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特許7347279携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230912BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20230912BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20230912BHJP
【FI】
G16H40/20
G06Q20/32
G06Q20/06 300
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020043491
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021144543
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 裕人
(72)【発明者】
【氏名】杉村 多恵
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 隆大
(72)【発明者】
【氏名】鳥生 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梅 沢俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森 帆菜実
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-030335(JP,A)
【文献】特開2016-110247(JP,A)
【文献】特開2019-179443(JP,A)
【文献】特開2020-052717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、ハードウェアを有するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
ユーザが医療機関を受診する際の進捗を示す進捗情報を、前記医療機関に設けられた第一のサーバから取得し、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させ、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる際に、第二のボタンを前記ディスプレイに表示させ、
前記ユーザによって前記第二のボタンが押下された場合、既に作成された処方箋を変更させるための変更要求を、前記第一のサーバに出力し、
前記変更要求には、前記ユーザに関する情報、既に作成された処方箋に関する情報、処方箋の変更内容に関する情報が含まれる、
携帯端末。
【請求項2】
前記進捗情報は、前記ユーザが診察中であるか否かの情報、処方箋の作成が完了しているか否かの情報、および、診療費の決済が完了しているか否かの情報を含む、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる際に、第一のボタンを前記ディスプレイに表示させ、
前記ユーザによって前記第一のボタンが押下された場合、電子ウォレットに入金された電子マネーによって診療費を決済するため決済要求を、前記電子ウォレットを管理する第二のサーバに出力し、
前記決済要求には、前記ユーザに関する情報、前記ユーザの電子ウォレットを特定可能な情報、前記診療費を特定可能な情報が含まれる、
請求項1または請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記ユーザによって前記第二のボタンが押下された場合、前記処方箋の変更要求とともに、診療費を再計算させるための再計算要求を、前記第一のサーバに出力し、
前記再計算要求には、前記ユーザに関する情報、前記診療費の再計算に必要な情報が含まれる、
請求項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記医療機関における前記ユーザの診療履歴に基づいて作成された紹介状情報を、前記第一のサーバから取得し、
前記紹介状情報を、紹介先の医療機関に設けられた第一のサーバに出力する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記医療機関における前記ユーザの診療履歴、薬の処方履歴および診療費の決済履歴を含む履歴情報を、前記第一のサーバから取得し、
前記履歴情報を前記ディスプレイに表示させる、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
ハードウェアを有するプロセッサに、
ユーザが医療機関を受診する際の進捗を示す進捗情報を、前記医療機関に設けられた第一のサーバから取得し、
前記進捗情報を、携帯端末が備えるディスプレイに表示させ、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる際に、第二のボタンを前記ディスプレイに表示させ、
