(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】切断装置、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/20 20060101AFI20230912BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20230912BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B26D7/20
B41J11/70
B26D1/06 Z
(21)【出願番号】P 2019122249
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/133247(WO,A1)
【文献】特開2005-224924(JP,A)
【文献】特開2010-006078(JP,A)
【文献】特開2006-027241(JP,A)
【文献】特開2002-346970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/20
B41J 11/70
B26D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を切断するためのカッタ刃を保持し移動可能なカッタホルダと、
前記カッタホルダと対向する位置に設けられ、前記切断対象物を前記カッタ刃との協働でフルカットするフルカット位置と、前記切断対象物を前記カッタ刃との協働でハーフカットするハーフカット位置との間で移動する切断台と、
ユーザ操作可能であり、前記カッタホルダと接触して前記カッタホルダを移動させるカッタレバーと、
ユーザ操作可能であり、前記切断台と接触して、前記切断台を移動させる切断台レバーと、
前記カッタレバーと前記切断台レバーを連動可能に連結する連結部と
を備え、
前記連結部は、
前記カッタレバーと前記切断台レバーのうち、前記カッタレバーのみがユーザ操作されると、前記カッタレバーの動きを前記切断台に伝達することなく遮断するとともに、
前記カッタレバーと前記切断台レバーのうち、前記切断台レバーのみがユーザ操作されると、前記切断台レバーの動きを、前記カッタレバーに伝達することを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記切断台レバーのユーザ操作開始に伴い移動する前記切断台の移動完了タイミングは、前記切断台レバーの移動に伴い移動する前記カッタ刃が前記切断対象物に接触するタイミングよりも早いことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記カッタレバーと前記切断台レバーは、同一の軸線を中心に回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記切断台は、前記切断対象物が搬送される搬送方向における位置を変えて、前記フルカット位置と前記ハーフカット位置との間を移動することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の切断装置。
【請求項5】
前記切断台を、前記フルカット位置又は前記ハーフカット位置の一方の位置に向けて付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断台レバーがユーザ操作されるとき、前記切断台は、前記付勢手段による付勢方向とは反対方向へ移動することを特徴とする請求項5に記載の切断装置。
【請求項7】
前記切断台は、
平面と、
前記平面から突出し、前記ハーフカット位置において、前記カッタホルダの移動方向に前記カッタ刃と対向する突出部と
を備え、
前記突出部の突出量は、0μmよりも大きく70μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の切断装置。
【請求項8】
前記切断台は、
前記フルカット位置において前記カッタ刃と協働して前記切断対象物を挟む第1部分と、
前記ハーフカット位置において前記カッタ刃と協働して前記切断対象物を挟む第2部分と
を備え、
前記第1部分と前記第2部分は、互いに異なる材料によって形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1部分は樹脂材料によって形成され、
前記第2部分は金属材料によって形成されることを特徴とする請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
前記カッタ刃が延びる第1方向を軸方向として回転可能であり、回転方向と交差して延びる壁部とを備える回転部材と、
前記回転部材を第1回転方向に付勢するバネと
前記回転部材と前記切断台との一方に設けられ、前記第1方向に延びるピンと、
前記回転部材と前記切断台との他方に設けられ、前記ピンが摺動する摺動部と
を備え、
前記切断台レバーがユーザ操作に伴って前記壁部から離れるとき、前記ピンは、前記バネの付勢力により前記第1回転方向に回転しながら前記摺動部と摺動することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の切断装置。
【請求項11】
前記切断対象物を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記切断対象物に印刷を実行する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによって印刷がなされた前記切断対象物に対してハーフカット又はフルカットを実行する、請求項1から10のいずれかに記載の切断装置と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
前記切断装置は、
前記切断台に設けられた開口に挿入される延設
部を有し、
前記切断台は、前記フルカット位置と、前記ハーフカット位置との間で、第2方向に移動可能であって、
前記延設部の外面と前記開口の内壁は、前記第2方向に隙間を間にして対向しており、前記切断台の前記第2方向における移動に伴い、前記隙間の大きさが変化することを特徴とする
請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記延設部は、前記カッタ刃の移動軌跡の延長上に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記切断台は、前記延設部に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記カッタレバーは、回転軸周りに前記カッタ刃を移動さ
せ、
前記延設部と前記回転軸は互いに連結されていることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び切断装置を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ、ラベル及びチューブなどの切断対象物を切断する切断装置と印刷装置とが知られている。例えば、特許文献1に開示される切断装置では、モータを駆動することによって、可動刃と切断台部は協働してラベル紙を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記切断装置では、可動刃を動かすためのモータを備えるため、切断装置の重量が増大する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、軽量化を実現することが可能な切断装置、及び切断装置を備えた印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の切断装置は、切断対象物を切断するためのカッタ刃を保持し移動可能なカッタホルダと、カッタホルダと対向する位置に設けられ、切断対象物をカッタ刃との協働でフルカットするフルカット位置と、切断対象物をカッタ刃との協働でハーフカットするハーフカット位置との間で移動する切断台と、ユーザ操作可能であり、カッタホルダと接触してカッタホルダを移動させるカッタレバーと、ユーザ操作可能であり、切断台と接触して、切断台を移動させる切断台レバーと、カッタレバーと切断台レバーを連動可能に連結する連結部とを備え、連結部は、カッタレバーと切断台レバーのうち、カッタレバーのみがユーザ操作されると、カッタレバーの動きを切断台に伝達することなく遮断するとともに、カッタレバーと切断台レバーのうち、切断台レバーのみがユーザ操作されると、切断台レバーの動きを、カッタレバーに伝達することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、カッタレバーと切断台レバーがユーザ操作されることによって、切断装置は、切断対象物をフルカット又はハーフカットする。カッタホルダを移動させるためのモータが搭載される場合に比べて、切断装置は軽量化を実現できる。
