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特許7346970光学装置、画像読取装置、および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】光学装置、画像読取装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20230912BHJP
   G02B 13/26 20060101ALI20230912BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B13/26
H04N1/028 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019134950
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021018363
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浅野 元博
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-33681(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080257(WO,A1)
【文献】特開2008-185668(JP,A)
【文献】特開2013-25018(JP,A)
【文献】特開2001-352429(JP,A)
【文献】特開2014-3570(JP,A)
【文献】特開2014-182325(JP,A)
【文献】特開2013-52557(JP,A)
【文献】特開2010-204208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00 - 3/14
G02B 5/00
G02B 9/00 - 17/08
H04N 1/024 - 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸が互いに平行になるように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体と、
前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズに向かう光の一部を前記光軸の沿って遮る遮光壁であって、長手方向に複数に分割された遮光壁と、
前記遮光壁の互いに向かい合う前記光軸に垂直な2つの面に接着されて、前記面を挟み込んで前記面を覆い、かつ、光を透過するシート体と、を備え、
複数に分割された前記遮光壁の分割面を跨いで前記シート体が接着されている、
ことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記シート体は、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記シート体は、厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスである、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
原稿に対して光を照射する照射手段と、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の光学装置と、
前記光学装置を通る光を受光する受光手段と、を備えた、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
前記原稿の画像を読み取る請求項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体に記録する画像記録手段と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、画像読取装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
凸状または凹状の屈折面を有する複数のレンズ部と、これら複数のレンズ部どうしを繋ぐホルダ部とが、合成樹脂により一体成形されているレンズアレイを複数備えているとともに、これら複数のレンズアレイは、それらの各レンズ部の光軸が合うように積層されており、かつ、上記各レンズアレイの複数のレンズ部は、同一方向に延びる複数の列に並べられているレンズアレイアッセンブリが知られている(特許文献1)。
【0003】
物体の縮小倒立画像を形成する第1のレンズと該第1のレンズが形成した像の拡大倒立画像を形成する第2のレンズとからなるレンズ対が略直線に複数配列されたレンズアレイと、それぞれの第1のレンズと第2のレンズとの間に第1の絞りが形成された第1の遮光部材とからなるレンズユニットにおいて、レンズ対の配列間隔と一致するように略直線に配置され、レンズ対の光軸方向の位置により開口形状が異なる第2の絞りが形成された第2の遮光部材を設け、第2の遮光部材は、第1のレンズと物体面との間および第2のレンズと結像面との間の少なくとも一方に配置されているレンズユニットも知られている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-295445号公報
【文献】特開2010-204208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、遮光壁がシート体で補強されていない構成に比べて、遮光壁を通る光の光軸方向における変形を抑制するとともに、異物の侵入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の光学装置は、
光軸が互いに平行になるように並べられた複数のレンズを備えたレンズ体と、
前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズに向かう光の一部を前記光軸の沿って遮る遮光壁であって、長手方向に複数に分割された遮光壁と、
