(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】タブレット脱落防止機構
(51)【国際特許分類】
G09F 7/18 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G09F7/18 A
(21)【出願番号】P 2019196244
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】横川 二朗
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-118794(JP,A)
【文献】特開2016-007324(JP,A)
【文献】実開昭53-017344(JP,U)
【文献】実開昭50-139193(JP,U)
【文献】特開2008-116726(JP,A)
【文献】特開2009-134148(JP,A)
【文献】実開平06-059876(JP,U)
【文献】実開平05-090546(JP,U)
【文献】米国特許第05377820(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/00 - 7/22
A47G 1/16 - 1/24
H02B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用と、機器の設置場所へ着脱可能に取付ける機器用の2枚1組として対称的に作成し、現場手動操作を誤りなくおこなうために使用する合札である矩形の平板形状のタブレットの前記機器の設置場所からの脱落を防止するタブレット脱落防止機構であって、
平板形状の基板と、当該基板の一方の面に当該面に対して略垂直方向に設けられた、
前記タブレットの
円形の孔部に挿入する
円柱形状の突起部と、からなるタブレット受座を支持して、当該タブレット受座を
前記機器の壁面に固定する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記タブレット受座を前記壁面に固定した際に、前記突起部の長手方向が水平方向に対して所定の角度を形成し、当該突起部の先端が上方を向くように、当該タブレット受座を支持することを特徴とするタブレット脱落防止機構。
【請求項2】
前記支持部材は、
前記基板の前記突起部が設けられた面とは反対の面に接する第1の面と、
前記第1の面と所定の角度を有する、前記壁面に接する第2の面と、
からなることを特徴とする請求項1に記載のタブレット脱落防止機構。
【請求項3】
前記支持部材の前記第1の面は、当該面の全部または一部が磁石によって構成され、当該磁石の磁力によって、前記タブレット受座を固着して支持することを特徴とする請求項
2に記載のタブレット脱落防止機構。
【請求項4】
前記支持部材の前記第2の面は、当該面の全部または一部が磁石によって構成され、当該磁石の磁力によって、当該支持部材を前記壁面に固着することを特徴とする請求項2
または3に記載のタブレット脱落防止機構。
【請求項5】
前記支持部材は、振動を吸収する素材によって形成されていることを特徴とする請求項1
~4のいずれか一つに記載のタブレット脱落防止機構。
【請求項6】
前記支持部材は、板状部材を屈曲させて形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のタブレット脱落防止機構。
【請求項7】
前記基板と前記支持部材とが一体で形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のタブレット脱落防止機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タブレットの脱落を防止するタブレット脱落防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
タブレットとは、表示用(所内結線表示板または模擬母線などに取付けるもの)と、スイッチギヤなどの機器用(機器設置場所へ取付けるもの)の2枚1組として、対称的に作成し、現場手動操作を誤りなくおこなうために使用する合札である。従来から、このタブレットを用いた確認作業がおこなわれている。
【0003】
図1は、タブレットの外観を示す説明図である。
図1において、タブレット100の、(a)は正面図であり、(b)は背面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図であり、(e)は、平面図であり、(f)は、底面図である。
【0004】
図1に示すタブレット100は、機器用のタブレットである。タブレット100は、たとえば、変色しないアクリル製の材質により形成される。タブレット100の一方の面101側は、たとえば朱色とし、他方の面102側は、たとえば、明るい緑色としている。タブレット100の形状は直方体であり、その寸法は、面101の短い辺の長さが、たとえば25mmであり、長い辺の長さが、たとえば30mmであり、厚みが、たとえば6mmである。タブレット100の面101および面102に記載される文字は、白字で彫り込む。面101には、朱色の面に対して、機器を示す文字、数字記号(『No.1 HTr』)および『押入』の文字が記載される。一方、面102には、緑色の平面に対して、機器を示す文字、数字記号(『No.1 HTr』)および『引出』の文字が記載される。
