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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】車両用操作システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230912BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20230912BHJP
【FI】
G08G1/16 A
B60W30/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019142415
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021026398
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】林田 京子
(72)【発明者】
【氏名】小河 敏成
(72)【発明者】
【氏名】藤本 公介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
(72)【発明者】
【氏名】松谷 慎太郎
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077649(JP,A)
【文献】特開2017-163253(JP,A)
【文献】特開2006-301723(JP,A)
【文献】特開2007-050490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の場所にそれぞれ配置されている複数の車両と、
前記車両の周囲の映像を含んだ前記車両の情報を取得する取得部と、
前記車両の操作を行うことができる操作権を、遠隔操作による操作を行う第1操作者であるユーザ及び第2操作者であるコントロールセンタのいずれかに付与する決定部と、
前記決定部にて前記操作権が付与された前記第1操作者又は前記第2操作者が遠隔操作による操作を行う場合に、前記取得部が取得した前記情報を前記操作権が付与された前記第1操作者又は前記第2操作者へ提供する情報提供部と、
前記決定部にて前記操作権が付与された前記第1操作者又は前記第2操作者が遠隔操作による操作を行う場合に、前記第1操作者又は前記第2操作者の操作により前記車両を遠隔操作にて作動させる遠隔操作制御部と、
前記第1操作者による前記車両の遠隔操作時に、当該車両を予め設定されている車両立ち入り禁止のエリアに侵入させた場合、又は当該車両の遠隔操作を行えない状態に陥った際に、前記第2操作者へ前記操作権を移行させる監視部と、
を有する車両用操作システム。
【請求項2】
前記決定部は、前記第1操作者及び前記第2操作者のいずれか一方に管理者権限を設定すると共に、
前記監視部は、前記車両の操作権を前記第1操作者及び前記第2操作者のうち管理者権限を付与された側へ優先的に移行させる、
請求項1記載の車両用操作システム。
【請求項3】
前記監視部は、必要と判定した際に外部へ通報する、
請求項1又は請求項2記載の車両用操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両の遠隔操作システムに関する発明が開示されている。この車両の遠隔操作システムでは、車外に設けられた操作装置を用いて、複数の車室の中から操作対象の車両を選択して当該車両を遠隔操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-104287号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成の場合、遠隔操作された車両が車両乗り入れ禁止エリア(以下、単に「禁止エリア」と称する。)に乗り入れた場合や、遠隔操作者が遠隔操作を中断した場合の対応について開示されていない。このため、車両が危険な状態に陥る可能性があり、上記先行技術はこれらの点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、遠隔操作された車両が危険な状態に陥るのを抑制することができる車両用操作システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る車両用操作システムは、複数の場所にそれぞれ配置されている複数の車両と、前記車両の周囲の映像を含んだ前記車両の情報を取得する取得部と、前記車両の操作を行うことができる操作権を、遠隔操作による操作を行う第1操作者であるユーザ及び第2操作者であるコントロールセンタのいずれかに付与する決定部と、前記決定部にて前記操作権が付与された前記第1操作者又は前記第2操作者が遠隔操作による操作を行う場合に、前記取得部が取得した前記情報を前記操作権が付与された前記第1操作者又は前記第2操作者へ提供する情報提供部と、前記決定部にて前記操作権が付与された前記第1操作者又は前記第2操作者が遠隔操作による操作を行う場合に、前記第1操作者又は前記第2操作者の操作により前記車両を遠隔操作にて作動させる遠隔操作制御部と、前記第1操作者による前記車両の遠隔操作時に、当該車両を予め設定されている車両立ち入り禁止のエリアに侵入させた場合、又は当該車両の遠隔操作を行えない状態に陥った際に、前記第2操作者へ前記操作権を移行させる監視部と、を有している。