(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230912BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 D
(21)【出願番号】P 2019228393
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】栃木 康平
(72)【発明者】
【氏名】池澤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翔吾
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173723(JP,A)
【文献】特開2019-204440(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006029(WO,A1)
【文献】特開2000-205000(JP,A)
【文献】特開2010-264841(JP,A)
【文献】特開2017-117074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
F02D 29/00 - 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方の信号機に対して前記自車両の減速支援を行う運転支援装置であって、
前記信号機が通過許可状態であるか否かを判定する信号機状態判定部と、
前記信号機状態判定部により前記信号機が前記通過許可状態ではないと判定された場合に、前記自車両と前記信号機との距離に少なくとも基づいて、予め設定された減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する開始条件判定部と、
前記開始条件判定部により前記減速支援開始条件が満たされたと判定された場合に前記信号機に対する前記自車両の前記減速支援を開始し、前記信号機状態判定部により前記信号機が前記通過
許可状態であると判定された場合又は前記開始条件判定部により前記減速支援開始条件が満たされたと判定されなかった場合には前記信号機に対する前記自車両の前記減速支援を開始しない運転支援部と、
を備え、
前記運転支援部は、前記信号機に対する前記減速支援の実行中に、前記信号機状態判定部により前記信号機が前記通過許可状態になったと判定された場合、予め設定された設定時間の間、前記減速支援の一時的継続を行う、運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援装置に関する技術文献として、特開2013-218429号公報が知られている。この公報には、所定の停止位置で車両停止が予測される場合に車両の減速を支援する運転支援装置において、停止位置までの距離及び車両の車速が所定の条件を満たさない場合に減速支援(減速制御)を行い、所定の条件を満たす場合には減速支援を行わないことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、赤信号の信号機に対する車両の減速支援の実行中において、信号機が青信号に切り換わることが考えられる。信号機が青信号に切り換わっても、横断途中の歩行者など、交通参加者が直ぐに信号機の変化に対応できない場合がある。このような場合に、信号機が青信号に切り換わったことで急に減速支援を終了すると、減速支援の終了に起因して運転者によるブレーキ操作が必要な事態となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、自車両の前方の信号機に対して自車両の減速支援を行う運転支援装置であって、信号機が通過許可状態であるか否かを判定する信号機状態判定部と、信号機状態判定部により信号機が通過許可状態ではないと判定された場合に、自車両と信号機との距離に少なくとも基づいて、予め設定された減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する開始条件判定部と、開始条件判定部により減速支援開始条件が満たされたと判定された場合に信号機に対する自車両の減速支援を開始し、信号機状態判定部により信号機が通過許可状態であると判定された場合又は開始条件判定部により減速支援開始条件が満たされたと判定されなかった場合には信号機に対する自車両の減速支援を開始しない運転支援部と、を備え、運転支援部は、信号機に対する減速支援の実行中に、信号機状態判定部により信号機が通過許可状態になったと判定された場合、予め設定された設定時間の間、減速支援の一時的継続を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、信号機に対する減速支援の実行中に信号機が通過許可状態になったと判定された場合に設定時間の間、減速支援の一時的継続を行うので、急な減速支援の終了により運転者のブレーキ操作が必要となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【
