(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】圧入嵌合・形状嵌合接続機構およびそのような接続機構を有するベルトテンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/08 20060101AFI20230911BHJP
【FI】
F16H7/08 Z
(21)【出願番号】P 2021576956
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 DE2020100535
(87)【国際公開番号】W WO2020259758
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】102019117170.9
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゾラン マリチッチ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー クアツ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018120933(DE,A1)
【文献】特開昭63-126627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側部分に固定される外側部分に対する前記内側部分の圧入嵌合・形状嵌合接続機構であって、
-圧入嵌合接続が、前記外側部分と前記内側部分との間に円筒形プレスジョイント(3)を含み、
-形状嵌合接続が、前記内側部分の上および前記外側部分の上に接触停止部分(18、19)を有する軸方向停止部によって形成されている、圧入嵌合・形状嵌合接続機構であって、
前記プレスジョイント(3)の円筒軸に対して垂直な平面である第1の主曲率平面(E
1
)において、前記停止部分(18、19)
が等しい曲率半径(r
a1
、r
i1
)で互いに接
触し、前記プレスジョイント(3)の前記円筒軸
を含む平面である第2の主曲率平面(E
2)において、
前記停止部分(18、19)が異なる曲率半径(r
a2、r
i2)
で互いに接触するエッジ支持部を特徴とする、圧入嵌合・形状嵌合接続機構。
【請求項2】
前記エッジ支持部が、ヘルツ線接触であることを特徴とする、請求項1に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構。
【請求項3】
前記停止部分(18、19)が、凸状の曲率および非凹状の曲率を有する前記第2の主曲率平面(E
2)において互いに接触していることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構。
【請求項4】
それぞれの場合において、前記第2の主曲率平面(E
2)において、前記外側部分の前記停止部分(18)が、凸状に湾曲しており、前記内側部分の前記停止部分(19)が、湾曲していないことを特徴とする、請求項3に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構。
【請求項5】
前記内側部分の前記停止部分(19)が、前記プレスジョイント(3)の前記円筒軸に対して最大20°傾斜していることを特徴とする、請求項4に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構。
【請求項6】
前記外側部分の前記停止部分(18)が鋼製であり、前記内側部分の前記停止部分(19)がアルミニウム製であり、前記第2の主曲率平面(E
2)において、以下が前記外側部分の前記停止部分(18)の曲率半径r
a2に適用されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構:
0<r
a2<1mm。
【請求項7】
前記圧入嵌合接続が長手方向の圧入嵌合接続であり、前記外側部分および前記内側部分が、前記圧入嵌合接続の領域において、前記外側部分が前記内側部分の上へと押し込まれたときに前記停止部分(18、19)が大きすぎることに打ち勝つように補償する弾性径方向変形能を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構。
【請求項8】
ベルト(36)が巻かれたジェネレータプーリ(8)を有するジェネレータを備える、アクセサリーベルトドライブのベルトテンショナ(2)であって、
-前記ジェネレータプーリ(8)の回転軸(12)を取り囲む、前記ジェネレータに固定されたベアリングフランジ(4)と、