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、車両用操作システムは、複数の車両と、取得部と、決定部と、情報提供部と、遠隔操作制御部と、監視部とを有している。複数の車両は、複数の場所にそれぞれ配置されている。取得部は、複数の車両のそれぞれの周囲の状況について映像を含んだ情報を取得する。決定部は、車両の操作を行うことができる操作権を第1操作者であるユーザ及び第2操作者であるコントロールセンタのいずれかに付与する。この第1操作者と第2操作者は、操作権が付与された際に遠隔操作により遠隔操作制御部を介して車両を作動させる。そして、情報提供部は、決定部にて操作権が付与された第1操作者又は第2操作者が遠隔操作により車両の操作を行う場合に、取得部が取得した車両の情報を遠隔操作者へ提供する。これにより、第1操作者又は第2操作者が遠隔操作を行う際は、車両の周囲の状況を把握しながら車両を作動させることができる。
【0008】
また、監視部は、第1操作者による車両の遠隔操作時に、当該車両を予め設定されている車両立ち入り禁止のエリアに侵入させた場合、又は当該車両の遠隔操作を行えない状態に陥った際に、第2操作者へ車両の操作権を移行させる。したがって、第1操作者における遠隔操作時に、車両の遠隔操作が行えない状態に陥った際や、危険なエリアへの立ち入りなどの危険な状態に陥った際に、第2操作者の操作によって車両を適切な状態にすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る車両用操作システムは、請求項1に記載の発明において、前記決定部は、前記第1操作者及び前記第2操作者のいずれか一方に管理者権限を設定すると共に、前記監視部は、前記車両の操作権を前記第1操作者及び前記第2操作者のうち管理者権限を付与された側へ優先的に移行させる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、監視部は、車両の操作権を第1操作者及び第2操作者のうち決定部により管理者権限を付与された側へ優先的に移行させることから、遠隔操作時に車両が危険な状況に陥った際に管理者権限を有する操作者が車両の操作を行えるようになる。したがって、車両をより適切な状態にすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明に係る車両用操作システムは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記監視部は、必要と判定した際に外部へ通報する。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、監視部は、必要と判定した際に外部へ通報することから、通報を受けて車両を適切な状態に移行させることが容易となる。つまり、車両において危険な状態が継続することで深刻な問題が引き起こされるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明に係る車両用操作システムは、遠隔操作された車両が危険な状態に陥るのを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0014】
請求項2記載の本発明に係る車両用操作システムは、車両の管理が容易となるという優れた効果を有する。
【0015】
請求項3記載の本発明に係る車両用操作システムは、遠隔操作された車両が危険な状態に陥るのをより一層抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る車両用操作システムの概略を示す概略図である。
図2】一実施形態に係る車両用操作システムの車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る車両用操作システムのユーザ端末機のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係る車両用操作システムのコントロールセンタにおけるハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態に係る車両用操作システムのサーバにおけるハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】一実施形態に係る車両用操作システムの機能構成を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係る車両用操作システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図7を用いて、本発明に係る車両用操作システム10の一実施形態について説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、一実施形態に係る車両用操作システム10の概略構成を示す図である。
【0019】
図1に示されるように、車両用操作システム10は、複数の車両12、14、16にそれぞれ搭載された車載器18と、ユーザ端末機20と、コントロールセンタ22と、サーバ24とを含んで構成されている。これらの車載器18と、ユーザ端末機20と、コントロールセンタ22と、サーバ24とは、ネットワークN(図6参照)を介して通信可能に接続されている。ネットワークNには、例えば、インターネット又はWAN(Wide Area Network)等が適用される。
