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特許7346724積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置で使用するシステム、積層造形を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御する制御ユニット、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置及び積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置で使用するシステム、積層造形を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御する制御ユニット、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置及び積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/322 20210101AFI20230911BHJP
   B22F 10/32 20210101ALI20230911BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20230911BHJP
   B22F 10/366 20210101ALI20230911BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20230911BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20230911BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230911BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230911BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230911BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230911BHJP
   B29C 64/364 20170101ALI20230911BHJP
【FI】
B22F10/322
B22F10/32
B22F10/36
B22F10/366
B22F10/85
B22F12/90
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/364
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022518713
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2020075605
(87)【国際公開番号】W WO2021063659
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】102019126330.1
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SLM Solutions Group AG
【住所又は居所原語表記】Estlandring 4, 23560 Luebeck, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュバルツェ
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0279706(US,A1)
【文献】国際公開第2019/141410(WO,A1)
【文献】特開2019-142015(JP,A)
【文献】特開2018-130764(JP,A)
【文献】特開2019-085641(JP,A)
【文献】特開2019-155914(JP,A)
【文献】特開2018-080393(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02942132(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置で使用するシステムであって、
照射面に対する照射ビームの選択的照射を行うように構成された照射ユニットと、
前記照射ユニットに結合され、前記3次元ワークピースの製造のプロセス中の前記照射面の特定の位置でのプロセスパラメータの関数として前記照射ビームの照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記照射面の特定の位置でのプロセスパラメータは、製造される前記3次元ワークピースの形状に依存せず、前記3次元ワークピースを製造するときの時間及び/又は位置に応じて変化する、システム。
【請求項2】
前記プロセスパラメータは、前記3次元ワークピースを製造するときに使用されるプロセスガスのプロセスガス特性を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセスガス特性は、プロセスガス流速及び/又はプロセスガス流均一性を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記照射ビーム特性は、前記照射ビームと前記3次元ワークピースが製造される材料との相互作用中の照射ビームエネルギー入力強度を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記照射ビーム特性は、前記照射面に対する前記照射ビームの前記選択的照射の二つの連続する照射イベントの間の時間的間隔を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記照射ビーム特性は、(i)照射ビームパワー、(ii)前記照射面の全体に前記照射ビームを走査するときの照射ビーム走査速度及び(iii)照射ビーム集束を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記照射面を複数のゾーンに分割するように構成され、前記制御ユニットは、前記ゾーンのいずれが前記照射ビームによって照射されるかに基づいて前記照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