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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-11
(45)【発行日】2023-09-20
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20230912BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B60H1/32 626B
B60H1/00 101Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020045441
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021146760
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】津田 隆太
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-260811(JP,A)
【文献】特開2016-030565(JP,A)
【文献】特開2017-148604(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0021910(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転する運転者の覚醒度を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、前記車両に設けられている空調装置を前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードで動作させて前記車室内の温度を低下させ、前記空調装置を前記内気循環モードで動作させた後、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えた場合に、前記空調装置を前記車室内に外気を導入する外気導入モードで動作させて前記車室内の温度を低下させる温度制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記温度制御部は、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化した場合に、前記空調装置の目標温度を前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化する前の当該目標温度よりも低くする、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記温度制御部は、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化した場合に、前記空調装置の風量を大きくする、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記運転者を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記撮像画像に基づいて、前記運転者の首元の位置を検出する検出部と、
前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化した場合に、前記空調装置が発生させる風を前記検出部が検出した前記首元の方向へ向ける風向制御部と、をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記温度制御部が前記空調装置を前記内気循環モードで動作させて前記車室内の温度を低下させた後、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第2の閾値を所定期間以内に超えない場合に、前記運転者の眠気を検知したことを前記運転者に通知する通知部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転中に運転者が眠気を感じることがある。非特許文献1には、車室内の温度を低下させることにより、運転者の覚醒を促す効果があることが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】郭鐘声他、「車内温度の変化がドライバの覚醒度と熱的快適感に及ぼす影響」、自動車技術会論文集、日本、2018年3月、Vol.49、No.2、365-370
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車室内の温度を急速に低下させるため、車室内の空気を循環させる内気循環モードで空調装置を動作させることが考えられる。しかしながら、内気循環モードで空調装置を動作させた場合、車室内のCO濃度が上昇することにより運転者が疲労感を感じることがあった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、車室内のCO濃度が上昇することを抑制しつつ、運転者の覚醒を促すことができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の制御装置は、車両を運転する運転者の覚醒度を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、前記車両に設けられている空調装置を前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードで動作させて前記車室内の温度を低下させ、前記空調装置を前記内気循環モードで動作させた後、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えた場合に、前記空調装置を前記車室内に外気を導入する外気導入モードで動作させて前記車室内の温度を低下させる温度制御部と、を備える。
【0007】
