(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】棚
(51)【国際特許分類】
A47B 47/00 20060101AFI20230912BHJP
A47B 96/06 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A47B47/00
A47B96/06 B
A47B96/06 E
(21)【出願番号】P 2019013742
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-006250(JP,A)
【文献】特開2017-093925(JP,A)
【文献】特開2001-327339(JP,A)
【文献】特開2013-165769(JP,A)
【文献】実開昭58-195565(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/58
A47B 57/34
A47B 57/50
A47B 47/00-47/06
A47B 63/00
A47F 5/00- 8/02
A47B 96/02-96/06
E04F 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に配置された平板状の第1棚板および第2棚板と、
上下の端部に固定部材が取り付けられた平板状の方立部を複数備え、
前記第1棚板の上面には第1支持部材が複数設けられ、
前記第2棚板の下面には第2支持部材が複数設けられ、
前記固定部材と前記第1支持部材の組み合わせ、または前記固定部材と前記第2支持部材の組み合わせは、スライドレール機構およびラッチ機構を備え、
前記方立部は、前記第1棚板または前記第2棚板の奥行方向への摺動により、前記固定部材が前記第1支持部材または前記第2支持部材に着脱自在に固定され
、
前記第2棚板は、前記複数の方立部によってのみ保持されていることを特徴とする棚。
【請求項2】
請求項
1に記載の棚であって、
前記第2棚板の表面には、第3支持部材が複数設けられていることを特徴とする棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚に関し、特に高さや段数を調整可能な棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、書籍や置物を収容して展示するための棚として、高さや長さなどを変更して利用者が最適なレイアウトを選択できる組み立て型の棚が提案されている。例えば特許文献1には、L字部材やT字部材、十字部材を組み合わせて棚板や仕切りを追加する本棚が記載されている。また特許文献2には、仕切り板や棚板の平面部分に規格化した溝を形成しておき、仕切り板や棚板の端部を溝に差し込むことで所定形状を構成する棚が記載されている。また特許文献3には、棚板の平面部分に溝を形成し仕切り板を溝に嵌め込むことで、任意の箇所に仕切り板を追加して棚板を補強して支持する棚が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-070537号公報
【文献】特開平04-354902号公報
【文献】特開2007-029156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1および2の従来技術では、棚板と仕切り板の組み合わせを決定して棚を完成させた後には、棚板や仕切り板を追加することは困難であり、部屋の利用形態に応じて棚の段数や高さを変更することができなかった。また、特許文献3の従来技術でも、仕切り板を追加して棚板の補強をすることが可能であるが、棚の段数や高さを変更することはできなかった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、組み立て後にも段数と高さを容易に変更することが可能な棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の棚は、水平方向に配置された平板状の第1棚板および第2棚板と、上下の端部に固定部材が取り付けられた平板状の方立部を複数備え、前記第1棚板の上面には第1支持部材が複数設けられ、前記第2棚板の下面には第2支持部材が複数設けられ、前記固定部材と前記第1支持部材の組み合わせ、または前記固定部材と前記第2支持部材の組み合わせは、スライドレール機構およびラッチ機構を備え、前記方立部は、前記第1棚板または前記第2棚板の奥行方向への摺動により、前記固定部材が前記第1支持部材または前記第2支持部材に着脱自在に固定され、前記第2棚板は、前記複数の方立部によってのみ保持されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明の棚では、方立部を第1棚板と第2棚板の奥行方向に摺動させることで、第1支持部材や第2支持部材に着脱自在に固定するため、棚の組み立て後にも第2棚板の取り外しや追加を行うことができ、段数と高さを容易に変更することが可能となる。
【0009】
また本発明の一態様では、前記第2棚板の表面には、第3支持部材が複数設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、組み立て後にも段数と高さを容易に変更することが可能な棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における棚の概要を模式的に示す斜視図である。
【
図2】台座部11および棚板13と壁面2の関係を模式的に示す図である。