【0020】
車両12、14、16は、それぞれ異なる場所に配置されており、一例として、車両12は都市部、車両14は砂漠地帯、車両16はサーキット場に予め配置されている。車両12、14、16は、一例として、車両用操作システム10を運営する事業者が所有及び管理する車両とされており、車内の操作インターフェイス28(図2参照)による手動運転及び撮影装置30(図2参照)の映像を利用したユーザ端末機20やコントロールセンタ22からの遠隔操作が可能とされている。また、車載器18は、車両12、14、16の使用状況及び車両状態を車外に設けられているサーバ24へ送信可能とされている。車載器18の具体的な構成及び作用については、後述する。
【0021】
ユーザ端末機20は、例えばスマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、パーソナルコンピュータ及びゲーム端末機等であり、第1操作者としての図示しないユーザが所持している。ユーザ端末機20の具体的な構成及び作用については、後述する。
【0022】
コントロールセンタ22には、車両12を遠隔操作するための操作インターフェイス29と、遠隔操作情報取得装置32と、表示装置34と(図4参照)、サーバ24とが設けられている。サーバ24は、車載器18、ユーザ端末機20及び遠隔操作情報取得装置32から各種情報を収集し、収集した情報をデータベースとして管理すると共に、各種情報の送信を行う。操作インターフェイス29、遠隔操作情報取得装置32、表示装置34及びサーバ24の具体的な構成及び作用については、後述する。
【0023】
(ハードウェア構成)
図2に示されるように、車両12、14、16は、それぞれ操作インターフェイス28と、車載器18と、撮像装置30と、車両駆動装置36とを有している。各構成は、バス38を介して相互に通信可能に接続されている。
【0024】
操作インターフェイス28は、車両12、14、16の車室における車両前方側に配置されており、ステアリングホイールと、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、ギヤシフトレバーと(いずれも不図示)を含んで構成されている。これらの操作インターフェイス28は、車載器18における後述する乗員操作情報取得部40(図6参照)に接続されている。
【0025】
撮影装置30は、一例として、車両12、14、16の車室内に設けられており、車両12、14、16の前方側を中心として車両外部の様子を撮影する。この撮像された映像は、車載器18へ送られる。
【0026】
車載器18は、CPU(Central Processing Unit)42、ROM(Read Only Memory)44、RAM(Random Access Memory)46、ストレージ48及び通信インターフェイス50を含んで構成されている。各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0027】
CPU42は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU42は、ROM44又はストレージ48からプログラムを読み出し、RAM46を作業領域としてプログラムを実行する。CPU42は、ROM44又はストレージ48に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM44又はストレージ48には、車両用操作プログラムが格納されている。
【0028】
ROM44は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM46は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ48は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0029】
通信インターフェイス50は、車載器18がサーバ24と通信するためのインターフェイスであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0030】
車両駆動装置36は、車載器18の制御に基づいて車両12、14、16のそれぞれの車輪12A、14A、16A(図1参照)を駆動させる図示しない原動機を作動させる。
【0031】
図3に示されるように、ユーザ端末機20は、CPU42、ROM44、RAM46、ストレージ48、通信インターフェイス50及びユーザインタフェイス54を含んで構成されている。各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。ユーザインタフェイス54は、ユーザが車両12、14、16のいずれかを選択すると共に、車両12、14、16のうち選択した車両が取得した映像を含む情報の表示及び当該車両の遠隔操作を行う際のインターフェイスであり、具体的にはユーザによるタッチ操作を可能とするタッチパネルを備えた液晶ディスプレイとされている。
【0032】