【0008】
本発明では、切断台レバーのユーザ操作開始に伴い移動する切断台の移動完了タイミングは、切断台レバーの移動に伴い移動するカッタ刃が切断対象物に接触するタイミングよりも早くてもよい。カッタ刃が切断対象物に接触する前に切断台の移動が完了するので、切断装置は切断対象物の切断不良を抑制できる。
【0009】
本発明では、カッタレバーと切断台レバーは、同一の軸線を中心に回転してもよい。カッタレバーと切断台レバーが、同一の軸線を中心に回転するので、切断台レバーがユーザ操作されるときのカッタレバーと切断台レバーの位置関係のずれを切断装置は抑制できる。
【0010】
本発明では、切断台は、切断対象物が搬送される搬送方向における位置を変えて、フルカット位置とハーフカット位置との間を移動してもよい。フルカット位置とハーフカット位置が、搬送方向にずれた位置となるので、切断装置は、フルカットとハーフカットの切断動作の切替えを確実に実行できる。
【0011】
本発明では、切断台を、フルカット位置又はハーフカット位置の一方の位置に向けて付勢する付勢手段を備えてもよい。切断装置が付勢手段を備えるので、切断台は、フルカット位置又はハーフカット位置の一方の位置に配置され易くなる。
【0012】
本発明では、切断台レバーがユーザ操作されるとき、切断台は、付勢手段による付勢方向とは反対方向へ移動してもよい。切断台レバーのユーザ操作が終わった後、切断台は、元の位置に復帰し易い。
【0013】
本発明では、切断台は、平面と、平面から突出し、ハーフカット位置において、カッタホルダの移動方向にカッタ刃と対向する突出部とを備え、突出部の突出量は、0μmよりも大きく70μm以下であってもよい。切断台がハーフカット位置にある場合、カッタホルダの移動に伴って、カッタ刃は、突出部に接触しつつ、切断台と協働して切断対象物を挟み込む。このとき、突出部の突出量が0~70μmであることで、切断装置は、切断対象物を良好にハーフカットし易い。
【0014】
本発明では、切断台は、フルカット位置においてカッタ刃と協働して切断対象物を挟む第1部分と、ハーフカット位置においてカッタ刃と協働して切断対象物を挟む第2部分とを備え、第1部分と第2部分は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。第1部分の材質と第2部分の材質とが異なるので、切断装置は、ハーフカットとフルカットの切断動作の切替えを効果的に行うことができる。
【0015】
本発明では、第1部分は樹脂材料によって形成され、第2部分は金属材料によって形成されてもよい。第1部分が樹脂であることで、カッタ刃は、切断対象物を挟んだ状態で、第1部分に入り込み易い。よって、切断装置はフルカットを良好に実行できる。第2部分は金属であることで、変形しにくい。従って、カッタと第2部分との接触位置は、カッタホルダの移動方向においてずれにくく、ハーフカット時の切断対象物の切り込み量は一定になり易い。よって、切断装置は、ハーフカットを良好に実行できる。
【0016】
本発明では、カッタ刃が延びる第1方向を軸方向として回転可能であり、回転方向と交差して延びる壁部とを備える回転部材と、回転部材を第1回転方向に付勢するバネと回転部材と切断台との一方に設けられ、第1方向に延びるピンと、回転部材と切断台との他方に設けられ、ピンが摺動する摺動部とを備え、切断台レバーがユーザ操作に伴って壁部から離れるとき、ピンは、バネの付勢力により第1回転方向に回転しながら摺動部と摺動してもよい。切断台レバーがユーザ操作されると、第1回転方向に回転するピンが摺動部と摺動し、切断台はフルカット位置とハーフカット位置の間を移動できる。
【0017】
本発明の第2態様の印刷装置は、切断対象物を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される切断対象物に印刷を実行する印刷ヘッドと、印刷ヘッドによって印刷がなされた切断対象物に対してハーフカット又はフルカットを実行してもよい。印刷装置は、切断装置を軽量化できる。
【0018】
本発明の第3態様の印刷装置は、印刷対象物を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される印刷対象物に印刷を実行する印刷ヘッドと、印刷ヘッドによって印刷がなされた印刷対象物に対してハーフカット又はフルカットを実行する切断装置と、を備えた印刷装置であって、切断装置は、印刷対象物を切断するためのカッタ刃と、カッタ刃と対向する位置に設けられ、印刷対象物をカッタ刃との協働でフルカットするフルカット位置と、印刷対象物をカッタ刃との協働でハーフカットするハーフカット位置との間で、第2方向に移動可能な切断台と、切断台に設けられた開口に挿入される延設部と、を有し、延設部の外面と開口の内壁は、第2方向に隙間を間にして対向しており、切断台の第2方向における移動に伴い、隙間の大きさが変化することを特徴とする。印刷装置は、切断装置を軽量化できる。
【0019】
本発明では、延設部は、カッタ刃の移動軌跡の延長上に配置されてもよい。印刷装置は、カッタ刃が、切断台との間で切断対象物を挟むときにおいて、印刷装置は、切断台の位置ずれを抑制できる。
【0020】
本発明では、切断台は、延設部に着脱可能に装着されてもよい。印刷装置は、切断台の交換を容易化できる。
【0021】
本発明は、ユーザ操作可能であり、回転軸周りにカッタ刃を移動させるカッタレバーをさらに有し、延設部と回転軸は互いに連結されていてもよい。延設部と回転軸が互に連結されているので、切断台とカッタ刃の位置関係のずれを印刷装置は抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】印刷装置1とカセット7の分解斜視図である。
【
図3】装着部6とカセット7の内部構造を示す底面図である。
【
図5】初期状態の切断装置100の別の斜視図である。
【
図6】フルカット実行時の切断装置100の斜視図である。
【
図7】フルカット実行時の印刷装置1の底面図である。
【
図8】ハーフカット実行時の切断装置100の斜視図である。
【
図9】ハーフカット実行時の印刷装置1の底面図である。
【
図10】切断装置100の第1変形例である切断装置100Aの底面図である。
【
図11】切断装置100の第2変形例である切断装置100Bの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の一例である印刷装置1を説明する。以下の方向に関する説明では、図面において矢印によって示す上下、左右、前後を使用する。
【0024】
