(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】パージ制御弁装置
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20230912BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20230912BHJP
【ＦＩ】
F02M25/08 301Z
F16K31/06 305A
【請求項の数】
9
(21)【出願番号】P 2019228546
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021095893
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】河村 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 義彦
(72)【発明者】
【氏名】中神 有容
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平０７－００４３２４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１６－０１７４２１（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００３－２５４４６５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０７－２６９７３４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特許第５７１７８７６（ＪＰ，Ｂ２）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｆ０２Ｍ ２５／０８
Ｆ１６Ｋ ３１／０６
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、
前記流入ポートと前記流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、
前記第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、
前記第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、
樹脂成形品であり、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、
を備え、
前記ソレノイドハウジングは、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（５１；１５１）を備え、
複数の前記肉盗み部は、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の並び方向に細長い形状の凹部が前記並び方向に対して交差する交差方向に並んで、形成されているパージ制御弁装置。
【請求項2】
キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、
蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、
前記流入ポートと前記流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、
前記第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、
前記第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、
樹脂成形品であり、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、
を備え、
前記ソレノイドハウジングは、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（１５１；２５１；３５１）を備え、
複数の前記肉盗み部は、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に細長い凹部が前記並び方向に並んで、形成されているパージ制御弁装置。
【請求項3】
前記肉盗み部は、前記第１ソレノイド部の軸方向長さおよび前記第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている請求項１または請求項２に記載のパージ制御弁装置。
【請求項4】
キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、
蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、
前記流入ポートと前記流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、
前記第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、
前記第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、
樹脂成形品であり、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、
を備え、
前記ソレノイドハウジングは、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（５１；１５１；２５１；３５１）を備え、
前記ソレノイドハウジングは、前記第１ソレノイド部の周囲において前記肉盗み部群とは反対側に位置する部位に形成された複数個の肉盗み部（５３ａ）を含む第１ソレノイド側肉盗み部群（５３）と、前記第２ソレノイド部の周囲において前記肉盗み部群とは反対側に位置する部位に形成された複数個の肉盗み部（５４ａ）を含む第２ソレノイド側肉盗み部群（５４）と、を備えるパージ制御弁装置。
【請求項5】
前記ソレノイドハウジングは、車両側部材に対して取り付けるために、前記第１ソレノイド側肉盗み部群が形成された部分から前記第１ソレノイド部に対して外方に突出した第１ソレノイド側被取付部（３４）と、車両側部材に対して取り付けるために、前記第２ソレノイド側肉盗み部群が形成された部分から前記第２ソレノイド部に対して外方に突出した第２ソレノイド側被取付部（３５）と、を備える請求項４に記載のパージ制御弁装置。
【請求項6】
キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、
蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、
前記流入ポートと前記流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、
前記第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、
前記第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、
樹脂成形品であり、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、
を備え、
前記ソレノイドハウジングは、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（３５１）を備え、
前記肉盗み部群は、前記第２ソレノイド部よりも前記第１ソレノイド部寄りに位置する第１肉盗み部群と、前記第１ソレノイド部よりも前記第２ソレノイド部寄りに位置する第２肉盗み部群とを含み、
前記第１肉盗み部群と前記第２肉盗み部群は、非対称に形成されているパージ制御弁装置。
【請求項7】
前記第１肉盗み部群は、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に並ぶ複数個の肉盗み部を含んで形成されており、前記第２肉盗み部群は、前記第１肉盗み部群に含まれる肉盗み部とは形状が異なる肉盗み部が、前記交差方向に複数個並んで形成されている請求項６に記載のパージ制御弁装置。
【請求項8】
車両側部材に対して取り付けるために、前記ソレノイドハウジングに形成された被取付部（３６）と、前記被取付部においてインサート成形された金属製の補強部材（３６ａ）と、を備え、
前記被取付部は、前記肉盗み部群が形成された部分から、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に突出した樹脂成形部分である請求項６または請求項７に記載のパージ制御弁装置。
【請求項9】
前記第１肉盗み部群は、前記第１ソレノイド部と前記第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に並ぶ複数個の肉盗み部を含んで形成されており、
前記第２肉盗み部群は、前記第１肉盗み部群を形成する前記肉盗み部の個数とは異なる個数の肉盗み部が、前記交差方向に並んで形成されている請求項６から請求項８のいずれか一項に記載のパージ制御弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、パージ制御弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献１には、１個の電磁弁をそれぞれ内蔵した２個のハウジングを備えるパージ制御弁装置が開示されている。特許文献１のパージ制御弁装置は、電磁弁を内蔵する２個のハウジングと、各電磁弁が着座する弁座をそれぞれ有する２個のシートバルブ部材とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第５７１７８７６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
２個の電磁弁を内蔵するハウジングを成形する場合には、電磁弁を構成するソレノイド部には、樹脂が流れる通路が狭い箇所が生じ、樹脂材料が流動しにくいという課題がある。
【0005】
