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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】車両警報装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230912BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20230912BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/095
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019187518
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021064084
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】松永 康孝
(72)【発明者】
【氏名】福万 真澄
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032744(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010023164(DE,A1)
【文献】特開2019-016043(JP,A)
【文献】特開2005-001467(JP,A)
【文献】国際公開第2016/026922(WO,A1)
【文献】特開2005-209019(JP,A)
【文献】特開2010-274837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度である車速を検出する車速センサと、
前記車両の操舵角を検出する舵角センサと、
所定の検出領域に位置する物体までの距離である物体距離を検出する検出センサと、
前記物体距離が閾値距離以下である物体である警報物体が存在する場合、前記車両の運転者に対して警報を行う制御部と、
前記車両の周辺の風景を撮影することにより画像データを取得するカメラセンサと、
前記画像データに基いて生成された周辺画像を表示するディスプレイと、
を備え、
前記制御部は、
前記車速及び前記操舵角に基いて前記車両の予測進路を推定し、
前記予測進路に基いて、前記車両が前記警報物体と衝突する可能性があるか否かを判定し、
前記車両と前記警報物体とが衝突する可能性がある場合、前記車両が前記警報物体と衝突するまで又は前記車両が前記警報物体に最接近するまでに前記車両が前記予測進路に沿って移動する距離である衝突距離を計算し、
前記衝突距離が閾値衝突距離以下であるとの高レベル警報条件が成立しない場合、第1警報を前記警報として行い、
前記高レベル警報条件が成立した場合、前記第1警報よりも前記運転者の注意を喚起する警報レベルの高い第2警報を前記警報として行い、
前記第1警報では、前記物体距離に対応する位置に第1警報表示要素を前記周辺画像に重畳して前記ディスプレイに表示し、
前記第2警報では、前記物体距離に対応する位置に前記第1警報表示要素よりも前記警報レベルの高い態様の第2警報表示要素を前記周辺画像に重畳して表示するように構成され、
更に、前記制御部は、
前記車両の左側方の左領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たさない場合、前記左領域に存在する前記警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第1警報表示要素を表示し、
前記左領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たす場合、前記左領域に存在し且つ前記高レベル警報条件を満たす警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第2警報表示要素を表示し、
前記車両の右側方の右領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たさない場合、前記右領域に存在する前記警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第1警報表示要素を表示し、
前記右領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たす場合、前記右領域に存在し且つ前記高レベル警報条件を満たす警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第2警報表示要素を表示する、
ように構成された車両警報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両警報装置であって、
警報音を発音するスピーカを更に備え、
前記制御部は、
前記第1警報では、第1パターンの警報音を前記スピーカから発音させ、
前記第2警報では、前記第1パターンよりも前記警報レベルの高い第2パターンの警報音を前記スピーカから発音させる、
