(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】液晶デバイスの製造装置及び液晶デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G02F1/13 101
(21)【出願番号】P 2019100383
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】太田 信司
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-238278(JP,A)
【文献】特開2011-170024(JP,A)
【文献】特開2018-200455(JP,A)
【文献】特開2010-113377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/137-1/141
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339-1/1341,1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口部が形成され、各開口部の端部
には、複数の画素が形成された画素領域を有する
駆動基板を位置決めして保持する段部が形成され、前記各開口部の前記段部に前記駆動基板を位置決めして保持することにより、複数の
前記駆動基板を保持する基板保持プレートと、
前記基板保持プレートの下方に配置され、前記各開口部と対向する位置
に光透過性を有す
る対向基板を保持する
ことにより、複数の前記対向基板を保持するステージと、
前記基板保持プレート上に保持されてい
る複数の
前記駆動基板上に配置された加重部材と、
前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近または離隔させるように、前記ステージまたは前記基板保持プレートを駆動する駆動部と、
前記駆動部によって前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近または離隔させるよう、前記駆動部を制御する制御部と、
前記基板保持プレート、前記ステージ、及び前記加重部材を収容するチャンバと、
前記チャンバの外部に配置されている光源と、
を備え、
前記対向基板には、前記対向基板と対向する前記駆動基板の前記画素領域を囲う位置にシール材が塗布され、
前記対向基板上には液晶が滴下され、
前記制御部が前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近させるよう前記駆動部を制御すると、前記対向基板が前記開口部を挿通して前記駆動基板に接近することにより、前記駆動基板と前記対向基板とが貼り合わされるように構成され、
前記ステージは、前記光源より照射された光を透過させる光透過性を有し、
前記チャンバは、前記光源より照射された光を透過させる光透過部を有し、
前記光源は、前記光透過部、前記ステージ、及び前記対向基板を介して、前記シール材に前記シール材を硬化させる光を照射する
液晶デバイスの製造装置。
【請求項2】
前記チャンバ内を減圧する減圧駆動
部をさらに備え、
前記制御部は、前記駆動部によって前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近させる前に、前記チャンバ内を減圧するよう前記減圧駆動部を制御する
請求項1に記載の液晶デバイスの製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記チャンバ内を減圧状態から大気圧状態とするよう前記減圧駆動部を制御し、前記チャンバ内が大気圧状態となっている状態で、前記シール材に
前記光を照射するよう前記光源を制御す
る請求項
2に記載の液晶デバイスの製造装置。
【請求項4】
チャンバ内に収容されている基板保持プレートであり、複数の開口部が形成され
、各開口部の端部
に、複数の画素が形成された画素領域を有する
駆動基板を位置決めして保持する段部が形成されている前記基板保持プレートの
前記各開口部に
前記駆動基板を配置し、
前記チャンバ内に収容されている光透過性を有するステージであり、前記基板保持プレートの下方に配置され
ている前記ステージ上の前記各開口部と対向する位置に
、光透過性を有す
る対向基板を配置し、
各対向基板上に液晶を滴下し、
各対向基板上の前記駆動基板の前記画素領域を囲う位置にシール材を塗布し、
前記チャンバ内で、前記基板保持プレート上に配置されてい
る複数の
前記駆動基板上に加重部材を配置して
、複数の
前記駆動基板に対して加重し、
前記ステージまたは前記基板保持プレートを駆動して、前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近させ、各対向基板を前記開口部を挿通させて各駆動基板に接近させることによって、
前記各駆動基板と
前記各対向基板とを前記液晶及び前記シール材を介して貼り合わせ、