この明細書に開示する目的の一つは、ソレノイド部における樹脂流動を図るパージ制御弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（５１；１５１）を備える。複数の肉盗み部は、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向に細長い形状の凹部が並び方向に対して交差する交差方向に並んで、形成されている。
また、開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（１５１；２５１；３５１）を備える。複数の肉盗み部は、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に細長い凹部が並び方向に並んで、形成されている。
また、開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（５１；１５１；２５１；３５１）を備える。ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群とは反対側に位置する部位に形成された複数個の肉盗み部（５３ａ）を含む第１ソレノイド側肉盗み部群（５３）と、第２ソレノイド部の周囲において肉盗み部群とは反対側に位置する部位に形成された複数個の肉盗み部（５４ａ）を含む第２ソレノイド側肉盗み部群（５４）と、を備える。
また、開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（３５１）を備える。肉盗み部群は、第２ソレノイド部よりも第１ソレノイド部寄りに位置する第１肉盗み部群と、第１ソレノイド部よりも第２ソレノイド部寄りに位置する第２肉盗み部群とを含み、第１肉盗み部群と第２肉盗み部群は、非対称に形成されている。
また、開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（１５１；２５１；３５１）を備える。複数の肉盗み部は、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に細長い凹部が並び方向に並んで、形成されている。
また、開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（５１；１５１；２５１；３５１）を備える。ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群とは反対側に位置する部位に形成された複数個の肉盗み部（５３ａ）を含む第１ソレノイド側肉盗み部群（５３）と、第２ソレノイド部の周囲において肉盗み部群とは反対側に位置する部位に形成された複数個の肉盗み部（５４ａ）を含む第２ソレノイド側肉盗み部群（５４）と、を備える。
また、開示されたパージ制御弁装置の一つは、キャニスタ（１３）から流出した蒸発燃料が流入する流入ポート（３１ａ）と、蒸発燃料がエンジン（２）に向けて流出する流出ポート（３２ａ）と、流入ポートと流出ポートとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路（４３ａ）および第２内部通路（４３ｂ）と、第１内部通路を開閉可能な第１弁体（４２ａ）を変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部（３７）と、第２内部通路を開閉可能な第２弁体（４２ｂ）を変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部（３８）と、樹脂成形品であり、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵するソレノイドハウジング（３１）と、を備え、ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部を含む肉盗み部群（３５１）を備える。肉盗み部群は、第２ソレノイド部よりも第１ソレノイド部寄りに位置する第１肉盗み部群と、第１ソレノイド部よりも第２ソレノイド部寄りに位置する第２肉盗み部群とを含み、第１肉盗み部群と第２肉盗み部群は、非対称に形成されている。
【0008】
この装置によれば、ソレノイド部とソレノイド部との間に形成された肉盗み部群の存在により、成形時に２つのソレノイド部間に流れにくい樹脂流動を形成できる。この樹脂流動特性により、各ソレノイド部の樹脂モールド部分への樹脂流動を促すことができる。したがって、各ソレノイド部における部品間に形成された狭い樹脂通路に樹脂が充填しやすく強度確保が図れるソレノイドハウジングを提供できる。以上により、ソレノイド部における樹脂流動を図るパージ制御弁装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第１実施形態のパージ制御弁装置を備えた蒸発燃料処理装置の構成図である。
【図2】第３被取付部を正面から視たパージ制御弁装置の部分断面図である。
【図3】パージ制御弁装置の背面図である。
【図4】第２被取付部を正面から視たパージ制御弁装置の側面図である。
【図5】第１被取付部を正面から視たパージ制御弁装置の側面図である。
【図6】パージ制御弁装置における流入側ハウジングの外観図である。
【図7】流出側ハウジング側から視たパージ制御弁装置の外観図である。
【図8】２個の電磁弁、流入ポートおよび流出ポートの位置関係を示す概要図である。
【図11】第２実施形態に係る流入側ハウジングの外観図である。
【図12】第３実施形態に係る流入側ハウジングの外観図である。
【図13】第４実施形態に係る流入側ハウジングの外観図である。
【図14】第５実施形態に係る流入側ハウジングの外観図である。
【図15】第６実施形態に係る流入側ハウジングの外観図である。
【図16】第７実施形態に係る流入側ハウジングの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0011】
＜第１実施形態＞
第１実施形態について図１～図１０を参照しながら説明する。パージ制御弁装置は、車両に搭載される蒸発燃料パージシステムである蒸発燃料処理装置１に用いられる。パージバルブ３は、パージ制御弁装置の一例である。蒸発燃料処理装置１は、図１に示すように、キャニスタ１３に吸着した燃料中のＨＣガス等をエンジン２の吸気通路に供給する。これにより、燃料タンク１０からの蒸発燃料が大気に放出されることを防止できる。蒸発燃料処理装置１は、内燃機関であるエンジン２の吸気通路を構成するエンジン２の吸気系と、蒸発燃料をエンジン２の吸気系に供給する蒸発燃料パージ系とを備える。
第１実施形態について図１～図１０を参照しながら説明する。パージ制御弁装置は、車両に搭載される蒸発燃料パージシステムである蒸発燃料処理装置１に用いられる。パージバルブ３は、パージ制御弁装置の一例である。蒸発燃料処理装置１は、図１に示すように、キャニスタ１３に吸着した燃料中のＨＣガス等をエンジン２の吸気通路に供給する。これにより、燃料タンク１０からの蒸発燃料が大気に放出されることを防止できる。蒸発燃料処理装置１は、内燃機関であるエンジン２の吸気通路を構成するエンジン２の吸気系と、蒸発燃料をエンジン２の吸気系に供給する蒸発燃料パージ系とを備える。
【0012】
エンジン２の吸気圧によって吸気通路に導入された蒸発燃料は、インジェクタ等からエンジン２に供給される燃焼用燃料と混合されて、エンジン２の燃焼室で燃焼される。エンジン２は少なくともキャニスタ１３から脱離された蒸発燃料と燃焼用燃料とを混合して燃焼する。エンジン２の吸気系は、吸気通路を構成する吸気管２１が吸気マニホールド２０に接続されている。この吸気系は、さらに吸気管２１の途中にスロットルバルブ２５、エアフィルタ２４等が設けられて構成されている。
【0013】
蒸発燃料パージ系において燃料タンク１０とキャニスタ１３は、ベーパ通路を構成する配管１１によって接続されている。蒸発燃料パージ系においてキャニスタ１３と吸気管２１は、パージ通路を構成する配管１４とパージバルブ３とを介して接続されている。また、パージ通路の途中には、パージポンプを設けるように構成してもよい。エアフィルタ２４は、吸気管２１の上流部に設けられ、吸気中の塵や埃等を捕捉する。スロットルバルブ２５は、吸気マニホールド２０の入口部の開度を調節して、吸気マニホールド２０内に流入する吸気量を調節する吸気量調節弁である。吸気は、吸気通路を通過して吸気マニホールド２０内に流入し、インジェクタ等から噴射される燃焼用燃料と所定の空燃比となるように混合されて燃焼室で燃焼される。
【0014】
燃料タンク１０は、例えばガソリン等の燃料を貯留する容器である。燃料タンク１０は、ベーパ通路を形成する配管１１によってキャニスタ１３の流入部に接続されている。キャニスタ１３は、内部に活性炭等の吸着材が封入された容器である。キャニスタ１３は、燃料タンク１０内で発生する蒸発燃料を、ベーパ通路を介して取り入れて吸着材に一時的に吸着する。
【0015】
キャニスタ１３には、バルブモジュール１２が一体に設けられ、またはダクト部を介して設けられている。バルブモジュール１２には、キャニスタクローズバルブと内部ポンプとを含んでいる。キャニスタクローズバルブは、外部の新鮮な空気を吸入するための吸入部を開閉する。内部ポンプは、大気に対してガスを放出したり、大気を吸入したりすることが可能なポンプである。キャニスタ１３はキャニスタクローズバルブを備えることにより、キャニスタ１３内に大気圧を作用させることができる。キャニスタ１３は、吸入された新鮮な空気によって吸着材に吸着した蒸発燃料を容易に脱離可能、すなわちパージすることができる。
【0016】
パージバルブ３は、パージ通路の一部である内部通路を開閉する弁体を備えたパージ制御弁装置である。パージ制御弁装置は、複数の電磁弁を内部に有する。パージバルブ３は、キャニスタ１３からの蒸発燃料をエンジン２へ供給することを許可および阻止できる。パージバルブ３の構成について説明する。パージバルブ３は、ハウジングの内部に設けられた複数の内部通路のそれぞれを開閉する電磁弁を有している。パージバルブ３は、１個の流入ポート３１ａと１個の流出ポート３２ａとを備える。流入ポート３１ａは、接続された配管１４を介してキャニスタ１３に連通している。流入ポート３１ａは、キャニスタ１３から流出した蒸発燃料が流入する流入通路３１ａ１を有している。流出ポート３２ａは、接続された配管を介して吸気管２１に連通している。流出ポート３２ａは、蒸発燃料がエンジン２に向けて流出する流出通路３２ａ１を有している。パージバルブ３の内部には、流入ポート３１ａよりも下流側で分岐する２個の内部通路が設けられている。この２個の内部通路は、さらに下流において流出ポート３２ａに集約されている。２個の内部通路のそれぞれは、電磁弁によって個別に開閉される通路である。