図4に示されるように、コントロールセンタ22における操作インターフェイス29と表示装置34と遠隔操作情報取得装置32とは、バス38を介して相互に通信可能に接続されている。操作インターフェイス29は、一例として、キーボード、マウス、ジョイスティック(いずれも不図示)等から構成されており、コントロールセンタ22内の第2操作者としての図示しないオペレータが車両12、14、16の遠隔操作を行うために設けられている。なお、操作インターフェイス29は、ステアリングホイールと、アクセルペダルと、ブレーキペダルと、ギヤシフトレバーとを模したコントローラ(いずれも不図示)を含んで構成されてもよい。
【0033】
遠隔操作情報取得装置32は、CPU42、ROM44、RAM46、ストレージ48及び通信インターフェイス50を含んで構成されている。各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。遠隔操作情報取得装置32は、操作インターフェイス29により入力された車両12、14、16の遠隔操作のための操作情報をサーバ24(図1参照)へ送信する。
【0034】
表示装置34は、サーバ24から受信された情報を表示するディスプレイとされている。具体的には、車両12、14、16が取得したそれぞれの周辺の映像を含む情報が表示可能とされている。
【0035】
図5に示されるように、サーバ24は、CPU42、ROM44、RAM46、ストレージ48及び通信インターフェイス50を含んで構成された遠隔操作制御装置70を有している。各構成は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
(機能構成)
上記の車両用操作プログラムを実行する際に、車両用操作システム10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。車両用操作システム10が実現する機能構成について説明する。
【0037】
図6は、車両用操作システム10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0038】
(車両の機能構成)
図6に示されるように、車両用操作システム10は、車両12、14、16のそれぞれにおける機能構成として、乗員操作情報取得部40と、遠隔操作情報取得部60と、取得部としての周囲情報取得部62と、車両制御部64と、通信部68とを有している。各機能構成は、車載器18のCPU42がROM44又はストレージ48に記憶された車両用操作プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0039】
乗員操作情報取得部40は、車両12、14、16に乗車した乗員による操作インターフェイス28(図2参照)へ入力された操作情報を取得する。
【0040】
遠隔操作情報取得部60は、サーバ24の遠隔操作制御装置70から送信された操作情報を取得するように通信部68を制御する。遠隔操作制御装置70から送信された操作情報は、コントロールセンタ22のオペレータによって操作インターフェイス29(図4参照)へ入力された操作情報又はユーザ端末機20を所有するユーザによってユーザ端末機20へ入力された操作情報である。
【0041】
車両制御部64は、乗員操作情報取得部40又は遠隔操作情報取得部60によって取得された操作情報に基づいて、車両駆動装置36(図2参照)の駆動を制御する。なお、車両制御部64は、後述する決定部72により車両12、14、16の操作を行うことができる操作権が付与された操作情報に基づいて車両駆動装置36を制御する。すなわち、遠隔操作情報取得部60から操作権が付与された操作情報が取得された場合は、遠隔操作情報取得部60からの操作情報に基づいて車両駆動装置36を制御する。したがって、車両制御部64は、遠隔操作情報取得部60及び乗員操作情報取得部40から同時に操作情報が取得された場合、操作権が付与された側の操作情報に従って車両駆動装置36が制御される。
【0042】
周囲情報取得部62は、車両12、14、16に設けられた撮影装置30(図2参照)が撮影した映像と、図示しない各種センサから日時を含めた走行履歴、総走行距離、燃料残量、各種オイルの量、タイヤの空気圧等の各種情報を取得すると共に、当該各種情報をサーバ24へ送信するように、通信部68を制御する。
【0043】
通信部68は、他の装置との間で情報を送受信する。
【0044】
(ユーザ端末機の機能構成)
車両用操作システム10は、ユーザ端末機20における機能構成として、遠隔操作情報取得部66と、表示部74と、車両選択部76と、通信部78とを有している。各機能構成は、ユーザ端末機20のCPU42がROM44又はストレージ48に記憶された車両用操作プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0045】
遠隔操作情報取得部66は、ユーザインタフェイス54(図3参照)から操作情報を取得し、当該操作情報をサーバ24へ送信するように、通信部78を制御する。
【0046】
表示部74は、サーバ24から受信した車両12、14、16の周囲情報取得部62による各種情報をユーザへ向けて表示するようにユーザインタフェイス54(図3参照)を制御する。
【0047】
車両選択部76は、ユーザがユーザ端末機20の車両用操作プログラムを実行すると、車両12、14、16のうち走行可能な車両の情報を送信するようにサーバ24へ要求すると共に、サーバ24から受信した走行可能な車両の各種情報をユーザへ向けて表示しかつそのうちの一台を選択するようにユーザインタフェイス54(図3参照)の表示を行う。そして、車両選択部76は、ユーザがユーザインタフェイス54の操作により選択した結果をサーバ24へ送信するように通信部78を制御する。
