(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2019207521
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉持 一介
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0093083(US,A1)
【文献】特表2018-508046(JP,A)
【文献】特開2016-001287(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080694(WO,A1)
【文献】特表2015-533265(JP,A)
【文献】中国実用新案第205643784(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波遮断用端子が入口に設けられたケージに差し込まれ、一面に前記ケージに形成されたラッチ部と係合する溝部が形成されたモジュール本体と、
前記モジュール本体を抜去する外力を伝達するプルタブが設けられて前記モジュール本体に対して摺動可能に取り付けられ、前記プルタブを介して伝達される外力に応じて摺動する本体部と、前記本体部から前記溝部に沿って延伸し、前記電磁波遮断用端子が押し付けられた状態で、前記本体部の摺動に連動して前記溝部に対して摺動するとともに前記溝部と前記ケージのラッチ部との係合を解除するアーム部とを有する係合解除部材と、
を有し、
前記モジュール本体は、前記溝部の
、前記アーム部に前記電磁波遮断用端子が押し付けられた状態で前記アーム部と接する面に、
格子状の凹部を有
し、
前記凹部は、前記溝部に対して前記アーム部が摺動する方向に対して傾斜するように形成される
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
電磁波遮断用端子が入口に設けられたケージに差し込まれ、一面に前記ケージに形成されたラッチ部と係合する溝部が形成されたモジュール本体と、
前記モジュール本体を抜去する外力を伝達するプルタブが設けられ、前記モジュール本体に対して摺動可能に取り付けられ、前記プルタブを介して伝達される外力に応じて摺動する本体部と、前記本体部から前記溝部に沿って延伸し、前記電磁波遮断用端子が押し付けられた状態で、前記本体部の摺動に連動して前記溝部に対して摺動するとともに前記溝部と前記ケージのラッチ部との係合を解除するアーム部とを有する係合解除部材と、
を有し、
前記係合解除部材は、前記アーム部の
、前記アーム部に前記電磁波遮断用端子が押し付けられた状態で前記溝部と接する面に、
格子状の凹部を有
し、
前記凹部は、前記溝部に対して前記アーム部が摺動する方向に対して傾斜するように形成される
ことを特徴とする光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバを接続して光信号を送受信する光モジュールとして、プラガブル(Pluggable)型のモジュール(以下では、「プラガブルモジュール」と呼ぶことがある)がある。プラガブルモジュールは、例えば、モジュール本体が光伝送装置の基板上に設けられたケージに差し込まれることにより、光伝送装置の電子回路と電気的に接続される。また、モジュール本体がケージに差し込まれる際に、モジュール本体の側面に形成された溝部とケージに形成されたラッチ部とが係合することにより、プラガブルモジュールがケージに対してロックされる。また、プラガブルモジュールには、モジュール本体をケージから抜去する際に、モジュール本体側の溝部とケージ側のラッチ部との係合を解除する係合解除部材が設けられている。
【0003】
係合解除部材は、例えば、プルタブが設けられ、モジュール本体に対して摺動可能に取り付けられる本体部と、本体部からモジュール本体側の溝部に沿って延伸するアーム部とを有する。モジュール本体をケージから抜去する際には、プルタブを介して伝達される外力に応じて本体部がモジュール本体に対して摺動する。そして、アーム部が本体部の摺動に連動してモジュール本体側の溝部に対して摺動するとともにモジュール本体側の溝部とケージ側のラッチ部との係合を解除する。これにより、プラガブルモジュールでは、ケージに対するロックが解除され、モジュール本体がケージから抜去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モジュール本体が差し込まれるケージとモジュール本体との間には、寸法公差等による隙間が存在する。このため、モジュール本体から発せられる電磁波がケージとモジュール本体との隙間を通過してケージの入口から漏洩する可能性がある。この電磁波の漏洩を防止するために、ケージの入口には、電磁波遮断用端子が設けられることが一般的である。電磁波遮断用端子は、EMI(Electro Magnetic Interference)フィンガー又はEMIシールドとも呼ばれる。電磁波遮断用端子は、例えば、板バネ等の弾性部材であり、ケージに差し込まれるモジュール本体に弾性的に接触して、ケージとモジュール本体との隙間を塞ぐ。これにより、ケージとモジュール本体との隙間を通過する電磁波を遮断することができる。
【0006】
