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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ディスク型ヒューズ
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/175 20060101AFI20230912BHJP
   H01H 85/11 20060101ALI20230912BHJP
   H01H 85/157 20060101ALI20230912BHJP
   H01H 85/08 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01H85/175
H01H85/11
H01H85/157
H01H85/08
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019115676
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2019220469
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】16/014,334
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリア リリー イー. ロシオス
(72)【発明者】
【氏名】アルバート エンリケス
(72)【発明者】
【氏名】トッド ディーチ
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー ジョーラー
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106207252(CN,A)
【文献】特開2002-245923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/04 - 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビアを有する電気絶縁性の基板であって、前記ビアは前記基板を貫いて形成され、前記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、電気絶縁性の基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配置される導電性の第1の端子と、
前記基板の前記第2の表面上に配置される導電性の第2の端子であって、前記第2の端子は、前記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、前記第2の端子は前記内縁から延在する可溶部をさらに含み、前記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子とを備え、
前記基板は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、前記ビアは、前記第1の端子と前記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている
ディスク型ヒューズであって、
前記可溶部は第1の可溶部であり、前記第1の端子は、前記第1の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、前記ディスク型ヒューズは、前記第1の端子の前記外側部分の前記内縁から延在する第2の可溶部をさらに有する
ディスク型ヒューズ。
【請求項2】
前記第2の端子上に配置され、かつ前記可溶体を被覆している電気絶縁性のコンフォーマルコーティングをさらに備える、請求項1に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項3】
前記可溶部は前記外側部分と同一平面上にある、請求項1または2に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項4】
前記基板、前記第1の端子、および前記第2の端子は環状である、請求項1から3のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項5】
前記基板、前記第1の端子、および前記第2の端子は同軸であり、前記第1の端子および前記第2の端子の直径は前記基板の直径よりも小さい、請求項4に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項6】
前記接続パッドは環状であり、前記ビアおよび前記接続パッドは導電性材料で少なくとも部分的に充填されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項7】
前記可溶体は第1の金属で形成されており、前記ディスク型ヒューズは、第2の金属で形成され、前記可溶体上に配置されるスポットをさらに有し、前記第2の金属の融点は、前記第1の金属の融点よりも低い、請求項1から6のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項8】
前記可溶部は第1の可溶部であり、前記ディスク型ヒューズは、前記外側部分の前記内縁から延在する第2の可溶部をさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項9】
前記第2の端子は環状であり、前記可溶体は、前記外側部分の前記内縁に沿って延在し、前記外側部分の前記内縁から半径方向に離間している曲線形状を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
【請求項10】
