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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】診断装置及び診断方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20230912BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20230912BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20230912BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F01N3/18 C
F01N11/00
F01N3/023 Z
F02D45/00 360A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020033206
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134756
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】臼井 俊行
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-48744(JP,A)
【文献】特開2018-21524(JP,A)
【文献】特開2016-6311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F01N 11/00
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両から、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化装置に作用するストレスに関連するパラメータ毎の累積データと、浄化のために昇温された前記排気ガスの排気温度とを通信部を介して取得する取得部と、
取得した前記累積データから前記浄化装置の被害度を特定する被害度特定部と、
特定した前記被害度と前記排気温度の関係を示す関係式を特定する関係特定部と、
診断対象の車両である対象車両から、前記浄化装置による浄化のために昇温された排気ガスの排気温度を、通信部を介して取得する排気温度取得部と、
前記排気温度取得部が取得した前記対象車両の前記排気温度と、前記関係特定部が特定した前記関係式とに基づいて、前記対象車両の前記浄化装置の被害度を推定する推定部と、
を備える、診断装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記浄化装置として、粒子状物質を浄化するための酸化触媒の被害度を推定する、
請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記排気温度取得部は、前記酸化触媒の上流側の排気温度である第1温度と、下流側の排気温度である第2温度とを取得し、
前記推定部は、前記第1温度と前記第2温度との温度差と、前記関係式とに基づいて、前記酸化触媒の被害度を推定する、
請求項2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記被害度特定部は、前記浄化装置を劣化させる複数のストレス要因の各々の累積データを合わせて、前記被害度を特定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の診断装置。
【請求項5】
複数の車両から、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化装置に作用するストレスに関連するパラメータ毎の累積データと、浄化のために昇温された前記排気ガスの排気温度とを通信部を介して取得するステップと、
取得した前記累積データから前記浄化装置の被害度を特定するステップと、
特定した前記被害度と前記排気温度の関係を示す関係式を特定するステップと、
診断対象の車両である対象車両から、前記浄化装置による浄化のために昇温された排気ガスの排気温度を取得するステップと、
取得した前記対象車両の前記排気温度と、特定した前記関係式とに基づいて、前記対象車両の前記浄化装置の被害度を推定するステップと、
を備える、診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の中には、内燃機関の排気路に排気ガスを浄化する浄化装置が搭載されているものがある。浄化装置は、酸化触媒であるDOC(Diesel Oxidation Catalyst)と、CSF(Catalyzed Soot Filter)を含み、排気ガスを昇温させて排気ガス中の粒子状物質(PM)を燃焼して除去する(いわゆる再生制御)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-193953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば浄化装置が排気路の上流側に設けられている場合には、排気ガスの粒子状物質(例えば煤)がDOCに付着して、DOCを閉塞してしまうおそれがある。DOCが閉塞されると、排気ガスの流れが悪化し、上記の再生制御が円滑に行われない。このため、浄化装置の被害度を適切に推定して、整備等を行うことが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、浄化装置の被害度を適切に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、複数の内燃機関装置から、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化装置に作用するストレスに関連するパラメータ毎の累積データと、浄化のために昇温された前記排気ガスの排気温度とを取得する取得部と、取得した前記累積データから前記浄化装置の被害度を特定する被害度特定部と、特定した前記被害度と前記排気温度の関係を示す関係式を特定する関係特定部と、診断対象の内燃機関装置である対象装置から、前記浄化装置による浄化のために昇温された排気ガスの排気温度を取得する排気温度取得部と、前記排気温度取得部が取得した前記対象装置の前記排気温度と、前記関係特定部が特定した前記関係式とに基づいて、前記対象装置の前記浄化装置の被害度を推定する推定部と、を備える、診断装置を提供する。
