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特許7346685信号サンプリング品質の判定方法および装置、サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法および装置、電子機器、記憶媒体並びにコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】信号サンプリング品質の判定方法および装置、サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法および装置、電子機器、記憶媒体並びにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/20 20220101AFI20230911BHJP
【FI】
G06N10/20
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022139947
(22)【出願日】2022-09-02
(65)【公開番号】P2022171732
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202210345361.4
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孟則霖
【審査官】今城 朋彬
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-521433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0285986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00-10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るステップと、
前記第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るステップと、
前記第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するステップと、
を含む信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項2】
前記第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るステップは、
信号生成関数および/または前記量子チップの構造に基づいて近似関数を生成するステップと、
前記近似関数を用いて前記第1のサンプリングデータを近似して近似曲線を得るステップと、
前記第1のサンプリングデータと前記近似曲線に基づいて、前記第1の特徴抽出結果を得るステップと、
を含む請求項1に記載の信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項3】
実験閾値と前記信号生成関数に基づいて制御信号を生成するステップと、
前記制御信号を前記量子チップの入力として、前記第1の出力信号を得るステップと、
を含む請求項2に記載の信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項4】
前記第1のサンプリングデータは、量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを含み、
前記第1のサンプリングパラメータはスキャン区間とサンプリング回数とを含み、
前記第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るステップは、
前記スキャン区間内において、前記サンプリング回数に基づいて前記第1の出力信号に対してサンプリングを行い、前記量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを得るステップを含む、
請求項1に記載の信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項5】
前記第1の特徴抽出結果は、近似誤差、共分散・相関係数、サンプリングデータの特徴、自己相関関数、周期サンプル点の特徴のうちの少なくとも1種を含む請求項1に記載の信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項6】
前記サンプリング品質分類結果は、予め設定された品質基準に合致しない第1の分類結果と、予め設定された品質基準に合致する第2の分類結果とを含み、
前記サンプリング品質分類結果が前記第1の分類結果である場合、前記第1の分類結果に対応するサンプリングパラメータ調整方法により、前記第1のサンプリングパラメータを調整するステップをさらに含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項7】
前記第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するステップは、
前記第1の特徴抽出結果をサンプリング品質分類モデルに入力して前記サンプリング品質分類結果を得るステップを含み、
前記サンプリング品質分類モデルは、クラスタリングモデルをトレーニングすることにより得られる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定方法。
【請求項8】
複数の第2のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの複数の第2の出力信号をそれぞれサンプリングし、複数組の第2のサンプリングデータを得るステップと、
前記複数組の第2のサンプリングデータに対してそれぞれ特徴抽出を行い、対応する複数の第2の特徴抽出結果を得るステップと、
前記複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることによりサンプリング品質分類モデルを得るステップと、を含み、
前記サンプリング品質分類モデルは、サンプリング品質分類結果を確定するために用いられる、
サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法。
【請求項9】
前記複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることによりサンプリング品質分類モデルを得るステップは、
複数の第2の出力信号に対応する複数の第2の特徴抽出結果を前記クラスタリングモデルに入力して初期分類結果を得るステップと、
前記初期分類結果と予め設定された分類結果との差に基づいて、前記クラスタリングモデルのモデルパラメータを調整して、前記サンプリング品質分類モデルを得るステップと、
を含む請求項8に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法。
【請求項10】
前記予め設定された分類結果は、第1の分類結果と第2の分類結果とを含み、
前記複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることによりサンプリング品質分類モデルを得るステップは、
複数の前記第1の分類結果と複数の前記第2の分類結果とを予め設定するステップと、
複数の前記第1の分類結果のそれぞれに対応するサンプリングパラメータ調整方法を予め設定するステップと、
をさらに含む
請求項9に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法。
【請求項11】
第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るように構成される第1のサンプリングモジュールと、
前記第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るように構成される第1の抽出モジュールと、
前記第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するように構成される分類モジュールと、
を備える信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項12】
前記第1の抽出モジュールは、
信号生成関数および/または前記量子チップの構造に基づいて近似関数を生成し、
前記近似関数を用いて前記第1のサンプリングデータを近似して近似曲線を取得し、
前記第1のサンプリングデータと前記近似曲線に基づいて、前記第1の特徴抽出結果を取得するように構成される、
請求項11に記載の信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項13】
実験閾値と信号生成関数に基づいて制御信号を生成するように構成される生成モジュールと、
前記制御信号を前記量子チップの入力として、前記第1の出力信号を取得するように構成される入力モジュールと、
をさらに備える請求項12に記載の信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項14】
前記第1のサンプリングデータは、量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを含み、
前記第1のサンプリングパラメータは、スキャン区間およびサンプリング回数を含み、
前記第1のサンプリングモジュールは、前記スキャン区間内において、前記サンプリング回数に基づいて前記第1の出力信号に対してサンプリングを行い、前記量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを得るように構成される、
請求項11に記載の信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項15】
前記第1の特徴抽出結果は、近似誤差、共分散・相関係数、サンプリングデータの特徴、自己相関関数、周期サンプル点の特徴のうちの少なくとも1種を含む、請求項11に記載の信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項16】
前記サンプリング品質分類結果は、予め設定された品質基準に合致しない第1の分類結果と、予め設定された品質基準に合致する第2の分類結果とを含み、
前記サンプリング品質分類結果が前記第1の分類結果である場合、前記第1の分類結果に対応するサンプリングパラメータ調整方法により、前記第1のサンプリングパラメータを調整するように構成される調整モジュールをさらに備える、
請求項11~15のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項17】
前記分類モジュールは、
前記第1の特徴抽出結果をサンプリング品質分類モデルに入力して前記サンプリング品質分類結果を得るように構成され、
前記サンプリング品質分類モデルは、クラスタリングモデルをトレーニングすることにより得られる、
