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特許7347274機器保護部材および機器保護部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】機器保護部材および機器保護部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230912BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B60R16/02 610A
H05K5/02 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020042032
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021142837
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】又井 直紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 大輝
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-111073(JP,U)
【文献】特開2003-318567(JP,A)
【文献】特開平11-346065(JP,A)
【文献】実開昭63-200396(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-16/08
F01N 3/08
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板形状を有し、車両の電子機器が配置される収容部と、
前記収容部の第1の縁部に配置され、前記収容部から立ち上げられた第1の壁部と、
前記第1の縁部に交差する前記収容部の第2の縁部に配置され、前記第1の壁部の側縁部との間に隙間を空けて対向するように前記収容部から立ち上げられた第2の壁部と
を備え、
前記第2の壁部は、前記収容部との間の角部が湾曲するように立ち上げられると共に、側縁部が前記第1の壁部の外側まで突出して前記隙間を隠すように形成された延長部を有し、外側に突出する前記延長部の根元部分に前記角部側から上方に向かう切り込みが形成され、
前記延長部の下縁部は、前記角部の湾曲の終端より始端側に延びるように形成される機器保護部材。
【請求項2】
前記第2の壁部は、前記切り込みの先端部が前記角部の湾曲の終端を超えて延びるように形成される請求項に記載の機器保護部材。
【請求項3】
板形状を有し、車両の電子機器が配置される収容部と、
前記収容部の第1の縁部に配置され、前記収容部から立ち上げられた第1の壁部と、
前記第1の縁部に交差する前記収容部の第2の縁部に配置され、前記第1の壁部の側縁部との間に隙間を空けて対向するように前記収容部から立ち上げられた第2の壁部と
を備え、
前記電子機器は、前記第1の壁部または前記第2の壁部に対向する位置に、外部と内部を連通する連通孔を有し、
前記第2の壁部は、側縁部が前記第1の壁部の外側まで突出して前記隙間を隠すように形成された延長部を有し、
前記延長部は、前記連通孔の全てを前記隙間から隠すように配置される機器保護部材。
【請求項4】
前記収容部は、前記車両の側部において前記電子機器の下側に配置され、
前記第1の壁部は、車両側方を向くように前記収容部から上方に立ち上げられた側壁部からなり、
前記第2の壁部は、車両前方を向くように前記収容部から上方に立ち上げられた前壁部と、車両後方を向くように前記収容部から上方に立ち上げられた後壁部とからなる請求項1~のいずれか一項に記載の機器保護部材。
【請求項5】
板状部材の第1の縁部に第1の切り込みを形成すると共に前記第1の切り込みの先端部から延びる第2の切り込みを形成するステップと、
前記第1の切り込みから前記第1の縁部を立ち上げて第1の壁部を形成すると共に、前記第1の縁部に交差する第2の縁部を立ち上げて前記第1の壁部の側縁部との間に隙間を空けて対向する第2の壁部を形成することにより、前記第1の壁部および前記第2の壁部の内側に車両の電子機器を配置する収容部を形成するステップと、
を含み、
前記収容部を形成するステップは、前記第2の壁部と前記収容部との間の角部が湾曲するように第2の縁部を立ち上げると共に、前記第1の切り込みにより、前記第2の壁部の側縁部に前記第1の壁部の外側まで突出して前記隙間を隠す延長部が形成され