ビアを有する電気絶縁性の基板であって、前記ビアは前記基板を貫いて形成され、前記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、電気絶縁性の基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配置される導電性の第1の端子と、
前記基板の前記第2の表面上に配置される導電性の第2の端子であって、前記第2の端子は、前記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、前記第2の端子は前記内縁から延在する可溶部をさらに含み、前記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子とを備え、
前記基板は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、前記ビアは、前記第1の端子と前記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしており、
前記第2の端子は環状であり、前記可溶体は、前記外側部分の前記内縁に沿って延在し、前記外側部分の前記内縁から半径方向に離間している曲線形状を含む、
ディスク型ヒューズ。
【請求項11】
ビアを有する電気絶縁性の基板を設ける段階であって、前記ビアは前記基板を貫いて形成され、前記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、段階と、
前記基板の前記第1の表面上に導電性の第1の端子を配置する段階と、
前記基板の前記第2の表面上に導電性の第2の端子を配置する段階であって、前記第2の端子は、前記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、前記第2の端子は前記内縁から延在する可溶部をさらに含み、前記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、段階と
を備え、
前記基板は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、前記ビアは、前記第1の端子と前記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしており、
前記第2の端子は環状であり、前記可溶体は、前記外側部分の前記内縁に沿って延在し、前記外側部分の前記内縁から半径方向に離間している曲線形状を含む
ディスク型ヒューズを形成する方法。
【請求項12】
前記可溶体を被覆する電気絶縁性のコンフォーマルコーティングを前記第2の端子上に配置する段階をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接続パッドは環状であり、前記方法は、前記ビアおよび前記接続パッドを導電性材料で少なくとも部分的に充填する段階をさらに備える、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板の前記第2の表面上に前記第2の端子を配置する段階は、前記基板の前記第2の表面上に導電性材料を積層し、前記導電性材料をエッチングして、前記外側部分および前記可溶部を画定する段階を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記可溶体は第1の金属で形成されており、前記方法は、第2の金属で形成されるスポットを前記可溶体上に配置する段階をさらに備え、前記第2の金属の融点は、前記第1の金属の融点よりも低い、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記可溶部は第1の可溶部であり、前記方法は、前記外側部分の前記内縁から延在する第2の可溶部を形成する段階をさらに備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記可溶部は前記外側部分と同一平面上にある、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記基板、前記第1の端子、および前記第2の端子は環状であり、また互いに同軸であり、前記第1の端子および前記第2の端子の直径は前記基板の直径よりも小さい、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して回路保護装置の分野に関し、より詳細には電池セルでの使用に適したディスク型ヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子装置は、所望の電圧出力を得るために互いに並列または直列に配置接続された、複数の別個の電池セル(たとえば、円筒形リチウムイオン二次電池)を備える電池パックによって電力を供給されている。電池パックの充電または放電中に、電池パックと電子装置との間に過剰電流が流れるようなことがあれば、電子装置および/または電池パックは損傷を受ける恐れがある。このため、電池パックにおいて過電流保護を行うための種々の装置が使用されている。これらには、故障状態が発生した場合に電流を減ずるように適合された種々の正温度係数(PTC)装置およびヒューズ装置が含まれる。しかしながらかかる装置は、低い保持電流、欠陥のある電池セルを永久的に使用不可にする機能がないこと、および電池パックの全体的なサイズを増大させるスペース要件を含む数多くの欠点を伴うものである。
【0003】
上記を考慮すると、過電流状態(たとえば、電池パックのセル内の内部短絡)の発生時に電池パックと電子装置との間を流れる電流を迅速に抑制する一方で、通常動作時には高い保持電流を容易に流すようにする機構を提供することが望ましい。電池パックの別個のセルに実装することにより、欠陥のある電池セルを永久的に使用不可にするような形態で、過電流状態に対する安定した迅速な対応を容易にすることができるような機構を提供することが、さらに望ましい。電池パックのサイズを増大させることなくかかる機構を実装することも、さらに望ましい。