請求項11~15のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定装置。
【請求項18】
複数の第2のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの複数の第2の出力信号をそれぞれサンプリングし、複数組の第2のサンプリングデータを得るように構成される第2のサンプリングモジュールと、
前記複数組の第2のサンプリングデータのそれぞれに対して特徴抽出を行い、対応する複数の第2の特徴抽出結果を得るように構成される第2の抽出モジュールと、
前記複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることにより、サンプリング品質分類結果を確定するためのサンプリング品質分類モデルを得るように構成されるトレーニングモジュールと、
を備える、サンプリング品質分類モデルのトレーニング装置。
【請求項19】
前記トレーニングモジュールは、
複数の第2の出力信号に対応する複数の第2の特徴抽出結果を前記クラスタリングモデルに入力して初期分類結果を取得し、
前記初期分類結果と予め設定された分類結果との差に基づいて、前記クラスタリングモデルのモデルパラメータを調整して、前記サンプリング品質分類モデルを取得するように構成される、
請求項18に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング装置。
【請求項20】
前記予め設定された分類結果は、第1の分類結果と第2の分類結果とを含み、
前記トレーニングモジュールはさらに、
複数の前記第1の分類結果と複数の前記第2の分類結果とを予め設定し、
複数の前記第1の分類結果のそれぞれに対応するサンプリングパラメータ調整方法を予め設定するように構成される、
請求項19に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング装置。
【請求項21】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリとを備える電子機器であって、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令が格納され、前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~7のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定方法または請求項8~10のいずれか1項に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法を実行させる、電子機器。
【請求項22】
コンピュータ指令が格納されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ指令はコンピュータに請求項1~5のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定方法または請求項8~10のいずれか1項に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法を実行させるために用いられる非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
プロセッサによって実行されると、請求項1~5のいずれか1項に記載の信号サンプリング品質の判定方法または請求項8~10のいずれか1項に記載のサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法が実現されるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子計算の分野に関し、特に量子信号の分野に関し、特に信号サンプリング品質の判定方法および装置、サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法および装置、電子機器、記憶媒体並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高い精度で量子チップ上の量子ゲートを実現するために、実験者は量子チップ上の各量子ビットの制御パルスに対して精密なキャリブレーションを行う必要があり、その方法は量子チップに特定の制御パルスを繰り返して入力して読み出し、計算と解析を経てパルスパラメータを更新し、反復して最終的に最適な制御パルスパラメータを出力する。しかし、人間のニーズの増加と量子チップ技術の進歩に伴い、量子チップに集積される量子ビットの数が急速に増加し、最適なパルスパラメータを探す過程に大量の時間と労力を費やし、作業効率が低下してしまう。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、信号サンプリング品質の判定方法および装置、サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法および装置、電子機器、記憶媒体並びにコンピュータプログラムを提供する。
【0004】
本開示の第1の態様によれば、
第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るステップと、
当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るステップと、
当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するステップと、を含む信号サンプリング品質の判定方法を提供する。
【0005】
本開示の第2の態様によれば、
複数の第2のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの複数の第2の出力信号をそれぞれサンプリングし、複数組の第2のサンプリングデータを得るステップと、
当該複数組の第2のサンプリングデータのそれぞれに対して特徴抽出を行い、対応する複数の第2の特徴抽出結果を得るステップと、
当該複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることによりサンプリング品質分類モデルを得るステップと、を含み、
当該サンプリング品質分類モデルは、サンプリング品質分類結果を確定するために用いられる、サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法を提供する。
【0006】
本開示の第3の態様によれば、
第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るように構成される第1のサンプリングモジュールと、
当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るように構成される第1の抽出モジュールと、
当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するように構成される分類モジュールと、
を備える信号サンプリング品質の判定装置を提供する。
【0007】
本開示の第4の態様によれば、
複数の第2のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの複数の第2の出力信号をそれぞれサンプリングし、複数組の第2のサンプリングデータを得るように構成される第2のサンプリングモジュールと、
当該複数組の第2のサンプリングデータのそれぞれに対して特徴抽出を行い、対応する複数の第2の特徴抽出結果を得るように構成される第2の抽出モジュールと、
当該複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることによりサンプリング品質分類モデルを得るように構成されるトレーニングモジュールと、を備え、
当該サンプリング品質分類モデルは、サンプリング品質分類結果を確定するために用いられる、サンプリング品質分類モデルのトレーニング装置を提供する。
【0008】
本開示の第5の態様によれば、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリとを備える電子機器であって、
当該メモリには、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令が格納され、当該指令が当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、当該少なくとも1つのプロセッサに本開示の第1の態様または第2の態様のいずれかの実施形態に記載の方法を実行させる電子機器を提供する。
【0009】
本開示の第6の態様によれば、コンピュータ指令が格納されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、当該コンピュータ指令は本開示の第1の態様または第2の態様のいずれかの実施形態に記載の方法をコンピュータに実行させるために用いられる非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0010】
本開示の第7の態様によれば、プロセッサによって実行されると本開示の第1の態様または第2の態様のいずれかの実施形態に記載の方法が実現されるコンピュータプログラム/コンピュータ指令を提供する。
【0011】
本開示の技術的解決手段は、量子チップの出力信号のサンプリングに対してサンプリング品質の評価を行い、サンプリング品質の分類結果を得、品質判定の全過程が自動的に行われるようにすることにより、量子信号のサンプリング品質の評価効率が向上した。
【0012】
なお、発明の概要に記載された内容は、本開示の実施形態のかなめとなる特徴または重要な特徴を限定することを意図するものではなく、本開示の範囲を限定するものでもない。本開示の他の特徴は、以下の説明によって理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は本開示をよりよく理解するために用いられ、本開示に対する限定ではない。
図1】本開示の一実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法のフローチャート概略図である。
図2】本開示の他の実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法のフローチャート概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係るラビ振動曲線およびその近似結果の概略図である。
図4】本開示のもう一つの実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法のフローチャート概略図である。
図5】本開示の一実施形態に係るサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法のフローチャート概略図である。
図6】本開示の一実施形態に係るサンプリングデータ分類結果の概略図である。