ように構成された車両警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体までの距離が閾値距離以下である場合、警報を行う車両警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両と物体との位置関係が警報条件を満たした場合に警報を行う車両警報装置が知られている。このような車両警報装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、物体と車両との間の距離(物体距離)が連続音開始距離よりも長く且つ出力開始距離以下である場合、断続音パターンの警報音を発音し、物体距離が連続音開始距離以下である場合、連続音パターンの警報音を発音する(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-32744号公報
【発明の概要】
【0004】
物体距離が比較的短くても車両がその物体と衝突する可能性が低い場合がある。従来装置は、衝突する可能性が高いか低いかにかかわらず、物体距離が連続音開始距離以下であれば、断続音パターンに比べて警報レベルの高い連続音パターンの警報音を発音する。物体と衝突する可能性が低いにもかかわらず警報レベルの高い警報が行われると、運転者は、その警報を煩わしいと感じる可能性が高い。
【0005】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、物体と衝突する可能性が比較的高い場合にのみ、警報レベルの高い警報を行うことができる車両警報装置を提供することである。
【0006】
本発明の車両警報装置(以下、「本発明装置」とも呼称する。)は、
車両の速度である車速を検出する車速センサ(26)と、
前記車両の操舵角を検出する舵角センサ(22)と、
所定の検出領域に位置する物体までの距離である物体距離を検出する検出センサ(30)と、
前記物体距離が閾値距離以下である物体である警報物体が存在する場合(ステップ720にて「Yes」)、前記車両の運転者に対して警報を行う制御部(10、50、60、90)と、を備える。
【0007】
前記制御部は、
前記車速及び前記舵角に基いて前記車両の予測進路を推定し(ステップ725)、
前記予測進路に基いて、前記車両が前記警報物体と衝突する可能性があるか否かを判定し(ステップ735)、
前記車両と前記警報物体とが衝突する可能性がある場合(ステップ735にて「Yes」)、前記車両が前記警報物体と衝突するまで又は前記車両が前記警報物体に最接近するまでに前記車両が前記予測進路に沿って移動する距離である衝突距離を計算し(ステップ750)、
前記衝突距離が閾値衝突距離以下であるとの高レベル警報条件が成立しない場合(ステップ735にて「No」又はステップ755にて「No」)、第1警報を前記警報として行い(ステップ825、ステップ835、ステップ915)、
前記高レベル警報条件が成立した場合(ステップ755にて「Yes」)、前記第1警報よりも前記運転者の注意を喚起する警報レベルの高い第2警報を前記警報として行う(ステップ815、ステップ840、ステップ910)、
ように構成されている。
【0008】
これによって、衝突距離が閾値衝突距離以下であるとの高レベル警報条件が成立した場合、第1警報よりも警報レベルの高い第2警報が行われるので、衝突可能性が高い場合にのみ第2警報が行われる。この結果、衝突可能性が低いにもかかわらず第2警報が行われることにより、運転者が第2警報を煩わしいと感じる可能性を低減できる。
【0009】
更に、本発明装置は、
前記車両の周辺の風景を撮影することにより画像データを取得するカメラセンサ(40)と、
前記画像データに基いて生成された周辺画像を表示するディスプレイ(50)と、を更
に備え、
前記制御部は、
前記第1警報では、前記周辺画像において前記物体距離に対応する位置に第1警報表示要素を前記周辺画像に重畳して前記ディスプレイに表示し(ステップ825、ステップ835)、
前記第2警報では、前記周辺画像において前記物体距離に対応する位置に前記第1警報表示要素よりも前記警報レベルの高い態様の第2警報表示要素(420)を前記周辺画像に重畳して表示する(ステップ815、ステップ840)、
ように構成され、
更に、前記制御部は、
前記車両の左側方の左領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たさない場合、前記左領域に存在する前記警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第1警報表示要素を表示し、
前記左領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たす場合、前記左領域に存在し且つ前記高レベル警報条件を満たす警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第2警報表示要素を表示し、
前記車両の右側方の右領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たさない場合、前記右領域に存在する前記警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第1警報表示要素を表示し、
前記右領域に前記警報物体が存在し、且つ、当該警報物体が前記高レベル警報条件を満たす場合、前記右領域に存在し且つ前記高レベル警報条件を満たす警報物体のうち前記物体距離が最小の警報物体の前記物体距離に対応する位置に前記第2警報表示要素を表示する、
ように構成されている。
【0010】
これによって、運転者は、周辺画像に重畳表示された警報表示要素を視認することによって、注意が必要な物体までの距離とその物体の衝突可能性が高いか低いかとを認識することができる。
