(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-08
(45)【発行日】2023-09-19
(54)【発明の名称】移動通信システムのユーザ機器のための車両、装置、方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/46 20180101AFI20230911BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20230911BHJP
H04W 8/22 20090101ALI20230911BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20230911BHJP
【FI】
H04W4/46
H04W88/04
H04W8/22
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2022527734
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2020081537
(87)【国際公開番号】W WO2021094267
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-01
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ジョルノ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プファードラー
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/182592(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0235022(US,A1)
【文献】国際公開第2017/183205(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/140114(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システム(400)のユーザ機器UE(200;300)によって実行される、複数のUE(200;300)の通信グループを決定するための方法(10)であって、前記方法(10)が、
前記通信グループの候補UE(300)から無線アクセスケイパビリティに関する情報を受信するステップ(12)と、
前記候補UE(300)からの前記無線アクセスケイパビリティに関する情報に基づいて、前記通信グループ内で使用するための1つもしくは複数の無線アクセス技術を決定するステップ(14)と、
各自の無線アクセス技術に基づいて前記通信グループの参加者を決定するステップ(16)と、
予め定義された役割のセットに基づいて前記グループ内の前記UE(200;300)の役割を決定するステップであって、前記予め定義された役割のセットは、前記グループにおいて通信されるメッセージを第1の無線アクセス技術から第2の無線アクセス技術へ中継することを含む、ステップと、
中継する役割が割り当てられた前記UE(200;300)どうしの通信を形成できるか否かを検証するステップと、
前記1つもしくは複数の無線技術を使用した通信
および前記検証に基づいて前記グループを形成するステップ(18)と、
を含む、方法(10)。
【請求項2】
前記方法(10)がさらに、前記UE(200;300)の無線ケイパビリティに関する情報を前記候補UE(200;300)へブロードキャストするステップを含む、請求項1記載の方法(10)。
【請求項3】
前記通信グループの参加者を決定するステップが、前記通信グループについての連結されたグラフを決定するステップを含み、
前記連結されたグラフのエッジは、前記1つもしくは複数の無線アクセス技術を使用する通信グループの参加者間の通信リンクを示す、
請求項1または2記載の方法(10)。
【請求項4】
前記方法(10)がさらに、
グループ通信中に前記連結されたグラフにおけるダブルエッジを決定するステップと、
前記グラフにおける前記ダブルエッジの数を低減することにより、前記連結されたグラフを修正するステップと、
を含む、請求項3記載の方法(10)。
【請求項5】
前記方法(10)がさらに、
異なる無線アクセス技術による複数の通信リンクを使用して前記グループにおいて最初に通信するステップと、
冗長通信リンクを決定するステップと、
冗長通信リンク上での通信を控えるステップと、
を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(10)。
【請求項6】
前記方法(10)がさらに、前記通信グループの参加者への冗長通信リンクまたは前記通信グループの参加者からの冗長通信リンクに関する情報をブロードキャストするもしくは受信するステップを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法(10)。
【請求項7】
前記UE(200;300)は車両であり、前記通信グループは車両の隊列である、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法(10)。
【請求項8】
前記方法(10)がさらに、前記無線アクセス技術について予測されたサービス品質に基づいて、前記通信グループの車両間で使用するための無線アクセス技術を決定するステップを含む、請求項7記載の方法(10)。
【請求項9】
前記方法(10)がさらに、前記通信グループの車両間で使用するための前記無線アクセス技術を前記車両間の距離に基づいて決定するステップを含む、請求項7または8記載の方法(10)。
【請求項10】
前記方法(10)がさらに、前記無線アクセス技術のサービス品質および/または前記車両間の距離に対する前記隊列の全体的な燃料消費量に基づいて、前記通信グループの車両間で使用するための前記無線アクセス技術を決定するステップを含む、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法(10)。
【請求項11】
移動通信システム(400)のユーザ機器(200;300)のための装置(20;30)であって、複数のUE(200;300)の通信グループを決定するために、前記装置(20;30)が、
前記移動通信システム(400)において通信するように構成された1つもしくは複数のインタフェース(22;32)と、
前記1つもしくは複数のインタフェース(22;32)を制御するように構成されており、さらに請求項1から10までのいずれか1項記載の方法(10)を実行するように構成されている、制御モジュール(24;34)と、