前記第2の切り込みは、前記延長部の根元部分に前記角部側から上方に向かうように形成され、且つ、前記延長部の下縁部が前記角部の湾曲の終端より始端側に延びるように形成される機器保護部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器保護部材および機器保護部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の電子機器を保護する機器保護部材が実用化されている。機器保護部材は、電子機器が配置される収容部から立ち上がるように壁部が形成されており、例えば周囲から放射される水などの流体から電子機器を保護することができる。車両には、外部に電子機器を配置する様々な装置が搭載されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、浄化性能の低下を防止可能な排ガス浄化装置が開示されている。この排ガス浄化装置は、尿素水を用いて排出ガスを浄化するためのもので、車両の外部に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-087698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、車両の外部に配置される電子機器は、水などの流体を浴びる可能性が高いため、電子機器を確実に保護することが求められる。しかしながら、機器保護部材は、収容部から立ち上げられた壁部と壁部との間に隙間が生じる場合があり、電子機器を確実に保護することが困難であった。
【0006】
本開示は、電子機器を確実に保護する機器保護部材および機器保護部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る機器保護部材は、板形状を有し、車両の電子機器が配置される収容部と、収容部の第1の縁部に配置され、収容部から立ち上げられた第1の壁部と、第1の縁部に交差する収容部の第2の縁部に配置され、第1の壁部の側縁部との間に隙間を空けて対向するように収容部から立ち上げられた第2の壁部とを備え、第2の壁部は、収容部との間の角部が湾曲するように立ち上げられると共に、側縁部が第1の壁部の外側まで突出して隙間を隠すように形成された延長部を有し、外側に突出する延長部の根元部分に角部側から上方に向かう切り込みが形成され、延長部の下縁部は、角部の湾曲の終端より始端側に延びるように形成されるものである。
本開示に係る機器保護部材は、板形状を有し、車両の電子機器が配置される収容部と、収容部の第1の縁部に配置され、収容部から立ち上げられた第1の壁部と、第1の縁部に交差する収容部の第2の縁部に配置され、第1の壁部の側縁部との間に隙間を空けて対向するように収容部から立ち上げられた第2の壁部とを備え、電子機器は、第1の壁部または第2の壁部に対向する位置に、外部と内部を連通する連通孔を有し、第2の壁部は、側縁部が第1の壁部の外側まで突出して隙間を隠すように形成された延長部を有し、延長部は、連通孔の全てを隙間から隠すように配置されるものである。
【0008】
本開示に係る機器保護部材の製造方法は、板状部材の第1の縁部に第1の切り込みを形成すると共に第1の切り込みの先端部から延びる第2の切り込みを形成するステップと、第1の切り込みから第1の縁部を立ち上げて第1の壁部を形成すると共に、第1の縁部に交差する第2の縁部を立ち上げて第1の壁部の側縁部との間に隙間を空けて対向する第2の壁部を形成することにより、第1の壁部および第2の壁部の内側に車両の電子機器を配置する収容部を形成するステップと、を含み、収容部を形成するステップは、第2の壁部と収容部との間の角部が湾曲するように第2の縁部を立ち上げると共に、第1の切り込みにより、第2の壁部の側縁部に第1の壁部の外側まで突出して隙間を隠す延長部が形成され、第2の切り込みは、延長部の根元部分に角部側から上方に向かうように形成され、且つ、延長部の下縁部が角部の湾曲の終端より始端側に延びるように形成されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子機器を確実に保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係る機器保護部材を備えた車両の構成を示す図である。
図2】機器保護部材の構成を示す図である。
図3】下側カバー部の構成を示す図である。
図4】角部が湾曲した様子を示す図である。
図5】延長部の構成を示す図である。
図6】側壁部、前壁部および後壁部が連通孔を隠す様子を示す図である。
図7】機器保護部材を製造する様子を示す図である。