前記ユーザによって前記第二のボタンが押下された場合、既に作成された処方箋を変更させるための変更要求を、前記第一のサーバに出力する、
ことを実行させ
前記変更要求には、前記ユーザに関する情報、既に作成された処方箋に関する情報、処方箋の変更内容に関する情報が含まれる、
ウォレットプログラム。
【請求項8】
前記進捗情報は、前記ユーザが診察中であるか否かの情報、処方箋の作成が完了しているか否かの情報、および、診療費の決済が完了しているか否かの情報を含む、
請求項に記載のウォレットプログラム。
【請求項9】
前記プロセッサに、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる際に、第一のボタンを前記ディスプレイに表示させ、
前記ユーザによって前記第一のボタンが押下された場合、電子ウォレットに入金された電子マネーによって診療費を決済するため決済要求を、前記電子ウォレットを管理する第二のサーバに出力する、
ことを実行させ
前記決済要求には、前記ユーザに関する情報、前記ユーザの電子ウォレットを特定可能な情報、前記診療費を特定可能な情報が含まれる、
請求項または請求項に記載のウォレットプログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、前記ユーザによって前記第二のボタンが押下された場合、前記処方箋の変更要求とともに、診療費を再計算させるための再計算要求を、前記第一のサーバに出力する、
ことを実行させ
前記再計算要求には、前記ユーザに関する情報、前記診療費の再計算に必要な情報が含まれる、
請求項に記載のウォレットプログラム。
【請求項11】
前記プロセッサに、
前記医療機関における前記ユーザの診療履歴に基づいて作成された紹介状情報を、前記第一のサーバから取得し、
前記紹介状情報を、紹介先の医療機関に設けられた第一のサーバに出力する、
ことを実行させる請求項から請求項10のいずれか一項に記載のウォレットプログラム。
【請求項12】
前記プロセッサに、
前記医療機関における前記ユーザの診療履歴、薬の処方履歴および診療費の決済履歴を含む履歴情報を、前記第一のサーバから取得し、
前記履歴情報を前記ディスプレイに表示させる、
ことを実行させる請求項から請求項11のいずれか一項に記載のウォレットプログラム。
【請求項13】
ハードウェアを有する第一のプロセッサを有し、医療機関に設けられた第一のサーバと、
ハードウェアを有する第二のプロセッサを有し、電子ウォレットを管理する第二のサーバと、
ディスプレイと、ハードウェアを有する第三のプロセッサとを有する携帯端末と、
を備え、
前記第三のプロセッサは
ーザが前記医療機関を受診する際の進捗を示す進捗情報を前記第一のサーバから取得し、前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させ、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる際に、第二のボタンを前記ディスプレイに表示させ、
前記ユーザによって前記第二のボタンが押下された場合、既に作成された処方箋を変更させるための変更要求を、前記第一のサーバに出力し、
前記変更要求には、前記ユーザに関する情報、既に作成された処方箋に関する情報、処方箋の変更内容に関する情報が含まれる、
ウォレットシステム。
【請求項14】
前記進捗情報は、前記ユーザが診察中であるか否かの情報、処方箋の作成が完了しているか否かの情報、および、診療費の決済が完了しているか否かの情報を含む、
請求項13に記載のウォレットシステム。
【請求項15】
前記第三のプロセッサは、
前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる際に、第一のボタンを前記ディスプレイに表示させ、
前記ユーザによって前記第一のボタンが押下された場合、電子ウォレットに入金された電子マネーによって診療費を決済するため決済要求を、前記電子ウォレットを管理する第二のサーバに出力し、
前記決済要求には、前記ユーザに関する情報、前記ユーザの電子ウォレットを特定可能な情報、前記診療費を特定可能な情報が含まれる、
請求項13または請求項14に記載のウォレットシステム。
【請求項16】
前記第三のプロセッサは、前記ユーザによって前記第二のボタンが押下された場合、前記処方箋の変更要求とともに、診療費を再計算させるための再計算要求を、前記第一のサーバに出力し、
前記再計算要求には、前記ユーザに関する情報、前記診療費の再計算に必要な情報が含まれる、
請求項13に記載のウォレットシステム。
【請求項17】
前記第三のプロセッサは、
前記医療機関における前記ユーザの診療履歴に基づいて作成された紹介状情報を、前記第一のサーバから取得し、
前記紹介状情報を、紹介先の医療機関に設けられた第一のサーバに出力する、