図2】信号機に対する減速支援開始処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】(a)減速支援実行中における信号機切り換わり処理の一例を示すフローチャートである。(b)減速支援の一時的継続処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1に示す運転支援装置100は、乗用車などの車両(自車両)に搭載され、運転者による自車両の運転を支援する装置である。運転支援装置100は、自車両の前方に先行車又は信号機などの減速対象を検出した場合に、所定条件下で自車両の減速支援を行う。減速対象とは、減速支援の対象である。減速対象には、先行車、信号機、及び一時停止線が含まれる。減速対象には、先行車以外にも歩行者、自転車などが含まれてもよく、信号機及び一時停止線以外にも、カーブ、横断歩道、落下物、工事用設置物、構造物などが含まれてもよい。
【0010】
減速支援とは、自車両を予め設定された目標車速まで減速させる運転支援である。目標車速は特に限定されず、0km/hであってもよく、10km/hであってもよい。目標車速は減速対象の種別に応じて決められていてもよい。減速対象が信号機である場合、信号機の点灯状態(青信号、黄信号、赤信号などの点灯状態)に応じて減速支援の目標車速を変更してもよい。目標車速は、減速対象が先行車などの移動する物である場合、自車両の速度に限られず、自車両と減速対象との相対速度を用いてもよい。
【0011】
[運転支援装置の構成]
一実施形態に係る運転支援装置100の構成について図面を参照して説明する。
図1に示すように、運転支援装置100は、装置を統括的に管理する運転支援ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。運転支援ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などを有する電子制御ユニットである。運転支援ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。運転支援ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0012】
運転支援ECU10は、外部センサ1、内部センサ2、HMI[Human Machine Interface]3、及びアクチュエータ4と接続されている。
【0013】
外部センサ1は、自車両の周辺の状況を検出する検出機器である。外部センサ1は、カメラ、レーダセンサのうち少なくとも一つを含む。カメラは、自車両の外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば自車両のフロントガラスの裏側に設けられ、自車両の前方を撮像する。カメラは、自車両の外部状況に関する撮像情報を運転支援ECU10へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0014】
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自車両の周囲の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自車両の周囲に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体の情報を運転支援ECU10へ送信する。物体には、ガードレール、建物などの固定障害物の他、歩行者、自転車、他車両などの移動障害物が含まれる。
【0015】
内部センサ2は、自車両の走行状態を検出する検出機器である。内部センサ2は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、自車両の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を運転支援ECU10に送信する。
【0016】
加速度センサは、自車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、例えば、自車両の加速度情報を運転支援ECU10に送信する。ヨーレートセンサは、自車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自車両のヨーレート情報を運転支援ECU10へ送信する。
【0017】
HMI3は、運転支援装置100と運転者との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI3は、例えばディスプレイ及びスピーカなどを備えている。HMI3は、運転支援ECU10からの制御信号に応じて、ディスプレイの画像出力及びスピーカの音声出力を行う。ディスプレイはHUD[Head Up Display]であってもよい。
【0018】
アクチュエータ4は、自車両の制御に用いられるデバイスである。アクチュエータ4は、駆動アクチュエータ及びブレーキアクチュエータを少なくとも含む。アクチュエータ4は、操舵アクチュエータを含んでもよい。駆動アクチュエータは、運転支援ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自車両の駆動力を制御する。なお、自車両がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに運転支援ECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自車両が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに運転支援ECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ4を構成する。
【0019】
