(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】光学測定機器及びそのデータ生成方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G01B11/00 G
(21)【出願番号】P 2018241236
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】503249810
【氏名又は名称】株式会社XTIA
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【氏名又は名称】村上 浩之
(72)【発明者】
【氏名】八木 貴郎
(72)【発明者】
【氏名】木島 公一朗
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531237(JP,A)
【文献】特開2003-344045(JP,A)
【文献】特表2016-541011(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103624633(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定する光学測定機器において、
前記観察対象物に光コム波形を有する光を照射し前記観察対象物からの反射光を受光する光学ヘッドと、
前記光学ヘッドにおいて前記観察対象物に照射する光および前記観察対象物からの反射光から得られる情報から前記観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報を演算する第1の信号処理回路と、
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方に設けられ、前記観察対象物と前記光学ヘッドとの3次元空間における直交する3成分の方向のうちの前記光学ヘッドの光軸方向を含む少なくとも1方向の相対変位量に応じた検出信号を出力する少なくとも1つのセンサーと、
前記センサーにより得られる検出信号に基づいて前記照射する光の出射位置情報あるいは出射角度情報の少なくとも1つの情報を演算する第2の信号処理回路と、
前記第1の信号処理回路の演算結果と、前記第2の信号処理回路の演算結果とを結合させることにより、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れの影響を補正した前記観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報を出力する第3の信号処理回路と、
前記光学ヘッド内に設けられた前記観察対象物に照射する光の方向を変化させるスキャニング機構と
を有し、
前記第1の信号処理回路は、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から、前記スキャニング機構によりスキャニングされる前記光コム波形を有する光による観察領域における前記観察対象物との2次元の距離情報を生成し、
前記第3の信号処理回路における前記第1の信号処理回路の演算結果と前記第2の信号処理回路の演算結果との結合は、前記光学ヘッド内のスキャニング機構の制御と連携したトリガー信号により整合された結合であることを特徴とする光学測定機器。
【請求項2】
前記観察対象物に照射する光は、短時間に波長がシフトするレーザ光あるいは広い波長成分を有する光であり、
前記第1の信号処理回路は、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から、前記観察対象物の構造情報として、光干渉断面観察画像情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の光学測定機器。
【請求項3】
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方は、2つ以上の自由度を有するアームに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学測定機器。
【請求項4】
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドと、前記2つ以上の自由度を有するアームの間には、回転方向の振動を補正する取り付け台が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の光学測定機器。
【請求項5】
前記アームは、ロボットアームであることを特徴とする請求項3に記載の光学測定機器。
【請求項6】
前記センサーは、前記光学ヘッドから出射される光とほぼ平行な方向の加速度を検知する加速度センサーを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光学測定機器。
【請求項7】
前記センサーは、直交する3成分の方向の加速度を検知する1つの3軸加速度センサーであることを特徴とする請求項6に記載の光学測定機器。
【請求項8】
前記センサーは、直交する3成分の方向の加速度を検知する3つの加速度センサーであることを特徴とする請求項6に記載の光学測定機器。
【請求項9】
前記センサーは、直交する3成分の方向の加速度を検知する加速度センサーとジャイロセンサーであることを特徴とする請求項6に記載の光学測定機器。
【請求項10】
前記第2の信号処理回路は、前記センサーにより得られる検出信号
がローパスフィルタを介して供給される積分器を備え、前記積分器により前記検出信号を2回積分することを特徴とする請求項6乃至求項9の何れか1項に記載の光学測定機器。
【請求項11】
観察対象物に光コム波形を有する光を照射し前記観察対象物からの反射光を受光する光学ヘッドを有し、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定する光学測定機器のデータ生成方法において、
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れを考慮しない観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報を記録媒体に記録する第1の記録工程と、
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方に設けられた少なくとも1つのセンサーにより得られる前記観察対象物と前記光学ヘッドとの3次元空間における直交する3成分の方向のうちの前記光学ヘッドの光軸方向を含む少なくとも1方向の相対変位量に応じた検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算する演算工程と、
前記第1の記録工程において前記記録媒体に記録した観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報と、前記演算工程において得られた前記振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報とにより、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れの影響を補正した前記観察対象物の構造情報あるいは前記観察対象物との距離情報を記録媒体に記録する第2の記録工程と
を有し、
前記第1の記録工程において、前記光学ヘッド内に設けられたスキャニング機構により前記観察対象物に照射する光を2次元方向にスキャニングして、前記観察対象物の構造あるいは前記観察対象物との距離を光学的に測定し、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から生成される前記スキャニング機構によりスキャニングされる前記光コム波形を有する光による観察領域における前記観察対象物との2次元の距離情報を記録し、
前記第1の記録工程において記録媒体に記録する前記振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報は、前記光学ヘッド内のスキャニング機構の制御と連携したトリガー信号により区切られた2次元構造を有することを特徴とする光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項12】
前記観察対象物に照射する光は、短時間に波長がシフトするレーザ光あるいは広い波長成分を有する光であり、
前記第1の記録工程において、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から生成される前記観察対象物の光干渉断面観察画像情報を前記観察対象物の構造情報として記録することを特徴とする請求項11に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項13】
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方を2つ以上の自由度を有するアームに取り付けて、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項14】
前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドと前記2つ以上の自由度を有するアームの間に取り付け台を配置して回転方向の振動を補正することを特徴とする請求項13に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項15】
前記アームは、ロボットアームであることを特徴とする請求項14に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項16】
前記演算工程では、前記観察対象物と前記光学ヘッドとの3次元空間における相対変位量として、前記光学ヘッドから出射される光とほぼ平行な方向を含む直交する3成分の方向の加速度に応じた検出信号を前記センサーにより得て、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算することを特徴とする請求項11乃至請求項15の何れか1項に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項17】
前記センサーは、直交する3成分の方向の加速度を検知する3軸加速度センサーであり、
前記演算工程では、前記3軸加速度センサーにより得られる検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算することを特徴とする請求項16に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項18】