前記温度制御部は、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化した場合に、前記空調装置の目標温度を前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化する前の当該目標温度よりも低くしてもよい。前記温度制御部は、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化した場合に、前記空調装置の風量を大きくしてもよい。
【0008】
前記制御装置は、前記運転者を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部が取得した前記撮像画像に基づいて、前記運転者の首元の位置を検出する検出部と、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第1の閾値以下に変化した場合に、前記空調装置が発生させる風を前記検出部が検出した前記首元の方向へ向ける風向制御部と、をさらに備えてもよい。
【0009】
前記制御装置は、前記温度制御部が前記空調装置を前記内気循環モードで動作させて前記車室内の温度を低下させた後、前記特定部が特定した前記覚醒度が前記第2の閾値を所定期間以内に超えない場合に、前記運転者の眠気を検知したことを前記運転者に通知する通知部をさらに備えてもよい。
【0010】
前記制御装置は、車両を運転する運転者の覚醒度を特定する特定部と、前記車両の車室内の二酸化炭素濃度を取得する濃度取得部と、前記特定部が特定した前記覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、前記車両に設けられている空調装置を前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードで動作させて前記車室内の温度を低下させ、前記空調装置を前記内気循環モードで動作させた後、前記濃度取得部が取得した二酸化炭素濃度が基準値を超えた場合に、前記空調装置を前記車室内に外気を導入する外気導入モードで動作させて前記車室内の温度を低下させる温度制御部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車室内のCO濃度が上昇することを抑制しつつ、運転者の覚醒を促すという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の制御装置が搭載された車両の概要を示す図である。
図2】車両の構成を示す図である。
図3】制御装置による運転者の覚醒を促す処理手順を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態の制御装置が搭載された車両の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
[制御装置の概要]
図1は、第1の実施形態の制御装置1が搭載された車両100の概要を示す図である。制御装置1は、例えば、コンピュータにより車両100の各部を電子的に制御するECU(Electronic Control Unit)により実現される。制御装置1は、車両100に設けられている空調装置を制御する。
【0014】
図1(a)は、空調装置が内気循環モードで動作する場合の例を示す。図1(b)は、空調装置が外気導入モードで動作する場合の例を示す。空調装置は、内気循環モードで動作する間、図1(a)の矢印で示すように、車室内の空気を循環させて、車室内の温度を低下させる。内気循環モードでは、空調装置が既に冷却された空気をさらに冷却するため、車室内を急速に冷却することができる。
【0015】
空調装置は、外気導入モードで動作する間、図1(b)の矢印で示すように、車室内に外気を導入して、車室内の温度を低下させる。空調装置は、外気導入モードで動作する場合、内気循環モードと比較すると車室内の冷却により多くの時間を要する。
【0016】
制御装置1は、車両100を運転する運転者を撮像した撮像画像に基づいて、運転者の覚醒の度合いを示す覚醒度を特定する。覚醒度は、運転者が眠くなるほど低い値であるものとする。制御装置1は、運転者の覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、空調装置を内気循環モードで動作させて車室内の温度を低下させる。制御装置1は、車室内の温度を低下させることにより、運転者の覚醒を促すことができる。このとき、制御装置1は、内気循環モードにおいて車室内の温度を急速に低下させるので、外気導入モードで温度を低下させる場合に比べて、運転者の覚醒を促す効果をより大きくすることができる。
【0017】
制御装置1は、空調装置を内気循環モードで動作させた後、覚醒度が第2の閾値を超えた場合に、空調装置を外気導入モードで動作させて車室内の温度を低下させる。第2の閾値は、第1の閾値よりも高い値である。内気循環モードでは、外気が導入されないため、車室内のCO濃度が徐々に増加する。運転者は、長時間換気を行わなければ、CO濃度の上昇に起因して、倦怠感や疲労を覚え、眠くなりやすくなる。制御装置1は、運転者の覚醒度が第2の閾値を超える程度に回復した場合に、空調装置を外気導入モードで動作させる。このとき、空調装置は、車室内に外気を導入することにより、内気循環モードで動作している間に上昇したCO濃度を下げることができる。このようにして、制御装置1は、CO濃度が高いことに起因する倦怠感や疲労等の運転者への悪影響を抑制し、運転者が快適に運転する環境を整えることができる。また、制御装置1は、外気導入モードにおいても車室内の温度を低下させることにより、運転者が覚醒した状態を維持することができる。
【0018】
[車両の構成]
図2は、車両100の構成を示す図である。車両100は、制御装置1、撮像部2、空調装置3及びスピーカ4を備える。制御装置1は、記憶部11及び制御部12を備える。
【0019】
撮像部2は、車両100の走行中に運転者を撮像する。撮像部2は、例えば、運転者の顔や首元を含む範囲を撮像する。撮像部2は、運転者の上半身を撮像してもよい。空調装置3は、車両100に設けられている。空調装置3は、車室内の温度を低下させる。スピーカ4は、電気信号を音に変換する。