ブレーキアクチュエータは、運転支援ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自車両の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を運転支援ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、自車両の操舵トルクを制御する。
【0020】
次に、運転支援ECU10の機能的構成について説明する。
図1に示すように、運転支援ECU10は、減速対象検出部11、相対状況認識部12、信号機状態判定部13、開始条件判定部14、運転支援部15、及び通知部16を有している。なお、以下に説明する運転支援ECU10の機能の一部は、自車両と通信可能なサーバにおいて実行される態様であってもよい。
【0021】
減速対象検出部11は、外部センサ1の検出結果に基づいて、自車両の前方の減速対象であるの減速対象を検出しているか否かを判定する。の減速対象とは、減速支援を実行していない状態で最初に検出された減速対象である。減速対象検出部11は、減速対象の種別(先行車、信号機、一時停止線などの種別)を認識する。減速対象検出部11は、例えばカメラにより撮像された自車両の前方の撮像画像に基づいて、予め記憶された種別ごとの画像パターンを用いたパターンマッチングを行うことにより、減速対象の検出及び種別の認識を行う。減速対象検出部11は、レーダセンサの物体情報に基づいて減速対象の種別を認識してもよい。
【0022】
相対状況認識部12は、自車両と減速対象との相対状況を認識する。相対状況には、少なくとも自車両と減速対象との距離(自車両の前後方向又は進行方向における距離)が含まれる。相対状況には、自車両と減速対象との相対速度が含まれてもよい。
【0023】
相対状況認識部12は、例えば外部センサ1の検出結果に基づいて、自車両と減速対象との相対状況を認識する。相対状況認識部12は、減速対象が自車両と車々間通信可能な車両である場合には、車々間通信により取得した情報を用いて自車両と減速対象との相対状況を認識してもよい。相対状況認識部12は、例えば車々間通信により取得した減速対象の速度と自車両の速度とに基づいて、自車両と減速対象との相対速度を認識してもよい。
【0024】
信号機状態判定部13は、例えば減速対象検出部11により減速対象としての信号機が認識された場合、外部センサ1の検出結果(例えばカメラの撮像画像)に基づいて信号機が通過許可状態であるか否かを判定する。ここで、通過許可状態とは、自車両の走行車線の進行方向に対して通過を許可した状態を意味する。自車両の走行車線の進行方向は、走行車線の路面に示された矢印(路面ペイントの矢印)の画像認識又は走行車線の進行方向を示す標識の画像認識などから認識することができる。自車両の走行車線の進行方向は、自車両の位置と地図情報(車線毎の進行方向情報を有する地図情報)から認識してもよい。
【0025】
信号機状態判定部13は、例えば信号機が左折矢印付き信号機であり、自車両の走行車線が左折専用レーンである場合には、左折矢印が点灯しているときに通過許可状態であると判定する。信号機状態判定部13は、自車両の走行車線が直進専用レーンである場合には、左折矢印が点灯していても通過許可状態であると判定しない。信号機状態判定部13は、自車両の走行車線が直進専用レーンである場合には、信号機が青信号であるとき又は信号機の直進矢印が点灯しているときに通過許可状態であると判定する。
【0026】
信号機状態判定部13は、自車両の走行車線の進行方向を認識できなかった場合には、信号機の点灯状態に基づいて信号機が通過許可状態であるか否かを判定する。この場合、信号機状態判定部13は、信号機の点灯状態が青信号であるとき通過許可状態であると判定してもよい。以下、信号機が自車両の走行車線に対して通過を禁止している状態を通過禁止状態、通過許可状態から通過禁止状態へ遷移する途中の状態を遷移状態と呼ぶ。通過禁止状態は一例として赤信号である。遷移状態は一例として黄信号である。
【0027】
開始条件判定部14は、減速対象に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。減速支援開始条件とは、減速支援の開始の判定に用いるために予め設定された条件である。開始条件判定部14は、自車両と減速対象との距離に少なくともに基づいて、減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。
【0028】
減速支援開始条件は、減速対象の種別に応じて変更される。開始条件判定部14は、例えば減速対象の種別が先行車である場合、自車両と減速対象との相対状況(例えばTTC)に基づいて、先行車に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。
【0029】
具体的に、減速対象が信号機である場合について説明する。開始条件判定部14は、信号機状態判定部13により信号機が通過許可状態ではないと判定された場合、自車両と信号機との距離に少なくとも基づいて、信号機に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。なお、信号機が通過許可状態ではないことを減速支援開始条件の一つとしてもよい。
【0030】