を備える、装置(20,30)。
【請求項12】
請求項11記載の装置(20)を備えた車両。
【請求項13】
コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行される際に、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法(10)を実行させるためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムのユーザ機器のための車両、装置、方法、およびコンピュータプログラムに関し、より具体的には、排他的に捉えられるべきものではないが、複数の無線アクセス技術(RAT)を使用してユーザ機器の通信グループを決定するコンセプトに関する。
【0002】
デバイスツーデバイス(D2D)通信、ビークルツービークル(V2V)通信または車車間通信とも称されるモバイルデバイス間の直接通信は、新世代の移動通信システムの開発中の特徴である。デバイス間の直接通信を可能にすることにより、ネットワークカバレッジを拡大することができる。移動通信システムのカバレッジエリア内に位置するデバイスは、カバレッジ外に位置するデバイスに信号を中継することができる。
【0003】
特許文献としての国際公開第2019/027233号は、無線通信システムにおけるビークルツーエックス(V2X)端末による無線アクセス技術(RAT)の変更に関連する動作を実行するための方法に関する。1つもしくは複数のRATが、地理的領域に関して各V2Xサービスへとマッピングされる。
【0004】
特許文献としての米国特許出願公開第2015/0262481号明細書には、隊列の発生を決定する方法が開示されている。この方法は、車両数に関連する複数の車両データセットを形成すること、および車両グループについての車両データセットとこの車両データセットに対する少なくとも1つの限界値とを比較することを含んでいる。この方法は、比較の結果に応じて、少なくとも車両のグループからの車両の選択を識別すること、および車両の選択における車両間の距離を計算することを含んでいる。この方法は、少なくとも計算された前記距離に基づいて、車両の選択における車両の相対位置を決定することを含む。
【0005】
R. Jacob et al,“Hybrid V2X Communications: Multi-RAT as Enabler for Connected Autonomous Driving”, 2018 IEEE 29th Annual International Symposium on Personal, Indoor, and Mobile Radio Communications (PIMRC)には、自動運転におけるマルチRATの利用が記載されている。自動運転システムの可能性を最大限に活用するには、ネットワーク接続および車両間の協調を可能にする信頼性の高い無線通信が必要である。複数のV2X技術が、接続される自動運転アプリケーションの要件に対応している。最近の研究により、いずれの技術も、各車両が観察している様々な状況のもとでの遅延、信頼性およびスループットの観点から多様な要件に対応するための十分な柔軟性および信頼性を有さないことが判明している。ハイブリッドV2X通信は、複数の通信技術の協調を可能にし、これにより時間的に可変のチャネルおよび道路交通状況に対して効率的に適応化される。さらに、複数のRATを並列に組み合わせることにより、送信の信頼性およびスループットを向上させることができる。この論文では、ハイブリッドV2X通信の可能性、課題および主な設計態様の概要が述べられている。
【0006】
特許文献としての国際公開第2018/182591号は、マルチ無線アクセス技術(マルチRAT)送信を使用したメッセージ分割のコンセプトに関する。このコンセプトは、第1のデータを含む優先メッセージと第2のデータを含む非優先メッセージとの形成を提供する。さらに、当該特許文献は、優先RATおよび非優先RATの選択と、優先RATを用いた優先メッセージの送信および非優先RATを用いた非優先メッセージの送信とを提案している。
【0007】
通信グループにおけるネットワークアクセスのための改善されたコンセプトへの需要が存在する。
【0008】
この需要は、添付の各独立請求項によって対処される。
【0009】
実施形態は、複数のRATを使用してユーザ機器(UE)間の通信グループを形成することができるという発見に基づいている。このような通信グループでは、参加者間の無線リンクに異なるRATを使用することができる。どの組み合わせが可能であるかは、異なるRATにおける通信に関するUEのケイパビリティに依存する。これは、UEがRATのサポートに関して各自のケイパビリティを通信する場合、RAT間通信グループを形成することができるという発見である。
【0010】
実施形態は、移動通信システムのユーザ機器UEのための、複数のUEの通信グループを決定するための方法を提供する。方法は、通信グループの候補UEから無線アクセスケイパビリティに関する情報を受信することと、候補UEからの無線アクセスケイパビリティに関する情報に基づいて、通信グループ内で使用するための1つもしくは複数の無線アクセス技術を決定することとを含む。方法はさらに、各自の無線アクセス技術に基づいて通信グループの参加者を決定することと、1つもしくは複数の無線技術を使用した通信に基づいてグループを形成することとを含む。実施形態は、異なるRATを使用してUEの通信グループを形成することを可能にする。特に、通信グループは、共通のRATではなく、空間的な近接性または共通の移動ルートなどの基準に基づいて形成されうる。
【0011】
例えば、方法は、UEの無線ケイパビリティに関する情報を候補UEにブロードキャストすることを含むことができる。この場合、他のUEは、通信グループを形成する際に、これらのケイパビリティを受信し考慮することができる。実施形態は、他のRATをグループ候補として使用するUEの発見を可能にしうる。ブロードキャストメカニズムを使用することによって、UEの近傍にある候補の検出を可能にすることができる。
【0012】
また、この方法はさらに、予め定義された役割のセットに基づいてグループ内のUEの役割を決定することを含むことができる。実施形態では、通信グループのUEは、異なる役割または機能を引き受けることができ、これにより、複数のRATにわたる中央型でないグループ編成または中央型のグループ編成が可能となる。
【0013】