【0007】
また、前記推定部は、前記浄化装置として、粒子状物質を浄化するための酸化触媒の被害度を推定することとしてもよい。
【0008】
また、前記排気温度取得部は、前記酸化触媒の上流側の排気温度である第1温度と、下流側の排気温度である第2温度とを取得し、前記推定部は、前記第1温度と前記第2温度との温度差と、前記関係式とに基づいて、前記酸化触媒の被害度を推定することとしてもよい。
【0009】
また、前記被害度特定部は、前記浄化装置を劣化させる複数のストレス要因の各々の累積データを合わせて、前記被害度を特定することとしてもよい。
【0010】
本発明の第2の態様においては、複数の内燃機関装置から、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化装置に作用するストレスに関連するパラメータ毎の累積データと、浄化のために昇温された前記排気ガスの排気温度とを取得するステップと、取得した前記累積データから前記浄化装置の被害度を特定するステップと、特定した前記被害度と前記排気温度の関係を示す関係式を特定するステップと、診断対象の内燃機関装置である対象装置から、前記浄化装置による浄化のために昇温された排気ガスの排気温度を取得するステップと、取得した前記対象装置の前記排気温度と、特定した前記関係式とに基づいて、前記対象装置の前記浄化装置の被害度を推定するステップと、を備える、診断方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、浄化装置の被害度を適切に推定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車両管理システムSの概要を説明するための模式図である。
図2】車両1の構成を説明するための模式図である。
図3】管理装置100の構成を説明するためのブロック図である。
図4】関係式を説明するための模式図である。
図5】関係式の特定の流れを説明するためのフローチャートである。
図6】診断対象の被害度の推定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<車両管理システムの概要>
一の実施形態に係る車両管理システムの概要について、図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、車両管理システムSの概要を説明するための模式図である。車両管理システムSは、管理装置100と複数の車両1a、1b、・・・、1n(以下、総称して車両1とも呼ぶ)が連携して動作することで、車両1の状態を管理するシステムである。
【0015】
複数の車両1は、例えばトラックである。車両1は、内燃機関であるエンジンを有する内燃機関装置に該当する。車両1は、自車両の状態を測定するセンサ等を搭載しており、測定したデータを管理装置100に送信する。
【0016】
管理装置100は、複数の車両1との間で通信可能であり、車両1を管理する車両管理装置である。管理装置100は、例えば管理センターに設けられたサーバである。管理装置100は、各車両1からデータ(後述する累積データ等)を受信する。管理装置100は、受信したデータを用いて車両1の状態を診断する。例えば、管理装置100は、診断結果から、整備が必要か否かを判定する。
【0017】
<車両の構成>
図1に示す複数の車両1a、1b、・・・、1nの構成は、同様である。車両1の構成について、図2を参照しながら説明する。以下では、車両1の診断に関わる構成について説明する。
【0018】
図2は、車両1の構成を説明するための模式図である。車両1は、図2に示すように、エンジン10と、吸気路20と、排気路30と、DPD(Diesel Particulate Defuser)32と、噴射部38と、SCR(Selective Catalytic Reduction)39とを有する。
【0019】
エンジン10は、気筒(燃焼室)内に噴射された燃料と吸気の混合気を燃焼、膨張させて、動力を発生させる。エンジン10においては、吸気が気筒内に吸入されると共に、燃焼後の排気ガスが気筒から排出される。
【0020】
吸気路20は、エンジン10へ向かう吸気が流れる通路である。吸気路20には、吸気を過給する過給器が設けられている。
排気路30は、エンジン10からの排気ガスが流れる通路である。排気路30には、DPD32、噴射部38及びSCR39が設けられている。
【0021】
DPD32は、排気ガス中の粒子状物質(例えば煤)を除去する浄化装置である。DPD32は、フィルター内に粒子状物質が所定量堆積すると、再生(燃焼)処理を行い、粒子状物質を除去する。DPD32は、DOC33と、CSF34と、温度センサ35、36とを有する。
【0022】
DOC33は、ディーゼル用酸化触媒であり、排気ガスの炭化水素を効率的に酸化して排気ガスの温度を上昇させる。排気ガスの温度が上昇すると、再生処理時の粒子状物質の燃焼が促進される。DOC33は、いわゆるハニカム構造となっている。