図1に示すように、印刷装置1は、筐体2、操作部9、及び表示部5を備える。筐体2は平面視で略正方形形状の樹脂製部材である。操作部9は、筐体2の前側上部に設けられ、ユーザ操作による各種の情報の入力を受付可能である。ユーザ操作は、ユーザが直接的に触って操作をすることである。表示部5は、操作部9よりも後方となる位置で筐体2の上部に設けられ、各種の情報を表示可能である。筐体2の下部には、板状に形成されたカバー(図示略)が設けられており、装着部6(
図2参照)を開閉する。
【0025】
図2に示すように、装着部6には、ヘッドホルダ69、テープ駆動軸61、リボン巻取軸62、駆動モータ(図示略)、及び補助軸85が設けられる。ヘッドホルダ69は、装着部6の右部から上方に立設する。ヘッドホルダ69の右面には、印刷ヘッド60(
図3参照)が設けられる。本例の印刷ヘッド60は、上下方向に並んだ複数の発熱体を含むサーマルヘッドである。テープ駆動軸61はヘッドホルダ69の後側に設けられ、リボン巻取軸62はヘッドホルダ69の左側に設けられる。テープ駆動軸61とリボン巻取軸62はいずれも、上下方向を軸方向として回転可能である。駆動モータは、テープ駆動軸61とリボン巻取軸62に駆動連結する。従って、駆動モータが駆動することに応じて、テープ駆動軸61とリボン巻取軸62は互いに連動して回転する。補助軸85は、上下方向を軸線方向とし、テープ駆動軸61とリボン巻取軸62よりも左側で固定される。
【0026】
図3に示すように、装着部6の右側には、前後方向に延びるプラテンホルダ63が設けられる。プラテンホルダ63の前端部は、上下方向に延びる軸64によって揺動可能に支持される。プラテンホルダ63は、プラテンローラ65と搬送ローラ66を支持する。プラテンローラ65と搬送ローラ66はいずれも、上下方向を軸方向として回転可能である。プラテンローラ65は印刷ヘッド60に右側から対向する。搬送ローラ66はテープ駆動軸61に右側から対向する。プラテンホルダ63は、軸64を中心に、近接位置(
図3参照)と離隔位置(図示略)との間を揺動する。プラテンホルダ63が近接位置にある場合、プラテンローラ65および搬送ローラ66は、それぞれ、印刷ヘッド60およびテープ駆動軸61に対して近接する。プラテンホルダ63が離隔位置にある場合、プラテンローラ65および搬送ローラ66は、それぞれ、印刷ヘッド60およびテープ駆動軸61に対して右方に離隔する。なお、プラテンホルダ63が離隔位置から近接位置に揺動することに応じて、プラテンローラ65は、駆動モータと駆動連結した状態に切り替わる。プラテンホルダ63は、カバー(図示略)が装着部6を閉塞することに伴って、離隔位置から近接位置に揺動する構成となっている。以下、プラテンホルダ63が近接位置にあるときの、プラテンローラ65と印刷ヘッド60との間となる位置を「印刷位置」をいう。
【0027】
図2に示すように、装着部6にはカセット7が装着可能である。カセット7は、ラミネートタイプである。カセット7は、ケース70を備える。ケース70は箱状であり、テープ駆動ローラ72、支持孔75~78、及び排出部73を有する。テープ駆動ローラ72は、ケース70の右後角部において上下方向に延びる円筒体であり、ケース70によって回転可能に支持される。カセット7が装着部6に装着されるとき、テープ駆動ローラ72の内側には、テープ駆動軸61が挿入される。
【0028】
支持孔75はケース70を上下方向に貫通し、第1テープスプール41を回転可能に支持する。第1テープスプール41には、透明フィルムテープ51が巻かれた第1テープロール31が設けられる。第1テープロール31が上下方向を軸方向として第1テープスプール41と共に回転することで、透明フィルムテープ51は第1テープロール31から繰り出される。
【0029】
支持孔76はケース70を上下方向に貫通し、第2テープスプール42を回転可能に支持する。第2テープスプール42には、両面粘着テープ52が巻かれた第2テープロール32が設けられる。両面粘着テープ52は、片面に剥離紙が貼着された両面テープである。第2テープロール32が上下方向を軸方向として第1テープスプール41と共に回転することで、両面粘着テープ52は第2テープロール32から繰り出される。両面粘着テープ52はテープ駆動ローラ72に接続されている。カセット7が装着部6に装着されるとき、支持孔76の内側には、補助軸85が挿入される。
【0030】
支持孔77はケース70を上下方向に貫通し、リボンスプール43を回転可能に支持する。リボンスプール43には、未使用のインクリボン8が巻かれたリボンロール33が設けられる。リボンロール33が上下方向を軸方向としてリボンスプール43と共に回転することで、インクリボン8はリボンロール33から繰り出される。
【0031】
支持孔78は、ケース70を上下方向に貫通し、リボン巻取スプール45を回転可能に支持する。リボン巻取スプール45は、使用済みのインクリボン8が巻かれたリボン巻取ロール35が設けられる。リボン巻取ロール35が上下方向を軸方向としてリボン巻取スプール45と共に回転することで、インクリボン8は、リボン巻取ロール35に巻き取られる。カセット7が装着部6に装着されるとき、支持孔78の内側には、リボン巻取軸62が挿入される。排出部73は、テープ駆動ローラ72の右後側で前後方向に開口する開口部である。
【0032】
ケース70には、ヘッド開口71が設けられる。ヘッド開口71は、ヘッドホルダ69が挿入可能な開口部であり、ケース70の右部を上下方向に貫通する。ケース70のうちヘッド開口71の右側で前後方向に延びる部位は、アーム部67である。アーム部67の後端には、第1テープガイド81が設けられる。第1テープガイド81は、右側から順に配置される透明フィルムテープ51とインクリボン8が排出される開口部である。第1テープガイド81から排出される透明フィルムテープ51とインクリボン8はヘッド開口71を通過し、カセット7に設けられた第2テープガイド82に至る。第2テープガイド82は、ヘッド開口71とテープ駆動ローラ72との間に設けられた開口部である。第2テープガイド82とテープ駆動ローラ72との間となるケース70の内部において、インクリボン8は、透明フィルムテープ51から左方に向けて分離して、リボン巻取ロール35に接続される。以下、インクリボン8が透明フィルムテープ51から分離する位置を、「剥離位置」という。
【0033】
剥離位置よりも後側にある透明フィルムテープ51は、テープ駆動ローラ72と接続して、両面粘着テープ52の右端面に重ね合わせられる。以下、互いに重ね合わせられた透明フィルムテープ51と両面粘着テープ52を切断対象物55ともいう。本例の切断対象物55は、上下方向を幅方向とするテープである。切断対象物55の厚みは、一例として100μmである。
【0034】
以下、駆動モータ、プラテンローラ65、テープ駆動軸61、搬送ローラ66、及びテープ駆動軸61を総称するとき、「搬送部10」という。カセット7が装着部6に装着されて、カバーが装着部6を閉塞したとき、駆動モータの駆動に伴って、プラテンローラ65とテープ駆動軸61は、連動して回転可能であり、テープ駆動ローラ72はテープ駆動軸61と共に回転可能であり搬送ローラ66はテープ駆動ローラ72に追従して回転可能である。これにより、搬送部10は、透明フィルムテープ51、インクリボン8、両面粘着テープ52を搬送可能である。以下、第1テープガイド81よりも後側において切断対象物55が搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向は略前後方向であり、搬送方向の上流は前方向であり、搬送方向の下流は後方向である。
【0035】
図4、
図5を参照し、切断装置100を説明する。切断装置100は、テープ駆動軸61(
図3参照)よりも後側に設けられる。後述するように、切断装置100は、受部110の切断台120と、カッタ部150のカッタ刃155(
図6参照)との協働によって、切断対象物55に対して切断動作を実行する装置である。切断動作は、レバー部170にユーザ操作がなされることで実行される。切断動作は、ハーフカットとフルカットを含む。フルカットは、切断装置100のカッタ刃155が延びる方向である第1方向に沿って、切断対象物55を完全に二つに切り離す切断動作である。本例の第1方向は上下方向である。ハーフカットは、切断対象物55の左部を残して右部のみを第1方向に沿って切り裂く切断動作である。