幾つかの実施形態では、予め定義された役割のセットは、グループ内で通信されるメッセージを第1のRATから第2のRATへ中継することを含む。実施形態では、一部のUEは、異なるRATおよびUE間の中継局の役割を引き受け、これによりRAT間通信グループを可能にすることができる。実施形態は、通信グループ内の1つもしくは複数のUEに、異なるRATのサブグループを接続することのできる中継局の役割を割り当てることができる。
【0014】
通信グループの参加者を決定することは、通信グループに対する連結されたグラフを決定することを含むことができる。連結されたグラフのエッジは、1つもしくは複数の無線アクセス技術を使用する通信グループの参加者間の通信リンクを示すものでありうる。グラフ表現を用いることによって、グループ形成およびリンク評価もしくは効率向上が可能となりうる。
【0015】
例えば、方法は、グループ通信中に連結されたグラフにおけるダブルエッジを決定することと、グラフにおけるダブルエッジの数を低減することによって連結されたグラフを修正することを含むことができる。ダブルエッジの数を低減することにより、冗長通信リンクを減らすことができる。
【0016】
方法はさらに、異なる無線アクセス技術による複数の通信リンクを使用して最初にグループ内で通信することと、冗長通信リンクを決定することと、冗長通信リンク上での通信を控えることとをさらに含みうる。冗長通信リンクの数を低減することにより、通信グループにおける全体的な通信効率を向上させることができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、方法は、通信グループの参加者への冗長通信リンクまたは通信グループの参加者からの冗長通信リンクに関する情報をブロードキャストするもしくは受信することを含みうる。グループ内の冗長リンクに関する情報を通信することにより、通信リンクの数を低減するためまたは最適化するための中央型または分散型の方法を可能にすることができる。
【0018】
UEは車両であってよく、通信グループは車両の隊列であってよい。実施形態は、効率的なRAT間の隊列の形成を可能にすることができ、これにより、より大きな隊列とこれに対応するより高い交通効率とが可能となる。
【0019】
通信グループの車両間で使用するための無線アクセス技術を決定することは、RATについての予測されたサービス品質に基づいていてよい。サービス品質は、複数のRATから選択可能であることによって改善されうる。
【0020】
方法はさらに、車両間の距離に基づいて、通信グループの車両間で使用するためのRATを決定することを含んでいてよい。実施形態は、隊列形成の効率を高めうる距離適応型のRAT選択を可能とすることができる。
【0021】
さらなる実施形態では、通信グループの車両間で使用するための無線アクセス技術を決定することは、隊列の全体的な燃料消費量に基づきうる。実施形態では、異なるRATを利用することによって隊列の燃料消費量を低減することができる。燃料効率の良いRAT選択を使用することができる。
【0022】
実施形態は、移動通信システムのユーザ機器のための、複数のUEの通信グループを決定する装置も提供する。装置は、移動通信システムにおいて通信するように構成された1つもしくは複数のインタフェースを含む。装置はさらに、1つもしくは複数のインタフェースを制御するように構成された制御モジュールを含む。制御モジュールはさらに、本明細書に記載する方法のうち1つの方法を実行するように構成されている。
【0023】
別の実施形態は、当該装置を備えた車両である。
【0024】
実施形態によればさらに、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいてコンピュータプログラムが実行される際に、上述の方法のうち1つもしくは複数の方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムが提供される。別の実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行される際に、本明細書に記載する方法のうちの1つの方法をコンピュータに実行させるための命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【0025】
他の幾つかの特徴または態様について、単なる例示としての装置または方法またはコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の以下の非限定的な実施形態を用いて、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】UEのための方法の一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】UEのための装置、UEおよびシステムの実施形態を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態における連結されたグラフの利用を示す図である。
【0027】
次に、幾つかの例示的な実施形態を示した添付の図面を参照しながら、様々の例示的な実施形態についてさらに詳細に説明する。明確化のために、図中、線の太さ、層もしくは領域の厚みを誇張して描いたところがある。任意手段としての構成要素は、破線、鎖線もしくは点線を用いて示したところがある。
【0028】
したがって、例示的な実施形態は様々な修正および択一的な形態を有することができるが、そのうち幾つかの実施形態を例示として図示し、本明細書において詳しく説明する。なお、例示的な実施形態を開示の特定の形態に限定することは意図しておらず、むしろ反対に例示的な実施形態は本発明の範囲内の全ての修正形態、等価形態および代替形態をカバーすると理解されたい。各図の説明を通して、同様の参照符号は類似のまたは同様の要素を指している。
【0029】
本明細書で使用される場合、「または」なる用語は、別段の示唆(例えば「または他に」または「または択一的に」など)がない限り、非排他的な「または」を指す。さらに本明細書で使用される、要素間の関係の記述に用いられる語は、別段の示唆がない限り、直接的な関係または介在要素が存在する関係のどちらも含むよう、広く解釈されたい。例えば、ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」ものとして言及されたならば、その要素は他の要素に直接に接続または結合されていてもよいし、または介在要素が存在していてもよい。これとは対照的に、ある要素が別の要素に「直接に接続されている」または「直接に結合されている」ものとして言及されたならば、介在要素は存在しない。同様に、「~と~との間」、「~に隣接する」などの用語も同様に解釈されたい。
