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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】タイヤ成型装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/26 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B29D30/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019159797
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021037682
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 知行
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 勝治
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109362(JP,A)
【文献】特開2001-287281(JP,A)
【文献】特開2007-320394(JP,A)
【文献】特開昭49-042778(JP,A)
【文献】特開2003-311848(JP,A)
【文献】特開2013-061318(JP,A)
【文献】特開2000-211038(JP,A)
【文献】特開昭59-007033(JP,A)
【文献】特開2002-240162(JP,A)
【文献】特開2017-127987(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0062976(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109760349(CN,A)
【文献】国際公開第2019/102386(WO,A1)
【文献】特開2005-280000(JP,A)
【文献】特開2001-079953(JP,A)
【文献】特開平01-232029(JP,A)
【文献】特開平8-57858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールと、タイヤ部材を保持して前記レールに沿って移動するトランスファー装置とが設けられ、前記トランスファー装置が前記レールに沿って移動するとともにタイヤ部材の受け取り又は受け渡しのために停止するタイヤ成型装置において、
前記トランスファー装置の位置決め装置とセンサとが設けられ、
前記位置決め装置は凹部と凸部とを有し、
前記凹部と前記凸部の一方が、前記トランスファー装置における前記レールと反対側の部分に設けられ、
前記凹部と前記凸部の他方が、停止したときの前記トランスファー装置と対向する場所に設けられ、
前記凹部と前記凸部とが嵌まり合うことにより前記トランスファー装置が停止し、
前記センサが前記トランスファー装置の停止位置の情報を取得することを特徴とする、タイヤ成型装置。
【請求項2】
前記凸部がコッター又はカムフォロアである、請求項1に記載のタイヤ成型装置。
【請求項3】
前記トランスファー装置がサーボモータにより移動する、請求項1又は2に記載のタイヤ成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に記載されているように、タイヤ成型装置として、カーカスドラムとベルトドラムとシェーピングドラムとを有するものが知られている。カーカスドラムではカーカスを含むタイヤ部材であるカーカスバンドが成型される。ベルトドラムではベルトとトレッドを含むタイヤ部材である外側部材が成型される。シェーピングドラムではカーカスバンドと外側部材とが一体化されて生タイヤが成型される。
【0003】
ドラム間でのタイヤ部材の移動にはトランスファー装置が使用される。詳細には、トランスファー装置が、カーカスドラムからカーカスバンドを受け取り、シェーピングドラムの場所まで移動し、シェーピングドラムへカーカスバンドを受け渡す。また、別のトランスファー装置が、ベルトドラムから外側部材を受け取り、シェーピングドラムの場所まで移動し、シェーピングドラムへ外側部材を受け渡す。
【0004】
これらのトランスファー装置は、サーボモータによってレールに沿って移動し、タイヤ部材の受け取り位置や受け渡し位置で停止する。トランスファー装置の停止はサーボモータの制御によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-116817号公報
【文献】特開2013-220636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、生産効率の向上のためには、トランスファー装置が短時間で加速し、高速で移動し、その後短時間で減速して停止することが好ましい。しかし、トランスファー装置が高速移動した後に急停止した場合、停止後もトランスファー装置が揺れ続けるという問題があった。トランスファー装置が揺れているときにタイヤ部材の受け取りや受け渡しが行われると、最終的にタイヤ部材がシェーピングドラムの正しい位置に正しい姿勢で貼り付けることができなくなり、タイヤのユニフォミティに影響が出てしまう。
【0007】
そこで本発明は、トランスファー装置が停止した後に揺れ続けることを防ぐことができるタイヤ成型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のタイヤ成型装置は、レールと、タイヤ部材を保持して前記レールに沿って移動するトランスファー装置とが設けられ、前記トランスファー装置が前記レールに沿って移動するとともにタイヤ部材の受け取り又は受け渡しのために停止するタイヤ成型装置において、前記トランスファー装置の位置決め装置とセンサとが設けられ、前記位置決め装置は凹部と凸部とを有し、前記凹部と前記凸部の一方が、前記トランスファー装置における前記レールと反対側の部分に設けられ、前記凹部と前記凸部の他方が、停止したときの前記トランスファー装置と対向する場所に設けられ、前記凹部と前記凸部とが嵌まり合うことにより前記トランスファー装置が停止し、前記センサが前記トランスファー装置の停止位置の情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のタイヤ成型装置によれば、トランスファー装置が停止した後に、トランスファー装置におけるレールとは反対側の部分が位置決め装置により固定されるので、トランスファー装置が揺れ続けることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。各ドラム及び各トランスファー装置がそれぞれの待機位置にあるときの図。
図2】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。カーカスドラム及び第1トランスファー装置が第1レールと第4レールとの交差部に移動したときの図。
図3】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。カーカスドラムが待機位置に戻り、第1トランスファー装置が第4レールと第2レールとの交差部へ移動したときの図。