前記チャンバの外部に配置されている光源によって、前記チャンバに設けられている光透過部、前記ステージ、及び前記対向基板を介して、前記シール材に前記シール材を硬化させる光を照射することにより前記シール材を硬化させて
、複数の液晶デバイスを作製する
液晶デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近させる前に、前記チャンバ内を減圧する請求項4に記載の液晶デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記チャンバ内を減圧状態から大気圧状態とし、
前記チャンバ内が大気圧状態となっている状態で、前記光源によって前記シール材に前記光を照射する
請求項5に記載の液晶デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶デバイスの製造装置及び液晶デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶デバイスは、表示装置及び光スイッチング装置等に用いられている。液晶デバイスは、照射された照明光を画素ごとに光変調して画像光を生成したり、液晶の屈折率を調整して信号光の波面を変化させたりする。特許文献1には液晶デバイスの製造方法の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板とガラス基板とを貼り合わせて構造体を作製し、その構造体を液晶デバイス単位で分断することによって複数の液晶デバイスを同時に作製する一括貼り合わせ方法がある。一括貼り合わせ方法では、半導体基板に不良領域が存在すると不良領域に対応する液晶デバイスは不良品となる。即ち、一括貼り合わせ方法では、半導体基板に不良領域がある場合には不良品の液晶デバイスも作製することになる。
【0005】
半導体基板を分断して良品の駆動基板を選別し、ガラス基板を分断して対向基板を作製し、良品の駆動基板と対向基板とを貼り合わせることにより、良品の液晶デバイスを効率よく作製することができる。
【0006】
しかしながら、液晶デバイス単位でそれぞれ分断された駆動基板と対向基板とを貼り合わせるため、一括貼り合わせ方法と比較して、駆動基板と対向基板とを、互いに平行になるように効率よく貼り合わせることは困難である。そのため、駆動基板と対向基板との間隙に相当するセルギャップの面内ばらつきが大きくなり、液晶デバイスの性能を悪化させる要因となる。
【0007】
ところで、特許文献1に記載されている液晶デバイスは、駆動基板よりもガラス基板よりなる対向基板の方が小さい。複数の駆動基板と複数の対向基板とを平行に貼り合わせて、対向基板が駆動基板より小さい構成を有する複数の液晶デバイスを同時に作製することができる液晶デバイスの製造装置及び液晶デバイスの製造方法が求められる。
【0008】
本発明は、複数の駆動基板と複数の対向基板とを平行に貼り合わせて、対向基板が駆動基板より小さい構成を有する複数の液晶デバイスを同時に作製することができる液晶デバイスの製造装置及び液晶デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の開口部が形成され、各開口部の端部には、複数の画素が形成された画素領域を有する駆動基板を位置決めして保持する段部が形成され、前記各開口部の前記段部に前記駆動基板を位置決めして保持することにより、複数の前記駆動基板を保持する基板保持プレートと、前記基板保持プレートの下方に配置され、前記各開口部と対向する位置に光透過性を有する対向基板を保持することにより、複数の前記対向基板を保持するステージと、前記基板保持プレート上に保持されている複数の前記駆動基板上に配置された加重部材と、前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近または離隔させるように、前記ステージまたは前記基板保持プレートを駆動する駆動部と、前記駆動部によって前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近または離隔させるよう、前記駆動部を制御する制御部と、前記基板保持プレート、前記ステージ、及び前記加重部材を収容するチャンバと、前記チャンバの外部に配置されている光源とを備え、前記対向基板には、前記対向基板と対向する前記駆動基板の前記画素領域を囲う位置にシール材が塗布され、前記対向基板上には液晶が滴下され、前記制御部が前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近させるよう前記駆動部を制御すると、前記対向基板が前記開口部を挿通して前記駆動基板に接近することにより、前記駆動基板と前記対向基板とが貼り合わされるように構成され、前記ステージは、前記光源より照射された光を透過させる光透過性を有し、前記チャンバは、前記光源より照射された光を透過させる光透過部を有し、前記光源は、前記光透過部、前記ステージ、及び前記対向基板を介して、前記シール材に前記シール材を硬化させる光を照射する液晶デバイスの製造装置を提供する。
【0010】