請求項13から請求項16のいずれか一項に記載のウォレットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザ(患者)の情報と、医療機関がユーザを識別するための情報と、ユーザのマイナンバーとを紐付けて管理することにより、ユーザの情報を一元的に管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-151732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療機関を利用するユーザの利便性をより向上できる技術が求められていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、医療機関を利用するユーザの利便性を向上させることができる携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る携帯端末は、ディスプレイと、ハードウェアを有するプロセッサとを備え、前記プロセッサが、ユーザが医療機関を受診する際の進捗を示す進捗情報を、前記医療機関に設けられた第一のサーバから取得し、前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる。
【0007】
本開示に係るウォレットプログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに、ユーザが医療機関を受診する際の進捗を示す進捗情報を、前記医療機関に設けられた第一のサーバから取得し、前記進捗情報を、携帯端末が備えるディスプレイに表示させる、ことを実行させる。
【0008】
本開示に係るウォレットシステムは、ハードウェアを有する第一のプロセッサを有し、医療機関に設けられた第一のサーバと、ハードウェアを有する第二のプロセッサを有し、電子ウォレットを管理する第二のサーバと、ディスプレイと、ハードウェアを有する第三のプロセッサとを有する携帯端末と、を備え、前記第三のプロセッサが、ユーザが前記医療機関を受診する際の進捗を示す進捗情報を前記第一のサーバから取得し、前記進捗情報を前記ディスプレイに表示させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、医療機関を利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るウォレットシステムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係るウォレットシステムの各構成要素の詳細を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るウォレットシステムにおいて、ユーザ端末に進捗情報を表示させた第一の例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るウォレットシステムにおいて、ユーザ端末に進捗情報を表示させた第二の例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るウォレットシステムにおいて、ユーザ端末に進捗情報を表示させた第三の例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るウォレットシステムにおいて、ユーザ端末に処方箋を表示させた例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るウォレットシステムにおいて、ユーザ端末に進捗情報を表示させた第四の例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るウォレットシステムにおいて、ユーザ端末に進捗情報を表示させた第五の例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るウォレットシステムが実行する医療機関の進捗情報表示方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステムについて、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
(ウォレットシステム)
実施形態に係るウォレットシステムの構成について、図1および図2を参照しながら説明する。ウォレットシステムは、図1に示すように、ウォレットサーバ1と、医療機関サーバ2と、ユーザ端末3と、を有している。ウォレットシステムにおいて、ウォレットサーバ1、医療機関サーバ2およびユーザ端末3は、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。なお、同図では、医療機関サーバ2およびユーザ端末3を一つのみ図示しているが、これらが複数あっても構わない。
【0013】
(ウォレットサーバ)