図4】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。シェーピングドラムが第4レールと第2レールとの交差部へ移動したときの図。
図5】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。シェーピングドラム及び第1トランスファー装置が待機位置へ戻ったときの図。
図6】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。第2トランスファー装置がシェーピングドラムの待機位置へ移動したときの図。
図7】第2トランスファー装置を軸方向から見た図。ベルトドラムから第2トランスファー装置へのベルト部材の受け渡し位置での図。ベルトドラムは図示省略してある。
図8】第2トランスファー装置を図7の左側から見た図。
図9図8におけるコッター付近の拡大図。
図10】レーザー変位計、記憶装置等のブロック図。
図11】第1レーザー変位計及び上側反射体を示す図。図8と同じ方向から見た図。
図12】変更例における第1レーザー変位計及び上側反射体を示す図。図8と同じ方向から見た図。
図13】変更例の第2トランスファー装置を図7と同じ方向から見た図。
図14】変更例の第2トランスファー装置を図8と同じ方向から見た図。
図15】変更例の位置決め装置を示す図。図8と同じ方向から見た図。
図16図15のN-N線での断面図。
図17】変更例のタイヤ成型装置全体を上から見た平面図。各ドラム及び各トランスファー装置がそれぞれの待機位置にあるときの図。
図18】変更例のタイヤ成型装置全体の正面図(図17の下から見た図)。各ドラム及び各トランスファー装置がそれぞれの待機位置にあるときの図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0012】
1.タイヤ成型装置の全体構成
本実施形態のタイヤ成型装置のレイアウトを図1に示す。このタイヤ成型装置は、カーカスドラム10、ベルトドラム11及びシェーピングドラム12を有している。カーカスドラム10、ベルトドラム11及びシェーピングドラム12は互いに離れた場所に配置されている。
【0013】
カーカスドラム10は、複数のセグメントが周状に並べられ全体として円筒状となった既知の構造のドラムである。複数のセグメントが一斉にドラム径方向に移動することにより、カーカスドラム10の外周面が拡径及び縮径する。このカーカスドラム10の外周面にインナーライナーやカーカス等が張り付けられて、円筒状のカーカスバンド1が成型される。カーカスバンド1はタイヤ部材の一種である。
【0014】
カーカスドラム10の回転軸が支持台54によって支持され、その支持台54が、後述するレールに沿って移動するための移動装置55に搭載されている。
【0015】
ベルトドラム11も、複数のセグメントが周状に並べられ全体として円筒状となった既知の構造のドラムである。複数のセグメントが一斉にドラム径方向に移動することにより、ベルトドラム11の外周面が拡径及び縮径する。このベルトドラム11の外周面にベルトやトレッド等が張り付けられて、円筒状のベルト部材2が成型される。ベルト部材2はタイヤ部材の一種である。ベルトドラム11の回転軸は支持台56によって支持されている。
【0016】
シェーピングドラム12はシェーピングを行うための既知の構造のドラムである。シェーピングドラム12の軸方向中央部が支持台57によって支持され、その支持台57が、後述するレールに沿って移動するための移動装置58に搭載されている。
【0017】
カーカスドラム10で成型されたカーカスバンド1はシェーピングドラム12に移送され、シェーピングドラム12の外周面にセットされる。また、ベルトドラム11で成型されたベルト部材2もシェーピングドラム12に移送され、シェーピングドラム12にセットされたカーカスバンド1の外周側に配置される。その状態でシェーピングが行われ、カーカスバンド1がトロイダル状にしたところにベルト部材2が貼り付けられて、生タイヤが成型される。
【0018】
また、タイヤ成型装置は第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14を有している。第1トランスファー装置13は、カーカスバンド1をカーカスドラム10から受け取ってシェーピングドラム12へ受け渡す装置である。第1トランスファー装置13は、複数のセグメントが円筒を形成するように周状に配置された既知の構造のもので、それらのセグメントが一斉に径方向に進退できるものである。複数のセグメントが内径側に進出することにより、カーカスバンド1を外径側から掴むことができる。
【0019】
第2トランスファー装置14は、ベルト部材2をベルトドラム11から受け取ってシェーピングドラム12へ受け渡す装置である。第2トランスファー装置14も、複数のセグメントが円筒を形成するように周状に配置された既知の構造のもので、それらのセグメントが一斉に径方向に進退できるものである。複数のセグメントが内径側に進出することにより、ベルト部材2を外形側から掴むことができる。
【0020】
これらのドラムやトランスファー装置が移動するためのレールとして、第1レール20、第2レール21、第3レール22及び第4レール23が設けられている。第1レール20、第2レール21及び第3レール22はいずれも直線状のレールで、平行に並んでいる。第4レール23は、直線状のレールで、第1レール20、第2レール21及び第3レール22と直交し平面視で交差している。
【0021】
第1レール20は2本で一対となったレールで、床上の台の上に配置されている。第1レール20は、少なくとも、カーカスドラム10の待機位置(図中にAで示す)から、第4レール23との交差部(図中にBで示す)まで延長されている。カーカスドラム10はこの第1レール20上を移動可能となっている。
【0022】
また、第2レール21も2本で一対となったレールで、床上の台の上に配置されている。第2レール21は、少なくとも、シェーピングドラム12の待機位置(図中にCで示す)から、第4レール23との交差部(図中にDで示す)まで延長されている。シェーピングドラム12は第2レール21上を移動可能となっている。
【0023】
また、第3レール22は2本で一対となったレールで、床上ではなく、上方に配置された上フレーム24(図7参照)の下面に設けられている。第3レール22は、少なくとも、シェーピングドラム12の待機位置Cから、第4レール23との交差部Dを超えて、ベルトドラム11の位置(図中にEで示す)まで延長されている。第2トランスファー装置14は第3レール22から吊り下がっており(詳細は図7及び図8参照)、第3レール22に沿って移動可能となっている。
【0024】
また、第4レール23も2本で一対となったレールで、床上ではなく、上方に配置された上フレーム(図示省略)の下面に設けられている。第4レール23は、第1トランスファー装置13の待機位置(図中にFで示す)から、第2レール21や第3レール22との交差部Dを超えて、第1レール20との交差部Bまで延長されている。第1トランスファー装置13は第4レール23から吊り下がっており、第4レール23に沿って移動可能となっている。
【0025】