【0017】
車両の走行時に、制御装置によってパージバルブ３が開弁状態になると、ピストンの吸入作用によって発生する吸気マニホールド２０内の負圧とキャニスタ１３にかかる大気圧との差が生じる。この圧力差によって、キャニスタ１３内に吸着された蒸気燃料は、パージ通路、パージバルブ３を流れ、吸気管２１内を通じて吸気マニホールド２０内に吸引される。
【0018】
吸気マニホールド２０内に吸引された蒸発燃料は、インジェクタ等からエンジン２に供給される本来の燃焼用燃料と混合されて、エンジン２のシリンダ内で燃焼される。エンジン２のシリンダ内においては、燃焼用燃料と吸気との混合割合である空燃比が予め定めた所定の空燃比となるように制御される。制御装置は、パージバルブ３をデューティ通電制御することで、蒸発燃料をパージしても、所定の空燃比が維持されるように蒸発燃料のパージ量を調節する。
【0019】
図２、図８、図１０に示すように、パージバルブ３は、複数の電磁弁の一例として、第１電磁弁３７と第２電磁弁３８とを内蔵する。第１電磁弁３７と第２電磁弁３８のそれぞれは、同様の構成部品によって構成されている。第１電磁弁３７と第２電磁弁３８のそれぞれは、ソレノイド部４１と弁体４２と筒状部３３１とを有する。第１電磁弁３７は、第１弁体４２ａと、第１弁体４２ａを変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部とを備える。第１弁体４２ａは、一つの筒状部３３１内に連通する第１内部通路４３ａを開閉可能である。第２電磁弁３８は、第２弁体４２ｂと、第２弁体４２ｂを変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部とを備える。第２弁体４２ｂは、もう一つの筒状部３３１内に連通する第２内部通路４３ｂを開閉可能である。筒状部３３１の端部には、弁体が閉状態で着座し開状態で離間する弁座３３２が設けられている。第１電磁弁３７、第２電磁弁３８は、例えば、電圧の非印加時に内部通路を閉じる閉状態であり電圧の印加時に内部通路を開く開状態に制御されるノーマルクローズ式の弁である。
【0020】
各電磁弁のソレノイド部４１は、コイル部４１０、ボビン４１１、固定コア４１３、可動コア４１２、シャフト部材４１５、スプリング４１４等を含んでいる。ソレノイド部４１は、樹脂材料により形成された被覆部によって覆われている。被覆部は、ハウジングと一体に形成されている。ソレノイド部４１は、被覆部によって樹脂モールドされているともいえる。第１ソレノイド部と第２ソレノイド部は、樹脂モールドされており、流入側ハウジング３１に内蔵されている。流入側ハウジング３１はソレノイド部を内蔵するソレノイドハウジングの一例である。ソレノイド部４１の中心軸は、電磁弁の中心軸でもある。ソレノイド部４１はハウジングよりも比重が大きいため、外力に対してソレノイド部が振動しやすい。
【0021】
可動コア４１２は磁気を通す材質、例えば磁性材料で構成されている。筒状体である可動コア４１２は、開口端から内挿された状態のシャフト部材４１５およびスプリング４１４を取り囲んでいる。弁体４２は、ゴム等の弾性変形可能な材質で形成されている。弁体４２は、基部と弁部とで可動コア４１２の頭部を両側から挟むようにして可動コア４１２に装着されて可動コア４１２と一体になっている。
【0022】
固定コア４１３は、一体に形成された外筒部４１３ａと内筒部とを備えている。固定コア４１３の内筒部は、電磁力によってスプリング４１４の付勢力に抗して軸方向に移動する可動コア４１２を摺動可能に支持する。外筒部４１３ａは、ボビン４１１およびコイル部４１０の外周側を覆うようにして設けられている。外筒部４１３ａは、図６に図示するように、第１ソレノイド部における外周部３７ａ、第２ソレノイド部における外周部３８ａに相当する。外周部３７ａ、外周部３７ａは、図６において破線の円によって図示されている。
【0023】
ボビン４１１は、可動コア４１２、スプリング４１４、シャフト部材４１５を内側に収容した状態で、これらと同軸状に設けられている。ボビン４１１は、樹脂材により円筒状に形成され、外筒部４１３ａの内側に設けられている。スプリング４１４は、固定コア４１３に固定されているシャフト部材４１５に軸方向の一端部が接触し可動コア４１２の頭部に軸方向の他端部が接触した状態で可動コア４１２の筒状部の内側に設けられている。したがって、スプリング４１４は、可動コア４１２を弁座３３２側へ移動させようとする付勢力を提供する。固定コア４１３は、シャフト部材４１５を固定するとともに、ボビン４１１に組み付けられている。固定コア４１３、シャフト部材４１５、可動コア４１２、弁体４２は、軸心が同軸をなすように設置されている。シャフト部材４１５は、例えばナイロン、ガラス繊維を含有して強化されたナイロンによって形成されている。固定コア４１３、可動コア４１２は磁気を通す材質で構成されている。固定コア４１３は、例えば冷間圧造用炭素鋼線によって形成されている。各電磁弁は、コイル部４１０に通電されたときに発生する電磁力とスプリング４１４の付勢力とのバランスに応じて弁体４２を駆動することによって、内部通路４３を開閉する。
【0024】
ハウジングには、第１電磁弁３７のソレノイド部４１側からソレノイド部４１の中心軸に対して直交する方向に延びるコネクタ３１ｃが設けられている。ハウジングには、第２電磁弁３８のソレノイド部４１側からソレノイド部４１の中心軸に対して直交する方向に延びるコネクタ３１ｄが設けられている。各コネクタは、コイル部４１０に通電するためのターミナルを内蔵する。コネクタは、ハウジングの内部から底部を貫通して外部に突出するターミナルを支持する樹脂成形部である。ターミナルはコイル部４１０と電気的に接続されている通電用端子である。コネクタには、電源部や電流制御装置からの電力を供給するための電源側コネクタが接続される。コネクタと電源側コネクタとが接続されてターミナルが電流制御装置等に電気的に接続されると、パージバルブ３はコイル部４１０に通電する電流を制御できる。
【0025】
図２～図１０に示すように、パージバルブ３は、ハウジングとして、流入側ハウジング３１と、流出側ハウジング３２と、シートバルブ部材３３とを備えている。流入側ハウジング３１、流出側ハウジング３２、シートバルブ部材３３は、樹脂材料によって形成されている。流入側ハウジング３１は、キャニスタ１３からの蒸発燃料が流入する流入ポート３１ａと、流入ポート３１ａよりも下流に設けられた流入側チャンバ室３１ｂとを備える。流入側ハウジング３１には、フランジ部３１ｆが設けられている。流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２は、シートバルブ部材３３の外周縁を挟持した状態で両者のフランジ部同士が重ね合わされて一体に接合されている。流入側ハウジング３１のフランジ部３１ｆは、流入側ハウジング３１の下流端部に位置する下流開口部の外周縁から放射状に突出する部分である。フランジ部３１ｆは、溶着または接着によって、流出側ハウジング３２のフランジ部３２ｆに結合されている。
【0026】
流入ポート３１ａは、内部に流体の流入通路を有する管状部であり、流入側ハウジング３１の上流端部に位置する。流入ポート３１ａは、蒸発燃料処理装置１においてパージ通路を形成する配管１４に接続されており、配管１４を介してキャニスタ１３に連通している。
【0027】
流入側チャンバ室３１ｂは、上流端において流入側チャンバ室３１ｂよりも通路横断面積が小さい流入通路３１ａ１に連通する。流入通路３１ａ１と流入側チャンバ室３１ｂは、流入通路３１ａ１における流体の流入方向に並ぶように設けられている。流入通路３１ａ１の下流端部は、流入側チャンバ室３１ｂに臨むチャンバ室流入部３１ａ２である。図９に示すように、第１内部通路４３ａの上流端部は、チャンバ室流入部３１ａ２よりも、蒸発燃料が流入通路３１ａ１を流下する流入方向に位置する。流入方向は、流入ポート３１ａの軸方向に沿う方向である。流入側チャンバ室３１ｂは、流入側チャンバ室３１ｂよりも下流において、第１内部通路４３ａと第２内部通路４３ｂとに連通している。流入ポート３１ａ内の通路横断面積は、この通路の中心軸に対して直交する平面によって流入ポート３１ａを切断した場合の断面積である。流入側チャンバ室３１ｂの通路横断面積は、流入側チャンバ室３１ｂが形成する通路の中心軸に直交する平面によって流入側チャンバ室３１ｂを切断した場合の断面積である。パージバルブ３内の通路は、流入ポート３１ａ内の通路から流入側チャンバ室３１ｂに進んだところで通路横断面積が急激に増加するようになっている。流入側チャンバ室３１ｂは、パージバルブ３において発生する脈動を抑えるチャンバ容積を提供している。
【0028】
流入側ハウジング３１は、第１側壁３１１と、第２側壁３１２と、第３側壁３１３と、第４側壁３１４とを備える。流入側ハウジング３１は、下流開口部に対向してこれらの側壁を連結する連結壁部を備える。図６に示すように、連結壁部は、第１電磁弁３７および第２電磁弁３８の軸方向端部と流入側チャンバ室３１ｂとを覆う壁部である。流入ポート３１ａは、連結壁部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。流入ポート３１ａは、連結壁部よりも外側に突出しないで内側に位置している。流入ポート３１ａは、連結壁部、第３側壁３１３、および第４側壁３１４に沿うように延びている。流入ポート３１ａは、フランジ部３１ｆからの高さ寸法が連結壁部よりも低くなるように、設けられている。
【0029】
第１側壁３１１と第２側壁３１２は対向している。第３側壁３１３と第４側壁３１４は対向している。第１側壁３１１は、第３側壁３１３と第４側壁３１４に隣接してこれらを連結している。第２側壁３１２は、第３側壁３１３と第４側壁３１４に隣接してこれらを連結している。コネクタ３１ｃとコネクタ３１ｄは、第３側壁３１３から外方に突出するように延びている。
【0030】