図8】実施の形態2の下側カバー部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に、本開示の実施の形態に係る機器保護部材を備えた車両の構成を示す。車両は、車両フレーム1と、支持体2と、浄化装置3と、機器保護部材4とを有する。
【0013】
車両フレーム1は、車両の各部を支持する、いわゆるシャシフレームで、車両の前後方向に延びるように配置されている。
【0014】
支持体2は、車両フレーム1に対して浄化装置3を支持するもので、車両フレーム1の右側部に固定されている。
【0015】
浄化装置3は、タンク5と、制御機器6とを有する。
タンク5は、図示しない排気管内に供給される還元剤が内部に収容されている。還元剤としては、例えば、尿素水などが挙げられる。
【0016】
制御機器6は、配線6aなどを介して、図示しないインジェクターに接続され、インジェクターからの尿素水の放出を制御する。この制御機器6は、本開示の電子機器を構成する。
なお、インジェクターは、排気管に配置されると共にタンク5に接続され、制御機器6の制御の下、タンク5に収容された還元剤を排気管内に放出するものである。
【0017】
機器保護部材4は、支持体2に固定され、制御機器6を覆うように配置されている。
【0018】
次に、機器保護部材4の構成について詳細に説明する。
【0019】
図2に示すように、機器保護部材4は、上側カバー部7と、下側カバー部8とを有する。
上側カバー部7は、水などの流体から制御機器6を保護するもので、制御機器6の上部を覆うように形成されている。また、上側カバー部7の側部には、車両前方および車両後方にそれぞれ突出する一対の固定部7aおよび7bが配置されている。
【0020】
下側カバー部8は、水などの流体から制御機器6を保護するもので、制御機器6の下部を覆うように形成されている。すなわち、下側カバー部8は、上側カバー部7との間で制御機器6を挟んで収容するように配置されている。下側カバー部8は、収容部9と、側壁部10と、前壁部11aと、後壁部11bとを有する。
【0021】
収容部9は、矩形の板形状を有し、その上側に制御機器6が配置される。収容部9には、制御機器6を固定するための4つの固定穴が形成されており、図示しないボルトなどの固定具で制御機器6が固定される。
なお、制御機器6は、収容部9に対向する下面に外部と内部を連通する連通孔6bが形成されている。この連通孔6bは、例えば、制御機器6の内外の圧力差を抑制して、機器内部に水分が発生することを防止する。
【0022】
側壁部10は、収容部9において車両の右側方を向いた右側縁部に一体に接続され、収容部9から上方に立ち上がるように形成されている。側壁部10は、本開示の第1の壁部を構成する。
【0023】
前壁部11aは、収容部9において右側縁部に直交する前縁部、すなわち車両前方を向いた前縁部に一体に接続され、収容部9から上方に立ち上がるように形成されている。このとき、前壁部11aは、側壁部10の側縁部10aとの間に隙間Nを空けて対向するように形成されている。
【0024】
後壁部11bは、収容部9において右側縁部に直交する後縁部、すなわち車両後方を向いた後縁部に一体に接続され、収容部9から上方に立ち上がるように形成されている。このとき、後壁部11bは、側壁部10の側縁部10bとの間に隙間Nを空けて対向するように形成されている。
なお、前壁部11aおよび後壁部11bは、本開示の第2の壁部を構成する。
【0025】
また、下側カバー部8には、固定部12aおよび12bと、配線取付部13と、接触部14とが配置されている。
【0026】
固定部12aおよび12bは、前壁部11aおよび後壁部11bにそれぞれ対応して配置されている。固定部12aは、前壁部11aにおいて上側カバー部7の固定部7aに対応する位置から車両前方に突出するように配置されている。一方、固定部12bは、後壁部11bにおいて上側カバー部7の固定部7bに対応する位置から車両後方に突出するように配置されている。ここで、支持体2には、フランジ部2aおよび2bが配置されている。固定部12aおよび12bは、上側カバー部7の固定部7aおよび7bと共に支持体2のフランジ部2aおよび2bに図示しないボルトなどの固定具で固定される。
【0027】
配線取付部13は、側壁部10の正面に突出するように配置され、例えば、制御機器6の配線6aなどが取り付けられる。
接触部14は、収容部9において車両の左側方を向いた左側縁部から上方に立設され、制御機器6の左側部に対向して配置されている。接触部14は、制御機器6が正規の向きと異なる向きで収容部9に配置された場合に、制御機器6に接触するように形成されている。