図7】本開示の一実施形態に係るサンプリング品質分類モデルのトレーニングステップの概略図である。
図8】本開示の一実施形態に係るサンプリング品質分類モデルの応用ステップの概略図である。
図9】本開示の一実施形態に係るサンプリング信号をキャリブレーションするステップの概略図である。
図10】本開示の一実施形態に係る信号サンプリング品質の判定装置の概略構造図である。
図11】本開示の他の一実施形態に係る信号サンプリング品質の判定装置の概略構造図である。
図12】本開示のもう一つの実施形態に係る信号サンプリング品質の判定装置の概略構造図である。
図13】本開示の一実施形態に係るサンプリング品質分類モデルのトレーニング装置の概略構造図である。
図14】本開示の実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法を実現するための電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、図面を参照して本開示の例示的な実施形態を説明し、ここで理解を助けるため、本開示の実施形態の様々な詳細を記載するが、これらは単なる例示的なものに過ぎないことを理解すべきである。従って、本開示の範囲および要旨を逸脱しない限り、当業者が本明細書の実施形態に対して様々な変更および修正を行うことができることを理解すべきである。なお、以下の説明では、明確化および簡略化のため、公知の機能および構成については説明を省略する。
【0015】
本明細書において、「および/または」という用語は、単に関連オブジェクトの関係を記述するために用いられるものにすぎず、3種類の関係が存在する可能性があることを示す。例えば、「Aおよび/またはB」は、Aのみが存在し、AとBが同時に存在し、Bのみが存在するとの3種類の状況を示す。本明細書において、用語「少なくとも1種」は、複数種類のうちのいずれか1種または複数種類のうちの少なくとも2種の任意の組み合わせを意味し、例えば、「A、B、Cの少なくとも1種を含む」ことは、A、B、およびCからなる群から選択されるいずれか1つまたは複数の要素を含むことを意味してもよい。本明細書における「第1」、「第2」という用語は、複数の類似の技術用語を指し、それらの順序を限定することではなく、2つのみが存在する意味でもなく、それらを区別するために用いられる。例えば、第1の特徴と第2の特徴は、2種の特徴/2つの特徴を指し、第1の特徴は1つ以上であってもよく、第2の特徴も1つ以上であってもよい。
【0016】
なお、本開示をより詳細に説明するために、以下の具体的な実施形態ではその詳細を説明する。当業者であれば、具体的な詳細がなくても、本開示を同様に実施できることを理解すべきである。いくつかの実施形態において、本開示の趣旨を強調するために、当業者に熟知の方法、手段、素子、および回路は詳細に説明していない。
【0017】
量子計算は量子力学に従って量子情報ユニットを制御して計算を行う計算モデルである。量子計算は、従来のコンピュータに比べて、特定の問題を処理する際に従来の汎用コンピュータより優れている。量子計算において、量子ゲートは、特定の量子状態を別の量子状態に変換することができ、可逆的な基本動作ユニットであるが、パルスを設計して忠実度の高い量子ゲートを作製することは、実験の核心的な問題である。高い精度で量子ゲートを実現するために、実験者は量子チップ上の各量子ビット(量子ゲートを構成する基本単位)の制御パルスに対して精密なキャリブレーションを行う必要があり、その方法は量子チップに特定の制御パルスを繰り返し入力して読み出し、計算と解析を経てパルスパラメータを更新し、反復して最終的に最適な制御パルスパラメータを出力する。しかし、人間のニーズの増加および量子チップ技術の進歩に伴い、量子チップに集積される量子ビット数は急速に増加し、量子チップのキャリブレーション(すなわち最適化された制御パルスパラメータを見付ける)に大量の時間と労力を要し、作業効率が低下した。
【0018】
従来の量子コンピュータ実験室では、キャリブレーションプロセスは往々にして手動または半自動プログラムによるキャリブレーション方法を採用する。手動によるキャリブレーション方法の場合、実験者は手動でキャリブレーションパルスを設定し、手動で読み取った結果を解析する必要がある。プログラムによる半自動キャリブレーション方法の場合、プログラムは予め設定されたパラメータ範囲によって自動的にキャリブレーションパルスを設定し、データを解析することができ、同時に数値最適化または多次元スキャンなどのアルゴリズムを追加してキャリブレーションプロセスを加速させることができる。具体的に、手動または半自動プログラムによるキャリブレーション方法を次に具体的に説明する。
【0019】
(1)従来の手動キャリブレーション方法
このような方法では、実験者は実験に必要な制御パルスを自分で設定してキャリブレーションし、返されたデータを解析する必要がある。スキャンパラメータが適切でない場合、実験者は経験に基づいて原因を判断して、パラメータ範囲を調整して、再度実験設定を行う必要がある。
【0020】
しかし、この方法は実験者に強く頼っており、実験の経験に対する要求が高い。従来の方法は拡張性も悪く、量子ビット数の増大、カップリング構造の複雑さが高くなったことに伴い、キャリブレーションの作業量も著しく増加した。
【0021】
(2)半自動キャリブレーション方法-最適化アルゴリズムに基づくキャリブレーション方法
一の従来の技術方案では、チップのトポロジ構造と接続性に基づいて、物理ビットをグループ化して、独立して最適化することにより、最適化プロセスにおける高次元パラメータ空間の次元削減を実現し、最適化の時間複雑性(time complexity)を低減した。関連技術では、この方案を54個の量子ビットの量子チップに適用して、0.97%の|0〉状態のエラー率と4.5%の|1〉状態のエラー率の中間値を実現した。
【0022】
また、「自動ラビ(autoRabi)アルゴリズム」と呼ばれる半自動キャリブレーション方法もあり、多次元の最適化プロセスを定義することによって、ビット読み出し、ラビ(Rabi)振動実験結果(周期、ポピュレーション(population)の分布などを含む)を同時に最適化する。その損失関数は以下のように定義される:Ltot=L+LAC+L+LBIC、ここでLは近似(fitting)の良否を記述するために使用され、LACはポピュレーションの分布状況の良否を記述するために使用され、Lはパルスの立ち上がりエッジの最大傾きが指定範囲内にあるように確保するために使用され、LBICは信号を読み出すIQ平面上に2つのクラスタ(cluster)のみが存在することを確保するために使用される。最終的に、「自動ラビアルゴリズム」は、シミュレータ上で10-4のオーダーのエラー率を実現した。
【0023】
しかし、一般的に、最適化アルゴリズムに基づくキャリブレーション方法は、初期パラメータの選択に強く依存しており、初期パラメータと目標パラメータとの距離がかけ離れていると、誤差の大きい局所最適解に陥る可能性が高く、最適化の効果が予想通りにいかなくなってしまう。また、このような方法は、機器およびチップの実際の状況に応じて、最適化アルゴリズム、検索ポリシーまたは損失関数などのプログラム設定を調整する必要があるため、拡張性が良くない。また、異常処理能力を持っていないため、完全な自動化が困難である。
【0024】
(3)半自動キャリブレーション方法--機械学習に基づくキャリブレーション方法
関連技術には、機械学習におけるアブレーション学習(ablation study)に基づく方法がある。そのコアとなる考えは、高次元のパラメータ空間に対して、複数回の方向付きの1次元検索を行い、最適値が存在する超曲面(hyper-surface)を描くことである。そのうち、アルゴリズムにアブレーション学習を適用する方法は余分な検索空間を除去した。上記の方法はランダム検索による最適パラメータよりも速度が180倍程度向上した。
【0025】
関連技術の中には、畳み込みニューラルネットワークを用いてデータサンプルの属するカテゴリを予測する方法もあり、この方法は、現在のサンプルが各カテゴリ(A、B…)に属する確率を記述する確率ベクトルである
【数1】
を得ることができ、このベクトルに基づいて損失関数を構成してパラメータスキャンの最適化を行い、上記方法は88.5%の認識精度を実現した。関連技術において、強化学習を用いて量子状態制御(state manipulation)の問題を解決し、いくつかの常用の方法と組み合わせることで、制御の忠実度を高めた。
【0026】
しかしながら、上述したように、従来の実現方法は、機械学習により画像分類、パラメータ空間の次元削減、量子状態の生成などのタスクを完成させることが多く、異常が発生した場合には、正確な後続の動作を行うことが困難であるため、真の「自動化」の実現は困難であった。
【0027】
以上のことから、上記の手動あるいは半自動キャリブレーションアルゴリズムは、いずれも初期パラメータの選択に依存するため、手動の介入を完全に脱することは困難であり、同時に、最適化アルゴリズムは局所最適解に陥る問題があるため、予期通りの結果が得られない可能性があり、しかも多次元スキャンは大量にサンプリングを必要とすることが多く、効率が悪い。チップ上に集積される量子ビット数の増加に伴い、パルスキャリブレーションの速度がパラメータドリフトの速度よりも遅くなると、量子計算機の効率は高精度の量子タスクに任に堪えることができなくなる。
【0028】
本開示の実施形態により、信号サンプリング品質の判定方法を提供する。図1は、本開示の一実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法のフローチャート概略図である。図1に示すように、当該方法は具体的に以下のステップを含む。
【0029】
S101では、第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得る。
【0030】
一例示では、予め設定された実験の流れとサンプリングパラメータに基づいて実験パルスを構成し、制御信号を生成して冷凍機の中にある量子チップに入力することによって出力信号(リターン信号ともいう)を生成する。量子チップの状態を直接取得できない場合は、読み出しデバイスにより出力信号をサンプリングおよび解析しかない。第1のサンプリングデータには、振幅の異なる複数のサンプリングデータが含まれており、サンプリングパラメータは、振幅スキャン区間とその区間内のサンプル点の数Sとを含んでもよい。サンプリングが完了すると、サンプリングした後の「第1のサンプリングデータ」には、振幅スキャン区間全体にわたるS個のサンプル点が含まれる。
【0031】
一例示として、サンプリングデータは「ポピュレーション(population)」であるが、実際の状況によって、同相直交信号(IQ信号)、反射信号等の他のタイプのサンプリングデータを取得することも可能であることは勿論である。
【0032】
S102では、当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得る。
【0033】