前記センサーは、直交する3成分の方向の加速度を検知する3つの加速度センサーであり、
前記演算工程では、前記3つの加速度センサーにより得られる検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算することを特徴とする請求項16に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項19】
前記センサーは、直交する3成分の方向の加速度を検知する加速度センサーとジャイロセンサーであり、
前記演算工程では、前記加速度センサーとジャイロセンサーにより得られる検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算することを特徴とする請求項16に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【請求項20】
前記演算工程では、前記センサーにより得られる検出信号に対してローパスフィルタ処理と2回積分処理を行うことを特徴とする請求項16乃至請求項19の何れか1項に記載の光学測定機器のデータ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定する光学測定機器及びそのデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品における品質問題の重要性は増す方向にある。
【0003】
製品の品質を上昇させるためには、製品を構成する部品の品質を高めることが必要である。部品の品質を高めるためには、部品の全品検査が望まれ、3次元形状測定機の測定機会が高まっている。
【0004】
3次元形状測定機における部品の形状測定では、測定時間内において、3次元形状測定機の測定ヘッドおよび被検査部品(測定対象)に振動が生じると、測定結果に誤差が生じる。例えば振動が生じる状況としては、工場内において、検査工程が、振動を生じる機械(プレス機など)に隣接して設置される場合や被検査部品の搬送装置に振動が生じている場合、測定ヘッドおよび被検査部品に振動が生じる。
【0005】
また、測定ヘッドをロボットアームに取り付けて測定する場合には、測定ヘッドにロボット由来の振動が生じる。測定ヘッドをロボットアームに取り付けて測定する方法としては、測定時間内にロボット静止する場合とロボットが動く場合があり、ロボットが動く場合の方がより大きな振動が生じる。
【0006】
門型の骨格を有するシャーシに3次元形状測定機の測定ヘッドを搭載する方法があるが、門型のシャーシに3次元形状測定機を取り付けてしまうと、被測定物の形状、大きさを限定してしまうこととなるので、3次元形状測定機の測定ヘッドをロボットに取り付けて部品の3次元形状の測定を行いたいというニーズがある。
【0007】
図13に複数の関節を有し、複数の移動自由度を有する多関節ロボット330のアーム331に光学3次元形状測定機300の光学ヘッド301を搭載した例を示す。この多関節ロボット330はアーム331への搭載荷重が定まっており、重い荷重を搭載できる多関節ロボット330ほど剛性が高いが、剛性を高めることにより多関節ロボット330の金額は高騰するので、多関節ロボット330を用いる際には掲載重量の軽量化を行い、ロボット価格を安価に抑える努力が一般的に行われている。しかしながら、光学3次元測定用の光学ヘッド301の場合には、光学ヘッド301の重量が軽量であっても、光学ヘッド301の重量をわずかに上回る搭載可能荷重の多関節ロボット330を用いると、その多関節ロボット330は、アーム331の剛性が低いので、光学3次元形状測定機300の測定分解能を上回る量の振動を検出してしまうという問題がある。そこで、例えば10ミクロンメートル程度の高分解能の検出性能を有する光学3次元形状測定機300の場合には、光学ヘッド301が軽量であっても、搭載可能重量が大きく剛性の高いアーム331を用いる必要があり、システム価格の高騰をもたらしていた。また、観察対象物360を多関節ロボット330に搭載する場合においても、光学ヘッド301を多関節ロボット330に搭載する場合と同様に、剛性の低い多関節ロボット330に搭載してしまうと、振動が問題となり、観察対象物360の正しい形状測定を行うことができないという問題がある。
【0008】
従来より、光学機器に加わる振動を補正する技術として、一眼レフカメラなどにおいて手振れ補正技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。カメラにおける手振れ補正技術は、光軸方向であるZ方向を除く5軸の制御が行われている。カメラのように画像の撮影を目的とした場合には、被写体あるいはカメラのZ軸方向の動きにより被写体とカメラとの間の距離が変化しても、焦点深度内に被写体があれば画像にぼけは生じない。したがって、カメラにおいてZ軸方向の振動においては焦点深度内に収まっていれば問題はなく、焦点深度内に被写体を配置するための技術としてレンズのオートフォーカス技術があるので、Z軸方向には振動補正の必要はない。しかしながら、観察対象物360の形状を光学的に3次元で測定を行う光学3次元形状測定機300の場合には、10ミクロンあるいは1ミクロンといった分解能で距離を測定する必要があるので、光軸方向に分解能を超える大きさの振動が光学ヘッド301あるいは観察対象物360に外乱として加わる環境においては、Z軸方向の振動補正が必要となるので、特許文献1に示すカメラの手振れ補正技術は、光学3次元形状測定機300には適用することができない。
【0009】
また、従来より、カメラを搭載する雲台の角度を振動に応じて補正する技術がある。(例えば、特許文献2参照)この技術は、雲台の土台の角度が変化してもセンサーにより雲台に搭載しているカメラの角度が変化しないように姿勢を保つ技術である。しかしながらこの雲台により補正することができる振動は、回転のみであるので、上述したように、光軸方向の直線的な振動についての補正を行うことはできない。
【0010】
また、本件発明者等は、基準面に照射される基準光と測定面に照射される測定光との干渉光を基準光検出器により検出するとともに、上記基準面により反射された基準光と上記測定面により反射された測定光との干渉光を測定光検出器により検出して、上記基準光検出器と測定光検出器により得られる2つ干渉信号の時間差から、上記基準面までの距離と上記測定面までの距離の差を求めることにより、高精度で、しかも短時間に行うことの可能な距離計及び距離測定方法並びに光学的三次元形状測定機を先に提案している(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
また、観察対象物に光を照射しその光の反射光の波長情報を解析することにより光を照射した位置の表面直下の屈折率構造を得ることができる装置として、エリック スワンソンらが発明した光干渉断層撮影装置(例えば、特許文献4参照)が知られており、照射する光のスポットの位置をスキャンすることにより観察対象物の断面の画像が得られることから、眼科における網膜の診断などに現在用いられている。光干渉断層撮影装置により観察することができる深さは光が深達できる範囲に限られてしまうが、超音波診断機器に比較して高い分解能で、かつ、X線を使用する機器に比較して被ばくもなく極めて非侵襲に内部の情報を得ることができるので、その用途拡大が期待されている。
【0012】
また、島田康史らは、歯科の分野において虫歯の深さ、き裂の有無などの観察に光干渉断層撮影装置を用いる検討(非特許文献1)を行っている。光干渉断層撮影装置の分解能はき裂の発見において十分な約5ミクロンメートルから10ミクロンメートル程度を有しているので、実用化に期待されている。
【0013】
眼科における光干渉断層撮影装置を用いた網膜観察の方法は、医師が注目している領域の断面構造を得るという方法であるので、医師が注目している領域を含む1断面あるいは直交する2方向の断面画像を得る方法である。1つあるいは2つの断面画像を取得するのに必要な時間が、1秒間に50000か所のデータ取得が可能な装置(50kHzのAスキャンレートの装置)であれば、256か所のデータ取得に必要な時間は、約5.12ミリ秒であるので、外部の振動は大きな問題にはならない。しかし、歯科におけるき裂の有無の診断に光干渉断層観察装置を用いようとする場合には、医師が注目している領域の1断面あるいは直交する2方向の断面画像を得る方法ではなく、ある程度の大きさの領域内をもれなくスキャンする必要があるので、外部の振動への対応が必要である。
【0014】
ここで、
図14のブロック図は、光干渉断層撮影装置の構成例を示している。
【0015】
この光干渉断層撮影装置1110は、光源・検出装置部1100とスキャンヘッド部1036の2つに分離された構成であり、稼働アーム1151およびアームアダプタ1152、1153を介して天井面1150にスキャンヘッド部1036が取り付けられている。光源1101から出射した光はファイバー1102を導波した後カプラー1103により、光ファイバー1105および反射ミラー1106よりなる参照光学系と、結像レンズ1024を介して観察対象物1029に照射され観察対象物1029の情報を取得する測定光学系とに分離される。測定光学系においては、光ファイバーコネクタベース1037に取り付けられる光ファイバーコネクタ1011の端面1013を出射点とする光をコリメートレンズ1030により平行光とし、X軸方向移動モーター1033、Y軸方向移動モーター1034により搭載されたX軸ガルバノミラー1031、Y軸ガルバノミラー1032によりスキャンレンズ1035に入射する光束の角度を照射する位置に応じて調整される。スキャンレンズ1035に入射した光はその入射角度に応じて、観察対象物1029の観察面の結像面1026におけるスキャンレンズ1035の集光スポットの位置がスキャンされることとなり、観察対象物1029の観察面における集光スポットをスキャンする構成となっている。観察対象物1029からの反射光は、対物レンズ1024、スキャンレンズ1035、X軸ガルバノミラー1031、Y軸ガルバノミラー1032、コリメートレンズ1030、光ファイバー1104を介してカプラー1103に至ったのち、反射ミラー1106により反射された光と合波された干渉光として光ファイバー1109を介してディテクター1018により検出される。また分光ミラー1021により構成される対物レンズ1024の他の結像面1025には画像撮影が可能な撮像素子1022が配置され、光干渉断層撮影装置により観察される観察対象物1029の表面のどの位置を光干渉断層撮影装置により観察しているかの情報を得ることができるようにされている。