【0004】
本改良が有用となる可能性があるのは、これらおよび他の考慮事項に対してである。
【発明の概要】
【0005】
以下の「発明を実施するための形態」にさらに記載している概念からの抜粋を簡略化した形式で紹介するために、この概要を提供する。この概要には、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定する意図はなく、また特許請求される主題の範囲を決定するにあたり、その支援を行う意図もない。
【0006】
本開示によるディスク型ヒューズの典型的な一実施形態は、ビアを有する電気絶縁性の基板であって、上記ビアは上記基板を貫いて形成され、上記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、電気絶縁性の基板と、上記基板の上記第1の表面上に配置される導電性の第1の端子と、上記基板の上記第2の表面上に配置される導電性の第2の端子であって、上記第2の端子は、上記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、上記第2の端子は上記内縁から延在する可溶部をさらに含み、上記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子とを備えていてもよく、上記基板は、上記第1の端子と上記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、上記ビアは、上記第1の端子と上記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている。
【0007】
本開示によるディスク型ヒューズの典型的な別の実施形態は、ビアを有する環状の電気絶縁性の基板であって、上記ビアは上記基板を貫いて形成され、上記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、環状の電気絶縁性の基板と、上記基板の上記第1の表面上に配置される環状かつ導電性の第1の端子であって、上記第1の端子は上記基板と同軸であり、上記第1の端子の直径は上記基板の直径よりも小さい、第1の端子と、上記基板の上記第2の表面上に配置される導電性の第2の端子であって、上記第2の端子は上記基板と同軸であり、上記第2の端子の直径は上記基板の直径よりも小さく、上記第2の端子は、上記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する環状の外側部分を含み、また、上記第2の端子は上記内縁から延在する第1および第2の可溶部をさらに含み、上記第1および第2の可溶部はそれぞれ上記外側部分と同一平面上にあり、かつ接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子と、上記第2の端子上に配置され、かつ上記第1および第2の可溶部の上記可溶体を被覆している、環状の電気絶縁性のコンフォーマルコーティングとを備えていてもよく、上記基板は、上記第1の端子と上記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、上記ビアは、上記第1の端子と上記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている。
【0008】
本開示による方法の典型的な一実施形態は、ビアを有する電気絶縁性の基板であって、上記ビアは上記基板を貫いて形成され、上記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、電気絶縁性の基板を設けることと、上記基板の上記第1の表面上に導電性の第1の端子を配置することと、上記基板の上記第2の表面上に導電性の第2の端子を配置することであって、上記第2の端子は、上記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、上記第2の端子は上記内縁から延在する可溶部をさらに含み、上記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子を配置することとを含んでいてもよく、上記基板は、上記第1の端子と上記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、上記ビアは、上記第1の端子と上記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の典型的な一実施形態による、ディスク型ヒューズを図示する上面図である。
【0010】
図1B図1Aに示したディスク型ヒューズを図示する側面図である。
【0011】
図1C図1Aに示したディスク型ヒューズを図示する分解図である。
【0012】
図2図1Aに示したディスク型ヒューズの一代替実施形態を図示する分解図である。
【0013】
図3図1Aに示したディスク型ヒューズの別の代替実施形態を図示する分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示によるディスク型ヒューズおよびその製造方法の実施形態について、その中でディスク型ヒューズおよび付随する方法の好ましい実施形態を提示している添付の図面を参照しながら、以下でより詳細に説明するものとする。しかしながら、本開示のディスク型ヒューズおよび付随する方法を多くの異なる形態で具体化することができるため、これらが本明細書に記載の特定の実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、本開示がディスク型ヒューズおよび付随する方法に関するいくつかの典型的な態様を当業者に伝達するように、これらの実施形態を提供する。これらの図面では、特記しない限り、全体を通して類似の番号が類似の要素を指している。