【0005】
図1の各図(a)~(f)からもわかるように、タブレット100は、矩形の平板形状をしており、タブレット100には、面101から面102へ貫通する、3つの挿通孔111、112、113を有する。挿通孔111、112、113の形状は円形であり、その直径は、たとえば3.5mmである。挿通孔111、112、113の配列は、各番号によって異なる。タブレット100は、挿通孔111、112、113の配置を適正にし、他のタブレットと絶対に混同しないものとしている。
【0006】
図2は、現場機器用のタブレット受座の外観を示す説明図である。
図2において、タブレット受座200の、(a)は正面図であり、(b)は背面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図であり、(e)は、平面図であり、(f)は、底面図である。
【0007】
図2に示すタブレット受座200は、機器用のタブレット100を付け外しする現場機器用の受け金具である。タブレット受座200は、たとえば、真鍮製クロームメッキにより形成される。
【0008】
タブレット受座200は、平板形状の基板201と、基板201の一方の面201aに、当該面201aに対して略垂直方向に設けられた、タブレット100の孔部(挿通孔111、112、113)に挿入する突起部(ピン)211、212、213と、から構成される。基板201の寸法は、面201aの短い辺の長さが、たとえば25mmであり、長い辺の長さが、たとえば30mmであり、タブレット100とほぼ同じ寸法である。ピン211、212、213は、円筒状の形状であり、直径は、たとえば3.2mmであり、長さは、たとえば15mm乃至はそれ以上である。したがって、直径が3.2mmであるピン211、212、213を、それぞれタブレット100の挿通孔111、112、113(直径が3.5mm)に貫通させることができる。
【0009】
図3は、タブレットをタブレット受座に取り付ける様子を示す説明図である。
図3において、(a)は、タブレット100がタブレット受座200に取り付けられていない状態を示しており、(b)は、タブレット100がタブレット受座200に取り付けられる途中の状態を示しており、(c)は、タブレット100が(完全に)タブレット受座200に取り付けられた状態を示している。
【0010】
(a)に示すように、作業員は、タブレット100の挿通孔111、112、113の各位置と、タブレット受座200のピン211、212、213の各位置とを確認しながら、タブレット100をタブレット受座200の先端付近に近づける。そして、タブレット受座200のピン211、212、213の各先端をタブレット100の挿通孔111、112、113に挿入する。つぎに、(b)に示すように、作業員は、タブレット100を、挿通孔111、112、113がピン211、212、213の長手方向に沿うように、先端側から基板201側へ移動させる。そして(c)に示すように、タブレット100が基板201に接触することで、タブレット100の取り付けが完了する。
【0011】
タブレット100を取り外すときは、(c)の状態において、作業員は、タブレット100を把持して、タブレット100をピン211、212、213の長手方向に沿って、ピン211、212、213の先端方向へ移動させる。そうすると、(b)に示す状態となる。さらに、タブレット100をピン211、212、213の先端方向へ移動させることによって、(a)に示すように、タブレット100をタブレット受座200から取り外すことができる。
【0012】
このように、作業員は、タブレット100をタブレット受座200に取り付けたり、取り外したりすることによって、作業の状態を確認することができる。
【0013】
関連する技術として、具体的には、たとえば、タブレットに設けた挿通孔と嵌り合うように複数本のピンを配置した各取付台座(タブレット受座)から各タブレットが離脱しないように、取付台座のピンに、突出部が出没自在になる抜け止め構造を有する機器誤認操作防止用タブレットの脱落防止構造に関する技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0014】
また、関連する技術として、具体的には、たとえば、タブレットが垂直面に取付けられている状態で、外的振動があっても表示板、現場機器等からの脱落を防止するために、タブレットの表裏面に磁石をそれぞれ取り付け、結線表示板と現場機器の各取付台座における磁石が重なる位置に磁石吸引金具を設けるタブレットを用いた機器誤認操作防止方法及びそのタブレットに関する技術がある(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2008-116726号公報