【0011】
本発明の一態様であって、
警報音を発音するスピーカ(60)を更に備え、
前記制御部は、
前記第1警報では、第1パターンの警報音を前記スピーカから発音させ(ステップ915)、
前記第2警報では、前記第1パターンよりも前記警報レベルの高い第2パターンの警報音を前記スピーカから発音させる(ステップ910)、
ように構成されている。
【0012】
これによって、運転者は、警報音によって物体の衝突可能性が高いか低いかを認識することができる。
【0013】
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両警報装置の概略システム構成図である。
図2図2は、ソナーセンサ装置の配置及び検出範囲を示した図である。
図3図3は、カメラセンサ装置の配置及び撮像範囲を示した図である。
図4図4は、ディスプレイに表示される俯瞰画像の説明図である。
図5図5は、車両と物体との位置関係の説明図である。
図6図6は、衝突距離を計算する処理の説明図である。
図7図7は、図1に示したECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、図7に示したルーチンの警報表示処理にてCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図9図9は、図7に示したルーチンの警報音発音処理にてCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両警報装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両警報装置10及びその車両警報装置10が適用される車両VAを示している。
【0016】
図1に示したように、車両警報装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0017】
車両VAには、車両駆動力発生装置11、ブレーキ装置12及びステアリング装置13が搭載されている。車両駆動力発生装置11は、車両VAを走行させるための駆動力を発生し、その駆動力を車両VAの駆動輪に与えるための装置である。車両駆動力発生装置11は、例えば、内燃機関、電動モータ等である。ブレーキ装置12は、車両VAを制動するための制動力を車両VAの車輪に与えるための装置である。ステアリング装置13は、車両VAを操舵するための操舵トルクを車両VAの操舵輪に与えるための装置である。
【0018】
車両駆動力発生装置11、ブレーキ装置12及びステアリング装置13は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、車両駆動力発生装置11の作動を制御することにより、車両VAの駆動輪に与えられる駆動力を制御する。ECU90は、ブレーキ装置12の作動を制御することにより、車両VAの車輪に与えられる制動力を制御する。ECU90は、ステアリング装置13の作動を制御することにより、車両VAの操舵輪に与えられるステアリングトルクを制御する。
【0019】
<センサ等>
車両警報装置10は、操舵角センサ22、操舵トルクセンサ24、車速センサ26、ソナーセンサ装置30、カメラセンサ装置40、ディスプレイ50及びスピーカ60を備えている。
【0020】
操舵角センサ22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵角センサ22を介して中立位置に対するハンドル14の回転角度θstを検出して操舵角θstとして取得する。操舵角θstは中立位置を「0deg」とし、ハンドル14が中立位置から左側に回転したとき操舵角θstは正の値となり、ハンドル14が中立位置から右側に回転したとき操舵角θstは負の値となる。
【0021】
操舵トルクセンサ24は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵トルクセンサ24を介して運転者からステアリングシャフト15に入力されたトルクTQstを検出して操舵トルクTQstとして取得する。
【0022】
ECU90は、取得した操舵角θst及び操舵トルクTQstに応じたステアリングトルクが車両VAの操舵輪に与えられるようにステアリング装置13の作動を制御する。
【0023】
車速センサ26は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、車速センサ26を介して車両VAの各車輪の回転速度Vrotを検出する。ECU90は、各車輪の回転速度Vrotに基づいて車両VAの走行速度SPDを車速SPDとして取得する。
【0024】
ソナーセンサ装置30は、図2に示した第1クリアランスソナー301乃至第12クリアランスソナー312を備えている。
【0025】
図2に示したように、第1クリアランスソナー301は、車両VAの前方左端部FLから左前方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第2クリアランスソナー302は、車両VAの左側前端から前方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第3クリアランスソナー303は、車両VAの前方右端部FRから右前方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第4クリアランスソナー304は、車両VAの右側前端から前方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。
