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  • 特許-アクチュエータ 図1
  • 特許-アクチュエータ 図2
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  • 特許-アクチュエータ 図4
  • 特許-アクチュエータ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20230912BHJP
   F16H 19/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02G11/00
F16H19/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020056134
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021158765
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000115245
【氏名又は名称】ゲイツ・ユニッタ・アジア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】井上 龍起
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 徹
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318972(JP,A)
【文献】実開昭63-083289(JP,U)
【文献】実開平02-146216(JP,U)
【文献】実開昭63-190194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
F16H 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に対して移動不能に設けられたガイドレールと、該ガイドレールに沿って移動自在なスライダーと、該スライダーを移動させる駆動機構と、前記ベース部材に対して移動不能な固定部位と前記スライダーとの間に介装された通電ケーブルと、を備えたアクチュエータであって、
前記駆動機構は、ベース部材に支持された複数のプーリと、該プーリに掛巻されると共に、前記スライダーを取り付けられたベルトとからなり、前記プーリ及びベルトで囲まれた空間に、前記通電ケーブルが配置されたことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記プーリ及びベルトで囲まれた空間に、前記スライダーの移動に伴って変位する通電ケーブルを沿わせるケーブルガイドが設けられたことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記通電ケーブルは、非導電性材料からなるベルト本体に通電可能な心線を埋設してなるベルトとされたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種機器などを装着されるスライダーに給電しつつ、そのスライダーを直動させるアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種機器などを直動させるアクチュエータは、各種機器などを装着されるスライダーがガイドに沿って移動する構造とされ、スライダーを移動させる駆動機構が設けられると共に、ガイド側に固定された給電部とスライダーとを接続する通電ケーブルが設けられている(例えば特許文献1)。
【0003】
図5に示すように、特許文献1のアクチュエータは、スライダー101を案内するガイドフレーム102を箱型形状として、駆動機構としてのプーリ及びベルト103と、湾曲状態の給電ケーブル104とを並べて内装し、そのベルト103及び給電ケーブル104をスライダー101に取り付けた構造とされる。プーリ及びベルト103を駆動することによってスライダー101が移動し、このスライダー101の移動に追随するよう給電ケーブル104が変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-318972号公報(段落0035-0039、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のアクチュエータは、スライダーを移動させるプーリ及びベルトと、給電部及びスライダーを接続する通電ケーブルとを設けるので、その分、アクチュエータが大型化しやすい。
【0006】
本発明は、スライダーを移動させるプーリ及びベルトに加えて、給電部及びスライダーを接続する通電ケーブルを装備しつつ、コンパクト化を図ることのできるアクチュエータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るアクチュエータは、ベース部材に対して移動不能に設けられたガイドレールと、このガイドレールに沿って移動自在なスライダーと、このスライダーを移動させる駆動機構と、ベース部材に対して移動不能な固定部位とスライダーとの間に介装された通電ケーブルと、を備えたものであり、その駆動機構を、ベース部材に支持された複数のプーリと、プーリに掛巻されると共に、スライダーを取り付けられたベルトとで構成し、プーリ及びベルトで囲まれた空間に通電ケーブルを配置したものである。
【0008】
上記構成によれば、プーリ及びベルトで囲まれた空間に通電ケーブルを配置するので、通電ケーブルの配置空間として、プーリ及びベルトで囲まれたデッドスペースを利用することができる。これにより、スライダーを移動させる駆動機構としてのプーリ及びベルトに加えて、給電部及びスライダーを接続する通電ケーブルを装備しつつ、アクチュエータのコンパクト化を図ることができる。
【0009】
また、プーリ及びベルトで囲まれた空間に、スライダーの移動に伴って変位する通電ケーブルを沿わせるケーブルガイドを設けるようにしてもよい。
【0010】