【0036】
切断装置100は、カッタ部150、レバー部170、受部110、摺動部119、及び、ピン109を備える。なお、
図4では、後述のバネ140(
図5参照)の図示が省略されており、
図5では、カッタ部150(
図4参照)の図示が省略される。
【0037】
カッタ部150は、箱部材152、カッタホルダ153、及び、カッタバネ(図示略)を備える。箱部材152、左方に向けて開口する。箱部材152の右端部の上下中央部には、前後方向と右方とに開口する開口孔152Aが設けられる。カッタホルダ153は、箱部材152の内側において左右動可能に設けられる。カッタホルダ153の左端部は、切断対象物55を切断するためのカッタ刃155(
図6参照)を保持する。カッタ刃155は、前後方向に厚みを有する板状であり、その左端部には上下方向に延びる刃が形成される。カッタ刃155は、カッタホルダ153と共に左右動可能であり、カッタホルダ153が可動範囲の左端にある場合、カッタ刃155は箱部材152から左方に突出する(
図6参照)。尚、
図4で示されるカッタホルダ153は、可動範囲の右端に位置する。
【0038】
レバー部170は、レバー軸175、カッタレバー180、切断台レバー190、カッタレバーバネ178、及び、切断台レバーバネ179を備える。
図5では、カッタレバーバネ178の図示を省略する。レバー軸175は、上下方向に延び、筐体2(
図1参照)の内部で固定される。
【0039】
カッタレバー180は、筒状部182、操作部185、進入部188、突起189、及び延設部187を備える。筒状部182は、上下方向に開口した円筒状であり、レバー軸175に回動可能に嵌る。操作部185は、レバー軸175を基準とした径方向外側へ筒状部182から突出しており、ユーザ操作が可能な部位である。操作部185の一部は、筐体2の右後部に設けられた開口穴4(
図1参照)から右後方へ突出する。進入部188は、レバー軸175を中心に底面視で反時計回り側へ操作部185から直線状に延びる。進入部188は、箱部材152の開口孔152Aに進入して、カッタホルダ153に接触可能である。突起189は操作部185から上方に突出し、延設部187は突起189の上端から進入部188と略平行に延びる。
【0040】
切断台レバー190は、延設部192、操作部195、及び、接触部196を備える。延設部192は、レバー軸175に回転可能に連結しており、カッタレバー180の上方に位置する。延設部192は、レバー軸175から互いに異なる方向へ突出する第1腕部192A及び第2腕部192Bから形成される。操作部195は、第2腕部192Bの上端から、第1腕部192Aの突出方向とは略反対方向へ突出する。操作部195は、カッタレバー180の操作部185の上方に位置しており、筐体2の開口穴4(
図1参照)から右後方に向けて突出する。操作部195はユーザ操作が可能であり、且つ平面視において操作部185と略同一形状である。接触部196は、操作部195のうちで、レバー軸175を中心とした底面視反時計回り側の端部であり、且つ、レバー軸175を基準とした径方向の外側の端部である。接触部196は突起189と接触可能である。以下、接触部196と突起189を総称するとき、「連結部200」という。
【0041】
カッタレバーバネ178(
図4参照)は、レバー軸175に設けられた捩りバネである。カッタレバーバネ178は、レバー軸175を中心とした回転方向のうちで突起189が接触部196に向かう回転方向へ(
図4、
図5の矢印C1)、カッタレバー180を付勢する。切断台レバーバネ179は、レバー軸175に設けられた捩りバネであり、カッタレバーバネ178の下方に位置する。切断台レバーバネ179は、矢印C1方向へ、切断台レバー190を付勢する。
【0042】
図4、
図5では、ユーザ操作がなされていない状態のカッタレバー180と切断台レバー190が図示される。この場合、カッタレバーバネ178の付勢力によって突起189が接触部196に対して微小な隙間を空けて近接する回転位置にて、カッタレバー180は保持される。このときカッタレバー180は、筐体2の内部に固定されたレバーストッパ(図示略)に当接して位置決めされる。また、切断台レバー190の第1腕部192Aが切断台レバーバネ179の付勢力によって後述の壁部137に押し当てられる回転位置にて、切断台レバー190は保持される。以下、
図4、
図5で示されるカッタレバー180の回転位置を「第1待機回転位置」といい、切断台レバー190の回転位置を「第2待機回転位置」という。
【0043】
受部110は、切断台120、回転部材135、及びバネ140を備える。切断台120は上下方向に延びる略直方体状であり、カッタホルダ153に対して左方から対向する位置に設けられる。受部110は、上方に向けて開口する開口111(
図7参照)を備える。開口111は、筐体2の内部で固定されて上下方向に延びる延設部113に挿入される。延設部113は切断装置100に含まれる。底面視において、開口111は延設部113よりも大きい。これにより、受部110は、延設部113に着脱可能に装着され、上下方向に延びる軸線A(
図5参照)を中心に揺動可能に保持される。受部110が延設部113に装着された場合、延設部113の外面と開口111の内壁は、第2方向に隙間115を間にして対向する。第2方向は第1方向と交差する方向であり、本例では、軸線Aを中心とした周方向である。延設部113は、カッタ刃155の移動軌跡の延長上に配置されている。
【0044】
なお、延設部113とレバー軸175は、いずれも、筐体2の内部に固定された固定部(図示外)に固定される。換言すると、延設部113とレバー軸175は互いに連結されている。本例の固定部は、上下方向に厚さを有する板金である。固定部は、板金に代えて、延設部113又はレバー軸175と一体的に形成された部材であってもよい。
【0045】
図4に示すように、切断台120は、第1部分121と第2部分122を備える。第1部分121と第2部分122は、後側から順に並ぶ。換言すると、第1部分121と第2部分122は、搬送方向において異なる位置に配置される。第1部分121は、カッタ刃155と協働して切断対象物55を挟むための部位であり、切断台120の右端部の後部を形成する。第1部分121は樹脂材料によって形成されており、第1部分121の右端面121Aは平面状に形成される。第2部分122は、カッタ刃155と協働して切断対象物55を挟むための部位であり、切断台120の右端部の前部を形成する。第2部分122は、金属材料によって形成され、平面122Aと一対の突出部122Bを含む。平面122Aは、右端面121Aと略面一である。一対の突出部122Bは、上下方向に間隔を空けて平面122Aに設けられており、平面122Aから右方に突出する。各突出部122Bの平面122Aからの突出量は、0μmよりも大きく70μm以下であり、本例では50μmである。一対の突出部122Bの上下方向における最短の距離は、切断対象物55の上下方向の長さ(本例では幅寸法)よりも大きい。
【0046】
図5に示すように、回転部材135は、筐体2の内部で固定される軸104によって回転可能に支持される。軸104は、第1方向(即ち上下方向)を軸線方向とする。回転部材135は、基部136、壁部137、及び特定壁部138を備える。基部136は、上下方向と直交して延びる。壁部137は、軸104を中心とした回転方向における基部136の一端から下方に延びる。換言すると、壁部137は、回転部材135の回転方向と交差して延びる。壁部137は、レバー軸175を基準とした周方向に沿って、切断台レバー190の第1腕部192Aと対向する。壁部137は、第1腕部192Aと接触可能である。特定壁部138は、壁部137とは反対側の基部136の端部から下方に延びる。