本発明は、チャンバ内に収容されている基板保持プレートであり、複数の開口部が形成され、各開口部の端部に、複数の画素が形成された画素領域を有する駆動基板を位置決めして保持する段部が形成されている前記基板保持プレートの前記各開口部に前記駆動基板を配置し、前記チャンバ内に収容されている光透過性を有するステージであり、前記基板保持プレートの下方に配置されている前記ステージ上の前記各開口部と対向する位置に、光透過性を有する対向基板を配置し、各対向基板上に液晶を滴下し、各対向基板上の前記駆動基板の前記画素領域を囲う位置にシール材を塗布し、前記チャンバ内で、前記基板保持プレート上に配置されている複数の前記駆動基板上に加重部材を配置して、複数の前記駆動基板に対して加重し、前記ステージまたは前記基板保持プレートを駆動して、前記ステージと前記基板保持プレートとを互いに接近させ、各対向基板を前記開口部を挿通させて各駆動基板に接近させることによって、前記各駆動基板と前記各対向基板とを前記液晶及び前記シール材を介して貼り合わせ、前記チャンバの外部に配置されている光源によって、前記チャンバに設けられている光透過部、前記ステージ、及び前記対向基板を介して、前記シール材に前記シール材を硬化させる光を照射することにより前記シール材を硬化させて、複数の液晶デバイスを作製する液晶デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液晶デバイスの製造装置及び液晶デバイスの製造方法によれば、複数の駆動基板と複数の対向基板とを平行に貼り合わせて、対向基板が駆動基板より小さい構成を有する複数の液晶デバイスを同時に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の液晶デバイスの製造装置を示す構成図である。
【
図2】一実施形態の液晶デバイスの第1の構成例を示す平面図である。
【
図5】対向基板に設けられている透明電極と駆動基板との電気的な接続を示す
図2の部分拡大図である。
【
図6】対向基板に設けられている透明電極と駆動基板との電気的な接続を示す
図4の部分拡大図である。
【
図7】一実施形態の液晶デバイスの第2の構成例を示す平面図である。
【
図8】一実施形態の液晶デバイスの第3の構成例を示す平面図である。
【
図9】厚さまたは重さが異なる複数の加重部材から選択された加重部材を用いて加重しながら、駆動基板と対向基板とを貼り合わせている状態を示す部分断面図である。
【
図10】複数の加重部材から選択的に組み合わされた複数の加重部材を用いて加重しながら、駆動基板と対向基板とを貼り合わせている状態を示す部分断面図である。
【
図11】一実施形態の液晶デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【
図12】一実施形態の液晶デバイスの製造装置によって、遮光マスクによって画素領域に紫外線が照射されないようにして、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスを作製したときの、画像の明るさの経時変化を概念的に示す特性図である。
【
図13】一実施形態の液晶デバイスの製造装置によって、遮光マスクによって画素領域に紫外線が照射されないようにして、赤色用液晶デバイス及び緑色用液晶デバイスを作製し、画素領域に紫外線が照射されるようにして、青色用液晶デバイスを作製したときの、画像の明るさの経時変化を概念的に示す特性図である。
【
図14】遮光マスクを取り外した一実施形態の液晶デバイスの製造装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を用いて、一実施形態の液晶デバイスの製造装置を説明する。以下、液晶デバイスの製造装置を単に製造装置とする。製造装置1は、光源2と、基板貼り合わせ部3と、制御部4とを備える。制御部4は、設定されたプログラムまたはオペレータからの指示情報に基づいて光源2及び基板貼り合わせ部3を制御する。制御部4としてコンピュータ機器またはCPU(Central Processing Unit)を用いてもよい。
【0015】
基板貼り合わせ部3は、チャンバ10と、減圧駆動部11と、ステージ20と、ステージ駆動部21と、プレート保持部30とを有する。チャンバ10は、チャンバ本体12と、蓋13と、光透過部14とを有する。ステージ20及びプレート保持部30はチャンバ10に収容されている。減圧駆動部11として真空ポンプを用いてもよい。ステージ20及び光透過部14は光透過性を有する。具体的には、ステージ20及び光透過部14は紫外線を透過する。ステージ20及び光透過部14として石英ガラス板を用いてもよい。
【0016】
制御部4は、基板貼り合わせ部3を制御することにより、蓋13を開閉することができる。制御部4は、蓋13をチャンバ本体12に密着させることにより、チャンバ10内を密閉することができる。なお、オペレータが蓋13を開閉してもよい。チャンバ10内が密閉された状態において、制御部4は、減圧駆動部11を駆動させることにより、チャンバ10内を減圧することができる。
【0017】
図2~