【0016】
図15は、スキャンレンズ1035に入射する光の角度をX軸ガルバノミラー1031、Y軸ガルバノミラー1032により順次変えることにより、結像面1026に集光される光スポットの位置を説明した図である。X軸ガルバノミラー1031を移動させることにより、結像面1026における集光スポットの位置が、1071a、1071b、1071c、1071d、1071eのようにライン1070a上を移動した後、Y軸ガルバノミラー1032がライン1070bに対応する位置に移動した後、再びX軸ガルバノミラー1031を移動させることにより、結像面1026における集光スポットの位置が、1072a、1072b、1072c、1072d、1072eのようにライン1070b上を移動することとなる。スキャンヘッド1036に振動などが加わっていな環境であれば、スキャンヘッド内結像面上における集光スポット1071a、1071b、1071c、1071d、1071e、1072a、1072b、1072c、1072d、1072eは、観察対象物1029上において、ゆがみなく投影されることとなる。
【0017】
しかしながら、実際の環境は、天井面1150にはエアーコンディショナー装置などの振動源1149などが配置されていることが一般的であるので、スキャンヘッド内結像面上における集光スポット1071a、1071b、1071c、1071d、1071e、1072a、1072b、1072c、1072d、1072eの観察対象物1029上の投影スポットは、
図16に示す集光スポット1081a、1081b、1081c、1081d、1081e、1082a、1082b、1082c、1082d、1082eのようになり直線状で一定間隔の列ではなくなってしまう。
【0018】
光干渉断層撮影装置などの光学測定装置において、振動の影響を
図17から
図19を用いて説明する。観察対象物の例として表面層1091と内部層1092の2層構造からなり、表面層1091の表面1093、表面層1091と内部層1092の界面1094ともになめらかな構造の観察対象物とし、振動がない状態で観察された観察対象物の構造を
図17に示すものとする。観察対象物の情報取得方法は、
図15に示したごとく、Y軸ガルバノミラー1032を停止させた状態で、X軸ガルバノミラー1031を移動させることによりデータ列を取得した後、Y軸ガルバノミラー1032を次のデータ列を取得する位置に対応する位置に移動し停止させた状態で、X軸ガルバノミラー1031を移動させることによりデータ列を取得する方法とする。ここで、X軸ガルバノミラー1031、Y軸ガルバノミラー32を順次移動させることにより、X軸方向、Y軸方向にそれぞれ256点の位置のデータを取得することとし、光干渉断層撮影装置は1秒間に50000か所のデータ取得が可能な装置(50kHzのAスキャンレートの装置)とする。また振動源の主たる振動の要素はACモーターであることを想定し、振動源の主たる周波数は60Hzとする。
【0019】
X軸ガルバノミラー31を順次256点移動させる時間は約5.12ミリ秒であるので、この画像取得に要した時間は約5.12ミリ秒となる。60Hzの振動源は約16.7ミリ秒ごとの振動であるので、
図18に例としてX軸ガルバノミラー1031を順次移動させながらデータ取得を行った断面の画像(XZ断面画像)を示すが、表面層1091の表面位置1095、表面層1091と内部層92との界面1096の形状に影響はでるが、画像の劣化は大きくない。
図19にデータ取得を行った後に構成したXYZの3次元データから抽出したY軸方向の断面の画像(YZ断面画像)を示すが、この断面の画像はXZ断面の画像とは異なり短時間に撮影された画像ではなく、256×256のデータ取得時間である1秒以上の時間をかけて撮影された画像であるので、振動の影響が顕著に現れた画像となり、表面層1091の表面位置1097、表面層1091と内部層1092との界面1098は不連続となってしまうほどの影響がある。したがって、光干渉断層撮影装置などの光学測定装置においては、ある程度の大きさの領域内をもれなくスキャンする撮影方法の場合に振動の影響が大きいことがわかる。
【0020】
スキャンヘッドからレーザを観察対象物に照射する場合において照射する位置に影響を与える振動成分は、ヨーイング(上下方向を軸として回転する方向)、ピッチング(左右方向を軸として回転する方向)、ローリング(光の進行方向:Z方向を軸として回転する方向)、上下方向のシフト、左右方向のシフト、光の進行方向のシフトの6成分が存在する。
図14に示した光干渉断層撮影装置の構成に特許文献2に示されるヨーイング、ピッチング、ローリングの3方向の振動を補正する雲台1154を採用した構成例を
図20に示す。この技術は、ヨーイング、ピッチング、ローリングの3方向に移動する雲台の回転中心に搭載物の重心を一致させて搭載することにより、3方向の振動を補正する技術であり、この技術により遠景の風景を撮影する場合などにおける振動によるブレは回避が可能である。しかし、一般の画像撮影においては、光の進行方向の振動は焦点深度内の範囲であれば画像に影響を与えることがないが、光干渉断層撮影装置あるいは特許文献3に示す距離測定装置など、レーザ光を照射した点の距離情報を取得する方法においては、光の進行方向の振動対策は必要である。また、上下方向のシフト、左右方向のシフトについては、観察対象物を拡大して内部監察あるいは形状測定する場合においては、振動対策が必要である。
【0021】
具体的には、1メートル×1メートルの領域を500×500の画素数で撮影する遠景撮影カメラの場合には、1画素あたり2ミリメートルとなるので100ミクロンメートルの振幅の振動は影響しないが、5ミリメートル×5ミリメートルの領域を500×500の画素数でデータを取得する歯科用光干渉断層撮影装置においては、1画素あたり10ミクロンメートルとなるので100ミクロンメートルの振幅の振動は大きく影響するので対策が必要となる。また、スキャンヘッド36内にはレンズ、ミラーなど多くの部材があり重いので、振動を補正するようにスキャンヘッド36を動かすことは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特許第4717651号公報
【文献】特許第6090818号公報
【文献】特許第5231883号公報
【文献】米国特許第5321501号明細書
【非特許文献】
【0023】
【文献】島田康史ら、「Application of Optical Coherence Tomography (OCT) for Diagnosis of Caried, Cracks, and Defects of Restorations」,Current Oral Health Reports,Vol.2,pp.73-80(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定する場合に、光学ヘッドや観察対象物が配置される環境に存在する環境振動の影響による測定誤差の発生を防止できるようにした光学測定機器及びそのデータ生成方法を提供することにある。特に、剛性の低いアームおよび稼働するアームに光学ヘッドあるいは観察対象物を搭載する場合における振動の問題を光学測定器側で解決することにある。
【0025】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定する光学測定機器において、前記観察対象物に光コム波形を有する光を照射し前記観察対象物からの反射光を受光する光学ヘッドと、前記光学ヘッドにおいて前記観察対象物に照射する光および前記観察対象物からの反射光から得られる情報から前記観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報を演算する第1の信号処理回路と、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方に設けられ、前記観察対象物と前記光学ヘッドとの3次元空間における直交する3成分の方向のうちの前記光学ヘッドの光軸方向を含む少なくとも1方向の相対変位量に応じた検出信号を出力する少なくとも1つのセンサーと、前記センサーにより得られる検出信号に基づいて前記照射する光の出射位置情報あるいは出射角度情報の少なくとも1つの情報を演算する第2の信号処理回路と、前記第1の信号処理回路の演算結果と、前記第2の信号処理回路の演算結果とを結合させることにより、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れの影響を補正した前記観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報を出力する第3の信号処理回路と、前記光学ヘッド内に設けられた前記観察対象物に照射する光の方向を変化させるスキャニング機構とを有し、前記第1の信号処理回路は、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から、前記スキャニング機構によりスキャニングされる前記光コム波形を有する光による観察領域における前記観察対象物との2次元の距離情報を生成し、前記第3の信号処理回路における前記第1の信号処理回路の演算結果と前記第2の信号処理回路の演算結果との結合は、前記光学ヘッド内のスキャニング機構の制御と連携したトリガー信号により整合された結合であることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る光学測定機器において、前記観察対象物に照射する光は、例えば、短時間に波長がシフトするレーザ光あるいは広い波長成分を有する光であり、前記第1の信号処理回路は、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から、前記観察対象物の構造情報として、光干渉断面観察画像情報を生成するものとすることができる。
【0030】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方は、例えば、2つ以上の自由度を有するアームに取り付けられているものとすることができる。
【0031】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドと、前記2つ以上の自由度を有するアームの間には、例えば、回転方向の振動を補正する取り付け台が配置されているものとすることができる。
【0032】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記アームは、例えば、ロボットアームであるものとすることができる。