【0020】
記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。制御部12は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、画像取得部121、特定部122、温度制御部123、検出部124、風向制御部125及び通知部126として機能する。
【0021】
画像取得部121は、運転者を撮像した撮像画像を撮像部2から取得する。例えば、画像取得部121は、撮像部2を制御し、運転者の撮像画像を所定期間ごとに取得する。所定期間は、例えば、数十ミリ秒である。画像取得部121は、取得した撮像画像を特定部122及び検出部124へ出力する。
【0022】
特定部122は、車両100を運転する運転者の覚醒度を特定する。特定部122は、画像取得部121が取得した撮像画像を解析する。例えば、特定部122は、生成した複数の撮像画像において運転者の目の開き具合を特定する。特定部122は、この目の開き具合に対応する覚醒度を特定する。特定部122は、運転者が瞬き等に相当するごく短い時間を除いて覚醒時と同程度の目の開き具合を示している場合には、運転者の覚醒度として、比較的高い値を割り当てる。特定部122は、運転者が目をほとんど閉じている状態が数秒間続いた場合に、運転者の覚醒度として、比較的低い値を割り当てる。また、特定部122は、運転者が倒れ込む等の異常動作があったか否かを判定することにより、運転者の覚醒度を特定してもよい。特定部122は、特定した覚醒度を温度制御部123、風向制御部125及び通知部126に通知する。
【0023】
[車室内の温度の制御]
温度制御部123は、特定部122が特定した覚醒度に基づいて、空調装置3を動作させて車室内の温度を低下させる。温度制御部123は、覚醒度が第1の閾値以下に変化したか否かを判定する。第1の閾値は、例えば、運転者が眠気を感じていることを示す値である。温度制御部123は、覚醒度が第1の閾値以下に変化したと判定した場合に、空調装置3を内気循環モードで動作させて車室内の温度を低下させる。
【0024】
例えば、温度制御部123は、空調装置3が外気導入モードで動作している状態であれば、外気導入モードを内気循環モードに切り替えて空調装置3を動作させる。このとき、温度制御部123は、空調装置3の目標温度を覚醒度が第1の閾値以下に変化する前の目標温度よりも低くする。
【0025】
温度制御部123は、内気循環モードにおいて目標温度を低くして空調装置3を動作させることにより、車室内を急速に冷却することができる。このため、温度制御部123は、運転者の覚醒を促す効果を大きくすることができる。また、温度制御部123は、覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、覚醒度が第1の閾値以下に変化する前に比べて空調装置3の風量を大きくしてもよい。温度制御部123は、内気循環モードにおいて空調装置3の風量を大きくすることにより、運転者の体感温度を下げ、運転者の覚醒を促すことができる。一方、温度制御部123は、覚醒度が第1の閾値を超えると判定した場合に、空調装置3を内気循環モードで動作させないように制御してもよい。
【0026】
温度制御部123は、空調装置3を内気循環モードで動作させた後、特定部122が特定した覚醒度が第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えたか否かを判定する。第2の閾値は、例えば、運転者が平常どおり車両100を運転している場合における覚醒度として想定される最低値である。温度制御部123は、覚醒度が第2の閾値を超えたと判定した場合に、車室内のCO濃度を低下させるため、空調装置3を外気導入モードで動作させて車室内の温度を低下させる。
【0027】
検出部124は、画像取得部121が取得した撮像画像に基づいて、運転者の首元の位置を検出する。例えば、検出部124は、運転者の顔や首元を含む範囲を撮像部2が撮像した撮像画像を入力データとし、運転者の首元の位置を出力データとする学習済みの機械学習モデルを用いることにより、運転者の首元の位置を検出する。
【0028】
風向制御部125は、特定部122が特定した覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、空調装置3が発生させる風を検出部124が検出した首元の方向へ向ける。記憶部11には、撮像画像の画素位置のそれぞれと、画素位置に対応する方向へ風を向けるためのファンの上下方向の角度と、画素位置に対応する方向へ風を向けるためのファンの左右方向の角度とを関連付けた風向テーブルが記憶されている。風向制御部125は、記憶部11が記憶している風向テーブルを読み出し、検出部124が検出した首元の画素位置に風向テーブルにおいて関連付けられた上下方向及び左右方向の角度をそれぞれ特定する。風向制御部125は、特定した上下方向及び左右方向の角度に基づいて、空調装置3の風向きを調整する風向き調整板の向きを調整する。このようにして、風向制御部125は、空調装置3が発生させる風を運転者の首元へ吹き付け、運転者の覚醒を促すことができる。
【0029】
通知部126は、温度制御部123が空調装置3を内気循環モードで動作させて車室内の温度を低下させた後、特定部122が特定した覚醒度が第2の閾値を所定期間以内に超えない場合に、運転者の眠気を検知したことを運転者に通知する。所定期間は、例えば、空調装置3を内気循環モードで動作させることにより運転者の覚醒を促す効果があったか否かを判定するために要する時間である。例えば、通知部126は、特定部122が特定した覚醒度が第2の閾値を所定期間以内に超えない場合に、運転者の眠気を検知したことを示すメッセージをスピーカ4により音声出力する。このようにして、通知部126は、温度制御部123により車室内の温度を低下させた後も運転者の覚醒度が回復しない場合に、音声出力により運転者の覚醒を促すことができる。
【0030】