記ゾーンの前記装置のプロセスガス吸気口及び/又はプロセスガス排気口までの空間距離に基づいて、二つの連続する照射イベントの間の時間間隔を変更するために前記照射ユニットを制御するように構成された、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットに結合され、前記照射面の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流速均一性分布を決定するように構成されたプロセスガス測定装置を更に備え、前記プロセスガス流速分布及び/又は前記プロセスガス流速均一性分布に基づいて前記照射面を前記複数のゾーンに分割するように構成された、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、事前定義の数の走査ベクトルに基づいて前記照射面の全体の照射ビームを走査する前及び/又は後に前記照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された、請求項~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記走査ベクトルを前記ゾーンに割り当てるように構成された、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットに結合され、前記3次元ワークピースの製造中に前記照射面の熱放射を測定するように構成された熱放射測定ユニットを更に備え、前記制御ユニットは、前記熱放射に基づいて照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
第1の前記照射ビームで前記照射面を選択的に照射するように構成された第1の前記照射ユニットと、第2の前記照射面で照射面を選択的に照射するように構成された第2の前記照射ユニットと備え、前記制御ユニットは、前記3次元ワークピースの製造中の第1の前記照射ビームと第2の前記照射ビームとの相互の時間依存の空間的関係に基づいて第1の前記照射ビーム及び/又は第2の前記照射ビームの照射ビーム特性を調整するために第1の前記照射ユニット及び/又は第2の前記照射ユニットを制御するように構成された、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御する制御ユニットであって、
前記3次元ワークピースの製造のプロセス中の照射面の特定の位置でのプロセスパラメータに関連するデータを受信するように構成された入力部であって、前記照射面の特定の位置でのプロセスパラメータは、製造される前記3次元ワークピースの形状に依存せず、前記3次元ワークピースを製造するときの時間及び/又は位置に応じて変化する、入力部と、
前記照射ユニットを制御するための制御データを生成するために前記データを処理するように構成されたプロセッサと、
前記照射ユニットに結合可能であり、前記照射ユニットを制御するために、生成された前記制御データを前記照射ユニットに出力するように構成された出力部と、
を備える制御ユニット。
【請求項15】
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置であって、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム及び/又は請求項14に記載の制御ユニットを備える装置。
【請求項16】
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法であって、
前記積層造形技術を使用した前記3次元ワークピースの製造のプロセス中の照射面の特定の位置でのプロセスパラメータを決定することであって、前記照射面の特定の位置でのプロセスパラメータは、製造される前記3次元ワークピースの形状に依存せず、前記3次元ワークピースを製造するときの時間及び/又は位置に応じて変化することと、
決定された、前記3次元ワークピースの製造のプロセス中の前記照射面の特定の位置でのプロセスパラメータの関数として前記照射ビームを制御することと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置で使用するシステム、積層造形を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御する制御ユニット、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置及び積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形法では、ワークピースは、固化及び相互接続された一連のワークピース層を生成することにより層ごとに生成される。これらのプロセスを、原材料の種類及び/又はワークピースを製造するために前記原材料を固化する方法によって区別することができる。
【0003】
例えば、粉末床溶融結合は、粉末、特に、金属及び/又はセラミック原料を複雑な形状の3次元ワークピースに加工できるある種の積層造形プロセスである。そのために、原料粉末層が、担体に塗布され、例えば、製造されるワークピースの所望の形状に応じて、部位選択的にレーザー照射を受ける。粉末層に浸透するレーザー照射は、熱を引き起こし、その結果、原料粉末粒子の溶融又は焼結を引き起こす。さらに、ワークピースが所望の形状およびサイズになるまで、レーザー処理が既に行われている担体上の層に、原材料粉末層が連続的に塗布される。選択的レーザー溶融又はレーザー焼結を、特に、CADデータに基づいて、プロトタイプ、ツール、交換部品又は歯科用若しくは整形外科用プロテーゼのような医療用プロテーゼの製造に使用することができる。
【0004】
一方、溶融堆積モデリング又は材料噴射は、様々なタイプの積層造形プロセスを表す。この場合、固化されていない原材料は、ある種の印刷ヘッドに供給され、前記材料がキャリア上に堆積され、その後、固化する。
【0005】
積層造形の先行技術を、例えば、目標値に基づいてレーザービームを生成する独国特許出願公開第102016120244号明細書及びガス流量がガス流量測定に基づいて調整される欧州特許出願公開第3170593号明細書で見つけることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