【0034】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記センサーは、例えば、前記光学ヘッドから出射される光とほぼ平行な方向の加速度を検知する加速度センサーを含むものとすることができる。
【0035】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記センサーは、例えば、直交する3成分の方向の加速度を検知する1つの3軸加速度センサーであるものとすることができる。
【0036】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記センサーは、例えば、直交する3成分の方向の加速度を検知する3つの加速度センサーであるものとすることができる。
【0037】
また、本発明に係る光学測定機器において、前記センサーは、例えば、直交する3成分の方向の加速度を検知する加速度センサーとジャイロセンサーであるものとすることができる。
【0038】
さらに、本発明に係る光学測定機器において、前記第2の信号処理回路は、例えば、前記センサーにより得られる検出信号がローパスフィルタを介して供給される積分器を備え、前記積分器により前記検出信号を2回積分するものとすることができる。
【0039】
本発明は、観察対象物に光コム波形を有する光を照射し前記観察対象物からの反射光を受光する光学ヘッドを有し、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定する光学測定機器のデータ生成方法において、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れを考慮しない観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報を記録媒体に記録する第1の記録工程と、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方に設けられた少なくとも1つのセンサーにより得られる前記観察対象物と前記光学ヘッドとの3次元空間における直交する3成分の方向のうちの前記光学ヘッドの光軸方向を含む少なくとも1方向の相対変位量に応じた検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算する演算工程と、前記第1の記録工程において前記記録媒体に記録した観察対象物の構造情報あるいは観察対象物との距離情報と、前記演算工程において得られた前記振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報とにより、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れの影響を補正した前記観察対象物の構造情報あるいは前記観察対象物との距離情報を記録媒体に記録する第2の記録工程とを有し、前記第1の記録工程において、前記光学ヘッド内に設けられたスキャニング機構により前記観察対象物に照射する光を2次元方向にスキャニングして、前記観察対象物の構造あるいは前記観察対象物との距離を光学的に測定し、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から生成される前記スキャニング機構によりスキャニングされる前記光コム波形を有する光による観察領域における前記観察対象物との2次元の距離情報を記録し、前記第1の記録工程において記録媒体に記録する前記振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報は、前記光学ヘッド内のスキャニング機構の制御と連携したトリガー信号により区切られた2次元構造を有することを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法において、前記観察対象物に照射する光は、例えば、短時間に波長がシフトするレーザ光あるいは広い波長成分を有する光であり、前記第1の記録工程において、前記観察対象物に照射する光と前記観察対象物からの反射光との干渉光を検出して得られる干渉信号から生成される前記観察対象物の光干渉断面観察画像情報を前記観察対象物の構造情報として記録するものとすることができる。
【0043】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法は、例えば、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドの少なくとも片方を2つ以上の自由度を有するアームに取り付けて、観察対象物の構造あるいは観察対象物との距離を光学的に測定するものとすることができる。
【0044】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法は、例えば、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドと前記2つ以上の自由度を有するアームの間に取り付け台配置して回転方向の振動を補正するものとすることができる。
【0045】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法において、前記アームは、例えば、ロボットアームであるものとすることができる。
【0046】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法は、例えば、前記第1の記録工程において記録媒体に記録する前記振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報は、前記光学ヘッド内のスキャニング機構の制御と連携したトリガー信号により区切られた2次元構造を有するものとすることができる。
【0047】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法において、前記演算工程では、例えば、前記観察対象物と前記光学ヘッドとの3次元空間における相対変位量として、前記光学ヘッドから出射される光とほぼ平行な方向を含む直交する3成分の方向の加速度に応じた検出信号を前記センサーにより得て、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算するものとすることができる。
【0048】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法において、前記センサーは、例えば、直交する3成分の方向の加速度を検知する3軸加速度センサーであり、 前記演算工程では、前記3軸加速度センサーにより得られる検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算するものとすることができる。
【0049】
さらに、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法において、前記センサーは、例えば、直交する3成分の方向の加速度を検知する加速度センサーとジャイロセンサーであり、前記演算工程では、前記加速度センサーとジャイロセンサーにより得られる検出信号に基づいて、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドに加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、前記観察対象物あるいは前記光学ヘッドとの間の距離情報を演算するものとすることができる。
【0050】
また、本発明に係る光学測定機器のデータ生成方法において、前記演算工程では、前記センサーにより得られる検出信号に対してローパスフィルタ処理と2回積分処理を行うものとすることができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明では、剛性の低いアームおよび稼働するアームに光学ヘッドあるいは観察対象物を搭載する場合における振動の問題を解決した光学測定機器及びそのデータ生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明を適用した光学測定器の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明を適用した光学測定器の他の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明を適用した光学測定器により実行されるデータ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施例としての光学測定器の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施例の光学測定器としてOCT(光干渉断面観察装置)を用いた場合の光学ヘッドの構成を示す模式図である。
【
図6】第1の実施例の光学測定器におけるセンサーの構成例を示す模式図であり、(A)は3つの加速度センサーを備える場合を示し、(B)は1つの加速度センサーと3つのジャイロセンサーを備える場合を示している。
【
図7】第1の実施例の光学測定器における振れ演算器の備えられる演算回路の構成例を示すブロック図であり、(A)は加速度センサーによる検出信号として得られる加速度信号から変位量を演算するための第1の演算回路を示し、(B)は2つの加速度センサーによる検出信号として得られる加速度信号から角度変化量を演算するための第2の演算回路を示し、(C)はジャイロセンサーによる検出信号として得られる角加速度信号から角度変化量を演算するための第3の演算回路を示している。
【
図8】第1の実施例の光学測定器において、測定した観察対象物0の高さ情報を補正する信号処理の説明に供する模式図であり、(A)は説明のために準備した観察対象物の形状を示し、(B)は光学ヘッドに振動が加わった状態で測定した観察対象物の高さデータを示し、(C)は光学測定機器のクロック周波数により離散化されてディスクリートのデータを示し、(D)は光学ヘッドに取り付けた加速度センサーの検出信号から振れ演算器の演算回路により算出される測定時に光学ヘッドに加わった振動による変位情報を示し、(E)は制御・演算コントローラの信号処理部により得られる光学ヘッドに加わった振動による変位を補正した観察面の表面位置情報を示している。
【
図9】第1の実施例の光学測定器において、Z方向以外の5方向の振動の影響を補正する方法についての説明に供する模式図であり、(A)は直線上に等間隔に位置する測定点を示し、(B)は光学ヘットに加えられた振動により測定点が直線から離脱した状態を示し、(C)は(A)および(B)に示した測定点の1点である目標の測定点が振動により測定点となってしまった場合を示す鳥観図である。