【0015】
図1A図1Cを参照すると、本開示の典型的な一実施形態によるディスク型ヒューズ10の上面図、側面図、および分解図が示されている。便宜上、かつ明確さを期すために、「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「上方」、「下方」、「垂直」、「半径方向」、「外側」、および「内側」などの用語を本明細書で使用して、図1A図1Cに見られるディスク型ヒューズ10の幾何学的配置および向きに対して、ディスク型ヒューズ10およびその種々の構成要素の相対的位置および相対的向きをすべて表すことができる。上記用語は、具体的に言及される単語、その派生語、および類似の意味の単語を含む。
【0016】
図1A図1Cに図示した典型的なディスク型ヒューズ10は、垂直積層構造で配置され、かつディスク型ヒューズ10を貫通する1または複数の過電流保護された電気経路を設けるように構成された、導電性材料および電気絶縁性材料からなるいくつかの層を備えていてもよい。たとえば、ディスク型ヒューズ10は、電気絶縁性の基板12と、基板12の第1の表面または底面に配置される導電性の第1の端子または下側端子14と、基板12の第2の表面または上面に配置される導電性の第2の端子または上側端子16と、上側端子16の上面に配置される電気絶縁性の保護用コンフォーマルコーティング18とを備えていてもよい。ディスク型ヒューズ10の各層は、その中に中央貫通孔が形成された環状形状を有し、組み立て後のディスク型ヒューズ10に中央貫通孔20を設けて、電池ガスが中央貫通孔を通って放出されるのを可能にするものとして図示されている。これに限定する意図はなく、ディスク型ヒューズ10の種々の層が、本開示の範囲から逸脱することなく種々の代替形状を有してもよいと考えられる。たとえば、ディスク型ヒューズ10に関する種々の実施形態が考えられ、ディスク型ヒューズ10の層のうち1または複数の層の形状が長方形、楕円形、または不規則形状であってもよく、かつ/または中央貫通孔が形成されていなくてもよい。
【0017】
貫通孔22を(上述のように)画定する環状形状を有してよい基板12は、電気絶縁性材料で形成されてよい。特定の一実施形態では、FR-4などのガラス強化エポキシ積層材料で基板12を形成してもよい。これに限定する意図はなく、種々のプラスチックおよび複合材料を含むがこれらに限定されない他の種々の電気絶縁性材料で、基板12を代替的に形成してもよいと考えられる。非限定的な一実施形態では、基板12の直径Dは13.8ミリメートル~14.8ミリメートルの範囲にあってもよい。
【0018】
基板12は、基板12を貫通して形成されるビア24、26を有していてもよく、ビア24、26はそれぞれ、基板12の上面から基板12の底面まで延在している。以下に、より詳細に記載しているように、たとえば電解めっきプロセスを使用して、導電性材料(たとえば、スズ、銅、ニッケルなど)でビア24、26の側壁28、30をめっきまたは被覆してもよい。あるいは、ビア24、26を導電性材料で完全にまたは部分的に充填してもよい。このように、基板12を通って垂直に延在する導電経路を、ビア24、26によって形成することができる。円形の2つのビア24、26を有する基板12を図示しており、ビア24、26のそれぞれが、貫通孔22と基板12の外周部との中間に半径方向に配置されている。これに限定する意図はなく、ディスク型ヒューズ10に関する種々の代替実施形態では、ビア24、26の数、形状、および位置を変更してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、基板12は代替的にビアを1つのみ有するか、または3つ以上有してもよい。いくつかの実施形態では、ビアのうち1または複数の形状は長方形、三角形、または不規則形状であってもよい。
【0019】
ディスク型ヒューズ10の下側端子14は導電性材料で形成されていてもよく、また貫通孔32を画定している環状形状を有していてもよい(上述のように)。貫通孔32を、基板12の貫通孔22と実質的に位置合わせ(たとえば、同軸にする)してもよい。下側端子14は、ビア24、26の下端と、これらと電気的に連通するように、接触して配置されてもよく、またいくつかの実施形態では、同様にビア24、26の下端に結合されてもよい。
【0020】
特定の一実施形態では、基板12の底面に積層クラッドされる銅から下側端子14を形成してもよい。これに限定する意図はなく、ニッケル、銀、金などを含むがこれらに限定されない他の種々の導電性材料で、下側端子14を形成してもよいと考えられる。種々の実施形態では、印刷、電解析出、またはフォトリソグラフィのうち1または複数を含むがこれらに限定されない種々のプロセスを使用して、下側端子14を基板12の底面に堆積してもよい。種々のエッチングプロセスを使用して、下側端子14のいくつかの機構を画定してもよい。他の種々の実施形態では、下側端子14は、基板12とは完全に別個に形成され、その後基板12の底面に対して平坦に隣接して配置され、任意選択によりこれに固定される独立構造体であってもよい。非限定的な一実施形態では、下側端子14の直径Dltは13.4ミリメートル~14.4ミリメートルの範囲にあってもよく、Dltは基板の直径Dよりも小さい。
【0021】
