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特許7346713電極ユニットおよびレドックス・フロー・セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】電極ユニットおよびレドックス・フロー・セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20230911BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20230911BHJP
   H01M 8/021 20160101ALI20230911BHJP
   H01M 8/0215 20160101ALI20230911BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20230911BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20230911BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/0206
H01M8/021
H01M8/0215
H01M8/0228
H01M8/0258
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022508840
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 DE2020100589
(87)【国際公開番号】W WO2021027988
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】102019121673.7
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラディスラウス ドブレニツキ
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ ヴェーゲナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ラントマン
(72)【発明者】
【氏名】ティム ホーゼンフェルト
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512148(JP,A)
【文献】特表2020-507895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/18
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの電極ユニット(1、1a、1b)を含むレドックス・フロー・セル(8)であって、
前記電極ユニット(1、1a、1b)が、少なくとも1つの金属基材(2)と、前記基材(2)に適用されたコーティング(3)と、を備え、前記コーティング(3)が、窒化チタンニオブ(TiNbN)および/または炭化チタンニオブ(TiNbC)から形成された少なくとも1つの保護層(4)を備え
前記コーティングにおいて、前記保護層(4)が最表層であるか、前記保護層(4)の、前記基材(2)とは反対側を向く側に配置されたカバー層(6)が最表層であり、前記カバー層(6)が炭素から形成されているか、またはIr-C、Ir-Ru-C、Ru-C,Si-C、W-C、Cu-C、Mo-C、Cr-C、Ni-C、Ti-Cを含む群からの材料の組み合わせのうちの少なくとも1つの、均一な、もしくは不均一な、固溶体もしくは化合物から形成されており、前記カバー層(6)中の炭素の割合が、35~99.99原子%の範囲である、レドックス・フロー・セル(8)
【請求項2】
前記コーティング(3)が、前記保護層(4)と前記基材(2)との間に配置された少なくとも1つの接着促進層(5)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項3】
前記少なくとも1つの接着促進層(5)が金属製であり、チタンニオブ(TiNb)から形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項4】
前記基材(2)が、ステンレス鋼、16MnCr5、または転がり軸受け用鋼から形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項5】
前記基材(2)が、厚さ1mm以下の金属のシートまたは板で形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項6】
前記基材が、少なくともフローフィールド(7)を形成している領域において、片面または両面に三次元形状を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項7】
前記コーティング(3)が、PVDプロセスまたはPVD/PACVD組み合わせプロセスによって、前記基材(2)上に形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項8】
前記コーティング(2)が、全体として200~550nmの範囲の厚さ(D)を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項9】