【文献】特開2008-118794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来のタブレット受座200は、いずれも、ピン211、212、213の長手方向が、略水平になるように設置されているため、機器の振動などによって、
図3の(c)の状態で取り付けられていたタブレット100が、基板201から離れ、
図3の(b)の状態となり、さらには、
図3の(a)の状態となって、タブレット受座200から脱落してしまうという問題点があった。作業員が知らぬ間に、タブレット100がタブレット受座200から脱落した場合には、作業員は、作業の状態を誤認してしまうという重大な問題が発生する。また、脱落したタブレット100は、機器の奥側など、手の届かない所へ落下してしまって、作業員が容易に回収できない事態になる可能性もある。
【0017】
また、このような脱落を防止するための特許文献1にかかる技術にあっては、抜け止め構造となるようにピンを改造しなければならず、手間も費用もかかるという問題があった。また、特許文献2にかかる技術にあっては、タブレットに磁石を取り付ける改造をしなければならず、また、取付台座に磁石吸引金具を取り付ける改造をしなければならず、特許文献1にかかる技術と同様に、手間も費用もかかるという問題点があった。
【0018】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、タブレットおよびタブレット受座に改良を加えることなく、タブレットの脱落を確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、平板形状の基板と、当該基板の一方の面に当該面に対して略垂直方向に設けられた、タブレットの孔部に挿入する突起部と、からなるタブレット受座を支持して、当該タブレット受座を機器の壁面に固定する支持部材を備え、前記支持部材は、前記タブレット受座を前記壁面に固定した際に、前記突起部の長手方向が水平方向に対して所定の角度を形成し、当該突起部の先端が上方を向くように、当該タブレット受座を支持することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、上記発明において、前記支持部材が、前記基板の前記突起部が設けられた面とは反対の面に接する第1の面と、前記第1の面と所定の角度を有する、前記壁面に接する第2の面と、からなることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、上記発明において、前記支持部材が、振動を吸収する素材によって形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、上記発明において、前記支持部材の前記第1の面が、当該面の全部または一部が磁石によって構成され、当該磁石の磁力によって、前記タブレット受座を固着して支持することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、上記発明において、前記支持部材の前記第2の面が、当該面の全部または一部が磁石によって構成され、当該磁石の磁力によって、当該支持部材を前記壁面に固着することを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、上記発明において、前記支持部材が、板状部材を屈曲させて形成されていることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、上記発明において、前記基板と前記支持部材とが一体で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明にかかるタブレット脱落防止機構によれば、タブレットおよびタブレット受座に改良を加えることなく、タブレットの脱落を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】現場機器用のタブレット受座の外観を示す説明図である。
【
図3】タブレットをタブレット受座に取り付ける様子を示す説明図である。
【
図4】この発明にかかる実施の形態1の支持部材の外観の一例を示す説明図である。
【
図5A】この発明にかかる実施の形態1のタブレット脱落防止機構の内容の一例を示す説明図である。
【
図5B】この発明にかかる実施の形態1のタブレット脱落防止機構の内容の別の一例を示す説明図である。
【
図6】この発明にかかる実施の形態2の支持部材の外観の一例を示す説明図である。
【
図7】この発明にかかる実施の形態2のタブレット脱落防止機構の内容の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるタブレット脱落防止機構の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図4は、この発明にかかる実施の形態1の支持部材の外観の一例を示す説明図である。また、
図5Aは、この発明にかかる実施の形態1のタブレット脱落防止機構の内容の一例を示す説明図である。また、
図5Bは、この発明にかかる実施の形態1のタブレット脱落防止機構の内容の別の一例を示す説明図である。