【0047】
バネ140は、一例としてバネであり、より具体的には捩りコイルバネである。バネ140は、挿通部143、第1アーム141、及び第2アーム142を備える。挿通部143は軸104に挿通される。挿通部143は、さらに、回転部材135の基部136を上下方向に貫通する孔(図示略)に挿入されており、挿通部143の上端は、基部136よりも上方に位置する。第1アーム141は、挿通部143の上端から壁部137の右前側へ延び、筐体2に固定された固定部材(図示略)に押圧される。第2アーム142は、特定壁部138のうち壁部137側の端面に押圧される。バネ140は、回転部材135を第1回転方向に付勢する。第1回転方向は、軸104を中心とした底面視で時計回り方向であり、
図5の矢印B1に相当する。
【0048】
摺動部119は、回転部材135と切断台120とのうちで、切断台120に設けられる。摺動部119は、軸線Aを基準とした径方向に長い長穴であり、且つ本例では上下方向に開口した孔である。ピン109は、回転部材135と切断台120とのうちで、回転部材135に設けられ、壁部137から下方に向けて突出する。ピン109は、摺動部119に対して摺動可能に連結する。回転部材135の回転に伴ってピン109が摺動部119に対して摺動することで、切断台120は、軸線Aを中心にフルカット位置(
図4、
図5参照)とハーフカット位置(
図8参照)との間を揺動可能である。フルカット位置は、切断台120が切断対象物55をカッタ刃155との協働でフルカットする揺動位置である。切断台120がフルカット位置にある場合、第1部分121が、カッタホルダ153の移動方向(即ち左右方向)に沿って、カッタ刃155と対向する。ハーフカット位置は、切断台120が切断対象物55をカッタ刃155との協働でハーフカットする揺動位置である。切断台120がハーフカット位置にある場合、第2部分122が、カッタホルダ153の移動方向に沿って、カッタ刃155と対向する。本例では、切断台120は、軸線Aを中心に底面視で時計回りに揺動することで、フルカット位置からハーフカット位置に到達する。
【0049】
上述した通り、ユーザ操作されていないカッタレバー180と切断台レバー190はそれぞれ第1待機回転位置と第2待機回転位置にある。この場合、第1腕部192Aは、切断台レバーバネ179の付勢力によって壁部137に押し当たる。このとき、バネ140が回転部材135を第1回転方向(
図5の矢印B1)に付勢する力よりも、第1腕部192Aが壁部137を第1回転方向とは反対方向(
図5の矢印B2)に付勢する力の方が大きい。これにより、回転部材135は、
図4で示される初期回転位置で保持される。この場合、ピン109は、摺動部119の長手方向の一端と接触し、切断台120をフルカット位置で保持する。なお、隙間寸法(
図7の寸法L1)は、特定回転距離に比べて十分に小さい。隙間寸法は、摺動部119の長手方向における摺動部119とピン109との隙間の大きさである。特定回転距離は、第1待機回転位置における進入部188が、カッタホルダ153に当接するまでの回転距離である
【0050】
図1~
図3を参照し、印刷装置1による印刷動作を説明する。カバーが開かれた状態では、プラテンホルダ63は離隔位置にある。この状態で、ユーザが装着部6にカセット7を装着すると、リボン巻取スプール45にリボン巻取軸62が挿入される。同時に、テープ駆動ローラ72にテープ駆動軸61が挿入され、ヘッド開口71にヘッドホルダ69が挿入される。透明フィルムテープ51、インクリボン8、及び両面粘着テープ52は、上下方向を幅方向とする姿勢で配置される。
【0051】
カバーが閉じられると、プラテンホルダ63が離隔位置から近接位置まで揺動する。これにより、プラテンローラ65は、インクリボン8と透明フィルムテープ51を重ね合わせて印刷ヘッド60に押圧する。搬送ローラ66は、両面粘着テープ52と透明フィルムテープ51をテープ駆動ローラ72に押圧する。
【0052】
ユーザが操作部9に印刷開始の指示を入力すると、印刷装置1は駆動モータを駆動する。駆動モータの駆動に伴って、テープ駆動軸61、プラテンローラ65、及びリボン巻取軸62は回転駆動する。テープ駆動ローラ72はテープ駆動軸61と共に回転駆動し、搬送ローラ66はテープ駆動ローラ72に追従して回転する。これにより、印刷装置1は、両面粘着テープ52、透明フィルムテープ51、及びインクリボン8を搬送する。両面粘着テープ52は、第2テープロール32から繰り出される。また、透明フィルムテープ51は第1テープロール31から繰り出される。同時に、インクリボン8は、リボンロール33から繰り出される。繰り出された透明フィルムテープ51とインクリボン8は、駆動モータの駆動に伴って、第1テープガイド81から排出されて印刷位置に向かう。
【0053】
印刷装置1は印刷ヘッド60を発熱させることで、インクリボン8に含まれるインクを透明フィルムテープ51に転写する。これにより、印刷位置にある透明フィルムテープ51にキャラクタが印刷される。キャラクタは、文字、図形、数字、及び記号等である。透明フィルムテープ51と使用済みのインクリボン8は、プラテンローラ65とリボン巻取軸62の回転によって、第2テープガイド82に向けて搬送される。第2テープガイド82に進入したインクリボン8が剥離位置において透明フィルムテープ51から分離することで、インクリボン8に含まれていたインクはインクリボン8から剥離する。剥離位置を通過した使用済みのインクリボン8は、リボン巻取軸62と共に回転するリボン巻取ロール35によって巻き取られる。剥離位置を通過した印刷済みの透明フィルムテープ51は、搬送ローラ66とテープ駆動ローラ72との回転によって第2テープガイド82に向かう。
【0054】
第2テープガイド82を通過した透明フィルムテープ51は、テープ駆動ローラ72と搬送ローラ66の間において、両面粘着テープ52の片面と貼り付けられる。これにより、切断対象物55が形成される。切断対象物55は排出部73に搬送される。排出部73を通過した切断対象物55は、切断装置100を経由して、筐体2の後側へ排出される。印刷装置1は、駆動モータと印刷ヘッド60の駆動を停止し、印刷動作を終了する。その後、ユーザは、操作部9に印刷開始指示を再び入力すれば、印刷装置1は、上記印刷動作を繰り返すことができる。
【0055】
図5~
図7を参照し、切断装置100が切断対象物55に対してフルカットを実行する動作を説明する。フルカットは、例えば印刷装置1が複数回に亘る印刷動作を全て完了した後に実行される。フルカット動作の実行前、切断装置100は初期状態にある。切断装置100が初期状態にある場合、カッタレバー180は第1待機回転位置にあり、切断台レバー190は第2待機回転位置にあり、カッタホルダ153は可動範囲の右端にあり、回転部材135は初期回転位置にあり、切断台120はフルカット位置にある。以下の説明では、切断装置100が初期状態のとき、カッタ刃155と切断台120との間に、印刷がなされた切断対象物55が配置されていることを想定するが、
図5、
図6では、切断対象物55の図示を省略する(
図8も同様)。なお、カッタ刃155と切断台120との間にある切断対象物55は、一対の突出部122Bの間となる上下方向位置に配置されている。
【0056】
カッタレバー180と切断台レバー190のうちでカッタレバー180のみがユーザ操作される。カッタレバー180は、カッタレバーバネ178(
図4参照)の付勢力に抗って、進入部188がカッタホルダ153に近接する方向に回転する(
図5、
図6の矢印C2)。カッタレバー180の回転に伴って、突起189は接触部196から遠ざかる。従って、連結部200は、カッタレバー180の動きを、切断台レバー190(即ち、切断台120)に伝達することなく遮断する。このとき、切断台レバー190、回転部材135、及び切断台120はそれぞれ、切断台レバーバネ179の付勢力によって、第2待機回転位置、初期回転位置、及びフルカット位置で保持される。即ち、切断台レバーバネ179は、フルカット位置又はハーフカット位置のうちフルカット位置に向けて切断台120を付勢する。
