(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】経路探索装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20230912BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230912BHJP
G09B 29/10 20060101ALN20230912BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2019078300
(22)【出願日】2019-04-17
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】岩田 臣典
(72)【発明者】
【氏名】河端 祐介
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 哲男
(72)【発明者】
【氏名】キン シン
【審査官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-083516(JP,A)
【文献】特開2011-227043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路を構成するリンクに係るコストを用いて経路探索を行う経路探索装置であって、
目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向と
、について紐づけた地点情報を取得する地点情報取得手段と、
前記地点情報に基づいて前記到着リンクに係るコストを補正するコスト補正手段と、
前記コスト補正手段によって補正された前記到着リンクに係るコストを用いて前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を有し、
前記コスト補正手段は、
前記到着リンクを、前記到着リンクの始点から目的地の到着点までの第1区間と、前記到着リンクの終端から目的地の到着点までの第2区間と、に区分するとともに前記到着リンクに係るコストとして前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストを夫々算出し、
前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストの少なくとも一方を前記目的地となる地点に紐づけられた前記到着リンク方向に基づいて補正することで前記到着リンクに係るコストを補正する経路探索装置。
【請求項2】
前記コスト補正手段は
、前記到着リンクを前記到着リンク方向へ走行して前記目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記コスト補正手段は
、前記到着リンクに係るコストについて前記到着リンクを前記到着リンク方向に進行するコストを、前記到着リンク方向の逆方向を進行するコストよりも低くなるようにコストを補正する請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記コスト補正手段は
、前記到着リンクの一方の端点から目的地への方向が前記到着リンク方向と一致し、前記到着リンクの他方の端点から目的地への方向が前記到着リンク方向と一致しない場合には、前記到着リンクの一方の端点から目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する請求項2又は請求項3に記載の経路探索装置。
【請求項5】
右折進入が禁止された地点については、到着リンク方向として到着リンクから左折して進入する為の到着リンクの進行方向が紐づけられている請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載の経路探索装置。
【請求項6】
左折進入が禁止された地点については、到着リンク方向として到着リンクから右折して進入する為の到着リンクの進行方向が紐づけられている請求項1乃至請求項
4のいずれかに記載の経路探索装置。
【請求項7】
目的地となる地点に対して紐付けられた到着リンクが、進行方向毎に区分された複数のリンクである場合には、前記到着リンク方向として、前記複数のリンク毎に該リンクから前記目的地となる地点へと進入する際の進入可能な該リンクの進行方向を示す到着リンク方向が紐づけられる請求項1乃至請求項
6のいずれかに記載の経路探索装置。
【請求項8】
前記目的地となる地点は施設である請求項1乃至請求項
7のいずれかに記載の経路探索装置。
【請求項9】
経路を構成するリンクに係るコストを用いて経路探索を行わせるコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向と
、について紐づけた地点情報を取得する地点情報取得手段と、
前記地点情報に基づいて前記到着リンクに係るコストを補正するコスト補正手段と、
前記コスト補正手段によって補正された前記到着リンクに係るコストを用いて前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、して機能させる為のコンピュータプログラムであって、
前記コスト補正手段は、
前記到着リンクを、前記到着リンクの始点から目的地の到着点までの第1区間と、前記到着リンクの終端から目的地の到着点までの第2区間と、に区分するとともに前記到着リンクに係るコストとして前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストを夫々算出し、
前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストの少なくとも一方を前記目的地となる地点に紐づけられた前記到着リンク方向に基づいて補正することで前記到着リンクに係るコストを補正するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コストを用いた経路の探索を行う経路探索装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD-ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、出発地(例えば自車の現在位置)から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、探索された最適経路を案内経路として設定し、ディスプレイ画面に案内経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
ここで、目的地までの経路を探索する場合において、特に目的地が県道や国道などの幹線道路沿いにある場合には、目的地に対してどちらの方向から到着する経路とするかが重要である。例えば
図12に示すように目的地101が片側3車線の幹線道路沿いにある場合には、左折して目的地へ進入することは容易であるが、右折して目的地へと進入することは難しい(左側通行の国の場合)。特に目的地101と対向する位置に中央分離帯が存在する場合には、実質的に右折して進入することは不可能である。一方で、目的地101と対向する位置に中央分離帯が存在しなければ、右折して進入することも可能である。そこで、特開2004-264220号公報には、地図情報として道路の中央分離帯の有無及び中央分離帯の切れ目について特定する情報を含め、目的地周辺の中央分離帯の状況に基づいて目的地に対して進入可能な方向を特定し、特定した方向に応じた経路を探索する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-264220号公報(第6-8頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では目的地に対して進入可能な方向を特定する為には、中央分離帯に関する正確な情報が必要であった。即ち、中央分離帯の切れ目がリンクに対してどの位置にどのような大きさで存在するかを特定する情報が必要である。しかしながら、地図情報に含まれる全てのリンクに対してそのような中央分離帯の正確な情報を持たせるのは現実的に困難である。また、地図情報のデータ量が増加し、更に経路探索時に参照する情報量が多くなることから、経路探索に係る処理負担も増加することとなる。