一例示では、近似パラメータを選択して第1のサンプリングデータに対して近似を行い、第1のサンプリングデータの特徴に基づいて、近似によって得られた曲線と組み合わせて複数種の特徴量を抽出し、第1の特徴抽出結果を得る。オプション的な特徴量の種類には、「近似関数」、「共分散・相関係数」、「ポピュレーション」、「振動周期」などが含まれるが、サンプリングデータおよび近似曲線の特性を示すものであればよい。本開示は、これを限定することはしない。複数種の特徴量を得た後、トレーニングサンプル行列を生成する。
【0034】
S103では、当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定する。
【0035】
一例示では、クラスタリングを行うことは、具体的に、トレーニング済クラスタリングモデルを用いて実現することができ、すなわち、第1の特徴抽出結果をトレーニング済クラスタリングモデルに入力することにより実現される。もちろん、他のクラスタリング方法によって実現することもでき、ここでは限定しない。サンプリング品質分類結果は、サンプリング品質「良い」または「不良」の分類結果である。このうち、「不良」の分類結果はさらに、サンプリング過密、サンプリング過疎、サンプリング振幅スキャン区間過小、サンプリング振幅スキャン区間過大など、様々なタイプに細分化される。
【0036】
上記実施形態を用いて、サンプリングが完了した後、クラスタリング方法を用いていずれかの信号データとそのサンプリング結果を解析し、今回のサンプリングのサンプリング品質分類結果を確定することは、「応用段階」に属する。この方法を応用することにより、自動化サンプリングプロセスに強い解釈可能性を持たせ、サンプリングの具体的なタイプに対して自動化された高精度の解析を行い、非理想的なサンプリング状況を遅滞なく発見でき、後続の処理に便利で、より完全な自動化を実現できると同時に最終的なサンプリングに成功する確率を向上させた。
【0037】
一実施形態では、ステップS102において、第1のサンプリングデータを特徴抽出して第1の特徴抽出結果を得るステップは、当該信号生成関数および/または当該量子チップの構造に基づいて近似関数を生成するステップと、当該近似関数を用いて第1のサンプリングデータに対して近似を行って近似曲線を得るステップと、当該第1のサンプリングデータおよび当該近似曲線に基づいて第1の特徴抽出結果を得るステップとを含んでもよい。
【0038】
具体的には、量子チップの実際の適用によって入力信号の生成関数を確定し、入力信号の生成関数に基づいて量子チップの入力信号を生成してもよい。サンプリングすることにより、出力信号の複数のサンプル点を得る。
【0039】
さらに、サンプル点を特徴抽出する際に、まず、入力信号の生成関数および/または量子チップの構造特性に基づいて、近似に用いる近似関数を選定する。ここで、近似関数は、三角関数またはガウス関数であってもよい。そして、近似関数を用いてサンプル点に対して近似を行い、近似曲線を得る。
【0040】
次に、超伝導実験に基づく応用例を説明する。超伝導実験では、ラビ(Rabi)振動実験が一般的に用いられ、ラビ周波数を求めるために用いられてもよく、量子計算では通常、単一ビットゲートのキャリブレーションに関係している。
【0041】
例えば、固定時間の長さのマイクロ波駆動パルスを物理ビットに印加することにより、そのパルス強度を調整して振動曲線を観測することができ、振幅0からはじめた最初のピーク値に対応する振幅をπパルスの振幅とする。典型的なRabi振動曲線とその近似結果を図3に示す。図3中の点はサンプル点を表し、サンプル点を得た後、式(1)を近似関数として近似を行うことができる。
【0042】
【数2】
ここで、xは横座標(パルス強度)であり、近似により得られたbはπパルス強度に依存する。
【0043】
さらに、サンプル点と近似曲線の特徴に基づいて関連する特徴量の計算を行う。上記の例を用いて、サンプリングデータと近似結果との間の差を用いて特徴の構成を行い、近似関数が往々にして既知の理論知識によって与えられるため、この方法により特徴を取得して後続のクラスタリングに適用すれば、クラスタリングのプロセスに理論の指導を受けることができ、クラスタリングプロセスを加速し、クラスタリング結果の正確性を高めることができる。
【0044】
本開示の実施形態により、信号サンプリング品質の判定方法を提供する。図2は、本開示のもう一つの実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法のフローチャート概略図である。図2に示すように、当該方法は具体的に以下のステップを含む。
【0045】
S201では、実験閾値と信号生成関数に基づいて制御信号を生成する。
【0046】
S202では、当該制御信号を当該量子チップの入力として第1の出力信号を得る。
【0047】
S203では、第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得る。
【0048】
S204では、当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得る。
【0049】
S205では、当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定する。
【0050】
なお、上記ステップS203~S205は、それぞれ上記ステップS101~S103と同様または同一であるので、ここで、その説明を省略する。
【0051】
一例示では、Rabi実験によるキャリブレーションを前提に、信号生成関数としてガウス関数を用いて制御信号(制御パルスともいう)を構成する。ガウス関数では、最大振幅、パルスの中心位置、標準偏差などのパラメータを実験閾値に基づいて設定されてもよい。実験では、信号生成関数により振幅の異なる信号を複数設定して1つの複雑な制御信号になるように組み合わせることも可能である。また、初期の第1のサンプリングパラメータは、制御信号の特性に応じて設定されてもよい。当該制御信号は、冷凍機内にある量子チップに入力して、第1の出力信号が得られる。
【0052】
本開示では、制御パルスを生成する関数は制限しておらず、ガウス関数は一般的に用いられるものである。また、方形波、誤差関数、DRAGパルス(Derivative Removal by Adiabatic Gateパルス,断熱ゲートによる微分除去と翻訳されてもよく、エネルギー準位リークを修正するための特殊な波形の包絡線であり、タスク自体に必要なパルス式が微分可能でΩ(t)と記されるとすると、その一階微分DRAGパルスはΔ・dΩ(t)/dtであり、ここでΔは未定の係数であり、適切なΔを確定した後、このDRAGパルスはΩ(t)の修正を実現し、エネルギー準位リークを減少することができる)などは、一般的に使用されているものであり、実験の具体的な必要に応じて柔軟に選択できる。
【0053】
上記の方案によれば、実験の必要に応じて、信号閾値と信号の生成関数(信号生成関数)を確定し、制御信号をより精度高く生成することができる。
【0054】
一実施形態では、第1のサンプリングデータは、量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを含み、第1のサンプリングパラメータは、スキャン区間とサンプリング回数を含み、ステップS101において、第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るステップは、スキャン区間において、サンプリング回数に応じて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして、当該量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを得るステップを含んでもよい。
【0055】
具体的には、サンプリングパラメータは、スキャン区間(サンプリング区間ともいう)と、その区間内のサンプリング回数とを含む。スキャン区間内で均一なサンプリングをしてもよいし、不均一なサンプリングをしてもよい。サンプリングの測定結果としてポピュレーションを用いる。ポピュレーションは異なる(エネルギー)準位における原子/分子の数を表すことができ、ポピュレーションは量子ビットの各コンピューティングベースの典型的な確率分布状況を直観的に表現することができ、ある状態にある原子の数と他の状態の原子の数の比の量を反映することができ、「量子ゲートが量子状態を変換する」効果をより良く反映することができ、量子チップのキャリブレーションに良い参考データを提供することができる。
【0056】
一実施形態では、第1の特徴抽出結果は、近似誤差、共分散・相関係数、サンプリングデータの特徴、自己相関関数、周期サンプル点特徴のうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0057】
具体的に、特徴量の選択は、入出力信号の制御/近似関数、量子チップの構造的特徴またはサンプル点の特性に関係する。例えば、サンプリングデータがポピュレーションである場合、特徴量のうちポピュレーションの特徴量をサンプリングデータの特徴とする。上記の各特徴量のタイプの具体的な計算方法については、後に詳述する。
【0058】
上記の例によれば、サンプリングプロセスによって多方位、サンプリングプロセスを具体的に反映した複数の特徴量を得ることができ、これに基づいて後続のトレーニングにおいて、精度のより高い分類モデルを得ることができる。
【0059】
本開示の一実施形態は信号サンプリング品質の判定方法を提供し、サンプリング品質分類結果は、予め設定された品質基準に合致しない第1の分類結果と、予め設定された品質基準に合致する第2の分類結果とを含む。図4は、本開示の他の実施形態に係る信号サンプリング品質の判定方法のフローチャート概略図である。図4に示すように、当該方法は具体的に以下のステップを含む。
【0060】
S401では、第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得る。
【0061】
S402では、当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得る。
【0062】
S403では、当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定する。
【0063】
S404では、当該サンプリング品質分類結果が第1の分類結果である場合、当該第1の分類結果に対応するサンプリングパラメータ調整方法により、当該第1のサンプリングパラメータを調整する。
【0064】
なお、上記ステップS401~S403は、上記ステップS101~S103とそれぞれ同様または同一であるので、ここで、その説明を省略する。
【0065】
一例示では、サンプリング品質分類結果は、第1の分類結果と第2の分類結果のように、複数の種類がある。ここで、第2の分類結果は、「良い」、「合格」など、予め設定された品質基準に合致する結果であってもよい。第1の分類結果は、「不合格」、「不良」など、予め設定された品質基準に合致しない結果であってもよい。このうち、「予め設定された品質基準に合致する」ことと「予め設定された品質基準に合致しない」ことは、異なる応用シーンにおいて異なる定義方法があり、ここでは限定しない。
