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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】状態出力回路および電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20230912BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230912BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H01L27/04 H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019168157
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021048435
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 翔
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-142330(JP,A)
【文献】特開2011-055333(JP,A)
【文献】特開昭56-118352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/0175
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置の状態を示す状態信号を出力する状態出力回路であって、
前記状態信号を出力する状態出力端子と、
基準電位が印加される基準電位線と、
前記基準電位より高電位の第1プルアップ電位が印加される第1プルアップ端子と、
前記状態出力端子と前記基準電位線との間に設けられ、前記状態出力端子と前記基準電位線を接続するか否かを、前記状態信号に応じて切り替える接続切替部と、
前記接続切替部と前記状態出力端子との間に設けられた第1保護抵抗と、
前記第1保護抵抗と前記接続切替部との第1接続線を、前記第1プルアップ電位にプルアップするプルアップ部と
を備え
前記電力供給装置の状態に応じて前記接続切替部を制御する制御部と、
前記制御部に電源電力を供給する電源端子と
を更に備え、
前記電源端子と前記第1プルアップ端子が同一の端子である
状態出力回路。
【請求項2】
電力供給装置の状態を示す状態信号を出力する状態出力回路であって、
前記状態信号を出力する状態出力端子と、
基準電位が印加される基準電位線と、
前記基準電位より高電位の第1プルアップ電位が印加される第1プルアップ端子と、
前記状態出力端子と前記基準電位線との間に設けられ、前記状態出力端子と前記基準電位線を接続するか否かを、前記状態信号に応じて切り替える接続切替部と、
前記接続切替部と前記状態出力端子との間に設けられた第1保護抵抗と、
前記第1保護抵抗と前記接続切替部との第1接続線を、前記第1プルアップ電位にプルアップするプルアップ部と、
第2プルアップ電位が印加される第2プルアップ端子
を備え
前記プルアップ部は、前記第1接続線を、前記第1プルアップ電位または前記第2プルアップ電位に応じた電位にプルアップする
状態出力回路。
【請求項3】
前記プルアップ部は、
前記第2プルアップ端子が開放状態の場合には、前記第1接続線を前記第1プルアップ電位に応じた電位にプルアップし、
前記第2プルアップ端子に外部電源が接続された場合には、前記第1接続線を前記第2プルアップ電位に応じた電位にプルアップする
請求項に記載の状態出力回路。
【請求項4】
前記プルアップ部は、
前記第1プルアップ端子および前記第2プルアップ端子と、前記第1接続線との間に設けられ、前記第1プルアップ電位または前記第2プルアップ電位に応じた電位を生成する電位生成MOSFETと、
前記第1プルアップ端子と前記電位生成MOSFETのゲート端子とを接続する第1接続部と、
前記第2プルアップ端子と前記電位生成MOSFETのゲート端子とを接続する第2接続部と
を有し、
前記第2接続部は、前記第2プルアップ端子と前記電位生成MOSFETのゲート端子との間に設けられた第2保護抵抗を含む
請求項またはに記載の状態出力回路。
【請求項5】
前記第2保護抵抗の抵抗値が1kΩ以上である
請求項に記載の状態出力回路。
【請求項6】
前記第1接続部は、
前記第1プルアップ端子と前記基準電位線との間に設けられたクランプダイオードと、
前記クランプダイオードと前記第1プルアップ端子との間に設けられた第1直列抵抗と、
前記第1直列抵抗と前記第1プルアップ端子との間に設けられた第2直列抵抗と
を有し、
前記第1直列抵抗および前記第2直列抵抗の間の第2接続線が、前記電位生成MOSFETのゲート端子に接続されている
請求項またはに記載の状態出力回路。
【請求項7】