【0006】
一方、上記特許文献1には中央分離帯に関する正確な情報が得られない場合には、リンク全長に対する中央分離帯が存在する割合や目的地となる施設の規模を用いることで中央分離帯の切れ目が目的地と対向する位置に存在するか否かを推定する技術についても開示されている。しかしながら、そのような方法では実際に中央分離帯の切れ目が目的地と対向する位置に存在するか否かを正確に特定することができない。従って、目的地までの最適経路を探索できない虞があった。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、目的地となり得る地点に対する地点情報として、地点へと進入可能な到着リンクと到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な方向を示す到着リンク方向とを持たせることによって、データ量や経路探索に係る処理負担を大きく増やすことなく、目的地への進入可能な方向を考慮した経路探索を行うことを可能にした経路探索装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係る経路探索装置は、経路を構成するリンクに係るコストを用いて経路探索を行う経路探索装置であって、目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向と、について紐づけた地点情報を取得する地点情報取得手段と、前記地点情報に基づいて前記到着リンクに係るコストを補正するコスト補正手段と、前記コスト補正手段によって補正された前記到着リンクに係るコストを用いて前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を有し、前記コスト補正手段は、前記到着リンクを、前記到着リンクの始点から目的地の到着点までの第1区間と、前記到着リンクの終端から目的地の到着点までの第2区間と、に区分するとともに前記到着リンクに係るコストとして前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストを夫々算出し、前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストの少なくとも一方を前記目的地となる地点に紐づけられた前記到着リンク方向に基づいて補正することで前記到着リンクに係るコストを補正する。
尚、「地点」には、施設に加えて、施設以外の目的地となり得る地図上のポイント(例えば地名、住所等)についても含む。
また、「到着リンクに係るコスト」とは、到着リンクのリンクコスト、到着リンクの端部に設定するノードコストの一方又は両方を含む。
【0009】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、経路を構成するリンクに係るコストを用いて経路探索を行わせるコンピュータプログラムである。具体的には、コンピュータを、目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向と、について紐づけた地点情報を取得する地点情報取得手段と、前記地点情報に基づいて前記到着リンクに係るコストを補正するコスト補正手段と、前記コスト補正手段によって補正された前記到着リンクに係るコストを用いて前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、して機能させる。また、前記コスト補正手段は、前記到着リンクを、前記到着リンクの始点から目的地の到着点までの第1区間と、前記到着リンクの終端から目的地の到着点までの第2区間と、に区分するとともに前記到着リンクに係るコストとして前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストを夫々算出し、前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストの少なくとも一方を前記目的地となる地点に紐づけられた前記到着リンク方向に基づいて補正することで前記到着リンクに係るコストを補正する。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する本発明に係る経路探索装置及びコンピュータプログラムによれば、目的地となり得る地点に対する地点情報として、地点へと進入可能な到着リンクと到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向とを持たせることによって、データ量や経路探索に係る処理負担を大きく増やすことなく、目的地への進入可能な方向を考慮した経路探索を行うことが可能となる。その結果、目的地までのより最適な経路探索が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る経路探索処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】出発地の近接道路に対するコスト設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図9】出発地の近接道路に対するコスト設定方法について説明した図である。
【
図10】目的地の近接道路に対するコスト設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図11】目的地の近接道路に対するコスト設定方法について説明した図である。
【
図12】従来技術の問題点について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る経路探索装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や後述の経路探索処理によって探索された経路に関する経路情報等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を有する。
【0014】
以下に、ナビゲーション装置1が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0015】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりに不揮発性メモリ、メモリーカード、CDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB31は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置1が通信により取得する構成としても良い。
【0016】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、施設等の地点に関する地点データ35、経路の探索に係る処理に用いられる探索データ36、各交差点に関する交差点データ、地図を表示するための地図表示データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0017】