前記遮光壁の互いに向かい合う前記光軸に垂直な2つの面に接着されて、前記面を挟み込んで前記面を覆い、かつ、光を透過するシート体と、を備え、
複数に分割された前記遮光壁の分割面を跨いで前記シート体が接着されている、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1に記載の光学装置において、
前記シート体は、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルムである、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項1に記載の光学装置において、
前記シート体は、厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスである、
ことを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するために、請求項に記載の画像読取装置は、
原稿に対して光を照射する照射手段と、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の光学装置と、
前記光学装置を通る光を受光する受光手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決するために、請求項に記載の画像形成装置は、
原稿の画像を読み取る請求項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体に記録する画像記録手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、4、5に記載の発明によれば、分割された遮光壁の分割面の接合強度を向上させるとともに、異物の侵入を防止することができる。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、遮光壁に入光する角度を抑制しつつ、遮光壁の光軸方向における強度を増加させることができる。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、遮光壁に入光する角度を抑制しつつ、遮光壁の光軸方向における強度を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】画像形成装置の内部構成を示す断面模式図である。
図2】画像読取装置の内部構成を示す断面構成図である。
図3】画像読取装置の画像読み取り部を示す断面模式図である。
図4】レンズアレイユニットの分解斜視図である。
図5】(a)は第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着される遮光壁の分解斜視図、(b)は第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着された遮光壁を示す図である。である。
図6】(a)は補強フィルムを有しないレンズアレイユニットを介して原稿光がイメージセンサに結像する状態を示す模式図、(b)は遮光壁の光軸孔に異物が侵入した場合の画像読み取り状態を説明する模式図である。
図7】(a)は遮光壁に倒れや傾きがあるレンズアレイユニットを介して原稿光がイメージセンサに結像する状態を示す模式図、(b)はイメージセンサにおける結像光及び迷い光の光強度を説明する図である。
図8】(a)は変形例1に係る第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着される遮光壁の分解斜視図、(b)は第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着された遮光壁を示す図である。
図9】(a)は変形例2に係る第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着される遮光壁の分解斜視図、(b)は第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着された遮光壁を示す図である。
図10】(a)は変形例3に係る第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着される遮光壁の分解斜視図、(b)は第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着された遮光壁を示す図である。
図11】(a)は2分割された第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着される遮光壁の分解斜視図、(b)は2分割された第1補強フィルム及び第2補強フィルムが接着された遮光壁を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0028】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す断面模式図、図2は画像読取装置2の内部構成を示す断面構成図、図3は画像読取装置2の画像読み取り部を示す断面模式図である。以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0029】
(1.1)全体構成
画像形成装置1は、原稿等のシートSから画像を読み取って画像データに変換する画像読取装置2、読み取った画像データを記録媒体としての用紙に印刷する画像記録手段としての画像形成部3、ユーザーインターフェイスとしての操作情報部4、画像処理部5、を備えて構成されている。
【0030】
画像読取装置2は、シート積載部21と、自動シート送り部22と、画像読取部23とを備えて構成されている。自動シート送り部22は、シート積載部21に置かれたシートSを画像読取部23の読取位置に搬送し、画像読取部23のCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等のイメージセンサISで読み取られた画像は電気信号である画像データに変換される。