【0030】
図4において、支持部材400の、(a)は正面図であり、(b)は背面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図であり、(e)は平面図であり、(f)は底面図である。
【0031】
図4において、支持部材400は、第1の面401と、第2の面402を有する。
図4の(a)、(b)からもわかるように、第1の面401と第2の面402は、ともに、略長方形の形状である。第1の面401は、
図2に示した、タブレット受座200の基板201の突起部(ピン211~213)が設けられた面201aとは反対の面201bに接する。したがって、第1の面401は、面201bと略同じ形状であり、寸法も略同じであってもよい。これにより、より安定してタブレット受座200を支持することができる。ただし、第1の面401は、面201bと略同じ形状、略同じ寸法でなくてもよい。第2の面402は、第1の面401と、略同じ形状であり、寸法も略同じであってよい。第2の面402は、
図5A、
図5Bに示すように、機器などの壁面500に接する。
【0032】
第2の面402は、
図4の(c)、(d)からもわかるように、第1の面401と所定の角度を有している。すなわち、第1の面401、第2の面402の間にある、第1の面401、第2の面402とは略垂直な面である第3の面403、第4の面404は、いずれも略三角形の形状をしている。また、
図4の(f)からもわかるように、第5の面405は、略長方形の形状をしている。したがって、支持部材400は、第3の面403、第4の面404を上面または底面とする(すなわち、第1の面401、第2の面402および第5の面405を側面とする)略三角柱の形状をしている。また、所定の角度は、タブレット100が容易に脱落しないのに適した角度であり、具体的には、たとえば、10~15度程度である。ただし、この角度には限定されない。この角度以外の角度であってもよい。
【0033】
このような形状を有する支持部材400は、
図2に示したタブレット受座200を支持して、タブレット受座200を機器の壁面500に固定(固着)する。そうすると、タブレット受座200を壁面500に固定した際に、
図5Aに示すように、突起部(ピン211~213)の長手方向が水平方向に対して所定の角度を形成し、当該突起部(ピン211~213)の先端が上方を向くように、タブレット受座200を支持することができる。
図5Aおよび
図5Bは、
図2の(d)に示したタブレット受座200の右側面図、および、
図4の(d)に示した支持部材400の右側面図が示されている。
【0034】
このように取り付けることによって、
図5Bに示すように、タブレット100をタブレット受座200に取り付けた際に、タブレット100の自重により、タブレット200がタブレット受座200の基板201の面201aに密着した状態を保持することができる。したがって、振動などによって、タブレット100と面201aとの密着が外れたとしても、タブレット100の自重により、即座に密着状態を回復することができる。これにより、タブレット100が、タブレット受座200から脱落してしまうことを確実に防止することができる。より単純な構成で、より安価に、しかも、既存のタブレットやタブレット受座をそのまま使用できるという効果がある。また、タブレットの表面が上側を向くことによって、タブレット照合時の視認性が向上する。
【0035】
支持部材400は、アルミニウムなどの金属、プラスチックなどの素材によって形成される。支持部材400の内部は空洞であってもよい。また、支持部材400は、金属振動を吸収する素材によって形成されていてもよい。振動を吸収する素材は、具体的には、たとえば、ゴムなどの弾性部材からなる材料、スポンジなどの多孔質からなる材料であってもよい。
【0036】
支持部材400の第1の面401は、当該面401の全部または一部が磁石によって構成されていてもよい。そして、その磁石の磁力によって、タブレット受座200(の面201b)を固着して支持するようにしてもよい。磁石によってタブレット受座200を固着することによって、支持部材400をタブレット受座200から容易に取り外し可能となる。
【0037】
支持部材400の第2の面402は、当該面402の全部または一部が磁石によって構成されていてもよい。そして、磁石の磁力によって、支持部材400を壁面500に固着するようにしてもよい。磁石によって支持部材400を壁面500に固着することによって、支持部材400を壁面500から容易に取り外し可能となる。したがって、タブレット受座200の取り付け位置を自由に設定あるいは変更することができる。
【0038】
支持部材400の第1の面401とタブレット受座200の面201bとは、磁石のほか、接着剤を用いるなどの方法により固着(接着)するようにしてもよい。同様に、支持部材400の第2の面402と壁面500とは、磁石のほか、接着剤を用いたり、ネジ止めしたりするなどの方法により固着するようにしてもよい。
【0039】