前記プルアップ部は、アノードが前記電位生成MOSFETのソース端子に接続され、カソードが前記電位生成MOSFETのゲート端子に接続された第2保護ダイオードを更に有する
請求項からのいずれか一項に記載の状態出力回路。
【請求項8】
電力供給装置の状態を示す状態信号を出力する状態出力回路であって、
前記状態信号を出力する状態出力端子と、
基準電位が印加される基準電位線と、
前記基準電位より高電位の第1プルアップ電位が印加される第1プルアップ端子と、
前記状態出力端子と前記基準電位線との間に設けられ、前記状態出力端子と前記基準電位線を接続するか否かを、前記状態信号に応じて切り替える接続切替部と、
前記接続切替部と前記状態出力端子との間に設けられた第1保護抵抗と、
前記第1保護抵抗と前記接続切替部との第1接続線を、前記第1プルアップ電位にプルアップするプルアップ部と
を備え、
前記電力供給装置の状態に応じて前記接続切替部を制御する制御部と、
前記制御部に電源電力を供給する電源端子と
を更に備え、
前記電源端子と前記第1プルアップ端子が異なる端子であり、
前記第1プルアップ電位は、前記電源端子の電位よりも高い
状態出力回路。
【請求項9】
前記第1保護抵抗の抵抗値が1kΩ以上である
請求項1から8のいずれか一項に記載の状態出力回路。
【請求項10】
前記基準電位線にアノードが接続され、前記第1接続線にカソードが接続された第1保護ダイオードを更に備える
請求項1から9のいずれか一項に記載の状態出力回路。
【請求項11】
前記プルアップ部は、前記第1接続線と前記第1プルアップ端子との間に設けられたプルアップ抵抗を有する
請求項1から10のいずれか一項に記載の状態出力回路。
【請求項12】
前記プルアップ抵抗の抵抗値が10kΩ以上である
請求項11に記載の状態出力回路。
【請求項13】
前記プルアップ抵抗が、ゲート端子とソース端子とが接続されたデプレッション型MOSFETである
請求項11に記載の状態出力回路。
【請求項14】
負荷に電力を供給する電力供給装置であって、
前記電力供給装置の状態を検出する制御部と、
電力供給装置の状態を示す状態信号を出力する、請求項1から13のいずれか一項に記載の状態出力回路と
を備える電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態出力回路および電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷に電力を供給する電力供給装置において、電力供給装置における過電流、過熱等の状態を示す状態信号を出力する構成が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特許文献1 特開2017-5125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電力供給装置においては、状態信号を出力する状態出力端子を保護することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、電力供給装置の状態を示す状態信号を出力する状態出力回路を提供する。状態出力回路は、状態信号を出力する状態出力端子を備えてよい。状態出力回路は、基準電位が印加される基準電位線を備えてよい。状態出力回路は、基準電位より高電位の第1プルアップ電位が印加される第1プルアップ端子を備えてよい。状態出力回路は、状態出力端子と基準電位線との間に設けられ、状態出力端子と基準電位線を接続するか否かを、状態信号に応じて切り替える接続切替部を備えてよい。状態出力回路は、接続切替部と状態出力端子との間に設けられた第1保護抵抗を備えてよい。状態出力回路は、第1保護抵抗と接続切替部との第1接続線を、第1プルアップ電位にプルアップするプルアップ部を備えてよい。
【0005】
第1保護抵抗の抵抗値が1kΩ以上であってよい。
【0006】
状態出力回路は、基準電位線にアノードが接続され、第1接続線にカソードが接続された第1保護ダイオードを備えてよい。
【0007】
プルアップ部は、第1接続線と第1プルアップ端子との間に設けられたプルアップ抵抗を有してよい。
【0008】
プルアップ抵抗の抵抗値が10kΩ以上であってよい。
【0009】
プルアップ抵抗が、ゲート端子とソース端子とが接続されたデプレッション型MOSFETであってよい。
【0010】
状態出力回路は、電力供給装置の状態に応じて接続切替部を制御する制御部を備えてよい。状態出力回路は、制御部に電源電力を供給する電源端子を備えてよい。電源端子と第1プルアップ端子が同一の端子であってよい。電源端子と第1プルアップ端子が異なる端子であってよい。
【0011】
状態出力回路は、第2プルアップ電位が印加される第2プルアップ端子を備えてよい。プルアップ部は、第1接続線を、第1プルアップ電位または第2プルアップ電位に応じた電位にプルアップしてよい。