この構成によると、ケーブルガイドに通電ケーブルを沿わせるので、スライダーの移動に伴う通電ケーブルの変位を所定の範囲に制限することができ、通電ケーブルが予期しない範囲まで変位して他の装置や部品に干渉するのを防止することができる。
【0011】
また、通電ケーブルを非導電性材料からなるベルト本体に通電可能な心線を埋設してなるベルトとしてもよい。
【0012】
この構成によると、ベルト本体に通電可能な心線を埋設した構造のベルトを通電ケーブルとするので、通電ケーブルを小さく湾曲させることができ、小径のプーリを採用して、プーリ及びベルトで囲まれたデッドスペースを小さくしつつ、そのデッドスペースに通電ケーブルを配置することができる。ここで、ベルト本体に通電可能な心線を埋設した構造の通電ケーブルは、心線を覆うベルト本体により、通電可能な心線の一部が過度に小さく湾曲するのを防止することができ、通電ケーブルを小さく湾曲させる際、その湾曲の集中による通電ケーブルの損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、本発明によると、ガイドレールに沿ってスライダーを移動させるプーリ及びベルトを設け、このプーリ及びベルトで囲まれた空間に通電ケーブルを配置して、給電部とスライダーとを接続するようにしている。
【0014】
これにより、プーリ及びベルトで囲まれたデッドスペースを利用して通電ケーブルを配置することができ、スライダーを移動させるプーリ及びベルトに加えて、給電部及びスライダーを接続する通電ケーブルを装備しつつ、アクチュエータのコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るアクチュエータの斜視図
図2】アクチュエータの背面図
図3】アクチュエータの正面図
図4】通電ケーブルの斜視図
図5】従来のアクチュエータの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るアクチュエータを実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1~3に示すように、アクチュエータ1は、例えば、各種機器に通電ケーブル2を介して給電しつつ、その各種機器を直動させるためのものであり、ベース部材3と、ベース部材3に固定されたガイド部材4と、ガイド部材4に一体に設けられたガイドレール5と、ガイドレール5に沿って移動自在で各種機器を装着されるスライダー6と、スライダー6を移動させる駆動機構としての歯付プーリ7、8及び歯付ベルト9と、を備え、その通電ケーブル2が、ガイド部材4のケーブル固定部10とスライダー6との間に介装されて、スライダー6の移動に伴って変位しつつ、歯付プーリ7、8及び歯付ベルト9で囲まれた空間に位置するよう、ケーブルガイドとしてのガイド部材4に沿わせて配置されたものである。
【0018】
図4に示すように、通電ケーブル2は、可撓性の合成樹脂などの非導電性材料からなるベルト本体11にスチールコードなどの通電可能な心線12を埋設してなる歯付ベルトとされる。歯付ベルトからなる通電ケーブル2は、小さな曲率半径で湾曲させることができ、しかも、その湾曲部位13における一部が過度に湾曲して損傷するのを防止することができる。
【0019】
ベース部材3は、例えば金属製で背面側が開放された断面コ形の部材とされて、その正面側の中央にガイド部材4が取り付けられ、正面側の両端部に歯付プーリ7、8が取り付けられている。
【0020】
ガイド部材4は、例えば金属製で正面側が開放された断面コ形の部材とされ、その上片外側に、全長に亘るガイドレール5が固定され、下片内側の端部に、通電ケーブル2の下端を固定するケーブル固定部10が設けられている。ガイド部材4の上下寸法は、通電ケーブル2の湾曲部位13の直径よりも大きく設定され、その内側の空間に、通電ケーブル2が湾曲部位13を介して二つ折りにされて配置され、ケーブル固定部10で固定された下端が外部の給電部に接続される。
【0021】
スライダー6は、ガイド部材4の上片を正面側から挟むように配置されたコ形部材とされ、その上片内側に、ガイドレール5に沿ってスライドするスライド部14が設けられている。スライダー6の上側には、各種機器を保持する保持板15が設けられ、歯付ベルト9にそのベルト歯に噛み合うスペーサー16を重ねてスライダー6及び保持板15で挟むことにより、スライダー6が歯付ベルト9に取り付けられている。スライダー6の下片内側には、保持板15に保持された各種機器に接続される通電ケーブル2の上端が固定されている。
【0022】
歯付プーリ7、8は、ガイド部材4の上下寸法よりも大径に設定され、この歯付プーリ7、8及びこれに掛巻された歯付ベルト9が、ガイド部材4及びこれに沿うよう内側に配置された通電ケーブル2を取り囲み、歯付プーリ7、8及び歯付ベルト9で囲まれたデッドスペースに、ガイド部材4及び通電ケーブル2を位置させるようになっている。
【0023】
歯付プーリ7、8が正逆回転することにより、スライダー6が往復動して各種機器を直動させ、通電ケーブル2がその湾曲部位13を移動させながら、スライダー6の移動に追随するようになっている。その際、通電ケーブル2がガイド部材4に沿ってその内側で変位するので、通電ケーブル2が大きく撓んで他の機器や部材に干渉することがない。
【0024】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、通電ケーブル2は、歯付プーリ7、8及び歯付ベルト9で囲まれたデッドスペースに配置してあればよく、歯付ベルトに限らず、他の通常のケーブルを用いることもでき、また、必ずしもガイド部材4を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0025】
1 アクチュエータ
2 通電ケーブル
3 ベース部材
4 ガイド部材(ケーブルガイド)
5 ガイドレール
6 スライダー
7 歯付プーリ
8 歯付プーリ
9 歯付ベルト
10 ケーブル固定部
11 ベルト本体
12 心線
13 湾曲部位
14 スライド部
15 保持板
16 スペーサー
図1
図2
図3
図4
図5