【0057】
カッタレバー180の回転に伴って、進入部188は開口孔152Aに進入して、カッタホルダ153と接触する。進入部188は、カッタバネの付勢力に抗って、カッタホルダ153を左方に移動させる。カッタホルダ153と共に移動するカッタ刃155は、第1部分121の右端面121Aとの間で切断対象物55を挟む。換言すると、第1部分121は、フルカット位置においてカッタ刃155と協働して切断対象物55を挟む。ユーザがカッタレバー180を更に付勢することで、カッタ刃155は、切断対象物55を右端面121Aに向けて更に押圧する。第1部分121は、樹脂材料によって形成されているので、カッタ刃155は切断対象物55を挟んだ状態で、第1部分121に入り込む。切断対象物55は、上下方向に沿ってフルカットされる。
【0058】
ユーザが、カッタレバー180から手を離すと、カッタレバー180のユーザ操作は完了する。このとき、切断台レバー190は、切断台レバーバネ179の付勢力によって、第1待機回転位置まで回転して戻る。これにより、切断装置100は初期状態に復帰する。
【0059】
図4、
図8、及び
図9を参照し、切断装置100が切断対象物55に対してハーフカットを実行する動作を説明する。ハーフカットの実行前、切断装置100は初期状態にある。ハーフカットは、一例として各印刷動作が実行される度に実行される。即ち、ハーフカットは、フルカットよりも前に実行される。
【0060】
カッタレバー180と切断台レバー190のうちで切断台レバー190のみがユーザ操作される。切断台レバー190が、切断台レバーバネ179の付勢力に抗って、底面視で反時計回りに第2待機回転位置から回転する(
図6、
図8の矢印C2)。接触部196が突起189を付勢することで、カッタレバー180も、カッタレバーバネ178の付勢力に抗って、第1待機回転位置から底面視で反時計回りに回転する。即ち、連結部200が切断台120の動きをカッタレバー180に伝達することで、カッタレバー180と切断台レバー190は、カッタレバーバネ178と切断台レバーバネ179の付勢力に抗って一体的に回転する。
【0061】
切断台レバー190の回転が開始された直後、回転部材135はバネ140の付勢力により切断台レバー190に追従して第1回転方向に回転する。このとき、壁部137が第1腕部192Aと接触した状態は、維持される。ピン109は、回転部材135と共に第1回転方向に回転し、摺動部119に対して摺動する。これにより、切断台120は、フルカット位置からハーフカット位置に向けて、軸線A(
図5参照)を中心に揺動する。換言すると、切断台120は、切断台レバーバネ179による付勢方向とは反対方向へ移動する。切断台120の移動に伴って、隙間115の大きさは小さくなる。切断台120は、筐体2の内部に固定された切断台ストッパ(図示略)に当接し、ハーフカット位置で位置決めされる。このときの切断台レバー190の回転位置を「第1回転位置」(図示略)という。
【0062】
切断台レバー190はカッタレバー180と一体的に更に回転する。第1回転位置を通過した切断台レバー190の第1腕部192Aは壁部137から後方に離れる(
図9参照)。カッタレバー180の進入部188はカッタホルダ153に向けて回転する。進入部188とカッタホルダ153とが接触した後、フルカットの実行時と同様、進入部188がカッタホルダ153を付勢する。カッタ刃155はカッタホルダ153と共に切断対象物55に向けて移動する。やがて、カッタ刃155が切断対象物55に接触する。このときの切断台レバー190の回転位置を「第2回転位置」(図示略)という。
【0063】
切断台レバー190とカッタレバー180は更に回転する。カッタ刃155は、切断対象物55に接触して、第1部分121との間で切断対象物55を挟む。平面122Aに配置されている切断対象物55では、その右部のみが一対の突出部122Bよりも右方にある。カッタ刃155は、切断対象物55の右部を左方に押し込みながら一対の突出部122Bに接触し、更に第2部分122に向けて押圧される。これにより、切断対象物55の右部は上下方向に沿って切り裂かれ、ハーフカットは実行される。ここで、第1部分121は金属材料によって形成されるので、カッタ刃155と接触した一対の突出部122Bは変形しにくい。よって、一対の突出部122Bと接触したカッタ刃155の左右方向位置は変わりにくい。従って、切断装置100は、ハーフカットする切断対象物55の左右方向における切り込み量を上下方向に亘って一定にし易い。
【0064】
ハーフカット位置の実行後、ユーザがハーフカット位置から手を離すと、切断台レバー190のユーザ操作は完了する。切断装置100は、カッタレバーバネ178、切断台レバーバネ179、及びバネ140の付勢力によって、カッタレバー180と切断台レバー190は、それぞれ第1待機回転位置と第2待機回転位置に戻り、回転部材135は、第2回転位置、第1回転位置を順に通貨して初期回転位置に戻り、切断台120はフルカット位置に戻り、隙間115の大きさは元に戻る。切断装置100は初期状態に復帰する。
【0065】
なお、切断装置100のハーフカット実行時、ユーザは、切断台レバー190とカッタレバー180の双方をユーザ操作してもよい。この場合であっても、切断台レバー190とカッタレバー180が互いに一体的に回転し、切断装置100は、上記と同じ過程を経て、ハーフカットを実行できる。
【0066】
以上説明したように、切断装置100は、カッタホルダ153、切断台120、カッタレバー180、切断台レバー190、切断台120、及び連結部200を備える。カッタホルダ153は、切断対象物55を切断するためのカッタ刃155を保持し左右方向に移動可能である。切断台120は、カッタホルダ153と対向する位置に設けられ、フルカット位置とハーフカット位置との間で移動する。カッタレバー180は、ユーザ操作可能であり、カッタホルダ153と接触してカッタホルダ153を移動させる。切断台レバー190は、ユーザ操作可能であり、切断台120と接触して、切断台120を移動させる。切断装置100によるフルカットの実行時、カッタレバー180と切断台レバー190のうち、カッタレバー180のみがユーザ操作される。そうすると、連結部200は、カッタレバー180の動きを切断台120に伝達することなく遮断する。切断装置100によるフルカットの実行時、カッタレバー180と切断台レバー190のうち、切断台レバー190のみがユーザ操作される。そうすると、連結部200は、切断台レバー190の動きを、カッタレバー180に伝達する。上記構成によれば、カッタレバー180と切断台レバー190がユーザ操作されることによって、切断装置100は、切断対象物55をフルカット又はハーフカットする。切断装置100は、切断動作の駆動源となるモータを備えることを要しない。カッタホルダ153を移動させるためのモータが搭載される場合に比べて、切断装置100は軽量化を実現できる。
【0067】
ハーフカットの実行時、切断台レバー190は、第1回転位置と第2回転位置を順に経由して回転する。即ち、切断台120のユーザ操作開始に伴い移動する切断台120の移動完了タイミングは、切断台レバー190の移動に伴い移動するカッタ刃155が切断対象物55に接触するタイミングよりも早い。カッタ刃155が切断対象物55に接触する前に切断台120のハーフカット位置への移動が完了するので、切断装置100は切断対象物55の切断不良を抑制できる。
【0068】
カッタレバー180と切断台レバー190はいずれも、レバー軸175に回転可能に設けられる。換言すると、カッタレバー180と切断台120は、同一の上下方向に延びる軸線を中心に回転する。カッタレバー180と切断台レバー190が、同一の軸線を中心に回転するので、切断台レバー190がユーザ操作されたときのカッタレバー180と切断台レバー190の位置関係のずれを切断装置100は抑制できる。
