シース400は処置チャンバとして機能し、および、処置チャンバと呼ばれることもある。示されるように、遠位シース400は、第一のセクション400A、第二のセクション400B及び第三のセクション400Cなどの複数のセクションを含むことができる。遠位シース400の各セクションは、別のセクション及び/又は弁200に取り外し可能に結合されるように構成されうる。このようにして、処置システム100の使用者は、第一のセクション400A、第二のセクション400B及び第三のセクション400Cのうちの1つ以上を所望に応じて使用し、遠位シース400の長さを選択することができる。雄ネジ及び雌ネジの端部などの結合機構を、第一のセクション400Aの遠位端414A及び/又は第二のセクション414Bの遠位端414Bなどのセクション間で使用することができる。3つのセクションが示されているが、所望の程度の調整可能性を達成するために、より少ない(例えば、2つ)又はより多い(例えば、3、4を超え又はそれ以上、又は必要に応じて任意の数)を実装することができる。
【0121】
さらなる特徴として、
図12Cに示されるように、セクションは、それらの間に「分離」結合を有することができ(例えば、セクション間のスクライブライン又は弱められた領域)、その結果、1つ以上のセクションは手動で除去されるように構成されている。あるいは、セクションは、はさみ又はナイフを使用して、単に切断され、次いで、適宜、キャップされ又はクランプされることができる。
図12Cは、様々な例による、
図12Aによる処置システム100の追加の又は代替の特徴部、特に遠位シース400の潜在的な変更を示す。
図12Cに示されるように、遠位シース400は、処置チャンバとして機能し、および、処置チャンバと呼ばれることもある。示されるように、遠位シース400は、第一のセクション400A、第二のセクション400B及び第三のセクション400Cなどの複数のセクションを含むことができる。遠位シース400の各セクションは、それぞれの第一のセクション400A、第二のセクション400B及び第三のセクション400Cを分離することができる、壊れやすい接続(例えば、切り込み部分又は他の弱くなった部分)で別のセクション及び/又は弁200に取り外し可能に結合されるように構成されうる。このようにして、処置システム100の使用者は、所望に応じて第三のセクション400C及び第二のセクション400Bのうちの1つ以上を取り外して、遠位シース400の長さを選択することができる。3つのセクションが示されているが、所望の程度の調整可能性を達成するために、より少ない(例えば、2つ)又はより多い(例えば、3、4を超え、又はそれ以上、又は、所望に応じて任意の数)を実装することができる。
【0122】
さらなる特徴として、
図12Dに示されるように、遠位シース400は、遠位シースを(例えば、管腔内デバイス600(図示せず)の周囲から)、引き裂く、切断する、分離する又は他の方法で除去することを可能にするために、長手方向スコアライン、壊れやすいセクション又は弱くなった領域の形態で1つ以上の長手方向に分割可能な特徴部411を含むことができる。使用中、操作者(図示せず)は、長手方向に分割可能な特徴部411に沿って遠位シース400を切断し、引き裂き又は他の方法で分割して、遠位シース400を分離し、場合により除去することができる。比較的に直線状に長手方向に分割可能な特徴部が示されているが、らせん状に配向された特徴部もまた考えられる。
【0123】
さらなる特徴として、
図12Eに示されように、遠位シース400は、ネジ切り又は他の取り外し可能な結合特徴部を有することができ、異なる長さの様々な遠位シース(図示せず)とともに部品のキットとして提供されうる。そのような例において、使用者(図示せず)は、単に所望の長さの遠位シース400を選択し、遠位シース400を弁200に取り外し可能に取り付けることができる。
【0124】
さらなる特徴として、
図12Fに示されるように、遠位シース400は、遠位シース400の長さを短縮又は延長するために(例えば、アコーディオンのように)長手方向に崩潰可能であることができる。参考のために、
図12Fは、破線の延伸された状態、アコーディオンのシワ又は折り目411aを伴う実線の長手方向に崩潰された状態で遠位シース400を示している。幾つかの例において、遠位シース400は、遠位シース400を長手方向に圧縮又は伸長することによって、様々な所望の長さのいずれかで長さ調整可能である。