【0026】
更に、第5クリアランスソナー305は、車両VAの後方左端部RLから左後方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第6クリアランスソナー306は、車両VAの左側後端から後方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第7クリアランスソナー307は、車両VAの後方右端部RRから右後方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第8クリアランスソナー308は、車両VAの右側後端から後方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。
【0027】
更に、第9クリアランスソナー309は、車両VAの前方左側部から左方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第10クリアランスソナー310は、車両VAの後方左側部から左方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第11クリアランスソナー311は、車両VAの前方右側部から右方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。第12クリアランスソナー312は、車両VAの後方右側部から右方に音波を放射するように車両VAに取り付けられている。
【0028】
第1クリアランスソナー301乃至第12クリアランスソナー312は、物体にて反射した音波を受信する。
【0029】
ソナーセンサ装置30は、ECU90に電気的に接続されている。ソナーセンサ装置30は、「各クリアランスソナー301乃至312の音波の送信時刻」、「各クリアランスソナー301乃至312の音波の受信時刻」及び「各クリアランスソナー301乃至312が受信した音波の周波数」等に関する物体情報をECU90に送信する。ECU90は、各クリアランスソナー301乃至312の音波の送信時刻と受信時刻とに基いて、各クリアランスソナー301乃至312から物体までの距離(以下、「物体距離Ld」と称呼する。)を取得する。更に、ECU90は、「各クリアランスソナー301乃至312が送信した音波の周波数及び受信した音波の周波数」と車速SPDとに基いて、物体の各クリアランスソナーに対する相対速度Vrを取得する。
【0030】
図2において、符号Dxで示した方向は、車両VAの前後方向であり、以下、この方向を「車両前後方向Dx」と称呼し、符号Dyで示した方向は、車両VAの幅方向であり、以下、この方向を「車両幅方向Dy」と称呼する。
【0031】
カメラセンサ装置40は、図3に示した前方カメラ41、後方カメラ42、左側カメラ43及び右側カメラ44を備えている。以下、必要に応じて、前方カメラ41、後方カメラ42、左側カメラ43及び右側カメラ44をまとめて「カメラ45」と称呼する。
【0032】
図3に示したように、前方カメラ41は、車両VAの前方の風景を撮像するように車両VAの前端部の中央に取り付けられており、その画角41Aは、約180°である。後方カメラ42は、車両VAの後方の風景を撮像するように車両VAの後端部の中央に取り付けられており、その画角42Aも、約180°である。左側カメラ43は、車両VAの左側の風景を撮像するように車両VAの左側部に取り付けられており、その画角43Aも、約180°である。右側カメラ44は、車両VAの右側の風景を撮像するように車両VAの右側部に取り付けられており、その画角44Aも、略180°である。
【0033】
カメラセンサ装置40は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、カメラセンサ装置40を介して各カメラ45によって撮像された風景の画像に関する情報(画像データ)を取得することができる。
【0034】
ディスプレイ50は、運転者が視認可能な車両100の箇所に配設されている。本例においては、ディスプレイ50は、いわゆるナビゲーション装置のディスプレイである。
【0035】
ディスプレイ50は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、各種の画像をディスプレイ50に表示させることができる。本例においては、ECU90は、図4に示した俯瞰画像400をディスプレイ50に表示することができる。
【0036】
スピーカ60は、車両VAの車室内に配置され、後述する警報音を出力する。
【0037】
(作動の概要)
図4及び図5を参照しながら、車両警報装置10の作動の概要を説明する。
車速SPDが閾値速度SPDth以下になると、車両警報装置10は、図4に示した俯瞰画像400をディスプレイ50に表示する。俯瞰画像400は、各カメラが取得した画像データを合成した合成画像データに基いて生成された3次元合成画像データにおいて、車両VAの鉛直方向上方に位置する俯瞰視点から車両VAの周囲を視たときの画像である。この俯瞰画像400の中心には、車両VAを示す車両アイコン410が表示されている。
【0038】