少なくとも、前記レドックス・フロー・セル(8)の電解液への接触領域において、前記コーティング(3)が、前記基材(2)を被覆していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)
【請求項10】
少なくとも2つの前記電極ユニット(1a、1b)と、第1の反応チャンバ(10a)と、第2の反応チャンバ(10b)と、を備え、前記反応チャンバ(10a、10b)がそれぞれ、前記電極ユニット(1a、1b)のうちのいずれかと接触しており、前記反応チャンバ(10a、10b)が、高分子電解質膜(9)によって互いに隔てられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のレドックス・フロー・セル(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの金属基材と、基材に適用されたコーティングと、を備える電極ユニット、特に、レドックス・フロー・セル用の電極ユニットに関する。本発明はさらに、そのような電極ユニットを少なくとも1つ備えるレドックス・フロー・セルに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したようなタイプの電極ユニット、およびそのような電極ユニットを備えるレドックス・フロー・セル、特に、レドックス・フロー・バッテリまたはフローバッテリはよく知られている。
【0003】
レドックス・フロー・バッテリは、電気エネルギーを、アノライト、およびカソライトと呼ばれる液体の化合物、または電解液に蓄える、電気エネルギーの貯蔵デバイスである。電解液は、高分子電解質膜によって互いに隔てられた2つの反応チャンバ内に入っている。この膜を介して、アノライトとカソライトとの間でイオン交換が起き、電気エネルギーが放出される。放出された電気エネルギーは、それぞれアノライトおよびカソライトと接触している1つの電極ユニットを介して取り出される。電解液は、ポンプによって反応チャンバ内を循環させられ、膜の対応する対向表面に沿って流れる。電解液は任意のサイズのタンクに格納されてよいことから、レドックス・フロー・バッテリに蓄えられるエネルギー量は、用いるタンクのサイズにのみ依存する。
【0004】
蓄電システムとしてのフロー・バッテリ・システムは、再生可能エネルギーにより、据え付け用途および自動車用途の分野で、持続可能なエネルギー源を提供する。高い効率と電力密度を達成するためには、可能な限りコンパクトなバッテリスタックとすることが目標となる。しかしながら、高い電力密度は、バッテリスタックの個々の要素について、大きな問題点となる。
【0005】
国際公開第2018/145720(A1)号は、上述したタイプの電極ユニット、およびその電極ユニットを用いたレドックス・フロー・バッテリについて記載している。これに関し、国際公開第2018/145720(A1)号はとりわけ、基材を複合材料で形成することについて記載している。
【0006】
国際公開第2018/146342(A1)号は、レドックス・フロー・バッテリで用いるための各種リグニン系電解液組成物について開示している。
【0007】
刊行物「A biomimetic high-capacity phenazine-based anolyte for aqueous organic redox flow batteries」(Aaron Hollasら、Nature energy、Vol.3、2018年6月、508~514ページ)には、水性「有機」電解液、または酸化還元活性のある有機化学種を含む水性電解液ベースの、レドックス・フロー・バッテリ用のアノライトが記載されている。これらの重要性はますます高まっている。
【0008】
強塩基性または強酸性の電解液が使用されることから、現在のところ、レドックス・フロー・バッテリの電極ユニット用の耐腐食性基材として、プラスチックとグラファイトの板状の複合材を用いることが多い。通常、これらの基材の両面に炭素コーティングが適用されるか、または、流通可能なカーボンフェルトが膜と電極ユニットの間に配置される。電極ユニットの総板厚は、通常約0.7~1.2mmの範囲である。このような電極ユニットは、プラスチックの枠で保持することが多く、これにより、枠にかかる追加コストと組み立て工程が発生する。現在のところ、このような電極ユニットのサイズおよび製造上の要件が、レドックス・フロー・セルの省スペース化、および工業的生産の効率化を阻んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡単に製造でき、厚さ寸法の小さい、レドックス・フロー・セル用の電極ユニットを提供することである。本発明の他の目的は、このような電極ユニットを備えるレドックス・フロー・セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、特にレドックス・フロー・セル用の電極ユニットであって、少なくとも1つの金属基材と、基材に適用されたコーティングと、を備え、コーティングが、窒化チタンニオブ(TiNbN)および/または炭化チタンニオブ(TiNbC)から形成された少なくとも1つの保護層を備える、電極ユニットについて達成される。
【0011】