【0012】
プルアップ部は、第2プルアップ端子が開放状態の場合には、第1接続線を第1プルアップ電位に応じた電位にプルアップしてよい。プルアップ部は、第2プルアップ端子に外部電源が接続された場合には、第1接続線を第2プルアップ電位に応じた電位にプルアップしてよい。
【0013】
プルアップ部は、第1プルアップ端子および第2プルアップ端子と、第1接続線との間に設けられ、第1プルアップ電位または第2プルアップ電位に応じた電位を生成する電位生成MOSFETを有してよい。プルアップ部は、第1プルアップ端子と電位生成MOSFETのゲート端子とを接続する第1接続部を有してよい。プルアップ部は、第2プルアップ端子と電位生成MOSFETのゲート端子とを接続する第2接続部を有してよい。第2接続部は、第2プルアップ端子と電位生成MOSFETのゲート端子との間に設けられた第2保護抵抗を含んでよい。
【0014】
第2保護抵抗の抵抗値が1kΩ以上であってよい。
【0015】
第1接続部は、第1プルアップ端子と基準電位線との間に設けられたクランプダイオードを有してよい。第1接続部は、クランプダイオードと第1プルアップ端子との間に設けられた第1直列抵抗を有してよい。第1接続部は、第1直列抵抗と第1プルアップ端子との間に設けられた第2直列抵抗を有してよい。第1直列抵抗および第2直列抵抗の間の第2接続線が、電位生成MOSFETのゲート端子に接続されていてよい。
【0016】
プルアップ部は、アノードが電位生成MOSFETのソース端子に接続され、カソードが電位生成MOSFETのゲート端子に接続された第2保護ダイオードを有してよい。
【0017】
本発明の第2の態様においては、負荷に電力を供給する電力供給装置を提供する。電力供給装置は、電力供給装置の状態を検出する制御部を備えてよい。電力供給装置は、電力供給装置の状態を示す状態信号を出力する、第1の態様に係る状態出力回路を備えてよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一つの実施形態に係る電力供給装置100の一例を示す図である。
図2】第1比較例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。
図3】第2比較例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。
図4】第3比較例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。
図5】実施例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。
図6】実施例に係る状態出力回路150の他の構成例を示す図である。
図7】実施例に係る状態出力回路150の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る電力供給装置100の一例を示す図である。本例の電力供給装置100は、入力端子101、出力端子102、高電位端子103、基準電位端子104および状態出力端子105を有する半導体チップである。
【0022】
電力供給装置100は、入力端子101に入力される入力信号INに応じて動作して、出力端子102に接続された負荷200に電力を供給する。本例の入力信号INは、負荷200に電力を供給する場合と、供給しない場合とを2値の論理値で示す信号であってよい。
【0023】
高電位端子103には、所定の高電位VCCが印加される。本例の高電位端子103には、高電位VCCを生成する電源110が接続されている。基準電位端子104には、高電位VCCより低い基準電位が印加される。本例の基準電位はグランド電位GNDである。
【0024】
電力供給装置100は、電力供給装置100の内部状態を示す状態信号STを、状態出力端子105から出力する。状態信号STは、例えば過電流等の異常を検出したことを示す信号であってよい。状態出力端子105には、状態信号STを処理する処理装置130が接続されてよい。処理装置130は、電力供給装置100と同一のチップパッケージ内に設けられてよい。処理装置130は、状態信号STを処理する専用の装置であってよく、汎用の装置であってもよい。処理装置130は、状態信号STに応じて、電力供給装置100を制御してよく、他の電力供給装置100を制御してよく、他の装置を制御してもよい。例えば処理装置130は、複数の電力供給装置100に接続されており、いずれかの電力供給装置100において異常が検出された場合に、複数の電力供給装置100からの電力供給を停止させる。また処理装置130は、いずれかの電力供給装置100において異常が検出された場合に、他の装置に警報を発生させてよく、他の装置を停止させてもよい。
【0025】