車両警報装置10は、車両VAの左側方の領域(以下、「左領域」と称呼する。)及び右側方の領域(以下、「右領域」と称呼する。)に物体距離Ldが閾値物体距離Ldth以下であるとの警報条件を満たす物体(以下、「警報物体」と称呼する。)が存在するか否かを判定する。警報物体が存在すると判定された場合、車両警報装置10は、現時点における操舵角θst及び車速SPDを維持したまま車両VAが走行した場合の車両VAの予測進路Rbp(図6を参照。)を計算する。そして、車両警報装置10は、予測進路Rbpに沿って車両VAが移動したときの車両VAの車体が通過する通過領域を推定し、通過領域に基いて車両VAが警報物体と衝突する可能性があるか否かを判定する。
【0039】
車両警報装置10は、衝突する可能性がある警報物体(以下、「衝突物体」と称呼する。)が存在する場合、車両VAが衝突物体と衝突するまでに車両VAが予測進路Rbp(図6を参照。)に沿って移動する距離である衝突距離Lcを計算する。
【0040】
衝突物体の衝突距離Lcが閾値衝突距離Lcthよりも長い場合又は警報物体が存在するが衝突物体が存在しない場合、車両警報装置10は、俯瞰画像400にてその警報物体の物体距離Ldに対応する位置に「黄色で着色された警報バー(黄色警報バー、第1警報表示要素)」を表示し、断続的に警報音を発音させる断続音パターンの警報音をスピーカ60から発音させる。以下では、このような黄色警報バーの表示と断続音パターンの警報音の発音による警報を「第1警報」と称呼する場合がある。
【0041】
一方、警報物体の衝突距離Lcが閾値衝突距離Lcth以下である場合(警報条件が成立した場合)、車両警報装置10は、俯瞰画像400にてその警報物体の物体距離Ldに対応する位置に「赤色で着色された警報バー(赤色警報バー、第2警報表示要素)」を表示し、警報音を発音させ続ける連続音パターンの警報音をスピーカ60から発音させる。以下では、このような赤色警報バーの表示と連続音パターンの警報音の発音による警報を「第2警報」と称呼する場合がある。なお、衝突距離Lcが閾値衝突距離Lcth以下であるとの条件を「第2警報条件」又は「高レベル警報条件」と称呼する場合もある。
【0042】
一般に、赤色の方が黄色よりも人の注意をより喚起させるため、赤色警報バーの運転者の注意を喚起する警報レベルは黄色警報バーの警報レベルよりも高く、連続音パターンの方が断続音パターンよりも人の注意をより喚起させるため、連続音パターンの警報レベルは断続音パターンの警報レベルよりも高い。従って、第2警報の警報レベルは第1警報よりも高い。
【0043】
図5に示す例では、車両VAの右領域に物体OBJ1が検出されている。物体OBJ1の物体距離Ld1は閾値物体距離Ldth以下であって且つ衝突距離Lc1が閾値衝突距離Lcth以下であると仮定する。この場合、図4に示したように、車両警報装置10は、俯瞰画像400にて物体距離Ld1に対応する位置に赤色警報バー420を表示するとともに、連続音パターンの警報音をスピーカ60から発音させる。
【0044】
図6を参照しながら、衝突距離Lcを説明する。
車両警報装置10は、上記警報物体が存在する場合、上記した現時点における操舵角θst及び車速SPDを維持したまま車両VAが移動(走行)した場合の車両VAの左後輪と右後輪との車両幅方向Dyにおける中間点(以下、「基準点」と称呼する。)BPの移動軌跡を上記予測進路Rbpとして計算する。なお、この予測進路Rbpは所定距離Lpdだけ計算される。
【0045】
次に、車両警報装置10は、上記予測進路Rbpに基いて通過領域を推定する。より詳細には、車両警報装置10は、操舵角θst及び車速SPDを維持したまま車両VAが走行した場合の仮想前方右端部FRvの移動軌跡Rfr、仮想前方左端部FLvの移動軌跡Rfv(不図示)、仮想後方右端部RRvの移動軌跡Rrr及び仮想後方左端部RLvの移動軌跡Rrlを計算する。そして、車両警報装置10は、これらの移動軌跡Rfr、Rfl、Rrr及びRrlに基いて通過領域を推定する。
【0046】
仮想前方右端部FRvは、車両VAの前方右端部FRから車両前後方向Dxの前方側に所定距離dDxだけ離れ且つ車両幅方向Dyの右側に所定距離dDyだけ離れた点である。仮想前方左端部FLvは、車両VAの前方左端部FLから車両前後方向Dxの前方側に所定距離dDxだけ離れ且つ車両幅方向Dyの左側に所定距離dDyだけ離れた点である。仮想後方右端部RRvは、車両VAの後方右端部RRから車両前後方向Dxの後方側に所定距離dDxだけ離れ且つ車両幅方向Dyの右側に所定距離dDyだけ離れた点である。仮想後方左端部RLvは、車両VAの後方左端部RLから車両前後方向Dxの後方側に所定距離dDxだけ離れ且つ車両幅方向Dyの左側に所定距離dDyだけ離れた点である。
【0047】
車両警報装置10は、物体OBJの少なくとも一部が通過領域に位置する場合、当該物体OBJが車両VAと衝突する可能性がある物体(以下、「衝突物体」と称呼する。)であると判定する。図6に示した物体OBJは、その一部が上記移動軌跡Rfr上に位置するため、衝突物体である。
【0048】
そして、車両警報装置10は、車両VAが衝突物体に衝突する又は最も接近するまでに車両VAが予測進路Rbpに沿って移動した距離を衝突距離Lcとして取得する。図6に示した例では移動軌跡Rfr上の点Pにて、車両VA(前方右端部FR)と物体OBJとが最も接近する。仮想前方右端部FRvが移動軌跡Rfrに沿って点Pまでに移動する場合に、車両VAの基準点BPが予測進路Rbpに沿って移動した距離Lcが衝突距離Lcとなる。
【0049】