【0125】
さらなる特徴として、
図12Gに示されるように、遠位シース400は、遠位シース400をねじって全長を短縮することにより、(例えば、らせん状に巻かれた部材のように)長手方向に崩潰可能であることができる。幾つかの例において、遠位シース400は、らせん状ラップ又は層状アセンブリを含み、それがシールされている間にねじられてらせん状ラップ又は層411Bの相対運動を引き起こして、遠位シース400の長さを短縮又は延長することができる。幾つかの例において、遠位シース400は、遠位シース400を適切な方向にねじることによって遠位シース400を長手方向に圧縮又は伸長することによって、様々な所望の長さのいずれかで長さ調整可能である。
【0126】
図13~24は、幾つかの実施形態による、
図12Aの処置システムを使用する管腔内デバイスの処置シーケンスの例を示している。
図13に示されるように、膨張媒体源(IMS)及び処置媒体源(TMS)は、それぞれ、弁200の充填ポート210及び処置ポート240に結合されている。膨張媒体源(IMS)は、弁200を加圧及び脱圧して弁200を開閉するための膨張媒体(例えば、塩類溶液)で満たされた注射器であることができる。処置媒体源(TMS)は、場合により、上述のいずれかの処置媒体で満たされた注射器である。
【0127】
図14は、処置媒体(例えば、滅菌液体)をデリバリーすることができるポケット1010を有する容器1000(例えば、管腔内デバイス600が使用前に滅菌環境に維持されるパッキングトレイ)を示す。示されるように、滅菌塩類溶液は、処置シーケンスの一部としてポケット1010にデリバリーされている。
【0128】
図15は、処置システム100の弁200に導入される直前の管腔内デバイス600(例えば、カテーテルと、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスを含む、経カテーテルデリバリーシステムの形態で)を示す。
【0129】
図16は、インプラント可能なデバイス610の一部が遠位シース400内にあり、一部が弁200から突出するように、インプラント可能なデバイス610が弁200から部分的に延在している状態で弁200に導入された管腔内デバイス600を示す。弁200は、膨張媒体源(IMS)(
図13)を使用して加圧されて、弁200を加圧された閉鎖状態に遷移させ、その結果、弁200は、インプラント可能なデバイス610上で閉じられる。
【0130】
図17は、処置ポート240に結合され、加圧される(例えば、手動で、使用者が注射器プランジャを押すことによる)準備ができている処置媒体源(TMS)を示す。
図18は、処置媒体源(TMS)が加圧され、遠位シース400が遠位端414で開いていることを示す。示されるように、遠位シース400は、遠位端414から通過する処置媒体でパージされている。管腔内デバイス600もまた、この段階でパージされることができ、処置媒体は管腔内デバイス600の内腔(図示せず)を通過する。
【0131】
図19は、管腔内デバイス600の内腔をシール又は他の方法で閉じるように(例えば、
図19に示されるハンドル部分弁(例えば、ルアーフィッティング)を閉じることによる)動作している管腔内デバイス600を示している。
【0132】
図20は、遠位シース400がシールされ(例えば、使用者が遠位端414上に親指を置くことによる)、処置媒体源(TMS)が加圧されて処置媒体を遠位シース400に押し込み、次いでインプラント可能なデバイス610を通して弁200を通過し(例えば、インプラント可能なデバイス610の外側スリーブとインプラント可能なデバイス610の本体との間で)、インプラント可能なデバイス610を処置する(例えば、インプラント可能なデバイス610からのフラッシュエア)。この工程で、幾らかの処置媒体は、弁200の近位にあるインプラント可能なデバイス610を通過することができる。
図21は、追加の視覚化のための弁200の周りの拡大図である。
【0133】
図22は、フラッシュされている管腔内デバイス600の内腔を示している。例えば、ハンドル部分弁が開かれ、処置媒体源(TMS)が加圧され、処置媒体が管腔内デバイス600を通過して、管腔内デバイス600の内腔をフラッシュすることができる。
【0134】
図23は、弁200が開かれ(例えば、充填ポート210を使用して弁200を脱圧することによって)、管腔内デバイス600が処置システム100から取り外されていることを示している。