【0030】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、例示的な実施形態の限定を意図するものではない。本明細書で使用される単数形の不定冠詞(“a”,“an”)および定冠詞(“the”)は、文脈による別段の明示的な示唆がない限り、複数形も同様に含むことを意図している。さらに、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「備える(includes)」、または「備えている(including)」は、本明細書で使用される場合、言明されている特徴、整数、ステップ、動作、要素またはコンポーネントの存在を示すが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネントまたはこれらのグループの存在または追加を排除しないことが理解されるであろう。
【0031】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および学術用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、例えば一般的に使用されている辞書で定義されている用語は、関連分野の文脈におけるその意味と矛盾しない意味を有していると解されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されるものでないことを理解されたい。
【0032】
実施形態は、通信グループの一例としてのマルチRAT隊列の形成に関しうる。協調運転の1つの興味深い用途は、ヘビーデューティトラックなどの複数の車両の協調した縦列制御、すなわち隊列の形成である。当該用途は、燃料消費量を減らし、安全性を保証しながら道路効率を達成することを目的として、メッセージの定期的な交換によってサポートされる。ここでかつ以下では、車両の隊列を通信グループの一例と見なす。一般に、他の通信グループ、例えばゲーム、旅行、情報放送などのためにグループ化されるUEも考えられる。
【0033】
隊列形成のサポートのために使用されるメッセージは、特定の技術に関する標準化されたメッセージであってもよいし、広範な技術に関するプロプリエタリなメッセージであってもよい。最新の車両システムには、マルチ無線アクセス技術(マルチRAT)システムと称される複数の通信システムが装備されている。これらのマルチRAT(3rd Generation Partnership Interface PC5, Institute of Electrical and Electronics Engineers, IEEE802.11P)システムは、メッセージ交換の信頼性を向上させ、または異なる技術によって送信されうる異なるメッセージでサポートされる異なる隊列形成のシステムの組み合わせをサポートするのに役立ちうる。
【0034】
幾つかの実施形態は、複数の車両からの情報ならびに候補車両間の相対距離に関する情報を考慮することができる。実施形態の一態様は、車両の通信ケイパビリティも考慮するということである。無線通信を使用して、問題の車両から直接にまたは交通インフラストラクチャ(例えば路側装置)を介して、さらなる情報を収集することもできる。
【0035】
図1には、移動通信システムのUEのための、複数のUEの通信グループを決定する方法10の一実施形態のブロック図が示されている。方法10は、当該通信グループの候補UEから無線アクセスケイパビリティに関する情報を受信すること12と、候補UEからの無線アクセスケイパビリティに関する情報に基づいて、通信グループ内で使用するための1つもしくは複数の無線アクセス技術を決定すること14とを含む。方法10はさらに、各自の無線アクセス技術に基づいて通信グループの参加者を決定すること16と、1つもしくは複数の無線技術を使用した通信に基づいてグループを形成すること18とを含む。実施形態は、利用可能な通信デバイスおよびこれらのデバイスの互換性を検査することができる。次いで、利用可能な複数のRATまたはさらには利用可能な全てのRATを使用する通信グループを形成することができ、例えば以下に詳述するような連結されたグラフを形成することができる。他の基準、例えば、通信リンクが切断された場合、該当する車両は、隊列を再形成するためにエネルギを消費せざるをえないことも考慮することができる。例えば、相互に近接しているUEのグループを考えることができる。これらの通信ケイパビリティ(RATのサポート)に応じて、混合RATのグループを形成することができる。
【0036】
図2には、UE200,300のための装置20,30、UE200,300、およびシステム400の実施形態のブロック図が示されている。
図2には、装置20,30の2つの実施形態が示されており、これらの装置20,30は、
図1において説明した方法10に従って互いに相互作用するように構成されている。
図2では、移動通信システム400のユーザ機器200,300のための装置20,30は、複数のUEの通信グループを決定するように構成されている。装置20,30は、移動通信システム400内において通信するように構成された1つもしくは複数のインタフェース22,32を含む。装置20,30はさらに制御モジュール24,34を含み、これらは対応する1つもしくは複数のインタフェース22,32に結合されている。制御モジュール24,34はさらに、1つもしくは複数のインタフェース22,32を制御し、本明細書で説明する方法10のうちの1つの方法を実行するように構成されている。UE200,300は、実施形態の装置20,30を備えた車両であってよい。別の実施形態は、複数のUE200,300を含むシステム400、または複数のUE200,300を含むシステムのための方法である。
【0037】
図2に示されているように、装置20およびその内部の制御モジュール24は、方法10を実行し、すなわちUEケイパビリティが(例えば複数の候補UEから)受信され12、グループのRATが決定され14、グループ参加者が決定され16、グループが形成される18。これらのステップを、他のUE300側でも同様に行うことができる。さらに
図2に示されているように、他のUE300に、グループ形成について、例えば相応のメッセージによって通知することができる。例えば、候補UEは、各自の情報、例えばIDおよびRATケイパビリティをブロードキャストした近傍にあるUEでありうる。相互に近接した(通信範囲内にある)UEは、各自を潜在的なグループ候補とすることができる。こうしたグループは別のUEを含むことができ、例えばグループの各個別のUEに近接せず、グループの任意のUEに近接するUEを含むことができる。このことについては、グラフの考察を用いて以下でさらに詳述する。
【0038】