【0031】
画像形成部3は、給紙装置32、露光装置33、感光体ユニット34、現像装置35、転写装置36、定着装置37を備えて構成され、画像処理部5から受け取った画像情報を給紙装置32から送り込まれた用紙P上にトナー像として形成する。
【0032】
画像読取装置2の前面側には、ユーザーインターフェイスとしての操作情報部4が配置されている。操作情報部4は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、画像形成装置1の使用者は、操作情報部4を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して画像形成装置1の使用者へ各種情報を表示する。
【0033】
画像処理部5は、画像読取装置2で読み取られた画像及び外部機器(例えばパーソナルコンピュータ等)から送信された印刷情報から画像データを生成する。
【0034】
(1.2)画像形成部
画像形成部3では、画像形成のタイミングに合わせて給紙装置32から印刷ジョブで印刷の1枚毎に指定された用紙Pが画像形成部3へ送り込まれる。
【0035】
感光体ユニット34は、給紙装置32の上方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する感光体ドラム341を備えている。露光装置33により静電潜像が形成されたそれぞれの感光体ドラム341上には、それぞれの現像装置35によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が形成される。
【0036】
各感光体ユニット34の感光体ドラム341に形成された各色トナー像は、転写装置36の中間転写ベルト361上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト361上の重畳トナー像は、レジストローラ対321から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに二次転写ローラ362によって一括転写される。
【0037】
定着装置37は一対の加熱モジュール371と加圧モジュール372の圧接領域によって定着ニップNF(定着領域)が形成される。
転写装置36においてトナー像が一括転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイド363を介して定着装置37の定着ニップNFに搬送され、一対の加熱モジュール371と加圧モジュール372により、加熱と圧着の作用でトナー像が定着される。
【0038】
定着トナー像が形成された用紙Pは、切替ゲート374にガイドされ、第1排出ローラ対373から画像形成装置1上面の排紙トレイ部Tに排出・収容される。また、両面印刷のために反転したり、画像記録面を上側にして排出する場合は、切替ゲート374で搬送路375に向って搬送方向が切り替えられる。
【0039】
(1.3)画像読取装置
シート積載部21は、画像が記録されたシートSが載置されるシートトレイTR1を備えている。
自動シート送り部22は、シートトレイTR1上に積載されたシートSを上から順に取り出すナジャーローラ22Aと、フィードローラ22B及びリタードローラ22Cからなる分離部22Dを備えている。
分離部22Dでは、フィードローラ22Bとリタードローラ22Cとが対となって、シートSが重なってニップ部Nに送り出された場合に、シートSを分離して(捌いて)、一枚ずつ画像読取部23に搬送する。
【0040】
シート搬送路G1には、シートSの搬送方向に対して、フィードローラ22Bの下流側の位置に、テイクアウェイローラ22Eが配置されている。テイクアウェイローラ22Eは、フィードローラ22Bで送り出されるシートSを、プレレジローラ22Fへ搬送する。
【0041】
プレレジローラ22Fの下流側には、シートSの搬送タイミングを調整するレジローラ22Gが配置されている。プレレジローラ22Fは停止しているレジローラ22GにシートSの先端を突き当てた状態でループを形成して斜行を補正する。レジローラ22Gは読み取りの開始タイミングに合わせて回転駆動され、シートSはテイクアウェイローラ22E及びプレレジローラ22Fでループを保持された状態でプラテンローラ22Hによって、読取ガラスPG1に押し当てられて表面を画像読取部23で読み取られる。
【0042】
読取ガラスPG1を通過したシートSは、シートガイドSGに案内されて読取センサ232へ搬送される。表面を画像読取部23で読み取られたシートSは、読取センサSNRで裏面を読み取られながらシート搬送路G2内を搬送され、排出ローラ22Jでシート積載部21の下方に形成された排紙トレイTR2に排出される。
【0043】
画像読取部23は、筐体24の上面にシートSが載置されるプラテンガラスPG2が配置され、筐体24の内部に、副走査方向(左右方向:X方向)に往復移動可能に設けられたキャリッジ25が配置されて構成されている。
キャリッジ25には、読取ガラスPG1を通過するシートS又はプラテンガラスPG2上のシートSを照射する照射手段の一例としてのLED(Light Emitting Diode)からなる第1ランプH1、第2ランプH2、シートSからの反射光を所定の倍率で結像させる光学装置としてのレンズアレイユニット20、イメージセンサ(CMOSを用いた固体撮像素子)ISが搭載されている。イメージセンサISは、シートSの画像を読み取るための読み取りセンサとなるもので、シートSからの反射光に応じたアナログの画像信号を生成する。
【0044】
シートSがプラテンガラスPG2上に載置された場合には、キャリッジ25を副走査方向(X方向)に順次移動させながら1ラインごとに画像情報を読み取ることにより、シートSからの反射光をイメージセンサISに導いてシートS全体の画像を読み取る。
【0045】
(2)レンズアレイユニット