開始条件判定部14は、例えば自車両と信号機との距離が距離閾値未満であるとき、減速支援開始条件が満たされたと判定する。距離閾値は予め設定された値の閾値である。ここで、自車両と信号機との距離の算出に用いる信号機の位置は、信号機そのものの位置を用いてもよく、信号機の手前の一時停止線の位置を用いてもよい。開始条件判定部14は、一時停止線の白線の擦れなどにより外部センサ1によって信号機の手前の一時停止線を検出できなかったときには、信号機から一定距離手前の位置に一時停止線が存在すると仮定して、自車両と信号機との距離の算出に用いてもよい。
【0031】
また、開始条件判定部14は、自車両と信号機との距離ではなく、自車両と信号機とのTTC[Time To Collusion]を用いて減速支援開始条件の判定を行ってもよい。開始条件判定部14は、例えば自車両と信号機とのTTCがTTC閾値未満であるとき、信号機に対する減速支援開始条件が満たされたと判定する。TTCは、自車両と信号機との距離を自車両の車速で除して求められる。TTC閾値は予め設定された値の閾値である。
【0032】
運転支援部15は、開始条件判定部14により減速支援開始条件が満たされたと判定された場合、自車両の運転支援として減速支援を開始する。運転支援部15は、アクチュエータ4に対して制御信号を送信することで、自車両の減速支援を行う。運転支援部15は、例えば自車両と減速対象との距離及び自車両の速度に基づいて、自車両が予め設定された目標速度まで減速するように減速支援を行う。
【0033】
運転支援部15は、例えば減速対象の種別に応じて予め設定された目標車速を用いて減速支援を実行する。運転支援部15は、減速対象の種別が通過禁止状態の信号機である場合、減速支援の目標車速を停止用の目標車速(例えば0km/h)とする。なお、停止用の目標車速は必ずしも0km/hである必要はなく、0km/h付近の値であってもよい。
【0034】
一方、運転支援部15は、開始条件判定部14により減速支援開始条件が満たされたと判定されなかった場合には、減速支援を開始しない。また、運転支援部15は、減速対象が信号機の場合において、信号機状態判定部13により信号機が通過許可状態であると判定された場合には、減速支援を開始しない。
【0035】
運転支援部15は、減速支援の実行中に、運転者による減速支援の解除操作が行われた場合には、減速支援を終了する。減速支援の解除操作には、例えば運転支援機能をオフにする操作、一定量以上のアクセルペダル操作又は一定量以上のステアリング操作などが含まれる。
【0036】
また、運転支援部15は、自車両が減速支援により停止した場合、減速支援を終了する。運転支援部15は、減速支援の実行中に、減速支援開始条件を満たさなくなった場合(例えば先行車の加速により自車両と先行車との距離が開いた場合など)、減速支援を終了してもよい。なお、減速支援の終了条件は減速支援開始条件とは異なる条件としてもよい。
【0037】
運転支援部15は、減速対象が信号機の場合において、減速支援の実行中に信号機状態判定部13により信号機が通過許可状態であると判定された場合(信号機が通過禁止状態又は遷移状態から通過許可状態に切り換わった場合)、信号機までの到達時間が時間閾値未満であるか否かを判定する。信号機までの到達時間は、自車両と信号機との距離及び自車両の車速に基づいて算出される。信号機までの到達時間は、更に自車両の減速度を踏まえて算出されてもよい。時間閾値とは予め設定された値の閾値である。
【0038】
運転支援部15は、信号機までの到達時間が時間閾値未満ではないと判定した場合、減速支援を終了する。一方、運転支援部15は、信号機までの到達時間が時間閾値未満である判定した場合、設定時間の間、減速支援の一時的継続を行う。設定時間は、予め設定された時間である。設定時間は、特に限定されないが、3秒であってもよく、5秒であってもよい。減速支援の一時的継続とは、信号機が通過許可状態であると判定されなかった場合に行われる減速支援の内容を一時的に継続することである。
【0039】
運転支援部15は、減速支援の一時的継続において、設定時間が経過したか否かを判定する。運転支援部15は、設定時間が経過したと判定した場合、減速支援を終了する。
【0040】
通知部16は、自車両の運転者に対して運転支援に関する通知を行う。通知部16は、HMI3に制御信号を送信することにより、ディスプレイの画像出力及びスピーカの音声出力の少なくとも一方を含む通知を行う。通知部16は、開始条件判定部14により減速支援開始条件が満たされたと判定された場合、減速支援開始通知を行ってもよい。減速支援開始通知とは、減速支援の開始を運転者に伝えるための通知である。減速支援開始通知の内容は特に限定されない。
【0041】
通知部16は、減速支援の一時的継続を行う場合に、運転者に対して減速支援の一時的継続を行う旨を通知してもよい。この場合、通知部16は、運転者に対して信号機が通過許可状態になったことを通知してもよく、減速支援の一時的継続の残り時間を通知してもよい。
【0042】
[運転支援装置の処理]
次に、本実施形態の運転支援装置100の処理について図面を参照して説明する。ここでは、減速対象が信号機の場合について説明する。
図2は信号機に対する減速支援開始処理の一例を示すフローチャートである。この減速支援開始処理は、運転支援機能がオンになっている場合に減速対象としての信号機が検出されたときに行われる。
【0043】
図2に示すように、運転支援装置100の運転支援ECU10は、S10として、減速対象検出部11による信号機の認識を行う。減速対象検出部11は、外部センサ1の検出結果(例えばカメラの撮像画像)に基づいて信号機の点灯状態を認識する。このとき、減速対象検出部11は、外部センサ1の検出結果(例えばカメラの撮像画像)に基づいて、自車両の走行車線の進行方向を認識してもよい。