電磁波遮断用端子が入口に設けられたケージからモジュール本体を抜去する際には、上述した係合解除部材のアーム部に電磁波遮断用端子が押し付けられる。電磁波用端子がアーム部に押し付けられた状態では、モジュール本体側の溝部とアーム部との接触面での摩擦力によってアーム部の摺動が妨げられ、アーム部によってモジュール本体側の溝部とケージのラッチ部との係合を解除することが困難となる。結果として、ケージに対するロックが解除されず、プラガブルモジュールの抜去動作が阻害される可能性がある。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、光モジュールの抜去動作を円滑化することができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する光モジュールは、一つの態様において、電磁波遮断用端子が入口に設けられたケージに差し込まれ、一面に前記ケージに形成されたラッチ部と係合する溝部が形成されたモジュール本体と、前記モジュール本体を抜去する外力を伝達するプルタブが設けられ、前記モジュール本体に対して摺動可能に取り付けられ、前記プルタブを介して伝達される外力に応じて摺動する本体部と、前記本体部から前記溝部に沿って延伸し、前記電磁波遮断用端子が押し付けられた状態で、前記本体部の摺動に連動して前記溝部に対して摺動するとともに前記溝部と前記ケージのラッチ部との係合を解除するアーム部とを有する係合解除部材と、を有し、前記モジュール本体は、前記溝部の前記アーム部と接する面に、凹部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する光モジュールの一つの態様によれば、光モジュールの抜去動作を円滑化することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1に係る光モジュールが組み込まれる光伝送装置の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る光モジュールの構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例1に係る光モジュールを分解して示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、ラッチ部と溝部との係合を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、電磁波遮断用端子がアーム部に押し付けられた状態を示す図である。
【
図6】
図6は、溝部の底面に格子状の凹部を形成した一例を示す図である。
【
図7】
図7は、溝部の底面にスリット状の凹部を形成した一例を示す図である。
【
図8】
図8は、溝部の底面にスリット状の凹部を形成した他の一例(その1)を示す図である。
【
図9】
図9は、溝部の底面にスリット状の凹部を形成した他の一例(その2)を示す図である。
【
図10】
図10は、溝部の底面にスリット状の凹部を形成した他の一例(その3)を示す図である。
【
図11】
図11は、溝部の底面に複数の有底状の穴からなる凹部を形成した一例を示す図である。
【
図12】
図12は、溝部の底面に複数の突起を囲む形状の凹部を形成した一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施例2に係る光モジュールを分解して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する光モジュールの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。また、各実施例において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0012】
[実施例1]
[光伝送装置の構成]
まず、実施例1に係る光モジュール100が組み込まれる光伝送装置10の構成を説明する。
図1は、実施例1に係る光モジュール100が組み込まれる光伝送装置10の構成の一例を示す斜視図である。
図1に示す光伝送装置10は、例えば、図示しないラックに脱着可能に取り付けられるブレード型のサーバ装置等である。光伝送装置10は、不図示の筐体内に収容された基板11を有する。基板11上には、ケージ12が設けられている。ここでは、ケージ12の数を1個としているが、ケージ12の数はこれに限定されるものではない。ケージ12には、プラガブルモジュールである光モジュール100が差し込まれる。これにより、光モジュール100は、基板11にプリントされた電子回路と電気的に接続される。なお、
図1では、ケージ12に対して光モジュール100が差し込まれる方向が矢印で示されている。
【0013】
ケージ12には、光モジュール100をケージ12に対してロックするためのロック機構が設けられている。本実施例では、ケージ12に、ロック機構として、ラッチ部12aが形成されている。ラッチ部12aは、例えば、ケージ12の内側面から内方へ折れ曲がる板バネ等である。ラッチ部12aによるロックについては、後述される。
【0014】
また、ケージ12の入口には、電磁波遮断用端子13が設けられている。電磁波遮断用端子13は、EMIフィンガー又はEMIシールドとも呼ばれる。電磁波遮断用端子13は、ケージ12の入口の内周面において内側へ突出している。電磁波遮断用端子13は、例えば、板バネ等の弾性部材からなり、ケージ12に差し込まれる光モジュール100(すなわち、後述のモジュール本体110)に弾性的に接触して、ケージ12と光モジュール100との隙間を通過する電磁波を遮断する。
