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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230912BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20230912BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 512
G03G21/18 178
G03G15/02 102
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019178770
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056354
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】京谷 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】三村 千栄子
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045114(JP,A)
【文献】特開2018-151517(JP,A)
【文献】特開2006-030929(JP,A)
【文献】特開2019-012233(JP,A)
【文献】特開2009-053422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0269325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/18
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電器と、
ドラムカートリッジの寿命に関する寿命カウント情報と、過去に発生した前記帯電器の異常放電に関する放電履歴情報と、を記憶するドラムメモリと、
を有するドラムカートリッジと、
印刷処理の実行、および印刷処理の停止を可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記帯電器に電圧を印加する電圧印加回路と、
前記電圧印加回路の電流値に基づいて異常放電の発生を検知する異常放電検知回路
を有し、
前記制御部は、前記異常放電検知回路が前記異常放電の発生を検知した場合、
前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報が第1基準値以上であり、かつ、前記ドラムメモリから読み出した前記放電履歴情報に含まれる前記異常放電の回数が所定の閾値以上である場合には、印刷処理を停止させ、
前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報が前記第1基準値以上であり、かつ、前記ドラムメモリから読み出した前記放電履歴情報に含まれる前記異常放電の回数が前記所定の閾値以上でない場合には、印刷処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記ドラムメモリは、過去に異常放電が発生したことと、異常放電が発生したときの前記ドラムカートリッジの前記寿命カウント情報と、を前記放電履歴情報として記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置は、
ディスプレイ
をさらに備え、
前記制御部は、
前記異常放電検知回路が前記異常放電の発生を検知した場合、前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報と、前記ドラムメモリから読み出した前記放電履歴情報に含まれる前回異常放電が発生したときにおける前記寿命カウント情報と、の差が所定値よりも小さいか否かを判定する放電間隔判定処理と、
前記差が所定値よりも小さいと判定された場合に、前記ディスプレイに、前記帯電器のクリーニングを促すメッセージを表示するクリーニング要求表示処理と、
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記差が所定値以上であると判定された場合に、異常放電が発生したことと、異常放電が発生したときの前記寿命カウント情報と、を前記放電履歴情報として前記ドラムメモリに記憶する放電履歴情報更新処理
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記放電履歴情報更新処理が実行された場合に、
前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が第1閾値以上か否かを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第2基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が第1閾値以上であると前記制御部により判定された場合に、前記ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止する印刷停止処理と、
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記第1判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が前記第1閾値以上ではないと判定された場合に、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が第2閾値以上か否を判定する第2判定処理と、
前記第2判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと制御部により判断された以降に異常放電が生じた回数が前記第2閾値以上であると前記制御部により判定された場合に、前記ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止する印刷停止処理と、
を実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置であって、