実施形態では、1つもしくは複数のインタフェース22,32は、アナログまたはデジタルの信号または情報を取得し、受信し、送信しまたは提供する任意の手段、例えば信号または情報の供給もしくは取得を可能にする任意のコネクタ、コンタクト、ピン、レジスタ、入力ポート、出力ポート、導体、レーンなどに対応しうる。インタフェースは無線または有線とすることができ、信号ないし情報をさらなる内部または外部のコンポーネントと通信する、すなわち送信しもしくは受信するように構成することができる。1つもしくは複数のインタフェース22,32は、移動通信システム400においてこれに準拠した通信を可能にするさらなるコンポーネントを有することができ、こうしたコンポーネントには、トランシーバ(送信器および/または受信器)コンポーネント、例えば1つもしくは複数の低雑音増幅器(LNA)、1つもしくは複数の電力増幅器(PA)、1つもしくは複数のデュプレクサ、1つもしくは複数のダイプレクサ、1つもしくは複数のフィルタもしくはフィルタ回路、1つもしくは複数のコンバータ、1つもしくは複数のミキサ、相応に適合化された無線周波数部品などが含まれうる。1つもしくは複数のインタフェース22,32は1つもしくは複数のアンテナに結合され、これらのアンテナは、任意の送信アンテナおよび/または受信アンテナ、例えばホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどに対応しうる。アンテナは定められた幾何学的セッティングで配置することができ、例えば均一アレイ、直線状アレイ、円形アレイ、三角アレイ、均一フィールドアンテナ、フィールドアレイ、これらの組み合わせなどで配置することができる。幾つかの実施例では、1つもしくは複数のインタフェース22,32は、情報を送信しまたは受信しまたは送受信する目的、例えば、ケイパビリティ、制御情報、ペイロード情報、アプリケーション要件、トリガ指示、リクエスト、メッセージ、データパケット、肯定応答パケット/メッセージなどに関する情報を送信しまたは受信しまたは送受信する目的を果たすことができる。
【0039】
図2に示されているように、1つもしくは複数のインタフェース22,32は、装置20,30において制御モジュール24,34に結合されている。実施形態では、制御モジュール24,34は、相応に適合化されたソフトウェアによって動作可能な1つもしくは複数の処理ユニット、1つもしくは複数の処理デバイス、任意の処理手段、例えばプロセッサ、コンピュータ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントを使用して実装されうる。換言すれば、制御モジュール24,34の既述の機能はソフトウェアとして実装することもでき、この場合、当該ソフトウェアは1つもしくは複数のプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行される。こうしたハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含みうる。
【0040】
図2にはまた、UE200,300の実施形態を含むシステム400の実施形態も示されている。実施形態では、通信すなわち送信、受信または送受信が、UE200,300間で直接に、かつ/またはモバイルトランシーバ/車両とネットワークコンポーネント(インフラストラクチャまたはモバイルトランシーバ、例えば基地局、ネットワークサーバ、バックエンドサーバなど)との間で行われうる。こうした通信は、移動通信システム400を利用することができる。こうした通信は、例えばデバイスツーデバイス(D2D)通信によって直接に行うことができ、車両200,300のケースであればビークルツービークル(V2V)通信または車車間通信を含むこともできる。こうした通信は、移動通信システム400の規格を利用して実行することができる。
【0041】
実施形態では、1つもしくは複数のインタフェース22,32は、移動通信システム400において無線通信を行うように構成可能である。この目的で無線リソースが用いられ、例えば周波数、時間、符号および/または空間のリソースが基地局トランシーバとの無線通信のためにならびに直接通信のために用いられうる。無線リソースの割り当て、すなわちD2Dのためにどのリソースが使用されて、どのリソースが使用されないかの決定は、基地局トランシーバによって制御することができる。ここでかつ以下では、それぞれのコンポーネントの無線リソースは、無線キャリアにおいて考えられる任意の無線リソースに対応しうるものであり、これらはそれぞれ対応するキャリアにおいて同じまたは異なる粒度を使用することができる。無線リソースは、リソースブロック(LTE/LTE-A/LTE-unlicensed(LTE-U)などにおけるRB)、1つもしくは複数のキャリア、サブキャリア、1つもしくは複数の無線フレーム、無線サブフレーム、無線スロット、潜在的にそれぞれの拡散係数を有する1つもしくは複数の符号シーケンス、1つもしくは複数の空間リソース、例えば空間サブチャネル、空間プリコーディングベクトル、これらの任意の組み合わせなどに対応しうる。
【0042】
例えばダイレクトセルラビークルツーエックス(C-V2X)において、V2Xは、少なくともV2V、V2インフラストラクチャ(V2I)などを含むが、3GPPリリース14以降に準拠した送信はインフラストラクチャによって管理可能であり(いわゆるモード3)、またはUEにおいて実行可能である(いわゆるモード4)。
【0043】
図2に示されているように、移動通信システム400は、例えば、Third Generation Partnership Project(3GPP)規格による移動通信ネットワークのうちの1つに対応しうるものであり、ここで、移動通信システムなる語は、移動通信ネットワークと同義で使用されている。移動通信システムまたは無線通信システム400は、5th Generation(5GまたはNew Radio(NR))の移動通信システムに対応しうるものであり、このシステムはミリ波技術を使用することができる。当該移動通信システムは、例えば、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、高速パケットアクセス(HSPA)、Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)またはUTMS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)、evoluted-UTRAN(e-UTRAN)、Grobal System for Mobile Communication(GSM)もしくはEnhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE)ネットワーク、GSM/EDGE Radio Access Network(GERAN)、または異なる規格のモバイル通信ネットワーク、例えばWorldwide Inter-operability for Microwave Access(WIMAX)ネットワークIEEE802.16もしくはWireless Local Area Network(WLAN)ネットワークIEEE802.11、一般には直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、広帯域CDMA(WCDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、空間分割多元接続(SCMA)ネットワークなどに対応しうる、またはこれらを含みうる。