【
図10】本発明の第2の実施例としての光学測定器の概略構成を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施例の光学測定器に搭載されるセンサーを示す模式図である。
【
図12】データ測定格子の間隔の影響についての説明に供する模式図であり、(A)は格子間隔の細かいデータ測定格子を示し、(B)は格子間隔の粗いデータ測定格子を示している。
【
図13】複数の関節を有し、複数の移動自由度を有する多関節ロボットのアームに光学ヘッドを搭載した光学3次元形状測定機の従来例の概略構成を示すブロック図である。
【
図14】光干渉断層撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図15】光干渉断層撮影装置において、スキャンレンズに入射する光の角度をX軸ガルバノミラー、Y軸ガルバノミラーにより順次変えることにより、結像面に集光される光スポットの位置を示す図である。
【
図16】スキャンヘッド内結像面上における集光スポットの観察対象物上の投影スポットが、振動の影響により、直線状で一定間隔の列ではなくなってしまった状態を示す図である。
【
図17】振動がない状態で観察された観察対象物の構造を示す図である。
【
図18】X軸ガルバノミラーを順次移動させながらデータ取得を行った断面の画像(XZ断面画像)を示す図である。
【
図19】データ取得を行った後に構成したXYZの3次元データから抽出したY軸方向の断面の画像(YZ断面画像)を示す図である。
【
図20】
図14に示した光干渉断層撮影装置の構成に特許文献2に示されるヨーイング、ピッチング、ローリングの3方向の振動を補正する雲台を採用した構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0054】
本発明は、例えば
図1のブロック図に示すような構成の光学測定器100Aに適用される。
【0055】
この光学測定器100Aは、光学ヘッド1により観察対象物60に光を照射し観察対象物60からの反射光を受光することにより得られる第1の検出信号に基づいて、観察対象物60の構造あるいは観察対象物60との距離を光学的に測定するものであって、光学ヘッド1に設けられたセンサー2と、光学ヘッド1により得られる第1の検出信号が供給される第1の信号処理回路3と、センサー2により得られる第2の検出信号が供給される第2の信号処理回路4と、第1の信号処理回路3により処理された第1の検出信号と第2の信号処理回路4により処理された第2の検出信号が供給される第3の信号処理回路5を備える。
【0056】
この光学測定器100Aにおいて、光学ヘッド1は、レーザ光を観察対象物60に照射して観察対象物60からの反射光を受光することにより第1の検出信号を得るものであって、例えば干渉光学系を介して観察対象物60に照射する光と参照光及び観察対象物60からの反射光と参照光との干渉光を検出することにより、第1の検出信号を得るようになっている。
【0057】
光学ヘッド1内には、例えば、観察対象物60に照射する光の方向を変化させるスキャニング機構を設けることができる。
【0058】
光学ヘッド1により観察対象物60に照射する光は、例えば、光コム波形を有するレーザ光とすることができる。
【0059】
また、光学ヘッド1により観察対象物60に照射する光は、例えば、短時間に波長がシフトするレーザ光あるいは広い波長成分を有する光とすることができる。
【0060】
また、この光学測定器100Aにおいて、光学ヘッド1に設けられたセンサー2は、観察対象物60の形状や観察対象物60との距離を光学ヘッド1により測定する際に光学ヘッド1に加わる振動等の影響で発生する観察対象物60と光学ヘッド1との相対変位を検出するものであって、例えば加速度センサーあるいはジャイロセンサーの少なくとも一方からなる。センサー2は、観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3成分の方向の相対変位量に応じた第2の検出信号を出力する。
【0061】
この光学測定器100Aでは、光学ヘッド1と一体化するように、光学ヘッド1に設けられているが、センサー2は、
図2のブロック図に示す光学測定器100Bのように、観察対象物60と一体化するように、観察対象物60側に設けられていてもよい。
【0062】
また、第1の信号処理回路3は、光学ヘッド1により得られる第1の検出信号に含まれる情報から観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を演算するものである。
【0063】
第1の信号処理回路3では、例えば、本件発明者等が先に提案している特許文献3における光学的三次元形状測定機と同様に、光学ヘッド1により、干渉光学系を介して観察対象物60に照射する光コム波形を有するレーザ光と参照光及び観察対象物60からの反射光と参照光との干渉光を検出して得られる第1の検出信号すなわち干渉信号から、スキャニング機構によりスキャニングされる光コム波形を有するレーザ光による観察領域における観察対象物60との2次元の距離情報を生成することができる。
【0064】
また、第1の信号処理回路3では、例えば、光学ヘッド1により観察対象物60に照射する光は、例えば、短時間に波長がシフトするレーザ光あるいは広い波長成分を有する光とすることで、観察対象物60に照射する光と前記観察対象物60からの反射光との干渉光を検出して得られる第1の検出信号すなわち干渉信号から、観察対象物60の構造情報として、光干渉断面観察画像情報を生成することができる。
【0065】
また、第2の信号処理回路4は、センサー2により得られる第2の検出信号に基づいて、観察対象物60に照射する光の出射位置情報あるいは出射角度情報の少なくとも1つの情報を演算するものである。
【0066】
第2の信号処理回路4では、センサー2として備えられる加速度センサーあるいはジャイロセンサーにより得られる第2の検出信号、すなわち、加速度信号あるいは角速度信号を2回積分することにより、光学ヘッド1により加えられた振動などに応じた変位情報あるいは角度変化情報を得ることができる。
【0067】
そして、第3の信号処理回路5は、第1の信号処理回路3の演算結果と、第2の信号処理回路4の演算結果とを結合させることにより、光学ヘッド1に加わる振れの影響を補正した観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を出力する。
【0068】
また、第3の信号処理回路5では、例えば、第1の信号処理回路3の演算結果として得られる観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報と、第2の信号処理回路4による演算結果として得られる観察対象物60に照射する光の出射位置情報あるいは出射角度情報の少なくとも1つの情報を、光学ヘッド1内のスキャニング機構の制御と連携したトリガー信号により整合させた状態で、第1の信号処理回路3の演算結果から第2の信号処理回路4による演算結果を減算する結合処理を行うことにより、光学ヘッド1に加わる振れの影響を補正した観察対象物60の2次元の構造情報あるいは2次元の観察対象物60との距離情報を得ることができる。
【0069】
なお、
図2のブロック図に示す光学測定器100Bは、観察対象物60と一体化するように観察対象物60側にセンサー2を設けて、観察対象物60の形状や観察対象物60との距離を光学ヘッド1により測定する際に観察対象物60に加わる振動等の影響で発生する光学ヘッド1と観察対象物60との相対変位を検出するようにしたものであって、センサー2の配置以外は光学測定器100Aの構成と同じなので、光学測定器100Aと同一の構成要素については、
図2に同一符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
【0070】
ここで、光学測定機器100A,100Bにおいて、光学ヘッド1により観察対象物60に光を照射し観察対象物60からの反射光を受光することにより得られる第1の検出信号及び光学ヘッド1に設けられたセンサー2により得られる第2の検出信号は、どちらもアナログ信号であるが、第1の信号処理回路3及び第2の信号処理回路4は、デジタル化した第1の検出信号及びデジタル化した第2の検出信号について、上述の如き信号処理を行うデジタル信号処理回路とすることができる。第1の信号処理回路3により処理された第1の検出信号と第2の信号処理回路4により処理された第2の検出信号が供給される第3の信号処理回路5もデジタル信号処理回路とすることができる。
【0071】
このような構成の光学測定器100A,100Bでは、例えば、
図3のフローチャートに示す手順に従って、観察対象物60の構造あるいは観察対象物60との距離を光学的に測定して、観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を生成するデータ生成方法を実行することができる。
【0072】
図3は、観察対象物60に光を照射し観察対象物60からの反射光を受光する光学ヘッド1を有し、観察対象物60の構造あるいは観察対象物60との距離を光学的に測定する光学測定機器100A,100Bのデータ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【0073】
図3のフローチャートに示す手順において、第1の記録工程ST1では、光学測定機器100A,100Bの第1の信号処理回路3において、光学ヘッド1による第1の検出信号から得られる観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報、すなわち、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れを考慮しない状態での観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を記録媒体に記録する。
【0074】
次の演算工程ST2では、光学測定機器100A,100Bの第2の信号処理回路4において、観察対象物60あるいは光学ヘッド1の少なくとも片方に設けられた少なくとも1つのセンサー2により得られる観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3成分の方向の相対変位量に応じた第2の検出信号に基づいて、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、観察対象物60あるいは光学ヘッド1との間の距離情報を演算する。