【
図3】方立部12による棚板13の固定方法について説明する模式図である。
【
図4】低層の棚板13aまで棚を組み立てた状態を模式的に示す図である。
【
図5】複数の方立部12を棚板13a上に固定した状態を模式的に示す図である。
【
図6】高層の棚板13bまで棚を組み立てた状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態における棚の概要を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように本実施形態の棚は、床1と壁面2,3と柱4を有する居室内において壁面3に沿って配置されており、その幅は壁面3の幅と同程度となっている。また、棚は台座部11と、複数の方立部12と、複数の棚板13を備えており、棚の上部には壁面3に固定された収納部14が設けられている。
【0013】
床1は、本実施形態の棚を配置する居室の床面であり、通常のフローリング等の床材で構成されている。壁面2は、棚の側面側に位置する居室の壁である。壁面3は、棚の背面に位置する居室の壁である。柱4は、居室の床から天井まで設けられた柱であり、住宅の構造を支えている。
図1では、棚として壁面3の幅と同程度の幅を有するものを示し、棚の両側に壁面2と柱4が近接している例を示しているが、棚の幅と壁面3の幅とは異なっていてもよい。また、柱4が居室内に露出している例を示したが、住宅の構造は限定されず、柱4が存在しないスペースに棚を配置するとしてもよい。
【0014】
台座部11は、棚の最下段を構成する平板状の部材であり、床1上に略水平に配置されている。台座部11は棚全体の荷重を支えるため、棚板13よりも厚さや強度が大きい構造を用いることが好ましい。
図1では台座部11を床1上に壁面2から柱4に至るまで設けた例を示しているが、台座部11の両側面を壁面2と柱4に固定し、床1の表面と台座部11の間に空間を設けるとしてもよい。
【0015】
方立部12は、台座部11および棚板13に対して垂直に配置された平板状の部材である。方立部12は下端が台座部11や棚板13の表面(上面)に接して立設されるともに、上端が棚板13の裏面(下面)に接しており、複数の方立部12により上段の棚板13が保持される。
図1に示した例では、最上段に位置する棚板13と収納部14との間に配置された方立部12は、上端が収納部14の下面に接している。
【0016】
棚板13は、水平方向に配置された平板状の部材であり、複数の方立部12の上端により保持されている。
図1に示すように棚板13は複数の段にわたって設けられており、各段において方立部12が横方向を仕切るとともに上段の棚板13を保持している。棚板13の構造や材料は限定されないが、壁面3の幅と同程度の長さを有するとともに、棚に書籍等を配置した場合にも撓まないことが求められるため、一枚の板材を用いることが好ましく、1m以上の長さと数cmの厚さを有するためには集成材を用いることが好ましい。
【0017】
収納部14は、本実施形態の棚とは別体で構成された箱状の部分であり、壁面2,3および柱4に固定して保持されている。
図1に示した例では、棚の最上段に配置された方立部12の上端が収納部14の下面に接するような高さに収納部14を設けている。
図1では収納部14の下面に方立部12が接する例を示したが、最上段の方立部12の上端と収納部14の下面との間に空間を設けるとしてもよい。また、収納部14を設けずに天井まで棚を設けるとしてもよく、棚板13を最上部に設けるとしてもよい。
【0018】
図1に示したように、本実施形態の棚では、各段の棚板13は方立部12によってのみ保持されており、棚の両端側や背面側には棚板13を保持するための構造は設けられていない。また、棚板13を壁面2,3や柱4に対して固定する構造も設けられていない。したがって、棚板13の隙間からは壁面2,3および柱4が視認可能であり、各段の棚板13が宙に浮いているような印象の意匠を実現している。また後述するように、下段の棚板13上に方立部12を固定し、方立部12で上段の棚板13を保持する構造であるため、棚板13や方立部12の取り外しや追加をすることができ、棚の高さを容易に変更することができる。
【0019】
図2は、台座部11および棚板13と壁面2の関係を模式的に示す図である。
図1では台座部11を床1上に配置した例を示したが、
図2では床1と台座部11の間に空間を設けた例を示している。台座部11は側面が壁面2に当接しており、内部に設けられた締結部材で壁面2に固定されている。台座部11の上面には支持部材21aが設けられており、支持部材21aによって方立部12が垂直に立設して保持されている。方立部12の上には棚板13が載置されており、棚板13の下面(裏面)に設けられた支持部材21bが方立部12の上端に固定されている。棚板13の上面(表面)にも、支持部材21aが設けられており、支持部材21aによって上段の方立部12が垂直に立設して保持されている。棚板13の側方端は、壁面2と所定距離を隔てた位置とされており、両者は非接触で間隙が設けられている。
【0020】
図3は、方立部12による棚板13の固定方法について説明する模式図である。
図3では、複数段ある棚板13のうち下段に位置するものを棚板13aとし、上段に位置するものを棚板13bと表している。また、棚板13a,13bに設けられた支持部材21のうち、上面に設けられたものを支持部材21aと表し、下面に設けられたものを支持部材21bと表している。また、方立部12の上下端には、固定部材22が設けられている。ここで、棚板13a,13bはそれぞれ本発明における第1棚板と第2棚板に相当し、棚板13a上面に設けられた支持部材21aは第1支持部材に相当し、棚板13bの下面に設けられた支持部材21bは第2支持部材に相当し、棚板13bの上面に設けられた支持部材21aは第3支持部材に相当している。