ウォレットサーバ(第二のサーバ)1は、実施形態に係るウォレットシステムを管理するためのサーバである。このウォレットサーバ1は、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータによって実現される。また、ウォレットサーバ1は、ウォレットシステムの管理者(提供者)が管理している。ウォレットサーバ1は、図2に示すように、制御部(第二のプロセッサ)11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。
【0014】
制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0015】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部12は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部12は、当該ネットワークNWに接続することにより、医療機関サーバ2およびユーザ端末3との間で通信を行う。
【0016】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。また、記憶部13には、ウォレットシステムのユーザごとの、ユーザ情報131、ウォレット情報132および決済情報133が格納されている。
【0017】
ユーザ情報131は、ウォレットシステムを利用するユーザに関する情報である。ユーザ情報131としては、例えば予めウォレットシステムの利用登録を行ったユーザのユーザID、パスワード、ユーザの氏名、ユーザの連絡先(例えば住所、電話番号、メールアドレス等)等が挙げられる。なお、ユーザ情報131のうちのユーザIDおよびパスワードは、ウォレットサーバ1へのログイン等の認証処理に用いられる。
【0018】
ウォレット情報132は、ウォレットシステムのウォレット(電子ウォレット)に関する情報である。ウォレットとは、電子マネーの仮想的な入出金口座を示している。ウォレット情報132には、例えばユーザID、電子マネーの残高、電子マネーのチャージ履歴、電子マネーの使用履歴等が含まれる。
【0019】
決済情報133は、ウォレットシステムの決済に関する情報である。決済情報133には、ユーザID、決済で利用した決済手段(例えば電子マネー支払い(非接触決済)、スキャン支払い、コード支払い等)、決済履歴等が含まれる。
【0020】
(医療機関サーバ)
医療機関サーバ2は、医療機関に設けられたサーバである。この医療機関サーバ2は、ワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータによって実現される。
【0021】
医療機関サーバ(第一のサーバ)2は、図2に示すように、制御部(第一のプロセッサ)21と、通信部22と、記憶部23と、を備えている。制御部21、通信部22および記憶部23は、物理的には制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。記憶部23には、履歴情報231および進捗情報232が格納されている。
【0022】
履歴情報231は、ユーザごとの医療機関の受診履歴に関する情報である。履歴情報231には、例えば医療機関を受診したユーザの診療履歴、当該ユーザに対する薬の処方履歴、および、当該ユーザによる診療費の決済(支払い)履歴等が含まれる。
【0023】
進捗情報232は、ユーザが医療機関を受診する際の進捗に関する情報である。進捗情報232には、例えばユーザが診察中であるか否かの情報、処方箋の作成が終了しているか否かのステータス情報、診療費の計算が終了しているか否かのステータス情報、診療費の決済が完了しているか否かのステータス情報、処方箋データ、診療費データ、等が含まれる。医療機関サーバ2の制御部21は、例えばユーザが医療機関を受診した際に、ステータスが変更される度に、最新の進捗情報232をユーザ端末3に出力する。
【0024】
(ユーザ端末)
ユーザ端末3は、ユーザが用いる携帯端末である。本開示における「ユーザ」とは、ウォレットシステムを利用し、かつ医療機関を受診する患者のことを示している。ユーザは、ユーザ端末3を通じて、医療機関の予約、医療機関における診療および各種手続きの進捗の確認、処方箋の確認および変更、診療費の支払い、診療明細書および領収書の確認を行うことができる。ユーザ端末3としては、例えばユーザが所有するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ等が挙げられる。
【0025】
ユーザ端末3は、図2に示すように、制御部(第三のプロセッサ)31と、通信部32と、記憶部33と、操作・表示部(ディスプレイ)34と、測位部35と、を備えている。制御部31、通信部32および記憶部33は、物理的には制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。制御部31は、プログラムの実行を通じて、表示制御部311、チャージ処理部312、決済処理部313および情報取得部314として機能する。
【0026】