図4は、本実施形態に係るレンズアレイユニット20の分解斜視図、図5(a)は第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230が接着される遮光壁220の分解斜視図、(b)は第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230が接着された遮光壁220を示す図である。以下、図面を参照しながら、レンズアレイユニット20について説明する。
【0046】
図4に示すように、レンズアレイユニット20は、シート体の一例としての第1補強フィルム210と、遮光壁220と、シート体の一例としての第2補強フィルム230と、レンズ体の一例としての第1レンズアレイ240と、レンズ体の一例としての第2レンズアレイ250と、から構成されている。
ここで、レンズアレイユニット20は、第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230が、遮光壁220の互いに向かい合う面220a、220bのそれぞれから遮光壁220を挟み込んで接着されている。また、遮光壁220、第1レンズアレイ240、第2レンズアレイ250がこの順で積層されるとともに、接着剤などによって互いに接着され一体化している。
【0047】
(2.1)第1レンズアレイ、第2レンズアレイ
第1レンズアレイ240および第2レンズアレイ250は、各々略直方体状の1対のレンズ部材であり、互いに一致する形状である。
【0048】
第1レンズアレイ240は、略直方体状の第1支持体241と、第1支持体241の表裏面に形成された複数の第1レンズ242とを有する。複数の第1レンズ242は、各々の光軸が互いに沿うように構成されている。ここで、複数の第1レンズ242の光軸が互いに沿うとは、第1レンズ242の各々が読取ガラスPG1又はプラテンガラスPG2におけるシートSの1ライン分の画像を、イメージセンサIS上に正立等倍で結像するものであればよく、複数の第1レンズ242の光軸が互いに平行であるだけでなく、互いの角度にずれがあってもよい。
【0049】
また、複数の第1レンズ242は、主走査方向に沿った第1列R41および第2列R42に並べて設けられ、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R41を構成する第1レンズ242と、第2列R42を構成する第1レンズ242とは、主走査方向において互いにずれて、予め定めた同一ピッチで配置されている。
【0050】
第2レンズアレイ250は、略直方体状の第2支持体251と、第2支持体251の表裏面に形成された複数の第2レンズ252とを有する。複数の第2レンズ252は、各々の光軸が互いに沿うように構成されている。ここで、複数の第2レンズ252の光軸が互いに沿うとは、第2レンズ252の各々が読取ガラスPG1又はプラテンガラスPG2におけるシートSの1ライン分の画像を、イメージセンサIS上に正立等倍で結像するものであればよく、複数の第2レンズ252の光軸が互いに平行であるだけでなく、互いの角度にずれがあってもよい。
【0051】
また、複数の第2レンズ252は、主走査方向に沿った第1列R51および第2列R52に並べて設けられ、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R51を構成する第2レンズ252と、第2列R52を構成する第2レンズ252とは、主走査方向において互いにずれて、予め定めた同一ピッチで配置されている。
【0052】
このように構成される第1レンズアレイ240および第2レンズアレイ250は、第1レンズ242の光軸と第2レンズ252の光軸とが互いに一致するように揃えて配置されている。また、第1レンズアレイ240および第2レンズアレイ250の各々は、例えば光透過性を有する光学樹脂を用いて射出成形することにより、一体的に形成される。
【0053】
(2.2)遮光壁
図4に示すように、遮光壁220は、略直方体状の本体221と、本体221の表面221aから裏面221bに貫通して形成された複数の光軸孔222とを有し、長手方向が主走査方向に沿って配置される。
この複数の光軸孔222は、本実施形態においては、直径が0.5mmで、予め定めた間隔で主走査方向に複数並べて設けられる。複数の光軸孔222の各々は、第1レンズ242の光軸が通過する位置に配置されている。より具体的には、遮光壁220の主走査方向における光軸孔222の間隔は、第1レンズアレイ240における第1レンズ242の間隔、および第2レンズアレイ250における第2レンズ252の間隔と一致するように配置されている。
【0054】
このように構成された遮光壁220は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、ABSやPC(ポリカーボネート))により形成され、第1レンズ242および第2レンズ252の結像に寄与しない光を遮断する。
すなわち、遮光壁220においては、本体221の光軸孔222が形成されていない領域が、主走査方向において第1レンズ242の各々の間で光を遮断する壁を形成し、光軸とは交差する向き、言い替えると角度がついて第1レンズ242および第2レンズ252に入射する光が遮断される。これにより、第1レンズ242および第2レンズ252のうちの1つのレンズから主走査方向において隣接する他のレンズに入る光が低減される。
【0055】
その結果、第1レンズ242および第2レンズ252の画角が狭められ、焦点深度を増加させることができる。また、第1レンズ242および第2レンズ252を通過する光において、迷光を抑制することができる。
ここでの画角とは、光軸方向に対する光線の見込み角度(法線と光線とのなす角度)のことをいう。また、迷光とは、物体面の物点から出た光線が、像面上の対応する像点以外に到達する光のことをいう。
【0056】
また、遮光壁220は、黒色顔料を混ぜた樹脂材料により構成され、光軸孔222の内側面も黒色である。このように光軸孔222の表面を黒色とすることにより、本体221によって遮断した光が、光軸孔222において反射することが抑制される。
【0057】
(2.3)第1補強フィルム、第2補強フィルム