そして、第1レール20と第4レール23との交差部Bが、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡し位置である。また、第2レール21と第4レール23との交差部Dが、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡し位置である。また、ベルトドラム11の位置Eは、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置でもある。また、シェーピングドラム12の待機位置Cは、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置でもある。
【0026】
このタイヤ成型装置において、カーカスドラム10は2つ設けられている。2つのカーカスドラム10は、軸方向を平行にして、逆向きで円形の回転テーブル15上に配置されている。カーカスドラム10が第4レール23とは反対側(図1の左側)にあるときに、カーカスドラム10の外周面にカーカスバンド1が成型される。その後、回転テーブル15が180°回転してそのカーカスドラム10が第4レール23側(図1の右側)に移動し、そのカーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡しのための動作が行われる。
【0027】
また、ベルトドラム11も2つ設けられている。2つのベルトドラム11は、軸方向を平行にして、逆向きで円形の回転テーブル16上に配置されている。ベルトドラム11が第2トランスファー装置14とは反対側(図1の右側)にあるときに、ベルトドラム11の外周面にベルト部材2が成型される。その後、回転テーブル16が180°回転してそのベルトドラム11が第2トランスファー装置14側(図1の左側)に移動し、そのベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡しのための動作が行われる。
【0028】
カーカスドラム10、ベルトドラム11、シェーピングドラム12、第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14は、回転テーブル15、16の回転中を除き、軸方向が同一方向を向くように配置されている。これらのドラム及びトランスファー装置の軸方向は、第1レール20、第2レール21及び第3レール22の延長方向と平行である。また、シェーピングドラム12、第2トランスファー装置14、及び第4レール23側のベルトドラム11は同軸上にある。
【0029】
2.タイヤ成型方法の概略
詳細な説明に入る前に、このようなタイヤ成型装置におけるタイヤの成型方法の概略を図1図6に基づき説明する。
【0030】
始めは、カーカスドラム10、ベルトドラム11、シェーピングドラム12、第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14は、図1に示すそれぞれの待機位置で待機している。このとき、既に外周面にカーカスバンド1が成型されたカーカスドラム10が第4レール23側に移動し終えているものとする。また、既に外周面にベルト部材2が成型されたベルトドラム11が、第2トランスファー装置14側に移動し終えているものとする。また第1トランスファー装置13がビード3を保持しているものとする。
【0031】
次に、図2に示すように、第1トランスファー装置13が待機位置Fから第1レール20と第4レール23との交差部Bまで移動し、その次にカーカスドラム10が同じ交差部Bまで移動する。このとき、第1トランスファー装置13の円形に並んだセグメントの内側にカーカスドラム10が侵入する。そして、第1トランスファー装置13のセグメントが縮径してカーカスバンド1を外径側から保持するとともに、カーカスドラム10のセグメントが縮径してカーカスバンド1を離す。これにより、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡しが完了する。
【0032】
この受け渡しの間に、第1トランスファー装置13では、カーカスバンド1の外径側にビード3が配置され、カーカスバンド1とビード3とが一体となる。以後、カーカスバンド1とビード3とは一体となって移動する。
【0033】
また、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡しと並行して、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡しも行われる。具体的には、ベルトドラム11が保持しているベルト部材2の外径側に第2トランスファー装置14が移動する。そして、第2トランスファー装置14のセグメント34(図7及び図8参照)が縮径してベルト部材2を外径側から保持するとともに、ベルトドラム11が縮径してベルト部材2を離す。ベルトドラム11からベルト部材2を受け取った第2トランスファー装置14は、ベルトドラム11付近の待機位置で待機している。
【0034】
次に、図3に示すように、カーカスドラム10がその待機位置Aに戻り、その次に第1トランスファー装置13がカーカスバンド1を保持したまま第4レール23と第2レール21との交差部Dへ移動する。
【0035】
次に、図4に示すように、シェーピングドラム12が第4レール23と第2レール21との交差部Dへ移動する。このとき、第1トランスファー装置13が保持しているカーカスバンド1の内側にシェーピングドラム12が侵入する。そして、シェーピングドラム12のセグメントが拡径してその外周面にカーカスバンド1を保持するとともに、第1トランスファー装置13のセグメントが拡径してカーカスバンド1を離す。これにより、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡しが完了する。
【0036】
次に、図5に示すように、シェーピングドラム12がカーカスバンド1を保持したまま待機位置Cへ戻り、その次に第1トランスファー装置13が待機位置Fへ戻る。
【0037】
次に、図6に示すように、第2トランスファー装置14がベルト部材2を保持したままシェーピングドラム12の待機位置Cへ移動する。これにより、シェーピングドラム12が保持しているカーカスバンド1の外周側にベルト部材2が配置される。その後、カーカスバンド1の軸方向中央部を膨張させるシェーピングが行われ、カーカスバンド1の外周面にベルト部材2が貼り付けられる。さらに、ビード3の位置でカーカスバンド1が折り返されるターンアップも行われる。それにより生タイヤが完成する。
【0038】
完成した生タイヤは、加硫成型用の金型(不図示)に挿入されて加硫成型される。加硫成型後、検査等の必要な工程を経て空気入りタイヤが完成する。
【0039】
3.第2トランスファー装置及びその周辺の構造
次に、第2トランスファー装置14の移動及び停止に関わる構成について説明する。
【0040】
図7及び図8に示すように、第2トランスファー装置14は、ベース板30の下面側に保持装置31及びサーボモータ32が固定されて出来ている。
【0041】