ディスク型ヒューズ10の上側端子16は導電性材料で形成されていてもよく、また貫通孔36を画定している環状形状を有する外側部分34を含んでもよい(上述のように)。貫通孔36を、基板12の貫通孔22と実質的に位置合わせ(たとえば、同軸にする)してもよい。上側端子16は、外側部分34の内縁から延在する可溶部38、40をさらに含んでもよい。これらの可溶部38、40は外側部分34と実質的に同一平面上にあってもよく、各接続パッド38b、40bで終端する可溶体38a、40aをそれぞれ含んでいてもよい。これらの可溶体38a、40aをそれぞれ、外側部分34の内縁に沿って延在し、そこから半径方向に離間している曲線形状を含むものとして示している。これに限定する意図はなく、これらの可溶体38a、40aのうち一方または両方は、示している形態とは異なる種々の形状、構成、および/または向きを有してもよいと考えられる。2つの可溶部38、40を有するものとして上側端子16を示しているが、上側端子16が可溶部を1つのみ有するか、または3つ以上有するような、ディスク型ヒューズ10の代替実施形態が考えられる。
【0022】
可溶部38、40の接続パッド38b、40bはそれぞれ、ビア24、26の上端と、これらと電気的に連通するように、接触して配置されてもよく、またいくつかの実施形態では、同様にビア24、26の上端に結合されてもよい。非限定的な一例では、環状形状を含むものとして接続パッド38b、40bを示しているが、これらは貫通孔42、44をそれぞれ含んでいてもよく、これらの貫通孔42、44を、上述のようにビア24、26を充填またはめっきしている導電性材料と同じ材料で充填またはめっきしてもよい。他の実施形態では、接続パッド38b、40bは完全に中実であってもよく(すなわち、それを貫通する貫通孔42、44がない)、またこれらを、ビア24、26を充填またはめっきしている導電性材料(上述の)に接触して配置してもよく、任意選択によりこれに接続してもよい。
【0023】
特定の一実施形態では、基板12の上面に積層クラッドされる銅から上側端子16を形成してもよい。これに限定する意図はなく、ニッケル、銀、金などを含むがこれらに限定されない他の種々の導電性材料で、上側端子16を形成してもよいと考えられる。種々の実施形態では、印刷、電解析出、またはフォトリソグラフィのうち1または複数を含むがこれらに限定されない種々のプロセスを使用して、上側端子16を基板12上に堆積してもよい。種々の実施形態では、種々のエッチングプロセスを使用して、可溶部38、40を含む上側端子16のいくつかの機構を画定してもよい。他の種々の実施形態では、上側端子16は、基板12とは完全に別個に形成され、その後基板12の上面に対して平坦に隣接して配置され、任意選択によりこれに固定される独立構造体であってもよい。非限定的な一実施形態では、上側端子16の直径Dutは13.4ミリメートル~14.4ミリメートルの範囲にあってもよく、Dutは基板の直径Dよりも小さい。
【0024】
可溶部38、40の可溶体38a、40aは、可溶体38a、40aを流れる電流量が所定の値を超えた場合に溶断またはその他の方法で分離するように構成されてよい。この所定の値をディスク型ヒューズ10の「定格」または「容量」と呼ぶ場合がある。ディスク型ヒューズ10の定格は、可溶体38a、40aの寸法と、可溶体38a、40aを形成している材料(複数可)とを含むがこれらに限定されない種々の要因に依存し得る。たとえば、可溶体38a、40aをより薄くかつ/または狭小化することによって、定格をより低くすることができる。さらに、図2に示すディスク型ヒューズ10の代替実施形態を参照すると、「メトカルフスポット」と呼ばれることもある1または複数の異種金属スポット46、48を、可溶体38a、40aのうち一方または両方において、故障状態が発生した場合に可溶体38a、40aが分離するのに適している可能性のある領域(たとえば、可溶体38a、40aの長手方向中心部)に付着することができる。異種金属スポット46、48を、たとえばニッケル、インジウム、銀、またはスズのうち1または複数から形成してもよい。異種金属スポット46、48の融点は、可溶体38a、40aの母材(たとえば、銅)の融点よりも低くてもよい。したがって、異種金属スポット46、48は可溶体38a、40aよりも速く溶融し、可溶体38a、40aの母材内に拡散することができる。一方から他方への拡散により、母材よりも低い融点と母材よりも高い抵抗とを伴う金属間化合相が形成され、その結果、異種金属スポット46、48を施さない場合に発生し得る過電流レベルよりも低い過電流レベルで可溶体38a、40aが溶断するように、母材と異種金属とを選定している。
【0025】
再度図1A図1Cを参照すると、ディスク型ヒューズ10のコンフォーマルコーティング18は電気絶縁性材料で形成されていてもよく、また貫通孔50を画定している環状形状を含んでいてもよい(上述のように)。コンフォーマルコーティング18は可溶体38a、40aを被覆していてもよく、また、通常なら可溶体38a、40aの動作特性を損なったり、これに影響を及ぼしたりする可能性のある粒子状物質および他の汚染物質から、可溶体38a、40aをシールドしてもよい。種々の非限定的な実施形態では、コンフォーマルコーティング18は、上側端子16および基板12の上面に印刷、噴霧またはその他の方法で付着された電気絶縁性のエポキシ樹脂であってもよい。他の実施形態では、コンフォーマルコーティング18は、上側端子16および/または基板12に固定される、独立した自立型部材(たとえば、電気絶縁性材料で形成される別個のディスク)であってもよい。
【0026】
コンフォーマルコーティング18は上側端子16と同軸であり、その直径Dccは11.2ミリメートル~11.5ミリメートルの範囲にあってもよく、Dccを上側端子の直径Dutよりも小さくすることにより、外側部分34の環状の半径方向最外接触部分52(図1A)を露出させて、上側端子16から別の回路構成要素(たとえば、円筒形電池セルの上部キャップ)への電気的接続が容易に行われるようにしてもよい。これに限定する意図はなく、他の種々の実施形態では、コンフォーマルコーティング18がカット、エッチング、またはその他の方法で除去されることにより、外側部分34の下層の表面が露出する可能性のある1または複数の分離した領域を除いて、上側端子16の実質的に全体をコンフォーマルコーティング18で被覆してもよいと考えられる。下側端子14の下面にコンフォーマルコーティング18と類似したコンフォーマルコーティングを施すような、ディスク型ヒューズ10に関するさらに別の実施形態が考えられる。