以上説明したように、車両警報装置10は、物体距離Ldが閾値物体距離Ldth以下である警報物体に対して何れかの警報が行われる。この警報物体が衝突距離Lcが閾値衝突距離Lcth以下であるとの第2警報条件を満たさない場合、車両警報装置10は、当該警報物体に対して第1警報を行う。一方、警報物体が第2警報条件を満たす場合、車両警報装置10は、当該警報物体に対して第1警報よりも警報レベルの高い第2警報を行う。これによって、衝突する可能性が比較的高い物体に対してのみ第2警報が行われるので、運転者が第2警報を煩わしいと感じる可能性を低減できる。
【0050】
(具体的作動)
ECU90のCPU(以下、「CPU」と表記した場合、特に断りがない限り、ECU90のCPUを指す。)は、図7にフローチャートにより示したルーチン(警報制御ルーチン)を所定時間が経過する毎に実行する。
【0051】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図7のステップ700から処理を開始し、ステップ705及び710の処理を順に実行し、ステップ715に進む。
ステップ705:CPUは、車両VAの左側部及び右側部に取り付けられた第9クリアランスソナー309乃至第12クリアランスソナー312から物体情報を取得する。
ステップ710:CPUは、ステップ705にて取得した物体情報に基いて静止物体を認識する。
【0052】
ステップ710の処理を詳細に説明する。CPUは、物体情報に基いて物体の物体距離Ld及び相対速度Vrを取得する。そして、CPUは、車速SPD及び物体の相対速度Vrに基いて静止している静止物体を本ルーチンの処理対象となる物体として認識する。なお、ステップ705にて第9クリアランスソナー309乃至第12クリアランスソナー312から物体情報が取得されているので、本ルーチンの処理対象となる物体は、車両VAの左領域及び右領域に存在する物体である。
【0053】
ステップ715:CPUは、車速SPDが閾値速度SPDth以下であるとの開始条件が成立したか否かを判定する。
【0054】
開始条件が成立した場合、CPUは、ステップ715にて「Yes」と判定し、ステップ720に進む。ステップ720にて、CPUは、物体距離Ldが閾値物体距離Ldth以下であるとの警報条件を満たす警報物体が存在するか否かを判定する。
【0055】
上記警報物体が存在する場合、CPUは、ステップ720にて「Yes」と判定し、ステップ725に進み、上記予測進路Rbpを計算するとともに上記通過領域を推定し、ステップ730に進む。ステップ730にて、CPUは、警報物体の中から一つの処理対象物体OBJtを選択してステップ735に進み、「ステップ725にて推定した通過領域」及び「処理対象物体OBJtの車両VAに対する位置」に基いて、処理対象物体OBJtが衝突可能性を有するか否かを判定する(即ち、処理対象物体OBJtが衝突物体であるか否かを判定する。)。
【0056】
処理対象物体OBJtが衝突可能性を有さない場合(即ち、処理対象物体OBJtが衝突物体でない場合)、CPUは、ステップ735にて「No」と判定してステップ745に進み、総ての警報物体が処理対象物体OBJtとして選択されたか否かを判定する。
【0057】
総ての警報物体が処理対象物体OBJtとして選択されていない場合、CPUは、ステップ730に戻って、未だ処理対象物体OBJtとして選択されていない警報物体の中から新たな処理対象物体OBJtを選択し、ステップ735に進む。
【0058】
新たな処理対象物体OBJtが衝突可能性を有すると仮定すると、CPUは、ステップ735にて「Yes」と判定し、ステップ750に進む。ステップ750にて、CPUは、図6で説明したように、当該処理対象物体OBJtの衝突距離Lctを計算し、ステップ755に進む。
【0059】
ステップ755にて、CPUは、衝突距離Lctが閾値衝突距離Lcth以下であるとの第2警報条件が成立するか否かを判定する。ここで、処理対象物体OBJtの衝突距離Lctが閾値衝突距離Lcthよりも長いと仮定すると、CPUは、ステップ755にて「No」と判定し、ステップ745に進む。
【0060】
未だ総ての警報物体が処理対象物体OBJtとして選択されていないと仮定すると、CPUは、ステップ745にて「No」と判定し、ステップ730に戻り、新たな処理対象物体OBJtを選択する。この処理対象物体OBJtは、衝突可能性を有し且つ衝突距離Lctが閾値衝突距離Lcth以下であると仮定すると、CPUは、ステップ735にて「Yes」と判定し、その後、ステップ755にて「Yes」と判定してステップ760に進む。
【0061】
ステップ760にて、CPUは、第2警報フラグXAL2tの値を「1」に設定し、ステップ745に進む。第2警報フラグXAL2tは警報物体毎に用意されている。第2警報フラグXAL2tの値が「1」である警報物体は第2警報条件を満たす警報物体である。一方、第2警報フラグXAL1tの値が「0」である物体は、第2警報条件を満たさない警報物体である。
【0062】
総ての警報物体が処理対象物体OBJtとして選択されたと仮定すると、CPUは、ステップ745にて「Yes」と判定し、ステップ765乃至775の処理を実行し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0063】
ステップ765:CPUは、後述する警報表示処理を実行する。
ステップ770:CPUは、後述する警報音発音処理を実行する。
ステップ775:CPUは、第2警報フラグXAL2tの値を「0」に設定する。
【0064】