第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230は、各々長尺状の薄板部材であり、本実施形態においては、互いに一致する形状である。
【0058】
第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230は、遮光壁220よりも、厚さ、すなわち、光軸方向の寸法が小さい。具体的には、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルムである。尚、第1補強フィルム110は、樹脂フィルムに限らず、厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスであってもよい。これにより、遮光壁220に入光する光の屈折を抑制しつつ、遮光壁220の光軸方向における強度を増加させることができる。
【0059】
このように構成される第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230は、図5に示すように、互いに同一形状であり、遮光壁220の光軸方向と交差する長手方向に延び、遮光壁220の互いに向かい合う上下の面である本体221の表面221a及び裏面221bのそれぞれから、遮光壁220を挟み込んで表面221a及び裏面221bに接着される。これにより、遮光壁220の光軸方向における変形を抑制して、遮光壁220の第1レンズアレイ240への配置を容易にすることができる。また、遮光壁220の光軸方向の長手方向での差を抑制することができる。
【0060】
(2.4)第1補強フィルム及び第2補強フィルムの作用
図6(a)は補強フィルムを有しないレンズアレイユニット20を介して原稿光がイメージセンサISに結像する状態を示す模式図、(b)は遮光壁220の光軸孔222に異物が侵入した場合の画像読み取り状態を説明する模式図、図7(a)は遮光壁220に倒れや傾きがあるレンズアレイユニットを介して原稿光がイメージセンサISに結像する状態を示す模式図、(b)はイメージセンサにおける結像光及び迷い光の光強度を説明する図である。
【0061】
図6(a)に示すように、遮光壁220の光軸孔222は、読取ガラスPG1又はプラテンガラスPG2に向かって上方に開口し、原稿光を受け入れるようになっている。そのために、例えば、ホコリや紙粉等の異物が侵入し、光軸孔222内に蓄積する虞があった。光軸孔222内に異物が蓄積すると、例えば、図6(b)において網点で塗り潰した光軸孔222a、222b、222cに異物が蓄積している場合、これら遮光壁220の光軸孔222a、222b、222cを通過する原稿光が遮られて、読取画像に縦スジが発生する虞があった。
【0062】
図7(a)に示すように、遮光壁220に倒れや傾きが生じると、第1レンズ242に入射する原稿光に偏りが発生し、イメージセンサISに到達する全体光量が減少するとともに、迷い光が増加する虞があった。図7(b)には、遮光壁220の光軸孔222に軸ずれがあり、第1列R41の第1レンズ242への入射光がその中心位置(図7(b)中 C-C)からずれた(図7(b)中 A-A)場合のイメージセンサIS上での光強度を模式的に示している。
【0063】
図7(b)に示すように、光軸孔222に軸ずれがない場合は、第1列R41の第1レンズ242及び第2列R42の第1レンズの迷い光成分に差はなく、結像光とはその光強度もことなっている。一方、光軸孔222に軸ずれがある場合、第2列R42の第1レンズの迷い光成分の光強度は小さいが、第1列R41の第1レンズ242の迷い光成分は大きくなり、結像光と差がないレベルとなっている。また、迷い光成分のレンズピッチむらも大きくなっている。
【0064】
本実施形態に係るレンズアレイユニット20は、遮光壁220の互いに向かい合う上下の面のそれぞれから、第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230が、遮光壁220を挟み込んで表面221a及び裏面221bに接着されている。第1補強フィルム210及び第2補強フィルム230は、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルム、又は厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスで、遮光壁220の光軸孔222に入光する光の屈折を抑制しつつ、遮光壁220の光軸方向における強度を増加させている。
これにより、光軸孔222への異物の侵入を防止するともに、遮光壁220の倒れや傾きを抑制し、光軸孔222の軸ずれを抑制することができる。
【0065】
「変形例1」
図8(a)は変形例1に係る第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aが接着される遮光壁220の分解斜視図、(b)は第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aが接着された遮光壁220を示す図である。
変形例1に係る第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、図8(a)に示すように、遮光壁220の光軸孔222の光軸方向と交差する長手方向において複数に分割されている。本変形例1においては、第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、3つに分割され、互いに一致する形状である。尚、分割数は3つに限らず、3つよりも多い分割数であってもよい。
【0066】
分割されたそれぞれの第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルム、又は、厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスである。
【0067】