図4を用いて、製造装置1によって製造される液晶デバイスの第1の構成例を説明する。
図2は、一実施形態の液晶デバイス100を対向基板側から見た状態を示している。
図3は液晶デバイス100を
図2のA-Aで切断した断面図、
図4は液晶デバイス100を
図2のB-Bで切断した断面図である。
【0018】
第1の構成例の液晶デバイス100は、駆動基板110と、対向基板103と、シール材102と、液晶101とを備える。例えば半導体プロセスにより作製された半導体基板を目的のサイズに切断することにより、複数の駆動基板110を同時に作製することができる。対向基板103は光透過性を有する。例えばガラス基板を目的のサイズに切断することにより、複数の対向基板103を同時に作製することができる。
【0019】
駆動基板110は、複数の画素が形成された画素領域111を有する。駆動基板110は、複数の端面EF110a~EF110dを有する。複数の端面EF110a~EF110dは、それぞれ、連続して切断された形状を有する切断面である。端面EF110aは第1の方向における端面であり、端面EF110bは第1の方向とは反対側の第2の方向における端面である。端面EF110cは第3の方向における端面であり、端面EF110dは第3の方向とは反対方向の第4の方向における端面である。
【0020】
第1及び第2の方向は、例えば駆動基板110の長手方向であり、
図2の左右方向である。第3及び第4の方向は、例えば駆動基板110の短手方向であり、
図2の上下方向である。第1及び第2の方向と第3及び第4の方向とは互いに直交する。駆動基板110の短手方向を第1及び第2の方向とし、駆動基板110の長手方向を第1及び第2の方向としてもよい。
【0021】
図2に示す駆動基板110において、端面EF110aは左側の端面であり、端面EF110bは右側の端面であり、端面EF110cは下側の端面であり、端面EF110dは上側の端面である。
【0022】
対向基板103は、複数の端面EF103a~EF103dを有する。複数の端面EF103a~EF103dは、それぞれ、連続して切断された形状を有する切断面である。端面EF103aは第1の方向における端面であり、端面EF103bは第2の方向における端面である。端面EF103cは第3の方向における端面であり、端面EF103dは第4の方向における端面である。
図2に示す対向基板103において、端面EF103aは左側の端面であり、端面EF103bは右側の端面であり、端面EF103cは下側の端面であり、端面EF103dは上側の端面である。
【0023】
駆動基板110において、端面EF110aは対向基板103の端面EF103aよりも外側に位置し、端面EF110bは対向基板103の端面EF103bよりも外側に位置している。駆動基板110は、対向基板103よりも第1の方向に突出する領域RG110a(第1の領域)と、対向基板103よりも第2の方向に突出する領域RG110b(第2の領域)とを有する。
【0024】
駆動基板110において、端面EF110cは対向基板103の端面EF103cよりも外側に位置し、端面EF110dは対向基板103の端面EF103dよりも外側に位置している。駆動基板110は、対向基板103よりも第3の方向に突出する領域RG110c(第3の領域)と、対向基板103よりも第4の方向に突出する領域RG110d(第4の領域)とを有する。領域RG110c及びRG110dを第1及び第2の領域とし、領域RG110a及びRG110b第3及び第4の領域としてもよい。
【0025】
駆動基板110は、複数の端子が配列している、複数の端子群112a~112dを有する。端子群112a(第1の端子群)は、駆動基板110上において端面EF110aの近傍の領域(端面EF110a側の領域)である領域RG110aに形成されている。端子群112b(第2の端子群)は、駆動基板110上において端面EF110bの近傍の領域(端面EF110b側の領域)である領域RG110bに形成されている。
【0026】
端子群112c(第3の端子群)は、駆動基板110上において端面EF110cの近傍の領域(端面EF110c側の領域)である領域RG110cに形成されている。端子群112d(第4の端子群)は、駆動基板110上において端面EF110dの近傍の領域(端面EF110d側の領域)である領域RG110dに形成されている。端子群112c及び112dを第1及び第2の端子群とし、端子群112a及び端子群112bを第3及び第4の端子群としてもよい。
【0027】
端子群112a~112dは、液晶デバイス100に制御信号を供給する端子、液晶デバイス100にタイミング信号を供給する端子、画素領域111の各画素に印加電圧を供給する端子、液晶デバイス100よりデータ信号を出力する端子を含む。
【0028】
シール材102は、画素領域111よりも外側の領域に配置され、かつ、画素領域111を囲うように画素領域111の外周に沿って環状に配置されている。駆動基板110と対向基板103とは、画素領域111が対向基板103と対向するようにしてシール材102により間隙を有して貼り合わされている。液晶101は、駆動基板110と対向基板103との間隙に充填され、シール材102によって封止されている。