また、タブレット受座200の基板201と支持部材400とを一体で形成するようにしてもよい。これにより、タブレット受座200の基板201と支持部材400とを固着する必要がなくなり、壁面500に対してタブレット受座200をより容易に取り付けることができる。
【0040】
(実施の形態2)
図6は、この発明にかかる実施の形態2の支持部材の外観の一例を示す説明図である。また、
図7は、この発明にかかる実施の形態2のタブレット脱落防止機構の内容の一例を示す説明図である。
【0041】
図6において、支持部材600の、(a)は正面図であり、(b)は背面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図であり、(e)は平面図であり、(f)は底面図である。
【0042】
図6において、支持部材600は、第1の部材601と、第2の部材602とから構成される。第1の部材601と、第2の部材602とは、板状部材を屈曲させて形成されている。このように、実施の形態1の支持部材400と、実施の形態2の支持部材600との違いは、第1の部材601の先端と第2の部材602の先端が離間しているため、板状部材からなる支持部材600の撓みにより、第1の部材601と、第2の部材602とがそれぞれ独立して可動することができ、それによって、より効率的に壁面500からの振動を吸収することができる点である。
【0043】
図6の(a)、(b)からもわかるように、第1の部材601の外側面601aと第2の部材602の外側面602aは、ともに、略長方形の形状である。第1の部材601の外側面601aは、
図2に示した、タブレット受座200の基板201の突起部(ピン211~213)が設けられた面201aとは反対の面201bに接する。したがって、外側面601aは、面201bと略同じ形状であり、寸法も略同じであってもよい。これにより、より安定してタブレット受座200を支持することができる。ただし、外側面601aは、面201bと略同じ形状、略同じ寸法でなくてもよい。第2の部材602の外側面602aは、第1の部材601の外側面601aと、略同じ形状であり、寸法も略同じであってよい。第2の部材602の外側面602aは、
図7に示すように、機器などの壁面500に接する。
【0044】
第2の部材602は、
図6の(c)、(d)からもわかるように、第1の部材601と所定の角度となるように板状部材を折り曲げて形成されている。所定の角度は、タブレット100が容易に脱落しないのに適した角度であり、具体的には、たとえば、10~15度程度である。ただし、この角度には限定されない。この角度以外の角度であってもよい。このような形状を有する支持部材600は、
図2に示したタブレット受座200を支持して、タブレット受座200を機器の壁面500に固定(固着)する。そうすると、タブレット受座200を壁面500に固定した際に、
図7に示すように、突起部(ピン211~213)の長手方向が水平方向に対して所定の角度を形成し、当該突起部(ピン211~213)の先端が上方を向くように、タブレット受座200を支持することができる。
図7は、
図2の(d)に示したタブレット受座200の右側面図、および、
図6の(d)に示した支持部材600の右側面図が示されている。
【0045】
このように取り付けることによって、
図5Bに示した実施の形態1と同様に、タブレット100をタブレット受座200に取り付けた際に、タブレット100の自重により、タブレット100がタブレット受座200の基板201の面201aに密着した状態を保持することができる。したがって、振動などによって、タブレット100と面201aとの密着が外れたとしても、タブレット100の自重により、即座に密着状態を回復することができる。これにより、実施の形態1と同様に、タブレット100が、タブレット受座200から脱落してしまうことを確実に防止することができる。
【0046】
支持部材600は、アルミニウムなどの金属、プラスチックなどの素材によって形成される。支持部材600は、たとえば、所定の力によって撓む材質のものが望ましい。また、支持部材600は、金属振動を吸収する素材によって形成されていてもよい。振動を吸収する素材は、具体的には、たとえば、硬質ゴムなどの弾性部材からなる材料などであってもよい。
【0047】
支持部材600の第1の部材601の外側面601aは、当該外側面601aの全部または一部が磁石によって構成されていてもよい。そして、その磁石の磁力によって、タブレット受座200(の面201b)を固着して支持するようにしてもよい。磁石によってタブレット受座200を固着することによって、支持部材600をタブレット受座200から容易に取り外し可能となる。
【0048】
支持部材600の第2の部材602の外側面602aは、当該外側面602aの全部または一部が磁石によって構成されていてもよい。そして、磁石の磁力によって、支持部材600を壁面500に固着するようにしてもよい。磁石によって支持部材600を壁面500に固着することによって、支持部材600を壁面500から容易に取り外し可能となる。したがって、タブレット受座200の取り付け位置を自由に設定あるいは変更することができる。
【0049】