【0075】
そして、 第2の記録工程ST3では、光学測定機器100A,100Bの第3の信号処理回路5において、第1の記録工程ST1において記録媒体に記録した観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報と、演算工程ST2において得られた振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、観察対象物あるいは光学ヘッド1との間の距離情報とにより、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れの影響を補正した観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を記録媒体に記録する。
【0076】
上述の如き構成の光学測定器100A,100Bにおいて、観察対象物60あるいは光学ヘッド1の少なくとも片方は、例えば、2つ以上の自由度を有するアームに取り付けられているものとすることができる。
【0077】
例えば、
図4のブロック図に示すような構成の光学測定器100のように、多関節型の産業ロボットに適用することもできる。
【0078】
なお、一般的な3次元形状測定機では振動抑制の必要があり、光学測定器100A,100Bは、門型構造の移動機構を備える産業ロボットに適用することもできる。
【0079】
図4は、第1の実施例としての本発明に係る光学測定器100の概略構成を示すブロック図である。
【0080】
この光学測定器100は、2つの関節131A、131Bを介して連結された2つのアーム132A、132Bからなるロボットアーム131を備える多関節型ロボット130に搭載されて、光学ヘッド1により観察対象物60に光を照射し観察対象物60からの反射光を受光することにより得られるえられる第1の検出信号に基づいて、観察対象物60の構造あるいは観察対象物60との距離を光学的に測定するものである。
【0081】
光学測定器100の光学ヘッド1は、多関節型ロボット130のロボットアーム131の先端に搭載されている。
光学測定器100は、例えば、
図5の模式図に示すような構成のOCT(光干渉断面観察装置)が用いられる。
【0082】
図5は、光学測定器100としてOCT(光干渉断面観察装置)を用いた場合の光学ヘッド1の構成を示す模式図である。
【0083】
すなわち、光学測定器100は、光源111、参照ミラー112、ディテクタ113が格納されているOCTエンジン110を備える制御・演算コントローラ120と、観察対象物60への光の照射と観察対象物60からの反射光の受光を行う光学ヘッド1が、光ファイバー21と制御ケーブル22により接続されている。
【0084】
また、この光学測定器100の光学ヘッド1は、2つの関節131A、131Bを介して連結された2つのアーム132A、132Bからなるロボットアーム131の先端、すなわち、アームの132Bの先端にアーム取り付け部17を介して取り付けられている。
【0085】
光学ヘッド1の中には、制御・演算コントローラ120に設けられた制御部121から制御ケーブル22を介して送られてくる制御信号に応じて、観察対象物60にレーザ光をスキャン照射するためのスキャンミラー(例えばガルバノミラー)11が搭載されている。この光学測定器100は、観察対象物60への光の照射を2次元で行うことが可能なOCT装置であり、2つのスキャンミラー11A、11Bを搭載している。また、光の照射位置を画像として記録することができるようにイメージャー12も搭載している。
イメージャー12には、スキャンレンズ14、ハーフミラー15、対物レンズ16を介して観察対象物60に照射される光の観察対象物60による反射光が、ハーフミラー15を介して、入射されるようになっている。
この光学測定器100において、光源111から出射されたレーザ光は、光ファイバーカプラー114を介して2つに分岐されて一方が参照光として参照ミラー112に入射され、他方が測定光として光ファイバー21を介して光学ヘッド1に入射されるようになっている。
【0086】
光学ヘッド1に入射された測定光は、コリメートレンズ13を介してスキャンミラー11に入射され、2つのスキャンミラー11A、11Bにより2次元方向にスキャニングされて、スキャンレンズ14、ハーフミラー15、対物レンズ16を介して観察対象物60に照射される。
【0087】
観察対象物60に照射された測定光の観察対象物60による反射光は、逆の経路、すなわち、対物レンズ16、ハーフミラー15、スキャンレンズ14、スキャンミラー11、コリメートレンズ13、光ファイバー21を介してOCTエンジン110の光ファイバーカプラー114に戻される。
【0088】
また、参照ミラー112に入射された参照光は、参照ミラー112による反射光が光ファイバーカプラー114に戻される。
【0089】
ディテクタ113は、光ファイバーカプラー114に戻された測定光の観察対象物60による反射光と参照光の参照ミラー112による反射光が光ファイバーカプラー114において互いに干渉することにより得られる干渉光が入射されることにより、干渉光を検出する。
【0090】
この光学測定器100では、OCTエンジン110を備える制御・演算コントローラ120において、OCTエンジン110のディテクタ113により干渉光の検出信号(干渉信号)として得られる第1の検出信号を用いて、信号処理部122により光干渉断面画像情報を生成する信号処理を行うことができる。
【0091】
また、この光学測定器100では、観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3成分の方向のうちの少なくとも1つの方向の相対変位量に応じた第2の検出信号を出力するセンサー2が、ロボットアーム11の先端に搭載された光学測定器100の光学ヘッド1と一体化するように、光学ヘッド1に設けられている。
【0092】
センサー2は信号ケーブル23を介して振れ演算器140と接続されている。
【0093】
センサー2としては、観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3成分の方向のうちの少なくとも1つの方向の相対変位量に応じた第2の検出信号を出力する加速度センサーあるいはジャイロセンサーの少なくとも1つのセンサーが用いられる。
【0094】
このセンサー2による第2の検出信号に基づいて、形状測定中の光学ヘッド1の振れによる変位(X,Y,Z方向)および光学ヘッド1から出射される光束BMの方向の変化(Yaw,Pitch,Roll方向)を振れ演算器140により算出し、光学ヘッド1から観察対象物60までの距離の測定結果における振れの影響および観察対象物60における測定位置の振れの影響によるずれを算出する。
【0095】
この光学測定器100では、観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3成分の方向のうちの少なくとも1つの方向の相対変位量に応じた第2の検出信号を出力するセンサー2が光学ヘッド1側に設けられているが、センサー2は、観察対象物60と光学ヘッド1との相対変位量応じた第2の検出信号を出力するものであるから、観察対象物60側に設けられるようにしてもよい。
【0096】
例えば、
図4中に破線にて示すように、観察対象物60を保持するステージ150にセンサー2を設けて、センサー2と観察対象物60を一体化するようにすることもできる。
【0097】
また、この光学測定器100では、光学ヘッド1が多関節型ロボット130のロボットアーム11の先端に搭載されていているが、ステージ150に光学ヘッド1を保持されるように設け、観察対象物60を多関節型ロボット130のロボットアーム11の先端に搭載するようにしてもよい。
【0098】
ここで、この光学測定器100においては、センサー2として、例えば
図6の(A)に示すように、XYZの互いに直交する3軸方向の加速度の検出が可能な3つの加速度センサー2A、2B、2Cが、光学ヘッド1の上面に設けられ、光学ヘッド1と一体化されている。これらの加速度センサー2A、2B、2Cにより、光学ヘッド1の振動が、X、Y、Z,Yawing、Pitching、Rollingの6方向の検出が可能となる。
【0099】
また、例えば
図6の(B)に示すように、1つの3軸加速度センサー2AによりX,Y,Z方向の変位を算出し、Yawing、Pitching、Rollingの方向の角度変化をジャイロセンサー2D、2E、2Fにより測定することも可能である。
【0100】
加速度センサー2A、2B、2Cによる第2の検出信号として得られる加速度信号は変位量の2回微分信号であるから、振れ演算器140では、加速度信号を2回積分することにより変位量を求めることができる。
【0101】
振れ演算器140では、例えば、
図7の(A)のブロック図に示す構成の第1の演算回路141により、加速度センサー2Aによる第2の検出信号として得られる加速度信号がローパスフィルタ141Aを介して積分器141Bにより加速度信号を2回積分することにより変位量を得るようにしている。
【0102】
ここで、発明者らが、測定分解能:0.003m/s2、測定周波数範囲1~4000HzのPCB社の3軸加速度センサー(352A32)でアーム先端の変位を、51.2kHzのクロック周波数で測定したところ、1ミクロン以上の変位を有する振動成分は概ね100Hz以下の低周波成分の変位であった。
【0103】
加速度センサーにおいては、高周波成分の信号を強く計測してしまうので、
図7の(A)に示す第1の演算回路141のように、積分器141Bにより積分を行う前にローパスフィルタ141Aにより高周波成分を取り除くことが望ましい。
【0104】
光学測定器100の分解能が例えば10ミクロンであるとすると、1ミクロン以下の振幅で光学ヘッド1が振動しても測定結果には影響はない。したがって10ミクロン以上の変位を有する振幅の振動を算出することが必要である。
【0105】
そこで、加速度センサーに測定される信号の大きさを考えると、30Hzの周波数成分で20ミクロンの振幅の変位の加速度と、300Hzで0.005ミクロンの振幅の変位の加速度が同等となる。
【0106】
また、Yawing、Pitching、Rollingの方向の角度変化は、互いに直交する3軸(XYZ)の各軸回り方向の角度変化であるから、
図6の(A)に示すセンサー2のように加速度センサー2B、2Cの距離を例えば10cm程度あけて配置することにより、加速度センサー2B、2Cによる第2の検出信号として得られる3軸方向の加速度信号から算出される3軸方向の変位量に対する差分処理により得ることができる。