現時点では、レドックス・フロー・セルの電極ユニットでの金属基材の使用には問題がある。これは、金属基材に十分な腐食耐性がないことが判明しており、使用される電解液中で長期間にわたって安定性を保てないからである。本発明によれば、上述のコーティングにより、金属基材の使用が可能となる。この電極ユニットを用いることで、膜との距離を縮めることができるため、省スペースなレドックス・フロー・セル構成が可能となる。
【0012】
金属基材による電極ユニットは、電解液に対して不浸透性であるため、レドックス・フロー・セル内の反応チャンバどうしの適切な分離が確保される。同時に、こうした電極ユニットは、高い電気化学的安定性の要件に加えて、低い界面抵抗と高い触媒活性の要件も満たした表面を有している。
【0013】
TiNbNまたはTiNbCの保護層のみがコーティングを形成すると、よい結果を得られることが判明している。しかしながら、TiNbNおよびTiNbCの個別の層を連続して基材上に交互に適用して保護層を形成してもよいし、TiNbNとTiNbCの混合物が個別の層に存在し保護層となっていてもよい。
【0014】
保護層の厚さは、好ましくは、50~400nm、特に、200~300nmの範囲である。
【0015】
電極ユニットの一実施形態では、コーティングが、保護層と基材との間に配置された少なくとも1つの接着促進層をさらに備えている。少なくとも1つの接着促進層は、好ましくは金属製である。特に、チタンニオブ(TiNb)製の金属接着促進層が効果的であることが判明している。接着促進層の層厚は、好ましくは、1~100nmの範囲である。
【0016】
電極ユニットの好ましい実施形態では、コーティングは、保護層の、基材とは反対側を向く側に配置された少なくとも1つのカバー層をさらに備える。カバー層は、炭素から構成されているか、またはIr-C、Ir-Ru-C、Ru-C,Si-C、W-C、Cu-C、Mo-C、Cr-C、Ni-C、Ti-Cを含む群から選択される材料の組み合わせのうちの少なくとも1つの、均一な、もしくは不均一な、固溶体もしくは化合物から構成されており、カバー層中の炭素の割合は、35~99.99原子%の範囲である。
【0017】
さらに、カバー層には、微量の水素、窒素、ホウ素、フッ素または酸素が存在していてもよい。
【0018】
基材が、ステンレス鋼、16MnCr5、または転がり軸受け用鋼から形成されていると効果的であることが判明している。特に、100Cr6または1.4404タイプの鋼が効果的であることが判明している。
【0019】
好ましくは、金属基材は、厚さ1mm以下、特に、0.5mm以下の金属シートまたは板により形成される。大面積の金属シートまたは金属薄板の工業的加工は費用効果の高い方法で行い得る。基材は電解液に対して不浸透性であるため、無孔性であり、単一部品として構成可能である。
【0020】
好ましくは、基材は、少なくともフローフィールドを形成している領域において、片面または好ましくは両面に三次元形状を有する。こうしたフローフィールドの金属基材への導入は、エンボス加工など費用効果の高い方法で行い得る。このようなフローフィールドは、電解液の流れを既定の経路に方向付けるものであり、基材の表面の領域内にある三次元構造と同等のものである。これにより、膜上での、および膜に沿った、電解液の分布および流れにおける均一さが確保される。
【0021】
好ましくは、コーティングは、PVDプロセスまたはPVD/PACVD組み合わせプロセスによって、基材上に形成される。この点に関し、金属基材に対する電解液の腐食効果を抑えるためには、可能な限り細孔が生じないようにコーティングを蒸着するか、またはコーティングが少なくとも直径0.1mm未満の細孔のみを有することが有利である。
【0022】
コーティングが、全体として200~550nmの範囲の厚さを有すると効果的であることが判明している。
【0023】
基材の少なくとも片面、好ましくは両面もしくは全ての面をコーティングで被覆することが効果的であることが判明している。特に板状の基材の縁部領域では、コーティングされていない領域、またはコーティングが非常に薄くなった領域が存在する場合がある。しかしながら、電解液チャンバが分離されているため、こうした領域は通常、電解液と接触することはなく、大きな問題とならない。最低限、基材は、レドックス・フロー・セルの電解液と接触する領域、すなわちアノライトまたはカソライトとの直接接触に用いられる領域において、コーティングで被覆されている必要がある。
【0024】
本発明に係る電極ユニットを形成するための、金属基材に対するコーティングのいくつかの好ましい実施例を以下に示す。
【0025】
実施例1
金属基材:16MnCr5
接着促進層:なし
保護層:TiNbNまたはTiNbC
カバー層:なし
【0026】
実施例2
金属基材:100Cr6
接着促進層:TiNb
保護層:TiNbNまたはTiNbC
カバー層:なし
【0027】
実施例3
金属基材:ステンレス鋼
接着促進層:なし
保護層:TiNbNまたはTiNbC
カバー層:Ir-CまたはCまたはIr-Ru-CまたはRu-C
【0028】
実施例4
金属基材:1.4404タイプの鋼
接着促進層:TiNb
保護層:TiNbNまたはTiNbC
カバー層:WCまたはNi-CまたはSi-CまたはTi-C
【0029】
実施例5
金属基材:16MnCr5
接着促進層:TiNb
保護層:TiNbNまたはTiNbC
カバー層:Cr-CまたはMo-C
【0030】