電力供給装置100は、ドライバ回路10と、出力部12とを備えてよい。出力部12は、出力端子102を介して負荷200に接続され、負荷200に電力を供給する。出力部12は、IGBTまたはパワーMOSFET等のスイッチング素子であってよい。出力部12は、制御端子G(例えばゲート端子)、ソース端子Sおよびドレイン端子Dを有する。本例のドレイン端子Dは高電位端子103に接続され、ソース端子Sは出力端子102に接続される。出力部12は、制御端子Gに入力される制御信号とソース端子Sとの間の電位差に応じて、負荷200に高電位VCCを印加するか否かを切り替える。
【0026】
ドライバ回路10は、入力端子101に入力される入力信号INに応じた制御信号を、出力部12の制御端子Gに入力する。ドライバ回路10には、基準電位GNDを基準とした電位を有する信号が入力される。ドライバ回路10は、基準電位GNDを基準とした信号を、出力部12の出力電位OUTを基準とした制御信号にレベルシフトするレベルシフト回路として機能する。出力電位OUTは、出力部12のソース端子Sの電位であってよい。
【0027】
本例の電力供給装置100は、制御部50を有する。制御部50は、入力信号INに応じた論理値パターンを有する制御信号をドライバ回路10に入力する。制御部50が出力する制御信号は、L論理値の場合に基準電位GNDに応じた電位となり、H論理値の場合に高電位VCCに応じた電位となる。基準電位GNDに応じた電位とは、基準電位GNDにほぼ等しい電位であってよい。高電位VCCに応じた電位とは、高電位VCCにほぼ等しい電位であってよい。
【0028】
本例の制御部50は、電力供給装置100の内部状態に基づいて、ドライバ回路10を制御する。電力供給装置100の内部状態とは、所定のノードにおける電圧値、電流値および抵抗値、ならびに、所定の場所における温度の少なくとも一つのパラメータで示される状態であってよい。本例の電力供給装置100は、それぞれが電力供給装置100の内部状態を監視する、低電圧検出部72、負荷開放検出部56、過電流検出部58および過熱検出部60の少なくとも一つを備える。
【0029】
低電圧検出部72は、高電位端子103の高電位VCCの電圧値を検出する。低電圧検出部72は、高電位VCCの電圧値が所定の基準値を下回った場合に、異常状態である旨を制御部50に通知する。
【0030】
負荷開放検出部56は、出力端子102に負荷200が接続されているか否かを検出する。負荷開放検出部56は、出力端子102が開放状態であるか否かを、出力端子102から所定の電圧または電流を出力した場合の出力抵抗に基づいて検出してよい。負荷開放検出部56は、出力端子102に負荷200が接続されていない状態で、出力部12がオン状態になるのを防ぐべく、負荷200が接続されていないことを検出した場合に異常状態である旨を制御部50に通知する。
【0031】
過電流検出部58は、出力部12から出力される電流を検出する。過電流検出部58は、出力電流値が所定の基準値を上回った場合に、異常状態である旨を制御部50に通知する。
【0032】
過熱検出部60は、電力供給装置100における1つ以上の箇所における温度を検出する。過熱検出部60は、いずれかの箇所における温度が所定の基準値を上回った場合に、異常状態である旨を制御部50に通知する。
【0033】
制御部50は、いずれかの検出部から異常状態である旨が通知された場合に、入力信号INの論理値によらず、出力部12をオフ状態に制御する。電力供給装置100の内部状態に応じて出力部12をオフ状態にすることで、電力供給装置100を保護できる。
【0034】
電力供給装置100は、状態出力回路150を有する。制御部50は、いずれかの検出部から異常状態である旨が通知された場合に、状態出力回路150に所定の論理値の状態信号STを出力させる。本例の状態出力回路150は、状態出力端子105と、基準電位端子104との間に接続されたMOSFETを有してよい。本例の制御部50は、電力供給装置100の内部状態に応じて、当該MOSFETを制御する内部信号ST0を出力する。
【0035】
電力供給装置100は、ダイオード66およびダイオード68の少なくとも一つを有してよい。ダイオード66は、アノードが基準電位端子104に接続され、カソードが高電位端子103に接続される。ダイオード66は、高電位端子103に所定値以上の電圧が入力された場合に、高電位端子103を基準電位端子104に接続することで、電力供給装置100を保護する。
【0036】
ダイオード68は、アノードが基準電位端子104に接続され、カソードが入力端子101に接続される。ダイオード68は、入力端子101に所定値以上の電圧が入力された場合に、入力端子101を基準電位端子104に接続することで、電力供給装置100を保護する。
【0037】
電力供給装置100は、内部電源70を備えてよい。内部電源70は、高電位端子103に接続されている。内部電源70は、高電位VCCに応じて、電力供給装置100における各回路に供給する電源電圧を生成してよい。例えば内部電源70は、各検出部に電源電圧を供給する。