積層造形法の重要なパラメータは、製造されるワークピースの品質である。品質が様々なパラメータの影響を受けるおそれがあるので、既知のソリューションが必ずしも望ましい品質を達成するとは限らない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、特に、積層造形技術を使用して製造された3次元ワークピースの品質を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項に記載されている。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に概説されている。
【0009】
本開示による第1の態様では、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置で使用するシステムであって、照射面に対する照射ビームの選択的照射を行うように構成された照射ユニットと、照射ユニットに結合され、3次元ワークピースを製造するときのローカルプロセスパラメータの関数として照射ビームの(ローカル)照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成された制御ユニットと、を備えるシステムを提供する。
【0010】
照射ユニットは、いくつかの例では、照射装置(例えば、レーザー又は電子ビーム源)又は照射装置と走査/ビームステアリング装置又はユニットとの組合せを備えてもよい。
【0011】
照射面に対する照射ビームの選択的照射は、照射面に対する照射ビームの位置(すなわち、空間)選択的な及び/又は時間選択的な照射に関連してもよい。
【0012】
ローカルプロセスパラメータは、3次元ワークピースの製造のプロセス中の照射面の特定の位置でのプロセスパラメータであってもよい。したがって、ローカルプロセスパラメータを、照射面の位置にマッピングしてもよい。ローカルプロセスパラメータを、制御ユニット又は制御ユニットが結合可能な装置の別の構成要素によって決定してもよい。
【0013】
ローカルプロセスパラメータは、積層造形プロセス中に3次元ワークピースが製造される間に変化しうるパラメータに関連してもよい。ローカルプロセスパラメータは、時間依存及び/又は場所依存であってもよい。照射面の特定の場所では、ローカルプロセスパラメータは、経時的に変化してもよい。
【0014】
ローカルプロセスパラメータは、パラメータの目標値に関連しなくてもよいが、ローカルプロセスパラメータの値を、積層造形プロセス中に(自動的に)調整してもよい。したがって、ローカルプロセスパラメータを、照射面に対する照射ビームの照射ビーム特性をローカルに調整するときに積層造形プロセス中にその場で考慮に入れてもよい。
【0015】
ローカルプロセスパラメータは、積層造形技術を使用して製造される3次元ワークピースの形状に依存しなくてもよい。
【0016】
次に、照射ビーム特性は、ローカルプロセスパラメータの(時間依存)関数に基づいてローカルに調整してもよい。
【0017】
一般的には、不均一性は、一つ以上のプロセスパラメータに関して、特に、3次元ワークピースを製造するためのプロセス中に照射面の全体に生じる可能性がある。これらの不均一性は、照射ビームと3次元ワークピースが製造される材料との間の相互作用に対する局所的に異なる影響を及ぼす可能性がある。したがって、3次元ワークピースを製造するプロセスから生じるヒューム(fumes)及び/又は他の(例えば粒子状の)排出物は、照射面の位置に応じてこれらの不均一性によって異なる影響が及ぼされる可能性がある。
【0018】
3次元ワークピースを製造するときのローカルプロセスパラメータの関数として、照射ビームの照射ビーム特性をローカルに調整するために照射ユニットを制御することによって、それに応じて、上記の不均一性を無効にすることができる。その結果、3次元ワークピースの均質な構成要素の品質を、構造/照射面の全体に亘って、すなわち、ワークピースが製造される照射面の部分又は領域とは無関係に改善することができる。
【0019】
システムのいくつかの例では、ローカルプロセスパラメータは、3次元ワークピースを製造するときに使用されるプロセスガスのローカルプロセスガス特性を含む。プロセスガスを、特に、3次元ワークピースの製造中に、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するプロセスから生じるヒューム及び/又は他の(例えば、粒子状の)排出物を除去するために、3次元ワークピースを製造するための装置のプロセスガス吸気口からプロセスガス排気口まで使用してもよい。したがって、照射面の特定の位置でのプロセスガスのプロセスガス特性は、照射ビームの照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するときに考慮される。したがって、照射面の全体のプロセスガス特性の不均一性を無効にすることができ、その結果、品質が向上し、特に、3次元ワークピースの均一性が向上する。(3次元ワークピースの不均一な生成をもたらすおそれがある)照射ビームの散乱の可能性がある又は照射ビームを減衰させる若しくは照射ビームプロファイルを変更する可能性があるヒューム及び/又は他の(粒子状の)排出物を、更なる/次の照射ステップ/イベントを実行する前に除去することができる。
【0020】
いくつかの例では、ローカルプロセスガス特性は、ローカルプロセスガス流速及び/又はローカルプロセスガス流均一性を含む。プロセスガスの流れの均一性を、例えば、渦の密度を介して測定/定義することができる。追加的に又は代替的に、ローカルプロセスガス特性は、プロセスガスの(ローカル)プロセスガス温度を含んでもよい。
【0021】
ローカルプロセスガス流速及び/又はローカルプロセスガス流速を、いくつかの例では、(照射面の)全領域に亘るガス流のマップを得るためにガス流に略垂直なゾーンごとにガス流の速度を測定してもよい(小型)プローブを用いて測定してもよい。プローブは、いくつかの例では、ガス流への影響を無視できるようにするためにしきい値サイズよりも小さくする必要がある場合がある。追加的に又は代替的に、(照射面の)全領域に亘るガス流のマップを取得するために、計算流体力学(CFD)シミュレーションを使用してもよい。いくつかの例では、CFDシミュレーションは、プローブで取得された測定値との比較に使用される。
【0022】