前記第2基準値は、前記第1基準値よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記第2判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと制御部により判断された以降に異常放電が生じた回数が第2閾値以上ではないと前記制御部により判定された場合に、前記クリーニング要求表示処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記寿命カウント情報は、前記感光体ドラムの累積回転数、前記感光体ドラムを用いての累積印刷枚数、および前記感光体ドラムを用いての累積出力ドット数の、少なくともいずれかであることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置は、装置本体と、装置本体に対して着脱可能なドラムカートリッジとを有する。装置本体と、ドラムカートリッジとを有する従来の画像形成装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、装置本体内に制御部が備えられる。そして、制御部は、ドラムカウンタと、寿命判定手段とを有する。ドラムカウンタは、感光ドラムの回転数をカウントする。寿命判定手段は、ドラムカウンタがカウントした感光ドラムの回転数が感光ドラム寿命値に達した場合に、感光ドラムが寿命であると判定する。特許文献1に記載の画像形成装置では、このように、装置本体が備える制御部によって、ドラムカートリッジ(感光ドラム)の寿命を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-50601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような画像形成装置では、ドラムカートリッジが帯電器を備える場合、帯電器の異常放電の有無が考慮されていない。このため、異常放電が発生したドラムカートリッジが、他の画像形成装置の装置本体に装着して用いられた場合に、ドラムカートリッジを適切に管理できない。
【0006】
本開示は、他の画像形成装置の装置本体に装着して用いられて異常放電が発生したドラムカートリッジが、画像形成装置の装置本体に装着されても、ドラムカートリッジを適切に管理することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1の観点によれば、ドラムカートリッジと、制御部とを備える画像形成装置が提供される。前記ドラムカートリッジは、感光体ドラムと、帯電器と、ドラムメモリとを有する。前記帯電器は、前記感光体ドラムの表面を帯電させる。前記ドラムメモリは、ドラムカートリッジの寿命に関する寿命カウント情報と、過去に発生した前記帯電器の異常放電に関する放電履歴情報と、を記憶する。前記制御部は、印刷処理の実行、および印刷処理の停止を可能である。前記制御部は、前記帯電器に電圧を印加する電圧印加回路と、前記電圧印加回路の電流値に基づいて異常放電の発生を検知する異常放電検知回路を有する。前記制御部は、前記異常放電検知回路が前記異常放電の発生を検知した場合、前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報が第1基準値以上であり、かつ、前記ドラムメモリから読み出した前記放電履歴情報に含まれる前記異常放電の回数が所定の閾値以上である場合には、印刷処理を停止させる。また、前記制御部は、前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報が前記第1基準値以上であり、かつ、前記ドラムメモリから読み出した前記放電履歴情報に含まれる前記異常放電の回数が前記所定の閾値以上でない場合には、印刷処理を実行する。
【0008】
本願の第2の観点では、第1の観点の画像形成装置において、前記ドラムメモリは、過去に異常放電が発生したことと、異常放電が発生したときの前記ドラムカートリッジの前記寿命カウント情報と、を前記放電履歴情報として記憶する。
【0009】
本願の第3の観点では、第2の観点の画像形成装置において、ディスプレイをさらに備える。前記制御部は、放電間隔判定処理と、クリーニング要求表示処理とを実行可能である。前記放電間隔判定処理では、前記異常放電検知回路が前記異常放電の発生を検知した場合、前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報と、前記ドラムメモリから読み出した前記放電履歴情報に含まれる前回異常放電が発生したときにおける前記寿命カウント情報と、の差が所定値よりも小さいか否かを判定する。前記クリーニング要求表示処理は、前記差が所定値よりも小さいと判定された場合に、前記ディスプレイに、前記帯電器のクリーニングを促すメッセージを表示する。
【0010】
本願の第4の観点では、第3の観点の画像形成装置において、前記制御部は、放電履歴情報更新処理を実行可能である。前記放電履歴情報更新処理では、前記差が所定値以上であると判定された場合に、異常放電が発生したことと、異常放電が発生したときの前記寿命カウント情報と、を前記放電履歴情報として前記ドラムメモリに記憶する。
【0011】
本願の第5の観点では、第4の観点の画像形成装置において、前記制御部は、前記放電履歴情報更新処理が実行された場合に、第1判定処理と、印刷停止処理とを実行可能である。前記第1判定処理では、前記ドラムメモリから読み出した前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が第1閾値以上か否かを判定する。前記印刷停止処理では、前記第1判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第2基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が第1閾値以上であると前記制御部により判定された場合に、前記ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止する。
【0012】