-環状形状であり、かつ互いに対して旋回できるように前記ベアリングフランジ(4)に取り付けられている、第1のテンションアーム(9)および第2のテンションアーム(10)と、
-前記ジェネレータプーリ(8)の前後において前記ベルト(36)の回転方向に前記ベルト(36)に予張力を付与する、前記テンションアーム(9、10)に取り付けられた2つのテンションプーリ(6、7)と、
-前記予張力を生成するように前記テンションアーム(9、10)の間に挟持されたスプリング(11)と、
-前記第1のテンションアーム(9)に接続され、請求項1~7のいずれか一項に記載の圧入嵌合・形状嵌合接続機構によって前記第1のテンションアーム(9)のスリーブセクション(16)に固定されたロッキングスリーブ(17)と、を備え、
前記第1のテンションアーム(9)が、前記ロッキングスリーブ(17)によって、前記ベアリングフランジ(4)の内側側面に対して径方向にスライド可能に支持され、前記第2のテンションアーム(10)が、前記ベアリングフランジ(4)の外側側面に対して径方向にスライド可能に支持されている、ベルトテンショナ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側部分に固定される外側部分に対する内側部分の圧入嵌合・形状嵌合接続機構に関し、
-圧入嵌合接続は、外側部分と内側部分との間の円筒形プレスジョイント含み、
-形状嵌合接続は、内側部分の上および外側部分の上に接触停止部分を有する軸方向停止部によって形成されている。
【背景技術】
【0002】
外側部分および内側部分が(摩擦ロック)圧入嵌合および軸方向形状嵌合接続の両方によって共に接合される圧入嵌合・形状嵌合接続機構は、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3から既知である。形状嵌合接続は、過負荷の結果として圧力ばめが失敗した場合に、2つの構成要素が互いから軸方向に取り外されることを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第20 2012 100 550(U1)号
【文献】欧州特許第2 593 691(B1)号
【文献】独国特許出願公開第10 2015 226 218(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、内燃機関のアクセサリーベルトドライブのベルトテンショナにさらに関する。ベルトドライブは、ベルトが巻かれたジェネレータプーリを有するジェネレータを備え、ベルトテンショナは、以下:
-ジェネレータプーリの回転軸を取り囲む、ジェネレータに固定されたベアリングフランジと、
-環状形状であり、かつ互いに対して旋回できるようにベアリングフランジに取り付けられている、第1のテンションアームおよび第2のテンションアームと、
-ジェネレータプーリの前後においてベルトの回転方向にベルトに予張力を付与する、テンションアームに取り付けられた2つのテンションプーリと、
-予張力を生成するようにテンションアームの間に挟持されたスプリングと、
-第1のテンションアームに接続され、圧入嵌合・形状嵌合接続機構によって第1のテンションアームのスリーブセクションに固定されたロッキングスリーブと、を備える。
第1のテンションアームは、ロッキングスリーブによって、ベアリングフランジの内側側面に対して径方向にスライド可能に支持され、第2のテンションアームは、ベアリングフランジの外側側面に対して径方向にスライド可能に支持されている。
【0005】
かかるベルトテンショナは、独国特許出願公開第10 2018 120 933(A1)号から既知である。第1のテンションアームのスリーブセクションへのロッキングスリーブの圧入嵌合・形状嵌合接続機構は、長手方向の圧入嵌合・形状嵌合接続機構と、形状嵌合接続としてのスリーブセクションの径方向外向きのカーリングまたはコーキングを含む。
【0006】
本発明は、接続の緩みに対する安全性の向上に関して、圧入嵌合・形状嵌合接続機構または圧入嵌合・形状嵌合接続機構を備えたベルトテンショナを改善するという目的に基づいている。
【0007】
本目的は、プレスジョイントの円筒軸が垂直である、同じサイズの等しい曲率半径を有する第1の主曲率平面、およびプレスジョイントの円筒軸が位置する、異なる曲率半径を有する第2の主曲率平面の両方において、互いに接触する停止部分と接触するエッジ支持部による圧入嵌合・形状嵌合接続機構に関して達成される。
【0008】