流入側ハウジング３１は、第１電磁弁３７、第２電磁弁３８を収容している。図６に示すように、第１電磁弁３７と第２電磁弁３８は、流入側ハウジング３１内において、第３側壁３１３寄りの一方側に並んで配置されている。第１電磁弁３７と第２電磁弁３８は、第３側壁３１３に沿うように並んでいる。第１電磁弁３７は、第１側壁３１１と第３側壁３１３との両方に隣接するように配置されている。第２電磁弁３８は、第２側壁３１２と第３側壁３１３との両方に隣接するように配置されている。流入ポート３１ａと流入側チャンバ室３１ｂは、流入側ハウジング３１内において、第１電磁弁３７および第２電磁弁３８とは反対側である他方側に配置されている。流入ポート３１ａと流入側チャンバ室３１ｂは、第１電磁弁３７と第２電磁弁３８の並び方向に並ぶように配置されている。流入側チャンバ室３１ｂは、第４側壁３１４と、第１電磁弁３７および第２電磁弁３８との間に形成されている。
【0031】
シートバルブ部材３３は、２個の筒状部３３１を有している。２個の筒状部３３１のそれぞれは、板状部３３３の両面から突出する形状である。筒状部３３１は、上流側または弁体側に突出する上流側突出部と、下流側または流出ポート３２ａ側に突出する下流側突出部とを有している。板状部３３３の外周縁に位置するフランジ部３３ｆは、流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２とによって挟持されている部分である。シートバルブ部材３３の板状部３３３は、パージバルブ３において、流入側ハウジング３１側と流出側ハウジング３２側とを仕切っている仕切り壁部である。２個の筒状部３３１は、第１電磁弁３７側に位置する第１筒状部３３１ａと、第２電磁弁３８側に位置する第２筒状部３３１ｂである。フランジ部３３ｆは、フランジ部３１ｆよりも内側に位置する環状凹部３１７とフランジ部３２ｆよりも内周側に位置する部分とによって挟持されている。環状凹部３１７は、フランジ部３１ｆよりも凹んだ部分であり、フランジ部３１ｆよりも内側に位置する内周縁部に設けられている。環状凹部３１７とフランジ部３３ｆとの接触部は、溶着または接着によって結合している。
【0032】
第１筒状部３３１ａは、内部の第１内部通路４３ａと、先端に形成された第１弁座３３２ａとを有している。第１弁座３３２ａには、閉弁時に第１弁体４２ａが着座する。第２筒状部３３１ｂは、内部の第２内部通路４３ｂと、先端に形成された第２弁座３３２ｂとを有している。第２弁座３３２ｂには、閉弁時に第２弁体４２ｂが着座する。これら２個の弁座３３２は、流入側ハウジング３１の内部に位置している。第１筒状部３３１ａの下流端部３３１ａ１、第２筒状部３３１ｂの下流端部３３１ｂ１は、流出側ハウジング３２の内部に位置している。
【0033】
図９に示すように、第２内部通路４３ｂの上流端部は、チャンバ室流入部３１ａ２に対して、流入通路３１ａ１における流体の流入方向とは反対側に位置している。第２内部通路４３ｂの上流端部は、当該流体の流入方向について、第１内部通路４３ａがチャンバ室流入部３１ａ２に対して位置する側とは反対側に位置している。
【0034】
第１内部通路４３ａは、第２内部通路４３ｂよりも流下する流体流量が大きい通路である。ハウジングの内部通路は、蒸発燃料が、第１内部通路４３ａに流下する大流量側流路と、第２内部通路４３ｂへ流下する小流量側流路とを含む。大流量側流路は、蒸発燃料が、流入通路３１ａ１、流入側チャンバ室３１ｂ、第１連絡通路３１５、第１内部通路４３ａの順に流下する流路である。小流量側流路は、蒸発燃料が、流入通路３１ａ１、流入側チャンバ室３１ｂ、第２連絡通路３１６、第２内部通路４３ｂの順に流下する流路である。流入側チャンバ室３１ｂは、大流量側流路と小流量側流路とにおける共通の通路である。蒸発燃料は、流入側チャンバ室３１ｂから、第１内部通路４３ａに流下する流路と第２内部通路４３ｂに流下する流路とに分流する。
【0035】
第１連絡通路３１５は、第１内部通路４３ａよりも上流側において、第１内部通路４３ａと流入側チャンバ室３１ｂとを連絡する通路である。第１連絡通路３１５は、第１ソレノイド部よりも流入通路３１ａ１寄りに設けられた通路である。第１連絡通路３１５には、フィルタ枠部４４ａに支持された濾材部または網部を有するフィルタ部材４４が設置されている。第１連絡通路３１５のフィルタ部材４４は、流入側チャンバ室３１ｂから分流して第１内部通路４３ａへ流下する前の蒸発燃料に含まれる異物を捕集する。
【0036】
第２連絡通路３１６は、第２内部通路４３ｂよりも上流側において、第２内部通路４３ｂと流入側チャンバ室３１ｂとを連絡する通路である。第２連絡通路３１６は、第２ソレノイド部よりも流入通路３１ａ１寄りに設けられた通路である。第２連絡通路３１６は、通路横断面積が、第１連絡通路３１５と流入側チャンバ室３１ｂとのそれぞれよりも小さく形成されている。この構成により、蒸発燃料は、流入側チャンバ室３１ｂから第２連絡通路３１６に流入するときに広い通路から狭い通路に流下するため、圧力損失が大きくなる。これにより、流下流量が小さい第２内部通路４３ｂに至る流路の圧力損失をさらに大きくできる。このため、パージバルブ３は、小流量域の流量範囲を広げることができる。第２連絡通路３１６には、フィルタ枠部４４ａに支持された濾材部または網部を有するフィルタ部材４４が設置されている。第２連絡通路３１６のフィルタ部材４４は、流入側チャンバ室３１ｂから分流して第２内部通路４３ｂへ流下する前の蒸発燃料に含まれる異物を捕集する。
【0037】
図９～図１０に図示するように、第１内部通路４３ａと第２内部通路４３ｂは、流体の流入方向に直交する直交方向について一方側に位置している。流入通路３１ａ１は、当該直交方向についてハウジングにおける他方側に位置している。直交方向は、流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２との結合方向と、流入方向との両方に直交する方向である。結合方向は、流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２の積層方向でもある。この構成によれば、流入通路３１ａ１から流入側チャンバ室３１ｂを経由して第１内部通路４３ａに至る大流量側流路を、流入方向と直交方向とにわたって延設できる。これにより、チャンバ室流入部３１ａ２と第１内部通路４３ａとをハウジング内において対角線上に配置することができる。このため、大流量側流路を長く設定でき、圧力損失をさらに抑えた流路を提供できる。
【0038】
流出ポート３２ａは、当該直交方向について、流入ポート３１ａと、第１内部通路４３ａおよび第２内部通路４３ｂとの間に位置している。この構成によれば、蒸発燃料は、流入側チャンバ室３１ｂから第１内部通路４３ａと第２内部通路４３ｂとに至る流路において、当該直交方向の流路を長く流下できる。当該直交方向の流路を長く構成できることにより、大流量側流路と小流量側流路における流路抵抗を抑えられるので、流量確保に貢献できる。第１内部通路４３ａの下流端部は、第２内部通路４３ｂの下流端部よりも、流出通路３２ａ１の上流端部に近い位置に設けられている。この構成により、流出通路３２ａ１側の流路においても、大流量側流路の流路抵抗を小流量側流路の流路抵抗よりも抑えることができる。このため、パージバルブ３における大流量の確保に貢献できる。
【0039】
パージバルブ３は、流入通路３１ａ１から、各弁体が開度調節する内部通路に至るまでの流路について、小流量側流路に圧力損失を集中させるような構成を有する。パージバルブ３は、大流量側流路について、流路が逆向きに屈曲したり、極端に狭い流路を経由したりすることがない流路構成を提供する。パージバルブ３は、小流量側流路について、逆向きの流路を有することにより、大流量側流路よりも流路抵抗が大きくなる流路構成を提供する。
【0040】
図１０に示すように、流出側ハウジング３２は、２個の筒状部３３１においてシートバルブ部材３３の板状部３３３から突出している下流側突出部を囲んでいる。第１筒状部３３１ａと第２筒状部３３１ｂは、互いに沿うように延びる形状である。第１筒状部３３１ａの下流側突出部は、第２筒状部３３１ｂの下流側突出部よりも長い。第１筒状部３３１ａは、弁座から下流端部３３１ａ１までの軸方向長さが、第２筒状部３３１ｂよりも長く構成されている。下流端部３３１ａ１は、シートバルブ部材３３の板状部３３３に対して下流端部３３１ｂ１よりも離間した位置にある。第１筒状部３３１ａは、第２筒状部３３１ｂよりも長い内部通路を形成している。したがって、第２筒状部３３１ｂよりも流下流量が大きい第１筒状部３３１ａの方が長い。この構成は、エンジン２側が低負圧である条件において流量を確保する上で、有利であり、第１筒状部３３１ａの方を長くする方が効率がよい。一方、第２筒状部３３１ｂの方を長くしても、流量確保に関して効果が低い。よって、第２筒状部３３１ｂの方を短くすることで、当該部位においてハウジングの体格を抑えることができ、さらに第２筒状部３３１ｂを形成する材料の量が抑えられる。
【0041】
流出側ハウジング３２は、吸気管２１へ向けて蒸発燃料を流出する流出ポート３２ａと、流出ポート３２ａの上流側に設けられている流出側チャンバ室３２ｂとを備える。流出側ハウジング３２のフランジ部３２ｆは、流出側ハウジング３２の上流端部に位置する上流開口部の外周縁から放射状に突出する部分である。流出側チャンバ室３２ｂは、下流端部において流出側チャンバ室３２ｂよりも通路横断面積が小さい流出ポート３２ａ内の流出通路３２ａ１に連通する。流出側チャンバ室３２ｂは、ハウジングの内部において、流出ポート３２ａと第１内部通路４３ａおよび第２内部通路４３ｂとを連絡している。
【0042】
流出ポート３２ａは、内部に流体の流出通路を有する管状部であり、流出側ハウジング３２の下流端部に位置する。流出ポート３２ａは、接続される配管を介して吸気管２１内に連通している。流出ポート３２ａは、流出側ハウジング３２を形成する最外壁部よりも、流入側ハウジング３１寄りに位置していることが好ましい。流出ポート３２ａは、最外壁部よりも外側に突出しないで内側に位置している。流出ポート３２ａは、第１電磁弁３７と第２電磁弁３８の並び方向に並ぶように配置されている。流出ポート３２ａは、先端に向かって流入ポート３１ａと同じ方向に沿うように延びている。流出ポート３２ａは、フランジ部３２ｆからの高さ寸法が流出側ハウジング３２の最外壁部と同等または最外壁部よりも低くなるように、設けられている。
【0043】