【0038】
図2は、第1比較例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。本例では、電力供給装置100の外側において、プルアップ電源134およびプルアップ抵抗132が設けられている。プルアップ電源134は、プルアップ抵抗132を介して状態出力端子105に接続されている。これにより、状態出力端子105の電位が、プルアップ電源134によりプルアップされる。本例のプルアップ電源134の電位は、高電位VCCよりも低い。
【0039】
状態出力回路150は、状態出力端子105、基準電位線162、高電位線161、接続切替部152、出力抵抗154および保護ダイオード156を有する。基準電位線162は、基準電位GNDが印加される。基準電位線162は、図1に示した基準電位端子104に接続されていてよい。高電位線161は、基準電位GNDよりも高電位の高電位が印加される。本例の高電位線161には、高電位VCCが印加されている。高電位線161は、高電位端子103に接続されていてよい。
【0040】
接続切替部152は、状態出力端子105と基準電位線162との間に設けられる。接続切替部152は、状態出力端子105と基準電位線162とを接続するか否かを、制御部50において異常状態が検出されたか否かに応じて切り替える。本例の接続切替部152は、ソース端子Sが基準電位線162に接続され、ドレイン端子Dが出力抵抗154を介して状態出力端子105に接続されたMOSFETである。接続切替部152のゲート端子Gには、内部信号ST0が入力される。
【0041】
本例では、状態出力端子105から出力される状態信号STは、プルアップ電源134に応じた電位となる。例えば、接続切替部152がオン状態になると、状態出力端子105から出力される状態信号STは、プルアップ電位を、出力抵抗154およびプルアップ抵抗132で分圧した電位となる。また、接続切替部152がオフ状態になると、状態信号STは、プルアップ電位となる。これにより、外部の処理装置130に、電力供給装置100の内部状態を通知できる。
【0042】
出力抵抗154は、状態出力端子105と、接続切替部152との間に設けられる。出力抵抗154は、例えばポリシリコンで形成された抵抗であるが、これに限定されない。出力抵抗154の抵抗値は、10Ωから100Ω程度である。
【0043】
保護ダイオード156は、アノードが状態出力端子105に接続され、カソードが高電位線161に接続される。保護ダイオード156は、状態出力端子105にサージ等の高電位が印加された場合に、状態出力端子105と、高電位端子103とを接続することで、接続切替部152等を保護する。
【0044】
本例の状態出力回路150においては、高電位VCCが例えば0Vのように、プルアップ電源134の電位よりも十分小さくなると、プルアップ電源134から高電位端子103に大きな電流が流れてしまう。このため、状態出力回路150を十分に保護できない。なお、プルアップ電源134が生成するプルアップ電位は、処理装置130の入力電圧の定格等に応じて定められることが好ましい。しかし、プルアップ電源134のプルアップ電位を大きくすると、プルアップ電源134から高電位端子103に電流が流れやすくなってしまう。このため、本例の状態出力回路150は、処理装置130の特性に応じてプルアップ電位を調整することが困難な場合がある。
【0045】
図3は、第2比較例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。本例においても、電力供給装置100の外側において、プルアップ電源134およびプルアップ抵抗132が設けられている。
【0046】
状態出力回路150は、図2に示した状態出力回路150の構成において、保護ダイオード156に代えて保護ダイオード158を有する。保護ダイオード158は、アノードが基準電位線162に接続され、カソードが状態出力端子105に接続される。保護ダイオード158は、状態出力端子105にサージ等の高電位が印加された場合に、状態出力端子105と、基準電位線162とを接続することで、接続切替部152等を保護する。
【0047】
本例の状態出力回路150においては、状態出力端子105が負電位になると、保護ダイオード156を通って、基準電位線162から状態出力端子105に大きな電流が流れてしまう。このため、消費電力が増大してしまう。このため、状態出力回路150を十分に保護できない。また、プルアップ電源134のプルアップ電位を大きくすると、プルアップ電源134から基準電位線162に電流が流れやすくなってしまう。このため、本例の状態出力回路150は、処理装置130の特性に応じてプルアップ電位を調整することが困難な場合がある。
【0048】