また、リンクデータ33としては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、中央分離帯の有無、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。
【0018】
また、ノードデータ34としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0019】
また、地点データ35としては、ナビゲーション装置1において出発地、目的地、案内対象等となる地点に関する情報が記憶される。例えば、ホテル、旅館等の宿泊施設、ガソリンスタンド等の給油施設、ショッピングモール、スーパーマーケット、ショッピングセンタ、コンビニエンスストア等の商業施設、テーマパーク、ゲームセンタ等の娯楽施設、レストラン、バー、居酒屋等の飲食施設、公共駐車場等の駐車施設、交通施設、寺院、教会等の宗教施設、美術館、博物館等の公共施設等の施設に関する情報が該当する。尚、地点データ35に情報が格納される地点としては、上記の各種施設に加えて、施設以外に出発地、目的地、案内対象等となり得る地図上のポイント(例えば地名、住所等)についても含まれる。但し、以下では特にナビゲーション装置1において出発地、目的地、案内対象等となる地点が施設である場合を例に挙げて説明する。
【0020】
地点データ35には、例えば該当する施設の施設名称、住所、電話番号、代表点、到着点に関する情報を含む。『代表点』は施設の存在する位置(例えば施設の中心)を示す位置座標であり、『到着点』は施設が目的地となった場合におけるリンク上の経路の終端となる位置を示す位置座標である。例えば、施設の入口或いは中心から施設が面したリンクに対して引いた垂線とリンクとの交点を到着点とする。尚、代表点は基本的に一の施設に対して一のみ存在するが、大型の施設では入口が複数存在するので、到着点が一の施設に対して複数存在する場合もある。また、施設が2条線(進行方向毎にリンクが区分された道路)に面している場合には、リンク毎に到着点が存在するので、到着点も複数存在することとなる。更に、到着点には到着点から施設へと進入可能なリンクを示す到着リンク(到着点を含むリンクに相当)と、到着リンクにおいて到着点から該施設へと進入する際の進入可能な方向を示す到着リンク方向が紐づけられて記憶されている。到着点が複数ある施設には、到着点毎に到着リンクと到着リンク方向が紐づけられる。
【0021】
ここで、
図2~
図5は地点データ35の例を示した図である。
例えば、
図2は中央分離帯の存在しない片側一車線の道路51沿いにある施設52の地点データ35を示す。
図2に示す施設52の地点データとしては、施設52の到着点として到着点A(X1,Y1)が紐づけられている。到着点Aは道路51に対応するリンク(リンクID:100100)上であって、施設52と対向する位置にある。また、到着リンクを特定する情報として“リンクID:100100”が紐づけられている。更に、施設52はリンクの順方向及び逆方向のいずれからも進入可能な施設であるので、到着リンク方向としては“両方向”が紐づけられている。その結果、施設52は“リンクID:100100”のリンクの順方向及び逆方向のいずれからも進入可能な地点であることを地点データから特定することが可能となる。
【0022】
また、
図3は
図2と同様に中央分離帯の存在しない片側一車線の道路53沿いにある施設54の地点データ35を示しているが、特に施設54が右折進入禁止をハウスルールとして設定している場合を示す。
図3に示す施設54の地点データとしては、施設54の到着点として到着点B(X2,Y2)が紐づけられている。到着点Bは道路53に対応するリンク(リンクID:100200)上であって、施設54と対向する位置にある。また、到着リンクを特定する情報として“リンクID:100200”が紐づけられている。更に、施設54は道路の構造上はリンクの順方向及び逆方向のいずれからの進入可能であるが、右折進入が禁止された施設であるので、到着リンク方向としては到着リンクから左折して進入する為の進入方向である“順方向”が紐づけられている。その結果、施設54は“リンクID:100200”のリンクの順方向のみから進入可能な地点であることを地点データから特定することが可能となる。尚、
図3に示す例では右折進入禁止の施設であることを地点データ35に含めているが、地点データ35には含めないことも可能である。
【0023】
次に、
図4は中央分離帯の存在する片側2車線の道路55沿いにある施設56と施設57の地点データ35を夫々示す。
図4に示す施設56の地点データとしては、施設56の到着点として到着点C(X3,Y3)が紐づけられている。到着点Cは道路55に対応するリンク(リンクID:100300)上であって、施設56と対向する位置にある。また、到着リンクを特定する情報として“リンクID:100300”が紐づけられている。更に、施設56はリンクの順方向からは進入可能であるが、逆方向からは中央分離帯によって進入が極めて困難である。従って、到着リンク方向としては“順方向”が紐づけられている。その結果、施設56は“リンクID:100300”のリンクの順方向のみから進入可能な地点であることを地点データから特定することが可能となる。
一方、
図4に示す施設57の地点データとしては、施設57の到着点として到着点D(X4,Y4)が紐づけられている。到着点Dは道路55に対応するリンク(リンクID:100300)上であって、施設57と対向する位置にある。また、到着リンクを特定する情報として“リンクID:100300”が紐づけられている。更に、施設57はリンクの逆方向からは進入可能であるが、順方向からは中央分離帯によって進入が極めて困難である。従って、到着リンク方向としては“逆方向”が紐づけられている。その結果、施設57は“リンクID:100300”のリンクの逆方向のみから進入可能な地点であることを地点データから特定することが可能となる。
【0024】
次に、
図5は、中央分離帯は存在するが施設の正面で中央分離帯の切れ目がある片側3車線の道路58沿いにある施設59の地点データ35を示す。また、道路58は進行方向毎にリンクが区分された2条線に相当する道路とする。
図5に示す施設59の地点データとしては、施設59の到着点として到着点E(X5,Y5)と到着点F(X6,Y6)が紐づけられている。到着点Eは道路58を構成する2本のリンクの内、一方のリンク(リンクID:100400)上であって、施設59と対向する位置にある。到着点Fは他方のリンク(リンクID:100500)上であって、同じく施設59と対向する位置にある。また、到着点Eには到着リンクを特定する情報として“リンクID:100400”が紐づけられている。到着点Fには到着リンクを特定する情報として“リンクID:100500”が紐づけられている。更に、施設59は道路58の対向する位置に中央分離帯が存在しないので、どちらのリンクからも進入可能であるが、リンクは順方向のみ走行可能であるので、到着リンク方向としては到着点E及び到着点Fのいずれに対しても“順方向”が紐づけられている。その結果、施設59は“リンクID:100400”のリンクの順方向と“リンクID:100500”のリンクの順方向のいずれからも進入可能な地点であることを地点データから特定することが可能となる。
【0025】
そして、本実施形態においてナビゲーション装置1は、後述のように目的地となる地点の地点データ35の内、特に到着リンク及び到着リンク方向について考慮して経路探索を行う。詳細については後述する。