【0028】
次に、下側カバー部8の構成について詳細に説明する。
【0029】
図3に示すように、前壁部11aおよび後壁部11bは、車両右側の側縁部が側壁部10の外側まで突出、すなわち車両の右側方に突出して隙間Nを外側から隠すように形成された延長部15aおよび15bを有する。
【0030】
延長部15aおよび15bは、突出方向に延びる上縁部および下縁部のうち、角部16aおよび16b側の下縁部17aおよび17bが収容部9から切り離されて配置されている。ここで、角部16aおよび16bは、前壁部11aおよび後壁部11bと収容部9との間を接続する接続部分である。そして、外側に突出する延長部15aおよび15bの根元部分には、角部16aおよび16b側から上方に向かって切り込みSが形成されている。
このとき、延長部15aおよび15bは、制御機器6の連通孔6bの全てを隙間Nから隠すように配置されている。すなわち、延長部15aおよび15bは、隙間Nを介して連通孔6bが外側から直接的に見えないように配置されている。
【0031】
ここで、前壁部11aおよび後壁部11bは、角部16aおよび16bが湾曲するように収容部9から立ち上げられている。例えば、前壁部11aは、図4に示すように、始端18aから終端18bまで角部16aが湾曲して所定の曲げ半径を有するように立ち上げられている。
【0032】
そして、延長部15aは、図5に示すように、下縁部17aが角部16aの湾曲の終端18bより始端18a側、すなわち下方に延びるように形成されている。具体的には、延長部15aの下縁部17aは、下方に向かって始端18aに対応する位置まで延びるように形成されている。これにより、延長部15aは、隙間Nを下端まで隠すように形成される。また、延長部15aは、前壁部11aに直交する方向から側壁部10を隠すように形成されている。
また、前壁部11aは、切り込みSの先端部が角部16aの湾曲の終端18bを超えて上方に延びるように形成される。
【0033】
また、図6(a)に示すように、側壁部10は、制御機器6の連通孔6bの高さ位置以上の高さを有し、側壁部10に直交する方向から連通孔6bの全てを隠すように形成されている。
また、図6(b)に示すように、前壁部11aは、制御機器6の連通孔6bの高さ位置以上の高さを有し、前壁部11aに直交する方向から連通孔6bの全てを隠すように形成されている。
【0034】
なお、後壁部11bは、前壁部11aと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0035】
次に、機器保護部材4の製造方法について説明する。
【0036】
まず、図7に示すように、矩形状の板状部材101の縁部102の両端部近傍に切り込み103aおよび103bを形成する。なお、図7では、固定部12aおよび12b、配線取付部13は省略して示している。
【0037】
切り込み103aおよび103bは、側壁部10の側縁部10aおよび10bに対応する位置に形成される。このとき、切り込み103aおよび103bは、縁部102に直交する方向に、側壁部10の高さに応じた長さだけ延びるように形成される。
【0038】
また、切り込み103aおよび103bの先端部から、縁部102に直交する縁部104aおよび104bに向かって延びる切り込み105aおよび105bをそれぞれ形成する。すなわち、切り込み105aおよび105bは、切り込み103aおよび103bに直交する方向に延びるように形成される。ここで、切り込み105aおよび105bは、角部16aおよび16bの始端18aに対応する位置から、角部16aおよび16bの終端18bより長く延びるように形成される。
【0039】
続いて、切り込み103aおよび103bの先端部近傍から縁部102を上方に屈曲させて立ち上げる。また、切り込み105aおよび105bの基端部近傍から縁部104aおよび104bを上方に屈曲させて立ち上げる。
これにより、図3に示すように、収容部9から上方に立ち上げられた側壁部10、前壁部11aおよび後壁部11bが形成されることになる。また、切り込み105aおよび105bにより切り込みSが形成される。
【0040】
このとき、前壁部11aおよび後壁部11bは、側壁部10との間に隙間Nを空けて対向するように立ち上げられる。ここで、前壁部11aおよび後壁部11bは、図4に示すように、角部16aおよび16bが湾曲するように立ち上げられており、隙間Nは角部16aおよび16bの湾曲に起因して生じることになる。
【0041】