【0069】
切断台120は、上下方向を軸方向として、フルカット位置とハーフカット位置との間を揺動する。換言すると、切断台120は、搬送方向における位置を変えて、フルカット位置とハーフカット位置との間を移動する。フルカット位置とハーフカット位置が、搬送方向にずれた位置となるので、切断装置100は、フルカットとハーフカットの切断動作の切替えを確実に実行できる。
【0070】
切断装置100が初期状態にあるとき、切断台レバーバネ179は、第1腕部192Aを介して、第1回転方向とは反対方向へ回転部材135を付勢することで(
図5の矢印B2)、ピン109は切断台120をフルカット位置で保持する。換言すると、切断台レバーバネ179は、切断台120をフルカット位置に向けて付勢する。切断装置100が切断台レバーバネ179を備えるので、切断台120はフルカット位置で配置され易くなる。
【0071】
切断台レバー190がユーザ操作されるとき、切断台120は、切断台レバーバネ179による付勢方向とは反対方向に移動する。この場合、切断台レバー190のユーザ操作が終わった後、切断台120は、元の位置であるフルカット位置に復帰し易い。
【0072】
切断台120の第2部分122は、平面122Aと一対の突出部122Bを備える。突出部122Bは、平面122Aから右方に突出し、ハーフカット位置において、カッタホルダ153の移動方向である左右方向にカッタ刃155と対向する。突出部122Bの突出量は、0μmよりも大きく70μm以下である。切断台120がハーフカット位置にある場合、カッタホルダ153の移動に伴ってカッタ刃155は突出部122Bに接触しつつ、切断台120の第2部分122と協働して切断対象物55を挟み込む。このとき、突出部122Bの突出量が0μmよりも大きく70μm以下であることで、切断装置100は切断対象物55を良好にハーフカットし易い。
【0073】
切断台120は、第1部分121と第2部分122を備える。第1部分121は、フルカット位置においてカッタ刃155と協働して切断対象物55を挟む。第2部分122は、ハーフカット位置においてカッタ刃155と協働して切断対象物55を挟む。第1部分121は樹脂製であり、第2部分122は金属製である。即ち、第1部分121と第2部分122は互いに異なる材料によって形成される。第1部分121の材質と第2部分122の材質とが異なるので、切断装置100は、ハーフカットとフルカットの切断動作の切替えを効果的に行うことができる。
【0074】
第1部分121は樹脂材料によって形成され、第2部分122は金属材料によって形成される。第1部分121が樹脂であることで、カッタ刃155は切断対象物55を挟んだ状態で第1部分121に入り込み易い。よって、切断装置100は、フルカットを良好に実行できる。第2部分122が金属材料であることで、第2部分122は変形しにくい。従って、カッタ刃155と突出部122Bとの接触位置は、カッタホルダ153の移動方向である左右方向においてずれにくく、ハーフカット時における切断対象物55への左右方向の切り込み量は、切断対象物55における上下方向に亘って一定になり易い。よって、切断装置100は、ハーフカットを良好に実行できる。
【0075】
切断装置100は、回転部材135、バネ140、ピン109、及び、摺動部119を備える。回転部材135は、カッタ刃155が延びる第1方向(即ち上下方向)を軸方向として回転可能であり、壁部137を備える。壁部137は、回転部材135の回転方向と交差して延びる。バネ140は、回転部材135を第1回転方向に付勢する。ピン109は回転部材135に設けられ、摺動部119は切断台120に設けられる。ピン109は摺動部119に対して摺動する。切断台レバー190の第1腕部192Aがユーザ操作に伴って壁部137から離れるとき、ピン109は、バネ140の付勢力により第1回転方向に回転しながら摺動部119と摺動する。この場合、切断台レバー190がユーザ操作されると、第1回転方向に回転するピン109が、摺動部119と摺動し、切断台120はフルカット位置とハーフカット位置の間を移動できる。
【0076】
印刷装置1は、搬送部10、印刷ヘッド60、及び、切断装置100を備える。搬送部10は、切断対象物55を搬送する。印刷ヘッド60は、搬送部10よって搬送される切断対象物55に印刷を実行する。切断装置100は、印刷ヘッド60によって印刷がなされた切断対象物55に対してハーフカット又はフルカットを実行する。この場合、印刷装置1は、切断装置100を軽量化できる。
【0077】
印刷装置1は、搬送部10、印刷ヘッド60、及び切断装置100を備える。切断装置100は、カッタ刃155、切断台120、及び延設部113を有する。切断台120は、フルカット位置とハーフカット位置との間で、レバー部170に対するユーザ操作に伴って移動可能である。延設部113は、切断台120に設けられた開口111に挿入される。延設部113の外面と開口111の内壁は、第2方向に隙間115を間にして対向しており、切断台120の第2方向における移動に伴い、隙間115の大きさが変化する。上記構成によれば、ユーザ操作に伴って、隙間115の大きさが変化するように切断台120がフルカット位置とハーフカット位置の間を移動するので、印刷装置1は、切断台120を駆動するためのモータなどの駆動源を要しない。よって、印刷装置1は、切断装置100を軽量化できる。
【0078】
延設部113は、カッタ刃155の移動軌跡の延長上に配置されている。この場合、カッタ刃155が切断台120との間で切断対象物55を挟むときにおいて、印刷装置1は切断台120の位置ずれを抑制できる。
【0079】
切断台120は、延設部113に着脱可能に装着される。印刷装置1は、切断台120の交換を容易化できる。
【0080】
切断対象物55に対するハーフカット又はフルカットの実行時、カッタレバー180がレバー軸175を中心に回転し、進入部188がカッタホルダ153を付勢することで、カッタ刃155は左方に向けて移動する。換言すると、カッタレバー180は、カッタ刃155をレバー軸175回りに移動させる。延設部113とレバー軸175が、互いに固定部を介して連結されているので、切断台120とカッタ刃155の位置関係のずれを印刷装置1は抑制できる。
【0081】
上記実施例において、切断台レバーバネ179は、本発明の「付勢手段」の一例である。切断対象物55は、本発明の「印刷対象物」の一例である。レバー軸175は、本発明の「回転軸」の一例である。
【0082】
本発明は上記実施例に限定されない。カセット7は、ラミネートタイプに代えて、レセプタタイプ又はサーマルヘッドタイプ等であってもよい。例えば、レセプタタイプのカセット(以下、「第1カセット」という)では、支持孔75が支持する第1テープスプール41においてレセプタテープが巻かれ、支持孔76は第2テープスプール42を支持せず、支持孔77はリボンスプール43を支持する。この場合、レセプタテープが本発明の「切断対象物」の一例となる。サーマルタイプのカセットでは、支持孔75が支持する第1テープスプール41において感熱テープ又はステンシルテープが巻かれ、支持孔76は第2テープスプール42を支持せず、支持孔77はリボンスプール43を支持しない。この場合、感熱テープ又はステンシルテープが本発明の「切断対象物」の一例となる。切断対象物55は、テープである代わりに、チューブであってもよい。チューブは例えばゴム材料から形成される。印刷ヘッド60は、発熱体を備える代わりに、インクを吐出する吐出口を備えるタイプであってもよい。
【0083】