CPUがステップ715に進んだときに開始条件が成立していない場合、CPUは、そのステップ715にて「No」と判定し、ステップ780に進む。ステップ780にて、CPUは、何れかのパターンの警報音が発音していれば、その警報音の発音を停止(終了)させ、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0065】
CPUがステップ720に進んだときに警報物体が存在しない場合、CPUは、そのステップ720にて「No」と判定し、ステップ780に進む。
【0066】
<警報表示処理>
CPUは、図7に示したステップ765に進むと、図8にフローチャートにより示したサブルーチンの処理をステップ800から開始してステップ805に進む。ステップ805にて、CPUは、車両VAの左領域に警報物体が存在するか否かを判定する。
【0067】
左領域に警報物体が存在する場合、CPUは、左領域に存在する警報物体(以下、「左警報物体」と称呼する。)のうち、第2警報フラグXAL2tの値が「1」である警報物体が存在するか否かを判定する。
【0068】
第2警報フラグXAL2tの値が「1」である左警報物体が存在する場合、CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定し、ステップ815に進む。ステップ815にて、CPUは、第2警報フラグXAL2tの値が「1」である左警報物体の中で衝突距離Lcが最小の左警報物体を選択し、俯瞰画像400にてその左警報物体の物体距離Ldに対応する位置に赤色警報バー420を俯瞰画像400に重畳して表示し、ステップ820に進む。
【0069】
ステップ820にて、CPUは、右領域に警報物体が存在するか否かを判定する。右領域に警報物体が存在しない場合、CPUは、ステップ820にて「No」と判定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0070】
CPUがステップ810に進んだときに第2警報フラグXAL2tの値が「1」である左警報物体が存在しない場合、CPUは、そのステップ810にて「No」と判定し、ステップ825に進む。
【0071】
ステップ825にて、CPUは、左警報物体(ステップ810にて「No」と判定されていることから、ここでは第2警報条件を満たさない左警報物体)の中で物体距離Ldが最小の左警報物体を選択し、俯瞰画像400にてその左警報物体の物体距離Ldに対応する位置に俯瞰画像400に重畳して黄色警報バーを表示し、ステップ820に進む。
【0072】
一方、CPUがステップ805に進んだときに左警報物体が存在しない場合、CPUは、そのステップ805にて「No」と判定し、ステップ820に進む。
【0073】
一方、CPUがステップ820に進んだときに車両VAの右領域に警報物体が存在する場合、CPUは、そのステップ820にて「Yes」と判定し、ステップ830に進む。ステップ830にて、CPUは、右領域に存在する警報物体(以下、「右警報物体」と称呼する。)のうち、第2警報フラグXAL2tの値が「1」である警報物体が存在するか否かを判定する。
【0074】
第2警報フラグXAL2tの値が「1」である右警報物体が存在しない場合、CPUは、そのステップ830にて「No」と判定し、ステップ835に進む。ステップ835にて、CPUは、右警報物体(ステップ830にて「No」と判定されていることから、ここでは第2警報条件を満たさない右警報物体)の中で物体距離Ldが最小の右警報物体を選択し、俯瞰画像400にてその右警報物体の物体距離Ldに対応する位置に俯瞰画像400に重畳して黄色警報バーを表示し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0075】
一方、CPUがステップ830に進んだときに第2警報フラグXAL2tの値が「1」である右警報物体が存在する場合、CPUは、そのステップ830にて「Yes」と判定し、ステップ840に進む。ステップ840にて、CPUは、第2警報フラグXAL2tの値が「1」である右警報物体の中で衝突距離Lcが最小の右警報物体を選択し、俯瞰画像400にてその右警報物体の物体距離Ldに対応する位置に俯瞰画像400に重畳して赤色警報バー420を表示し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
以上により、車両VAの左領域に複数の警報物体が存在したとしても、俯瞰画像400の車両アイコン410の左領域には一つの警報バーのみが表示される。これによって、左領域に複数の警報バーが表示されることによって運転者がどの警報物体に注意を払えばよいのか分からなくなることを防止できる。同様に、車両VAの右領域に複数の警報物体が存在したとしても、俯瞰画像400の車両アイコン410の右領域には一つの警報バーのみが表示される。更に、赤色警報バーが黄色警報バーよりも優先して表示されるため、運転者に、左右領域で最も衝突可能性が高い警報物体に対して注意を確実に払わせることができる。
【0077】
<警報音発音処理>
CPUは、図7に示したステップ770に進むと、図9にフローチャートにより示したサブルーチンの処理をステップ900から開始してステップ905に進む。ステップ905にて、CPUは、第2警報フラグXAL2tの値が「1」である警報物体が存在するか否かを判定する。
【0078】
第2警報フラグXAL2tの値が「1」である警報物体が存在する場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、連続音パターンの警報音をスピーカ60から発音させる。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