プロセスガス流速に関して、一般的には、速度は、プロセスガスの移動方向に向かって低下することがある。いくつかの例では、プロセスガス吸気口又はその付近(例えば、5cmのような数cm以内)でのプロセスガスの速度は、プロセスガス排気口又はその付近(例えば、5cmのような数cm以内)のプロセスガスの速度に比べて、例えば2、5、10又は20の係数で著しく高くなることがある。その結果、3次元ワークピースを製造するためのプロセスから生じるヒューム及び/又は他の(例えば、粒子状の)排出物も連続的に減少する速度でプロセスガス吸気口からプロセスガス排気口まで消散する可能性がある。照射ビームは、そのような排出物によって散乱される可能性があり、その結果、照射ビームと3次元ワークピースが製造される材料との間の相互作用ゾーンにおいて、照射ビームの強度は、ビームプロファイルにおいて減衰又は変化する。これを、本例では、プロセスガス流速の関数として、照射ビームの照射ビーム特性を調整するために照射ユニットによって制御するときに考慮に入れることができる。これにより、3次元ワークの均一性が更に向上する。
【0023】
システムのいくつかの例では、照射ビーム特性は、照射ビームと3次元ワークピースが製造される材料(例えば、粉末)との相互作用中の照射ビームエネルギー入力強度を含む。これは、照射ビームが照射面に衝突する位置に依存する不均一性のために照射ビームプロファイルが変更される例において特に有利となりうる。特に、照射ビームのエネルギー入力強度を、例えば、照射面の位置に依存して種々の消散速度で消散するヒューム及び/又は他の(例えば、粒子状の)排出物に影響を及ぼすローカルプロセスガス流速及び/又はローカルプロセスガス流の均一性の関数として照射ユニットを制御ユニットにより制御することによって調整することができる。これにより、製造する3次元ワークの均一性を向上させることができる。
【0024】
システムのいくつかの例では、照射ビーム特性は、照射面に対する照射ビームの選択的照射の二つの連続する照射イベントの間の時間的間隔を含む。二つの連続する照射イベントは、例えば、照射面に定義される照射ベクトルによる二つの連続するビームバースト及び/又は連続する照射イベントに関連してもよい。したがって、第2の照射イベントに及ぼす第1の照射イベントの影響を、3次元ワークピースの製造中に考慮してもよい。これは、第2の照射イベントをいつ実行するかを決定するときに第1の照射イベントから生じるヒューム及び/又は他の粒子状の排出物を考慮することができるので特に有利となりうる。例えば、二つの連続する照射イベントの間の時間的間隔は、第2の照射イベントに及ぼす第1の照射イベントの影響を最小にできるようにするために事前定義のしきい値を超えてもよい。いくつかの例では、第1の照射イベントに起因するヒューム及び/又は他の粒子状の排出物は、第2の照射イベントに影響を及ぼすことを防止してもよい又はそのような影響を最小にしてもよい。
【0025】
システムのいくつかの例では、照射ビーム特性は、(i)照射ビームパワー、(ii)照射面の全体に照射ビームを走査するときの照射ビーム走査速度及び(iii)照射ビーム集束のうちの一つ以上を含む。いくつかの例では、一つ以上の照射ビーム特性は、イベントから生じるヒューム及び/又は他の粒子状の排出物のようなものであるがそれに限定されない一つ以上の照射イベントの一つ以上の特性に依存してもよい。照射ビーム(例えば、レーザー)パワーが非常に高くなると、例えば、材料の消散が増加する(キーホール溶接及び/又は排出物が増加)するのに対して、照射ビーム(例えば、レーザー)パワーが非常に高くなると、残りのパラメータを一定に保ちながら融合の欠如による多孔性の増加につながるおそれがあることに留意されたい。走査速度が非常に高くなると、溶融不足(メルトブレイク)が発生するおそれがあり、スキャン速度が非常に低くなると、キーホール溶接及び/又は排出物の増加につながるおそれがある。キーホールは、融着不足の場合と同様に、多孔性を残すおそれがあり、これによりワークピースの密度が低下し、ワークピースの他の機械的特性に悪影響を及ぼすおそれがある。不正確な焦点位置によって、(主に)融合の欠如につながるおそれがある。その理由は、例えば、焦点がぼけることによってスポットの直径が許容範囲を超えて面積あたりのエネルギーが減少するおそれがあるからである。
【0026】
いくつかの例では、システムは、照射面を複数のゾーンに分割するように構成され、制御ユニットは、ゾーンのいずれが照射ビームによって照射されるかに基づいて照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成される。これは、3次元ワークピースの製造前及び/又は製造中に決定することができるローカルプロセスパラメータが照射の特定のゾーンに依存するので特に有利である。例えば、ローカルプロセスガス特性を、プロセスガス吸気口及びプロセスガス排気口の形状と、いくつかの例の3次元ワークピースを製造するための装置の他の部分の形状とに基づいて知ることができる又は決定することができる。プロセスガス流速は、プロセスガス排気口から遠い(すなわち、プロセスガス吸気口に近い)ゾーンに比べてプロセスガスの排気口に近いゾーンで低くなることがある。いくつかの例では、ゾーンの位置に基づいて照射ビーム特性を調整することを、特に、3次元ワークピースを製造する前にプロセスガス流速及び/又は均一性のようなものであるがそれに限定されないローカルプロセスパラメータをシミュレートするときに積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造する前に既に事前定義してもよい。追加的に又は代替的に、3次元ワークピースの製造中の照射ビーム特性のオンライン調整を行ってもよい。
【0027】
照射面を複数のゾーンに分割することにより、3次元ワークピースを製造するときに照射ビーム特性をどのように調整することができるかについて簡単化してもよい。
【0028】
システムのいくつかの例では、制御ユニットは、ゾーンの装置のプロセスガス吸気口及び/又はプロセスガス排気口までの空間距離に基づいて、二つの連続する照射イベントの間の時間間隔を変更するために照射ユニットを制御するように構成される。ゾーンがプロセスガス排気口に近くなるに従って時間間隔を長くしてもよい。これによって、好適に、ゾーンがプロセスガス排気口に近くなるに従って空間距離あたりの除去に時間がかかることを考慮しながら、更なる照射イベントを実行する前にヒューム及び/又は他の粒子状の排出物を除去することを可能にする。
【0029】