【0027】
典型的な一実装形態では、上側端子16の露出部分52を円筒形電池セルの上部キャップへと電気的に接続し、また下側端子14を円筒形電池セルの底部キャップへと電気的に接続する状態で、円筒形電池セル(図示せず)にディスク型ヒューズ10を取り付けてもよい。通常動作時に、電流は底部キャップから下側端子14へと流れ、ビア24、26を介して接続パッド38b、40bへと流れ、可溶体38a、40aを介して外側部分34へと、さらには最終的に上側端子16へと流れてもよい。また、電流はこれらの構成要素を逆の順序で流れてもよい(たとえば、電池セルを充電している場合)。過電流状態の場合には、可溶体38a、40aを通って流れる電流量がディスク型ヒューズ10の定格または容量を超える可能性があり、その場合、可溶体38a、40aは分離してもよい。これにより、ディスク型ヒューズ10を通って電池セルの底部キャップと上部キャップとの間を流れる電流は永久的に停止され、したがって接続された電気的構成要素および/または装置への損傷が防止または軽減される。
【0028】
図1A図1Cに示すディスク型ヒューズ10の可溶部38、40は、電気的に並列配置されている。これに限定する意図はなく、可溶部が互いに電気的に直列配置され得るような、ディスク型ヒューズ10に関する種々の代替実施形態が考えられる。たとえば、図3を参照すると、ディスク型ヒューズ10の典型的な一代替実施形態が示されており、下側端子14および上側端子16はそれぞれ単一の可溶部38、40を含み、これらの可溶部38、40は基板12のビア24によって、互いに電気的に直列接続されている。なお、ディスク型ヒューズ10に関する典型的な本実施形態における下側端子14には、その底面に配置されるコンフォーマルコーティング60を施してもよく、このコンフォーマルコーティング60は、上述のコンフォーマルコーティング18と実質的に類似であってもよい。
【0029】
本明細書で使用する場合、単数形で列挙され、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語で始まる要素またはステップについては、複数形に関する除外が明記されない限り、複数の要素またはステップを除外しないものと理解すべきである。また、本開示の「一実施形態」への言及は、列挙した特徴をやはり組み込んだ、追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0030】
本開示では特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲(複数可)に定められる本開示の領域および範囲から逸脱することなく、記載している実施形態に対する多くの修正、変更および改変をなすことができる。したがって、本開示は記載している実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲の文言と、その均等物とによって定められる全範囲を有することを意図している。
(項目1)
ビアを有する電気絶縁性の基板であって、前記ビアは前記基板を貫いて形成され、前記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、電気絶縁性の基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配置される導電性の第1の端子と、
前記基板の前記第2の表面上に配置される導電性の第2の端子であって、前記第2の端子は、前記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、前記第2の端子は前記内縁から延在する可溶部をさらに含み、前記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子とを備え、
前記基板は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、前記ビアは、前記第1の端子と前記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている、
ディスク型ヒューズ。
(項目2)
前記第2の端子上に配置され、かつ前記可溶体を被覆している電気絶縁性のコンフォーマルコーティングをさらに備える、項目1に記載のディスク型ヒューズ。
(項目3)
前記可溶部は前記外側部分と同一平面上にある、項目1または2に記載のディスク型ヒューズ。
(項目4)
前記基板、前記第1の端子、および前記第2の端子は環状である、項目1から3のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
(項目5)
前記基板、前記第1の端子、および前記第2の端子は同軸であり、前記第1の端子および前記第2の端子の直径は前記基板の直径よりも小さい、項目4に記載のディスク型ヒューズ。
(項目6)
前記接続パッドは環状であり、前記ビアおよび前記接続パッドは導電性材料で少なくとも部分的に充填されている、項目1から5のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
(項目7)
前記可溶体は第1の金属で形成されており、前記ディスク型ヒューズは、第2の金属で形成され、前記可溶体上に配置されるスポットをさらに有し、前記第2の金属の融点は、前記第1の金属の融点よりも低い、項目1から6のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