【0107】
振れ演算器140では、例えば、
図7の(B)のブロック図に示す構成の第2の演算回路142により、Yawing、Pitching、Rollingの方向の角度変化を得るようにしている。
第2の演算回路142は、加速度センサー2Bによる第2の検出信号として得られる加速度信号がローパスフィルタ142A
1を介して供給される積分器142B
1と、加速度センサー2Cによる第2の検出信号として得られる加速度信号がローパスフィルタ142A
2を介して供給される積分器142B
2と、積分器142B
1による2回積分出力信号と積分器142B
2による2回積分出力信号が供給される差分処理器142Cを備える。
【0108】
この第2の演算回路142は、加速度センサー2Bにより検出された加速度信号を積分器142B1により加速度信号を2回積分した2回積分出力信号として得られる変位量と、加速度センサー2Bにより検出された加速度信号した2回積分出力信号として得られる変位量について、差分処理器142Cにより差分処理を行うことによって、各軸回り方向の角度変化量、すなわち、Yawing、Pitching、Rollingの方向の角度変化量を得るようにしている。
【0109】
また、
図6の(B)のようにジャイロセンサー2D、2E、2FによりYawing、Pitching、Rollingの方向の角度変化を測定する場合には、振れ演算器140では、例えば、
図7の(C)のブロック図に示す構成の第3の演算回路143により、ジャイロセンサー2D、2E、2Fによる第2の検出信号として得られる互いに直交する3軸(XYZ)の各軸回り方向の角度変化の応じた角加速度信号がローパスフィルタ143Aを介して積分器143Bにより角加速度信号を2回積分することにより、各軸回り方向の角度変化量、すなわち、Yawing、Pitching、Rollingの方向の角度変化を得るようにしている。
【0110】
ここで、後述する振動による変位の演算を容易にするために、スキャンミラー11を中央位置とした位置に光線が出射される光軸を光学測定装置100の主光軸とした際に、光学ヘッド1のXYZ方向の変位を測定する加速度センサー2Aは、
図6の(A)、(B)に示すセンサー2のように、主光軸(X軸)上の位置に設置することが望ましく、Yawing、Pitching、Rollingの回転もこの主光軸からの回転量として定義・算出することが望ましい。
【0111】
また、この光学測定機器100においては、観察対象物60に照射される光の位置はスキャンミラー11により制御がなされるので、制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、スキャンミラー11への制御信号と同期した信号により測定結果の画像化を行う。つまり、光学測定器100からの測定結果は、1次元構造の連続したデータであるが、スキャンミラー11に送る制御信号に同期したトリガー信号により区切られた2次元の構造を有するデータとされ、その2次元の構造のデータは、スキャンミラー11に送る速度信号、およびステップ移動時の移動量などのデータから、2次元化されたデータを実際の距離情報を有するデータとすることができる。
【0112】
制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、振れ演算器140において加速度センサー2Aによる第2の検出信号すなわち加速度信号から算出されたOCTエンジン110のディテクタ113の光軸方向に平行なZ方向の振動情報により、測定した観察対象物60の高さ情報を補正する信号処理を行う
【0113】
次に、高さ情報の補正方法について
図8を参照して説明する。
【0114】
図8の(A)は説明のために準備した観察対象物60の形状である。
図8の(A)において、横軸はX軸、縦軸はX軸上における縦軸観察対象物60の高さ情報を示している。
【0115】
また、光学ヘッド1に振動が加わった状態で測定した観察対象物60の高さデータを
図8の(B)に示す。
図8の(B)は光学測定機器100のクロック周波数により離散化されてディスクリートのデータとなっている。この
図8の(B)におけるディスクリートしたデータの間隔は、説明を容易にするために選定した間隔であるので、振動の周波数あるいはデータ取得の際のクロックとの関連性は考慮していない。
【0116】
振れ演算器140では、第1の演算回路141により、光学ヘッド1に取り付けた加速度センサー2Aの第2の検出信号すなわち加速度信号から、測定時に光学ヘッド1に加わった振動による
図8の(C)に示すような変位情報が算出される。
【0117】
第1の演算回路141による演算結果として得られる
図8の(C)に示した変位情報は、ローパスフィルタ141Aにより高周波成分が取り除かれたデータとなっているが、加速度センサー1は例えば51.2kHzのクロック周波数での読み出しがなされたデータであるとすると、時間情報としては51.2kHzのクロック周波数に応じたデータを有している。
【0118】
制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、
図8の(C)に示した演算された変位情報を、
図8の(B)に示した光学測定器100のディスクリート構造の測定結果と結合を行うために、
図8の(D)に示すように、スキャンミラー11の制御信号に同期した信号であるトリガー信号およびデータ取得クロック情報によりディスクリート化を行う。
【0119】
このように第1の演算回路141による演算結果として得られる変位情報をディスクリート化することにより、第1の演算回路141に得られる変位情報に基づいて
図8の(B)に示す測定結果の補正を容易に行うことができ、
図8の(B)に示すデータから
図8の(D)に示すデータを引くこと、すなわち、測定データから振動による影響を除くことにより、
図8の(E)のように振動を補正した観察面の表面位置情報を得ることができる。
【0120】
また、制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、振れ演算器140において加速度センサー2Aによる第2の検出信号すなわち加速度信号から算出されたOCTエンジン110のディテクタ113の光軸方向に平行なZ方向以外の5方向の振動の影響を補正する信号処理を行う。
【0121】
次に、Z方向以外の5方向の振動の影響を補正する方法について
図9を参照して説明する。
【0122】
光学測定器100による測定は、制御・演算コントローラ120の制御部121により、
図9の(A)に示すように、直線83aあるいは直線83b上に等間隔な測定点84a、84b、84c、84d、84e、85a、85b、85c、85d、85eとなるようにスキャンミラー11を制御しているが、光学ヘッド1に加わる振動により、
図9の(B)に示す測定点74a、74b、74c、74d、74e、75a、75b、75c、75d、75eのように測定点が乱れることとなる。
【0123】
上述したように、データ測定を行うクロック周波数よりも振動は低周波数であるので、測定点の順序が入れ替わることはないが、
図9の(B)に示すように振動により測定点が直線から離脱すること、間隔が一様でなくなることがある。
図9の(C)は
図9の(A)および
図9の(B)に示した測定点の1点である目標の測定点85aが振動により測定点75aとなってしまった場合を示す鳥観図である。光学ヘッド1からは振動がない状態として光線S(85a)に示す軌跡で測定点85aに照射されるはずが、光学ヘッド1に加わる振動により光線S(75a)に示す軌跡で測定点75aに照射されてしまう例を示している。ここで振動成分には、X、Y、Pitching、Yawing、Rollingの5軸が存在するが、この5軸の振動による測定点の移動を2つに分類して補正を行う。ここでは、光軸(Z軸)方向に垂直な面(X方向、Y方向を含む面)の回転方向をRolling方向の回転と定義し、その回転中心は光学ヘッド1の主光軸であるとする。X方向とY方向の振動により測定点85aが仮想の測定点95aに移動し、Pitching方向とYawing方向さらにはとRolling方向の回転により、仮想の測定点95aから測定点75aに移動したこととする。仮想の測定点95aの位置は、X軸方向とY方向の振動により測定点85aが移動するものであるが、この移動において光学ヘッド1と観察対象物60との距離あるいは、スキャンミラー11の位置に依存することなくX方向とY方向の振動量により算出することができる。
【0124】
したがって、制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、生成する光干渉断面画像情報について、
図7の(A)に示した振れ演算器140の第1の演算回路141により演算されたX方向とY方向の変位情報をディスクリート化して補正データとすることにより、上述の如き高さ情報の補正すなわちZ軸方向の変位量の補正と同様な手法で、光学ヘッド1に加わる振動によるX方向とY方向の変位情報の変動を補正することができる。
【0125】
次に、Pitching方向とYawing方向さらにはRolling方向の回転により移動する測定点の算出を行う。
【0126】
Pitching方向とYawing方向の移動は
図9の(C)における光線S(95a)と光線S(75a)のなす角度が振動による影響であり、測定点の移動量は、光線S(95a)と光線S(75a)のなす角度に光線S(75a)あるいは光線S(95a)の長さを乗じた数値となる。ここでは、光線S(95a)と光線S(75a)のなす角度はわずかであり、光線S(75a)と光線S(95a)の長さはほぼ等しいと考えられるので、光学測定器100により測定される距離情報である光線S(75a)の長さを用いることができる。
【0127】
次に、Rolling方向の補正について説明する。
【0128】
Rolling方向の回転は、主光軸を中心とした回転であるので、
図9の(C)における主光軸S(orig)から測定位置までの距離Dに角度を乗じた数値となる。
【0129】
Pitching方向とYawing方向さらにはRolling方向の回転により移動する測定点の算出においては、上述したように測定値である光線S(75a)を用いて算出することが正確であるが、振動の程度により光学測定器100の標準的な観察対象物60との距離であるワーキングディスタンスの数値を用いることも可能である。同様に距離Dの数値においても、ワーキングディスタンスの数値にスキャンミラー11への制御値から換算される数値を用いることも可能である。測定値を用いないことにより、計算の高速化が実現できる。