支持部材600の第1の部材601の外側面601aとタブレット受座200の面201bとは、磁石のほか、接着剤を用いるなどの方法により固着(接着)するようにしてもよい。同様に、支持部材600の第2の部材602の外側面602aと壁面500とは、磁石のほか、接着剤を用いたり、ネジ止めしたりするなどの方法により固着するようにしてもよい。
【0050】
また、タブレット受座200の基板201と支持部材600とを一体で形成するようにしてもよい。これにより、タブレット受座200の基板201と支持部材600とを固着する必要がなくなり、壁面500に対してタブレット受座200をより容易に取り付けることができる。
【0051】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、平板形状の基板201と、当該基板201の一方の面201aに当該面201aに対して略垂直方向に設けられた、タブレットの孔部111~113に挿入する突起部211~213と、からなるタブレット受座200を支持して、当該タブレット受座200を機器の壁面500に固定する支持部材400、600を備え、支持部材400、600は、タブレット受座200を壁面500に固定した際に、突起部211~213の長手方向が水平方向に対して所定の角度を形成し、突起部211~213の先端が上方を向くように、タブレット受座200を支持するので、一旦取り付けたタブレット100が、タブレット受座200から脱落するのを確実に防止することができる。また、タブレット100の脱落を防止するために、タブレット100やタブレット受座200に改良を施さなくて済む。さらに、タブレット100をタブレット受座200に取り付けた際に、タブレット100の文字などが記載されている表示面が上側を向くので、その表示面が視認しやすくなる。また、突起部211~213に何らの加工を施さないことから、タブレット受座200からのタブレット100の取り外しも容易におこなうことができる。
【0052】
また、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、支持部材400、600が、基板201の突起部211~213が設けられた面201aとは反対の面201bに接する第1の面401、601aと、第1の面401、601aと所定の角度を有する、壁面500に接する第2の面402、602aと、からなるので、支持部材400を用いてタブレット受座200を壁面500に取り付けた際に、確実に突起部211~213の先端が上方を向くようにすることができる。
【0053】
また、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、支持部材400、600が、振動を吸収する素材によって形成されているので、機器の壁面500から伝わる振動をより効率的に吸収することができる。
【0054】
また、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、支持部材400、600の第1の面401、601aが、当該面401、601aの全部または一部が磁石によって構成され、当該磁石の磁力によって、タブレット受座200を固着して支持するので、支持部材400、600をタブレット受座200に容易に固定して支持することができる。
【0055】
また、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、支持部材400、600の第2の面402、602aが、当該面402、602aの全部または一部が磁石によって構成され、当該磁石の磁力によって、支持部材400、600を壁面500に固着するので、支持部材400、600を壁面500に容易に固定することができ、また、タブレット受座200の設置位置を容易に変更することができる。
【0056】
また、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、支持部材600が、板状部材を屈曲させて形成されているので、支持部材600を容易に製造することができる。また、機器の壁面500から伝わる振動をより効率的に吸収することができる。
【0057】
また、この発明にかかる実施の形態のタブレット脱落防止機構は、タブレット受座200の基板201と支持部材400、600とが一体で形成されているので、タブレット受座200と支持部材400、600の固着処理を省略でき、より簡易にタブレット受座200を壁面500に取り付けることができる。また、これにより、部品点数を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、この発明にかかるタブレット脱落防止機構は、スイッチギヤなどの機器用のタブレットがタブレット受座から脱落するのを防止するタブレット脱落防止機構に有用であり、特に、タブレットやタブレット受座を改良することなく、タブレットの脱落を防止するのに適している。
【符号の説明】
【0059】
100 タブレット
200 タブレット受座
201 基板
211、212、213 ピン(突起部)
400、600 支持部材
500 (機器の)壁面