(項目8)
前記可溶部は第1の可溶部であり、前記ディスク型ヒューズは、前記外側部分の前記内縁から延在する第2の可溶部をさらに有する、項目1から7のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
(項目9)
前記可溶部は第1の可溶部であり、前記第1の端子は、前記第1の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、前記ディスク型ヒューズは、前記第1の端子の前記外側部分の前記内縁から延在する第2の可溶部をさらに有する、項目1から8のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
(項目10)
前記第2の端子は環状であり、前記可溶体は、前記外側部分の前記内縁に沿って延在し、前記外側部分の前記内縁から半径方向に離間している曲線形状を含む、項目1から9のいずれか一項に記載のディスク型ヒューズ。
(項目11)
ビアを有する環状の電気絶縁性の基板であって、前記ビアは前記基板を貫いて形成され、前記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、環状の電気絶縁性の基板と、
前記基板の前記第1の表面上に配置される環状の導電性の第1の端子であって、前記第1の端子は前記基板と同軸であり、前記第1の端子の直径は前記基板の直径よりも小さい、第1の端子と、
前記基板の前記第2の表面上に配置される導電性の第2の端子であって、前記第2の端子は前記基板と同軸であり、前記第2の端子の直径は前記基板の直径よりも小さく、前記第2の端子は、前記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する環状の外側部分を含み、また、前記第2の端子は前記内縁から延在する第1および第2の可溶部をさらに含み、前記第1および第2の可溶部はそれぞれ前記外側部分と同一平面上にあり、かつ接続パッドで終端する可溶体を含む、第2の端子と、
前記第2の端子上に配置され、かつ前記第1および第2の可溶部の前記可溶体を被覆している、環状の電気絶縁性のコンフォーマルコーティングとを備え、
前記基板は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、前記ビアは、前記第1の端子と前記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている、
ディスク型ヒューズ。
(項目12)
ビアを有する電気絶縁性の基板を設ける段階であって、前記ビアは前記基板を貫いて形成され、前記基板の第1の表面と第2の表面との間に延在する、段階と、
前記基板の前記第1の表面上に導電性の第1の端子を配置する段階と、
前記基板の前記第2の表面上に導電性の第2の端子を配置する段階であって、前記第2の端子は、前記第2の端子において貫通孔を画定している内縁を有する外側部分を含み、また、前記第2の端子は前記内縁から延在する可溶部をさらに含み、前記可溶部は接続パッドで終端する可溶体を含む、段階と
を備え、
前記基板は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に電気絶縁性のバリアをもたらし、前記ビアは、前記第1の端子と前記接続パッドとの間に電気的接続をもたらしている、
ディスク型ヒューズを形成する方法。
(項目13)
前記可溶体を被覆する電気絶縁性のコンフォーマルコーティングを前記第2の端子上に配置する段階をさらに備える、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記接続パッドは環状であり、前記方法は、前記ビアおよび前記接続パッドを導電性材料で少なくとも部分的に充填する段階をさらに備える、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
前記基板の前記第2の表面上に前記第2の端子を配置する段階は、前記基板の前記第2の表面上に導電性材料を積層し、前記導電性材料をエッチングして、前記外側部分および前記可溶部を画定する段階を含む、項目12から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記可溶体は第1の金属で形成されており、前記方法は、第2の金属で形成されるスポットを前記可溶体上に配置する段階をさらに備え、前記第2の金属の融点は、前記第1の金属の融点よりも低い、項目12から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記可溶部は第1の可溶部であり、前記方法は、前記外側部分の前記内縁から延在する第2の可溶部を形成する段階をさらに備える、項目12から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記可溶部は前記外側部分と同一平面上にある、項目12から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記第2の端子は環状であり、前記可溶体は、前記外側部分の前記内縁に沿って延在し、前記外側部分の前記内縁から半径方向に離間している曲線形状を含む、項目12から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記基板、前記第1の端子、および前記第2の端子は環状であり、また互いに同軸であり、前記第1の端子および前記第2の端子の直径は前記基板の直径よりも小さい、項目12から19のいずれか一項に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3