保持装置31は軸方向から見て円形の枠部材33と、枠部材33の内径側に設けられた複数のセグメント34とを有している。複数のセグメント34は枠部材33の内径に沿って円形に配置されている。これらのセグメント34は一斉に円が縮径する方向に進出したり、円が拡大する方向に後退したりする。これらのセグメント34が進出すると、セグメント34が形成する円の内側に配置されているベルト部材2を保持できる。保持装置31は薄い形状をしており、例えば、枠部材33の厚み(保持装置31の軸方向の長さ)は枠部材33の直径の1/3以下である。
【0042】
ベース板30の上面には複数のスライド部材38が図7に示すように2列になって固定されている。これらのスライド部材38が、第2トランスファー装置14の上方の2本の第3レール22をそれぞれ保持している。スライド部材38は第3レール22に対して摺動可能である。このような構造により、第2トランスファー装置14が2本の第3レール22に沿ってスライド可能となっている。
【0043】
また、第2トランスファー装置14の上方には、第3レール22と平行に延びるラック35が設けられている。また、第2トランスファー装置14のサーボモータ32の出力軸にはピニオン36が設けられている。そして、そのピニオン36がラック35と噛み合っている。このような構造のため、サーボモータ32が駆動すると、ピニオン36とラック35との作用により、第2トランスファー装置14全体が第3レール22に沿って移動する。第2トランスファー装置14の移動及び停止はサーボモータ32の制御によって行われる。
【0044】
第2トランスファー装置14のベース板30から、平面視で保持装置31の軸方向に直交する方向へ、第2トランスファー装置14の一部として延長部材37が延長されている。その延長部材37の延長先にセンサとしての第1レーザー変位計40が固定されている。また、保持装置31の枠部材33の下部には、センサとしての第2レーザー変位計41が固定されている。第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41は後述する反射体までの距離を測定するセンサである。
【0045】
一方、第2トランスファー装置14の停止位置である、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置Eと、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cでは、停止したときの第2トランスファー装置14と対向する場所に反射体が固定されている。
【0046】
ここで、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置Eにおける反射体の配置につき、図7及び図8に基づき説明する。受け渡し位置Eにおいて、第3レール22を保持している上フレーム24の側面に、上側反射体42が固定されている。上側反射体42は第3レール22よりも上側に位置しており、それにより上側反射体42の場所が第2トランスファー装置14の可動範囲の外となっている。つまり、第2トランスファー装置14が第3レール22に沿って移動して上側反射体42の下を通過したとしても第2トランスファー装置14が上側反射体42に当たらないようになっている。
【0047】
図8に示すように、上側反射体42には、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)に対して傾斜した反射面43が形成されている。この反射面43は、下向きで、かつ第2トランスファー装置14が向かって来る方向を向いている。また、この反射面43は、受け渡し位置Eに停止しているときの第2トランスファー装置14の第1レーザー変位計40の方向を向いている。
【0048】
一方、第1レーザー変位計40は、第2トランスファー装置14が受け渡し位置Eに停止しているときに上側反射体42の反射面43までの距離を測定する向きで固定されている。本実施形態では、第1レーザー変位計40の測定方向が上側反射体42の反射面43に対して垂直であるものとする。
【0049】
また、受け渡し位置Eの床上には下側反射体44が配置されている。下側反射体44は第2トランスファー装置14の可動範囲よりも下に配置されている。つまり、第2トランスファー装置14が第3レール22に沿って移動して下側反射体44の上を通過したとしても第2トランスファー装置14が下側反射体44に当たらないようになっている。
【0050】
下側反射体44には、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)に対して傾斜した反射面45が形成されている。この反射面45は、上向きで、かつ第2トランスファー装置14が向かって来る方向を向いている。また、この反射面45は、受け渡し位置Eに停止しているときの第2トランスファー装置14の第2レーザー変位計41の方向を向いている。
【0051】
一方、第2レーザー変位計41は、第2トランスファー装置14が受け渡し位置Eに停止しているときに下側反射体44の反射面45までの距離を測定する向きで固定されている。本実施形態では、第2レーザー変位計41の測定方向が下側反射体44の反射面45に対して垂直であるものとする。
【0052】
このような構成のため、第2トランスファー装置14が受け渡し位置Eで停止したときに、第1レーザー変位計40が上側反射体42の反射面43までの距離を測定するとともに、第2レーザー変位計41が下側反射体44の反射面45までの距離を測定することができる。第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41は記憶装置60(図10参照)に接続されており、第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41が測定した距離が記憶装置60に記憶される。
【0053】
同様に、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cにおいても、第2トランスファー装置14の可動範囲外の場所に、上記の上側反射体42と同形状の上側反射体(図示省略)と、上記の下側反射体44と同形状の下側反射体(図示省略)が配置されている。
【0054】
そして、第2トランスファー装置14が受け渡し位置Cで停止したときに、第1レーザー変位計40が上側反射体の反射面までの距離を測定するとともに、第2レーザー変位計41が下側反射体の反射面までの距離を測定することができる。そして第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41が測定した距離が記憶装置60に記憶される。
【0055】
また、保持装置31の枠部材33の下部、すなわち第2トランスファー装置14における第3レール22と反対側の部分には、位置決め装置の一部としての凹部50が形成されている。また、第2トランスファー装置14の停止位置、具体的にはベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置Eと、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cには、それぞれ、位置決め装置の一部としてのコッター51が設けられている。コッター51が設けられている場所は、詳細には、サーボモータ32の制御により停止位置C及びEにおいて第2トランスファー装置14が停止したときの、前記凹部50と対向する場所である。