【0026】
また、探索データ36としては、後述のように出発地(例えば車両の現在位置)から設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理に使用される各種データについて記録されている。具体的には、交差点に対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、交差点コスト或いはノードコストという)や道路を構成するリンクに対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、リンクコストという)等の探索コストを算出する為に使用するコスト算出データが記憶されている。
【0027】
ここで、交差点コスト(ノードコスト)は、探索コストの算出対象となる経路に含まれる交差点に対応するノード毎に設定され、信号機の有無、交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)等によってその値が算出される。また、リンクコストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれるリンク毎に設定され、リンク長を基本にして、該リンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数、勾配、交通状況等を考慮して算出される。特に本実施形態では、後述のように目的地に設定された地点の地点データ35によって上記ノードコストやリンクコストが補正される。
【0028】
尚、経路探索処理についてはナビゲーション装置1と通信可能に接続された外部サーバで行うようにしても良い。外部サーバで行う場合には、ナビゲーション装置1において目的地が設定された場合や経路の再探索(リルート)を行う場合に、ナビゲーション装置1からサーバ装置へと出発地、目的地、探索条件等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される(但し、再探索の場合には目的地に関する情報は必ずしも送信する必要は無い)。そして経路探索要求を受信したサーバ装置は、サーバ装置の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元のナビゲーション装置1へと送信する。それによって、経路探索時点においてナビゲーション装置1が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、ナビゲーション装置1が地図情報自体を有さない場合であっても、サーバ装置が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0029】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の経路探索処理プログラム(
図6参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、地点情報取得手段は、目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な方向を示す到着リンク方向と、を紐づけた地点データ35を取得する。コスト補正手段は、取得した地点データ35に基づいて到着リンクに係るコストを補正する。経路探索手段は、コスト補正手段によって補正された到着リンクに係るコストを用いて目的地までの経路を探索する。
【0030】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0031】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0032】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0033】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0034】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された交通情報、プローブ情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0035】
続いて、上記構成を有する本実施形態に係るナビゲーション装置1においてCPU41が実行する経路探索処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係る経路探索処理プログラムのフローチャートである。ここで、経路探索処理プログラムはナビゲーション装置1において経路探索を実施する為の所定の操作を受け付けた場合に実行され、出発地から目的地へと到る推奨経路を探索するプログラムである。尚、以下の
図6、
図8及び
図10にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0036】
先ず、経路探索処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、探索対象となる経路の出発地及び目的地を取得する。尚、出発地は車両の現在位置としても良いし、ユーザにより指定された任意の地点(例えば自宅)としても良い。また、目的地は操作部14において受け付けたユーザの操作(例えば登録地点の読出操作、施設の検索や選択操作)に基づいて設定する。
【0037】
次に、S2においてCPU41は、出発地から目的地までの間にある推奨経路を構成し得る各リンクを対象として、リンクデータ33を地図情報DB31から取得する。リンクデータ33には、リンクコストの基本となるリンク長以外に、リンクコストに影響を与える情報(道路幅、勾配、車線数、道路種別等)が含まれる。
【0038】
続いて、S3においてCPU41は、前記S1で取得した出発地と地図情報DB31に格納された地図情報とに基づいて、出発地の近接道路を取得する。出発地の近接道路は、経路探索において経路の開始地点となる道路であり、リンク単位で特定される。例えば、出発地がリンク上にある場合には当該リンクが出発地の近接道路となる。一方、出発地がリンク上にない場合には出発地からリンク上へ退出する際の退出可能なリンクが出発地の近接道路となる。例えば、出発地(例えば車両の現在位置)が自宅や小規模の施設である場合には、それらの自宅や施設に面する1本或いは2本(自宅や施設が交差点の角にある場合は2本となる)のリンクが近接道路として取得されることとなる。但し、
図7に示すように出発地(例えば車両の現在位置)が大規模の施設61内にある場合には、近接道路が3本以上取得される場合もあり、例えば
図7に示す例では施設61と接するリンク62~64の3本が近接道路として取得されることとなる。
【0039】
次に、S4においてCPU41は、後述の出発地の近接道路に対するコスト設定処理(
図8)を実行する。尚、出発地の近接道路に対するコスト設定処理は、出発地の近接道路に対してリンクコストやノードコストを設定する処理である。
【0040】
その後、S5においてCPU41は、前記S1で取得した目的地と地図情報DB31に格納された地図情報とに基づいて、目的地の近接道路を取得する。目的地の近接道路は、経路探索において経路の終了地点となる道路であり、リンク単位で特定される。例えば、目的地がリンク上にある場合には当該リンクが目的地の近接道路となる。一方、目的地がリンク上にない場合にはリンク上から目的地へ進入する際の進入可能なリンクが目的地の近接道路となる。例えば、目的地が自宅や小規模の施設である場合には、それらの自宅や施設に面する1本或いは2本(自宅や施設が交差点の角にある場合は2本となる)のリンクが近接道路として取得されることとなる。但し、出発地の場合と同様に目的地が大規模の施設である場合には、近接道路が3本以上取得される場合もある。尚、目的地となる地点の地点データ35に、到着リンクに関する情報が格納されている場合には、到着リンクを目的地の近接道路としても取得しても良い。