【0048】
通信部78は、他の装置との間で情報を送受信する。
【0049】
(コントロールセンタの機能構成)
車両用操作システム10は、コントロールセンタ22における機能構成として、遠隔操作情報取得部80と、通信部82と、表示部84とを有している。各機能構成は、遠隔操作情報取得装置32のCPU42がROM44又はストレージ48に記憶された車両用操作プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0050】
遠隔操作情報取得部80は、操作インターフェイス29(図4参照)から操作情報を取得し、当該操作情報をサーバ24へ送信するように、通信部82を制御する。
【0051】
表示部84は、サーバ24から受信した車両12、14、16の周囲情報取得部62による各種情報をオペレータへ向けて表示するように表示装置34(図4参照)を制御する。
【0052】
通信部82は、他の装置との間で情報を送受信する。
【0053】
(サーバの機能構成)
車両用操作システム10は、サーバ24における機能構成として、決定部72と、監視部88と、遠隔操作制御部90と、情報提供部としてのサーバ制御部86と、通信部92とを備える。各機能構成は、サーバ24の遠隔操作制御装置70のCPU42がROM44又はストレージ48に記憶された車両用操作プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0054】
決定部72は、車両12、14、16のいずれかの操作を行うことができる操作権をユーザ又はコントロールセンタ22に付与する。また、決定部72は、コントロールセンタ22に管理者権限を設定する。この操作権は、一例として、同一の車両の同一のタイミングでは1つだけ付与されると共に、管理者権限を有するコントロールセンタ22はこの操作権をユーザからコントロールセンタ22側へ優先的に移行させることが可能とされている。一例として、ユーザが砂漠地帯での運転を遠隔操作にて体験したい場合、ユーザはユーザ端末機20から車両14(図1参照)を選択すると、決定部72は当該ユーザが所定の条件を満たしているか(一例として会員登録されたユーザで利用料金を支払い済みであるか否か)を判定し、所定の条件を満たしている場合には、当該ユーザに車両14の操作権を付与する。同様に、ユーザが都市部の運転を遠隔操作にて体験したい場合、ユーザはユーザ端末機20から車両12(図1参照)を選択すると、決定部72は当該ユーザが所定の条件を満たしているかを判定し、所定の条件を満たしている場合には、当該ユーザに車両12の操作権を付与する。さらに、ユーザがサーキット場での運転を遠隔操作にて体験したい場合、ユーザはユーザ端末機20から車両16(図1参照)を選択すると、決定部72は当該ユーザが所定の条件を満たしているかを判定し、所定の条件を満たしている場合には、当該ユーザに車両16の操作権を付与する。決定部72は、ユーザ又はコントロールセンタ22のどちらに操作権を付与した情報を遠隔操作制御部90へ送信する。
【0055】
監視部88は、車両12、14、16のいずれかがユーザにより遠隔操作されている際に、必要と判定した場合には当該車両12、14、16の操作権を管理者権限が付与されたコントロールセンタ22側へ優先的に移行させる。具体的には、ユーザが車両12、14、16のいずれかを予め設定されている車両立ち入り禁止のエリアに侵入させた場合や、ユーザが車両12、14、16のいずれかの遠隔操作を終了した場合や途中で遠隔操作を放棄した場合に、監視部88は当該車両12、14、16の操作権をコントロールセンタ22のオペレータへ移行させる。なお、監視部88は、操作権が移行した情報を遠隔操作制御部90へ送信する。
【0056】
また、監視部88は、必要と判定した際、具体的にはユーザが車両12、14、16のいずれかを予め設定されている車両立ち入り禁止のエリアに侵入させた場合や道路上にて遠隔操作を放棄してしまった場合や交通事故などの比較的緊急度が高い場合に、危険度が高い状態と判定して外部へ、具体的にはコントロールセンタ22及び警察等の公的機関へ通報を行うように通信部92を制御する。なお、車両12、14、16における「危険度が高い状態」は、車両12、14、16にそれぞれ設けられた図示しないセンサや、操作情報の内容等から判定される。
【0057】
遠隔操作制御部90は、決定部72及び監視部88により操作権が付与された側の操作情報を取得する。すなわち、決定部72によりユーザに車両12、14、16のいずれかの操作権が付与された場合、遠隔操作制御部90は、ユーザ端末機20から遠隔操作の操作情報を取得すると共に、当該操作情報に操作権が付与された旨の情報を付加する。また、遠隔操作制御部90は、監視部88により操作権がコントロールセンタ22のオペレータへ移行した情報を受信した場合、コントロールセンタ22の遠隔操作情報取得部80から遠隔操作の操作情報を取得すると共に、当該操作情報に操作権が付与された旨の情報を付加する。そして、遠隔操作制御部90は、操作権が付与された旨の情報が付加された遠隔操作のための操作情報を車両12、14、16のいずれかへ送信するようにサーバ制御部86を制御する。
【0058】