図4は、第3比較例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。本例においても、電力供給装置100の外側において、プルアップ電源134およびプルアップ抵抗132が設けられている。
【0049】
状態出力回路150は、図3に示した状態出力回路150の構成において、保護ダイオード158のカソードが、接続切替部152のドレイン端子Dに接続された構造である。本例によれば、状態出力端子105と保護ダイオード158との間に出力抵抗154が設けられている。このため、状態出力端子105が負電位になった場合に、基準電位線162から状態出力端子105に流れる電流を抑制できる。
【0050】
しかし、出力抵抗154の抵抗値は10Ωから100Ω程度なので、電力抑制の効果は小さい。出力抵抗154の抵抗値を大きくすれば、電力抑制の効果を高めることができる。しかし、状態信号STがL論理値の場合の状態出力端子105の電位は、プルアップ抵抗132と出力抵抗154との分圧比で定まるので、出力抵抗154の抵抗値を大きくすると当該電位が上昇してしまい、H論理値とL論理値の電位差が小さくなる。
【0051】
図5は、実施例に係る状態出力回路150の構成例を示す図である。本例の状態出力回路150は、高電位線161、基準電位線162、状態出力端子105、接続切替部152、第1プルアップ端子、第1保護抵抗160、第1接続線163、プルアップ部170および第1保護ダイオード159を備える。高電位線161、基準電位線162、状態出力端子105、接続切替部152および第1保護ダイオード159は、図4に示した高電位線161、基準電位線162、状態出力端子105、接続切替部152および保護ダイオード158と同一である。
【0052】
第1プルアップ端子には、基準電位GNDよりも高電位の第1プルアップ電位が印加される。本例の第1プルアップ端子は高電位端子103であり、第1プルアップ電位は高電位VCCである。
【0053】
第1保護抵抗160は、接続切替部152と、状態出力端子105との間に設けられている。第1保護抵抗160の抵抗値は、図4における出力抵抗154の抵抗値よりも大きい。これにより、状態出力端子105に流れる電流を抑制できる。第1保護抵抗160の抵抗値は、1kΩ以上であってよい。第1保護抵抗160の抵抗値は、5kΩ以上であってよく、10kΩ以上であってよく、20kΩ以上であってもよい。
【0054】
第1保護抵抗160は、例えばポリシリコン等で形成された抵抗である。他の例では、第1保護抵抗160は、ゲート端子とソース端子とが接続されたデプレッション型のMOSFETであってもよい。
【0055】
第1接続線163は、第1保護抵抗160と、接続切替部152とを接続する配線である。本例の第1接続線163は、接続切替部152のMOSFETのドレイン端子に接続されている。
【0056】
プルアップ部170は、第1接続線163を、第1プルアップ電位(本例では高電位VCC)にプルアップする。本例のプルアップ部170は、第1プルアップ端子(本例では高電位端子103)と、第1接続線163との間に設けられたプルアップ抵抗172を有する。プルアップ抵抗172は、第1保護抵抗160よりも抵抗値が高い抵抗であってよい。プルアップ抵抗172の抵抗値は、10kΩ以上であってよく、50kΩ以上であってよく、100kΩ以上であってもよい。
【0057】
本例のプルアップ抵抗172は、ソース端子Sとゲート端子Gが接続され、ドレイン端子Dが高電位線161に接続され、ソース端子Sが第1接続線163に接続されたデプレッション型のMOSFETである。他の例では、プルアップ抵抗172は、ポリシリコン等で形成された抵抗であってもよい。
【0058】
プルアップ部170を、第1接続線163と第1プルアップ端子との間に設けることで、第1保護抵抗160の抵抗値を大きくしても、状態信号STがL論理値のときの状態出力端子105の電位上昇を抑制できる。また、高電位VCCが0V近傍になった場合でも、状態出力端子105には、外部から大きな電流が供給されない。また、抵抗値の大きいプルアップ抵抗172を用いることで、高電位VCCが0V近傍になった場合に基準電位線162から第1保護ダイオード159を通って高電位線161に流れる電流を抑制できる。
【0059】
第1保護ダイオード159は、基準電位線162にアノードが接続され、第1接続線163にカソードが接続されている。第1保護ダイオード159を設けることで、状態信号STの電位をクランプでき、処理装置130を保護できる。
【0060】
本例では、高電位端子103は、制御部50に電源電力を供給する電源端子として機能する。つまり、制御部50の電源端子と、第1プルアップ端子とが同一の端子である。これにより、電力供給装置100の端子数を抑制できる。
【0061】