いくつかの例では、システムは、制御ユニットに結合され、照射面の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流均一性分布を決定するように構成されたプロセスガス測定装置を更に備え、システムは、プロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流速均一性分布に基づく複数のゾーンへの照射面に基づいて照射面を複数のゾーンに分割するように構成される。いくつかの例では、照射面の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流均一性分布を決定するために、一つ以上のフローメータ(プローブ)を使用してもよい。追加的に又は代替的に、照射面の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流均一性分布をシミュレートしてもよく、シミュレートされた結果を、3次元ワークの製造中に照射ビームの照射ビーム特性をどのように調整するかを決定するときに入力として使用してもよい。
【0030】
システムのいくつかの例では、制御ユニットは、事前定義の数の走査ベクトルに基づいて照射面の全体の照射ビームを走査する前及び/又は後に照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成される。例えば、プロセスガス吸気口からプロセスガス排気口までの走査ベクトルの各々、2番目の走査ベクトルの各々、等々、N番目の走査ベクトルの各々の前及び/又は後の照射の遅延時間のゾーンごとの影響を使用してもよい。いくつかの例では、システムは、照射ビーム特性の調整が特定の走査ベクトルの走査に基づくことができるように、前記走査ベクトルを前記ゾーンに割り当てるように構成される。例えば、走査ベクトルが特定のゾーンにあるという条件において、走査ベクトルが照射ビームで走査されると、(同一のゾーン及び/又は隣接するゾーン及び/又は別のゾーンの)次の走査イベントが、事前定義の期間が経過した後にのみ実行される。
【0031】
いくつかの例では、システムは、制御ユニットに結合され、3次元ワークピースの製造中に照射面の局所的な熱放射を測定するように構成された熱放射測定ユニットを更に備え、制御ユニットは、局所的な熱放射に基づいて照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成される。リアルタイムデータを、局所的な熱放射に基づいて照射ビームの特性を調整するときに使用してもよい。(更に)高い(例えば、しきい値を超える)局所的な熱放射は、いくつかの例では、熱放射が他の位置より高い場合にヒューム及び/又は他の粒子状の排出物が生じるように照射ビームによって照射される前記位置と相関してもよい。したがって、熱放射測定ユニットを使用すると、製造される3次元ワークピースの均一性をさらに改善するように照射ビームを調整するときに追加の入力を提供することができる。
【0032】
いくつかの例では、熱放射測定ユニットは、軸上(すなわち、照射面に向かう熱放射測定ユニットの視野が照射ビームの照射ビーム経路に一致及び/又は平行になりうる)熱放射測定ユニットであってもよい。追加的に又は代替的に、熱放射測定ユニットは、軸外(すなわち、照射面に向かう熱放射測定ユニットの視野が照射ビームの照射ビーム経路と一致しない)熱放射測定ユニットであってもよい。追加的に又は代替的に、熱放射測定ユニットは、軸外熱放射測定ユニットであってもよい、すなわち、照射ビームの照射ビーム経路に対して軸外であってもよい。これにより、照射面に向かう熱放射測定ユニットの視野が照射ビームの照射ビーム経路に一致する。いくつかの例では、(軸外)熱放射測定ユニットは、例えば、x-y面で(すなわち、照射平面に平行に)較正することができる赤外線カメラを備える。
【0033】
いくつかの例では、オンラインで(すなわち、ライブで)検出することができる(局所的な)熱放射(放出)を、(照射のための)遅延時間のオンライン決定のために追加的に又は代替的に使用してもよい。熱放射の信号が、以前に測定された熱放射の指定された値及び/又は進行(プロファイル)から非常に大きく(例えば、事前定義のしきい値を超えて)逸脱する場合、制御ユニットは、値及び/又は進行が事前定義のしきい値未満の指定された値及び/又は進行から逸脱する「通常の」値及び/又は指定された値に戻るまで後続の遅延時間の動的な調整及び/又は維持及び/又は遅延時間の動的な調整を行ってもよい。
【0034】
ガスフローマップの作成と共に、関連する熱放射(放射)マップを作成してもよく、それは、ワークピースを製造する材料(例えば、粉末)のない理想的な条件下でのブランク基板(プレート)に由来する。いくつかの例では、そのような熱マップから、上記の値を導き出してもよい。
【0035】
いくつかの例では、システムは、第1の照射ビームで照射面を選択的に照射するように構成された第1の照射ユニットと、第2の照射面で照射面を選択的に照射するように構成された第2の照射ユニットと備え、制御ユニットは、3次元ワークピースの製造中の第1の照射ビームと第2の照射ビームとの相互の時間依存の空間的関係に基づいて第1の照射ビーム及び/又は第2の照射ビームの照射ビーム特性を調整するために第1の照射ユニット及び/又は第2の照射ユニットを制御するように構成される。これは、特に、製造される3次元ワークピースの均一性を更に改善するために照射面に第1の照射ビーム及び/又は第2の照射ビームを照射するときの遅延時間を予防的かつ個別に調整することができる。これは、照射面の隣接するゾーン又は領域を照射するときに特に有利となりうる。
【0036】
さらに、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御する制御ユニットであって、3次元ワークピースの製造中にローカルプロセスパラメータに関連するデータを受信するように構成された入力部と、照射ユニットを制御するための制御データを生成するためにデータを処理するように構成されたプロセッサと、照射ユニットに結合可能であり、照射ユニットを制御するために、生成された制御データを照射ユニットに出力するように構成された出力部と、を備える制御ユニットを説明する。
【0037】
上記で概説したシステムの好適な実施は、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御するための制御ユニットに等しく適用可能である。
【0038】