圧入の端部セクションとして、または線接触によるヘルツ接触としてのいずれか一方で、軸方向形状嵌合接続を形成するエッジ支持部は、停止部分との接触によって局所的な材料応力を引き起こし、これは、停止部に軸方向の負荷がかかると、支持エッジが接触相手の表面に侵入するほど過度になり、当該表面は、それに応じて弾性的に変形し、必要に応じて塑性変形する。純粋な表面接触と比較して、この侵入は、停止部分が、比喩的に言えば、局所的に互いに食い込み、それ故に、停止方向の相互変位をさらに阻害するという点で、緩みに対する形状嵌合接続の安全性を強化している。
【0009】
本目的は、ベルトテンショナに関して、第1のテンションアーム(内側部分)のスリーブセクションにロッキングスリーブ(外側部分)を固定するための本発明による圧入嵌合・形状嵌合接続機構を使用することによって達成される。
【0010】
本発明のさらなる特徴および有利な実施形態は、内燃機関のアクセサリーベルトドライブ用のベルトテンショナにおける本発明による圧入嵌合・形状嵌合接続機構を示している以下の説明および図面から明らかである。特に明記されていない限り、同じまたは機能的に同じ機構または構成要素には、同じ参照記号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ベルトテンショナを平面図において示す図である。
【
図2】ベルトテンショナを分解図において示す図である。
【
図3】
図1による断面A―Aを斜視図において示す図である。
【
図4】ロッキングスリーブが接合されたベルトテンショナの第1のテンションアームを単独図において示す図である。
【
図6】接合された構成要素が相互に侵入した状態で、概略的に図示され、簡略化されている
図5の詳細Yを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図3は、本発明による内燃機関のアクセサリーベルトドライブのベルトテンショナ2を示している。とりわけ、ベルトドライブは、既知の方法で、発電用のジェネレータとしてだけでなく、ベルトの始動または内燃機関のブースト用のジェネレータとしても機能するスタータジェネレータを駆動し、この場合、(駆動)モータとして動作される。ベルトテンショナ2は、前方で、即ち、スタータジェネレータの一部であるベルト側で、(
図1において破線として示されている)ジェネレータプーリ8の回転軸12を取り囲むベアリングフランジ4によって、ねじ込み点5を有する3つのベアリング面13に固定され、(
図1においてまた破線として示されている)ベルト36に、その前後の回転方向にジェネレータプーリ8の前後において予張力を付与する2つのテンションプーリ6および7を備える。テンションプーリ6、7は、それぞれ第1および第2のテンションアーム9および10に固定され、第1および第2のテンションアーム9および10のそれぞれは、閉じた環状構成であり、ベアリングフランジ4上で互いに対してかつスタータジェネレータに対して径方向および軸方向に滑動する。テンションアーム9、10の取り付けは、回転軸12に対して同心であるが、代替的に、ジェネレータプーリ8および巻掛けベルト36がベルトテンショナ2に対して十分なクリアランスを有する限り、回転軸12に対して偏心していてもよい。テンションプーリ6、7は、いわゆるプーリダウン設計に従って、いずれの場合にも、スクリュー18によって固定され、スクリュー18のスクリューヘッドは、スタータジェネレータに対向している。
【0013】
ベルトの予張力は、テンションアーム9とテンションアーム10との間に挟持されたスプリング11によって生成され、テンションプーリ6、7は、ベルト36のたるんだ側に予張力を付与し、これにより、スタータジェネレータの動作状態に応じて張り側が置き換えられる。各テンションアーム9、10に形成された六角形部37は、いずれの場合にも、その後、係止ピンが2つの整列した係止ボア38および39に挿入され得るまで、2つのテンションアーム9および10をスプリング力に対して分離することができる組立工具の係合部として機能し、この挟持された(組立)位置で互いに対して2つのテンションアーム9および10を固定する。
【0014】
ベルト予張力を生成するスプリング11は、対応する弧形状のスプリングチャンバ27内のベルト面に平行に収容されているアークスプリングである。これは、一方では第1のテンションアーム9の周方向に弓状の隆起部28によって軸方向に境界が定められ、他方では、滑りベアリングリング22を備える第2のテンションアーム10の端面23によって境界が定められ、テンションプーリ6、7とほぼ軸方向に重なって、内部に収容されているスプリング11に沿って配置されている。スプリングチャンバ27の周方向延在部は、ジェネレータプーリ8の巻掛け領域内に配置され、隆起部28の周方向端部における2つの壁29および30によって区切られている。
【0015】