【0066】
ここで、第1の分類結果は複数の分類結果をさらに含んでもよい。複数の第1の分類結果は予め設定された品質基準に合致しない具体的な原因に応じてさらに細分化され、それぞれ異なるサンプリングパラメータ調整方法に対応するようにしてある。
【0067】
一例示では、サンプリングパラメータ調整方法は、サンプリング区間の調整、および/またはサンプル点の数の調整を含んでもよい。具体的には、サンプリング区間の調整は、サンプリング区間の拡大またはサンプリング区間の縮小を含み、サンプル点の数の調整は、サンプル点の増加またはサンプル点の減少を含む。例えば、第1の分類結果は、「不合格」における「サンプリング過密」である場合、その予め設定されたサンプリングパラメータの調整方法は、単位領域内のサンプリング回数を半分に減すことである。
【0068】
これらの調整方法は、サンプリングデータが「予め設定された品質基準に合致しない」状況に対応して行われるすべての調整動作をよくカバーしており、実際の動作過程において、分類結果に基づいて予め設定された調整方法を選択することができ、パラメータの調整過程を迅速、高精度にし、手動操作の経験値に頼ることなく、最適なサンプリングパラメータに効率的にアプローチできる。具体的な調整方法は、実際の状況に合わせて柔軟に設定することができ、ここでは限定しない。
【0069】
また、サンプリング品質分類結果が第1の分類結果である場合、すなわち、サンプリング品質分類結果が予め設定された品質基準に合致しない場合には、当該第1の分類結果が対応するサンプリングパラメータ調整方法により、第1のサンプリングパラメータを調整することができる。
【0070】
サンプリングパラメータを調整した後、新たなサンプリングパラメータに基づいて出力信号を引き続きサンプリングし、品質分類結果が第2の分類結果となるまで、すなわち、評価結果が予め設定された品質基準に合致するまで、S301~S303の方法を繰り返して品質を評価し、品質分類結果(評価結果)を得る。
【0071】
上記方法によれば、最適なサンプリングパラメータを得るために繰り返して試験を行う過程において、その繰り返し試験過程が人手を経ることなくプログラムを用いて自動的に完成することができる。現在の評価結果の自動化によりパラメータを修正することにより、最適なサンプリングパラメータに効率的にアプローチできるようになるため、人件費を削減できる。
【0072】
つまり、本開示は、遡及推論法(abduction reasoning)に基づく量子チップの制御パルスキャリブレーション方法を実現することができる。具体的には、サンプリングデータのサンプリング品質分類結果、すなわち予め設定された品質基準に合致する第2の分類結果または予め設定された品質基準に合致しない第1の分類結果を確定し、サンプリング品質分類結果が第1の分類結果である場合、予め設定された品質基準に合致しない原因に対応するサンプリングパラメータ調整方法により、サンプリングパラメータを自動的に調整し、最終的に予め設定された品質基準に合致するサンプリングデータを得、キャリブレーションプロセスの自動ナビゲーションを実現できる。
【0073】
一実施形態では、ステップS103において、当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するステップは、当該第1の特徴抽出結果をサンプリング品質分類モデルに入力して当該サンプリング品質分類結果を得ることを含んでもよい。当該サンプリング品質分類モデルは、クラスタリングモデルをトレーニングすることにより得られる。
【0074】
例えば、クラスタリングモデルをサンプリング品質分類モデルになるようにトレーニングし、第1の特徴抽出結果をトレーニング済みのサンプリング品質分類モデルに入力してサンプリング品質分類結果を得る。したがって、サンプリング品質分類結果の判定効率を向上させることができ、ひいてはキャリブレーション速度を向上させることができる。本開示の実施形態により、サンプリング品質分類モデルのトレーニング方法を提供する。図5は、本開示の一実施形態に係るサンプリング品質分類モデルのトレーニング方法のフローチャート概略図である。図5に示すように、当該方法は、次のステップを含んでもよい。
【0075】
S501では、複数の第2のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの複数の第2の出力信号をそれぞれサンプリングして複数組の第2のサンプリングデータを得る。
【0076】
一例示として、複数の出力信号を、それぞれ複数のサンプリングパラメータに対して、それぞれサンプリングする場合については、具体的な原理およびサンプリングプロセスは、ステップS101で開示されたものと同じであるので、ここではその説明を省略する。すなわち、上記ステップS501は、複数のステップS101を同時に実行して、複数組の第2のサンプリングデータを得るものと理解されてもよい。
【0077】
S502では、当該複数組の第2のサンプリングデータのそれぞれに対して特徴抽出を行い、対応する複数の第2の特徴抽出結果を得る。
【0078】
一例示では、取得した複数組の第2のサンプリングデータに対してそれぞれ特徴抽出を行い、具体的な抽出プロセスごとにステップS102と同様または同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0079】
S503では、当該複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングし、サンプリング品質分類結果を確定するためのサンプリング品質分類モデルを得る。
【0080】
一例示では、このクラスタリングモデルはK-meansアルゴリズムクラスタリングモデルであってもよい。まず、機械学習におけるクラスタリングアルゴリズムの基本的な考え方を簡単に説明する。クラスタリングの核心となるタスクは、データセット内のサンプルをいくつかの交差しないサブセットに分割しようとすることであり、各サブセットは「クラスタ」(cluster)と呼ばれ、各クラスタは、例えば、「サンプリングデータ合格」、「サンプリングデータ不合格」、「サンプル点過密によるサンプリングデータ不合格」、「サンプル点過疎によるサンプリングデータ不合格」など、いくつかの可能な、潜在的なカテゴリまたは概念に対応しているが、これらの概念はクラスタリングアルゴリズムにとって未知なものであり、ユーザはそれを把握しまとめる必要があり、簡単に言えば「自動グループ化」(automatic grouping)する必要があることになる。
【0081】
機械学習アルゴリズムでは、通常、各サンプルの特徴を抽出し、各サンプルがn次元の特徴ベクトルを用いて表現できるようにする必要がある。
【0082】
【数3】
【0083】
すべてのサンプルは、サンプルのデータセットX={x,x,… ,x}を構成し、そのうちm個のサンプルが含まれている。クラスタタスクは、データセットXをk個の異なるクラスタ{C|l=1,2,…,C}に分割し、l≠l'である場合、C∩Cl'=Φを満たす。各サンプルxは、クラスタラベル(cluster label)λに対応し、当該サンプルが特定のクラスタに属することを示し、x∈λCjである。このように、クラスタリングの目的は、データセットX={x,x,…,x}に対して、対応するクラスタラベルベクトルλ=(λ,λ,…,λ)を生成することである。K-Meansアルゴリズムは、最も基本的なクラスタリングアルゴリズムである。与えられたデータセットX={x,x,…,x}に対して、k-meansアルゴリズムは平均二乗誤差を最小化する方法でクラスタC={C,C,…,C}の分割を行う。
【0084】
【数4】
ここで、
【数5】
は、クラスタCの平均ベクトル、すなわち中心位置を表す。したがって、上式は各クラスタ内のサンプル点の密度として表すことができ、密度が高いほどクラスタ内のサンプルの類似度が高いことを示している。クラスタの解析は類似性に基づいており、1つのクラスタにおけるパターンの間に位置する場合は、同じクラスタにおけるパターン間に位置しない場合よりも多くの類似性を持つ。
【0085】
この例では、上記の「複数の第2の特徴抽出結果」は上記の「サンプリングデータセットX」に対応している。具体的には、複数の第2の特徴抽出結果が算出された後に、複数の第2の特徴抽出結果を行列として記憶してもよく、当該行列において列ごとに1つの特徴であり、行ごとに1つのサンプルである。実際の処理では、機械学習フレームワーク(例えば、sklearn)の正規化方法を用いて特徴行列を正規化してから、トレーニングを行ってもよい。大量の「第2の特徴抽出結果」によるトレーニングした結果、分類モデルは複数のクラスタを取得することができ、それらの複数のクラスタの特徴に基づいて各クラスタにセマンティックラベル(semantic labels)を付け、さらに後続の動作を設定してもよい。クラスタリングアルゴリズムを用いる目的は分類精度の評価を避けることである。自動クラスタリングの結果に対して、手動のみでクラスタごとに1つのセマンティックラベルを付け、後続の調整動作を与える。このようにすることの利点は、第1に、大量のデータにラベルを手動で付けることが避けられること、第2に、クラスタリングアルゴリズムにより内在の分布状況が自動的に見つかる可能性があることである。
【0086】
もちろん、他のクラスタリングアルゴリズムを選択して分類モデルを構築することも可能であり、トレーニングプロセスではシルエット係数(Silhouette Score)などの指標を用いてクラスタリングの良否を評価することも可能であり、ここでは限定しない。
【0087】
上記の例示は、実質的にモデルの「トレーニング」段階を開示したものであり、この段階では、いくつかのサンプリングパラメータを用いて複数の制御パルスを生成し、それぞれ量子チップに入力してサンプリングデータセットを得て解析し、最終的にラベルなしのトレーニングデータセット(すなわち第2の特徴抽出結果)を得、その後、具体的なクラスタリングアルゴリズム(例えばK-Meansアルゴリズムなど)を用いてクラスタリング学習を行い、異なるクラスタ(cluster)を得た後、クラスタの特徴に基づいて、その実験結果の特性(結果の良否、不良結果をもたらした原因など)を表すためのセマンティックラベルをクラスタに付与する。クラスタリングアルゴリズムを用いて実験のサンプリングデータのタイプを分類することにより、一方、データラベル付けの煩雑な作業を回避でき、他方、これらのデータの内在の分布構造を探し出すことができ、モデルの「トレーニング」の効率を高めることができ、トレーニング済みのサンプリング品質分類モデルの使用効果を確保できる。
【0088】
一例示では、ステップS503において、当該複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングし、サンプリング品質分類モデルを得るステップは、複数の第2の出力信号に対応する複数の第2の特徴抽出結果を当該クラスタリングモデルに入力し、初期分類結果を得るステップと、当該初期分類結果と予め設定された分類結果との差に基づいて、当該クラスタリングモデルのモデルパラメータを調整して、当該サンプリング品質分類モデルを得ることを含んでもよい。