一般的に、板状部材101を屈曲させて側壁部10、前壁部11aおよび後壁部11bを形成すると、角部16aおよび16bの湾曲に起因して隙間Nが生じてしまい、機器保護部材4を車両の外部に配置した場合に、隙間Nから水などの流体が侵入するおそれがあった。
【0042】
そこで、切り込み103aおよび103bを形成することにより、前壁部11aおよび後壁部11bの側縁部に、側壁部10の外側まで突出して隙間Nを隠す延長部15aおよび15bを形成する。このとき、延長部15aおよび15bは、隙間Nの全てを隠す必要は無く、隙間Nの一部を外側から隠すように形成されていればよい。
なお、切り込み103aおよび103bは、線状に形成、すなわち小さな幅で縁部102に直交する方向に延びるように形成することが好ましい。これにより、隙間Nを小さな間隔で形成することができる。
【0043】
また、切り込み105aおよび105bを形成することにより、延長部15aおよび15bを角部16aおよび16bの湾曲から切り離すことができる。すなわち、延長部15aおよび15bの下縁部17aおよび17bが、角部16aおよび16bと共に湾曲されずに、下方に向かって真っ直ぐに延びるように形成される。これにより、図5に示すように、延長部15aおよび15bの下縁部17aおよび17bを角部16aおよび16bの湾曲の始端18aに対応する位置まで延びるように形成することができ、隙間Nを下端まで隠すことができる。
【0044】
なお、切り込み105aおよび105bは、線状に形成、すなわち小さな幅で縁部104aおよび104bに向かって延びるように形成することが好ましい。これにより、切り込みSを小さな幅で形成することができる。
【0045】
また、切り込み105aおよび105bは、角部16aおよび16bの湾曲の終端18bを超えて延びるように形成されている。これにより、角部16aおよび16bを容易に屈曲させて前壁部11aおよび後壁部11bを立ち上げることができる。
【0046】
また、切り込み103aおよび103b、切り込み105aおよび105bは、延長部15aおよび15bが制御機器6の連通孔6bの全てを隙間Nから隠すような長さおよび位置に形成される。これにより、連通孔6bの全てを隙間Nから隠すように延長部15aおよび15bを形成することができる。
【0047】
このようにして、側壁部10、前壁部11aおよび後壁部11bの内側に収容部9が配置された下側カバー部8を形成することができる。下側カバー部8は、板状部材101を屈曲させて形成されるため、簡便な方法で形成することができ、その労力を抑制することができる。
一方、上側カバー部7が、板状部材から制御機器6の上部を覆うように形成される。
【0048】
このようにして、機器保護部材4を製造することができる。
製造された機器保護部材4は、図2に示すように、上側カバー部7と下側カバー部8で制御機器6を上下方向に挟むように配置され、車両フレーム1の右側部に固定された支持体2に固定される。このとき、固定部7aおよび7b、固定部12aおよび12bが、水平に配置されているため、機器保護部材4を支持体2のフランジ部2aおよび2bに載置した状態で固定具を用いて固定することができる。このため、機器保護部材4を車両に容易に固定することができる。
【0049】
一般的に、浄化装置3の制御機器6は、車両の外部に配置されるため、水などの流体を頻繁に浴びるおそれがある。特に、トラックなどの商用車は、例えば、高圧洗浄機などを用いて車両を洗浄するため、強い勢いの流体を浴びることになる。このため、制御機器6の連通孔6bに流体の侵入を防ぐ弁などの機構を設けた場合でも、流体が連通孔6bを介して内部に侵入するおそれがある。
【0050】
そこで、制御機器6を覆うように上側カバー部7と下側カバー部8を配置することにより、制御機器6を流体から保護することができる。
【0051】
このとき、延長部15aおよび15bが、側壁部10の外側まで突出して隙間Nを隠すように形成されている。このため、隙間Nから流体が侵入することを抑制し、制御機器6を確実に保護することができる。
【0052】
また、延長部15aおよび15bは、制御機器6の連通孔6bの全てを隙間Nから隠すように配置されるため、流体が連通孔6bに直接的に飛んでくることを抑制し、制御機器6をより確実に保護することができる。
このため、延長部15aおよび15bは、連通孔6bの位置に応じて、連通孔6bの全てを隙間Nから隠すように隙間Nに対する位置および大きさなどを変えることが好ましい。
【0053】
また、延長部15aおよび15bの下縁部17aおよび17bが、角部16aおよび16bの湾曲の終端18bより下方に延びるように形成されている。これにより、隙間Nからの流体の侵入を抑制し、制御機器6をより確実に保護することができる。