一方、第2警報フラグXAL2tの値が「1」である警報物体が存在しない場合、CPUは、ステップ905にて「No」と判定してステップ915に進み、断続音パターンの警報音をスピーカ60から発音させる。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。断続音パターンでは、車両警報装置10は、所定の警報音を発音させ始め、警報音の発音させ始めた時点から所定の出力時間が経過する時点にて警報音の発音を停止させ、警報音の発音を停止させた時点から所定の停止時間が経過した後、警報音を再度発音させ始める。断続音パターンの詳細は、特開2019-32744号公報に記載されている。
【0080】
以上説明したように、車両警報装置10は、警報物体が存在し且つ第2警報条件を満たす警報物体が存在しない場合、第1警報を行い、第2警報条件を満たす警報物体が存在する場合、第1警報より警報レベルの高い第2警報を行う。これによって、衝突可能性が高い警報物体が存在する場合にのみ第2警報が行われるので、運転者は第2警報を煩わしいと感じる可能性を低減できる。
【0081】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0082】
図7に示したステップ725にて、車両警報装置10は、四点の移動軌跡Rfr、Rfl、Rrr及びRrlに基いて通過領域を推定したが、この方法以外の方法に従って通過領域を推定してもよい。例えば、車両警報装置10は、操舵角θstの符号と車両VAの進行方向とに基いて、通過領域を推定するために用いる移動軌跡を変更してもよい。
【0083】
より詳細には、操舵角θstが正の値であり(即ち、ハンドル14が中立位置よりも左側に回転し)且つ車両VAが後退する場合(図6を参照)、車両警報装置10は、移動軌跡Rfrと移動軌跡Rfrよりも車両VA側の領域とを通過領域として推定する。操舵角θstが負の値であり且つ車両VAが後退する場合、車両警報装置10は、移動軌跡Rflと移動軌跡Rflよりも車両VA側の領域とを通過領域として推定する。
【0084】
操舵角θstが正の値であり且つ車両VAが前進する場合、車両警報装置10は、移動軌跡Rrrと移動軌跡Rrrよりも車両VA側の領域とを通過領域として推定する。操舵角θstが負の値であり且つ車両VAが前進する場合、車両警報装置10は、移動軌跡Rrlと移動軌跡Rrlよりも車両VA側の領域とを通過領域として推定する。
【0085】
なお、車両警報装置10は、図示しないシフトポジションセンサによって検出される「運転者によって操作される図示しないシフトレバーの位置を示すシフトポジション」に基いて、車両VAが前進するか後退するかを判定する。
【0086】
上記実施形態では、車両警報装置10は、俯瞰画像400において左領域及び右領域のそれぞれの領域で一つの警報バーのみを表示するように構成されたが、これに限定されない。例えば、車両警報装置10は、俯瞰画像400において左領域及び右領域のそれぞれの領域で赤色警報バー及び黄色警報バーのそれぞれを複数表示してもよい。更に、車両警報装置10は、俯瞰画像400において左領域及び右領域で一つの警報バーのみを表示してもよい。
【0087】
第1警報表示要素及び第2警報表示要素の例として黄色警報バー及び赤色警報バーを説明したが、第1警報表示要素及び第2警報表示要素はどのような形状していてもよい。更に、第1警報表示要素及び第2警報表示要素は、色で警報レベルを異ならせるように構成されるがこれに限定されず、形状等で警報レベルを異ならせてもよい。
【0088】
更に、上記実施形態では、第1警報では断続音パターンの警報音が発音され、第2警報では連続音パターンの警報音が発音され、警報音の発音パターンで警報レベルを異ならせるがこれに限定されず、例えば警報音の音量の大小等で警報レベルを異ならせてもよい。
【0089】
衝突距離Lcが「閾値衝突距離Lcthよりも短い制動閾値距離Lcth’」以下である警報物体が存在する場合、車両警報装置10は、車両VAがその警報物体と衝突することを回避するため又は車両VAがその警報物体と衝突したときの衝撃力を軽減するために、ブレーキ装置12に制動力を車輪に付与させてもよい。
【0090】
車両警報装置10は、最小の物体距離Ldが短いほど断続音パターンの警報音の停止時間を短くするように、当該停止時間を設定してもよい。
【0091】
車両警報装置10は、ハイブリッド車両及び電気自動車にも適用可能である。
【0092】
クリアランスソナー301乃至312は、「無線媒体を放射し、反射された無線媒体を受信することによって障害物を検出するセンサ」であればよい。車両警報装置10は、クリアランスソナー301乃至312の代わりに、例えば赤外線レーダ又はミリ波レーダを備えてもよい。
【0093】
更に、カメラ45の数及びクリアランスソナー301乃至312の数は、それぞれ図2及び図3に示した数に限定されない。
【符号の説明】
【0094】
10…車両警報装置、11…車両駆動力発生装置、12…ブレーキ装置、13…ステアリング装置、14…ハンドル、15…ステアリングシャフト、22…操舵角センサ、24…操舵トルクセンサ、26…車速センサ、30…ソナーセンサ装置、40…カメラセンサ装置、50…ディスプレイ、60…スピーカ、90…ECU、100…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9