【0089】
具体的には、実際の動作プロセスでは、「ラベルなし」のデータを用いてモデルをトレーニングするため、以下のようにしてモデルトレーニングが完了したか否かを判定する必要がある。
【0090】
第1に、トレーニングサンプルの数の大きさによって判断する。一般的に、トレーニングサンプルが多いほど、クラスタリングの結果がよいため、サンプルサイズ閾値を設定する必要がある。特定のサンプリングパラメータに基づいて特定の出力信号をサンプリングして一組のサンプルとすれば、サンプル数が予め設定された閾値を超えると、トレーニングを終了することができる。
【0091】
第2に、クラスタリングの結果と予め設定された分類結果との差異に基づいて判定する。トレーニングプロセスでは、サンプルごとにラベル付けを行うことはしない。すなわち、各サンプルに予め設定された分類結果が何になるかは分からないので、大量のサンプルをトレーニングした後、クラスタリングの結果が予め設定された分類のすべての可能性が含んでいるか否かを見ることになる。例えば、予め設定された分類タイプは合格と不合格を含み、不合格は具体的に「サンプリング区間が小さい」、「サンプリング区間が大きい」、「サンプル点過疎」、「サンプル点過密」などを含む。
【0092】
現在のトレーニング結果に基づいて、モデルは入力されたサンプリングデータに基づいて、出力信号のサンプリング品質を6つのクラスタに分け、図6に示すように、その中から、クラスタ0は「サンプル点過密」で、クラスタ1は「サンプリング区間大」で、クラスタ2は「サンプル点過疎」で、クラスタ3は「サンプリング区間小」で、クラスタ4は「サンプリング品質合格」で、クラスタ5も「サンプリング区間大」であることがわかり、クラスタリングの結果がすべての予め設定された分類結果をカバーしているので、モデルトレーニングが完了したと判断できる。モデルトレーニングを継続する必要があると判断された場合、機械によって自動的または手動でそのパラメータを調整する。
【0093】
上記の例を採用することで、ラベルなしの場合で、モデル分類の精度が要求に達したか否かを正確に判断することができ、トレーニングをタイムリーに停止し、モデルトレーニングの全体的な効率を高めることができる。
【0094】
一例示では、予め設定された分類結果は第1の分類結果と第2の分類結果とを含み、上記方法は、複数の当該第1の分類結果と複数の当該第2の分類結果とを予め設定することをさらに含む。
【0095】
なお、第1の分類結果と第2の分類結果の実施形態については、信号サンプリング品質の判定方法に関する説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
【0096】
一例示として、モデルがトレーニングされた後にトレーニングサンプルを図6に示すように6つのクラスタに分けられた場合、表1に示すように、これら6つのクラスタに対応するサンプリングパラメータ調整方法を設定する必要がある。
【0097】
【表1】
【0098】
以上のように構成することにより、本来手動で繰り返して調整する必要のあるキャリブレーションステップは、当該モデルを用いて現在のサンプリングデータを分類予測し、次の動作の指令を自動的に取得して実行し、自動調整、自動ナビゲーションを実現することができる。
【0099】
次に、本実施形態に基づく信号サンプリング品質の判定方法およびモデルトレーニング方法の適用例について説明する。
【0100】
本開示の方法は、「トレーニング」と「応用」の2段階に分けることができる。ここで、「トレーニング」段階とは、トレーニングサンプルを用いてクラスタリングモデルをトレーニングし、クラスタにセマンティックを付与し、後続の動作を指示することであり、「応用」段階とは、トレーニングによって得られたモデルを用いてサンプリングデータを評価し、相応の動作を行うことである。「トレーニング」段階のステップは、図7に示すように、教師なし学習アルゴリズムを用いて完成させ、以下のようにまとめる。
【0101】
ステップ1、キャリブレーション実験の流れを設計し、必要とするサンプリングパラメータのタイプおよびハードウェアの調整可能範囲を入力する。
【0102】
ステップ2、サンプリングパラメータα1(上記の第2のサンプリングパラメータに対応)を調整可能範囲内でランダムに生成する。
【0103】
ステップ3、実験を行い、サンプリングして測定結果d1(上記の第2のサンプリングデータに対応)を得る。なお、ここでの測定結果d1は、実質的に複数組のサンプリングデータを含んでいる。
【0104】
ステップ3、結果に対して近似と解析を行い、特徴抽出後のトレーニングデータx1(上記の第2の特徴抽出結果に対応)を得る。
【0105】
ステップ4、現在のデータ項目が十分であるか否かを判断し、十分でなければステップ2に戻り、そうでなければステップ6に進む。
【0106】
ステップ5、クラスタリングアルゴリズムを用いてモデルをトレーニングしてモデルM(上記のサンプリング品質分類モデルに対応)を得、そのうちの各クラスタにセマンティックラベルを付与して後続の動作を設定する(この動作は具体的にサンプリングパラメータの調整方法であってもよい)。
【0107】
ステップ6、トレーニングステップが完了すると、このモデルMを用いて全自動の「応用」を実現する。「応用」段階の流れを図8に示し、ここではそのステップを以下のようにまとめる。
【0108】
ステップ1、キャリブレーション実験の流れを設計し、必要とするサンプリングパラメータのタイプおよびハードウェアの調整可能範囲を入力する。
【0109】
ステップ2、サンプリングパラメータα2(上記の第1のサンプリングパラメータに対応)を調整可能範囲内でランダムに生成する。
【0110】
ステップ3、実験を行い、サンプリングして測定結果d2(上記の第1のサンプリングデータに対応)を得る。
【0111】
ステップ4、結果に対して近似と解析を行い、特徴抽出後のトレーニングデータx2(上記の第1の特徴抽出結果に対応)を得る。
【0112】
ステップ5、「トレーニング」段階で得られたクラスタリングモデルMを用いて分類を行う。
【0113】
ステップ6、分類結果によって措置を取り、予期したものではない場合はステップ7に進み、そうでない場合はステップ8に進む。
【0114】
ステップ7、「トレーニング」段階で設定されたパラメータ調整方法を用いてサンプリングパラメータを調整し、ステップ3を繰り返して実行する。
【0115】
ステップ8、サンプリングデータのトレーニングを完了させ、サンプリング、近似の結果などの必要な情報を出力する。
【0116】
なお、上記において、「第1のサンプリングパラメータ」と「第2のサンプリングパラメータ」の取得原理は同じであり、「第1」、「第2」は主に使用するシーンを区別するために用いられる。その他の「第1のサンプリングデータ」、「第2のサンプリングデータ」、「第1の特徴抽出結果」、「第2の特徴抽出結果」は同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0117】
上記の公開方案のうち、クラスタリングモデルを利用して、ラベルなしのトレーニングデータを使用して教師なし学習を行い、データ内の分布構造を探し出すことができ、同時にデータのラベル付けとの煩雑な作業を省き、同時にサンプリングデータがランダムに選択されるため、データ量の増大に伴い、サンプリングパラメータ空間の多くの情況を均等にカバーすることができ、トレーニングデータに十分なカバレッジを確保し、「遡及推論」に適用可能なサンプリング品質評価モデルを最終的にトレーニングして得ることができ、それを使用することができる。
【0118】
本開示の実施形態を適用したトレーニングサンプル採集の処理流れは、以下の内容を含む。
【0119】
Rabi振動実験を例にして、サンプリングパラメータ(サンプリングパラメータは具体的にガウスパルス振幅のスキャン区間とサンプル点の数を含む)を如何に探し出すかを示した。まず、プログラムは、予め設定された実験の流れとサンプリングパラメータに基づいて実験パルスを構成し、制御信号を生成して冷凍機にある量子チップに入力し、その後、読み取りデバイスにより返ってきた信号を受信、解析して最終的な読み取り結果を得る。Rabi実験では、ガウス関数を用いて制御パルスを構成することが多く、ガウス関数は具体的に以下のように示す。
【0120】
【数6】
ここで、Aは最大振幅、τはパルスの中心位置、σは標準偏差である。1回のRabi実験は1つのトレーニングサンプルを生成することができ、例えば、i番目のトレーニングサンプルはS回の振幅の異なるサンプリングから構成される(振幅のスキャン):
【0121】
【数7】
ここで、Ai1,iSは等差数列であり、Ai1とAiSはそれぞれ振幅の最小値と最大値(通常Ai1=0)であって、ガウスパルス振幅のスキャン区間を構成し、そのうちの下付き文字iはトレーニングサンプルの番号、下付き文字jはガウスパルス振幅の番号を表す。本例示において、「サンプリングパラメータ」とは、ガウスパルス振幅のスキャン区間およびサンプル点の数Sを指す。サンプリング完了後、この「実験サンプル」DにはS個の点を含み、その後、m組の異なるランダムサンプリングパラメータをランダムに選択してそれぞれサンプリングを行い、m組のトレーニングサンプルを得、最終的なサンプリングデータセットD={D,D,…,D}(上記の第2のサンプリングデータに相当)となる。通常、量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを測定結果として近似を行い、特徴を抽出する。
【0122】
本開示の一実施形態に係るデータ特徴抽出およびモデルトレーニングの処理の流れは、以下のステップを含む。
【0123】
まず、サンプリングデータDに対して近似を行い、サンプリングデータDと、近似結果から得られた「近似サンプル」Eとを組み合わせて、トレーニングサンプルX(上記の第2の特徴抽出結果に相当)を構成する。
【0124】
i番目のサンプルDについては、まず、上記式(1)を用いて近似を行う。
【0125】
【数8】
【0126】
近似後、近似結果
【数9】
を得る。ここで、a ,b ,c ,d は上式の近似パラメータに対応する。したがって、
【数10】
【0127】
【数11】
この例示では、オリジナルデータと近似結果Eとの差に基づいて特徴を構成することは、主に「近似関数」、「共分散・相関係数」、「ポピュレーション」、「振動周期」等の複数の特徴を含み、これらの特徴量は共同して現在のサンプルのトレーニングサンプルXとし、Xは以下の式を満たす。
【0128】
【数12】
【0129】
ただし、FitError(D,E)、Cov(D,E)等の詳細な計算方法は後述する。
【0130】
(1)近似誤差と共分散・相関係数
i番目のトレーニングサンプルDの近似誤差(fitting error)は、次式を用いて算出する。
【0131】
【数13】
ここで、S=|D|はサンプルを表す。また、共分散・相関係数は次式で表されてもよい。