このように複数に分割された第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、図8(b)に示すように、遮光壁220の互いに向かい合う上下の面のそれぞれから、遮光壁220を挟み込んで表面221a及び裏面221bに接着される。これにより、遮光壁220の光軸方向における変形を抑制して、遮光壁220の第1レンズアレイ240への配置を容易にすることができる。
【0068】
「変形例2」
図9(a)は変形例2に係る第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aが接着される遮光壁220Aの分解斜視図、(b)は第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aが接着された遮光壁220Aを示す図である。
【0069】
変形例2に係る遮光壁220Aは、図9(a)に示すように、長手方向において複数に分割され、互いに分割面220Aaで接合されて第1レンズアレイ240に配置されるようになっている。
遮光壁220Aは、本変形例2においては、長手方向(主走査方向)の長さL1が300mm、厚み方向(光軸方向)の長さL2が6mm、幅方向(副走査方向)の長さL3が2mmであり、黒色顔料を混ぜた樹脂材料を用いて射出成形により形成される場合、複数に分割して形成することで長手方向の寸法精度を確保しやすくなる。
【0070】
第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、図9(a)に示すように、遮光壁220の光軸孔222の光軸方向と交差する長手方向において、遮光壁220Aに合わせて複数に分割されている。本変形例2においては、第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、3つに分割され、互いに一致する形状である。
【0071】
分割されたそれぞれの第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルム、又は、厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスである。
【0072】
このように複数に分割された遮光壁220Aを分割面220Aaで接合して、第1補強フィルム210A及び第2補強フィルム230Aは、図9(b)に示すように、分割された遮光壁220Aの互いに向かい合う上下の面のそれぞれから、遮光壁220Aを挟み込んで表面221Aa及び裏面221Abに接着される。これにより、遮光壁220Aの第1レンズアレイ240への配置を容易にするとともに、分割されたそれぞれの遮光壁220Aの強度を向上させ、光軸方向と交差する長手方向における変形を抑制することができる。
【0073】
「変形例3」
図10(a)は変形例3に係る第1補強フィルム210B及び第2補強フィルム230Bが接着される遮光壁220Aの分解斜視図、(b)は第1補強フィルム210B及び第2補強フィルム230Bが接着された遮光壁220Aを示す図である。
【0074】
変形例3に係る遮光壁220Aは、図10(a)に示すように、長手方向において複数に分割され、互いに分割面220Aaで接合されて第1レンズアレイ240に配置されるようになっている。
【0075】
第1補強フィルム210B及び第2補強フィルム230Bは、図10(a)に示すように、遮光壁220Aの光軸孔222の光軸方向と交差する長手方向において、遮光壁220Aの分割面220Aaを跨いで接着されるように複数に分割されている。本変形例3においては、第1補強フィルム210B及び第2補強フィルム230Bは、3つに分割され、互いに一致する形状である。
【0076】
分割されたそれぞれの第1補強フィルム210B及び第2補強フィルム230Bは、厚さが0.5mmよりも薄い透明な樹脂フィルム、又は、厚さが0.1mmよりも薄い透明なガラスである。
【0077】
このように複数に分割された遮光壁220Aを分割面220Aaで接合して、第1補強フィルム210B及び第2補強フィルム230Bは、図10(b)に示すように、分割された遮光壁220Aの分割面220Aaを跨いで、互いに向かい合う上下の面のそれぞれから、遮光壁220Aを挟み込んで表面221Aa及び裏面221Abに接着される。これにより、遮光壁220Aの第1レンズアレイ240への配置を容易にするとともに、分割された遮光壁220Aの分割面220Aaの接合強度を向上させることができる。
【0078】
図11には第1補強フィルム210C及び第2補強フィルム230Cが2分割されて、分割された遮光壁220Aの分割面220Aaを跨いで、互いに向かい合う上下の面のそれぞれから、遮光壁220Aを挟み込んで表面221Aa及び裏面221Abに接着される態様を示している。
第1補強フィルム210C及び第2補強フィルム230Cが遮光壁220Aの分割面220Aa2を跨ぐように大きく2分割されている場合、複数に分割された遮光壁220Aの接合を、大きく分割された第2補強フィルム230C上で行うことができ、遮光壁220Aの第1レンズアレイ240への配置をより容易にすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・画像形成装置
2・・・画像読取装置
21・・・シート積載部
22・・・自動シート送り部
23・・・画像読取部
20・・・レンズアレイユニット
210、210A、210B、210C・・・第1補強フィルム
220、220A・・・遮光壁
230、230A、230B、230C・・・第2補強フィルム
240・・・第1レンズアレイ
250・・・第2レンズアレイ
3・・・画像形成部
4・・・操作情報部
5・・・画像処理部
図1
図2
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図5
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図8
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図10
図11