【0015】
[光モジュールの構成]
図2は、実施例2に係る光モジュール100の構成の一例を示す斜視図である。
図3は、実施例2に係る光モジュール100を分解して示す分解斜視図である。
図2及び
図3に示すように、光モジュール100は、ケージ12に差込可能なモジュール本体110と、係合解除部材120とを有する。
【0016】
モジュール本体110は、ケージ12に対応する形状を有する。具体的には、モジュール本体110は、底面、底面に対向する上面、対向する一対の側面、前面及び背面を有する箱体である。モジュール本体110の側面110aには、溝部111が形成されている。溝部111は、底面111a及び底面111aよりも窪んだ段差111bを含んでいる。溝部111は、ケージ12に形成されたラッチ部12aと係合する。
【0017】
図4は、ラッチ部12aと溝部111との係合を説明する説明図である。モジュール本体110がケージ12に差し込まれる際に、
図4の破線で示すように、ケージ12のラッチ部12aが溝部111の段差111bに落ち込んで段差111bに引っ掛かる。これにより、ラッチ部12aと溝部111とが係合する。そして、ラッチ部12aと溝部111とが係合することにより、光モジュール100がケージ12に対してロックされる。
【0018】
図2及び
図3の説明に戻る。係合解除部材120は、モジュール本体110をケージ12から抜去する際に、モジュール本体110側の溝部111とケージ12側のラッチ部12aとの係合を解除するための部材である。係合解除部材120は、本体部121と、本体部121から延伸する2つのアーム部122とを有する。
【0019】
本体部121は、モジュール本体110を抜去する外力を伝達するプルタブ121aが設けられてモジュール本体110に対して摺動可能に取り付けられている。具体的には、本体部121は、金属板からなり、モジュール本体110の底面及び一対の側面110aを囲むように略C字状に折り曲げられ、モジュール本体110の底面に対応する部分に少なくとも2つのフック121b(
図3には1つのみ示す)を有する。そして、本体部121は、フック121bがモジュール本体110の底面に形成されたガイド溝(不図示)に移動可能に引っ掛けられることにより、モジュール本体110に対して摺動可能に取り付けられる。なお、フック121bとモジュール本体110の底面に形成されたガイド溝の内壁面の一部との間には、付勢部材(不図示)が配置され、この付勢部材により本体部121の摺動を妨げる反発力が本体部121へ付与されている。モジュール本体110をケージ12から抜去する際には、本体部121は、プルタブ121aを介して伝達される外力に応じて摺動する。すなわち、本体部121は、上述の付勢部材による反発力に抗いながら、モジュール本体110がケージ12から抜去される方向(つまり、
図1の矢印とは反対の方向)と同一の方向に、モジュール本体110に対して摺動する。
【0020】
アーム部122は、本体部121からモジュール本体110側の溝部111に沿って延伸している。すなわち、2つのアーム部122は、対応する溝部111の底面111aと接してモジュール本体110を挟み込むように配置される。アーム部122は、本体部121の摺動に連動して溝部111に対して摺動するとともに溝部111とケージ12のラッチ部12a(
図4参照)との係合を解除する。具体的には、アーム部122は、その先端に溝部111の段差111bからモジュール本体110の側面110aと同一の高さ位置まで張り出す張出部122aを有する。そして、アーム部122は、溝部111に対して摺動するとともに張出部122aでケージ12のラッチ部12aを溝部111の段差111bから持ち上げることにより、溝部111とケージ12のラッチ部12aとの係合を解除する。これにより、光モジュール100では、ケージ12に対するロックが解除され、モジュール本体110がケージ12から抜去される。
【0021】
ところで、上述したように、ケージ12の入口には、電磁波遮断用端子13(
図1参照)が設けられており、電磁波遮断用端子13は、ケージ12に差し込まれるモジュール本体110に弾性的に接触する。このため、アーム部122は、電磁波遮断用端子13が押し付けられた状態で、本体部121の摺動に連動して溝部111に対して摺動するとともに溝部111とケージ12のラッチ部12aとの係合を解除する。
【0022】
図5は、電磁波遮断用端子13がアーム部122に押し付けられた状態を示す図である。
図5は、
図2のV-V線における断面図に相当する。
図5の矢印で示すように、電磁波遮断用端子13がアーム部122に押し付けられた状態では、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面での摩擦力によってアーム部122の摺動が妨げられる。アーム部122の摺動が妨げられると、アーム部122によってモジュール本体110側の溝部111とケージ12のラッチ部12aとの係合を解除することが困難となる。結果として、ケージ12に対するロックが解除されず、光モジュール100の抜去動作が阻害される可能性がある。
【0023】