シートバルブ部材３３は、流入側ハウジング３１または流出側ハウジング３２に溶着または接着により結合されている。シートバルブ部材３３と流入側ハウジング３１または流出側ハウジング３２は、溶着または接着により結合された結合部を構成する。溶着は、例えば、レーザーを用いて樹脂部材同士を溶着するレーザー溶着によって実施することができる。溶着は、シートバルブ部材３３の結合部とハウジングの結合部とを重ね合わせ、シートバルブ部材３３にレーザーを照射してハウジングの結合部を溶かすことにより実施する。この場合、シートバルブ部材３３は、レーザー光に対して透過性のある樹脂材料によって構成される。ハウジングは、例えばカーボンなどを含むことによりレーザー光を吸収する部材で構成される。接着は、例えば、シートバルブ部材３３の結合部とハウジングの結合部との間に接着剤を介在させた状態で積層部を形成し、この積層部に熱を与えることで実施できる。
【0044】
図６、図１０には、ソレノイドハウジングである流入側ハウジング３１に形成された複数個の肉盗み部を図示している。肉盗み部は、樹脂成形品のソレノイドハウジングにおいて、樹脂が充填されていない肉抜き部、肉無し部ともいう。肉盗み部は、ソレノイドハウジングにおける特定箇所に設けられた凹部、穴部によって形成されている。各肉盗み部は、外部に向けて開口する矩形状の穴部から軸方向に所定の深さを有する凹部によって形成されている。
【0045】
肉盗み部は、ソレノイドハウジングの成形時に、金型における樹脂注入ゲートから型内に流入した樹脂材料が流通しない部分である。金型を用いた樹脂成形において、肉盗み部は樹脂材料の流通抵抗となる部分である。肉盗み部は、例えば金型において、柱状部分、ブロック状部分に相当する。樹脂材料は流通抵抗の少ない肉盗み部の周囲を流れやすくなるため、樹脂材料は、金型内において肉盗み部の周囲に位置するキャビティに充填されやすくなる。肉盗み部５１ａの存在により、充填部５１ｂは樹脂材料が流れやすく樹脂材料を充填しやすい部分である。
【0046】
図６は、ソレノイド部の軸方向に視た流入側ハウジング３１の外観図である。図６は、流入側ハウジング３１に設けられた複数個の肉盗み部、樹脂注入ゲート部を図示している。樹脂注入ゲート部１ＧＴは、ソレノイドハウジングにおいて、第１ソレノイド部を樹脂モールドしている軸方向端面の中心部に設けられている。当該中心部におけるソレノイドハウジングの表面には、樹脂注入ゲート部１ＧＴから樹脂が金型内に流入した痕跡が半球状の突部として形成されている。樹脂注入ゲート部２ＧＴは、ソレノイドハウジングにおいて、第２ソレノイド部を樹脂モールドしている軸方向端面の中心部に設けられている。当該中心部におけるソレノイドハウジングの表面には、樹脂注入ゲート部２ＧＴから樹脂が金型内に流入した痕跡が半球状の突部として形成されている。
【0047】
第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された樹脂モールド部には、肉盗み部群５１が設けられている。肉盗み部群５１は、成形時において２つのソレノイド部間における樹脂流通抵抗部として機能する。肉盗み部群５１は、複数個の肉盗み部５１ａを含んでいる。複数個の肉盗み部５１ａは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に並んで配置されている。交差方向に隣り合う肉盗み部５１ａと肉盗み部５１ａの間には、樹脂材料が充填する充填部５１ｂが設けられている。充填部５１ｂは、肉盗み部５１ａと同様に交差方向よりも並び方向に細長い形状である。この形状により、充填部５１ｂ、肉盗み部５１ａは、成形時において各ソレノイド部から隣のソレノイド部への樹脂流動を促す流動促進機能を有する。
【0048】
第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向は、以下、単に、当該並び方向と称することもある。当該並び方向に対して交差する交差方向は、以下、単に、当該交差方向と称することもある。当該交差方向には、当該並び方向に対して直交する直交方向も含まれる。
【0049】
肉盗み部５１ａは、当該交差方向よりも並び方向に細長い穴部を開口端として有している。図１０に示すように、肉盗み部５１ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さおよび第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。凹部の深さは、開口端から凹部の底面５１ａ１までの軸方向長さである。肉盗み部５１ａは、当該交差方向に扁平である直方体状をなしている。凹部の底面５１ａ１は、第１ソレノイド部における軸方向端部や第２ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部５１ａを形成する凹部は、第１ソレノイド部の軸方向長さや第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。
【0050】
ソレノイドハウジングは、ソレノイド部の樹脂モールド部において、部品と部品とが最も接近している部分である２次溶着部４１１ａ，４１１ｂを有している。２次溶着部４１１ａ、２次溶着部４１１ａは、樹脂が流動しにくい狭い樹脂通路に相当する。２次溶着部４１１ａの一例は、肉盗み部５１ａの開口端寄りのソレノイド部端部において固定コア４１３とボビン４１１とが最も接近している部分である。２次溶着部４１１ｂの一例は、肉盗み部５１ａを形成する凹部の底面５１ａ１寄りのソレノイド部端部において固定コア４１３とボビン４１１とが最も接近している部分である。２次溶着部４１１ａ、２次溶着部４１１ｂは樹脂を充填させたい部位である。２次溶着部４１１ａ、２次溶着部４１１ｂは、ソレノイド部において樹脂が流れる通路が狭い箇所の一例であり、この部位でのボイド不良を防ぐことが求められる。ソレノイドハウジングに設けられた複数個の肉盗み部は、２次溶着部におけるボイド発生の回避に寄与する。
【0051】
ソレノイドハウジングには、第３被取付部３６と肉盗み部群５１との間に、被取付部側肉盗み部群５２が設けられている。被取付部側肉盗み部群５２は、成形時に第３被取付部３６側へ流れる樹脂の流通抵抗部として機能する。被取付部側肉盗み部群５２は、複数個の肉盗み部５２ａを含んでいる。複数個の肉盗み部５２ａは、当該並び方向に並んで配置されている。当該並び方向に隣り合う肉盗み部５２ａと肉盗み部５２ａの間には、樹脂材料が充填する充填部５２ｂが設けられている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部群５１と被取付部側肉盗み部群５２の間には、樹脂材料が充填する充填部５１ｃが設けられている。充填部５１ｃは、肉盗み部５１ａと同様に当該交差方向よりも当該並び方向に細長い樹脂部分である。
【0052】
肉盗み部５２ａは、当該並び方向よりも当該交差方向に細長い穴部を開口端として有している。肉盗み部５２ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さおよび第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部５２ａを形成する凹部の深さは、開口端から凹部の底面までの軸方向長さである。肉盗み部５２ａは、当該並び方向に扁平である直方体状をなしている。肉盗み部５２ａを形成する凹部の底面は、第１ソレノイド部における軸方向端部や第２ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部５２ａを形成する凹部は、第１ソレノイド部の軸方向長さや第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。充填部５２ｂは、肉盗み部５２ａと同様に当該並び方向よりも当該交差方向に細長い樹脂部分である。この形状により、充填部５２ｂ、肉盗み部５２ａは、成形時においてソレノイド部間から第３被取付部３６への樹脂流動を促す流動促進機能を有する。
【0053】
ソレノイドハウジングには、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１とは反対側に位置する部位に第１ソレノイド側肉盗み部群５３が設けられている。第１ソレノイド側肉盗み部群５３は、ソレノイドハウジングにおいて第１ソレノイド部よりも径外側に位置している。肉盗み部群５１、第１ソレノイド部および第１ソレノイド側肉盗み部群５３は、一列を形成するように当該並び方向に並んでいる。第１ソレノイド側肉盗み部群５３は、成形時に第１ソレノイド部から第１被取付部３４側へ流れる樹脂の流通抵抗部として機能する。第１ソレノイド側肉盗み部群５３は、複数個の肉盗み部５３ａを含んでいる。複数個の肉盗み部５３ａは、当該交差方向に並んで配置されている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部５３ａと肉盗み部５３ａの間には、樹脂材料が充填する充填部５３ｂが設けられている。
【0054】
肉盗み部５３ａは、当該交差方向よりも当該並び方向に細長い穴部を開口端として有している。肉盗み部５３ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部５３ａを形成する凹部の深さは、開口端から凹部の底面５３ａ１までの軸方向長さである。肉盗み部５３ａは、当該交差方向に扁平である直方体状をなしている。肉盗み部５３ａを形成する凹部の底面５３ａ１は、第１ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部５３ａを形成する凹部は、第１ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。充填部５３ｂは、肉盗み部５３ａと同様に当該交差方向よりも当該並び方向に細長い樹脂部分である。この形状により、充填部５３ｂ、肉盗み部５３ａは、成形時においてソレノイド部間から第１被取付部３４への樹脂流動を促す流動促進機能を有する。
【0055】
ソレノイドハウジングには、第２ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１とは反対側に位置する部位に第２ソレノイド側肉盗み部群５４が設けられている。第２ソレノイド側肉盗み部群５４は、ソレノイドハウジングにおいて第２ソレノイド部よりも径外側に位置している。肉盗み部群５１、第２ソレノイド部および第２ソレノイド側肉盗み部群５４は、一列を形成するように当該並び方向に並んでいる。第２ソレノイド側肉盗み部群５４は、成形時に第２ソレノイド部から第２被取付部３５側へ流れる樹脂の流通抵抗部として機能する。第２ソレノイド側肉盗み部群５４は、複数個の肉盗み部５４ａを含んでいる。複数個の肉盗み部５４ａは、当該交差方向に並んで配置されている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部５４ａと肉盗み部５４ａの間には、樹脂材料が充填する充填部５４ｂが設けられている。