一般的に知られているように、アークスプリングは、通常は、弧形状の開いた長手方向延在部を有するらせん状圧縮スプリングである。スプリング11は、すでに弓形状で製造されているか、あるいは、スプリングチャンバ27内に挿入されたときにのみ弓形状に変形する真っ直ぐならせん状圧縮スプリングとして製造されてもよい。アークスプリングは、ねじりスプリングの比較的高い実効係数を、その弓状の設置スペースに対するスプリング11の周方向の制限と組み合わせている(実効係数は、スプリングの吸収エネルギーを、同じスプリング体積および材料応力に対する可能な最大蓄積仕事量と比較する)。十分に高いスプリング容量により、スプリング11がジェネレータプーリ8の巻掛け領域に問題なく本質的に位置付けられ得ることによって、テンションプーリ6、7と軸方向に重なり得るので、このタイプのテンショナサスペンションにより、ベアリング設計に関して環状に閉じられたテンションアーム9、10の幾何形状が有利になることができる。さらに、テンションプーリ6、7、それ故に、ベルト面は、スタータジェネレータから比較的小さい軸方向距離に配置され得るため、フロントジェネレータのシャフトベアリングにかかるモーメント荷重は小さいままである。
【0016】
具体的には、それだけでなく、スプリングのコイリングに好ましくない大きい弧角を有するアークスプリングが必要とされる場合、2つ以上のアークスプリングまたは真っ直ぐならせん状圧縮スプリングもまた直列に設けられてもよく、スプリングチャンバ27は、それに対応して適合された弧角を有する。これとは別に、外側および内側のアークスプリングを備えたスプリングアセンブリの形態で並列に接続されたアークスプリングもまた可能である。これらのパラメータを活用して、テンショナサスペンションの全体的な特性を広範囲に変更可能である。
【0017】
スプリング11は、第1のテンションアーム9の一方の壁29と第2のテンションアーム10のドライバ31との間で挟持されて、2つのテンションプーリ6、7に対して互いに向かってトルクを付与する。ドライバ31は、端面23の反対側に軸方向に突出し、他方の壁30の前方でスプリングチャンバ27内に突出している。ドライバ31がテンションプーリ7と完全にまたは少なくとも主に軸方向に重なり合って配置されるという事実により、スプリング11およびテンションプーリ7によって導入される一対の反力は、第2のテンションアーム10のピボットベアリングにおいて比較的小さい傾動モーメントを生成する。
【0018】
3つのU字型滑動シュー32がスプリング11の外弧に固定されており、スプリング11の反力を径方向外向き方向に、かつテンションアーム9、10のうちの少なくとも一方に軸方向に支持している。本事例において、軸方向の支持は両方のテンションアーム9、10に提供される。径方向の支持は、滑動シュー32とスプリングチャンバ27の弓状の外殻33との滑動接触によって提供される。スプリング11の軸方向のたわみまたは座屈を防止する軸方向の支持は、そこで本質的に平坦である滑動シュー32と、接触領域において滑りベアリングリング22のくぼみ34により金属的に露出している端面23との滑動接触によって、スタータジェネレータの部分に提供される。反対側では、軸方向の支持は、滑動シュー32とスプリングチャンバ27の底部35との滑動接触によって提供される。
【0019】
示される実施形態において、それぞれが一方ではプラスチック表面によって形成され、他方では金属表面によって形成される多数の滑動接触は、摩擦を調整するためのかなりの余裕をもたらし、それ故に、ベルトテンショナ2の動作減衰特性をもたらす。それぞれの材料の組み合わせ、表面形状、および粗さ、ならびに必要に応じてグリースを塗布することに関して滑動接触を一致させる場合、これらの相対的な動きも考慮に入れなければならない。これらは、例えば、滑動接触がドライバ31から1つの壁29の方向に向かって見られるときに、滑動シュー32と第2のテンションアーム10の端面23との間で大きくなる。逆に、一方では滑動シュー32と、他方では外殻33およびスプリングチャンバ27の底部35との間の相対的な動きは小さくなる。
【0020】
ベアリングスリーブ14は、ベアリングフランジ4上に形成され、ベアリングスリーブ14は、テンションアーム9、10と同様に、アルミニウムダイキャスト部品として設計されており、ベアリングスリーブ14の内側表面に対して、第1のテンションアーム9および第2のテンションアーム10の外側表面は、径方向にスライド可能に支持されている。滑りベアリングは、滑りベアリングリング15によって内側が放射状に提供され、滑りベアリングリング20によって外側が放射状に提供され、滑動シュー32と同様に、PTFEが埋め込まれたポリアミドで製造されている。滑りベアリングリング15および20はそれぞれスラストベアリングとしても機能し、滑りベアリングリング15は、それに接続されたロッキングスリーブ17によってベアリングフランジ4に対して軸方向に第1のテンションアーム9を支持し、滑りベアリングリング20は、ベアリングフランジ4に対して軸方向に第2のテンションアーム10を支持する。テンションアーム9、10の反対方向のアキシャルベアリングは、滑りベアリングリング22によって提供される。