上記目的は、本発明に係る少なくとも1つの電極ユニットを備えるレドックス・フロー・セル、特に、レドックス・フロー・バッテリについて達成される。特に、アノライト側に酸化還元活性のある化学種を含む水性電解液を含むフローバッテリに、本発明に係る電極ユニットを適用することが好ましい。
【0031】
好ましくは、フローバッテリ内のレドックス・フロー・セルは、少なくとも2つの電極ユニットと、第1の反応チャンバと、第2の反応チャンバと、を備え、反応チャンバはそれぞれ、電極ユニットのうちのいずれかと接触しており、反応チャンバは、高分子電解質膜によって互いに隔てられている。
【0032】
この電極ユニットは薄くできることから、小型のレドックス・フロー・バッテリを製造でき、生産コストも抑えられる。それ故、レドックス・フロー・バッテリを形成するために、好ましくは、10を超える、特に50を超えるレドックス・フロー・セルを電気的に相互連結して用いる。
【0033】
以下にレドックス・フロー・セル、またはレドックス・フロー・バッテリに好適なアノライトの一例を示す。
1.4Mの7,8-ジヒドロキシフェナジン-2-スルホン酸(省略形:DHPS)
1モーラーの水酸化ナトリウム溶液中に溶解
【0034】
以下にレドックス・フロー・セル、またはレドックス・フロー・バッテリに好適なカソライトの一例を示す。
0.31Mのヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、および0.31Mのヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム
2モーラーの水酸化ナトリウム溶液中に溶解
【0035】
アノライト側に酸化還元活性のある有機化学種を含む水性電解液を含む電解液の組み合わせを用いてレドックス・フロー・セルまたはレドックス・フロー・バッテリを形成することが好ましい。
【0036】
図1図6はそれぞれ、本発明に係る電極ユニット、およびレドックス・フロー・セルまたはレドックス・フロー・バッテリの例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】コーティングを有する金属基材を備える電極ユニットを示す図である。
図2図1に係る電極ユニットの断面図である。
図3】他の電極ユニットの断面図である。
図4】他の電極ユニットの断面図である。
図5】フローフィールドを備える電極ユニットを示す図である。
図6】レドックス・フロー・セル、またはレドックス・フロー・セルを備えるレドックス・フロー・バッテリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、金属基材2を備える電極ユニット1を示す。金属基材2は、特に、グレードが1.4404の薄鋼板からなり、厚さは0.5mm未満であり、基材2の両面には、コーティング3が適用されている。ここで、コーティング3は、TiNbN製の保護層4のみを含む。
【0039】
図2は、図1に係る電極ユニット1の断面を示す。図1と同じ参照符号は同一の要素を示す。
【0040】
図3には他の電極ユニット1の断面が示されており、この電極ユニット1は、金属基材2と、基材2の片面に適用されたコーティング3と、を備えている。この場合のコーティング3は、TiNbからなる接着促進層5と、TiNbNからなる保護層4と、IrCまたは炭素のみからなるカバー層6と、を備えている。
【0041】
図4には他の電極ユニット1の断面が示されており、この電極ユニット1は、金属基材2と、基材2の両面に適用されたコーティング3と、を備えている。この場合のコーティング3は、TiNbからなる接着促進層5と、TiNbCからなる保護層4と、を備えている。
【0042】
図5は、基材とコーティング3を含む電極ユニット1を、三次元図で示したものである。基材2の両面にフローフィールド7がエンボス加工されており、これにより、電極ユニット1の表面は三次元構造化されている。
【0043】
図6は、それぞれレドックス・フロー・セル8、またはレドックス・フロー・セル8を備えるレドックス・フロー・バッテリを示す。レドックス・フロー・セル8は、2つの電極ユニット1a、1bと、第1の反応チャンバ10aと、第2の反応チャンバ10bと、を備えており、反応チャンバ10a、10bのそれぞれは、電極ユニット1a、1bのうちのいずれかと接触している。反応チャンバ10a、10bは、高分子電解質膜9によって互いに隔てられている。アノライト液11aは、ポンプ12aにより、タンク13aから第1の反応チャンバ10aへとポンプ輸送し、電極ユニット1aと高分子電解質膜9との間を通過させる。カソライト液11bは、ポンプ12bにより、タンク13bから第2の反応チャンバ10bへとポンプ輸送し、電極ユニット1bと高分子電解質膜9との間を通過させる。高分子電解質膜9を横断してイオン交換が起き、電極ユニット1a、1bでの酸化還元反応により電気エネルギーが放出される。
【符号の説明】
【0044】
1、1a、1b 電極ユニット
2 金属基材
3 コーティング
4 保護層
5 接着促進層
6 カバー層
7 フローフィールド
8 レドックス・フロー・セルまたはレドックス・フロー・バッテリ
9 高分子電解質膜
10a 第1の反応チャンバ
10b 第2の反応チャンバ
11a アノライト
11b カソライト
12a、12b ポンプ
13a、13b タンク
D コーティングの厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6