このとき、延長部15aおよび15bの下縁部17aおよび17bは、角部16aおよび16bの湾曲の始端18aに対応する位置まで延びるように形成することが好ましい。これにより、隙間Nを下端まで隠すことができ、制御機器6をより確実に保護することができる。
【0054】
また、前壁部11aおよび後壁部11bは、切り込みSの先端部が角部16aおよび16bの湾曲の終端18bを超えて上方に延びるように形成されている。これにより、延長部15aおよび15bを角部16aおよび16bの湾曲から切り離すことができ、
下縁部17aおよび17bを下方に延びるように形成することができる。このため、制御機器6をより確実に保護することができる。
また、切り込みSは、前壁部11aおよび後壁部11bに直交する方向を向くように形成されている。このため、流体が連通孔6bに向かって侵入することを抑制し、制御機器6をより確実に保護することができる。
【0055】
本実施の形態によれば、延長部15aおよび15bが、側壁部10の外側まで突出して隙間Nを隠すように形成されるため、隙間Nから流体が侵入することを抑制し、制御機器6を確実に保護することができる。
【0056】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0057】
上記の実施の形態1では、延長部15aおよび15bは、前壁部11aおよび後壁部11bに配置されたが、側壁部10に配置することもできる。
例えば、図8に示すように、実施の形態1の側壁部10の両側縁部に延長部21aおよび21bを配置することができる。
【0058】
延長部21aは、車両前方に向かって前壁部11aの外側まで突出して、側壁部10と前壁部11aとの間に形成される隙間Nを隠すように配置される。
延長部21bは、車両後方に向かって後壁部11bの外側まで突出して、側壁部10と後壁部11bとの間に形成される隙間Nを隠すように配置される。
【0059】
すなわち、前壁部11aおよび後壁部11bが本開示の第1の壁部を構成し、側壁部10が本開示の第2の壁部を構成することになる。
【0060】
これにより、隙間Nから流体が侵入することを抑制し、制御機器6を確実に保護することができる。
なお、図3に示すように、制御機器6の連通孔6bが、収容部9の中央部近傍で且つ左側縁部近傍に配置されている場合には、実施の形態1のように、延長部15aおよび15bを前壁部11aおよび後壁部11bに配置することが好ましい。これにより、隙間Nからの流体の侵入をより確実に抑制することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、延長部21aおよび21bが、前壁部11aおよび後壁部11bの外側まで突出して隙間Nを隠すように形成されるため、隙間Nから流体が侵入することを抑制し、制御機器6を確実に保護することができる。
【0062】
なお、上記の実施の形態1および2では、延長部は、下側カバー部8に配置されたが、壁部の外側まで突出して隙間Nを隠すように形成されていればよく、これに限られるものではない。例えば、延長部は、上側カバー部7の前壁部および後壁部に配置することもできる。
【0063】
また、上記の実施の形態1および2では、前壁部11aおよび後壁部11bは、側壁部10に直交するように配置されたが、側壁部10に交差するように配置されていればよく、これに限られるものではない。
【0064】
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示に係る機器保護部材は、車両の電子機器が配置される部材に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 車両フレーム
2 支持体
2a,2b フランジ部
3 浄化装置
4 機器保護部材
5 タンク
6 制御機器
6a 配線
6b 連通孔
7 上側カバー部
7a,7b,12a,12b 固定部
8 下側カバー部
9 収容部
10 側壁部
10a,10b 側縁部
11a 前壁部
11b 後壁部
13 配線取付部
14 接触部
15a,15b,21a,21b 延長部
16a,16b 角部
17a,17b 下縁部
18a 始端
18b 終端
101 板状部材
102,104a,104b 縁部
103a,103b,105a,105b 切り込み
N 隙間
S 切り込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8