【0041】
次に、S6においてCPU41は、後述の目的地の近接道路に対するコスト設定処理(
図10)を実行する。尚、目的地の近接道路に対するコスト設定処理は、目的地の近接道路に対して、目的地となる地点の地点データ35を考慮してリンクコストやノードコストを設定する処理である。
【0042】
その後、S7においてCPU41は、ダイクストラ法を用いた経路探索処理によって出発地から目的地までの推奨経路を探索する。ダイクストラ法を用いた経路探索処理は既に公知であるが、以下にはその一例について説明する。
【0043】
(1)先ず、出発地から到達するための最小コストが未確定のノード(出発地と目的地についてもノードとして扱う。但し出発地がリンク上に無い場合には出発地から近接道路へ退出する際の退出可能なリンク上の位置を出発地と仮定し、目的地がリンク上に無い場合にはリンク上から目的地へ進入する際の進入可能なリンク上の位置を目的地と仮定する。)の内、現時点で到達するためのコストが最小コストのノード(以下、基準ノードという)を取得する。尚、最初は出発地が基準ノードとなる。
(2)次に、基準ノードからリンクを介して接続するノード(以下、隣接ノードという)を特定する。
(3)その後、基準ノードと隣接ノードの間のリンクのリンクコストや基準ノードの交差点コスト(ノードコスト)に基づいて、出発地から基準ノードを介して隣接ノードに到達するためのコストを算出し、隣接ノードに対応付ける。隣接ノードが複数ある場合には、複数の隣接ノードに対して夫々コストを算出する。尚、既に対応付けられたコストが存在するノードについては、より小さいコストが算出された場合にのみ算出されたコストへ更新する。本実施形態では、リンクコストは基本的にはリンク長(例えばkm単位とする)とし、道路幅、勾配、車線数、道路種別、交通情報などに基づいて適宜補正される。また、出発地の近接道路及び目的地の近接道路のリンクコストやノードコストに関しては前記S4及びS6で設定される。
(4)その後、出発地から到達するための最小コストが未確定のノードがあれば、上記(1)へと戻る。
(5)そして、目的地へ到達するための最小コストが確定した時点で、該最小コストを構成する経路を推奨経路として特定する。
【0044】
尚、上記例では出発地側から経路探索処理を行っているが、目的地側から経路探索処理を行っても良い。更に、出発地側と目的地側の両方から経路探索処理を行っても良い。また、経路の探索条件を変えて複数の経路を探索しても良い。例えば、探索条件として『一般優先』を用いる場合には、有料道路のリンクコストが大きくなるように補正して上記経路探索処理を行う。また、探索条件として『有料優先』を用いる場合には、有料道路のリンクコストが小さくなるように補正して上記経路探索処理を行う。
【0045】
その後、S8においてCPU41は、前記S7で探索された推奨経路について液晶ディスプレイ15等を介してユーザに案内する。尚、案内される経路は必ずしも1本である必要はなく、推奨経路以外に探索条件(例えば、一般優先、有料優先)を変えて探索された複数の経路候補についても案内する構成としても良い。続いて、CPU41は、最終的なユーザの決定操作に基づいて決定した推奨経路をナビゲーション装置1の案内経路として設定する。その後、ナビゲーション装置1では設定された案内経路に基づく走行案内が行われる。
【0046】
次に、前記S4において実行される出発地の近接道路に対するコスト設定処理のサブ処理について
図8に基づき説明する。
図8は出発地の近接道路に対するコスト設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0047】
尚、以下のS11、S12の処理は前記S3で取得された出発地の近接道路に対応するリンク毎に実行され、該当する全てのリンクを対象としてS11、S12の処理が実行された後に、S5へと移行する。
【0048】
先ず、S11においてCPU41は、出発地の近接道路に対応するリンクについて、リンクの始端(順方向に対する始点)から出発地までの第1区間と、リンクの終端(順方向に対する終点)から出発地までの第2区間とに区分する。尚、出発地がリンク上にない場合には、出発地から近接道路へ退出する際の退出可能なリンク上の位置で第1区間と第2区間を区分する。出発地から退出道路に対して引いた垂線との交点で第1区間と第2区間を区分しても良い。例えば
図9に示す例では出発地を含む施設65から近接道路へ退出可能なリンク上の位置は点66となるので、近接道路に対応するリンク67について点66を境界にして第1区間と第2区間に区分する。
【0049】
その後、CPU41は第1区間の長さに応じて第1区間のリンクコストを算出する。本実施形態では、第1区間のリンクコストは基本的には第1区間の長さ(例えばkm単位とする)とし、道路幅、勾配、車線数、道路種別、交通情報などに基づいて適宜補正される。
【0050】
同じく、S12においてCPU41は、第2区間の長さに応じて第2区間のリンクコストを算出する。本実施形態では、第2区間のリンクコストは基本的には第2区間の長さ(例えばkm単位とする)とし、道路幅、勾配、車線数、道路種別、交通情報などに基づいて適宜補正される。
【0051】
以下同様にして、出発地の近接道路に対応するリンクについて、第1区間と第2区間のリンクコストを算出する。その後、S5へと移行する。そして、前記S7の経路探索処理においてコスト計算を行う場合に、出発地から隣接ノード(即ち出発地の近接道路に対応するリンクの始端及び終端)までのコスト値は上記第1区間と第2区間のリンクコストに基づいて算出される。
【0052】
次に、前記S6において実行される目的地の近接道路に対するコスト設定処理のサブ処理について
図10に基づき説明する。
図10は目的地の近接道路に対するコスト設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0053】
尚、以下のS21~S35の処理は前記S5で取得された目的地の近接道路に対応するリンク毎に実行され、該当する全てのリンクを対象としてS21~S35の処理が実行された後に、S7へと移行する。
【0054】
先ず、S21においてCPU41は、目的地の近接道路に対応するリンクについて、リンクの始端(順方向に対する始点)から目的地までの第1区間と、リンクの終端(順方向に対する終点)から目的地までの第2区間とに区分する。尚、目的地がリンク上にない場合には、リンク上から目的地へ進入する際の進入可能なリンク上の位置で第1区間と第2区間を区分する。特に目的地が施設であり、到着点に関する情報が地点データ35として含まれている場合には、到着点(
図2~
図5)で第1区間と第2区間を区分する。例えば
図11に示す例では目的地となる施設71の到着点は点72となるので、近接道路に対応するリンク73について点72を境界にして第1区間と第2区間に区分する。
【0055】
その後、CPU41は第1区間の長さに応じて第1区間のリンクコストを算出する。本実施形態では、第1区間のリンクコストは基本的には第1区間の長さ(例えばkm単位とする)とし、道路幅、勾配、車線数、道路種別、交通情報などに基づいて適宜補正される。更に、後述のように第1区間のリンクコストは目的地となる地点の地点データ35に基づいて適宜補正される。
【0056】