【0044】
サービスの提供は、基地局、トランシーバ、中継局またはUEなどのネットワークコンポーネントによって実行することができ、例えば複数のUEから成る1つのクラスタまたはグループにおける協調サービスの提供である。基地局トランシーバは、1つもしくは複数の能動的なモバイルトランシーバ/車両200,300と通信するように動作可能もしくは構成可能であり、基地局トランシーバは、他の基地局トランシーバ、例えばマクロセル基地局トランシーバまたはスモールセル基地局トランシーバのカバレッジエリア内もしくはこれに隣接して配置可能である。したがって、実施形態は、2つ以上のモバイルトランシーバ/車両200,300および1つもしくは複数の基地局トランシーバを含む移動通信システム400を提供することができ、ここで、基地局トランシーバは、マクロセルまたはスモールセル、例えばピコセル、メトロセルまたはフェムトセルを確立可能である。モバイルトランシーバまたはUEは、スマートフォン、セルフォン、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、汎用シリアルバス(USB)スティック、自動車、車両などに対応しうる。モバイルトランシーバは、3GPPの専門用語に従って、ユーザ機器(UE)またはモバイルと称されることもある。車両は任意の想定可能な輸送手段に対応しうるものであり、例えば自動車、自転車、オートバイ、バン、トラック、バス、船舶、ボート、航空機、列車、路面電車などに対応しうる。
【0045】
基地局トランシーバは、ネットワークまたはシステムの固定部分内または定置部分内に配置することができる。基地局トランシーバは、遠隔無線ヘッド、送信ポイント、アクセスポイント、マクロセル、スモールセル、マイクロセル、フェムトセル、メトロセルなどであってよく、またはこれらに対応しうる。基地局トランシーバは有線ネットワークの無線インタフェースとすることができ、これによりUEまたはモバイルトランシーバへの無線信号の送信が可能となる。こうした無線信号は、例えば3GPPにより標準化されたまたは一般的に上記の列挙されたシステムのうちの1つもしくは複数に従った無線信号に準拠させることができる。したがって基地局トランシーバは、NodeB、eNodeB、Base Transceiver Station(BTS)、アクセスポイント、遠隔無線ヘッド、中継局、送信ポイントなどに対応しうるものであり、これらはさらに遠隔ユニットと中央ユニットとに分割することができる。
【0046】
モバイルトランシーバ/車両200,300は、ネットワークコンポーネント、基地局トランシーバまたはセルに関連付け可能である。用語「セル」とは、基地局トランシーバ、例えばNodeB(NB)、eNodeB(eNB)、遠隔無線ヘッド、送信ポイントなどにより提供される無線サービスのカバレッジエリアをいう。基地局トランシーバは、1つもしくは複数のセルを1つもしくは複数の周波数レイヤ上で稼働させることができ、幾つかの実施形態では1つのセルを1つのセクタに対応させることができる。例えば、セクタは、遠隔ユニットまたは基地局トランシーバの周囲の所定の角度セクションをカバーする特性を提供するセクタアンテナを使用して達成可能である。幾つかの実施形態では、基地局トランシーバは、例えば、それぞれ120°(3つのセルの場合)のセクタ、60°(6つのセルの場合)のセクタをカバーする3つまたは6つのセルを稼働させることができる。基地局トランシーバは、セクタに区分された複数のアンテナを動作させることができる。以下では、1つのセルが自身を形成する相応の基地局トランシーバを表現することができ、または同様に1つの基地局トランシーバが自身の形成している1つのセルを表現することができる。
【0047】
UE/車両200,300は、相互に直接に、すなわちいかなる基地局トランシーバも関与することなく通信することができ、これはデバイスツーデバイス(D2D)通信とも称される。D2Dの一例は車両間の直接通信であり、これはそれぞれビークルツービークル通信(V2V)、車車間通信、DSRCとも称される。こうしたD2D通信を可能にする技術として、802.11p、3GPPシステム(4G、5G、NR以降)などが挙げられる。例えば、
図3の2つのUE100,200は、各自のルートの特定の区間を共有する2台の車両である。したがって、これらが例えばCooperative Awareness Messages(CAM)またはDecentralized Environment Notification Messages(DENM)などの特定のメッセージの交換を望むことがある。例えば、車両200,300が相互に認識しうるように、特定のブロードキャスト信号を検出することができる。ある時点で、この2台の車両は、例えばクラスタまたは隊列の形成または任意の他の目的のために、相互に直接に通信しようとする。
【0048】