特に、ローカルプロセスパラメータは、-3次元ワークピースを製造するときに使用されるプロセスガスのローカルプロセスガス特性を含んでもよく、特に、ローカルプロセスガス特性は、ローカルプロセスガス流速及び/又はローカルプロセスガス流均一性を含む。
【0039】
照射ビーム特性は、照射ビームと3次元ワークピースが製造される材料との相互作用中の照射ビームエネルギー入力強度を含んでもよい。
【0040】
照射ビーム特性は、照射面に対する照射ビームの選択的照射の二つの連続する照射イベントの間の時間的間隔を含んでもよい。
【0041】
照射ビーム特性は、(i)照射ビームパワー、(ii)照射面の全体に照射ビームを走査するときの照射ビーム走査速度及び(iii)照射ビーム集束のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0042】
制御ユニットは、照射面を複数のゾーンに分割するように構成されてもよく、制御ユニットは、ゾーンのいずれが照射ビームによって照射されることに基づいて照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成される。
【0043】
制御ユニットは、照射面の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流速均一性分布を決定するように構成されたプロセスガス測定装置に結合されてもよい又は結合可能であってもよい。制御ユニットは、プロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流速均一性分布に基づいて照射面を複数のゾーンに分割するように構成される。
【0044】
制御ユニットは、事前定義の数の走査ベクトルに基づいて照射面の全体の照射ビームを走査する前及び/又は後に照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成されてもよく、特に、制御ユニットは、走査ベクトルをゾーンに割り当てるように構成される。
【0045】
制御ユニットは、3次元ワークピースの製造中に照射面の局所的な熱放射を測定するように構成された熱放射測定ユニットに結合されてもよく、制御ユニットは、局所的な熱放射に基づいて照射ビーム特性を調整するために照射ユニットを制御するように構成される。
【0046】
制御ユニットは、3次元ワークピースの製造中の第1の照射ビームと第2の照射ビームとの相互の時間依存の空間的関係に基づいて第1の照射ビーム及び/又は第2の照射ビームの照射ビーム特性を調整するために第1の照射ユニット及び/又は第2の照射ユニットを制御するように構成されてもよい。
【0047】
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置であって、本開示に記載したような例示的な実装の一つ以上によるシステム及び/又は制御ユニットを備える装置も説明する。
【0048】
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法であって、積層造形技術を使用した3次元ワークピースの製造中にローカルプロセスパラメータを決定することと、決定されたローカルプロセスパラメータの関数として照射ビームを制御することと、を備える方法を更に説明する。
【0049】
上記で概説したシステム及び/又は制御ユニット及び/又は装置の好適な例示的な実装は、積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法に等しく適用可能である。
【0050】
次に、本発明のこれらの態様及び他の態様を、一例として、添付の図を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】ここに記載したようないくつかの例示的な実装による装置の構成要素の概略図の上面図を示す。
図2】ここに記載したようないくつかの例示的な実装による装置の概略ブロック図を示す。
図3】ここに記載したようないくつかの例示的な実装による制御ユニットの概略ブロック図を示す。
図4】ここに記載したようないくつかの例示的な実装による方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
選択的レーザー溶融システムは、一般的には、ガス吸気口からガス排気口へのガス流を生成するために様々なデバイスを使用する。デバイスのタイプに関係なく、ガス流度は、ガス流の移動方向に沿って減少する。例えば、ガス流速は、吸気口での流速の値よりも10倍以上大きい流入の直接値を有することがある。これによって、とりわけ、溶接ヒューム及び他の粒子状の排出物も速度を低下してガス吸気口からガス排気口に消散することがある。
【0053】
レーザービーム/電子(又は他の粒子)ビームは、そのような排出物によって散乱される可能性があり、その結果、エネルギービームと粉末材料との間の相互作用ゾーンにおいて、照射の強度が減衰するおそれがある又はビームプロファイルで変化するおそれがある。
【0054】
ガス流速を上げる可能性は限られているおそれがある。
【0055】
相互作用ゾーン、その周辺又はその上での排出物クラウド(emission cloud)/ヒュームの滞留時間が長すぎるという問題は、本開示全体で説明される実施例によれば、特に、排出物クラウド/ヒュームが発生する場所に応じて、そのような排出物を除去するためのより多くの時間を取ることである。本開示による例は、特に、ガス吸気口からガス排気口への粒子状の排出物の除去時間のゾーンごとの延長を利用する。
【0056】
特に、プロセスチャンバー内の、特に、建設プラットフォームの上のガス流の不均一性を考えると、各エリアの上の溶接ヒューム及び他の排出物による照射(例えば、レーザー)材料(例えば、粉末)相互作用ゾーンの局所的に異なる強い影響につながる可能性がある。これは、いくつかの例では、(照射(レーザー)-材料(粉末)相互作用におけるエネルギー入力強度をいくつかの例では、主に速度及び均一性に関連する可能性がある)局所的な特定のガス流特性の関数として調整することによって無効にされる。
【0057】
本開示によれば、エネルギー入力強度の調整は、主に、いくつかの例では、二つの露光間の空間的及び/又は時間的距離を変化させることによって、及び/又は、照射(例えば、レーザー)パワー及び/又はスキャン速度及び/又はビーム集束を変化させることによって行われる。
【0058】