【0056】
図9に示すように、コッター51は楔型の凸部である。このコッター51はシリンダ52によって進退する。第2トランスファー装置14が停止位置CやEに無いときは、図9に実線で示すように、コッター51は第2トランスファー装置14の可動範囲外に退避している。しかし、停止位置C及びEにおいて第2トランスファー装置14が停止すると、図9に二点鎖線で示すようにコッター51が凹部50に向かって進出して凹部50に嵌まる。それにより、第3レール22と反対側の場所において、第2トランスファー装置14の位置が固定される。
【0057】
サーボモータ32の駆動やコッター51の進退は不図示の制御部によって制御される。また、図10に示すように、記憶装置60には判定部61が接続され、判定部61には表示部62が接続されている。また、記憶装置60には第1レーザー変位計40や第2レーザー変位計41等のセンサが接続されている。
【0058】
4.第2トランスファー装置の移動及び停止
第2トランスファー装置14は、サーボモータ32が駆動することにより第3レール22に沿って移動し、サーボモータ32が停止することにより停止する。第2トランスファー装置14の停止位置はサーボモータ32の制御によって決まる。
【0059】
第2トランスファー装置14の停止について、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置Eにおける停止を例に説明する。まず、待機位置からベルトドラム11へ向かって第3レール22に沿って移動してきた第2トランスファー装置14は、サーボモータ32が停止することにより図8に示すように受け渡し位置Eにおいて停止する。
【0060】
次に、コッター51が上へ向かって進出し、枠部材33の凹部50に嵌まる。これにより、第2トランスファー装置14の移動が、サーボモータ32の停止という電気的手段で停止するのに加えて、位置決め装置という機械的手段でも停止する。また、第2トランスファー装置14の上部が第3レール22に保持されて停止するのに加えて、第2トランスファー装置14の下部もコッター51によって変位不能に停止する。
【0061】
次に、第1レーザー変位計40が上側反射体42の反射面43までの距離を測定し、測定結果を記憶装置60に送信する。また、第2レーザー変位計41が下側反射体44の反射面45までの距離を測定し、測定結果を記憶装置60に送信する。
【0062】
なお、第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41は、第2トランスファー装置14が停止する少し前から継続して測定を行っていても良い。その場合も、少なくとも、コッター51が凹部50に嵌まって第2トランスファー装置14が完全に停止したときの測定結果が、記憶装置60に送信される。
【0063】
多数の生タイヤを生産している間、第2トランスファー装置14は何度も受け渡し位置Eで停止する。第2トランスファー装置14が受け渡し位置Eで停止する度に、このようにして第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41の測定結果が記憶装置60に送信され、測定結果が蓄積されていく。
【0064】
ここで、第2トランスファー装置14が正規の停止位置で停止したときは、レーザー変位計40、41も正規の位置(図11に実線で示す位置)で停止する。しかし、第2トランスファー装置14が正規の停止位置からずれた位置で停止したときは、レーザー変位計40、41も正規の位置からずれた位置(例えば図11に二点鎖線で示す位置)で停止する。
【0065】
図11にL1及びL2で示すように、第2トランスファー装置14が正規の停止位置で停止したときと、正規の停止位置からずれた位置で停止したときとでは、レーザー変位計40、41から反射体42、44までの距離も変化することになる。そのため、第2トランスファー装置14の停止位置がずれてくると、レーザー変位計40、41により測定され記憶装置60に取得された測定結果も変化してくることになる。なお図11における矢印Mは第1レーザー変位計40の移動方向である。
【0066】
このように、第1レーザー変位計40と上側反射体42とが1組となって、第2トランスファー装置14の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置を構成している。また、第2レーザー変位計41と下側反射体44とが1組となって、同じく第2トランスファー装置14の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置を構成している。
【0067】
また、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cにおいても、上記と同様に第2トランスファー装置14が停止した後、第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41が上下の反射体の反射面までの距離を測定してそれらの測定結果を記憶装置60に送信する。第2トランスファー装置14が受け渡し位置Cで停止する度に、第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41の測定結果が記憶装置60に送信され、測定結果が蓄積されていく。
【0068】
判定部61は、記憶装置60に記憶された測定結果に基づき、第2トランスファー装置14の停止位置が正規の停止位置から許容範囲を超えてずれているか判定したり、第2トランスファー装置14の停止位置に変化の傾向があるか判定したりする。そしてその判定結果が表示部62に表示される。
【0069】
ただし、判定部61や表示部62が存在しなくても、記憶装置60に蓄積された測定結果を人が見ることにより、その人が、第2トランスファー装置14の停止位置が正規の位置から許容範囲を超えてずれていることや、第2トランスファー装置14の停止位置に変化の傾向があることに気付くことができる。
【0070】
5.実施形態の効果
次に本実施形態の効果について説明する。
【0071】
上記のように、本実施形態のタイヤ成型装置には凹部50とコッター51とを有する位置決め装置が設けられており、凹部50が第2トランスファー装置14における第3レール22と反対側の部分(つまり第2トランスファー装置14の保持装置31の下部)に設けられ、停止したときの第2トランスファー装置14と対向する場所にコッター51が設けられている。そして、第2トランスファー装置14が停止するとコッター51が進出して凹部50と嵌まり合う。そのため、第2トランスファー装置14が高速移動した後に急停止した場合でも、停止後に第2トランスファー装置14が揺れ続けることを防ぐことができる。
【0072】
ここで、第2トランスファー装置14の保持装置31が薄い形状の場合は、第2トランスファー装置14のうち第3レール22に保持されていない方の部分、すなわち保持装置31の下部が特に大きく揺れやすい。しかし、本実施形態では保持装置31の下部に凹部50が設けられており、その凹部50にコッター51が嵌まるため、保持装置31の下部の揺れを効果的に停止させることができる。
【0073】