[制御装置による空調装置の動作モードの切り替えの処理手順]
図3は、制御装置1による運転者の覚醒を促す処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、車両100の走行中に開始する。まず、画像取得部121は、運転者を撮像した撮像画像を撮像部2から取得する(S101)。
【0031】
特定部122は、画像取得部121が取得した撮像画像を解析することにより、運転者の覚醒度を特定する(S102)。温度制御部123は、特定部122が特定した覚醒度が第1の閾値以下に変化したか否かを判定する(S103)。温度制御部123は、覚醒度が第1の閾値以下であると判定した場合に(S103のYES)、空調装置3を内気循環モードで動作させて車室内の温度を低下させる(S104)。特定部122は、空調装置3を内気循環モードで動作させた後、運転者の覚醒度を再び特定する(S105)。
【0032】
温度制御部123は、特定部122が特定した覚醒度が第2の閾値を超えた否かを判定する(S106)。温度制御部123は、覚醒度が第2の閾値を超えたと判定した場合に(S106のYES)、空調装置3を外気導入モードで動作させることにより、(S107)、車室内の温度を低下させる。
【0033】
温度制御部123は、空調装置3を外気導入モードで動作させた後、外気導入モードの終了条件を満たしたか否かを判定する(S108)。例えば、温度制御部123は、終了条件として、所定時間を経過したか否かを判定する。温度制御部123は、所定時間として、例えば、運転者が倦怠感や疲労を感じずに車両100の運転が可能な程度に車室内のCO濃度が低下することが想定される値を用いる。また、温度制御部123は、終了条件として、所定量の外気を導入したか、覚醒度が第2閾値より高い第3閾値を超えたか否かを判定してもよく、複数の終了条件を組み合わせて判定してもよい。温度制御部123は、所定量として、例えば、運転者が倦怠感や疲労を感じずに車両100の運転が可能な程度に車室内のCO濃度が低下することが想定される値を用いる。
【0034】
温度制御部123は、終了条件を満たしたと判定した場合に(S108のYES)、処理を終了する。温度制御部123は、S103の判定において覚醒度が第1の閾値より高いと判定した場合に(S103のNO)、S101の処理に戻る。温度制御部123は、S106の判定において覚醒度が第2の閾値以下であると判定した場合に(S106のNO)、S104の処理に戻る。温度制御部123は、S108の判定において終了条件を満たしていないと判定した場合、空調装置3を外気導入モードで引き続き動作させ、S101の処理に戻る。
【0035】
[本実施形態による効果]
第1の実施形態では、温度制御部123は、運転者の覚醒度が第1の閾値以下に変化した場合に、空調装置3を内気循環モードで動作させて外気導入モードに比べて急速に車室内の温度を低下させることにより、運転者の覚醒を促すことができる。温度制御部123は、運転者の覚醒度が第2の閾値を超えて回復した場合に、空調装置3を外気導入モードで動作させる。このようにして、温度制御部123は、CO濃度が高いことに起因する倦怠感や疲労等の運転者への悪影響を抑制し、運転者が快適に運転する環境を整えることができる。また、温度制御部123は、外気導入モードにおいて車室内の温度を低下させることにより、運転者が覚醒した状態を維持することができる。
【0036】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態の制御装置1が搭載された車両100の構成を示す図である。図4に示す車両100は、スピーカ4及び通知部126を備えておらず、CO濃度測定器201及び濃度取得部202をさらに備える点において図2の車両100と異なり、それ以外は、図2の車両100と同様である。図2と同様の機能ブロックについては図2と同じ符号を付して説明を省略する。
【0037】
CO濃度測定器201は、車室内のCO濃度を測定する。例えば、CO濃度測定器201は、非分散型赤外(NDIR:Nondispersive Infrared)分光法により、COが特定の周波数の赤外線を吸収した吸収量を測定し、この吸収量に対応するCO濃度を算出する。制御部12の濃度取得部202は、CO濃度測定器201が測定した車室内のCO濃度を取得する。
【0038】
温度制御部123は、第1の実施形態と同様に、覚醒度が第1の閾値以下に変化したと判定した場合に、空調装置3を内気循環モードで動作させて車室内の温度を低下させる。温度制御部123は、空調装置3を内気循環モードで動作させた後、濃度取得部202が取得したCO濃度が基準値を超えたか否かを判定する。基準値は、例えば、運転者が倦怠感や疲労を感じる可能性がある値である。温度制御部123は、濃度取得部202が取得したCO濃度が基準値を超えたと判定した場合に、空調装置3を外気導入モードで動作させて車室内の温度を低下させる。
【0039】
一方、温度制御部123は、濃度取得部202が取得したCO濃度が基準値以下であると判定した場合に、空調装置3をそのまま内気導入モードで動作させて車室内の温度を低下させる。このようにして、温度制御部123は、車室内のCO濃度が上昇することを抑制することができるので、運転者が倦怠感や疲労等の悪影響を受けることを抑制することができる。
【0040】
温度制御部123は、空調装置3を外気導入モードで動作させた後、所定の終了条件を満たした場合に、空調装置3を内気導入モードに戻して動作させるか、空調装置3を停止させる。終了条件は、例えば、CO濃度が所定濃度より低下することである。所定濃度は、例えば、基準値よりも低い値である。
【0041】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0042】
1 制御装置
2 撮像部
3 空調装置
4 スピーカ
11 記憶部
12 制御部
100 車両
121 画像取得部
122 特定部
123 温度制御部
124 検出部
125 風向制御部
126 通知部
201 濃度測定器
202 濃度取得部
図1
図2
図3
図4