CSF34は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するフィルターである。
温度センサ35は、DOC33の前面33a側に設けられており、DOC33内へ流入前の排気ガスの温度を検出する。
温度センサ36は、DOC33の後面33b側に設けられており、DOC33から流出した排気ガスの温度を検出する。
【0023】
噴射部38は、アンモニアの前駆体である尿素水を、排気路30の排気ガスに噴射する。
SCR39は、排気ガス中のNOxを削減する浄化装置である。SCR39は、NOxとアンモニアとを反応させて、無害な窒素と水に還元させる。
【0024】
ところで、排気ガスの粒子状物質(例えば煤)がDOC33の前面33aに付着して、DOC33を閉塞してしまうおそれがある。DOC33の閉塞度合い(被害度)が大きいと、排気ガスの流れが悪化し、再生処理が円滑に行われない。また、DOC33が閉塞されると、CSF34内部の温度も上昇し、CSF34が劣化するおそれがある。
これに対して、管理装置100は、複数の車両1から稼働状態を示す累積データを取得して、DOC33の被害度と、被害を特定する特性値(具体的には、排気ガスの温度)との関係式を求める。そして、管理装置100は、予め求めた関係式と、診断対象の車両1から取得した排気温度とによって、診断対象の車両1のDOC33の被害度を推定している。これにより、診断対象の車両1のDOC33の被害度を適切に推定することが可能となる。
【0025】
<管理装置の構成>
診断装置として機能する管理装置100の構成について、図3を参照しながら説明する。
【0026】
図3は、管理装置100の構成を説明するためのブロック図である。管理装置100は、管理センターの管理者によって操作される。管理装置100は、図3に示すように、通信部110と、記憶部112と、制御部120とを有する。
【0027】
通信部110は、車両1(図1)との間で通信を行う。通信部110は、車両1との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部110は、車両1の稼働状態を示す累積データを、車両1から受信する。
【0028】
記憶部112は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部112は、制御部120が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。例えば、記憶部112は、複数の車両1の各々から取得した累積データを記憶する。また、記憶部112は、DOC33の被害度の関係式に関する情報を記憶する。
【0029】
制御部120は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部120は、記憶部112に記憶されたプログラムを実行することにより、車両1の診断を行う。本実施形態では、制御部120は、データ取得部122、被害度特定部123、関係特定部124、対象情報取得部125及び診断部126として機能する。
【0030】
データ取得部122は、複数の車両1から、車両1のデータを取得する。本実施形態では、データ取得部122は、複数の車両1から、DPD32(ここでは、DOC33)に作用するストレスに関連するパラメータ毎の累積データを取得する。累積データを用いることで、複合的なストレスによって劣化したDOC33の被害度を診断できる。データ取得部122は、定期的に(例えば、月に一回)累積データを取得する。データ取得部122は、取得した累積データを記憶部112に記憶させる。
DOC33に作用するストレス要因のパラメータは、複数挙げられる。例えば、ストレス要因のパラメータは、煤が発生しやすい運転領域での使用、排気ガスが低温となる状態での使用、排気ガスの流量が少なくなる状態での使用等である。累積データは、パラメータ毎の頻度を示す。
【0031】
また、データ取得部122は、複数の車両1から、累積データと共に、浄化のために昇温された排気ガスの排気温度を取得する。すなわち、データ取得部122は、再生処理時の排気温度を取得する。ここで、データ取得部122は、再生処理時に温度センサ35、36が検出した排気温度を取得する。排気ガスの排気温度は、劣化したDOC33の被害度を特定可能な特性値である。通常、排気温度が高いと、DOC33の被害度が小さくなりやすく、排気温度が低いと、DOC33の被害度が大きくなりやすい。
【0032】
被害度特定部123は、車両1のDPD32(ここでは、DOC33)の被害度を特定する。被害度特定部123は、複数の車両1から取得した累積データから、各車両1のDOC33の被害度を特定する。すなわち、被害度特定部123は、複数のストレス要因によるDOC33の前面詰まりの度合いを特定する。
【0033】
被害度特定部123は、DOC33を劣化させる複数のストレス要因の各々の累積データを合わせて、被害度を特定する。この際、被害度特定部123は、ストレス要因毎に重み付け係数を掛け合わせる。これにより、複数のストレス要因を反映した被害度を特定できる。
【0034】
関係特定部124は、DOC33の被害度と、被害を特定する特性値の関係を示す関係式を特定する。すなわち、関係特定部124は、被害度特定部123が特定したDOC33の被害度と、被害を特定する再生処理時の排気温度との関係を示す関係式を特定する。関係特定部124は、特定した関係式を記憶部112に記憶する。
【0035】