切断台レバー190は、カッタレバー180に対して上方に位置する代わりに、下方に位置してもよい。切断台レバー190の第1腕部192Aは、回転部材135とピン109を介して切断台120に接触する代わりに、直接的に切断台120に接触してもよい。切断台120は、上下方向を軸方向として揺動可能である代わりに、例えば前後方向にスライド可能に設けられてもよい。切断台レバー190とカッタレバー180は、レバー軸175に対して回転する代わりに、上下方向を軸方向としてレバー軸175と一体的に回転してもよい。
【0084】
摺動部119は、回転部材135と切断台120とのうちで回転部材135に設けられてもよい。この場合、摺動部119は、軸104を基準とした径方向に長い長穴であってもよく、ピン109は、回転部材135と切断台120のうちで切断台120に設けられ、摺動部119に摺動可能に連結する。摺動部119は長穴であることに限定されず、回転部材135又は切断台120の外側端部であってもよい。
【0085】
第1部分121と第2部分122は、前後方向において、上記実施例と逆の位置関係で配置されてもよい。この場合、バネ140は、回転部材135とピン109を介して、切断台120をハーフカット位置に向けて付勢する。この場合であっても、切断装置100は、バネ140を備えるので、切断台120は、ハーフカット位置に配置され易くなる。また、この場合、切断台レバー190のユーザ操作が終わった後、切断台120は、フルカット位置から元の位置であるハーフカット位置に復帰し易い。バネ140は、回転部材135とピン109を介して切断台120を付勢する代わりに、直接的に切断台120に接触して付勢してもよい。
【0086】
印刷装置1は、レバーストッパを備えなくてもよい。この場合、カッタレバー180が第1待機回転位置にあるとき、突起189は、カッタレバーバネ178の付勢力によって、接触部196に押し当たる。従って、印刷装置1が初期状態のとき、第1腕部192Aは、切断台レバーバネ179とカッタレバーバネ178との双方の付勢力によって、回転部材135の壁部137を第1回転方向とは反対方向(
図5の矢印B2)に付勢し、切断台120はフルカット位置で保持されてもよい。
【0087】
図10を参照し、切断装置100の第1変形例である切断装置100Aを説明する。切断装置100と同一の構成要素については、図面において同一符号を付与し、詳細な説明を省略する(後述の第2変形例においても同様である。)。また、
図10では、模式的な図によって切断装置100Aを示す。
【0088】
切断装置100Aは、カッタレバー180と切断台レバー190に代えて、それぞれ、カッタレバー180Aと切断台レバー190Aを備える。カッタレバー180Aは左右動可能に設けられており、進入部188を備える。カッタレバー180Aは、カッタレバーバネ178Aによって右方に付勢される。切断台レバー190Aは、カッタレバー180Aの上方に位置し、左右動可能に設けられる。切断台レバー190Aは、切断台レバーバネ179Aによって、右方に付勢される。切断台レバー190Aが左方に移動するとき、切断台120がフルカット位置からハーフカット位置に揺動する構成が、切断装置100Aでは採用される。
【0089】
切断装置100Aは、連結部200(
図4参照)に代えて、連結部200Aを備える。連結部200Aは、第1壁部201、第2壁部202、及び、連結部203を備える。第1壁部201は、カッタレバー180Aの左側の壁部である。第2壁部202は、切断台レバー190Aの左側の壁部であり、第1壁部201よりも左側に位置する。連結部203は、第1壁部201と第2壁部202とに接続される。連結部203は、金属製又は樹脂製のワイヤであってもよいし、樹脂製又は布製のロープなどであってもよい。
【0090】
切断装置100Aによるフルカットの実行時、カッタレバー180Aと切断台レバー190Aのうちでカッタレバー180Aのみがユーザ操作され、左方に移動される。第2壁部202が第1壁部201に向けて移動するので、連結部203は弛む。従って、連結部200Aは、カッタレバー180Aの動きを切断台レバー190A(即ち切断台120)に伝達することなく遮断する。このとき、切断台レバー190Aは切断台レバーバネ179Aによって保持され、切断台120はフルカット位置で保持される。切断台レバー190Aの進入部188がカッタホルダ153を左方に付勢することで、カッタ刃155は切断台120の第1部分121(
図4参照)との間で切断対象物55を挟む。これにより、切断装置100Aはフルカットを実行する。ユーザがカッタレバー180Aから手を離すと、カッタレバーバネ178Aの付勢力により、カッタレバー180Aは元の位置に復帰する。なお、切断対象物55に対するフルカットの実行時、第1壁部201は第2壁部202に対して右方に離隔している。
【0091】
切断装置100Aによるハーフカットの実行時、カッタレバー180Aと切断台レバー190Aのうちで切断台レバー190Aのみがユーザ操作され、左方に移動する。第2壁部202が切断台レバー190Aと共に左方に移動することで、連結部203は伸張し、カッタレバー180Aは左方に付勢され移動する。即ち、連結部200Aは、切断台レバー190Aの動きをカッタレバー180Aに伝達する。従って、カッタレバー180Aと切断台レバー190Aは一体的に移動し、切断台レバー190Aの移動に伴い、切断台120はフルカット位置からハーフカット位置まで揺動し、カッタレバー180Aの進入部188はカッタホルダ153を左方に付勢する。カッタ刃155が、切断台120の第2部分122(
図4参照)との間で切断対象物55を挟む。これにより、切断装置100Aはハーフカットを実行する。ユーザが切断台レバー190Aから手を離すと、カッタレバーバネ178Aと切断台レバーバネ179Aの付勢力により、カッタレバー180Aと切断台レバー190Aは元の位置に復帰し、切断台120はフルカット位置に復帰する。
【0092】
図11を参照し、切断装置100の第2変形例である切断装置100Bを説明する。切断装置100Bは、駆動部160を備える。駆動部160は、一例として、ソレノイドである。駆動部160は、長穴である摺動部119の長手方向と直交する方向に延びる軸161と、軸161の先端部から下方に突出するピン129を備える。ピン129は、摺動部119に摺動可能に連結する。第2変形例では、切断台120は、切断台レバーバネ179によって付勢されていない。上記構成によれば、駆動部160が駆動することで、軸161が軸線方向に移動し、ピン129は切断台120に対して摺動する。これにより、切断台120は、フルカット位置とハーフカット位置との間を移動できる。
【0093】
なお、
図11において、点Q1とQ2を結ぶ左右方向に延びる直線S1が、カッタ刃155の移動軌跡であり、点Q2から左方に延びる直線S2が、カッタ刃155の移動軌跡の延長上にある直線である。切断装置100と同様、切断装置100Bにおいても、延設部113は、カッタ刃155の移動軌跡の延長上に配置されている。
【0094】
第2変形例において、切断台120は、切断台レバーバネ179とは別のバネによって付勢されていてもよい。切断装置100Bは、駆動部160に代えてモータを備えてもよい。この場合、切断台120の一部にギア歯が形成されており、ギア歯は、軸線Aを中心とした周方向に延びる。ギア歯は、直接的又は間接的に、モータの出力軸に固定されたモータギアに噛み合えばよい。この場合亜、モータの駆動に伴って、切断台120は、フルカット位置とハーフカット位置の間を移動できる。
【符号の説明】
【0095】
1 印刷装置
10 搬送部
60 印刷ヘッド
100,100A,100B 切断装置
109 ピン
111 開口
113 延設部
119 摺動部
120 切断台
121 第1部分
122 第2部分
122A 平面
122B 突出部
135 回転部材
140 バネ
153 カッタホルダ
155 カッタ刃
179,179A 切断台レバーバネ
180,180A カッタレバー
190,190A 切断台レバー
200,200A 連結部