本願の第6の観点では、第5の観点の画像形成装置において、前記制御部は、第2判定処理と、印刷停止処理とを実行可能である。前記第2判定処理では、前記第1判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が前記第1閾値以上ではないと判定された場合に、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと前記制御部により判断された以降に異常放電が生じたと前記異常放電検知回路により検出された回数が第2閾値以上か否を判定する。前記印刷停止処理では、前記第2判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと制御部により判断された以降に異常放電が生じた回数が前記第2閾値以上であると前記制御部により判定された場合に、前記ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止する。
【0013】
本願の第7の観点では、第6の観点の画像形成装置において、前記第2基準値は、前記第1基準値よりも大きい。
【0014】
本願の第8の観点では、第6の観点または第7の観点の画像形成装置において、前記制御部は、前記第2判定処理の判定の結果、前記寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと制御部により判断された以降に異常放電が生じた回数が第2閾値以上ではないと前記制御部により判定された場合に、前記クリーニング要求表示処理を実行する。
【0015】
本願の第9の観点では、第1の観点から第8の観点のいずれか1つの画像形成装置において、前記寿命カウント情報は、、前記感光体ドラムの累積回転数、前記感光体ドラムを用いての累積印刷枚数、および前記感光体ドラムを用いての累積出力ドット数の、少なくともいずれかである。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1の観点~第9の観点によれば、他の画像形成装置の装置本体に装着して用いられて異常放電が発生したドラムカートリッジが、画像形成装置の装置本体に装着されても、ドラムカートリッジを適切に管理することができる。
【0017】
本願の第1の観点によれば、ドラムカートリッジが寿命に到達しても、放電履歴情報が所定の条件を満たさない限りは、継続して印刷処理を続けることが可能となる。また、制御部は、ドラムメモリが記憶する寿命カウント情報や放電履歴情報を読み出して、それに応じて、ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止する。その結果、他の画像形成装置で用いられたドラムカートリッジが装着されても、ドラムカートリッジを適切に管理できる。
【0018】
本願の第3の観点によれば、今回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、前回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報との差が所定値よりも小さい場合、帯電器のクリーニングが行われていないか、行われたにしても十分ではなかった可能性が高い。このような場合に、ユーザに、帯電器のクリーニングを促すことができる。
【0019】
本願の第4の観点によれば、今回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、前回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報との差が所定値以上である場合、ユーザによるクリーニングが不十分なまま電源ONやカバーの開閉動作が行われたのではなく、今回新たに生じた異常放電である可能性が高い。このような場合、この異常放電に関する情報を、放電履歴情報としてドラムメモリに記憶させることにより、ドラムカートリッジを適切に管理することができる。
【0020】
本願の第5の観点によれば、ドラムカートリッジの寿命カウント情報が第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている状況下で、異常放電が第1閾値以上の回数にわたって生じた場合に、ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止させることができる。よって、ドラムカートリッジを適切に管理できる。
【0021】
本願の第6の観点によれば、ドラムカートリッジの寿命カウント情報が第1基準値よりも大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている状況下で、異常放電が第2閾値以上の回数にわたって生じた場合に、ドラムカートリッジを用いた印刷処理を停止させることができる。よって、ドラムカートリッジを適切に管理できる。
【0022】
本願の第7の観点によれば、ドラムカートリッジの寿命カウント情報が第1基準値よりも大幅に大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている場合には、より少ない回数の異常放電が生じたときに印刷処理を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】画像形成装置の概要図である。
図2】画像形成装置の電気的な構成を示したブロック図である。
図3】電源がONの状態でカバーが開閉されたときに、制御部が実行する処理の流れを示したフローチャートである。
図4】制御部が実行するドラムメモリ内の情報ラッチ処理の流れを示したフローチャートである。
図5】エラー発生時に制御部が実行する処理の流れを示したフローチャートである。
図6図5の処理の続きを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.実施形態>
<1-1.画像形成装置の構成について>
図1は、画像形成装置100の概略図である。画像形成装置100は、電子写真方式のプリンタである。画像形成装置100の例としては、レーザープリンタ、またはLEDプリンタが挙げられる。図1に示すように、画像形成装置100は、ケーシング10、4つのトナーカートリッジ20、ドラムカートリッジ30、制御部80、およびディスプレイ90を備える。
【0026】