【0029】
図2~
図4では図示が省略されているが、対向基板103に設けられている透明電極と、駆動基板110とに間は、電気的に接続されている。
図2及び
図4それぞれの部分拡大図である
図5及び
図6に示すように、駆動基板110には、接続パッド115が設けられている。対向基板103の駆動基板110と対向する側の面上の接続パッド115と対向する位置に導通材105が配置されている。
【0030】
典型的には、導通材105は、シリカ粒に金または銀をコーティングした粒子をシール材に混ぜることによって構成される。粒子の粒径は、駆動基板110と対向基板103との間の液晶101の厚み、即ち、シール材102の厚みよりわずかに大きい。後述する製造装置1による駆動基板110と対向基板103と貼り合わせによって導通材105が加圧され、導通材105が接続パッド115と対向基板103の透明電極との双方に食い込み、透明電極と駆動基板110とが電気的に接続される。なお、導通材105と接続パッド115とによる接続部の数及び位置は任意である。
【0031】
図7及び
図8は、それぞれ、液晶デバイス100の第2及び第3の構成例を示している。
図2に示す液晶デバイス100と同じ構成部には同じ符号を付す。
図7に示すように、第2の構成例の液晶デバイス100は、それぞれ端子群112a及び112bが形成された領域RG110a及びRG110bを有する。
図8に示すように第3の構成例の液晶デバイス100は、それぞれ端子群112c及び112dが形成された領域RG110c及びRG110dを有する。
【0032】
即ち、
図7に示すように、製造装置1によって製造される液晶デバイス100は、少なくとも、対向基板103よりも第1の方向に突出して、端子群112aが形成された領域RG110aと、対向基板103よりも第2の方向に突出して、端子群112bが形成された領域RG110bとを有する。または、
図8に示すように、製造装置1によって製造される液晶デバイス100は、対向基板103よりも第3の方向に突出して、端子群112cが形成された領域RG110cと、対向基板103よりも第4の方向に突出して、端子群112dが形成された領域RG110dとを有する。
【0033】
上記のように、端子群112cが形成された領域RG110cが突出している方向を第1の方向、端子群112dが形成された領域RG110dが突出している方向を第2の方向としてもよい。端子群112aが形成された領域RG110aが突出している方向を第3の方向、端子群112bが形成された領域RG110bが突出している方向を第4の方向としてもよい。
【0034】
図1に示すように、ステージ20は、複数の対向基板103を位置決めして保持する複数の凹部22を有する。ステージ20は、複数の対向基板103を複数の凹部22によって位置決めし、着脱自在に保持する。遮光マスク40は、凹部22の底面に配置されている。凹部22の底面の所定の領域にクロム等の遮光膜を形成することにより、遮光マスク40を形成することができる。
【0035】
対向基板103は、対向基板103上に所定量の液晶101が滴下され、シール材102が塗布された状態で、ステージ20に保持される。シール材102として紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
【0036】
プレート保持部30はチャンバ本体12に固定されている。プレート保持部30は、基板保持プレート31を、ステージ20と平行になるように保持する。基板保持プレート31は、ステージ20の複数の凹部22と対向する位置に複数の開口部32を有する。開口部32は、対向基板103を挿通可能な大きさを有する。
【0037】
基板保持プレート31は、各開口部32に、駆動基板110を位置決めして保持する段部33(
図9または
図10参照)を有する。段部33は、開口部32の端部に形成されている。駆動基板110は、領域RG110a(または領域RG110c)、及び、領域RG110b(または領域RG110d)が段部33によって保持される。基板保持プレート31は、複数の駆動基板110を複数の開口部32における各段部33によって位置決めし、着脱自在に保持する。即ち、プレート保持部30は、基板保持プレート31を介して複数の駆動基板110を保持する。
【0038】
基板保持プレート31には、検査により良品と判定された駆動基板110のみが保持される。駆動基板110は、画素領域111が対向基板103と対向するように基板保持プレート31に保持される。
【0039】
液晶101は、対向基板103上において画素領域111の中心部に対応する位置に滴下されている。シール材102は、画素領域111を囲うよう画素領域111の外周部に対応する位置に、対向基板103上に環状に塗布されている。
【0040】