【0132】
【数14】
【0133】
これらの2つの特徴は、近似結果とオリジナルデータとの相関性を表すために用いることができ、一般的には、ノイズが小さいほどかつ近似が良いほど相関性が大きくなる。すなわち、近似誤差が小さいほど共分散が大きい。
【0134】
(2)ポピュレーションに関する特徴
この種の特徴は、オリジナルデータの最大値、最小値および中間値である。
【0135】
【数15】
【0136】
近似データのポピュレーションの特徴MaxPopD(D)、MinPopD(D)、MedianPopD(D)の求め方は類似しており、ここでは説明を省略する。
【0137】
(3)振動周期に関する特徴
まず、オリジナルデータの自己相関関数について、この方法はデータの周期性を計算するために用いることができ、フーリエ変換に比べて、データ周期が小さい場合に計算結果の精度が良いという利点がある。自己相関関数は、系列と自己との畳み込みに相当する。
【0138】
【数16】
【0139】
周期ACPeriod(D)は、相関関数から得られた系列のうちの最初のピークの位置に等しい。
【0140】
【数17】
【0141】
周期に応じて、1つの重要な特徴を得ることができ、すなわち、1周期当たりのサンプル点の数は次の通りである。
【0142】
【数18】
【0143】
以上、特徴抽出方法に関する説明をした。次に、K-meansアルゴリズムを用いてモデルトレーニングを行う。トレーニング前に、上記の特徴を計算して行列に格納し、列ごとに1つの特徴、行ごとに1つのサンプルである。先行技術を用いて特徴行列を正規化し、その後にトレーニングを行う必要がある。図6に示すように、すべてのデータを6つのクラスタに分け、クラスタの特徴を観察することでセマンティックラベルをクラスタに付与し、後続の動作を設定する。
【0144】
これでトレーニング段階の作業が完了し、トレーニング済みのモデルをMRabiと呼ぶ。次に、上記のモデルを用いて後続の動作を行う。
【0145】
モデルトレーニングが完了した後、「応用」段階に入る。すなわち、実際の実験環境では、トレーニング済みのモデルMRabiを用いて、採集されたデータの状況を分類予測し、対応する分類を得、その後、分類のラベルと予め設定された動作に基づいて、予測パラメータの設定(具体的に、サンプル点の数とガウスパルス振幅を含む)を調整し、分類結果が「サンプリング品質合格(予期通り)」になるまで、上記のプロセスを再実行し、「応用」段階の具体的なステップを図8に示す。
【0146】
図9は、「応用」段階の実施において、特定の出力信号のサンプリングを連続して修正(キャリブレーション)し、最後に「サンプリング品質合格(予期通り)」の結果を得るプロセスを示す概略図である。矢印の方向に応じて複数回のスキャンパラメータの調整を行うことにより、最終的には良好なスキャンパラメータ範囲が得られ、近似関数により良好な近似結果が得られ、それによりキャリブレーションに必要な実験パラメータ(例えばπパルス振幅)が得られることがわかる。
【0147】
実際の動作では、本開示の方法を先行技術のランダムサンプリング方法と比較し、両方法ともに同じ近似精度を実現することを目的としている。目標近似精度を達成するために必要な反復ステップを比較する。ガウスパルス振幅スキャンの最大値の初期値は[0,10]の範囲内でランダムに選択される。両方法の比較結果を表2に示す。このうち、「誤差」は上式(7)によって計算される。
【0148】
[表2]:本開示の方法とランダムサンプリング方法の比較結果
【表2】
【0149】
明らかに、本開示の方法を用いることにより、適切なサンプリングパラメータを探し出すための反復回数を大幅に削減することができた。
【0150】
上記方法の主な技術的効果を以下に示す。
【0151】
第1に、本実施形態の信号品質キャリブレーション方法は、遡及推論法に基づいて自動キャリブレーションを行う。すなわち、キャリブレーションの過程において、サンプリング結果が予期したものを満たさない場合に、機械学習のアルゴリズムを用いて、予め設定された第1の分類結果に対応するサンプリングパラメータ調整方法により、サンプリング実験パラメータを調整する。サンプリングパラメータ調整方法は、分類結果に対応する失敗の原因に基づいて決定されるため、自動化プロセスに強い解釈可能性を持たせることができ、非理想的な状況に対処することができ、より完全な自動化(精度の高い初期サンプリングパラメータを必要としない)を実現するとともに、最終的な成功率を向上させることができた。
【0152】
第2に、本実施形態における初期ネットワークモデルはクラスタリングモデルであってもよい。すなわち、クラスタリングアルゴリズムを用いてモデルトレーニングを行うことができ、クラスタリングアルゴリズムを用いて実験のサンプリングデータのタイプを分類することを含む。一方、データラベル付けの煩雑な作業を回避することができ、他方、これらのデータの内在の分布構造を探し出すこともできる。
【0153】
第3に、近似結果とオリジナルデータの差に基づいて特徴を抽出する。本方案はオリジナルサンプリングデータと近似結果の差に基づいて特徴の構造を行う。近似関数が往々にしてよく知られた理論知識によって与えられるため、モデルトレーニング過程に理論の指導を受けるようになり、トレーニングの難しさを低くすることができる。
【0154】
図10に示すように、本開示の実施形態は信号サンプリング品質の判定装置1000を提供し、当該装置は、
【0155】
第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るように構成される第1のサンプリングモジュール1001と、
当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るように構成される第1の抽出モジュール1002と、
当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するように構成される分類モジュール1003と、を備える。
【0156】
一例示では、当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るステップは、信号生成関数および/または当該量子チップの構造に基づいて近似関数を生成するステップと、当該近似関数を用いて当該第1のサンプリングデータを近似して近似曲線を得るステップと、当該第1のサンプリングデータと当該近似曲線に基づいて、当該第1の特徴抽出結果を取得するステップと、を含む。
【0157】
図11に示すように、本開示の実施形態はもう一つの信号サンプリング品質の判定装置1100を提供し、当該装置は、実験閾値と信号生成関数に基づいて制御信号を生成するように構成される生成モジュール1101と、当該制御信号を当該量子チップの入力として当該第1の出力信号を得るように構成される入力モジュール1102と、第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るように構成される第1のサンプリングモジュール1103と、当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るように構成される第1の抽出モジュール1104と、当該第1の特徴抽出結果をクラスタリングしてサンプリング品質分類結果を確定するように構成される分類モジュール1105と、を備える。
【0158】
一例示では、第1のサンプリングデータは、量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを含み、第1のサンプリングパラメータはスキャン区間とサンプリング回数とを含み、第1のサンプリングモジュールは、当該スキャン区間内において、当該サンプリング回数に基づいて当該第1の出力信号に対してサンプリングを行い、当該量子状態の異なるエネルギー準位におけるポピュレーションを得るように構成される。
【0159】
一例示では、第1の特徴抽出結果は、近似誤差、共分散・相関係数、サンプリングデータの特徴、自己相関関数、周期サンプル点の特徴のうち少なくとも1種を含む。
【0160】
図12に示すように、本開示の実施形態における他の信号サンプリング品質の判定装置1200において、サンプリング品質分類結果は、予め設定された品質基準に合致しない第1の分類結果と、予め設定された品質基準に合致する第2の分類結果とを含む。当該装置は、第1のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの第1の出力信号をサンプリングして第1のサンプリングデータを得るように構成される第1のサンプリングモジュール1201と、当該第1のサンプリングデータに対して特徴抽出を行い、第1の特徴抽出結果を得るように構成される第1の抽出モジュール1202と、当該第1の特徴抽出結果をサンプリング品質分類モデルに入力し、サンプリング品質分類結果を得るように構成される分類モジュール1203と、当該サンプリング品質分類結果が当該第1の分類結果である場合、当該第1の分類結果に対応するサンプリングパラメータ調整方法により、当該第1のサンプリングパラメータを調整するように構成される調整モジュール1204と、を備える。
【0161】
上記実施形態のいずれかに記載の装置により、当該分類モジュールは、当該第1の特徴抽出結果をサンプリング品質分類モデルに入力して当該サンプリング品質分類結果を得るように構成され、当該サンプリング品質分類モデルは、クラスタリングモデルをトレーニングすることにより得ている。
【0162】
図13に示すように、本開示の実施形態はサンプリング品質分類モデルのトレーニング装置1300を提供し、当該装置は、
複数の第2のサンプリングパラメータに基づいて量子チップの複数の第2の出力信号をそれぞれサンプリングし、複数組の第2のサンプリングデータを得るように構成される第2のサンプリングモジュール1301と、
当該複数組の第2のサンプリングデータのそれぞれに対して特徴抽出を行い、対応する複数の第2の特徴抽出結果を得るように構成される第2の抽出モジュール1302と、
当該複数の第2の特徴抽出結果を用いてクラスタリングモデルをトレーニングすることによりサンプリング品質分類モデルを得るように構成されるトレーニングモジュール1303と、を備える。
【0163】
上記実施形態のいずれかに公開された信号サンプリング品質の判定装置により、当該トレーニングモジュールは、複数の第2の出力信号に対応する複数の第2の特徴抽出結果を当該クラスタリングモデルに入力して初期分類結果を取得し、当該初期分類結果と予め設定された分類結果との差に基づいて、当該クラスタリングモデルのモデルパラメータを調整して、当該サンプリング品質分類モデルを得るように構成される。
【0164】
上記実施形態のいずれかに公開された信号サンプリング品質の判定装置により、当該予め設定された分類結果は、第1の分類結果と第2の分類結果とを含み、当該トレーニングモジュールは、さらに複数の当該第1の分類結果と複数の当該第2の分類結果を予め設定し、複数の当該第1の分類結果のそれぞれに対応するサンプリングパラメータ調整方法を予め設定するように構成される。
【0165】