本開示による例示的な実装は、積層造形において、建設プラットフォーム全体に亘って均一な構成要素の品質の改善を可能にする。これは、特に、より大きな建設スペースの場合に建設プラットフォーム全体に亘って完全に均一なガス流を作り出すことが経済的かつ技術的に実用的な限界に達する可能性がある場合に有利となりうる。
【0059】
図1は、ここに記載したようないくつかの例示的な実装による装置の構成要素の概略図の上面図を示す。
【0060】
装置は、プロセスガス吸気口102及びプロセスガス排気口104を備える。図1で矢印101によって示すように、プロセスガス流は、プロセスガス吸気口102からプロセスガス排気口104まで生成されうる。
【0061】
本例では、照射面106は、複数のゾーン108a~fに分割される。プロセスガス吸気口102からプロセスガス排気口104までの走査ベクトルの各々、2番目の走査ベクトルの各々、等々、N番目の走査ベクトルの各々の前及び/又は後の照射の遅延時間のゾーンごとの影響が使用される。使用されるスキャナーの制御カード(図示せず)は、そのような遅延を、例えば、通常、露光される各ベクトルの加速段階及び減速段階でのスキャナーの抗力遅延を補償するために既に使用していてもよい。
【0062】
本例では、照射面106は、六つのゾーン108a~fに分割される。照射面106が別の数のゾーンに分割されてもよいことが理解される。
【0063】
ゾーンは、例えば、ガス流の方向に垂直な長さの、例えば、図1に示す本例のようなy方向の単純なストライプであってもよい。
【0064】
他の可能な形態は、例えば、鎌形のストライプ、又は、形状が建設エリア全体に亘るガス流速の測定よって生じる、すなわち、ガスフローマップに基づいて生じるストライプである。
【0065】
2次元ベクトル情報のセットに基づいて、スキャンベクトルは、既知のx座標及びy座標に関して対応するゾーンに割り当てられるとともに、上記のように、連続する照射イベント間の一時停止時間が付与される。
【0066】
ガスフローマップを、単純なストライプとはかなり異なることがある更に複雑な分類ルールを作成するために使用することもできる。
【0067】
図2は、ここに記載したようないくつかの例示的な実装による積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置200の概略ブロック図を示す。
【0068】
本例では、装置200は、照射面106にそれぞれ第1の照射ビーム及び第2の照射ビームを選択的に照射するように構成された第1の照射ユニット204及び第2の照射ユニット205を備えるシステム202を備える。
【0069】
システム202は、第1の照射ユニット204及び第2の照射ユニット205に結合された制御ユニット206を備え、制御ユニット206は、3次元ワークピースを製造するときのローカルプロセスパラメータの関数として第1の照射ビーム及び/又は第2の照射ビームの照射ビーム特性を調整するために照射ユニット204及び照射ユニット205を制御するように構成される。
【0070】
本例では、システム202は、制御ユニット206に結合され、照射面106の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流均一性分布を決定するように構成されたプロセスガス測定装置212を更に備え、システム202は、プロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流均一性分布に基づいて照射面106を複数のゾーンに分割するように構成される。放射面106を複数のゾーンに分割することに基づいて、照射ビーム特性を、それに応じて調整してもよい。特に、照射面に照射ビームを照射するための遅延時間を、プロセスガス流速が遅いゾーンでは長くしてもよく、それにより、次の照射ステップ/イベント/スキャンベクトルを継続する前にヒューム及び/又は粒子状の排出物ガスをプロセスガスによって除去することができる。
【0071】
本例では、システム202は、制御ユニット206に結合され、3次元ワークピースの製造中に照射面106の局所的な熱放射を測定するように構成された熱放射測定ユニット214を更に備え、制御ユニット206は、局所的な熱放射に基づいて各照射ビームの照射ビーム特性を調整するために照射ユニット204及び/又は205を制御するように構成される。局所的な熱放射は、スキャンイベントが発生した領域又は発生したばかりの領域を示す可能性がある。特に、高い熱放射は、走査イベントと相関している可能性がある。熱放射が比較的高い領域は、いくつかの例では、同一の領域又は隣接する領域を少なくとも事前定義のしきい値期間照射しないように第1の照射ユニット204及び/又は第2の照射ユニット205を制御するために制御ユニット206によって使用されてもよい。
【0072】
装置200は、プロセスガス吸気口102からプロセスガス排気口104へのプロセスガス流を制御するために、プロセスガス吸気口102及びプロセスガス排気口104を備える。
【0073】
さらに、遅延時間の値を、3次元ワークピースを生成するために材料が照射される領域に関連する信号である溶融プール監視信号のリアルタイム評価に基づいて計算することができる。対応する照射ビームに関する時間及び場所における各スキャナー/照射ユニットの互いの位置がわかっている場合、空間及び時間の距離に依存して、予防的かつ個別の遅延時間の調整を行うことができる。隣接する領域(例えば、ゾーン)において材料(例えば、粉末)の固形化処理を行う少なくとも二つの照射ユニットを使用する溶融プール監視参照測定に基づいて、材料-照射ビーム(例えば、粉末-レーザー)相互作用領域からのヒューム、スパッタ及び他の排出物に関連する溶融プール監視信号変化は、各ゾーンの遅延値を超え別に調整するために使用される。したがって、本開示の一つの態様は、これも可能にすることであり、ゾーンでの実行の追加又は代替の形式として、空間及び時間の距離に応じた設定である。
【0074】
図3は、ここに記載したようないくつかの例示的な実装による制御ユニット206の概略ブロック図を示す。
【0075】
本例では、制御ユニット206は、3次元ワークピースの製造中にローカルプロセスパラメータに関連するデータを受信するように構成された入力部302と、照射ユニットを制御するための制御データを生成するために前記データを処理するように構成されたプロセッサ304と、照射ユニットに結合可能であり、照射ユニットを制御するために、生成された制御データを照射ユニットに出力するように構成された出力部306と、を備える。3次元ワークピースの製造中のローカルプロセスパラメータに関連するデータを、取得してもよい、すなわち、制御ユニット206自体によって生成してもよい、又は、3次元ワークピースを製造するための装置の別の構成要素から取得してもよい。