ケーシング10は、箱状の本体フレーム11と、カバー12とを有する。4つのトナーカートリッジ20、ドラムカートリッジ30、および制御部80は、ケーシング10の本体フレーム11の内部空間に収容される。また、ディスプレイ90は、本体フレーム11の外表面に位置する。本体フレーム11は、開口を有する。カバー12は、図1中に二点鎖線で示した閉鎖位置と、実線で示した開放位置との間で、回動可能である。カバー12が閉鎖位置に配置されたときには、本体フレーム11の開口が、カバー12により覆われる。カバー12が開放位置に配置されたときには、本体フレーム11の開口が開放される。
【0027】
トナーカートリッジ20は、ドラムカートリッジ30に着脱可能である。トナーカートリッジ20は、現像剤であるトナーを収容可能な筐体を有する。4つのトナーカートリッジ20は、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のトナーを収容する。また、本実施形態のトナーカートリッジ20は、現像ローラ21を有する。現像ローラ21は、現像軸に沿って延びる円筒状の部材である。現像ローラ21は、現像軸について回転可能である。また、トナーカートリッジ20は、トナーメモリ22を有する。トナーメモリ22は、情報の読み出しおよび書き込みが可能な記憶媒体である。トナーメモリ22は、例えば、フラッシュROMまたはEEPROMである。トナーメモリ22には、例えば、個々のトナーカートリッジ20を識別可能なトナー識別情報と、トナーカートリッジ20の寿命を示すトナー寿命情報とが、記憶されている。
【0028】
ドラムカートリッジ30は、本体フレーム11に対して着脱可能である。ドラムカートリッジ30は、4つのトナーカートリッジ20に対応する4つのスロット34を有する。各スロット34には、4つのトナーカートリッジ20のうちのいずれか1つが挿入される。
【0029】
ドラムカートリッジ30は、4つの感光体ドラム31と、4つの帯電器32と、ドラムメモリ33とを有する。
【0030】
感光体ドラム31は、スロット34ごとに設けられる。感光体ドラム31は、トナーカートリッジ20から供給されるトナーを、印刷用紙に転写する。感光体ドラム31は、ドラム軸に沿って延びる円筒状である。感光体ドラム31は、ドラム軸について回転可能である。ドラムカートリッジ30にトナーカートリッジ20が装着されると、感光体ドラム31の外周面は、現像ローラ21の外周面と接触する。
【0031】
帯電器32は、スロット34ごとに設けられる。帯電器32は、感光体ドラム31の外周面を帯電させる装置である。本実施形態の帯電器32は、ワイヤーとグリッドとを有するストロコロン型の帯電器である。なお、後述する「印加電圧」は、ワイヤーおよびグリッドに印加される電圧である。後述する「検出電圧」は、ワイヤーおよびグリッドへの印加電圧の印加により、ワイヤーから検出される電圧である。ただし、帯電器32は、ストロコロン型の帯電器に代えて、帯電ローラ等の他の方式の帯電器としてもよい。
【0032】
ドラムメモリ33は、ドラムカートリッジ30に関する情報を記憶している。具体的には、ドラムメモリ33は、個々のドラムカートリッジ30を識別可能なドラム識別情報と、ドラムカートリッジ30の寿命に関する寿命カウント情報と、過去に発生した帯電器32の異常放電に関する放電履歴情報と、を少なくとも記憶している。ドラム識別情報は、例えば、シリアルナンバーである。ドラム寿命情報は、感光体ドラム31の累積回転数、感光体ドラム31を用いての累積印刷枚数、および感光体ドラム31を用いての累積出力ドット数の少なくともいずれかである。本実施形態では、これらの3つの情報が寿命カウント情報としてドラムメモリ33に記憶されている。
【0033】
なお、感光体ドラム31の累積回転数は、ドラム識別情報により特定される1つのドラムカートリッジ30において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される回転数である。また、感光体ドラム31を用いての累積印刷枚数は、ドラム識別情報により特定される1つのドラムカートリッジ30において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される印刷枚数である。また、感光体ドラム31を用いての累積出力ドット数は、ドラム識別情報により特定される1つのドラムカートリッジ30において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される出力ドット数である。
【0034】
放電履歴情報は、後述する異常放電検知回路84により異常放電の発生が検知された場合に、ドラムメモリ33に記憶される情報である。放電履歴情報には、異常放電が発生したことと、異常放電が発生したときのドラムカートリッジ30の寿命カウント情報と、が対応付けられた状態で、記憶されている。
【0035】
制御部80は、CPU等のプロセッサ81と、本体メモリ82と、電圧印加回路83と、異常放電検知回路84と、を有する。本体メモリ82は、情報の読み出しおよび書き込みが可能な記憶媒体である。本体メモリ82は、例えばフラッシュROMまたはEEPROMである。なお、本体メモリ82は、制御部80上に位置していても、あるいは制御部80の外部に位置していても、いずれであってもよい。
【0036】
本体メモリ82は、画像形成装置100の動作を制御するためのコンピュータプログラムを記憶している。プロセッサ81は、本体メモリ82に記憶されたコンピュータプログラムに従って、種々の処理を実行する。プロセッサ81は、後述するラッチ処理、放電間隔判定処理、放電履歴情報更新処理、第1判定処理、第2判定処理、クリーニング要求表示処理、ドラム交換要求表示処理、および印刷停止処理を実行可能である。
【0037】
電圧印加回路83は、帯電器32のワイヤーおよびグリッドへ印加電圧を印加する。異常放電検知回路84は、電圧印加回路83のトランスに流れる電流値に基づいて、異常放電の発生を検知する。具体的には、異常放電検知回路84は、ワイヤーおよびグリッドに電圧を印加している電圧印加回路83のトランスに、閾値以上の電流値の過電流が流れると、異常放電が発生したとして検知する。ここで、異常放電とは、通常の放電であるコロナ放電とは異なる、火花放電等の異常な放電である。
【0038】
ディスプレイ90は、制御部80から受信する表示用データに基づいて、画像形成装置100の動作、およびエラー(警告)等に関する情報を表示する。ディスプレイ90は、制御部80に電気的に接続される。
【0039】