同じく、S22においてCPU41は、第2区間の長さに応じて第2区間のリンクコストを算出する。本実施形態では、第2区間のリンクコストは基本的には第2区間の長さ(例えばkm単位とする)とし、道路幅、勾配、車線数、道路種別、交通情報などに基づいて適宜補正される。更に、後述のように第2区間のリンクコストは目的地となる地点の地点データ35に基づいて適宜補正される。
【0057】
次に、S23においてCPU41は、目的地となる地点の地点データ35を地図情報DB31から読み出す。地点データ35には前述したように施設名称、住所、電話番号、代表点、到着点に関する情報を含む(
図2~
図5参照)。
【0058】
続いて、S24においてCPU41は、前記S23で読み出した目的地となる地点の地点データ35を参照し、処理対象の近接道路のリンクが、目的地となる地点に紐づけられた到着リンクと一致するか否かを判定する。尚、前述したように地点によっては複数の到着リンクが紐づけられている場合もあり(
図5参照)、その場合には紐づけられたいずれかの到着リンクと一致するか否かを判定する。
【0059】
そして、処理対象の近接道路のリンクが、目的地となる地点に紐づけられた到着リンクと一致すると判定された場合(S24:YES)には、S25へと移行する。それに対して、処理対象の近接道路のリンクが、目的地となる地点に紐づけられた到着リンクと一致しないと判定された場合(S24:NO)には、S31へと移行する。
【0060】
S25においてCPU41は、前記S23で読み出した目的地となる地点の地点データ35を参照し、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクについて、到着リンク方向が紐づけられているか否かを判定する。尚、到着リンク方向は、前述したように到着リンクから該当する地点へと進入する際の進入可能な方向を示すものであり、基本的には『両方向』、『順方向』、『逆方向』のいずれかが紐づけられている。但し、情報不足等の理由により到着リンクや到着リンク方向が紐づけられていない地点も存在する。
【0061】
そして、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクについて、到着リンク方向が紐づけられていると判定された場合(S25:YES)には、S26へと移行する。それに対して、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクについて、到着リンク方向が紐づけられていないと判定された場合(S25:NO)には、S31へと移行する。
【0062】
続いて、S26においてCPU41は、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクに紐づけられた到着リンク方向が『両方向』であるか否かを判定する。
【0063】
そして、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクに紐づけられた到着リンク方向が『両方向』であると判定された場合(S26:YES)には、S27へと移行する。それに対して、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクに紐づけられた到着リンク方向が『両方向』でないと判定された場合(S26:NO)には、S28へと移行する。
【0064】
S27においてCPU41は、処理対象の近接道路に対応するリンクの端点に設定されるノードコストに対して補正を行うことなく終了する。即ち、
図2に示すようなリンクの順方向と逆方向の両方向から進入可能な施設が目的地である場合には、特にどちらかの方向から進入する経路を優先する必要がないので、コスト補正は行わない。
【0065】
一方、S28においてCPU41は、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクに紐づけられた到着リンク方向が『順方向』であるか否かを判定する。
【0066】
そして、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクに紐づけられた到着リンク方向が『順方向(即ちリンクの始端から目的地への方向)』であると判定された場合(S28:YES)には、S29へと移行する。それに対して、処理対象の近接道路のリンクと一致する到着リンクに紐づけられた到着リンク方向が『逆方向(即ちリンクの終端から目的地への方向)』であると判定された場合(S28:NO)には、S30へと移行する。
【0067】
S29においてCPU41は、処理対象の近接道路に対応するリンクの始端に設定されるノードコスト(第1ノードコスト)に対しては補正を行わないが、リンクの終端に設定されるノードコスト(第2ノードコスト)に対してコスト値を加算する補正を行う。例えば、リンクの終端に設定されるノードコストに対して所定値(例えば4km)を加算する。尚、ノードコストを増やす手段としては加算以外に所定の係数を乗算しても良い。更に、近接像路における対向車線の車線数(即ち目的地へと進入する為に車両が横切る必要のある車線数)によってノードコストの増加量を変えても良い。例えば、車線数が多いほど、ノードコストの増加量を大きくする。また、リンクの終端に設定されるノードコストを増やすのではなく、リンクの始端に設定されるノードコストを減らすようにしても良い。更に、前記S29ではノードコストではなくリンクコストを補正しても良い。即ち、前記S22で算出された第2区間のリンクコストに対してコスト値を加算する補正を行っても良い。また、ノードコストとリンクコストの両方を補正しても良い。その結果、その後に行われる推奨経路の探索処理(S7)において、リンクの終端から逆方向に走行して目的地に到る経路よりもリンクの始端から順方向に走行して目的地に到る経路が目的地までの経路として選択されやすくなる。
【0068】
ここで、
図3や
図4に示すようなリンクの一方向のみから進入可能な施設が目的地である場合には、進入可能な方向から進入する為の経路を優先する必要がある。従って、前記S29では到着リンクを到着リンク方向(S29では順方向)へ走行して目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する。
【0069】
一方、S30においてCPU41は、処理対象の近接道路に対応するリンクの始端に設定されるノードコスト(第1ノードコスト)に対してコスト値を加算する補正を行い、リンクの終端に設定されるノードコスト(第2ノードコスト)に対しては補正を行わない。例えば、リンクの始端に設定されるノードコストに対して所定値(例えば4km)を加算する。尚、ノードコストを増やす手段としては加算以外に所定の係数を乗算しても良い。更に、近接像路における対向車線の車線数(即ち目的地へと進入する為に車両が横切る必要のある車線数)によってノードコストの増加量を変えても良い。例えば、車線数が多いほど、ノードコストの増加量を大きくする。また、リンクの始端に設定されるノードコストを増やすのではなく、リンクの終端に設定されるノードコストを減らすようにしても良い。更に、前記S30ではノードコストではなくリンクコストを補正しても良い。即ち、前記S21で算出された第1区間のリンクコストに対してコスト値を加算する補正を行っても良い。また、ノードコストとリンクコストの両方を補正しても良い。その結果、その後に行われる推奨経路の探索処理(S7)において、リンクの始端から順方向に走行して目的地に到る経路よりもリンクの終端から逆方向に走行して目的地に到る経路が目的地までの経路として選択されやすくなる。
【0070】
ここで、
図3や