また、本実施形態では第2トランスファー装置14の移動及び停止がサーボモータ32の制御によって行われるが、第2トランスファー装置14を、サーボモータ32の停止によって電気的に停止させるだけでなく、コッター51を使用して機械的に停止させることができる。
【0074】
そして、このように2つの方法で第2トランスファー装置14を停止させるため、一方に異常が生じた場合に、判定部61又は人がその異常に気付くことができる。例えば、サーボモータ32に異常が生じて第2トランスファー装置14が正規の位置で停止しなくなると、コッター51が凹部50に嵌まらなくなるため、判定部61又は人が異常に気付くことができる。また、コッター51の位置がずれる等のコッター51側の異常が生じると、コッター51が凹部50に嵌まったとしてもサーボモータ32の位置がずれる等の問題が生じるため、判定部61又は人が異常に気付くことができる。
【0075】
また、上記のように、停止したときの第2トランスファー装置14と対向する場所に上側反射体42及び下側反射体44が設けられ、第2トランスファー装置14に第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41が設けられている。そして、第1レーザー変位計40が上側反射体42までの距離を測定し、第2レーザー変位計41が下側反射体44までの距離を測定し、それぞれの測定結果が第2トランスファー装置14の停止位置の情報として取得される。
【0076】
このように、本実施形態によれば、タイヤ成型装置を停止させて点検しなくても、第2トランスファー装置14の停止位置の情報を取得することができる。そして、取得された情報に基づき、第2トランスファー装置14の停止位置が正規の位置から許容範囲を超えてずれていることや、第2トランスファー装置14の停止位置に変化の傾向があることに気付くことができる。第2トランスファー装置14の停止位置に変化の傾向があれば、第2トランスファー装置14の停止位置のずれが近い将来に許容範囲を超えることを事前に予測することができる。
【0077】
そのため、作業者が、第2トランスファー装置14が正規の位置で停止できるように、遅滞なく修理やメンテナンスをすることができる。例えば、コッター51が摩耗したりコッター51の位置がずれたりして第2トランスファー装置14の停止位置がずれたのであれば、作業者が、コッター51を新しくしたり、コッター51の位置を元に戻したりすれば良い。
【0078】
第2トランスファー装置14が正規の位置で停止することにより、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡しや、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡しが、常に、正規の位置で、正しい姿勢で行われることとなる。そのため、ベルト部材2を、シェーピングドラム12上のカーカスバンド1の正しい位置に、正しい姿勢で貼り付けることが常に可能となり、ひいては完成した空気入りタイヤのユニフォミティを良好にすることができる。
【0079】
ここで、第2トランスファー装置14の停止位置の情報を取得するためのセンサとして、第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41の2つのセンサが設けられているため、一方のセンサが故障すると2つのセンサの測定結果が整合しなくなり、一方のセンサが故障したことに判定部61又は人が気付くことができる。また、一方のセンサが故障しても、他方のセンサが正しい測定結果を取得し続けることができる。
【0080】
また、本実施形態では上側反射体42及び下側反射体44が第2トランスファー装置14の可動範囲外の場所に配置されているため、第2トランスファー装置14を上側反射体42及び下側反射体44の位置を通過させる制御を行うことがあったとしても、第2トランスファー装置14が上側反射体42や下側反射体44に衝突するおそれがない。
【0081】
また、本実施形態では上側反射体42の反射面43及び下側反射体44の反射面45が第3レール22の延長方向に対して傾斜している。そのため、図11に示すように、第2トランスファー装置14の第3レール22上での停止位置が異なると、第1レーザー変位計40から上側反射体42の反射面43までの距離及び第2レーザー変位計41から下側反射体44の反射面45までの距離が、それぞれ異なることとなる。そのため、第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41の測定距離に基づき、第2トランスファー装置14の停止位置の情報を確実に取得することができる。
【0082】
6.変更例
次に変更例について説明する。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0083】
(1)変更例1
タイヤ部材を保持して移動し停止するトランスファー装置として、上記実施形態で説明した第2トランスファー装置14の他に、第1トランスファー装置13もある。第1トランスファー装置13は、カーカスバンド1を保持して、第4レール23に沿って、第1トランスファー装置13の軸方向に直交する方向に移動する。
【0084】
この第1トランスファー装置13の停止位置の情報についても、上記実施形態と同様に取得することができる。すなわち、第1トランスファー装置13に上記実施形態と同様にレーザー変位計が設けられる。また、第1トランスファー装置13の停止位置である、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡し位置Bや、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡し位置Dにおいて、停止したときの第1トランスファー装置13と対向する場所に反射体が設けられる。
【0085】
そして、第1トランスファー装置13がそれらの停止位置に停止すると、レーザー変位計が反射体の反射面までの距離を測定し、その測定結果が記憶装置60に取得される。第1トランスファー装置13がそれらの停止位置に停止する毎に、レーザー変位計による測定結果が記憶装置60に取得され蓄積されていく。
【0086】
(2)変更例2
上記実施形態では第2トランスファー装置14に第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41が設けられ、第2トランスファー装置14の停止位置における第2トランスファー装置14と対向する場所に上側反射体42及び下側反射体44が設けられていたが、その逆でも良い。
【0087】
すなわち、第2トランスファー装置14に上側反射体42及び下側反射体44が設けられ、第2トランスファー装置14の停止位置における第2トランスファー装置14と対向する場所に第1レーザー変位計40及び第2レーザー変位計41が設けられていても良い。
【0088】
(3)変更例3
上側反射体42や下側反射体44までの距離を測定するセンサは、レーザー変位計に限定されない。センサとしては、波を発して反射体42、44で反射させることにより反射体42、44までの距離を測定できるものが好適である。センサが発する波として電磁波や音波等が挙げられ、電磁波として光、電波、X線等が挙げられる。