これに対して、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との間に所定の隙間を設けることで、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触を回避することが考えられる。しかしながら、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との間に隙間を設けると、モジュール本体110から発せられる電磁波が該隙間を通過してケージの入口から漏洩する可能性がある。このため、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との間に隙間を設けることは、好ましくない。
【0024】
そこで、本実施例の光モジュール100では、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面に凹部を形成することにより、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面での摩擦力を低減させる。例えば、光モジュール100では、
図6に示すように、モジュール本体110の溝部111のアーム部122と接する底面111aに、格子状の凹部112を形成している。
図6は、溝部111の底面111aに格子状の凹部112を形成した一例を示す図である。溝部111のアーム部122と接する底面111aに格子状の凹部112が形成されることにより、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面の表面積が格子状の凹部112に相当する面積だけ減少する。このため、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面での摩擦力が低減され、アーム部122の摺動が妨げられず、アーム部122によってモジュール本体110側の溝部111とケージ12のラッチ部12aとの係合が安定的に解除される。結果として、光モジュール100の抜去動作を円滑化することができる。
【0025】
また、格子状の凹部112は、
図6に示すように、溝部111に対してアーム部122が摺動する方向Aに対して傾斜するように形成されている。すなわち、格子状の凹部112は、方向Aに対して上方に傾斜する複数のスリット状の凹部と方向Aに対して下方に傾斜する複数のスリット状の凹部とが、互いに交差するように配置されて形成されている。これにより、モジュール本体110から発せられる電磁波が格子状の凹部112において乱反射して減衰する。結果として、モジュール本体110から発せられる電磁波が格子状の凹部112を通過して漏洩する事態が回避される。
【0026】
なお、上述の説明では、モジュール本体110の溝部111のアーム部122と接する底面111aに、格子状の凹部112が形成される場合を例に示したが、凹部の形状は、格子状に限定されない。例えば、モジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、スリット状の凹部が形成されてもよい。
図7は、溝部111の底面111aにスリット状の凹部を形成した一例を示す図である。
図7に示すモジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、スリット状の凹部113を有する。スリット状の凹部113は、溝部111に対してアーム部122が摺動する方向Aに延在するように形成されている。これにより、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面での摩擦力がより低減され、光モジュール100の抜去動作をより円滑化することができる。
【0027】
スリット状の凹部113は、
図8に示すように、アーム部122の幅方向の両端部に対応する上下位置において方向Aに延在するように形成されてもよい。
図8は、溝部111の底面111aにスリット状の凹部113を形成した他の一例(その1)を示す図である。スリット状の凹部113をアーム部122の幅方向の両端部に対応する上下位置に形成することにより、凹部113とアーム部122の幅方向の両端部のバリとの間の引っ掛かりを抑制することができる。スリット状の凹部113は、
図9に示すように、溝部111に対してアーム部122が摺動する方向Aに対して傾斜するように形成されてもよい。
図9は、溝部111の底面111aにスリット状の凹部113を形成した他の一例(その2)を示す図である。スリット状の凹部113を方向Aに対して傾斜させることにより、モジュール本体110から発せられる電磁波がスリット状の凹部112において反射して減衰する。結果として、モジュール本体110から発せられる電磁波がスリット状の凹部112を通過して漏洩する事態が回避される。スリット状の凹部113は、複数の個片に分割されてもよい。
図10は、溝部111の底面111aにスリット状の凹部113を形成した他の一例(その3)を示す図である。
図10に示すスリット状の凹部113は、溝部111に対してアーム部122が摺動する方向Aに沿って、島状に分割されている。
【0028】
また、モジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、複数の有底状の穴からなる凹部を形成する構成としてもよい。
図11は、溝部111の底面111aに複数の有底状の穴からなる凹部を形成した一例を示す図である。