図4は、関係式を説明するための模式図である。図4のグラフの横軸はDOC33の被害度を示し、縦軸は特性値である排気温度を示す。グラフには、故障車である一の車両1から定期的に取得したデータに基づく被害度及び特性値の対応関係が、×印としてプロットされている。グラフ上の曲線が、プロットされたデータの近似線であり、関係式を示す。なお、関係特定部124は、複数の車両1の各々に対して求まる近似線を平均して、関係式を特定してもよい。
【0036】
関係特定部124は、機械学習によって、関係式を更新してもよい。すなわち、定期的に車両1から取得される累積データ及び排気温度を用いて、関係性を更新する。これにより、より精度の高い関係式を特定できる。
【0037】
対象情報取得部125は、診断対象の車両1から、DOC33の被害度を特定するための特性値(ここでは、排気温度)に関する情報を取得する。すなわち、対象情報取得部125は、再生処理のために昇温された排気ガスの排気温度を取得する排気温度取得部として機能する。診断対象の装置が図1に示す車両1aである場合には、対象情報取得部125は、車両1aから排気温度を取得する。
【0038】
対象情報取得部125は、DOC33の上流側の排気温度である上流側温度と、下流側の排気温度である下流側温度とを取得する。上流側排気温度は、温度センサ35(図2)が検出した温度であり、下流側排気温度は、温度センサ36が検出した温度である。対象情報取得部125は、上流側排気温度と下流側排気温度の温度差を求める。対象情報取得部125は、求めた温度差の情報を、診断部126に出力する。
【0039】
診断部126は、診断対象の車両1を診断する。診断部126は、対象情報取得部125が取得した排気温度と、関係特定部124が特定した関係式とに基づいて、診断対象のDOC33の被害度を推定する推定部として機能する。具体的には、診断部126は、再生処理時の排気温度を関係式に当てはめることで、診断対象のDOC33の被害度を推定する。これにより、診断部126は、再生処理時の温度差が分かれば、複数のストレス要因で劣化するDOC33の被害度(DOC33の前面詰まりの度合い)を精度良く推定できる。
【0040】
診断部126は、DOC33の上流側温度と下流側温度との温度差と、関係式とに基づいて、DOC33の被害度を推定する。例えば、診断部126は、図4に示すように、温度差がT1である場合には、被害度がD1であると推定する。また、診断部126は、推定したDOC33の被害度から、DOC33の寿命を予測してもよい。
【0041】
<管理装置の処理の流れ>
管理装置100が行う診断処理の流れについて、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0042】
図5は、関係式の特定の流れを説明するためのフローチャートである。
管理装置100のデータ取得部122は、複数の車両1(例えば、図1の車両1a~1n)から累積データ及び排気温度を取得する(ステップS102)。データ取得部122は、定期的(例えば、月に1回)に累積データ及び排気温度を取得する。
【0043】
次に、被害度特定部123は、取得した累積データに基づいて、各車両1のDOC33の被害度を特定する(ステップS104)。すなわち、被害度特定部123は、複数のストレス要因によって劣化するDOC33の被害度を特定する。
【0044】
次に、関係特定部124は、特定した被害度と、排気温度との関係を示す関係式を特定する(ステップS106)。例えば、関係特定部124は、図4に示す近似式で示される関係式を特定する。
【0045】
次に、関係特定部124は、特定した関係式を、記憶部112に記憶する(ステップS108)。上述した処理を繰り返すことで、記憶部112に記憶された関係式は、更新される。精度の高い関係式を記憶できる。
【0046】
図6は、診断対象の被害度の推定処理を説明するためのフローチャートである。
ここでは、管理装置100の対象情報取得部125が、診断対象の車両1から、排気温度を取得したところから開始される(ステップS122)。対象情報取得部125は、排気温度として、DOC33の上流側温度と下流側温度の温度差を取得する。
【0047】
次に、診断部126は、ステップS122で取得した排気温度と、予め記憶部112に記憶された関係式とに基づいて、診断対象の車両1のDOC33の被害度を推定する(ステップS124)。例えば、診断部126は、図4に示す関係式から排気温度に対応する被害度を求めることで、DOC33の被害度を精度良く推定できる。
【0048】
次に、管理装置100は、推定した被害度の情報を送信する(ステップS126)。例えば、管理装置100は、整備工場に被害度の情報を送信する。
【0049】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の管理装置100は、複数の車両1から取得した累積データを用いて、DOC33の被害度と排気温度との関係式を特定する。そして、管理装置100は、診断対象の車両1から排気温度を取得すると、予め特定した関係式との対応関係から、診断対象の車両1のDOC33の被害度を推定する。
これにより、診断対象のDOC33の排気温度を関係式に当てはめることで、複数のストレス要因で劣化するDOC33の被害度(具体的には、DOC33の前面詰まり)を適切に推定することができる。この結果、推定した被害度の情報を整備工場に提供することで、DOC33の整備等を適切に行うことが可能となる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
32 DPD
33 DOC
100 管理装置(診断装置)
122 データ取得部
123 被害度特定部
124 関係特定部
125 対象情報取得部
126 診断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6