図2は、トナーカートリッジ20が装着された状態のドラムカートリッジ30が本体フレーム11に装着されたときの、制御部80と、ドラムメモリ33およびトナーメモリ22との電気的接続を示している。また、図2は、制御部80とディスプレイ90との接続も示している。トナーカートリッジ20が装着された状態のドラムカートリッジ30が本体フレーム11に装着されると、ドラムメモリ33は、図示を省略したコネクタや配線を介して、制御部80と電気的に接続される。これにより、プロセッサ81は、ドラムメモリ33からの情報の読み出しおよびドラムメモリ33への情報の書き込みが可能となる。また、トナーカートリッジ20が装着された状態のドラムカートリッジ30が本体フレーム11に装着されると、トナーメモリ22も制御部80と電気的に接続される。これにより、プロセッサ81は、トナーメモリ22からの情報の読み出しおよびトナーメモリ22への情報の書き込みが可能となる。
【0040】
制御部80は、印刷処理の実行時に、図示を省略したモータを駆動させる。感光体ドラム31および現像ローラ21は、このモータの駆動力によって、回転する。また、制御部80は、帯電器32に電圧を印加する。これにより、感光体ドラム31の表面が帯電する。さらに、制御部80は、図示を省略した光源ユニットの光源を発光させる。光源の光は、感光体ドラム31の外周面に照射される。これにより、印刷すべき画像の静電潜像が、感光体ドラム31の外周面に形成される。トナーカートリッジ20のトナーは、現像ローラ21を介して、感光体ドラム31の静電潜像上に供給される。これにより、トナー像が、感光体ドラム31の外周面に形成される。その後、印刷用紙が、感光体ドラム31と転写ベルト(図示省略)との間へ搬送される。これにより、感光体ドラム31の外周面から印刷用紙へ、トナー像が転写される。印刷用紙にトナー像が転写された状態で、印刷用紙は、画像形成装置100内の定着ユニットに搬送される。これにより、印刷用紙に転写されたトナー像が、印刷用紙上に熱定着される。その結果、印刷用紙に画像が印刷される。
【0041】
<1-2.電源ONおよびカバー開閉時の処理について>
続いて、画像形成装置100の電源がONの状態でカバー12が開閉されたときに、制御部80が実行する処理について、図3および図4を参照して説明する。
【0042】
図3は、制御部80が実行する印刷処理の起動の過程をフローチャートで示している。図3に示すように、制御部80は、画像形成装置100の電源がONとされたか否かの判定(ステップS1)、および、ケーシング10のカバー12の開閉操作があったか否かの判定(ステップS2)を行う。
【0043】
そして、制御部80は、画像形成装置100の電源がONの状態のときに(ステップS1:yes)、ケーシング10のカバー12開放位置から閉鎖位置へ回動した(ステップS2:yes)と判定した場合に、次の処理であるドラムメモリ33内の情報のラッチ処理(ステップS3)へと移行する。ラッチ処理では、制御部80が、ドラムメモリ33に記憶された情報を、順次に読み出す。制御部80は、ドラムメモリ33内の情報のラッチ処理(ステップS3)が終了したら、続いて、後述する使用不許可フラグがONであるか否かの判定(ステップS4)を行う。なお、使用不許可フラグは、後述のステップS49またはS52において、ドラムメモリ33に記憶される情報である。
【0044】
制御部80が使用不許可フラグがONであるか否か(ステップS4)の判定をした結果、使用不許可フラグがONであると判定した場合(ステップS4:yes)、制御部80は画像形成装置100を“not Ready”(印刷処理の停止)の状態とする。すなわち、制御部80は、画像形成装置100を、印刷要求(ジョブ)を受け付けない状態とする。
【0045】
一方、制御部80が使用不許可フラグがONであるか否か(ステップS4)の判定をした結果、使用不許可フラグがOFFであると判定した場合(ステップS4:no)、制御部80は画像形成装置100を“Ready”(動作要求待ち)の状態とする。すなわち、制御部80は、画像形成装置100を印刷要求待ちの状態にして、画像形成装置100を待機させる。
【0046】
<1-3.ドラムメモリ内の情報のラッチ処理について>
次に、制御部80が実行するドラムメモリ33内の情報のラッチ処理(ステップS3)について、図4を参照してより詳細に説明する。図4は、制御部80が実行するドラムメモリ33内の情報のラッチ処理をフローチャートで示している。
【0047】
図4に示すように、ドラムメモリ33内の情報のラッチ処理が開始されると、制御部80は、まず始めに、感光体ドラム31を用いての累積印刷枚数を、ドラムメモリ33から読み出す(ステップS31)。続いて、制御部80は、感光体ドラム31の累積回転数(ドラム回転数)を、ドラムメモリ33から読み出す(ステップS32)。続いて、制御部80は、帯電器32の放電履歴情報を、ドラムメモリ33から読み出す(ステップS33)。その後、制御部80は使用不許可フラグがONであるか或いはOFFであるかについての情報を、ドラムメモリ33から読み出す(ステップS34)。
【0048】
本実施形態の画像形成装置100では、上述のように、ドラムメモリ33から読み出した使用不許可フラグがONであるか或いはOFFであるかについての情報に基づいて、制御部80が、印刷処理の実行および停止を切り替えることが可能である。
【0049】
<1-4.エラー発生時の処理について>
続いて、制御部80が、エラーが発生したことを検知した場合に実行する処理の流れについて、図5および図6を参照して詳細に説明する。図5および図6は、制御部80が、エラーが発生したことを検知した場合に実行する処理をフローチャートで示している。
【0050】
制御部80に電気的に接続されるセンサ等の信号に基づいて、制御部80が何等かのエラーが発生したことを検知すると、制御部80は、上述のモータを停止させて、画像形成装置100の印刷処理を停止させる(ステップS41)。
【0051】
制御部80は、印刷処理を停止させた場合、異常放電検知回路84の検出結果に基づいて、発生したエラーが異常放電であるか否かの判定をする(ステップS42)。具体的には、異常放電検知回路84は、電圧印加回路83のトランスに流れる電流値が閾値を超えた場合、異常放電の発生を検知する。制御部80は、異常放電検知回路84が異常放電を検出している場合には、発生したエラーが異常放電であると判定する。制御部80は、異常放電検知回路84が異常放電を検出していない場合には、発生したエラーが異常放電以外のエラーであると判定する。