図6は、実施例に係る状態出力回路150の他の構成例を示す図である。本例の状態出力回路150は、プルアップ端子106を有する。本例の状態出力回路150は、図5に示した構成において、高電位端子103に代えてプルアップ端子106を用いている。本例のプルアップ端子106は、第1プルアップ端子の一例である。プルアップ端子106以外の構造は、図5に示した例と同一である。プルアップ端子106は、制御部50の電源端子である高電位端子103とは異なる端子である。本例のプルアップ端子106は、電力供給装置100の端子である。
【0062】
プルアップ端子106には、高電位端子103に接続される電源とは異なる電源が接続される。つまり、高電位VCCとは独立して、任意の第1プルアップ電位Vpを設定できる。例えば、処理装置130の特性に応じた第1プルアップ電位Vpを設定できる。第1プルアップ電位Vpは、高電位VCCより高くてよい。本例の第1プルアップ電位Vpは、正の電位である。
【0063】
図7は、実施例に係る状態出力回路150の他の構成例を示す図である。本例の状態出力回路150は、第1プルアップ電位が印加される第1プルアップ端子と、第2プルアップ電位が印加される第2プルアップ端子とを有する。プルアップ部170は、第1接続線163を、第1プルアップ電位または第2プルアップ電位に応じた電位にプルアップする。なお、プルアップ電位に応じた電位とは、当該プルアップ電位が変動した場合に追従して変動する電位である。
【0064】
本例においては、第1プルアップ端子は高電位端子103であり、第1プルアップ電位は高電位VCCである。つまり、第1プルアップ端子は、制御部50の電源端子と同一の端子である。また第2プルアップ端子はプルアップ端子106であり、第2プルアップ電位はプルアップ電位Vpである。
【0065】
本例のプルアップ部170は、プルアップ端子106が開放状態の場合、つまり、プルアップ端子106に外部電源が接続されていない場合、第1接続線163を第1プルアップ電位VCCに応じた電位にプルアップする。プルアップ端子106に外部電源が接続された場合には、第1接続線163を第2プルアップ電位Vpに応じた電位にプルアップする。プルアップ部170は、プルアップ端子106に外部電源が接続された場合には、第1接続線163を、第2プルアップ電位Vpおよび第1プルアップ電位VCCにより定まる電位にプルアップしてもよい。
【0066】
本例のプルアップ部170は、第1接続部181、第2接続部182、第2接続線185、電位生成MOSFET174、第2保護ダイオード176およびプルアップ抵抗172を有する。プルアップ抵抗172は、図6に示したプルアップ抵抗172と同一である。つまり、プルアップ抵抗172は、第1接続線163と、高電位線161との間に配置されている。本例の高電位線161は、電位生成MOSFETおよび第1接続部181を介して高電位端子103に接続されており、電位生成MOSFETおよび第2接続部182を介してプルアップ端子106に接続されている。
【0067】
電位生成MOSFET174は、高電位端子103およびプルアップ端子106と、第1接続線163との間に設けられている。電位生成MOSFET174は、第1プルアップ電位VCCまたは第2プルアップ電位Vpに応じた電位を生成する。電位生成MOSFET174のドレイン端子Dは、第1接続部181を介して高電位端子103に接続されている。電位生成MOSFET174のソース端子Sは高電位線161に接続されている。電位生成MOSFET174のゲート端子Gは、第1接続部181を介して高電位端子103に接続され、第2接続部182を介してプルアップ端子106に接続されている。
【0068】
第1接続部181は、第1直列抵抗184、第2直列抵抗183およびクランプダイオード186を有する。クランプダイオード186は、高電位端子103と基準電位線162との間に設けられている。本例のクランプダイオード186は、アノードが基準電位線162に接続され、カソードが第1直列抵抗184に接続されている。
【0069】
第1直列抵抗184は、クランプダイオード186と高電位端子103との間に設けられている。本例の第1直列抵抗184は、ゲート端子Gとソース端子Sが接続されたデプレッション型MOSFETである。第1直列抵抗184のソース端子Sはクランプダイオード186に接続され、ドレイン端子Dは第2直列抵抗183に接続されている。
【0070】
第2直列抵抗183は、第1直列抵抗184と高電位端子103との間に設けられている。本例の第2直列抵抗183は、ゲート端子Gとソース端子Sが接続されたデプレッション型MOSFETである。第2直列抵抗183のソース端子Sは第1直列抵抗184に接続され、ドレイン端子Dは高電位端子103に接続されている。また、高電位端子103と第2直列抵抗183との間の配線に、電位生成MOSFET174のドレイン端子Dが接続されている。
【0071】