複数の対向基板103がステージ20に保持され、複数の駆動基板110が保持された基板保持プレート31がプレート保持部30に保持されている状態では、複数の駆動基板110と複数の対向基板103とは、互いに平行で、かつ、対向して位置決めされる。基板保持プレート31がプレート保持部30に保持されている状態において、制御部4は、ステージ駆動部21を制御することにより、ステージ20を基板保持プレート31に接近させたり離隔させたりすることができる。
【0041】
複数の対向基板103がステージ20に保持され、複数の駆動基板110が保持された基板保持プレート31がプレート保持部30に保持されている状態において、遮光マスク40は、画素領域111に対応する範囲を含む領域に配置されている。
【0042】
加重部材50は、複数の駆動基板110上に配置される。加重部材50は金属板で構成されている。加重部材50として定盤を用いてもよい。加重部材50は、駆動基板110と対向する面が平坦となっている。製造装置1は、加重部材50を複数の駆動基板110上に移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0043】
図9に示すように、厚さt50または重さが互いに異なる複数の加重部材50を準備し、複数の加重部材50から選択された加重部材50を複数の駆動基板110上に配置してもよい。製造装置1は、設定されたプログラムまたはオペレータからの指示情報に基づいて、複数の加重部材50から目的の厚さまたは重さを有する加重部材50を選択する。製造装置1は、選択された加重部材50を複数の駆動基板110上に移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0044】
図10に示すように、複数の加重部材50を準備し、複数の加重部材50から選択的に組み合わされた任意の数の加重部材50を複数の駆動基板110上に配置してもよい。
図10は3つの加重部材50が複数の駆動基板110上に配置されている状態を示している。設定されたプログラムまたはオペレータからの指示情報に基づいて、製造装置1は、複数の加重部材50から設定された数の加重部材50を選択する。製造装置1は、選択された数または組み合わせの加重部材50を複数の駆動基板110上に積み重なるように移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0045】
図11に示すフローチャートを用いて、一実施形態の液晶デバイスの製造方法を説明する。
図1に示すように、複数の対向基板103は、ステージ20の複数の凹部22に保持されている。複数の駆動基板110は、画素領域111が対向基板103と対向するように、基板保持プレート31の複数の段部33に保持されている。基板保持プレート31はプレート保持部30に保持されている。
【0046】
図1に示すように、遮光マスク40は、画素領域111に対応して、ステージ20の凹部22の底面に配置されている。複数の駆動基板110上には、設定された厚さ、設定された重さ、または設定された数の加重部材50が配置されている。加重部材50と複数の駆動基板110とは面接触している。
【0047】
チャンバ10内が密閉されている状態において、制御部4は、ステップS1にて、減圧駆動部11を制御することにより、チャンバ10内を減圧する。チャンバ10内が減圧されている状態において、制御部4は、ステップS2にて、ステージ駆動部21を制御することにより、ステージ20を初期位置から所定の位置へ移動(
図1では上方向へ移動)させて、ステージ20と基板保持プレート31とを互いに接近させる。すると、各対向基板103は開口部32を挿通して各駆動基板110に接近し、各駆動基板110と各対向基板103とが液晶101及びシール材102を介して貼り合わされる。
【0048】
ステージ20は加熱部を有していてもよい。制御部4は、加熱部を制御することにより、対向基板103を所定の温度範囲内に加熱してもよい。対向基板103を加熱することによって液晶101の粘度が低下して液晶101が平坦化することにより、シール材102を液晶101よりも先に駆動基板110に接触させることができる。
【0049】
図9及び
図10は、駆動基板110と対向基板103とがシール材102及び液晶101を介して貼り合わされた状態を示している。駆動基板110はステージ20(対向基板103)によって押し上げられ、基板保持プレート31からわずかに離隔した状態となる。これにより、駆動基板110には加重部材50の重力が加わる。加重部材50の厚さ、重さ、または数に応じて駆動基板110に対する加重の程度を変えることができる。駆動基板110に対する加重の程度を調整することにより、駆動基板110と対向基板103と間隔(セルギャップ)を調整することができる。
【0050】
加重部材50と複数の駆動基板110とが面接触した状態で、複数の駆動基板110に加重部材50の重力が加わるため、加重部材50を用いない場合と比較して、セルギャップの面内分布を向上させることができる。また、複数の駆動基板110に対する加重の程度を調整することにより、セルギャップの面内分布を向上させることができる。
【0051】
制御部4は、ステップS3にて、減圧駆動部11を制御してチャンバ10内を減圧状態から大気圧状態にする。なお、制御部4が減圧駆動部11を停止させ、オペレータがチャンバ10内を大気圧状態にしてもよい。