図4に示すようなリンクの一方向のみから進入可能な施設が目的地である場合には、進入可能な方向から進入する為の経路を優先する必要がある。従って、前記S30では到着リンクを到着リンク方向(S30では逆方向)へ走行して目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する。
【0071】
一方、S31においてCPU41は、処理対象の近接道路のリンクのリンクデータ33を参照し、処理対象の近接道路のリンクに中央分離帯が存在するか否かを判定する。尚、リンクデータ33において処置対象の近接道路のリンクに中央分離帯が存在することを示す場合であっても、リンク全体に対する中央分離帯の存在(設置)割合が閾値未満(例えば50%未満)である場合には、リンクの一部に中央分離帯があったとしても目的地と対向する位置には中央分離帯が存在しない確率が高いので、中央分離帯が存在しないとみなしても良い。
【0072】
そして、処理対象の近接道路のリンクに中央分離帯が存在すると判定された場合(S31:YES)には、S33へと移行する。それに対して、処理対象の近接道路のリンクに中央分離帯が存在しないと判定された場合(S31:NO)には、S32へと移行する。
【0073】
S32においてCPU41は、処理対象の近接道路に対応するリンクの端点に設定されるノードコストに対して補正を行うことなく終了する。即ち、
図2に示すように中央分離帯が存在しない道路沿いにある施設は、仮に施設の地点データ35を参照することができなかったとしてもリンクの順方向と逆方向の両方向から進入可能な施設と推定できる。従って、特にどちらかの方向から進入する経路を優先する必要がないので、コスト補正は行わない。
【0074】
一方、S33においてCPU41は、目的地がリンクの順方向に対して右側にあるか否かを判定する。
【0075】
そして、目的地がリンクの順方向に対して右側にあると判定された場合(S33:YES)には、S34へと移行する。それに対して、目的地がリンクの順方向に対して左側にあると判定された場合(S33:NO)には、S35へと移行する。
【0076】
S34においてCPU41は、処理対象の近接道路に対応するリンクの始端に設定されるノードコスト(第1ノードコスト)に対してコスト値を加算する補正を行い、リンクの終端に設定されるノードコスト(第2ノードコスト)に対しては補正を行わない。例えば、リンクの始端に設定されるノードコストに対して所定値(例えば4km)を加算する。尚、ノードコストを増やす手段としては加算以外に所定の係数を乗算しても良い。更に、近接像路における対向車線の車線数(即ち目的地へと進入する為に車両が横切る必要のある車線数)によってノードコストの増加量を変えても良い。例えば、車線数が多いほど、ノードコストの増加量を大きくする。また、リンクの始端に設定されるノードコストを増やすのではなく、リンクの終端に設定されるノードコストを減らすようにしても良い。更に、前記S34ではノードコストではなくリンクコストを補正しても良い。即ち、前記S21で算出された第1区間のリンクコストに対してコスト値を加算する補正を行っても良い。また、ノードコストとリンクコストの両方を補正しても良い。その結果、その後に行われる推奨経路の探索処理(S7)において、リンクの始端から順方向に走行して目的地に到る経路よりもリンクの終端から逆方向に走行して目的地に到る経路が目的地までの経路として選択されやすくなる。
【0077】
ここで、
図4に示すような中央分離帯の存在する道路沿いにある施設は、仮に施設の地点データ35を参照することができなかったとしてもリンクの一方向のみから進入可能な施設と推定できる。例えば、目的地がリンクの順方向に対して右側にある施設57は、リンクの逆方向のみから進入可能な施設であると推定できる。従って、前記S34では近接道路を逆方向へ走行して目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する。
【0078】
一方、S35においてCPU41は、処理対象の近接道路に対応するリンクの始端に設定されるノードコスト(第1ノードコスト)に対しては補正を行わないが、リンクの終端に設定されるノードコスト(第2ノードコスト)に対してコスト値を加算する補正を行う。例えば、リンクの終端に設定されるノードコストに対して所定値(例えば4km)を加算する。尚、ノードコストを増やす手段としては加算以外に所定の係数を乗算しても良い。更に、近接像路における対向車線の車線数(即ち目的地へと進入する為に車両が横切る必要のある車線数)によってノードコストの増加量を変えても良い。例えば、車線数が多いほど、ノードコストの増加量を大きくする。また、リンクの終端に設定されるノードコストを増やすのではなく、リンクの始端に設定されるノードコストを減らすようにしても良い。更に、前記S29ではノードコストではなくリンクコストを補正しても良い。即ち、前記S22で算出された第2区間のリンクコストに対してコスト値を加算する補正を行っても良い。また、ノードコストとリンクコストの両方を補正しても良い。その結果、その後に行われる推奨経路の探索処理(S7)において、リンクの終端から逆方向に走行して目的地に到る経路よりもリンクの始端から順方向に走行して目的地に到る経路が目的地までの経路として選択されやすくなる。
【0079】
ここで、
図4に示すような中央分離帯の存在する道路沿いにある施設は、仮に施設の地点データ35を参照することができなかったとしてもリンクの一方向のみから進入可能な施設と推定できる。例えば、目的地がリンクの順方向に対して左側にある施設56は、リンクの順方向のみから進入可能な施設であると推定できる。従って、前記S35では近接道路を順方向へ走行して目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する。
【0080】
以下同様にして、目的地の近接道路に対応するリンクについて、第1区間と第2区間のリンクコスト及びリンク端点のノードコストを算出する。その後、S7へと移行する。そして、前記S7の経路探索処理においてコスト計算を行う場合に、目的地の近接道路に対応するリンクの始端から目的地までのコスト値は上記第1区間のリンクコストとリンクの始端に設定されたノードコストに基づいて算出される。一方、目的地の近接道路に対応するリンクの終端から目的地までのコスト値は上記第2区間のリンクコストとリンクの終端に設定されたノードコストに基づいて算出される。
【0081】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な方向を示す到着リンク方向とを紐づけた地点データ35を取得し(S23)、取得した地点データ35に基づいて到着リンクに係るコストを補正し(S27、S29、S30)、補正された到着リンクに係るコストを用いて目的地までの経路を探索する(S7)ので、データ量や経路探索に係る処理負担を大きく増やすことなく、目的地への進入可能な方向を考慮した経路探索を行うことが可能となる。その結果、目的地までのより最適な経路探索が可能となる。
【0082】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、ナビゲーション装置1が経路探索処理を行っているが、経路探索処理についてはナビゲーション装置1と通信可能に接続された外部サーバで行うようにし得ても良い。外部サーバで行う場合には、ナビゲーション装置1において目的地が設定された場合や経路の再探索(リルート)を行う場合に、ナビゲーション装置1からサーバ装置へと出発地、目的地、探索条件等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。
【0083】