サーバ制御部86は、サーバ24を制御する。例えば、サーバ制御部86は、車両12、14、16から送信された各種情報を取得し、当該情報から走行可能車両を検索すると共に、当該情報をコントロールセンタ22やユーザ端末機20へ送信するように通信部92を制御する。また、車両12、14、16、ユーザ端末機20及びコントロールセンタ22から取得した各種情報を決定部72、監視部88及び遠隔操作制御部90へ送信すると共に、決定部72、監視部88及び遠隔操作制御部90からの各種情報を車両12、14、16、コントロールセンタ22へ送信するように通信部92を制御する。また、ユーザに操作権が付与された場合は、当該ユーザのユーザ端末機20へも車両12、14、16から取得した各種情報を送信するように通信部92を制御する。
【0059】
通信部92は、他の装置との間で情報を送受信する。
【0060】
(処理フロー)
次に、車両用操作システム10の作用について説明する。図7は、車両用操作システム10による動作の流れを示すフローチャートである。車載器18、ユーザ端末機20、遠隔操作情報取得装置32及び遠隔操作制御装置70のそれぞれのCPU42がROM44又はストレージ48から車両用操作プログラムを読み出して、RAM46に展開して実行することにより、処理が行われる。
【0061】
CPU42は、ユーザ端末機20から走行可能車両情報が要求されているか否かを判定する(ステップS100)。ユーザ端末機20から走行可能車両情報が要求されていない場合(ステップS100:NO)、CPU42は、車両用操作プログラムに基づく処理を終了する。一方、ユーザ端末機20から走行可能車両情報が要求されている場合(ステップS100:YES)、CPU42は、車両12、14、16のそれぞれの各種情報を取得して走行可能な車両を検索する(ステップS102)。
【0062】
CPU42は、検索した走行可能車両をユーザ端末機20のユーザインタフェイス54に表示させる(ステップS104)。そして、CPU42は、走行可能車両のうちユーザが遠隔操作を行いたい一台がユーザインタフェイス54に選択されかつ入力されたか否かを判定する(ステップS106)。ユーザが遠隔操作を行いたい一台を選択しかつ入力していない場合(ステップS106:NO)、CPU42は、ステップS104の処理へ戻る。一方、ユーザが遠隔操作を行いたい一台を選択しかつ入力した場合(ステップS106:YES)、CPU42は、選択された車両(以下、一例としてユーザが車両12を選択したとする。)12から車両12の周囲の状況を撮影した映像を含む各種情報を取得する(ステップS108)。そして、CPU42は、車両12から取得された各種情報をユーザ端末機20のユーザインタフェイス54に表示させる(ステップS110)。
【0063】
CPU42は、一例としてユーザから利用料金の支払いが行われているか等の所定の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS112)。この所定の条件が満たされていない場合(ステップS112:NO)、CPU42は、車両用操作プログラムに基づく処理を終了する。一方、所定の条件が満たされている場合(ステップS112:YES)、CPU42は、車両12の操作を行うことができる操作権をユーザへ付与する(ステップS114)。そして、CPU42は、ユーザがユーザ端末機20のユーザインタフェイス54に入力される遠隔操作情報を処理して車両12を作動させる(ステップS116)。
【0064】
CPU42は、車両12の状態を監視し、ユーザに付与した操作権をコントロールセンタ22側へ移行させる必要があるか否かを判定する(ステップS118)。操作権の移行が不要な場合(ステップS118:NO)、CPU42は、車両12が走行終了したか否かを判定する(ステップS122)。車両12の走行が終了した場合(ステップS122:YES)、CPU42は、車両用操作プログラムに基づく処理を終了する。一方、車両12の走行が終了していない場合(ステップS122:NO)、CPU42は、ステップS116の処理へ戻る。
【0065】
ユーザに付与された操作権の移行が必要な場合(ステップS118:YES)、CPU42は、操作権をコントロールセンタ22側へ移行する(ステップS120)。そして、CPU42は、危険度が高い状態に車両12があるか否かを判定する(ステップS124)。危険度が高い状態ではない場合(ステップS124:NO)、CPU42は、ステップS122の処理へ移行する。一方、危険度が高い状態である場合(ステップS124:YES)、CPU42は、外部へ通報する(ステップS126)と共に、ステップS122の処理へ移行する。
【0066】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0067】