図11に示すモジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、複数の有底状の穴からなる凹部114を有する。
図11では、凹部114が配置された領域が、斜線の領域で示されている。凹部114は、複数の有底状の穴が、溝部111に対してアーム部122が摺動する方向Aに沿って千鳥状に配置されて形成されている。これにより、モジュール本体110から発せられる電磁波が複数の有底状の穴からなる凹部114において乱反射して減衰する。結果として、モジュール本体110から発せられる電磁波が凹部114を通過して漏洩する事態が回避される。
【0029】
また、モジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、複数の突起を囲む形状の凹部を形成する構成としてもよい。
図12は、溝部111の底面111aに複数の突起を囲む形状の凹部を形成した一例を示す図である。
図12に示すモジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、複数の突起を囲む形状の凹部115を有する。
図12では、凹部115が配置された領域が、斜線の領域で示されている。凹部115は、溝部111に対してアーム部122が摺動する方向Aに沿って複数の突起が千鳥状に配置されるように底面111aが陥没されて形成されている。これにより、モジュール本体110から発せられる電磁波が複数の突起を囲む形状の凹部115において乱反射して減衰する。結果として、モジュール本体110から発せられる電磁波が凹部115を通過して漏洩する事態が回避される。
【0030】
以上のように、本実施例に係る光モジュール100は、モジュール本体110と、係合解除部材120とを有する。モジュール本体110は、電磁波遮断用端子13が入口に設けられたケージ12に差し込まれ、一面にケージ12に形成されたラッチ部12aと係合する溝部111が形成されている。係合解除部材120は、本体部121と、アーム部122とを有する。本体部121は、モジュール本体110を抜去する外力を伝達するプルタブ121aが設けられてモジュール本体110に対して摺動可能に取り付けられ、プルタブ121aを介して伝達される外力に応じて摺動する。アーム部122は、本体部121から溝部111に沿って延伸し、電磁波遮断用端子13が押し付けられた状態で、本体部121の摺動に連動して溝部111に対して摺動するとともに溝部111とケージ12のラッチ部12aとの係合を解除する。そして、モジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、凹部112、凹部113、凹部114又は凹部115を有する。これにより、光モジュール100は、光モジュール100の抜去動作を円滑化することができる。すなわち、光モジュール100は、ケージ12からモジュール本体110を抜去する際に、アーム部122に電磁波遮断用端子13が押し付けられても、アーム部122の摺動を妨げることなく、溝部111とケージ12のラッチ部12aとの係合を解除できる。また、電磁波遮断用端子13とモジュール本体110との接触が維持されるので、電磁波遮断用端子13によってケージ12とモジュール本体110との隙間を通過する電磁波を安定的に遮断することができる。
【0031】
なお、モジュール本体110は、溝部111のアーム部122と接する底面111aに、凹部112、凹部113、凹部114及び凹部115から選択される少なくとも2つの凹部の組み合わせからなる凹部を有してもよい。
【0032】
[実施例2]
上述した実施例1に係る光モジュール100では、モジュール本体110の溝部111のアーム部122と接する底面111aに、凹部を有する場合を説明した。これに対して、実施例2に係る光モジュール100では、アーム部122の溝部111と接する面に、凹部を有する場合を説明する。
【0033】
図13は、実施例2に係る光モジュール100を分解して示す分解斜視図である。モジュール本体110の側面110aには、溝部111が形成されている。係合解除部材120のアーム部122は、本体部121からモジュール本体110側の溝部111に沿って延伸している。すなわち、2つのアーム部122は、対応する溝部111の底面111aと接してモジュール本体110を挟み込むように配置される。アーム部122は、本体部121の摺動に連動して溝部111に対して摺動するとともに溝部111とケージ12のラッチ部12a(
図4参照)との係合を解除する。アーム部122は、溝部111と接する面(
図13の斜線で示す面)に、凹部を形成している。アーム部122に形成された凹部は、実施例1の凹部112、凹部113、凹部114又は凹部115と同様の形状を有し、モジュール本体110側の溝部111とアーム部122との接触面での摩擦力を低減させる。
【0034】
以上のように、本実施例に係る光モジュール100は、アーム部122の溝部111と接する面に、凹部を有する。これにより、光モジュール100は、光モジュール100の抜去動作を円滑化することができる。
【符号の説明】
【0035】
12 ケージ
12a ラッチ部
13 電磁波遮断用端子
100 光モジュール
110 モジュール本体
110a 側面
111 溝部
111a 底面
111b 段差
112~115 凹部
120 係合解除部材
121 本体部
121a プルタブ
122 アーム部