表示制御部311は、操作・表示部34における表示内容を制御する。表示制御部311は、ユーザの操作(タッチ操作、フリック操作等)に基づいて、所定の情報を操作・表示部34に表示させる。表示制御部311が操作・表示部34に表示させる情報としては、例えばユーザがウォレットシステムの会員登録を行う際の会員登録画面、ウォレットシステムにログインする際のログイン画面、ウォレットへの電子マネーのチャージ(入金)を行う際のチャージ画面、医療機関の予約画面、医療機関における診療および各種手続きの進捗画面(図3図8参照)、処方箋の確認画面(図6参照)、診療費の支払いを行う際の決済画面、診療明細書および領収書の確認画面、等が挙げられる。
【0027】
表示制御部311は、具体的には、情報取得部314が取得したユーザの進捗情報232を、操作・表示部34に表示させる。図3図8は、表示制御部311が操作・表示部34に表示させた進捗情報画面の一例を示している。進捗情報画面は、例えば同図に示すように、上側に患者(ユーザ)名、医療機関名および医療機関の受診予約日時が配置され、下側に現在のステータスが配置された画面構成となっている。
【0028】
ユーザが現在診察中である場合、例えば図3に示すように、「ステータス:診察中」と表示される。続いて、ユーザの診察が終了した場合、例えば図4に示すように、「ステータス:診察終了、処方箋作成中」と表示される。続いて、処方箋の作成が終了した場合、例えば図5に示すように、「ステータス:診察終了、処方箋作成終了、診療費計算中」と表示される。
【0029】
続いて、診療費の計算が終了した場合、例えば図7に示すように、「ステータス:診察終了、処方箋作成終了、診療費計算終了」と表示される。続いて、診療費の支払いが終了した場合、例えば図8に示すように、「ステータス:診察終了、処方箋作成終了、診療費計算終了、診療費支払い終了」と表示される。このように、進捗情報画面には、新たな進捗状況が順次追加され、医療機関におけるユーザの診療および各種手続きがどこまで進んだのかが一目で分かるようになっている。なお、図4図8は、あくまでも進捗情報画面の一例であり、画面配置や進捗状況を追加する順序等は特に限定されない。
【0030】
ここで、表示制御部311は、ユーザの進捗情報232を操作・表示部34に表示させる際に、例えば図5に示すように、処方箋を確認するためのボタン41を表示させてもよい。ユーザによってボタン41が押下された場合、表示制御部311は、例えば図6に示すように、処方箋を操作・表示部34に表示させる。これにより、ユーザ端末3を通じて、処方箋の内容をいち早く確認することができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0031】
また、表示制御部311は、ユーザの進捗情報232を操作・表示部34に表示させる際に、例えば図6に示すように、処方箋を変更するためのボタン(第二のボタン)42を表示させてもよい。なお、「処方箋の内容を変更する」とは、具体的には、処方箋に含まれる非ジェネリック医薬品をジェネリック医薬品に変更することを示している。ユーザによってボタン42が押下された場合、制御部31は、既に作成された処方箋を変更させるための処方箋の変更要求を、医療機関サーバ2に出力する。
【0032】
これを受けて、医療機関サーバ2の制御部21は、新たな処方箋データを作成し、ユーザ端末3に出力する。そして、表示制御部311は、新たな処方箋を操作・表示部34に表示させる。これにより、処方箋に含まれている非ジェネリック医薬品をジェネリック医薬品に変更するために、医療機関の受付や医師に申し出る必要がなくなるため、ユーザの利便性が向上する。
【0033】
なお、例えば図7に示すように、処方箋の作成と診療費の計算が終了している段階で、処方箋が変更されると、診療費も当初の額から変更となる場合がある。そのため、例えばユーザによってボタン42が押下された場合、制御部31は、処方箋の変更要求とともに、診療費を再計算させるための再計算要求を、医療機関サーバ2に出力してもよい。これを受けて、医療機関サーバ2の制御部21は、新たな処方箋データとともに新たな診療費データを作成し、ユーザ端末3に出力する。これにより、処方箋の変更により医療費が変更となる場合に、医療機関の受付に申し出る必要がなくなるため、ユーザの利便性が向上する。
【0034】
また、表示制御部311は、ユーザの進捗情報232を操作・表示部34に表示させる際に、図7に示すように、診療費を支払うためのボタン(第一のボタン)43を表示させてもよい。ユーザによってボタン43が押下された場合、決済処理部313は、例えば電子ウォレットに入金された電子マネーによって診療費を決済するため決済要求を、ウォレットサーバ1に出力する。続いて、医療機関サーバ2の制御部21は、ユーザ端末3から取得した決済要求をウォレットサーバ1に転送する。
【0035】