本実施形態では、図6に示されるように、車両用操作システム10は、複数の車両12、14、16と、周囲情報取得部62と、決定部72と、サーバ制御部86と、遠隔操作制御部90と、監視部88とを有している。複数の車両12、14、16は、複数の場所にそれぞれ配置されている。周囲情報取得部62は、複数の車両12、14、16のそれぞれの周囲の状況について映像を含んだ情報を取得する。決定部72は、車両12、14、16の操作をユーザ及びコントロールセンタ22のオペレータのいずれかに許可する。このユーザとコントロールセンタ22のオペレータとの少なくとも一方は、遠隔操作により遠隔操作制御部90を介して車両12、14、16のいずれかを作動させる。そして、サーバ制御部86は、決定部72にて許可されたユーザ又はコントロールセンタ22のオペレータが遠隔操作により車両12、14、16のいずれかの操作を行う場合に、周囲情報取得部62が取得した車両12、14、16の周囲の情報を遠隔操作者へ提供する。これにより、ユーザ又はコントロールセンタ22のオペレータが遠隔操作を行う際は、車両12、14、16の周囲の状況を把握しながら車両12、14、16のいずれかを作動させることができる。これにより、ユーザは、現地に向かうことなく都市部や砂漠地帯やサーキット場などといった様々な場面でのドライブ体験を容易に行うことができる。
【0068】
また、監視部88は、ユーザ及びコントロールセンタ22のオペレータのいずれか一方における車両12、14、16のいずれかの遠隔操作時に、必要と判定した場合にはユーザ及びコントロールセンタ22のオペレータのいずれか他方へ車両12、14、16のいずれかの操作権を移行させる。したがって、ユーザ及びコントロールセンタ22のオペレータのいずれか一方における遠隔操作時に、車両12、14、16の遠隔操作が行えない状態に陥った際や、危険なエリアへの立ち入りなどの危険な状態に陥った際に、ユーザ及びコントロールセンタ22のオペレータのいずれか他方の操作者によって車両12、14、16を適切に作動させることができる。これにより、遠隔操作された車両12、14、16が危険な状態に陥るのを抑制することができる。
【0069】
さらに、監視部88は、車両12、14、16の操作権をユーザ及びコントロールセンタ22のうち管理者権限を付与されたコントロールセンタ22側へ優先的に移行させることから、遠隔操作時に車両12、14、16が危険な状況に陥った際に管理者権限を有するコントロールセンタ22のオペレータが車両12、14、16の操作を行えるようになる。したがって、車両12、14、16をより適切な状態にすることができる。これにより、車両12、14、16の管理が容易となる。
【0070】
さらにまた、監視部88は、車両12、14、16において危険度が高い状態と判定した際に外部へ通報することから、通報を受けて車両12、14、16を適切な状態に移行させることが容易となる。つまり、車両12、14、16において危険な状態が継続することで深刻な問題が引き起こされるのを抑制することができる。これにより、遠隔操作された車両12、14、16が危険な状態に陥るのをより一層抑制することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、コントロールセンタ22に管理者権限が設定されているが、これに限らず、管理者権限が設定されておらず、ユーザ同士にて操作権を移行する構成としてもよい。また、コントロールセンタ22及びユーザは、それぞれ遠隔操作により車両12、14、16を操作する構成とされているが、これに限らず、コントロールセンタ22及びユーザのどちらか一方側が車内の操作インターフェイス28(図2参照)による操作を行ってもよい。そして、車内の操作インターフェイス28に操作権を付与する構成としてもよい。これにより、コントロールセンタ22から遠隔操作によって操作を指示しながらユーザが実際に車両12、14、16の操作インターフェイス28を手動で操作したり、逆に事業者側の操作者が車両12、14、16の操作インターフェイス28を手動で操作したりすると共にユーザが遠隔操作によって車両12、14、16を操作する構成としてもよい。また、ユーザに車両12、14、16の操作方法や運転スキルの向上を教えるインストラクションサービスに上述した構成を適用してもよい。
【0072】
さらに、遠隔操作を行う操作者には、車両12、14、16の撮影装置30による撮影映像以外にも、車両12、14、16へ当たる横風や気温等の環境情報や、車両12、14、16の燃料の量やオイルの量及び温度等の情報を提示するように構成してもよい。
【0073】
さらにまた、監視部88は、車両12、14、16において危険度が高い状態と判定された際は外部へ通報する構成とされているが、これに限らず、通報を行わない構成としてもよい。
【0074】
また、車両12、14、16の操作権は、決定部72や監視部88によって他方の操作者に移行させる構成とされているが、これに限らず、管理を行う管理者が操作権を移行させる構成としてもよい。
【0075】
さらに、車両12、14、16は、都市部や砂漠地帯やサーキット場に配置されているが、これに限らず、その他様々な場所に配置されてもよいし、車両の数を増やして様々な場所にそれぞれ車両を配置してもよい。
【0076】
さらにまた、車両12、14、16は、それぞれ車内に操作インターフェイス28(図2参照)を設けて手動運転が可能な構成とされているが、これに限らず、操作インターフェイス28がない遠隔操作のみによって操作される、所謂ラジコンカーのような構成としてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
10 車両用操作システム
12 車両
14 車両
16 車両
62 周囲情報取得部(取得部)
72 決定部
86 サーバ制御部(情報提供部)
88 監視部
90 遠隔操作制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7