【0044】
S12において、運転支援ECU10は、信号機状態判定部13により信号機が通過許可状態ではないか否かを判定する。信号機状態判定部13は、例えば信号機の点灯状態及び自車両の走行車線の進行方向に基づいて上記判定を行う。運転支援ECU10は、信号機が通過許可状態ではないと判定された場合(S12:YES)、S14に移行する。運転支援ECU10は、信号機が通過許可状態であると判定された場合(S12:NO)、今回の処理を終了する。その後、運転支援ECU10は、一定時間の経過後に再びS10から処理を繰り返す。
【0045】
S14において、運転支援ECU10は、開始条件判定部14により信号機に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。開始条件判定部14は、自車両と信号機との距離に少なくともに基づいて上記判定を行う。運転支援ECU10は、信号機に対する減速支援開始条件が満たされたと判定された場合(S14:YES)、S16に移行する。運転支援ECU10は、信号機に対する減速支援開始条件が満たされた場合(S14:NO)、今回の処理を終了する。その後、運転支援ECU10は、一定時間の経過後に再びS10から処理を繰り返す。
【0046】
S16において、運転支援ECU10は、運転支援部15により信号機に対する減速支援の開始を行う。運転支援部15は、アクチュエータ4に対して制御信号を送信することで、自車両の減速支援を行う。
【0047】
続いて、
図3(a)は減速支援実行中における信号機切り換わり処理の一例を示すフローチャートである。信号機切り換わり処理は、信号機に対する減速支援の実行中に行われる。
【0048】
図3(a)に示すように、運転支援ECU10は、S20として、信号機状態判定部13により信号機が通過許可状態に切り換わったか否かを判定する。信号機状態判定部13は、例えば信号機の点灯状態及び自車両の走行車線の進行方向に基づいて上記判定を行う。運転支援ECU10は、信号機が通過許可状態に切り換わったと判定された場合(S20:YES)、S22に移行する。運転支援ECU10は、信号機が通過許可状態に切り換わったと判定されなかった場合(S20:NO)、今回の処理を終了する。その後、運転支援ECU10は、信号機に対する減速支援が続いている場合、一定時間の経過後に再びS20から処理を繰り返す。
【0049】
S22において、運転支援ECU10は、運転支援部15により信号機までの到着時間が時間閾値未満であるか否かを判定する。運転支援ECU10は、信号機までの到着時間が時間閾値未満であると判定された場合(S22:YES)、S24に移行する。運転支援ECU10は、信号機までの到着時間が時間閾値未満であると判定された場合(S22:NO)、S26に移行する。
【0050】
S24において、運転支援ECU10は、運転支援部15により減速支援の一時的継続を行う。運転支援部15は、予め設定された設定時間の間、減速支援を継続する一時的継続を行う。S26において、運転支援ECU10は、運転支援部15による減速支援の終了を行う。
【0051】
図3(b)は減速支援の一時的継続処理の一例を示すフローチャートである。
図3(b)に示すように、運転支援ECU10は、S30として、運転支援部15により設定時間が経過したか否かを判定する。運転支援ECU10は、設定時間が経過したと判定された場合(S30:YES)、S32に移行する。運転支援ECU10は、設定時間が経過していないと判定された場合(S30:NO)、今回の処理を終了する。その後、運転支援ECU10は、一定時間の経過後に再びS30から処理を繰り返す。
【0052】
S32において、運転支援ECU10は、運転支援部15により信号機に対する減速支援を終了(減速支援の一時的継続を終了)する。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る運転支援装置100によれば、信号機に対する減速支援の実行中に信号機が通過許可状態になったと判定された場合には、設定時間の間、減速支援の一時的継続を行うので、急な減速支援の終了により運転者のブレーキ操作が必要となることを抑制することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0055】
例えば運転支援部15は、減速支援の実行中に信号機が通過許可状態であると判定された場合に、必ずしも信号機までの到達時間が時間閾値未満であるか否かを判定する必要はない。運転支援部15は、減速支援の実行中に信号機が通過許可状態であると判定された場合には、設定時間の間、減速支援の一時的継続を行う態様であってもよい。設定時間は、信号機が通過許可状態であると判定されたときの自車両と信号機との距離又は信号機までの到達時間に応じて変更されてもよい。設定時間は、自車両と信号機との距離又は信号機までの到達時間が長いほど長い時間として設定されてもよい。
【0056】
信号機状態判定部13は、必ずしも自車両の走行車線の進行方向を認識する必要はない。信号機状態判定部13は、信号機の点灯状態から信号機が通過許可状態であるか否かを判定してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…外部センサ、2…内部センサ、3…HMI、4…アクチュエータ、10…運転支援ECU、11…減速対象検出部、12…相対状況認識部、13…信号機状態判定部、14…開始条件判定部、15…運転支援部、16…通知部、100…運転支援装置。