これを受けて、ウォレットサーバ1の制御部11は、決済要求に含まれる決済金額に基づいて、ユーザのウォレット内の電子マネーの残高を減額させる。すなわち、制御部11は、ウォレット内の電子マネーの残高の減額分に応じて、記憶部13に格納されたウォレット情報132および決済情報133を更新する。そして、制御部11は、更新したウォレット情報132および決済情報133を、ユーザ端末3に出力する。更に、制御部11は、決済が完了した旨の情報(以下、「決済完了情報」という)を、医療機関サーバ2に出力する。これにより、医療機関の受付で長時間待つことなく、その場で医療費の支払いを行うことができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0036】
また、表示制御部311は、ユーザの進捗情報232を操作・表示部34に表示させる際に、図8に示すように、診療明細書を確認するためのボタン44と、領収書を確認するためのボタン45を表示させてもよい。ユーザによってボタン44,45が押下された場合、表示制御部311は、診療明細書および領収書を操作・表示部34に表示させる。
【0037】
チャージ処理部312は、ウォレットに電子マネーをチャージする。チャージ処理部312は、予め設定されたチャージ手段によって、ウォレットに電子マネーをチャージさせるためのチャージ要求をウォレットサーバ1に出力する。なお、「チャージ手段」とは、仮想的な入出金口座であるウォレットに電子マネーを入金するための手段のことを示している。チャージ手段としては、例えば銀行口座、クレジットカード等が挙げられる。
【0038】
チャージ処理部312からチャージ要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、チャージ要求に含まれるチャージ金額情報に基づいて、ウォレット内の電子マネーの残高を増額させる。すなわち、制御部11は、ウォレット内の電子マネーの残高の増額分に応じて、記憶部13に格納されたウォレット情報132を更新する。
【0039】
決済処理部313は、医療機関への診療費の決済を行う。決済処理部313は、例えばウォレットにチャージされた電子マネーまたはその他の決済手段(例えば予め登録された銀行口座、クレジットカード)を利用して決済させるための決済要求を、医療機関サーバ2に対して出力する。
【0040】
ユーザ端末3から決済要求を取得した医療機関サーバ2の制御部21は、決済金額(診療費)を含む決済要求を、ネットワークNWを介してウォレットサーバ1に出力する。医療機関サーバ2から決済要求を取得したウォレットサーバ1の制御部11は、決済要求に含まれる決済金額に基づいて、ユーザのウォレット内の電子マネーの残高を減額させ、更新したウォレット情報132および決済情報133を、ユーザ端末3に出力する。更に、制御部11は、決済完了情報を医療機関サーバ2に出力する。
【0041】
情報取得部314は、ユーザが医療機関を受診した際に、医療機関サーバ2からユーザンの進捗情報232を取得する。これを受けて、表示制御部311は、情報取得部314が取得した進捗情報232を操作・表示部34に表示させる。なお、「ユーザが医療機関を受診した際」とは、例えば測位部35が検知したユーザ端末3の位置情報に基づいて、ユーザが医療機関に到着したことを検知した場合を示している。
【0042】
情報取得部314は、例えばユーザを他の医療機関に紹介する際の紹介状(診療情報提供書)情報を取得することも可能である。この場合、情報取得部314は、医療機関におけるユーザの診療履歴に基づいて作成された紹介状情報を、医療機関サーバ2から取得する。これを受けて、制御部31は、紹介状情報を、紹介先の医療機関に設けられた医療機関サーバ2に出力する。これにより、医療機関に直接赴くことなく、紹介状を取得することができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0043】
なお、制御部31は、紹介状情報とともに、紹介先の医療機関を予約するための予約情報を、紹介先の医療機関に設けられた医療機関サーバ2に出力してもよい。この予約情報は、例えばユーザによるユーザ端末3の操作に基づいて、制御部31が別途作成する。
【0044】
また、情報取得部314は、例えばユーザの履歴情報231を取得することも可能である。この場合。情報取得部314は、ユーザの診療履歴、薬の処方履歴および診療費の決済履歴を含む履歴情報231を、医療機関サーバ2から取得する。これを受けて、表示制御部311は、情報取得部314が取得した履歴情報231を操作・表示部34に表示させる。これにより、医療機関に直接赴くことなく、ユーザの診療履歴等を取得することができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0045】
記憶部33には、表示制御部311が操作・表示部34に表示させる各種画面のデータが格納されている。また、記憶部33には、ユーザ情報131、ウォレット情報132、決済情報133、測位部35によって取得したユーザ端末3の位置情報、医療機関サーバ2から取得したユーザの履歴情報231、進捗情報232および紹介状情報、等が必要に応じて格納される。
【0046】