【0089】
(4)変更例4
第2トランスファー装置14に設けられるレーザー変位計の数は、上記実施形態のような2つに限定されず、1つであっても良いし3つ以上であっても良い。第2トランスファー装置14の停止位置には、第2トランスファー装置14に設けられているレーザー変位計の数と同数の反射体が設けられる。
【0090】
(5)変更例5
上記実施形態では、レーザー変位計40、41の測定方向が、反射体42、44の反射面43、45に対して垂直になっていたが、レーザー変位計40、41の測定方向が別の方向を向いていても良い。
【0091】
上記実施形態では、反射体42、44の反射面43、45は、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)に対して、第2トランスファー装置14が向かって来る方向を向くように傾斜している。
【0092】
この場合に、レーザー変位計40、41の測定方向が第3レール22の延長方向に垂直な方向になっていても良い。すなわち、第1レーザー変位計40の測定方向が上を向き、第2レーザー変位計41の測定方向が下を向いていても良い。
【0093】
第1レーザー変位計40の測定方向が上を向いている様子を図12に示す。なお図12における矢印Mは第2トランスファー装置14の移動方向である。
【0094】
第2トランスファー装置14が正規の停止位置で停止したときは、第1レーザー変位計40も正規の位置(図12に実線で示す位置)で停止する。しかし、第2トランスファー装置14が正規の停止位置からずれた位置で停止したときは、第1レーザー変位計40も正規の位置からずれた位置(例えば図12に二点鎖線で示す位置)で停止する。図12にL1及びL2で示すように、第2トランスファー装置14が正規の停止位置で停止したときと、正規の停止位置からずれた位置で停止したときとでは、第1レーザー変位計40から上側反射体42までの距離も変化することになる。そのため、第2トランスファー装置14の停止位置がずれてくると、第1レーザー変位計40により測定され記憶装置60に取得される測定結果も変化してくることになる。
【0095】
(6)変更例6
反射体の形状は、上記実施形態のように傾斜した反射面43、45を有する形状に限定されない。
【0096】
図13及び図14に示す変更例では、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置Eにおいて、第3レール22を保持している上フレーム24の側面に、上側反射体142が配置されている。上側反射体142は第3レール22よりも下側にまで延長されている。上側反射体142は、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)に対して垂直で第2トランスファー装置14が向かって来る方向を向いた反射面143を有している。この反射面143は、受け渡し位置Eに停止しているときの第2トランスファー装置14の第1レーザー変位計40の方向を向いている。
【0097】
一方、第1レーザー変位計40は、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)と同方向を向いており、それにより第1レーザー変位計40の測定方向が上側反射体142の反射面143に対して垂直になっている。
【0098】
また、受け渡し位置Eの床上の下側反射体144は上方へ向かって延長されている。下側反射体144は、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)に対して垂直で、第2トランスファー装置14が向かって来る方向を向いた反射面145を有している。この反射面145は、受け渡し位置Eに停止しているときの第2トランスファー装置14の第2レーザー変位計41の方向を向いている。
【0099】
一方、第2レーザー変位計41は、第3レール22の延長方向(第2トランスファー装置14の移動方向でもある)と同方向を向いており、それにより第2レーザー変位計41の測定方向が下側反射体144の反射面145に対して垂直になっている。
【0100】
このような構成のため、第2トランスファー装置14が受け渡し位置Eで停止したときに、第1レーザー変位計40が上側反射体142の反射面143までの距離を測定するとともに、第2レーザー変位計41が下側反射体144の反射面145までの距離を測定することができる。
【0101】
同様に、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cにおいても、上記の上側反射体142と同形状の上側反射体(図示省略)と、上記の下側反射体144と同形状の下側反射体(図示省略)が配置されている。そして、第2トランスファー装置14が受け渡し位置Cで停止したときに、第1レーザー変位計40が上側反射体の反射面までの距離を測定するとともに、第2レーザー変位計41が下側反射体の反射面までの距離を測定する構成となっている。
【0102】
(7)変更例7
上記実施形態ではレーザー変位計40、41から反射体42、44までの測定距離が記憶装置60に取得される構成となっている。しかし、レーザー変位計40、41から反射体42、44までの測定距離が、第3レール22上の所定位置(例えば第2トランスファー装置14の正規の停止位置)からの距離に変換され、その変換後の数値が記憶装置60に取得される構成でも良い。
【0103】
(8)変更例8
凹部50とコッター51とからなる位置決め装置は、第1トランスファー装置13の停止のためにも設けることができる。すなわち、第1トランスファー装置13に凹部50が形成され、停止したときの第1トランスファー装置13と対向する場所にコッター51が進退可能に設けられ、第1トランスファー装置13が停止するとコッター51が進出して凹部50に嵌まるように構成されていても良い。
【0104】
(9)変更例9
トランスファー装置13、14の位置決め装置は上記実施形態のものに限定されない。位置決め装置は、凹部と凸部とを有し、凹部と凸部の一方がトランスファー装置13、14に設けられ、他方が停止したときのトランスファー装置13、14と対向する場所に設けられ、前記凹部と前記凸部とが嵌まり合うことにより前記トランスファー装置の揺れを停止させる構造のものであれば良い。ただし、レール22、23とは反対側の場所で位置決めする構造であることが望ましい。
【0105】
上記実施形態では、第2トランスファー装置14に凹部50が設けられ、停止したときの第2トランスファー装置14と対向する場所に凸部としてのコッター51が設けられていたが、その逆でも良い。すなわち、トランスファー装置13、14に凸部が設けられ、停止したときのトランスファー装置13、14と対向する場所に凹部が設けられても良い。
【0106】
また、凹部と凸部の少なくともいずれか一方が進退可能になっていれば良い。
【0107】
1つの変更例の位置決め装置を図15及び図16に示す。この変更例では、第2トランスファー装置14の保持装置31の枠部材33の下部に、取付け部材350が設けられている。そして取付け部材350にカムフォロア351が設けられている。カムフォロア351は、取付け部材350から水平方向に突出した回転軸352と、回転軸352の先端に設けられ回転軸352に対して回転自在な回転部材353とからなる。このカムフォロア351が位置決め装置における凸部である。