また、本実施形態では、地点データとして特に施設に関する地点データを例に挙げて説明しているが、施設以外の地点に対しても地点データを持たせることも可能である。地点データを持たせる対象となる地点としては、施設以外に出発地、目的地、案内対象等となり得る地図上のポイント(例えば地名、住所等)が挙げられる。
【0084】
また、本実施形態では、特に左側通行の国である場合を想定して説明したが、右側通行の国においても同様に実施可能である。例えば、左側通行の国において右折進入禁止の施設は、右側通行の国では左折進入禁止の施設に相当する。左折進入禁止の施設の地点データ35には、到着リンク方向として到着リンクから右折して進入する為の進入方向が紐づけられることとなる。
【0085】
また、本実施形態では、リンクの長さをリンクコストの基準値としているが、リンクの旅行時間をリンクコストの基準値としても良い。
【0086】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、経路探索機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した経路探索処理プログラム(
図6)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや2輪車等に対する経路の探索にも本願発明を適用することが可能である。
【0087】
また、本発明に係る経路探索装置を具体化した実施例について上記に説明したが、経路探索装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0088】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
経路を構成するリンクに係るコストを用いて経路探索を行う経路探索装置(1)であって、目的地となる地点に対して、該地点へと進入可能な到着リンクと、到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向と、について紐づけた地点情報(35)を取得する地点情報取得手段(41)と、前記地点情報に基づいて前記到着リンクに係るコストを補正するコスト補正手段(41)と、前記コスト補正手段によって補正された前記到着リンクに係るコストを用いて前記目的地までの経路を探索する経路探索手段(41)と、を有し、前記コスト補正手段は、前記到着リンクを、前記到着リンクの始点から目的地の到着点までの第1区間と、前記到着リンクの終端から目的地の到着点までの第2区間と、に区分するとともに前記到着リンクに係るコストとして前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストを夫々算出し、前記第1区間に対応するリンクコスト及び前記第2区間に対応するリンクコストの少なくとも一方を前記目的地となる地点に紐づけられた前記到着リンク方向に基づいて補正することで前記到着リンクに係るコストを補正する。
上記構成を有する経路探索装置によれば、目的地となり得る地点に対する地点情報として、地点へと進入可能な到着リンクと到着リンクから該地点へと進入する際の進入可能な到着リンクの進行方向を示す到着リンク方向とを持たせることによって、データ量や経路探索に係る処理負担を大きく増やすことなく、目的地への進入可能な方向を考慮した経路探索を行うことが可能となる。その結果、目的地までのより最適な経路探索が可能となる。
【0089】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記コスト補正手段(41)は、前記到着リンクを前記到着リンク方向へ走行して前記目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する。
上記構成を有する経路探索装置によれば、目的地に進入可能な方向に移動して目的地へと到る経路を目的地までの経路として優先的に選択することが可能となる。
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記コスト補正手段(41)は、前記到着リンクに係るコストについて前記到着リンクを前記到着リンク方向に進行するコストを、前記到着リンク方向の逆方向を進行するコストよりも低くなるようにコストを補正する。
上記構成を有する経路探索装置によれば、到着リンクを到着リンク方向、即ち目的地に進入可能な方向に移動して目的地へと到る経路を目的地までの経路として優先的に選択することが可能となる。
【0090】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記コスト補正手段(41)は、前記到着リンクの一方の端点から目的地への方向が前記到着リンク方向と一致し、前記到着リンクの他方の端点から目的地への方向が前記到着リンク方向と一致しない場合には、前記到着リンクの一方の端点から目的地へと到る経路が目的地までの経路として含まれ易くなるようにコストを補正する。
上記構成を有する経路探索装置によれば、到着リンクを到着リンク方向、即ち目的地に進入可能な方向に移動して目的地へと到る経路を目的地までの経路として優先的に選択することが可能となる。
【0092】
また、第5の構成は以下のとおりである。
右折進入が禁止された地点については、到着リンク方向として到着リンクから左折して進入する為の到着リンクの進行方向が紐づけられている。
上記構成を有する経路探索装置によれば、例えば左側通行の国において右折して進入することができない地点が目的地となる場合には、左折して目的地に進入することが可能な経路を目的地までの経路として優先的に選択することが可能となる。
【0093】
また、第6の構成は以下のとおりである。
左折進入が禁止された地点については、到着リンク方向として到着リンクから右折して進入する為の到着リンクの進行方向が紐づけられている。
上記構成を有する経路探索装置によれば、例えば右側通行の国において左折して進入することができない地点が目的地となる場合には、右折して目的地に進入することが可能な経路を目的地までの経路として優先的に選択することが可能となる。
【0094】
また、第7の構成は以下のとおりである。
目的地となる地点に対して紐付けられた到着リンクが、進行方向毎に区分された複数のリンクである場合には、前記到着リンク方向として、前記複数のリンク毎に該リンクから前記目的地となる地点へと進入する際の進入可能な該リンクの進行方向を示す到着リンク方向が紐づけられる。
上記構成を有する経路探索装置によれば、2条線などの進行方向毎に区分された複数のリンクからなる道路に沿った地点が目的地である場合においても、各リンクから目的地への進入可能な方向を考慮した経路探索を行うことが可能となる。その結果、目的地までのより最適な経路探索が可能となる。
【0095】
また、第8の構成は以下のとおりである。
前記目的地となる地点は施設である。
上記構成を有する経路探索装置によれば、施設に対する施設情報として、施設へと進入可能な到着リンクと到着リンクから該施設へと進入する際の進入可能な方向を示す到着リンク方向とを持たせることによって、データ量や経路探索に係る処理負担を大きく増やすことなく、目的地への進入可能な方向を考慮した経路探索を行うことが可能となる。その結果、目的地までのより最適な経路探索が可能となる。
【符号の説明】
【0096】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
35 地点データ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
52、54、56、57、59 施設
67、73 近接道路