上で概説したように、実施形態では、通信ケイパビリティに関する情報が、グループ/隊列の形成前にUE/車両間で交換されうる。例えば、こうした情報はUE200によって複数の候補UE300にブロードキャストすることができ、また逆にUE300によって複数の候補UE200にブロードキャストすることもできる。UE200のカバレッジエリア、例えばUE200が他のUE300からメッセージを受信可能であってかつ他のUE300がUE200からメッセージを受信可能である領域から、通信グループの潜在的な候補を決定することができる。より具体的には、これらのUEは、直接通信(1ホップ、1ティア)の候補(ネイバー)であってよく、この直接通信は、ネイバーのネイバー(2ホップ、2ティア)などによって拡張することができる。こうしたメカニズムは、従来のメッセージまたは新たなメッセージを用いて実装することができる。幾つかの実施形態では、隊列を形成する前、その期間中、かつ/またはその後に、こうしたブロードキャストを実行することができる。また、方法10はさらに、予め定義された役割のセットに基づいて、グループ内のUE200の役割を決定することを含みうる。グループ内の種々のUE200による種々の役割が想定可能である。例えば一部のUEはクラスタヘッドまたはグループヘッド(例えば何らかのタイプの通信マスタの役割)として定義することができ、他のUEはクラスタメンバまたはグループメンバ(例えば何らかの種類の通信スレーブの役割)として構成することができる。さらに、予め定義された役割のセットは、グループ内で通信されるメッセージを第1のRATから第2のRATへ、または逆に第2のRATから第1のRATへ、それぞれ中継することを含みうる。グループ内の一部のUEは、複数のRATを使用することができる場合がある。これらのUEのうちの1つもしくは複数は、1つのRATから別のRATへ(また逆に)信号を中継するように構成することができ、これにより単一のRATしかサポートしていないUEを同じグループに含めることが可能となる。
【0049】
通信グループの参加者を決定することは、通信グループの連結されたグラフを決定することを含むことができ、ここで、連結されたグラフのエッジは、1つもしくは複数の無線アクセス技術を使用する通信グループの参加者間の通信リンクを示す。連結されたグラフとは、UEをノードによって表現し、通信リンクをエッジによって表現するものとして理解されたい。
【0050】
図3には、一実施形態による連結されたグラフの利用が示されている。
図3には、通信グループを形成する4つのUE200A,UE200B,UE300C,およびUE300D(例えば隊列を形成する車両群)が示されている。無線リンクは、連結されたグラフのエッジとして示されている。UE200AとUE200BとはLTE-PC5リンクを介して通信し、UE200BとUE300Cとは802.11pリンクを介して通信し、UE300CとUE300Dとは5G-PC5リンクを介して通信する。点線の802.11pリンクによって示されているように、破線のエッジが除去されると(802.11p上の無線リンクの障害)、グラフが切り離される。グループが形成される前に、隊列のための車両の候補セットが(
図3に示されているように)連結されたグラフを形成できることを検証することができる。
【0051】
図3では、グラフが連結されている。車両200Aおよび車両200BにはLTE-PC5が装備されており、車両200Bおよび車両300Cには802.11pが装備されており、車両300Cおよび車両300Dには5G-PC5が装備されている。UE200BがPC5および802.11pの両方を有しており、かつUE300Cに802.11pおよび5G-PC5が装備されているので、車両200AはUE300Dに接続されている。連結されていないグラフの一例では、車両200Aおよび車両200BにLTE-PC5が装備されており、車両200Bおよび車両300Cに802.11pが装備されており、車両300Dに5G-PC5が装備されている。車両200Aは、300Dへのパスが存在しないため、この300Dと通信できない。
【0052】
実施形態では、連結されたグラフは視覚的には判別されないが、全てのグループメンバにメッセージを伝搬/中継できるよう、利用可能なRATを使用して、どのUEがグループに含まれうるかを評価することができる。
図3に示されているように、破線で示されている無線リンクは、グループの全てのメンバをイネーブル/リンクすることにとって重要である。
【0053】
実施形態では、マルチRAT通信グループまたは隊列を形成するために、中央型および分散型のメカニズムが考えられる。中央型メカニズムでは、グループの1つのUE200およびUE300が、隊列リーダーの役割を担当し、候補UEおよび隊列メンバから情報を収集してグラフを評価し、役割(リレーノード)を割り当て、隊列を編成することができる。分散的なアプローチでは、隊列およびグラフを経時的に形成することができる。例えば、方法10はさらに、グループの通信中、連結されたグラフにおけるダブルエッジを判別し、グラフにおけるダブルエッジの数を低減させることによって、連結されたグラフを修正することを含むことができる。ダブルエッジは、UE200,UE300自体により、例えばこれらが複数のRATを使用している通信パートナーと通信するかどうかを判定することによって決定されうる。例えば、方法10は、異なる無線アクセス技術を有する複数の通信リンクを使用してグループ内で最初に通信すること、冗長通信リンクを決定すること、および冗長通信リンク上での通信を控えることを含みうる。さらに、UEは、通信グループの参加者への冗長通信リンクまたは通信グループの参加者からの冗長通信リンクに関する情報をブロードキャストするもしくは受信することができる。このような情報により、冗長通信リンクのさらなる低減およびグループ通信の効率向上が可能となりうる。例えば、グループ内で必要とされる中継UEの数によって効率を決定することができる。中央型および分散型の両方の変形形態において、通信グラフの連結された通信グラフは、冗長リンクの数を低減することによって、例えばグラフ内の中継UEの位置を改善することによって、さらに改善することができる。
【0054】
例えばUEは車両であり、通信グループは車両の隊列である。方法10はさらに、無線アクセス技術のための予測されたサービス品質pQoSに基づいて、通信グループの車両間で使用するための無線アクセス技術を決定することを含みうる。隊列メンバ間の通信リンクの無線品質は、最小車間距離の決定要因であり、また全体的な燃料消費量の決定要因でありうる。例えば、通信リンクのレイテンシから、安全な緊急ブレーキ操作を可能にするための最小車間距離を決定することができる。
【0055】
実施形態では、方法10は、車両間の距離に基づいて、通信グループの車両間で使用するための無線アクセス技術を決定することを含みうる。このような距離は、それぞれのリンクのためのpQoSに関係しうる。実施形態では、pQoSは、グループ内のグラフまたは通信の改善のための基準とすることができる。無線リンク品質がよりロバストとなりまたはより拡張された場合に、隊列内に付加的な無線リンクを設けることがより許容されるようにすることができる。こうしたシナリオでは、グループ内の通信のレイテンシがより小さいため、より短い車両間距離を許容することができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、方法10は、隊列の全体的な燃料消費量に基づいて、通信グループの車両間で使用するための無線アクセス技術を決定することができる。全体的な燃料消費量は、最小車間距離と、通信リンクの品質/レイテンシ変動による最小車間距離の変動とを基礎とすることができる(変動がより頻繁となるほど、車間距離の適応化のためにより多くの燃料消費を伴う運転操作が必要となる)。実施形態は、車両の将来の経路に対してマルチRATのサービス品質予測を適用することができる。この場合、使用される通信技術(RAT)の通信範囲を考慮して距離条件を適応化することができる。燃料消費量の計算は、通信リンクの破損(チャネルの過負荷またはカバレッジエリア外れ)に起因して起こりうる付加的な燃料消費量を考慮して適応化可能である。