第2接続線185は、第1直列抵抗184と第2直列抵抗183とを接続する配線である。第2接続線185は、電位生成MOSFETのゲート端子Gに接続されている。第1直列抵抗184に流すことができるドレイン電流は、第2直列抵抗183に流すことができるドレイン電流よりも大きくてよい。つまり、第1直列抵抗184のチャネル面積は、第2直列抵抗183のチャネル面積よりも大きい。チャネル面積とは、それぞれのMOSFETにおけるチャネルの、ドレイン電流Idが流れる方向とは垂直な面における面積である。他の例では、第1直列抵抗184および第2直列抵抗183は、ポリシリコン等で形成された抵抗であってもよい。第1直列抵抗184の抵抗値は、第2直列抵抗183の抵抗値よりも小さくてよい。これにより、第2プルアップ電位Vpとして過大な電圧が印加された場合に、プルアップ端子106から基準電位線162に電流を流し、プルアップ端子106から高電位端子103に流れる電流を抑制できる。
【0072】
第2接続部182は、プルアップ端子106と、電位生成MOSFET174のゲート端子Gとの間に設けられた第2保護抵抗187を有してよい。第2保護抵抗187の抵抗値は、1kΩ以上であってよく、5kΩ以上であってよく、10kΩ以上であってよく、20kΩ以上であってもよい。第2保護抵抗187の抵抗値は、第1保護抵抗160の抵抗値と同一であってもよい。
【0073】
第2保護ダイオード176は、アノードが電位生成MOSFET174のソース端子Sに接続され、カソードが電位生成MOSFET174のゲート端子Gに接続されている。第2保護ダイオード176により、電位生成MOSFET174のゲート・ソース間に過大な電圧が印加されるのを抑制できる。
【0074】
プルアップ端子106が開放状態の場合、第2接続線185の電位は、クランプダイオード186におけるクランプ電圧に応じた電位になる。図7においては、クランプ電圧をVzとし、電位生成MOSFET174の閾値電圧をVthとする。電位Vzは、電位生成MOSFET174の閾値電圧Vthより高直列抵抗い。電位生成MOSFET174がオン状態となると、高電位線161の電位は、Vz-Vthとなる。このため、第1接続線163を、第1プルアップ電位VCCに応じた電位にプルアップできる。本例の電位生成MOSFET174の閾値電圧は1V程度である。
【0075】
プルアップ端子106に第2プルアップ電位Vpが印加されると、第2接続線185の電位は、第2プルアップ電位Vpから、第2保護抵抗187における電圧降下Vrを減じた電位となる。プルアップ端子106から高電位端子103には、第2保護抵抗187および第2直列抵抗183を介して電流が流れる。例えば第2保護抵抗187における抵抗が10kΩであり、電流が15μAの場合、第2保護抵抗187における電圧降下Vrは0.15Vである。電位生成MOSFET174がオン状態となると、高電位線161の電位は、Vp-Vr-Vthとなる。このため、第1接続線163を、第2プルアップ電位Vpに応じた電位にプルアップできる。
【0076】
このような構成により、外部電源がプルアップ端子106に接続されていない場合には第1プルアップ電位VCCに応じて第1接続線163をプルアップできる。また、外部電源がプルアップ端子106に接続された場合には第2プルアップ電位Vpに応じて第1接続線163をプルアップできる。このため、多様な電位の状態信号STを生成でき、多様な特性の処理装置130に対応できる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0078】
10・・・ドライバ回路、12・・・出力部、50・・・制御部、56・・・負荷開放検出部、58・・・過電流検出部、60・・・過熱検出部、66、68・・・ダイオード、70・・・内部電源、72・・・低電圧検出部、100・・・電力供給装置、101・・・入力端子、102・・・出力端子、103・・・高電位端子、104・・・基準電位端子、105・・・状態出力端子、106・・・プルアップ端子、110・・・電源、130・・・処理装置、132・・・プルアップ抵抗、134・・・プルアップ電源、150・・・状態出力回路、152・・・接続切替部、154・・・出力抵抗、156・・・ダイオード、158・・・ダイオード、159・・・第1保護ダイオード、160・・・第1保護抵抗、161・・・高電位線、162・・・基準電位線、163・・・第1接続線、170・・・プルアップ部、172・・・プルアップ抵抗、174・・・電位生成MOSFET、176・・・第2保護ダイオード、181・・・第1接続部、182・・・第2接続部、183・・・第2直列抵抗、184・・・第1直列抵抗、185・・・第2接続線、186・・・クランプダイオード、187・・・第2保護抵抗、200・・・負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7