【0056】
肉盗み部５４ａは、当該交差方向よりも当該並び方向に細長い穴部を開口端として有している。肉盗み部５４ａは、第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部５４ａを形成する凹部の深さは、開口端から凹部の底面５４ａ１までの軸方向長さである。肉盗み部５４ａは、当該交差方向に扁平である直方体状をなしている。肉盗み部５４ａを形成する凹部の底面５４ａ１は、第２ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部５４ａを形成する凹部は、第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。充填部５４ｂは、肉盗み部５４ａと同様に当該交差方向よりも当該並び方向に細長い樹脂部分である。この形状により、充填部５４ｂ、肉盗み部５４ａは、成形時においてソレノイド部間から第２被取付部３５への樹脂流動を促す流動促進機能を有する。
【0057】
ソレノイドハウジングには、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１と第１ソレノイド側肉盗み部群５３との間に、周囲肉盗み部群５５が設けられている。周囲肉盗み部群５５は、ソレノイドハウジングにおいて第１ソレノイド部よりも径外側に位置している。肉盗み部群５１、周囲肉盗み部群５５および第１ソレノイド側肉盗み部群５３は、周方向に並んで配置されている。周囲肉盗み部群５５は、成形時に第１ソレノイド部から径外側へ流出する樹脂の流通抵抗部として機能する。
【0058】
周囲肉盗み部群５５は、複数個の肉盗み部５５ａを含んでいる。複数個の肉盗み部５５ａは、第１ソレノイド部の周方向に並んで配置されている。隣り合う肉盗み部５５ａと肉盗み部５５ａの間には、樹脂材料が充填する充填部５５ｂが設けられている。肉盗み部５５ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部５５ａを形成する凹部の深さは、開口端から凹部の底面までの軸方向長さである。肉盗み部５５ａは、第１ソレノイド部の周囲方向にまたは径方向に扁平である直方体状をなしている。肉盗み部５５ａを形成する凹部の底面は、第１ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部５５ａを形成する凹部は、第１ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。充填部５５ｂは、肉盗み部５５ａと同様に細長い樹脂部分である。
【0059】
パージバルブ３は、複数の被取付部を介して、ボルトなど固定手段によって車両側部材等に固定されている。例えば、車両側部材等には、ボルトに螺合する雌ねじ部が埋め込まれている。パージバルブ３は、流入側ハウジング３１の第１側壁３１１から外方に突出する第１被取付部３４を有している。第１被取付部３４は、樹脂成形品であるソレノイドハウジングの一部であり、樹脂によって形成されている。第１被取付部３４は、第１側壁３１１から、流入方向に突出している第１ソレノイド側被取付部である。第１被取付部３４には、流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２を重ね合わせる結合方向に貫通する取付穴が設けられている。第１被取付部３４の取付穴は、車両側部材等に結合されるボルトなどの固定手段を挿通するための貫通穴である。
【0060】
第１被取付部３４には、ソレノイドハウジングにインサート成形された金属製の補強部材３４ａが設けられている。補強部材３４ａは、筒状体であり、カラーとも呼ばれる。補強部材３４ａの内周面は、第１被取付部３４における取付穴の内周面を構成してもよい。第１被取付部３４における流出側ハウジング３２側には、車両側部材等との接触面３４ｂが形成されている。接触面３４ｂは、車両側部材等の取付部に接地するために、適正な平面度を有していることが好ましい。補強部材３４ａの先端環状面は、接触面３４ｂの一部を形成してもよい。第１被取付部３４は、流入側ハウジング３１において一方側に偏った位置に配置されている。第１被取付部３４は、流入側ハウジング３１において第１電磁弁３７に対して並ぶように側方に配置されている。
【0061】
パージバルブ３は、流入側ハウジング３１の第２側壁３１２から外方に突出する第２被取付部３５を有している。第２被取付部３５は、樹脂成形品であるソレノイドハウジングの一部であり、樹脂によって形成されている。第２被取付部３５は、第２側壁３１２から、流出方向に突出している第２ソレノイド側被取付部である。第２被取付部３５には、流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２を重ね合わせる結合方向に貫通する取付穴が設けられている。第２被取付部３５の取付穴は、車両側部材等に結合されるボルトなどの固定手段を挿通するための貫通穴である。
【0062】
第２被取付部３５には、ソレノイドハウジングにインサート成形された金属製の補強部材３５ａが設けられている。補強部材３５ａは、筒状体であり、カラーとも呼ばれる。補強部材３５ａの内周面は、第２被取付部３５における取付穴の内周面を構成してもよい。第２被取付部３５における流出側ハウジング３２側には、車両側部材等との接触面３５ｂが形成されている。接触面３５ｂは、車両側部材等の取付部に接地するために、適正な平面度を有していることが好ましい。補強部材３５ａの先端環状面は、接触面３５ｂの一部を形成してもよい。第２被取付部３５は、流入側ハウジング３１においてソレノイド部の並び方向において一方側に偏った位置に配置されている。第２被取付部３５は、流入側ハウジング３１において第２電磁弁３８に対して並ぶように側方に配置されている。第１被取付部３４、第１ソレノイド部、第２ソレノイド部、第２被取付部３５は、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向に重なるように配置されている。
【0063】
パージバルブ３は、流入側ハウジング３１の第３側壁３１３から外方に突出する第３被取付部３６を有している。第３被取付部３６は、樹脂成形品であるソレノイドハウジングの一部であり、樹脂によって形成されている。第３被取付部３６は、流入側ハウジング３１の一方側に位置し第１被取付部３４と第２被取付部３５とに隣り合う第３側壁３１３に設けられている。第３被取付部３６は、第３側壁３１３から、コネクタ３１ｃ，３１ｄと同じ方向に突出している。第３被取付部３６には、流入側ハウジング３１と流出側ハウジング３２を重ね合わせる結合方向に貫通する取付穴が設けられている。第３被取付部３６の取付穴は、車両側部材等に結合されるボルトなどの固定手段を挿通するための貫通穴である。
【0064】
第３被取付部３６には、ソレノイドハウジングにインサート成形された金属製の補強部材３６ａが設けられている。補強部材３６ａは、筒状体であり、カラーとも呼ばれる。補強部材３６ａの内周面は、第３被取付部３６における取付穴の内周面を構成してもよい。第３被取付部３６における流出側ハウジング３２側には、車両側部材等との接触面３６ｂが形成されている。接触面３６ｂは、車両側部材等の取付部に接地するために、適正な平面度を有していることが好ましい。補強部材３６ａの先端環状面は、接触面３６ｂの一部を形成してもよい。
【0065】
第２電磁弁３８は、全開した第２内部通路４３ｂを流れる流体流量が複数の電磁弁の中で最も少なくなるように構成されている。第１電磁弁３７は、全開した第１内部通路４３ａを流れる流体流量が第２電磁弁３８よりも多くなるように構成されている。パージバルブ３において、第１電磁弁３７は大流量性能を提供する流量調整弁であり、第２電磁弁３８は小流量性能を提供する流量調整弁である。第１内部通路４３ａは、通路横断面積が第２内部通路４３ｂよりも大きく形成されている。
【0066】
第１内部通路４３ａは、流下可能な流体流量が第２内部通路４３ｂよりも大きくなるように形成されている。この構成により、第１弁体４２ａの開閉動作に伴う振動が第２弁体４２ｂの開閉動作に伴う振動よりも大きくなりうる。パージバルブ３は、この振動を抑制可能な構成として、第１ソレノイド部を間において第１被取付部３４と第２被取付部３５とが並ぶ構成を有している。
【0067】
例えば、エンジン２への供給流量が小流量要求である場合には、第１電磁弁３７は閉弁状態であり、第２電磁弁３８は制御装置によって通電制御されて開弁状態になる。小流量要求時には、制御装置は、通電オンとオフの合計時間に対するオン時間の比率、すなわちデューティ比を制御して第２電磁弁３８のコイル部４１０に通電を行う。小流量要求時には、デューティ通電制御により、第２内部通路４３ｂを流通する小流量の蒸発燃料が流出ポート３２ａから吸気管２１内に供給されるようになる。
【0068】
小流量要求時から、多くの供給流量が要求される大流量要求時に移行すると、第２電磁弁３８は常時開弁したまま、第１電磁弁３７はデューティ通電制御されて開弁状態になる。大流量要求時には、全開状態の第２内部通路４３ｂを流通する小流量に加えて、デューティ通電制御によって第１内部通路４３ａを流通する大流量の蒸発燃料が流出ポート３２ａから吸気管２１内に供給される。小流量要求時では、大流量要求時に向けて第２弁体４２ｂの開弁率が増加して供給流量が増加していくように制御する。大流量要求時では、第２弁体４２ｂが常時開状態である場合の供給流量から、第１弁体４２ａの開弁率が増加して供給流量が増加していくように制御する。このような制御により、大流量要求時の流量増加率は、小流量要求時の流量増加率よりも大きくなる。パージバルブ３は、エンジン２への供給流量がゼロである状態から供給し始めるときには、小流量性能を提供する第２電磁弁３８の方が先に開弁状態になるように制御される。
【0069】