なお、本開示の実施形態に係る各装置における各モジュールの機能については、上述した方法に対応する説明を参照できるので、ここでは説明を省略する。
【0166】
本開示の技術方案では、関連するユーザ個人情報の取得、記憶および応用などは、いずれも関連の法律法規の規定に準拠し、且つ公序良俗に反しない。
【0167】
本開示の実施形態によれば、本開示はさらに電子機器、読み取り可能な記憶媒体およびコンピュータプログラムを提供する。
【0168】
図14は、本開示の実施形態を実施するために使用できる例示的な電子機器1400の概略ブロック図を示している。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレード型サーバ、メインフレームコンピュータおよびその他の適切なコンピュータ等の様々な形態のデジタルコンピュータを表す。また、電子機器は、個人デジタル処理、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル機器およびその他の類似する計算装置等の様々な形態のモバイルデバイスを表すことができる。なお、ここで示したコンポーネント、それらの接続関係、およびそれらの機能はあくまでも例示であり、ここで記述および/または要求した本開示の実施形態を限定することを意図するものではない。
【0169】
図14に示すように、電子機器1400は、読み出し専用メモリ(ROM)1402に記憶されているコンピュータプログラムまたは記憶ユニット1408からランダムアクセスメモリ(RAM)1403にロードされたコンピュータプログラムによって様々な適当な動作および処理を実行することができる計算ユニット1401を備える。RAM803には、機器1400の動作に必要な様々なプログラムおよびデータがさらに格納されることが可能である。計算ユニット1401、ROM1402およびRAM1403は、バス1404を介して互いに接続されている。入/出力(I/O)インターフェース1405もバス1404に接続されている。
【0170】
電子機器1400において、キーボード、マウスなどの入力ユニット1406と、様々なタイプのディスプレイ、スピーカなどの出力ユニット1407と、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶ユニット1408と、ネットワークプラグイン、モデム、無線通信送受信機などの通信ユニット1409とを含む複数のコンポーネントは、I/Oインターフェース1405に接続されている。通信ユニット1409は、電子機器1400がインターネットなどのコンピュータネットワークおよび/または様々な電気通信ネットワークを介して他の装置と情報またはデータのやりとりを可能にする。
【0171】
計算ユニット1401は、処理および計算機能を有する様々な汎用および/または専用処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット1401のいくつかの例示として、中央処理装置(CPU)、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)、様々な専用人工知能(AI)計算チップ、機械学習モデルアルゴリズムを実行する様々な計算ユニット、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどを含むが、これらに限定されない。計算ユニット1401は、上述した信号サンプリング品質の判定方法のような様々な方法および処理を実行する。例えば、いくつかの実施形態では、信号サンプリング品質の判定方法は、記憶ユニット1408などの機械可読媒体に有形に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムの一部または全部は、ROM1402および/または通信ユニット1409を介して電子機器1400にロードおよび/またはインストールされてもよい。コンピュータプログラムがRAM1403にロードされ、計算ユニット1401によって実行されると、上述した信号サンプリング品質の判定方法の1つまたは複数のステップを実行可能である。あるいは、他の実施形態では、計算ユニット1401は、他の任意の適切な方式によって(例えば、ファームウェアを介して)信号サンプリング品質の判定方法を実行するように構成されていてもよい。
【0172】
ここで説明するシステムおよび技術の様々な実施形態はデジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて実現することができる。これらの各実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラムに実装され、当該1つまたは複数のコンピュータプログラムは少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムにおいて実行および/または解釈することができ、当該プログラマブルプロセッサは専用または汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置および少なくとも1つの出力装置からデータおよび指令を受信することができ、且つデータおよび指令を当該記憶システム、当該少なくとも1つの入力装置および当該少なくとも1つの出力装置に伝送することを含み得る。
【0173】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは、1つまたは複数のプログラミング言語のあらゆる組み合わせで作成されてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラミング可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供されることができ、これらのプログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/またはブロック図に規定された機能または動作が実施される。プログラムコードは、完全にデバイス上で実行されることも、部分的にデバイス上で実行されることも、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして部分的にデバイス上で実行されながら部分的にリモートデバイス上で実行されることも、または完全にリモートデバイスもしくはサーバ上で実行されることも可能である。
【0174】
本開示のコンテキストでは、機械可読媒体は、有形の媒体であってもよく、指令実行システム、装置または機器が使用するため、または指令実行システム、装置または機器と組み合わせて使用するためのプログラムを含むか、または格納してもよい。機械可読媒体は、機械可読信号媒体または機械可読記憶媒体であり得る。機械可読媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線の、または半導体のシステム、装置または機器、またはこれらのあらゆる適切な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例には、1本または複数本のケーブルに基づく電気的接続、携帯型コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、またはこれらのあらゆる適切な組み合わせが含まれ得る。
【0175】
ユーザとのインタラクションを提供するために、ここで説明するシステムと技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、陰極線管(CathodeRayTube,CRT)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)とを備えるコンピュータ上実装することができ、ユーザが該キーボードおよび該ポインティングデバイスを介してコンピュータに入力を提供できる。他の種類の装置もユーザとのやりとりを行うことに用いることができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックであるいかなる形態のセンシングフィードバックであってもよく、且つ音入力、音声入力若しくは触覚入力を含むいかなる形態でユーザからの入力を受信してもよい。
【0176】
ここで説明したシステムおよび技術は、バックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバ)に実施されてもよく、またはミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)に実施されてもよく、またはフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを有するユーザコンピュータ)に実施されてもよく、ユーザは該グラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを介してここで説明したシステムおよび技術の実施形態とインタラクションしてもよく、またはこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネントまたはフロントエンドコンポーネントのいずれかの組み合わせを含むコンピューティングシステムに実施されてもよい。また、システムの各コンポーネントの間は、通信ネットワーク等の任意の形態または媒体を介してデジタルデータ通信により接続されていてもよい。通信ネットワークとしては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)およびインターネットなどを含む。
【0177】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバとを含んでもよい。クライアントとサーバは、通常、互いに離れており、通信ネットワークを介してやりとりを行う。クライアントとサーバとの関係は、互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムをそれぞれのコンピュータ上で動作することによって生成される。サーバはクラウドサーバであってもよく、分散システムのサーバ、あるいはブロックチェーンを結合したサーバであってもよい。
【0178】
なお、上述した様々な形態のフローを用いて、ステップを並び替え、追加または削除を行うことができることを理解すべきである。例えば、本開示に記載された各ステップは、本開示に開示された技術的解決方案の所望の結果が達成できる限り、並行して実行されてもよく、順番に実行されてもよく、異なる順番で実行されてもよい。本明細書はここで制限しない。
【0179】
上記具体的な実施形態は、本開示の保護範囲を限定するものではない。当業者であれば、設計要件および他の要因に応じて、様々な修正、組み合わせ、副次的な組み合わせ、および置換を行うことができることを理解すべきである。本開示の趣旨および原理を逸脱せずに行われたあらゆる修正、均等な置換および改善などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14