【0052】
制御部80は、異常放電検知回路84の検出結果に基づいて、発生したエラーが異常放電である否かを判定した結果、発生したエラーが異常放電以外のエラーであると判定した場合(ステップS42:no)、ステップS43の処理に移行する。すなわち、制御部80は、発生したエラーの種別に応じたメッセージをディスプレイ90に表示する(ステップS43)。
【0053】
制御部80は、異常放電検知回路84の検出結果に基づいて、発生したエラーが異常放電である否かを判定した結果、発生したエラーが異常放電であると判定した場合(ステップS42:yes)、続いて制御部80は、ドラムメモリ33から放電履歴情報を読み出す(ステップS44)。また、制御部80は、今回のエラーが発生したときにおける寿命カウント情報を、ドラムメモリ33から読み出す。具体的には、制御部80は、今回のエラーが発生したときにおける、感光体ドラム31の累積回転数、感光体ドラム31を用いての累積印刷枚数、または感光体ドラム31を用いての累積出力ドット数を、ドラムメモリ33から読み出す。
【0054】
ドラムメモリ33から放電履歴情報を読み出した後、制御部80は、ドラムメモリ33から、今回のエラーが発生したときにおける寿命カウント情報を読み出す。制御部80は、放電履歴情報に含まれる、前回の異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、ドラムメモリ33から読み出した今回のエラーが発生したときにおける寿命カウント情報と、を比較する。そして、制御部80は、累積回転数、累積印刷枚数、および累積出力ドット数の各カウント値における前回のカウント値との差が、それぞれに定められた所定値以上であるか否かの判定をする(ステップS45:放電間隔判定処理)。
【0055】
制御部80は、放電間隔判定処理の判定の結果、累積回転数、累積印刷枚数、および累積出力ドット数のいずれにおいても、各カウント値における前回のカウント値との差が所定値よりも小さいと判定した場合(ステップS45:no)、今回の異常放電に関する情報をドラムメモリ33に記憶される放電履歴情報には追加せずに、次のステップS46の処理へと移行する(ステップS46:クリーニング要求表示)。この場合、異常放電が生じた時間間隔が短いので、ユーザによる帯電器32のクリーニングが行われていないか、あるいは不十分であった可能性が高い。そのため、制御部80は、今回の異常放電を、新たに生じたエラーとしては扱わない。
【0056】
制御部80は、クリーニング要求表示処理において、ユーザに帯電器32(詳細には、帯電器32のワイヤー)のクリーニングを促すメッセージをディスプレイ90に表示する(ステップS46)。また、制御部80は、ディスプレイ90に、例えばワイヤーのクリーニングの方法を表すイラストを、表示させてもよい。
【0057】
一方、制御部80は、放電間隔判定処理の判定の結果、累積回転数、累積印刷枚数、および累積出力ドット数の少なくともいずれかにおいて、各カウント値における前回のカウント値との差が所定値以上であると判定した場合(ステップS45:yes)、次のステップS47の処理へと移行する(ステップS47:放電履歴情報更新処理)。この場合、異常放電が生じた時間間隔が短くないので、ユーザによるクリーニングが不十分なまま画像形成装置100の電源ONやカバー12の開閉動作をしたのではなく、今回新たに生じた異常放電である可能性が高い。したがって、制御部80は、今回の異常放電に関する情報を、放電履歴情報としてドラムメモリ33に記憶させる。
【0058】
制御部80は、放電履歴情報更新処理において、今回の異常放電が発生したことと、今回の異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報とを、対応付けてドラムメモリ33に書き込む(ステップS47:放電履歴情報更新処理)。
【0059】
放電履歴情報更新処理を実行した後、制御部80は、第1判定処理へと移行する(ステップS48:第1判定処理)。第1判定処理において、制御部80は、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値よりも大きい第2基準値に到達したと制御部80により判定された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第1閾値以上か否かを判定する。ここで、「第1基準値」は、例えばドラムカートリッジ30の交換時期に相当するカウント値である。「第2基準値」は、例えばドラムカートリッジ30の交換時期の2倍に相当するカウント値である。また、「第1閾値」は、例えば1回である。すなわち、第1判定処理においては、ドラムカートリッジ30の寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大きい第2基準値(例えば、寿命の2倍)よりも大きくなってもなおドラムカートリッジ30が使用されている状況下で、異常放電が第1閾値(例えば1回)以上の回数にわたって生じたか否かを、制御部80が判定する。
【0060】
第1判定処理を実行した結果、制御部80が、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値よりも大きい第2基準値に到達したと制御部80により判定された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS48:yes)、制御部80は、使用不許可フラグをONにする(ステップS49)。すなわち、ステップS49においては、ドラムカートリッジ30の寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大きい第2基準値(例えば、寿命の2倍)よりも大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている状況下で、異常放電が第1閾値(例えば1回)以上の回数にわたって生じた場合に、制御部80が、以降の印刷処理の実行を不許可とするために、使用不許可フラグをONにする。具体的には、制御部80は、使用不許可フラグがONである旨を、ドラムメモリ33に書き込む。
【0061】