【0052】
チャンバ10内が大気圧状態で、かつ、複数の駆動基板110に加重部材50の重力が加わっている状態で、制御部4は、ステップS4にて、光源2を制御することにより、光源2から所定の波長帯を有する光(例えば紫外線UV)を基板貼り合わせ部3に向けて照射する。紫外線UVは、光透過部14、ステージ20、及び対向基板103を透過してシール材102に照射される。なお、駆動基板110の画素領域111は、遮光マスク40によって遮光されているため、紫外線UVは画素領域111には照射されない。
【0053】
シール材102は紫外線UVによって硬化するため、製造装置1は、加重部材50によって目的のセルギャップで、かつ、目的の面内分布にセルギャップが調整された状態で、駆動基板110と対向基板103とをシール材102によって貼り合わせることができる。液晶101は、駆動基板110と対向基板103との間隙に充填され、シール材102によって封止される。これにより、
図2、
図7、または
図8に示すような液晶デバイス100を同時に複数作製することができる。
【0054】
制御部4は、ステップS5にて、光源2を制御して紫外線UVの照射を停止させる。さらに制御部4は、基板貼り合わせ部3を制御することにより、蓋13を開ける。なお、オペレータが蓋13を開けてもよい。オペレータがチャンバ10内から加重部材50と複数の液晶デバイス100を取り出した後、制御部4は、ステップS6にて、ステージ20を所定の位置から初期位置へ移動(
図1では下方向へ移動)させる。製造装置1は、駆動基板110と対向基板103との貼り合わせ処理を終了する。なお、ステップS1~S6のうちの少なくともいずれかのステップ、またはそのステップの一部の処理をオペレータが実行してもよい。
【0055】
本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、上記のステップS1~S6により、駆動基板110と対向基板103とがシール材102によって貼り合わされ、液晶101が駆動基板110と対向基板103との間隙に充填され、かつ、シール材102によって封止される。本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、目的のセルギャップで、かつ、目的の面内分布にセルギャップが調整された複数の液晶デバイス100を同時に作製することができる。従って、本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、複数の駆動基板110と複数の対向基板103とを平行に貼り合わせて複数の液晶デバイス100を同時に作製することができる。
【0056】
本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、複数の駆動基板110を保持する基板保持プレート31が上方、複数の対向基板103を保持するステージ20が下方に配置されている。従って、本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、対向基板103が駆動基板110より小さい構成を有する複数の液晶デバイス100を同時に作製することができる。
【0057】
本実施形態の液晶デバイス100は、駆動基板110における対向基板103よりも第1の方向に突出する第1の領域に第1の端子群が形成され、第1の方向とは反対側の第2の方向に突出する第2の領域に第2の端子群が形成されている。好ましくは、液晶デバイス100は、第1及び第2の端子群に加えて、第1の方向と直交する第3の方向に突出する第3の領域に第3の端子群が形成され、第3の方向とは反対側の第4の方向に突出する第4の領域に第4の端子群が形成されている。液晶デバイス100は、対向基板103が駆動基板110より小さい構造に好適な端子構造を有する。
【0058】
液晶デバイス100を表示装置に用いた場合、液晶デバイス100は、照射された照明光を画素ごとに光変調して画像光を生成する。表示装置は画像光をスクリーン等へ投射することにより、画像を表示する。
図12及び
図13は、画像の明るさの経時変化を概念的に示している。
【0059】
図12及び
図13において符号R1及びR2で示す線は、赤色照明光が液晶デバイス100(赤色用液晶デバイス)に照射された場合の画像(赤色画像)の明るさの経時変化の一例を示している。符号G1及びG2で示す線は、緑色照明光が液晶デバイス100(緑色用液晶デバイス)に照射された場合の画像(緑色画像)の明るさの経時変化の一例を示している。符号B1及びB2で示す線は、青色照明光が液晶デバイス100(青色用液晶デバイス)に照射された場合の画像(青色画像)の明るさの経時変化の一例を示している。
【0060】