【0021】
支持部材21a,21bは、棚板13a,13bの上下面に取り付けられた部材であり、固定部材22と組み合わせて方立部12と棚板13a,13bを固定する機能を実現する。
図3に示した例では、支持部材21a,21bは長尺状であり、棚板13a,13bの奥行方向に沿って方立部12に対応する位置に二つが設けられている。固定部材22は、方立部12の上下端に設けられた部材であり、支持部材21a,21bと組み合わせて方立部12と棚板13a,13bを固定する機能を実現する。
【0022】
図3に示すように、棚板13a上の支持部材21aに対して方立部12を奥行方向に摺動させて差し込むと、方立部12の下端に設けられた固定部材22と支持部材21aとは互いに噛み合って固定される。また、複数の方立部12を棚板13a上に固定した後に、棚板13b下面に設けられた支持部材21bと方立部12の位置を合わせて、棚板13bを奥行方向に摺動させて差し込むと、方立部12の上端に設けられた固定部材22と支持部材21bとは互いに係合して固定される。
【0023】
支持部材21a,21bと固定部材22の具体的な構造は限定されないが、例えばスライドレール機構とラッチ機構を備えるものを用いることができる。また、方立部12の上下端に沿って溝を形成しておき、溝内に固定部材22を埋め込む構造としてもよい。これにより、支持部材21a,21bが溝内を摺動することで支持部材21a,21bと固定部材22の係合と解除を確実かつ容易に行うことが可能となる。
【0024】
棚板13a、方立部12および棚板13aを組み立てた後には、上段の棚板13bに所定以上の力を加えて手前に引き抜くと、方立部12上端の固定部材22と支持部材21bの係合が解除されて、棚板13bを方立部12上で摺動させて取り外すことができる。また、同様に方立部12に所定以上の力を加えて手前に引き抜くと、方立部12下端の固定部材22と支持部材21aの係合が解除されて、方立部12を棚板13a上で摺動させて取り外すことができる。
【0025】
次に
図4~
図6を用いて、棚板13の追加および取り外しによる棚の高さ調整について説明する。
図4は、低層の棚板13aまで棚を組み立てた状態を模式的に示す図である。
図5は、複数の方立部12を棚板13a上に固定した状態を模式的に示す図である。
図6は、高層の棚板13bまで棚を組み立てた状態を模式的に示す図である。
【0026】
図4に示したように、台座部11上に三枚の方立部12を立設して一段目の棚板13を保持し、一段目の棚板13上にも三枚の方立部12を立設して二段目の棚板13aを保持している。このとき、二段目の棚板13aには上面に支持部材21aが設けられている。
図4に示した状態でも、二層構造の棚として各棚板13,13a上に書籍等を載置して利用することが可能である。このとき、棚板13aと収納部14の間からは壁面3が露出しており、壁面3に絵画や写真等の展示物を掲示することも可能である。
【0027】
棚の高さを追加する場合には、
図5に示したように二段目の棚板13aに設けられた支持部材21aに方立部12下端の固定部材22を嵌合させ、棚板13a上に等間隔に三枚の方立部12を立設させる。次に、
図6に示したように三段目の棚板13bを取り付けることで、棚板13bが追加された三層構造の棚が完成する。このように本実施形態の棚では、二層構造として完成していた棚についても、方立部12と棚板13bを追加することで、高さを追加した三層構造に容易に変更することが可能である。また、さらに方立部12と棚板13bを追加することで三層以上の構造とし、
図1に示したように収納部14に到達するまで層構造を追加することも可能である。逆に、最上段の棚板13bと方立部12を取り外すことで、棚板13の数を減少させて棚を低くすることも可能である。
【0028】
上述したように本実施形態の棚では、方立部12を棚板13aの奥行方向に摺動させることで、支持部材21aに取り付けて固定するため、棚を組み立て後にも方立部12と棚板13bを追加することができ、段数と高さを容易に変更することが可能となる。
【0029】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、
図5で示した最上段の棚板13bの上面に支持部材21aが設けられた例を示したが、棚を完成させた状態の最上段の棚板13bに支持部材21aを設けず平坦面としてもよい。これにより、最上段の棚板13bの全域を有効に利用することが可能となる。
【0030】
また、第1実施形態に置いて
図1、
図4、
図6に示した棚では、方立部12を設ける位置が全ての階層において一致しているが、各層を構成する棚板13に設けられた支持部材21aおよび支持部材21bの位置を変化させ、様々なレイアウトの棚を構成するとしてもよい。ただし、棚板13は一枚の平板状部材であり、方立部12によってのみ保持されているので、棚全体の強度を確保し各層の棚板13が撓むことを防止するためには、均等な間隔で方立部12を固定することが好ましい。
【0031】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1…床
2…壁面
3…壁面
4…柱
11…台座部
12…方立部
13,13a,13b…棚板
14…収納部
21,21a,21b…支持部材
22…固定部