ステップS49の処理を実行した後、制御部80は、ドラム交換要求表示処理を実行する。具体的には、制御部80は、ユーザにドラムカートリッジ30の交換を促すメッセージをディスプレイ90に表示する(ステップS50:ドラム交換要求表示処理)。また、制御部80は、ディスプレイ90に、例えばドラムカートリッジ30の交換の方法を表すイラストを、表示させてもよい。
【0062】
第1判定処理を実行した結果、制御部80が、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値よりも大きい第2基準値に到達したと制御部80により判定された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第1閾値よりも小さいと判定した場合(ステップS48:no)、制御部80は、続いて第2判定処理へと移行する。
【0063】
第2判定処理において、制御部80は、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値よりも大きくなったと制御部80により判定された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第2閾値以上か否かを判定する(ステップS48:第2判定処理)。ここで、「第1基準値」は、例えばドラムカートリッジ30の交換時期(寿命)に相当するカウント値である。「第2閾値」は、第1閾値よりも大きい値であり、例えば2回である。すなわち、第2判定処理においては、ドラムカートリッジ30の寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大きくなってもなおドラムカートリッジ30が使用されている状況下で、放電異常が第2閾値(例えば2回)以上の回数にわたって生じたか否かを、制御部80が判定する。
【0064】
第2判定処理を実行した結果、制御部80が、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値に到達したと制御部80により判定された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第2閾値以上であると判定した場合(ステップS51:yes)、制御部80は、使用不許可フラグをONにする(ステップS52)。すなわち、ステップS52においては、ドラムカートリッジ30の寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大きくなってもなおドラムカートリッジ30が使用されている状況下で、異常放電が第2閾値(例えば2回)以上の回数にわたって生じた場合に、制御部80が、以降の印刷処理の実行を不許可とするために、使用不許可フラグをONにする。具体的には、制御部80は、使用不許可フラグがONである旨を、ドラムメモリ33に書き込む。
【0065】
ステップS52の処理を実行した後、制御部80は、ドラム交換要求表示処理を実行する。具体的には、制御部80は、ユーザにドラムカートリッジ30の交換を促すメッセージをディスプレイ90に表示する(ステップS53:ドラム交換要求表示処理)。また、制御部80は、ディスプレイ90に、例えばドラムカートリッジ30の交換の方法を表すイラストを、表示させてもよい。
【0066】
<1-5.まとめ>
以上に示したように、本実施形態の画像形成装置100は、ドラムカートリッジ30と制御部80とを有する。制御部80は、異常放電検知回路84を有する。制御部は、異常放電検知回路84が異常放電の発生を検知した場合、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値以上であり、かつ、ドラムメモリ33から読み出した放電履歴情報に含まれる異常放電の回数が所定の閾値以上である場合には(ステップS51:yes)、印刷処理を停止させる。一方、制御部80は、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が前記第1基準値以上であり、かつ、ドラムメモリ33から読み出した放電履歴情報に含まれる前記異常放電の回数が前記所定の閾値以上でない場合には(ステップS51:no)、印刷処理を実行する。これにより、ドラムカートリッジ30が寿命に到達しても、放電履歴情報が所定の条件を満たさない限りは、継続して印刷処理を続けることが可能となる。また、制御部80は、ドラムメモリ33が記憶する寿命カウント情報や放電履歴情報をドラムメモリ33から読み出して、それに応じて、ドラムカートリッジ30を用いた印刷処理を停止する。その結果、他の画像形成装置100で用いられたドラムカートリッジ30が装着されても、ドラムカートリッジ30を適切に管理できる。
【0067】
また、本実施形態の画像形成装置100は、ディスプレイ90をさらに備える。制御部80は、異常放電検知回路84が異常放電の発生を検知した場合、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報と、ドラムメモリ33から読み出した放電履歴情報に含まれる前回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、の差が所定値よりも小さいか否かを判定する放電間隔判定処理を実行する(ステップS45)。また、制御部80は、前記差が所定値よりも小さいと判定された場合に、ディスプレイ90に、帯電器32のクリーニングを促すメッセージを表示するクリーニング要求表示処理を実行する(ステップS46)。今回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、前回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報との差が所定値よりも小さい場合、帯電器32のクリーニングが行われていないか、行われたにしても十分ではなかった可能性が高い。このような場合に、ユーザに、帯電器32のクリーニングを促すことができる。
【0068】