【0130】
Pitching方向とYawing方向さらにはRolling方向の回転により移動する測定点の算出において測定値である光線S(75a)を用いる場合には、光学測定器100の測定結果を一旦保存しておきそのデータにアクセスすることとなるが、測定値の値を用いない場合においても、振動による影響を補正するデータは、上述したように、ローパスフィルタによるフィルタリング処理が施されているので、光学測定器100のクロック速度に応じてリアルタイムにデータを輩出することが困難であり、少なくともスキャンミラー11による1ラインでの測定ごとにデータ補正を行う方が簡便であり、一旦保存された複数の光学測定器100の測定結果のデータ群と、複数の補正データとの結合を行う方が、演算工程ST2における演算処理および第2の記録処理工程ST3における結合処理が簡便となる。
【0131】
図10は、第2の実施例としての本発明に係る光学測定器200の概略構成を示すブロック図である。
【0132】
この第2の実施例としての光学測定器200では、ロボットアーム131の先端に光学ヘッド1の姿勢制御機能を有する電動雲台17Aが設けれ、電動雲台17Aに光学ヘッド1が搭載されている。
【0133】
なお、この光学測定器200は、ロボットアーム131の先端に設けられた電動雲台17Aに光学ヘッド1を搭載した構成以外は、
図4に示した第1の実施例の光学測定器100の構成と同じなので、光学測定器100と同一の構成要素については、
図10に同一符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
【0134】
この光学測定器200における電動雲台17Aは、例えば、カメラを搭載する雲台の角度を振動に応じて補正するようにした特許文献2の開示技術における雲台と同様に、雲台の土台の角度が変化してもセンサーにより搭載している光学ヘッド1の角度が変化しないように姿勢を保つようにした姿勢制御機能を有するものである。
【0135】
電動雲台17Aは、光学ヘッド1とロボットアーム131の間において、電動雲台17Aは、光学ヘッド1に加えられる回転方向の振動を補正する取り付け台として機能する。
【0136】
この光学測定器200では、このようにロボットアーム131の先端に設けられた光学ヘッド1の姿勢制御機能を有する電動雲台17Aに光学ヘッド1を搭載することにより、光学ヘッド1に加わるPitching方向とYawing方向さらにはRolling方向の回転は電動雲台17Aにおいて除去することができる。
【0137】
したがって、この光学測定器200におけるセンサー2は、
図11に示すように1つの3軸加速度センサー2Aのみとすることができる。
【0138】
この光学測定器200では、第1の実施例の光学測定器100と同様に、
図7の(A)に示す構成の第1の演算回路141により、加速度センサー2Aによる第2の検出信号として得られる加速度信号がローパスフィルタ141Aを介して積分器141Bにより加速度信号を2回積分することにより変位量を得ることができる。
【0139】
そして、この光学測定器200では、第1の実施例の光学測定器100と同様に、制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、振れ演算器140において加速度センサー2Aによる第2の検出信号すなわち加速度信号から算出されたOCTエンジン110のディテクタ113の光軸方向に平行なZ方向の振動情報により、測定した観察対象物60の高さ情報を補正する信号処理を行う。また、制御・演算コントローラ120の信号処理部122では、振れ演算器140において加速度センサー2Aによる第2の検出信号すなわち加速度信号から算出されたOCTエンジン110のディテクタ113の光軸方向に平行なZ方向以外の5方向の振動の影響を補正する信号処理を行う。
【0140】
ここで、この光学測定器200では、上述の如くセンサー2は1つの3軸加速度センサー2Aのみとすることができるので、第1の実施例の光学測定器100において行われている
図7の(B)に示した第2の演算回路142による演算処理と、
図7の(C)に示した第3の演算回路143による演算処理を省略することができる。
【0141】
さらには、照射位置の補正に関して、X方向とY方向の平行変位のみの演算と補正のみで照射位置の補正が可能となるので、演算に係る処理を軽減できる。
【0142】
なお、電動雲台17Aに光学ヘッド1を搭載した後において回転方向の振動が残存している場合においては、
図6の(A)に示したセンサー2あるいは
図6の(B)に示したセンサー2のように回転を検出する加速度センサー2B、2Cやジャイロセンサー2D~2Fを配置し、回転に起因する補正を行う必要があるが、回転方向の振動量は軽減されているので、照射位置の補正の際に、測定データではなくワーキングディスタンスのデータを採用し演算の付加を低減できる可能性が高くなる。
【0143】
なお、この第2の実施例としての光学測定器200では、ロボットアーム131に設けた電動雲台17Aに光学ヘッド1を搭載して、観察対象物60に加えられる回転方向の振動を電動雲台17Aにより補正したが、観察対象物60が載置固定されるステージ150側に観察対象物60の角度が変化しないように姿勢を保つ姿勢制御機能を有する取り付け台を設けて、ステージ150側において観察対象物60に加えられる回転方向の振動を補正するようにしてもよい。
【0144】
上述の如き第1の実施例としての光学測定器100及び第2の実施例としての光学測定器200では、先に説明した光学測定器100A、100Bにおける第1の信号処理回路3の信号処理機能と第3の信号処理回路5の信号処理機能が制御・演算コントローラ120の信号処理部122に搭載されており、第2の信号処理回路4の信号処理機能が振れ演算器140に搭載されている。
【0145】
このような構成の光学測定器100、200では、制御・演算コントローラ120の信号処理部122と振れ演算器140により、先に説明した
図3のフローチャートに示す手順に従って、観察対象物60の構造あるいは観察対象物60との距離を光学的に測定して、観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を生成するデータ生成方法を実行することができる。
【0146】
すなわち、上述の如き第1の実施例としての光学測定器100及び第2の実施例としての光学測定器200では 制御・演算コントローラ120の信号処理部122において、第1の信号処理回路3の信号処理機能により、光学ヘッド1による第1の検出信号から得られる観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報、すなわち、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れを考慮しない状態での観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を記録媒体に記録する第1の記録工程ST2の処理を行う。
【0147】
また、振れ演算器140において、第2の信号処理回路4の信号処理機能により、観察対象物60あるいは光学ヘッド1の少なくとも片方に設けられた少なくとも1つのセンサー2により得られる観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3成分の方向の相対変位量に応じた第2の検出信号に基づいて、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、観察対象物60あるいは光学ヘッド1との間の距離情報を演算する演算工程ST2の処理を行う。
【0148】
そして、制御・演算コントローラ120の信号処理部122において、第3の信号処理回路5の信号処理機能により、第1の記録工程ST1において記録媒体に記録した観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報と、演算工程ST2において得られた振れに起因する光の照射位置情報、あるいは、観察対象物あるいは光学ヘッド1との間の距離情報とにより、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れの影響を補正した観察対象物60の構造情報あるいは観察対象物60との距離情報を記録媒体に記録する第2の記録工程ST3の処理を行う。
【0149】
ここで、観察対象物60あるいは光学ヘッド1に加わる振れの影響を補正する場合、基本的には、観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3方向(X,Y,Z)の相対変位量に応じた検出信号を得て振動補正を行うのであるが、回転方向の振動補正と3次元空間における直交する3方向(X,Y,Z)の振動補正を行うには、離間させて配置した2つの加速度センサーにより回転の検出ができるので、1つの加速度センサーとジャイロセンサー、あるいは、複数の加速度センサーが必要となる。
【0150】
また、回転方向の振動がすでに雲台により補正されているのであれば、残るX,Y,Zの方向の振動検出を1つの3軸加速度センサーで行うことができる。
【0151】
なお、三次元の距離計や形状測定機において、
図12の(A)に示すように、データ測定格子LAが細かい場合には、観察対象物60と光学ヘッド1との3次元空間における直交する3方向(X,Y,Z)の振動補正を行う必要があるが、
図12の(B)に示すように、データ測定格子LAが粗い場合には、XY方向に振動があっても格子点の間隔dに比べて振動が小さければ、測定データへ影響は問題にならないのでの、Z方向すなわち光軸方向のみの振動補正で十分である。
【符号の説明】
【0152】
1 光学ヘッド、2 センサー、2A,2B,2C 加速度センサ、2D,2E,2F ジャイロセンサ、3 第1の信号処理回路、4 第2の信号処理回路、5 第3の信号処理回路、60 観察対象物、11、11A、11B スキャンミラー、12 イメージャー、13 コリメートレンズ、14 スキャンレンズ、15 ハーフミラー、16 対物レンズ、17 アーム取り付け部、17A 電動雲台、100A、100B、100,200 光学測定器、130 多関節型ロボット、131A、131B 関節、132A、132B アーム、131 ロボットアーム、111 光源、112 参照ミラー、113 ディテクタ、110 OCTエンジン、120 制御・演算コントローラ、121 制御部、122 信号処理部、141 第1の演算回路、142 第2の演算回路、143 第3の演算回路、ST1 第1の記録工程、ST2 演算工程、ST3 第2の記録工程