【0021】
ロッキングスリーブ17を取り囲むエラストマー材料で製造されたシーリングリップ41は、ジェネレータから離間したベアリングフランジ4の端面40とシーリング接触して据えられ、侵入する汚れおよび飛沫水から上記の滑りベアリングを保護している。ベアリングポイントのジェネレータ側のシーリングまたはシールドは、弾性シーリングコード44のシーリングリップ43によって達成され、シーリングリップ43は、スプリングチャンバ27の領域の大部分に対して弧角約270°の円弧上にのみ延在し、第1のテンションアーム9に軸方向に取り付けられている。このプラグイン接続は、第1のテンションアーム9上のいくつかのセグメント様軸方向突起45およびシーリングコード44における対応する溝によって、軸方向および回転方向の両方で緩みに対して固定されている。シーリングコード44の外側に周方向に延在する軸方向の間隙は、第2のテンションアーム10の両側で、汚れおよび撥水に対する複雑な構造によって封止されている。
【0022】
ロッキングスリーブ17は、鋼板製の成形部品であり、本発明による圧入嵌合・形状嵌合接続機構により第1のテンションアーム9に固定されている。本事例における圧入嵌合接続の摩擦接続機構と形状嵌合接続を組み合わせた圧入嵌合・形状嵌合接続機構について、ベルトテンショナ2における特別な設計としてかつ一般論としての両方で
図4~
図6を参照して以下に説明する。
【0023】
圧入嵌合接続は、ロッキングスリーブ17の内側側面と、第1のテンションアーム9のスリーブセクション16の外側側面との間の円筒形プレスジョイント3との長手方向のプレス接続機構である。本発明による圧入嵌合・形状嵌合接続機構の一般的な事例において、ロッキングスリーブ17は外側部分を表し、スリーブセクション16は外側部分に接続される内側部分を表す。
【0024】
形状嵌合接続は、圧入嵌合接続に加えて、スリーブセクション16に対するロッキングスリーブ17の変位を防止する軸方向停止部によって形成され、これにより、滑りベアリングの軸方向のクリアランスが増加する。ロッキングスリーブ17上にかつスリーブセクション16上に形成される軸方向停止部の停止部分18および19は、エッジ支持部に接触し、エッジ支持部は、停止部が軸方向の荷重を受けると、非常に過度の材料応力を発生させ、その結果、接触する構成要素表面の相互の「食い込み」を生じさせる。
【0025】
本事例において、エッジ支持部は、ロッキングスリーブ17において形成され、プレスジョイント3の端部に位置する周方向エッジ1である停止部分18によって生成される。幾何学的にかつ/またはヘルツ線接触の観点で表現すると、停止部品18、19は、外側部分の曲率半径ra1と内側部分の曲率半径ri1が等しい、回転軸12と同一であるプレスジョイント3の円筒軸が垂直である第1の主曲率平面E1において互いに接触し、外側部分の曲率半径ra2と内側部分の曲率半径ri2が異なる、プレスジョイント3の円筒軸が置かれる第2の主曲率平面E2において互いに接触する。第2の主曲率平面E2において、停止部分18、19の曲率は、一方では凸状であり、他方では非凹状であることが好ましい。本事例において、外側部分(ロッキングスリーブ17)の停止部分18は、成形許容範囲0<ra2<1mm内で凸状に湾曲し、内側部分(スリーブセクション16)の停止部分19は、円錐台状であり、ri2~∞は湾曲しない。内側部分の停止部分19は、プレスジョイント3の円筒軸に対して最大20°傾斜している。
【0026】
本実施形態では、スリーブセクション16の上へのロッキングスリーブ17の長手方向の圧入嵌合接続は、停止部分18、19が大きすぎることに打ち勝つ程度に、接続される構成要素セクションの弾性径方向変形能を必要とし、スリーブセクション16の上へロッキングスリーブ17を押し込む際に、弾性変形によって補償される。打ち勝つ停止部分18、19の大きすぎるサイズは、本事例において直径dS-dFの差である(式中、
dS=プレスジョイント3の直径
dF=内側停止部分19の最大直径)
冒頭で引用した従来技術に対するこの方法で製造された圧入嵌合・形状嵌合接続機構の重要な利点は、形状嵌合接続を生成するためのコーキングまたはローラー研磨の追加のプロセス工程が排除され、その結果、単一の接合工程のみが接続を生成するために必要であることである。