また、本実施形態の画像形成装置100においては、制御部80は、放電間隔判定処理において、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報と、ドラムメモリ33から読み出した放電履歴情報に含まれる前回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、の差が所定値以上であると判定された場合に、異常放電が発生したことと、異常放電が発生したときの寿命カウント情報と、を放電履歴情報としてドラムメモリ33に記憶する放電履歴情報更新処理を実行可能である(ステップS47)。ここで、今回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報と、前回異常放電が発生したときにおける寿命カウント情報との差が所定値以上である場合、ユーザによるクリーニングが不十分なまま電源ONやカバー12の開閉動作が行われたのではなく、今回新たに生じた異常放電である可能性が高い。このような場合、この異常放電に関する情報を、放電履歴情報としてドラムメモリ33に記憶させることにより、ドラムカートリッジ30を適切に管理することができる。
【0069】
また、本実施形態の画像形成装置100においては、制御部80は、放電履歴情報更新処理(ステップS47)が実行された場合に、ドラムメモリ33から読み出した寿命カウント情報が第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなったと制御部80により判断された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第1閾値以上か否かを判定する第1判定処理を実行可能である(ステップS48)。また、制御部80は、第1判定処理(ステップS48)の判定の結果、寿命カウント情報が第2基準値よりも大きくなったと制御部80により判断された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第1閾値以上であると制御部80により判定された場合に、ドラムカートリッジ30を用いた印刷処理を停止する印刷停止処理を実行可能である(ステップS49、S6)。これにより、ドラムカートリッジ30の寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大きい第2基準値(例えば、寿命の2倍)よりも大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている状況下で、異常放電が第1閾値(例えば1回)以上(例えば1回)の回数にわたって生じた場合に、ドラムカートリッジ30を用いた印刷処理を停止させることができる。よって、ドラムカートリッジ30を適切に管理できる。
【0070】
また、本実施形態の画像形成装置100においては、制御部80は、第1判定処理(ステップS48)の判定の結果、寿命カウント情報が第1基準値よりも大きい第2基準値よりも大きくなったと制御部80により判断された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第1閾値以上ではないと判定された場合に、寿命カウント情報が第1基準値よりも大きくなったと制御部80により判断された以降に異常放電が生じたと異常放電検知回路84により検出された回数が第2閾値以上か否を判定する第2判定処理を実行可能である(ステップS51)。また、制御部80は、第2判定処理(ステップS51)の判定の結果、寿命カウント情報が前記第1基準値よりも大きくなったと制御部80により判定された以降に異常放電が生じた回数が第2閾値以上であると制御部80により判定された場合に、ドラムカートリッジ30を用いた印刷処理を停止する印刷停止処理を実行可能である(ステップS52、S6)。これにより、ドラムカートリッジ30の寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている状況下で、異常放電が第2閾値以上(例えば2回)の回数にわたって生じた場合に、ドラムカートリッジ30を用いた印刷処理を停止させることができる。よって、ドラムカートリッジ30を適切に管理ができる。
【0071】
また、本実施形態の画像形成装置100においては、第2基準値は、第1基準値よりも大きい。これにより、ドラムカートリッジの寿命カウント情報が第1基準値(例えば、寿命)よりも大幅に大きくなってもなおドラムカートリッジが使用されている場合には、より少ない回数の異常放電が生じたときに印刷処理を停止することができる。
【0072】
<2.変形例>
以上、本開示の例示的な実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態には限定されない。
【0073】
上記の実施形態では4つのトナーカートリッジ20が共通のドラムカートリッジ30に装着されていた。しかしながら、上記に代えて、1つのトナーカートリッジが装着されたドラムカートリッジが、ケーシングに複数装着されてもよい。この場合、1つのトナーカートリッジが装着された状態のドラムカートリッジは、1つの感光体ドラムと1つの帯電器とを有する。
【0074】
放電履歴情報は、過去に生じた全ての異常放電についての情報を蓄積してもよく、或いは古くなった放電履歴情報を順次に消去していくことにしてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、「第2基準値」は、例えばドラムカートリッジ30の交換時期の2倍に相当するカウント値であるとした。しかしながら、これに限定されず、「第2基準値」をドラムカートリッジの交換時期の1倍以上に相当するカウント値としてもよい。
【0076】
なお、現像ローラを有さないトナーカートリッジが用いられてもよい。この場合、現像ローラは、ドラムカートリッジに備えられてもよい。
【0077】
また、上記の実施形態および変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 ケーシング
11 本体フレーム
12 カバー
20 トナーカートリッジ
21 現像ローラ
22 トナーメモリ
30 ドラムカートリッジ
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 ドラムメモリ
80 制御部
81 プロセッサ
82 本体メモリ
83 電圧印加回路
84 異常放電検知回路
90 ディスプレイ
100 画像形成装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6