図24は、管腔内デバイス600、特にインプラント可能なデバイス610を示しており、次に、処置媒体(例えば、滅菌液体)が受容されるポケット1010内に配置されている。この任意選択的な工程において、現在処理済のインプラント可能なデバイス610は、空気を再吸収することが実質的に防止される。言い換えれば、処置(例えば、フラッシュ)の有効性は、インプラント可能なデバイス610を滅菌塩類溶液などの処置媒体中に配置することによって実質的に保存される。
【0135】
様々な特徴が、幾つかの例に関連して具体的に記載されており、他の例に関連して記載されていない。しかしながら、例の間の特徴の組み合わせを排除することは意図されていない。代わりに、そのような組み合わせは具体的に考えられ、本開示の一部を形成する。本開示の本発明の概念は、一般的に及び特定の実施形態に関して記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
管腔内デバイスを受容するように構成された近位弁であって、前記近位弁は、管腔内デバイスの周囲をシールするために、シール化状態と非シール化状態との間で作動可能な近位シール機構を含む、近位弁、
管腔内デバイスを受容するように構成された遠位弁であって、前記遠位弁は、管腔内デバイスの周囲でシール化状態と非シール化状態との間で作動可能な遠位シール機構を含む、遠位弁、及び、
前記近位弁と前記遠位弁との間に延在している管腔内デバイスの部分を受容するように構成された処置チャンバであって、前記処置チャンバは、前記近位弁と前記遠位弁との間で流体的に結合されて、前記近位弁と前記遠位弁との間の処置空間を画定する、処置チャンバ、
を含む、管腔内デバイスのための処置システム。
(態様2)
前記近位シール機構及び前記遠位シール機構の一方又は両方は、外管、内管、及び、前記外管の内面と前記内管の外面との間に形成された加圧可能な空間を含み、そして前記加圧可能な空間は、前記内管を管腔内デバイスの周りに順応させて管腔内デバイスの周りにシールを形成させるように加圧可能である、態様1記載のシステム。
(態様3)
前記内管は順応性材料から形成されている、態様2記載のシステム。
(態様4)
前記順応性材料は、ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)、シルク及びポリパラフェニレンテレフタルアミドのうちの1つ以上を含む、態様3記載のシステム。
(態様5)
前記外管はエラストマー材料から形成されている、態様2~4のいずれか1項記載のシステム。
(態様6)
前記エラストマー材料はシリコーンを含む、態様5記載のシステム。
(態様7)
前記遠位弁から遠位に延在しているイントロデューサシースをさらに含む、先行の態様のいずれか1項記載のシステム。
(態様8)
前記処置チャンバは、前記近位弁に隣接する近位部分、前記遠位弁に隣接する遠位部分を有し、前記処置システムは、前記処置チャンバの近位部分と流体連通している近位処置ポート、及び、前記処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置ポートをさらに含む、先行の態様のいずれか1項記載のシステム。
(態様9)
前記近位処置ポート及び前記遠位処置ポートのそれぞれは、前記近位処置部分及び前記遠位処置部分をそれぞれ流体的にシール化及び非シール化するための弁を含む、態様8記載のシステム。
(態様10)
前記管腔内デバイスは、カテーテル、及び、コンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスを含む、経カテーテルデリバリーシステムであり、さらに、前記処置チャンバは、コンパクト化されたデリバリー直径又は状態でインプラント可能なデバイスを受容するように構成されている、先行の態様のいずれか1項記載のシステム。
(態様11)
前記管腔内デバイスは、カテーテル、及び、デリバリーカテーテルによってコンパクト化されたデリバリー直径又は状態に維持されたインプラント可能なデバイスを含む、経カテーテルデリバリーシステムであり、さらに、前記処置チャンバは、コンパクト化されたデリバリー直径よりも大きい中間の部分的に拡張された直径でインプラント可能なデバイスを受容するように構成されている、先行の態様のいずれか1項記載のシステム。
(態様12)