【0076】
図4は、ここに記載したようないくつかの例示的な実装による方法400の流れ図を示す。
【0077】
方法400は、ステップS402で、積層造形技術を使用して3次元ワークピースの製造中にローカルプロセスパラメータを決定することと、ステップS404で、決定されたローカルプロセスパラメータの関数として照射ビームを制御することと、を備える。
【0078】
ここに記載した例示的な実装によるシステム、装置、制御ユニット及び方法は、例えば、異なる形状を有する異なるシステムに適応可能であり、同時に、製造された3次元ワークピースの均一性を改善することを有利に可能にする。
【0079】
間違いなく、他の多くの効果的な代替案が当業者に発生する。本発明がここに記載した例示的な実装及び例示的な実施に限定されず、当業者に明らかであるとともにここに添付した特許請求の範囲内にある変更を包含することが理解される。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置で使用するシステムであって、
照射面に対する照射ビームの選択的照射を行うように構成された照射ユニットと、
前記照射ユニットに結合され、前記3次元ワークピースを製造するときのローカルプロセスパラメータの関数として前記照射ビームの照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された制御ユニットと、
を備えるシステム。
[態様2]
前記ローカルプロセスパラメータは、前記3次元ワークピースを製造するときに使用されるプロセスガスのローカルプロセスガス特性を含む、態様1に記載のシステム。
[態様3]
前記ローカルプロセスガス特性は、ローカルプロセスガス流速及び/又はローカルプロセスガス流均一性を含む、態様2に記載のシステム。
[態様4]
前記照射ビーム特性は、前記照射ビームと前記3次元ワークピースが製造される材料との相互作用中の照射ビームエネルギー入力強度を含む、態様1~3のいずれか一つに記載のシステム。
[態様5]
前記照射ビーム特性は、前記照射面に対する前記照射ビームの前記選択的照射の二つの連続する照射イベントの間の時間的間隔を含む、態様1~4のいずれか一つに記載のシステム。
[態様6]
前記照射ビーム特性は、(i)照射ビームパワー、(ii)前記照射面の全体に前記照射ビームを走査するときの照射ビーム走査速度及び(iii)照射ビーム集束を含む、態様1~5のいずれか一つに記載のシステム。
[態様7]
前記照射面を複数のゾーンに分割するように構成され、前記制御ユニットは、前記ゾーンのいずれが前記照射ビームによって照射されるかに基づいて前記照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された、態様1~6のいずれか一つに記載のシステム。
[態様8]
前記制御ユニットは、前記ゾーンの前記装置のプロセスガス吸気口及び/又はプロセスガス排気口までの空間距離に基づいて、二つの連続する照射イベントの間の時間間隔を変更するために前記照射ユニットを制御するように構成された、態様7に記載のシステム。
[態様9]
前記制御ユニットに結合され、前記照射面の全体のプロセスガス流速分布及び/又はプロセスガス流速均一性分布を決定するように構成されたプロセスガス測定装置を更に備え、前記プロセスガス流速分布及び/又は前記プロセスガス流速均一性分布に基づいて前記照射面を複数のゾーンに分割するように構成された、態様7又は8に記載のシステム。
[態様10]
前記制御ユニットは、事前定義の数の走査ベクトルに基づいて前記照射面の全体の照射ビームを走査する前及び/又は後に前記照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された、態様1~9のいずれか一つに記載のシステム。
[態様11]
前記走査ベクトルを前記ゾーンに割り当てるように構成された、態様9に従属するときの態様10に記載のシステム。
[態様12]
前記制御ユニットに結合され、前記3次元ワークピースの製造中に前記照射面の局所的な熱放射を測定するように構成された熱放射測定ユニットを更に備え、前記制御ユニットは、前記局所的な熱放射に基づいて照射ビーム特性を調整するために前記照射ユニットを制御するように構成された、態様1~11のいずれか一つに記載のシステム。
[態様13]
第1の前記照射ビームで前記照射面を選択的に照射するように構成された第1の前記照射ユニットと、第2の前記照射面で照射面を選択的に照射するように構成された第2の前記照射ユニットと備え、前記制御ユニットは、前記3次元ワークピースの製造中の第1の前記照射ビームと第2の前記照射ビームとの相互の時間依存の空間的関係に基づいて第1の前記照射ビーム及び/又は第2の前記照射ビームの照射ビーム特性を調整するために第1の前記照射ユニット及び/又は第2の前記照射ユニットを制御するように構成された、態様1~12のいずれか一つに記載のシステム。
[態様14]
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ユニットを制御する制御ユニットであって、
前記3次元ワークピースの製造中にローカルプロセスパラメータに関連するデータを受信するように構成された入力部と、
前記照射ユニットを制御するための制御データを生成するために前記データを処理するように構成されたプロセッサと、
前記照射ユニットに結合可能であり、前記照射ユニットを制御するために、生成された前記制御データを前記照射ユニットに出力するように構成された出力部と、
を備える制御ユニット。
[態様15]
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置であって、態様1~13のいずれか一つに記載のシステム及び/又は態様14に記載の制御ユニットを備える装置。
[態様16]
積層造形技術を使用して3次元ワークピースを製造するための装置の照射ビームを制御する方法であって、
前記積層造形技術を使用した前記3次元ワークピースの製造中にローカルプロセスパラメータを決定することと、
決定された前記ローカルプロセスパラメータの関数として前記照射ビームを制御することと、
を備える方法。
図1
図2
図3
図4