第１実施形態のパージバルブ３によって開示されるパージ制御弁装置がもたらす作用効果について説明する。パージ制御弁装置は、流入ポート３１ａと流出ポート３２ａとを連絡する内部通路の一部である、第１内部通路４３ａと第２内部通路４３ｂとを備える。パージ制御弁装置は、第１内部通路４３ａを開閉可能な第１弁体４２ａを変位させる電磁力を発生する第１ソレノイド部と、第２内部通路４３ｂを開閉可能な第２弁体４２ｂを変位させる電磁力を発生する第２ソレノイド部とを備える。パージ制御弁装置は、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の両方とを樹脂モールドして内蔵する樹脂成形品であるソレノイドハウジングを備える。ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部との間に形成された複数個の肉盗み部５１ａを含む肉盗み部群５１を備える。
【0070】
この構成によれば、ソレノイド部とソレノイド部との間に形成された肉盗み部群５１の存在により、成形時に２つのソレノイド部間に流れにくい樹脂流動を形成できる。成形時のこのような樹脂流動特性をもたらすことにより、各ソレノイド部の樹脂モールド部分への樹脂流動を促すことができる。例えば、第１ソレノイド部や第２ソレノイド部の中心部分に樹脂注入ゲートが設定された場合、複数の部品が設置されたソレノイド部への樹脂流動を促すことができる。このため、各ソレノイド部における部品間に形成された狭い樹脂通路に樹脂が充填することを促し、２次溶着部に樹脂を流せるようになる。このパージ制御弁装置は、ソレノイド部における樹脂流動を図り、２次溶着部への優先的な樹脂流動やボイド不良の抑制という効果を奏する。このパージ制御弁装置は、２次溶着部における樹脂溶融が不十分となって気密不良になることを回避することができる。
【0071】
肉盗み部５１ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さおよび第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。この構成によれば、成形時に、両方のソレノイド部の２次溶着部に、樹脂が流れることを促し樹脂充填性を高めることができる。これにより、ボイド不良を防ぎたい重要な部位におけるボイド発生の抑制効果が高いパージ制御弁装置を提供できる。
【0072】
複数の肉盗み部５１ａは、第１ソレノイド部と第２ソレノイド部の並び方向に細長い形状の凹部が当該並び方向に対して交差する交差方向に並んで、形成されている。この構成によれば、成形時において２つのソレノイド部間から隣のソレノイド部への樹脂流動を促す効果を奏する。これにより、２つのソレノイド部間における樹脂合流が促されるので、明確なウェルドの形成を抑えるパージ制御弁装置を提供できる。
【0073】
ソレノイドハウジングは、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１とは反対側に位置する部位に形成された第１ソレノイド側肉盗み部群５３を備える。ソレノイドハウジングは、第２ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１とは反対側に位置する部位に形成された第２ソレノイド側肉盗み部群５４を備える。このパージ制御弁装置によれば、２つのソレノイド部における２次溶着部への樹脂流動を促してボイド発生を抑制するとともに、２つの被取付部への樹脂流動が図れる。
【0074】
ソレノイドハウジングは、車両側部材に対して取り付けるために、第１ソレノイド側被取付部と第２ソレノイド側被取付部とを備える。第１ソレノイド側被取付部は、第１ソレノイド側肉盗み部群５３が形成された部分から第１ソレノイド部に対して外方に突出している。第２ソレノイド側被取付部は、第２ソレノイド側肉盗み部群５４が形成された部分から第２ソレノイド部に対して外方に突出している。この構成によれば、２つの被取付部への樹脂流動と２つのソレノイド部における２次溶着部への樹脂流動とのバランスを図るパージ制御弁装置を提供できる。
【0075】
＜第２実施形態＞
第２実施形態について図１１を参照して説明する。第２実施形態は、第１実施形態に対して、第１ソレノイド側肉盗み部群１５３と第２ソレノイド側肉盗み部群１５４とが相違する。第２実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
第２実施形態について図１１を参照して説明する。第２実施形態は、第１実施形態に対して、第１ソレノイド側肉盗み部群１５３と第２ソレノイド側肉盗み部群１５４とが相違する。第２実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0076】
図１１に示すように、第１ソレノイド側肉盗み部群１５３は、当該並び方向に並ぶ複数個の肉盗み部１５３ａを含んでいる。第１ソレノイド側肉盗み部群１５３は、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１とは反対側に位置する部位に設けられている。第１ソレノイド側肉盗み部群１５３は、ソレノイドハウジングにおいて第１ソレノイド部よりも径外側に位置している。肉盗み部群５１、第１ソレノイド部および第１ソレノイド側肉盗み部群１５３は、一列を形成するように当該並び方向に並んでいる。第１ソレノイド側肉盗み部群１５３は、成形時に第１ソレノイド部から第１被取付部３４側へ流れる樹脂の流通抵抗部として機能する。当該並び方向に隣り合う肉盗み部１５３ａと肉盗み部１５３ａの間には、樹脂材料が充填する充填部１５３ｂが設けられている。
【0077】
肉盗み部１５３ａは、当該並び方向よりも当該交差方向に細長い穴部を開口端として有している。肉盗み部１５３ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部１５３ａを形成する凹部の深さは、開口端から凹部の底面までの軸方向長さである。肉盗み部１５３ａは、当該並び方向に扁平である直方体状をなしている。肉盗み部１５３ａを形成する凹部の底面は、第１ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部１５３ａを形成する凹部は、第１ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。充填部１５３ｂは、肉盗み部１５３ａと同様に当該並び方向よりも当該交差方向に細長い樹脂部分である。周囲肉盗み部群５５は、第１ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１と第１ソレノイド側肉盗み部群１５３との間に設けられている。
【0078】
第２ソレノイド側肉盗み部群１５４は、当該並び方向に並ぶ複数個の肉盗み部１５４ａを含んでいる。第２ソレノイド側肉盗み部群１５４は、第２ソレノイド部の周囲において肉盗み部群５１とは反対側に位置する部位に設けられている。第２ソレノイド側肉盗み部群１５４は、ソレノイドハウジングにおいて第２ソレノイド部よりも径外側に位置している。肉盗み部群５１、第２ソレノイド部および第２ソレノイド側肉盗み部群１５４は、一列を形成するように当該並び方向に並んでいる。第２ソレノイド側肉盗み部群１５４は、成形時に第２ソレノイド部から第２被取付部３５側へ流れる樹脂の流通抵抗部として機能する。当該並び方向に隣り合う肉盗み部１５４ａと肉盗み部１５４ａの間には、樹脂材料が充填する充填部１５４ｂが設けられている。
【0079】
肉盗み部１５４ａは、当該並び方向よりも当該交差方向に細長い穴部を開口端として有している。肉盗み部１５４ａは、第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部１５４ａを形成する凹部の深さは、開口端から凹部の底面までの軸方向長さである。肉盗み部１５４ａは、当該並び方向に扁平である直方体状をなしている。肉盗み部１５４ａを形成する凹部の底面は、第２ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部１５４ａを形成する凹部は、第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。充填部１５４ｂは、肉盗み部１５４ａと同様に当該並び方向よりも当該交差方向に細長い樹脂部分である。
【0080】
＜第３実施形態＞
第３実施形態について図１２を参照して説明する。第３実施形態は、第１実施形態に対して、肉盗み部群１５１が相違する。第３実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
第３実施形態について図１２を参照して説明する。第３実施形態は、第１実施形態に対して、肉盗み部群１５１が相違する。第３実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0081】
図１２に示すように、肉盗み部群１５１は複数個の肉盗み部を含んでいる。肉盗み部群１５１は、肉盗み部５１ａと、当該並び方向に並ぶ複数の肉盗み部１５１ａとを含んでいる。当該交差方向に隣り合う肉盗み部群１５１と被取付部側肉盗み部群５２の間には、樹脂材料が充填する充填部１５１ｃが設けられている。充填部１５１ｃは、当該交差方向よりも当該並び方向に細長い樹脂部分である。肉盗み部１５１ａは、第１ソレノイド部の軸方向長さおよび第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する凹部によって形成されている。肉盗み部１５１ａは、当該並び方向に扁平である直方体状をなしている。この凹部の底面は、第１ソレノイド部における軸方向端部や第２ソレノイド部における軸方向端部よりも流出側ハウジング３２寄りに位置している。肉盗み部１５１ａを形成する凹部は、第１ソレノイド部の軸方向長さや第２ソレノイド部の軸方向長さよりも長い深さを有する。
【0082】
複数の肉盗み部１５１ａは、２つのソレノイド部の並び方向に対して交差する交差方向に細長い凹部が当該並び方向に並んで、形成されている。この構成によれば、成形時に、２次溶着部への樹脂流動を促すとともに、２つのソレノイド部間における樹脂合流が促すことができる。これにより、２つのソレノイド部間における明確なウェルド形成を抑えることに寄与する。このパージ制御弁装置は、ウェルド形成の抑制により、ソレノイドハウジングの強度低下を抑えることに寄与する。
【0083】
＜第４実施形態＞