患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する方法であって、前記方法は、
管腔内デバイスを処置システム内に配置すること、ここで、前記処置システムは、近位弁、遠位弁、及び、前記近位弁と前記遠位弁との間の処置空間を画定する処置チャンバを含み、前記管腔内デバイスは、前記近位弁を通って延在する第一の部分、前記遠位弁を通って延在する第二の部分、及び、前記処置チャンバの処置空間を通って延在する処置部分を含む、
前記管腔内デバイスの第一の部分に対して前記近位弁、及び、前記管腔内デバイスの第二の部分に対して前記遠位弁をシールするために、前記近位弁及び前記遠位弁を閉じること、及び、
処置媒体を前記処置空間にデリバリーして、前記管腔内デバイスの処置部分を前記処置媒体に曝露すること、
を含む、方法。
(態様13)
前記管腔内デバイスの処置部分は、デリバリーカテーテルによって維持されるインプラント可能なデバイスを含む、態様12記載の方法。
(態様14)
前記管腔内デバイスの処置部分は、前記インプラント可能なデバイスの近位部分を含み、前記管腔内デバイスの遠位部分は前記遠位弁から延在している、態様12記載の方法。
(態様15)
前記処置媒体は、塩類溶液、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン溶液、メチレンブルー及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選ばれる、態様12~14のいずれか1項記載の方法。
(態様16)
前記処置媒体を前記処置空間にデリバリーすると、前記管腔内デバイスの処置部分から空気が押し出される、態様12~15のいずれか1項記載の方法。
(態様17)
前記処置チャンバの近位部分と流体連通している近位処置部分及び前記処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置部分のうちの少なくとも1つを介して前記処置媒体を前記処置空間にデリバリーすることをさらに含む、態様12~16のいずれか1項記載の方法。
(態様18)
前記処置媒体は、前記処置チャンバの遠位部分と流体連通している遠位処置ポートを通って前記処置チャンバを出る、態様12~17のいずれか1項記載の方法。
(態様19)
前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、前記遠位弁は前記スリーブ上で閉止され、そして前記処置媒体は、前記スリーブと前記インプラント可能なデバイスとの間の1つ以上のギャップを通って前記遠位弁から前記処置チャンバを出る、態様12~17のいずれか1項記載の方法。
(態様20)
前記処置システムはイントロデューサシースを含み、前記方法は、前記イントロデューサシースを患者の体腔に挿入することをさらに含む、態様12~19のいずれか1項記載の方法。
(態様21)
前記処置媒体は、イントロデューサシースが患者の体腔に挿入された状態で前記処置空間にデリバリーされる、態様20記載の方法。
(態様22)
患者の体内に導入するための管腔内デバイスを処置する方法であって、前記方法は、
管腔内デバイスを処置システム内に配置すること、ここで、前記処置システムは、弁及び前記弁から延在する処置チャンバを含み、前記管腔内デバイスは、前記弁を通って延在する第一の部分と、前記処置チャンバの処置空間内に延在する処置部分とを含む、
前記管腔内デバイスの第一の部分に対して弁をシールするために弁を閉じること、
前記処置チャンバをシールすること、及び、
前記処置チャンバ内の処置空間に処置媒体をデリバリーして、前記管腔内デバイスの処置部分を処置媒体に曝露すること、
を含む、方法。
(態様23)
前記処置チャンバはキャップ部材でシールされる、態様22記載の方法。
(態様24)
前記処置チャンバの長さを調整することをさらに含む、態様22記載の方法。
(態様25)
前記処置チャンバは、使用者によってデジタル的にシールされる、態様24記載の方法。
(態様26)
前記管腔内デバイスは、インプラント可能なデバイスをコンパクト化されたデリバリー状態に維持するスリーブを含み、さらに、前記弁はスリーブ上で閉じられ、そして前記処置媒体は、前記スリーブと前記インプラント可能なデバイスとの間の1つ以上のギャップを通って前記弁を通して前記処置チャンバを出る、態様22~25のいずれか1項記載の方法。