操作・表示部34は、例えばタッチパネルディスプレイにより構成されており、ユーザの指やペン等による操作を受け付ける入力機能と、表示制御部311の制御に基づいて各種情報を表示する表示機能と、を有している。
【0047】
測位部35は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、ユーザ端末3の位置情報を検知する。そして、制御部31は、測位部35が検知したユーザ端末3の位置情報を記憶部33に格納する。
【0048】
(進捗情報表示方法)
以下、実施形態に係るウォレットシステムが実行する医療機関の進捗情報表示方法の一例について、図9を参照しながら説明する。なお、以下では、ユーザが自宅等で医療機関のオンライン予約を行い、医療機関に到着後に診療および各種手続きの進捗を表示する状況を想定して説明を行う。
【0049】
まず、ユーザ端末3の制御部31は、医療機関の予約要求を医療機関サーバ2に出力する(ステップS1)。なお、医療機関の予約は、例えば当該医療機関が運営するウェブサイト等を通じて行う。続いて、予約要求を取得した医療機関サーバ2の制御部21は、ユーザの予約を受け付ける(ステップS2)。
【0050】
続いて、ユーザ端末3の制御部31は、ユーザが医療機関に到着したことを検知し(ステップS3)、診療受付要求を医療機関サーバ2に出力する(ステップS4)。なお、ステップS3では、測位部35が検知したユーザ端末3の位置情報に基づいて、ユーザが医療機関に到着したことを検知する。
【0051】
続いて、診療受付要求を取得した医療機関サーバ2の制御部21は、診療を受け付ける(ステップS5)。続いて、医療機関サーバ2の制御部21は、ステータスが変更される度に、進捗情報232をユーザ端末3に出力する(ステップS6)。
【0052】
続いて、ユーザ端末3の表示制御部311は、取得した進捗情報232を操作・表示部34に表示させる(ステップS7)。続いて、ユーザ端末3の表示制御部311は、ユーザによって診療費を支払うためのボタン43(図7参照)が押下された場合、決済要求を医療機関サーバ2に出力する(ステップS8)。続いて、医療機関サーバ2の制御部21は、決済金額(診療費)を含む決済要求をウォレットサーバ1に出力する(ステップS9)。
【0053】
続いて、ウォレットサーバ1の制御部11は、決済要求に含まれる決済金額に基づいて、ユーザのウォレット情報132および決済情報133を更新し、ユーザ端末3に出力する(ステップS10)。続いて、制御部11は、決済完了情報を医療機関サーバ2に出力し(ステップS11)、本フローは完了する。
【0054】
以上説明したように、実施形態に係る携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステムによれば、オンライン上で、診療予約、医療費の支払い、処方箋の確認ならびに変更、紹介状および診療履歴の取得等を行うことができるため、医療機関を利用するユーザの利便性を向上させることができる。また、実施形態に係る携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステムによれば、医療機関における診療および各種手続きの進捗状況を逐次表示することにより、医療機関での待ち時間に対するユーザの不安を軽減することができる。
【0055】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0056】
例えば、実施形態に係る携帯端末、ウォレットプログラムおよびウォレットシステムでは、ユーザによって処方箋を変更するためのボタン42(図6参照)が押下されると、処方箋の変更要求を医療機関サーバ2に出力し、医療機関サーバ2側で処方箋を変更させていたが、ユーザ端末3側で処方箋を変更してもよい。この場合、ユーザによって処方箋を変更するためのボタン42が押下されると、ユーザ端末3の制御部31は、処方箋に含まれる非ジェネリック薬品を、予め設定されたジェネリック薬品へと書き換える。そして、ユーザ端末3の表示制御部311は、書き換えた処方箋を操作・表示部34に表示させる。これにより、ユーザ端末3側で処方箋を変更することができるため、ユーザの利便性が更に向上する。
【符号の説明】
【0057】
1 ウォレットサーバ
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
131 ユーザ情報
132 ウォレット情報
133 決済情報
2 医療機関サーバ
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
231 履歴情報
232 進捗情報
3 ユーザ端末
31 制御部
311 表示制御部
312 チャージ処理部
313 決済処理部
314 情報取得部
32 通信部
33 記憶部
34 操作・表示部
35 測位部
41,42,43,44,45 ボタン
NW ネットワーク
図1
図2
図3
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図8
図9