【0057】
既に言及したように、実施形態では、それぞれの方法から、それぞれのハードウェアにおいて実行可能なコンピュータプログラムまたはコードとして実装されうる。したがって、別の実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行される際に上記の方法のうちの少なくとも1つを実行させるためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。さらなる実施形態は、命令を記憶した(非一時的な)コンピュータ可読記憶媒体であって、この命令は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行される際に、本明細書で説明している方法のうちの1つをコンピュータに実施させるためのものである。
【0058】
当業者であればすぐにわかるように、上述した様々な方法の各ステップは、プログラミングされたコンピュータによって実行することができ、例えばスロットの位置を決定または計算することができる。ここで、幾つかの実施形態はプログラムストレージ装置、例えばデジタルデータ記憶媒体をカバーすることも意図しており、これらは機械可読またはコンピュータ可読であって、機械実行可能またはコンピュータ実行可能なプログラムの命令を符号化しており、前記命令は、本明細書に記載している方法の各ステップの一部または全部を実行する。プログラムストレージデバイスは、例えばデジタルメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードディスクドライブ、または光学的に読み出し可能なデジタルデータ記憶媒体とすることができる。実施形態はまた、本明細書に記載している方法の各前記ステップを実行するようにプログラミングされたコンピュータ、または上述した方法の各前記ステップを実行するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブルロジックアレイ((F)PLA)または(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA)をカバーすることも意図している。
【0059】
明細書および図面は、本発明の基本方式を例示しているにすぎない。したがって、当業者であれば、本明細書に明示的に記載または図示されていなくても、発明の基本方式を実現しかつその範囲内に含まれる様々な装置を考察できることが理解されるであろう。さらに、本明細書で列挙した全ての実施例は、主として、本発明の基本方式および発明者らが技術促進に寄与するコンセプトを読者が理解しやすくするための教示の目的のためにすぎないことが明確に意図されており、具体的に列挙したこれらの実施例および条件に限定されるものではないと解されたい。さらに、本発明の基本方式、態様および実施形態ならびにその特定の例を列挙している本明細書の全ての言明は、その等価物を包含することも意図している。プロセッサによって機能が提供される場合、当該機能は、単一の専用のプロセッサによって、または単一の共有プロセッサによって、または一部を共有できる複数の個別のプロセッサによって、提供されうる。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」なる用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、以下に限定されるものではないが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を暗示的に含みうる。従来のものであれカスタムのものであれ、その他のハードウェアも含まれうる。その機能は、プログラムロジックの動作によって、専用ロジックによって、プログラム制御部と専用ロジックとの相互作用によって、または手動でも実行可能であり、実装者が文脈から具体的に理解する通りに特定の技術を選択することができる。
【0060】
当業者に自明の通り、本明細書のいずれのブロック図も、本発明の基本方式を具現化する例示的な回路のコンセプトのビューを表現している。同様に、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ可読媒体において実質的に表現されて当該コンピュータまたはプロセッサによって実行されうる様々なプロセスを表現していることが理解されるであろう。
【0061】
ここでさらに、以下の特許請求の範囲が詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別々の実施形態として独立しうる。各請求項が個別の実施形態として独立しうる一方、ある従属請求項が当該請求項中で1つもしくは複数の他の請求項との特定の組み合わせに言及する場合があることを踏まえ、他の実施形態がある従属請求項と他の各従属請求項の主題との組み合わせも含みうることに留意すべきである。特定の組み合わせを意図しないことが言明されていない限り、このような組み合わせは本明細書で提案されているものとする。さらに、1つの請求項が他のいずれかの独立請求項に直接に従属していない場合であっても、その請求項の特徴が他の独立請求項に含まれることも意図されている。
【0062】
さらに、本明細書または特許請求の範囲において開示している方法は当該方法の個々のステップのそれぞれを実行する手段を有するデバイスによって実装可能であることを指摘しておく。
【符号の説明】
【0063】
10 第1のユーザ機器のための方法
12 通信グループの候補UEから無線アクセスケイパビリティに関する情報を受信する
14 候補UEからの無線アクセスケイパビリティに関する情報に基づいて、通信グループ内で使用するための1つもしくは複数の無線アクセス技術を決定する
16 各自の無線アクセス技術に基づいて通信グループの参加者を決定する
18 1つもしくは複数の無線技術を使用した通信に基づいてグループを形成する
20,30 ユーザ機器のための装置
22,32 1つもしくは複数のインタフェース
24,34 制御モジュール
200,200A,200B,300,300C,300D ユーザ機器
400 移動通信システム