【0108】
一方、第2トランスファー装置14が停止位置で停止したときにカムフォロア351と対向する場所にはU字部材354が設けられている。U字部材354はシリンダ52によって進退可能になっている。退避しているときのU字部材354は、第2トランスファー装置14に当たらない高さになっている。U字部材354の内側は位置決め装置における凹部であり、カムフォロア351の回転部材353が入ることができる。
【0109】
第2トランスファー装置14が停止位置で停止すると、図15に二点鎖線で示すようにU字部材354が進出して、U字部材354の内側にカムフォロア351の回転部材353が嵌まる。それにより第2トランスファー装置14の位置が固定され、また第2トランスファー装置14の揺れも収まる。
【0110】
なお、カムフォロア351の回転部材353は、U字部材354に当たると回転して力を逃がす。そのためこの変更例の場合、カムフォロア351やU字部材354が摩耗しにくい。
【0111】
(10)変更例10
タイヤ成型装置のレイアウトは図1図6のものに限定されない。ここではタイヤ成型装置のレイアウトの変更例について説明する。
【0112】
図17及び図18に示す変更例のレイアウトでは、2つのシェーピングドラム212が逆向きになって1つの回転テーブル216上に設けられている。さらに、回転テーブル216の一方側にカーカスドラム210が、回転テーブル216の他方側にベルトドラム211が配置されている。そして、一方のシェーピングドラム212とカーカスドラム210とが同軸上に並び、他方のシェーピングドラム212とベルトドラム211とが同軸上に並んでいる。
【0113】
さらに、前記一方のシェーピングドラム212とカーカスドラム210との間に第1トランスファー装置213が配置され、前記他方のシェーピングドラム212とベルトドラム211との間に第2トランスファー装置214が配置されている。第1トランスファー装置213は、カーカスバンド1をカーカスドラム210から受け取ってシェーピングドラム212へ受け渡す装置である。また、第2トランスファー装置214は、ベルト部材2をベルトドラム211から受け取ってシェーピングドラム212へ受け渡す装置である。
【0114】
このレイアウトのタイヤ成型装置でのタイヤ成型方法の概略は次の通りである。
【0115】
まず、カーカスドラム210上でカーカスバンド1が成型され、ベルトドラム211上でベルト部材2が成型される。次に、第1トランスファー装置213が待機位置からカーカスドラム210の位置Gまで移動し停止する。そしてこの位置Gでカーカスドラム210から第1トランスファー装置213へカーカスバンド1が受け渡される。
【0116】
次に、第1トランスファー装置213がシェーピングドラム212の位置Hまで移動し停止する。そしてこの位置Hで第1トランスファー装置213からシェーピングドラム212へカーカスバンド1が受け渡される。なお、この受け渡しのためにシェーピングドラム212がその軸方向へカーカスドラム210側へ移動しても良い。
【0117】
次に、回転テーブル216が180°回転して、カーカスバンド1を受け取ったシェーピングドラム212がベルトドラム211の方を向く。
【0118】
他方では、第2トランスファー装置214が待機位置からベルトドラム211の位置Iまで移動し停止する。そしてこの位置Iでベルトドラム211からシェーピングドラム212へベルト部材2が受け渡される。
【0119】
次に、第2トランスファー装置214が、カーカスバンド1を保持しているシェーピングドラム212の位置Jの位置まで移動し停止する。そしてこの位置Jで第2トランスファー装置214からシェーピングドラム212へベルト部材2が受け渡される。これにより、シェーピングドラム212が保持しているカーカスバンド1の外周側にベルト部材2が配置される。なお、この受け渡しのためにシェーピングドラム212がその軸方向へベルトドラム211側へ移動しても良い。
【0120】
次に、シェーピングドラム212上でシェーピングが行われ、カーカスバンド1とベルト部材2とが一体となって生タイヤが完成する。
【0121】
以上のようなタイヤ成型装置において、第1トランスファー装置213及び第2トランスファー装置214の少なくとも一方に、上記実施形態と同様に凹部50が設けられている。また、第1トランスファー装置213及び第2トランスファー装置214の停止位置G、H、I、Jの一部又は全部に、上記実施形態と同様にコッター51が進退可能に設けられている。そして、トランスファー装置が停止するとコッター51が進出して凹部50に嵌まり込み、トランスファー装置を位置決めするとともにトランスファー装置の揺れを停止させる。
【0122】
(11)変更例11
上記実施形態の位置決め装置は、凹部50が第2トランスファー装置14の下部に設けられ、第2トランスファー装置14を第3レール22と反対側の部分で停止させる構造のものであった。
【0123】
しかし、位置決め装置は、第2トランスファー装置14の揺れを停止させることができれば良い。従って、凹部(又は凸部)が第2トランスファー装置14のいずれかの部分に設けられ、停止したときの第2トランスファー装置14の前記凹部(又は凸部)と対向する場所に凸部(又は凹部)が設けられ、前記凹部と前記凸部とが嵌まり合う構造になっていれば良い。ただし、位置決め装置は第3レール22からは離れた場所に設けられる。
【0124】
例えば、上記実施形態のように第2トランスファー装置14の上方に第3レール22がある場合に、第2トランスファー装置14の保持装置31の側方部分(図7における保持装置31の左右の部分)又はその付近に凹部50が設けられ、第2トランスファー装置14が停止したときに凹部50と対向する場所にコッター51が設けられ、コッター51が凹部50に嵌まる構造であっても良い。
【符号の説明】
【0125】
1…カーカスバンド、2…ベルト部材、3…ビード、10…カーカスドラム、11…ベルトドラム、12…シェーピングドラム、13…第1トランスファー装置、14…第2トランスファー装置、15…回転テーブル、16…回転テーブル、20…第1レール、21…第2レール、22…第3レール、23…第4レール、24…上フレーム、31…保持装置、32…サーボモータ、33…枠部材、34…セグメント、35…ラック、36…ピニオン、37…延長部材、38…スライド部材、40…第1レーザー変位計、41…第2レーザー変位計、42…上側反射体、43…反射面、44…下側反射体、45…反射面、50…凹部、51…コッター、52…シリンダ、54…支持台、55…移動装置、56…支持台、57…支持台、58…移動装置、60…記憶装置、61…判定部、62…表示部、142…上側反射体、143…反射面、144…下側反射体、145…反射面、210…カーカスドラム、211…ベルトドラム、212…シェーピングドラム、213…第1トランスファー装置、214…第2トランスファー装置、216…回転テーブル、350…取付け部材、351…カムフォロア、352…回転軸、353…回転部材、354…U字部材
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