第４実施形態について図１３を参照して説明する。第４実施形態は、第１実施形態および第３実施形態に対して、肉盗み部群２５１が相違する。第４実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
第４実施形態について図１３を参照して説明する。第４実施形態は、第１実施形態および第３実施形態に対して、肉盗み部群２５１が相違する。第４実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0084】
図１３に示すように、肉盗み部群２５１は複数個の肉盗み部１５１ａを含んでいる。肉盗み部群２５１は、当該並び方向に並ぶ一組の肉盗み部１５１ａを当該交差方向に並べた構成である。当該交差方向に並ぶ一組の肉盗み部１５１ａと一組の肉盗み部１５１ａの間には、樹脂材料が充填する充填部２５１ｃが設けられている。充填部２５１ｃは、当該交差方向よりも当該並び方向に細長い樹脂部分である。
【0085】
＜第５実施形態＞
第５実施形態について図１４を参照して説明する。第５実施形態は、第１実施形態に対して、被取付部側肉盗み部群１５２が相違する。第５実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
第５実施形態について図１４を参照して説明する。第５実施形態は、第１実施形態に対して、被取付部側肉盗み部群１５２が相違する。第５実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0086】
図１４に示すように、被取付部側肉盗み部群１５２は、第３被取付部３６と肉盗み部群５１との間に設けられている。被取付部側肉盗み部群１５２は、成形時に第３被取付部３６側へ流れる樹脂の流通抵抗部として機能する。被取付部側肉盗み部群１５２は、複数個の肉盗み部１５２ａを含んでいる。複数個の肉盗み部１５２ａは、当該交差方向に並んで配置されている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部１５２ａと肉盗み部１５２ａの間には、樹脂材料が充填する充填部１５２ｂが設けられている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部群５１と被取付部側肉盗み部群１５２の間には、樹脂材料が充填する充填部１５２ｃが設けられている。充填部１５２ｃは、肉盗み部５１ａと同様に当該交差方向よりも当該並び方向に細長い樹脂部分である。
【0087】
＜第６実施形態＞
第６実施形態について図１５を参照して説明する。第６実施形態は、第１実施形態に対して、肉盗み部群３５１と被取付部側肉盗み部群２５２とが相違する。第６実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
第６実施形態について図１５を参照して説明する。第６実施形態は、第１実施形態に対して、肉盗み部群３５１と被取付部側肉盗み部群２５２とが相違する。第６実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第１実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0088】
図１５に示すように、２つのソレノイド部間に位置する肉盗み部群３５１は、第１肉盗み部群と第２肉盗み部群とを含む。第１肉盗み部群は、第１ソレノイド部寄りに一列をなす複数個の肉盗み部３５１ａを含む。第２肉盗み部群は、第１肉盗み部群よりも第２ソレノイド部寄りに位置して一列をなす複数個の肉盗み部１５１ａを含む。肉盗み部１５１ａと肉盗み部３５１ａは、異なる形状である、開口、凹部によって形成されている。第１肉盗み部群に含まれる肉盗み部３５１ａの個数は、第２肉盗み部群に含まれる肉盗み部１５１ａの個数とは異なっている。当該並び方向に隣り合う第１肉盗み部群と第２肉盗み部群の間には、樹脂材料が充填する充填部３５１ｄが設けられている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部３５１ａと肉盗み部３５１ａの間には、樹脂材料が充填する充填部３５１ｂが設けられている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部１５１ａと肉盗み部１５１ａの間には、樹脂材料が充填する充填部３５１ｃが設けられている。これにより、第１肉盗み部群と第２肉盗み部群は、充填部の左右において非対称に形成されている。
【0089】
被取付部側肉盗み部群２５２は、第１ソレノイド部寄りに一列をなす複数個の肉盗み部２５２ａと、複数個の肉盗み部２５２ａよりも第２ソレノイド部寄りに位置する肉盗み部５２ａとを含む。肉盗み部２５２ａと肉盗み部５２ａは、異なる形状である、開口、凹部によって形成されている。当該並び方向に隣り合う肉盗み部２５２ａと肉盗み部５２ａの間には、樹脂材料が充填する充填部２５２ｄが設けられている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部２５２ａと肉盗み部２５２ａの間には、樹脂材料が充填する充填部２５２ｂが設けられている。
【0090】
第６実施形態のパージバルブ３によって開示されるパージ制御弁装置がもたらす作用効果について説明する。肉盗み部群は、第２ソレノイド部よりも第１ソレノイド部寄りに位置する第１肉盗み部群と、第１ソレノイド部よりも第２ソレノイド部寄りに位置する第２肉盗み部群とを含む。第１肉盗み部群と第２肉盗み部群は、非対称に形成されている。この構成によれば、第１肉盗み部群と第２肉盗み部群とが非対称形状であるため、成形時に２つのソレノイド部からの樹脂流動を不均一に形成できる。この不均一な樹脂流動形成により、図１５に示す一点鎖線上で樹脂が合流することを抑制できる。このため、２つのソレノイド部間における明確なウェルド形成を抑えることに寄与し、ソレノイドハウジングの強度低下を抑えることができる。
【0091】
第１肉盗み部群は、当該交差方向に並ぶ複数個の肉盗み部３５１ａを含んで形成されている。第２肉盗み部群は、第１肉盗み部群の肉盗み部３５１ａとは形状が異なる肉盗み部１５１ａが、当該交差方向に複数個並んで形成されている。これにより、第１肉盗み部群の肉盗み部３５１ａと第２肉盗み部群の肉盗み部１５１ａの形状が異なるため、成形時に２つのソレノイド部からの樹脂流動を不均一に形成できる。この不均一な樹脂流動形成により、図１５に示す一点鎖線上での樹脂合流を抑え、２つのソレノイド部間における明確なウェルド形成を抑えることができる。
【0092】
ソレノイドハウジングは、第３被取付部３６と、第３被取付部３６においてインサート成形された金属製の補強部材３６ａとを備える。第３被取付部３６は、肉盗み部群３５１が形成された部分から、当該交差方向に突出した樹脂成形部分である。インサート成形された金属製の補強部材３６ａと樹脂成形部分である第３被取付部３６とでは、線膨張係数の違いにより、ウェルド形成に起因するクラック発生が懸念される。このソレノイドハウジングによれば、２つのソレノイド部間から第３被取付部３６にかけての明確なウェルド形成を抑制できる。このため、第３被取付部３６におけるクラック発生を抑制し、第３被取付部３６の機能を確保できる。
【0093】
第２肉盗み部群は、第１肉盗み部群を形成する肉盗み部３５１ａの個数とは異なる個数の肉盗み部１５１ａが、当該交差方向に並んで形成されている。これにより、第１肉盗み部群の肉盗み部３５１ａと第２肉盗み部群の肉盗み部１５１ａの個数が異なるため、成形時に２つのソレノイド部からの樹脂流動を不均一に形成できる。この構成によっても、図１５に示す一点鎖線上での樹脂合流を抑え、２つのソレノイド部間における明確なウェルド形成を抑えることができる。
【0094】
＜第７実施形態＞
第７実施形態について図１６を参照して説明する。第７実施形態は、第６実施形態に対して、被取付部側肉盗み部群３５２が相違する。第７実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
第７実施形態について図１６を参照して説明する。第７実施形態は、第６実施形態に対して、被取付部側肉盗み部群３５２が相違する。第７実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0095】
図１６に示すように、被取付部側肉盗み部群３５２は、第１ソレノイド部寄りに位置する肉盗み部２５２ａと、肉盗み部２５２ａよりも第３被取付部３６寄りに位置する肉盗み部１５２ａとを含む。肉盗み部２５２ａと肉盗み部１５２ａは、異なる形状である、開口、凹部によって形成されている。当該交差方向に隣り合う肉盗み部２５２ａと肉盗み部１５２ａの間には、樹脂材料が充填する充填部３５２ｄが設けられている。
【0096】
＜他の実施形態＞
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0097】
明細書に開示の目的を達成可能なパージ制御弁装置は、前述の実施形態において図を参照しながら説明した構成だけに限定されるものではない。前述の実施形態におけるパージバルブは、流入ポート３１ａが流出ポート３２ａよりも下方に位置するように図示されている。流入ポート３１ａと流出ポート３２ａの位置関係は、この形態に限定されるものではない。流入ポート３１ａは流出ポート３２ａよりも上方に位置する構成でよいし、流入ポート３１ａと流出ポート３２ａは横方向に並ぶような構成でもよい。また、流入ポート３１ａと、第１内部通路４３ａおよび第２内部通路４３ｂとの位置関係も、上下方向に並ぶ形態でもよい。
【符号の説明】
【0098】
２…エンジン、 １３…キャニスタ
３１…流入側ハウジング（ソレノイドハウジング）、 ３１ａ…流入ポート
３２ａ…流出ポート、 ３７…第１電磁弁（第１ソレノイド部）
３８…第２電磁弁（第２ソレノイド部）、 ４２ａ…第１弁体
４２ｂ…第２弁体、 ４３ａ…第１内部通路、 ４３ｂ…第２内部通路
５１，１５１，２５１，３５１…肉盗み部群
３１…流入側ハウジング（ソレノイドハウジング）、 ３１ａ…流入ポート
３２ａ…流出ポート、 ３７…第１電磁弁（第１ソレノイド部）
３８…第２電磁弁（第２ソレノイド部）、 ４２ａ…第１弁体
４２ｂ…第２弁体、 ４３ａ…第１内部通路、 ４３ｂ…第２内部通路
５１，１５１，２５１，３５１…肉盗み部群
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】