図12は、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスを作製するときに、遮光マスク40を用いた場合の赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさR1、G1、及びB1の経時変化の一例を示している。時刻t1(例えば出荷時点)において、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスは、赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさが同じになるように調整されている。一般的に、時刻t1から所定の時間が経過した後の時刻t2では、青色画像の明るさB1は、赤色画像及び緑色画像の明るさR1及びG1と比較して暗くなる。そのため、時刻t2では、時刻t1と比較して、画像のホワイトバランスが悪化する。
【0061】
図13は、赤色用液晶デバイス及び緑色用液晶デバイスを作製するときに遮光マスク40を用い、青色用液晶デバイスを作製するときに遮光マスク40を用いない場合の赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさR2、G2、及びB2の経時変化の一例を示している
【0062】
図14は、ステージ20に遮光マスク40を配置していない構成の製造装置1を示している。青色用液晶デバイスを作製する場合には、
図1に示すステージ20に遮光マスク40を配置した構成の製造装置1の代わりに、
図14に示すステージ20に遮光マスク40を配置していない構成の製造装置1を用いるのがよい。青色用液晶デバイスを作製する場合、
図14に示す製造装置1は、ステップS4にて、紫外線UVを画素領域111上の液晶101に照射することにより、青色画像の明るさB2が経時的に安定した青色用液晶デバイスを作製することができる。
【0063】
図13に示すように、時刻t1(例えば出荷時点)において、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスは、赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさが同じになるように調整されている。青色画像の明るさB2は経時的に安定しているため、時刻t2における赤色画像の明るさR2と緑色画像の明るさG2と青色画像の明るさB2との経時変化によるばらつきを低減することができる。これにより、時刻t2における画像のホワイトバランスの悪化を抑制することができる。
【0064】
製造装置1を、ステージ20から遮光マスク40を着脱自在に構成してもよい。この場合、赤色用液晶デバイス及び緑色用液晶デバイスを作製するときには、ステージ20に遮光マスク40を装着した状態で液晶デバイス100を作製する。青色用液晶デバイスを作製するときには、ステージ20から遮光マスク40を取り外した状態で液晶デバイス100を作製する。
【0065】
本発明は、上述した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0066】
本実施形態においては、ステージ20が基板保持プレート31に対して接近または離隔するよう駆動され、基板保持プレート31を保持するプレート保持部30がチャンバ本体12に固定されている構成とされている。基板保持プレート31がステージ20に対して接近または離隔するよう駆動され、ステージ20がチャンバ本体12に固定されていてもよい。
【0067】
この場合、製造装置1は、ステージ駆動部21に代えて基板保持プレート31(またはプレート保持部30)を駆動するプレート駆動部を備え、制御部4がプレート駆動部を制御することにより、基板保持プレート31をステージ20に対して接近または離隔させる。即ち、製造装置1は、ステージ20と基板保持プレート31とを互いに接近または離隔させるように、ステージ20または基板保持プレート31(プレート保持部30)を駆動する駆動部を備え、制御部4が駆動部を制御すればよい。
【0068】
赤色用液晶デバイス及び緑色用液晶デバイスを作製するときに遮光マスク40を用い、青色用液晶デバイスを作製するときに減光マスクを用いてもよい。この場合、減光マスクは、駆動基板110の画素領域111に対応して、ステージ20の凹部22の底面に配置される。減光マスクの透過率に応じて、画素領域111上の液晶101に照射される紫外線UVの光量または光強度を設定することができる。減光マスクを適切な透過率に設定することにより、青色画像の明るさB2を経時的に安定させることができる。
【0069】
光源2はチャンバ10の外部に配置されていることに限定されず、チャンバ10の内部に収容されていてもよい。この場合、光透過部14はなくてもよい。制御部4は、光源2を制御することにより、光源2から所定の波長帯を有する光(例えば紫外線UV)を基板貼り合わせ部3に向けて照射する。紫外線UVは、ステージ20、及び対向基板103を透過してシール材102に照射される。
【符号の説明】
【0070】
1 製造装置
2 光源
4 制御部
10 チャンバ
11 減圧駆動部
20 ステージ
21 ステージ駆動部(駆動部)
30 プレート保持部
31 基板保持プレート
32 開口部
50 加重部材
100 液晶デバイス
101 液晶
102 シール材
103 対向基板
110 駆動基板
111 画素領域